(1)概要
一態様の電力変換システム1は、第1接続端子である接続部3と、第2接続端子である接続部15と、一次巻線19及び二次巻線21と、インバータ回路5と、コンバータ回路(サイクロコンバータ11)と、制御回路である制御部7とを有する(図1参照)。接続部3には、第1接続対象である直流電源17が接続される。接続部15には、第2接続対象である商用電力系統27が接続される。二次巻線21は一次巻線19に磁気結合される。インバータ回路5は、接続部3と一次巻線19との間に接続されて電力変換を行う。サイクロコンバータ11は、二次巻線21の両端間にブリッジ接続された複数の双方向スイッチ部35〜40を備える。制御部7は、一次巻線19に正及び負の電圧が交互に印加されるようにインバータ回路5を制御する。制御部7は、一次巻線19の電圧の極性が反転する反転期間を含む第1期間において、サイクロコンバータ11とインバータ回路5との間で電力の伝達が行われないようにサイクロコンバータ11を制御する。制御部7は、第1期間とは異なる第2期間において、サイクロコンバータ11からインバータ回路5に向かう第1方向又は第1方向とは逆の第2方向で電力の伝達が行われるようにサイクロコンバータ11を制御する。
本態様の電力変換システム1では、一次巻線19の電圧の極性が反転する反転期間を含む第1期間において、サイクロコンバータ11とインバータ回路5との間で電力の伝達が行わないようにサイクロコンバータ11が制御される。したがって、一次巻線19にかかる電圧の極性の反転を安定的に行うことができ、双方向スイッチ部35〜40のスイッチングによる電力損失を低減できる。よって、電力変換システム1において電力の変換効率を向上できる。ここにおいて、「接続」とは、電気的に導通した状態の接続を意味し、直接的な接続だけではなく、例えば電線などの導体を介した間接的な接続も含む。
(2)実施形態1
以下、実施形態1に係る電力変換システム(電力変換装置)について説明する。
電力変換装置の一次側に配置されたインバータ回路が、フルブリッジ型の場合、四つのスイッチング素子のオンオフを切り替えるタイミングを制御することにより、電力変換装置の二次側から出力される電圧の振幅を制御することができる。しかし、この場合、電力変換装置の二次側から電力を出力しない期間に、インバータ回路において、循環電流が発生する。循環電流は電力のロスとなる。そこで、一次側のインバータ回路において、循環電流が発生しないようにするために、本開示を創作するに至った。
(2.1)概要
図1を参照して、本開示の一態様に係る電力変換システム(電力変換装置)1は、
トランス9と、インバータ回路5と、三相交流用の接続部15(第2接続端子)と、第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35,37,39)と、第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36,38,40)と、制御部(制御回路)7と、を備える。
トランス9は、一次巻線19と一次巻線19と磁気結合される二次巻線21とを含む。インバータ回路5は、直流電源17からの直流電圧を交流電圧に変換し、変換した交流電圧を一次巻線19に供給する。三相交流用の接続部15は、商用電力系統27又は負荷29の少なくとも一方と電気的に接続可能な第1端15a、第2端15b、及び、第3端15cを含む。第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35,37,39)は、二次巻線21の第1端21aと接続部15の第1端15aとの間、二次巻線21の第1端21aと接続部15の第2端15bとの間、及び、二次巻線21の第1端21aと接続部15の第3端15cとの間に、それぞれ、挿入されている。第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36,38,40)は、二次巻線21の第2端21bと接続部15の第1端15aとの間、二次巻線21の第2端21bと接続部15の第2端15bとの間、及び、二次巻線21の第2端21bと接続部15の第3端15cとの間に、それぞれ、挿入されている。第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36,38,40)は、第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35,37,39)と直列に接続されている。制御部7は、接続部15から出力される出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。図1及び図3を参照して、制御部7は、第1タイミング及び第2タイミングをシフトさせることにより、出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。第1タイミングとは、二次巻線21の電圧(トランス電圧V1)が正である正極性期間において、第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35,37,39)、及び、第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36,38,40)を含む回路(サイクロコンバータ11)を流れる電流が、第2双方向スイッチ部を流れる状態から第1双方向スイッチ部に流れる状態に切り替わるタイミングである。第1タイミングは、例えば、図5の時間t3から時間t4に切り替わるタイミング、図6の時間t2から時間t3に切り替わるタイミングである。第2タイミングとは、正極性期間に続く二次巻線21の電圧が負である負極性期間において、その回路(サイクロコンバータ11)を流れる電流が、第1双方向スイッチ部を流れる状態から第2双方向スイッチ部に流れる状態に切り替わるタイミングである。第2タイミングは、例えば、図5の時間t11から時間t12、図6の時間t10から時間t11である。なお、二次巻線21の電圧(トランス電圧V1)が正であるとは、二次巻線21の第2端21bに比べて第1端21aの電位が高い状態をいう。
本開示の一態様に係る電力変換システム1によれば、電力変換システム1の二次側に配置された、第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35,37,39)、及び、第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36,38,40)を制御することによって、接続部15から出力される出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。このため、一次側のインバータ回路5では、出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御するための処理が不要となる(インバータ回路5を構成するスイッチング素子S1,S2,S3,S4を駆動させる信号の位相を固定できる)。制御部7は、一次側のインバータ回路5の上記位相を固定した状態で、第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35,37,39)、及び、第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36,38,40)を制御して上記振幅を制御するので、一次側のインバータ回路5に循環電流が発生しないようにすることができる。
以下では、双方向スイッチ部35と双方向スイッチ部36との組み合わせを例にして説明するが、双方向スイッチ部37と双方向スイッチ部38との組み合わせ、及び、双方向スイッチ部39と双方向スイッチ部40との組み合わせに対しても、同じことが言える。
第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35)、及び、第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36)の一例は、以下の通りである。図1を参照して、第1双方向スイッチ部、及び、第2双方向スイッチ部は、それぞれ、第1スイッチ部(スイッチ部S5P,S6P)と、第1スイッチ部と直列に接続された第2スイッチ部(スイッチ部S5N,S6N)と、を含む。
第1スイッチ部、及び、第2スイッチ部の一例は、以下の通りである。図1を参照して、第1スイッチ部(スイッチ部S5P,S6P)がオン状態のとき、第1スイッチ部は、二次巻線21から接続部15(第2接続端子)への方向、及び、接続部15(第2接続端子)から二次巻線21への方向に対して導通状態となる。第1スイッチ部がオフ状態のとき、第1スイッチ部は、二次巻線21から接続部15への方向に対して非導通状態となり、かつ、接続部15から二次巻線21への方向に対して導通状態となる。第2スイッチ部(スイッチ部S5N,S6N)がオン状態のとき、第2スイッチ部は、二次巻線21から接続部15への方向、及び、接続部15から二次巻線21への方向に対して導通状態となる。第2スイッチ部がオフ状態のとき、第2スイッチ部は、二次巻線21から接続部15への方向に対して導通状態となり、かつ、接続部15から二次巻線21への方向に対して非導通状態となる。
第1タイミング、及び、第2タイミングをシフトさせる制御の一例は、以下の通りである。図1及び図4を参照して、制御部7は、第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S5P)をオンオフさせる駆動信号の位相、第1双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S5N)をオンオフさせる駆動信号の位相、第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S6P)をオンオフさせる駆動信号の位相、及び、第2双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S6N)をオンオフさせる駆動信号の位相をシフトさせることにより、第1タイミング、及び、第2タイミングをシフトさせる。
上記構成において、図1及び図4を参照して、制御部7は、正極性期間(トランス電圧V1が正の期間)において、第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S5P)をオフからオンに切り替えてから第1所定期間が経過した後、第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S6P)をオンからオフに切り替える。制御部7は、正極性期間において、第1双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S5N)をオフからオンに切り替えてから第2所定期間が経過した後、第2双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S6N)をオンからオフに切り替える。制御部7は、負極性期間(トランス電圧V1が負の期間)において、第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S6P)をオフからオンに切り替えてから第3所定期間が経過した後、第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S5P)をオンからオフに切り替える。制御部7は、負極性期間において、第2双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S6N)をオフからオンに切り替えてから第4所定期間が経過した後、第1双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S5N)をオンからオフに切り替える。
この構成は、電力変換システム1の二次側で発生した戻り電流の対策である。戻り電流は、断線などが原因で、電流が本来流れる向きに流れることができず、逆方向に流れる電流である。戻り電流が流れる経路が確保されなければ、回路が破壊するおそれがある。
この構成によれば、制御部7は、第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S5P)と第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S6P)とのオン期間の一部を重複させる制御をする。よって、これらの第1スイッチ部の両方がオフ状態の期間を回避できる。同様に、制御部7は、第1双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S5N)と第2双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S6N)とのオン期間の一部を重複させる制御をする。よって、これらの第2スイッチ部の両方がオフ状態の期間を回避できる。以上により、電力変換システム1の二次側において、トランス9の二次巻線21への経路が常に確保できる。従って、電力変換システム1の二次側で戻り電流が発生したとき、その電流が正電流、負電流のいずれの場合でも、戻り電流が流れる経路を確保することができる。ここにおいて、二次巻線21からコイル41を通り、接続部15へ流れる電流を正電流といい、接続部15からコイル41を通り、二次巻線21へ流れる電流を負電流という。
上記構成において、図1及び図4を参照して、制御部7は、正極性期間(トランス電圧V1が正の期間)において、第2双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S6N)をオンからオフに切り替えてから第5所定期間が経過した後、第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S5P)をオフからオンに切り替える。制御部7は、負極性期間(トランス電圧V1が負の期間)において、第1双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S5N)をオンからオフに切り替えてから第6所定期間が経過した後、第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S6P)をオフからオンに切り替える。
正極性期間において、二次巻線21を流れる電流の向きが、二次巻線21の第1端21aから第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35)へ至る方向とする。第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S5P)と第2双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S6N)とが同時にオン状態であれば、二次巻線21から接続部15へ流すべき電流は、二次巻線21の第1端21aから第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35)、第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36)を通り、二次巻線21の第2端21bへ流れてしまう。
同様に、負極性期間において、二次巻線21を流れる電流の向きが、二次巻線21の第2端21bから第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36)へ至る方向とする。第1双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S5N)と第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S6P)とが同時にオン状態であれば、二次巻線21から接続部15へ流すべき電流は、二次巻線21の第2端21bから第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36)、第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35)を通り、二次巻線21の第1端21aへ流れてしまう。
この構成によれば、正極性期間のとき、第2双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S6N)をオンからオフに切り替えてから第5所定期間が経過した後、第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S5P)をオフからオンに切り替える。よって、これらのスイッチ部が同時にオン状態となることを防止できる。同様に、この構成によれば、負極性期間のとき、第1双方向スイッチ部の第2スイッチ部(スイッチ部S5N)をオンからオフに切り替えてから第6所定期間が経過した後、第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部(スイッチ部S6P)をオフからオンに切り替える。よって、これらのスイッチ部が同時にオン状態となることを防止できる。
上記構成において、図1及び図3を参照して、制御部7は、一次巻線19に電流が流れていない状態(デッドタイムT1)のとき、それぞれの第1双方向スイッチ部(双方向スイッチ部35,37,39)の第1スイッチ部(スイッチ部S5P,S7P,S9P)、及び、第2スイッチ部(スイッチ部S5N,S7N,S9N)をオン状態にさせ、かつ、それぞれの第2双方向スイッチ部(双方向スイッチ部36,38,40)の第1スイッチ部(スイッチ部S6P,S8P,S10P)、及び、第2スイッチ部(スイッチ部S6N,S8N,S10N)をオフ状態にする制御をし、又は、それぞれの第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部、及び、第2スイッチ部をオフ状態にさせ、かつ、それぞれの第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部、及び、第2スイッチ部をオン状態にする制御をする。
