JP2022152013A - 減速装置及び熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示の目的の1つは、製造コストの削減を図ることができる技術を提供することにある。【解決手段】本開示の減速装置は、回転体であるクランク軸を備える偏心揺動型減速装置であって、回転体は、オイルシールが接触するシール部を備え、シール部にはレーザー焼入れにより高硬度領域が設けられ、回転体の外面部には前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域が設けられる。【選択図】図3

Description

本開示は、減速装置及び熱処理方法に関する。
特許文献1は、回転体であるクランク軸を備える減速装置を開示する。この回転体は、オイルシールが接触するシール部を備えている。
特開2013-124730号公報
回転体のシール部では、オイルシールの影響により高硬度化が要求される。これは、偏心揺動型減速装置に用いられるクランク軸に限らず、撓み噛み合い型減速装置に回転体として用いられる起振体においても共通する。このように回転体のシール部を高硬度化しつつ、製造コストの削減を図ることができる技術は未だ提案されていない。
本開示の目的の1つは、製造コストの削減を図ることができる技術を提供することにある。
本開示の減速装置は、回転体であるクランク軸を備える偏心揺動型減速装置であって、前記回転体は、オイルシールが接触するシール部を備え、前記シール部にはレーザー焼入れにより高硬度領域が設けられ、前記回転体の外面部には前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域が設けられる。
本開示の他の減速装置は、回転体である起振体軸を備える撓み噛み合い型減速装置であって、前記回転体は、オイルシールが接触するシール部を備え、前記シール部にはレーザー焼入れにより高硬度領域が設けられ、前記回転体の外面部には前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域が設けられる。
本開示の他の減速装置は、回転体であるクランク軸を備える偏心揺動型減速装置であって、前記回転体は、揺動歯車を揺動させる偏心部と、前記揺動歯車と前記偏心部との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、前記転動部及び前記シール部には高硬度領域が設けられ、前記回転体の外面部には、前記転動部と前記シール部の間に、前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域が設けられる。
本開示の他の減速装置は、回転体である起振体軸を備える撓み噛み合い型減速装置であって、前記回転体は、撓み歯車を撓み変形させる起振体と、前記撓み歯車と前記起振体との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、前記転動部及び前記シール部には高硬度領域が設けられ、前記回転体の外面部には、前記転動部と前記シール部の間に、前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域が設けられる。
本開示の他の減速装置は、回転体であるクランク軸を備える偏心揺動型減速装置であって、前記回転体は、揺動歯車を揺動させる偏心部と、前記揺動歯車と前記偏心部との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、前記転動部及び前記シール部のそれぞれには、高硬度領域と、前記高硬度領域よりも低硬度の線状の低硬度領域とが設けられ、前記転動部の前記低硬度領域は、前記転動部の全周範囲のなかで前記転動部への負荷の低い低負荷範囲内に設けられ、前記シール部の前記低硬度領域の周方向位置は、前記転動部の前記低硬度領域の周方向位置と揃えられている。
本開示の他の減速装置は、回転体である起振体軸を備える撓み噛み合い型減速装置であって、前記回転体は、撓み歯車を撓み変形させる起振体と、前記撓み歯車と前記起振体との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、前記転動部及び前記シール部のそれぞれには、高硬度領域と、前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域とが設けられ、前記転動部の前記低硬度領域は、前記転動部の全周範囲のなかで前記転動部への負荷の低い低負荷範囲内に設けられ、前記シール部の前記低硬度領域の周方向位置は、前記転動部の前記低硬度領域の周方向位置と揃えられている。
本開示の熱処理方法は、偏心揺動型減速装置のクランク軸である回転体の熱処理方法であって、前記回転体は、揺動歯車を揺動させる偏心部と、前記揺動歯車と前記揺動部との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが配置されるシール部と、を備え、前記熱処理方法は、レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、前記転動部を全周範囲で焼入れした後、前記レーザー光を照射済みの範囲の一部に対して前記レーザー光を再照射する第1工程と、前記レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、前記シール部を全周範囲で焼入れした後、前記レーザー光を照射済みの範囲の一部に対して前記レーザー光を再照射する第2工程と、を含み、前記第1工程での前記レーザー光の再照射箇所は、線状をなすとともに、前記転動部の全周範囲のなかで前記転動部への負荷の低い低負荷箇所に収まるように設定され、前記転動部における前記レーザー光の再照射箇所の周方向位置と、前記シール部における前記レーザー光の再照射箇所の周方向位置とは揃えられている。
本開示の熱処理方法は、撓み噛み合い型減速装置の起振体軸である回転体の熱処理方法であって、前記回転体は、撓み歯車を撓み変形させる起振体と、前記撓み歯車と前記起振体との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、前記熱処理方法は、レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、前記転動部を全周範囲で焼入れした後、前記レーザー光を照射済みの範囲の一部に対して前記レーザー光を再照射する第1工程と、前記レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、前記シール部を全周範囲で焼入れした後、前記レーザー光を照射済みの範囲の一部に対して前記レーザー光を再照射する第2工程と、を含み、前記第1工程での前記レーザー光の再照射箇所は、線状をなすとともに、前記転動部の全周範囲のなかで前記転動部への負荷の低い低負荷箇所に収まるように設定され、前記転動部における前記レーザー光の再照射箇所の周方向位置と、前記シール部における前記レーザー光の再照射箇所の周方向位置とは揃えられている。
本開示によれば、製造コストの削減を図ることができる。
