JP2023082742A - 正極材料の製造方法 - Google Patents

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Junji Ito
珍光 李
Zhenguang Li
航 荻原
Wataru Ogiwara
正樹 小野
Masaki Ono
美咲 藤本
Misaki Fujimoto
一生 大谷
Kazuo Otani
正浩 諸岡
Masahiro Morooka
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Abstract

【課題】硫黄を含む正極活物質を用いた二次電池において、当該二次電池の内部抵抗をよりいっそう低減させうる手段を提供する。【解決手段】硫黄を含む正極活物質を含有する液体を、多孔質カーボン粒子に含浸させて複合材を得る工程と、リン含有硫化物固体電解質溶液を、前記複合材に含浸させる工程とを含む、正極材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、正極材料の製造方法に関する。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池などの非水電解質二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウム二次電池と比較して極めて高い出力特性、および高いエネルギーを有することが求められている。したがって、現実的な全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウム二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
ここで、現在一般に普及しているリチウム二次電池は、電解質に可燃性の有機電解液を用いている。このような液系リチウム二次電池では、液漏れ、短絡、過充電などに対する安全対策が他の電池よりも厳しく求められる。
そこで近年、電解質に酸化物系や硫化物系の固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池に関する研究開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体中でイオン伝導が可能なイオン伝導体を主体として構成される材料である。このため、全固体リチウム二次電池においては、従来の液系リチウム二次電池のように可燃性の有機電解液に起因する各種問題が原理的に発生しない。また一般に、高電位・大容量の正極材料、大容量の負極材料を用いると電池の出力密度およびエネルギー密度の大幅な向上が図れる。例えば、硫黄単体(S)は、1670mAh/g程度と極めて大きい理論容量を有し、低コストで資源が豊富であるという利点を備えている。
一方で、硫黄の電子伝導性が低いことなどに起因して、硫黄含有正極活物質の高容量であるという特性を十分に活かすことはできていないのが現状である。
硫黄単体などの正極活物質の放電容量およびレート特性を改善することを目的として、例えば特許文献1には、1800m/g以上のBET比表面積を有する活性炭を、硫黄溶液に浸漬した後、硫黄溶液から分離することを含み、膜厚0.2~1.4nmの硫黄で被覆された薄膜硫黄被覆活性炭の製造方法が開示されている。当該文献によると、得られた薄膜硫黄被覆活性炭は、硫黄内部において電子およびリチウムイオンの拡散が起こりやすいため、これを正極合剤として用いることで、放電容量およびレート特性に優れた全固体型リチウム硫黄電池を提供できるとしている。
特開2015-88232号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の薄膜硫黄被覆活性炭を二次電池に適用したところ、内部抵抗を充分に低減させることができない場合があることが判明した。
そこで本発明は、硫黄を含む正極活物質を用いた二次電池において、当該二次電池の内部抵抗をよりいっそう低減させうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、多孔質カーボン粒子を、硫黄を含む正極活物質を含む液体に含浸させた後に、リン含有硫化物固体電解質溶液を含浸させることで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の一形態は、硫黄を含む正極活物質を含有する液体を、多孔質カーボン粒子に含浸させて複合材を得る工程と、リン含有硫化物固体電解質溶液を、前記複合材に含浸させる工程とを含む、正極材料の製造方法である。
本発明によれば、硫黄を含む正極活物質を用いた二次電池において、当該二次電池の内部抵抗をよりいっそう低減させることができる。
図1は、特許文献1の製造方法により得られた正極材料100’の断面模式図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る製造方法により得られた正極材料の断面模式図である。 図3は、本発明の一実施形態である扁平積層型の全固体リチウム二次電池の外観を表した斜視図である。 図4は、図3に示す2-2線に沿う断面図である。
以下、図面を参照しながら、上述した本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明の一形態は、硫黄を含む正極活物質を含有する液体を、多孔質カーボン粒子に含浸させて複合材を得る工程(以下、工程(1)とも称する)と、リン含有硫化物固体電解質溶液を、前記複合材に含浸させる工程(以下、工程(2)とも称する)とを含む、正極材料の製造方法である。本形態に係る製造方法によれば、硫黄を含む正極活物質を用いた二次電池において、当該二次電池の内部抵抗をよりいっそう低減させることができる。これは、以下で説明するように、リン含有硫化物固体電解質を多孔質カーボン粒子の内部と比較して表面側において濃度が高くなるように充填させることが可能となるためであると考えられる。なお、以下において、本形態に係る製造方法に得られる正極材料を「本形態に係る正極材料」とも称する。
