JP2023087439A - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ショートスコーチ、硬度のバラツキが抑制され、優れた耐チッピング性能を付与できるゴム組成物の製造方法を提供する。【解決手段】イソプレン系ゴムを50質量%以上含有するゴム成分、シリカ、メルカプト系シランカップリング剤、ジベンジルアミン化合物、及びチウラム系加硫促進剤を含むゴム組成物の製造方法であって、前記ゴム成分、前記シリカ、及び前記メルカプト系シランカップリング剤を混練する第1ベース練り工程と、前記第1ベース練り工程で得られた第1混練物、及び前記ジベンジルアミン化合物を混練する第2ベース練り工程と、前記第2ベース練り工程で得られた第2混練物、及び前記チウラム系加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程とを含むゴム組成物の製造方法。【選択図】なし
Description
本開示は、ゴム組成物の製造方法に関する。
中近東などの過酷な環境条件下では、タイヤの耐久性、主にチッピング性能や耐摩耗性能が必要であり、一般に天然ゴムを主成分とする配合が使用されているが、近年の低燃費性能の要求の高まりに反する配合となっている。
このような二律背反する性能を担保する目的で、メルカプト系シランカップリング剤や、耐チッピング性能に優れたジベンジルアミン化合物(架橋剤)を用いることが提案されている。ジベンジルアミン化合物は、硫黄同様に原料ゴムを架橋する機能を有しているが、その架橋鎖が硫黄と比較し長く、それにより耐チッピング性能が向上する傾向がある。一方、ジベンジルアミン化合物を用いると、従来の一般的な配合ゴムに比べて硫黄長が少なくなり、架橋反応が進行しにくくなるため、架橋促進作用の高いチウラム系加硫促進剤を併用することが考えられる。
しかしながら、本開示者らは、メルカプト系シランカップリング剤、ジベンジルアミン化合物、チウラム系加硫促進剤の3成分を従来の製造工程で添加すると、配合ゴムのショートスコーチ、硬度のバラつきが発生する、という新たな課題が生じることを見出した。
具体的には、ジベンジルアミン化合物は、充分な分散性を確保することが困難な材料であるが、耐チッピング性能を担保するため、混練りの初期に投入して分散性を高めることが望ましい。しかし、ジベンジルアミン化合物を混練りの最初の工程で投入すると、同じく混練りの最初に投入するメルカプト系シランカップリング剤と150℃以上の温度では反応してしまい、ショートスコーチを引き起こすことが判明した。
また、チウラム系加硫促進剤を投入する仕上げ練りでジベンジルアミン化合物を投入すると、加硫促進能力が高いチウラム系加硫促進剤に対して、ジベンジルアミン化合物の分散性が低いため、耐チッピング性能の低下を引き起こすことも判明した。
具体的には、ジベンジルアミン化合物は、充分な分散性を確保することが困難な材料であるが、耐チッピング性能を担保するため、混練りの初期に投入して分散性を高めることが望ましい。しかし、ジベンジルアミン化合物を混練りの最初の工程で投入すると、同じく混練りの最初に投入するメルカプト系シランカップリング剤と150℃以上の温度では反応してしまい、ショートスコーチを引き起こすことが判明した。
また、チウラム系加硫促進剤を投入する仕上げ練りでジベンジルアミン化合物を投入すると、加硫促進能力が高いチウラム系加硫促進剤に対して、ジベンジルアミン化合物の分散性が低いため、耐チッピング性能の低下を引き起こすことも判明した。
そして、このような新たな課題に対し、本開示者らは、先ず、シリカの分散性を確保するため、メルカプト系シランカップリング剤を最初の混練工程で投入し、150~160℃などの温度で混練を行って排出し、その後、ジベンジルアミン化合物を投入して混練することで、ショートスコーチが抑制されることを見出した。また、ジベンジルアミン化合物を混練した後、加硫剤を加える最後の仕上げ練り工程において、チウラム系加硫促進剤を投入し、混練りを行うことで、耐チッピング性能の低下が抑制され、更に硬度のバラツキも抑えられることを見出した。
従って、このような製法によれば、ショートスコーチ、硬度のバラツキが抑制され、良好な耐チッピング性能を得ることも可能となる。
従って、このような製法によれば、ショートスコーチ、硬度のバラツキが抑制され、良好な耐チッピング性能を得ることも可能となる。
本開示は、前記課題を解決し、ショートスコーチ、硬度のバラツキが抑制され、優れた耐チッピング性能を付与できるゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、イソプレン系ゴムを50質量%以上含有するゴム成分、シリカ、メルカプト系シランカップリング剤、ジベンジルアミン化合物、及びチウラム系加硫促進剤を含むゴム組成物の製造方法であって、
前記ゴム成分、前記シリカ、及び前記メルカプト系シランカップリング剤を混練する第1ベース練り工程と、
前記第1ベース練り工程で得られた第1混練物、及び前記ジベンジルアミン化合物を混練する第2ベース練り工程と、
前記第2ベース練り工程で得られた第2混練物、及び前記チウラム系加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程とを含むゴム組成物の製造方法に関する。
前記ゴム成分、前記シリカ、及び前記メルカプト系シランカップリング剤を混練する第1ベース練り工程と、
前記第1ベース練り工程で得られた第1混練物、及び前記ジベンジルアミン化合物を混練する第2ベース練り工程と、
前記第2ベース練り工程で得られた第2混練物、及び前記チウラム系加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程とを含むゴム組成物の製造方法に関する。
本開示によれば、イソプレン系ゴムを50質量%以上含有するゴム成分、シリカ、メルカプト系シランカップリング剤、ジベンジルアミン化合物、及びチウラム系加硫促進剤を含むゴム組成物の製造方法であって、前記ゴム成分、前記シリカ、及び前記メルカプト系シランカップリング剤を混練する第1ベース練り工程と、前記第1ベース練り工程で得られた第1混練物、及び前記ジベンジルアミン化合物を混練する第2ベース練り工程と、前記第2ベース練り工程で得られた第2混練物、及び前記チウラム系加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程とを含むゴム組成物の製造方法であるので、ショートスコーチ、硬度のバラツキが抑制され、優れた耐チッピング性能を付与できるゴム組成物の製造方法を提供できる。
本開示は、イソプレン系ゴムを50質量%以上含有するゴム成分、シリカ、メルカプト系シランカップリング剤、ジベンジルアミン化合物、及びチウラム系加硫促進剤を含むゴム組成物の製造方法であって、前記ゴム成分、前記シリカ、及び前記メルカプト系シランカップリング剤を混練する第1ベース練り工程と、前記第1ベース練り工程で得られた第1混練物、及び前記ジベンジルアミン化合物を混練する第2ベース練り工程と、前記第2ベース練り工程で得られた第2混練物、及び前記チウラム系加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程とを含むゴム組成物の製造方法である。そして、前記製造方法では、ショートスコーチ、硬度のバラツキを抑制できる。また、優れた耐チッピング性能が付与されたゴム組成物を提供できる。
