JP6836928B2 - ガスセンサ素子 - Google Patents
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Description
第1ポンプセル1100は、固体電解質層1110と、固体電解質層1110の両面に形成された一対の電極1120,1130とを有している。電極1130は、固体電解質層1110と積層方向に隣接する第1空間1500内に露出する一方、電極1120は、多孔質層1900を介して外部と連通するように配置されている。この第1ポンプセル1100は、第1空間1500と外部との間で排気ガス中の酸素の汲み出し又は汲み入れを行う。酸素濃度検知セル1200は、固体電解質層1210と、固体電解質層1210の両面に形成された一対の電極1220,1230とを有している。電極1220は、固体電解質層1210と積層方向に隣接する第1空間1500内に露出する一方、電極1230は、ガスセンサ素子1000内に設けられた基準室1400内に露出している。この酸素濃度検知セル1200は、第1ポンプセル1100にて酸素を汲み出し又は汲み入れした排気ガス中の酸素濃度を測定し、この酸素濃度に応じた出力電圧(起電力)が一定となるように第1ポンプセル1100に電流(Ip電流)を流している。
しかしながら、ガスセンサ素子1000の先端側で排気ガスの流速が大きくなることに起因する素子自体の温度勾配や、第1ポンプセル1100の電極1130の劣化によって、濃度勾配Grが濃度勾配Gr1のように変化することがある。この際、酸素濃度検知セル1200の検知電極1210上では、濃度勾配Gr、濃度勾配Gr1ともに酸素濃度が略同等であるにも関わらず、第2空間1600に導入される直前の排気ガス中の酸素濃度は、濃度勾配Grと濃度勾配Gr1とで差異が生じ、NOx濃度の検知精度が低下するという問題がある。
一方、濃度勾配Grが変化する影響を低減するには、第1空間1500と第2空間1600の寸法を小さくする、つまりガスセンサ素子を小型化することが好ましい。ところが、この場合、図16の破線で示すように、固体電解質層1210xの幅も狭くなり、導入路1250と第1空間1500の壁面との間隔Dも狭くなる。検知電極1220を印刷等で形成する場合の印刷ズレを考慮すると、間隔Dが狭くなるにつれて導入路1250と第1空間1500の壁面との間に検知電極1220を形成することが困難になり、濃度勾配Grが変化する影響を低減することが難しくなる。
従って、本発明は、小型化を図ると共に、ガスセンサ素子の内部に導入される酸素の濃度勾配が変化する影響を低減し、特定ガス濃度を精度よく検知できるガスセンサ素子の提供を目的とする。
そして、濃度勾配が変化する影響を低減するには、検知電極を導入路に近付けると共に、検知電極を配置する第1空間と第2空間の寸法を小さくする、つまりガスセンサ素子を小型化することが好ましいが、導入路と第1空間の壁面との間隔も狭くなる。このため、検知電極を印刷等で形成する場合の印刷ズレを考慮すると、間隔が狭くなるにつれて導入路と第1空間の壁面との間に検知電極を形成することが困難になる。
そこで、第1空間を仕切り壁で仕切ることで、第1空間を流れる被測定ガスは、必ず仕切り壁の隙間を通って下流側の導入路へ流れる。このとき、軸線方向と交差する幅方向に見て、検知電極が導入路と重なり、かつ軸線方向に見て、導入路よりも上流側で仕切り壁と検知電極とが隙間を設けずに重なるので、被測定ガスが仕切り壁の隙間を通って必ず検知電極に流れるようにすることができる。その結果、ガスセンサ素子内の被測定ガス中の酸素濃度の濃度勾配が変化する影響を低減し、特定ガス濃度を精度よく検知できる。
さらに、検知電極が第1空間に露出するようにしている。つまり、検知電極の主面(表面)は、第1空間内で視認可能に配置されており、拡散律速層(多孔質体)の内部には配置されていない。このため、酸素の濃度勾配が複雑な挙動となって酸素濃度が大きく変動する拡散律速層(多孔質体)内で酸素濃度を検知することを回避し、特定ガス濃度をより一層精度よく検知できる。
その結果、ガスセンサ素子内の被測定ガス中の酸素濃度の濃度勾配が変化する影響を低減し、特定ガス濃度を精度よく検知できる。
又、第1の観点のガスセンサ素子と同様に、酸素の濃度勾配が複雑な挙動となって酸素濃度が大きく変動する拡散律速層(多孔質体)内で酸素濃度を検知することを回避し、特定ガス濃度をより一層精度よく検知できる。
さらに、第1の観点のガスセンサ素子と同様に、第2内側電極に近い導入路近傍の酸素濃度を検知電極で検知することができ、ガスセンサ素子内を第1空間から第2空間へ流れる酸素の濃度勾配が変化する影響をさらに低減し、特定ガス濃度をさらに精度よく検知できる。
又、第1の観点のガスセンサ素子と同様に、酸素の濃度勾配が複雑な挙動となって酸素濃度が大きく変動する拡散律速層(多孔質体)内で酸素濃度を検知することを回避し、特定ガス濃度をより一層精度よく検知できる。
