JP2023081867A - ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた積層体並びに積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリプロピレン樹脂またはポリプロピレン系樹脂組成物を含む積層体の押出ラミネートにおいて、当該押出ラミネートのネックインを低減させ、当該押出ラミネートを高速化させ、当該押出ラミネートの生産性を向上させ、多数のオレフィン樹脂を混合する手間を省き、もしくは、該積層体の透明性を向上させ、または、これらの複数を同時に満たすことである。【解決手段】(i)MFR(230℃、荷重2.16kgf)が16~70g/10分であり、(ii)Mw/Mnが2.0~5.0であり、(iii)W1Mが0.5~4.0質量%であり、(iv)g’が0.70~0.95であり、(v)(mm)が95%以上であり、(vi)ME190℃が1.4~3.0であるポリプロピレン樹脂(X)、並びに当該ポリプロピレン樹脂(X)を含むが、ポリエチレン樹脂を含有しないポリプロピレン系樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた積層体並びに積層体の製造方法に関し、詳しくは、押出ラミネート法によるポリプロピレン樹脂またはポリプロピレン系樹脂組成物の層を含む積層体の製造に関する。
従来から、食品包装用資材、工業用資材、建築用資材として、透明あるいは蒸着、印刷など、内容物の視認性の有無にかかわらず、各種樹脂フィルムやシート、金属箔、板、紙等の基材に、ポリオレフィン系樹脂を、ラミネート加工法により積層し、水蒸気遮断性、防水性、防錆性、傷付き防止性を付与した積層体が用いられてきた。ラミネート加工法は、基材にアンカーコート剤を介してポリオレフィン系樹脂を接着するドライラミネート工法、基材にポリオレフィン系樹脂を溶融押出して積層する押出ラミネーション工法が挙げられ、加工の簡便さ、近年のVOCフリー要求の高まりから、押出ラミネーション工法が可能なポリオレフィン系樹脂開発の要求が高まっている。
ポリプロピレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂と比較して、透明性、剛性、表面光沢性、耐熱性に優れる。一方で、ポリプロピレン系樹脂は、分子構造が線状であり、重量平均分子量もポリエチレン系樹脂ほど大きくすることができないため、溶融張力が低い。比較的高温で成形される押出ラミネート工法においては、溶融張力が高い樹脂は、ネックインが小さく、成形速度が高速でも、ドローレゾナンスが生じにくい傾向にあるが、溶融張力が低いポリプロピレン系樹脂は、押出ラミネート成形に用いることが困難であった。
ポリプロピレンに、低密度ポリエチレンや無定形エチレン-α-オレフィン共重合体を配合することにより、ネックイン高止まりは解決されるものの、透明性や耐熱性に劣り、また、ドローレゾナンスが発生しない成形速度上限(以下、「高速成形性」という。)の向上が十分ではないといった問題があった(特許文献1及び2参照。)。
高速成形性を改善する手法として、ポリプロピレンに、低密度ポリエチレンを配合した熱可塑性樹脂組成物に対して、オイル、ポリエチレンワックス等を配合する方法(特許文献3~5参照。)、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレンに、低密度ポリエチレンを配合した熱可塑性樹脂組成物を用いた押出ラミネートフィルムの製造法(特許文献6参照。)が開示されている。これらの方法では、ラミネートフィルムの原料に、ポリプロピレン以外の樹脂を添加しなければならない。
特開平8-259752号公報 特開2006-56914号公報 特公平5-80492号公報 特表2003-528948号公報 国際公開第2009/069595号 特開2001-323119号公報
本発明が解決しようとする課題は、ポリプロピレン樹脂以外の樹脂を添加しなくても、樹脂組成物を含む積層体の押出ラミネートにおいて、当該押出ラミネートのネックインを低減させ、当該押出ラミネートを高速化させ、当該押出ラミネートの生産性を向上させ、多数のオレフィン樹脂を混合する手間を省き、もしくは、該積層体の透明性を向上させ、または、これらの複数を同時に満たすことである。
本発明において課題を解決するための手段を反映した態様には、以下の態様がある。
態様1は、
MFR(230℃、荷重2.16kgf)が16~70g/10分であり、Mw/Mnが2.0~5.0であり、W1Mが0.5~4.0質量%であり、g’が0.70~0.95であり、(mm)が95%以上であり、ME190℃が1.4~3.0であるポリプロピレン樹脂(X)である。
態様2は、
MFR(230℃、荷重2.16kgf)が16~70g/10分であり、Mw/Mnが2.0~5.0であり、W1Mが0.5~4.0質量%であり、g’が0.70~0.95であり、(mm)が95%以上であり、ME190℃が1.4~3.0であるポリプロピレン樹脂(X)を含み、
ポリエチレン樹脂を含有しない
ポリプロピレン系樹脂組成物である。
態様3は、
基材層と、
態様1に記載のポリプロピレン樹脂(X)または態様2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の層とを含む
積層体である。
態様4は、
押し出しラミネート法による、態様3に記載の積層体の製造方法である。
本発明によれば、ポリプロピレン樹脂以外の樹脂を添加しなくても、樹脂組成物を含む積層体の押出ラミネートにおいて、当該押出ラミネートのネックインを低減させ、当該押出ラミネートを高速化させ、当該押出ラミネートの生産性を向上させ、多数のオレフィン樹脂を混合する手間を省き、もしくは、該積層体の透明性を向上させ、または、これらの複数を同時に満たすことができる。