先ず、本開示で使用する各成分について説明する。
(ゴム成分)
本開示では、ゴム成分として、イソプレン系ゴムが使用される。
本開示では、ゴム成分として、イソプレン系ゴムが使用される。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
イソプレン系ゴム以外で使用可能なゴム成分としては特に限定されず、タイヤ分野で公知のものを使用できる。例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレンスブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、BR、SBRが好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR150B、LG Chem社製のBR1280等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
BRのシス量(シス含量)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム組成物がBRを含む場合、本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。市販品としては、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。
SBRのスチレン含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、特に好ましくは35質量%以上である。該スチレン含量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、1H-NMR測定により算出される。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、1H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。該ビニル含量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム組成物がSBRを含む場合、本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、ゴム成分100質量%中、SBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分は、オイルで伸展された油展ゴムでもよい。
なお、油展ゴムに使用されるオイルは、後述のオイルと同様のものを使用できる。また、油展ゴム中のオイル分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して10~50質量部程度である。
なお、油展ゴムに使用されるオイルは、後述のオイルと同様のものを使用できる。また、油展ゴム中のオイル分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して10~50質量部程度である。
ゴム成分は、変性により、シリカ等の充填材と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR3(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基など)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR3(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR3(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基など)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR3(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基を導入する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(充填剤)
本開示では、充填剤として、シリカが使用される。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカの原料は、水ガラス(珪酸ソーダ)であってもよいし、もみ殻等のバイオマス材料であってもよい。市販品としては、エボニックデグッサ社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示では、充填剤として、シリカが使用される。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカの原料は、水ガラス(珪酸ソーダ)であってもよいし、もみ殻等のバイオマス材料であってもよい。市販品としては、エボニックデグッサ社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは120m2/g以上、より好ましくは150m2/g以上、更に好ましくは160m2/g以上である。該N2SAは、好ましくは200m2/g以下、より好ましくは195m2/g以下、更に好ましくは185m2/g以下である。また、該シリカのN2SAの下限又は上限は、175m2/gでもよい。
なお、本明細書において、シリカのN2SAは、ASTM D3037-81に準じてBET法で測定される値である。
なお、本明細書において、シリカのN2SAは、ASTM D3037-81に準じてBET法で測定される値である。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上、特に好ましくは60質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
シリカ以外に使用可能な充填剤としては、例えば、シリカ以外の無機充填剤、カーボンブラックが挙げられる。シリカ以外の無機充填剤としては、クレー、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。カーボンブラックの原料は、リグニン、植物油等のバイオマス材料であってもよい。また、カーボンブラックの製造方法は、ファーネス法等の燃焼によるものであってもよいし、水熱炭化(HTC)によるものであってもよい。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、70m2/g以上が好ましく、90m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上が更に好ましい。また、上記N2SAは、200m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましく、130m2/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、充填剤の含有量(シリカ、カーボンブラック等の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは70質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、更に好ましくは120質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(シランカップリング剤)
