JP2023015746A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】規制部材の高硬度化を図りつつ、熱歪みの発生箇所を削減できる技術を提供する。【解決手段】本開示の動力伝達装置は、回転軸50の回転によって運動する運動部材52A、52Bと、運動部材52A、52Bの軸方向Xの移動を規制する規制部材56と、を備え、規制部材56は、運動部材52A、52Bが摺動する高硬度領域60A、60Bと、高硬度領域60A、60Bよりも表面硬度の低い低硬度領域62と、を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、動力伝達装置に関する。
特許文献1は、入力軸の回転によって回転する外歯歯車と、外歯歯車を貫通するピンと、ピンの外周側に配置されるローラと、外歯歯車に対して軸方向側方に配置されるカバーとを備える動力伝達装置を開示する。特許文献1の動力伝達装置において、外歯歯車及びローラは、回転軸の回転によって運動する運動部材として機能し、カバーは、運動部材の軸方向の移動を規制する規制部材として機能している。
特開2006-183848号公報
特許文献1の動力伝達装置では、規制部材における運動部材の摺動箇所での摩耗が問題となる。この摩耗対策として、表面処理による高硬度化が有効となる。これを実現するうえで、規制部材の素材となるワークを全体焼入れしてしまうと、ワーク全体に熱歪みが生じてしまう。熱歪みは、表面処理後の追加工の原因となり得るため、その発生箇所はできるだけ削減することが望まれる。このような観点から工夫を講じた技術は未だ提案されていない。
本開示は、規制部材の高硬度化を図りつつ、熱歪みの発生箇所を削減できる技術を提供することにある。
本開示の動力伝達装置は、回転軸の回転によって運動する運動部材と、前記運動部材の軸方向の移動を規制する規制部材と、を備え、前記規制部材は、前記運動部材が摺動する高硬度領域と、前記高硬度領域よりも表面硬度の低い低硬度領域と、を備える動力伝達装置。
本開示によれば、規制部材の高硬度化を図りつつ、熱歪みの発生箇所を削減することができる。
第1実施形態の動力伝達装置の側面断面図である。 図1の一部の拡大図である。 第1実施形態の規制部材を軸方向から見た図である。 第1実施形態の運動部材と規制部材の高硬度領域との位置関係を示す図である。 第1実施形態の高硬度領域の表面からの深さとビッカース硬度との関係を示すグラフである。 第2実施形態の動力伝達装置の一部を示す側面断面図である。 第2実施形態の規制部材を軸方向から見た図である。 第2実施形態の運動部材と規制部材の高硬度領域との位置関係を示す図である。 第3実施形態の動力伝達装置の一部を示す側面断面図である。 第4実施形態の動力伝達装置を示す側面断面図である。 図10の一部の拡大図である。 図11の範囲Scを軸方向から見た図である。
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書では、共通する複数の構成要素(例えば、運動部材、高硬度領域等)を区別するときは、符号の末尾に「A、B、C」を付し、区別せずに総称するときはこれを省略する。
(第1の実施の形態)図1を参照する。動力伝達装置10は、入力軸12と、入力軸12の回転を伝達する歯車機構14と、歯車機構14から取り出した出力回転を被動機械に出力する出力部材16と、歯車機構14を収容するケーシング18と、を備える。
本実施形態の歯車機構14は、偏心揺動型減速機構である。この歯車機構14は、互いに噛み合うとともに一方が揺動歯車20となる外歯歯車22A、22B及び内歯歯車24Aを備える。この歯車機構14は、揺動歯車20を揺動させることで外歯歯車22A、22B及び内歯歯車24Aの何れか一方を自転させ、その自転成分を出力回転として出力部材16から取り出し可能である。
本実施形態の動力伝達装置10は、この他に、外歯歯車22A、22Bに対して軸方向一方側(図中右側。以下、入力側という)に配置されるカバー26と、外歯歯車22A、22Bに対して軸方向他方側(図中左側。以下、反入力側という)に配置されるキャリヤ28と、キャリヤ28と一体化される複数のピン30と、複数のピン30それぞれの外周側に配置される複数のローラ32と、を備える。本実施形態では外歯歯車22A、22Bが揺動歯車20となり、揺動歯車20の揺動により外歯歯車22A、22Bが自転し、キャリヤ28が出力部材16となる。
入力軸12は、駆動源(不図示)から伝達される回転動力によって回転可能である。駆動源は、例えば、モータ、ギヤモータ、エンジン等である。
入力軸12は、複数の偏心体34を有するクランク軸である。偏心体34は、入力軸12の回転中心線CL1に対して偏心する軸心CL2を持ち、その回転中心線CL1周りに回転することで揺動歯車20(外歯歯車22A、22B)を揺動させることができる。複数の偏心体34は互いに異なる偏心位相を持つ。複数の偏心体34の偏心位相は、偏心体34の個数をM個(本実施形態では2個)とするとき、(360°/M)の分だけずれている。なお、偏心体34の個数は特に限定されず、単数及び三つ以上の何れでもよい。
揺動歯車20は、複数の偏心体34のそれそれに対応して個別に設けられ、偏心体軸受36を介して対応する偏心体34に回転自在に支持される。揺動歯車20となる外歯歯車22A、22Bは、入力側に設けられる第1外歯歯車22Aと、反入力側に設けられる第2外歯歯車22Bとを含む。