第1実施形態の減速装置の側面断面図である。 第1実施形態のクランク軸を周辺構造とともに示す側面断面図である。 図3(a)は、図2のA-A断面図であり、図3(b)は、図2のB-B断面図であり、図3(c)は、図2のC-C断面図であり、図3(d)は、図2のD-D断面図である。 高硬度領域の深さとビッカース硬度との関係を示すグラフである。 参考形態の回転体を得るための製造プロセスを示すプロセス図である。 第1実施形態の回転体を得るための製造プロセスを示すプロセス図である。 図7(a)は、第1実施形態の第1工程の途中状態を示す模式図であり、図7(b)は、第1工程でレーザー光を再照射している状態を示す模式図であり、図7(c)は、第2工程の途中状態を示す模式図であり、図7(d)は、第2工程でレーザー光を再照射している状態を示す模式図である。 第2実施形態の減速装置の側面断面図である。 第2実施形態の起振体軸を周辺構造とともに示す側面断面図である。 図10(a)は、図9のE-E断面図であり、図10(b)は、図9のF-F断面図であり、図10(c)は、図9のG-G断面図である。
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
(第1実施形態)
図1を参照する。減速装置10は、回転体12であるクランク軸14を備える偏心揺動型減速装置10である。この減速装置10は、この他に、クランク軸14によって揺動する揺動歯車16と、クランク軸14と揺動歯車16との間に配置される歯車軸受18と、を備える。この減速装置10は、この他に、互いに噛み合うとともに一方が揺動歯車16となる外歯歯車20及び内歯歯車22と、揺動歯車16の外周側に配置されるケーシング24と、外歯歯車20に対して軸方向側方に設けられるキャリヤ26A、26Bと、を備える。減速装置10は、この他に、キャリヤ26A、26Bとクランク軸14との間に配置されるオイルシール28A、28Bと、キャリヤ26A、26Bとクランク軸14との間に配置される入力軸受30A、30Bと、を備える。本実施形態の減速装置10は、外歯歯車20が揺動歯車16となる外歯揺動タイプである。以下、回転体12の回転中心線CL1に沿った方向を軸方向Xとする。また、以下、便宜的に、軸方向Xの一方側(図1の右側)を入力側といい、他方側(図1の左側)を反入力側という。
クランク軸14は、駆動装置(不図示)から伝達される回転動力によって回転可能である。駆動装置は、例えば、モータ、ギヤモータ、エンジン等である。本実施形態の減速装置10は、内歯歯車22の中心軸線CL2と同軸上にクランク軸14が設けられるセンタークランクタイプである。
クランク軸14は、駆動装置から回転動力が伝達される軸部32と、軸部32と一体的に回転可能な複数の偏心部34A、34Bと、を備える。偏心部34A、34Bは、軸部32と同じ部材の一部として設けられる。
偏心部34A、34Bの外周面の形状は円形状をなす。偏心部34A、34Bの軸心CL3はクランク軸14の回転中心線CL1に対して偏心量eだけ偏心している。偏心部34A、34Bは、クランク軸14の回転中心線CL1周りに回転することで、揺動歯車16を揺動させることが可能である。複数の偏心部34A、34Bは、第1偏心部34Aと、第2偏心部34Bとを含む。隣り合う偏心部34A、34Bの最大偏心方向(後述する)の位相は、例えば、360°/(偏心部34A、34Bの個数)の分(本実施形態では180°)だけずれている。なお、偏心部34A、34Bの個数は特に限定されず、単数及び三つ以上の何れでもよい。
揺動歯車16は、クランク軸14の複数の偏心部34A、34Bのそれぞれに対応して個別に設けられ、歯車軸受18を介して対応する偏心部34A、34Bに支持される。
歯車軸受18は、複数の揺動歯車16及び複数の偏心部34A、34Bのそれぞれに対応して個別に設けられ、対応する揺動歯車16と偏心部34A、34Bとの間に配置される。歯車軸受18は、揺動歯車16とクランク軸14の偏心部34A、34Bとの間に配置される複数の転動体36と、複数の転動体36の相対位置を保持するリテーナ38と、を備える。本実施形態の転動体36はころである。歯車軸受18は、専用の内輪を備えていない。この代わりに、偏心部34A、34Bが内輪を兼ねており、クランク軸14は、転動体36が転動する転動部40A、40Bを備える。転動部40A、40Bは、偏心部34A、34Bの外周部によって構成される。転動部40A、40Bは、第1偏心部34Aの外周部によって構成される第1転動部40Aと、第2偏心部34Bの外周部によって構成される第2転動部40Bとを含む。歯車軸受18は専用の外輪を備えていない。この代わりに、揺動歯車16の貫通孔の内周面が外輪を兼ねている。
内歯歯車22は、ケーシング24と一体化される。ケーシング24は、揺動歯車16等の減速装置10の他の構成部品を収容する。
キャリヤ26A、26Bは、外歯歯車20に対して入力側に配置される入力側キャリヤ26Aと、外歯歯車20に対して反入力側に配置される反入力側キャリヤ26Bとを含む。キャリヤ26A、26Bは、外歯歯車20を貫通する内ピン42と一体化される。
オイルシール28A、28Bは、歯車軸受18に対して入力側に配置される入力側オイルシール28Aと、歯車軸受18に対して反入力側に配置される反入力側オイルシール28Bとを含む。入力側オイルシール28Aは、入力側キャリヤ26Aと回転体12との間に配置される。反入力側オイルシール28Bは、反入力側キャリヤ26Bと回転体12との間に配置される。
オイルシール28A、28Bは、外歯歯車20及び内歯歯車22が配置される封入空間44を封止する。封入空間44には、外歯歯車20及び内歯歯車22の潤滑に用いられる潤滑剤(不図示)が封入される。オイルシール28A、28Bは、キャリヤ26A、26B及び回転体12の一方に締まり嵌めにより取り付けられる嵌め合い部46と、キャリヤ26A、26B及び回転体12の他方に摺動するリップ部48と、を備える。本実施形態では、嵌め合い部46はキャリヤ26A、26Bに取り付けられ、リップ部48は回転体12を摺動する。
入力軸受30A、30Bは、歯車軸受18に対して入力側に配置される入力側入力軸受30Aと、歯車軸受18に対して反入力側に配置される反入力側入力軸受30Bとを含む。入力側入力軸受30Aは、入力側キャリヤ26Aと回転体12との間に配置される。反入力側入力軸受30Bは、反入力側キャリヤ26Bと回転体12との間に配置される。入力軸受30A、30Bは、玉軸受け等の転がり軸受である。入力軸受30A、30Bは、複数の転動体の他に、専用の外輪及び内輪を備えている。
被駆動装置に回転動力を出力する部材を出力部材とし、減速装置10を支持するために外部部材に固定される部材を被固定部材という。出力部材は、外歯歯車20及び内歯歯車22の一方の自転成分と同期して回転することで、その自転成分を被駆動装置に出力する。出力部材及び被固定部材の一方はキャリヤ26A、26Bであり、他方はケーシング24である。キャリヤ26A、26Bが出力部材となる場合、外歯歯車20が自転し、ケーシング24が出力部材となる場合、内歯歯車22が自転する。
以上の減速装置10の動作を説明する。駆動装置からクランク軸14に回転動力が伝達されると、クランク軸14が回転中心線CL1周りに回転し、その偏心部34A、34Bによって揺動歯車16が揺動する。揺動歯車16が揺動すると、外歯歯車20と内歯歯車22の噛合位置が順次に周方向にずれる。この結果、外歯歯車20及び内歯歯車22の一方が出力部材とともに自転する。クランク軸14の回転は、外歯歯車20と内歯歯車22に応じた減速比で減速されたうえで出力部材を介して被駆動装置に出力される。
図2を参照する。クランク軸14である回転体12は、前述の転動部40A、40Bの他に、オイルシール28A、28Bが接触するシール部60A、60Bと、入力軸受30A、30Bが配置される軸受配置部62A、62Bと、を備える。これらは回転体12の外周部に設けられる。