本開示では、シランカップリング剤として、メルカプト系シランカップリング剤が使用される。メルカプト系シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示では、シランカップリング剤として、メルカプト系シランカップリング剤が使用される。メルカプト系シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メルカプト系シランカップリング剤としては、メルカプト基を有する化合物の他、保護基によってメルカプト基が保護された構造の化合物(例えば、下記式(S1)で表される化合物)も使用可能である。
特に好適なメルカプト系シランカップリング剤として、下記式(S1)で表わされるシランカップリング剤や、下記式(I)で示される結合単位Aと下記式(II)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤が挙げられる。
(式中、R1001は-Cl、-Br、-OR1006、-O(O=)CR1006、-ON=CR1006R1007、-NR1006R1007及び-(OSiR1006R1007)h(OSiR1006R1007R1008)から選択される一価の基(R1006、R1007及びR1008は同一でも異なっていても良く、各々水素原子又は炭素数1~18の一価の炭化水素基であり、hは平均値が1~4である。)であり、R1002はR1001、水素原子又は炭素数1~18の一価の炭化水素基、R1003は-[O(R1009O)j]-基(R1009は炭素数1~18のアルキレン基、jは1~4の整数である。)、R1004は炭素数1~18の二価の炭化水素基、R1005は炭素数1~18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。)
(式中、vは0以上の整数、wは1以上の整数である。R11は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R12は分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニレン基を示す。R11とR12とで環構造を形成してもよい。)
式(S1)において、R1005、R1006、R1007及びR1008はそれぞれ独立に、炭素数1~18の直鎖状、環状もしくは分枝状のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。また、R1002が炭素数1~18の一価の炭化水素基である場合は、直鎖状、環状もしくは分枝状のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。R1009は直鎖状、環状又は分枝状のアルキレン基であることが好ましく、特に直鎖状のものが好ましい。R1004は例えば炭素数1~18のアルキレン基、炭素数2~18のアルケニレン基、炭素数5~18のシクロアルキレン基、炭素数6~18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6~18のアリーレン基、炭素数7~18のアラルキレン基を挙げることができる。アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖状及び分枝状のいずれであってもよく、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基は、環上に低級アルキル基等の官能基を有していてもよい。このR1004としては、炭素数1~6のアルキレン基が好ましく、特に直鎖状アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。
式(S1)におけるR1002、R1005、R1006、R1007及びR1008の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
式(S1)におけるR1009の例として、直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、分枝状アルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、2-メチルプロピレン基等が挙げられる。
式(S1)におけるR1009の例として、直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、分枝状アルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、2-メチルプロピレン基等が挙げられる。
式(S1)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なかでも、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
式(I)で示される結合単位Aと式(II)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤において、結合単位Aの含有量は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは99モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。また、結合単位Bの含有量は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、更に好ましくは55モル%以下である。また、結合単位A及びBの合計含有量は、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(I)、(II)と対応するユニットを形成していればよい。
なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(I)、(II)と対応するユニットを形成していればよい。
式(I)、(II)におけるR11について、ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基としては、メチル基、エチル基等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基等があげられる。
