JP2023087953A - ガスセンサ素子、ガスセンサ及びガスセンサ素子の製造方法 - Google Patents

ガスセンサ素子、ガスセンサ及びガスセンサ素子の製造方法 Download PDF

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Sai Furuta
章敬 小島
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慧 吉川
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Abstract

【課題】NOx濃度の誤検知の原因となるクラックの発生が抑制されたガスセンサ素子等の提供。【解決手段】本発明のガスセンサ素子は、第1絶縁層131sと、第1固体電解質体131eに配置される第1電極132及び第2電極133とを有する第1セル130と、第1絶縁層131sの表面と対向する対向面、及び対向面の反対側にある反対面を含む第2固体電解質体と、対向面に配置される第3電極123と、反対面に配置される第4電極とを有する第2セルと、第1電極132及び第2電極133が、第3電極123に対して導通しないように離された状態で、第1セル130と第2セルとを接着する絶縁性の接着層とを備える。ガスセンサ素子は、接着層を形成するための材料よりも収縮開始温度が低い材料からなるセラミックからなり、領域Rと重なりつつ、第1固体電解質体131eの周端部131e2と重なるように、第3電極123の表面に緩衝部200を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、ガスセンサ素子、ガスセンサ及びガスセンサ素子の製造方法に関する。
内燃機関の排ガス中の特定成分の濃度(NO等)を測定するためのガスセンサが知られている。この種のガスセンサは、セラミックを主体として構成されたガスセンサ素子を備えている。ガスセンサ素子は、Ip1セル、Vsセル、Ip2セル、第1測定室、基準酸素室、第2測定室等を備える(例えば、特許文献1参照)。
Ip1セル(第1ポンプセル)は、第1測定室と外部との間で排ガス中の酸素の汲み出し又は汲み入れ(所謂、ポンピング)を行うものである。
Vsセル(検知セル)は、第1測定室と基準酸素室とを隔てる固体電解質体と、第1測定室内の雰囲気に晒されると共に固体電解質体の一方の表面に形成される検知電極(Vs-電極)と、基準酸素室内の雰囲気に晒されると共に固体電解質体の他方の表面に形成される基準電極(Vs+電極)とを備える。Vsセルでは、検知電極(Vs-電極)側から基準電極(Vs+電極)側に向かって一定の微小電流が流されることにより、基準酸素室内に、一定量の酸素が溜められている。なお、基準酸素室内に溜まり過ぎた酸素は、上述した基準電極(Vs+電極)及びそれに接続したリード線を介して、外部に放出される。基準電極(Vs+電極)及びリード線は、多孔質セラミックからなり、ガス透過性を備えている。
Ip2セル(第2ポンプセル)は、NO濃度を検知するためのものであり、固体電解質体と、その固体電解質体の一方の表面に形成される1組の電極(Ip2+電極、Ip2-電極)とを備える。Ip2セルの一方の電極(Ip2+電極)は、基準酸素室を間に置きつつVsセルの基準電極(Vs+電極)と対向している。第2ポンプセルの他方の電極(Ip2-電極)は、第2測定室内に収容されている。このような1組の電極は、平面視で互いに離された状態で固体電解質体の前記表面に配置されている。
なお、Ip2セルにおける固体電解質体の前記表面と、Vsセルの基準電極(Vs+電極)とは、間に絶縁性の接着剤層を置きつつ、互いに対向している。特に、基準電極(Vs+電極)は、平面視で、Ip2セルの1組の電極(Ip2+電極、Ip2-電極)の間の領域(電極が形成されていない領域)と重なりつつ、第2ポンプセルの固体電解質の周端部と重なるように、ガスセンサ素子の先端側から後端側に向かって延びた部分(以下、重なり部)を備えている。
特開2020-3286号公報
このようなガスセンサ素子では、VsセルとIp2セルとの間に介在される絶縁性の接着層のうち、Vsセルの基準電極(Vs+電極)の重なり部と、第2ポンプセルにおける1組の電極間に配される固体電解質体の周端部とで、挟まれた部分に、厚み方向(積層方向)に沿ってクラックが発生することがあった。
上記のようなクラックが発生すると、基準酸素室と第2測定室とが空間的に繋がって、基準酸素室に溜められていた酸素が、第2測定室内へ流れ込む虞がある。第2測定室内に酸素が流れ込むと、Ip2セルの1組の電極が、通常よりも大きな電流値を検出してしまい、NO濃度の誤検知が発生する。
このようなクラックは、ガスセンサ素子の製造時に、Vsセルの前記重なり部側が起点となって、第2ポンプセルの前記電極間の領域側に向かって成長するように形成される。クラックが発生する原因としては、Vsセルの基準電極(Vs+電極)を形成するための未焼成の基準電極の厚みが大きいため、その焼成時の収縮量が大きくなること、及び焼成時に、未焼成の前記基準電極に接触している、前記接着層を形成するための未焼成の接着層が、未焼成の前記基準電極と比べて早く収縮すること等が挙げられる。
また、Ip2セルがVsセルと対向する表面のうち、1組の電極の間にある領域(電極が形成されていない領域)や、固体電解質体の周端部付近は、その他の箇所と比べて、表面形状の起伏が激しい。このような起伏の激しい表面形状に追従させつつ、VsセルとIp2セルとの間に接着層を形成すると、前記表面形状に対応した部分の接着層の存在量が相対的に少なくなり易い。接着層の大部分は、通常、厚みの均一な未焼成のグリーンシート等を利用して形成されるため、起伏の激しい表面形状に追従させた部分の接着層の厚み(密度)が、相対的に小さくなり易い。このように、接着層の厚み(密度)が相対的に小さくなり易いことも、上述したクラックの発生原因の一つと推測される。