それぞれの第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部、及び、第2スイッチ部がオン状態であり、かつ、それぞれの第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部、及び、第2スイッチ部がオフ状態である場合、又は、それぞれの第1双方向スイッチ部の第1スイッチ部、及び、第2スイッチ部がオフ状態であり、かつ、それぞれの第2双方向スイッチ部の第1スイッチ部、及び、第2スイッチ部がオン状態である場合、電力変換システム1の二次側で電流を循環させつつ、トランス9の二次巻線21に電流が流れないようにすることができる。
トランス9の一次巻線19に電流が流れていない状態(言い換えれば、一次側のデッドタイムT1)のとき、電力変換システム1の二次側の電流がトランス9の二次巻線21に流れると、電流の損失が大きくなる。この構成によれば、一次巻線19に電流が流れていない状態のとき、二次側で電流を循環させつつ、二次巻線21に電流が流れないようにすることができる。
(2.2)詳細
以下、図面に基づいて実施形態1に係る電力変換システム1を詳細に説明する。図1は、実施形態1に係る電力変換システム1の回路図である。電力変換システム1は、接続部3、インバータ回路5、制御部7、トランス9、サイクロコンバータ11、フィルタ回路13、及び、接続部15を備えるパワーコンディショナである。
第1接続端子である接続部3は、直流電源17(第1接続対象)の正極と電気的に接続される第1端3aと、直流電源17の負極と電気的に接続される第2端3bとを備える。以下、「電気的に接続」を単に「接続」と記載する。直流電源17として、蓄電池を例にしているが、他の直流電源(例えば、太陽電池、燃料電池)についても、実施形態に適用することができる。
直流電源17の電力は、接続部3を介して、インバータ回路5に供給される。インバータ回路5は、高周波インバータであり、直流電源17から供給された直流電圧を高周波電圧(交流電圧)に変換する。
インバータ回路5は、4個のスイッチング素子S1,S2,S3,S4がブリッジ接続された構成を有するフルブリッジ型の回路である。スイッチング素子S1,S2,S3,S4として、N型MOS電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を例にしているが、フルブリッジ型の回路を構成できるスイッチング素子であればよく、例えば、npn型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタが採用されてもよい。
制御部7は、スイッチング素子S1,S4をオン制御しているときに、スイッチング素子S2,S3をオフ制御し、スイッチング素子S1,S4をオフ制御しているときに、スイッチング素子S2,S3をオン制御する。つまり、制御部7は、一次巻線19に正及び負の電圧が交互に印加されるようにインバータ回路5を制御する。
インバータ回路5は、4個の還流ダイオードD1,D2,D3,D4を備える。還流ダイオードD1は、所定の向きの電流が流れるように、スイッチング素子S1のドレインとソースとに接続されている。所定の向きの電流とは、スイッチング素子S1がオン状態のときにスイッチング素子S1に流れる電流と逆向きの電流である。これと同様にして、還流ダイオードD2がスイッチング素子S2のドレインとソースとに接続され、還流ダイオードD3がスイッチング素子S3のドレインとソースとに接続され、還流ダイオードD4がスイッチング素子S4のドレインとソースとに接続されている。
インバータ回路5は、電解コンデンサ31及びコンデンサ33を備える。電解コンデンサ31の一端は、接続部3の第1端3aと接続され、電解コンデンサ31の他端は、接続部3の第2端3bと接続されている。コンデンサ33の一端は、スイッチング素子S1のソース、及び、スイッチング素子S2のドレインと接続され、コンデンサ33の他端は、スイッチング素子S3のソース、及び、スイッチング素子S4のドレインと接続されている。コンデンサ33は、インバータ回路5のソフトスイッチングを実現するために設けられている。ソフトスイッチングにより、スイッチング素子S1,S2,S3,S4のスイッチング損失を低減できる。
トランス9は、高周波トランスである。トランス9は、一次巻線19と、一次巻線19と磁気結合される二次巻線21とを備える。一次巻線19の第1端19aと第2端19bとは、インバータ回路5の出力端子と接続されている。二次巻線21の第1端21aと第2端21bとは、サイクロコンバータ11の入力端子と接続されている。
トランス9は、インバータ回路5とサイクロコンバータ11とを絶縁し、電力供給モードのとき、インバータ回路5から一次巻線19に供給された高周波電圧を、サイクロコンバータ11に供給し、電力回生モードのとき、サイクロコンバータ11から二次巻線21に供給された電圧を、インバータ回路5に供給する。
サイクロコンバータ11は、トランス9から供給された高周波電圧を、直接、商用の三相交流電圧に変換する直接交流コンバータである。
サイクロコンバータ11は、6個の双方向スイッチ部35〜40を備える。双方向スイッチ部35の第1端35a、双方向スイッチ部37の第1端37a、及び、双方向スイッチ部39の第1端39aは、二次巻線21の第1端21aと接続されている。
双方向スイッチ部35の第2端35bは、接続部15の第1端15aと接続されている。双方向スイッチ部37の第2端37bは、接続部15の第2端15bと接続されている。双方向スイッチ部39の第2端39bは、接続部15の第3端15cと接続されている。
このように、二次巻線21の第1端21aと接続部15の第1端15aとの間に、双方向スイッチ部35が挿入されている。二次巻線21の第1端21aと接続部15の第2端15bとの間に、双方向スイッチ部37が挿入されている。二次巻線21の第1端21aと接続部15の第3端15cとの間に、双方向スイッチ部39が挿入されている。
双方向スイッチ部36の第1端36a、双方向スイッチ部38の第1端38a、双方向スイッチ部40の第1端40aは、二次巻線21の第2端21bと接続されている。
双方向スイッチ部36の第2端36bは、接続部15の第1端15aと接続されている。双方向スイッチ部38の第2端38bは、接続部15の第2端15bと接続されている。双方向スイッチ部40の第2端40bは、接続部15の第3端15cと接続されている。
このように、二次巻線21の第2端21bと接続部15の第1端15aとの間に、双方向スイッチ部36が挿入されている。二次巻線21の第2端21bと接続部15の第2端15bとの間に、双方向スイッチ部38が挿入されている。二次巻線21の第2端21bと接続部15の第3端15cとの間に、双方向スイッチ部40が挿入されている。
双方向スイッチ部35,37,39は、それぞれ、第1双方向スイッチ部として機能する。双方向スイッチ部36,38,40は、それぞれ、第2双方向スイッチ部として機能する。換言すると、双方向スイッチ部は第1双方向スイッチ部(35,37,39)と第2双方向スイッチ部(36,38,40)とを含む。第1双方向スイッチ部(35,37,39)は、二次巻線21の第1端21aと、第2接続端子15が有する複数の端子(第1端15a、第2端15b、第3端15c)との間にそれぞれ挿入されている。第2双方向スイッチ部(36,38,40)は、二次巻線21の第2端21bと、第2接続端子15が有する複数の端子(第1端15a、第2端15b、第3端15c)との間にそれぞれ挿入されている。ここにおいて、「端子」は、電線等を接続するための部品でなくてもよく、例えば、電子部品のリードや、回路基板に含まれる導体の一部であってもよい。
双方向スイッチ部35の第2端35bと双方向スイッチ部36の第2端36bとが接続されることにより、双方向スイッチ部35と双方向スイッチ部36とは、直列接続されている。双方向スイッチ部37の第2端37bと双方向スイッチ部38の第2端38bとが接続されることにより、双方向スイッチ部37と双方向スイッチ部38とは、直列接続されている。双方向スイッチ部39の第2端39bと双方向スイッチ部40の第2端40bとが接続されることにより、双方向スイッチ部39と双方向スイッチ部40とは、直列接続されている。
双方向スイッチ部35の構成を詳しく説明する。図2は、この構成を示す回路図である。双方向スイッチ部35は、スイッチ部S5Pとスイッチ部S5Nとを備える。スイッチ部S5Pは、スイッチング素子S5−1とダイオードD5−1とを備える。スイッチ部S5Nは、スイッチング素子S5−2とダイオードD5−2とを備える。スイッチング素子S5−1,S5−2として、N型MOS電界効果トランジスタを例にしているが、双方向スイッチ部35を構成できるスイッチング素子であればよく、例えば、npn型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタが採用されてもよい。
スイッチング素子S5−1のソースとダイオードD5−1のアノードとが接続されている。この接続箇所を双方向スイッチ部35の第2端35bとする。スイッチング素子S5−2のソースとダイオードD5−2のアノードとが接続されている。この接続箇所を双方向スイッチ部35の第1端35aとする。
スイッチング素子S5−1のドレイン、ダイオードD5−1のカソード、スイッチング素子S5−2のドレイン、ダイオードD5−2のカソードとは、相互に接続されている。
図1を参照して、双方向スイッチ部36は、スイッチ部S6Pとスイッチ部S6Nとを備える。双方向スイッチ部37は、スイッチ部S7Pとスイッチ部S7Nとを備える。双方向スイッチ部38は、スイッチ部S8Pとスイッチ部S8Nとを備える。双方向スイッチ部39は、スイッチ部S9Pとスイッチ部S9Nとを備える。双方向スイッチ部40は、スイッチ部S10Pとスイッチ部S10Nとを備える。双方向スイッチ部36〜40の構成は、双方向スイッチ部35の構成と同じである。スイッチ部S6P〜S10Pは、スイッチ部S5Pと対応する。スイッチ部S6N〜S10Nは、スイッチ部S5Nと対応する。
スイッチ部S5P,S6P,S7P,S8P,S9P,S10Pは、第1スイッチ部として機能する。第1スイッチ部がオン状態のとき、第1スイッチ部は、二次巻線21から接続部15への方向、及び、接続部15から二次巻線21への方向に対して導通状態となる。第1スイッチ部がオフ状態のとき、第1スイッチ部は、二次巻線21から接続部15への方向に対して非導通状態となり、かつ、接続部15から二次巻線21への方向に対して導通状態となる。
スイッチ部S5N,S6N,S7N,S8N,S9N,S10Nは、第2スイッチ部として機能する。第2スイッチ部がオン状態のとき、第2スイッチ部は、二次巻線21から接続部15への方向、及び、接続部15から二次巻線21への方向に対して導通状態となる。第2スイッチ部がオフ状態のとき、第2スイッチ部は、二次巻線21から接続部15への方向に対して導通状態となり、かつ、接続部15から二次巻線21への方向に対して非導通状態となる。
制御部7は、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6N,S7P,S7N,S8P,S8N,S9P,S9N,S10P,S10Nのオンオフ制御をすることによって、接続部15から出力される出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。詳しくは、後で説明する。
フィルタ回路13は、サイクロコンバータ11と接続部15との間に挿入されている。フィルタ回路13は、コイル41,43,45とコンデンサ47,49,51とを備える。コンデンサ47の一端は、接続部15の第1端15aと接続され、コンデンサ47の他端は、接続部15の第2端15bと接続されている。コンデンサ49の一端は、接続部15の第2端15bと接続され、コンデンサ49の他端は、接続部15の第3端15cと接続されている。コンデンサ51の一端は、接続部15の第1端15aと接続され、コンデンサ51の他端は、接続部15の第3端15cと接続されている。
コイル41,43,45は、コンデンサ47,49,51よりも、サイクロコンバータ11側に配置されている。コイル41,43,45は、交流リアクトルである。コイル41の一端は、第1端15aと接続されており、コイル41の他端は、双方向スイッチ部35の第2端35b、及び、双方向スイッチ部36の第2端36bと接続されている。コイル43の一端は、第2端15bと接続されており、コイル43の他端は、双方向スイッチ部37の第2端37b、及び、双方向スイッチ部38の第2端38bと接続されている。コイル45の一端は、第3端15cと接続されており、コイル45の他端は、双方向スイッチ部39の第2端39b、及び、双方向スイッチ部40の第2端40bと接続されている。
フィルタ回路13は、サイクロコンバータ11から出力された交流信号(交流電圧又は交流電流)を平滑化する。これにより、サイクロコンバータ11から出力された矩形波の交流信号(交流電圧又は交流電流)が、パルス幅に応じた振幅を持つ正弦波状の交流信号(交流電圧又は交流電流)に変換される。
接続部15(第2接続端子)は、第2接続対象である商用電力系統27又は負荷29のいずれか一方と電気的に接続可能な第1端15a、第2端15b、及び、第3端15cを含むスイッチである。第1端15aは、U相用の端子となる。第2端15bは、V相用の端子となる。第3端15cは、W相用の端子となる。負荷29は、力率が1となる抵抗負荷や、力率が1と異なる誘導性負荷や容量性負荷である。直流電源17から商用電力系統27に電力を供給するとき(売電)や、直流電源17を充電するとき、接続部15と商用電力系統27とが接続される。直流電源17から負荷29(例えば、家電製品)に電力を供給するとき、接続部15と負荷29とが接続される。
実施形態に係る電力変換システム1の動作について説明する。図3は、この動作を説明するタイムチャートである。電力変換システム1の動作には、直流電源17からの電力を、商用電力系統27又は負荷29に供給する電力供給モード(インバータモード)と、商用電力系統27又は負荷29からの電力を直流電源17に回生する電力回生モード(コンバータモード)とがある。電力変換システム1が電力供給モードであるか、電力回生モードであるかは、負荷29の力率や商用電力系統27の電圧値に応じて決まる。従って、電力供給モード、電力回生モードのいずれのモードでも、電力変換システム1は、図3に示す動作をする。
図1及び図3を参照して、制御部7は、スイッチング素子S1〜S4の駆動信号(一次側駆動信号)を生成する。スイッチング素子S1の駆動信号が立ち上がると、スイッチング素子S1がオンし、スイッチング素子S1の駆動信号が立ち下がると、スイッチング素子S1がオフする。同様に、スイッチング素子S2〜S4の駆動信号が立ち上がると、スイッチング素子S2〜S4がオンし、スイッチング素子S2〜S4の駆動信号が立ち下がると、スイッチング素子S2〜S4がオフする。
制御部7は、スイッチング素子S1,S4の駆動信号の位相を同じにする。これにより、スイッチング素子S1,S4がオンオフするタイミングは、常に同じとなる。制御部7は、スイッチング素子S2,S3の駆動信号の位相を同じにする。これにより、スイッチング素子S2,S3がオンオフするタイミングは、常に同じとなる。
制御部7は、スイッチング素子S1,S4の駆動信号が立ち下がるタイミングからスイッチング素子S2,S3が立ち上がるタイミングまでに一定期間を設ける。制御部7は、スイッチング素子S2,S3の駆動信号が立ち下がるタイミングからスイッチング素子S1,S4が立ち上がるタイミングまでに一定期間を設ける。いわゆるデッドタイムT1が設けられる。これは、スイッチング素子S1,S2の両方がオン状態となれば、インバータ回路5でショートが発生するからである。スイッチング素子S3,S4の両方がオン状態となる場合も同様である。
トランス電圧V1は、トランス9の二次巻線21の電圧を示す。
制御部7は、双方向スイッチ部35、及び、双方向スイッチ部36の組み合わせによって、U相を制御する。制御部7は、双方向スイッチ部37、及び、双方向スイッチ部38の組み合わせによって、V相を制御する。制御部7は、双方向スイッチ部39、及び、双方向スイッチ部40の組み合わせによって、W相を制御する。以下、詳しく説明する。
制御部7は、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの駆動信号(二次側駆動信号)を生成する。スイッチ部S5Pの駆動信号が立ち上がると、スイッチ部S5Pがオンする(言い換えれば、図2のスイッチング素子S5−1がオンする)。スイッチ部S5Pの駆動信号が立ち下がると、スイッチ部S5Pがオフする(言い換えれば、図2のスイッチング素子S5−1がオフする)。
同様に、スイッチ部S5N,S6P,S6Nの駆動信号が立ち上がると、スイッチ部S5N,S6P,S6Nがオンする。スイッチ部S5N,S6P,S6Nの駆動信号が立ち下がると、スイッチ部S5N,S6P,S6Nがオフする。
制御部7は、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nをオンさせるタイミングをシフトさせることにより、接続部15から出力されるU相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