式(I)、(II)におけるR12について、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1-プロペニレン基等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基等があげられる。
式(I)で示される結合単位Aと式(II)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(v)と結合単位Bの繰り返し数(w)の合計の繰り返し数(v+w)は、3~300の範囲が好ましい。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、メルカプト系シランカップリング剤の含有量は、該ゴム組成物中に含まれるシリカ100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、また、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本開示では、メルカプト系シランカップリング剤以外に、更に配合可能なシランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、シランカップリング剤の総量(メルカプト系シランカップリング剤、他のシランカップリング剤の合計含有量)は、該ゴム組成物中に含まれるシリカ100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、また、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
シランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
(ジベンジルアミン化合物)
本開示では、ジベンジルアミン化合物が使用される。ジベンジルアミン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示では、ジベンジルアミン化合物が使用される。ジベンジルアミン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジベンジルアミン化合物の具体例としては、ジベンジルアミン、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。市販品としては、三新化学工業(株)、大内新興化学工業(株)、ランクセス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ジベンジルアミン基を2つ有する化合物が好ましく、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンがより好ましい。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、ジベンジルアミン化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.2質量部以上であり、また、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(軟化剤)
本開示におけるゴム組成物は、軟化剤を含むものでもよい。軟化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示におけるゴム組成物は、軟化剤を含むものでもよい。軟化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
軟化剤としては、タイヤ分野で公知の常温(20℃)で液体状態のものを使用できる。具体的には、オイル、芳香族系樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂などが挙げられる。なかでも、オイルが好ましい。
オイルとしては、ゴムの加工性(軟化効果、配合剤分散効果、ポリマー鎖間の潤滑効果など)を改善するために、石油系油類等を好適に使用できる。具体的には、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイルの他、処理留出物芳香族系抽出物(TDAE(treated distillate aromatic extracts))、溶媒残留物芳香族系抽出物((SRAE)solvent residue aromatic extracts)等の代替アロマオイル、軽度抽出溶媒和物(MES(mild extraction solvates))等が挙げられる。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは8質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(他のベース練り材料)
本開示におけるゴム組成物は、他の材料(老化防止剤、ワックス、酸化亜鉛、ステアリン酸など)を含んでもよい。
本開示におけるゴム組成物は、他の材料(老化防止剤、ワックス、酸化亜鉛、ステアリン酸など)を含んでもよい。
老化防止剤としては、従来公知のアミン系老化防止剤等を使用でき、具体的には、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンアミン系老化防止剤等が挙げられる。本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2~8質量部である。
酸化亜鉛、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用できる。本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、酸化亜鉛、ステアリン酸の含有量は、それぞれ、ゴム成分100質量部に対して、0.5~8質量部、1~10質量部が好ましい。
(加硫系材料)
本開示では、チウラム系加硫促進剤が使用される。チウラム系加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示では、チウラム系加硫促進剤が使用される。チウラム系加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示で使用できるチウラム系加硫促進剤としては、例えば、下記式(1)で表される加硫促進剤を好適に使用できる。
R1R2N-(C=S)-Sz(C=S)-NR3R4 (1)
R1R2N-(C=S)-Sz(C=S)-NR3R4 (1)
上記式(1)のzは1~8(好ましくは1~6、より好ましくは1~3)の整数を表す。
上記式(1)のR1~R4は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~15(好ましくは2~12、より好ましくは4~10)の炭化水素基を表す。R1~R4の炭化水素基としては、例えば、アルキル基などの1価の脂肪族炭化水素基、アリール基などの1価の芳香族炭化水素基などが挙げられ、好ましくはアルキル基、より好ましくは分岐構造を有するアルキル基、更に好ましくは2-エチルヘキシル基である。