本開示において、「Mw/Mn」は、重量平均分子量(以下、「Mw」という。)を数平均分子量(以下、「Mn」という。)で割って得た値を意味する。
本開示において、「W1M」は、分子量が100万以上の成分の割合を意味する。
本開示において、「MT230℃」は、230℃での単位gfで表記する溶融張力を意味する。
本開示において、「ME」は、メモリーエフェクトを意味する。
本開示において、「ME190℃」は、190℃での、メルトインデクサーの定速押出で押し出された樹脂の径/ダイ内径を意味する。
本開示において、「MFR」は、メルトフローレートを意味する。
本開示において、「ネックイン」は、押出機のダイから押し出す際のフィルムまたはシートの幅と、ダイから出たところのフィルムまたはシートの幅の差を意味する。
本開示において、「ドローレゾナンス」は、押し出し成形の際に、引取り方向に発生する積層体の厚みむらおよび/または当該積層体のエッジ部の伸縮が発生することを意味する。
本開示において、「g’」は、
[η]br/[η]lin
で求めた値である。ここで、[η]brは長鎖分岐構造を有するポリマー(この式の説明では、「br」という。)の固有粘度であり、[η]linは、brと同じ分子量を有する同種の直鎖状高分子ポリマーの固有粘度[η]linである。g’は、長鎖分岐構造が多いほど、小さな値をとる。
g’の解説が、「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に、記載されている。
本開示において、「(mm)」は、ポリプロピレン樹脂(X)中のプロピレン単位3連鎖中各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるものの割合である。
1.ポリプロピレン樹脂(X)
ポリプロピレン樹脂(X)の押出ラミネート成形のしやすさから、ポリプロピレン樹脂(X)のMFR(230℃、荷重2.16kgf)は、16~70g/10分が好ましく、18~60g/10分がより好ましく、20~50g/10分がさらに好ましく、30~50g/10分が最も好ましい。
ポリプロピレン樹脂のMFRは、(i)ポリプロピレン樹脂の重合の際の温度および/または圧力の変更および/または(ii)ポリプロピレン樹脂の重合の際に水素そのほかの連鎖移動剤をモノマーに添加することで、調整できる。
ポリプロピレン樹脂(X)の押出ラミネート成形のしやすさから、ポリプロピレン樹脂(X)のMw/Mnは、2.0~5.0が好ましく、2.1~4.6がより好ましく、2.2~4.2がさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂(X)のMw、MnおよびMw/Mnは、重合の温度や圧力の変更、水素そのほかの連鎖移動剤を重合時に添加およびその量、および/または当該重合の際の触媒の種類及び個々の触媒量の比率で調整できる。
ポリプロピレン樹脂(X)の押出ラミネート成形のしやすさから、ポリプロピレン樹脂(X)のMwは、16.0万~28.0万が好ましく、17.0万~26.0万がより好ましく、18.0万~24.0万がさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂(X)の押出ラミネート成形のしやすさおよび/またはフィッシュアイの発生低減その他の外観改良のため、ポリプロピレン樹脂(X)のW1Mは、0.5~4.0質量%が好ましく、1.0~3.5質量%がより好ましく、1.5~3.0質量%がさらに好ましい。
ポリマーのW1Mは、重合時に使用するより高分子量のポリマーが得られる触媒と、重合時に使用するより低分子量のポリマーが得られる触媒の比率の調整並びに重合時に添加する水素量および重合時の反応温度を調整することで、調整できる。
押し出しラミネートによって作製するフィルムの品質向上のため、ポリプロピレン樹脂(X)のg’は0.70~0.95が好ましく、0.72~0.90がより好ましく、0.75~0.88がさらに好ましく、0.80~0.85が特に好ましい。
特に、ポリプロピレン樹脂(X)のg’が0.70~0.95であると、押出ラミネートの高速化を達成することができる。そして、ポリプロピレン樹脂(X)のg’、MFR及びME190℃を好ましい範囲に調整することによって、押出ラミネートの高速化とネックイン低減の両立が可能となり、押出ラミネートの生産性を向上させることができる。そして、これにより、ポリエチレン樹脂を添加しなくても、押出ラミネートフィルムの製造に適したポリプロピレン系樹脂組成物を提供することができることから、多数のオレフィン樹脂を混合する手間を省くことができる。また、ポリプロピレン系樹脂組成物にポリエチレン樹脂を添加せずに済むことから、かかるポリプロピレン系樹脂組成物の層を備える積層体の透明性を向上させることもできる。
ポリプロピレン系樹脂の押出ラミネート成形に関する事項については、本開示中の押出ラミネート成形にかかる記載の「ポリプロピレン樹脂(X)」を、「ポリプロピレン系樹脂」に読み替えることができる。
ポリプロピレン樹脂(X)の長鎖分岐を多く導入することにより、g’を0.80~0.85付近に誘導できる。ポリプロピレン樹脂(X)の重合の際、メタロセン触媒の選択、当該触媒の組み合わせおよび/または当該触媒の量の比ならびに当該重合の際の予備重合条件の制御により、ポリプロピレン樹脂(X)の長鎖分岐を多く導入できる。
表層にポリプロピレン樹脂(X)を含む押出ラミネート積層体の耐候性を向上させるため、当該ポリプロピレン樹脂(X)の(mm)は、95%以上が好ましく、96%以上がより好ましい。
高結晶性の重合体の製造を可能にする重合触媒を用いることで、製造されるポリプロピレン樹脂(X)の(mm)を95%以上にさせることができる。当該重合触媒は、メタロセン触媒が好ましい。