本実施形態の内歯歯車24Aは、ケーシング18と一体化されている。ケーシング18とキャリヤ28との間には主軸受38が配置される
カバー26は、外歯歯車22A、22Bを軸方向Xの側方から覆っている。カバー26は、ねじ部材を用いてケーシング18と連結されており、ケーシング18と一体化されている。カバー26とキャリヤ28は、ピン30を介して連結されておらず、互いに相対回転可能である。
複数のピン30は、キャリヤ28から軸方向Xに突き出ており、キャリヤ28と一体化される。本実施形態のピン30は、キャリヤ28と同じ部材の一部として構成されるが、キャリヤ28とは別体に構成されてもよい。複数のピン30は、キャリヤ28によって片持ち支持されている。複数のピン30は、外歯歯車22A、22Bの軸心CL3から径方向にオフセットした位置において、その軸心CL3周りに間隔を空けて設けられる。複数のピン30は、外歯歯車22A、22Bに形成される挿通孔40を軸方向Xに貫通している。
複数のピン30は、外歯歯車22A、22Bが揺動するとき、外歯歯車22A、22Bの自転成分と同期可能である。ここでの「自転成分と同期」とは、ゼロを含めた範囲内で、外歯歯車22A、22Bの自転成分と、ピン30の公転成分とを同じ大きさに維持することをいう。本実施形態のようにキャリヤ28が出力部材16となる場合、複数のピン30は、外歯歯車22A、22Bの自転成分(正値)と同じ大きさの公転成分を持って公転することで、外歯歯車22A、22Bの自転成分と同期する。これに対して、ケーシング18が出力部材16となる場合、複数のピン30は、外歯歯車22A、22Bの自転成分(ゼロ値)と同じく、自身の公転成分をゼロの状態に維持することで、外歯歯車22A、22Bの自転成分と同期する。
複数のローラ32は、ピン30に回転自在に支持される筒状部材である。ローラ32は、外歯歯車22A、22Bの挿通孔40とピン30の双方に転がり接触可能することで、これらの間での摩擦抵抗を軽減する役割を持つ。複数のローラ32は、ピン30と同様、外歯歯車22A、22Bの挿通孔40を貫通している。複数のローラ32は、本実施形態では、ピン30と同様、外歯歯車22A、22Bの自転成分と同期可能である。
以上の動力伝達装置10の動作を説明する。駆動源によって入力軸12が回転すると歯車機構14が作動する。歯車機構14が作動すると、入力軸12の回転に対して変速(ここでは減速)された出力回転が、歯車機構14から出力部材16を通して取り出され、被動機械に出力される。
本実施形態では、入力軸12を構成するクランク軸の偏心体34によって揺動歯車20が揺動する。揺動歯車20が揺動すると、外歯歯車22A、22Bと内歯歯車24Aの噛合位置が周方向に変化する。この結果、外歯歯車22A、22Bと内歯歯車24Aの何れか一方が自転し、その自転成分が出力回転として出力部材16から取り出される。
図2を参照する。ここで、本実施形態の動力伝達装置10は、動力伝達装置10の作動時に回転する回転軸50と、回転軸50の回転によって運動する運動部材52A、52Bと、運動部材52A、52Bに対して軸方向Xの側方に配置される側方部材54と、運動部材52A、52Bの軸方向Xの移動を規制する規制部材56と、を備える。
回転軸50は、入力軸12から出力部材16に至る動力伝達経路上に設けられる。本実施形態の回転軸50は入力軸12である。回転軸50は、この他にも、動力伝達経路において入力軸12よりも出力側に設けられる中間軸でもよい。本明細書では、回転軸50の回転中心線に沿った方向を軸方向Xという。
本実施形態の運動部材52A、52Bは、ローラ32である複数の第1運動部材52Aと、第1外歯歯車22Aである第2運動部材52Bとを含む。第1運動部材52A(ローラ)は、回転軸50の回転によって、自身の軸心CL4とは別の箇所にある回転中心線(本実施形態では回転軸50の回転中心線CL1)周りを公転する。第2運動部材52B(第1外歯歯車22A)は、回転軸50の回転によって、自身の軸心CL3周りを自転する。このように、本実施形態の運動部材52A、52Bは、回転軸50の回転によって、自転又は公転することで運動する。
本実施形態の側方部材54は、前述のカバー26である。側方部材54と回転軸50との間には側方部材54によって支持される軸受58が配置される。軸受58は、玉軸受等の転がり軸受であり、回転軸50を回転可能に支持している。
規制部材56は、クロムモリブデン鋼鋼材(JISでいうSCM材)等の鋼材、つまり、金属を素材とする。規制部材56は、運動部材52A、52Bに対して軸方向Xの側方に配置される。規制部材56は、運動部材52A、52Bと軸方向Xに対向する側部56aに設けられる平坦面56bを備える。平坦面56bは、回転軸50の軸方向Xに直交する面と平行である。規制部材56は、運動部材52A、52Bが当接することで、規制部材56側への運動部材52A、52Bの軸方向Xの移動を規制する。このとき、運動部材52A、52Bは、規制部材56の側部56aの平坦面56bに当接する。
本実施形態の規制部材56は、側方部材54とは別体に設けられ、リング状をなす。この規制部材56は、その外周側に配置される筒状部材としてのケーシング18の内周部に嵌め込まれる。この規制部材56は、側方部材54と運動部材52A、52Bとに挟まれることによって軸方向Xでの移動が規制される。この規制部材56は、側方部材54及び運動部材52A、52Bに対して周方向に相対回転可能に設けられる。つまり、本実施形態の規制部材56は、側方部材54とは一体ではない。