制御部7は、スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nの駆動信号(二次側駆動信号)を生成する。スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nの駆動信号が立ち上がると、スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nがオンする。スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nの駆動信号が立ち下がると、スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nがオフする。
制御部7は、スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nをオンさせるタイミングをシフトさせることにより、接続部15から出力されるV相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
制御部7は、スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号(二次側駆動信号)を生成する。スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号が立ち上がると、スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nがオンする。スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号が立ち下がると、スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nがオフする。
制御部7は、スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nをオンさせるタイミングをシフトさせることにより、接続部15から出力されるW相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
三角波W1は、スイッチング素子S1〜S4の駆動信号、及び、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6N,S7P,S7N,S8P,S8N,S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号の生成に用いられる。制御部7は、三角波W1を基にして、所望の値のデューティを有する、これらの駆動信号を生成する。
U相の駆動信号群(スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの駆動信号)の位相を遅らせたのが、V相の駆動信号群(スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nの駆動信号)である。U相の駆動信号群の位相をさらに遅らせたのが、W相の駆動信号群(スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号)である。従って、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nと、スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nと、スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nとは、同様の動作をする。スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nを例にして、これらのスイッチ部の動作を説明する。
図4は、本実施形態において、スイッチング素子S1〜S4の駆動信号、トランス電圧V1(二次巻線21の電圧)、並びに、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの駆動信号のタイムチャートである。図5は、U相が正電流の場合に、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの動作を示すシーケンス図である。正電流は、二次巻線21からコイル41を通り、接続部15へ流れる。図5中の「+」は、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nによって構成される回路において、電位が高い側を示す。
図4及び図5を参照して、時間t0は、三角波W1が立ち下がりから立ち上がりに切り替わるタイミングである。時間t1は、スイッチング素子S1,S4がオンするタイミングである。時間t1は、時間t0を基準にすると、デッドタイムT1×(1/2)となる。
時間t1において、スイッチ部S5P,S5Nがオフ状態であり、かつ、スイッチ部S6P,S6Nがオン状態である。スイッチ部S6P(第1スイッチ部)、及び、スイッチ部S6N(第2スイッチ部)がオン状態のとき、これらのスイッチ部は、二次巻線21から接続部15への方向に対して導通状態となる。スイッチ部S5N(第2スイッチ部)がオフ状態のとき、スイッチ部S5Nは、二次巻線21から接続部15への方向に対して導通状態となる。スイッチ部S5P(第1スイッチ部)がオフ状態のとき、スイッチ部S5Pは、二次巻線21から接続部15への方向に対して非導通状態となる。従って、正電流は、スイッチ部S5N,S5Pを通らずに、スイッチ部S6N,S6Pを通り、コイル41へ向かう。
時間t2において、スイッチ部S5Nは、オンとなる。従って、時間t2において、スイッチ部S5Pがオフ状態であり、かつ、スイッチ部S5N,S6P,S6Nがオン状態である。スイッチ部S5P(第1スイッチ部)がオフ状態なので、スイッチ部S5Pは、二次巻線21から接続部15への方向に対して非導通状態である。このため、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t3において、スイッチ部S6Nは、オフとなる。従って、時間t3において、スイッチ部S5P,S6Nがオフ状態であり、かつ、スイッチ部S5N,S6Pがオン状態である。スイッチ部S6N(第2スイッチ部)がオフ状態のとき、スイッチ部S6Nは、二次巻線21から接続部15への方向に対して導通状態となる。このため、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t4において、スイッチ部S5Pは、オンとなる。従って、時間t4において、スイッチ部S6Nがオフ状態であり、かつ、スイッチ部S5P,S5N,S6Pがオン状態である。スイッチ部S5P(第1スイッチ部)がオン状態のとき、スイッチ部S5Pは、二次巻線21から接続部15への方向に対して導通状態となる。スイッチ部S5N側の電位が高く、かつ、スイッチ部S5P,S5N,S6Pがオン状態である。このため、スイッチ部S6Nが逆バイアス状態となる。これにより、正電流が流れる経路が変化する。すなわち、正電流は、スイッチ部S6N,S6Pを通らずに、スイッチ部S5N,S5Pを通り、コイル41へ向かう。
時間t5において、スイッチ部S6Pは、オフとなる。従って、時間t5において、スイッチ部S6P,S6Nがオフ状態であり、かつ、スイッチ部S5P,S5Nがオン状態である。スイッチ部S5N側の電位が高く、かつ、スイッチ部S5P,S5Nがオン状態であり、かつ、スイッチ部S6Pが順バイアス状態である。このため、スイッチ部S6Nが逆バイアス状態となる。従って、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t6は、三角波W1のサイクルの四分の一である。時間t6は、スイッチング素子S1,S4がオン状態の期間の真ん中である。従って、スイッチング素子S1,S4が立ち上がるタイミングから時間t6までの長さと、時間t6からスイッチング素子S1,S4が立ち下がるタイミングまでの長さとは、同じである。時間t6でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、時間t5でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。従って、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t7は、スイッチング素子S1,S4がオフするタイミングである。時間t7は、三角波W1のサイクル×(1/2)−デッドタイムT1×(1/2)となる。時間t8は、三角波W1のサイクル×(1/2)となる。時間t7,t8でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、時間t5でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。従って、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t9は、スイッチング素子S2,S3がオンするタイミングである。時間t7から時間t9までの期間が、デッドタイムT1となる。時間t9でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、時間t5でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。従って、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t10において、スイッチ部S6Nは、オンする。従って、時間t10において、スイッチ部S6Pがオフ状態であり、かつ、スイッチ部S5P,S5N,S6Nがオン状態である。スイッチ部S6P(第1スイッチ部)がオフ状態なので、スイッチ部S6Pは、二次巻線21から接続部15への方向に対して非導通状態である。従って、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t11において、スイッチ部S5Nは、オフする。従って、時間t11において、スイッチ部S5N,S6Pがオフ状態であり、かつ、スイッチ部S5P,S6Nがオン状態である。スイッチ部S5N(第2スイッチ部)がオフ状態のとき、スイッチ部S5Nは、二次巻線21から接続部15への方向に対して導通状態である。従って、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t12において、スイッチ部S6Pは、オンとなる。従って、時間t12において、スイッチ部S5Nがオフ状態であり、かつ、スイッチ部S5P,S6P,S6Nがオン状態である。スイッチ部S6N側の電位が高く、かつ、スイッチ部S6P,S6Nがオン状態である。このため、正電流が流れる経路が変化する。すなわち、正電流は、スイッチ部S5N,S5Pを通らずに、スイッチ部S6N,S6Pを通り、コイル41へ向かう。
時間t13において、スイッチ部S5Pは、オフとなる。従って、時間t13において、スイッチ部S5P,S5Nがオフ状態であり、かつ、スイッチ部S6P,S6Nがオン状態である。スイッチ部S6N側の電位が高く、かつ、スイッチ部S6P,S6Nがオン状態である。このため、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t14は、三角波W1のサイクルの四分の三である。時間t14は、スイッチング素子S2,S3がオン状態の期間の真ん中である。従って、スイッチング素子S2,S3が立ち上がるタイミングから時間t14までの長さと、時間t14からスイッチング素子S2,S3が立ち下がるタイミングまでの長さとは、同じである。時間t14でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、時間t13でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。従って、正電流が流れる経路は、変化しない。
時間t15は、スイッチング素子S2,S3がオフするタイミングである。時間t15は、三角波W1のサイクル−デッドタイムT1×(1/2)となる。時間t15でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、時間t13でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。従って、正電流が流れる経路は、変化しない。
以上が、U相が正電流の場合において、三角波W1が1サイクルでのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの動作である。
次に、U相が負電流の場合について説明する。図6は、U相が負電流の場合に、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの動作を示すシーケンス図である。負電流は、接続部15からコイル41を通り、二次巻線21へ流れる。
図4及び図6を参照して、時間t1でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t1でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。スイッチ部S6P(第1スイッチ部)、及び、スイッチ部S6N(第2スイッチ部)がオン状態のとき、これらのスイッチ部は、接続部15から二次巻線21への方向に対して導通状態となる。スイッチ部S5N(第2スイッチ部)がオフ状態のとき、スイッチ部S5Nは、接続部15から二次巻線21への方向に対して非導通状態となる。スイッチ部S5P(第1スイッチ部)がオフ状態のとき、スイッチ部S5Pは、接続部15から二次巻線21への方向に対して導通状態となる。従って、負電流は、スイッチ部S5P,S5Nを通らずに、スイッチ部S6P,S6Nを通り、二次巻線21へ向かう。
時間t2でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t2でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。時間t2では、スイッチ部S5N(第2スイッチ部)がオン状態であるが、スイッチ部S5N側の電位が高く、スイッチ部S6N側の電位が低い。負電流は、電位が低い側に流れるので、負電流が流れる経路は、変化しない。
時間t3でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t3でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。スイッチ部S6N(第2スイッチ部)がオフ状態のとき、スイッチ部S6Nは、接続部15から二次巻線21への方向に対して非導通状態となる。このため、負電流が流れる経路が変化する。すなわち、負電流は、スイッチ部S6P,S6Nを通らずに、スイッチ部S5P,S5Nを通り、二次巻線21へ向かう。
時間t4でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t4でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。スイッチ部S6Nがオフ状態なので、負電流が流れる経路は、変化しない。
時間t5でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t5でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。スイッチ部S6Nがオフ状態なので、負電流が流れる経路は、変化しない。
時間t9でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t9でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。スイッチ部S6Nがオフ状態なので、負電流が流れる経路は、変化しない。
時間t10でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t10でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。スイッチ部S6Nがオン状態であるが、スイッチ部S6N側の電位が高く、スイッチ部S5N側の電位が低い。負電流は、電位が低い側に流れるので、負電流が流れる経路は、変化しない。
時間t11でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t11でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。スイッチ部S5N(第2スイッチ部)がオフ状態のとき、スイッチ部S5Nは、接続部15から二次巻線21への方向に対して非導通状態となる。このため、負電流が流れる経路が変化する。すなわち、負電流は、スイッチ部S5P,S5Nを通らずに、スイッチ部S6P,S6Nを通り、二次巻線21へ向かう。
時間t12でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t12でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。スイッチ部S5N(第2スイッチ部)はオフ状態なので、スイッチ部S5Nは、接続部15から二次巻線21への方向に対して非導通状態である。このため、負電流が流れる経路は、変化しない。
時間t13でのスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの状態は、図5の時間t13でのこれらのスイッチ部の状態と同じである。スイッチ部S5N(第2スイッチ部)はオフ状態なので、スイッチ部S5Nは、接続部15から二次巻線21への方向に対して非導通状態である。このため、負電流が流れる経路は、変化しない。
