JP2023088235A - 電力変換装置 - Google Patents

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是呂久 西澤
Koroku Nishizawa
剛 長野
Takeshi Nagano
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Abstract

【課題】本発明は、専用回路を用いずに動作開始時の過電流の発生を防止することができる電力変換装置を提供することを目的とする。【解決手段】電力変換装置1に備えられた初期充電信号生成部122は、二次側ブリッジ回路113を初期充電期間において制御するための被監視回路制御信号Smc21~Smc24と、一次側ブリッジ回路112を初期充電期間において制御するための不監視回路制御信号Snm11~Snm14とを生成する。不監視回路制御信号Snm11~Snm14は、一次側ブリッジ回路112が出力する正極性出力電圧及び負極性出力電圧のそれぞれの電圧時間積の和が零となるようにパルス幅が設定されたパルス信号である。【選択図】図1

Description

本発明は、スイッチ素子を有する電力変換装置に関する。
双方向に電力を供給可能な電力変換装置として、DAB(Dual Active B ridge)コンバータ等の双方向直流/直流(以下、「DC/DC」と略記する場合がある)コンバータが知られている(例えば、特許文献1及び2、並びに非特許文献1参照)。
特開2017-118806号公報 国際公開第2017/98763号
Shigenori Inoue, Hirofumi Akagi: "A Bidirectional DC-DC Converter for an Energy Storage System With Galvanic Isolation", IEEE Transactions on Power Electronics, Vol.22,No.6,pp.2299-2306(2007)
変圧器と、変圧器による絶縁で電気的に隔てられた2つのコンデンサと、直流を交流に変換するためのスイッチ素子を有する半導体素子とを備えたDC/DCコンバータでは、2つのコンデンサ間に電圧差がある場合、動作開始時(すなわち運転開始時)に半導体素子などの部品に過電流が生じる可能性がある。このため、DC/DCコンバータは、動作開始時に当該過電流が半導体素子などの部品に発生して故障する可能性があるという問題を有している。
特許文献1及び2には、このような過電流を防止するために所定の回路を設ける技術が開示されている。しかしながら、当該技術は、DC/DCコンバータが大型化するという問題を有している。また、非特許文献1には、所定のパルス信号を用いて動作開始時の初期充電を実行する技術が開示されている。しかしながら、当該技術は、トランス電流に直流電流が重畳するという問題を有している。
本発明の目的は、専用回路を用いずに動作開始時の過電流の発生を防止することができる電力変換装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一態様による電力変換装置は、
絶縁トランス、前記絶縁トランスの一次側に設けられて少なくとも2つのスイッチ素子を有する一次側ブリッジ回路及び前記絶縁トランスの二次側に設けられて少なくとも2つのスイッチ素子を有する二次側ブリッジ回路を有する絶縁型直流/直流コンバータと、
前記一次側ブリッジ回路及び前記二次側ブリッジ回路の少なくともの一方の直流電圧を監視する直流電圧監視部と、
前記直流電圧監視部が監視する前記直流電圧が動作開始時の電圧から基準電圧よりも高くなるまでの初期充電期間において前記絶縁型直流/直流コンバータを制御するための初期充電用制御信号を生成する初期充電信号生成部と、
を備え、
前記初期充電信号生成部は、前記一次側ブリッジ回路及び前記二次側ブリッジ回路のうちの前記直流電圧監視部に前記直流電圧が監視される被監視ブリッジ回路を前記初期充電期間において制御するための被監視回路制御信号と、前記一次側ブリッジ回路及び前記二次側ブリッジ回路のうちの前記被監視ブリッジ回路ではない不監視ブリッジ回路を前記初期充電期間において制御するための不監視回路制御信号とを前記初期充電用制御信号として生成し、
前記不監視回路制御信号は、前記不監視ブリッジ回路が出力する正極性出力電圧及び負極性出力電圧のそれぞれの電圧時間積の和が零となるようにパルス幅が設定されたパルス信号である。
本開示の一態様によれば、専用回路を用いずに動作開始時の過電流の発生を防止することができる。
本発明の一実施形態による電力変換装置の概略構成の一例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による電力変換装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。 従来の電力変換装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。 本発明の一実施形態による電力変換装置の他の動作の一例を示すタイミングチャートである。 本発明の一実施形態による電力変換装置の他の動作の一例を示すタイミングチャートである。 本発明の第二実施形態による電力変換装置の概略構成の一例を示すプロック図である。 本発明の第二実施形態による電力変換装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。 本発明の第二実施形態による電力変換装置の他の動作の一例を示すタイミングチャートである。
本発明の各実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本発明の一実施形態による電力変換装置について図1から図5を用いて説明する。まず、本実施形態による電力変換装置の概略構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による電力変換装置1の概略構成の一例を示すブロック図である。図1では、理解を容易にするため、電力変換装置1に接続された一次側装置2及び二次側装置3が併せて図示されている。
(電力変換装置の概略構成)
電力変換装置1は、絶縁型DC/DCコンバータ11を備え、一次側に接続された一次側装置2及び二次側に接続された二次側装置3との間で、双方向に電力を供給することができる。
図1に示すように、一次側装置2及び二次側装置3は、電力変換装置1に接続される装置である。一次側装置2及び二次側装置3のそれぞれは、電力を出力する機能及び電力を受け取る機能を発揮してよい。例えば、一次側装置2及び二次側装置3の一方(一例として一次側装置2)は、蓄電装置であってよい。一次側装置2が蓄電装置の場合、一次側装置2は、一次側装置2及び二次側装置3の他方(一例として二次側装置3)から電力変換装置1を介して伝送される電力を受け取って充電する。一次側装置2は、充電した電力を必要に応じて電力変換装置1を介して二次側装置3に供給してよい。また例えば、一次側装置2及び二次側装置3の一方(一例として二次側装置3)は、モータ等の駆動装置であってよい。二次側装置3が駆動装置である場合、二次側装置3は、一次側装置2及び二次側装置3の他方(一例として一次側装置2)から供給される電力を用いて駆動される。二次側装置3は、回生動作中に回生して得られる電力を、電力変換装置1を介して一次側装置2に供給してよい。また、一次側装置2及び二次側装置3のそれぞれは、例えば太陽光発電装置及び蓄電装置を組み合わせたシステム等であってもよい。
図1に示すように、電力変換装置1は、絶縁トランス111、絶縁トランス111の一次側に設けられてトランジスタQ11,Q12,Q13,Q14(少なくとも2つのスイッチ素子の一例)を有する一次側ブリッジ回路112及び絶縁トランス111の二次側に設けられてトランジスタQ21,Q22,Q23,Q24(少なくとも2つのスイッチ素子の一例)を有する二次側ブリッジ回路113を有する絶縁型DC/DCコンバータ11を備えている。
絶縁トランス111は、一次巻線及び二次巻線を有している。絶縁トランス111の一次巻線には、一次側ブリッジ回路112が電気的に接続され、絶縁トランス111の二次巻線には、二次側ブリッジ回路113が電気的に接続されている。絶縁トランス111の一次巻線及び二次巻線の巻線比は、一次側装置2及び二次側装置3の定格電圧の比に応じて決定されてよい。本実施形態では、説明の便宜上、絶縁トランス111の巻線比は1:1であるとする。
電力変換装置1は、一次側ブリッジ回路112の正極側に接続された一次側正極ラインP1と、一次側ブリッジ回路112の負極側に接続された一次側負極ラインN1とを有している。一次側正極ラインP1は、一次側装置2の正極側端子に接続されている。一次側負極ラインN1は、一次側装置2の負極側端子に接続されている。これにより、一次側ブリッジ回路112は、一次側装置2との間で電力を授受することができ、絶縁トランス111の一次巻線との間で電力を授受することができる。
図1に示すように、一次側ブリッジ回路112は、直列に接続されたトランジスタQ11及びトランジスタQ12(少なくとも2つのスイッチ素子の一例)と、直列に接続されたトランジスタQ13及びトランジスタQ14(少なくとも2つのスイッチ素子の一例)とを有している。トランジスタQ11,Q12,Q13,Q14(以下、「トランジスタQ11~Q14」と称する場合がある)は、例えば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-EffectTransistor(MOSFET))で構成されている。トランジスタQ11及びトランジスタQ12と、トランジスタQ13及びトランジスタQ14とは、並列に接続されている。
一次側ブリッジ回路112は、トランジスタQ11及びトランジスタQ12と並列に接続されたコンデンサC1を有している。コンデンサC1は、トランジスタQ13及びトランジスタQ14とも並列に接続されている。コンデンサC1は、トランジスタQ11及びトランジスタQ12と一次側装置2との間に配置されている。コンデンサC1の一方の電極は、一次側正極ラインP1に接続され、コンデンサC1の他方の電極は、一次側負極ラインN1に接続されている。コンデンサC1は、一次側ブリッジ回路112及び一次側装置2の間で授受される電圧及び電流を平滑化する平滑コンデンサとしての機能を発揮する。
一次側ブリッジ回路112は、トランジスタQ11に逆並列に接続された還流ダイオードD11と、トランジスタQ12に逆並列に接続された還流ダイオードD12と、トランジスタQ13に逆並列に接続された還流ダイオードD13と、トランジスタQ14に逆並列に接続された還流ダイオードD14とを有している。
トランジスタQ11のドレインは、還流ダイオードD11のカソード、トランジスタQ13のドレイン及び還流ダイオードD13のカソード端子に接続されている。トランジスタQ11のソースは、還流ダイオードD11のアノード、トランジスタQ12のドレイン及び還流ダイオードD12のカソードに接続されている。トランジスタQ11のゲートは、一次側ブリッジ回路112に設けられたゲート駆動ユニット(GDU)112a(詳細は後述)に接続されている。これにより、トランジスタQ11のゲートにはゲート駆動ユニット112aから出力されるゲート信号Sg11が入力され、トランジスタQ11のオン(導通)/オフ(非導通)が制御される。
トランジスタQ12のソースは、還流ダイオードD12のアノード、トランジスタQ14のソース及び還流ダイオードD14のアノードに接続されている。トランジスタQ12のゲートは、ゲート駆動ユニット112aに接続されている。これにより、トランジスタQ12のゲートにはゲート駆動ユニット112aから出力されるゲート信号Sg12が入力され、トランジスタQ12のオン(導通)/オフ(非導通)が制御される。
トランジスタQ13のソースは、還流ダイオードD13のアノード、トランジスタQ14のドレイン及び還流ダイオードD14のカソードに接続されている。トランジスタQ13のゲートは、ゲート駆動ユニット112aに接続されている。これにより、トランジスタQ13のゲートにはゲート駆動ユニット112aから出力されるゲート信号Sg13が入力され、トランジスタQ13のオン(導通)/オフ(非導通)が制御される。
トランジスタQ14のゲートは、ゲート駆動ユニット112aに接続されている。これにより、トランジスタQ14のゲートにはゲート駆動ユニット112aから出力されるゲート信号Sg14が入力され、トランジスタQ14のオン(導通)/オフ(非導通)が制御される。
トランジスタQ11のドレイン、還流ダイオードD11のカソード、トランジスタQ13のドレイン及び還流ダイオードD13のカソードは、一次側正極ラインP1に接続されている。コンデンサC1の一方の電極は、一次側正極ラインP1を介して、トランジスタQ11のドレイン、還流ダイオードD11のカソード、トランジスタQ13のドレイン及び還流ダイオードD13のカソードに接続されている。トランジスタQ12のソース、還流ダイオードD12のアノード、トランジスタQ14のソース及び還流ダイオードD14のアノードは、一次側負極ラインN1に接続されている。コンデンサC1の他方の電極は、一次側負極ラインN1を介して、トランジスタQ12のソース、還流ダイオードD12のアノード、トランジスタQ14のソース及び還流ダイオードD14のアノードに接続されている。これにより、一次側装置2から出力されてコンデンサC1によって平滑化された電圧がトランジスタQ11~Q14によって構成されるフルブリッジ回路に入力される。
一次側ブリッジ回路112は、トランジスタQ11のソース、還流ダイオードD11のアノード、トランジスタQ12のドレイン及び還流ダイオードD12のカソードに接続された一端子と、絶縁トランス111の一次巻線の一端子に接続された他端子とを有するインダクタL1を有している。つまり、インダクタL1の一端子は、トランジスタQ11のソース及び還流ダイオードD11のアノードと、トランジスタQ12のドレイン及び還流ダイオードD12のカソードとの接続部a1に接続されている。