図2、図3を参照する。動力伝達装置10の作動時、運動部材52A、52B及び規制部材56が相対運動することで、規制部材56の側部56aに対して運動部材52A、52Bが摺動する。ここでは、規制部材56に対して複数の第1運動部材52A(ローラ32)が摺動する第1摺動範囲Raと、規制部材56に対して第2運動部材52B(第1外歯歯車22A)が摺動する第2摺動範囲Rbとを示す。
第1運動部材52A(ローラ32)は、その軸方向Xの側面が当接することによって、第1摺動範囲Raを摺動する。第2運動部材52B(第1外歯歯車22A)は、その軸方向Xの側面が当接することによって、第2摺動範囲Rbを摺動する。本実施形態において、第1摺動範囲Raと第2摺動範囲Rbとは部分的に重なっている。また、本実施形態において、第1摺動範囲Raは、規制部材56の平坦面56bの一部となり、第2摺動範囲Rbは、その平坦面56bの全域となる。第1摺動範囲Ra及び第2摺動範囲Rbのそれぞれは環状に連続する。複数の第1運動部材52Aは間隔を空けて配置されるものの、複数の第1運動部材52Aが回転(公転)することで第1運動部材52A及び規制部材56が相対回転するため、第1摺動範囲Raは環状に連続する。
図2~図4を参照する。図4は、第1運動部材52A(ローラ32)及び第2運動部材52B(第1外歯歯車22A)の軸方向Xの側面と、規制部材56の高硬度領域60A、60Bとを、軸方向Xに投影した図である。規制部材56は、高硬度領域60A、60Bと、高硬度領域60A、60Bよりも表面硬度の低い低硬度領域62とを備える。図2、図3では、高硬度領域60A、60Bにダブルハッチングを付す。図2では、低硬度領域62にシングルハッチングを付し、図3では、低硬度領域62にハッチングを付さない。
高硬度領域60A、60B及び低硬度領域62のそれぞれは規制部材56の外面部に設けられる。ここでの表面硬度とは、JIS Z2244に準拠した方法により測定されるビッカース硬度のことをいう。この表面硬度は、言及している箇所の外面から深さ方向(法線方向)に所定の範囲(例えば、1.0mm)に関して、所定の単位深さ(例えば、0.1mm)毎に測定される全硬度の平均値をいう。高硬度領域60A、60Bと低硬度領域62の硬度差は、例えば、ビッカース硬度で50[HV]以上となる。なお、運動部材52A、52Bの表面硬度は、強度を確保するため、規制部材56の低硬度領域62よりも高くなっている。
高硬度領域60A、60Bは、運動部材52A、52Bの軸方向Xの移動を規制するために運動部材52A、52Bの当接する箇所に設けられる。高硬度領域60A、60Bは、動力伝達装置10の作動時に運動部材52A、52B及び規制部材56が相対運動したとき、運動部材52A、52Bが摺動する箇所に設けられる。高硬度領域60A、60Bは、運動部材52A、52Bの摺動に対する耐摩耗性の確保のために設けられる。
高硬度領域60A、60Bは、第1運動部材52Aが摺動する第1高硬度領域60Aと、第2運動部材52Bが摺動する第2高硬度領域60Bとを含む。本実施形態では第1高硬度領域60Aが第2高硬度領域60Bを兼ねており、これらが一体となって規制部材56の平坦面56bに設けられている。各高硬度領域60A、60Bは、環状に連続している。これにより、複数の第1運動部材52A(ローラ32)及び規制部材56が相対回転したとき、規制部材56の高硬度領域60A、60Bに対して第1運動部材52Aを常に摺動させることができる。第2運動部材52B(第1外歯歯車22A)及び規制部材56が相対回転したときも同様である。
低硬度領域62は、規制部材56の高硬度領域60A、60B以外の箇所に部分的に設けられる。本実施形態では、規制部材56の側部56aにおける高硬度領域60A、60B以外の箇所と、規制部材56における側部56a以外の箇所の全体に低硬度領域62が設けられる。規制部材56の側部56aに設けられる低硬度領域62は、高硬度領域60A、60Bと同様に環状に連続している。
本実施形態の高硬度領域60A、60B及び低硬度領域62は、規制部材56の側部56aにおいて共通の平坦面56bに設けられる。これらは、規制部材56の平坦面56bにおいて段差なく連続する平滑な箇所に設けられることになる。
第1高硬度領域60Aは、第1運動部材52A(ローラ)の摺動する第1摺動範囲Raの一部に設けられる。第1運動部材52Aは、規制部材56の側部56aにおいて、第1高硬度領域60A及び低硬度領域62の両方に摺動することになる。環状に連続する第1高硬度領域60Aの径方向寸法は、環状に連続する第1摺動範囲Raの径方向寸法よりも小さくなる。ここでの径方向寸法とは、規制部材56の軸心CL5を円中心とする円の半径方向での寸法をいう。
第2高硬度領域60Bは、第2運動部材52B(第1外歯歯車22A)の摺動する第2摺動範囲Rbの一部に設けられる。第2運動部材52Bは、規制部材56の側部56aにおいて、第2高硬度領域60B及び低硬度領域62の両方に摺動することになる。環状に連続する第2高硬度領域60Bの径方向寸法は、環状に連続する第2摺動範囲Rbの径方向寸法よりも小さくなる。