以上説明した、実施形態1に係る電力変換システム1の動作により、接続部15から出力される出力電圧について説明する。図7は、実施形態1に係る電力変換システム1の電力供給モードの一例のタイムチャートであり、図8は、実施形態1に係る電力変換システム1の電力回生モードの一例のタイムチャートである。図7及び図8を参照して、スイッチング素子S1〜S4の駆動信号は、図3に示すスイッチング素子S1〜S4の駆動信号と対応する。トランス電圧V1(二次巻線21の電圧)は、図3に示すトランス電圧V1と対応する。トランス電流i1は、二次巻線21に流れる電流を示す。
スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの駆動信号は、図3に示すスイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの駆動信号と対応する。出力電圧(U)は、接続部15から出力される、U相の出力電圧を示す。駆動信号を示す線のうち、横方向に延びる線は、複数の駆動信号の線が重なっているので、実線で示されている。
スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nの駆動信号は、図3に示すスイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nの駆動信号と対応する。出力電圧(V)は、接続部15から出力される、V相の出力電圧を示す。駆動信号を示す線のうち、横方向に延びる線は、複数の駆動信号の線が重なっているので、実線で示されている。
スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号は、図3に示すスイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号と対応する。出力電圧(W)は、接続部15から出力される、W相の出力電圧を示す。駆動信号を示す線のうち、横方向に延びる線は、複数の駆動信号の線が重なっているので、実線で示されている。
本実施形態の主な特徴について説明する。図4を参照して、制御部7は、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nをオンさせるタイミングをシフトさせることにより、接続部15から出力されるU相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。図示はしていないが、制御部7は、スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nをオンさせるタイミングをシフトさせることにより、接続部15から出力されるV相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。制御部7は、スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nをオンさせるタイミングをシフトさせることにより、接続部15から出力されるW相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
U相の駆動信号群(スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの駆動信号)、V相の駆動信号群(スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8Nの駆動信号)、及び、W相の駆動信号群(スイッチ部S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号)群について、これらの駆動信号群のシフト量、及び、シフト方向は、同じであるので、U相の駆動信号群を例にして、駆動信号のシフト(すなわち、スイッチ部がオンするタイミングのシフト)について詳しく説明する。
図4を参照して、制御部7は、スイッチ部S5P(第1スイッチ部)、スイッチ部S5N(第2スイッチ部)、スイッチ部S6P(第1スイッチ部)、及び、スイッチ部S6N(第2スイッチ部)がオン状態の期間、及び、オフ状態の期間を一定にしている。従って、これらのスイッチ部がオンするタイミングがシフトすると、これらのスイッチ部がオフするタイミングが同じ方向にシフトする。シフト量は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
制御部7は、スイッチング素子S1,S4がオンの期間において、スイッチ部S5Pをオンさせるタイミングをシフトさせるとき、このシフトと同じ方向、同じ量だけ、スイッチ部S5N,S6P,S6Nをオンさせるタイミングをシフトさせる。制御部7は、スイッチング素子S2,S3がオンの期間において、スイッチ部S6Pをオンさせるタイミングをシフトさせるとき、このシフトと同じ方向、同じ量だけ、スイッチ部S5P,S5N,S6Nをオンさせるタイミングをシフトさせる。
すなわち、制御部7は、トランス電圧V1が正のとき、時間t6を基準として、スイッチ部S5Pをオンさせるタイミングをシフトさせ、かつ、このシフトと同じ方向、同じ量だけ、スイッチ部S5N,S6P,S6Nをオンさせるタイミングをシフトさせる。制御部7は、正電流のとき、図4において左方向に、これらのスイッチ部をオンさせるタイミングをシフトさせ、負電流のとき、図4において右方向に、これらのスイッチ部をオンさせるタイミングをシフトさせる。シフト量が大きくなるに従って、接続部15から出力されるU相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅が大きくなる。
制御部7は、トランス電圧V1が負のとき、時間t14を基準として、スイッチ部S6Pをオンさせるタイミングをシフトさせ、かつ、このシフトと同じ方向、同じ量だけ、スイッチ部S5P,S5N,S6Nをオンさせるタイミングをシフトさせる。制御部7は、正電流のとき、図4において左方向に、これらのスイッチ部をオンさせるタイミングをシフトさせ、負電流のとき、図4において右方向に、これらのスイッチ部をオンさせるタイミングをシフトさせる。シフト量が大きくなるに従って、接続部15から出力されるU相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅が大きくなる。
スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nをオンさせるタイミングのシフトは、操作量に応じて、これらのスイッチ部の駆動信号のデューティを変えることにより実現できる。
スイッチ部S5Pの駆動信号のデューティを変化させる操作量が1のとき、スイッチ部S5Pがオンになるタイミングは、スイッチング素子S1,S4がオンになるタイミングと同じとなる(時間t1)。スイッチ部S5Pの駆動信号のデューティを変化させる操作量が0のとき、スイッチ部S5Pがオンになるタイミングは、時間t6である。スイッチ部S5Pの駆動信号のデューティを変化させる操作量が−1のとき、スイッチ部S5Pがオンになるタイミングは、スイッチング素子S1,S4がオフになるタイミングと同じとなる(時間t7)。
スイッチ部S6Pの駆動信号のデューティを変化させる操作量が1のとき、スイッチ部S6Pがオンになるタイミングは、スイッチング素子S2,S3がオンになるタイミングと同じとなる(時間t9)。スイッチ部S6Pの駆動信号のデューティを変化させる操作量が0のとき、スイッチ部S6Pがオンになるタイミングは、時間t14である。スイッチ部S6Pの駆動信号のデューティを変化させる操作量が−1のとき、スイッチ部S6Pがオンになるタイミングは、スイッチング素子S2,S3がオフになるタイミングと同じとなる(時間t15)。
制御部7は、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの駆動信号のデューティを変化させる操作量を制御することにより、接続部15から出力されるU相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。図9は、駆動信号のデューティを変化させる操作量の第1例を示すグラフである。縦軸は、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの駆動信号のデューティを変化させる操作量を示し、横軸は、時間を示す。このグラフは、正弦波の形状を有する。制御部7は、接続部15から出力されるU相の出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の波形を正弦波にする場合、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6Nの駆動信号のデューティを変化させる操作量を正弦波状に変化させる。V相及びW相についても同様であり、制御部7は、スイッチ部S7P,S7N,S8P,S8N,S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号のデューティを変化させる操作量を正弦波状に変化させる。
図10は、駆動信号のデューティを変化させる操作量の第2例を示すグラフである。図11は、駆動信号のデューティを変化させる操作量の第3例を示すグラフである。図10及び図11のグラフの縦軸及び横軸は、図9のグラフの縦軸及び横軸と同じである。図10は、U相、V相、W相について、線間変調をするときに用いられる駆動信号のデューティを変化させる操作量を示している。制御部7は、U相、V相、W相について、線間変調をする場合、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6N,S7P,S7N,S8P,S8N,S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号のデューティを変化させる操作量を、図10に示すように変化させる。
図11は、U相、V相、W相について、二相変調をするときに用いられる駆動信号のデューティを変化させる操作量を示している。制御部7は、U相、V相、W相について、二相変調をする場合、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6N,S7P,S7N,S8P,S8N,S9P,S9N,S10P,S10Nの駆動信号のデューティを変化させる操作量を、図11に示すように変化させる。
図3を参照して、以上説明したように、制御部7は、スイッチ部S5P,S5N,S6P,S6N,S7P,S7N,S8P,S8N,S9P,S9N,S10P,S10Nをオンさせるタイミングをシフトさせることにより、接続部15から出力される出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。この効果について、比較形態と比較して説明する。
図12は、比較形態に係る電力変換システム100の回路と循環電流との関係を説明する説明図である。電力変換システム100の回路構成は、図1に示す実施形態に係る電力変換システム1の回路構成と同じである。比較形態は、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを切り替えるタイミングをシフトさせることにより、接続部15から出力される出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。図13は、比較形態において、トランス9の一次巻線19の電圧及び電流を示すグラフである。電圧のグラフにおいて、グラフの縦軸が電圧を示し、グラフの横軸が、時間を示す。電流のグラフにおいて、グラフの縦軸が電流を示し、グラフの横軸が、時間を示す。
電力変換システム1,100の電力供給モード(インバータモード)は、供給期間と循環期間とを含む。供給期間は、直流電源17から商用電力系統27又は負荷29に電力が供給される期間である。循環期間は、この電力の供給が実行されずに、電流が循環する期間である。
比較形態は、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを切り替えるタイミングをシフトさせているので、一次巻線19には、常に、電流が流れる(すなわち、一次巻線19に流れる電流が0となる期間がない)。従って、循環期間中に、一次巻線19を流れる電流I1によって、二次巻線21に電流I2が流れる。比較形態は、循環期間中に、トランス9に電流が流れるので、これによる損失が発生する。
図14は、実施形態に係る電力変換システム1の回路と循環電流との関係を説明する説明図である。図14は、図1に、電流I3が追加された図である。図15は、実施形態において、トランスの一次巻線の電圧及び電流を示すグラフである。電圧のグラフにおいて、グラフの縦軸が電圧を示し、グラフの横軸が、時間を示す。電流のグラフにおいて、グラフの縦軸が電流を示し、グラフの横軸が、時間を示す。
実施形態では、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを切り替えるタイミングをシフトさせないので、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを切り替えるタイミングが、常に、同じとなる。制御部7は、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを切り替えるタイミングを常に同じにした状態で、サイクロコンバータ11を制御して、接続部15から出力される出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。これにより、循環期間において、一次巻線19に電流が流れない期間を設けることが可能となる(すなわち、一次巻線19に流れる電流が0となる期間がある)。この期間は、一次巻線19に電流が流れないので、二次巻線21にも電流が流れない。よって、トランス9による損失をなくすことができる。
比較形態は、負荷29の電流が大きくなると、スイッチング素子S1〜S4をソフトスイッチングさせることができない。これに対して、実施形態は、負荷29の電流の大きさにかかわらず、スイッチング素子S1〜S4をソフトスイッチングさせることができる。これについて説明する。図16は、比較形態において、スイッチング素子S3,S4の駆動信号と各種電圧との関係を示すグラフである。図17は、実施形態において、スイッチング素子S3,S4の駆動信号と各種電圧との関係を示すグラフである。これらのグラフの横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、S3電圧を示し、右側の縦軸は、スイッチング素子S3,S4の駆動信号の電圧を示す。S3電圧とは、スイッチング素子S3のソースとドレインとの間の電圧である。
図16及び図17を参照して、デッドタイムT1の期間中に、S3電圧が0になると、スイッチング素子S3は、ソフトスイッチングをすることができる。図16に示すように、比較形態において、負荷29の電流(出力)が大きくなると、デッドタイムT1の期間中に、S3電圧が0にならない。これは、循環期間中に、トランス9の一次巻線19に電流I1が流れており、負荷29の電流(出力)が大きくなると、電流I1が大きくなり、この結果、S3電圧が0にならないのである。従って、比較形態は、負荷29の電流(出力)が大きい場合、スイッチング素子S3をソフトスイッチングさせることができない。
図14及び図17を参照して、実施形態は、負荷29の電流(出力)の大きさにかかわらず、S3電圧の変化がほぼ同じであり、デッドタイムT1の期間中で0になる。これは、循環期間中に、トランス9の一次巻線19に電流が流れないからである。従って、実施形態は、負荷29の電流(出力)の大きさにかかわらず、スイッチング素子S3をソフトスイッチングさせることができる。ここでは、スイッチング素子S3を例にして説明しているが、スイッチング素子S1,S2,S4についても同様のことが言える。
次に、制御部7が、スイッチ部のオン期間の一部を重複させる制御について説明する。図4を参照して、スイッチ部S5Pのオン期間とスイッチ部S6Pのオン期間とは、一部重複している(時間t4から時間t5)。スイッチ部S5Nのオン期間とスイッチ部S6Nのオン期間とは、一部重複している(時間t2から時間t3)。これは、電力変換システム1の二次側で発生した戻り電流の対策である。
図18は、実施形態に係る電力変換システム1の回路と戻り電流との関係の一例を説明する説明図である。例えば、接続部15の第1端15aの手前で断線等が発生したとする。コイル41を流れた電流I4は、第1端15aに到達できず、戻す必要ある。この電流が戻り電流である。このとき、電流I4(戻り電流)が流れる経路が確保されないと、電流I4がコンデンサ47,49,51に流れ込む。これにより、コンデンサ47,49,51の電圧が過大になるおそれがある。
そこで、制御部7は、経路を確保するために、以下の制御をする。図4を参照して、制御部7は、トランス電圧V1が正の期間(正極性期間)において、双方向スイッチ部35のスイッチ部S5Pをオフからオンに切り替えてから所定期間が経過した後、双方向スイッチ部36のスイッチ部S6Pをオンからオフに切り替え、トランス電圧V1が正の期間において、双方向スイッチ部35のスイッチ部S5Nをオフからオンに切り替えてから所定期間が経過した後、双方向スイッチ部36のスイッチ部S6Nをオンからオフに切り替える。
制御部7は、トランス電圧V1が負の期間(負極性期間)において、双方向スイッチ部36のスイッチ部S6Pをオフからオンに切り替えてから所定期間が経過した後、双方向スイッチ部35のスイッチ部S5Pをオンからオフに切り替える。また、制御部7は、トランス電圧V1が負の期間において、双方向スイッチ部36のスイッチ部S6Nをオフからオンに切り替えてから所定期間が経過した後、双方向スイッチ部35のスイッチ部S5Nをオンからオフに切り替える。