さらに、導入路が無く、導入路の位置に直接第2内側電極が配置されているので、検知電極と第2内側電極がより近接し、濃度勾配が変化する影響をより一層低減し、特定ガス濃度をさらに精度よく検知できる。
又、第2の観点のガスセンサ素子と同様に、酸素の濃度勾配が複雑な挙動となって酸素濃度が大きく変動する拡散律速層(多孔質体)内で酸素濃度を検知することを回避し、特定ガス濃度をより一層精度よく検知できる。
さらに、導入路が無く、導入路の位置に直接第2内側電極が配置されているので、検知電極と第2内側電極がより近接し、濃度勾配が変化する影響をより一層低減し、特定ガス濃度をさらに精度よく検知できる。
仕切り壁が形成された部分には検知電極を形成することができないことから、軸線方向に検知電極を第1ポンプセル(第1内側電極)に近付けるためには、仕切り壁の隙間から検知電極を第1ポンプセル(第1内側電極)側に延ばし、軸線方向に検知電極と仕切り壁とが重なるようにすればよい。
これにより、第1ポンプセル(第1内側電極)と検知電極との距離が近接し、酸素濃度検知の精度と応答性をさらに両立することができる。
このガスセンサ素子によれば、絶縁性の第1セラミック層の中に固体電解質体が必要な部分だけに埋め込まれている形態であるため、コストダウンを実現できる。
検知電極を印刷で形成する時に電極のキワ(端部)がにじんで所定の範囲まで印刷されないことがある。そこで、検知電極の外周縁が、固体電解質体の外周縁よりも所定量以上外側にはみ出すように設計することで、印刷時に検知電極の外周が小さくなっても、固体電解質体が一部露出してしまうことを抑制できる。
図1は、本発明の第1の観点の実施形態に係るガスセンサ(NOxセンサ)1の縦断面図(軸線AXに沿って切断した断面図)、図2は第1の観点の実施形態に係るガスセンサ素子10の軸線AXに沿う断面図、図3はガスセンサ素子10の分解斜視図、図4はVs−電極122近傍の上面図である。
さらに詳しくは、ガスセンサ1は、ガスセンサ素子10の後端部10k(図1において上端の部位)が挿入される挿入孔62を有する保持部材60と、この保持部材60の内側に保持された6個の端子部材とを備える。なお、図1では、6個の端子部材のうち2個の端子部材(具体的には、端子部材75,76)のみを図示している。
さらに、6個の端子部材(端子部材75,76など)には、それぞれ、異なるリード線71が電気的に接続されている。例えば、図1に示すように、端子部材75のリード線把持部77によって、リード線71の芯線が加締められて把持される。また、端子部材76のリード線把持部78によって、他のリード線71の芯線が加締められて把持される。
また、主体金具20の貫通孔23の内部には、環状のセラミックホルダ42、滑石粉末を環状に充填してなる2つの滑石リング43,44、及びセラミックスリーブ45が配置されている。詳細には、ガスセンサ素子10の径方向周囲を取り囲む状態で、セラミックホルダ42、滑石リング43,44、及びセラミックスリーブ45が、この順に、主体金具20の軸線方向先端側(図1において下端側)から軸線方向後端側(図1において上端側)にわたって重ねて配置されている。
主体金具20の先端部20bには、ガスセンサ素子10の先端部10sを覆うように、複数の孔を有する金属製(具体的にはステンレス)の外部プロテクタ31及び内部プロテクタ32が、溶接によって取り付けられている。一方、主体金具20の後端部には、外筒51が溶接によって取り付けられている。外筒51は、軸線AX方向に延びる筒状をなし、ガスセンサ素子10を包囲している。
保持部材60の後端面61上には、絶縁部材90が配置されている。絶縁部材90は、電気絶縁性材料(具体的にはアルミナ)からなり、円筒状をなす。この絶縁部材90には、軸線AX方向に貫通する貫通孔91が合計6個形成されている。この貫通孔91には、前述した端子部材のリード線把持部(リード線把持部77,78など)が配置されている。
さらに、導入方向Fの上流側及び下流側を、適宜、導入方向Fを省略して「上流側及び下流側」と称する。
固体電解質体111、121、131は、固体電解質であるジルコニアからなり、酸素イオン伝導性を有する。固体電解質体111、121、131はこの順で積層され、固体電解質体111、121の間に絶縁体140が介装されている。絶縁体140には貫通孔140hが形成され(図3参照)、この貫通孔140hが二つの固体電解質体111、121の層間に形成された第1空間150となる。
さらに、固体電解質体121、131の間に絶縁体145が介装されている。絶縁体145には貫通孔145cが形成され(図3参照)、この貫通孔145cが二つの固体電解質体121、131の層間に形成された第2空間160となる。
ここで、固体電解質体111、121、131が特許請求の範囲の「セラミック層」に相当する。