本発明の目的は、第1セル(Ip2セル)と第2セル(Vsセル)との間に介在される絶縁性の接着層に、NO濃度の誤検知の原因となるクラックが発生することが抑制されたガスセンサ素子等を提供することである。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 第1絶縁層と、周端部が平面視で前記第1絶縁層の表面からはみ出さないように前記表面側に配置される第1固体電解質体と、各々が平面視で互いに離された状態で前記第1固体電解質体の表面に配置される一対の第1電極及び第2電極とを有する第1セルと、前記第1絶縁層の前記表面と対向する対向面、及び前記対向面の反対側にある反対面を含む第2固体電解質体と、前記対向面に配置されると共に、前記周端部と平面視で重なるように配置される第3電極と、前記反対面に配置される第4電極とを有する第2セルと、前記第1セルと前記第2セルとの間に介在され、前記第1電極及び前記第2電極が、前記第3電極に対して導通しないように離された状態で、前記第1セルと前記第2セルとを接着する絶縁性の接着層と、を備えるセンサ素子であって、前記接着層を形成するための材料よりも収縮開始温度が低い材料からなるセラミックからなり、平面視で、前記第1電極と前記第2電極との間の領域と重なりつつ、前記第1固体電解質体の前記周端部と重なるように、前記第3電極の表面に形成される緩衝部を備えるガスセンサ素子。
<2> 前記第3電極は、ガス透過性を有する多孔質セラミックからなり、前記緩衝部は、非ガス透過性の緻密なセラミックからなる前記<1>に記載のガスセンサ素子。
<3> 前記緩衝部は、主成分としてジルコニアを含むセラミックからなる前記<1>又は<2>に記載のガスセンサ素子。
<4> 前記第3電極は、白金粉末とセラミック粉末とを含むサーメットからなる前記<1>から<3>の何れか1つに記載のガスセンサ素子。
<5> 前記<1>から<4>の何れか1つに記載のガスセンサ素子を備えるガスセンサ。
<6> 第1絶縁層と、周端部が平面視で前記第1絶縁層の表面からはみ出さないように前記表面側に配置される第1固体電解質体と、各々が平面視で互いに離された状態で前記第1固体電解質体の表面に配置される一対の第1電極及び第2電極とを有する第1セルと、前記第1絶縁層の前記表面と対向する対向面、及び前記対向面の反対側にある反対面を含む第2固体電解質体と、前記対向面に配置されると共に、前記周端部と平面視で重なるように配置される第3電極と、前記反対面に配置される第4電極とを有する第2セルと、前記第1セルと前記第2セルとの間に介在され、前記第1電極及び前記第2電極が、前記第3電極に対して導通しないように離された状態で、前記第1セルと前記第2セルとを接着する絶縁性の接着層と、を備えるセンサ素子の製造方法であって、前記第1絶縁層を形成するための第1グリーンシートと、前記第1グリーンシートの表面側に配置される前記第1固体電解質体を形成するための未焼成第1固体電解質体と、各々が平面視で互いに離された状態で前記未焼成第1固体電解質の表面に配置される、前記第1電極及び前記第2電極を形成するための一対の未焼成第1電極及び未焼成第2電極とを備える未焼成第1セルを作製する第1作製工程と、 前記第1グリーンシートの表面と対向する未焼成対向面、及び前記未焼成対向面の反対側にある未焼成反対面を含む前記第2固体電解質体を形成するための第2グリーンシートと、前記未焼成第1電極及び前記未焼成第2電極よりも厚みが大きく、前記未焼成対向面に配置される前記第3電極を形成するための未焼成第3電極と、前記未焼成反対面に配置される前記第4電極を形成するための未焼成第4電極とを有する未焼成第2セルを作製する第2作製工程と、前記未焼成第1電極及び前記未焼成第2電極が、前記未焼成第3電極に対して離された状態であり、かつ平面視で前記未焼成第3電極が前記未焼成第1固体電解質体の未焼成周端部と重なるように、前記未焼成第1セルと前記未焼成第2セルとの間に、前記接着層を形成するための未焼成接着シートを介在させて、前記未焼成第1セルと前記未焼成第2セルとを接着する接着工程と、前記接着工程後に得られる積層物を焼成する焼成工程とを備え、前記第2作製工程において、前記平面視で、前記未焼成第1電極と前記未焼成第2電極との間の領域と重なりつつ、前記未焼成周端部と重なるように、前記未焼成第3電極の表面に、前記接着層を形成するための材料よりも収縮開始温度が低い材料からなる、前記緩衝部を形成するための未焼成緩衝部を形成するガスセンサ素子の製造方法。
本発明によれば、第1セル(Ip2セル)と第2セル(Vsセル)との間に介在される絶縁性の接着層に、NO濃度の誤検知の原因となるクラックが発生することが抑制されたガスセンサ素子等を提供することができる。
実施形態1に係るガスセンサの縦断面図 実施形態1に係るガスセンサ素子の斜視図 図2のA-A線断面図 ガスセンサ素子の分解斜視図 Ip2+電極、Ip2-電極及びVs+電極の配置関係を平面視の状態で示した説明図 Ip2セルを平面視の状態で示した説明図 軸線方向に沿って切断されたIp2セルとVsセルとを含む積層物の断面図 幅方向に沿って切断されたIp2セルとVsセルとを含む積層物の断面図 ガスセンサ素子の製造方法における各工程を示すフロー図 ガスセンサ素子の製造方法の内容を模式的に表した説明図 軸線方向に沿って切断された従来のガスセンサ素子10Pの一部の断面図
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を、図1~図10を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1に係るガスセンサ1の縦断面図であり、図2は、実施形態1に係るガスセンサ素子10の斜視図であり、図3は、図2のA-A線断面図であり、図4は、ガスセンサ素子10の分解斜視図である。
図1には、ガスセンサ1の軸線AXが、上下方向に沿った直線(一点鎖線)として示されている。本明細書では、ガスセンサ1の軸線AX方向に沿った方向を、「長手方向」と称し、軸線AXに対して垂直に交わる方向を、「幅方向」と称する場合がある。また、本明細書では、図1に示されるガスセンサ1の下側を、「先端側」と称し、その反対側(図1の上側)を、「後端側」と称する。また、説明の便宜上、図2~図4の上側を、ガスセンサ素子10の「表側(表面側)」と称し、それらの下側を、ガスセンサ素子10の「裏側(裏面側)」と称する。
ガスセンサ1は、測定対象ガス(被検出ガス)である排ガス中のNO等の濃度を検出可能なガスセンサ素子10を備えている。このガスセンサ1は、内燃機関の排気管(不図示)に装着されて使用されるものであり、排気管に固定するためのネジ部21が外表面の所定位置に形成された筒状の主体金具20を備えている。ガスセンサ素子10は、全体的には、軸線AX方向に沿って延びた細長い板状をなしており、そのようなガスセンサ素子10が主体金具20の内側で保持されている。
