JP2023078891A - 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤、該劣化臭抑制剤を含む水中油型乳化食品及びそれらの製造方法 - Google Patents

水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤、該劣化臭抑制剤を含む水中油型乳化食品及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】添加剤由来の色調の変化がなく、水中油型乳化食品本来の風味を損なうことなく、保存による水中油型乳化食品の劣化臭を抑制することができる天然由来の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤、該劣化臭抑制剤を含む水中油型乳化食品、及びそれらの製造方法の提供。【解決手段】キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂を合計で前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中0.013~100重量%含む。前記キノコ類の抽出物は、キノコ類(湿重量)/油脂(重量比)が0.05~10である混合物が、40~200℃で、0.1~3時間加熱処理された後、キノコ類の抽出残渣が除去された抽出物である。【選択図】なし

Description

本発明は、水中油型乳化食品に対して用いられる、劣化臭抑制剤に関する。
ホイップドクリームやマヨネーズ等の水中油型乳化食品を高温下、光曝露下、酸素曝露下等で保存すると、揮発性アルデヒド等に由来する劣化臭が発生し、品質を大幅に低下させてしまう。例えば、ホイップドクリームは、低温で保存していても、店頭の照明や酸素との接触により、劣化臭が発生し、本来の乳風味が低減する。また、マヨネーズは、劣化臭が発生し、本来の風味が悪くなったり、酸味が増強される。
このような劣化臭を抑制する目的で、従来、天然のトコフェロールが使用されているが、保存によってトコフェロール自体が酸化して色が付いたり、食品本来の風味を損なうといった問題がある。また、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアヤレチック酸等の合成酸化防止剤が使用されているが、近年、これら合成酸化防止剤は消費者の安全性に対する意識の高まりにより、使用しないことが望まれている。
特許文献1には、光照射による風味劣化を抑制するために、トコフェロールと、チャ抽出物と、酵素処理ルチン抽出物、没食子酸、ローズマリー抽出物からなる群より選ばれる1種以上と、特定量のゼラチンと、油脂とを含有するホイップドクリームが開示されている。
しかしながら、前記ホイップドクリームは、トコフェロールとチャ抽出物を必須成分として含有するために色調が変化し、ホイップドクリーム本来の風味も損なわれてしまう。酵素処理ルチン抽出物、没食子酸、ローズマリー抽出物に関しても同様である。
特開2011-152082号公報
本発明の目的は、添加剤由来の色調の変化がなく、水中油型乳化食品本来の風味を損なうことなく、保存による水中油型乳化食品の劣化臭を抑制することができる天然由来の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤、該劣化臭抑制剤を含む水中油型乳化食品、及びそれらの製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定条件で抽出されたキノコ類の抽出物に含まれる固形分を水中油型乳化食品に特定量添加することにより、添加剤由来の色調の変化がなく、水中油型乳化食品本来の風味を損なうことなく、保存による水中油型乳化食品の劣化臭を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤であって、キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂を合計で前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中0.013~100重量%含み、前記キノコ類の抽出物は、キノコ類(湿重量)/油脂(重量比)が0.05~10である混合物が、40~200℃で、0.1~3時間加熱処理された後、キノコ類の抽出残渣が除去された抽出物である、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤に関する。
前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤において、加熱処理時の圧力が0.001~0.3MPaであることが好ましい。
前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤において、前記キノコ類が、エノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジ、椎茸、エリンギ、及びマッシュルームからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の第二は、前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有し、固形分換算で、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量が水中油型乳化食品全体中0.0002~1.5重量%である、水中油型乳化食品に関する。
本発明の第三は、前記水中油型乳化食品が用いられた食品に関する。
本発明の第四は、キノコ類と油脂を、キノコ類(湿重量)/油脂(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせた混合物を、40~200℃で、0.1~3時間加熱処理した後、キノコ類の抽出残渣を除去することを特徴とする、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の製造方法に関する。
前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の製造方法において、加熱処理時の圧力が0.001~0.3MPaであることが好ましい。
本発明の第五は、キノコ類と油脂を、キノコ類(湿重量)/油脂(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせて混合物を得、該混合物を40~200℃で、0.1~3時間加熱処理した後、キノコ類の抽出残渣を除去して水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を得、得られた水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を固形分換算で、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量が水中油型乳化食品全体中0.0002~1.5重量%となるように、均質化して乳化する前の水中油型乳化食品の水相及び/又は油相の原料と混合した後、均質化して乳化することを特徴とする、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤入り水中油型乳化食品の製造方法に関する。
前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤入り水中油型乳化食品の製造方法において、加熱処理時の圧力が0.001~0.3MPaであることが好ましい。
本発明に従えば、添加剤由来の色調の変化がなく、水中油型乳化食品本来の風味を損なうことなく、保存による水中油型乳化食品の劣化臭を抑制することができる天然由来の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤、該劣化臭抑制剤を含む水中油型乳化食品、及びそれらの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態に係る水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤は、水中油型乳化食品に対して用いられる添加剤である。当該劣化臭抑制剤を水中油型乳化食品に添加することにより、水中油型乳化食品の保存中に経時的に発生する劣化臭を抑制することができる。
本実施形態に係る水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤は、キノコ類と油脂を特定の混合比で含む混合物が、特定温度で特定時間をかけて加熱処理された後、抽出残渣が除去されたキノコ類の抽出物を含み、それは該劣化臭抑制剤が該キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂を特定量含むことを意味する。
