JP3630148B2 - トルクコンバータ用ロックアップクラッチピストン - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,熱歪み等を低減しながら鋼部材の表層に硬化層を形成してなるトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストンに関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,例えば摺動部分を有する鋼部材においては,摺動部分の耐摩耗性を向上させるため,その対策が種々講じられている。
例えば,構成材料として硬質鋼を用いる対策法がある。しかしながら,硬質鋼は強い成形加工が困難であるので,例えば後述するロックアップピストン等のような強い成形加工を伴う部材に対して適用することができない。
【0003】
そこで,このような強い成形加工を伴う鋼部材に対しては,表層部のみを焼き入れして硬化させ,これにより耐摩耗性を向上させる手段が採用されていた。
従来,このような表面硬化法としては,高周波焼入れや,電子ビーム(EB)焼入れ或いはレーザ焼入れ等の高密度エネルギービーム照射による表面焼入れが知られている。
【0004】
これらの焼入れ方法においては次のような手順によって表面硬化層を形成する。即ち,まず,被処理材表面を高周波加熱や高密度エネルギービーム照射加熱すると共に,その表層部をオーステナイト化温度(焼入れ温度)に保持してオーステナイト化した時点で加熱を停止する。次いで,鋼部材の自己放冷等により急速冷却させて表層部のオーステナイトをマルテンサイトに変態させて硬化層とする。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の表面焼入れ方法においては,次の問題がある。
即ち,従来の表面焼入れ方法においては,表面を加熱して均一なオーステナイトを得るために,少なくともオーステナイト変態に必要な時間以上だけ表面層を焼入れ温度に保持する必要がある。
【0006】
これを後述する図1のT−T−A曲線部により説明する。同図は,横軸に時間(対数目盛),縦軸に温度をとり,A3変態開始線(オーステナイト変態開始線)とA3変態終了線(オーステナイト変態終了線)を示したものである。同図に従来の表面焼入れ方法における鋼部材表面の温度履歴を実線C1により示す。これにより知られるごとく,従来においては,加熱を開始してから常温組織(フェライト・パーライト組織)が完全にオーステナイトへ変態し終えるまで待って,その後焼入れを行っていた。
【0007】
そのため,被処理部材が例えば薄板部品である場合には,オーステナイト変態時間の間に熱伝導により被処理部材の広範囲が温度上昇する。それ故,熱歪みが発生して部材の形状精度を悪化させたり,自己放冷が不十分となって焼入れ不良が発生したりする等の問題が生じていた。
また,上記のごとくオーステナイト変態時間以上の高温保持時間を必要とするため,熱処理時間が長く,生産性が悪いという問題もあった。
【0008】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,熱歪みや焼入れ不良がなく,耐摩耗性に優れたトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストンを提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】
本発明は,トルクコンバータにおけるロックアップクラッチ装置にスプリングと共に内蔵される鋼部材よりなるロックアップクラッチピストンにおいて,
該ロックアップクラッチピストンは,円盤状の平板部と,該平板部から軸方向に立ち上がった立上がり部とを有しており,
上記平板部と上記立上がり部には,上記スプリングとの摺動による摩耗を抑制するための硬化層を設けてあり,
かつ,該硬化層は,高密度エネルギービームの照射によって表層のみを融点以上に加熱して溶融部となし,次いで該溶融部をマルテンサイト変態領域まで急冷してマルテンサイト組織とすることにより形成してあることを特徴とするトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストンにある。
【0010】
本発明において最も注目すべきことは,上記ロックアップクラッチピストンを構成する鋼部材の表層のみを融点以上に加熱して溶融部となし,該溶融部をマルテンサイト組織とすることにより形成した上記硬化層を設けたことである。即ち,本発明における硬化層は,従来のように被処理部分をオーステナイト変態温度域にキープして変態完了を待つのではなく,積極的にオーステナイト変態温度以上の融点以上に急速に加熱して上記溶融部を形成し,その後,後述するようにオーステナイト組織を経てマルテンサイト組織を形成させたものである。