このように、制御部7は、スイッチ部S5Pとスイッチ部S6Pとのオン期間の一部を重複させる制御をする。よって、これらのスイッチ部の両方がオフ状態の期間を回避できる。同様に、制御部7は、スイッチ部S5Nとスイッチ部S6Nとのオン期間の一部を重複させる制御をする。よって、これらのスイッチ部の両方がオフ状態の期間を回避できる。以上により、電力変換システム1の二次側において、トランス9の二次巻線21への経路が常に確保できる。従って、電力変換システム1の二次側で戻り電流が発生したとき、戻り電流が流れる経路を確保することができる。
なお、制御部7が、スイッチ部S5Pのオンとスイッチ部S6Pのオフとを同時にする制御をし、スイッチ部S5Pのオフとスイッチ部S6Pのオンとを同時にする制御をし、スイッチ部S5Nのオンとスイッチ部S6Nのオフとを同時にする制御をし、スイッチ部S5Nのオフとスイッチ部S6Nのオンとを同時にする制御をすれば、コイル41からトランス9の二次巻線21までの経路は、常に確保することができる。しかし、このような制御は困難なので、制御部7は上記一部重複させる制御をする。
同様の理由で、図3に示すように、スイッチ部S7Pのオン期間とスイッチ部S8Pのオン期間とは、一部重複しており、スイッチ部S7Nのオン期間とスイッチ部S8Nのオン期間とは、一部重複している。また、スイッチ部S9Pのオン期間とスイッチ部S10Pのオン期間とは、一部重複しており、スイッチ部S9Nのオン期間とスイッチ部S10Nのオン期間とは、一部重複している。
次に、制御部7が、スイッチ部のオン期間を重複させない制御について説明する。図4を参照して、トランス電圧V1が正の期間(スイッチング素子S1,S4のオン期間)において、スイッチ部S5Pのオン期間とスイッチ部S6Nのオン期間とは、重複していない(言い換えれば、スイッチ部S5Pとスイッチ部S6Nとが同時にオン状態である期間がない)。トランス電圧V1が負の期間(スイッチング素子S2,S3のオン期間)において、スイッチ部S5Nのオン期間とスイッチ部S6Pのオン期間とは、重複しない(言い換えれば、スイッチ部S5Nとスイッチ部S6Pとが同時にオン状態である期間がない)。これは、二次巻線21から接続部15へ流すべき電流が、二次巻線21の第1端21aから双方向スイッチ部35、双方向スイッチ部36を通り、二次巻線21の第2端21bへ流れたり、又は、二次巻線21の第2端21bから双方向スイッチ部36、双方向スイッチ部35を通り、二次巻線21の第1端21aへ流れたりすることを防止するためである。スイッチ部S5Pとスイッチ部S6Nとの組み合わせを例にして説明する。
図19は、スイッチング素子S1,S4がオンの期間において、実施形態1に係る電力変換システム1の回路とトランス9付近の電流I5,I6との関係を説明する説明図である。スイッチング素子S1,S4のオン期間において、一次巻線19には、電流I5が流れる。これにより、二次巻線21に電流I6が流れる。スイッチ部S5Pのオン期間とスイッチ部S6Nのオン期間とが重複すれば、二次巻線21から接続部15へ流すべき電流は、二次巻線21の第1端21aから双方向スイッチ部35、双方向スイッチ部36を通り、二次巻線21の第2端21bへ流れてしまう。
そこで、制御部7は、上記のような重複が生じないようにする。図4を参照して、制御部7は、トランス電圧V1が正の期間のとき、スイッチ部S6Nをオンからオフに切り替えてから所定期間が経過した後、スイッチ部S5Pをオフからオンに切り替える。
同様の理由で、図3に示すように、トランス電圧V1が正の期間(スイッチング素子S1,S4のオン期間)において、スイッチ部S7Pのオン期間とスイッチ部S8Nのオン期間とは、重複していない(言い換えれば、スイッチ部S7Pとスイッチ部S8Nとが同時にオン状態である期間がない)。また、トランス電圧V1が正の期間において、スイッチ部S9Pのオン期間とスイッチ部S10Nのオン期間とは、重複していない(言い換えれば、スイッチ部S9Pとスイッチ部S10Nとが同時にオン状態である期間がない)。トランス電圧V1が負の期間(スイッチング素子S2,S3のオン期間)において、スイッチ部S7Nのオン期間とスイッチ部S8Pのオン期間とは、重複していない(言い換えれば、スイッチ部S7Nとスイッチ部S8Pとが同時にオン状態である期間がない)。また、トランス電圧V1が負の期間において、スイッチ部S9Nのオン期間とスイッチ部S10Pのオン期間とは、重複していない(言い換えれば、スイッチ部S9Nとスイッチ部S10Pとが同時にオン状態である期間がない)。
次に、デッドタイムT1時に、二次側の電流が循環する経路について説明する。図14を参照して、上述したように、実施形態は、電流I3がトランス9の二次巻線21に流れないで、循環することができる。これは、以下の制御によって実現できる。
図3を参照して、制御部7は、スイッチング素子S1,S4がオフのタイミングからスイッチング素子S2,S3がオンするタイミングまでの期間(デッドタイムT1)において、スイッチ部S5P,S5N,S7P,S7N,S9P,S9Nをオン状態にさせ、かつ、スイッチ部S6P,S6N,S8P,S8N,S10P,S10Nをオフ状態にする制御をする。
制御部7は、スイッチング素子S2,S3がオフのタイミングからスイッチング素子S1,S4がオンするタイミングまでの期間(デッドタイムT1)において、スイッチ部S6P,S6N,S8P,S8N,S10P,S10Nをオン状態にさせ、かつ、スイッチ部S5P,S5N,S7P,S7N,S9P,S9Nをオフ状態にする制御をする。
ここにおいて、制御部7は、デッドタイムT1において、一次巻線19の電圧の極性が反転するようにインバータ回路5を制御する。すなわち、デッドタイムT1を含む循環期間が、一次巻線19の電圧の極性が反転する反転期間を含む第1期間に相当し、供給期間が第2期間に相当する。そして、制御部7は、循環期間(第1期間)において、インバータ回路5とサイクロコンバータ11との間で電力の伝達が行われないようにサイクロコンバータ11を制御する。また、制御部7は、供給期間(第2期間)において、インバータ回路5からサイクロコンバータ11に向かう第1方向又は第1方向とは逆の第2方向で電力の伝達が行われるようにサイクロコンバータ11を制御する。
デッドタイムT1(一次巻線19に電流が流れていない状態)のとき、二次側の電流がトランス9の二次巻線21に流れると、電流の損失が大きくなる。実施形態によれば、デッドタイムT1のとき、二次側で電流を循環させつつ、二次巻線21に電流が流れないようにすることができる。よって、実施形態1の電力変換システム1では、スイッチングによる電力損失を低減して、電力変換の効率を向上することができる。
尚、実施形態1のコンバータ回路(サイクロコンバータ11)は、直流電力と三相交流電力との間で電力変換を行うものであるが、直流電力と単相交流電力との間で電力変換を行うものでもよい。また、コンバータ回路(サイクロコンバータ11)は、直流電力と、四相以上の多相交流電力との間で電力変換を行うものでもよい。
(3)実施形態2
ところで、サイクロコンバータの停止時(出力停止時)に双方向スイッチ部が全てオフになると、電流の流れる経路がなくなり、双方向スイッチ部に過大なストレスが加わる可能性がある。実施形態2に係る電力変換システムでは、出力停止時に双方向スイッチ部に加わるストレスを低減するように構成されている。
(3.1)概要
実施形態2に係る電力変換システム1Aの概要について、図20を参照して説明する。
電力変換システム1Aは、第1接続端子T11,T12と、第2接続端子T21,T22,T23とを備える。また、電力変換システム1Aは、インバータ回路110と、一次巻線121及び二次巻線122と、コンバータ回路130と、リアクトル(ACリアクトル)L11〜L13と、制御回路140と、を備える。第1接続端子T11,T12には、第1接続対象として例えば蓄電池のような直流電源200が接続される。第2接続端子T21,T22,T23には、第2接続対象として例えば交流電力系統300が接続される。インバータ回路110は、第1接続端子T11,T12と一次巻線121との間に接続されて電力変換を行う。コンバータ回路130は、二次巻線122の両端間にブリッジ接続された複数の双方向スイッチ部Q5〜Q10を備える。リアクトルL11〜L13は、コンバータ回路130と第2接続端子T21,T22,T23との間にそれぞれ接続される。制御回路140は、第2接続端子T21〜T23が開放状態となるときに、リアクトルL11〜L13に蓄積されたエネルギが一次巻線121側に回生されるようにコンバータ回路130を制御する。
このように、リアクトルL11〜L13に蓄積されたエネルギを、回生経路を介して一次巻線121側に回生させることで、コンバータ回路130が備える双方向スイッチ部Q5〜Q10にかかるストレスを低減できる。ここにおいて、「回生経路」は、リアクトルL11〜L13に蓄積されたエネルギを、一次巻線121側に回生させるための電流経路である。「一次巻線121側に回生」とは、一次巻線121に電気的に接続された一次側の回路に回生することを意味し、図20の回路では直流電源200又はコンデンサC1に回生することを意味する。
電力変換システム1Aは、一例として、図20に示すように、第1接続対象としての直流電源200と、第2接続対象としての交流電力系統300との間における電力変換に用いられる。ここでいう「電力系統」は、電力会社等の電気事業者が需要家の受電設備に電力を供給するためのシステム全体を意味する。電力変換システム1Aは、直流電源200である蓄電池の放電時には、直流電源200から入力される直流電力を交流電力に変換し、交流電力を交流電力系統300に出力する。電力変換システム1Aは、直流電源200である蓄電池の充電時には、交流電力系統300から入力される交流電力を直流電力に変換し、直流電力を直流電源200に供給する。
本実施形態の電力変換システム1Aでは、直流電源200である蓄電池の充電及び放電の両方に対応できるよう、第1接続端子T11,T12と第2接続端子T21,T22,T23との間で、双方向に電力の変換を行うように構成されている。これにより、電力変換システム1Aは、直流電源200を交流電力系統300に接続して系統連系させ、交流電力系統300から供給される電力にて直流電源200を充電したり、直流電源200の放電電力を交流電力系統300に接続された負荷に供給したりすることができる。本実施形態では一例として、このような電力変換システム1Aが、オフィスビル、病院、商業施設及び学校等の、非住宅施設に導入される場合を想定して説明する。
(3.2)回路構成
本実施形態の電力変換システム1Aの構成について図20を参照して説明する。
電力変換システム1Aは、上述のように、蓄電池からなる直流電源200が接続される第1接続端子T11,T12と、交流電力系統300が接続される第2接続端子T21,T22,T23とを備える。また、電力変換システム1Aは、インバータ回路110と、一次巻線(第1の巻線)121及び二次巻線(第2の巻線)122を有するトランス120と、コンバータ回路130と、リアクトルL11〜L13と、制御回路140と、コンデンサC1,C11〜C13と、を備える。
図20の例では、第1接続端子T11が高電位(正極)側となるように、第1接続端子T11,T12の間に直流電源200が接続されている。第2接続端子T21,T22,T23には、三相交流電源である交流電力系統300が接続されている。電力変換システム1Aは、第1接続端子T11,T12と第2接続端子T21,T22,T23との間で双方向の電力変換を行う。すなわち、電力変換システム1Aは、第1接続端子T11,T12から入力される直流電力を三相交流電力に変換して第2接続端子T21,T22,T23から出力する動作、及び、第2接続端子T21,T22,T23から入力される三相交流電力を直流電力に変換して第1接続端子T11,T12から出力する動作の少なくとも一方を行えばよい。
コンデンサC1は例えば電解コンデンサであり、コンデンサC1は第1接続端子T11,T12の間に電気的に接続されている。コンデンサC1は第1接続端子T11,T12間の電圧を安定化する機能を有しており、コンデンサC1の両端電圧を「+E1」とする。
インバータ回路110は、第1接続端子T11,T12と、トランス120の一次巻線121との間に電気的に接続されている。インバータ回路110は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4と、コンデンサC2とを備えている。インバータ回路110は、第1接続端子T11,T12から入力される直流電力を交流電力に変換して一次巻線121に出力する機能、及び、一次巻線121から入力される交流電力を直流電力に変換して第1接続端子T11,T12に出力する機能を有している。
本実施形態では、一例として、4つのスイッチング素子Q1〜Q4の各々は、デプレッション型のnチャネルMOS電界効果トランジスタからなる。4つのスイッチング素子Q1〜Q4は、第1接続端子T11,T12の間、つまりコンデンサC1の両端間にフルブリッジ接続されている。スイッチング素子Q1は、コンデンサC1の両端間において、スイッチング素子Q2と電気的に直列に接続されている。スイッチング素子Q3は、コンデンサC1の両端間において、スイッチング素子Q4と電気的に直列に接続されている。具体的には、スイッチング素子Q1のドレイン、及びスイッチング素子Q3のドレインは、いずれも、第1接続端子T11,T12のうち高電位側の第1接続端子T11に電気的に接続されている。スイッチング素子Q2のソース、及びスイッチング素子Q4のソースは、いずれも、第1接続端子T11,T12のうち低電位側の第1接続端子T12に電気的に接続されている。
トランス120は、互いに磁気的に結合される一次巻線121及び二次巻線122を有する高周波絶縁トランスである。一次巻線121は、スイッチング素子Q1のソース及びスイッチング素子Q2のドレインの接続点と、スイッチング素子Q3のソース及びスイッチング素子Q4のドレインの接続点との間に、電気的に接続されている。また、一次巻線121の両端間には、コンデンサC2が電気的に接続されている。
コンバータ回路130は例えばサイクロコンバータ回路である。コンバータ回路130は、トランス120の二次巻線122と、第2接続端子T21,T22,T23との間に電気的に接続されている。コンバータ回路130は、二次巻線122の両端間にブリッジ接続される複数の双方向スイッチ部Q5〜Q10を備えている。コンバータ回路130は、二次巻線122の両端と第2接続端子T21,T22,T23との間において、直流電圧から交流電圧、又は交流電圧から直流電圧への変換を行うDC/ACコンバータを構成する。
本実施形態では、双方向スイッチ部Q5〜Q10の各々は、ドレイン同士が接続された2個のデプレッション型のnチャンネルMOSFETで構成されており、双方向において電流の導通/遮断が可能である。一例として、双方向スイッチ部Q5は、ドレイン同士が接続されるように直列に接続されたスイッチング素子Q5N,Q5Pのペアからなる。同様に、双方向スイッチ部Q6は、ドレイン同士が接続されるように直列に接続されたスイッチング素子Q6N,Q6Pのペアからなる。双方向スイッチ部Q7は、ドレイン同士が接続されるように直列に接続されたスイッチング素子Q7N,Q7Pのペアからなる。双方向スイッチ部Q8は、ドレイン同士が接続されるように直列に接続されたスイッチング素子Q8N,Q8Pのペアからなる。双方向スイッチ部Q9は、ドレイン同士が接続されるように直列に接続されたスイッチング素子Q9N,Q9Pのペアからなる。双方向スイッチ部Q10は、ドレイン同士が接続されるように直列に接続されたスイッチング素子Q10N,Q10Pのペアからなる。
そして、本実施形態では、二次巻線122の両端間に、スイッチング素子Q5N,Q5Pのペアと、スイッチング素子Q6N,Q6Pのペアとが電気的に直列に接続されている。同様に、二次巻線122の両端間に、スイッチング素子Q7N,Q7Pのペアと、スイッチング素子Q8N,Q8Pのペアとが電気的に直列に接続されている。また、二次巻線122の両端間に、スイッチング素子Q9N,Q9Pのペアと、スイッチング素子Q10N,Q10Pのペアとが電気的に直列に接続されている。ここで、スイッチング素子Q5N,Q7N,Q9Nのソースが二次巻線122の一端に電気的に接続され、スイッチング素子Q6N,Q8N,Q10Nのソースが二次巻線122の他端に電気的に接続されている。
双方向スイッチ部Q5,Q6の接続点と第2接続端子T21との間にはリアクトルL11が接続されている。双方向スイッチ部Q7,Q8の接続点と第2接続端子T22との間にはリアクトルL12が接続されている。双方向スイッチ部Q9,Q10の接続点と第2接続端子T23との間にはリアクトルL13が接続されている。ここで、コンバータ回路130から交流電力系統300に電流が流れる場合に電流が流れる向きを正とすると、スイッチング素子Q5P〜Q10Pのオン時には正の電流を流すことができ、スイッチング素子Q5N〜Q10Nのオン時には負の電流が流すことができる。
また、第2接続端子T21,T22間にはコンデンサC11が接続され、第2接続端子T22,T23間にはコンデンサC12が接続され、第2接続端子T23,T21間にはコンデンサC13が接続されている。ここにおいて、リアクトルL11〜L13とコンデンサC11〜C13とで、コンバータ回路130の出力を三相の交流電圧に変換するフィルタ回路が構成されている。
第2接続端子T21,T22,T23は、例えば、三相交流方式(U相、V相、W相)の交流電力系統300にそれぞれ接続される。ここにおいて、第2接続端子T21,T22,T23と三相交流方式の交流電力系統300との間にはそれぞれ解列リレー400の接点410,420,430が接続されている。