前記キノコ類は、食用のキノコであれば特に限定されないが、エノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジ、椎茸、エリンギ、マッシュルームが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制効果、キノコの原材料費、及びキノコ自体の風味の観点から、エノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジがより好ましく、エノキタケ、舞茸、タモギタケが更に好ましく、エノキタケ、舞茸が特に好ましく、エノキタケが最も好ましい。
前記エノキタケは、タマバリタケ科のキノコの一種であるFlammulina velutipes種のことをいう。例えば、人工的に栽培した白色かつもやし状の市販エノキタケ、野生種と栽培種の白色エノキタケをかけあわせたブラウン系エノキタケ、野生種等を使用することができる。前記市販エノキタケは、一般に食用とされており、容易に入手可能である。
前記舞茸は、サルノコシカケ科マイタケ属に属するキノコの一種であるGrifola frondosa種のことをいう。舞茸の近縁種として、白舞茸も包含する。舞茸としては、子実体、菌糸体いずれも使用することができる。
前記タモギタケは、ヒラタケ科のキノコの一種であるPleurotus cornucopiae var. citrinopileatus種のことをいう。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
前記シメジは、シメジ属に属するカクミノシメジ(Lyophyllum sykosporum種)、スミゾメシメジ(Lyophyllum semitale種)、シャカシメジ(Lyophyllum fumosum種)、ホンシメジ(Lyophyllum shimeji種)、ハタケシメジ(Lyophyllum decastes種)、オシロイシメジ(Lyophyllum cnnatum種)、及び、シロタモギタケ属に属するブナシメジ(Hypsizigus marmoreus種)のことをいう。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
前記椎茸は、ハラタケ目キシメジ科シイタケ属のキノコの一種であるLentinula edodes種のことをいう。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
前記エリンギは、ヒラタケ科ヒラタケ属のキノコの一種であるPleurotus eryngii種のことをいう。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
前記マッシュルームは、ハラタケ科ハラタケ属に属するキノコの一種である。マッシュルームの品種は特に限定されず、Agaricus bisporus種のホワイト種、オフホワイト種、クリーム種、ブラウン種、Agaricus bitorquis種などが例示され、いずれも好ましく使用することができる。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
前記キノコ類の抽出物を得るために使用する油脂は、食用であれば特に限定されず、植物性油脂、動物性油脂、食用精製加工油脂等を用いることができる。具体的にはサフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、胡桃油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、綿実油、ナタネ油、ハイオレイックナタネ油、大豆油、米糠油、胡麻油、玉蜀黍油、落花生油、オリーブ油、椿油、椰子油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、及びシア脂等の植物性油脂、魚油、牛脂、豚脂、及び乳脂等の動物性油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド、これらの油脂を原料にエステル交換したもの、並びにこれらの油脂を原料にした硬化油、分別油、及び混合油が挙げられ、これら油脂の群から選択される少なくとも1種を用いることができる。水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制効果の観点から、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックひまわり油、綿実油、ナタネ油、及びハイオレイック菜種油からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
抽出溶媒には、本発明の効果を損なわない限り、油脂以外にも、水やエタノール、乳化剤などが混ざっていても良い。
前記加熱処理時に用いる前記混合物においては、前記キノコ類(湿重量)/前記油脂(重量比)が0.05~10であることが好ましく、0.08~5がより好ましく、0.14~1が更に好ましい。前記重量比が0.05より小さいと、水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が十分に得られない場合がある。また、前記重量比が10を超えると、抽出効率が悪くなって前記水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制剤の製造コストが上がる場合がある。ここで、前記キノコ類の重量は湿重量であるが、使用するキノコ類は生キノコ類でもよいし、乾燥したキノコ類でもよい。ただし、乾燥したキノコ類を用いる場合は、該乾燥キノコの重量ではなく、キノコ類が生の状態の時の湿重量を用いて、前記重量比を計算する。
前記キノコ類と前記油脂の混合物は、特定温度で特定時間をかけて加熱処理されることが好ましい。加熱処理の温度は、40~200℃であることが好ましく、80~150℃がより好ましく、100~130℃が更に好ましく、105~125℃が特に好ましい。加熱処理温度が40℃より低いと、抽出効率が悪くなったり、水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が十分に得られない場合がある。また、加熱処理温度が200℃を超えると、特殊な加圧設備が必要となるため、抽出方法が複雑になる場合がある。
前記加熱処理の時間は、0.1~3時間であることが好ましく、0.5~3時間がより好ましく、0.8~1.8時間が更に好ましい。加熱処理時間が0.1時間より短いと、抽出効率が悪くなったり、水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が十分に得られない場合がある。また、加熱処理時間が3時間を超えると、抽出に時間を要するにも関わらず水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が頭打ちになってしまい、結果的に抽出効率が悪くなる場合がある。
抽出効率をより高める観点からは、前記加熱処理を実施する際に、圧力をかけることが好ましい。具体的には、前記加熱処理の圧力は、0.001~0.3MPaであることが好ましく、0.1~0.2MPaがより好ましい。加熱処理時の圧力が前記範囲を外れると、期待した程の抽出効率の向上効果が得られない場合がある。なお、前記圧力とは、ゲージ圧を意味し、大気圧をゼロとする相対的な圧力のことである。
前記加熱処理が終了した後、キノコ類の抽出残渣を除去することで、前記キノコ類の抽出物を得ることができ、そのまま水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いることができる。当該抽出残渣の除去方法としては、特に限定されないが、例えば、ろ過、遠心分離、沈降分離、圧搾などが挙げられる。
前記抽出残渣を除去したキノコ類の抽出物を水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いるのに脱水処理を必須としないが、保存性の観点からは、脱水処理を施すことが好ましい。前記脱水処理の方法としては、例えば、減圧乾燥、遠心分離、加熱分離などが挙げられる。
前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の形態は特に限定されず、前記キノコ類の抽出物、即ち該抽出物に含まれる固形分及び抽出溶媒である油脂の混合物そのものであってもよいし、前記抽出物の希釈物であってもよい。前記希釈の際に用いる溶媒は、油脂であってもよいし、油脂以外の溶媒であってもよく、前記油脂以外の溶媒としては、エタノールやプロピレングリコール等が挙げられる。
また、前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の形態は、前記抽出物を固化して得られる固形物であってもよい。前記固形物の形状は特に限定されず、粉末状、顆粒状、ブロック状等の形状であってもよい。前記固形物を得る際に使用できる賦形剤としては、例えば、デキストリン、乳糖、デンプン、白糖、常温で固形状の油脂等が挙げられる。
計量や取り扱いの容易さの観点からは、前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤は、液状であることが好ましい。