なお、図3に示すように、第1空間150の側方にガス透過性及び透水性を有する第1多孔質体151が設けられており、第1空間150は第1多孔質体151を通じてガスセンサ素子10の外部と連通し、被測定ガスを導入可能になっている。第1多孔質体151は、ガスセンサ素子10の外部との仕切りとして、第1空間150内への排ガスの単位時間あたりの流通量を制限する。
又、本実施形態では、積層方向から見たとき、導入路125が第1空間150及び第2空間160よりも小径であり、第1空間150及び第2空間160よりも導入路125が窄まっている。又、導入路125は、幅方向(軸線AX方向と交差する方向)の中心よりも紙面手前側にずれて配置されている(図3、図4参照)。
ここで、Ip1+電極112、Ip1−電極113、及びIp1セル110がそれぞれ特許請求の範囲の「第1対電極」、「第1内側電極」、「第1ポンプセル」に相当する。
また、Ip1+電極112とIp1+リード112rの表面側には、アルミナ等からなる絶縁層115が積層され、絶縁層115の先端側にIp1+電極112を取り囲む略矩形の貫通孔が設けられ、この貫通孔に多孔質層190が埋設されている。このようにして、多孔質層190を介してIp1+電極112と外部との間でガスが出入可能になっている。
このIp1セル110は、Ip1+電極112、Ip1−電極113間に流すポンプ電流Ip1に応じて、Ip1+電極112の接する雰囲気(ガスセンサ素子10の外部の雰囲気)とIp1−電極113の接する雰囲気(第1空間150内の雰囲気)との間で酸素の汲み出し及び汲み入れ(いわゆる酸素ポンピング)を行う。
また、固体電解質体121の裏面側には、多孔質のVs+電極123が設けられている。又、Vs−電極122にはVs−リード122r(図3参照)が接続され、Vs+電極123にはVs+リード123r(図3参照)が接続されている。
この固体電解質体121、Vs−電極122、及びVs+電極123によって、Vsセル120を構成している。このVsセル120は、主として、固体電解質体121により隔てられた雰囲気(電極122の接する第1空間150内の雰囲気と、電極123の接する後述する基準酸素室170内の雰囲気)間の酸素分圧差に応じて起電力を発生する。
さらに、詳しくは後述するが、第1空間150を仕切るようにして、第1空間150を積層方向に囲む2つの壁面w1、w2にそれぞれ接続した仕切り壁143が形成されている。この仕切り壁143は絶縁体140の一部をなしている。
ここで、Vs−電極122、Vs+電極123、Vsセル120がそれぞれ特許請求の範囲の「検知電極」、「基準電極」、「酸素濃度検知セル」に相当する。
Ip2+電極132とVs+電極123との間には、孤立した小空間としての基準酸素室170が形成されている。この基準酸素室170は、絶縁体145に形成されている開口部145bにより構成されている。なお、基準酸素室170内には、セラミックス製の多孔質体が配置されている。
また、Ip2−電極133は、第2空間160内に配置されている。
ここで、Ip2+電極132、Ip2−電極133、Ip2セル130がそれぞれ特許請求の範囲の「第2対電極」、「第2内側電極」、「第2ポンプセル」に相当する。
ガスセンサ素子10の固体電解質体111、121、131は、ヒータパターン164の昇温に伴い加熱され、活性化する。これにより、Ip1セル110、Vsセル120、及びIp2セル130が動作するようになる。
排気通路(図示なし)内を流通する排ガス(測定対象ガス)は、第1多孔質体151による流通量の制限を受けつつ第1空間150内に導入される。このとき、Vsセル120には、Vs+電極123側からVs−電極122側へ微弱な電流Icpが流されている。このため、排ガス中の酸素は、負極側となる第1空間150内のVs−電極122から電子を受け取ることができ、酸素イオンとなって固体電解質体121内を流れ、基準酸素室170内に移動する。つまり、Vs−電極122、Vs+電極123間で電流Icpが流されることによって、第1空間150内の酸素が基準酸素室170内に送り込まれる。
このように、第1空間150において酸素濃度が調整された被測定ガスは、導入路125を通じて、第2空間160内に導入される。第2空間160内でIp2−電極133と接触した被測定ガス中の特定ガス成分(NOx成分)は、Ip2−電極133、Ip2+電極132間に電圧Vp2を印加されることで、Ip2−電極133上で窒素と酸素に分解(還元)され、分解された酸素は、酸素イオンとなって固体電解質体131内を流れ、基準酸素室170内に移動する。この際、Ip2セル130を流れる電流Ip2を検出し、その電流値に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を検知することができる。