ネックインを低減するため、ポリプロピレン樹脂(X)のME190℃は、1.4~3.0が好ましく、1.5~2.9がより好ましく、1.6~2.8がさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂(X)のME190℃が1.4以上であると、ネックインの低減効果が高く、また、3.0以下であると、延展性を向上させることができる。
ポリプロピレン樹脂(X)中の高分子量成分の割合を増加させることで、ME190℃の値を増加させることができる。また、ポリプロピレン樹脂(X)中の低分子量成分の割合を増加させることで、ME190℃を低下させることができる。
ポリプロピレン樹脂(X)の製造方法
高い立体規則性、分子量分布、g’、高い溶融張力等の条件を調整できるため、ポリプロピレン樹脂(X)の重合において、メタロセン触媒の組み合わせを利用したマクロマー共重合法が、好ましい。特開2009-57542号公報に、当該マクロマー共重合法の例が、記載されている。
ポリプロピレン樹脂(X)は、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン-α-オレフィン共重合体であってもよい。プロピレン単独重合体は、プロピレンモノマーを単独重合して得てもよい。プロピレン-α-オレフィン共重合体は、プロピレンモノマーと、プロピレンを除く炭素数3~20のα-オレフィンコモノマーを共重合して得てもよい。
炭素数3~20のα-オレフィンコモノマーとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル1-ペンテンなどのプロピレン以外のα-オレフィンが挙げられ、1-ブテンが好適に挙げられる。プロピレン-α-オレフィン共重合体中のコモノマーの含有量は、6.0質量%未満が好ましい。
ポリプロピレン樹脂(X)の形状は、パウダー状および粒子状などであってもよい。ポリプロピレン樹脂(X)のここで粒子状は、ポリプロピレン樹脂(X)の造粒物を含む。
付加的成分の混合によるポリプロピレン樹脂(X)の製造では、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、混練機および/またはタンブラーブレンダー等を利用できる。造粒物の製造は、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサー等の混練機が利用できる。
2.ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(X)を含むポリプロピレン系樹脂組成物である。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、1種または複数種のポリプロピレン樹脂(X)を含むことができ、ポリプロピレン樹脂(X)に該当しない1種または複数種のポリプロピレン樹脂を含んでいてもよい。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中のポリプロピレン樹脂(X)の含有量は、50質量%以上が好ましく、60~100質量%がより好ましい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリエチレン樹脂を含有しない。
ポリエチレン樹脂は、1種類又は2種類以上のエチレン系重合体からなる。エチレン系重合体は、エチレン単独重合体であってもよく、エチレン-α-オレフィン共重合体であってもよい。エチレン-α-オレフィン共重合体としては、主成分であるエチレンと好ましくは炭素数3~20のα-オレフィンを共重合して得られる共重合体であって、α-オレフィンとしては、炭素数3~20のもの、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ヘプテン等を好ましく例示できる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述のポリプロピレン樹脂(X)以外に、必要に応じて添加剤をさらに含むことができる。添加剤を適宜選択することで、ポリプロピレン系樹脂組成物の各種機能を向上させることができる。添加剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリプロピレン系樹脂組成物中の添加剤の含有量は、ポリプロピレン樹脂(X)100質量部に対し、例えば、0~10質量部であることが好ましい。
添加剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンやn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネートで代表されるフェノール系安定剤、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトやトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトなどで代表されるホスファイト系安定剤、高級脂肪酸アミドや高級脂肪酸エステルで代表される滑剤、炭素原子数8~22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステルなどの帯電防止剤、シリカ、炭酸カルシウム、タルクなどで代表されるブロッキング防止剤などがある。
また、紫外線吸収剤や光安定剤なども挙げられる。ポリプロピレン系樹脂組成物中に紫外線吸収剤および光安定剤を配合することで、ポリプロピレン系樹脂組成物の耐候性を向上させることができる。
紫外線吸収剤は、トリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケルキレート系紫外線吸収剤、無機微粒子系紫外線吸収剤などの、紫外線領域に吸収帯を持つ化合物である。このうちトリアゾール系紫外線吸収剤が典型的である。
トリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールなどがある。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノンなどがある。
サリシレート系紫外線吸収剤としては、例えば、4-t-ブチルフェニルサリシレートなどがある。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル(3,3-ジフェニル)シアノアクリレートなどがある。
ニッケルキレート系紫外線吸収剤としては、例えば、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどがある。
無機微粒子系紫外線吸収剤としては、例えば、TiO、ZnO、CeOなどがある。
典型的な光安定剤としては、ヒンダードアミン骨格を有する化合物(以下、「HALS」という。)などがある。
HALSには、セバケート型化合物、ブタンテトラカルボキシレート型化合物、コハク酸ポリエステル型化合物、トリアジン型化合物などがある。
セバケート型化合物としては、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートなどがある。
ブタンテトラカルボキシレート型化合物としては、例えば、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及びトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及びトリデシルアルコールとの縮合物などがある。
コハク酸ポリエステル型化合物としては、例えば、コハク酸と1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの縮合重合体などがある。
トリアジン型化合物としては、例えば、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ポリ{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ、ポリ(6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル){(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノなどがある。
また、改質剤なども挙げられる。ポリプロピレン系樹脂組成物中に改質剤を配合することで、ポリプロピレン系樹脂組成物の性能を向上または性質を調整することができる。改質剤としては、エラストマー、特にスチレン系エラストマーなどがある。
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン-イソプレンブロック共重合体の水素添加物スチレン-ビニル化ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン-ブタジエンランダム共重合体の水素添加物などがある。
ポリプロピレン系樹脂組成物の混合方法は、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどによるドライブレンド混合などがある。
3.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(X)と、必要に応じて使用される樹脂や添加剤などとを、従来公知の方法により配合・混合・溶融混練することにより、製造することができる。
混合は、通常、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機器を用いて行い、溶融混練は、通常、一軸押出機、二軸押出機、バンバリミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなどの混練機器を用いて溶融混練し、造粒する。
また、溶融混練・造粒して製造する際には、各成分の配合物を同時に混練してもよく、さらに、性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、先ず使用される成分の一部を混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、使用される成分をドライブレンドにて混合して製造されることが好ましい。
3.押出ラミネート
ポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物を、基材の表面に溶融押出ラミネートすることにより、ラミネート積層体が製造できる。
ポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物は、基材の片面または両側にラミネートできる。
押出ラミネートを行うための装置の多くが130m/minに対応しているため、延展性が130m/minを超えると、押出ラミネートの生産性が著しく向上する。
4.積層体
本発明の積層体は、少なくとも上述した本発明のポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物の層を含む積層体であり、特に、基材層と、上述した本発明のポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物の層とを含む積層体である。ポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物の層は、押し出しラミネート法により形成されることが好ましく、基材層の片面または両面に配置させることができる。
押出ラミネートによる積層体の作製の際、基材層の材質は、熱可塑性樹脂、紙および金属などである。
