JP2023089388A - β型サイアロン蛍光体の製造方法、波長変換部材の製造方法、及び発光装置の製造方法 - Google Patents

β型サイアロン蛍光体の製造方法、波長変換部材の製造方法、及び発光装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱劣化性に優れたβ型サイアロン蛍光体を製造する方法を提供する。【解決手段】本発明のβ型サイアロン蛍光体の製造方法は、ケイ素、アルミニウム及びユウロピウムを含有する原料粉末を混合し、混合物を焼成して、ユーロピウムが固溶したβ型サイアロン蛍光体を準備する準備工程と、β型サイアロン蛍光体を、表面に固体塩基性物質を付着させた状態で加熱する、アルカリ処理工程と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、β型サイアロン蛍光体の製造方法、波長変換部材の製造方法、及び発光装置の製造方法に関する。
これまでβ型サイアロン蛍光体において様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、アルミニウム、酸素原子及びユーロピウムを含む窒化ケイ素を含む組成物を熱処理した第一熱処理物を、水酸化ナトリウム水溶液と混合しし、70℃、3時間、大気中で第一熱塩基処理を行い、更に200℃、2時間、窒素雰囲気で第二熱塩基処理を行う、βサイアロン蛍光体の製造方法が記載されている(特許文献1の請求項1、3、段落0009、実施例6等)。なお、同文献には、第一熱塩基処理の加熱温度である第一の温度が、50℃以上150℃以下であることが示されている(段落0051)。
特開2017-110206号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載の製造方法で得られたβ型サイアロン蛍光体において、耐熱劣化性の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、Si、AlおよびEuを含む原料混合粉末の焼成物について、塩基性水溶液中で加熱した場合、耐熱劣化試験後におけるβ型サイアロン蛍光体の拡散反射率が低下することが判明した。
詳細なメカニズムは定かではないが、加熱過程において、塩基性水溶液中に存在する水により、焼成物の表面がOH基リッチとなるため、β型サイアロン蛍光体の光学特性が低下すると考えられ。
このような知見に基づいて鋭意検討した結果、本発明者は、上記の焼成物を、表面に固体塩基性物質を付着させた状態で加熱することにより、耐熱劣化試験後におけるβ型サイアロン蛍光体の拡散反射率の低下が抑制されることを見出し、本願発明を完成するに至った。
本発明によれば、
ケイ素、アルミニウム及びユウロピウムを含有する原料粉末を混合し、混合物を焼成して、ユーロピウムが固溶したβ型サイアロン蛍光体を準備する準備工程と、
前記β型サイアロン蛍光体を、表面に固体塩基性物質を付着させた状態で加熱する、アルカリ処理工程と、
を含む、β型サイアロン蛍光体の製造方法が提供される。
また本発明によれば、
上記のβ型サイアロン蛍光体の製造方法で得られたβ型サイアロン蛍光体を用いて、波長変換部材を製造する工程を含む、波長変換部材の製造方法が提供される。
また本発明によれば、
発光光源の発光面に、上記の波長変換部材の製造方法で得られた波長変換部材を搭載する工程を含む、発光装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、耐熱劣化性に優れたβ型サイアロン蛍光体を製造する方法、それを用いた波長変換部材、及び発光装置が提供される。
信頼性試験に用いるLEDパッケージの構造を模式的に示す断面図である。 LEDパッケージの信頼性試験の結果を示す。
本実施形態のβ型サイアロン蛍光体の製造方法の概要を説明する。
β型サイアロン蛍光体の製造方法は、ケイ素、アルミニウム及びユウロピウムを含有する原料粉末を混合し、混合物を焼成して、ユーロピウムが固溶したβ型サイアロン蛍光体を準備する準備工程と、β型サイアロン蛍光体を、表面に固体塩基性物質を付着させた状態で加熱する、アルカリ処理工程と、を含む。
本発明者の知見によれば、β型サイアロン蛍光体の表面に固体塩基性物質を付着させた状態で加熱するアルカリ処理により、耐熱劣化試験後におけるβ型サイアロン蛍光体の拡散反射率の低下が抑制されることが見出された。