制御回路140は、スイッチング素子Q1〜Q4、Q5P〜Q10P、Q5N〜Q10Nをそれぞれ制御するための制御信号a1〜a10Nを、直接的に、又は駆動回路を介してスイッチング素子Q1〜Q4、Q5P〜Q10P、Q5N〜Q10Nのゲートに印加する。これにより、制御回路140は、スイッチング素子Q1〜Q4、Q5P〜Q10P、Q5N〜Q10Nをそれぞれオン/オフすることができる。本実施形態の制御回路140は、デューティ比を調節可能なPWM(Pulse Width Modulation)方式によって、インバータ回路110のスイッチング素子Q1〜Q4、及びコンバータ回路130のスイッチング素子Q5P〜Q10P、Q5N〜Q10Nをそれぞれ制御する。
また、制御回路140は、解列リレー400を制御するための制御信号を、駆動回路を介して解列リレー400に出力し、解列リレー400のオン/オフを制御する。制御回路140は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むマイクロコンピュータ、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成される。
(3.3)動作
本実施形態の電力変換システム1Aは、第1接続端子T11,T12と第2接続端子T21,T22,T23との間で、双方向に電力の変換を行うように構成されている。そのため、電力変換システム1Aは、「インバータモード」と、「コンバータモード」との2つの動作モードを有している。
インバータモードは、第1接続端子T11,T12に入力される直流電力を交流電力に変換して第2接続端子T21,T22,T23から出力する動作モードである。コンバータモードは、第2接続端子T21,T22,T23に入力される交流電力を直流電力に変換して第1接続端子T11,T12から出力する動作モードである。つまり、コンバータモードでは、電力変換システム1Aは、交流電力系統300から供給される電力を直流電源200に供給する。
電力変換システム1Aが電力の変換を行う動作を図20に基づいて説明する。
制御回路140は、スイッチング素子Q1,Q4の組み合わせと、スイッチング素子Q2,Q3の組み合わせとが交互にオンするように、インバータ回路110のスイッチング素子Q1〜Q4を制御する。本実施形態では、一例として、スイッチング素子Q1〜Q4がオン/オフする駆動周波数は20kHzであり、スイッチング素子Q1,Q4のデューティ比、及びスイッチング素子Q2,Q3のデューティ比はそれぞれ50%である。これにより、スイッチング素子Q1,Q4がオンのときには、トランス120の一次巻線121の両端電圧が「+E1」となり、二次巻線122の両端電圧V10が「+E1」となる。スイッチング素子Q2,Q3がオンのときには、トランス120の一次巻線121の両端電圧が「−E1」となり、二次巻線122の両端電圧V10が「−E1」となる。すなわち、二次巻線122の両端電圧V10は、「+E1」及び「−E1」に交互に変化する。言い換えれば、制御回路140は、一次巻線121に正及び負の電圧が交互に印加されるようにインバータ回路110を制御する。
二次巻線122の両端電圧V10が「+E1」又は「−E1」に固定されている期間において、制御回路140は、双方向スイッチ部Q5〜Q10をPWM制御することによって、二次巻線122から電力が供給される期間を調整し、コンバータ回路130の出力電圧を制御する。ここで、双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9は、それぞれ双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10に対して、オン/オフが反転するように制御される。
制御回路140が、双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10を全てオフ、双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9を全てオンにすると、コンバータ回路130で電流が循環する循環モードになる。また、制御回路140が、双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9が全てオフ、双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10を全てオンにすると、コンバータ回路130で電流が循環する循環モードになる。制御回路140は、コンバータ回路130を循環モードで動作させた状態で二次巻線122の両端電圧V10の正負が反転するようにインバータ回路110を制御しており、コンバータ回路130を流れる電流の影響を受けずに、両端電圧V10の正負を反転させることができる。つまり、循環モードで動作する期間が、反転期間を含む第1期間となる。
一方、制御回路140が、二次巻線122の両端電圧V10が「+E1」又は「−E1」に固定されている期間で、双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9のうちの1つ又は2つをオンにすると、インバータ回路110からコンバータ回路130に電力が供給される電力伝達モードとなる。つまり、電力伝達モードで動作する期間が、第2期間となる。
以下、電力変換システム1Aの動作を具体的に説明する。
例えば、制御回路140は、双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9を全てオフ、双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10を全てオンにして、コンバータ回路130を循環モードとした状態で、二次巻線122の両端電圧V10が「−E1」から「+E1」に反転するようにインバータ回路110を制御する。
二次巻線122の両端電圧V10が「+E1」に固定された後に、制御回路140は、例えば双方向スイッチ部Q7をオンにする。これにより、コンバータ回路130は電力伝達モードで動作する。その後、制御回路140は、双方向スイッチ部Q5,Q9の順番で双方向スイッチ部Q5,Q9をオンにする。このように、二次巻線122の両端電圧V10が「+E1」の状態で、双方向スイッチ部Q7,Q5,Q9を順番にオンにすることによって、三相交流の各相の電流が変化する。
制御回路140が、双方向スイッチ部Q7,Q5,Q9を全てオンにすると、コンバータ回路130は循環モードで動作する。制御回路140は、コンバータ回路130を循環モードで動作させている状態で、二次巻線122の両端電圧V10が「+E1」から「−E1」に反転するようにインバータ回路110を制御する。
二次巻線122の両端電圧V10が「−E1」になると、制御回路140は、例えば双方向スイッチ部Q9をオフにする。これにより、コンバータ回路130は電力伝達モードで動作する。その後、制御回路140は、双方向スイッチ部Q5,Q7の順番で双方向スイッチ部Q5,Q7をオフにする。このように、二次巻線122の両端電圧V10が「−E1」の状態で、双方向スイッチ部Q9,Q5,Q7を順番にオフにすることによって、三相交流の各相の電流が変化する。
制御回路140が、双方向スイッチ部Q9,Q5,Q7を全てオフにすると、コンバータ回路130は循環モードで動作する。制御回路140は、コンバータ回路130を循環モードで動作させている状態で、二次巻線122の両端電圧V10が「−E1」から「+E1」に反転するようにインバータ回路110を制御する。
電力変換システム1Aは、上記の動作を繰り返すことによって、直流電源200と交流電力系統300との間で電力の変換を行う。ここで、電力変換システム1Aは、双方向スイッチ部Q5〜Q10のPWM制御により、交流電圧波形の1周期内で電力伝達モードで動作する期間の割合を変化させることで、出力電圧を所望の値に制御する。電力変換システム1Aにおいて、コンバータ回路130の出力電圧が交流電力系統300の電圧を上回っていれば、コンバータ回路130の出力が交流電力系統300に供給される。コンバータ回路130の出力電圧が交流電力系統300の電圧を下回っていれば、電力変換システム1Aは、交流電力系統300からの交流電力を直流電力に変換して、第1接続端子T11,T12から直流電源200に出力する。
電力変換システム1Aでは、例えば、解列リレー400の接点410〜430がオフになることで、第2接続端子T21,T22,T23が開放状態になるとき、双方向スイッチ部Q5〜Q10が全てオフになっていると、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギを放出させる電流経路がなくなるため、双方向スイッチ部Q5〜Q10に過大なストレスが加わる可能性がある。そこで、本実施形態の電力変換システム1Aでは、制御回路140は、第2接続端子T21,T22,T23が開放状態となるときに、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギを一次巻線121側に回生させるための回生経路を形成するようにコンバータ回路130を制御する。以下、第2接続端子T21,T22,T23が開放状態となるときの電力変換システム1Aの動作について図21〜図25Bを参照して説明する。
制御回路140は、電力変換システム1Aが直流電源200と交流電力系統300との間で電力を変換する動作を行っている状態で、コンバータ回路130から交流電力系統300への出力を停止する場合、解列リレー400を制御して接点410〜430をオフにする。接点410〜430がオフすることで第2接続端子T21〜T23が開放状態になると、制御回路140は、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギを一次巻線121側に回生させる回生動作を行うように、コンバータ回路130を制御する。
制御回路140は、第2接続端子T21,T22,T23が開放状態となるときに、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギが一次巻線121側に回生されるようにコンバータ回路130を制御する。ここで、制御回路140は、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギを一次巻線121側に回生し終わるまでの回生動作期間において回生期間を断続的に設けている。そして、制御回路140は、回生動作期間中に断続的に設けた回生期間において、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギを一次巻線121側に回生させるようにコンバータ回路130を制御する。
図21は、回生動作期間における電力変換システム1Aの動作を示すタイムチャートである。制御回路140は、解列リレー400の接点410〜430をオフにした後も、インバータ回路110のスイッチング素子Q1,Q4のペアとスイッチング素子Q2,Q3のペアとが50%のデューティ比で交互にオンするようにインバータ回路110を制御する。これにより、二次巻線122の両端電圧V10は「+E1」と「−E1」とに交互に変化する。
制御回路140は、二次巻線122の両端電圧V10が正の一定電圧(+E1)に固定されている期間Ta1と、両端電圧V10が負の一定電圧(−E1)に固定されている期間Ta3とのそれぞれで、回生期間TA3,TA7を設けるようにコンバータ回路130を制御する。回生期間TA3,TA7は、リアクトルL11〜L13に蓄積されたエネルギによる電流が、コンバータ回路130を介して二次巻線122に流れる期間である。この期間では、リアクトル11〜L13に蓄積されたエネルギが、インバータ回路110に(つまり、直流電源200側、すなわち一次巻線121側に)回生される。
また、制御回路140は、二次巻線122の両端電圧V10の正負が反転する期間Ta2,Ta4のそれぞれで、還流期間TA5,TA1を設けるようにコンバータ回路130を制御する。還流期間TA1,TA5は、リアクトルL11〜L13に蓄積されたエネルギによる電流が、二次巻線122を通らずにコンバータ回路130を介して流れる期間である。
また、制御回路140は、回生期間TA3,TA7から還流期間TA5,TA1に切り替わる間に、還流切替期間TA4,TA8をそれぞれ設けるようにコンバータ回路130を制御する。また、制御回路140は、還流期間TA5,TA1から回生期間TA7,TA3に切り替わる間に、回生切替期間TA6,TA2をそれぞれ設けるようにコンバータ回路130を制御する。
これにより、コンバータ回路130は、還流期間TA1→回生切替期間TA2→回生期間TA3→還流切替期間TA4→還流期間TA5→回生切替期間TA6→回生期間TA7→還流切替期間TA8→還流期間TA1の動作を順番に繰り返す。
以下に、各期間におけるコンバータ回路130の動作を図22A〜図25Bに基づいて説明する。図22A〜図25Bにおいて、矢印A1は二次巻線122に発生する両端電圧V10の極性を示し、矢印A11,A12,A13はそれぞれリアクトルL11,L12,L13を流れる電流の向きを示している。リアクトルL11,L12,L13を流れる電流の向きは一例であり、解列リレー400の接点410〜430がオフするときのコンバータ回路130の出力電圧の位相、又は接点410〜430がオフするときにリアクトルL11,L12,L13に流れている電流の極性などに応じて変化する。解列リレー400の接点410〜430がオフするとき、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギにより、リアクトルL11,L12,L13のうち少なくとも1つには正の電流が流れ、リアクトルL11,L12,L13のうち少なくとも1つには負の電流が流れる。また、図22A〜図25Bにおいて、スイッチング素子Q5N〜Q10N,Q5P〜Q10Pのうち、対応する回路記号が点線で囲まれているスイッチング素子はオンであり、対応する回路記号が点線で囲まれていないスイッチング素子はオフである。
図22Aは、還流期間TA1における電力変換システム1Aの動作を示している。還流期間TA1は、上述した期間Ta3から期間Ta1に切り替わる途中の期間Ta4であり、還流期間TA1において二次巻線122の両端電圧V10の極性が負から正に反転する。
制御回路140は、還流期間TA1においては、スイッチング素子Q6P,Q6N,Q8P,Q8N,Q10P,Q10Nをオンにして、双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10を双方向オンの状態とする。また、制御回路140は、還流期間TA1においては、スイッチング素子Q5P,Q5N,Q7P,Q7N,Q9P,Q9Nを全てオフにしており、双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9を双方向オフの状態とする。ここで、双方向スイッチ部Q5〜Q10が「双方向オン」の状態とは双方向の電流を流すことができる状態であり、「双方向オフ」の状態とは双方向の電流を遮断する状態である。
これにより、第2接続端子T21〜T23が開放されたときにリアクトルL11,L12,L13を流れる電流は、二次巻線122に流れることができず、コンバータ回路130を介して流れる。例えば、コンバータ回路130では、リアクトルL11→双方向スイッチ部Q6→双方向スイッチ部Q10→リアクトルL13→コンデンサC13→リアクトルL11の還流経路で電流が流れる。また、リアクトルL12→双方向スイッチ部Q8→双方向スイッチ部Q10→リアクトルL13→コンデンサC12→リアクトルL12の還流経路で電流が流れる。また、還流期間TA1では双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10が双方向オンの状態であるが、双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9が双方向オフの状態であるので、二次巻線122の両端間が短絡されるのを防止できる。
制御回路140は、期間Ta4から期間Ta1に移行して、インバータ回路110のスイッチング素子Q1,Q4をオンにすると、コンバータ回路130の動作を還流期間TA1から回生切替期間TA2に移行させる。図22Bは、回生切替期間TA2における電力変換システム1Aの動作を示している。回生切替期間TA2では、二次巻線122の両端電圧V10の極性は正に固定されている。
制御回路140は、回生切替期間TA2においては、双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10を継続して双方向オンの状態にして、スイッチング素子Q5N,Q7N,Q9Nをオンにする。また、制御回路140は、スイッチング素子Q5P,Q7P,Q9Pをオフにする。
これにより、コンバータ回路130では、リアクトルL11→スイッチング素子Q5N→二次巻線122→双方向スイッチ部Q10→リアクトルL13→コンデンサC13→リアクトルL11の回生経路で電流を流すことができる。また、リアクトルL12→スイッチング素子Q7N→二次巻線122→双方向スイッチ部Q10→リアクトルL13→コンデンサC12→リアクトルL12の回生経路で電流を流すことができる。したがって、コンバータ回路130では、回生切替期間TA2において、還流期間TA1での還流経路を維持した状態で、回生経路が形成される。これにより、回生切替期間TA2においても、還流期間TA1において還流経路で流れていた電流が流れ続けることができ、還流経路で流れている電流の流れる経路がなくなって、双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9にストレスが加わるのを防止できる。
回生切替期間TA2が所定時間継続すると、制御回路140は、コンバータ回路130の動作を回生切替期間TA2から回生期間TA3に移行させる。図23Aは、回生期間TA3における電力変換システム1Aの動作を示している。回生期間TA3では、二次巻線122の両端電圧V10の極性は正に固定されている。