当該熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6・66、ポリアミド12等ポリアミド樹脂などおよびこれらの混合物である。当該金属は、アルミ、鉄などおよびこれらの合金である。
当該熱可塑性樹脂からなる基材層を備える場合、その積層体は、延伸してもよい。
当該基材は、一軸延伸されたものまたは二軸延伸されたもののどちらでもよい。当該積層体の剛性向上のため、当該延伸の基材は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。
当該基材層は、異なる材質の材料を積層したものであってもよく、例えば、当該熱可塑性樹脂と紙とを積層したものでもよい。
当該基材層の厚さは、5~100μmでよい。
当該基材層とポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物の層との積層方法は、押出ラミネート法、共押フィルム法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ホットメルトラミネート法、サーマルラミネート法などがある。
基材層の形態は、フィルム、シート、織布、不織布でもよい。基材層の構造は、単層でも複層でもよい。当該複層は、共押フィルム法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出ラミネート法、サーマルラミネート法などで作製できる。
当該基材層への加工は、アンカーコート加工、金属蒸着加工、コロナ放電処理加工、印刷加工などがある。
本発明の積層体は、各種食品や飲料、医薬・医療品、化粧品、衣料、文具、建材、電池包装、紙製品包装及びその他産業資材や工業資材等の包装に、利用できる。
5.積層体の製造方法
本発明の積層体の製造方法は、積層方法、例えば押出ラミネート法、共押フィルム法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ホットメルトラミネート法、サーマルラミネート法などにより、少なくとも上述した本発明のポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物の層を含む積層体を製造する方法であり、特に、基材層と、上述した本発明のポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物の層とを含む積層体を製造する方法である。ここで、積層方法としては、押し出しラミネート法が好ましい。ポリプロピレン系樹脂組成物の層は、基材層の片面または両面に積層させることができる。
積層体の基材は、「4.積層体」の内容を準じて取り扱える。
ラミネートの成型性の観点から、基材層上にポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物を押出ラミネートする際の、当該樹脂組成物の溶融押出温度は、180~320℃が好ましく、200~310℃がより好ましい。
接着性を向上するため、ポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物の溶融膜表面に、オゾン処理を施すことが好ましい。ポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物を含有するラミネートフィルムの強度向上のため、当該オゾン処理でのオゾン量は、溶融膜の表面積に対して0.01~1g/mが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物は、基材の片面および両面に押出ラミネートできる。
積層体の取り扱いがしやすいため、積層体中のポリプロピレン系樹脂組成物の厚みは、1~250μmが好ましく、3~200μmがより好ましく、5~150μmがさらに好ましい。
積層体の表面の機能性を向上するため、積層体のポリプロピレン樹脂(X)またはポリプロピレン系樹脂組成物の層表面への、金属蒸着加工、コロナ放電処理加工、印刷加工などフィルム加工処理が好ましい。
現在、使用されている押出ラミネート装置のラミネート速度は、130m/分のものが多い。このため、押出ラミネート用の樹脂組成物の延展性が130m/分を超えると、適用できる押出ラミネート製造機が飛躍的に増えるため、ラミネートの生産性が著しく増加する。
複数の種類のポリオレフィン樹脂を混合するのは手間がかかる。このため、製造工程を単純化することが可能なため、押出ラミネート用の樹脂組成物は、必要な添加剤と、ポリプロピレン樹脂のみからなるポリプロピレン系樹脂組成物が好ましい。
ME190℃の向上は、MEが大きいことを示す指標となる。MEが大きい樹脂は、樹脂内の分子の配向・配置が押出ラミネート後も維持されやすいことから、ME190℃の向上は、押し出しラミネートの分子のネックインが減少することにつながる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
本実施例において、「Mw」、「Mn」、「Mz」およびg’は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)で求めた。
本実施例において、「高速攪拌式混合機」は、商品名、ヘンシェルミキサーをいう。
1.評価方法
(1)MFR:
JIS K6921-1:2018の方法に従い、ポリプロピレン樹脂のMFR(230℃、荷重2.16kgf)を測定する。単位はg/10分である。
(2)分子量分布:
Mw、Mn、Mzおよび積分分子量分布曲線は、GPCで得る。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:0.5mg/mLのジブチルヒドロキシトルエンを含むo-ジクロロベンゼン溶液(以下、「ODCB+BHT」という。)
測定温度:140℃
流速:1.0mL/分
注入量:0.2mL