絶縁トランス111の一次巻線の他端子は、トランジスタQ13のソース、還流ダイオードD13のアノード、トランジスタQ14のドレイン及び還流ダイオードD14のカソードに接続されている。つまり、絶縁トランス111の一次巻線の他端子は、トランジスタQ13のソース及び還流ダイオードD13のアノードと、トランジスタQ14のドレイン及び還流ダイオードD14のカソードとの接続部b1に接続されている。したがって、インダクタL1及び絶縁トランス111の一次巻線は、接続部a1及び接続部b1の間で、換言するとトランジスタQ11~Q14で構成されるフルブリッジ回路に直列に接続されている。
図1に示すように、二次側ブリッジ回路113は、一次側ブリッジ回路112と同様の構成を有している。すなわち、二次側ブリッジ回路113は、一次側ブリッジ回路112を構成する各構成要素、一次側ブリッジ回路112に接続される各構成要素及び入力さるゲート信号を以下のように矢印の左から右に読み替えた場合の一次側ブリッジ回路112と同様の構成を有し、同様の機能を発揮するようになっている。
トランジスタQ11→トランジスタQ21
トランジスタQ12→トランジスタQ22
トランジスタQ13→トランジスタQ23
トランジスタQ14→トランジスタQ24
還流ダイオードD11→還流ダイオードD21
還流ダイオードD12→還流ダイオードD22
還流ダイオードD13→還流ダイオードD23
還流ダイオードD14→還流ダイオードD24
接続部a1→接続部a2
接続部b1→接続部b2
コンデンサC1→コンデンサC2
インダクタL1→インダクタL2
一次側正極ラインP1→二次側正極ラインP2
一次側負極ラインN1→二次側負極ラインN2
絶縁トランス111の一次巻線→絶縁トランス111の二次巻線
ゲート駆動ユニット112a→ゲート駆動ユニット113a
ゲート信号Sg11→ゲート信号Sg21
ゲート信号Sg12→ゲート信号Sg22
ゲート信号Sg13→ゲート信号Sg23
ゲート信号Sg14→ゲート信号Sg24
一次側装置2→二次側装置3
トランジスタQ21,Q22,Q23,Q24(以下、「トランジスタQ21~Q24」と称する場合がある)は、トランジスタQ11~Q14と同様に、例えばMOSFETで構成されている。
図1に示すように、電力変換装置1は、一次側ブリッジ回路112及び二次側ブリッジ回路113の少なくともの一方の直流電圧を監視する直流電圧監視部123を備えている。本実施形態では、直流電圧監視部123は、二次側ブリッジ回路113の直流電圧を監視するようになっている。当該直流電圧は、コンデンサC2に印加されるコンデンサ電圧Vc2である。
直流電圧監視部123は、二次側正極ラインP2に接続された比較器123aと、絶縁型DC/DCコンバータ11の初期充電期間の基準となる基準電圧を生成する基準電圧生成部123bとを有している。比較器123aの反転入力端子(-)は、二次側正極ラインP2に接続され、比較器123aの非反転入力端子(+)は、基準電圧生成部123bに接続されている。比較器123aの出力端子は、選択部124,125(詳細は後述)に接続されている。
基準電圧生成部123bは、例えば直流電源で構成されている。基準電圧生成部123bの正極側端子は、比較器123aの非反転入力端子(+)に接続されている。基準電圧生成部123bの負極側端子は、基準電位端子(例えばグランド端子)に接続されている。基準電圧生成部123bで生成される基準電圧Vrは、二次側ブリッジ回路113に印加される印加電圧の定格電圧に基づいて設定される。本実施形態では、基準電圧Vrは、当該定格電圧の例えば90%の電圧に設定されている。
直流電圧監視部123は、比較器123aによって二次側正極ラインP2を介して二次側ブリッジ回路113の直流電圧(すなわちコンデンサC2のコンデンサ電圧Vc2)と基準電圧Vrを比較する。比較器123aは、コンデンサ電圧Vc2が基準電圧Vr以下の場合には電圧レベルがハイレベルの電圧を出力する。一方、比較器123aは、コンデンサ電圧Vc2が基準電圧Vrよりも高い場合には電圧レベルがローレベルの電圧を出力する。直流電圧監視部123は、比較器123aから出力される電圧を監視信号Smとして選択部124,125に出力する。
図1に示すように、電力変換装置1は、直流電圧監視部123が監視するコンデンサ電圧Vc2(直流電圧の一例)が初期充電開始時の電圧から基準電圧Vrよりも高くなるまでの初期充電期間において絶縁型DC/DCコンバータ11を制御するための初期充電用制御信号Sec11,Sec12,Sec13,Sec14,Sec21,Sec22,Sec23,Sec24を生成する初期充電信号生成部122を備えている。初期充電信号生成部122は、一次側ブリッジ回路112及び二次側ブリッジ回路113のうちの直流電圧監視部123にコンデンサ電圧Vc2が監視される二次側ブリッジ回路(被監視ブリッジ回路の一例)113を初期充電期間において制御するための被監視回路制御信号Smc21,Smc22,Smc23,Smc24と、一次側ブリッジ回路112及び二次側ブリッジ回路113のうちの被監視ブリッジ回路(本実施形態では二次側ブリッジ回路113)ではない一次側ブリッジ回路(不監視ブリッジ回路の一例)112を初期充電期間において制御するための不監視回路制御信号Snm11,Snm12,Snm13,Snm14とを初期充電用制御信号Sec11,Sec12,Sec13,Sec14及び初期充電用制御信号Sec21,Sec22,Sec23,Sec24として生成する。
本実施形態では、二次側ブリッジ回路113が被監視ブリッジ回路の一例に相当し、一次側ブリッジ回路112が不監視ブリッジ回路の一例に相当する。このため、初期充電期間において二次側ブリッジ回路113に入力される被監視回路制御信号Smc21,Smc22,Smc23,Smc24が初期充電用制御信号Sec21,Sec22,Sec23,Sec24となる。一方、初期充電期間において一次側ブリッジ回路112に入力される不監視回路制御信号Snm11,Snm12,Snm13,Snm14が初期充電用制御信号Sec11,Sec12,Sec13,Sec14となる。
以下、初期充電用制御信号Sec11,Sec12,Sec13,Sec14を「初期充電用制御信号Sec11~Sec14」と略記し、初期充電用制御信号Sec21,Sec22,Sec23,Sec24を「初期充電用制御信号Sec21~Sec24」と略記する場合がある。また、不監視回路制御信号Snm11,Snm12,Snm13,Snm14を「不監視回路制御信号Snm11~Snm14」と略記し、被監視回路制御信号Smc21,Smc22,Smc23,Smc24を「被監視回路制御信号Smc21~Smc24」と略記する場合がある。
図1に示すように、電力変換装置1は、直流電圧監視部123と、初期充電信号生成部122と、初期充電期間が経過した後に絶縁型DC/DCコンバータ11を制御するための制御信号Sc11,Sc12,Sc13,Sc14,Sc21,Sc22,Sc23,Sc24を生成する制御信号生成部121と、直流電圧監視部123から出力される監視信号(出力信号の一例)Smの電圧レベルに基づいて、初期充電信号生成部122から入力される不監視回路制御信号Snm11~Snm14及び被監視回路制御信号Smc21~Smc24と、制御信号生成部121から入力される制御信号Sc11,Sc12,Sc13,Sc14,Sc21,Sc22,Sc23,Sc24とのいずれか一方を選択して絶縁型DC/DCコンバータ11に出力する選択部124,125とを有する制御装置12を備えている。以下、制御信号Sc11,Sc12,Sc13,Sc14を「制御信号Sc11~Sc14」と略記し、制御信号Sc21,Sc22,Sc23,Sc24を「制御信号Sc21~Sc24」と略記する場合がある。
詳細は後述するが、電力変換装置1は、初期充電期間において、所定の形状のパルス状の不監視回路制御信号Snm11~Snm14に基づくゲート信号Sg11~Sg14をトランジスタQ11~Q14のゲートに入力し、低電圧レベル一定の被監視回路制御信号Smc21~Smc24に基づくゲート信号Sg21~Sg24を二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ21~Q24に入力する。これにより、電力変換装置1は、絶縁型DC/DCコンバータ11の動作開始時にコンデンサ電圧Vc1及びコンデンサ電圧Vc2に電位差があっても、一次側ブリッジ回路112及び二次側ブリッジ回路113に過電流が生じることを防止できる。
選択部124には、制御信号生成部121から制御信号Sc11~Sc14が入力され、初期充電信号生成部122から不監視回路制御信号Snm11~Snm14が入力される。選択部124は、直流電圧監視部123から入力される監視信号Smの電圧レベルがハイレベルの場合に不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択してゲート駆動ユニット112aに出力する。一方、選択部124は、直流電圧監視部123から入力される監視信号Smの電圧レベルがローレベルの場合に制御信号Sc11~Sc14を選択してゲート駆動ユニット112aに出力する。
選択部125には、制御信号生成部121から制御信号Sc21~Sc24が入力され、初期充電信号生成部122から被監視回路制御信号Smc21~Smc24が入力される。選択部125は、直流電圧監視部123から入力される監視信号Smの電圧レベルがハイレベルの場合に被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択してゲート駆動ユニット113aに出力する。一方、選択部125は、直流電圧監視部123から入力される監視信号Smの電圧レベルがローレベルの場合に制御信号Sc21~Sc24を選択してゲート駆動ユニット113aに出力する。
初期充電期間は、初期充電開始時(すなわち絶縁型DC/DCコンバータ11の動作開始)から二次側ブリッジ回路113の直流電圧(すなわちコンデンサ電圧Vc2)が基準電圧Vrよりも高くなるまでの期間である。このため、直流電圧監視部123は、初期充電期間では電圧レベルがハイレベルの監視信号Smを選択部124,125に出力し、初期充電期間が終了した後に電圧レベルがローレベルの監視信号Smを選択部124,125に出力する。
これにより、初期充電期間では、選択部124は、不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択信号Ss11~Ss14としてゲート駆動ユニット112aに出力し、選択部125は、被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択信号Ss21~Ss24としてゲート駆動ユニット113aに出力する。具体的には、選択部124は、不監視回路制御信号Snm11を選択信号Ss11として出力し、不監視回路制御信号Snm12を選択信号Ss12として出力し、不監視回路制御信号Snm13を選択信号Ss13として出力し、不監視回路制御信号Snm14を選択信号Ss14として出力する。また、選択部125は、被監視回路制御信号Smc21を選択信号Ss21として出力し、被監視回路制御信号Smc22を選択信号Ss22として出力し、被監視回路制御信号Smc23を選択信号Ss23として出力し、被監視回路制御信号Smc24を選択信号Ss24として出力する。
一方、初期充電期間が経過した後は、選択部124は、制御信号Sc11~Sc14を選択信号Ss11~Ss14としてゲート駆動ユニット112aに出力し、選択部125は、制御信号Sc21~Sc24を選択信号Ss21~Ss24としてゲート駆動ユニット113aに出力する。具体的には、選択部124は、制御信号Sc11を選択信号Ss11として出力し制御信号Sc12を選択信号Ss12として出力し、制御信号Sc13を選択信号Ss13として出力し、制御信号Sc14を選択信号Ss14として出力する。また、選択部125は、制御信号Sc21を選択信号Ss21として出力し、制御信号Sc22を選択信号Ss22として出力し、制御信号Sc23を選択信号Ss23として出力し、制御信号Sc24を選択信号Ss24として出力する。
一次側ブリッジ回路112に設けられたゲート駆動ユニット112aは、選択部124から入力される選択信号Ss11を用いてゲート信号Sg11を生成する。ゲート駆動ユニット112aは、選択部124から入力される選択信号Ss12を用いてゲート信号Sg12を生成する。ゲート駆動ユニット112aは、選択部124から入力される選択信号Ss13を用いてゲート信号Sg13を生成する。ゲート駆動ユニット112aは、選択部124から入力される選択信号Ss14を用いてゲート信号Sg14を生成する。本実施形態では、ゲート駆動ユニット112aは、選択信号Ss11,Ss12,Ss13,Ss14と電圧レベルが異なりかつ同位相のゲート信号Sg11,Sg12,Sg13,Sg14を生成する。
二次側ブリッジ回路113に設けられたゲート駆動ユニット113aは、選択部125から入力される選択信号Ss21を用いてゲート信号Sg21を生成する。ゲート駆動ユニット113aは、選択部125から入力される選択信号Ss22を用いてゲート信号Sg22を生成する。ゲート駆動ユニット113aは、選択部125から入力される選択信号Ss23を用いてゲート信号Sg23を生成する。ゲート駆動ユニット113aは、選択部125から入力される選択信号Ss24を用いてゲート信号Sg24を生成する。本実施形態では、ゲート駆動ユニット113aは、選択信号Ss21,Ss22,Ss23,Ss24と電圧レベルが異なりかつ同位相のゲート信号Sg21,Sg22,Sg23,Sg24を生成する。
したがって、電力変換装置1は、初期充電期間では、初期充電信号生成部122で生成された不監視回路制御信号Snm11~Snm14及び被監視回路制御信号Smc21~Smc24によって絶縁型DC/DCコンバータ11を制御すると看做すことができる。一方、電力変換装置1は、初期充電期間が経過した後の期間では、制御信号生成部121で生成された制御信号Sc11~Sc14及び制御信号Sc21~Sc24によって絶縁型DC/DCコンバータ11を制御すると看做すことができる。