図1は、先行技術である特許文献1の製造方法により得られた正極材料100’の断面模式図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る製造方法により得られた正極材料の断面模式図である。図1および図2において、多孔質カーボン粒子110は多数の細孔110aを有し、細孔110aの内部には正極活物質120が充填されている。図1の正極材料100’は、正極活物質120が充填された多孔質カーボン粒子110と、硫化物固体電解質130とを機械混合することにより製造されている。細孔110aの細孔径はナノスケールであるため、機械混合により硫化物固体電解質130が細孔110aの中に入り込むことはなく、硫化物固体電解質130は多孔質カーボン粒子110の表面に付着している。一方、図2の正極材料100は、硫化物固体電解質130を含む溶液に、正極活物質120が充填された多孔質カーボン粒子110を含浸させることにより製造されている。硫化物固体電解質130を含む溶液は、ナノスケールの細孔110aにも容易に入り込むことができる。このため、図2に示すように、細孔110aの内部の正極活物質120が充填されていない部分に硫化物固体電解質130が充填される。よって、図2の正極材料100においては、正極活物質120からなる連続相が細孔110aの内部に充填されるとともに多孔質カーボン粒子110の表面にも存在しており、硫化物固体電解質130が前記連続相中に分散相として配置されている。これにより、多孔質カーボン粒子の表面に配置された硫化物固体電解質の少なくとも一部と、同様に多孔質カーボン粒子の表面に配置された正極活物質(硫黄)の少なくとも一部とが互いに接している。このような構成を有することで、特に多くの反応点(三相界面)を形成することが可能となる。また、図2の正極材料100においては、多孔質カーボン粒子110の内部よりも表面部分により多くの硫化物固体電解質130が充填されている。また、多孔質カーボン粒子110の表面に硫化物固体電解質130からなる被覆層が形成されている。これらの配置とすることにより、正極材料100のイオン伝導性が向上しうる。さらに、図2の正極材料100においては、多孔質カーボン粒子110の表面部分よりも内部により多くの正極活物質120が充填されている。このような配置とすることにより、正極材料100の電子伝導性が向上しうる。よって、これらの配置を有する正極材料100を二次電池に適用することにより、二次電池の内部抵抗をいっそう低減させることが可能となる。
以下、本形態に係る正極材料の製造方法の各工程について説明する。
工程(1)では、硫黄を含む正極活物質を含有する液体を、多孔質カーボン粒子に含浸させて複合材を得る。
硫黄を含む正極活物質の種類としては、特に制限されないが、硫黄単体(S)および硫化リチウム(LiS)のほか、有機硫黄化合物または無機硫黄化合物の粒子または薄膜が挙げられ、硫黄の酸化還元反応を利用して、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸蔵することができる物質であればよい。有機硫黄化合物としては、ジスルフィド化合物、国際公開第2010/044437号パンフレットに記載の化合物に代表される硫黄変性ポリアクリロニトリル、硫黄変性ポリイソプレン、ルベアン酸(ジチオオキサミド)、ポリ硫化カーボン等が挙げられる。一方、無機硫黄化合物は安定性に優れることから好ましく、具体的には、硫黄単体(S)、硫化リチウム(LiS)、S-カーボンコンポジット、TiS、TiS、TiS4、NiS、NiS、CuS、FeS、LiS、MoS、MoS、MnS、MnS、CoS、CoS等が挙げられる。なかでも、S、硫化リチウム(LiS)、S-カーボンコンポジット、TiS、TiS、TiS4、FeSおよびMoSが好ましく、硫黄単体(S)および硫化リチウム(LiS)、TiS、並びにFeSがより好ましく、高容量であるという観点からは硫黄単体(S)および硫化リチウム(LiS)が特に好ましい。なお、硫黄単体(S)としては、S構造を有するα硫黄、β硫黄、またはγ硫黄が用いられうる。
本形態に係る正極材料は、硫黄を含む正極活物質に加えて、硫黄を含まない正極活物質をさらに含んでもよい。硫黄を含まない正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、Li(Ni-Mn-Co)O等の層状岩塩型活物質、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO等のオリビン型活物質、LiFeSiO、LiMnSiO等のSi含有活物質等が挙げられる。また上記以外の酸化物活物質としては、例えば、LiTi12が挙げられる。
場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。ただし、正極活物質の全量100質量%に占める硫黄を含む正極活物質の含有量の割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、いっそう好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
硫黄を含む正極活物質を含有する液体としては、正極活物質そのものを加熱溶融させてなる溶融液や、正極活物質を溶媒に溶解させてなる正極活物質溶液が挙げられる。一例として、硫黄を含む正極活物質が硫黄単体である場合は、硫黄を含む正極活物質を含有する液体は硫黄を加熱溶融させてなる溶融液でありうる。これにより、硫黄を多孔質カーボン粒子の内部に充填でき、後述の工程(2)によりリン含有硫化物固体電解質を多孔質カーボン粒子の表面側に配置することができる。その結果、二次電池の内部抵抗をいっそう低減させることが可能となる。すなわち、好ましい一形態に係る正極材料の製造方法は、前記液体が、硫黄を加熱溶融させてなる溶融液である。他の一例として、硫黄を含む正極活物質が硫化リチウム(LiS)である場合は、硫黄を含む正極活物質を含有する液体は硫化リチウムを溶媒(好ましくは、炭素数1~4のアルコール)に溶解させてなる硫化リチウム溶液でありうる。これにより、硫化リチウムを多孔質カーボン粒子の内部に充填でき、後述の工程(2)によりリン含有硫化物固体電解質を多孔質カーボン粒子の表面側に配置することができる。その結果、二次電池の内部抵抗をいっそう低減させることが可能となる。すなわち、好ましい一形態に係る正極材料の製造方法は、前記液体が、硫化リチウムを溶媒(好ましくは、炭素数1~4のアルコール)に溶解させてなる硫化リチウム溶液である。