試料の調製は、試料とODCB+BHTを用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間要して溶解させて行う。
また、GPCで得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、いずれも東ソー社製の以下の銘柄である:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
それぞれの標準ポリスチレンが0.5mg/mLとなるように、ODCB+BHTに溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
ポリスチレンの場合:K=1.38×10-4、α=0.7
ポリプロピレンの場合:K=1.03×10-4、α=0.78
本実施例において、W1Mは、GPCによって得られる積分分子量分布曲線から、分子量100万までの積分値を除いた割合を100分率(%)で算出した値である。
(3)MT230℃:
東洋精機製作所製キャピログラフ1Bにより、以下の条件で、MT230℃を、測定する。
・キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
・シリンダー径:9.55mm
・シリンダー押出速度:20mm/分
・引き取り速度:4.0m/分
・温度:230℃
ただし、MT230℃が高い値の場合には、引き取り速度4.0m/分では、試料が破断してしまう場合があり、当該破断の場合には、引取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMT230℃とする。
(4)g’
具体的なg’の算出方法は、以下の通りである。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置であるWaters社製のAlliance GPCV2000を用いる。光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(以下、「MALS」という。)Wyatt Technology社のDAWN-Eを用いる。検出器は、MALS、RI、Viscometerの順で接続する。移動相溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼン(BASFジャパン社製酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。
流量は1mL/分で、カラムは、東ソー社製GMHHR-H(S) HTを2本連結して用いる。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとし、注入量、つまり、サンプルループ容量は0.2175mLである。
MALS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)により、MALSから得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を得る。
日本ポリプロ社製ノバテックPP(登録商標)であって、グレード名がFY6であるものを標準として、Mark-Houwink-Sakurada式で外挿することにより、[η]linを得る。
なお、g’を算出するあたり、この明細書に記載のない事項は、下記の文献を準拠する:
1.「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495-6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424-2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945-6952(2000)。
(5)mm分率:
13C-NMR測定の結果から、次式で、(mm)を算出する。
(mm)=Imm×100/(Imm+3×Imrrm)
ここで、Immは、I23.6~21.113Cシグナルの積分強度、Imrrmは、I19.8~19.713Cシグナルの積分強度である。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2-テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃においてプロトン完全デカップリング法で測定する。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2-テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定する。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
・フリップ角:90度
・パルス間隔:10秒
・共鳴周波数:100MHz以上
・積算回数:10,000回以上
・観測域:-20ppmから179ppm
・データポイント数:32768
Polymer Jounral,16巻,717頁(1984),朝倉書店、Macromolecules,8巻,687頁(1975年)、Polymer,30巻 1350頁(1989年)などを参照し、スペクトルの帰属を、特定する。
(6)エチレン含有量:
特開2013-199642号公報の段落[0120]~[0125]に記載の方法に従って、日本電子(株)製GSX-400による13C-NMRスペクトルを解析することにより、エチレン含有量を求める。
ただし、日本電子(株)製GSX-400が使用できない場合は、炭素核共鳴周波数100MHz以上の装置を使用する。
(7)ME190℃:
JIS K7210で使用されるメルトインデクサーを使用し、ME190℃を計測する。
メルトインデクサーのシリンダー温度は、190℃とする。メルトインデクサーの定速押出量3g/分とする。ダイスのオリフィス径(以下、ME190℃の計測方法において「D」という。)は、1mmとする。