上記式(1)で表される加硫促進剤としては、例えば、大内新興化学工業(株)製のノクセラーTBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)、ノクセラーTOT-N(テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド)などが挙げられる。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、テトラベンジルチウラムジスルフィドが好ましい。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、チウラム系加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
加硫系材料として、例えば、硫黄を使用することが望ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
チウラム系加硫促進剤以外に更に配合可能な加硫促進剤としては、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、例えば、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、ジチオカルバミン酸塩類、チオウレア類、キサントゲン酸塩類等が挙げられる。
具体的には、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物において、加硫促進剤の総量(チウラム系加硫促進剤、他の加硫促進剤の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。
(その他の成分)
本開示の製造方法により得られるゴム組成物には、前記成分以外にも、他の配合剤を適宜配合してもよい。
本開示の製造方法により得られるゴム組成物には、前記成分以外にも、他の配合剤を適宜配合してもよい。
次に、本開示の製造方法における各混練工程について説明する。
(第1ベース練り工程)
第1ベース練り工程では、ゴム成分と、シリカと、メルカプト系シランカップリング剤とを混練し、第1混練物を得る。第1ベース練り工程で、メルカプト系シランカップリング剤を混練することで、シリカの分散性を確保できる。
第1ベース練り工程では、ゴム成分と、シリカと、メルカプト系シランカップリング剤とを混練し、第1混練物を得る。第1ベース練り工程で、メルカプト系シランカップリング剤を混練することで、シリカの分散性を確保できる。
混練方法としては特に限定されず、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練機を用いることができる。第1ベース練り工程の混練温度は、シリカ分散性などの観点から、130℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。該混練温度の上限は、1180℃以下が好ましく、175℃以下がより好ましい。特に150℃以上(例えば、150~160℃)まで混練し、排出することが望ましい。混練時間は特に限定されず、所望の分散性が得られるように適宜調整すればよく、例えば、1~10分間混練すればよい。
第1ベース練り工程では、メルカプト系シランカップリング剤が混練されるが、ショートスコーチを抑制する観点から、本開示の製造方法により得られるゴム組成物に使用されるメルカプト系シランカップリング剤全量100質量%中、第1ベース練り工程で80質量%以上を混練することが好ましく、90質量%以上を混練することがより好ましく、95質量%以上を混練することが更に好ましく、100質量%(全量)を混練することが特に好ましい。
第1ベース練り工程では、該工程で混練されるシリカ100質量部に対して、メルカプト系シランカップリング剤を3~25質量部混練することが好ましく、5~20質量部混練することがより好ましく、8~15質量部混練することが更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分は、全量を第1ベース練り工程で混練しても、第1、第2ベース練り工程等で分割混練してもよいが、シリカの分散性を確保する観点から、ゴム成分は、全量を第1ベース練り工程で混練することが好ましい。
シリカは、全量を第1ベース練り工程で混練しても、第1、第2ベース練り工程等で分割混練してもよいが、シリカの分散性を確保する観点から、本開示の製造方法により得られるゴム組成物に使用されるシリカ全量100質量%中、第1ベース練り工程で80質量%以上を混練することが好ましく、90質量%以上を混練することがより好ましく、95質量%以上を混練することが更に好ましく、100質量%(全量)を混練することが特に好ましい。
なお、第1ベース練り工程では、前記成分以外の成分を適宜混練してもよい。
(第2ベース練り工程)
第2ベース練り工程では、第1ベース練り工程で得られた第1混練物と、ジベンジルアミン化合物とを混練し、第2混練物を得る。作製された第1混練物と、ジベンジルアミン化合物とを混練することで、ショートスコーチの抑制、耐チッピング性能の低下の防止、ジベンジルアミン化合物の分散性の確保が可能となる。
第2ベース練り工程では、第1ベース練り工程で得られた第1混練物と、ジベンジルアミン化合物とを混練し、第2混練物を得る。作製された第1混練物と、ジベンジルアミン化合物とを混練することで、ショートスコーチの抑制、耐チッピング性能の低下の防止、ジベンジルアミン化合物の分散性の確保が可能となる。
混練方法としては特に限定されず、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練機を用いることができる。第2ベース練り工程の混練温度は、ショートスコーチの抑制などの観点から、160℃以下が好ましく、155℃以下がより好ましく、145℃以下が更に好ましい。該混練温度の下限は、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。特に145℃以下(例えば、130~145℃)まで混練し、排出することが望ましい。混練時間は特に限定されず、所望の分散性が得られるように適宜調整すればよく、例えば、1~10分間混練すればよい。
第2ベース練り工程では、ジベンジルアミン化合物が混練されるが、ショートスコーチの抑制、耐チッピング性能低下の防止、ジベンジルアミン化合物の分散性確保の観点から、本開示の製造方法により得られるゴム組成物に使用されるジベンジルアミン化合物全量100質量%中、第2ベース練り工程で80質量%以上を混練することが好ましく、90質量%以上を混練することがより好ましく、95質量%以上を混練することが更に好ましく、100質量%(全量)を混練することが特に好ましい。
第2ベース練り工程では、該工程で混練されるゴム成分100質量部に対して、ジベンジルアミン化合物を0.5~6質量部混練することが好ましく、0.8~4質量部混練することがより好ましく、1.2~2質量部混練することが更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、第2ベース練り工程では、前記成分以外の成分を適宜混練してもよい。