詳細なメカニズムは定かではないが、次のように推察できる。
β型サイアロン蛍光体の表面に、Si-OHを多く含む不安定な酸化層が形成され、熱劣化試験後において、Si―OH由来の欠陥などの余分な光の吸収が増加してしまう。
これに対して、β型サイアロン蛍光体の表面に水が実質的に存在しない状態で加熱するアルカリ処理を施すことにより、その表面のSi―OHが減少するため、熱劣化試験後における余分な光の吸収の増加を抑制できる。そのため、β型サイアロン蛍光体における光学特性の低下を抑制できる、と考えられる。
本実施形態によれば、熱劣化試験後における拡散反射率の低減が抑制され、耐熱劣化性に優れるβ型サイアロン蛍光体を実現できる。このようなβ型サイアロン蛍光体を波長変換部材や発光装置に使用することで、熱時信頼性を向上できる。
以下、本実施形態のβ型サイアロン蛍光体について詳述する。
本実施形態のβ型サイアロン蛍光体は、Light Emitting Diode(以下LED)などの光源用蛍光体として極めて有用である。
β型サイアロン蛍光体は、例えば、波長420nm~480nmの範囲の青色光を吸収して、480nmを超え800nm以下の範囲にピーク波長を有する光を発光できる。
β型サイアロン蛍光体は、蛍光体として使用可能なものであれば特に限定されないが、ユウロピウムが固溶した、ユウロピウム賦活β型サイアロンで構成される。
β型サイアロン蛍光体は、一般式Si6-zAl8-z:Eu2+(0<z≦4.2)で示される。
一般式Si6-zAl8-z:Eu2+において、z値とユウロピウムの含有量は特に限定されないが、z値は、例えば0を超えて4.2以下であり、β型サイアロン蛍光体の発光強度をより向上させる観点から、好ましくは0.005以上1.0以下である。
また、β型サイアロン蛍光体中のユウロピウムの含有量は、例えば、0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。
上記β型サイアロン蛍光体は、粉末状であり、平均粒子径d50が、例えば、0.1μm~50μm、好ましくは0.25μm~40μm、より好ましくは0.5μm~30μmとなるように構成されてもよい。上記上限以下とすることで、発光色の色度にバラツキを抑制できる。上記の下限以上とすることで、輝度を向上できる。
平均粒子径d50は、レーザ回折散乱法で測定した体積平均径より算出した値である。
JIS R 1629:1997「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に記載のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法に準拠して行った。測定には、粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、製品名:「Microtrac MT3300EX II」)を用いた。具体的には、まず、測定対象となる蛍光体0.1gをイオン交換水100mLに投入し、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製、製品名:「Ultrasonic Homogenizer US-150E」、チップサイズ:φ20、Amplitude:100%、発振周波数:19.5KHz、振幅:約31μm)を用いて3分間、分散処理を行い、測定サンプルを調製した。その後、粒子径分布測定装置を用いて粒度を測定した。
次に、本実施形態のβ型サイアロン蛍光体の製造方法について説明する。
本実施形態のβ型サイアロン蛍光体の製造方法の一例は、β型サイアロン蛍光体を準備する準備工程、およびβ型サイアロン蛍光体を表面にアルカリ処理を施すアルカリ処理工程、を含む。
上記β型サイアロン蛍光体を準備する準備工程は、公知の方法を使用してもよいが、例えば、ケイ素、アルミニウム及びユウロピウムを含有する原料粉末を混合し、その混合物を焼成して焼成物を得る焼成工程と、焼成工程後の焼成物に、さらに解砕粉砕処理、分級処理、アニール処理及び酸処理等の後処理工程の少なくとも一以上を有してもよい。後処理工程は、任意の順で行うことができる。
なお、アルカリ処理工程は、上記の分級処理の後に実施してもよいが、酸処理の後に実施してもよい。
焼成工程の焼成温度は、例えば、1800℃以上2100℃以下、好ましくは1850℃以上2050℃以下である。焼成温度を上記下限値以上とすることで、発光強度を向上させることができる。焼成工程は複数回実施しても良い。また、2回目以降の焼成を行う際には原料の一部を加えても良い。
