JP2023082813A - 熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来とは異なる箇所へのレーザーヘッドの配置を許容できる熱処理方法を提供すること。【解決手段】板状部材50の外周面又は内周面の少なくとも一方である熱処理対象面66にレーザーを用いて焼入れをする熱処理方法であって、板状部材50において熱処理対象面66に隣接する軸方向側面68Aにレーザーを照射する照射ステップを有する。【選択図】図3

Description

本開示は、レーザーを用いて焼入れをする熱処理方法に関する。
特許文献1は、板状部材としてのトロコイド歯車の外周面にレーザーを照射することで、その外周面に焼入れをする熱処理方法を開示している。
特開2019-167589号公報
特許文献1の開示技術では、板状部材の外周面に焼入れをするうえで、その外周面にレーザーを照射している。よって、レーザーを照射するレーザーヘッドの配置位置に関して、板状部材と径方向に重なる位置の周辺に制約されてしまう。設計上の自由度を高める観点からは、従来とは異なる箇所へのレーザーヘッドの配置を容易に許容できる技術の提案が望まれる。
本開示の目的の1つは、従来とは異なる箇所へのレーザーヘッドの配置を容易に許容できる熱処理方法を提供することにある。
本開示の熱処理方法は、板状部材の外周面又は内周面の少なくとも一方である熱処理対象面にレーザーを用いて焼入れをする熱処理方法であって、前記板状部材において前記熱処理対象面に隣接する軸方向側面にレーザーを照射する照射ステップを有する。
本開示の熱処理方法によれば、従来とは異なる箇所へのレーザーヘッドの配置を許容できる。
第1実施形態の動力伝達装置を模式的に示す側面断面図である。 第1実施形態の製造プロセスの一例を示すフローチャートである。 第1実施形態の熱処理方法の照射ステップを説明する斜視図である。 第1実施形態の熱処理方法の照射ステップを説明する側面断面図である。 第1実施形態の板状部材の加熱用照射領域及びレーザーの照射経路を示す図である。 図6(A)は、第1実施形態の第1サブステップ後の板状部材の焼入れ領域を示す側面断面図であり、図6(B)は、第1サブステップでの加熱用照射領域及びレーザーの照射経路を示す図である。 図7(A)は、第1実施形態の第2サブステップ後の板状部材の焼入れ領域を示す側面断面図であり、図7(B)は、第2サブステップでの加熱用照射領域及びレーザーの照射経路を示す図である。 第1変形形態のレーザーヘッドの配置位置を図4と同じ視点から見た図である。 第2実施形態のレーザーの照射経路を示す板状部材を軸方向から見た図である。 第3実施形態のレーザーの照射経路を示す板状部材を軸方向から見た図である。 第2変形形態のレーザーの照射経路を示す板状部材を軸方向から見た図である。
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
(第1実施形態)図1を参照する。本実施形態の熱処理方法を適用した板状部材50が用いられる動力伝達装置10を説明する。動力伝達装置10は、入力軸12と、入力軸12の回転を伝達する動力伝達機構14と、動力伝達機構14から取り出した動力を外部の被駆動部材に出力する出力部材16と、動力伝達機構14を収容するケーシング18と、を備える。
本実施形態の動力伝達装置10は、偏心揺動型歯車装置である。この動力伝達装置10の動力伝達機構14は、互いに噛み合うとともに一方が揺動歯車20となる外歯歯車22及び内歯歯車24を備える歯車機構である。この動力伝達機構14は、揺動歯車20を揺動させることで外歯歯車22及び内歯歯車24の一方を自転させ、その自転成分を出力回転として出力部材16から取り出し可能である。
動力伝達装置10は、この他に、入力軸12となる偏心体軸26と、偏心体軸26の偏心体38(後述する)と揺動歯車20との間に配置される偏心体軸受30と、揺動歯車20の軸方向側方に配置されるキャリヤ32A、32Bと、ケーシング18とキャリヤ32A、32Bとの間に配置される主軸受34と、を備える。キャリヤ32A、32Bは、揺動歯車20の軸方向一側(図中右側)に配置される第1キャリヤ32Aと、軸方向他側(図中左側)に配置される第2キャリヤ32Bとを含む。動力伝達装置10は、第2キャリヤ32Bから突出して外歯歯車22を貫通する柱部材36を備える。本実施形態の揺動歯車20は外歯歯車22であり、出力部材16は第2キャリヤ32Bである。
入力軸12は、駆動源(不図示)から伝達される回転動力によって回転可能である。駆動源は、例えば、モータ、ギヤモータ、エンジン等である。
偏心体軸26は、複数の偏心体38を備える。偏心体38の軸心CL2は、偏心体軸26の回転中心CL1に対して偏心しており、その回転中心CL1周りに回転することで揺動歯車20を揺動させることができる。