上述のように、導入路125よりも被測定ガスの導入方向Fの上流側(先端側)に仕切り壁143が配置されている。この仕切り壁143は、第1空間150を形成して軸線AX方向に延びる絶縁体140の一方の側壁140s1から他の側壁140s2に向かって延び、側壁140s2との間に隙間GAを有する。又、図2に示すように、仕切り壁143は、第1空間150を積層方向に囲む2つの壁面w1、w2にそれぞれ接続し、隙間GAを除いて第1空間150と導入路125とを仕切っている。
なお、本例では、Vs−電極122の表面側の一部に、仕切り壁143の側壁140s2側が乗り上げるように積層されている。
又、軸線AX方向と交差する幅方向Tに見て、Vs−電極122は、導入路125(領域S)と重なっている。つまり、被測定ガスが流れ込む領域Sのすべてに渡って、Vs−電極122が形成されている。なお、本例ではVs−電極122は、さらに領域Sよりも導入方向Fの上流側に延びて仕切り壁143の先端よりも先端側にはみ出し、仕切り壁143の下流側(後端側)の端部143eに少なくとも接すると共に、導入路125よりも下流側(後端側)まで延びている。このように、領域Sの先後にVs−電極122が延びていると、Vs−電極122に被測定ガスがより確実に接触するので好ましい。特に、幅方向Tに見て、Vs−電極122が仕切り壁143に接していると、より好ましい。
さらに、図2に示すように、積層方向にIp2−電極133と導入路125とが少なくとも一部で重なっている。
一方、軸線AX方向に見て、Vs−電極122が導入路125と重なっている場合には、隙間GAを通った被測定ガスは必ずVs−電極122に接触する。
従って、いずれにせよ、被測定ガスは隙間GAを通って必ずVs−電極122に流れるので、間隔D1側と間隔D2側の領域Sの一方にのみVs−電極122を形成することに起因した測定精度の低下を抑制できる。そして、ガスセンサ素子10内を第1空間150から第2空間160へ流れる酸素の濃度勾配が変化する影響を低減し、特定ガス濃度(NOx濃度)を精度よく検知できる。
なお、Vs−電極122が第1空間150内に配置されていない(例えば、導入路125の壁面にVs−電極122が形成されている)場合には、濃度勾配が変化する影響を低減することはできるが、Ip1−電極113とVs−電極122の距離が遠くなり過ぎて被測定ガスに対する酸素濃度検知の応答性が低下する。そこで、Vs−電極122を少なくとも第1空間150側に配置することで、酸素濃度検知の精度を向上させることができる。
これに対し、後述する図5の例では、幅方向TにVs−電極222と仕切り壁243とが重ならず、図4の例に比べるとVs−電極122がIp1−電極113から遠くなる。
図5の例では、軸線AX方向に見て、仕切り壁243は側壁140s2に向かってさらに延び、図4の例に比べて隙間GAが狭い。そして、軸線AX方向に見て、Vs−電極222は隙間GAと重ならず、かつ幅方向Tに見て、Vs−電極222は仕切り壁243の端部243eと一部離間して仕切り壁243の下流側に配置されている。この場合も、幅方向Tに見て、導入路125よりも上流側で仕切り壁243とVs−電極222とが隙間を設けずに重なっていることになる。なお、本例では、Vs−電極222は先端側が幅方向Tに対して斜めになっており、Vs−電極222の尖った先端部位が仕切り壁243の端部243eと重なり、それ以外の先端部位は仕切り壁243の端部243eと離間している。このように、Vs−電極222を斜めにして端部243eと一部重なるようにすることで、生産上のバラツキで軸線AX方向にVs−電極222が端部243eと完全に離間してしまうことを抑制できる。又、Vs−電極222を斜めにすることで、Vs−電極222を矩形にして軸線AX方向にVs−電極222を端部243eと完全に重ならせる場合に比べて、Vs−電極222の材料である貴金属の使用量を削減できる。
次に、図7、図8を参照し、本発明の第2の観点の実施形態について説明する。なお、図7の例は、仕切り壁343及びVs−電極322の構成が異なることと、導入路125の位置が異なること以外は、第1の観点の実施形態に係るガスセンサ素子10と同一であるので、同一部分の構成については適宜同一符号を付して説明を省略する。
図7は第2の観点の実施形態に係るガスセンサ素子10Bの軸線AXに沿う断面図、図8はVs−電極322近傍の上面図である。
又、仕切り壁343は、両方の側壁140s1、140s2から互いに他の側壁に向かって延び、幅方向Tの中央に導入路125の一部と重なる隙間GAを設けている。そして、軸線AX方向に見て、Vs−電極322は、側壁140s1、140s2にそれぞれ接するように延びており、軸線AX方向に見て、仕切り壁343の隙間GAとVs−電極322とが重なっている。
一方、幅方向Tに見て、Vs−電極322は、導入路125と仕切り壁343の間の領域Rに配置されている。なお、Vs−電極322は、領域Rを超えて仕切り壁343及び/又は導入路125と接するように延びていてもよい。