制御回路140は、回生期間TA3においては、スイッチング素子Q5N,Q7N,Q9N,Q6P,Q8P,Q10Pを継続してオンにした状態で、スイッチング素子Q6N,Q8N,Q10Nをオフにする。また、制御回路140は、回生期間TA3において、スイッチング素子Q5P,Q7P,Q9Pを継続してオフにする。
これにより、回生期間TA3では、回生切替期間TA2で形成された回生経路で電流が流れる。ここで、リアクトルL11,L12,L13を流れる電流は、二次巻線122の両端のうち二次巻線122に発生する電圧の正極側の端部に流れ込むように、コンバータ回路130は制御される。リアクトルL11,L12,L13を流れる電流がコンバータ回路130を介して二次巻線122に流れることで、トランス120の一次巻線121に電流が流れ、インバータ回路110を介してコンデンサC1又は直流電源200に電流が流れるので、一次巻線121側に電流が回生される。回生期間TA3では、回生切替期間TA2で維持されていた還流経路は遮断されている。
制御回路140は、二次巻線122の両端電圧V10の極性が反転する前に、回生期間TA3から還流切替期間TA4へと移行するように、コンバータ回路130を制御する。図23Bは、還流切替期間TA4における電力変換システム1Aの動作を示している。還流切替期間TA4では、二次巻線122の両端電圧V10の極性は正に固定されている。
制御回路140は、還流切替期間TA4において、回生期間TA3でオンのスイッチング素子Q5N,Q7N,Q9N,Q6P,Q8P,Q10Pを継続してオンにし、さらにスイッチング素子Q5P,Q7P,Q9Pをオンにする。これにより、双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9が双方向オンの状態になり、二次巻線122を通らずにコンバータ回路130を介して電流が流れる還流経路が形成される。すなわち、還流切替期間TA4では、回生期間TA3での回生経路が維持されている状態で、還流経路が形成される。
その後、制御回路140は、期間Ta1から期間Ta2に移行して、スイッチング素子Q1〜Q4を全てオフにすると、還流切替期間TA4から還流期間TA5に移行するようにコンバータ回路130を制御する。図24Aは、還流期間TA5における電力変換システム1Aの動作を示している。還流期間TA5では、二次巻線122の両端電圧V10の極性が正から負に反転する。
制御回路140は、還流期間TA5において、還流切替期間TA4で双方向オンの状態であった双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9を継続して双方向オンの状態にし、スイッチング素子Q6P,Q8P,Q10Pをオフにする。これにより、還流切替期間TA4で維持されていた回生経路が遮断され、還流切替期間TA4で形成された還流経路のみで電流が流れるようになる。
すなわち、コンバータ回路130では、リアクトルL11→スイッチング素子Q5N→スイッチング素子Q9P→リアクトルL13→コンデンサC13→リアクトルL11の還流経路で電流を流すことができる。また、リアクトルL12→スイッチング素子Q7N→スイッチング素子Q9P→リアクトルL13→コンデンサC12→リアクトルL12の還流経路で電流を流すことができる。このように、二次巻線122を通らずにコンバータ回路130を介して電流が流れるので、制御回路140は、還流期間TA5(期間Ta2)においてインバータ回路110の出力電圧の極性を正から負に反転させることができる。
制御回路140は、期間Ta2から期間Ta3に移行して、スイッチング素子Q2,Q3をオンにすると、コンバータ回路130を還流期間TA5から回生切替期間TA6に移行させる。図24Bは、回生切替期間TA6における電力変換システム1Aの動作を示している。回生切替期間TA6では、二次巻線122の両端電圧V10の極性は負に固定されている。
制御回路140は、回生切替期間TA6において、還流期間TA5で双方向オンの状態であった双方向スイッチ部Q5,Q7,Q9を継続して双方向オンの状態にして、スイッチング素子Q6N,Q8N,Q10Nをオンにする。これにより、回生切替期間TA6では、還流期間TA5で形成された還流経路が維持された状態で、回生経路が形成される。
すなわち、コンバータ回路130では、リアクトルL11→スイッチング素子Q6N→二次巻線122→スイッチング素子Q9P→リアクトルL13→コンデンサC13→リアクトルL11の回生経路で電流を流すことができる。また、リアクトルL12→スイッチング素子Q8N→二次巻線122→スイッチング素子Q9P→リアクトルL13→コンデンサC12→リアクトルL12の回生経路で電流を流すことができる。
回生切替期間TA6が所定時間継続すると、制御回路140は、コンバータ回路130の動作を回生切替期間TA6から回生期間TA7に移行させる。図25Aは、回生期間TA7における電力変換システム1Aの動作を示している。回生期間TA7では、二次巻線122の両端電圧V10の極性が負に固定されている。
制御回路140は、回生期間TA7において、回生切替期間TA6でオン状態であったスイッチング素子Q5P,Q7P,Q9P,Q6N,Q8N,Q10Nを継続してオン状態にする。また、制御回路140は、回生期間TA7において、回生切替期間TA6でオン状態であったスイッチング素子Q5N,Q7N,Q9Nをオフにする。制御回路140は、回生期間TA7において、スイッチング素子Q6P,Q8P,Q10Pを継続してオフにする。これにより、回生期間TA7では、回生切替期間TA6で維持されていた還流経路が遮断され、回生切替期間TA6で形成された回線経路で電流が流れるようになる。
すなわち、コンバータ回路130では、リアクトルL11→スイッチング素子Q6N→二次巻線122→スイッチング素子Q9P→リアクトルL13→コンデンサC13→リアクトルL11の回生経路で電流が流れる。また、リアクトルL12→スイッチング素子Q8N→二次巻線122→スイッチング素子Q9P→リアクトルL13→コンデンサC12→リアクトルL12の回生経路で電流が流れる。このとき、リアクトルL11,L12,L13を流れる電流は、二次巻線122の両端のうち二次巻線122に発生する電圧の正極側の端部に流れ込むように、コンバータ回路130は制御される。したがって、リアクトルL11,L12,L13を流れる電流が、コンバータ回路130を介して二次巻線122に流れることによって、トランス120及びインバータ回路110を介してコンデンサC1又は直流電源200に電流が流れる。これにより、コンデンサC1又は直流電源200が充電されるので、一次巻線121側に電流が回生される。
その後、制御回路140は、二次巻線122の両端電圧V10の極性が負から正に反転する前に、回生期間TA7から還流切替期間TA8へと移行するように、コンバータ回路130を制御する。図25Bは、還流切替期間TA8における電力変換システム1Aの動作を示している。還流切替期間TA8では、二次巻線122の両端電圧V10の極性は負に固定されている。
制御回路140は、還流切替期間TA8において、回生期間TA3でオンのスイッチング素子Q5P,Q7P,Q9P,Q6N,Q8N,Q10Nを継続してオンにし、さらにスイッチング素子Q6P,Q8P,Q10Pをオンにする。これにより、双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10が双方向オンの状態になり、二次巻線122を通らずにコンバータ回路130を介して電流が流れる還流経路が形成される。すなわち、還流切替期間TA8では、回生期間TA7で形成された回生経路が維持されている状態で、還流経路が形成される。
これにより、コンバータ回路130では、リアクトルL11→双方向スイッチ部Q6→双方向スイッチ部Q10→リアクトルL13→コンデンサC13→リアクトルL11の経路で電流が流れる回生経路が形成される。また、リアクトルL12→双方向スイッチ部Q8→双方向スイッチ部Q10→リアクトルL13→コンデンサC12→リアクトルL12の経路で電流が流れる回生経路が形成される。
その後、制御回路140は、期間Ta3から期間Ta4に移行して、スイッチング素子Q1〜Q4を全てオフにすると、還流切替期間TA8から還流期間TA1へ移行するように、コンバータ回路130を制御する。図22Aは還流期間TA1における電力変換システム1Aの動作を示している。還流期間TA1では、二次巻線122の両端電圧V10の極性は負から正に反転する。
制御回路140は、還流期間TA1において、還流切替期間TA8で双方向オンの状態であった双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10を継続して双方向オンの状態にし、還流切替期間TA8でオンであったスイッチング素子Q5P,Q7P,Q9Pをオフにする。これにより、還流期間TA1では、還流切替期間TA8で維持されていた回生経路が遮断される。また、還流期間TA1では双方向スイッチ部Q6,Q8,Q10が双方向オンの状態になり、二次巻線122を通らずにコンバータ回路130で電流が流れる還流経路が継続して形成される。したがって、コンバータ回路130では二次巻線122を介さない還流経路で電流が流れるので、この間にインバータ回路110の出力電圧の極性を負から正に反転させることができる。
制御回路140は、第2接続端子T21〜T23が開放状態となった後、リアクトルL11,L12,L13を流れる電流が、コンバータ回路130を介して二次巻線122に流れる回生経路を形成するようにコンバータ回路130を制御している。したがって、第2接続端子T21〜T23が開放状態となった後に、コンバータ回路130を介して二次巻線122に電流を流すことで、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギをインバータ回路110を介してコンデンサC1又は直流電源200に回生することができる。よって、コンデンサC1又は直流電源200が充電され、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギを一次巻線121側に回生させることができる。
制御回路140は、第2接続端子T21〜T23が開放状態となった後に、予め設定された一定時間以上、上述した期間TA1〜TA8を繰り返すようにコンバータ回路130を制御する。これにより、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギを一次巻線121側に回生させた後に、コンバータ回路130及びインバータ回路110の動作を停止させることができ、コンバータ回路130のスイッチング素子に加わるストレスを低減できる。ここにおいて、リアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギを一次巻線121側に回生し終わるまでの期間が回生動作期間であり、上記の一定時間は、回生動作期間よりも長い時間に設定されていればよい。
(4)変形例
以下に、上記実施形態の変形例を列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
電力変換システム1Aでは、第2接続端子T21〜T23が開放状態となった時点から一定時間が経過すると、インバータ回路110及びコンバータ回路130の動作を停止しているが、インバータ回路110及びコンバータ回路130を停止するタイミングはこれに限定されない。制御回路140は、一次巻線121側に回生させる電流の電流値を直接的又は間接的に計測し、電流の計測値が所定の閾値以下になると、インバータ回路110及びコンバータ回路130の動作を停止させてもよい。例えば、制御回路140は、第2接続端子T21〜T23が開放状態となった後にリアクトルL11,L12,L13を流れる電流を電流センサ(カレントトランス、ホール素子など)で直接的に計測し、電流の計測値が閾値以下になると、インバータ回路110及びコンバータ回路130の動作を停止させればよい。なお、制御回路140は、電流センサの代わりに、リアクトルL11,L12,L13に直列に接続された電流検出用の抵抗器を用い、電流検出用の抵抗器の両端電圧からリアクトルL11,L12,L13を流れる電流を間接的に計測してもよい。
また、電力変換システム1Aでは、制御回路140は、第2接続端子T21,T22,T23が開放状態となった直後に回生動作期間を設けてもよいが、第2接続端子T21,T22,T23が開放状態となった時点と回生動作期間との間に時間差があってもよい。つまり、制御回路140は、第2接続端子T21,T22,T23が開放状態となった時点から、インバータ回路110及びコンバータ回路130を停止させるまでの間に、回生動作期間を設ければよい。これにより、制御回路140は、回生動作期間においてリアクトルL11,L12,L13に蓄積されたエネルギを一次巻線121側に回生させた後に、インバータ回路110及びコンバータ回路130を停止させることができる。したがって、コンバータ回路130を停止させる際にコンバータ回路130の双方向スイッチ部Q5〜Q10に加わるストレスを低減できる。
また、電力変換システム1Aでは、例えば第2接続端子T21〜T23に接続された電線が断線するなどして、第2接続端子T21,T22,T23が開放状態となった場合でも、回生動作期間を設けた後にインバータ回路110及びコンバータ回路130を停止させればよい。ここで、制御回路140は、第2接続端子T21,T22,T23の端子間電圧などから、第2接続端子T21,T22,T23の開放状態を検出すればよい。
また、電力変換システム1,1Aは、双方向に電力の変換を行う構成に限らず、例えば、第1接続端子T11,T12から第2接続端子T21,T22,T23への一方向にのみ、電力の変換を行う構成であってもよい。換言すれば、コンバータ回路(11,130)からインバータ回路(5,110)に向かう第1方向で電力の伝達が行われてもよいし、インバータ回路(5,110)からコンバータ回路(11,130)に向かう第2方向で電力の伝達が行われてもよい。
また、実施形態1,2では、第1接続対象が直流電源200である場合を例として説明したが、第1接続対象は直流電源に限らず、直流電力を動作電源とする直流負荷であってもよいし、双方向に電力変換を行うDC/DCコンバータであってもよい。
また、実施形態1,2では、第2接続対象が交流電力系統300である場合を例として説明したが、第2接続対象は交流電力系統300に限らず、例えば交流電力を動作電源とする負荷29(図1参照)、交流負荷310(図20参照)であってもよい。
電力変換システム1,1Aは、非住宅施設に限らず、例えば、住宅に導入されてもよいし、電気自動車等、施設以外に適用されてもよい。
また、インバータ回路5,110のスイッチング素子S1〜S4,Q1〜Q4は、MOSFETに限らず、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでもよい。同様に、サイクロコンバータ11のスイッチ部S5P〜S10P,S5N〜S10N、コンバータ回路130のスイッチング素子Q5P〜Q10P、Q5N〜Q10Nも、MOSFETに限らず、例えばバイポーラトランジスタ、IGBTなどでもよい。その場合、MOSFETの寄生ダイオードと同じ向きに還流用のダイオードが接続されていればよい。
また、実施形態1、2では、第2接続対象である商用電力系統27及び交流電力系統300が三相交流であるが、この構成に限らず、第2接続対象は、例えば、単相交流であってもよい。電力変換システム1Aは、第1接続端子T11,T12と第2接続端子T21,T22,T23との間で双方向の電力変換を行う。すなわち、電力変換システム1Aは、第1接続端子T11,T12から入力される直流電力を単相交流電力に変換して第2接続端子T21,T22,T23から出力してもよいし、第2接続端子T21,T22,T23から入力される単相交流電力を直流電力に変換して第1接続端子T11,T12から出力してもよい。
(5)まとめ
以上説明したように、第1の態様の電力変換システム(1,1A)は、第1接続端子(3,T11〜T12)と、第2接続端子(15,T21〜T23)と、一次巻線(19,121)及び二次巻線(21,122)と、インバータ回路(5,110)と、コンバータ回路(11,130)と、制御回路(7,140)と、を有する。第1接続端子(3,T11〜T12)には第1接続対象(17,200)が接続される。第2接続端子(15,T21〜T23)には第2接続対象(27,29,300,310)が接続される。二次巻線(21,122)は一次巻線(19,121)に磁気結合される。インバータ回路(5,110)は、第1接続端子(3,T11〜T12)と一次巻線(19,121)との間に接続されて電力変換を行う。コンバータ回路(11,130)は、二次巻線(21,122)の両端間にブリッジ接続された複数の双方向スイッチ部(35〜40,Q5〜Q10)を備える。制御回路(7,140)は、一次巻線(19,121)に正及び負の電圧が交互に印加されるようにインバータ回路(5,110)を制御する。制御回路(7,140)は、一次巻線(19,121)の電圧の極性が反転する反転期間を含む第1期間において、コンバータ回路(11,130)とインバータ回路(5,110)との間で電力の伝達が行われないようにコンバータ回路(11,130)を制御する。制御回路(7,140)は、第1期間とは異なる第2期間において、コンバータ回路(11,130)からインバータ回路(5,110)に向かう第1方向又は第1方向とは逆の第2方向で電力の伝達が行われるようにコンバータ回路(11,130)を制御する。