シール部60A、60Bは、入力側オイルシール28Aが接触する入力側シール部60Aと、反入力側オイルシール28Bが接触する反入力側シール部60Bとを含む。オイルシール28A、28Bのリップ部48が回転体12に摺動する場合、そのリップ部48の接触箇所(摺動箇所)がシール部60A、60Bとなる。これに対して、オイルシール28A、28Bの嵌め合い部46がクランク軸14に取り付けられる場合、その嵌め合い部46の接触箇所がシール部60A、60Bとなる。
軸受配置部62A、62Bは、入力側入力軸受30Aが配置される入力側軸受配置部62Aと、反入力側入力軸受30Bが配置される反入力側軸受配置部62Bとを含む。軸受配置部62A、62Bは、転動部40A、40Bとシール部60A、60Bとの間に設けられる外周中間部64に設けられる。
軸受配置部62A、62Bに対して軸方向外側にあるシール部60A、60Bと、その軸受配置部62A、62Bとの半径差は2mm以下である。入力側シール部60Aと入力側軸受配置部62Aとの半径差が2mm以下であり、反入力側シール部60Bと反入力側軸受配置部62Bとの半径差が2mm以下ということである。本実施形態では、これらの半径差は0となる。ここでの「半径差」とは、言及している二箇所の外径に関する半径の差分をいう。
回転体12は、この他に、回転体12の軸方向端部に開口するホロー部66と、回転体12の軸方向端部に設けられるボルト穴68と、チャック装置によりチャッキングするための被チャック部70と、を備える。
本実施形態のホロー部66は、クランク軸14を軸方向Xに貫通している。ボルト穴68には、駆動装置等の相手装置に連結するためのボルト(不図示)がねじ込まれる。ボルト穴68は、クランク軸14の軸方向端面に開口している。ボルト穴68は、入力側シール部60Aよりも入力側において入力側シール部60Aと径方向に重ならない位置に配置される。被チャック部70は、入力側シール部60Aよりも軸方向外側において回転体12の外周部に設けられる。
図2、図3(a)~図3(d)を参照する。これらの図では、後述する高硬度領域72にダブルハッチングを付し、第1低硬度領域74にシングルハッチングを付し、第2低硬度領域76にハッチングを付さずに示す。
回転体12の外面部には高硬度領域72が設けられる。高硬度領域72は、回転体12の外面部としてのシール部60A、60Bと転動部40A、40Bに設けられる。高硬度領域72は、回転体12のシール部60A、60B及び転動部40A、40Bのそれぞれにおいて、周方向に連続する範囲に設けられる。転動部40A、40Bの高硬度領域72は、転動体36の転動疲労に対する疲労強度の向上のために設けられる。シール部60A、60Bの高硬度領域72は、本実施形態のように、オイルシール28A、28Bのリップ部48がシール部60A、60Bに摺動する場合、その摺動による摩耗を防止するために設けられる。これに対して、シール部60A、60Bの高硬度領域72は、オイルシール28A、28Bの嵌め合い部46がシール部60A、60Bに取り付けられる場合、オイルシール28A、28Bの弾性復元力に抵抗できるようにするために設けられる。
回転体12の外面部には、高硬度領域72よりも低硬度の低硬度領域74、76が設けられる。ここでの外面部の硬度とは、JIS Z2244に準拠した方法により測定されるビッカース硬度のことをいう。この硬度は、言及している箇所の外面から深さ方向(法線方向)に所定の範囲(例えば、1.0mm)に関して、所定の単位深さ(例えば、0.1mm)毎に測定される全硬度の平均値をいう。外面部の高硬度領域72と低硬度領域74、76の硬度差は、例えば、ビッカース硬度で50[HV]以上となる。
低硬度領域74、76は、シール部60A、60B及び転動部40A、40Bに設けられる第1低硬度領域74と、シール部60A、60B及び転動部40A、40Bとは異なる箇所に設けられる第2低硬度領域76とを含む。
シール部60A、60Bの第1低硬度領域74は、シール部60A、60Bにおいて高硬度領域72以外の箇所に部分的に設けられる。シール部60A、60Bには高硬度領域72と第1低硬度領域74とが設けられることになる。
転動部40A、40Bの第1低硬度領域74は、転動部40A、40Bにおいて高硬度領域72以外の箇所に部分的に設けられる。転動部40A、40Bには高硬度領域72と第1低硬度領域74とが設けられることになる。
第2低硬度領域76は、例えば、回転体12の外周中間部64、軸方向端部、ホロー部66、被チャック部70のそれぞれに設けられる。外周中間部64の第2低硬度領域76は外周中間部64の全周に亘って連続する範囲に設けられる。外周中間部64の軸受配置部62A、62Bの全周に亘って連続する範囲に第2低硬度領域76が設けられるともいえる。軸方向端部、ホロー部66、被チャック部70に設けられる第2低硬度領域76も同様である。ボルト穴68は、回転体12の軸方向端部から深さ方向に連続する第2低硬度領域76に設けられる。
第1低硬度領域74は、高硬度領域72よりも低硬度であり、かつ、第2低硬度領域76よりも高硬度である。第1低硬度領域74は、回転体12の軸方向Xに延びる線状をなす。
高硬度領域72及び第1低硬度領域74は、被処理材に対して表面処理を施すことによって被処理材に設けられる表面処理領域78によって構成される。この表面処理として、本実施形態では、レーザー加熱が用いられる。高硬度領域72及び第1低硬度領域74は、被処理材に対する表面熱処理によって母材領域よりも硬化した領域であると捉えることができる。高硬度領域72は、このレーザー加熱による部分焼入れ、つまり、レーザー焼入れによって設けられる。よって、高硬度領域72のミクロ組織は、例えば、αマルテンサイト等の焼入れ組織を主相とする。また、第1低硬度領域74は、レーザー加熱による部分焼戻しによって設けられる。よって、第1低硬度領域74のミクロ組織は、例えば、トルースサイト、ソルバイト等の焼戻し組織を主相とする。第1低硬度領域74は、いわゆるソフトゾーンと呼ばれる領域であり、後述のレーザー光の再照射箇所に設けられる。
これに対して、第2低硬度領域76は、表面処理の対象となる被処理材の母材そのもの硬度を持つ母材領域80によって構成される。第2低硬度領域76のミクロ組織は、例えば、フェライトとパーライトの二相組織等の標準組織を主相とする。
図4は、高硬度領域72の表面からの深さとビッカース硬度との関係を示す。図4では、高硬度領域72の表面から深さ方向に向かった複数箇所で測定したビッカース硬度をプロットしている。ここでの深さ方向とは、高硬度領域72の表面に垂直な方向をいう。グラフ中の測定点に添えた数字は、表面側に隣り合う測定点からのビッカース硬度の変化量(以下、硬度変化量という)を示す。この硬度変化量は、深さ方向Paに対する0.1mm当たりのビッカース硬度の変化量を示す。
レーザー焼入れにより設けられる高硬度領域72は、表層領域82と硬度遷移領域84とによって構成される。表層領域82は、高硬度領域72の表面から連続し、硬度遷移領域84は、表層領域82から母材領域80(第2低硬度領域76)まで連続する。硬度遷移領域84は、深さ方向に向かって硬度が急激に減少する領域である。硬度遷移領域84は、深さ方向に向かって硬度変化量が0以上の値から負の値に切り替わる箇所から始まり、硬度変化量が少なくとも-60以下になる箇所を含んでいる。硬度遷移領域84の深さ方向での長さは、たとえば、0.3mm~0.8mmとなる。硬度変化量は、深さ方向に対する0.1mm当たりのビッカース硬度の変化量をいう。