メルトインデクサー装置に1.000mmφのMFR測定用ノズルをセットし、5gの樹脂をシリンダーに充填して、ピストンのみを載せて、6分間保持し、その後0.1g/分の押出速度をかけ,その後1分間の押出物を切り捨てる。次にエタノールを入れたメスシリンダーをノズル直下,液面が20mmになるように置き、エタノール中に、2本の8cmの真直な押出物を採取する。当該押出物の共両端から1cm離れた箇所の直径を測定し,当該直径の平均値を求めて、Dとする。
ME190℃をD/Dで算出する。
2.押出ラミネート成形性
(1)延展性:
ポリプロピレン系樹脂組成物を、口径40mmφの押出機に装着したTダイスから押出される樹脂の温度が290℃になるように設定した押出ラミネート装置を用い、エアギャップ130mm、冷却ロール表面温度20℃、ダイス幅400mm、ダイリップ開度0.8mmで、引き取り加工速度が40m/分の場合に被覆厚みが20μmになるように、押出量を調整して押出し、幅350mm、坪量75g/mのクラフト紙上に、引き取り速度を40m/分から上昇させながら押出ラミネート加工を行い、膜切れせず、かつ、ドローレゾナンスが発生しない最高加工速度(単位:m/分)を延展性とする。延展性が150m/分以上のことを、「>150m/分」と表記する。
(2)ネックイン:
当該押出ラミネート装置を用い、引き取り加工速度を40m/分の場合に被覆厚みが20μmになる押出量にし、適用できる最速の加工速度(m/分)で、坪量75g/mのクラフト紙上に、積層体を作製した際のネックインを計測する。
3.材料
(1)ポリプロピレン樹脂(X)
[製造例1(PP-1の製造)]
<触媒合成例1>
(1)錯体の合成
rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムを、特開2012-149160号公報の合成例1の方法に準じて合成する。
rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}]ハフニウムを、特開平11―240909号公報の実施例7の方法に準じて合成する。
(2)触媒の調製
(2-a)イオン交換性層状ケイ酸塩の化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けた1Lの3つ口フラスコに、645.1gの蒸留水と82.6gの98重量%硫酸を加え、95℃まで昇温する。
そこへ、100gのモンモリロナイトを添加し、95℃で320分反応させる。反応開始から320分後に、0.5Lの蒸留水を加えて反応を停止し、濾過して、255gの固体を得る。
当該モンモリロナイトは、水澤化学工業社製ベンクレイKKであり、Al=9.78質量%、Si=31.79質量%、Mg=3.18質量%、Al/Si(モル比)=0.320、平均粒径14μmである。
当該固体1gには、0.31gの中間物が含まれている。中間物の化学組成は、Al=7.68質量%、Si=36.05質量% Mg=2.13質量%、Al/Si(モル比)=0.222である。
当該固体に蒸留水1545gを加えスラリー化し、40℃まで昇温する。水酸化リチウム・水和物5.734gを固体のまま加え、40℃で1時間反応させる。1時間後、反応スラリーを濾過し、1Lの蒸留水で3回洗浄し、固形物を得る。
当該固形物を乾燥し、化学処理モンモリロナイト80gを得る。この化学処理モンモリロナイトの化学組成は、Al=7.68質量%、Si=36.05質量%、Mg=2.13質量%、Al/Si(モル比)=0.222、Li=0.53質量%である。
(2-b)予備重合
内容積1mの反応器に、当該固形物150kgを入れ、ヘキサン2832Lを加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム74.4kg(375mol)を85分かけて投入し60分間攪拌する。その後ヘキサンで1/32まで洗浄し、全容量を900Lとする。
この化学処理モンモリロナイトが入ったスラリー溶液を50℃に保ち、そこへトリイソブチルアルミニウム0.65kg(濃度15.3質量%のヘキサン溶液4.257kg 3.28mol)を加える。
5分間撹拌した後に、rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}]ハフニウム0.657kg(0.81mol)とトルエン96Lを加え、60分間撹拌を続ける。
その後、トリノルマルオクチルアルミニウム9.758kg(26.61mol)を加えて6分間撹拌した後、別の撹拌装置付き容器に、トルエン240Lにトリイソブチルアルミニウム0.064kg(濃度0.648質量%のトルエン溶液を9.88kg、0.32mol)を加えたところへrac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム1.768kg(1.89mol)を加えて調製しておいた溶液を投入し、トルエン100Lを加え、さらに20分間撹拌を続ける。
その後ヘキサン2387Lを追加し、反応器の内部温度を40℃にしたのち、プロピレン328.1kgを240分間かけてフィードし40℃を保ちながら予備重合を行う。
その後、プロピレンフィードを止めて、40℃のまま80分間残重合を行う。
残重合終了後、撹拌を停止し内容物を沈降させて静置する。当該内容物の上澄みを溶液量が1500Lになるように除去し、トリイソブチルアルミニウム12.7kgを加えて再びヘキサンを3974L加え撹拌した後に静置する。当該上澄みを溶液量が1500Lになるまで繰り返し、清浄物を得る。
当該清浄物に、42.9kgの20.8質量%トリイソブチルアルミニウムヘキサン溶液(溶液中のトリイソブチルアルミニウムは8.9kgである。)と、ヘキサン205Lを加え、反応液を得る。