(仕上げ練り工程の前に実施可能な他の工程)
本開示の製造方法は、仕上げ練り工程を行う前に、第1ベース練り工程及び第2ベース練り工程以外の他の工程を含んでもよい。他の工程としては、例えば、第1ベース練り工程の前、第1ベース練り工程及び第2ベース練り工程の間、第2ベース練り工程の後に実施する1以上の混練工程が挙げられる。なお、第1ベース練り工程及び第2ベース練り工程の間に他の工程を実施する場合、第2ベース練り工程では、当該他の工程により得られた混練物が第1混練物として使用される。また、第2ベース練り工程の後に他の工程を実施する場合、仕上げ練り工程では、当該他の工程により得られた混練物が第2混練物として使用される。
本開示の製造方法は、仕上げ練り工程を行う前に、第1ベース練り工程及び第2ベース練り工程以外の他の工程を含んでもよい。他の工程としては、例えば、第1ベース練り工程の前、第1ベース練り工程及び第2ベース練り工程の間、第2ベース練り工程の後に実施する1以上の混練工程が挙げられる。なお、第1ベース練り工程及び第2ベース練り工程の間に他の工程を実施する場合、第2ベース練り工程では、当該他の工程により得られた混練物が第1混練物として使用される。また、第2ベース練り工程の後に他の工程を実施する場合、仕上げ練り工程では、当該他の工程により得られた混練物が第2混練物として使用される。
他の工程の具体例としては、例えば、第2ベース練り工程で得られた第2混練物を混練機から排出し、再度これを混練機に投入し、再混練する再混練工程(リミル)が挙げられる。混練方法は、第2ベース練り工程と同様の方法を使用できる。再混練工程の混練時間は、1~8分が好ましく、混練温度は、130~160℃が好ましい。
(仕上げ練り工程)
仕上げ練り工程では、第2ベース練り工程で得られた第2混練物と、チウラム系加硫促進剤とを混練する。混練方法としては特に限定されず、例えば、オープンロール等の公知の混練機を用いることができる。また、混練時間は、0.5~15分が好ましく、混練温度は、40~80℃が好ましい。
仕上げ練り工程では、第2ベース練り工程で得られた第2混練物と、チウラム系加硫促進剤とを混練する。混練方法としては特に限定されず、例えば、オープンロール等の公知の混練機を用いることができる。また、混練時間は、0.5~15分が好ましく、混練温度は、40~80℃が好ましい。
仕上げ練り工程では、チウラム系加硫促進剤が混練されるが、耐チッピング性能低下の防止の観点から、本開示の製造方法により得られるゴム組成物に使用されるチウラム系加硫促進剤全量100質量%中、仕上げ練り工程で80質量%以上を混練することが好ましく、90質量%以上を混練することがより好ましく、95質量%以上を混練することが更に好ましく、100質量%(全量)を混練することが特に好ましい。
仕上げ練り工程では、該工程で混練されるゴム成分100質量部に対して、チウラム系加硫促進剤を0.1~5質量部混練することが好ましく、0.3~3質量部混練することがより好ましく、0.5~2質量部混練することが更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
仕上げ練り工程では、硫黄を混練することが望ましい。
硫黄は、全量を仕上げ練り工程で混練することが好ましい。
硫黄は、全量を仕上げ練り工程で混練することが好ましい。
仕上げ練り工程では、チウラム系加硫促進剤以外の加硫促進剤(他の加硫促進剤)を混練してもよい。
この場合、本開示の製造方法により得られるゴム組成物に使用される他の加硫促進剤全量100質量%中、仕上げ練り工程で80質量%以上を混練することが好ましく、90質量%以上を混練することがより好ましく、95質量%以上を混練することが更に好ましく、100質量%(全量)を混練することが特に好ましい。
この場合、本開示の製造方法により得られるゴム組成物に使用される他の加硫促進剤全量100質量%中、仕上げ練り工程で80質量%以上を混練することが好ましく、90質量%以上を混練することがより好ましく、95質量%以上を混練することが更に好ましく、100質量%(全量)を混練することが特に好ましい。
仕上げ練り工程では、該工程で混練されるゴム成分100質量部に対して、加硫促進剤(チウラム系加硫促進剤、他の加硫促進剤の総量)を1~10質量部混練することが好ましく、2~8質量部混練することがより好ましく、3~6質量部混練することが更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
仕上げ練り工程では、通常、第2混練物、硫黄、加硫促進剤が混練されるが、第1、第2ベース練り工程において、通常ベース練りで混練する材料の一部を混練していない場合、その材料も適宜混練してもよい。
(以降の工程)
仕上げ練り工程で得られた混練物(未加硫ゴム組成物)を、トレッド、サイドウォールなどの部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧することで、タイヤを製造できる。製造されたタイヤは、乗用車用タイヤ、バス用タイヤ、トラック用タイヤ等に好適に使用可能である。
仕上げ練り工程で得られた混練物(未加硫ゴム組成物)を、トレッド、サイドウォールなどの部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧することで、タイヤを製造できる。製造されたタイヤは、乗用車用タイヤ、バス用タイヤ、トラック用タイヤ等に好適に使用可能である。
実施例に基づいて、本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
SBR:住友化学工業(株)製のSBR1502(スチレン含有量:23.5質量%)
BR:BR730(JSR社製、シス含有量:95質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g、DBP吸収量:115ml/100g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA175m2/g)
シランカップリング剤:Momentive社製のNXT-Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
アロマ系プロセスオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH-24
酸化亜鉛:三井金属鉱業社製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油社製の椿
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学社製のサンノックN
ジベンジルアミン化合物:ランクセス社製のVulcuren VP KA9188(1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)