さらに、図7に示すように、積層方向にIp2−電極133と導入路125とが重なっている。
さらに、Vs−電極122は、第1空間150に露出するので、第1の観点の実施形態と同様、酸素の濃度勾配Grが複雑な挙動となって酸素濃度が大きく変動する拡散律速層(多孔質体)内で酸素濃度を検知することを回避し、特定ガス濃度(NOx濃度)をより一層精度よく検知できる。
図9の例では、図8の例に比べて仕切り壁443の隙間GAが狭い。さらに、軸線AX方向に見て、Vs−電極422は導入路125よりも内側に形成されつつ、軸線AX方向に見て隙間GAとVs−電極422とが重なっている。
なお、Vs−電極422のVs−リード422は、Vs−電極422の幅方向Tの一端から幅方向Tの外側に延びた後、被測定ガスの導入方向Fの下流側(後端側)に延びている。ここで、電極よりも幅が狭くなった部位をリードとする。
なお、図9の例では、Vs−電極422は領域Sのいずれにも形成されておらず、Vs−電極322に比べて小さいので、電極材料を削減してコストダウンを図ることができる。
次に、図11、図12を参照し、本発明の第3の観点の実施形態について説明する。なお、第3の観点の実施形態は、導入路125を無くし、固体電解質体131Dが固体電解質体121Dに絶縁体147Dを介して埋め込まれて同一層をなす複合層201Dを形成し、固体電解質体131Dの表裏にIp2−電極133とIp2+電極132を対向して配置したこと以外は、図2の第1の観点の実施形態に係るガスセンサ素子10と同一であるので、同一部分の構成については適宜同一符号を付して説明を省略する。
なお、固体電解質体131Dが固体電解質体121Dと同一層でなくてもよい。
図11は第3の観点の実施形態に係るガスセンサ素子10Dの軸線AXに沿う断面図、図12はVs−電極122近傍の上面図である。
具体的には、図12に示すように、固体電解質体121Dの所定部位が矩形にくり抜かれ、このくり抜き部分に枠状の絶縁体147Dを介して、矩形の固体電解質体131Dが埋め込まれている。また、孤立した小空間としての基準酸素室170Dは、Vs+電極123の裏側、及び固体電解質体131Dの裏側に形成されたIp2+電極132に対向する絶縁体145をくり抜いて形成されている(図11参照)。基準酸素室170D内には、セラミックス製の多孔質体が配置されている。
又、固体電解質体121D、131Dがそれぞれ特許請求の範囲の「第1セラミック層」、「第2セラミック層」に相当する。固体電解質体111が特許請求の範囲の「第3セラミック層」に相当する。
又、仕切り壁143より下流側で、固体電解質体121Dの側壁140s1側に寄った部位が矩形にくり抜かれ、このくり抜き部分に矩形枠状の絶縁体147Dが介装され、絶縁体147Dの内側に矩形の固体電解質体131Dが埋め込まれている。これにより、同一層である複合層201D中で、固体電解質体121D、131Dが絶縁体147Dにより絶縁されている。
特に、ガスセンサ素子10Dの場合、導入路125が無く、導入路125の位置に直接Ip2−電極133が配置されているので、Vs−電極122とIp2−電極133がより近接し、濃度勾配が変化する影響をより一層低減できる。
次に、図13、図14を参照し、本発明の第4の観点の実施形態について説明する。なお、第4の観点の実施形態は、導入路125を無くし、固体電解質体131Eが固体電解質体121Eに絶縁体147Eを介して埋め込まれて同一層をなす複合層201Eを形成し、固体電解質体131Eの表裏にIp2−電極133とIp2+電極132を対向して配置したこと以外は、図7の第2の観点の実施形態に係るガスセンサ素子10Bと同一であるので、同一部分の構成については適宜同一符号を付して説明を省略する。
なお、固体電解質体131Eが固体電解質体121Eと同一層でなくてもよい。
図13は第4の観点の実施形態に係るガスセンサ素子10Eの軸線AXに沿う断面図、図14はVs−電極322近傍の上面図である。
具体的には、図14に示すように、固体電解質体121Eの所定部位が矩形にくり抜かれ、このくり抜き部分に枠状の絶縁体147Eを介して、矩形の固体電解質体131Eが埋め込まれている。また、孤立した小空間としての基準酸素室170Eは、Vs+電極123の裏側、及び固体電解質体131Eの裏側に形成されたIp2+電極132に対向する絶縁体145をくり抜いて形成されている(図13参照)。基準酸素室170E内には、セラミックス製の多孔質体が配置されている。
又、固体電解質体121E、131Eがそれぞれ特許請求の範囲の「第1セラミック層」、「第2セラミック層」に相当する。固体電解質体111が特許請求の範囲の「第3セラミック層」に相当する。
特に、ガスセンサ素子10Eの場合、導入路125が無く、導入路125の位置に直接Ip2−電極133が配置されているので、Vs−電極322とIp2−電極133がより近接し、濃度勾配が変化する影響をより一層低減できる。