本明細書において、多孔質カーボン粒子とは、細孔を有し、主成分がカーボンからなる粒子状の炭素材料をいう。ここで、「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。「実質的に炭素原子からなる」とは、2~3質量%程度以下の不純物の混入が許容されうることを意味する。
多孔質カーボン粒子としては、例えば、活性炭、ケッチェンブラック(登録商標)(高導電性カーボンブラック)、(オイル)ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子(カーボン担体)が挙げられる。また、セラミックスなどの鋳型と樹脂などの炭素原料とを混合し、不活性雰囲気下で焼成し、その後、酸で鋳型を溶かすことによって鋳型の形状が転写された多孔質構造を有する炭素材料を合成し、これを多孔質カーボン粒子として用いてもよい。この際、鋳型の粒子径や炭素原料の配合比を適切に調整することにより、得られる炭素材料の細孔径や細孔容積を変化させることができる。
多孔質カーボン粒子のBET比表面積は、200m/g以上であることが好ましく、500m/g以上であることがより好ましく、800m/g以上であることがさらに好ましく、1200m/g以上であることが特に好ましく、1500m/g以上であることが最も好ましい。また、多孔質カーボン粒子の細孔容積は、1.0mL/g以上であることが好ましく、1.3mL/g以上であることがより好ましく、1.5mL/g以上であることがさらに好ましい。多孔質カーボン粒子のBET比表面積および細孔容積がこのような範囲内の値であれば、十分な量の細孔を保持することができ、ひいては十分な量の正極活物質を保持することが可能となる。なお、多孔質カーボン粒子のBET比表面積および細孔容積の値については、窒素吸脱着測定により測定が可能である。この窒素吸脱着測定は、マイクロトラック・ベル株式会社製BELSORP miniを用いて行い、-196℃の温度で、多点法で行う。0.01<P/P<0.05の相対圧の範囲での吸着等温線よりBET比表面積を求める。また、細孔容積については、0.96の相対圧における吸着Nの容積より求める。
多孔質カーボン粒子の平均細孔径は、特に限定されないが、1~50nmであることが好ましく、1~30nmであることが特に好ましい。多孔質カーボン粒子の平均細孔径がこれらの範囲内の値であれば、細孔の内部に配置された硫黄を含む正極活物質のうち細孔壁から離れた位置に存在する活物質まで十分に電子を供給することができる。なお、導電材料の平均細孔径の値は、BET比表面積および細孔容積の値を求める場合と同様に、窒素吸脱着測定により算出することができる。
多孔質カーボン粒子の平均粒子径(一次粒子径)は、特に限定されるものではないが、0.05~50μmであることが好ましく、0.1~20μmであることがより好ましく、0.5~10μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「多孔質カーボン粒子の粒子径」とは、多孔質カーボン粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「多孔質カーボン粒子の平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の算術平均値として算出される値を採用するものとする。
工程(1)において、正極活物質(例えば、硫黄)を加熱溶融させてなる溶融液を多孔質カーボン粒子に含浸させて複合材を得る場合、乳鉢等の混合手段を用いたミキシング処理や、遊星ボールミル等の粉砕手段を用いたミリング処理により、硫黄を含む正極活物質と多孔質カーボン粒子とを予め混合した後、熱処理により硫黄を含む正極活物質(例えば、硫黄)を溶融させることが好ましい。当該熱処理によって硫黄を含む正極活物質が多孔質カーボン粒子の細孔の内部にまで充填された複合材が得られる。
工程(1)において、正極活物質を溶媒に溶解させてなる正極活物質溶液を多孔質カーボン粒子に含浸させて複合材を得る場合、予め正極活物質を溶媒に溶解させてなる正極活物質溶液を調製する。この際の溶媒は、正極活物質を溶解可能なものであれば(常圧下、25℃における溶解度が1g/L以上であれば)、特に制限されない。例えば、正極活物質として硫化リチウムを用いる場合、溶媒は、溶解性、操作性、安全性等の観点から、低級アルコールが好適であり、炭素数1~4のアルコールであることが好ましい。炭素数1~4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノールが挙げられる。中でも、硫化リチウムの溶解性、操作性、安全性等の観点から、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、エタノールが特に好ましい。
上記溶媒は、水分含量が少ないものであることが好ましく、具体的には0.2質量%未満であることが好ましい。水分含量が0.2質量%未満であると、溶媒中の水分により正極活物質(硫化リチウム)が分解してしまうことを抑制できる。より好ましくは、溶媒中の水分含量は0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下であり、さらにより好ましくは0.02質量%以下であり、さらにより好ましくは0.01質量%以下であり、さらにより好ましくは0.005質量%以下であり、特に好ましくは0.002質量%以下である。溶媒中の水分含量は、例えば、カールフィッシャー電量滴定法によって測定することができる。
次いで、得られた正極活物質溶液に多孔質カーボン粒子を含浸させて分散液を調製し、その後、この分散液を撹拌しながら溶媒を除去する。溶媒の除去は、好ましくは減圧下で、例えば60~250℃、好ましくは150~180℃程度の温度で、例えば1~120時間、好ましくは1~10時間の熱処理を施すことにより行われる。これにより、硫黄を含む正極活物質が多孔質カーボン粒子の細孔の内部に充填された複合材が得られる。
工程(2)では、リン含有硫化物固体電解質溶液を、前記複合材に含浸させる。