(電力変換装置の動作)
本実施形態による電力変換装置1の動作について図1を参照しつつ図2を用いて説明する。図2は、電力変換装置1の動作波形の一例を示すタイミングチャートである。図2中の「Sg11」はゲート信号Sg11の電圧波形を示し、「Sg14」はゲート信号Sg14の電圧波形を示している。図2中の「Sg12」はゲート信号Sg12の電圧波形を示し、「Sg13」はゲート信号Sg13の電圧波形を示している。図2中の「Sg21」はゲート信号Sg21の電圧波形を示し、「Sg24」はゲート信号Sg24の電圧波形を示している。図2中の「Sg22」はゲート信号Sg22の電圧波形を示し、「Sg23」はゲート信号Sg23の電圧波形を示している。
図2中の「V111a」は、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aの電圧波形を示している。印加電圧V111aは、絶縁トランス111の一次巻線の一端子(接続部a1(図1参照)に電気的に接続される端子)の方が絶縁トランス111の一次巻線の他端子(接続部b1(図1参照)に電気的に接続される端子)よりも電位が高い場合を正とし、当該一端子の方が当該他端子よりも電位が低い場合を負として表されている。
図2中の「V111b」は、絶縁トランス111の二次巻線に印加される印加電圧V111bの電圧波形を示している。印加電圧V111bは、絶縁トランス111の二次巻線の一端子(接続部a2(図1参照)に電気的に接続される端子)の方が絶縁トランス111の二次巻線の他端子(接続部b2(図1参照)に電気的に接続される端子)よりも電位が高い場合を正とし、当該一端子の方が当該他端子よりも電位が低い場合を負として表されている。
図2中の「I111a」は、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aの電流波形を示している。一次側電流I111aは、絶縁トランス111の一次巻線の一端子から他端子に向かって流れる場合を正とし、当該一端子から当該他端子に向かって流れる場合を負として表されている。
図2中の「Vc2」は、コンデンサC2に生じるコンデンサ電圧Vc2、すなわち二次側ブリッジ回路113の直流電圧を表している。コンデンサ電圧Vc2は、二次側正極ラインP2に電気的に接続された一方の電極が二次側負極ラインN2に電気的に接続された他方の電極よりも電位が高い場合を正として表されている。
図2中の「Vrp2」は、二次側ブリッジ回路113に印加される印加電圧の正側の定格電圧を示している。図2中の「Vrn2」は、二次側ブリッジ回路113に印加される印加電圧の負側の定格電圧を示している。図2中の「Ipp1」は、一次側電流の正側の定格ピーク電流を示し、図2中の「Ipn1」は、一次側電流の負側の定格ピーク電流を示している。図2中の「Vr」は、基準電圧Vrを表している。図2は、左から右に向かって時間の経過が表されている。
図2に示すように、時刻t1において、電力変換装置1の動作が開始し、初期充電期間Tecが開始される。電力変換装置1の動作が開始すると、初期充電信号生成部122(図1参照)は、電圧レベルがハイレベルの不監視回路制御信号Snm11,Snm14(図1参照)と、電圧レベルがローレベルの不監視回路制御信号Snm12,Snm13(図1参照)を生成して選択部124(図1参照)に出力する。また、初期充電信号生成部122は、電圧レベルがローレベルの被監視回路制御信号Smc21~Smc24(図1参照)を生成して選択部125(図1参照)に出力する。また、制御信号生成部121(図1参照)は、制御信号Sc11~Sc14(図1参照)を生成して選択部124に出力し、制御信号Sc21~Sc24(図1参照)を生成して選択部125に出力する。このように、制御信号生成部121は、初期充電期間Tecにおいても制御信号Sc11~Sc14,Sc21~Sc24を生成する。
時刻t1では、一次側ブリッジ回路112に設けられたコンデンサC1(図1参照)は、一次側装置2から供給される電力によって完全に充電された状態(確立状態)にある。一方、時刻t1では、二次側ブリッジ回路113に設けられたコンデンサC2(図1参照)が充電されておらず、コンデンサ電圧Vc2は例えば0Vである。このため、電力変換装置1の運転開始時に、コンデンサC1のコンデンサ電圧Vc1とコンデンサC2のコンデンサ電圧Vc2との間には電位差が生じている。
コンデンサ電圧Vc2は、正側の定格電圧Vrp2の例えば90%の電圧に設定された基準電圧Vrよりも低い。このため、直流電圧監視部123(図1参照)は、電圧レベルがハイレベルの監視信号Smを選択部124,125に出力する。これにより、選択部124は、初期充電信号生成部122から入力される不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択し、選択した不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択信号Ss11~Ss14(図1参照)として一次側ブリッジ回路112に設けられたゲート駆動ユニット112a(図1参照)に出力する。選択部125は、被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択し、選択した被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択信号Ss21~Ss24として二次側ブリッジ回路113(図1参照)に設けられたゲート駆動ユニット113a(図1参照)に出力する。
上述のとおり、ゲート駆動ユニット112aは、入力される選択信号Ss11~Ss14としての不監視回路制御信号Snm11~Snm14と同位相のゲート信号Sg11~Sg14を生成してトランジスタQ11~Q14に出力する。同様に、ゲート駆動ユニット113aは、入力される選択信号Ss21~Ss24としての被監視回路制御信号Smc21~Smc24と同位相のゲート信号Sg21~Sg24を生成してトランジスタQ21~Q24に出力する。このため、時刻t1において、ゲート信号Sg11,Sg14の電圧レベルがハイレベルとなり、ゲート信号Sg12,Sg13の電圧レベルがローレベルを維持する。これにより、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11,Q14(図1参照)がオン状態(導通状態)となり、トランジスタQ12,Q13(図1参照)がオフ状態(非導通状態)を維持する。
これにより、絶縁トランス111の一次巻線の一端子には一次側装置2の正極側電圧が印加され、絶縁トランス111の一次巻線の他端子には、一次側装置2の負極側電圧が印加される。このため、図2に示すように、時刻t1において、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、正の電圧となる。
また、このとき、絶縁型DC/DCコンバータ11の一次側には、「一次側装置2→トランジスタQ11→接続部a1→インダクタL1→絶縁トランス111の一次巻線→接続部b1→トランジスタQ14→一次側装置2」の経路で一次側電流が流れる。このため、図2に示すように、時刻t1において、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、正方向に増加する電流となる。
絶縁トランス111の一次巻線に一次側電流I111aが流れることにより、当該一次巻線には、誘導起電力が発生する。また、絶縁トランス111における相互誘導によって、絶縁トランス111の二次巻線には、相互誘導起電力が発生する。絶縁トランス111は、一次巻線の印加電圧V111aと二次巻線の印加電圧V111bが互いに同じ極性となるように構成されている。このため、図2に示すように、時刻t1において、絶縁トランス111の二次巻線の印加電圧V111bは、正方向に増加し始める。
絶縁トランス111の二次巻線に相互誘導起電力が発生して印加電圧V111bが正方向に増加することにより、絶縁型DC/DCコンバータ11の二次側には、「絶縁トランス111の二次巻線→接続部b2→還流ダイオードD23→コンデンサC2→還流ダイオードD22→接続部a2→インダクタL2→絶縁トランス111の二次巻線」の経路で二次側電流が流れる。コンデンサC2は、この二次側電流によって充電される。その結果、図2に示すように、コンデンサ電圧Vc2は、時刻t1から徐々に増加し始める。
図2に示すように、時刻t1から所定時間が経過した時刻t2において、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm11,Snm14と、電圧レベルをハイレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm12,Snm13とを選択部124に出力する。また、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持したままの被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択部125に出力する。
図2に示すように、時刻t2では、二次側ブリッジ回路113に設けられたコンデンサC2のコンデンサ電圧Vc2は、基準電圧Vrよりも低い。このため、直流電圧監視部123は、電圧レベルがハイレベルの監視信号Smを選択部124,125に出力する。これにより、選択部124は、初期充電信号生成部122から出力される不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択し、選択した不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択信号Ss11~Ss14としてゲート駆動ユニット112aに出力する。選択部125は、被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択し、選択した被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択信号Ss21~Ss24としてゲート駆動ユニット113aに出力する。
このため、時刻t2において、ゲート信号Sg11,Sg14の電圧レベルがローレベルとなり、ゲート信号Sg12,Sg13の電圧レベルがハイレベルとなる。これにより、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11,Q14がオフ状態(非導通状態)となり、トランジスタQ12,Q13がオン状態(導通状態)となる。
その結果、絶縁トランス111の一次巻線の一端子には一次側装置2の負極側電圧が印加され、絶縁トランス111の一次巻線の他端子には、一次側装置2の正極側電圧が印加される。このため、図2に示すように、時刻t2において、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、立ち下がって基準電位と同電位(例えば0V)となる。
また、このとき、絶縁型DC/DCコンバータ11の一次側には、「一次側装置2→トランジスタQ13→接続部b1→絶縁トランス111の一次巻線→インダクタL1→接続部a1→トランジスタQ12→一次側装置2」の経路で一次側電流が流れる。このため、図2に示すように、時刻t2において、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、正極性から負極性に向かって減少する電流となる。
絶縁トランス111の一次巻線に流れる負方向の一次側電流I111aに基づいて、絶縁トランス111の二次巻線には、時刻t1とは逆方向の相互誘導起電力が発生する。このため、図2に示すように、時刻t2において、絶縁トランス111の二次巻線の印加電圧V111bは、負方向に増加し始める。
絶縁トランス111の二次巻線に相互誘導起電力が発生して印加電圧V111bが負方向に増加することにより、絶縁型DC/DCコンバータ11の二次側には、「絶縁トランス111の二次巻線→インダクタL2→接続部a2→還流ダイオードD21→コンデンサC2→還流ダイオードD22→接続部b2→絶縁トランス111の二次巻線」の経路で二次側電流が流れる。コンデンサC2は、この二次側電流によって充電される。時刻t2における二次側電流は、時刻t1と同じ方向にコンデンサC2に流れる。その結果、図2に示すように、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
図2に示すように、時刻t2から所定時間が経過した時刻t3において、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをハイレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm11,Snm14と、電圧レベルをローレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm12,Snm13とを選択部124に出力する。また、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持したままの被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択部125に出力する。
時刻t3におけるゲート信号Sg11~Sg14は、時刻t1におけるゲート信号Sg11~Sg14と同様の電圧となる。このため、時刻t3において、絶縁型DC/DCコンバータ11は、時刻t1と同様に動作する。その結果、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、立ち上がり、負の電圧から正の電圧に遷移する。また、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、時刻t3を極値として負から正に向かって増加する電流となる。また、絶縁トランス111の二次巻線には、時刻t1とは同方向の相互誘導起電力が発生する。時刻t3でのコンデンサ電圧Vc2は、時刻t1でのコンデンサ電圧Vc2よりも高い。このため、時刻t3での絶縁トランス111の二次巻線の印加電圧V111bは、時刻t1での印加電圧V111bよりも高くなる。さらに、時刻t3における二次側電流は、時刻t2と同じ方向にコンデンサC2に流れる。その結果、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