アニール工程中の雰囲気温度は、たとえば、1100℃以上1800℃以下、好ましくは1300℃以上1750℃以下である。アニール温度を上記下限値以上とすることで、発光強度を向上できる。アニール温度を上記上限値以下とすることで、結晶性の改善効果が得られ、発光ピーク強度が低下することを抑制できる。
アニール工程中の雰囲気ガスは、アルゴンガスなどの周期律表第18属元素の希ガスや窒素ガス等の不活性ガス、水素ガス、または水素ガス及びアルゴンガスの混合ガスのいずれかより選択される。
アニール工程での特性向上効果は、減圧から加圧の幅広い雰囲気圧力で発揮されるが、1kPaよりも低い圧力は、β型サイアロン蛍光体の分解が促進されるため、好ましくない。また、雰囲気を加圧することにより、アニール効果を発現させるために必要な他の条件を広げる(低温化、時間短縮)ことができるが、雰囲気圧力があまりに高くても、アニール効果が頭打ちになるとともに、特殊で高価なアニール装置が必要となるため、量産性を考慮すると、好ましい雰囲気圧力は10MPa以下であり、より好ましくは1MPa未満である。
アニール工程における処理時間は、あまりに短いと結晶性向上効果が低く、あまりに長いとアニール効果が頭打ちになるため、1時間以上24時間以下であり、好ましくは2時間以上10時間以下である。
また、本実施形態の製造方法は、アニール工程後に、β型サイアロン蛍光体を酸溶液に浸す酸処理工程を含んでもよい。これにより、蛍光体の特性が更に向上できる。
酸処理工程は、酸溶液にβ型サイアロン蛍光体を浸し、フィルター等でβ型サイアロン蛍光体と酸を分離し、分離されたβ型サイアロン蛍光体を水洗する工程を有することが好ましい。酸処理によってアニール工程の際に生じるβ型サイアロン蛍光体結晶の分解物の除去をすることができ、これにより蛍光特性が向上する。酸処理に用いられる酸としては、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、塩酸、又は、硝酸の単体又は混合体が挙げられ、分解物の除去に適したフッ化水素酸と硝酸とからなる混酸が好ましい。酸処理時の酸溶液の温度は、室温でも構わないが、酸処理の効果を高めるためには、加熱して50℃以上90℃以下にすることが好ましい。
以上により、ユーロピウムが固溶したβ型サイアロン蛍光体を得ることができる。
なお、必要に応じて公知の工程を追加してもよい。例えば、破砕・解砕処理、精製処理、乾燥処理、篩・分級処理などの後処理を行ってもよい。
篩・分級処理などの粒径を調整する工程は、焼成工程後、アニール工程後、酸処理工程後のいずれの時点で行ってもよい。
アルカリ処理工程は、β型サイアロン蛍光体を表面に固体塩基性物質を付着させた状態で加熱する。
塩基性物質は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、周期表第2属元素の水酸化物、周期表第2属元素の酸化物、四級アンモニウムなどが挙げられる。
塩基性物質の一例は、NaOH、KOH、LiOH、CaO、SrO、NaCO、およびNaHCOからなる群から選ばれる一または二以上を含む。
固体塩基性物質には、室温で固体の塩基性物質を使用してもよく、塩基性物質を水などの溶媒に溶解させた塩基性溶液を、50℃未満の温度で溶媒を除去して乾燥させたものを使用してもよい。例えば、50℃未満で真空乾燥させてもよい。
表面に固体塩基性物質を付着するには、例えば、β型サイアロン蛍光体の粉末と、室温で固体の塩基性物質とを混合してもよい。
また、β型サイアロン蛍光体の粉末、塩基性物質、および水を含む混合溶液を、50℃未満の温度で真空乾燥させて、水を塩基性物質中から除去して、β型サイアロン蛍光体の表面に固体塩基性物質を付着させてもよい。50℃未満の比較的低温において水などの溶媒を除去することで、β型サイアロン蛍光体の表面のSi-OH基を抑制できる。
アルカリ処理工程中、水が実質的に存在しない環境下で、β型サイアロン蛍光体を表面に固体塩基性物質を付着させた状態で加熱する。水が実質的に存在しないとは、固体塩基性物質の外部の、暴露雰囲気に含まれる水分(湿気)を許容する、または、固体塩基性物質に含まれる水和物中の水分を許容する。
アルカリ処理工程は、β型サイアロン蛍光体を、室温から加熱することができる。
室温とは、例えば、23℃または25℃としてもよい。