偏心体軸受30は、複数の転動体30aと、転動体30aが転動する外輪30b及び内輪30cと、を備える。外輪30bは外歯歯車22の第1貫通孔56A(後述する)の内周面が兼ねている。この他にも、偏心体軸受30は、専用の外輪30bを備えていてもよい。偏心体軸受30は専用の内輪30cを備える。この他にも、偏心体軸受30の内輪30cは偏心体38の外周面が兼ねていてもよい。
外歯歯車22は、複数の偏心体38に対応して個別に設けられ、偏心体軸受30を介して対応する偏心体38に相対回転可能に支持される。内歯歯車24は、ケーシング18と一体化される。本実施形態の内歯歯車24は、ケーシング18と一体化される内歯歯車本体24aと、内歯歯車本体24aに設けられるピン溝に回転可能に支持され内歯を構成するピン体24bとを備える。この他にも内歯歯車24は内歯歯車本体24aと内歯とが一体成形されていてもよい。
柱部材36は、第2キャリヤ32Bの軸心からオフセットした位置において、その軸心周りに間隔を空けて複数設けられる。柱部材36は、揺動歯車20としての外歯歯車22が揺動するとき、外歯歯車22の自転成分と同期可能である。この自転成分は、外歯歯車22が実際に自転する場合に取り得る正値の他に、外歯歯車22が自転しない場合に取り得るゼロ値となり得る。柱部材36と外歯歯車22との間には、これらに転がり接触可能なローラ40が配置される。本実施形態の柱部材36は、第1キャリヤ32Aと第2キャリヤ32Bを連結している。
以上の動力伝達装置10では、駆動源によって偏心体軸26(入力軸12)が回転すると、偏心体38によって揺動歯車20が揺動する。揺動歯車20が揺動すると、外歯歯車22と内歯歯車24の噛合位置が順次に周方向に変化する。この結果、外歯歯車22と内歯歯車24の何れか一方が自転し、その自転成分が出力回転として出力部材16から取り出される。
ここで、動力伝達装置10は、本実施形態の熱処理方法が適用された板状部材50と、動力伝達装置10の作動時に板状部材50に対する相対運動を伴い板状部材50に接触する接触部材52A、52B、52Cと、を備える。以下、板状部材50の厚さ方向を軸方向Xといい、板状部材50を軸方向Xから見た幾何学中心を板状部材50の中心CL3という。また、板状部材50の中心CL3と同心の円の半径方向及び周方向を単に板状部材50の径方向及び周方向という。
板状部材50は、全体として板状をなしている。本実施形態の板状部材50は、他の歯車(ここでは内歯歯車24)と噛み合う歯面を外周面に有する外歯歯車22である。板状部材50は、焼入れ可能な金属を素材とし、本実施形態ではクロムモリブデン鋼鋼材(JISでいうSCM材)等の鋼材を素材とする。
板状部材50は、板状部材50の軸方向Xに板状部材50を貫通する貫通孔56A、56Bを備える。本実施形態の貫通孔56A、56Bは、板状部材50の中心CL3を軸方向Xに貫通する第1貫通孔56Aと、中心CL3から径方向にオフセットした位置を軸方向Xに貫通する第2貫通孔56Bとを含む。
接触部材52A、52B、52Cは、板状部材50の外周面に接触する第1接触部材52Aと、板状部材50の第1貫通孔56Aの内周面に接触する第2接触部材52Bと、板状部材50の第2貫通孔56Bの内周面に接触する第3接触部材52Cと、を含む。本実施形態において、第1接触部材52Aは外歯歯車22と噛み合う内歯歯車24であり、第2接触部材52Bは、偏心体軸受30の転動体30aであり、第3接触部材52Cはローラ40である。このような接触部材52A、52B、52Cとの接触箇所は耐摩耗性を要求される。このような耐摩耗性を要求される箇所に後述の熱処理方法を用いて焼入れをすることで、板状部材50の長寿命化を図ることができる。以下、第1実施形態等で、第1接触部材52Aとの接触箇所となる板状部材50の外周面に焼入れをする場合を説明する。また、第2実施形態等で、第2接触部材52Bとの接触箇所となる板状部材50の第1貫通孔56Aの内周面に焼入れをする場合を説明する。また、変形形態で、第3接触部材52Cとの接触箇所となる板状部材50の第2貫通孔56Bの内周面に焼入れをする場合を説明する。
本実施形態の熱処理方法は、最終製品となる板状部材50を得るための製造プロセスで用いられる中間製品(ワーク)となる板状部材50を対象として行われる。ワークとなる板状部材50は、最終製品となる板状部材50と共通の形状を持つ。本実施形態の熱処理方法を含む製造プロセスを経ることで、最終製品としての板状部材50を得ることができる。