以上の高硬度領域60A、60B及び低硬度領域62を備える規制部材56は、規制部材56の素材となるワークを表面処理することによって得ることができる。このワークは、切削加工、鋳造加工等によって規制部材56の製品形状に加工された加工品が用いられる。
高硬度領域60A、60Bは、規制部材56のワークを部分焼入れすることによって設けられる表面処理領域によって構成される。ここでは、部分焼入れとしてレーザー焼入れが用いられる。本実施形態の高硬度領域60A、60Bは、部分焼入れ後に無加工のままの状態で用いられる。また、低硬度領域62は、ワークの母材そのものの硬度を持つ母材領域によって構成される。このように設けられる高硬度領域60A、60Bのミクロ組織は、例えば、αマルテンサイト等の焼入れ組織を主相とする。また、低硬度領域62のミクロ組織は、例えば、フェライトとパーライトの二相組織等の標準組織を主相とする。
図5を参照する。図5では、高硬度領域60A、60Bの表面から深さ方向に向かった複数箇所で測定したビッカース硬度をプロットしている。ここでの深さ方向とは、高硬度領域60A、60Bの表面に垂直な方向をいう。グラフ中の測定点に添えた数字は、表面側に隣り合う測定点からのビッカース硬度の変化量(以下、硬度変化量という)を示す。この硬度変化量は、深さ方向Paに対する0.1mm当たりのビッカース硬度の変化量を示す。
レーザー焼入れにより設けられる高硬度領域60A、60Bは、表層領域70と硬度遷移領域72とによって構成される。表層領域70は、高硬度領域60A、60Bの表面から連続しており、ビッカース硬度が急激に減少せず、かつ、ビッカース硬度に大きな増減がない領域である。この関係から、表層領域70は、硬度変化量が0以上になる箇所を含み、かつ、少なくとも-60超になることを条件とする。また、表層領域70は、例えば、ビッカース硬度の最大値と最小値の差分値が100以下となり、硬度変化量が-60超+60以下の範囲となる。
硬度遷移領域72は、表層領域70から母材領域74まで連続しており、深さ方向に向かって硬度が急激に減少する領域である。この関係から、硬度遷移領域72は、深さ方向に向かって硬度変化量が0以上の値から負の値に切り替わる箇所から始まり、硬度変化量が少なくとも-60以下になる箇所を含んでいる。硬度遷移領域72の深さ方向での長さは、たとえば、0.3mm~0.8mmとなる。
母材領域74は、硬度遷移領域72から深さ方向に向かって硬度変化量が負の値から0以上の値に切り替わる箇所から始まり、深さ方向に向かって硬度が大きく増減しない領域である。この関係から、母材領域74は、例えば、ビッカース硬度の最大値と最小値の差分値が50以下となり、硬度変化量が-50以上+50以下となる。
以上の規制部材56を得るための製造プロセスを説明する。まず、規制部材56の製品形状を持つワークを形成する粗加工を行う。粗加工の後には、高い形状精度を要求される所定の箇所を対象として、規制部材56のワークの外面部を研削する仕上げ加工を行う。ここでの所定の箇所とは、本実施形態では、規制部材56の外周部となる箇所となる。ここは、ケーシング18の内周部に嵌め込むために高い形状精度が必要となるためである。この仕上げ加工は、所定の箇所における表面粗さが目標とする表面粗さ以下となるように行う。この後、規制部材56の高硬度領域60A、60Bとなる箇所を対象として、規制部材56のワークを部分焼入れする熱処理を行う。
以上の動力伝達装置10の効果を説明する。
(A)規制部材56は、運動部材52A、52Bが摺動する高硬度領域60A、60Bの他に、低硬度領域62を備える。このような規制部材56は、規制部材56のワークを部分焼入れすることで得ることができる。よって、規制部材56のワークを全体焼入れする場合と比べて、低硬度領域62では熱歪みを生じさせずに済む。ひいては、規制部材56を高硬度化するうえで、熱歪みの発生箇所を削減できる。
仮に、ワークに全体焼入れをした場合、本来的に高硬度を要求されないものの、高い形状精度を要求される箇所(本実施形態では規制部材56の外周部)では、熱歪みの程度によっては、熱歪みの除去のための追加工を要してしまう。このような高い形状精度を要求される箇所を低硬度領域62とすることで、そのような高硬度化した箇所を対象とする追加工を不要にできる。なお、熱歪みの発生箇所を削減するという目的を果たすうえで、高い形状精度を要求される箇所は、規制部材56に存在していなくともよい。
(B)規制部材56の高硬度領域60A、60B及び低硬度領域62は規制部材56の側部56aに設けられる。よって、規制部材56のワークを部分焼入れするうえで、その側部56aにおける低硬度領域62では熱歪みを生じさせずに済む。ひいては、規制部材56のワークの側部56aとなる箇所全体を焼入れする場合と比べ、側部56aにおける熱歪みの発生箇所を削減できる。
(C)他の実施形態として、運動部材52A、52B側に突き出る凸部を規制部材56の側部56aに設け、その凸部によって運動部材52A、52Bの軸方向Xの移動を規制する構造が想定される。この構造の場合、規制部材56の側部56aに凸部を設けるため、その構造が複雑化する。この点、本実施形態によれば、規制部材56の高硬度領域60A、60B及び低硬度領域62は、その側部56aにおいて共通の平坦面56bに設けられる。よって、前述の凸部を設けた構造と比べて単純な構造によって、運動部材52A、52Bの軸方向Xの移動を規制できる。ひいては、規制部材56に要する部品コストの低減を図ることができる。