なお、加熱温度の上限は、特に限定されないが、たとえば、400℃以下でもよく、450℃以下でもよい。
アルカリ処理工程において、室温から、例えば、0.1℃/分以上100℃/分、好ましくは5℃/分以上50℃/分、より好ましくは1℃/分以上30℃/分の昇温速度にて加熱してもよい。
アルカリ処理工程において、加熱雰囲気は、例えば、大気雰囲気下、真空雰囲気下、または希ガス雰囲気、窒素などの不活性ガス雰囲気下であってよい。
本実施形態のβ型サイアロン蛍光体の製造方法は、アルカリ処理工程の後、得られたβ型サイアロン蛍光体を水洗する工程をさらに含んでもよい。
水洗に使用した水は、公知の方法により、乾燥して除去する。
アルカリ処理工程の後、必要に応じて、破砕・解砕処理、精製処理、乾燥処理、篩・分級処理などの後処理を行ってもよい。
[波長変換体、発光部材]
本実施形態の発光部材は、発光素子と、発光素子から照射された光を変換して発光する波長変換体と、を備え、波長変換体が、上記のβ型サイアロン蛍光体を有するものである。
本実施形態の波長変換部材の製造方法の一例は、β型サイアロン蛍光体の製造方法で得られたβ型サイアロン蛍光体を用いて、波長変換部材を製造する工程を含む。
本実施形態の波長変換体は、発光素子から照射された光を変換して発光するものであって、上記β型サイアロン蛍光体を有するものである。波長変換体は、β型サイアロン蛍光体からのみで構成されてもよく、β型サイアロン蛍光体が分散した母材を含んでもよい。母材としては、公知のものを使用できるが、例えば、ガラス、樹脂、無機材料などが挙げられる。
上記波長変換体は、その形状が特に限定されず、プレート状に構成されてもよく、発光素子の一部または発光面全体を封止するように構成されてもよい。
[発光装置]
本実施形態に係る発光装置は、発光光源(発光素子)と上記波長変換体とを含む発光部材を備える。
発光光源と波長変換体とを組み合わせることによって高い発光強度を有する光を発光させることができる。
本実施形態の発光装置の製造方法の一例は、発光光源の発光面に、波長変換部材の製造方法で得られた波長換部材を搭載する工程を含む。
発光装置の一例は、LEDパッケージが挙げられる。LEDパッケージは、発光光源(LEDチップ)と、発光光源を搭載する基板(リードフレーム)と、発光光源を被覆する波長変換体と、を備えてもよい。LEDチップは、近紫外から青色光の波長として300nm~500nmの光を発生してよい。LEDチップとリードフレームとはボンディングワイヤで電気的に接続されてよい。波長変換体は、合成樹脂製のキャップで覆われていてよい。
上記波長変換体は、上記β型サイアロン蛍光体を含むものであればよいが、この他に、他の蛍光体を含んでもよい。他の蛍光体として、例えば、α型サイアロン蛍光体、KSF蛍光体、CASN蛍光体、SCASN蛍光体、YAG蛍光体をさらに含んでもよい。これらの蛍光体は一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記β型サイアロン蛍光体を用いた発光装置の場合、発光光源として、300nm以上500nm以下の波長を含有している近紫外光や可視光を励起源として照射することで、520nm以上560nm以下の範囲の波長にピークを持つ緑色の発光特性を有する。このため、発光光源として近紫外LEDチップ又は青色LEDチップとβ型サイアロン蛍光体と、さらに赤色発光蛍光体、青色発光蛍光体、黄色発光蛍光体又は橙発光蛍光体をひとつもしくは複数組み合わせることによって、白色光にすることができる。
一例として、緑色を示すβ型サイアロン蛍光体と、赤色を示すKSF系蛍光体とを組み合わせて用いることによって、高演色TV等に適したバックライト用LED等に好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
<β型サイアロン蛍光体の作製>
(比較例1)
(1)容器に、窒化ケイ素(Si)が98.4質量%、窒化アルミニウム(AlN)が1.0質量%、及び酸化ユウロピウムム(Eu)が0.6質量%となるように各原材料を測り取り、V型混合機(筒井理化学機械株式会社製)によって混合し、混合物を得た。得られた混合物を目開き250μmの篩を全通させ凝集物を取り除くことで、原料組成物を得た。篩を通らない凝集物は粉砕し、篩を通るように粒径を調整した。