【0011】
上記高密度エネルギービームとしては,例えば電子ビーム,レーザビーム,また,ビームではないが高周波加熱などの高密度エネルギーがある。本発明では,これらを総称して高密度エネルギービームという。
また,本発明において対象とする鋼部材としては,例えばS50C,S23C,S10C等の炭素鋼,SNCM,SCR,SCM等の合金鋼,SK,SKH,SKS等の工具鋼などがある。また,上記融点,マルテンサイト変態領域は,鋼部材の材質等により決定される。
【0012】
次に,本発明における作用につき説明する。
本発明においては,上記硬化層を形成するに当たり,高密度エネルギービーム照射によって鋼部材の表層のみを融点以上に加熱して溶融部となす。このとき,加熱エネルギーが高密度エネルギービーム照射によるため,非常に急速に溶融部を形成することができる。また,加熱エネルギーが高密度エネルギーであるため,鋼部材の表層のみを溶融部とすることができる。そのため,鋼部材の表層部は,加熱開始から極短い時間で溶融状態の溶融部となる。
【0013】
次いで,高密度エネルギービーム照射を止めるあるいは照射位置をずらすことにより,上記溶融部は急速に自己放冷される。即ち,高密度エネルギービーム照射により形成された溶融部は上記のごとく鋼部材の表層のみである。そのため,溶融部の周囲の鋼部材内部は,溶融部よりも十分に低温状態に維持されている。それ故,溶融状態にある上記溶融部は,その周囲の鋼部材への熱伝導により,急速に自己放冷され,急冷される。なお,自己放冷に加えて水冷等の強制冷却を行ってもよい。
【0014】
そして,溶融部の急冷過程においては,まず溶融層が凝固すると共に瞬時にオーステナイト組織となる。次いで,オーステナイト組織は,極めて短時間でマルテンサイト変態領域まで急冷されてマルテンサイト組織に変態する。
これにより,上記溶融部はマルテンサイト組織の形成によって高硬度となり,優れた硬化層となる。
【0015】
このように,本発明においては,まず鋼部材の表層のみに溶融部を極めて短時間で形成し,次いで極めて短時間でマルテンサイト化する。そのため,必要十分な焼入れ硬化層を得ることができると共に,表面処理時間を短縮でき,生産性の向上を図ることができる。また,鋼部材の処理部周辺への熱伝導が少ないので周辺部位の温度上昇が抑えられ,従来のような熱歪みの発生も低減することができる。
【0016】
そして,本発明のロックアップクラッチピストンにおいては,上記平板部と上記立上がり部とに上記硬化層を設けてある。そのため,上記ロックアップクラッチピストンは,摺動部分に優れた耐摩耗性を有しており,非常に優れた耐久性を発揮する。さらに,溶融・凝固部以外の部分はマルテンサイト化されていないため,良好な加工性を示す。それ故,本発明のロックアップクラッチピストンは,局部的に耐摩耗性部位を有し,かつ塑性加工性に優れた部材として極めて有効である。
【0017】
さらに,上記ロックアップクラッチピストンに設けた上記硬化層は,非常に厚みが薄く,また,高密度エネルギービームの影響が表面処理部分以外の部分に殆ど及ばないため,ロックアップクラッチピストンの外形形状は高い精度に維持された状態となる。それ故,本発明のロックアップクラッチピストンは,特に歪み取り工程を施すことなくトルクコンバータに組み込むことができ,トルクコンバータの生産コストの低減を図ることもできる。
【0018】
また,従来のいわゆる電子ビーム焼入れをロックアップクラッチピストンに適用する際には,部材全体の熱容量が表面処理部分の8倍以上であることが必要であった。そのため,従来は,ロックアップクラッチピストンの肉厚を厚く設定する必要があった。これに対し,本例においては,表面処理部分を上記のごとく極薄くすることができるため,ロックアップクラッチピストン全体の厚みを薄くすることも可能である。この点においても製造コストの低減を図ることができる。
【0019】
したがって,本発明によれば,熱歪みや焼入れ不良がなく,また生産効率の高い,耐摩耗性に優れたトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストンを提供することができる。
なお,後述する実施形態例6のように,溶融部の深さ,幅,及び加工速度を適宜選択することにより,表面処理部分の表面を波打ちのない滑らかな仕上げ面にすることができる。
【0020】
次に,上記鋼部材の上記表層の昇温速度は,7500℃/秒以上であることが好ましい。上記昇温速度が7500℃/秒未満の場合には被処理部の周囲への熱伝導の増大,処理時間の増加等を招くという問題がある。なお,上限は,装置の現実的な処理能力から考えて,50万℃/秒であることが好ましい。
【0021】