(D)第1運動部材52Aは、第1高硬度領域60A及び低硬度領域62の両方に摺動する。よって、規制部材56において第1運動部材52Aの摺動する第1摺動範囲Raの全域に第1高硬度領域60Aを設ける場合と比べて、規制部材56の第1摺動範囲Raにおける第1高硬度領域60Aの範囲を狭くすることができる。ひいては、規制部材56のワークに対して第1摺動範囲Raとなる箇所の全域を焼入れする場合と比べ、第1摺動範囲Raにおける熱歪みの発生箇所を削減できる。
また、同様の効果は、第2運動部材52Bが、第2高硬度領域60B及び低硬度領域62の両方に摺動する構造によっても得られる。この場合、規制部材56において第2運動部材52Bの摺動する第2摺動範囲Rbの全域に第2高硬度領域60Bを設ける場合と比べ、第2摺動範囲Rbにおける熱歪みの発生箇所を削減できる。
なお、運動部材52A、52Bが規制部材56を摺動するとき、規制部材56には繰り返し荷重が作用する。この繰り返し荷重は、主に高硬度領域60A、60Bに作用し、低硬度領域62には強く作用しない。この結果、規制部材56の低硬度領域62を運動部材52A、52Bが摺動したとしても、その低硬度領域62での摩耗は大きな問題とならない。また、規制部材56の高硬度領域60A、60Bそのものは、低硬度領域62と比べて表面硬度が高いため、そのような繰り返し荷重が作用したとしても、摩耗を低減することができる。これらが相まって、運動部材52A、52Bの摺動範囲Ra、Rbの一部のみに高硬度領域60A、60Bを設けるだけでも、その摺動範囲Ra、Rb全体での摩耗を低減することができる。
(E)高硬度領域60A、60Bは、第1運動部材52Aが摺動する第1高硬度領域60Aと、第2運動部材52Bが摺動する第2高硬度領域60Bとを含む。よって、規制部材56に対して第1運動部材52A及び第2運動部材52Bのそれぞれが摺動する場合でも、前述のように、熱歪みの発生箇所を削減できる。
(F)高硬度領域60A、60Bは、高周波焼入れ等と比べて熱歪みの小さいレーザー焼入れによって設けられる。よって、運動部材52A、52Bの移動を規制部材56の高硬度領域60A、60Bによって規制するにあたって、レーザー焼入れ後に無加工のままでも、高硬度領域60A、60Bの形状精度を容易に確保できる。ひいては、運動部材52A、52Bの移動を規制する箇所に関して形状精度を確保するにあたって、部分焼入れ後の後加工を不要にできる。
(第2実施形態)図6、図7、図8を参照する。本実施形態では、第1実施形態と比べて、規制部材56に対する各運動部材52A、52Bの摺動範囲Ra、Rbにおいて相違する。詳しくは、第1実施形態では、規制部材56に対する第1運動部材52A(ローラ32)の第1摺動範囲Raと、第2運動部材52B(第1外歯歯車22A)の第2摺動範囲Rbとが重なっている例を説明した。これに対して、本実施形態では、第1運動部材52Aの第1摺動範囲Raと第2運動部材52Bの第2摺動範囲Rbとは間隔を空けて設けられる。詳しくは、第1摺動範囲Raは、規制部材56の側部56aの平坦面56bにおいて内周側に設けられる。また、第2摺動範囲Rbは、第1摺動範囲Raから間隔を空けて、平坦面56bにおいて、第1摺動範囲Raよりも外周側に設けられる。
これを実現するうえで、規制部材56に対する第2運動部材52Bの摺動箇所は、規制部材56に対する第1運動部材52Aの摺動箇所と径方向にずれた位置に設けられる。詳しくは、第2運動部材52B(第1外歯歯車22A)は、軸方向寸法の大きい厚肉部80と、厚肉部80よりも軸方向寸法を小さくする薄肉部82とを備える。厚肉部80は、第1運動部材52A(ローラ32)に対して径方向外周側にずれた箇所に設けられる。厚肉部80には、外歯歯車22Aの外歯が設けられる。厚肉部80の軸方向Xの側面は、規制部材56に対して摺動する。薄肉部82は、厚肉部80よりも内周側に設けられ、その軸方向Xの側面は規制部材56に摺動しない。これにより、規制部材56に対する第2運動部材52Bの摺動箇所(厚肉部80)と、第1運動部材52Aの摺動箇所とを径方向にずらすことができる。
第1実施形態では、第1運動部材52Aの摺動する第1高硬度領域60Aが、第2運動部材52Bの摺動する第2高硬度領域60Bを兼ねる例を説明した。本実施形態の第1高硬度領域60Aは、第2高硬度領域60Bとは別に設けられる。詳しくは、第1高硬度領域60Aは、第1摺動範囲Raの一部に設けられ、第2高硬度領域60Bは、第1摺動範囲Raとは別の第2摺動範囲Rbの一部に設けられる。各摺動範囲Ra、Rbと同様、第1高硬度領域60Aは、側部56aの平坦面56bにおいて内周側に設けられ、第2高硬度領域60Bは、平坦面56bにおいて外周側に設けられることになる。
また、規制部材56の側部56aには、第1高硬度領域60Aと第2高硬度領域60Bとの間に低硬度領域62が設けられる。これにより、第1高硬度領域60Aと第2高硬度領域60Bとの間の低硬度領域62を高硬度領域60A、60Bにする場合と比べ、熱歪みの発生箇所を削減できる。また、低硬度領域62は、規制部材56の側部56aの平坦面56bにおいて、第1高硬度領域60Aよりも内周側に設けられる。
この他に、本実施形態の動力伝達装置10も、前述の(A)~(F)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