ガスセンサ1は、ガスセンサ素子10の後端部10kが挿入される挿入孔62を有する筒状の保持部材60と、この保持部材60の内側で保持される6個の端子部材とを備えている。なお、図1には、説明の便宜上、6個の端子部材のうち2個の端子部材75,76のみが示されている。
ガスセンサ素子10の後端部10kには、図2に示されるように、平面視で矩形状をなした電極端子部13~18が合計6個形成されている。なお、図1では、電極端子部14,17のみが図示される。これらの電極端子部13~18には、それぞれ、前述の端子部材が弾性的に当接して電気的に接続している。例えば、電極端子部14には、端子部材75の素子当接部75bが弾性的に当接して電気的に接続し、また、電極端子部17には、端子部材76の素子当接部76bが弾性的に当接して電気的に接続している。
また、6個の端子部材(端子部材75,76等)には、それぞれ、異なるリード線71
が電気的に接続されている。例えば、図1に示されるように、端子部材75のリード線把持部77によって、リード線71の芯線が加締められて把持される。また、端子部材76のリード線把持部78によって、他のリード線71の芯線が加締めされて把持される。
図2に示されるように、ガスセンサ素子10の後端部10kにおける2つの主面10a,10bのうち、一方の(表側の)主面10aには、電極端子部13~15よりも先端側であり、かつ後述するセラミックスリーブ45(図1参照)よりも後端側の箇所に、開口状の大気導入口10hが設けられている。大気導入口10hは、保持部材60の挿入孔62内に配置されている。
主体金具20は、軸線AX方向に貫通する貫通孔23を有する筒状部材である。この主体金具20は、径方向内側に突出する形で、貫通孔23の一部を構成する棚部25を備えている。主体金具20は、ガスセンサ素子10の先端部10sを、自身の先端側外部(図1の下方)に突出させると共に、ガスセンサ素子10の後端部10kを自身の後端側外部(図1の上方)に突出させた状態で、ガスセンサ素子10を貫通孔23内で保持する。
また、主体金具20の貫通孔23の内部には、環状のセラミックホルダ42、滑石粉末を環状に充填してなる2つの滑石リング43,44、及びセラミックスリーブ45が配置されている。より詳細には、軸線AX方向に延びたガスセンサ素子10の周りを取り囲む形で、セラミックホルダ42、滑石リング43,44、及びセラミックスリーブ45がこの順で、主体金具20の先端側から後端側に重ねられている。
セラミックホルダ42と主体金具20の棚部25との間には、金属カップ41が配置されている。また、セラミックスリーブ45と主体金具20の加締め部22との間には、加締めリング46が配置されている。なお、主体金具20の加締め部22は、加締めリング46を介してセラミックスリーブ45を先端側に押し付けるように、加締められている。
主体金具20の先端部20bには、ガスセンサ素子10の先端部10sを覆うように、複数の孔を有する金属製(例えば、ステンレス)の外部プロテクタ31及び内部プロテクタ32が、溶接によって取り付けられている。また、主体金具20の後端部には、外筒51が溶接によって取り付けられている。外筒51は、全体的には、軸線AX方向に延びた筒状をなしており、ガスセンサ素子10を包囲している。
保持部材60は、絶縁性材料(例えば、アルミナ)からなり、軸線AX方向に貫通する挿入孔62を有する筒状部材である。挿入孔62内には、上述した6個の端子部材(端子部材75,76等)が配置されている(図1参照)。保持部材60の後端部には、径方向外側に突出する鍔部65が形成されている。保持部材60は、鍔部65が内部支持部材53に当接する形で、内部支持部材53によって保持されている。なお、内部支持部材53は、外筒51のうち、径方向内側に向けて加締められた加締め部51gによって保持されている。
保持部材60の後端面61上には、絶縁部材90が配置されている。絶縁部材90は、絶縁性材料(例えば、アルミナ)からなり、全体的には、円環状をなしている。この絶縁部材90には、軸線AX方向に貫通する貫通孔91が合計6個形成されている。この貫通孔91には、上述した端子部材のリード線把持部77,78等が配置されている。
また、外筒51のうち、後端側に配される後端開口部51cの径方向内側には、フッ素ゴムからなる弾性シール部材73が配置されている。この弾性シール部材73には、軸線AX方向に延びる円筒状の挿通孔73cが、合計6個形成されている。各々の挿通孔73cは、弾性シール部材73の挿通孔面73b(円筒状の内壁面)によって構成されている。各々の挿通孔73cには、リード線71が1本ずつ挿通されている。各々のリード線71は、弾性シール部材73の挿通孔73cを通じて、ガスセンサ1の外部に延出している。弾性シール部材73は、外筒51の後端開口部51cを径方向内側に加締めることで径方向に弾性圧縮変形し、これにより、挿通孔面73bとリード線71の外周面71bとを密着させて、挿通孔面73bとリード線71の外周面71bとの間を水密に封止している。
図3に示されるように、ガスセンサ素子10は、板状の絶縁層111s,121s,131sと、固体電解質体111e,121e,131eと、絶縁体140,145とを備える。絶縁体140,145は、それぞれ緻密なセラミック(例えば、アルミナ)からなる。絶縁体140は、絶縁層111sと絶縁層121sとの間に配され、絶縁体145は、絶縁層121sと、絶縁層131sとの間に配される。更に、ガスセンサ素子10は、固体電解質体131eの裏面側に、配置されるヒータ161を備える。ヒータ161は、アルミナを主体とする板状の2つの絶縁体162,163と、それらの間に埋設されたヒータパターン164とを備える。ヒータパターン164は、白金(Pt)を主体とする膜状のパターンからなる。
なお、固体電解質体111e,121e,131eは、それぞれ平面視で略矩形状をなしている。固体電解質体111eは、軸線AX方向に延びた板状の絶縁層111sのうち、先端側(図4の左側)に設けられた開口部111aと重なるように形成されている。固体電解質体121eは、軸線AX方向に延びた板状の絶縁層121sのうち、先端側(図4の左側)に設けられた開口部121aと重なるように形成されている。固体電解質体131eは、軸線AX方向に延びた板状の絶縁層131sの表面に形成される。絶縁層131sは、本発明の「第1絶縁層」に対応する。なお、各固体電解質体111e,121eは、対応する開口部111a,121aに対して、それぞれ埋め込まれるように形成されてもよいし、別途、用意されたシート状の部材を所定箇所に転写するよう形成されてもよい。