図2に示すように、時刻t3から所定時間が経過した時刻t4において、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm11,Snm14と、電圧レベルをローレベルに維持した不監視回路制御信号Snm12,Snm13とを選択部124に出力する。また、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持したままの被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択部125に出力する。さらに、時刻t4から所定時間が経過した時刻t5の直前の時刻まで、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持した不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択部124に出力する。
図2に示すように、時刻t4から時刻t5の直前の時刻では、二次側ブリッジ回路113に設けられたコンデンサC2のコンデンサ電圧Vc2は、基準電圧Vrよりも低い。このため、直流電圧監視部123は、電圧レベルがハイレベルの監視信号Smを選択部124,125に出力する。これにより、選択部124は、初期充電信号生成部122から出力される不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択し、選択した不監視回路制御信号Snm12~Snm14を選択信号Ss11~Ss14としてゲート駆動ユニット112aに出力する。選択部125は、被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択し、選択した被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択信号Ss21~Ss24としてゲート駆動ユニット113aに出力する。
このため、時刻t4において、ゲート信号Sg11,Sg14の電圧レベルがローレベルとなり、ゲート信号Sg12,Sg13の電圧レベルがローレベルを維持する。これにより、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11,Q14がオフ状態(非導通状態)となり、トランジスタQ12,Q13がオフ状態(非導通状態)を維持する。さらに、時刻t4の直後の時刻から時刻t5の直前の時刻において、ゲート信号Sg11~Sg14の電圧レベルはローレベルを維持する。このため、時刻t4から時刻t5の直前の時刻までの期間では、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14は、オフ状態(非導通状態)となる。その結果、時刻t4から時刻t5の直前の時刻までの期間において、インダクタL1に蓄積されたエネルギーに基づいて接続部a1側の方が絶縁トランス111側よりも電圧値の高い誘導起電力が生じる。これにより、「インダクタL1→接続部a1→還流ダイオードD11→一次側装置2」の経路で回生電流が流れる。
また、時刻t4から時刻t5の直前の時刻までの期間において、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、0Vであるため、絶縁トランス111の二次巻線に相互誘導起電力は発生しない。しかしながら、インダクタL2に蓄積されたエネルギーに基づいて接続部a2側の方が絶縁トランス111側よりも電圧値の高い誘導起電力が生じる。これにより、「インダクタL2→接続部a2→還流ダイオードD21→コンデンサC2」の経路で回生電流が流れる。当該回生電流は、時刻t3での二次側電流と同じ方向にコンデンサC2に流れる。その結果、図2に示すように、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14及び二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ21~Q24のいずれもオフ状態であっても、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
図2に示すように、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、換言すると一次側ブリッジ回路112から出力される出力電圧である。本実施形態では、印加電圧V111aの正極側電圧レベルの絶対値と、印加電圧V111aの負極側電圧レベルの絶対値とは、同一である。また、時刻t1から時刻t2までの期間と時刻t3から時刻t4までの期間とを合わせた期間は、時刻t2から時刻t3までの期間と同じである。このため、印加電圧V111aでは、時刻t1から時刻t2までの期間及び時刻t3から時刻t4までの期間の正極出力電圧の電圧時間積と、時刻t2から時刻t3までの期間の負極出力電圧の電圧時間積との和が零になる。印加電圧V111aは、ゲート信号Sg11~Sg14によってトランジスタQ11~Q14が制御されることによって一次側ブリッジ回路112から出力される。ゲート信号Sg11~Sg14は、不監視回路制御信号Snm11~Snm14と同位相の電圧波形を有している。このため、時刻t1から時刻t4の期間における印加電圧V111aは、不監視回路制御信号Snm11~Snm14によってトランジスタQ11~Q14が制御されることによって一次側ブリッジ回路112から出力される電圧であると看做すことができる。したがって、不監視回路制御信号Snm11~Snm14は、一次側ブリッジ回路112が出力する正極性出力電圧及び負極性出力電圧のそれぞれの電圧時間積の和が零となるようにパルス幅が設定されたパルス信号である。
一次側ブリッジ回路112が出力する正極性出力電圧及び負極性出力電圧のそれぞれの電圧時間積の和が零となるようにパルス幅が設定された不監視回路制御信号Snm11~Snm14に基づいて一次側ブリッジ回路112が駆動されることにより、時刻t1から時刻t4での印加電圧V111aの電圧変化によって絶縁トランス111の一次巻線に発生する磁束密度の変化が抑制される。これにより、電力変換装置1は、初期充電期間Tecにおいてコンデンサ電圧Vc1及びコンデンサ電圧Vc2の電位差が最も大きい時刻t1から時刻t4であっても当該一次巻線において想定外の起電力の発生を防止して、一次側ブリッジ回路112に過電流が生じることを防止できる。
絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、時刻t1から時刻t4の期間において、正電圧パルス信号及び負電圧パルス信号の組合せを一単位として構成された正極性出力電圧及び負極性出力電圧である。
また、図2に示すように、初期充電期間Pecにおいて、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aの電流値が正の定格ピーク電流Ipp1及び負の定格ピーク電流Ipn1の範囲内に抑えられている。これにより、電力変換装置1は、初期充電期間Tecにおいて一次側ブリッジ回路112に過電流が流れていることを防止するようになっている。
絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111a及び絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14をオン状態及びオフ状態の一方の状態に維持する時間及びタイミングによって制御される。トランジスタQ11~Q14のオン/オフ制御は、ゲート信号Sg11~Sg14、すなわち不監視回路制御信号Snm11~Snm14によって制御することができる。したがって、初期充電信号生成部122は、初期充電期間Tecにおいて一次側ブリッジ回路112(不監視ブリッジ回路の一例)に過電流が流れないパルス幅を有し正電圧パルス信号及び負電圧パルス信号の組合せを一単位として構成された正極性出力電圧及び負極性出力電圧を生成可能な不監視回路制御信号Snm11~Snm14を生成するように構成されている。これにより、電力変換装置1は、絶縁トランス111に流れる電流に直流成分が重畳することを防止できる。
図2に示すように、時刻t5において、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持したままの不監視回路制御信号Snm11,Snm14と、電圧レベルをハイレベルに変化する不監視回路制御信号Snm12,Snm13を生成して選択部124に出力する。また、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持したままの被監視回路制御信号Smc21~Smc24を生成して選択部125に出力する。
時刻t5では、二次側ブリッジ回路113に設けられたコンデンサC2のコンデンサ電圧Vc2は、基準電圧Vrよりも低い。このため、直流電圧監視部123は、電圧レベルがハイレベルの監視信号Smを選択部124,125に出力する。これにより、選択部124は、初期充電信号生成部122から出力される不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択し、選択した不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択信号Ss11~Ss14としてゲート駆動ユニット112aに出力する。選択部125は、被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択し、選択した被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択信号Ss21~Ss24としてゲート駆動ユニット113aに出力する。
このため、時刻t5において、ゲート信号Sg11,Sg14の電圧レベルがローレベルとなり、ゲート信号Sg12,Sg13の電圧レベルがハイレベルとなる。これにより、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11,Q14がオフ状態(非導通状態)となり、トランジスタQ12,Q13がオン状態(導通状態)となる。
その結果、絶縁トランス111の一次巻線の一端子には一次側装置2の負極側電圧が印加され、絶縁トランス111の一次巻線の他端子には、一次側装置2の正極側電圧が印加される。このため、図2に示すように、時刻t5において、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、立ち下がって基準電位(例えば0V)から負の電圧となる。
また、このとき、絶縁型DC/DCコンバータ11の一次側には、時刻t2での経路と同じ経路で一次側電流が流れる。このため、図2に示すように、時刻t5において、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、基準電位(例えば0V)から負極性に向かって減少する電流となる。
絶縁トランス111の一次巻線に流れる負方向の一次側電流I111aに基づいて、絶縁トランス111の二次巻線には、時刻t4と同方向の相互誘導起電力が発生する。このため、図2に示すように、時刻t5において、絶縁トランス111の二次巻線の印加電圧V111bは、負方向に増加し始める。
絶縁トランス111の二次巻線に相互誘導起電力が発生して印加電圧V111bが負方向に増加することにより、絶縁型DC/DCコンバータ11の二次側には、時刻t2での経路と同じ経路で二次側電流が流れる。コンデンサC2は、この二次側電流によって充電される。時刻t5における二次側電流は、時刻t4と同じ方向にコンデンサC2に流れる。その結果、図2に示すように、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
図2に示すように、時刻t5から所定時間が経過した時刻t6において、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをハイレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm11,Snm14と、電圧レベルをローレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm12,Snm13とを選択部124に出力する。また、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持したままの被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択部125に出力する。
時刻t6におけるゲート信号Sg11~Sg14は、時刻t3におけるゲート信号Sg11~Sg14と同様に電圧が変化する。このため、時刻t6において、絶縁型DC/DCコンバータ11は、時刻t3と同様に動作する。その結果、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、立ち上がり、負の電圧から正の電圧に遷移する。また、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、時刻t6を極値として負から正に向かって増加する電流となる。また、絶縁トランス111の二次巻線には、時刻t3と同方向の相互誘導起電力が発生する。時刻t6でのコンデンサ電圧Vc2は、時刻t3でのコンデンサ電圧Vc2よりも高い。このため、時刻t6での絶縁トランス111の二次巻線の印加電圧V111bは、時刻t3での印加電圧V111bよりも高くなる。さらに、時刻t6における二次側電流は、時刻t5と同じ方向にコンデンサC2に流れる。その結果、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