図2を参照する。この製造プロセスは、主には、切削加工、旋盤加工等の機械加工により板状部材50の外形を形成する粗加工工程S10と、粗加工工程S10を経た板状部材50に本実施形態の熱処理方法を行う熱処理工程S12と、熱処理工程S12を経た板状部材50の表面を機械加工により目標表面粗さとなるように研削する仕上げ加工工程S14とを含む。
図3~図5を参照する。図5は、板状部材50を軸方向から見た図でもある。以降の図4等では、説明の便宜から、外歯歯車22の第2貫通孔56Bを省略する。本実施形態の熱処理方法の説明に移る。熱処理方法に用いられる熱処理装置60は、ワークとなる板状部材50にレーザー62を照射するレーザーヘッド64を備える。レーザーヘッド64は、モータ等を組み合わせたヘッド駆動機構(不図示)を用いて移動可能である。
本実施形態の熱処理方法は、ワークとなる板状部材50の熱処理対象面66にレーザー62を用いて焼入れをするために用いられる。熱処理対象面66は、板状部材50の外周面又は内周面の少なくとも一方となる。本実施形態では、板状部材50の外周面を熱処理対象面66とする例を説明する。
熱処理方法は、板状部材50にレーザー62を照射することで、板状部材50の熱処理対象面66を加熱する照射ステップを有する。照射ステップでは、熱処理対象面66にレーザー62を照射するのではなく、熱処理対象面66に隣接する軸方向側面68A(以下、単に側面68Aともいう)にレーザー62を照射することで、熱処理対象面66を加熱する。板状部材50の側面68Aにレーザーを照射するうえで、本実施形態のレーザーヘッド64は、板状部材50に対して軸方向X片側、かつ、軸方向Xから見て板状部材50に外接する外接円70の内側に配置される。この条件を満たすうえで、レーザーヘッド64は、少なくとも部分的に外接円70の内側に配置されていればよい。ここでの外接円70とは、軸方向Xから見て、板状部材50の中心CL3と同心である板状部材50に外接する最大径の円をいう。本実施形態のレーザーヘッド64は、板状部材50に対して軸方向Xに重なる位置に配置される。熱処理対象面66において熱処理すべき周方向範囲を熱処理対象範囲Saという。本実施形態の熱処理対象範囲Saは熱処理対象面66の全周範囲となる。
熱処理対象面66を加熱可能な板状部材50の側面68Aの部分的な領域を加熱用照射領域72という。図5では、加熱用照射領域72にハッチングを付して示す。照射ステップでは、板状部材50の加熱用照射領域72を含む範囲にレーザー62を照射することで、その熱処理対象面66を加熱する。本実施形態の加熱用照射領域72は、板状部材50の側面68Aにおいて熱処理対象面66に連続する周縁部となる。本実施形態のように熱処理対象面66が板状部材50の外周面となる場合、その外周面に連続する板状部材50の外側周縁部が加熱用照射領域72となる。また、後述の図9のように熱処理対象面66が板状部材50の内周面となる場合、その内周面に連続する板状部材50の内側周縁部が加熱用照射領域72となる。本実施形態の加熱用照射領域72は、板状部材50の側面68Aにおいて周方向に向かって起伏のない平坦な形状となる。
照射ステップでは、レーザー62を照射することで板状部材50の側面68Aにレーザースポット74が形成される。図3等では、説明の便宜から、板状部材50の側面68上に形成されるレーザースポット74の他に、その側面68と平行な仮想面上に形成されるレーザースポット74も併せて示す。本実施形態のレーザー62は、レーザーヘッド64から離れるに従って変動する形状となる。このため、レーザースポット74の形状は、レーザーヘッド64からレーザー照射箇所までの距離の変動に伴い変動する。照射ステップでは、予め定められる照射経路76に沿ってレーザースポット74を進行させることで熱処理対象面66を加熱する。図5では、レーザースポット74の進行方向Daとレーザースポット74の軌跡(一点鎖線)を示すことで、その照射経路76を示す。
照射経路76は、熱処理対象面66の熱処理対象範囲Saを加熱可能な加熱用照射領域72の全域をレーザースポット74が通過するように設定される。照射経路76は、熱処理対象面66の熱処理対象範囲Saの全域を加熱するように設定されるともいえる。本実施形態の照射経路76は、加熱用照射領域72を周方向に沿って連続的にレーザースポット74が通過するように設定される。レーザースポット74の大きさは、加熱用照射領域72に周方向に向かって径方向での起伏があってもレーザースポット74内に加熱用照射領域72が収まるように設定される。また、本実施形態の照射ステップでは、照射経路76に沿ってレーザースポット74を進行させる過程で、レーザーヘッド64からレーザースポット74までの距離を維持したままレーザーヘッド64からレーザー62が照射される。