固体電解質体111e,121e,131eは、固体電解質であるジルコニアからなり、酸素イオン伝導性を有する。固体電解質体111eの表面側には、多孔質のIp1+電極112が設けられている。また、固体電解質体111eの裏面側には、多孔質のIp1-電極113が設けられている。更に、Ip1+電極112の表面は、多孔質層114で覆われている。なお、Ip1+電極112には、Ip1+リード116が接続されている。また、Ip1-電極113には、Ip1-リード117が接続されている。
図4に示されるように、Ip1+電極112及びIp1+リード116の各表面には、軸線AX方向に延びた板状の緻密層118Bが積層されている。緻密層118Bは、アルミナ等からなるガス非透過性の材料からなる。緻密層118Bの先端側には、平面視で矩形状をなした開口部118Baが設けられている。そして、この開口部118Baを埋めるように、上述した多孔質層114が形成される。
なお、図4に示されるように、緻密層118Bの表面側には、空隙10Gを含むと共に、アルミナ等からなるガス非透過性の緻密層118が配置される。空隙10Gは、長手方向(軸線AX方向)に延びた溝部の内側に形成される。その空隙10Gからは、多孔質層114の一部が露出した状態となっている。空隙10Gは、軸線AX方向に延びた板状の緻密層118において、多孔質層114近傍から大気導入口10hに連通する部位まで真っ直ぐに延びている。そして、軸線AX方向に延びた板状の緻密層118のうち、後端側には、電極端子部13,14,15と導通するためのスルーホールが設けられている。
また、緻密層118の表面には、アルミナ等からなるガス非透過性の緻密層115が積層されている。緻密層115がこのように積層されることで、緻密層115により空隙10Gが閉塞される。
緻密層115のうち、長手方向(軸線AX方向)に延びた空隙10Gの後端と重なる位置に大気導入口10hが形成されている。大気導入口10hは、緻密層115を厚み方向に貫通する形で設けられた開口部からなる。このような大気導入口10hは、空隙10Gと繋がっている。大気導入口10hは、後述する第1多孔質体151よりも後端側に開口しており、排ガスではなく、大気を導入することができる。これにより、Ip1+電極112は、多孔質層114を介して大気導入口10hから導入される大気に晒される。
固体電解質体111e、Ip1+電極112、及びIp1-電極113は、Ip1セル(第1ポンプセル)110を構成する(図3参照)。このIp1セル110は、Ip1+電極112とIp1-電極113との間に流されるポンプ電流Ip1(第1ポンプ電流)に応じて、Ip1+電極112の接する雰囲気(空隙10G内の大気)と、Ip1-電極113の接する雰囲気(後述する第1測定室150内の雰囲気。つまり、ガスセンサ素子10の外部の測定対象ガス)との間で酸素の汲み出し及び汲み入れ(所謂、酸素ポンピング)を行う。
固体電解質体121eの表面側には、多孔質のVs-電極122が設けられている。また、固体電解質体121eの裏面側には、多孔質のVs+電極(基準電極)123が設けられている。Vs-電極122は、本発明の「第4電極」に対応し、Vs+電極123は、本発明の「第3電極」に対応する。また、固体電解質体121eは、本発明の「第2固体電解質体」に対応する。
積層方向において、固体電解質体111eと固体電解質体121eとの間には、第1測定室150が形成されている。この第1測定室150は、排気管内の排気通路を流れる測定対象ガス(排ガス)が、ガスセンサ素子10内に最初に導入される内部空間からなり、ガス透過性及び透水性を有する第1多孔質体(拡散抵抗部)151(図2、図4参照)を通じてガスセンサ素子10の外部と連通している。第1多孔質体151は、ガスセンサ素子10の外部との仕切りとして、第1測定室150の側方に設けられている。このような第1多孔質体151は、第1測定室150内への排ガスの単位時間あたりの流通量(拡散速度)を制限する。第1多孔質体151は、多孔質セラミックからなる。
第1測定室150の後端側(図3の右側)には、第1測定室150と、後述する第2測定室160との間の仕切りとして、排ガスの単位時間あたりの流通量を制限する第2多孔質体152が設けられている。
固体電解質体121e、Vs-電極122及びVs+電極123は、Vsセル(検知セル)120を構成する。このVsセル120は、主として、固体電解質体121eにより隔てられた雰囲気(Vs-電極122の接する第1測定室150内の雰囲気と、Vs+電極123の接する基準酸素室170内の雰囲気)間の酸素分圧差に応じて起電力を発生する。Vsセル120は、本発明の「第2セル」に対応する。
固体電解質体131eの表面側には、多孔質のIp2+電極132と、多孔質のIp2-電極133とが設けられている。なお、Ip2+電極132は、本発明の「第1電極」に対応し、Ip2-電極133は、本発明の「第2電極」に対応する。また、固体電解質体131eは、本発明の「第1固体電解質体」に対応する。
Ip2+電極132とVs+電極123との間には、孤立した小空間としての基準酸素室170が形成されている。この基準酸素室170は、絶縁体145に形成されている開口部145bにより構成されている。なお、基準酸素室170のうち、Ip2+電極132側には、セラミックス製の多孔質体171が配置されている(図3参照)。
また、積層方向において、Ip2-電極133と対向する位置には、第2測定室160が形成されている。この第2測定室160は、主として、絶縁体145を積層方向(厚み方向)に貫通する開口部145cと、絶縁層121sを積層方向(厚み方向)に貫通する開口部125と、第2多孔質体152を積層方向(厚み方向)に貫通する開口部152aとにより構成されている。
第1測定室150と第2測定室160とは、ガス透過性及び透水性を有する第2多孔質体152を介して連通している。したがって、第2測定室160は、第1多孔質体151、第1測定室150及び第2多孔質体152を通じて、ガスセンサ素子10の外部と連通している。