図2に示すように、時刻t6から所定時間が経過した時刻t7において、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm11,Snm14と、電圧レベルをハイレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm12,Snm13とを選択部124に出力する。また、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持したままの被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択部125に出力する。
時刻t7におけるゲート信号Sg11~Sg14は、時刻t2におけるゲート信号Sg11~Sg14と同様に電圧が変化する。このため、時刻t7において、絶縁型DC/DCコンバータ11は、時刻t2と同様に動作する。その結果、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、立ち下がり、正の電圧から負の電圧に遷移する。また、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、時刻t7を極値として正から負に向かって減少する電流となる。また、絶縁トランス111の二次巻線には、時刻t2と同方向の相互誘導起電力が発生する。時刻t7でのコンデンサ電圧Vc2は、時刻t2でのコンデンサ電圧Vc2よりも高い。このため、時刻t7での絶縁トランス111の二次巻線の印加電圧V111bは、時刻t2での印加電圧V111bよりも高くなる。さらに、時刻t7における二次側電流は、時刻t6と同じ方向にコンデンサC2に流れる。その結果、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
図2に示すように、時刻t7から所定時間が経過した時刻t8において、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持したままの不監視回路制御信号Snm11,Snm14と、電圧レベルをローレベルに変化させた不監視回路制御信号Snm12,Snm13とを選択部124に出力する。また、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持したままの被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択部125に出力する。さらに、時刻t8から所定時間が経過した時刻t9の直前の時刻まで、初期充電信号生成部122は、電圧レベルをローレベルに維持した不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択部124に出力する。
図2に示すように、時刻t8から時刻t9の直前の時刻では、二次側ブリッジ回路113に設けられたコンデンサC2のコンデンサ電圧Vc2は、基準電圧Vrよりも低い。このため、直流電圧監視部123は、電圧レベルがハイレベルの監視信号Smを選択部124,125に出力する。これにより、選択部124は、初期充電信号生成部122から出力される不監視回路制御信号Snm11~Snm14を選択し、選択した不監視回路制御信号Snm12~Snm14を選択信号Ss11~Ss14としてゲート駆動ユニット112aに出力する。選択部125は、被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択し、選択した被監視回路制御信号Smc21~Smc24を選択信号Ss21~Ss24としてゲート駆動ユニット113aに出力する。
このため、時刻t8において、ゲート信号Sg11,Sg14の電圧レベルがローレベルを維持し、ゲート信号Sg12,Sg13の電圧レベルがローレベルになる。これにより、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11,Q14がオフ状態(非導通状態)を維持し、トランジスタQ12,Q13がオフ状態(非導通状態)となる。さらに、時刻t8の直後の時刻から時刻t9の直前の時刻において、ゲート信号Sg11~Sg14の電圧レベルはローレベルを維持する。このため、時刻t8から時刻t9の直前の時刻までの期間では、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14は、オフ状態(非導通状態)となる。その結果、時刻t8から時刻t9の直前の時刻までの期間において、インダクタL1に蓄積されたエネルギーに基づいて接続部a1側の方が絶縁トランス111側よりも電圧値の高い誘導起電力が生じる。これにより、時刻t4と同様に、「インダクタL1→接続部a1→還流ダイオードD11→一次側装置2」の経路で回生電流が流れる。
また、時刻t8から時刻t9の直前の時刻までの期間において、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、0Vであるため、絶縁トランス111の二次巻線に相互誘導起電力は発生しない。しかしながら、インダクタL2に蓄積されたエネルギーに基づいて接続部a2側の方が絶縁トランス111側よりも電圧値の高い誘導起電力が生じる。これにより、時刻t8において、時刻t4と同様に「インダクタL2→接続部a2→還流ダイオードD21→コンデンサC2」の経路で回生電流が流れる。当該回生電流は、時刻t7での二次側電流と同じ方向にコンデンサC2に流れる。その結果、図2に示すように、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14及び二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ21~Q24のいずれもオフ状態であっても、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
時刻t1から時刻t4までの期間とは電圧の極性が反転しているものの、時刻t5から時刻t8までの期間でも、不監視回路制御信号Snm11~Snm14は、一次側ブリッジ回路112が出力する正極性出力電圧及び負極性出力電圧のそれぞれの電圧時間積の和が零となるようにパルス幅が設定されたパルス信号である。
絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aは、時刻t5から時刻t8の期間において、正電圧パルス信号及び負電圧パルス信号の組合せを一単位として構成された正極性出力電圧及び負極性出力電圧である。
また、図2に示すように、初期充電期間Tecにおいて、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aの電流値が正の定格ピーク電流Ipp1及び負の定格ピーク電流Ipn1の範囲内に抑えられている。これにより、電力変換装置1は、初期充電期間Tecにおいて一次側ブリッジ回路112に過電流が流れていることを防止するようになっている。
絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111a及び絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14をオン状態及びオフ状態の一方の状態に維持する時間及びタイミングによって制御される。トランジスタQ11~Q14のオン/オフ制御は、ゲート信号Sg11~Sg14、すなわち不監視回路制御信号Snm11~Snm14によって制御することができる。したがって、時刻t5から時刻t8の期間においても、初期充電信号生成部122は、初期充電期間Tecにおいて一次側ブリッジ回路112(不監視ブリッジ回路の一例)に過電流が流れないパルス幅を有し正電圧パルス信号及び負電圧パルス信号の組合せを一単位として構成された正極性出力電圧及び負極性出力電圧を生成可能な不監視回路制御信号Snm11~Snm14を生成するように構成されている。
図2に示すように、時刻t4から時刻t5の直前までの期間では、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14は、いずれもオフ状態となる。トランジスタQ11~Q14は、ゲート信号Sg11~Sg14によって制御されてオフ状態となる。不監視回路制御信号Snm11~Snm14は、ゲート信号Sg11~Sg14と同位相の信号である。このため、時刻t4から時刻t5の直前までの期間において、トランジスタQ11~Q14は、不監視回路制御信号Snm11~Snm14によって制御されてオフ状態となっていると看做すことができる。
したがって、初期充電信号生成部122は、初期充電期間Tecの一部(すなわち、時刻t4から時刻t5の直前までの期間)において一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14(少なくとも2つのスイッチ素子の双方の一例)をオフ状態とさせる不監視回路制御信号Snm11~Snm14を生成するように構成されている。
時刻t9から時刻t10の直前の時刻までの期間における電力変換装置1の動作は、時刻t1から時刻t5の直前の時刻までの電力変換装置1の動作と同様であるため、説明は省略する。また、時刻t10から時刻t11の直前の時刻までの期間における電力変換装置1の動作は、時刻t5から時刻t9の直前の時刻までの電力変換装置1の動作と同様であるため、説明は省略する。さらに、時刻t11から時刻t12までの期間における電力変換装置1の動作は、時刻t1から時刻t4までの期間における電力変換装置1の動作と同様であるため、説明は省略する。
図2に示すように、時刻t12から所定の時間が経過した時刻t13において、二次側ブリッジ回路113に設けられたコンデンサC2のコンデンサ電圧Vc2が基準電圧Vrよりも高くなったとする。これにより、直流電圧監視部123は、電圧レベルがローレベルの監視信号Smを選択部124,125に出力する。その結果、選択部124は、制御信号生成部121(図1参照)から出力される制御信号Sc11~Sc14を選択し、選択した制御信号Sc11~Sc14を選択信号Ss11~Ss14としてゲート駆動ユニット112aに出力する。選択部125は、制御信号Sc21~Sc24を選択し、選択した制御信号Sc21~Sc24を選択信号Ss21~Ss24としてゲート駆動ユニット113aに出力する。
このため、時刻t13において、ゲート信号Sg11~Sg14の電圧レベルに応じて、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14のオン/オフが制御される。これにより、時刻t13において初期充電期間Tecが終了するとともに、電力変換装置1が所望の動作を開始する。
本実施形態では、初期充電信号生成部122は、初期充電期間Tecにおいて被監視ブリッジ回路としての二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ21~Q24をオフ状態とさせる初期充電用制御信号Sec21~Sec24を生成する。このため、二次側ブリッジ回路113は、初期充電期間Tecにおいて、還流ダイオードD21~D24を用いてコンデンサC2に電流を供給する。初期充電期間Tecにおいて、二次側ブリッジ回路113に設けられたコンデンサC2には、同一方向(本実施形態では二次側正極ラインP2から二次側負極ラインN2に向かう方向)に電流が流れ続ける。これにより、図2に示すように、コンデンサC2のコンデンサ電圧Vc2は、初期充電期間Tecにおいて上昇し続ける。このため、初期充電期間Tecの経過に伴って一次側ブリッジ回路112に設けられたコンデンサC1のコンデンサ電圧Vc1と、コンデンサ電圧Vc2との差が小さくなる。その結果、初期充電期間Tecの経過に伴って、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aのピーク値が減少する。したがって、電力変換装置1は、初期充電期間Tecにおいて、一次側ブリッジ回路112に過電流が生じることを防止できる。
(電力変換装置の効果)
本実施形態による電力変換装置の効果について図1及び図2を参照しつつ図3を用いて説明する。図3は、従来の電力変換装置の一次側ブリッジ回路の一次トランス電圧及び二次側ブリッジ回路の二次トランス電圧の電圧波形並びに一次側電流の電流波形の一例を示す図である。図示は省略するが、従来の電力変換装置は、初期充電信号生成部122、直流電圧監視部123及び選択部124,125を有していない点を除いて、本実施形態による電力変換装置1と同様の構成を有している。また、一次トランス電圧は、一次側ブリッジ回路が絶縁トランスの一次巻線に印加する印加電圧に相当し、二次トランス電圧は、二次側ブリッジ回路が絶縁トランスの二次巻線に印加する印加電圧に相当する。図3(a)は、一次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサ及び二次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサのそれぞれが完全に充電され、一次トランス電圧と二次トランス電圧とがほぼ同じ電圧値である場合の各種波形を模式的に示している。図3(b)は、一次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサが完全に充電され、二次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサが充電されておらず、一次トランス電圧が二次トランス電圧よりも大きい場合の各種波形を模式的に示している。
図3中の「Vt1」は、一次側ブリッジ回路の一次トランス電圧の電圧波形を示し、図3中の「Vt2」は、二次側ブリッジ回路の二次トランス電圧の電圧波形を示している。図3中の「It1」は、一次側ブリッジ回路に接続された絶縁トランスの一次巻線に流れる一次側電流の電流波形を示している。図3中の「Ipp1」は、一次側電流の正側の定格ピーク電流を示し、図3中の「Ipn1」は、一次側電流の負側の定格ピーク電流を示している。