レーザースポット74を進行させるうえでは、レーザーヘッド64及び板状部材50の少なくとも一方を移動させながらレーザーヘッド64からレーザー62を照射する。板状部材50を移動させる場合、回転ステージ、チャック装置等のワーク移動装置によって板状部材50を移動させる。レーザーヘッド64を移動させる場合はヘッド駆動機構を用いてレーザーヘッド64を移動させる。本実施形態では、熱処理対象面66(ここでは外周面)の中心CL4周りにレーザーヘッド64又は板状部材50を回転させながらレーザーを照射している。これにより、前述のように、加熱用照射領域72を周方向に沿って連続的にレーザースポット74が通過するように照射経路76を設定できる。ここでの熱処理対象面66の中心CL4とは、板状部材50を軸方向Xから見た熱処理対象面66の幾何学中心をいう。板状部材50の外周面が熱処理対象面66となる場合、熱処理対象面66の中心CL4は板状部材50の中心CL3と合致する。板状部材50の内周面が熱処理対象面66となる場合、熱処理対象面66の中心CL4は、板状部材50の中心CL3と合致することもあれば、その中心CL3と合致しないこともある。
照射ステップでは、板状部材50の熱処理対象面66を焼入れ温度以上に加熱できるように、板状部材50の側面68Aにレーザー62を照射する。このような板状部材50の焼入れ温度以上への加熱は、前述のように照射経路76に沿ってレーザースポット74を進行させる過程で行われる。焼入れ温度は、その温度への加熱後に冷却することで焼入れできる温度であり、板状部材50の素材に応じて定まる温度となる。焼入れ温度は、例えば、亜共析鋼であればA3点としてよいし、過共析鋼であればAc1点としてよい。照射ステップにおける熱処理対象面66の加熱温度の上限値は特に限定されないが、現実的には、板状部材50の素材の融点が上限値となる。
板状部材50の熱処理対象面66において焼入れ温度以上に加熱された箇所は、照射ステップ中又は照射ステップ後に冷却することで焼入れする。この冷却方法として、本実施形態では、照射ステップ中に行われる板状部材50の自己冷却を利用している。焼入れのために板状部材50の熱処理対象面66を冷却するうえでは、マルテンサイト変態を生じさせることのできる冷却速度(例えば、下部臨界冷却速度以上の冷却速度)で冷却する。
以上のように、照射ステップにおいて板状部材50の熱処理対象面66が焼入れ温度以上に加熱されることで、その加熱部位の母材組織78がオーステナイト組織に変態する。母材組織78は、例えば、フェライト又はパーライトを含む組織である。この後、前述のように加熱された箇所が冷却されることで、マルテンサイト変態によりオーステナイト組織がマルテンサイト組織に変態することで焼入れされる。これにより、板状部材50の熱処理対象面66において焼入れ領域80が設けられる。焼入れ領域80のミクロ組織は、焼入れ前に熱処理対象面66に存在していた母材組織78よりも高硬度のマルテンサイト組織を主相とする。
本実施形態の照射ステップでは、熱処理対象面66の軸方向全長に亘って焼入れ温度以上に加熱されるようにレーザー62を照射する。これの実現を容易にするうえで、本実施形態の照射ステップは、次に説明する第1サブステップと第2サブステップとを有する。第1サブステップでは、図6(A)、図6(B)に示すように、板状部材50の軸方向一側(図中左側)にある第1軸方向側面68Aにレーザー62を照射する。第2サブステップでは、図7(A)、図7(B)に示すように、板状部材50の軸方向他側(図中右側)にある第2軸方向側面68Bにレーザー62を照射する。本実施形態では第1サブステップと第2サブステップは順々に行われる。各サブステップでは、熱処理対象面66に隣接する板状部材50の両側面68A、68Bのそれぞれに個別にレーザー62を照射することになる。
各サブステップでは、個別の側面68A、68Bにおける前述した加熱用照射領域72を含む領域にレーザー62を照射することで、その熱処理対象面66を加熱する。また、各サブステップでは、個別の側面68A、68Bに対応して定められた照射経路76に沿ってレーザースポット74を進行させることで熱処理対象面66を加熱する。
例えば、第1サブステップでは、板状部材50の第1軸方向側面68Aにおける加熱用照射領域72(ここでは外側周縁部)を含む領域にレーザー62を照射することで、熱処理対象面66を加熱する。また、第1サブステップでは、板状部材50の第1軸方向側面68Aにおいて定められた照射経路76に沿ってレーザースポット74を進行させることで熱処理対象面66を加熱する。第1サブステップを経ることで、熱処理対象面66において、板状部材50の第1軸方向側面68A側から連続する軸方向Xの一部の範囲が焼入れ温度以上に加熱される。この加熱箇所を冷却することにより、第1軸方向側面68A側から軸方向Xに向かって連続する範囲に焼入れ領域80を設けることができる。