(2)蓋付き円筒型窒化ホウ素容器(デンカ株式会社製、窒化ホウ素(商品名:デンカ ボロンナイトライド N-1)を主成分とする成型品、内径:10cm、高さ:10cm)に、上述のとおり調製した原料組成物を200g測り取った。その後、この容器を、カーボンヒーターを備える電気炉中に配置し、窒素ガス雰囲気下(圧力:0.90MPaG)で2000℃まで昇温し、2000℃の加熱温度で、10時間加熱を行った(焼成工程)。加熱後、上記容器内で、緩く凝集した塊状となった試料を乳鉢に採り解砕した。解砕後、目開きが250μmの篩に通して粉末状の第一焼成体を得た。
(3)次に、上記第一焼成体を円筒型窒化ホウ素容器に充填して、この容器を、カーボンヒーターを備える電気炉内に配置した。アルゴンガス雰囲気下(圧力:0.025MPaG)で1450℃まで昇温し、1450℃の加熱温度で、5時間加熱を行った(アニール工程)。加熱後、上記容器内で粒子が緩く凝集した塊状物を乳鉢で解砕し、250μmの篩に通すことによって粉体を得た。
(4)次に、(3)で得られた粉体を、フッ化水素酸(濃度:50質量%)及び硝酸(濃度:70質量%)の混酸(フッ化水素酸と硝酸とを体積比で1:1となるように混合したもの)に添加し、75℃の温度下で撹拌させながら30分間酸処理を行った。酸処理後、撹拌を終了し粉体を沈殿させて、上澄み及び酸処理で精製した微粉を除去した。その後、蒸留水を更に加え再度撹拌した。撹拌を終了し粉体を沈殿させ上澄み及び微粉を除去した。かかる操作を水溶液のpHが8以下で、上澄み液が透明になるまで繰り返し、得られた沈殿物をろ過、乾燥、目開きが250μmの篩を全通することで、比較例1のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(比較例2)
比較例1と同様にして(4)で得られたβ型サイアロン蛍光体の粉末を、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で昇温させ、105℃で10時間加熱し(加熱工程)、目開きが250μmの篩を全通させて、比較例2のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(比較例3)
上記の加熱工程における加熱温度を175℃、加熱時間を1時間に変更した以外、比較例2と同様にして、比較例3のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(比較例4)
比較例1と同様にして(4)で得られたβ型サイアロン蛍光体の粉末を、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液に混合した後、この混合溶液を、ろ過し、ろ過後に真空雰囲気下、加熱せずに、30℃、1日間保持した後、水洗し、表面に残存した塩基性物質を除去し、乾燥させ、および目開きが250μmの篩に通すことによって、比較例4のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(比較例5)
比較例1と同様にして(4)で得られたβ型サイアロン蛍光体の粉末を、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液に混合した後、この混合溶液を、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で昇温させ、100℃で1時間加熱した後(加熱工程)、水洗し、表面に残存した塩基性物質を除去し、乾燥させ、および目開きが250μmの篩に通すことによって、比較例5のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(比較例6)
上記の加熱工程における加熱温度を200℃に変更した以外、比較例5と同様にして、比較例6のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(比較例7)
上記の加熱工程における加熱温度を300℃に変更した以外、比較例5と同様にして、比較例7のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(比較例8)
比較例1と同様にして(4)で得られたβ型サイアロン蛍光体の粉末を、40質量%の塩化ナトリウム水溶液(非塩基性物質の水溶液)に混合した後、この混合溶液を、ろ過し、その残渣物に45℃の真空乾燥を施して得られた乾燥粉末を用いて、昇温速度10℃/分の条件で昇温させ、300℃で1時間加熱した後(加熱工程)、水洗し、乾燥させ、および目開きが250μmの篩に通すことによって、比較例8のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(比較例9)