固体電解質体131e、Ip2+電極132及びIp2-電極133は、NO濃度を検出するためのIp2セル130(第2ポンプセル)を構成する。このIp2セル130は、第2測定室160内で分解されたNO由来の酸素(酸素イオン)を、固体電解質体131eを通じて、基準酸素室170に移動させる。その際に、Ip2+電極132とIp2-電極133との間には、第2測定室160内に導入された排ガス(測定対象ガス)に含まれるNOの濃度に応じて電流(第2ポンプ電流)が流れる。なお、Ip2セルは、本発明の「第1セル」に対応する。
本実施形態では、絶縁層111sの裏面のうち、Ip1-電極113等を除く部位に、アルミナ絶縁層119が形成されている。Ip1-電極113は、アルミナ絶縁層119を積層方向に貫通する貫通孔119b(図4参照)を通じて、固体電解質体111eと接触する。
また、絶縁層121sの表面のうち、Vs-電極122等を除く部位に、アルミナ絶縁層128(図3参照)が形成されている。なお、図4では、説明の便宜上、アルミナ絶縁層128は省略されている。Vs-電極122は、アルミナ絶縁層128を積層方向に貫通する貫通孔(不図示)を通じて、固体電解質体121eと接触する。
また、絶縁層121sの裏面のうち、Vs+電極123等を除く部位に、アルミナ絶縁層129(図3参照)が形成されている。なお、図4では、説明の便宜上、アルミナ絶縁層129は省略されている。Vs+電極123は、アルミナ絶縁層129を積層方向に貫通する貫通孔(不図示)を通じて、固体電解質体121eと接触する。
ここで、図5~図8等を参照しつつ、Ip2セル130が備えるIp2+電極132及びIp2-電極133と、Vsセル120が備えるVs+電極123との配置関係等について説明する。図5は、Ip2+電極132、Ip2-電極133及びVs+電極123の配置関係を平面視の状態で示した説明図であり、図6は、Ip2セル130を平面視の状態で示した説明図であり、図7は、軸線方向に沿って切断されたIp2セル130とVsセル120とを含む積層物Lの断面図であり、図8は、幅方向に沿って切断されたIp2セル130とVsセル120とを含む積層物Lの断面図である。
積層物Lは、ガスセンサ素子10の一部を構成するものであり、少なくともIp2セル130と、Vsセル120と、絶縁体145とを含む。絶縁体145は、本発明の「接着層」に対応する。なお、図7に示される断面図の切断方向は、図5のB-B線方向に対応し、図8に示される切断面の切断方向は、図5のC-C線方向に対応する。
Ip2セル(第1セル)130は、絶縁層(第1絶縁層)131sと、周端部131e2が平面視で絶縁層131sの表面131s1からはみ出さないように表面131s1側に配置される固体電解質体(第1固体電解質体)131eと、各々が平面視で互いに離された状態で固体電解質体131eの表面131e1に配置される一対のIp2+電極(第1電極)132及びIp2-電極(第2電極)133とを有する。図5及び図6において、Ip2+電極132に接続する長手状のリード線132b(図4参照)と、Ip2-電極133に接続する長手状のリード線133b(図4参照)とは省略されている。固体電解質体131eは、絶縁層131sの表面131s1上に形成されている。つまり、固体電解質体131eは、絶縁層131sの表面側に配置されている。
図6に示されるように、Ip2セル(第1セル)130を表側から平面視した際に、Ip2+電極132とIp2-電極133との間には、電極が形成されていない領域Rが存在している。なお、Ip2+電極132とIp2-電極133との間の領域Rには、最終的に、絶縁体145の一部が充填される。
Vsセル(第2セル)120は、絶縁層(第1絶縁層)131sの表面131s1と対向する対向面121e1と、その対向面121e1の反対側にある反対面121e2を含む固体電解質体(第2固体電解質体)121eと、対向面121e1に配置されると共に、周端部131e2と平面視で重なるように配置されるVs+電極(第3電極)123と、反対面121e2に配置されるVs-電極(第4電極)122(図3及び図4参照)とを有する。なお、図5、図7及び図8において、Vs-電極(第4電極)122は省略されている。
固体電解質体(第2固体電解質体)121eは、図3に示されるように、ガスセンサ素子10内において、第1測定室150と基準酸素室170とを隔てている。Vs+電極(第3電極)123は、基準酸素室170内の雰囲気に晒され、Vs-電極(第4電極)122は、第1測定室150内の雰囲気に晒される。Vs+電極(第3電極)123は、ガス透過性を有する多孔質セラミックからなる。Vs+電極(第3電極)123は、例えば、白金粉末とセラミック粉末とを含むサーメットからなる。また、Vs-電極(第4電極)122も、ガス透過性を有する多孔質セラミックからなる。Vs-電極(第4電極)122は、例えば、白金粉末とセラミック粉末とを含むサーメットからなる。
図5に示されるように、Vsセル120のVs+電極(第3電極)123は、積層方向において、Ip2セル130における固体電解質体131eと対向している。特に、Vs+電極123は、平面視で、固体電解質体131e上のIp2+電極132とIp2-電極133との間の領域R(電極が形成されていない領域)と重なりつつ、Ip2セル130の固体電解質体131eの周端部131e2と重なるように、ガスセンサ素子10の先端側から後端側に向かって延びた部分(重なり部)123aを備えている。
Vsセル(第2セル)120では、Vs-電極122側からVs+電極123側に向かって一定の微小電流が流されることにより、基準酸素室170内に、一定量の酸素が溜められる。基準酸素室170内に溜まり過ぎた酸素は、Vs+電極123の内部に進入すると共に、そのVs+電極123に接続する長手状のリード線123bの内部を通ってガスセンサ素子10の後端側へ移動する。そして、酸素は、リード線123bの後端123b1から外部へ放出される(図4参照)。Vs+電極123とリード線123bは、ガス透過性を有する多孔質セラミックからなる。