また、第2サブステップでは、板状部材50の第2軸方向側面68Bにおける加熱用照射領域72(ここでは外側周縁部)を含む領域にレーザー62を照射することで、熱処理対象面66を加熱する。また、第2サブステップでは、板状部材50の第2軸方向側面68Bにおいて定められた照射経路76に沿ってレーザースポット74を進行させることで熱処理対象面66を加熱する。第2サブステップを経ることで、熱処理対象面66において、第1サブステップにおいて焼入れ温度以上に加熱されていなかった軸方向Xの残りの範囲が焼入れ温度以上に加熱される。この加熱箇所を冷却することにより、第2軸方向側面68B側から軸方向に向かって連続する範囲に焼入れ領域80を設けることができる。
以上の熱処理方法の効果を説明する。
(A1)照射ステップでは、板状部材50の熱処理対象面66ではなく、板状部材50の軸方向側面68Aにレーザー62を照射している。よって、板状部材50の外周面を熱処理対象面66として焼入れをするうえで、板状部材50に対して軸方向片側で、かつ、板状部材50の外接円70に対して内側へのレーザーヘッド64の配置を容易に許容できるようになる。つまり、従来のような、板状部材50と径方向に重なる位置の周辺とは異なる箇所へのレーザーヘッド64の配置を容易に許容できるようになる。
なお、この効果との関係で、板状部材50に対して軸方向片側で、かつ、板状部材50の外接円70に対して内側への位置にレーザーヘッド64を配置することそのものは必須ではない。この効果との関係で、図8に示すように、板状部材50の外接円70に対して外側、かつ、板状部材50と径方向に重ならない位置にレーザーヘッド64の全体を配置していてもよい。
(A2)レーザー62を用いて焼入れをする場合、肌焼き処理(浸炭処理)を用いる場合と比べ、熱処理時間の短縮、熱歪み量の軽減等の利点がある。また、レーザー62を用いて焼入れをする場合、肌焼き処理を用いる場合や高周波焼入れを用いる場合と比べ、複雑形状のワーク(歯車等)に対する部分焼入れの容易さ等の利点がある。また、肌焼き処理と比べて熱歪みの影響を抑えることができるため、熱歪みの除去のための後加工工程を不要にすることができる利点もある。この後加工工程は、例えば、前述の熱処理工程S12と仕上げ加工工程S14との間に行われる。
(B)照射ステップは、板状部材50の軸方向両側を個別に照射する二つのサブステップを有している。よって、板状部材50の軸方向片側のみからレーザーを照射する場合と比べ、熱処理対象面66における焼入れ領域80を軸方向Xに容易に広げることができる。
(C)照射ステップでは、熱処理対象面66の軸方向全長に亘って焼入れ温度以上に加熱されるようにレーザーを照射している。これにより、熱処理対象面66の軸方向の広範囲(例えば、軸方向全域)において焼入れ領域80を設けることができる。
(D)板状部材50の軸方向側面にレーザー62を照射することで熱処理される熱処理対象面66は、歯車(ここでは外歯歯車22)の歯面である。仮に、歯車の歯面にレーザー62を照射することで歯面を熱処理する場合を考える。この場合、歯車の歯面が周方向に向かって凹凸のある複雑形状であるため、レーザースポット74を周方向に移動させる過程で、レーザーヘッド64からレーザースポット74までの距離の変動に伴い、その歯面におけるレーザースポット74の形状が変動してしまう。このようなレーザースポット74の形状の変動は、エネルギー密度の変動による焼入れ品質の不均一化の原因となる。この対策としてオートフォーカス制御等の複雑な制御機構を要してしまう。
この点、本実施形態によれば、レーザーの照射箇所は板状部材50の熱処理対象面66となる歯面ではなく、周方向に向かって平坦な軸方向側面68Aとなる。よって、レーザースポット74を周方向に移動させる過程で、レーザーヘッド64からレーザースポット74までの距離を容易に維持することができる。ひいては、オートフォーカス制御等の複雑な制御機構を要することなく、レーザースポット74の形状を維持することで、安定して焼入れすることができる。
(E)照射ステップでは、レーザーヘッド64又は板状部材50を熱処理対象面66の中心CL4周りに回転させながらレーザーを照射する。よって、レーザーヘッド64の角度や径方向位置を変動させることなく、熱処理対象面66を周方向に連続的に加熱することができる。ひいては、熱処理対象面66を周方向に連続的に加熱するうえでレーザーヘッド64周りの機構(径方向での位置調整機構、角度調整機構等)を簡素化することができる。
(F)照射ステップでは、板状部材50に対して軸方向片側、かつ、板状部材50の外接円70に対して内側に配置されるレーザーヘッド64からレーザーを照射する。よって、照射ステップにおいて、外接円70に対して外側の位置(図8参照)にレーザーヘッド64を配置せずに済む。ひいては、レーザーヘッド64の径方向での配置スペースを小型化することができる。