また,上記高密度エネルギービーム照射開始から上記溶融部を形成するまでの時間は0.2秒以内であることが好ましい。0.2秒を超える場合には,被処理部周辺への熱伝導が増大し,そのため,周辺部位の温度上昇による熱歪みの増大や,自己放冷が不十分となり焼入れ不良が発生するという問題がある。なお,下限は,装置の現実的な処理能力から考えて,0.003秒であることが好ましい。
【0022】
また,上記溶融部のマルテンサイト変態領域までの冷却速度は600℃/秒以上であることが好ましい。上記冷却速度が600℃/秒未満の場合には鋼種によっては冷却速度不足による焼入れ不良が発生するという問題がある。なお,上限は,熱歪みの抑制の点から考えて,1800℃/秒であることが好ましい。
【0023】
また,上記溶融部は,鋼部材表面に波打ちが生じない溶融深さとすることが好ましい。具体的には,溶融部の幅,加工スピードに応じて,鋼部材表面に波打ちが生じない溶融深さになるよう高密度エネルギービームの出力,照射時間等を調整することが好ましい。これにより,波打ちの発生のない形状精度に優れた鋼部材を得ることができる。
【0024】
また,上記溶融部は,完全に溶融状態となった全溶融層と,これに隣接する不完全溶融層とすることもできる。不完全溶融層は全溶融層からの熱伝導により,焼入れ硬化された層であって,昇温速度に応じてその焼入れ深さを制御することができる。従って,比較的深い焼入れ深さが必要な場合であっても,全溶融層を深くすることなく,必要十分な焼入れ深さが得られるので,表面の波打ちを防止することができる。
【0025】
また,上記高密度エネルギービームは,1箇所のビーム発生源から発射されたビームを複数箇所に分配して照射することもできる。即ち,例えば偏向レンズ等を用いて1箇所のビーム発生源から発射されたビームを複数箇所に分配させることができる。この場合には,高密度エネルギービームを鋼部材の複数箇所に同時に照射することができ,複数箇所の表面処理を一操作により行うことができる。
【0026】
それ故,生産効率が一層向上する。また,この場合,上述したごとく,溶融部の周囲への熱伝導を抑制することができるため,近接する複数箇所を同時に処理した場合においても,各処理領域間における熱的干渉がなく,互いの処理部分に不本意な焼きもどし,焼きなまし等が発生することもない。
【0027】
また,上記溶融部の急冷は自然放冷によって行うことが好ましい。即ち,溶融部から鋼部材内外への熱の放散により冷却することが好ましい。この場合には水冷等の強制冷却の場合よりも操作を簡単にすることができる。
【0028】
また,上記鋼部材全体の熱容量は上記溶融部の熱容量の4倍以上であることが好ましい。この場合には,溶融部から鋼部材内部への自己放熱が一層速やかになり,急冷効果が一層確実となる。
また,上記溶融部の溶融深さは上記鋼部材の肉厚の1/4以下であることが好ましい。この場合には,上記熱容量規制の場合と同様の効果を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかるトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストンを構成する鋼部材の表面処理方法につき,図1,図2を用いて説明する。
即ち,本例の鋼部材の表面処理は,図2に示すごとく,被処理材としての鋼部材2(図2)に高密度エネルギービームを照射することによって,図1の実線E1に示すごとく,鋼部材2の表層のみを融点Mp以上に加熱して溶融部21となし,次いで該溶融部21をマルテンサイト変態領域(M)まで急冷してマルテンサイト組織22とする。
【0030】
上記図1は,横軸に時間(対数目盛)を,縦軸に温度(℃)をとった,T−T−A曲線図である。同図には,曲線A31によりA3変態開始線と,曲線A32によりA3変態終了線をそれぞれ示してある。そして,本発明にかかる上記表面処理方法を実線E1で示すと共に,比較のため従来のEB焼入れ方法を実線C1で示している。尚,マルテンサイト変態は,鋼材質により決定されるMs点以下の温度領域に臨界冷却速度以上の冷却速度で冷却することにより得られる。そのため,図1には,便宜上,Ms点以下の領域をマルテンサイト変態領域(M)として表している。
同図において,本例による処理時間と従来法による処理時間との時間差Tが,本発明において短縮された熱処理時間である。
【0031】
即ち,従来のEB焼入れC1の場合には,処理部分の温度をオーステナイト変態温度にして,これを変態完了点まで保持する必要がある。そのため,全体の処理時間が本例に比べて長くなっていた。
これに対し,本例においては,図1に示すごとく,溶融部21となる鋼部材2の表層を,7500℃/秒以上という極めて速い昇温速度で加熱して,一気に融点Mp以上の溶融状態の溶融部21を形成する。この場合の,高密度エネルギービーム照射開始から溶融部21を形成するまでの時間は0.2秒という非常に短い時間である。そして,溶融部の深さは,鋼部材2の厚みの1/4以下になるように調整してある。その調整は,高密度エネルギービームの出力及び照射パターンにより行った。