絶縁体(接着層)145は、上述したように、緻密なセラミック(例えば、アルミナ)からなり、絶縁性を備える。このような絶縁体(接着層)145は、Ip2セル(第1セル)130とVsセル(第2セル)120との間に介在され、Ip2+電極(第1電極)132及びIp2-電極(第2電極)133が、Vs+電極(第3電極)123に対して導通しないように離された状態で、Ip2セル(第1セル)130とVsセル(第2セル)120とを接着する。
本実施形態のガスセンサ素子10は、図5に示されるように、平面視で、Ip2+電極132とIp2-電極133との間の領域Rと重なりつつ、固体電解質体131eの周端部131e2と重なるように、Vs+電極123の表面に形成される緩衝部200を備える。緩衝部200は、上述したVs+電極123の重なり部123aを少なくとも覆うように形成される。本実施形態の緩衝部200は、概ね前後方向に延びたVs+電極123に沿うように帯状に形成されている。緩衝部200の幅(図5の左右方向の長さ)は、Vs+電極123の幅(図5の左右方向の長さ)よりも大きく、幅方向において、緩衝部200は、Vs+電極123が外側にはみ出さないように設けられている。なお、緩衝部200は、上述したように、Vs+電極123の重なり部123aを少なくとも覆うように形成されればよく、他の実施形態においては、例えば、概ね前後方向に延びたVs+電極123のうち、平面視で、Ip2-電極133に近い方の縁部に沿うように帯状に形成されてもよい(この場合、幅方向において、Ip2-電極133に遠い方のVs+電極123の縁部は、緩衝部200よりも外側にはみ出してもよい)。緩衝部200は、絶縁体(接着層)145を形成するための材料よりも収縮開始温度が低い材料からなるセラミックからなる。
なお、本明細書において、「収縮開始温度」とは、各セラミック層(例えば、緩衝部200、絶縁体145)と同一組成のグリーンシートをそれぞれ用意し、大気雰囲気下で昇温して焼成を進行させ、各セラミック層としたときの割り掛け率が1.05になったときの温度をいう。割り掛け率は、焼成収縮率ともいい、焼成後のセラミック層の縦又は横の寸法を1としたときの、焼成前のグリーンシートの縦又は横の寸法で算出する。
つまり、割り掛け率=(焼成前のグリーンシートの縦又は横の寸法)/(焼成後のセラミック層の同方向の寸法)である。
緩衝部200は、後述するように印刷により形成される。本実施形態のガスセンサ素子10は、このような緩衝部200を備えることにより、ガスセンサ素子10の製造時において、Ip2セル(第1セル)130とVsセル(第2セル)120との間に介在される絶縁性の接着層(絶縁体)145に、クラックが発生することが抑制される。
緩衝部200は、非ガス透過性の緻密なセラミックからなる。そのため、多孔質セラミックからなるVs+電極123に接触していても、Vs+電極123の内部を通過する酸素が緩衝部200内へ進入することが抑制される。つまり、酸素がVs+電極123やリード線123bの内部を移動する際の単位時間当たりの流通量が、緩衝部200によって影響を受けて低下することが抑制される。
緩衝部200を形成するための材料は、主成分としてジルコニアを含みセラミックからなる。本明細書において、「主成分」とは、各構成中において、含有量(含有割合)が50質量%以上の成分である。つまり、本実施形態では、緩衝部200は、50質量%以上のジルコニアを含有する。
次いで、本実施形態のガスセンサ1によるNO濃度の検出方法について、簡単に説明する。ガスセンサ素子10の固体電解質体111e,121e,131eは、ヒータパターン164の昇温に伴い加熱されて、活性化する。これにより、Ip1セル110、Vsセル120及びIp2セル130がそれぞれ作動する。
排気管内の排気通路(不図示)を流れる排ガスは、第1多孔質体151による流通量の制限を受けつつ、第1測定室150内に導入される。このとき、Vsセル120には、Vs+電極123側から、Vs-電極122側へ微弱な電流(微小電流)Icpが流されている。そのため、排ガス中の酸素は、負極側となる第1測定室150内のVs-電極122から電子を受け取ることができ、酸素イオンとなって固体電解質体121e内を流れ、基準酸素室170内に移動する。つまり、Vs-電極122とVs+電極123との間で、電流Icpが流されることによって、第1測定室150内の酸素が基準酸素室170内へ送り込まれる。
第1測定室150内に導入された排ガスの酸素濃度が、予め定められている所定値より低い場合、Ip1+電極112側が負極となるようにIp1セル110に電流Ip1が流され、ガスセンサ素子10の外部から第1測定室150内へ酸素の汲み入れが行われる。
これに対して、第1測定室150内に導入された排ガスの酸素濃度が、前記所定値よりも高い場合、Ip1-電極113側が負極となるようにIp1セル110に電流Ip1が流され、第1測定室150内からガスセンサ素子10の外部へ酸素の汲み出しが行われる。
このように、第1測定室150において酸素濃度が調整された排ガスは、第2多孔質体152を通じて、第2測定室160内へ導入される。第2測定室160内でIp2-電極133と接触した排ガス中のNOは、Ip2+電極132と、Ip2-電極133との間に電圧Vp2が印加されることで、Ip2-電極133上で、窒素と酸素とに分解(還元)され、分解された酸素は、酸素イオンとなって固体電解質体131e内を流れ、基準酸素室170内へ移動する。このとき、第1測定室150で汲み残された残留酸素も同様に、Ip2セル130によって基準酸素室170内へ移動される。これにより、Ip2セル130には、NO由来の電流と残留酸素由来の電流とが流れる。なお、基準酸素室170内に移動した酸素は、基準酸素室170内に接するVs+電極123とVs+リード(リード線123b)を介して外部(大気)へ放出される。このため、Vs+リードは多孔質となっている。
第1測定室150で汲み残された残留酸素の濃度は、上記のように所定値に調整されているため、その残留酸素由来の電流は略一定とみなすことができる。つまり、残留酸素由来の電流は、NO由来の電流の変動に対して影響は小さく、Ip2セル130を流れる電流(第2ポンプ電流)は、NO濃度に比例することとなる。したがって、Ip2セル130を流れる電流Ip2(第2ポンプ電流)を測定し、その電流値に基づいて、排ガス中のNO濃度が検出される。