なお、板状部材50の熱処理対象面66に軸方向の広範囲(好ましくは全域)に焼入れ領域80を設けるうえでは、板状部材50の軸方向寸法La(厚さ)は薄いほど好ましい。このような観点から、板状部材50の軸方向寸法Laは、例えば、5.0mm以下としてもよい。また、同様の目的を達成する観点からは、レーザーのエネルギー密度をできるだけ上げたり、板状部材50の素材に関して良好な焼入れ性を得ることのできる素材を用いるとよい。
また、最終製品としての板状部材50を得るための製造プロセスは、熱処理工程S12を経た板状部材50の残留応力の除去を目的として、低温焼きなまし等の焼きなまし工程を含んでいてもよい。この他にも、製造プロセスは、熱処理工程S12を経た板状部材50の残留オーステナイトの低減を目的として、サブゼロ処理、クライオ処理等の深冷処理工程を含んでもよい。
また、本実施形態のように熱処理対象面66の全周範囲を熱処理対象範囲Saとした場合、板状部材50の側面68Aに対するレーザーの照射により熱処理対象面66において焼入れ温度以上に加熱される範囲がオーバーラップする。この場合、自己冷却により焼入れすると、この加熱範囲のオーバーラップ箇所では、マルテンサイト組織を焼き戻すことで、焼入れ領域80よりも軟化した焼戻し領域が設けられる。熱処理対象範囲Saのうちの一部の周方向範囲に焼戻し領域が設けられ、他の周方向範囲に焼入れ領域80が設けられることになる。照射ステップでは、このように熱処理対象面66の全周範囲を熱処理対象範囲Saとする場合に限定されず、その一部の範囲を熱処理対象範囲Saとしてもよい。
また、第1実施形態では、第1サブステップでの熱処理対象面66において焼入れ温度以上に加熱される軸方向範囲と、第2サブステップでの熱処理対象面66において焼入れ温度以上に加熱される軸方向範囲とがオーバーラップせず、その軸方向範囲の全部が焼入れ領域80となる例を示す。この他にも、これらの軸方向範囲はオーバーラップさせてもよい。この場合、自己冷却により焼入れすると、この加熱される軸方向範囲のオーバーラップ箇所では前述の焼戻し領域が設けられる。
(第2実施形態)図9を参照する。本実施形態の熱処理方法は、第1実施形態と比べて、板状部材50の内周面を熱処理対象面66とする点において異なる。詳しくは、板状部材50の第1貫通孔56Aの内周面が熱処理対象面66となる。板状部材50の内周面を熱処理対象面66とする場合、照射ステップでは、板状部材50の内側周縁部を加熱用照射領域72としてレーザー62を照射する。また、レーザースポット74を進行させるうえでは、熱処理対象面66(ここでは内周面)の中心CL4周りにレーザーヘッド64又は板状部材50を回転させながらレーザーを照射する。この他の点においては第1実施形態と同様となるため、ここでの説明は省略する。たとえば、照射ステップでは、第1実施形態と同様に、板状部材50の側面68Aにおける照射経路76に沿ってレーザースポット74を進行させることで、板状部材50の熱処理対象面66を焼入れ温度以上に加熱する。
(G)本実施形態の熱処理方法では、板状部材50の軸方向側面68Aにレーザー62を照射することで熱処理される熱処理対象面66は板状部材50の貫通孔56Aの内周面である。よって、貫通孔56Aの内周面を熱処理するうえで、大スペースを確保し難い貫通孔56Aの内側にレーザーヘッド64を配置せずに済み、大型のレーザーヘッド64を利用することができる。
この他に、本実施形態の熱処理方法は、前述した(A1)、(A2)、(B)、(C)、(E)、(F)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
(第3実施形態)図10を参照する。本実施形態の熱処理方法は、第1実施形態と比べて、板状部材50の外周面及び内周面の両方を熱処理対象面66とする点において異なる。詳しくは、板状部材50の外周面と、板状部材50の第1貫通孔56Aの内周面とが熱処理対象面66となる。
本実施形態の照射ステップでは、板状部材50の外周面及び内周面の両方を同時に焼入れ温度以上に加熱するようにレーザー62を側面68Aに照射する。これを実現するうえで、板状部材50の側面68Aにおける外側周縁部及び内側周縁部の両方を加熱用照射領域72として、その両方に同時にレーザーを照射する。レーザーの照射経路76は、熱処理対象面66の二つの加熱用照射領域72(外側周縁部及び内側周縁部)の全域をレーザースポット74が通過するように設定される。これを実現するうえで、照射経路76は、加熱用照射領域72を周方向に沿って連続的にレーザースポット74が通過するように設定される。この他の点においては第1実施形態と同様となるため、ここでの説明は省略する。たとえば、照射ステップでは、第1実施形態と同様、板状部材50の側面68Aにおける照射経路76に沿ってレーザースポット74を進行させることで、板状部材50の熱処理対象面66(外周面及び内周面)を焼入れ温度以上に加熱する。