前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤は、その形態に関わらず、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂以外の他の成分を更に含有してもよい。そのような他の成分としては、発明の効果を阻害しない限り特に限定されず、油脂以外の溶媒、酒類、動植物由来の抽出物(前記キノコ類の抽出物を除く)、糖類、塩類、調味料、香辛料、香料、着色料、酸化防止剤、乳化剤、水等が挙げられる。
前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤は、水中油型乳化食品に添加されることで、水中油型乳化食品の保存中に経時的に発生する劣化臭、具体的には、該食品中の油脂の酸化に起因する油脂の劣化臭を抑制することができる。前記水中油型乳化食品は、本発明の一態様を構成する。
前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤は、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分と抽出溶媒である油脂を含み、その含有量は、水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制効果の観点から、固形分換算で、前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中、0.013~100重量%であることが好ましく、1~100重量%がより好ましく、20~100重量%が更に好ましい。
前記水中油型乳化食品の具体例としては特に限定されないが、例えば、ホイップクリームやこれをホイップしたホイップドクリーム;製菓又は製パン用練り込みクリーム;料理用クリーム;飲料用クリーム;マヨネーズ;フラワーペースト;アイスクリーム類,ヨーグルト,乳飲料,練乳及びクリームチーズなどの乳製品;並びに豆乳等が挙げられる。
前記水中油型乳化食品において、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は、水中油型乳化食品全体中0.0002~1.5重量%であることが好ましく、0.005~1重量%がより好ましく、0.01~0.8重量%が更に好ましく、0.02~0.2重量%が特に好ましい。前記含有量が0.0002重量%より少ないと、水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が十分に得られない場合がある。また、1.5重量%より多いと、水中油型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が頭打ちになったり、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の原料であるキノコ類の風味が水中油型乳化食品に付与される場合がある。
前記キノコ類の抽出物がエノキタケ抽出物である場合、前記エノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量を、水中油型乳化食品全体中、0.0002~1.5重量%とすることが好ましく、0.005~1重量%がより好ましく、0.01~0.8重量%が更に好ましく、0.02~0.2重量%が特に好ましい。
前記キノコ類の抽出物が舞茸抽出物である場合、前記舞茸抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量を、水中油型乳化食品全体中、0.0002~1.4重量%とすることが好ましい。
前記キノコ類の抽出物がタモギタケ抽出物である場合、前記タモギタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量を、水中油型乳化食品全体中、0.0002~1.5重量%とすることが好ましい。
前記キノコ類の抽出物がシメジ抽出物である場合、前記シメジ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量を、水中油型乳化食品全体中、0.0003~1.5重量%とすることが好ましい。
前記キノコ類の抽出物が椎茸抽出物である場合、前記椎茸抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量を、水中油型乳化食品全体中、0.0003~1.4重量%とすることが好ましい。
前記キノコ類の抽出物がエリンギ抽出物である場合、前記エリンギ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量を、水中油型乳化食品全体中、0.0003~1.5重量%とすることが好ましい。
前記キノコ類の抽出物がマッシュルーム抽出物である場合、前記マッシュルーム抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量を、水中油型乳化食品全体中、0.0002~1.4重量%とすることが好ましい。
本発明の一態様は、前記水中油型乳化食品を原料として用いられた食品に関する。当該食品も、本発明の効果を享受することができる。前記水中油型乳化食品を原料として用いられた食品としては、例えば、製菓又は製パン用練り込みクリームを使用して作製した菓子又はパン;料理用クリームを使用して作製したシチュー、スープ及びホワイトソース;アイスクリーム類、ヨーグルト、乳飲料、練乳及びクリームチーズなどの水中油型乳化の乳製品;飲料用クリームを使用して作製したコーヒー飲料、ココア飲料、シェイク、ドリンクヨーグルト及びスムージーなどの飲料;並びにマヨネーズを使用して作製したソース等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の製造方法を以下に例示する。まず、キノコ類と油脂を、キノコ類(湿重量)/油脂(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせる。混ぜ合わせた混合物を、好適には40~200℃で、0.1~3時間加熱処理した後、キノコ類の抽出残渣を除去することで、キノコ類の抽出物を得ることができ、そのまま又は希釈若しくは固化して、本発明の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として使用できる。キノコ類の抽出残渣を除去する前後には、5~50℃まで冷却することが好ましい。
抽出効率をより高める観点から、前記加熱処理時の圧力は、0.001~0.3MPaであることが好ましく、0.1~0.2MPaがより好ましい。加熱処理時の圧力が前記範囲を外れると、期待した程の抽出効率の向上効果が得られない場合がある。なお、前記圧力とは、ゲージ圧を意味し、大気圧をゼロとする相対的な圧力のことである。
本発明の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤入り水中油型乳化食品の製造方法を以下に例示する。まずは前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を、固形分換算で、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量が水中油型乳化食品全体中0.0002~1.5重量%となるように、均質化して乳化する前の水中油型乳化食品の水相及び/又は油相の原料と混合した後、均質化して乳化すればよい。なお、均質化後に前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を添加しても構わない。
前記水中油型乳化食品を原料として食品に用いる方法としては特に限定されず、常法に従えばよい。例えば、前記食品の製造中又は製造後に、前記水中油型乳化食品を他の食品原料に添加し、混合すればよい。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)(株)カネカ製「パーム核油」(上昇融点:27℃)
2)(株)カネカ製「硬化パーム核油」(上昇融点:40℃)
3)(株)カネカ製「パーム油中融点部」(上昇融点:27℃)
4)(株)カネカ製「パームオレイン」
5)ADM(株)製「Yelkin TS」
6)阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMS-3S」
7)よつ葉乳業(株)製「よつ葉脱脂粉乳」
8)日本新薬(株)製「カゼインSPRAY」
9)HILMAR社製「ラクトース HILMAR FINE GRADE」
10)阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMS-5S」
11)DSP五協フード&ケミカル(株)製「グアパックPF-20」
12)ARCHER DANIELS MIDLAND社製「ノヴァザン200」
13)昭和産業(株)製「VIANDEX-B-H(DE8-9)」
14)(株)明治製「明治十勝フレッシュクリーム47」
15)(株)カネカ製「菜種油」
16)(株)伊藤鶏卵製「液卵黄」
17)(株)Mizkan Holdings製「ミツカン 穀物酢」
18)伯方塩業(株)製「伯方の塩」