【0032】
次いで,溶融部21形成直後に高温状態を維持することなく,600℃/秒以上という極めて速い冷却速度で溶融部21を冷却する。
これにより,溶融部21は直ちに凝固して,一旦均一オーステナイト組織になり,次いでさらに冷却が進むことによりマルテンサイト領域まで冷却されてマルテンサイト組織22となる。
【0033】
また,本例に示す表面処理は,図2に示すごとく,鋼部材2の表面処理部分20に対して,部分的に高密度エネルギービーム11を照射することにより行っている。つまり,図2A,Bに示すごとく,高密度エネルギービーム発生源1より高密度エネルギービーム10を発射し,これを偏向レンズ112により最適な照射パターンの高密度エネルギービーム11を鋼部材2に照射する。
【0034】
一方,鋼部材2は,図2に示すごとく,同図の矢印方向へ一定の速度で移動させる。そして,表面処理部分20は高密度エネルギービーム11の照射によって急速に加熱されて溶融部21となり,鋼部材2の移動によって高密度エネルギービーム11の照射が完了した溶融部21は自己放冷により急冷される。
これにより,鋼部材2には,マルテンサイト組織22の高硬度の表層部が連続的に形成される。
【0035】
このように,本例によれば,鋼部材2の表層のみを急速に溶融状態まで加熱し,その後直ちに急冷することができる。そのため,鋼部材2の表面処理部分20以外の部分への熱伝導が少なく,熱歪みの発生を低減することができると共に確実に自己放冷効果が得られる。
【0036】
特に本例においては,溶融部21は,鋼部材2の厚みの1/4以下の深さの表層のみに形成するため,600℃/秒以上という冷却速度で自己放冷される。そのため,マルテンサイト変態の臨界冷却速度を十分に超える上記の冷却速度が得られ,焼入れ不良の防止を確実に図ることができる。
さらに,本例によれば,上記のごとく処理時間を従来よりも格段に短くすることができ,生産効率の向上を図ることもできる。
【0037】
実施形態例2
本例は,図3,図4に示すごとく,上記実施形態例1に示した鋼部材の表面処理方法において,鋼部材2を回転させながら,該鋼部材2における2箇所のリング状の表面処理部分20(図4)に対して,高密度エネルギービーム11,12を連続的に照射する熱処理装置及び方法を示すものである。
【0038】
本例における,被処理材としての鋼部材2は,後述するトルクコンバータ用部品のロックアップクラッチピストンのごとく皿状をなしている(図3,図6参照)。そして,その2箇所にリング状の表面処理部分20(図4)を一操作により処理する(図4)。
上記熱処理装置は,図3に示すごとく,鋼部材2を入れる加工室19と,該加工室19内に高密度エネルギービーム11,12を照射するビーム発生源1と,上記ビーム発生源1からの高密度エネルギービーム10の照射パターン等を制御する集束レンズ111と偏向レンズ112とを有する。
【0039】
また,加工室19内を減圧する真空排気装置16と,上記集束レンズ111,偏向レンズ112を制御する高速偏向制御装置110とを有する。上記集束レンズ111,偏向レンズ112を制御することにより,鋼部材2に照射する高密度エネルギービーム11,12の分配と,その出力及び照射パターンが調整される。
これらの装置は,総合制御装置17によりコントロールされる。また,上記加工室19の下部には,上記鋼部材2の載置台15を回転させるための回転モータ150を有する。
【0040】
そして,上記熱処理装置により,表面処理を行うに当たっては,まず上記回転モータ150を駆動させて,上記鋼部材2を図4の矢印方向に回転させておく。また,真空排気装置16により,加工室19内を真空状態にする。
そして,図3,図4に示すごとく,鋼部材2に対して2つの高密度エネルギービーム11,12をそれぞれ同時に照射する。この高密度エネルギービーム11,12は鋼部材2の回転によって鋼部材2上を相対的に一定速度で移動していく。
【0041】
これにより,図4に示すごとく,高密度エネルギービーム11,12が照射された部分がそれぞれ溶融部21となり,その直後マルテンサイト組織となって,2箇所のリング状の表面処理部分20が硬化層となる。
この場合には,2箇所の表面処理部分20を必要とする鋼部材2に対して,非常に高い効率で処理することができる。その他,実施形態例1と同様の効果を得ることができる。
【0042】
実施形態例3
本例は,実施形態例1及び2に示した鋼部材の表面処理方法により処理した,本発明にかかる表面処理鋼部材の具体例である。
即ち,本例の鋼部材2は,図5,図6に示すごとく,トルクコンバータに用いるロックアップクラッチピストン41である。
【0043】
ここで,上記のトルクコンバータに用いるロックアップクラッチピストン41について簡単に説明する。