リン含有硫化物固体電解質は、少なくともリチウム原子、リン原子、および硫黄原子を含有する硫化物固体電解質である。このようなリチウム原子、リン原子、および硫黄原子を含有する硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS、LiPS、LiS-P-LiI、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-P-Z(ただし、m、nは正の数であり、Zは、Ge、Zn、Gaのいずれかである)、LiS-SiS-LiPO等が挙げられる。また、Li骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LPSと称されるLi-P-S系固体電解質(例えば、Li11)が挙げられる。また、例えば、Li(4-x)Ge(1-x)(xは、0<x<1を満たす)で表されるLGPS等を用いてもよい。なかでも、活物質層に含まれるリン含有硫化物固体電解質は、LiS-Pを主成分とする材料であることがより好ましい。さらに、リン含有硫化物固体電解質は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)を含有していてもよい。好ましい一実施形態において、リン含有硫化物固体電解質はLiPSX(ここで、XはCl、BrもしくはIであり、好ましくはClである)を含む。これらの硫化物固体電解質は高いイオン伝導度を有していることから、内部抵抗の低減に有効に寄与しうる。
リン含有硫化物固体電解質溶液は、リン含有硫化物固体電解質を溶媒に溶解させることにより調製できる。ここで、溶媒は、リン含有硫化物固体電解質を溶解可能なものであれば(常圧下、25℃における溶解度が1g/L以上であれば)、特に制限されない。このような溶媒として、溶解性、操作性、安全性等の観点から、低級アルコールが好適であり、炭素数1~4のアルコールであることが好ましい。すなわち、好ましい一形態に係る正極材料の製造方法は、前記リン含有硫化物固体電解質溶液は、リン含有硫化物固体電解質を炭素数1~4のアルコールに溶解させてなる。炭素数1~4のアルコールとしては、上記工程(1)で説明したものを同様に適用することができる。
次いで、得られたリン含有硫化物固体電解質溶液を前記複合体に含浸させ、その後、この分散液を撹拌しながら溶媒を除去する。溶媒の除去は、好ましくは減圧下で、70℃以下の温度で行うことが好ましい。これにより固体電解質の分解が抑制され、内部抵抗がよりいっそう低減できる。
本形態の正極材料における硫黄を含む正極活物質とリン含有硫化物固体電解質との質量比は特に制限されないが、例えば、硫黄を含む正極活物質:リン含有硫化物固体電解質=1:99~99:1である。上記質量比は、好ましくは正極活物質:リン含有硫化物固体電解質=50:50~1:99であり、より好ましくは1:1~1:20である。上記範囲であれば、正極活物質の量を十分に確保できるために高性能の電池が得られうる。また、正極材料のイオン伝導性を確保でき、細孔内においてもイオン伝導のネットワークが十分に形成されるため好ましい。さらに、固体電解質が多すぎることによる固体電解質の分解も生じにくいため好ましい。また、硫黄を含む正極活物質と多孔質カーボン粒子との質量比は特に制限されないが、例えば、(硫黄を含む正極活物質/多孔質カーボン粒子)の比が、0.5~5であり、好ましくは1~4である。上記範囲であれば本発明の効果がより一層顕著に得られうる。
以上で説明した本形態の製造方法により得られる正極材料を二次電池に適用することにより、二次電池の内部抵抗をよりいっそう低減させることが可能となる。以下、本形態の正極材料が適用される二次電池について簡単に説明する。
図3は、本発明の一実施形態である扁平積層型の全固体リチウム二次電池の外観を表した斜視図である。図4は、図3に示す2-2線に沿う断面図である。積層型とすることで、電池をコンパクトにかつ高容量化することができる。なお、本明細書においては、図3および図4に示す扁平積層型の双極型でないリチウム二次電池(以下、単に「積層型電池」とも称する)を例に挙げて詳細に説明する。ただし、本形態に係るリチウム二次電池の内部における電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、非双極型(内部並列接続タイプ)電池および双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用しうるものである。
図3に示すように、積層型電池10aは、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための負極集電板25、正極集電板27が引き出されている。発電要素21は、積層型電池10aの電池外装材(ラミネートフィルム29)によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素21は、負極集電板25および正極集電板27を外部に引き出した状態で密封されている。
なお、本形態に係るリチウム二次電池は、積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。巻回型のリチウム二次電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材にラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素がアルミニウムを含むラミネートフィルムの内部に収容される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図3に示す集電板(25、27)の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。負極集電板25と正極集電板27とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、負極集電板25と正極集電板27をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図3に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウム電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