19)グリコ栄養食品(株)製「ベータカロチン懸濁液」
20)上越スターチ(株)製「ファインスノウ」
21)Tate& LyleFood & Ingredients America社製「ミラゲル463」
22)旭化成(株)製「セオラス RC-N81」
23)理研香料工業(株)製「ミルクフレーバー」
24)長岡香料(株)製「カスタードフレーバー」
25)日本コンスターチ(株)製「サンシラップ」
26)National Foods社製「れん乳調製品」
27)キユーピー(株)製「加糖凍結卵黄20」
28)フジ日本精糖(株)製「上白糖」
29)(株)カネカ製「パン好きの牛乳」
30)キッコーマン(株)製「おいしい無調整豆乳」
<水中油型乳化食品の評価>
実施例及び比較例で得られた各水中油型乳化食品を製造後、所定の条件で保存してから熟練した10人のパネラーが各評価を行い、その評価点の平均値を官能評価とした。その際の評価基準は以下の通りであった。
(色調の変化)
水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤が無添加で製造直後の水中油型乳化食品(参考例1~9)との比較
5点:参考例と同等で、色調の変化が全くない
4点:参考例よりも僅かに劣るが、色調の変化が殆どない
3点:参考例よりも劣り、色調の変化が若干あるが、商品品質上は問題ないレベルである
2点:参考例よりも悪く、色調の変化がある
1点:参考例よりも非常に悪く、色調の変化が明らかにある
(水中油型乳化食品本来の風味)
水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤が無添加で製造直後の水中油型乳化食品(参考例1~9)との比較
5点:参考例と同等で、水中油型乳化食品本来の風味がしっかりと感じられる
4点:参考例よりも僅かに劣るが、水中油型乳化食品本来の風味が感じられる
3点:参考例よりも劣り、水中油型乳化食品本来の風味が若干弱く感じられるが、商品品質上は問題ないレベルである
2点:参考例よりも悪く、水中油型乳化食品本来の風味があまり感じられない
1点:参考例よりも非常に悪く、水中油型乳化食品本来の風味が全く感じられない
(劣化臭)
水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤が無添加で製造直後の水中油型乳化食品(参考例1~9)との比較
5点:参考例と同等で、劣化臭が全く感じられない
4点:参考例よりも僅かに劣るが、劣化臭が感じられない
3点:参考例よりも劣り、劣化臭が僅かに感じられるが、商品品質上は問題ないレベルである
2点:参考例よりも悪く、劣化臭が感じられる
1点:参考例よりも非常に悪く、劣化臭が非常に強く感じられる
(総合評価)
色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価が全て4.0点以上5.0点以下を満たしているもの
B:色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価が全て3.5点以上5.0点以下であって、且つ3.5点以上4.0点未満が少なくとも一つあるもの
C:色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価が全て3.0点以上5.0点以下であって、且つ3.0点以上3.5点未満が少なくとも一つあるもの
D:色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価が全て2.0点以上5.0点以下であって、且つ2.0点以上3.0点未満が少なくとも一つあるもの
E:色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価において、2.0点未満が少なくとも一つあるもの
(実施例1) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、市販のエノキタケ(子実体)25重量部を切断して、菜種油100重量部を加えたキノコ類(湿重量)/油脂(重量比)が0.25の混合物を、120℃で0.2MPaの圧力をかけて1.0時間保持した後、抽出残渣を濾別して、濾液を脱水処理し、75℃でパウチ包装し、その後チラー水槽に入れて5℃まで冷却し、エノキタケ抽出物を得た。該エノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤とした。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
Figure 2023078891000001
(実施例2) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、キノコ類/油脂(重量比)0.25を0.05に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例3) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、キノコ類/油脂(重量比)0.25を1.0に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例4) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、キノコ類/油脂(重量比)0.25を8.0に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例5) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出温度:120℃を40℃に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例6) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出温度:120℃を80℃に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例7) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出温度:120℃を150℃に、抽出時間:1.0時間を0.5時間に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例8) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、油脂の種類:菜種油をハイオレイックヒマワリ油に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例9) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、油脂の種類:菜種油を中鎖脂肪酸トリグリセリドに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例10) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出時の圧力:0.2MPaを0MPaに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例11) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出時間:1.0時間を0.5時間に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例12) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出時間:1.0時間を2.0時間に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量は100重量%であった。
(実施例13) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販の舞茸に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られた舞茸抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中の舞茸抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計の含有量は100重量%であった。
(実施例14) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販のタモギタケに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたタモギタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のタモギタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計の含有量は100重量%であった。