(第3実施形態)図9を参照する。本実施形態では、第1実施形態と比べて、規制部材56において相違する。詳しくは、第1実施形態において、規制部材56は、側方部材54とは別体であり、かつ、側方部材54とは一体ではない例を説明した。本実施形態の規制部材56は側方部材54(カバー26)そのものである。規制部材56となる側方部材54は、第1実施形態と同様、運動部材52A、52Bと軸方向Xに対向する側部56aに設けられる平坦面56bを備える。この側方部材54は、第1実施形態と同様、各運動部材52A、52Bが摺動する第1高硬度領域60A及び第2高硬度領域60Bと、低硬度領域62とを備える。各高硬度領域60A、60Bは、第1実施形態と同様、規制部材56の平坦面56bに設けられ、低硬度領域62は、側方部材54の高硬度領域60A、60B以外の箇所に部分的に設けられる。
(G)これにより、運動部材52A、52Bの軸方向Xの移動を規制するうえで、軸受58を支持する側方部材54とは一体ではない専用の規制部材が不要となる。ひいては、部品点数の削減によって部品コストの低減を図ることができる。
なお、同様の効果を得るうえで、規制部材56は、側方部材54と一体であってもよい。ここでの一体とは、側方部材54と規制部材56が軸方向X及び周方向の両方に移動不能に固定されていることを意味する。また、同様の効果を得るうえで、後述の第4実施形態で説明するように、側方部材54は、軸受58の替わりにオイルシール110を支持していてもよい。
(第4実施形態)図10を参照する。動力伝達装置10は、第1実施形態と同様、入力軸12、歯車機構14、出力部材16、ケーシング18を備える。本実施形態の歯車機構14は、第1実施形態と比べて、撓み噛み合い型減速機構である点において相違する。この歯車機構14は、互いに噛み合うともに一方が撓み歯車90となる外歯歯車22C及び内歯歯車24B、24Cを備える。この歯車機構14は、撓み歯車90を撓み変形させることで外歯歯車22C及び内歯歯車24B、24Cの一方を自転させ、その自転成分を出力回転として出力部材16から取り出し可能である。本実施形態の歯車機構14は、第1内歯歯車24Bと第2内歯歯車24Cを用いた、筒型の撓み噛み合い型減速機構である。
本実施形態の動力伝達装置10は、この他に、撓み歯車90に対して軸方向の入力側に配置される入力側カバー92と、撓み歯車90に対して軸方向の反入力側に配置される反入力側カバー94と、反入力側カバー94と撓み歯車90との間に配置される押さえ部材95とを備える。本実施形態では、外歯歯車22Cが撓み歯車90となり、出力部材16は反入力側カバー94となる。
本実施形態の入力軸12は、起振体軸である。起振体軸である入力軸12は、撓み歯車90を撓み変形させる起振体96と、起振体96に対して軸方向両側に設けられる軸部98とを備える。起振体96の外周形状は、起振体軸の軸方向に直交する断面において楕円状をなす。本明細書での「楕円」とは、幾何学的に厳密な楕円に限定されず、略楕円も含まれる。
撓み歯車90は、起振体軸受100を介して、起振体96に回転自在に支持される。撓み歯車90を構成する外歯歯車22Cは、可撓性を持つ筒状部材である。起振体軸受100は、複数の内歯歯車24B、24Cのそれぞれに対応しており、その対応する内歯歯車24B、24Cの内側に個別に配置される。
第1内歯歯車24Bは、外歯歯車22Cの外歯数(例えば、100)とは異なる内歯数(例えば、102)を持ち、第2内歯歯車24Cは、外歯歯車22Cの外歯数と同数の内歯数を持つ。第1内歯歯車24Bは、ケーシング18及び入力側カバー92と一体化される。第2内歯歯車24Cは、反入力側カバー94と連結されることで、これと一体化される。
ケーシング18は、第1内歯歯車24Bを兼ねる第1ケーシング部材102と、第2内歯歯車24Cの外周側に配置される第2ケーシング部材104とを含む。第1ケーシング部材102と第2ケーシング部材104は互いに連結されることで一体化される。第2ケーシング部材104と第2内歯歯車24Cとの間には主軸受38が配置される。
入力側カバー92は、外歯歯車22Cを軸方向入力側から覆っている。反入力側カバー94は、外歯歯車22Cを軸方向反入力側から覆っている。
押さえ部材95は、反入力側カバー94とは別体に設けられ、リング状をなす。押さえ部材95は、撓み歯車90に当接することによって、その軸方向Xの移動を規制する。
以上の動力伝達装置10では、起振体軸(入力軸12)の起振体96が回転すると、起振体96の形状に合わせた楕円状をなすように撓み歯車90が撓み変形させられる。このように撓み歯車90が撓み変形すると、外歯歯車22Cと内歯歯車24B、24Cの噛合位置が起振体96の回転方向に変化する。このとき、異なる歯数を持つ外歯歯車22Cと第1内歯歯車24Bの噛合位置が一周する毎に、これらの噛み合う歯が周方向にずれていく。この結果、これらのうちの一方(本実施形態では外歯歯車22C)が自転する。本実施形態において、外歯歯車22Cと第2内歯歯車24Cは、互いに同じ歯数を持つため、それらの噛合位置が一周しても、相対回転せずに同期する。このため、外歯歯車22Cの自転成分は、外歯歯車22Cと同期する第2内歯歯車24Cを通して、出力部材16としての反入力側カバー94から取り出される。
図11を参照する。ここで、本実施形態の動力伝達装置10は、第1実施形態と同様、回転軸50と、運動部材52Cと、側方部材54と、規制部材56とを備える。