本実施形態の熱処理方法の照射ステップでは、板状部材50の外周面及び内周面の両方を同時に加熱するようにレーザーを側面68Aに照射している。よって、照射ステップにおいてレーザーの照射によって板状部材50の外周面及び内周面を個別に加熱する場合と比べ、照射ステップに要する作業時間を削減することができる。
この他に、本実施形態の熱処理方法は、前述した(A1)、(A2)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
本開示の熱処理方法が適用された板状部材50が用いられる動力伝達装置10の具体例は特に限定されない。この一例として動力伝達要素として歯車を用いる例を説明したが、動力伝達要素としてベルト、プーリ、トラクション等を用いてもよい。動力伝達装置10が歯車装置となる場合、歯車装置の具体例は特に限定されない。歯車装置は、例えば、遊星歯車装置、直交軸歯車装置、平行軸歯車装置、撓み噛み合い型歯車装置等のいずれでもよい。また、実施形態では、偏心揺動型歯車装置として内歯歯車の軸心上に偏心体軸26が配置されるセンタークランクタイプを例に説明した。この他にも、偏心揺動型歯車装置として、内歯歯車24の軸心からオフセットした位置に複数の偏心体軸26が配置される振り分けタイプでもよい。振り分けタイプの場合、外歯歯車22の中心からオフセットした位置に偏心体軸26が貫通する貫通孔が設けられ、当該貫通孔も熱処理対象面66としてもよい。また、撓み噛み合い型歯車装置の種類は特に限定されず、カップ型、シルクハット型、筒型等のいずれでもよい。
板状部材50の具体例は動力伝達装置10の構成部品に限定されない。また、板状部材50と接触部材52A、52B、52Cとの組み合わせも特に限定されない。また、動力伝達装置10が歯車装置となる場合、板状部材50の具体例は、例えば、入力軸12、ケーシング18、キャリヤ32A、32B、偏心体軸受30等の軸受の構成部品(例えば、外輪、内輪)等になってもよい。動力伝達装置10が歯車装置となる場合、偏心体38を入力軸12とは別体に形成し、当該偏心体38の外周面を熱処理対象面66としてもよい。また、板状部材50は、撓み噛み合い型歯車装置に用いられる、撓み変形を伴い他の歯車と噛み合う撓み歯車となってもよい。また、板状部材50の貫通孔56A、56Bの有無は問わない。
熱処理対象面66にレーザー62を用いて焼入れをするうえで、実施形態のように、照射ステップ中に板状部材50の自己冷却により焼入れしてもよいし、照射ステップ後に専用の冷却ステップを行うことで焼入れをしてもよい。専用の冷却ステップを行うことで焼入れをする場合、照射ステップ中での自己冷却によるマルテンサイト変態を回避する必要がある。これを実現するうえで、照射ステップでは、マルテンサイト変態を回避可能な目標温度以上の温度域に予め加熱した状態のまま、板状部材50の軸方向側面68Aにレーザー62を照射してもよい。目標温度は、焼入れ温度未満の温度となり、例えば、Ms点となる。目標温度以上の温度域に予め加熱するうえでは、照射ステップに先立って、ヒータ等の補助熱源を用いて板状部材50の全体を加熱してもよい。専用の冷却ステップでは、照射ステップにおいて板状部材50の熱処理対象面66の加熱が完了したところで、空冷、水冷、油冷等を用いて、目標温度未満の温度域まで熱処理対象面66の全体を冷却することで焼入れすればよい。これにより、レーザー62の照射箇所がオーバーラップしたとしても、そのオーバーラップ箇所でのマルテンサイト組織の焼戻しを避けることができ、焼戻し領域の発生(焼戻し軟化の発生)を抑制できる。
ここまで照射ステップは、板状部材50の軸方向両側からレーザー62を照射する第1、第2サブステップを有する例を説明した。照射ステップは、第1、第2サブステップの両方を必須とするものではなく、板状部材50の軸方向片側のみからレーザー62を照射することで実現してもよい。また、第1サブステップと第2サブステップは個別に行われる例を説明したが、同時に行われていてもよい。
照射ステップでは、熱処理対象面66の軸方向Xの一部に亘って焼入れ温度以上に加熱されるようにレーザーを照射してもよい。この他にも、照射ステップでは、板状部材50の軸方向片側のみからレーザー62を照射する場合も、板状部材50の熱処理対象面66の軸方向全長に亘って焼入れ温度以上に加熱されるようにレーザー62を照射してもよい。