トルクコンバータは,自動車等の動力伝達系を構成するものであって,図5,図6に示すごとく,ポンプインペラ100,該ポンプインペラ100と共にトーラスを構成するタービンランナ200,ステータ300,ロックアップクラッチ装置400及びダンパ装置500によって構成されている。
【0044】
上記トルクコンバータにおいて,図示しないクランクシャフトを介して伝達されたエンジンの回転は,フロントカバー600に伝達され,さらにこれに固定されたポンプインペラ100に伝達される。ポンプインペラ100が回転すると,トーラス内の油が軸の周囲を回転し,遠心力が加わってポンプインペラ100とタービンランナ200及びステータ300間を循環させられる。
【0045】
そして,ポンプインペラ100とタービンランナ200との間に配置されているステータ300(内周側に一定方向にのみ回転を可能とするワンウェイクラッチ31が取り付けられている)等の作用により,車両の発進時等のようにポンプインペラ100が回転を開始したばかりでタービンランナ200との回転速度差が大きい場合にはトルク変換機として動作してトルクを増幅させる。一方,タービンランナ200の回転速度が高くなってタービンランナ200とポンプインペラ100との回転速度差が小さくなった場合には単なる流体継手として作動するようになっている。
【0046】
このトルクコンバータには上記のごとくロックアップクラッチ装置400が設けられているが,これは燃費改善等のために設けられたものである。即ち,車両が発進した後,予め設定された車速が得られると,ロックアップクラッチ装置400のロックアップクラッチピストン41が図示しないロックアップリレーバルブによる油の供給切り換えにより作動して軸方向に移動し,摩耗材42を介してフロントカバー600と係合する。このため,エンジンの回転がトルクコンバータを介することなく変速機構の入力軸に伝達されるので,燃費を良くすることができる。
【0047】
また,トルクコンバータに取り付けられた前記ダンパ装置500は,ロックアップクラッチピストン41とフロントカバー600との係脱時に発生する伝達トルクの変動を吸収するためのものであり,ダボかしめ43によってロックアップクラッチピストン41に固定されており,タービンランナ200と一体に回転させられるドリブンプレート51及びスプリング52,53等から成っている。
【0048】
ここで,スプリング52はロックアップクラッチピストン41の円周方向における8箇所に配設された第1ステージ用のものであり,またスプリング53はロックアップクラッチピストン41の円周方向における4箇所に配設された第2ステージ用ものであって,このスプリング53はスプリング52内に一つ置きに配設される。なお,スプリング53はスプリング52より径が小さく,かつ短く設定され,スプリング52の捩じれ角が設定値になって伝達トルクが屈曲点トルクに到達した後に撓み始める。
【0049】
従って,フロントカバー600から摩耗材42を介して伝達された回転はダンパ装置500を介してタービンハブ700に伝達されるが,この際,スプリング52,53が収縮して回転伝達時における伝達トルクの変動を吸収する。また,エンジンの出力トルクの急激な変動が図示しない変速装置に伝達されることによって起きる振動,騒音等を防止する役目も担っている。
【0050】
ところで,上述したようなトルクコンバータにおいては,ロックアップクラッチピストン41の正駆動時(ロックアップクラッチ装置400が係合状態に置かれてロックアップクラッチピストン41が図6における反時計回り方向に回転する時)及び逆駆動時(エンジンブレーキ時等でロックアップクラッチピストン41が図6における時計回り方向に回動する時)にはスプリング52が圧縮されるので,このスプリング52がロックアップクラッチピストン41の平板部411と繰り返し摺動する。そのため,ロックアップクラッチピストン41の平板部411にはスプリング52との摺動による摩耗が生じる。
【0051】
また,ロックアップクラッチピストン41の回転に伴って,スプリング52は遠心力を受け,ロックアップクラッチピストン41の立上がり部412に押しつけられる。したがって,ロックアップクラッチピストン41の正駆動時及び逆駆動時に,ロックアップクラッチピストン41の立上がり部412もスプリング52と繰り返し摺動することとなり,摩耗が生じる。
【0052】
本例は,上記のような使用環境にあるロックアップクラッチピストン41の,上記平板部411と立上がり部412とに表面処理を施すものである。なお,このロックアップクラッチピストン41は成形が容易な低炭素鋼(S22C)よりなる。
【0053】
まず,図7に本例において使用した装置を示す。同図により知られるように,本例の装置は,実施形態例2における装置と基本構成を同じとし,載置台15を45°傾けて配設した。また,ビーム発生源1から発せられた高密度エネルギービーム10は,実施形態例2と同様に2つの照射する高密度エネルギービーム11,12に分配される。その他は実施形態例2と同様である。