本実施形態の回転軸50は入力軸12(起振体軸)である。本実施形態の運動部材52Cは撓み歯車90である。運動部材52Cは、回転軸50の回転によって、外歯歯車22Cと内歯歯車24B、22Cの噛合位置を回転方向に変化させるように撓み変形する。
本実施形態の側方部材54は、入力側カバー92である。第1実施形態とは異なり、側方部材54と回転軸50との間には側方部材54によって支持されるオイルシール110が配置される。オイルシール110は歯車機構14が配置される封止空間112を封止する。封止空間112には、歯車機構14の潤滑に用いられる潤滑剤が封入される。
図11、図12を参照する。規制部材56は、第3実施形態と同様、側方部材54によって構成される。この規制部材56は、第1、第3実施形態と同様、運動部材52Cと軸方向Xに対向する側部56aに設けられる平坦面56bを備える。運動部材52C(撓み歯車90)は、その軸方向Xの側面が当接することによって、摺動範囲Rcを摺動する。摺動範囲Rcは環状に連続する。
この規制部材56は、前述の実施形態と同様、運動部材52Cが摺動する高硬度領域60C及び低硬度領域62を備える。高硬度領域60Cは、規制部材56の平坦面56bに設けられ、低硬度領域62は、側方部材54の高硬度領域60C以外の箇所に設けられる。高硬度領域60C及び低硬度領域62は、規制部材56の側部56aにおいて共通の平坦面56bに設けられる。
本実施形態の動力伝達装置10も、前述の(A)~(D)、(F)、(G)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
各構成要素の他の変形形態を説明する。以下、符号の末尾に「A、B、C」を付した構成要素(運動部材等)を総称するときは、これを省略する。
歯車機構14の具体例は特に限定されない。歯車機構14は、例えば、遊星歯車機構、直交軸歯車機構、平行軸歯車機構等の何れかでもよい。
偏心揺動型の歯車機構14の具体的な種類として、内歯歯車24の軸心上にクランク軸(入力軸12)が配置されるセンタークランクタイプを説明した。この種類は特に限定されず、例えば、内歯歯車24の軸心から径方向にオフセットした位置に複数のクランク軸が配置される振り分けタイプでもよい。また、偏心揺動型の歯車機構14において外歯歯車22を揺動歯車20とする場合、ケーシング18を出力部材16としてもよい。また、外歯歯車22に替えて内歯歯車24を揺動歯車20としてもよい。
撓み噛み合い型の歯車機構14の具体的な種類として筒型を説明した。この種類は特に限定されず、例えば、カップ型、シルクハット型でもよい。また、撓み噛み合い型の歯車機構14において外歯歯車22Cを撓み歯車90とする場合、ケーシング18を出力部材16としてもよい。また、外歯歯車22に替えて内歯歯車24を撓み歯車90としてもよい。
運動部材52は、回転軸50の回転によって運動するものであればよく、その具体例は特に限定されない。運動部材52は、例えば、歯車機構14の種類によらない平歯車、傘歯車等の歯車であってもよい。この他にも、運動部材52は、偏心体軸受36、起振体軸受100等の軸受の転動体又はリテーナであってもよい。
運動部材52と規制部材56の組み合わせは、回転軸50の回転によって運動部材52が運動したときに互いに摺動するものであればよい。この条件を満たすうえで、運動部材52の運動態様は特に限定されない。例えば、運動部材52が揺動歯車20である場合、運動部材52の運動態様は、自転を伴わない揺動でもよい。この場合、例えば、図2の例において、回転軸50の回転によって、運動部材52となる揺動歯車20が自転を伴わずに揺動したとき、規制部材56及び揺動歯車20は相対回転を伴うことなく互いに摺動する。このように自転を伴わずに揺動することで運動する揺動歯車20を運動部材52としてもよい。運動部材52(揺動歯車20)が運動することで、運動部材52及び規制部材56が互いに摺動するうえで、それらの相対回転は必須ではないともいえる。
なお、揺動歯車20は、自転の有無を問わず、揺動歯車20の軸心を公転させることで揺動していると捉えることができる。揺動歯車20を運動部材52と捉えたとき、運動部材52は、自転または公転するものということができる。
この他にも、運動部材52が撓み歯車90である場合、運動部材52の運動態様は、自転を伴わない撓み変形でもよい。この場合、例えば、図10の例において、回転軸50の回転によって、運動部材52となる撓み歯車90が自転を伴わずに撓み変形したとき、押さえ部材95及び撓み歯車90は相対回転を伴うことなく互いに摺動する。このように自転を伴わずに撓み変形することで運動する撓み歯車90を運動部材52とし、その撓み歯車90の運動により摺動する押さえ部材95を規制部材56としてもよい。運動部材52(撓み歯車90)が運動することで、運動部材52及び規制部材56が互いに摺動するうえで、それらの相対回転は必須ではないともいえる。
なお、図10の例において、撓み歯車90の自転を伴わずに撓み変形したとき、入力側カバー92及び撓み歯車90は相対回転を伴い互いに摺動し、押さえ部材95及び撓み歯車90は相対回転を伴うことなく互いに摺動する。この撓み歯車90を運動部材52とし、その撓み歯車90の運動により摺動する入力側カバー92及び押さえ部材95のそれぞれを個別の規制部材56としてもよい。