本実施形態による電力変換装置1に備えられた絶縁型DC/DCコンバータ11のようなDABコンバータでは、一次側ブリッジ回路における一次トランス電圧(一次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサのコンデンサ電圧)と、二次側ブリッジ回路における二次トランス電圧(二次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサのコンデンサ電圧)との差が絶縁型トランスの漏れインダクタンス成分に印加される。励磁電流は小さいため無視した場合、当該絶縁型トランスの一次巻線に流れる電流の変化は、この漏れインダクタンス成分と漏れインダクタンス成分に印加される電圧によって決まる。
一次トランス電圧(一次側のコンデンサ電圧)と二次トランス電圧(二次側のコンデンサ電圧)との差が小さい場合、トランス漏れインダクタンスに印加される電圧も小さくなる。このため、図3(a)に示すように、絶縁トランスの一次巻線に流れる一次電流の電流変化は、小さくなって定格ピーク電流Ipp1及び定格ピーク電流Ipn1の範囲内に収まるので、一次側ブリッジ回路に過電流が生じない。
一方、一次トランス電圧(一次側のコンデンサ電圧)と二次トランス電圧(二次側のコンデンサ電圧)との差が大きい場合、漏れインダクタンスに印加される電圧も大きくなる。このため、一次トランス電圧のパルス幅によっては、一次側ブリッジ回路に過電流が生じる場合がある。従来の電力変換装置は、所望の動作を実行する際のゲート信号によって初期充電期間も動作する。このため、従来の電力変換装置では、初期充電期間における一次トランス電圧のパルス幅は、当該電力変換装置の所望の動作時において、一次側ブリッジ回路に設けられた4つのトランジスタがオン/オフ状態が切り替わる周期と等しくなる。その結果、図3(b)に示すように、絶縁トランスの一次巻線に流れる一次電流の電流変化は、大きくなって定格ピーク電流Ipp1及び定格ピーク電流Ipn1の範囲を超えるので、一次側ブリッジ回路に過電流が生じる。従来の電力変換装置は、この過電流によって破損する可能性がある。
絶縁トランスの一次巻線に流れる一次電流の上昇は、一次側のコンデンサ及び二次側のコンデンサの電圧差の他に、一次側のコンデンサの静電容量及び二次側のコンデンサの静電容量が大きいほど、又は絶縁トランスの漏れインダクタンスを含むインピーダンスが小さいほど、大きくなる。電力変換装置の用途によっては、一次側及び二次側のそれぞれのコンデンサの静電容量を小さくしたり、絶縁トランスのインピーダンスを大きくしたりすることができない場合がある。このため、絶縁型DC/DCコンバータの構造を最適化することによって当該一次電流の上昇を抑えることには限界がある。
これに対し、本実施形態による電力変換装置1は、初期充電信号生成部122及び直流電圧監視部123を備えている。電力変換装置1は、初期充電期間において、一次側ブリッジ回路112が出力する正極性出力電圧及び負極性出力電圧のそれぞれの電圧時間積の和が零となるようにパルス幅が設定された不監視回路制御信号Snm11~Snm14によって絶縁型DC/DCコンバータ11を駆動できる。これにより、電力変換装置1は、動作開始時に一次側のコンデンサC1及び二次側のコンデンサC2に電圧差があったり、コンデンサC1,C2の静電容量が大きかったり、絶縁トランス111のインピーダンスが小さかったりしても、初期充電期間における絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次電流の上昇を抑制できる。その結果、電力変換装置1は、一次側ブリッジ回路112における過電流の発生を防止して、絶縁型DC/DCコンバータ11の破損を防止できる。
また、電力変換装置1は、制御装置12の一機能として初期充電信号生成部122、直流電圧監視部123及び選択部124,125を備えている。ゲート信号を生成するために、制御装置は従来の電力変換装置でも備えられている構成要素である。電力変換装置1では、初期充電信号生成部122、直流電圧監視部123及び選択部124,125を制御装置12の一機能として備えることにより、専用回路を用いずに動作開始時の過電流の発生を防止することができる。
以上説明したように、本実施形態による電力変換装置1は、絶縁トランス111、絶縁トランス111の一次側に設けられてトランジスタQ11~Q14を有する一次側ブリッジ回路112及び絶縁トランス111の二次側に設けられてトランジスタQ21~Q24を有する二次側ブリッジ回路113を有する絶縁型DC/DCコンバータ11を備えている。電力変換装置1は、一次側ブリッジ回路112及び二次側ブリッジ回路113の少なくともの一方の直流電圧を監視する直流電圧監視部123と、直流電圧監視部123が監視するコンデンサ電圧Vc2が初期充電開始時の電圧から基準電圧Vrよりも高くなるまでの初期充電期間において絶縁型DC/DCコンバータ11を制御するための初期充電用制御信号Sec11~Sec14,Sec21~Sec24を生成する初期充電信号生成部122とを備えている。初期充電信号生成部122は、一次側ブリッジ回路112及び二次側ブリッジ回路113のうちの直流電圧監視部123にコンデンサ電圧Vc2が監視される二次側ブリッジ回路113を初期充電期間において制御するための被監視回路制御信号Smc21~Smc24と、一次側ブリッジ回路112及び二次側ブリッジ回路113のうちの一次側ブリッジ回路112を初期充電期間において制御するための不監視回路制御信号Snm11~Snm14とを初期充電用制御信号Sec11~Sec14及び初期充電用制御信号Sec21~Sec24として生成する。不監視回路制御信号Snm11~Snm14は、一次側ブリッジ回路112が出力する正極性出力電圧及び負極性出力電圧のそれぞれの電圧時間積の和が零となるようにパルス幅が設定されたパルス信号である。
このような構成を備える電力変換装置1は、専用回路を用いずに動作開始時の過電流の発生を防止することができる。また、電力変換装置1は、過電流の発生を防止するために専用回路を追加する必要がないため、小型化及び低コスト化を図ることができる。
<変形例1>
本実施形態の変形例1による電力変換装置について図1及び図2を参照しつつ図4を用いて説明する。本変形例による電力変換装置は、不監視回路制御信号が異なる点を除いて、本実施形態による電力変換装置1と同様の構成を有している。このため、本変形例による電力変換装置の構成については、具体的な説明は省略し、必要に応じて図1を参照して説明する。
(電力変換装置の動作)
図4は、本変形例による電力変換装置の動作波形の一例を示すタイミングチャートである。図4中の「Sg11」、「Sg14」、「Sg12」、「Sg13」、「Sg21」、「Sg24」、「Sg22」、「Sg23」、「V111a」、「V111b」、「I111a」、「Vc2」、「Vrp2」、「Vrn2」「Ipp1」「Ipn1」及び「Vr」は、図2中に示すそれらと同内容であるため、説明は省略する。図4は、左から右に向かって時間の経過が表されている。
図4に示すように、本変形例による電力変換装置では、本実施形態による電力変換装置1に対して、ゲート信号Sg11~Sg14の電圧波形が異なっている。したがって、本変形例による電力変換装置では、本実施形態による電力変換装置1に対して、不監視回路制御信号Snm11~Snm14の電圧波形が異なっている。
具体的には、図2に示すように、本実施形態による電力変換装置1では、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aが基準電位一定となる期間(例えば時刻t4から時刻t5までの期間)の前後で、ゲート信号Sg11,Sg14及びゲート信号Sg12,Sg13の極性が反転している。これに対し、図4に示すように、本変形例による電力変換装置では、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aが基準電位一定となる期間の前後で、ゲート信号Sg11,Sg14及びゲート信号Sg12,Sg13の極性が反転しない。すなわち、本変形例による電力変換装置に備えられた初期充電信号生成部122は、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aが基準電位一定となる期間の前後で、極性が反転しない不監視回路制御信号Snm11,Snm14及び不監視回路制御信号Snm12,Snm13を生成するようになっている。
本変形例による電力変換装置は、絶縁トランス111の一次巻線に印加される印加電圧V111aが基準電位一定となる期間の前後で、ゲート信号Sg11,Sg14及びゲート信号Sg12,Sg13の極性を反転させなくても初期充電期間Tecにおいて、二次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサC2に一定方向の電流を供給できる。したがって、本変形例による電力変換装置は、本実施形態による電力変換装置1と同様の効果が得られる。
<変形例2>
本実施形態の変形例2による電力変換装置について図1及び図2を参照しつつ図5を用いて説明する。本変形例による電力変換装置は、被監視回路制御信号が異なる点を除いて、本実施形態による電力変換装置1と同様の構成を有している。このため、本変形例による電力変換装置の構成については、具体的な説明は省略し、必要に応じて図1を参照して説明する。
(電力変換装置の動作)
図5は、本変形例による電力変換装置の動作波形の一例を示すタイミングチャートである。図5中の「Sg11」、「Sg14」、「Sg12」、「Sg13」、「Sg21」、「Sg24」、「Sg22」、「Sg23」、「V111a」、「V111b」、「I111a」、「Vc2」、「Vrp2」、「Vrn2」「Ipp1」「Ipn1」及び「Vr」は、図2中に示すそれらと同内容であるため、説明は省略する。図5は、左から右に向かって時間の経過が表されている。
図5に示すように、本変形例による電力変換装置では、本実施形態による電力変換装置1に対して、ゲート信号Sg21~Sg24の電圧波形が異なっている。したがって、本変形例による電力変換装置では、本実施形態による電力変換装置1に対して、被監視回路制御信号Smc21~Smc24の電圧波形が異なっている。具体的には、初期充電信号生成部122は、初期充電期間Tecにおいて、不監視回路制御信号Snm11~Snm14と同一の電圧波形を有する被監視回路制御信号Smc21~Smc24を生成する。本変形例では、初期充電信号生成部122は、不監視回路制御信号Snm11,Snm14と同一の電圧波形を有する被監視回路制御信号Smc22,Smc23を生成し、不監視回路制御信号Snm12,Snm13と同一の電圧波形を有する被監視回路制御信号Smc21,Smc24を生成するようになっている。
このため、図5に示すように、本変形例における被監視回路制御信号Smc21,Smc24に基づくゲート信号Sg21,Sg24は、時刻t1においてローレベルを維持し、時刻t2においてハイレベルに変化し、時刻t3においてローレベルに変化し、時刻t4から時刻t5の直前の時刻までローレベルを維持する電圧波形を有する。また、本変形例における被監視回路制御信号Smc22,Smc23に基づくゲート信号Sg23,Sg23は、時刻t1においてハイレベルに変化し、時刻t2においてローレベルに変化し、時刻t3においてハイレベルに変化し、時刻t4においてローレベルに変化し、時刻t4の直後の時刻から時刻t5の直前の時刻までローレベルを維持する電圧波形を有する。
このため、時刻t1において、二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ21,Q24がオフ状態(非導通状態)となり、二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ22,Q23がオン状態(導通状態)となる。
また、図2を用いて説明したように、電圧レベルがハイレベルのゲート信号Sg11,Sg14及び電圧レベルがローレベルのゲート信号Sg12,Sg13によって一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14が駆動されると、絶縁型DC/DCコンバータ11の一次側には、「一次側装置2→トランジスタQ11→接続部a1→インダクタL1→絶縁トランス111の一次巻線→接続部b1→トランジスタQ14→一次側装置2」の経路で一次側電流が流れる。このため、絶縁トランス111の二次巻線に相互誘導起電力が発生して印加電圧V111bが正方向に増加する。
このため、時刻t1では、絶縁型DC/DCコンバータ11の二次側には、「絶縁トランス111の二次巻線→接続部b2→トランジスタQ23→コンデンサC2→トランジスタQ22→接続部a2→インダクタL2→絶縁トランス111の二次巻線」の経路で二次側電流が流れる。コンデンサC2は、この二次側電流によって充電される。その結果、図5に示すように、コンデンサ電圧Vc2は、時刻t1から徐々に増加し始める。
時刻t2において、二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ21,Q24がオン状態(導通状態)となり、二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ22,Q23がオフ状態(非導通状態)となる。
また、図2を用いて説明したように、電圧レベルがローレベルのゲート信号Sg11,Sg14及び電圧レベルがハイレベルのゲート信号Sg12,Sg13によって一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14が駆動されると、絶縁型DC/DCコンバータ11の一次側には、「一次側装置2→トランジスタQ13→接続部b1→絶縁トランス111の一次巻線→インダクタL1→接続部a1→トランジスタQ12→一次側装置2」の経路で一次側電流が流れる。このため、図5に示すように、時刻t2において、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、正極性から負極性に向かって減少する電流となる。