例えば、上記実施形態では、第1空間150と第2空間160との間には、これら空間の仕切りとして、被測定ガスの単位時間あたりの流通量を制限する拡散律速層(多孔質体)が設けられていないが、この拡散律速層を設けてもよい。但し、上述のように拡散律速層内では酸素濃度が大きく変動して酸素濃度の検知精度が低下するため、Vs−電極122、222、322を避けて拡散律速層を設けることが必要である。具体的には、例えば、被測定ガスの導入方向Fに沿って、Ip1−電極113とVs−電極122、222、322の間に拡散律速層を設けたり、Vs−電極122、222、322とIp2−電極133の間に拡散律速層を設けることができる。
又、ガスセンサ素子は三つ以上のセラミック層を積層して構成されていればよく、セラミック層の積層数は三つに限定されない。
又、導入路や各電極の形状は限定されず、例えば、円形、矩形の他、不定形とすることができる。
又、上記実施形態では、第1セラミック層の全てを固体電解質体で形成したが、これに限られず、第1セラミック層をアルミナ等の絶縁体で形成し、一部をくり抜いて固体電解質体を埋め込む構成を採ってもよい。上記構成によれば、ジルコニアよりも価格が安いアルミナを主体として第1セラミック層を形成するため、製造コストのさらなる低減化を図ることができる。
又、このときに検知電極の外周縁が埋め込まれた固体電解質体の外周縁よりも0.15mm以上外側に位置する構成を採ってもよい。上記構成によれば、検知電極の印刷時にキワがにじんだとしても固体電解質体が検知電極から露出してしまうことを抑制することができる。
10、10B〜10E ガスセンサ素子
110 第1ポンプセル
111、121、131 固体電解質体(セラミック層)
121D、121E 固体電解質体(第1セラミック層)
131D、131E 固体電解質体(第2セラミック層)
111 固体電解質体(第3セラミック層)
112 第1対電極(Ip1+電極)
113 第1内側電極(Ip1−電極)
120、120B、120D、120E 酸素濃度検知セル
122、222、322、422、522 検知電極(Vs−電極)
123 基準電極(Vs+電極)
125 導入路
125e 導入路の被測定ガスの導入方向下流側の端部
130、130D,130E 第2ポンプセル
132 第2対電極(Ip2+電極)
133 第2内側電極(Ip2−電極)
140s1 第1空間を形成する一方の側壁
140s2 第1空間を形成する他の側壁
143、242、343、443 仕切り壁
147D、147E、147F 絶縁体
150 第1空間
160 第2空間
201D、201E 複合層
F 被測定ガスの導入方向
AX 軸線方向
T 幅方向
GA 仕切り壁の隙間
w1、w2 第1空間を積層方向に囲む2つの壁面
R 導入路と仕切り壁の間の領域
Claims (8)
- 軸線方向に延び、三つ以上のセラミック層を積層してなるガスセンサ素子であり、
三つ以上の前記セラミック層のうち、第1セラミック層と、第3セラミック層の層間に形成されると共に、外部から被測定ガスが導入される第1空間と、
前記第1セラミック層と、第2セラミック層の層間に形成されると共に、前記第1空間と少なくとも一部が積層方向に重なり合う第2空間と、
前記第1セラミック層を前記積層方向に貫く空間を形成すると共に、前記第1空間に導入された前記被測定ガスを前記第2空間に導入する1つの導入路と、
前記第1空間内の前記被測定ガスに含まれる酸素をポンピングする第1ポンプセルであり、前記第1空間に隣接する前記第3セラミック層と、前記第3セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された第1内側電極と、該第1内側電極と対をなす第1対電極とを備える第1ポンプセルと、
前記第1ポンプセルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記被測定ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度検知セルであり、前記第1空間に隣接する前記第1セラミック層と、前記第1セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された検知電極と、該検知電極と対をなす基準電極とを備える酸素濃度検知セルと、
前記酸素濃度検知セルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記第2空間内における前記被測定ガス中の特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2ポンプセルであり、前記第2空間に隣接する前記第2セラミック層と、前記第2セラミック層上に設けられ、前記第2空間内に晒された第2内側電極と、該第2内側電極と対をなす第2対電極とを備える第2ポンプセルと、