表層領域82は、硬度遷移領域84ほど硬度が急激に減少しない領域である。表層領域82は、硬度変化量が0以上になる箇所を含むことを条件とする。また、表層領域82は、硬度変化量が負の値になる場合でも、硬度変化量が少なくとも-60超になる領域である。また、表層領域82は、ビッカース硬度に大きな増減がない領域でもある。この関係から、表層領域82は、例えば、ビッカース硬度の最大値と最小値の差分値が100以下となり、硬度変化量が-60超+60以下の範囲となる。
母材領域80は、硬度遷移領域84から深さ方向に向かって硬度変化量が負の値から0以上の値に切り替わる箇所から始まる。母材領域80では、深さ方向に向かって硬度が大きく増減しない。この関係から、母材領域80は、例えば、ビッカース硬度の最大値と最小値の差分値が50以下となり、硬度変化量が-50以上+50以下となる。
図3(b)、図3(c)を参照する。クランク軸14の回転中心線CL1から偏心部34A、34Bの軸心CL3に向かう方向を最大偏心方向Pa1といい、最大偏心方向Pa1とは回転中心線CL1から正反対に延びる方向を反最大偏心方向Pa2という。偏心部34A、34Bの軸心CL2とは、軸方向Xに直交する断面において、偏心部34A、34Bの外周面のなす形状の幾何中心(重心)をいう。偏心部34A、34Bの軸心CL2より最大偏心方向Pa1に延びる線を第1基準線La1といい、その軸心CL2より反最大偏心方向Pa2に延びる線を第2基準線La2という。
偏心部34A、34Bの転動部40A、40Bにおいて第1基準線La1から±90度の周方向範囲を高負荷範囲Sa1といい、第2基準線La2から±90度の周方向範囲を低負荷範囲Sa2という。転動部40A、40Bには、高負荷範囲Sa1において最大荷重が付加され、低負荷範囲Sa2においてはほとんど荷重が付加されない。低負荷範囲Sa2は、転動部40A、40Bの全周範囲のなかで転動部40A、40Bへの負荷の低い範囲であると捉えることができる。低負荷範囲Sa2において第2基準線La2から±30度の範囲Sa3には特に荷重が付加されない。
転動部40A、40Bの第1低硬度領域74は、低負荷範囲Sa2内に設けられる。転動部40A、40Bの第1低硬度領域74の全体は、低負荷範囲Sa2に収まるように設けられるということである。第1低硬度領域74は、低負荷範囲Sa2における範囲Sa3内に設けられる。第1高硬度領域72は、高負荷範囲Sa1の全体、かつ、低負荷範囲Sa2において第1低硬度領域74以外の箇所に設けられる。複数の転動部40A、40Bそれぞれの第1低硬度領域74は、個々の転動部40A、40Bに対応する低負荷範囲Sa2に設けられる。
シール部60A、60Bの第1低硬度領域74の周方向位置は、転動部40A、40Bの第1低硬度領域74の周方向位置と揃えられている。これを位置条件Aという。偏心揺動型減速装置において、シール部60A、60Bに関する周方向位置とは、回転体12の回転中心線CL1を中心とする円の周方向での位置をいう。また、転動部40A、40Bに関する周方向位置とは、転動部40A、40Bが設けられる偏心部34A、34Bの軸心CL2を中心とする円の周方向での位置をいう。回転体12の回転中心線CL1から見たシール部60A、60Bの第1低硬度領域74が存在する周方向範囲と、偏心部34A、34Bの軸心CL2から見た転動部40A、40Bの第1低硬度領域74が存在する周方向範囲とが揃えられているということである。ここでの「揃う」とは、シール部60A、60Bと転動部40A、40Bとで第1低硬度領域74の周方向位置が同じ場合の他に、ほぼ同じ場合も含まれる。つまり、「揃う」とは、各領域74の周方向位置(位相)が完全に一致している場合だけでなく、各領域74の一部同士が一致している場合も含む。
この位置条件Aは、複数の偏心部34A、34Bがある場合、いずれかの偏心部34A、34Bの転動部40A、40Bとシール部60A、60Bとの間で満たされていればよい。本実施形態では、位置条件Aは、第1偏心部34Aの第1転動部40Aと入力側シール部60Aとの間で満たされ、第2偏心部34Bの第2転動部40Bと反入力側シール部60Bとの間で満たされる。詳しくは、第1転動部40Aの第1低硬度領域74の周方向位置と、入力側シール部60Aの第1低硬度領域74の周方向位置とは同じであり、第2転動部40Bの第1低硬度領域74の周方向位置と反入力側シール部60Bの第1低硬度領域74の周方向位置とは同じである。この他にも、位置条件Aは、複数の偏心部34A、34Bのうちの一つの偏心部34A、34Bと、複数のシール部60A、60Bの両方との間で満たされてもよい。
以上の回転体12を得るための製造プロセスを説明する。図5を参照する。まず、参考形態の製造プロセスから説明する。この製造プロセスでは、まず、切削加工等の機械加工により回転体12の素材を加工することで回転体12の外形を形成する粗加工工程S10を行う。この後、浸炭焼入れ等によって回転体12全体を焼入れすることで表面熱処理を施す熱処理工程S12を行う。熱処理工程S12の後、熱歪みを除去するため、回転体12の焼入れ箇所の表面を研削する仕上げ加工工程S14を行う。また、熱処理工程S12の後、回転体12にボルト穴68を形成する穴加工工程S16を行う。
ここで、熱処理工程S12は、主に、高硬度を要求される箇所(シール部60A、60B、転動部40A、40B)の硬度を確保するために行われる。この熱処理工程S12で回転体12全体を焼入れすると、高硬度を要求される箇所以外の硬度まで大きくなってしまう。このため、仕上げ加工工程S14、穴加工工程S16では、本来的には高硬度を要求されない箇所(軸受配置部62A、62B、軸方向端部、ホロー部66等)について、高硬度の箇所を対象とする加工を要してしまう。
この対策となる本実施形態の製造プロセスを説明する。図6を参照する。この製造プロセスでは、参考形態と同様、回転体12の外形を形成する粗加工工程S20を行う。粗加工工程S20の後には、熱処理工程S26前に行う前加工工程を行う。この前加工工程には、熱処理予定箇所以外の箇所を対象として、回転体12の外面部を研削する仕上げ加工工程S22が含まれる。ここでの熱処理予定箇所以外の箇所とは、例えば、回転体12の外周中間部64、ホロー部66、被チャック部70をいう。また、この前加工工程には、前述した、回転体12の軸方向端部にボルト穴68を形成する穴加工工程S24が含まれる。
この後、熱処理予定箇所を対象として、回転体12の一部を部分焼入れする熱処理工程S26を行う。ここでの熱処理予定箇所とは、前述の通り、回転体12のシール部60A、60B及び転動部40A、40Bをいう。この詳細は後述する。
熱処理工程S26の後には、熱処理工程S26での熱処理箇所(回転体12のシール部60A、60B及び転動部40A、40B)を対象として、回転体12の表面を研削する仕上げ加工工程S28を行う。ここまで説明した仕上げ加工工程S22、S28は、目標とする表面粗さとなるように回転体12の表面を研削することで行われる。
前述の熱処理工程S26で用いられる熱処理方法を説明する。図7(a)~(d)を参照する。この熱処理方法は、熱処理装置90を用いて、レーザー光92を用いた表面熱処理をすることによって行われる。熱処理装置90は、回転体12にレーザー光92を照射するヘッド94と、回転体12をチャッキングした状態で回転体12を動かすことができるチャック装置(不図示)とを備える。