これにより、絶縁トランス111の二次巻線に相互誘導起電力が発生して印加電圧V111bが負方向に増加することにより、絶縁型DC/DCコンバータ11の二次側には、「絶縁トランス111の二次巻線→インダクタL2→接続部a2→トランジスタQ21→コンデンサC2→トランジスタQ22→接続部b2→絶縁トランス111の二次巻線」の経路で二次側電流が流れる。コンデンサC2は、この二次側電流によって充電される。時刻t2における二次側電流は、時刻t1と同じ方向にコンデンサC2に流れる。その結果、図5に示すように、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
詳細な説明は省略するが、本変形例による電力変換装置は、時刻t3では時刻t1と同様に動作し、時刻t4では時刻t2と同様に動作する。このため、図5に示すように、時刻t3から時刻t4までの期間において、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
時刻t4から時刻t5の直前の時刻までの期間での本変形例による電力変換装置の動作は、時刻t4から時刻t5の直前の時刻までの期間での本実施形態による電力変換装置1の動作と同様である。このため、図5に示すように、時刻t4から時刻t5の直前の時刻までの期間において、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
図5に示すように、本変形例における被監視回路制御信号Smc21,Smc24に基づくゲート信号Sg21,Sg24は、時刻t5においてハイレベルに変化し、時刻t6においてローレベルに変化し、時刻t7においてハイレベルに変化し、時刻t8においてローレベルに変化し、時刻t8の直後から時刻t9の直前の時刻までローレベルを維持する電圧波形を有する。また、本変形例における被監視回路制御信号Smc22,Smc23に基づくゲート信号Sg23,Sg23は、時刻t5においてローレベルを維持し、時刻t6においてハイレベルに変化し、時刻t7においてローレベルに変化し、時刻t8から時刻t9の直前の時刻までローレベルを維持する電圧波形を有する。
このため、時刻t5において、二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ21,Q24がオン状態(導通状態)となり、二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ22,Q23がオフ状態(非導通状態)を維持する。
また、時刻t5では、電圧レベルがローレベルのゲート信号Sg11,Sg14及び電圧レベルがハイレベルのゲート信号Sg12,Sg13によって一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14が駆動される。このため、時刻t5では、時刻t2と同様の経路で一次側電流が流れる。このため、図5に示すように、時刻t5において、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、正極性から負極性に向かって減少する電流となる。
これにより、絶縁トランス111の二次巻線に相互誘導起電力が発生して印加電圧V111bが負方向に増加することにより、絶縁型DC/DCコンバータ11の二次側には、「絶縁トランス111の二次巻線→インダクタL2→接続部a2→トランジスタQ21→コンデンサC2→トランジスタQ22→接続部b2→絶縁トランス111の二次巻線」の経路で二次側電流が流れる。コンデンサC2は、この二次側電流によって充電される。時刻t5における二次側電流は、時刻t4と同じ方向にコンデンサC2に流れる。その結果、図5に示すように、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
時刻t6において、二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ21,Q24がオフ状態(非導通状態)となり、二次側ブリッジ回路113に設けられたトランジスタQ22,Q23がオン状態(導通状態)となる。
また、時刻t6では、電圧レベルがハイレベルのゲート信号Sg11,Sg14及び電圧レベルがローレベルのゲート信号Sg12,Sg13によって一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14が駆動される。このため、時刻t6では、時刻t1と同様の経路で一次側電流が流れる。このため、図5に示すように、時刻t6において、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aは、負極性から正極性に向かって増加する電流となる。
このため、時刻t6では、絶縁型DC/DCコンバータ11の二次側には、「絶縁トランス111の二次巻線→接続部b2→トランジスタQ23→コンデンサC2→トランジスタQ22→接続部a2→インダクタL2→絶縁トランス111の二次巻線」の経路で二次側電流が流れる。コンデンサC2は、この二次側電流によって充電される。その結果、図5に示すように、コンデンサ電圧Vc2は増加し始める。
詳細な説明は省略するが、本変形例による電力変換装置は、時刻t7では時刻t2と同様に動作し、時刻t8では時刻t3と同様に動作する。このため、図5に示すように、時刻t7から時刻t8までの期間において、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
本変形例による電力変換装置は、時刻t8から時刻t9の直前の時刻までの期間において、時刻t4から時刻t5の直前の時刻までの期間と同様に動作する。このため、図5に示すように、時刻t8から時刻t9の直前の時刻までの期間において、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
詳細な説明は省略するが、本変形例による電力変換装置は、時刻t9から時刻t11の直前の時刻までの期間において、時刻t1から時刻t9の直前の時刻までの期間と同様に動作する。また、本変形例による電力変換装置は、時刻t11から時刻t12までの期間において、時刻t1から時刻t4までの期間と同様に動作する。このため、図5に示すように、時刻t9から時刻t12までの期間において、コンデンサ電圧Vc2は増加し続ける。
図2に示すように、時刻t12から所定の時間が経過した時刻t13において、二次側ブリッジ回路113に設けられたコンデンサC2のコンデンサ電圧Vc2が基準電圧Vrよりも高くなったとする。これにより、直流電圧監視部123は、電圧レベルがハイレベルの監視信号Smを選択部124,125に出力する。その結果、選択部124は、制御信号生成部121から出力される制御信号Sc11~Sc14を選択し、選択した制御信号Sc11~Sc14を選択信号Ss11~Ss14としてゲート駆動ユニット112aに出力する。選択部125は、制御信号Sc21~Sc24を選択し、選択した制御信号Sc21~Sc24を選択信号Ss21~Ss24としてゲート駆動ユニット113aに出力する。
このため、時刻t13において、ゲート信号Sg11~Sg14の電圧レベルに応じて、一次側ブリッジ回路112に設けられたトランジスタQ11~Q14のオン/オフが制御される。これにより、時刻t13において初期充電期間Tecが終了するとともに、電力変換装置1が所望の動作を開始する。
以上説明したように、本変形例による電力変換装置は、本実施形態による電力変換装置1と同様に、初期充電期間Tecにおいて、コンデンサC2を充電してコンデンサC1及びコンデンサC2の電圧差をほぼ零にした状態で、所望の動作に移行できる。これにより、本変形例による電力変換装置は、本実施形態による電力変換装置1と同様の効果が得られる。
本発明の第二実施形態による電力変換装置について図6から図8を用いて説明する。まず、本実施形態による電力変換装置の概略構成について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態による電力変換装置1の概略構成の一例を示すプロック図である。
(電力変換装置の概略構成)
図6に示すように、電力変換装置1は、図1の構成と比較して、直流電圧監視部123が監視するコンデンサ電圧Vc2の情報を初期充電信号生成部122へ入力するという点が追加されている。
(電力変換装置の動作)
本実施形態による電力変換装置1の動作について図7を用いて説明する。図7中の「Δt1」「Δt2」「Δt3」「Δt4」は、出力電圧V111aの電圧時間積の和が零となるように設定された正電圧パルス信号および負電圧パルス信号の組合せの合計パルス幅を示している。
図7中の「Vrp1」は、一次側ブリッジ回路112に印加される印加電圧の正側の定格電圧を示している。図7中の「Vrn1」は、一次側ブリッジ回路112に印加される印加電圧の負側の定格電圧を示している。
図7中の「Vc2(t20)」「Vc2(t22)」「Vc2(t24)」「Vc2(t26)」「Vc2(t28)」は、括弧内にて示された時刻におけるコンデンサ電圧Vc2を示している。
図7に示すように、電力変換装置1の動作が開始する前の時刻t20において、初期充電信号生成部122は、直流電圧監視部123が監視するコンデンサ電圧Vc2(t20)の情報を取得する。時刻t20では、コンデンサC2は充電されておらず、コンデンサ電圧Vc2(t20)は例えば0Vである。
その後、時刻t21において、電力変換装置1の動作が開始し、初期充電期間Tec2が開始される。初期充電信号生成部122は、時刻t21から開始される、1回目の正負電圧の組合せの合計パルス幅Δt1を、事前に取得した時刻t20におけるコンデンサ電圧Vc2(t20)に基づいて決定する。初期充電信号生成部122は、決定した合計パルス幅t1に基づいて、ゲート信号Sg11~Sg14を生成するための不監視回路制御信号Snm11~Snm14を生成する。
初期充電信号生成部122が、事前に取得したコンデンサ電圧Vc2(t20)から、正負電圧の組合せの合計パルス幅Δt1を決定する方法の一例として、初期充電期間Tec2における絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次側電流I111aの電流ピークが正の定格ピーク電流Ipp1及び負の定格ピーク電流Ipn1と同等とする方法がある。この方法の一例を以下説明する。
正負電圧の組合せの合計パルス幅Δt1~Δt4の各々は、複数の数で等分される。この例では、4等分される。初期充電信号生成部122は、最初の25%の期間に正電圧もしくは負電圧パルス信号、次の50%の期間に最初の25%の期間と逆極性のパルス信号、残りの25%の期間に最初の25%の期間と同極性のパルス信号が印加電圧V111aとして出力されるように、不監視回路制御信号Snm11~Snm14を生成する。
時刻t21から開始される、合計パルス幅Δt1の最初の25%の期間(Δt1/4)での正電圧パルス信号印加中において、絶縁トランス111の一次側に流れる一次側電流I111aの電流変化は、絶縁トランス111の漏れインダクタンス成分とインダクタLlおよびL2の和であるインダクタンスL、一次側定格電圧Vrp1、および事前に取得したコンデンサ電圧Vc2(t20)(=0V)から、下式にて計算できる。
[式1]
Δt1最初の25%期間における電流変化=(Vrp1-Vc2(t20))/L
=Vrp1/L
式1で表される電流変化を利用することで、一次側電流I111aの電流ピークと正の定格ピーク電流Ipp1が一致する正負電圧の組合せの合計パルス幅Δt1を、下式にて計算できる。
[式2]
Vrp1/L×Δt1/4=Ipp1
→ Δt1=4×Ipp1×L/Vrp1
式1および式2の計算は、初期充電信号生成部122により、時刻t20においてコンデンサ電圧Vc2(t20)を取得してから、時刻t21において1回目の正負電圧の組合せを出力するまでの間に実行される。
式2によって計算された合計パルス幅Δt1を持つ1回目の正負電圧の組合せを出力することで、コンデンサ電圧はVc2(t22)まで上昇する。
初期充電信号生成部122は、例えば1回目の正負電圧の組合せ出力終了と同時刻の時刻t22において、コンデンサ電圧Vc2(t22)を取得し、2回目の正負電圧の組合せの合計パルス幅Δt2を計算する。なお、コンデンサ電圧Vc2を取得するタイミングは、2回目の正負電圧の組合せ出力開始する時刻t23以前であればいつでもよい。
時刻t23から開始される、合計パルス幅Δt2の最初の25%期間(Δt2/4)での負電圧パルス信号印加中において、絶縁トランス111の一次側に流れる一次側電流I111aの電流変化は、下式にて計算できる。
[式3]
Δt2最初の25%期間における電流変化=-(Vrp1-Vc2(t22)/L
式3で表される電流変化を利用することで、一次側電流I111aの電流ピークと負の定格ピーク電流Ipn1が一致する正負電圧の組合せの合計パルス幅Δt2を、下式にて計算できる。
[式4]
-(Vrp1-Vc2(t22)/L×Δt2/4=Ipn1
→ Δt2=4×Ipp1×L/(Vrp1-Vc2(t22))
=Vrp1/(Vrp1-Vc2(t22))×Δt1
式3および式4の計算は、初期充電信号生成部122により、時刻t22においてコンデンサ電圧Vc2(t22)を取得してから、時刻t23において2回目の正負電圧の組合せを出力するまでの間に実行される。
式4によって計算された合計パルス幅Δt2を持つ2回目の正負電圧の組合せを出力することで、コンデンサ電圧はVc2(t24)まで上昇する。
本実施形態では、初期充電信号生成部122は、初期充電期間Tec2が終了するまでの間に正負電圧の組合せを出力する都度、上記の通り、コンデンサ電圧Vc2を事前に取得し、そのコンデンサ電圧Vc2を用いて、一次側電流I111aの電流ピークと定格ピーク電流Ipp1もしくはIpn1が同等となるように、正負電圧の組合せの合計パルス幅を計算により決定する。これにより、図7に示すように、初期充電期間Tec2の経過に伴ってコンデンサ電圧Vc2が上昇したとしても、絶縁トランス111の一次巻線に流れる一次電流I111aのピーク値は、定格ピーク電流Ipp1もしくはIpn1と同等となる。その結果、初期充電期間Tec2の短縮を図ることができ、電力変換装置1が所望の動作を開始するまでの時間を短縮させることができる。したがって、電力変換装置1は、一次側ブリッジ回路112に過電流が生じることを防止しながら、高速な初期充電を実現できる。