続いて、図9~図11等を参照しつつ、上述したガスセンサ素子10の製造方法について説明する。図9は、ガスセンサ素子10の製造方法における各工程を示すフロー図である。図9に示されるように、本実施形態のガスセンサ素子10の製造方法は、少なくとも、第1作製工程S11、第2作製工程S12、接着工程S13、及び焼成工程S14を備える。なお、ガスセンサ素子10の製造方法は、これらの工程以外に、Ip1セル110を作製する工程等の公知の工程を備えている。本明細書では、公知の工程の説明は省略する。図10は、ガスセンサ素子10の製造方法の内容を模式的に表した説明図である。
第1作製工程S11は、絶縁層(第1絶縁層)131sを形成するための第1グリーンシート131sUと、第1グリーンシート131sUの表面側に配置される固体電解質体(第1固体電解質体)131eを形成するための未焼成第1固体電解質体131eUと、各々が平面視で互いに離された状態で未焼成第1固体電解質体131eUの表面に配置される、第1電極132及び第2電極133を形成するための一対の未焼成第1電極132U及び未焼成第2電極133Uとを備える未焼成第1セル130Uを作製する工程である。
未焼成第1固体電解質体131eUは、別途、用意されたシート状の部材上に予め形成しておき、その部材上の未焼成第1固体電解質体131eUを転写する形で、第1グリーンシート131sUの表面131sU1側に配置される。
なお、未焼成第1セル130Uの表面には、未焼成第1電極132U、未焼成第1固体電解質体131eU等を覆うように、アルミナを主成分とする保護層210Uが形成されている。未焼成第1セル130Uの表面において、未焼成第2電極133Uは、保護層210Uで覆われず、保護層210Uの開口部210Uaから露出している。保護層210Uは、未焼成第1セル130Uの表面形状(凹凸等)に追従する形で、設けられる。保護層210Uは、焼成されると、最終的に、絶縁体145の一部となる。
第2作製工程S12は、第1グリーンシート131sUの表面と対向する未焼成対向面121eU1、及び未焼成対向面121eU1の反対側にある未焼成反対面121eU2を含む固体電解質体(第2固体電解質体)121eを形成するための第2グリーンシート(未焼成第2固体電解質体)121eUと、未焼成対向面121eU1に配置されるVs+電極123を形成するための未焼成第3電極123Uと、未焼成反対面に配置されるVs-電極122を形成するための未焼成第4電極122Uとを有する未焼成第2セル120Uを作製する工程である。
このような第2作製工程S12において、平面視で、未焼成第1電極132Uと未焼成第2電極133Uとの間の領域RUと重なりつつ、未焼成周端部131eU2と重なるように、未焼成第3電極123Uの表面に、緩衝部200を形成するための未焼成緩衝部200Uが形成される。未焼成緩衝部200Uは、絶縁体(接着層)145を形成するための材料よりも収縮開始温度が低い材料からなる。このような未焼成緩衝部200Uは、印刷により、未焼成第3電極123Uの表面に所定の厚みで形成される。
第2グリーンシート(未焼成第2固体電解質体)121eUは、絶縁層121sを形成するためのグリーンシート121sUの開口部121aU内に設けられている。第2グリーンシート121eUは、平面視で、焼成第2電極133Uと重なる部分に開口部121eUaを有する。なお、未焼成第2セル120Uの未焼成対向面121eU1側の表面には、未焼成第3電極123U、未焼成緩衝部200U、グリーンシート121sU等を覆うように、アルミナを主成分とする保護層220Uが形成されている。保護層220Uは、未焼成第2セル120Uの表面形状に追従する形で、設けられる。保護層220Uは、平面視で、未焼成第2電極133Uと重なる部分に開口部220Uaを有する。保護層220Uは、焼成されると、最終的に、絶縁体145の一部となる。
接着工程S13は、未焼成第1電極132U及び未焼成第2電極133Uが、未焼成第3電極123Uに対して離された状態であり、かつ平面視で未焼成第3電極123Uが未焼成第1固体電解質体131eUの未焼成周端部131eU2と重なるように、未焼成第1セル130Uと未焼成第2セル120Uとの間に、絶縁体(接着層)145を形成するための未焼成接着シート145Uを介在させて、未焼成第1セル132Uと未焼成第2セル133Uとを接着する工程である。なお、未焼成接着シート145Uは、平面視で、未焼成第2電極133Uと重なる部分に開口部145Uaを有する。
焼成工程S14は、接着工程S13後に得られる積層物を焼成する工程である。焼成工程S14において、前記積層物が所定の温度条件で焼成されることにより、ガスセンサ素子10が得られる。
上述したように、未焼成緩衝部200Uは、絶縁体(接着層)145を形成するための材料よりも収縮開始温度が低い材料からなる。そのため、未焼成緩衝部200Uは、焼成工程S14において、未焼成接着シート145Uとは独立して、未未焼成接着シート145Uよりも、先に収縮し始める。しかも、未焼成緩衝部200Uは、未焼成接着シート145Uと比べて、大きさ(サイズ)がかなり小さく、収縮量が小さいと言える。そのため、このような未焼成緩衝部200Uが、未焼成第3電極123Uと接触していても、焼成工程S14において、未焼成緩衝部200Uの収縮時に、未焼成第3電極123Uにクラックが発生することが抑制される。また、未未焼成接着シート145Uと未焼成第3電極123Uとが、それぞれ収縮する時も、未焼成緩衝部200Uの存在により、焼成第3電極123Uにクラックが発生することが抑制される。
したがって、本実施形態のガスセンサ素子の製造方法により得られたガスセンサ素子10では、第1セル(Ip2セル)130と第2セル(Vsセル)120との間に介在される絶縁性の接着層(絶縁体)145に、NO濃度の誤検知の原因となるクラックが発生することが抑制される。
<従来例>
次いで、図11を参照しつつ、従来例のガスセンサ素子10Pの構成について、簡単に説明する。図11は、軸線方向に沿って切断された従来例のガスセンサ素子10Pの一部の断面図である。図11には、従来例のガスセンサ素子10Pの一部として、Ip2セル130とVsセル120とを含む積層物LPが示されている。従来例のガスセンサ素子10Pは、実施形態1のガスセンサ素子10のとは異なり、緩衝部200を備えていない。つまり、従来例のガスセンサ素子10Pでは、Vs+電極123Pに対して、絶縁体(接着層)145Pが直に接触している。なお、従来のガスセンサ素子10Pは、緩衝部200を備えていないこと以外は、実施形態1のガスセンサ素子10と同じ構成を備えている。