比較例1と同様にして(4)で得られたβ型サイアロン蛍光体の粉末を、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液に混合した後、この混合溶液を、大気雰囲気下、70℃、3時間で加熱した後、スラリー状の残渣物を、連続して、200℃、2時間加熱した後(加熱工程)、水洗し、乾燥させ、および目開きが250μmの篩に通すことによって、比較例9のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
なお、70℃、3時間で加熱した後のスラリー状の残渣物中には、水が残存することが確認された。
(実施例1)
比較例1と同様にして(4)で得られたβ型サイアロン蛍光体の粉末を、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液に混合した後、この混合溶液を、ろ過し、その残渣物に45℃の真空乾燥を施して得られた乾燥粉末を用いて、引き続き、45℃で10時間、真空雰囲気下で加熱した後(アルカリ処理工程)、水洗し、乾燥させ、および目開きが250μmの篩に通すことによって、実施例1のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(実施例2)
アルカリ処理工程において、「45℃で10時間、真空雰囲気下で加熱」に代えて、得られた乾燥粉末を用いて、大気雰囲気下、25℃から昇温速度10℃/分の条件で昇温させて100℃で1時間加熱した以外、実施例1と同様にして、実施例2のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(実施例3~16および19)
アルカリ処理工程において、表1に記載の条件に変更した以外、実施例2と同様にして、実施例3~16および19ユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
(実施例17および18)
粉末状のNaCO、またはNaHCOと、比較例1と同様にして(4)で得られたβ型サイアロン蛍光体の粉末とを混合して粉末状の混合物(乾燥粉末)を得て、得られた粉末状の混合物を、大気雰囲気下、25℃から昇温速度10℃/分の条件で昇温させて300℃で1時間加熱した後、水洗し、乾燥させ、および目開きが250μmの篩に通すことによって、実施例17および18のユウロピウム賦活β型サイアロン蛍光体を得た。
Figure 2023089388000001
各実施例・各比較例のβ型サイアロン蛍光体について、以下の特性および評価項目を評価した。
(熱劣化試験前後にける拡散反射率)
β型サイアロン蛍光体の拡散反射率は、日本分光社製紫外可視分光光度計(V-550)に積分球装置(ISV-469)を取り付けた装置で測定した。
標準反射板(スペクトラロン)でベースライン補正を行い、β型サイアロン蛍光体を充填した固体試料ホルダーをセットし、500~850nmの波長範囲で拡散反射率の測定を行った。
500nmにおける拡散反射率(%)を測定した。
また、β型サイアロン蛍光体について、蓋つきの磁製のるつぼ(ケニス製、容量30mL)に4g入れ、蓋を閉じ、大気雰囲気下、250℃で5時間(昇温10℃/min)加熱処理(熱劣化試験)を行った後、目開き250μmの篩を全通してから、同様にして、500nmにおける拡散反射率(%)を測定した。
表1には、熱劣化試験前、熱劣化試験後の、500nmにおける拡散反射率(%)を示した。
500nm拡散反射率に関する各測定値は、測定装置のメーカー、製造ロットナンバーなどが変わると値が変動する場合がある。したがって、各種測定値としては、本明細書に記載の測定方法によって測定する値を採用する。しかし、測定装置のメーカー、製造ロットナンバー等を変更する場合は、β型サイアロン蛍光体の標準試料による測定値を基準値として、各測定値の補正を行うこともできる。
なお、β型サイアロン蛍光体の標準試料(株式会社サイアロン製、NIMS Standard Green lot No.NSG1301)について、上述の測定方法に準拠して、500nm拡散反射率を測定したところ、500nm拡散反射率は80.4%であった。