規制部材56は、運動部材52の軸方向Xの移動を規制できるものであればよく、その具体例は特に限定されない。規制部材56は、例えば、カバー26の他にも、キャリヤ28、ケーシング18、主軸受38等でもよい。
側方部材54は、運動部材52の軸方向Xの側方に配置され、軸受58又はオイルシール110を支持するものであればよく、その具体例は特に限定されない。側方部材54は、カバー26の他にも、例えば、キャリヤ28、ケーシング18等でもよい。
規制部材56の側部56aには少なくとも高硬度領域60が設けられていればよく、低硬度領域62を設けることは必須とはならない。例えば、規制部材56の側部56aの全域に高硬度領域60を設け、規制部材56の側部56a以外の箇所で規制部材56の外面部に低硬度領域62を設けてもよい。また、規制部材56の側部56aにおける運動部材52の摺動範囲の全域に高硬度領域60を設け、その側部56aにおける摺動範囲以外の箇所に低硬度領域62を設けてもよい。
高硬度領域60及び低硬度領域62は、規制部材56の共通の平坦面56bに設けられていなくともよい。これは、例えば、規制部材56の側部56aに運動部材52側に突き出る凸部を設け、その凸部に高硬度領域を設け、他の箇所に低硬度領域を設ける場合を想定している。
規制部材56は、複数の運動部材52のそれぞれが摺動する複数の高硬度領域60を備える例を説明した。この高硬度領域60の個数は特に限定されない。例えば、三つ以上の運動部材52がある場合、運動部材52の個数に対応する三つ以上の高硬度領域60があってもよい。また、規制部材56の高硬度領域60の個数は一つでもよい。これは、規制部材56に摺動する運動部材52の個数が一つの場合を想定している。
規制部材56に高硬度領域60を設けるにあたって用いられる部分焼入れは、レーザー焼入れの他に、高周波焼入れ等の炉外で行う焼入れによって実現してもよい。この他にも、この部分焼入れは、熱処理箇所以外を防炭処理等でマスキングした状態で加熱炉内で行う焼入れによって実現してもよい。高硬度領域60を設ける場合、部分焼入れ後において、高硬度領域60を対象として、熱歪みの除去のための追加工をしてもよい。
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。また、実施形態及び変形形態において言及している構造には、製造誤差を考慮すると同一とみなすことができるものも当然に含まれる。
以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。例えば、実施形態に対して他の実施形態の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形形態に対して実施形態及び他の変形形態の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
10…動力伝達装置、22A、22B、22C…外歯歯車、32…ローラ、50…回転軸、52A…第1運動部材、52B…第2運動部材、52C…運動部材、54…側方部材、56…規制部材、56a…側部、56b…平坦面、58…軸受、60A…第1高硬度領域、60B…第2高硬度領域、60C…高硬度領域、62…低硬度領域、110…オイルシール。

Claims (9)

  1. 動力伝達装置において、
    回転軸の回転によって運動する運動部材と、
    前記運動部材の軸方向の移動を規制する規制部材と、を備え、
    前記規制部材は、前記運動部材が摺動する高硬度領域と、前記高硬度領域よりも表面硬度の低い低硬度領域と、を備える動力伝達装置。
  2. 前記規制部材は、前記運動部材と前記軸方向に対向する側部を備え、
    前記高硬度領域及び前記低硬度領域は、前記側部に設けられる請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記側部は平坦面を備え、
    前記高硬度領域及び前記低硬度領域は、共通の前記平坦面に設けられる請求項2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記運動部材は、前記高硬度領域及び前記低硬度領域の両方に摺動する請求項3に記載の動力伝達装置。
  5. 前記運動部材は、第1運動部材と第2運動部材とを含み、
    前記高硬度領域は、前記第1運動部材が摺動する第1高硬度領域と、前記第2運動部材が摺動する第2高硬度領域とを含む請求項1から4のいずれかに記載の動力伝達装置。
  6. 前記第1高硬度領域と前記第2高硬度領域との間には前記低硬度領域が設けられる請求項5に記載の動力伝達装置。
  7. 前記第1運動部材は、外歯歯車を貫通するローラであり、
    前記第2運動部材は、前記外歯歯車である請求項6に記載の動力伝達装置。
  8. 前記運動部材に対して前記軸方向の側方に配置され、軸受又はオイルシールの何れかを支持する側方部材を備え、
    前記規制部材は、前記側方部材そのもの、又は、前記側方部材と一体である請求項1から7のいずれかに記載の動力伝達装置。
  9. 前記高硬度領域は、レーザー焼入れによって設けられる請求項1から8のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
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