を有するガスセンサ素子であって、
前記導入路よりも前記導入方向上流側に配置され、前記第1空間を形成して前記軸線方向に延びる側壁の少なくとも一方から他の側壁に向かって、両側壁の間に隙間を設けて延び、かつ前記第1空間を前記積層方向に囲む2つの壁面に接続する仕切り壁をさらに備え、
前記検知電極は、前記第1空間に露出すると共に、前記軸線方向に見て、前記側壁と前記導入路との間、又は前記他の側壁と前記導入路との間の一方にのみ配置され、前記軸線方向と交差する幅方向に見て、前記検知電極と前記導入路とが重なり、
前記軸線方向に見て、前記仕切り壁と前記検知電極の少なくとも一方が前記導入路と重なると共に、前記導入路よりも前記導入方向上流側で前記仕切り壁と前記検知電極とが隙間を設けずに重なり、
前記積層方向に前記導入路と前記第2内側電極とが少なくとも一部で重なることを特徴とするガスセンサ素子。 - 軸線方向に延び、三つ以上のセラミック層を積層してなるガスセンサ素子であり、
三つ以上の前記セラミック層のうち、第1セラミック層の層と、第3セラミック層間に形成されると共に、外部から被測定ガスが導入される第1空間と、
前記第1セラミック層と、第2セラミック層の層間に形成されると共に、前記第1空間と少なくとも一部が積層方向に重なり合う第2空間と、
前記第1セラミック層を前記積層方向に貫く空間を形成すると共に、前記第1空間に導入された前記被測定ガスを前記第2空間に導入する1つの導入路と、
前記第1空間内の前記被測定ガスに含まれる酸素をポンピングする第1ポンプセルであり、前記第1空間に隣接する前記第3セラミック層と、前記第3セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された第1内側電極と、該第1内側電極と対をなす第1対電極とを備える第1ポンプセルと、
前記第1ポンプセルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記被測定ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度検知セルであり、前記第1空間に隣接する前記第1セラミック層と、前記第1セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された検知電極と、該検知電極と対をなす基準電極とを備える酸素濃度検知セルと、
前記酸素濃度検知セルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記第2空間内における前記被測定ガス中の特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2ポンプセルであり、前記第2空間に隣接する前記第2セラミック層と、前記第2セラミック層上に設けられ、前記第2空間内に晒された第2内側電極と、該第2内側電極と対をなす第2対電極とを備える第2ポンプセルと、
を有するガスセンサ素子であって、
前記導入路よりも前記導入方向上流側に配置され、前記第1空間を形成して前記軸線方向に延びる側壁の少なくとも一方から他の側壁に向かって、両側壁の間に隙間を設けて延び、かつ前記第1空間を前記積層方向に囲む2つの壁面に接続する仕切り壁をさらに備え、
前記検知電極は、前記第1空間に露出すると共に、前記軸線方向と交差する幅方向に見て、前記導入路と前記仕切り壁の間の領域に配置され、
前記軸線方向に見て、前記仕切り壁の前記隙間と前記検知電極とが重なり、
前記積層方向に前記導入路と前記第2内側電極とが少なくとも一部で重なることを特徴とするガスセンサ素子。 - 軸線方向に延び、三つ以上のセラミック層を積層してなるガスセンサ素子であり、
三つ以上の前記セラミック層のうち、第1セラミック層内に第2セラミック層が配置されて複合層を形成し、
第3セラミック層と、前記複合層の層間に形成されると共に、外部から被測定ガスが導入される第1空間と、
前記第1空間内の前記被測定ガスに含まれる酸素をポンピングする第1ポンプセルであり、前記第1空間に隣接する前記第3セラミック層と、該第3セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された第1内側電極と、該第1内側電極と対をなす第1対電極とを備える第1ポンプセルと、
前記第1ポンプセルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記被測定ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度検知セルであり、前記第1空間に隣接する前記第1セラミック層と、該第1セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された検知電極と、該検知電極と対をなす基準電極とを備える酸素濃度検知セルと、