【0054】
次に,この装置を用いて,図8,図9に示すごとく,ロックアップクラッチピストン41の平板部411と立上がり部412の2箇所の表面処理部分401,402に同時に表面処理を施す。そして,厚み3mmの平板部411及び立上がり部412に,それぞれ厚み0.1〜0.2mmの硬化層を形成する。
【0055】
具体的には,まず,図7に示すごとく装置の載置台15にセットしたロックアップクラッチピストン41を,表面処理部分401,402の移動速度が約16.7m/分となる速度で回転させる。そして,図7,図9に示すごとく,2つの高密度エネルギービーム11,12として4.6KW出力の電子ビームを用い,これを表面処理部分401,402にそれぞれ照射する。
【0056】
これにより,2つの表面処理部分(硬化層)401,402は,前記した図1の実線E1に示すごとく,極めて短時間に表層のみが溶融して溶融部となり,次いで,極めて短時間に急冷されてマルテンサイト組織となる。
この組織変態を,図10を用いてさらにわかり易く説明する。図10は横軸に炭素の含有量,縦軸に温度をとった,鉄−炭素系平衡状態図である。
【0057】
本例における表面処理部分401,402は,同図に示した一点鎖線L1に沿って変化する。即ち,まず電子ビーム照射によって常温組織(フェライト・パーライト)が急速に加熱されて融体Lになる。次いで,続く自己放冷により凝固してオーステナイトになり,その直後,自己放冷による更なる急冷が成されてマルテンサイト組織に変態する。
【0058】
このように得られたロックアップクラッチピストン41における,表面処理部分401の断面の結晶粒の写真を図11に示す。図11に示した目盛りは部材の表面からの厚み方向の距離を示しており,0mmの位置が外表面部である。同図より知られるごとく,表面処理部分401は,最表面の約0.03mm厚みの全溶融層211とその下の約0.17mm厚みの不完全溶融層212とより構成されている。
【0059】
次に,この表面処理部分401断面の硬度分布を図12に示す。同図は,横軸に部材の表面からの距離,縦軸に硬度(Hv)をとった。同図より知られるように,表面処理部分401には,約0.2mm以下の極薄い硬化層が形成されていることが確認できる。これらの結果は表面処理部分402においても同じである。
【0060】
したがって,本例により得られたロックアップクラッチピストン41は,その平板部411及び立上がり部412の摺動部分に,耐摩耗性に優れた表面処理部401,402をそれぞれ備えた状態となる。それ故,このロックアップクラッチピストン41をトルクコンバータに組み込んだ場合には,非常に優れた耐久性を発揮する。
また,表面処理部分401,402以外の部分は,表面処理前と同じフェライト・パーライト組織であるため,塑性かしめ等の各種塑性加工を容易に施すこともできる。
【0061】
また,上記表面硬化層は非常に厚みが薄く,また,高密度エネルギービーム11,12の影響が表面処理部分以外の部分に殆ど及ばないため,ロックアップクラッチピストン41の外径形状は高い精度に維持された状態となっている。それ故,本例のロックアップクラッチピストン41は,特に歪み取り工程を施すことなくトルクコンバータに組み込むことができ,生産コストの低減を図ることもできる。
【0062】
また,従来のいわゆる電子ビーム焼入れ(図1実線C1)の場合,これをロックアップクラッチピストン41に適用する際には部材全体の熱容量が表面処理部分の8倍以上であることが必要であった。そのため,従来は,ロックアップクラッチピストン41の肉厚を厚く設定する必要があった。これに対し,本例においては,表面処理部分401,402を上記のごとく極薄くすることができるため,ロックアップクラッチピストン41全体の厚みを薄くすることが可能である。この点においても製造コストの低減を図ることができる。
【0063】
さらに,本例においては,前述した図1に示すごとく,従来の電子ビーム焼入れの場合に比べ,処理時間を大きく短縮できる。しかも,2箇所の表面処理部分401,402を同時に処理することができる。それ故,従来よりも非常に高い生産性が得られる。
なお,本例の2箇所の表面処理部分401,402は,上記のごとく,それぞれ極めて短時間に処理されるため,互いの熱影響を受けることもない。
その他,実施形態例1,2と同様の効果が得られる。
【0064】
実施形態例4
本例は,実施形態例3における電子ビームの照射部軌跡の1例を図13を用いて説明する。
本例では,電子ビームは2つの円偏向軌跡C1,C2に従って照射される。この場合,各円偏向軌跡C1,C2によってそれぞれ被熱処理領域25,26,即ち前記の高密度エネルギービーム11,12の照射部分に相当する領域に電子ビームが照射され,その間中,被処理部材はその中心軸回りに回転させられる。従って,被熱処理領域25,26における電子ビームの軌跡は矢印H方向に移動する。