(実施例15) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販の椎茸に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られた椎茸抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中の椎茸抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計の含有量は100重量%であった。
(実施例16) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販のエリンギに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエリンギ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエリンギ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計の含有量は100重量%であった。
(実施例17) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販のホワイトマッシュルームに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたマッシュルーム抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のマッシュルーム抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計の含有量は100重量%であった。
(実施例18) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販のブナシメジに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたシメジ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のシメジ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計の含有量は100重量%であった。
(比較例1) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出温度:120℃を25℃に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計の含有量は100重量%であった。
(比較例2) 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出時間:1.0時間を0.02時間に、変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤中のエノキタケ抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計の含有量は100重量%であった。
(実施例19) ホイップドクリームの作製
表2の配合に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を含む油相部と、水相部をそれぞれ調製した後、前記水相部を撹拌しながら60℃に温調したところに、65℃に温調した前記油相部を混合した。20分間予備乳化を行った後、高周速回転式乳化機(エム・テクニック(株)製「クレアミックス」)を用いて周速31.4m/sの回転速度で微細化し、更に高圧ホモジナイザーを用いて1段目2MPa/2段目1MPaの圧力で処理した。続いて、プレート式加熱機を用いて90℃まで予備加熱した後、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて142℃で4秒間殺菌処理し、その後プレート式冷却機を用いて60℃まで冷却した。再び高圧ホモジナイザーを用いて1段目6MPa/2段目2MPaの圧力で処理し、その後、プレート式冷却機で5℃まで冷却したものを容器に充填し、5℃の冷蔵庫で48時間保存することで、水中油型乳化油脂組成物100重量部を得た。
得られた水中油型乳化油脂組成物4kgにグラニュー糖400gをボウルに入れ、カントーミキサー(関東混合機工業(株)製「CS型20」)を用いて、高速攪拌条件(6.3S-1)でホイップし、最大荷重が0.30Nのホイップドクリームを作製した。作製したホイップドクリームを50mL容の透明プラスチック容器に充填し、5℃で10000Lx、2日間、光を照射した後のホイップドクリームの色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表2に示した。
Figure 2023078891000002
(実施例20及び21、比較例3) ホイップドクリームの作製
表2の配合に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤:0.10重量部を、0.01重量部(実施例20)、1.0重量部(実施例21)、又は、添加なし(比較例3)に変更し、パーム核油で全体量を調整した以外は、実施例19と同様にして、水中油型乳化油脂組成物100重量部を作製し、ホイップしてホイップドクリームを得た。得られたホイップドクリームに2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表2に示した。
(実施例22~24) ホイップドクリームの作製
表2の配合に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例2の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例22)、実施例3の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例23)、又は、実施例4の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例24)に変更した以外は、実施例19と同様にして、水中油型乳化油脂組成物100重量部を作製し、ホイップしてホイップドクリームを得た。得られたホイップドクリームに5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表2に示した。
(参考例1)
比較例3で得たホイップドクリームについて、製造直後で光照射前に官能評価を行った結果を参考例1として表2に示し、実施例19~24及び比較例3と比較検討した。
表2から明らかなように、キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量がホイップドクリーム全体中0.0002~1.5重量%の範囲にあるホイップドクリーム(実施例19~24)は、いずれも5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。
一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったホイップドクリーム(比較例3)は、光を照射した後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はEであった。
また、キノコ類(エノキタケ)/油脂の重量比が0.05~10の範囲にある混合物から得た水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したホイップドクリーム(実施例19~24)は、いずれも5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。
(実施例25~29、比較例4) ホイップドクリームの作製
表3に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例5の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例25)、実施例6の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例26)、実施例7の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例27)、実施例8の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例28)、実施例9の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例29)、又は、比較例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(比較例4)に変更した以外は、実施例19と同様にして、水中油型乳化油脂組成物100重量部を作製し、ホイップしてホイップドクリームを得た。得られたホイップドクリームに5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表3に示した。
Figure 2023078891000003