熱処理方法は、転動部40A、40Bを熱処理する第1工程と、シール部60A、60Bを熱処理する第2工程とを含む。第1工程と第2工程との先後関係は特に問わない。また、複数の転動部40A、40Bのそれぞれに関する第1工程と、複数のシール部60A、60Bのそれぞれに関する第2工程との先後関係も特に問わない。例えば、第1転動部40Aの第1工程→入力側シール部60Aの第2工程→第2転動部40Bの第1工程→反入力側シール部60Bの第2工程の順で行ってもよい。
第1工程、第2工程の何れにおいても、まず、回転体12の被チャック部70(図2参照)をチャック装置によってチャッキングする。このとき、回転体12の被チャック部70に径方向内側に向かう押圧力を付与することによって回転体12をチャッキングする。第1工程と第2工程とは同じチャッキングの状態を維持したまま行われる。
第1工程、第2工程の何れにおいても、ヘッド94から回転体12にレーザー光92を照射することで回転体12を熱処理する。このとき、レーザー光92の照射位置を周方向に変えることで、回転体12を熱処理する。これを実現するうえで、チャック装置によって回転体12を回転させてもよいし、ヘッド94を回転体12周りに回転させてもよい。第1工程では、転動部40A、40Bが設けられる偏心部34A、34Bの軸心CL2を中心として回転体12及びヘッド94の何れかを回転するように動かす(図7(a)参照)。第2工程では、回転体12の回転中心線CL1を中心として回転体12及びヘッド94の何れかを回転するように動かす(図7(c)参照)。これにより、レーザー光92の照射位置からヘッド94までの距離を一定にしたままレーザー光を照射できる。
第1工程では、レーザー光92の照射位置を周方向に変えることで、転動部40A、40Bを偏心部34A、34Bの全周範囲で焼入れした後、レーザー光92を照射済みの範囲の一部に対してレーザー光を再照射する。以上の一連の作業は1プロセスで行われる。回転体12に対するレーザー光92の照射位置を偏心部34A、34Bの周方向(偏心部34A、34Bの軸心CL2を中心とする円の円周方向)に相対移動させることで、1プロセスで熱処理する。このときのレーザー光の再照射箇所は、線状をなすとともに、転動部40A、40Bにおける前述の低負荷範囲Sa2に収まるように設定される。
第2工程では、レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、シール部60A、60Bを回転体12の全周範囲で焼入れした後、レーザー光を照射済みの範囲の一部に対してレーザー光を再照射する。このときのレーザー光の再照射箇所は、線状をなすように設定される。
第1工程、第2工程の何れにおいても、レーザー光の再照射箇所には、焼戻しによって、第1低硬度領域74が設けられる。これに対して、レーザー光の再照射箇所以外の照射箇所には、レーザー焼入れによって、高硬度領域72が設けられる。
第1工程での転動部40A、40Bにおけるレーザー光の再照射箇所の周方向位置と、第2工程でのシール部60A、60Bにおけるレーザー光の再照射箇所の周方向位置とは揃えられている。これを位置条件Bという。ここでの転動部40A、40Bに関する周方向位置とシール部60A、60Bに関する周方向位置の定義は前述と同様である。また、「揃う」の定義も前述と同様である。これにより、転動部40A、40Bの第1低硬度領域74とシール部60A、60Bの第1低硬度領域74との間で前述の位置条件Aを満たすことができる。この位置条件Bは、位置条件Aと同様、複数の偏心部34A、34Bがある場合、いずれかの偏心部34A、34Bの転動部40A、40Bとシール部60A、60Bとの間で満たされていればよい。本実施形態では、位置条件Bは、第1偏心部34Aの第1転動部40Aと入力側シール部60Aとの間で満たされ、第2偏心部34Bの第2転動部40Bと反入力側シール部60Bとの間で満たされる。
この利点を説明する。第1工程及び第2工程のうちの先行工程が終了してから、それらのうちの後続工程を開始するまでの流れを考える。先行工程が終了した時点でヘッド94があるべき位置を先行工程終了位置といい、後続工程を開始する時点でヘッド94があるべき位置を後続工程開始位置という。先行工程の終了後、後続工程を開始するまでの間に、ヘッド94及び回転体12の相対位置を先行工程終了位置から後続工程開始位置に変える必要がある。ここで、先行工程終了位置は、先行工程におけるレーザー光の再照射箇所に対して径方向外側となる(例えば、図7(b)参照)。また、後続工程開始位置は、後続工程におけるレーザー光の再照射箇所に対して径方向外側となる(例えば、図7(d)参照。前述のように、第1工程での再照射箇所と第2工程での再照射箇所との周方向位置が揃っていれば、それらの周方向位置が大きくずれている場合と比べ、先行工程から後続工程までの間でのヘッド94及び回転体12の周方向での相対移動量を大きく抑えることができる。ひいては、熱処理プロセスの作業時間を短縮でき、製造効率の向上により製造コストの削減を図ることができる。
このような効果との関係で、転動部40A、40Bの第1低硬度領域74とシール部60A、60Bの第1低硬度領域74のなす線の幅Waは、例えば、5mm以下であると好ましく、2mm以下であるとより好ましい。また、幅Waの下限としては、1mm以上であると好ましい。再照射箇所のなす線の幅Wbも同様の条件を満たすと好ましい。
以上の減速装置10の効果を説明する。
(A)回転体12のシール部60A、60Bには、レーザー焼入れにより高硬度領域72が設けられ、回転体12の外面部には第2低硬度領域76が設けられる。よって、レーザー焼入れによる熱処理後において、第2低硬度領域76に対する熱歪みを除去するための仕上げ加工を要さずに済む。ひいては、回転体12全体を焼入れする場合と比べ、高硬度領域72を対象とする仕上げ加工の範囲を減らすことができる。この結果、製造コストの削減を図ることができる。
(B)回転体12の第2低硬度領域76は、転動部40A、40Bとシール部60A、60Bとの間の外周中間部64に設けられる。このため、高硬度領域72において必要となる熱歪みを除去するための仕上げ加工を外周中間部64において不要とできる。ひいては、製造コストの削減を図ることができる。
(C)シール部60A、60Bの第1低硬度領域74の周方向位置は、転動部40A、40Bの第1低硬度領域74の周方向位置と揃られている。前述のように、先行工程から後続工程までの間でヘッド94及び回転体12の周方向での相対移動量を大きく抑えることができる。ひいては、製造コストの削減を図ることができる。
(D)外周中間部64の軸受配置部62A、62Bは第2低硬度領域76に設けられる。よって、高硬度領域72において必要となる熱歪みを除去するための仕上げ加工を軸受配置部62A、62Bにおいて不要とできる。
(E)回転体12に入力軸受30A、30Bを組み付ける場合、回転体12の軸方向外側から軸受配置部62A、62B側に向かって入力軸受30A、30Bを動かすことで軸受配置部62A、62Bに配置する。ここで、シール部60A、60Bと軸受配置部62A、62Bとの半径差は2mm以下である場合、このように入力軸受30A、30Bを動かすときに、入力軸受30A、30Bがシール部60A、60Bに当たることで打ち傷が生じる恐れがある。この点、本実施形態によれば、回転体12のシール部60A、60Bに高硬度領域72が設けられる。よって、入力軸受30A、30Bの組み込みに伴うシール部60A、60Bでの打ち傷の発生を抑制できる。特に、前述のような、高硬度領域72を対象とする仕上げ加工の範囲を減らしつつ、打ち傷の発生を抑制できる点で有利である。