Ip2セル130Pは、絶縁層131sPと、周端部131eP2が平面視で絶縁層131sPの表面131sP1からはみ出さないように表面131sP1側に配置される固体電解質体131ePと、各々が平面視で互いに離された状態で固体電解質体131ePの表面131eP1に配置される一対のIp2+電極132P及びIp2-電極(不図示)とを有する。Ip2セル130を表側から平面視した際に、Ip2+電極132とIp2-電極(不図示)との間には、実施形態1と同様、電極が形成されていない領域RPが存在している。
Vsセル120Pは、絶縁層131sPの表面131sP1と対向する対向面121eP1と、その対向面121eP1の反対側にある反対面121eP2を含む固体電解質体121ePと、Ip2+電極132P及びIp2-電極(不図示)よりも厚みが大きく、対向面121eP1に配置されると共に、周端部131Peと平面視で重なるように配置されるVs+電極123Pと、反対面121eP2に配置されるVs-電極(不図示)とを有する。Vs+電極123Pには、長手状のリード線123bPが接続されている。
このような従来例のガスセンサ素子10Pでは、図11に示されるように、Vsセル120PとIp2セル130Pとの間に介在される絶縁性の接着層(絶縁体)145Pのうち、Vsセル120PのVs+電極123Pと、Ip2セル130PにおけるIp2+電極132PとIp2-電極(不図示)との間の領域RP付近に配される固体電解質体131ePの周端部131eP2とで、挟まれた部分に、厚み方向(積層方向)に沿ってクラックXが発生することがあった。
1…ガスセンサ、10…ガスセンサ素子、120…第2セル、121e…第2固体電解質体、121e1…対向面、121e2…反対面、123…第3電極、124…第4電極、130…第1セル、131s…第1絶縁層、131e…第1固体電解質体、131e2…周端部、132…第1電極、133…第2電極、145…接着層、200…緩衝部

Claims (6)

  1. 第1絶縁層と、周端部が平面視で前記第1絶縁層の表面からはみ出さないように前記表面側に配置される第1固体電解質体と、各々が平面視で互いに離された状態で前記第1固体電解質体の表面に配置される一対の第1電極及び第2電極とを有する第1セルと、
    前記第1絶縁層の前記表面と対向する対向面、及び前記対向面の反対側にある反対面を含む第2固体電解質体と、前記対向面に配置されると共に、前記周端部と平面視で重なるように配置される第3電極と、前記反対面に配置される第4電極とを有する第2セルと、
    前記第1セルと前記第2セルとの間に介在され、前記第1電極及び前記第2電極が、前記第3電極に対して導通しないように離された状態で、前記第1セルと前記第2セルとを接着する絶縁性の接着層と、を備えるセンサ素子であって、
    前記接着層を形成するための材料よりも収縮開始温度が低い材料からなるセラミックからなり、平面視で、前記第1電極と前記第2電極との間の領域と重なりつつ、前記第1固体電解質体の前記周端部と重なるように、前記第3電極の表面に形成される緩衝部を備えるガスセンサ素子。
  2. 前記第3電極は、ガス透過性を有する多孔質セラミックからなり、
    前記緩衝部は、非ガス透過性の緻密なセラミックからなる請求項1に記載のガスセンサ素子。
  3. 前記緩衝部は、主成分としてジルコニアを含むセラミックからなる請求項1又は請求項2に記載のガスセンサ素子。
  4. 前記第3電極は、白金粉末とセラミック粉末とを含むサーメットからなる請求項1から請求項3の何れか一項に記載のガスセンサ素子。
  5. 請求項1から請求項4の何れか一項に記載のガスセンサ素子を備えるガスセンサ。
  6. 第1絶縁層と、周端部が平面視で前記第1絶縁層の表面からはみ出さないように前記表面側に配置される第1固体電解質体と、各々が平面視で互いに離された状態で前記第1固体電解質体の表面に配置される一対の第1電極及び第2電極とを有する第1セルと、前記第1絶縁層の前記表面と対向する対向面、及び前記対向面の反対側にある反対面を含む第2固体電解質体と、前記対向面に配置されると共に、前記周端部と平面視で重なるように配置される第3電極と、前記反対面に配置される第4電極とを有する第2セルと、前記第1セルと前記第2セルとの間に介在され、前記第1電極及び前記第2電極が、前記第3電極に対して導通しないように離された状態で、前記第1セルと前記第2セルとを接着する絶縁性の接着層と、を備えるセンサ素子の製造方法であって、
    前記第1絶縁層を形成するための第1グリーンシートと、前記第1グリーンシートの表面側に配置される前記第1固体電解質体を形成するための未焼成第1固体電解質体と、各々が平面視で互いに離された状態で前記未焼成第1固体電解質の表面に配置される、前記第1電極及び前記第2電極を形成するための一対の未焼成第1電極及び未焼成第2電極とを備える未焼成第1セルを作製する第1作製工程と、
    前記第1グリーンシートの表面と対向する未焼成対向面、及び前記未焼成対向面の反対側にある未焼成反対面を含む前記第2固体電解質体を形成するための第2グリーンシートと、前記未焼成対向面に配置される前記第3電極を形成するための未焼成第3電極と、前記未焼成反対面に配置される前記第4電極を形成するための未焼成第4電極とを有する未焼成第2セルを作製する第2作製工程と、
    前記未焼成第1電極及び前記未焼成第2電極が、前記未焼成第3電極に対して離された状態であり、かつ平面視で前記未焼成第3電極が前記未焼成第1固体電解質体の未焼成周端部と重なるように、前記未焼成第1セルと前記未焼成第2セルとの間に、前記接着層を形成するための未焼成接着シートを介在させて、前記未焼成第1セルと前記未焼成第2セルとを接着する接着工程と、
    前記接着工程後に得られる積層物を焼成する焼成工程とを備え、
    前記第2作製工程において、前記平面視で、前記未焼成第1電極と前記未焼成第2電極との間の領域と重なりつつ、前記未焼成周端部と重なるように、前記未焼成第3電極の表面に、前記接着層を形成するための材料よりも収縮開始温度が低い材料からなる、前記緩衝部を形成するための未焼成緩衝部を形成するガスセンサ素子の製造方法。
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