以上より、実施例1~19のβ型サイアロン蛍光体は、比較例1~9と比べて、熱劣化試験後における拡散反射率が高いことから、耐熱劣化性に優れる結果を示した。
<信頼性試験>
各実施例のアルカリ処理蛍光体粒子および各比較例の蛍光体粒子を搭載したLEDパッケージの信頼性試験を以下の要領で評価した。信頼性試験によって得られた結果を図2に示す。
LEDパッケージは図1に示した発光装置の構造に準じたものを用いた。
アルカリ処理蛍光体粒子または蛍光体粒子のLEDパッケージへの搭載は、ケース凹型の底部に設置されたLED上面の電極とリードフレームとをワイヤボンディングした後、液体状のシリコーン樹脂(KER6150、信越化学工業社製)に混合したアルカリ処理蛍光体粒子または蛍光体粒子をマイクロシリンジからケース凹部に注入して行った。蛍光体+樹脂中の蛍光体濃度は10.5wt%。アルカリ処理蛍光体粒子または蛍光体粒子の搭載後、常温低湿度環境下(マックドライMCU-201A、エクアールシー社製)で15時間静置し、その後150℃1時間で硬化させた。LEDは、発光ピーク波長448nmで、チップ1.0mm×0.5mmの大きさのものを用いた。
上述の要領にて得られた、各実施例のアルカリ処理蛍光体粒子および各比較例の蛍光体粒子を搭載したLEDパッケージについて、光束を測定し、初期値L0とした。また、85℃、85%RHで300mAで通電点灯させながら250時間放置後、取り出して室温で乾燥した際の光束L1を測定し、信頼係数M(=L1/L0×100)を算出した。信頼性試験の合格条件は、信頼係数Mが80%以上である。これは高信頼性のアルカリ処理蛍光体粒子でなくては達成できない値である。
実施例3および実施例4のアルカリ処理蛍光体粒子を搭載したLEDパッケージでは、上記合格条件を満たすことが確認された。
10 発光装置
20 発光素子
30 ヒートシンク
40 ケース
50 第1リードフレーム
60 第2リードフレーム
70 ボンディングワイヤ
72 ボンディングワイヤ
80 複合体
82 アルカリ処理蛍光体粒子
84 封止材

Claims (8)

  1. ケイ素、アルミニウム及びユウロピウムを含有する原料粉末を混合し、混合物を焼成して、ユーロピウムが固溶したβ型サイアロン蛍光体を準備する準備工程と、
    前記β型サイアロン蛍光体を、表面に固体塩基性物質を付着させた状態で加熱する、アルカリ処理工程と、
    を含む、β型サイアロン蛍光体の製造方法。
  2. 請求項1のβ型サイアロン蛍光体の製造方法であって、
    前記アルカリ処理工程は、室温から加熱するものである、β型サイアロン蛍光体の製造方法。
  3. 請求項2に記載のβ型サイアロン蛍光体の製造方法であって、
    前記アルカリ処理工程において、室温から0.1℃/分以上100℃/分の昇温速度にて加熱するものである、β型サイアロン蛍光体の製造方法。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のβ型サイアロン蛍光体の製造方法であって、
    前記アルカリ処理工程において、加熱雰囲気は、大気雰囲気下、真空雰囲気下、希ガス雰囲気、または窒素ガス雰囲気下である、β型サイアロン蛍光体の製造方法。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のβ型サイアロン蛍光体の製造方法であって、
    前記アルカリ処理工程の後、得られた前記β型サイアロン蛍光体を水洗する工程をさらに含む、β型サイアロン蛍光体の製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のβ型サイアロン蛍光体の製造方法であって、
    前記固体塩基性物質は、NaOH、KOH、LiOH、CaO、SrO、NaCO、およびNaHCOからなる群から選ばれる一または二以上を含む、β型サイアロン蛍光体の製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のβ型サイアロン蛍光体の製造方法で得られたβ型サイアロン蛍光体を用いて、波長変換部材を製造する工程を含む、波長変換部材の製造方法。
  8. 発光光源の発光面に、請求項7に記載の波長変換部材の製造方法で得られた波長変換部材を搭載する工程を含む、発光装置の製造方法。
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