当該反応液を乾燥機へ移送し、40度で9時間乾燥させ、乾燥予備重合触媒465kgを得て、触媒1と名付ける。
当該乾燥予備重合触媒の予備重合倍率は2.10である。予備重合倍率は、予備重合ポリマーの重量/固体触媒の重量で算出する値である。
<重合>
20Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却する。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)18.7mL、Hを1.02NL導入した後に液体プロピレン5000gを導入した後、63℃まで昇温する。その後、触媒1を、予備重合ポリマーを除いた質量で300mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送して重合を開始し、速やかに70℃まで昇温する。そのまま70℃で保持し、重合開始から1時間後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止し、2922gの重合体パウダー(以下、「PP1」という。)を得る。
PP1の触媒活性(PP1/触媒)は9740g/gである。PP1のMFRは32g/10分である。
[製造例2(PP2の製造)]
製造例1の製造方法において、Hの導入量を1.28NLに変更し、予備重合ポリマーを除いた触媒1の質量を220mgに変更し、2508gの重合体パウダー(以下「PP2」という。)を得る。
PP2の触媒活性(PP2/触媒)は11400g/gである。PP2のMFRは60g/10分である。
[製造例3(PP3の製造)]
製造例1の製造方法において、Hの導入量を、0.95NLに変更し、触媒1を、予備重合ポリマーを除いた触媒1の質量を、200mgに変更し、1583gの重合体パウダー(以下「PP3」という。)を得る。
PP3の触媒活性(PP3/触媒)は7915g/gである。PP3のMFRは15g/10分である。
<ペレットの製造>
[ポリプロピレン樹脂のペレット(X-1)~(X-3)の製造]
100質量部のPP1に対し、0.125質量部のIRGANOX1010、0.125質量部のIRGAFOS 168を配合し、高速攪拌式混合機を用いて、室温下で3分間混合した後、二軸押出機にて溶融混練し、ポリプロピレン樹脂のペレット(X-1)を得る。
IRGANOX1010は、BASFジャパン株式会社製のテトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト]メタンである。
IRGAFOS 168は、BASFジャパン株式会社製のトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトである。
ポリプロピレン樹脂のペレット(X-1)の製造におけるPP1を、PP2に置き換えることで、ポリプロピレン樹脂のペレット(X-2)を得る。
ポリプロピレン樹脂のペレット(X-1)の製造におけるPP1を、PP3に置き換えることで、ポリプロピレン樹脂のペレット(X-3)を得る。
当該二軸押出機は、テクノベル社製KZW-25である。当該二軸押出機のスクリュー回転数は400RPMとする。当該二軸押出機の混練温度は、ホッパー下から80℃、160℃、210℃、230℃(以降、ダイス出口まで230℃)となるように設定する。
ポリプロピレン樹脂のペレット(X-1)~(X-3)(表中では、単に「X-1」などという。)の評価結果を、表1に示す。
Figure 2023081867000001
ポリプロピレン系樹脂(Y-1)は、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FL03HB」、ホモラミネート用グレード、MFR=26g/10分、Mw/Mn=5.8、W1M=1.9、g’=1.0、(mm)=98.3%、ME190℃=1.3である。
表2に樹脂並びにその樹脂のMFR、延展性、ネックインおよびヘイズを示す。また、ヘイズの測定方法についても記載する。
Figure 2023081867000002
HAZE(ヘイズ):
上述した押出ラミネート装置を用い、加工速度が40m/minで、厚み20μmの二軸延伸PPフィルム上に、押出ラミネート被覆厚みが20μmの積層体を作製した。
得られた積層体のHAZEを、JIS K7105に準拠して測定した。

Claims (4)

  1. (i)MFR(230℃、荷重2.16kgf)が16~70g/10分であり、
    (ii)Mw/Mnが2.0~5.0であり、
    (iii)W1Mが0.5~4.0質量%であり、
    (iv)g’が0.70~0.95であり、
    (v)(mm)が95%以上であり、
    (vi)ME190℃が1.4~3.0であるポリプロピレン樹脂(X)。
  2. (1)(i)MFR(230℃、荷重2.16kgf)が16~70g/10分であり、
    (ii)Mw/Mnが2.0~5.0であり、
    (iii)W1Mが0.5~4.0質量%であり、
    (iv)g’が0.70~0.95であり、
    (v)(mm)が95%以上であり、
    (vi)ME190℃が1.4~3.0であるポリプロピレン樹脂(X)を含み、
    (2)ポリエチレン樹脂を含有しない
    ポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 基材層と、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂(X)または請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の層とを含む積層体。
  4. 押し出しラミネート法による、請求項3に記載の積層体の製造方法。
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