硫黄:軽井沢硫黄社製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’-ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤TBzTD:三新化学工業(株)製のサンセラーTBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)
NR:TSR20
SBR:住友化学工業(株)製のSBR1502(スチレン含有量:23.5質量%)
BR:BR730(JSR社製、シス含有量:95質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g、DBP吸収量:115ml/100g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA175m2/g)
シランカップリング剤:Momentive社製のNXT-Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
アロマ系プロセスオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH-24
酸化亜鉛:三井金属鉱業社製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油社製の椿
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学社製のサンノックN
ジベンジルアミン化合物:ランクセス社製のVulcuren VP KA9188(1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)
硫黄:軽井沢硫黄社製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’-ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤TBzTD:三新化学工業(株)製のサンセラーTBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)
〔実施例及び比較例〕
(ベース練り工程)
1.7Lバンバリーミキサーを用いて、表1中のベース練りの項目に記載の材料を混練し混練物を得た。表1中、X-1、X-2は、この順に、各材料を項目毎に投入して混練したことを意味している。各項目の混練物の排出温度、混練時間は以下のとおりである。
X-1(第1ベース練り工程):混練物1の排出温度(表1に記載)、混練時間150秒
X-2(第2ベース練り工程):混練物2の排出温度(表1に記載)、混練時間120秒
(再混練工程(リミル))
得られた混練物をバンバリーミキサーに投入して再度混練する工程を所定回数行い、再混練物を得た。各再混練の条件は、以下のとおりであり、再混練回数は、表1に記載のとおりである。
X-3(再混練工程):混練温度150℃、混練時間90秒
(仕上げ練り工程)
オープンロールを用いて、第2ベース練り工程で得られた混練物又は再混練工程で得られた再混練物に、表1中の仕上げ練りの項目に記載の材料を投入して70℃で120秒混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
(加硫工程)
仕上げ練り工程で得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
(ベース練り工程)
1.7Lバンバリーミキサーを用いて、表1中のベース練りの項目に記載の材料を混練し混練物を得た。表1中、X-1、X-2は、この順に、各材料を項目毎に投入して混練したことを意味している。各項目の混練物の排出温度、混練時間は以下のとおりである。
X-1(第1ベース練り工程):混練物1の排出温度(表1に記載)、混練時間150秒
X-2(第2ベース練り工程):混練物2の排出温度(表1に記載)、混練時間120秒
(再混練工程(リミル))
得られた混練物をバンバリーミキサーに投入して再度混練する工程を所定回数行い、再混練物を得た。各再混練の条件は、以下のとおりであり、再混練回数は、表1に記載のとおりである。
X-3(再混練工程):混練温度150℃、混練時間90秒
(仕上げ練り工程)
オープンロールを用いて、第2ベース練り工程で得られた混練物又は再混練工程で得られた再混練物に、表1中の仕上げ練りの項目に記載の材料を投入して70℃で120秒混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
(加硫工程)
仕上げ練り工程で得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
(試験用タイヤ)
また、得られた未加硫ゴム組成物をそれぞれトレッドの形状に成型し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて170℃で15分間加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
また、得られた未加硫ゴム組成物をそれぞれトレッドの形状に成型し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて170℃で15分間加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物、試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
<スコーチタイム>
未加硫ゴム組成物について、JIS K 6300-1「未加硫ゴム-物理特性-第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた125℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、最低粘度より5ポイント上昇するまでに要する時間(スコーチタイム)を測定した。スコーチタイムが長いほど、ショートスコーチが抑制されていることを示す。
未加硫ゴム組成物について、JIS K 6300-1「未加硫ゴム-物理特性-第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた125℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、最低粘度より5ポイント上昇するまでに要する時間(スコーチタイム)を測定した。スコーチタイムが長いほど、ショートスコーチが抑制されていることを示す。
<硬度δ>
加硫ゴム組成物の硬度について、JIS K 6253に定められた硬度の測定法に準じて測定した。値が均一であるほど、硬度のバラツキが抑制されていることを示す。
加硫ゴム組成物の硬度について、JIS K 6253に定められた硬度の測定法に準じて測定した。値が均一であるほど、硬度のバラツキが抑制されていることを示す。
<耐チッピング性能>
上記試験用タイヤを国産FF車に装着して8000km走行した後、ブロックあたりの欠けた面積を測定し、以下の基準で評価した。
○:欠けた面積が20%未満
△:欠けた面積が20%以上60%未満
×:欠けた面積が60%以上