(D)で説明した効果との関係では、外歯歯車22の歯面(外周面)を熱処理対象面66とする場合の他、内歯歯車24の歯面(内周面)を熱処理対象面66としてもよい。言い換えると、板状部材50は、外周面又は内周面のいずれかに歯面を有する歯車とし、その熱処理対象面66を歯面としてもよいともいえる。また、実施形態の例では板状部材50の第1貫通孔56Aの内周面を熱処理対象面66とする例を説明したが、第2貫通孔56Bの内周面を熱処理対象面66としてもよい。
板状部材50の外周面及び内周面の両方を熱処理対象面66とする場合、照射ステップでは、その外周面及び内周面を個別に加熱するように、レーザー62を側面68Aに照射してもよい。これは、例えば、図11のような照射経路76でレーザー62を照射する場合を想定している。図11では、レーザー62の光軸の通過箇所を進行方向と併せて矢印を付すことで照射経路76の一部を示す。この場合、照射経路76は、レーザースポット74の径方向での蛇行を伴い周方向に向かって進行することで、二つの加熱用照射領域72(外側周縁部及び内側周縁部)を断続的にレーザースポット74が通過するように設定される。この場合、複数の熱処理対象面66(外周面及び内周面)のそれぞれが一つの照射ステップで焼入れ温度以上に加熱される。この他にも、複数の熱処理対象面66毎に個別の照射ステップを行ってもよい。
また、板状部材50の外周面及び内周面の両方を熱処理対象面66とする場合、照射ステップでは、板状部材50の内周面近傍から外周面近傍にまで至る直線状のレーザー62を照射してもよい。この場合、当該直線状のレーザー62を周方向に移動させることで、熱処理対象面66となる板状部材50の外周面及び内周面の両方を同時に焼入れ温度以上に加熱できる。
照射ステップでは、レーザーヘッド64又は板状部材50のいずれかを径方向に移動させながらレーザーを照射してもよい。このとき、レーザーヘッド64又は板状部材50の前述の回転と径方向での移動とを組み合わせて移動させながらレーザーを照射してもよい。これにより、例えば、図11に示すように、レーザースポット74の径方向での蛇行を伴い周方向に向かって進行する照射経路76を設定できる。
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。例えば、実施形態に対して他の実施形態の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形形態に対して実施形態及び他の変形形態の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
50…板状部材、56A…貫通孔、62…レーザー、64…レーザーヘッド、66…熱処理対象面、68A…第1軸方向側面、68B…第2軸方向側面、70…外接円。

Claims (8)

  1. 板状部材の外周面又は内周面の少なくとも一方である熱処理対象面にレーザーを用いて焼入れをする熱処理方法であって、
    前記板状部材において前記熱処理対象面に隣接する軸方向側面にレーザーを照射する照射ステップを有する熱処理方法。
  2. 前記照射ステップは、前記板状部材の軸方向一側にある第1軸方向側面にレーザーを照射する第1サブステップと、前記板状部材の軸方向他側にある第2軸方向側面にレーザーを照射する第2サブステップとを有する請求項1に記載の熱処理方法。
  3. 前記照射ステップでは、前記熱処理対象面の軸方向全長に亘って焼入れ温度以上に加熱されるように前記レーザーを前記軸方向側面に照射する請求項1または2に記載の熱処理方法。
  4. 前記板状部材は、前記外周面または前記内周面のいずれかに歯面を有する歯車であり、
    前記熱処理対象面は、前記歯面である請求項1から3のいずれかに記載の熱処理方法。
  5. 前記板状部材は、前記板状部材を前記軸方向に貫通する貫通孔を有し、
    前記熱処理対象面は、前記貫通孔の内周面である請求項1から4のいずれかに記載の熱処理方法。
  6. 前記照射ステップでは、前記外周面及び前記内周面の両方を同時に焼入れ温度以上に加熱するように前記レーザーを前記軸方向側面に照射する請求項1から5のいずれか1項に記載の熱処理方法。
  7. 前記照射ステップでは、前記レーザーを照射するレーザーヘッド又は前記板状部材のいずれかを前記熱処理対象面の中心周りに回転させながら前記レーザーを前記軸方向側面に照射する請求項1から6のいずれか1項に記載の熱処理方法。
  8. 前記照射ステップでは、前記板状部材に対して軸方向片側、かつ、軸方向から見て前記板状部材に外接する外接円の内側に配置されるレーザーヘッドから前記レーザーを照射する請求項1から7のいずれかに記載の熱処理方法。
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