(F)ホロー部66は、第2低硬度領域76に設けられる。よって、高硬度領域72において必要となる熱歪みを除去するための仕上げ加工をホロー部66において不要とできる。
(G)ボルト穴68は、第2低硬度領域76に設けられる。よって、高硬度領域72ではなく、第2低硬度領域76を対象としてボルト穴68を形成する穴加工をすることができる。このため、回転体12全体を焼入れする場合と比べ、ボルト穴68のために穴加工すべき箇所を加工し易い箇所(第2低硬度領域76)にすることができる。
(第2実施形態)図8を参照する。本実施形態の減速装置10は、回転体12である起振体軸100を備える撓み噛み合い型減速装置10である。撓み噛み合い型減速装置10は、この他に、起振体軸100によって撓み変形させられる撓み歯車102と、起振体軸100と撓み歯車102との間に配置される歯車軸受18と、を備える。減速装置10は、この他に、互いに噛み合うとともに一方が撓み歯車102となる外歯歯車20及び内歯歯車22A、22Bと、撓み歯車102の外周側に配置されるケーシング24と、外歯歯車20に対して軸方向側方に設けられるキャリヤ26A、26Bと、を備える。減速装置10は、この他に、キャリヤ26A、26Bと起振体軸100との間に配置されるオイルシール28A、28Bと、キャリヤ26A、26Bと起振体軸100との間に配置される入力軸受30A、30Bと、を備える。本実施形態の減速装置10は外歯歯車20が撓み歯車102となる。また、本実施形態の減速装置10は、複数の内歯歯車22A、22Bを用いた、筒型の撓み噛み合い型減速装置である。以下、回転体12(起振体軸100)の回転中心線CL1に沿った方向を軸方向Xとする。
起振体軸100は、駆動装置(不図示)から伝達される回転動力によって回転可能である。起振体軸100は、自らの回転により撓み歯車102を撓み変形させることができる程度の剛性を持つ。起振体軸100は、撓み歯車102を撓み変形させる起振体104と、起振体104に対して軸方向両側に設けられる軸部106と、を備える。起振体104の外周形状は、起振体軸100の軸方向に直交する断面において楕円状をなす。本明細書での「楕円」とは、幾何学的に厳密な楕円に限定されず、略楕円も含まれる。軸部106の外周形状は、起振体軸100の軸方向に直交する断面において円形状をなす。
撓み歯車102は、可撓性を持つ筒状部材である。撓み歯車102は、歯車軸受18を介して、起振体104に回転自在に支持される。
本実施形態の歯車軸受18は、複数の内歯歯車22A、22Bのそれぞれに対応しており、その対応する内歯歯車22A、22Bの内側に個別に配置される。歯車軸受18は、撓み歯車102と起振体軸100の起振体104との間に配置される複数の転動体36と、複数の転動体36の相対位置を保持するリテーナ38と、複数の転動体36の外周側に配置される可撓性を持つ外輪108と、を備える。本実施形態の転動体36はころである。歯車軸受18は、専用の内輪を備えていない。この代わりに、起振体104が内輪を兼ねており、起振体軸100は、転動体36が転動する転動部40Cを備える。転動部40Cは、起振体104の外周部によって構成される。外輪108は、撓み歯車102と同様、可撓性を持つ筒状部材であり、起振体104によって撓み変形させられる。
内歯歯車22A、22Bは、外歯歯車20の外周側に配置される。内歯歯車22A、22Bは、起振体軸100の回転に追従して変形しない程度の剛性を持つ。本実施形態の内歯歯車22A、22Bは、入力側に配置される入力側内歯歯車22Aと、反入力側に配置される反入力側内歯歯車22Bとを含む。
ケーシング24は、撓み歯車102等の減速装置10の他の構成部品を収容する。ケーシング24は、入力側内歯歯車22Aを兼ねる第1ケーシング部材110と、反入力側内歯歯車22Bの外周側に配置される第2ケーシング部材112とを含む。
キャリヤ26A、26Bは、外歯歯車20に対して軸方向入力側に配置される入力側キャリヤ26Aと、軸方向反入力側に配置される反入力側キャリヤ26Bとを含む。入力側キャリヤ26Aは入力側内歯歯車22Aと一体化される。反入力側キャリヤ26Bは反入力側内歯歯車22Bと一体化される。
オイルシール28A、28Bは、第1実施形態と同様、入力側オイルシール28Aと、反入力側オイルシール28Bとを含む。入力側オイルシール28Aは、入力側キャリヤ26Aと回転体12(起振体軸100の軸部106)との間に配置される。反入力側オイルシール28Bは、反入力側キャリヤ26Bと回転体12(起振体軸100の軸部106)との間に配置される。オイルシール28A、28Bの構成は第1実施形態と同様である。
入力軸受30A、30Bは、第1実施形態と同様、入力側入力軸受30Aと、反入力側入力軸受30Bとを含む。入力側入力軸受30Aは、入力側キャリヤ26Aと回転体12(起振体軸100の軸部106)との間に配置される。反入力側入力軸受30Bは、反入力側キャリヤ26Bと回転体12(起振体軸100の軸部106)との間に配置される。入力軸受30A、30Bの構成は第1実施形態と同様である。
出力部材は、外歯歯車20及び内歯歯車22A、22Bの一方(本実施形態では外歯歯車20)の自転成分と同期して回転することで、その自転成分を被駆動装置に出力する。出力部材及び被固定部材の一方は反入力側キャリヤ26Bであり、他方はケーシング24である。反入力側キャリヤ26Bが出力部材となる場合、外歯歯車20は反入力側内歯歯車22Bとともに自転し、ケーシング24が出力部材となる場合、外歯歯車20は入力側内歯歯車22Aとともに自転する。
以上の減速装置10の動作を説明する。駆動装置から起振体軸100に回転動力が伝達されると、起振体軸100が回転する。起振体軸100が回転すると、起振体軸100の起振体104の形状に合わせた楕円状をなすように撓み歯車102が撓み変形させられる。これにより、外歯歯車20と内歯歯車22の噛合位置が順次に周方向にずれる。この結果、外歯歯車20及び内歯歯車22A、22Bの一方(本実施形態では外歯歯車20)が出力部材とともに自転する。起振体軸100の回転は、外歯歯車20と内歯歯車22A、22Bに応じた減速比で減速されたうえで出力部材を介して被駆動装置に出力される。
図9を参照する。起振体軸100である回転体12は、第1実施形態と同様、前述の転動部40Cの他に、オイルシール28A、28Bが接触するシール部60A、60Bと、入力軸受30A、30Bが配置される軸受配置部62A、62Bとを備える。
シール部60A、60Bは、第1実施形態と同様、入力側シール部60Aと反入力側シール部60Bとを含む。軸受配置部62A、62Bは、第1実施形態と同様、入力側軸受配置部62Aと、反入力側軸受配置部62Bとを含む。軸受配置部62A、62Bは、転動部40Cとシール部60A、60Bとの間に設けられる外周中間部64に設けられる。
軸受配置部62A、62Bに対して軸方向外側にあるシール部60A、60Bと、その軸受配置部62A、62Bとの半径差は、第1実施形態と同様、2mm以下である。
回転体12は、この他に、第1実施形態と同様、ホロー部66と、ボルト穴68とを備える。ボルト穴68は、第1実施形態とは異なり、入力側シール部60Aと径方向に重なる位置に配置される。
図9、図10(a)~図10(c)を参照する。これらの図では、高硬度領域72にダブルハッチングを付し、第1低硬度領域74にシングルハッチングを付し、第2低硬度領域76にハッチングを付さずに示す。