上記試験用タイヤを国産FF車に装着して8000km走行した後、ブロックあたりの欠けた面積を測定し、以下の基準で評価した。
○:欠けた面積が20%未満
△:欠けた面積が20%以上60%未満
×:欠けた面積が60%以上
表1に示されているように、本開示の製造方法を用いた実施例では、ショートスコーチ、硬度のバラツキが抑制され、また、耐チッピング性能も優れていた。
本開示(1)は、イソプレン系ゴムを50質量%以上含有するゴム成分、シリカ、メルカプト系シランカップリング剤、ジベンジルアミン化合物、及びチウラム系加硫促進剤を含むゴム組成物の製造方法であって、
前記ゴム成分、前記シリカ、及び前記メルカプト系シランカップリング剤を混練する第1ベース練り工程と、
前記第1ベース練り工程で得られた第1混練物、及び前記ジベンジルアミン化合物を混練する第2ベース練り工程と、
前記第2ベース練り工程で得られた第2混練物、及び前記チウラム系加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程とを含むゴム組成物の製造方法である。
前記ゴム成分、前記シリカ、及び前記メルカプト系シランカップリング剤を混練する第1ベース練り工程と、
前記第1ベース練り工程で得られた第1混練物、及び前記ジベンジルアミン化合物を混練する第2ベース練り工程と、
前記第2ベース練り工程で得られた第2混練物、及び前記チウラム系加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程とを含むゴム組成物の製造方法である。
本開示(2)は、前記メルカプト系シランカップリング剤が、下記式(S1)で表わされるシランカップリング剤、及び下記式(I)で示される結合単位Aと下記式(II)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む本開示(1)記載のゴム組成物の製造方法である。
(式中、R1001は-Cl、-Br、-OR1006、-O(O=)CR1006、-ON=CR1006R1007、-NR1006R1007及び-(OSiR1006R1007)h(OSiR1006R1007R1008)から選択される一価の基(R1006、R1007及びR1008は同一でも異なっていても良く、各々水素原子又は炭素数1~18の一価の炭化水素基であり、hは平均値が1~4である。)であり、R1002はR1001、水素原子又は炭素数1~18の一価の炭化水素基、R1003は-[O(R1009O)j]-基(R1009は炭素数1~18のアルキレン基、jは1~4の整数である。)、R1004は炭素数1~18の二価の炭化水素基、R1005は炭素数1~18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。)
(式中、vは0以上の整数、wは1以上の整数である。R11は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R12は分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニレン基を示す。R11とR12とで環構造を形成してもよい。)
本開示(3)は、前記ジベンジルアミン化合物が1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンを含む本開示(1)又は(2)記載のゴム組成物の製造方法である。
本開示(4)は、前記チウラム系加硫促進剤が下記式で示される化合物を含む本開示(1)~(3)のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法である。
R1R2N-(C=S)-Sz(C=S)-NR3R4
(式中、zは1~8の整数を表す。R1~R4は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~15の炭化水素基を表す。)
R1R2N-(C=S)-Sz(C=S)-NR3R4
(式中、zは1~8の整数を表す。R1~R4は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~15の炭化水素基を表す。)
本開示(5)は、前記第1ベース練り工程が前記第1混練物を150℃以上で排出し、前記第2ベース練り工程が第2混練物を145℃以下で排出する本開示(1)~(4)のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法である。
本開示(6)は、前記第1ベース練り工程で前記メルカプト系シランカップリング剤の全量を混練する本開示(1)~(5)のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法である。
Claims (6)
- イソプレン系ゴムを50質量%以上含有するゴム成分、シリカ、メルカプト系シランカップリング剤、ジベンジルアミン化合物、及びチウラム系加硫促進剤を含むゴム組成物の製造方法であって、
前記ゴム成分、前記シリカ、及び前記メルカプト系シランカップリング剤を混練する第1ベース練り工程と、
前記第1ベース練り工程で得られた第1混練物、及び前記ジベンジルアミン化合物を混練する第2ベース練り工程と、
前記第2ベース練り工程で得られた第2混練物、及び前記チウラム系加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程とを含むゴム組成物の製造方法。 - 前記メルカプト系シランカップリング剤は、下記式(S1)で表わされるシランカップリング剤、及び下記式(I)で示される結合単位Aと下記式(II)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ジベンジルアミン化合物は、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンを含む請求項1又は2記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記チウラム系加硫促進剤は、下記式で示される化合物を含む請求項1~3のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
R1R2N-(C=S)-Sz(C=S)-NR3R4
(式中、zは1~8の整数を表す。R1~R4は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~15の炭化水素基を表す。) - 前記第1ベース練り工程が前記第1混練物を150℃以上で排出し、前記第2ベース練り工程が第2混練物を145℃以下で排出する請求項1~4のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記第1ベース練り工程で前記メルカプト系シランカップリング剤の全量を混練する請求項1~5のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
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