図4に示すように、本実施形態の積層型電池10aは、実際に充放電反応が進行する扁平略矩形の発電要素21が、電池外装材であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極と、固体電解質層17と、負極とを積層した構成を有している。正極は、正極集電体11”の両面に本発明の一形態に係る正極材料を含有する正極活物質層15が配置された構造を有する。これにより、積層型電池10aにおいて、内部抵抗が低減される。負極は、負極集電体11’の両面に負極活物質を含有する負極活物質層13が配置された構造を有する。具体的には、1つの正極活物質層15とこれに隣接する負極活物質層13とが、固体電解質層17を介して対向するようにして、正極、固体電解質層および負極がこの順に積層されている。これにより、隣接する正極、固体電解質層および負極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、図4に示す積層型電池10aは、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。
図4に示すように、発電要素21の両最外層に位置する最外層負極集電体には、いずれも片面のみに負極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、場合によっては、集電体(11’,11”)を用いることなく、負極活物質層13および正極活物質層15をそれぞれ負極および正極として用いてもよい。
負極集電体11’および正極集電体11”は、各電極(正極および負極)と導通される負極集電板(タブ)25および正極集電板(タブ)27がそれぞれ取り付けられ、電池外装材であるラミネートフィルム29の端部に挟まれるようにしてラミネートフィルム29の外部に導出される構造を有している。正極集電板27および負極集電板25はそれぞれ、必要に応じて正極リードおよび負極リード(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11”および負極集電体11’に超音波溶接や抵抗溶接などにより取り付けられていてもよい。
以下、本形態に係る二次電池の主要な構成部材について説明する。
[集電体]
集電体は、電極活物質層からの電子の移動を媒介する機能を有する。集電体を構成する材料に特に制限はない。集電体の構成材料としては、例えば、金属や、導電性を有する樹脂が採用されうる。
具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材などが用いられてもよい。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
また、導電性を有する樹脂としては、非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。
なお、集電体は、単独の材料からなる単層構造であってもよいし、あるいは、これらの材料からなる層を適宜組み合わせた積層構造であっても構わない。集電体の軽量化の観点からは、少なくとも導電性を有する樹脂からなる導電性樹脂層を含むことが好ましい。また、単電池層間のリチウムイオンの移動を遮断する観点からは、集電体の一部に金属層を設けてもよい。さらに、後述する負極活物質層や正極活物質層がそれ自体で導電性を有し集電機能を発揮できるのであれば、これらの電極活物質層とは別の部材としての集電体を用いなくともよい。このような形態においては、後述する負極活物質層がそのまま負極を構成し、後述する正極活物質層がそのまま正極を構成することとなる。
[負極(負極活物質層)]
図3および図4に示す実施形態に係る積層型電池において、負極活物質層13は、負極活物質を含む。負極活物質の種類としては、特に制限されないが、炭素材料、金属酸化物および金属活物質が挙げられる。また、負極活物質として、リチウムを含有する金属を用いてもよい。このような負極活物質は、リチウムを含有する活物質であれば特に限定されず、金属リチウムのほか、リチウム含有合金が挙げられる。リチウム含有合金としては、例えば、Liと、In、Al、SiおよびSnの少なくとも1種との合金が挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。負極活物質は、金属リチウムもしくはリチウム含有合金、ケイ素系負極活物質またはスズ系負極活物質を含むことが好ましく、金属リチウムまたはリチウム含有合金を含むことが特に好ましい。なお、負極活物質が金属リチウムまたはリチウム含有合金を用いる場合、電気デバイスとしてのリチウム二次電池は、充電過程において負極集電体上に負極活物質としてのリチウム金属を析出させる、いわゆるリチウム析出型のものでありうる。したがって、このような形態では、充電過程の進行に伴って負極活物質層の厚さは大きくなり、放電過程の進行に伴って負極活物質層の厚さは小さくなる。完全放電時には負極活物質層は存在していなくともよいが、場合によってはある程度のリチウム金属からなる負極活物質層を完全放電時において配置しておいてもよい。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40~99質量%の範囲内であることが好ましく、50~90質量%の範囲内であることがより好ましい。
負極活物質層は、固体電解質をさらに含むことが好ましい。負極活物質層が固体電解質を含むことにより、負極活物質層のイオン伝導性を向上させることができる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質が挙げられるが、硫化物固体電解質であることが好ましい。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS、LiPS、LiS-P-LiI、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-Z(ただし、m、nは正の数であり、Zは、Ge、Zn、Gaのいずれかである)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiMO(ただし、x、yは正の数であり、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれかである)等が挙げられる。なお、「LiS-P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