表3から明らかなように、抽出時の加熱処理条件が40~200℃で、0.1~3時間の範囲にある水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したホイップドクリーム(実施例19、25~29)は、いずれも5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。
一方、抽出時の加熱温度が25℃と低い水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したホイップドクリーム(比較例4)は、光を照射した後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はEであった。
また、抽出溶媒の油脂の種類がハイオレイックヒマワリ油の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例8)を配合したホイップドクリーム(実施例28)や、中鎖脂肪酸トリグリセリの水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例9)を配合したホイップドクリーム(実施例29)も、菜種油を使用して同様の条件で作製した水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例1)を配合したホイップドクリーム(実施例19)と同様に、5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好で、総合評価はAであった。
(実施例30) ホイップドクリームの作製
表4に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例10の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例30)に変更した以外は、実施例19と同様にして、水中油型乳化油脂組成物100重量部を作製し、ホイップしてホイップドクリームを得た。得られたホイップドクリームに5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表4に示した。
Figure 2023078891000004
表4から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤作製時の加熱処理時の圧力が0.2MPaの水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例1)を配合したホイップドクリーム(実施例19)、圧力が0MPaの水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例10)を配合したホイップドクリーム(実施例30)のどちらも、5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。特に、圧力が0.001~0.3MPaの範囲にある水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例1)を配合したホイップドクリーム(実施例19)は、総合評価がAでより好ましい結果であった。
(実施例31及び32、比較例5) ホイップドクリームの作製
表4に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例11の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例31)、実施例12の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例32)、又は、比較例2の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(比較例5)に変更した以外は、実施例19と同様にして、水中油型乳化油脂組成物100重量部を作製し、ホイップしてホイップドクリームを得た。得られたホイップドクリームに5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表4に示した。
表4から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤作製時の抽出時間が0.1~3時間の範囲にある水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例1、11及び12)を配合したホイップドクリーム(実施例19、31及び32)は何れも、5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。特に、抽出時間が0.8~1.8時間の範囲にある水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例1)を配合したホイップドクリーム(実施例19)は、総合評価がAでより好ましい結果であった。
一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤作製時の抽出時間が0.02時間と短い水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(比較例2)を配合したホイップドクリーム(比較例5)は、光を照射した後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はDであった。
(実施例33~38) ホイップドクリームの作製
表5に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例13の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例33)、実施例14の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例34)、実施例15の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例35)、実施例16の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例36)、実施例17の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例37)、又は、実施例18の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例38)に変更した以外は、実施例19と同様にして、水中油型乳化油脂組成物100重量部を作製し、ホイップしてホイップドクリームを得た。得られたホイップドクリームに5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表5に示した。
Figure 2023078891000005
表5から明らかなように、キノコ類がエノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジ、椎茸、エリンギ、及びマッシュルームからなる群から選ばれる1種から抽出した水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したホイップドクリーム(実施例19、33~38)は、いずれも5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。特に、エノキタケから抽出した水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したホイップドクリーム(実施例19)は、総合評価がAで極めて良好であった。
(実施例39) ホイップドコンパウンドクリームの作製
表6の配合に従い、実施例19と同様にして、水中油型乳化油脂組成物50重量部を作製した。得られた水中油型乳化油脂組成物50重量部と生クリーム50重量部をブレンドしてコンパウンドクリーム100重量部を作製し、実施例19と同様にホイップしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームに5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表6に示した。
Figure 2023078891000006
(比較例6) ホイップドコンパウンドクリームの作製
表6に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合せず、パーム核油で全体量を調整した以外は、実施例39と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得、生クリームをブレンドしてコンパウンドクリーム100重量部を作製し、ホイップしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームに5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表6に示した。
(参考例2)
比較例6で得たホイップドコンパウンドクリームについて、製造直後で光照射前に官能評価を行った結果を参考例2として表6に示し、実施例39及び比較例6と比較検討した。