回転体12の外面部には、第1実施形態と同様、高硬度領域72と低硬度領域74、76が設けられる。高硬度領域72は、第1実施形態と同様、回転体12の外面部としてのシール部60A、60Bと転動部40Cに設けられる。低硬度領域74、76は、第1実施形態と同様、シール部60A、60B及び転動部40Cに設けられる第1低硬度領域74と、シール部60A、60B及び転動部40Cとは異なる箇所に設けられる第2低硬度領域76とを含む。
シール部60A、60B及び転動部40Cの第1低硬度領域74の設けられ方は第1実施形態と同様である。第2低硬度領域76は、例えば、回転体12の外周中間部64、ホロー部66、軸方向端部のそれぞれに設けられる。
高硬度領域72、第1低硬度領域74、第2低硬度領域76の硬さや、これらを設けるための方法は第1実施形態と同様となる。例えば、高硬度領域72は、レーザー焼入れにより設けられるということである。
図10(b)を参照する。起振体軸100の回転中心線CL1から起振体104の長軸方向Daに沿って延びる線を第1基準線Lc1とし、その回転中心線CL1より短軸方向Dbに沿って延びる線を第2基準線Lc2とする。この長軸方向Daとは、起振体104の断面形状のなす楕円の長軸に沿った方向をいう。短軸方向Dbとは、起振体104の断面形状のなす楕円の短軸に沿った方向をいう。ここでの起振体104の断面形状とは、その回転中心線CL1に直交する断面での形状をいう。
起振体104の回転中心線CL1周りの範囲のうち、第1基準線Lc1から±45度の範囲を高負荷範囲Sb1といい、第2基準線Lc2から±45度の範囲を低負荷範囲Sb2という。起振体104には、高負荷範囲Sb1に最大荷重が付加され、低負荷範囲Sb2にはほとんど荷重が付与されない。低負荷範囲は、転動部40Cの全周範囲のなかで転動部40Cへの負荷の低い範囲であると捉えることができる。
転動部40Cの第1低硬度領域74は、低負荷範囲Sb2内に設けられる。転動部40Cの第1低硬度領域74の全体は、低負荷範囲Sb2に収まるように設けられるということである。高硬度領域72は、高負荷範囲Sb1の全体、かつ、低負荷範囲Sb2の第1低硬度領域74以外の箇所に設けられる。
シール部60A、60Bの第1低硬度領域74の周方向位置は、転動部40Cの第1低硬度領域74の周方向位置と揃えられている。撓み噛み合い型減速装置10において、シール部60A、60B及び転動部40Cに関する周方向位置とは、回転体12の回転中心線CL1を中心とする円の周方向での位置をいう。「揃う」の定義は第1実施形態と同様である。
以上の回転体12(起振体軸100)を得るための製造プロセスは、第1実施形態と同様となる。つまり、粗加工工程S20→前加工工程(仕上げ加工工程S22、穴加工工程S24)→熱処理工程S26→仕上げ加工工程S28の順を経ることで起振体軸100を得ることができる。
以上の回転体12(起振体軸100)を対象として行う熱処理工程S26で用いられる熱処理方法も第1実施形態と同様となる。つまり、この熱処理方法でも、転動部40Cを熱処理する第1工程と、シール部60A、60Bを熱処理する第2工程とを含む。
第1工程、第2工程の何れにおいても、回転体12の任意の箇所をチャック装置によってチャッキングした状態で行ってもよい。
第1工程では、第1実施形態と同様、レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、転動部40Cを起振体軸100の全周範囲で焼入れした後、レーザー光を照射済みの範囲の一部に対してレーザー光を再照射する。
第2工程では、第1実施形態と同様、レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、シール部60A、60Bを回転体12の全周範囲で焼入れした後、レーザー光を照射済みの範囲の一部に対してレーザー光を再照射する。
第1実施形態と同様、第1工程での転動部40Cにおけるレーザー光の再照射箇所の周方向位置と、第2工程でのシール部60A、60Bにおけるレーザー光の再照射箇所の周方向位置とは揃えられている。これにより、第1実施形態と同様、熱処理プロセスでの作業時間を短縮でき、製造効率の向上により製造コストの削減を図ることができる。
本実施形態の減速装置10も、前述の(A)~(G)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
各構成要素の他の変形形態を説明する。
偏心揺動型減速装置10は、内歯歯車22の中心軸線から径方向にオフセットした位置に複数のクランク軸14が配置される振り分けタイプでもよい。偏心揺動型減速装置10は、内歯歯車22が揺動歯車16となる内歯揺動タイプでもよい。
撓み噛み合い型減速装置10は内歯歯車22が撓み歯車102となってもよい。また、撓み噛み合い型減速装置10の種類は特に限られない。たとえば、内歯歯車が一つのカップ型又はシルクハット型の撓み噛み合い型減速装置でもよい。
(A)の効果を得るうえで、回転体12の転動部40A、40B、40Cに高硬度領域72を設けずともよい。この他にも、回転体12のシール部60A、60Bに第1低硬度領域74を設けなくともよい。この他にも、回転体12の転動部40A、40B、40Cとシール部60A、60Bとで第1低硬度領域74の周方向位置を揃えていなくともよい。
(B)の効果を得るうえで、回転体12の転動部40A、40B、40C及びシール部60A、60Bに第1低硬度領域74を設けずともよい。この他にも、回転体12の高硬度領域72はレーザー焼入れ以外の部分焼入れによって設けてもよい。ここでの部分焼入れとは、例えば、高周波焼入れ等の加熱炉外で行う焼入れの他、熱処理予定箇所以外を防炭処理等でマスキングした状態で加熱路内で行う焼入れも含まれる。また、(B)の効果を得るうえで、回転体12の外周中間部64には軸受配置部62A、62Bがなくともよい。
(C)の効果を得るうえで、回転体12の外周中間部64には、第2低硬度領域76に代えて、第1低硬度領域74及び高硬度領域72が設けられてもよい。この他にも、回転体12の高硬度領域72はレーザー焼入れ以外の部分焼入れによって設けてもよい。この他にも、(C)の効果を得るうえで、転動部40A、40B及びシール部60A、60Bの第1低硬度領域74は線状をなしていなくともよい。例えば、これらの第1低硬度領域74は、点状等をなしていてもよい。
シール部60A、60Bと軸受配置部62A、62Bとの半径差は2mm超であってもよい。
高硬度領域72は、シール部60A、60B、転動部40A、40B、40Cの他の箇所にも設けられてもよい。また、ホロー部66、ボルト穴68の少なくとも一つは高硬度領域72に設けられてもよい。
偏心揺動型減速装置、撓み噛み合い型減速装置の何れにおいても、回転体12は、ホロー部66、ボルト穴68を備えていなくともよい。また、これら減速装置の何れにおいても、ボルト穴68は、シール部60A、60Bと径方向に重なる位置に配置されてもよい。また、これら減速装置の何れにおいても、ボルト穴68は、シール部60A、60Bと径方向に重なる位置に配置されてもよい。
図6の製造プロセスにおいて、穴加工工程S24は、熱処理工程S26の前ではなく、熱処理工程S26の後に行ってもよい。この他にも、熱処理予定箇所以外の箇所を対象とする仕上げ加工工程S22は、熱処理工程S26の前ではなく、熱処理工程S26の後に行ってもよい。いずれの場合においても、高硬度を要求されない箇所(軸受配置部62A、62B、ホロー部66、軸方向端部等)について、高硬度の箇所を対象とする加工を不要とできる。