【0065】
なお,各円偏向軌跡C1,C2は,x軸方向及びy軸方向において正弦波の偏向波形を発生させ,その偏向の組合せによって形成される。また,各円偏向軌跡C1,C2を切り換え,被熱処理領域25,26において交互に電子ビームを照射するために,図14に示すような偏向波形w1が発生させられ,該偏向波形w1と前記y軸方向における偏向波形とが重ねられる。
【0066】
従って,電圧VEが正の値を採る時間t1の間に被熱処理領域25に電子ビームが照射され,電圧VEが負の値を採る時間t2の間に被熱処理領域26に電子ビームが照射される。
【0067】
また,前記偏向波形w1の時間t1を短く,時間t2を長く設定することによって,被熱処理領域25,26への照射エネルギーを調整することができる。
例えば,実施形態例3におけるロックアップクラッチピストン41の平板部411は,立上がり部412ほど高い耐摩耗性が要求されない。そこで,前記偏向波形w1の時間t1を短く,時間t2を長く設定することによって,表面処理部分401を表面処理部分402よりも柔らかくすることができる。これによって,表面処理の消費エネルギーを小さくすることができるたけでなく,処理時間の更なる短縮を図ることができる。
【0068】
実施形態例5
本例は,図15に示すごとく,被熱処理領域27,28へ電子ビームを照射する場合の別例を示している。
この場合には,二つの面偏向軌跡C3,C4によって電子ビームが照射される。つまり,各面偏向軌跡C3,C4によってそれぞれ被熱処理領域27,28に電子ビームが照射され,その間中,被処理部材はその中心軸回りに回転させられる。従って,この場合も被熱処理領域27,28における電子ビームの軌跡は矢印H方向に移動する。
【0069】
なお,各面偏向軌跡C3,C4はx軸方向及びy軸方向において三角波の偏向電圧を発生させることによって形成される。また,各面偏向軌跡C3,C4を切り換え,被熱処理領域27,28において電子ビームを照射するために,図16に示すような偏向波形w1と前記x軸方向及びy軸方向における三角波とが重ねられる。
勿論,円偏向と面偏向とを組み合わせたり,線,楕円等の軌跡をたどるように電子ビームを偏向させることもできる。その他は,実施形態例4と同様である。
【0070】
ところで,上記実施形態例ではトルクコンバータのロックアップクラッチピストンを処理する例を説明したが,その外,例えば多板摩擦係合装置におけるプレート摺動部,部材同士又はスナップリング等による結合部,オイルポンププレート,シールリング溝等,表層部を全部又は部分的に硬化させる必要がある鋼部材であれば,いずれのものであっても本発明を適用することができる。
【0071】
実施形態例6
次に,本例は,実施形態例1の表面処理方法において,表面処理部分における,再凝固時の表面の波打ちの発生を防止するための条件を求めた。
即ち,本発明は,表面処理部分を一旦溶融することを最大の特徴とするため,その溶融部が再凝固する際の表面状態が品質の重要なポイントとなる。そこで,本例においては,再凝固によって,いわゆる波打ちが発生しない溶融深さを種々の面から調査した。
【0072】
まず最初に,表面処理部分の幅(溶融幅)とを一定とし,加工スピード(高密度エネルギービームと鋼部材との相対速度)を順次変更し,それぞれの加工速度において表面波打ちが発生する限界の溶融深さを測定した。測定結果を図17に示す。
【0073】
同図は,横軸に加工スピード(m/分),縦軸に溶融深さ(μm)をとり,表面に波打ちが発生する溶融深さを実線E61により表した。この実線E61よりも下方の領域は波打ちが発生しない領域である。同図より知られるごとく,加工スピードだけを考えると,加工スピードが速いほど,波打ちの発生しない溶融深さの限界が浅くなることがわかる。
【0074】
次に,加工スピードを一定とし,表面処理部分の幅を順次変更し,それぞれの表面処理部分の幅において表面波打ちが発生する限界の溶融深さを測定した。測定結果を図17に示す。
同図は,横軸に表面処理部分の幅(mm),縦軸に溶融深さ(μm)をとり,表面に波打ちが発生する溶融深さを実線E62により表した。この実線E62よりも下方の領域は波打ちが発生しない領域である。同図より知られるごとく,表面処理部分の幅だけを考えると,その幅が広いほど,波打ちの発生しない溶融深さの限界が深くなることがわかる。
【0075】
このように,本例においては,表面の波打ち発生に影響する溶融深さについて,加工スピードと表面処理部分の幅との2つの点からの判断基準を見出すことができた。これにより,例えば加工スピードを上げる場合には,溶融深さを浅くした方が表面波打ち発生の可能性が低くなり,一方,加工スピードを下げる場合には,これまで以上に溶融深さを深くして硬化層を厚くすることもできるということが容易に判断できる。