表6から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を添加したホイップドコンパウンド(実施例39)は、5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったホイップドコンパウンドクリーム(比較例6)は、光を照射した後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はEであった。
(実施例40) ホイップ済み生クリームの作製
表7に従い、生クリーム99.9重量部に実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤0.1重量部をブレンドし、実施例19と同様にホイップしてホイップ済み生クリーム100重量部を得た。得られたホイップ済み生クリームに5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表7に示した。
Figure 2023078891000007
(比較例7) ホイップ済み生クリームの作製
表7の配合に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を添加しなかった以外は、実施例40と同様にして、ホイップ済み生クリーム100重量部を得た。得られたホイップ済み生クリームに5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表7に示した。
(参考例3)
比較例7で得たホイップ済み生クリームについて、製造直後で光照射前に官能評価を行った結果を参考例3として表7に示し、実施例40及び比較例7と比較検討した。
表7から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を添加した生クリーム(実施例40)は、5℃で2日間、光を照射した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったホイップ済み生クリーム(比較例7)は、光を照射した後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はEであった。
(実施例41) マヨネーズの作製
表8の配合に従い、水相部の原料をミキサーボウルに投入し、ホバートミキサー(ホバート・ジャパン(株)製「N-50」)で、均一になるように低速で攪拌して混合した後、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を含む菜種油を少量ずつ投入し、最後に高速で攪拌してマヨネーズ100重量部を得た。得られたマヨネーズ40gを透明プラスチック容器(50mL容)に充填し、5℃で60日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表8に示した。
Figure 2023078891000008
(比較例8) マヨネーズの作製
表8の配合に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合せず、菜種油で全体量を調整した以外は、実施例41と同様にして、マヨネーズ100重量部を得た。得られたマヨネーズを5℃で60日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表8に示した。
(参考例4)
比較例8で得たマヨネーズについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例4として表8に示し、実施例41及び比較例8と比較検討した。
表8から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマヨネーズ(実施例41)は、5℃で60日間保存した後も、色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったマヨネーズ(比較例8)は、保存後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれて酸味が増強され、劣化臭も感じられて、総合評価はEであった。
(実施例42) フラワーペーストの作製
表9の配合に従い、水相部の原料が均一になるよう攪拌して混合しながら混合物を50℃まで昇温し、ここに60℃に温調した実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を含む油相部を添加し、充分に攪拌して原料混合物を予備乳化した。その後、ホモジナイザー((株)イズミフードマシナリ製)を用いて5MPaの圧力で原料混合物を乳化した。得られた乳化液をコンサーム掻き取り式熱交換機(アルファラバル社製)で、72℃で5分間殺菌した後、60℃まで冷却し、ピロー袋に充填した。その後、5℃の冷水にて室温以下に冷却し、フラワーペースト100重量部を得た。得られたフラワーペーストを5℃で300日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表9に示した。
Figure 2023078891000009
(比較例9) フラワーペーストの作製
表9の配合に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合せず、菜種油で全体量を調整した以外は、実施例42と同様にして、フラワーペースト100重量部を得た。得られたフラワーペーストを5℃で300日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表9に示した。
(参考例5)
比較例9で得たフラワーペーストについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例5として表9に示し、実施例42及び比較例9と比較検討した。
表9から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したフラワーペースト(実施例42)は、5℃で300日間保存した後も、色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったフラワーペースト(比較例9)は、保存後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭も感じられて、総合評価はEであった。
(実施例43) アイスクリームの作製
表10の配合に従い、水相部の原料が均一になるよう攪拌して混合しながら混合物を60℃まで昇温したところに、65℃に温調した実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を含むパーム油中融点部を加え、十分に撹拌して混合しながら、65℃で15分間予備乳化した。その後、85℃で2分間殺菌し、ホモジナイザーを用い1段目12MPa/2段目4MPaの圧力で処理した後、5℃で一晩エージングし、アイスミックスを得た。得られたアイスミックスをフリーザー(富繁産業(株)製)に入れ、3S-1で撹拌しながら-5℃になるまで冷却し、アイスクリーム100重量部を得た。得られたアイスクリームを146mL容の紙パックに充填し、-20℃で365日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表10に示した。
Figure 2023078891000010
(比較例10) アイスクリームの作製
表10の配合に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合せず、パーム油中融点部で全体量を調整した以外は、実施例43と同様にして、アイスクリーム100重量部を得た。得られたアイスクリームを-20℃で365日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表10に示した。
(参考例6)
比較例10で得たアイスクリームについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例6として表10に示し、実施例43及び比較例10と比較検討した。
表10から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したアイスクリーム(実施例43)は、-20℃で365日間保存した後も、色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったアイスクリーム(比較例10)は、保存後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭も感じられて、総合評価はDであった。
(実施例44) ヨーグルトの作製