一方で、本実施形態では、初期充電信号生成部122は、初期充電期間Tec2において四則演算を使用することから、制御装置12の演算負荷が増加する可能性がある。制御装置12の演算負荷の増加を回避可能な、本実施形態の変形例を以下説明する。
<変形例>
本実施形態の変形例による電力変換装置について図6を参照しつつ図8を用いて説明する。
図8に示すように、本変形例による電力変換装置1では、コンデンサ電圧Vc2の基準電圧Vrに加えて、基準電圧Vr×3/3および基準電圧Vr×1/3が追加されている。なお、ここではVrを三等分した新たな基準電圧を追加しているが、追加する基準電圧は、任意の値及び任意の個数で設定されてもよい。
本変形例による電力変換装置1では、初期充電信号生成部122は、コンデンサ電圧Vc2の大きさに応じた3つの初期充電モードと、各初期充電モードに対応した合計パルス幅Δt=ta、tb、tcを有する正負電圧の組合せを生成する。
具体的には、コンデンサ電圧Vc2が0以上かつVr×1/3より小さい場合を初期充電モード1、Vr×1/3以上かつVr×2/3より小さい場合を初期充電モード2、Vr×2/3以上かつVrより小さい場合を初期充電モード3とする。
初期充電モード1に対応するパルス幅Δt=taの計算は、モード1でのコンデンサ電圧条件において一次側電流I111aのピーク値が最も大きくなる条件であるVc2=0V(モード1での最低コンデンサ電圧条件)を採用する。初期充電モード1に対応するパルス幅Δt=taは、式1から式4までの計算過程に準じて、
[式5]
ta=4×Ipp1×L/(Vrp1-0)
=4×lppl×L/Vrp1
により計算できる。
初期充電モード2および初期充電モード3に対応するパルス幅Δt=tb,tcの計算も、同様に、各モードでの最低コンデンサ電圧条件を用いることで一次側電流I111aのピーク値の最大ケースを想定する。初期充電モード2および初期充電モード3に対応するパルス幅Δt=tb,tcは、式1から式4までの計算過程に準じて、
[式6]
tb=4×Ipp1×L/(Vrp1-Vr×1/3)
tc=4×Ipp1×L/(Vrp1-Vr×2/3)
により計算できる。
以下、本変形例による電力変換装置1において、上記初期充電モード1~3および各初期充電モードに対応した合計パルス幅ta~tcを用いた、初期充電信号生成手法について説明する。
初期充電信号生成部122は、初期充電期間Tec2が開始される以前の時刻t20において、コンデンサ電圧Vc2(t20)の情報を取得する。時刻t20では、コンデンサC2は充電されておらず、コンデンサ電圧Vc2(t20)は例えば0Vである。
初期充電信号生成部122は、事前に取得したコンデンサ電圧Vc2(t20)(=0V)に基づいて、初期充電モード1であると判定し、対応する合計パルス幅taの正負電圧の組合せを、初期充電期間Tec2が開始される時刻t21から出力する。
初期充電信号生成部122は、例えば1回目の正負電圧の組合せ出力終了と同時刻の時刻t22において、コンデンサ電圧Vc2(t22)を取得し、2回目の正負電圧の組合せを決定するための初期充電モードを判定する。図8の場合、Vc2(t22)は未だVr×1/3より小さいため、1回目の正負電圧の組合せ出力時と変わらず初期充電モード1と判定する。初期充電信号生成部122は、初期充電モード1に対応した合計パルス幅taの正負電圧の組合せを、時刻t23から出力する。
本変形例による電力変換装置では、初期充電信号生成部122は、初期充電期間Tec2が終了するまでの間に正負電圧の組合せを出力する都度、上記の通り、コンデンサ電圧情報を事前に取得し、そのコンデンサ電圧情報を用いて、初期充電モードを判定し、判定した初期充電モードに対応した合計パルス幅の正負電圧の組合せを選択する。これにより、電力変換装置1は、一次側ブリッジ回路112に過電流の防止および高速な初期充電を、制御装置12の演算負荷を増やすことなく行うことができる。
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。上記実施形態による電力変換装置1は、二次側ブリッジ回路113に設けられたコンデンサC2の電圧を監視するように構成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、電力変換装置は、一次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサの電圧を監視する直流電圧監視部を備えていてもよい。この場合、当該電力変換装置に備えられた初期充電信号生成部は、二次側ブリッジ回路に不監視回路制御信号を出力し、一次側ブリッジ回路に被監視回路制御信号を出力する。これにより、電力変換装置1は、上記実施形態による電力変換装置1と同様の効果が得られる。
また、電力変換装置は、一次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサの電圧を監視する直流電圧監視部と、二次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサの電圧を監視する直流電圧監視部とを備えていてもよい。この場合、制御装置は、電力の授受を行う方向を指示する方向指令値が入力されるように構成される。
方向指令値が一次側ブリッジ回路から二次側ブリッジ回路に電力を供給する方向であることを示す情報を有している場合には、初期充電信号生成部は、一次側ブリッジ回路に不監視回路制御信号を出力し、二次側ブリッジ回路に被監視回路制御信号を出力する。また、2つの選択部の一方は、二次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサの電圧を監視する直流電圧監視部から出力される監視信号に基づいて、初期充電信号生成部から入力される不監視回路制御信号及び制御信号生成部から入力される制御信号の一方を選択して出力する。2つの選択部の他方は、二次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサの電圧を監視する直流電圧監視部から出力される監視信号に基づいて、初期充電信号生成部から入力される被監視回路制御信号及び制御信号生成部から入力される制御信号の一方を選択して出力する。
一方、方向指令値が二次側ブリッジ回路から一次側ブリッジ回路に電力を供給する方向であることを示す情報を有している場合には、初期充電信号生成部は、一次側ブリッジ回路に被監視回路制御信号を出力し、二次側ブリッジ回路に不監視回路制御信号を出力する。また、2つの選択部の一方は、一次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサの電圧を監視する直流電圧監視部から出力される監視信号に基づいて、初期充電信号生成部から入力される被監視回路制御信号及び制御信号生成部から入力される制御信号の一方を選択して出力する。2つの選択部の他方は、二次側ブリッジ回路に設けられたコンデンサの電圧を監視する直流電圧監視部から出力される監視信号に基づいて、初期充電信号生成部から入力される不監視回路制御信号及び制御信号生成部から入力される制御信号の一方を選択して出力する。
これにより、当該電力変換装置は、上記実施形態による電力変換装置1と同様の効果が得られる。
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
1 電力変換装置
2 一次側装置
3 二次側装置
11 絶縁型DC/DCコンバータ
12 制御装置
111 絶縁トランス
112 一次側ブリッジ回路
112a,113a ゲート駆動ユニット
113 二次側ブリッジ回路
121 制御信号生成部
122 初期充電信号生成部
123 直流電圧監視部
123a 比較器
123b 基準電圧生成部
124,125 選択部
a1,a2,b1,b2 接続部
C1,C2 コンデンサ
D11,D12,D13,D14,D21,D22,D23,D24 還流ダイオード
I111a 一次側電流
Ipn1,Ipp1 定格ピーク電流
L1,L2 インダクタ
N1 一次側負極ライン
N2 二次側負極ライン
P1 一次側正極ライン
P2 二次側正極ライン
Tec 初期充電期間
Q11,Q12,Q13,Q14,Q21,Q22,Q23,Q24 トランジスタ
Sc11,Sc12,Sc13,Sc14,Sc21,Sc22,Sc23,Sc24 制御信号
Sec11,Sec12,Sec13,Sec14,Sec21,Sec22,Sec23,Sec24Sg11,Sg12,Sg13,Sg14,Sg21,Sg22,Sg23,Sg24 ゲート信号
Sm 監視信号
Smc21,Smc22,Smc23,Smc24 被監視回路制御信号
Snm11,Snm12,Snm13,Snm14 不監視回路制御信号
Ss11,Ss12,Ss13,Ss14,Ss21,Ss22,Ss23,Ss24 選択信号
V111a,V111b 印加電圧
Vc1,Vc2 コンデンサ電圧
Vrn1,Vrp1,Vrn2,Vrp2 定格電圧
Vr 基準電圧

Claims (9)

  1. 絶縁トランス、前記絶縁トランスの一次側に設けられて少なくとも2つのスイッチ素子を有する一次側ブリッジ回路及び前記絶縁トランスの二次側に設けられて少なくとも2つのスイッチ素子を有する二次側ブリッジ回路を有する絶縁型直流/直流コンバータと、
    前記一次側ブリッジ回路及び前記二次側ブリッジ回路の少なくともの一方の直流電圧を監視する直流電圧監視部と、
    前記直流電圧監視部が監視する前記直流電圧が動作開始時の電圧から基準電圧よりも高くなるまでの初期充電期間において前記絶縁型直流/直流コンバータを制御するための初期充電用制御信号を生成する初期充電信号生成部と、
    を備え、
    前記初期充電信号生成部は、前記一次側ブリッジ回路及び前記二次側ブリッジ回路のうちの前記直流電圧監視部に前記直流電圧が監視される被監視ブリッジ回路を前記初期充電期間において制御するための被監視回路制御信号と、前記一次側ブリッジ回路及び前記二次側ブリッジ回路のうちの前記被監視ブリッジ回路ではない不監視ブリッジ回路を前記初期充電期間において制御するための不監視回路制御信号とを前記初期充電用制御信号として生成し、
    前記不監視回路制御信号は、前記不監視ブリッジ回路が出力する正極性出力電圧及び負極性出力電圧のそれぞれの電圧時間積の和が零となるようにパルス幅が設定されたパルス信号である
    電力変換装置。
  2. 前記初期充電信号生成部は、前記初期充電期間において前記不監視ブリッジ回路に過電流が流れない前記パルス幅を有し正電圧パルス信号及び負電圧パルス信号の組合せを一単位として構成された前記正極性出力電圧及び前記負極性出力電圧を生成可能な前記不監視回路制御信号を生成する
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記初期充電信号生成部は、前記初期充電期間において前記直流電圧監視部が監視する前記直流電圧に応じて、前記正電圧パルス信号及び前記負電圧パルス信号の組合せの合計パルス幅が変更するように、前記被監視回路制御信号を生成する、
    請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記初期充電信号生成部は、前記初期充電期間において前記直流電圧監視部が監視する前記直流電圧の情報を用いて、前記正電圧パルス信号及び負電圧パルス信号の組合せ合計パルス幅を計算する、
    請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記初期充電信号生成部は、
    前記直流電圧の大きさに応じた複数の初期充電モードと、各初期充電モードに対応した合計パルス幅が異なる前記正電圧パルス信号及び負電圧パルス信号の組合せを生成し、
    前記初期充電期間において前記直流電圧監視部が監視する前記直流電圧の大きさに従って、前記初期充電モードを判定し、
    前記初期充電モードの判定結果に従って、対応する合計パルス幅の前記正電圧パルス信号及び負電圧パルス信号の組合せが出力されるように前記不監視回路制御信号を生成する、
    請求項3に記載の電力変換装置。
  6. 前記初期充電信号生成部は、前記初期充電期間の一部において前記不監視ブリッジ回路に設けられた前記2つのスイッチ素子の双方をオフ状態とさせる前記不監視回路制御信号を生成する
    請求項1から5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  7. 前記初期充電信号生成部は、前記初期充電期間において前記被監視ブリッジ回路に設けられた前記少なくとも2つのスイッチ素子をオフ状態とさせる前記被監視回路制御信号を生成する
    請求項1から6までのいずれか一項に記載の電力変換装置。
  8. 前記初期充電信号生成部は、前記初期充電期間において、前記不監視回路制御信号と同一の電圧波形を有する前記被監視回路制御信号を生成する
    請求項1から6までのいずれか一項に記載の電力変換装置。
  9. 前記直流電圧監視部と、
    前記初期充電信号生成部と、
    前記初期充電期間が経過した後に前記絶縁型直流/直流コンバータを制御するための制御信号を生成する制御信号生成部と、
    前記直流電圧監視部から出力される出力信号の電圧レベルに基づいて、前記初期充電信号生成部から入力される前記不監視回路制御信号及び前記被監視回路制御信号と、前記制御信号生成部から入力される前記制御信号とのいずれか一方を選択して前記絶縁型直流/ 直流コンバータに出力する選択部と、
    を有する制御装置を備える
    請求項1から8までのいずれか一項に記載の電力変換装置。
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