硫化物固体電解質は、例えば、LiPS骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよい。LiPS骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS、LiPSが挙げられる。また、Li骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LPSと称されるLi-P-S系固体電解質(例えば、Li11)が挙げられる。また、硫化物固体電解質として、例えば、Li(4-x)Ge(1-x)(xは、0<x<1を満たす)で表されるLGPS等を用いてもよい。なかでも、P元素を含む硫化物固体電解質であることが好ましく、LiS-Pを主成分とする材料であることがより好ましい。さらに、硫化物固体電解質は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)を含有していてもよい。好ましい一実施形態において、硫化物固体電解質はLiPSX(ここで、XはCl、BrもしくはIであり、好ましくはClである)を含む。
また、硫化物固体電解質がLiS-P系である場合、LiSおよびPの割合は、モル比で、LiS:P=50:50~100:0の範囲内であることが好ましく、なかでもLiS:P=70:30~80:20であることが好ましい。
また、硫化物固体電解質は、硫化物ガラスであってもよく、結晶化硫化物ガラスであってもよく、固相法により得られる結晶質材料であってもよい。なお、硫化物ガラスは、例えば原料組成物に対してメカニカルミリング(ボールミル等)を行うことにより得ることができる。また、結晶化硫化物ガラスは、例えば硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより得ることができる。また、硫化物固体電解質の常温(25℃)におけるイオン伝導度(例えば、Liイオン伝導度)は、例えば、1×10-5S/cm以上であることが好ましく、1×10-4S/cm以上であることがより好ましい。なお、固体電解質のイオン伝導度の値は、交流インピーダンス法により測定することができる。
酸化物固体電解質としては、例えば、NASICON型構造を有する化合物等が挙げられる。NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LAGP)、一般式Li1+xAlTi2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LATP)等が挙げられる。また、酸化物固体電解質の他の例としては、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.51TiO)、LiPON(例えば、Li2.9PO3.30.46)、LiLaZrO(例えば、LiLaZr12)等が挙げられる。
負極活物質層における固体電解質の含有量は、例えば、1~60質量%の範囲内であることが好ましく、10~50質量%の範囲内であることがより好ましい。
負極活物質層は、上述した負極活物質および固体電解質に加えて、導電助剤およびバインダの少なくとも1つをさらに含有していてもよい。
負極活物質層の厚さは、目的とする二次電池の構成によっても異なるが、例えば、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましい。
[固体電解質層]
図3および図4に示す実施形態に係る積層型電池において、固体電解質層は、上述した正極活物質層と負極活物質層との間に介在し、固体電解質を必須に含有する層である。
固体電解質層に含有される固体電解質の具体的な形態について特に制限はなく、負極活物質層の欄において例示した固体電解質およびその好ましい形態が同様に採用されうる。場合によっては、上述した固体電解質以外の固体電解質が併用されてもよい。
固体電解質層は、上述した所定の固体電解質に加えて、バインダをさらに含有していてもよい。
固体電解質層の厚みは、目的とするリチウム二次電池の構成によっても異なるが、電池の体積エネルギー密度を向上させうるという観点からは、好ましくは600μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、さらに好ましくは400μm以下である。一方、固体電解質層の厚みの下限値について特に制限はないが、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。
[正極活物質層]
図3および図4に示す実施形態に係る積層型電池において、正極活物質層は、本発明の一形態に係る製造方法により得られる正極材料を含む。本形態に係る正極材料については、上述したので、ここでは詳細な説明を省略する。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、35~99質量%の範囲内であることが好ましく、40~90質量%の範囲内であることがより好ましい。なお、この含有量の値は、多孔質カーボン粒子およびリン含有硫化物固体電解質を除く正極活物質のみの質量を基準に算出するものとする。
また、正極活物質層は、導電助剤(正極活物質や固体電解質を細孔内部に保持していないもの)および/またはバインダをさらに含んでもよい。
正極活物質層の厚さは、目的とする二次電池の構成によっても異なるが、例えば、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましい。
[正極集電板および負極集電板]
集電板(25、27)を構成する材料は、特に制限されず、二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板27と負極集電板25とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
[正極リードおよび負極リード]