表11の配合に従い、牛乳、脱脂粉乳、砂糖、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤、及び、水を均一になるまで混合し、均質化した後95℃で5分間の加熱殺菌を行い、40℃まで冷却し、乳酸菌スターター(Streptococcus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium lactis)を0.0009重量部添加し、pH4.7になるまで発酵を行なった後、15meshのフィルターに通して、カードの粉砕を行い小売用容器に95g充填し、冷蔵庫で8℃まで冷却して、ヨーグルト100重量部を得た。得られたヨーグルトを5℃で21日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表11に示した。
Figure 2023078891000011
(比較例11) ヨーグルトの作製
表11の配合に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合せず、水で全体量を調整した以外は、実施例44と同様にして、ヨーグルト100重量部を得た。得られたヨーグルトを5℃で21日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表11に示した。
(参考例7)
比較例11で得たヨーグルトについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例7として表11に示し、実施例44及び比較例11と比較検討した。
表11から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したヨーグルト(実施例44)は、5℃で21日間保存した後も、色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったヨーグルト(比較例11)は、保存後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭も感じられて、総合評価はDであった。
(実施例45) 乳飲料の作製
表12の配合に従い、牛乳に、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を無菌的に添加し、混合した後、均質化して乳飲料100重量部を得た。得られた乳飲料を5℃で21日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表12に示した。
Figure 2023078891000012
(比較例12) 乳飲料の作製
表12の配合に従い、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかった以外は、実施例45と同様にして、乳飲料100重量部を得た。得られた乳飲料を5℃で21日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表12に示した。
(参考例8)
比較例12で得た乳飲料について、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例8として表12に示し、実施例45及び比較例12と比較検討した。
表12から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合した乳飲料(実施例45)は、5℃で21日間保存した後も、色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかった乳飲料(比較例12)は、保存後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭も感じられて、総合評価はEであった。
(実施例46) 豆乳の作製
表13の配合に従い、豆乳に、実施例1の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を無菌的に添加し、混合した後、均質化して豆乳100重量部を得た。得られた豆乳を55℃で10日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表13に示した。
Figure 2023078891000013
(比較例13) 豆乳の作製
表13の配合に従い、実施例1の液状の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかった以外は、実施例46と同様にして、豆乳100重量部を得た。得られた豆乳を55℃で10日間保存した後の色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表13に示した。
(参考例9)
比較例13で得た豆乳について、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例9として表13に示し、実施例46及び比較例13と比較検討した。
表13から明らかなように、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合した豆乳(実施例46)は、55℃で10日間保存した後も、色調の変化、水中油型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかった豆乳(比較例13)は、保存後に水中油型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭も感じられて、総合評価はEであった。

Claims (9)

  1. 水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤であって、
    キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂を合計で前記水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中0.013~100重量%含み、
    前記キノコ類の抽出物は、キノコ類(湿重量)/油脂(重量比)が0.05~10である混合物が、40~200℃で、0.1~3時間加熱処理された後、キノコ類の抽出残渣が除去された抽出物である、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤。
  2. 加熱処理時の圧力が0.001~0.3MPaである、請求項1に記載の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤。
  3. 前記キノコ類が、エノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジ、椎茸、エリンギ、及びマッシュルームからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤。
  4. 請求項1~3の何れかに記載の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有し、固形分換算で、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量が水中油型乳化食品全体中0.0002~1.5重量%である、水中油型乳化食品。
  5. 請求項4に記載の水中油型乳化食品が用いられた食品。
  6. キノコ類と油脂を、キノコ類(湿重量)/油脂(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせた混合物を、40~200℃で、0.1~3時間加熱処理した後、キノコ類の抽出残渣を除去することを特徴とする、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の製造方法。
  7. 加熱処理時の圧力が0.001~0.3MPaである、請求項6に記載の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤の製造方法。
  8. キノコ類と油脂を、キノコ類(湿重量)/油脂(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせて混合物を得、該混合物を40~200℃で、0.1~3時間加熱処理した後、キノコ類の抽出残渣を除去して水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を得、
    得られた水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤を固形分換算で、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分及び油脂の合計含有量が水中油型乳化食品全体中0.0002~1.5重量%となるように、均質化して乳化する前の水中油型乳化食品の水相及び/又は油相の原料と混合した後、均質化して乳化することを特徴とする、水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤入り水中油型乳化食品の製造方法。
  9. 加熱処理時の圧力が0.001~0.3MPaである、請求項8に記載の水中油型乳化食品用劣化臭抑制剤入り水中油型乳化食品の製造方法。
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