前記酸素濃度検知セルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記第1空間内における前記被測定ガス中の特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2ポンプセルであり、前記第1空間に隣接する前記第2セラミック層と、該第2セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された第2内側電極と、該第2内側電極と対をなす第2対電極とを備える第2ポンプセルと、
を有するガスセンサ素子であって、
前記第2内側電極よりも前記導入方向上流側に配置され、前記第1空間を形成して前記軸線方向に延びる側壁の少なくとも一方から他の側壁に向かって、両側壁の間に隙間を設けて延び、かつ前記第1空間を前記積層方向に囲む2つの壁面に接続する仕切り壁をさらに備え、
前記検知電極は、前記第1空間に露出すると共に、前記軸線方向に見て、前記側壁と前記第2内側電極との間、又は前記他の側壁と前記第2内側電極との間の一方にのみ配置され、前記軸線方向と交差する幅方向に見て、前記検知電極と前記第2内側電極とが重なり、
前記軸線方向に見て、前記仕切り壁と前記検知電極の少なくとも一方が前記第2内側電極と重なると共に、前記第2内側電極よりも前記導入方向上流側で前記仕切り壁と前記検知電極とが隙間を設けずに重なることを特徴とするガスセンサ素子。 - 軸線方向に延び、三つ以上のセラミック層を積層してなるガスセンサ素子であり、
三つ以上の前記セラミック層のうち、第1セラミック層内に第2セラミック層が配置されて複合層を形成し、
第3セラミック層と、前記複合層の層間に形成されると共に、外部から被測定ガスが導入される第1空間と、
前記第1空間内の前記被測定ガスに含まれる酸素をポンピングする第1ポンプセルであり、前記第1空間に隣接する前記第3セラミック層と、該第3セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された第1内側電極と、該第1内側電極と対をなす第1対電極とを備える第1ポンプセルと、
前記第1ポンプセルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記被測定ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度検知セルであり、前記第1空間に隣接する前記第1セラミック層と、該第1セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された検知電極と、該検知電極と対をなす基準電極とを備える酸素濃度検知セルと、
前記酸素濃度検知セルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記第1空間内における前記被測定ガス中の特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2ポンプセルであり、前記第1空間に隣接する前記第2セラミック層と、該第2セラミック層上に設けられ、前記第1空間内に晒された第2内側電極と、該第2内側電極と対をなす第2対電極とを備える第2ポンプセルと、
を有するガスセンサ素子であって、
前記第2内側電極よりも前記導入方向上流側に配置され、前記第1空間を形成して前記軸線方向に延びる側壁の少なくとも一方から他の側壁に向かって、両側壁の間に隙間を設けて延び、かつ前記第1空間を前記積層方向に囲む2つの壁面に接続する仕切り壁をさらに備え、
前記検知電極は、前記第1空間に露出すると共に、前記軸線方向と交差する幅方向に見て、前記第2内側電極と前記仕切り壁の間の領域に配置され、
前記軸線方向に見て、前記仕切り壁の前記隙間と前記検知電極とが重なることを特徴とするガスセンサ素子。 - 前記軸線方向に見て、前記検知電極と前記仕切り壁とが重なることを特徴とする請求項2又は4に記載のガスセンサ素子。
- 前記第1セラミック層は絶縁性の材料で形成され、
前記検知電極は、前記第1セラミック層内に同一層に配置された固体電解質体の全面と接すると共に、前記検知電極の外周縁は前記固体電解質体の外周縁を覆うことを特徴とする請求項1乃至5に記載のガスセンサ素子。 - 前記検知電極の外周縁が前記固体電解質体の外周縁よりも0.15mm以上外側に位置することを特徴とする請求項6に記載のガスセンサ素子。
- 被測定ガス中の特定ガスを検出するガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を保持する主体金具と、を備えるガスセンサであって、
前記ガスセンサ素子として、請求項1乃至7に記載のガスセンサ素子を備えるガスセンサ。
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