また、図示は省略するが、集電体と集電板との間を正極リードや負極リードを介して電気的に接続してもよい。正極および負極リードの構成材料としては、公知のリチウム二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、図3および図4に示すように発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルム29を用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。また、外部から掛かる発電要素への群圧を容易に調整することができることから、外装体はアルミニウムを含むラミネートフィルムがより好ましい。
本形態に係る積層型電池は、複数の単電池層が並列に接続された構成を有することにより、高容量でサイクル耐久性に優れるものである。したがって、本形態に係る積層型電池は、EV、HEVの駆動用電源として好適に使用される。
以上、リチウム二次電池の一実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、本形態に係るリチウム二次電池が適用される電池の種類として、集電体の一方の面に電気的に結合した正極活物質層と、集電体の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層とを有する双極型電極を含む、双極型(バイポーラ型)の電池も挙げられる。
また、本形態に係る二次電池は、全固体型でなくてもよい。すなわち、固体電解質層は、従来公知の液体電解質(電解液)をさらに含有していてもよい。固体電解質層に含まれうる液体電解質(電解液)の量について特に制限はないが、固体電解質により形成された固体電解質層の形状が保持され、液体電解質(電解液)の液漏れが生じない程度の量であることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
《試験用セルの作製例》
[実施例1]
(正極材料の調製)
(1)露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、正極活物質である硫黄(Aldrich社製)2.571gと、多孔質カーボン粒子である多孔質炭素粉末(東洋炭素株式会社製、クノーベル(登録商標)P(3)010)0.429gとをメノウ乳鉢で十分に混合した後、混合粉末を密閉耐圧オートクレーブ容器に入れて185℃で8時間加熱することにより硫黄を溶融させて、硫黄含浸多孔質カーボン複合材を調製した。
(2)露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、硫化物固体電解質(Ampcera社製、LiPSCl)0.353gを18mLの超脱水エタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)に加え、溶液が透明になるまで撹拌して固体電解質をエタノールに溶解させた。得られた溶液に、上記で調製した硫黄含浸多孔質カーボン複合材1.647gを加え、よく撹拌して溶液中に硫黄含浸多孔質カーボン複合材を十分に分散させた。この分散液が入った容器を真空装置に接続し、マグネティックスターラーにより容器中の分散液を撹拌しながら油回転ポンプにより容器中を1Pa以下の減圧状態にした。減圧下では溶媒であるエタノールが揮発するため、時間の経過とともにエタノールが除去され、硫黄および固体電解質が細孔内に充填された多孔質カーボン粒子が容器内に残存した。このようにしてエタノールを減圧除去した後に減圧下で70℃に加熱し、3時間熱処理を行うことにより正極材料を調製した。
(正極合剤の調製)
露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mm径のジルコニアボール40gと、上記で調製した正極材料0.130gと、硫化物固体電解質(Ampcera社製、LiPSCl)0.070gとを容量45mLのジルコニア製容器に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P-7)により370rpmで6時間処理することにより、正極合剤の粉末を得た。正極合剤の組成(質量比)は、硫黄:固体電解質:多孔質カーボン=50:40:10であった。
(試験用セル(全固体リチウム二次電池)の作製)
電池の作製は、露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。マコール製の円筒チューブ治具(管内径10mm、外径23mm、高さ20mm)の片側にSUS製の円筒凸型パンチ(10mm径)を挿し入れ、円筒チューブ治具の上側から硫化物固体電解質(Ampcera社製、LiPSCl)80mgを入れた。その後、もう1つのSUS製円筒凸型パンチを挿し入れて固体電解質を挟み込み、油圧プレスを用いて75MPaの圧力で3分間プレスすることにより直径10mm、厚さ約0.6mmの固体電解質層を円筒チューブ治具中に形成した。次に、上側から挿し入れた円筒凸型パンチを一旦抜き取り、円筒チューブ内の固体電解質層の片側面に上記で調製した正極合剤7.5mgを入れ、再び上側から円筒凸型パンチ(正極集電体を兼ねる)を挿し入れ、300MPaの圧力で3分間プレスすることで、直径10mm、厚さ約0.06mmの正極活物質層を固体電解質層の片側面に形成した。次に、下側の円筒凸型パンチ(負極集電体を兼ねる)を抜き取り、負極として直径8mmに打ち抜いたリチウム箔(ニラコ社製、厚さ0.20mm)と直径9mmに打ち抜いたインジウム箔(ニラコ社製、厚さ0.30mm)を重ねて、インジウム箔が固体電解質層の側に位置するように円筒チューブ治具の下側から入れて、再び円筒凸型パンチを挿し入れ、75MPaの圧力で3分間プレスすることでリチウム-インジウム負極を形成した。以上のようにして、負極集電体(パンチ)、リチウム-インジウム負極、固体電解質層、正極活物質層、正極集電体(パンチ)がこの順に積層された試験用セル(全固体リチウム二次電池)を作製した。
[実施例2]
上記正極材料の調製の工程(2)において、固体電解質0.353gを15mLの超脱水エタノールに溶解させたこと以外は、上記実施例1と同様の手法により、試験用セルを作成した。
[実施例3]