これにより、一次巻線(19,121)の電圧の極性が反転する反転期間を含む第1期間において、コンバータ回路(11,130)とインバータ回路(5,110)との間で電力の伝達が行わないようにコンバータ回路(11,130)が制御される。したがって、一次巻線(19,121)にかかる電圧の極性の反転を安定的に行うことができ、双方向スイッチ部(35〜40,Q5〜Q10)のスイッチングによる電力損失を低減できる。よって、電力変換システム(1,1A)において電力の変換効率を向上できる。
第2の態様の電力変換システム(1)では、第1の態様において、第2接続端子(15)は複数の端子(15a〜15c)を含む。双方向スイッチ部(35〜40)は、二次巻線(21)の第1端(21a)と複数の端子(15a〜15c)との間にそれぞれ挿入されている第1双方向スイッチ部(35,37,39)と、二次巻線(21)の第2端(21b)と複数の端子(15a〜15c)との間にそれぞれ挿入されている第2双方向スイッチ部(36,38,40)とを含む。第1双方向スイッチ部(35,37,39)と第2双方向スイッチ部(36,38,40)とは直列に接続されている。制御回路(7)は、第1タイミング及び第2タイミングをシフトさせることにより、第2接続端子(15)から出力される出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。第1タイミングは、二次巻線(21)の電圧が正である正極性期間において、第1双方向スイッチ部(35,37,39)、及び、第2双方向スイッチ部(36,38,40)を含む回路を流れる電流が、第2双方向スイッチ部(36,38,40)を流れる状態から第1双方向スイッチ部(35,37,39)に流れる状態に切り替わるタイミングである。第2タイミングは、正極性期間に続く二次巻線(21)の電圧が負である負極性期間において、上記の回路を流れる電流が、第1双方向スイッチ部(35,37,39)を流れる状態から第2双方向スイッチ部(36,38,40)に流れる状態に切り替わるタイミングである。
これにより、一次側のインバータ回路(5)では、出力電圧又は出力電流の少なくとも一方の振幅を制御するための処理が不要となる。つまり、インバータ回路(5)を構成するスイッチング素子を駆動させる信号の位相を固定できる。制御回路(7)は、一次側のインバータ回路(5)の上記位相を固定した状態で、第1双方向スイッチ部(35,37,39)、及び、第2双方向スイッチ部(36,38,40)を制御して上記振幅を制御するので、一次側のインバータ回路(5)に循環電流が発生しないようにすることができる。
第3の態様の電力変換システム(1)では、第2の態様において、第1双方向スイッチ部(35,37,39)、及び、第2双方向スイッチ部(36,38,40)は、それぞれ、第1スイッチ部(S5N〜S10N)と、第1スイッチ部(S5N〜S10N)と直列に接続された第2スイッチ部(S5P〜S10P)と、を含む。
第4の態様の電力変換システム(1)では、第3の態様において、第1スイッチ部(S5N〜S10N)がオン状態のとき、第1スイッチ部(S5N〜S10N)は、二次巻線(21)から第2接続端子(15)への方向、及び、第2接続端子(15)から二次巻線(21)への方向に対して導通状態となる。第1スイッチ部(S5N〜S10N)がオフ状態のとき、第1スイッチ部(S5N〜S10N)は、二次巻線(21)から第2接続端子(15)への方向に対して非導通状態となり、かつ、第2接続端子(15)から二次巻線(21)への方向に対して導通状態となる。第2スイッチ部(S5P〜S10P)がオン状態のとき、第2スイッチ部(S5P〜S10P)は、二次巻線(21)から第2接続端子(15)への方向、及び、第2接続端子(15)から二次巻線(21)への方向に対して導通状態となる。第2スイッチ部(S5P〜S10P)がオフ状態のとき、第2スイッチ部(S5P〜S10P)は、二次巻線(21)から第2接続端子(15)への方向に対して導通状態となり、かつ、第2接続端子(15)から二次巻線(21)への方向に対して非導通状態となる。
第5の態様の電力変換システム(1)では、第3又は第4の態様において、制御回路(7)は、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第1スイッチ部(S5N,S7N,S9N)をオンオフさせる駆動信号の位相、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第2スイッチ部(S5P,S7P,S9P)をオンオフさせる駆動信号の位相、第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)をオンオフさせる駆動信号の位相、及び、第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第2スイッチ部(S6P,S8P,S10P)をオンオフさせる駆動信号の位相をシフトさせることにより、第1タイミング、及び、第2タイミングをシフトさせる。
これにより、駆動信号のデューティは変えず、駆動信号の位相をシフトさせることで、第1タイミング、及び、第2タイミングをシフトさせることができる。
第6の態様の電力変換システム(1)では、第3〜第5のいずれかの態様において、制御回路(7)は、正極性期間において、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第1スイッチ部(S5N,S7N,S9N)をオフからオンに切り替えてから第1所定期間が経過した後、第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)をオンからオフに切り替える。制御回路(7)は、正極性期間において、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第2スイッチ部(S5P,S7P,S9P)をオフからオンに切り替えてから第2所定期間が経過した後、第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第2スイッチ部(S6P,S8P,S10P)をオンからオフに切り替える。制御回路(7)は、負極性期間において、第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)をオフからオンに切り替えてから第3所定期間が経過した後、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第1スイッチ部(S5N,S7N,S9N)をオンからオフに切り替える。制御回路(7)は、負極性期間において、第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第2スイッチ部(S6P,S8P,S10P)をオフからオンに切り替えてから第4所定期間が経過した後、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第2スイッチ部(S5P,S7P,S9P)をオンからオフに切り替える。
制御回路(7)は、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)と第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)とのオン期間の一部を重複させる制御をする。よって、第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)と第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)との両方がオフ状態の期間を回避できる。同様に、制御回路(7)は、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第2スイッチ部(S5P,S7P,S9P)と第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第2スイッチ部(S6P,S8P,S10P)とのオン期間の一部を重複させる制御をする。よって、第2スイッチ部(S5P,S7P,S9P)と第2スイッチ部(S6P,S8P,S10P)との両方がオフ状態の期間を回避できる。これにより、電力変換システム(1)の二次側において、二次巻線(21)への経路が常に確保できる。従って、電力変換システム(1)の二次側で戻り電流が発生したとき、その電流が正電流、負電流のいずれの場合でも、戻り電流が流れる経路を確保することができるので、回路を保護することができる。
第7の態様の電力変換システム(1)では、第3〜第6のいずれかの態様において、制御回路(7)は、正極性期間において、第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第2スイッチ部(S6P,S8P,S10P)をオンからオフに切り替えてから第5所定期間が経過した後、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第1スイッチ部(S5N,S7N,S9N)をオフからオンに切り替える。制御回路(7)は、負極性期間において、第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第2スイッチ部(S5P,S7P,S9P)をオンからオフに切り替えてから第6所定期間が経過した後、第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)をオフからオンに切り替える。
これにより、正極性期間において、第2スイッチ部(S6P,S8P,S10P)と第1スイッチ部(S5N,S7N,S9N)とが同時にオン状態になることを回避できる。また、負極性期間において、第2スイッチ部(S5P,S7P,S9P)と第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)とが同時にオン状態になることを回避できる。
第8の態様の電力変換システム(1)では、第3〜第7のいずれかの態様において、制御回路(7)は、一次巻線に電流が流れていない状態のとき、それぞれの第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第1スイッチ部(S5N,S7N,S9N)、及び、第2スイッチ部(S5P,S7P,S9P)をオン状態にさせ、かつ、それぞれの第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)、及び、第2スイッチ部(S6P,S8P,S10P)をオフ状態にする制御をし、又は、それぞれの第1双方向スイッチ部(35,37,39)の第1スイッチ部(S5N,S7N,S9N)、及び、第2スイッチ部(S5P,S7P,S9P)をオフ状態にさせ、かつ、それぞれの第2双方向スイッチ部(36,38,40)の第1スイッチ部(S6N,S8N,S10N)、及び、第2スイッチ部(S6P,S8P,S10P)をオン状態にする制御をする。
これにより、電力変換システム(1)の二次側で電流を循環させつつ、二次巻線(21)に電流が流れないようにすることができる。
第9の態様に係る電力変換システム(1A)は、第1の態様において、第1接続端子(T11,T12)と、第2接続端子(T21,T22,T23)と、を備える。電力変換システム(1A)は、一次巻線(121)及び二次巻線(122)と、インバータ回路(110)と、コンバータ回路(130)と、リアクトル(L11,L12,L13)と、制御回路(140)と、を備える。第1接続端子(T11,T12)には第1接続対象(200)が接続される。第2接続端子(T21,T22,T23)には第2接続対象(300,310)が接続される。二次巻線(122)は一次巻線(121)に磁気結合される。インバータ回路(110)は、第1接続端子(T11,T12)と一次巻線(121)との間に接続されて電力変換を行う。コンバータ回路(130)は、二次巻線(122)の両端間にブリッジ接続された複数の双方向スイッチ部(Q5〜Q10)を備える。リアクトル(L11,L12,L13)は、コンバータ回路(130)と第2接続端子(T21,T22,T23)との間に接続される。制御回路(140)は、第2接続端子(T21,T22,T23)が開放状態となるときに、リアクトル(L11,L12,L13)に蓄積されたエネルギが一次巻線(121)側に回生されるようにコンバータ回路(130)を制御する。
この構成によれば、第2接続端子(T21,T22,T23)が開放状態となるときに、リアクトル(L11,L12,L13)に蓄積されたエネルギを一次巻線(121)側に回生することができる。したがって、コンバータ回路(130)が回生動作を行わない場合に比べて、インバータ回路(110)及びコンバータ回路(130)の動作を停止させる際に双方向スイッチ部に加わるストレスを低減できる。
第10の態様に係る電力変換システム(1A)では、第9の態様において、制御回路(140)は、第2接続端子(T21,T22,T23)が開放状態となるときに、回生動作期間において回生期間を断続的に設けるようにコンバータ回路(130)を制御する。回生動作期間は、リアクトル(L11,L12,L13)に蓄積されたエネルギを一次巻線(121)側に回生し終わるまでの期間である。回生期間は、リアクトル(L11,L12,L13)に蓄積されたエネルギを一次巻線(121)側に回生する期間である。
この構成によれば、回生動作期間中に断続的に設けた回生期間において、リアクトル(L11,L12,L13)に蓄積されたエネルギを一次巻線(121)側に回生することができる。
第11の態様に係る電力変換システム(1A)では、第10の態様において、制御回路(140)は、回生動作期間が終わると、インバータ回路(110)及びコンバータ回路(130)の動作を停止する。
この構成によれば、回生動作期間が終わった後に、インバータ回路(110)及びコンバータ回路(130)の動作を停止することができる。ここで、第2接続端子(T21〜T23)が開放状態となった直後に回生動作期間を設けることは必須ではなく、第2接続端子(T21〜T23)が開放状態となった時点からインバータ回路(110)及びコンバータ回路(130)の動作を停止するまでの間に回生動作期間が設けられればよい。したがって、回生動作期間がない場合に比べて、インバータ回路(110)及びコンバータ回路(130)の動作を停止させる際に双方向スイッチ部に加わるストレスが低減される。
第12の態様に係る電力変換システム(1A)では、第10又は第11の態様において、制御回路(140)は、回生期間において、二次巻線(122)の両端のうち、インバータ回路(110)の動作により二次巻線(122)に発生する電圧(V10)の正極側の端部に、コンバータ回路(130)から電流が流れ込むようにコンバータ回路(130)を制御する。
この構成によれば、リアクトル(L11〜L13)に蓄積されたエネルギによる電流が二次巻線(122)の正極側の端部に流れ込むことで、二次巻線(122)の両端電圧が増加するので、インバータ回路(110)を介して一次巻線(121)側にエネルギを回生できる。
第13の態様に係る電力変換システム(1A)では、第10〜第12のいずれかの態様において、制御回路(140)は、回生動作期間において、二次巻線(122)に発生する電圧の極性が反転する期間に、還流期間を設けるようにコンバータ回路(130)を制御する。還流期間は、二次巻線(122)を通らずにコンバータ回路(130)で電流が流れる還流経路を形成する期間である。
この構成によれば、還流期間では、二次巻線(122)を通らずにコンバータ回路(130)を介して電流が流れるので、コンバータ回路(130)に流れる電流の影響を受けずに、二次巻線(122)に発生する電圧の極性を反転させることができる。
第14の態様に係る電力変換システム(1A)では、第13の態様において、制御回路(140)は、回生期間から還流期間に切り替わる間に、回生期間において電流が流れていた回生経路を維持した状態で還流経路を形成するようにコンバータ回路(130)を制御する還流切替期間を設けている。
この構成によれば、還流切替期間では、回生経路と還流経路の両方で電流を流すことができる。したがって、回生期間において回生経路を通っていた電流が還流切替期間においても流れつづけていた場合に、電流が流れる経路がなくなって双方向スイッチ部にストレスがかかるのを抑制できる。
第15の態様に係る電力変換システム(1A)では、第13又は第14の態様において、制御回路(140)は、還流期間から回生期間に切り替わる間に、還流経路を維持した状態で、リアクトル(L11,L12,L13)に蓄積されたエネルギを一次巻線(121)側に回生するようにコンバータ回路(130)を制御する回生切替期間を設けている。
第16の態様に係る電力変換システム(1,1A)では、第1〜第15の態様において、コンバータ回路(11,130)が、二次巻線(21,122)と第2接続端子(15,T21〜T23)との間で、単相交流電力を三相交流電力に変換する動作、又は、三相交流電力を単相交流電力に変換する動作の少なくとも一方を行う。
この構成によれば、電力変換システム(1,1A)を三相交流方式の交流電力系統に適用できる。
第17の態様に係る電力変換システム(1,1A)では、第1〜第15の態様において、コンバータ回路(11,130)が、二次巻線(21,122)と第2接続端子(15,T21〜T23)との間で、単相交流電力の変換動作を行う。
この構成によれば、電力変換システム(1,1A)を単相交流方式の交流電力系統に適用できる。
ただし、第2〜第15この構成は電力変換システム(1,1A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
第9の態様については、それ単独でも実施し得る態様であって、第1〜8のいずれかの態様を前提とすることは必須ではない。同様に、第2の態様についても、それ単独でも実施し得る態様であって、第9〜15のいずれかの態様を前提とすることは必須ではない。