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
10…減速装置、12…回転体、14…クランク軸、16…揺動歯車、28A、28B…オイルシール、30A、30B…入力軸受、34A、34B…偏心部、36…転動体、40A、40B、40C…転動部、60A、60B…シール部、62A、62B…軸受配置部、66…ホロー部、68…ボルト穴、72…高硬度領域、74…第1低硬度領域、76…第2低硬度領域、100…起振体軸、102…撓み歯車、104…起振体。

Claims (13)

  1. 回転体であるクランク軸を備える偏心揺動型減速装置であって、
    前記回転体は、オイルシールが接触するシール部を備え、
    前記シール部にはレーザー焼入れにより高硬度領域が設けられ、
    前記回転体の外面部には前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域が設けられる減速装置。
  2. 回転体である起振体軸を備える撓み噛み合い型減速装置であって、
    前記回転体は、オイルシールが接触するシール部を備え、
    前記シール部にはレーザー焼入れにより高硬度領域が設けられ、
    前記回転体の外面部には前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域が設けられる減速装置。
  3. 回転体であるクランク軸を備える偏心揺動型減速装置であって、
    前記回転体は、揺動歯車を揺動させる偏心部と、前記揺動歯車と前記偏心部との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、
    前記転動部及び前記シール部には高硬度領域が設けられ、
    前記回転体の外面部には、前記転動部と前記シール部の間に、前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域が設けられる減速装置。
  4. 回転体である起振体軸を備える撓み噛み合い型減速装置であって、
    前記回転体は、撓み歯車を撓み変形させる起振体と、前記撓み歯車と前記起振体との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、
    前記転動部及び前記シール部には高硬度領域が設けられ、
    前記回転体の外面部には、前記転動部と前記シール部の間に、前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域が設けられる減速装置。
  5. 前記回転体は、入力軸受が配置される軸受配置部を備え、
    前記低硬度領域は、前記軸受配置部に設けられる請求項3または4に記載の減速装置。
  6. 前記軸受配置部に対して軸方向外側にある前記シール部と当該軸受配置部との半径差は2mm以下である請求項5に記載の減速装置。
  7. 回転体であるクランク軸を備える偏心揺動型減速装置であって、
    前記回転体は、揺動歯車を揺動させる偏心部と、前記揺動歯車と前記偏心部との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、
    前記転動部及び前記シール部のそれぞれには、高硬度領域と、前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域とが設けられ、
    前記転動部の前記低硬度領域は、前記転動部の全周範囲のなかで前記転動部への負荷の低い低負荷範囲内に設けられ、
    前記シール部の前記低硬度領域の周方向位置は、前記転動部の前記低硬度領域の周方向位置と揃えられている減速装置。
  8. 回転体である起振体軸を備える撓み噛み合い型減速装置であって、
    前記回転体は、撓み歯車を撓み変形させる起振体と、前記撓み歯車と前記起振体との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、
    前記転動部及び前記シール部のそれぞれには、高硬度領域と、前記高硬度領域よりも低硬度の低硬度領域とが設けられ、
    前記転動部の前記低硬度領域は、前記転動部の全周範囲のなかで前記転動部への負荷の低い低負荷範囲内に設けられ、
    前記シール部の前記低硬度領域の周方向位置は、前記転動部の前記低硬度領域の周方向位置と揃えられている減速装置。
  9. 前記回転体は、ホロー部を備え、
    前記ホロー部には、前記低硬度領域が設けられる請求項1から8のいずれかに記載の減速装置。
  10. 前記回転体は、前記回転体の軸方向端部に設けられるボルト穴を備え、
    前記ボルト穴は、前記低硬度領域に設けられる請求項1から9のいずれか1項に記載の減速装置。
  11. 前記ボルト穴は、前記シール部と径方向に重なる請求項10に記載の減速装置。
  12. 偏心揺動型減速装置のクランク軸である回転体の熱処理方法であって、
    前記回転体は、揺動歯車を揺動させる偏心部と、前記揺動歯車と前記偏心部との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが配置されるシール部と、を備え、
    前記熱処理方法は、
    レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、前記転動部を全周範囲で焼入れした後、前記レーザー光を照射済みの範囲の一部に対して前記レーザー光を再照射する第1工程と、
    前記レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、前記シール部を全周範囲で焼入れした後、前記レーザー光を照射済みの範囲の一部に対して前記レーザー光を再照射する第2工程と、を含み、
    前記第1工程での前記レーザー光の再照射箇所は、前記転動部の全周範囲のなかで前記転動部への負荷の低い低負荷範囲に収まるように設定され、
    前記転動部における前記レーザー光の再照射箇所の周方向位置と、前記シール部における前記レーザー光の再照射箇所の周方向位置とは揃えられている熱処理方法。
  13. 撓み噛み合い型減速装置の起振体軸である回転体の熱処理方法であって、
    前記回転体は、撓み歯車を撓み変形させる起振体と、前記撓み歯車と前記起振体との間に配置される転動体が転動する転動部と、オイルシールが接触するシール部と、を備え、
    前記熱処理方法は、
    レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、前記転動部を全周範囲で焼入れした後、前記レーザー光を照射済みの範囲の一部に対して前記レーザー光を再照射する第1工程と、
    前記レーザー光の照射位置を周方向に変えることで、前記シール部を全周範囲で焼入れした後、前記レーザー光を照射済みの範囲の一部に対して前記レーザー光を再照射する第2工程と、を含み、
    前記第1工程での前記レーザー光の再照射箇所は、前記転動部の全周範囲のなかで前記転動部への負荷の低い低負荷範囲に収まるように設定され、
    前記転動部における前記レーザー光の再照射箇所の周方向位置と、前記シール部における前記レーザー光の再照射箇所の周方向位置とは揃えられている熱処理方法。
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