【0076】
また,単に表面処理部分の幅を狭くする場合には,溶融深さを浅くした方が表面波打ち発生の可能性が低くなり,一方,表面処理部分の幅を広げる場合には,これまで以上に溶融深さを深くして硬化層を厚くすることもできるということが容易に判断できる。
したがって,本例の結果を参考にすれば,表面処理部分の仕上がり状態を,波打ちのない優れた状態にして製品精度を確保することができる。
【0077】
【発明の効果】
上記のごとく,本発明によれば,熱歪みや焼入れ不良がなく,耐摩耗性に優れたトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1の表面処理方法を示す,T−T−A曲線図。
【図2】実施形態例1における,高密度エネルギービームの照射状態を示す,(A)側面図,(B)平面図。
【図3】実施形態例2における,熱処理装置の説明図。
【図4】実施形態例2における,高密度エネルギービームの照射状態を示す説明図。
【図5】実施形態例3における,ロックアップクラッチピストンの縦断面からみた説明図。
【図6】実施形態例3における,ロックアップクラッチピストンの平面側からみた説明図。
【図7】実施形態例3における,熱処理装置の説明図。
【図8】実施形態例3における,ロックアップクラッチピストンの表面処理部分を示す説明図。
【図9】実施形態例3における,高密度エネルギービームの照射状態を示す説明図。
【図10】実施形態例3における,鉄−炭素系平衡状態図。
【図11】実施形態例3における,表面処理部分の断面の結晶の構造を示す図面代用写真(倍率200倍)。
【図12】実施形態例3における,表面処理部分の断面の硬度分布を示す説明図。
【図13】実施形態例4における,電子ビームの照射部の軌跡を示す説明図。
【図14】実施形態例4における,電子ビームの偏向波形例を示す説明図。
【図15】実施形態例5における,電子ビームの照射部の軌跡の他の例を示す説明図。
【図16】実施形態例5における,電子ビームの偏向波形例を示す説明図。
【図17】実施形態例6における,加工スピードと波打ち限界溶融深さとの関係を示す説明図。
【図18】実施形態例6における,表面処理部分の幅と波打ち限界溶融深さとの関係を示す説明図。
【符号の説明】
1...高密度エネルギービームの発生源,
10,11,12...高密度エネルギービーム,
2...鋼部材,
20...表面処理部分,
21...溶融部,
22...マルテンサイト組織,
41...ロックアップクラッチピストン,
401,402...表面処理部分(硬化層),
Claims (5)
- トルクコンバータにおけるロックアップクラッチ装置にスプリングと共に内蔵される鋼部材よりなるロックアップクラッチピストンにおいて,
該ロックアップクラッチピストンは,円盤状の平板部と,該平板部から軸方向に立ち上がった立上がり部とを有しており,
上記平板部と上記立上がり部には,上記スプリングとの摺動による摩耗を抑制するための硬化層を設けてあり,
かつ,該硬化層は,高密度エネルギービームの照射によって表層のみを融点以上に加熱して溶融部となし,次いで該溶融部をマルテンサイト変態領域まで急冷してマルテンサイト組織とすることにより形成してあることを特徴とするトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストン。 - 請求項1において,上記硬化層は0.2mm以下であることを特徴とするトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストン。
- 請求項1又は2において,上記硬化層は,完全溶融層と,これに隣接する不完全溶融層とよりなることを特徴とするトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストン。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記高密度エネルギービームは電子ビームであることを特徴とするトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストン。
- 請求項4において,上記硬化層は,上記電子ビームを集束すると共に偏向することによって所定の偏向軌跡を形成しながら照射し,かつ,該偏向軌跡を上記鋼部材の表面上において相対的に移動させることにより,その照射開始から0.2秒以内に,上記鋼部材の表層のみを融点以上に加熱して溶融部となし,次いで該溶融部をマルテンサイト変態領域まで急冷してマルテンサイト組織とすることにより形成してあることを特徴とするトルクコンバータ用ロックアップクラッチピストン。
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