上記正極材料の調製の工程(1)を以下の手法で行った。露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、正極活物質である硫化リチウム(LiS)0.167gを40mLの超脱水エタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)に加え、固体の粒子が見えなくなるまで撹拌して、正極活物質をエタノールに溶解させた。得られた溶液に、多孔質カーボン粒子である多孔質炭素粉末(東洋炭素株式会社製、クノーベル(登録商標)P(3)010)0.167gを加え、よく撹拌して溶液中に多孔質炭素粉末を十分に分散させた。この多孔質炭素粉末の分散液が入った容器を真空装置に接続し、マグネティックスターラーにより容器中の分散液を撹拌しながら油回転ポンプにより容器中を1Pa以下の減圧状態にした。減圧下では溶媒であるエタノールが揮発するため、時間の経過とともにエタノールが除去され、正極活物質を含浸した導電性多孔体が容器内に残存した。このようにしてエタノールを減圧除去した後に減圧下で180℃に加熱し、3時間熱処理を行うことにより硫化リチウム含浸多孔質カーボン複合材を調製した。これ以外は、上記実施例1と同様の手法により、試験用セルを作成した。
[比較例1]
上記正極材料の調製の(1)および工程(2)を行わず、以下の手法にて正極材料を調製した。露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mm径のジルコニアボール40gと、硫黄0.100gと、硫化物固体電解質0.080gと、多孔質炭素粉末0.020gとを容量45mLのジルコニア製容器に入れ、遊星ボールミルにより370rpmで6時間処理することにより、正極材料を調製した。これ以外は、上記実施例1と同様の手法により、試験用セルを作成した。
[比較例2]
上記正極材料の調製の工程(2)を行わず、工程(1)で得た硫黄含浸多孔質カーボン複合材を正極材料として用い、以下の手法にて正極合剤を調製した。露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mm径のジルコニアボール40gと、上記正極材料の調製の工程(1)で得た正極材料(硫黄含浸多孔質カーボン複合材)0.120gと、硫化物固体電解質0.080gとを容量45mLのジルコニア製容器に入れ、遊星ボールミルにより370rpmで6時間処理することにより、正極合剤の粉末を得た。正極合剤の組成(質量比)は、硫黄:固体電解質:多孔質カーボン=50:40:10であった。これ以外は、上記実施例1と同様の手法により、試験用セルを作成した。
[比較例3]
上記正極材料の調製の工程(1)および工程(2)を行わず、以下の手法にて正極材料を調製した。露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、硫化物固体電解質0.500gを100mLの超脱水エタノールに加え、溶液が透明になるまで撹拌して固体電解質をエタノールに溶解させた。得られた溶液に、多孔質カーボン粒子である活性炭(関西熱化学株式会社製、MSC-30)1.00gを加え、よく撹拌して溶液中に活性炭を十分に分散させた。この分散液が入った容器を真空装置に接続し、マグネティックスターラーにより容器中の分散液を撹拌しながら油回転ポンプにより容器中を1Pa以下の減圧状態にした。減圧下では溶媒であるエタノールが揮発するため、時間の経過とともにエタノールが除去され、固体電解質が細孔内に充填された多孔質カーボン粒子が容器内に残存した。このようにしてエタノールを減圧除去した後に減圧下で180℃に加熱し、3時間熱処理を行うことにより固体電解質含浸多孔質カーボン複合材を調製した。
露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、上記で調製した固体電解質含浸多孔質カーボン複合材0.750gと、硫黄2.50gとをメノウ乳鉢で十分に混合した後、混合粉末を密閉耐圧オートクレーブ容器に入れて170℃で3時間加熱することにより硫黄を溶融させて、硫黄を固体電解質含浸多孔質カーボン複合材に含浸させて、正極材料を調製した。これ以外は、上記実施例1と同様の手法により、試験用セルを作成した。
《試験用セルの内部抵抗の測定》
上記の実施例および比較例で調製した各試験用セルについて、下記の手法により内部抵抗値の測定を行った。なお、以下の測定はすべて、充放電試験装置(北斗電工株式会社製、HJ-SD8)を用い、25℃に設定した定温恒温槽中で行った。測定装置として、バイオロジック(Bio-Logic SAS(フランス))社製、商品名「SP-200」高性能電気化学測定システムを用いた。また、周波数範囲7MHz~0.1Hz、温度条件は室温(25℃)、印加電圧50mVの測定条件にて測定を行い、電気化学特性としてインピーダンスの測定を行った。恒温槽内に試験用セルを設置し、セル温度が一定になった後に評価を実施した。
これらの結果を下記の表1に示す。
Figure 2023082742000001
表1に示す結果から、本発明によれば、硫黄を含む正極活物質を用いた二次電池において、当該二次電池の内部抵抗をよりいっそう低減させうることがわかる。
10a 積層型電池、
11’ 負極集電体、
11” 正極集電体、
13 負極活物質層、
15 正極活物質層、
17 固体電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
25 負極集電板、
27 正極集電板、
29 ラミネートフィルム、
100、100’ 正極材料、
110 多孔質カーボン粒子、
110a 細孔、
120 正極活物質、
130 硫化物固体電解質。

Claims (4)

  1. 硫黄を含む正極活物質を含有する液体を、多孔質カーボン粒子に含浸させて複合材を得る工程と、
    リン含有硫化物固体電解質溶液を、前記複合材に含浸させる工程と、
    を含む、正極材料の製造方法。
  2. 前記液体は、硫黄を加熱溶融させてなる溶融液である、請求項1に記載の正極材料の製造方法。
  3. 前記液体は、硫化リチウムを炭素数1~4のアルコールに溶解させてなる硫化リチウム溶液である、請求項1に記載の正極材料の製造方法。
  4. 前記リン含有硫化物固体電解質溶液は、リン含有硫化物固体電解質を炭素数1~4のアルコールに溶解させてなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の正極材料の製造方法。
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