JP2023077906A - リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品の提供。【解決手段】リゾ化乾燥卵黄及び糖類を含有する水中油型乳化食品であって、前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上であり、前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上であり、前記リゾ化乾燥卵黄は、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であり、かつ前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%である、乳化食品。【選択図】なし
Description
本発明は、水中油型乳化食品に関する。詳細には、リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品に関する。
卵黄は優れた乳化力を有し、従来、マヨネーズ等の水中油型乳化食品において、乳化剤として利用されている。一般に水中油型乳化食品において、通常の卵黄に代えてリゾ化卵黄を用いた場合、配合量を低減できることに加え、焼成耐性を付与することもでき、したがってリゾ化卵黄の利用には、機能性の水中油型乳化食品を安価に製造できるというメリットがある。一方で、リゾ化卵黄を乾燥させて得られるリゾ化乾燥卵黄は、製造時の乾燥工程に起因して品質差を生じる場合があり、品質差の影響で水中油型乳化食品が低粘度化し、十分な乳化安定性を有し得ない等の問題があった。
上述の問題に関し、製造条件を一定にした乾燥卵黄を用いることで、水中油型乳化食品に冷凍耐性を付与でき、すなわち乳化安定性を付与し得ることが従来報告されている(特許文献1)。しかし、当該乾燥卵黄の作用効果は、一定の量以上で配合された場合にしか発揮されず、卵黄配合量の低い水中油型乳化食品においては根本的解決には繋がらないという問題があった。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品及びその製造方法、並びに、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性向上方法等を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品は、リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が特定の範囲である場合、油脂及び糖類をそれぞれ特定量で配合し、30重量%水溶液としたときのBrixが特定の値以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いるによって、十分な乳化安定性を有し得ることを見出し、更に研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]リゾ化乾燥卵黄及び糖類を含有する水中油型乳化食品であって、
前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上であり、
前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上であり、
前記リゾ化乾燥卵黄は、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であり、かつ
前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%である、乳化食品。
[2]前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して15重量%以下である、[1]記載の乳化食品。
[3]リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性向上方法であって、
前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上になるように調整すること、
糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上になるように糖類を添加すること、
前記リゾ化乾燥卵黄として、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いること、及び
前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%になるように調整することを含む、方法。
[4]前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して15重量%以下である、[3]記載の方法。
[5]リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の製造方法であって、
前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上になるように調整すること、
糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上になるように糖類を添加すること、
前記リゾ化乾燥卵黄として、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いること、及び
前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%になるように調整することを含む、製造方法。
[6]前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して15重量%以下である、[5]記載の製造方法。
前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上であり、
前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上であり、
前記リゾ化乾燥卵黄は、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であり、かつ
前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%である、乳化食品。
[2]前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して15重量%以下である、[1]記載の乳化食品。
[3]リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性向上方法であって、
前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上になるように調整すること、
糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上になるように糖類を添加すること、
前記リゾ化乾燥卵黄として、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いること、及び
前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%になるように調整することを含む、方法。
[4]前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して15重量%以下である、[3]記載の方法。
[5]リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の製造方法であって、
前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上になるように調整すること、
糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上になるように糖類を添加すること、
前記リゾ化乾燥卵黄として、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いること、及び
前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%になるように調整することを含む、製造方法。
[6]前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して15重量%以下である、[5]記載の製造方法。
本発明によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品を提供できる。
本発明は、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性向上方法も提供する。本発明の方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性を向上し、当該乳化食品は卵黄配合量が低い場合であっても十分な乳化安定性を有し得る。
本発明は、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の製造方法も提供する。本発明の製造方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品を製造し得る。
本発明は、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性向上方法も提供する。本発明の方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性を向上し、当該乳化食品は卵黄配合量が低い場合であっても十分な乳化安定性を有し得る。
本発明は、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の製造方法も提供する。本発明の製造方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品を製造し得る。
本発明の水中油型乳化食品(以下、「本発明の乳化食品」とも称する)は、リゾ化乾燥卵黄を含有する。
本発明において「乳化食品」とは、乳化構造を有する食品を意味し、「水中油型乳化食品」とは、水相を外相(連続相)とし、油相を内相(分散相)とする水中油型の乳化構造(水相中に油滴粒子が均一分散した乳化構造)を有する食品を意味する。ここでいう「食品」とは、経口的に摂取され得るものを広く包含する概念であり、特に断りのない限り、いわゆる食べ物の他、調味料、飲料、食品添加物等も包含される。すなわち本発明における乳化食品には、乳化調味料等が包含される。
本発明において「リゾ化乾燥卵黄」とは、水分量が5%以下になるまで乾燥させたリゾ化卵黄をいう。リゾ化乾燥卵黄の水分量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアルに記載されている、常圧加熱乾燥法の直接法又はそれに準ずる方法により測定できる。リゾ化卵黄の乾燥方法は特に制限されないが、例えば、スプレードライ、フリーズドライ、パンドライ、ドラムドライ、真空乾燥、マイクロウェーブ乾燥等が挙げられる。
リゾ化乾燥卵黄の作製に用いられる「リゾ化卵黄」とは、卵黄に酵素処理を施して当該卵黄に含有されるリン脂質をリゾ化させたもの(水分量が5%以下であるものを除く)をいう。ここで、リン脂質の「リゾ化」とは、リン脂質の脂肪酸残基の一つを加水分解して水酸基とすることをいう。卵黄に含有されるリン脂質のリゾ化に用いられる酵素は特に制限されないが、通常、ホスホリパーゼ(例、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2等)等が用いられる。酵素処理を施される卵黄は、食品に一般的に用いられ得るものであれば特に制限されないが、例えば、家禽類の殻付卵(例、鶏卵等)を割卵して卵殻を取り除いた卵内容物(全卵)から、卵白を分離すること等によって得ることができる。卵黄は、酵素処理以外の加工処理(例、殺菌処理、濾過処理、脱糖処理、脱コレステロール処理、加糖処理、加塩処理等)が施されていてよい。
本発明に用いられるリゾ化乾燥卵黄のホスファチジルコリンのリゾ化率は特に制限されないが、通常30%以上であり、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上である。ここで、リゾ化乾燥卵黄の「ホスファチジルコリンのリゾ化率」とは、リゾ化乾燥卵黄に含有されるホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルコリンの合計のうち、リゾホスファチジルコリンが占める割合をいい、下記式により算出される。
[リゾ化乾燥卵黄のホスファチジルコリンのリゾ化率(%)]=[リゾ化乾燥卵黄に含有される、リゾホスファチジルコリンの総量(重量)]/([リゾ化乾燥卵黄に含有される、リゾホスファチジルコリンの総量(重量)]+[リゾ化乾燥卵黄に含有される、ホスファチジルコリンの総量(重量)])×100
「リゾ化乾燥卵黄に含有される、リゾホスファチジルコリンの総量(重量)」及び「リゾ化乾燥卵黄に含有される、ホスファチジルコリン総量(重量)」は、リゾ化乾燥卵黄に含有されるリン脂質の総量及びその組成比を薄層クロマトグラフィー法で測定して算出し得る。リゾ化乾燥卵黄に含有されるリン脂質の総量の測定フローを図1に、リゾ化乾燥卵黄に含有されるリン脂質の組成比の測定フローを図2に、それぞれ示す。
[リゾ化乾燥卵黄のホスファチジルコリンのリゾ化率(%)]=[リゾ化乾燥卵黄に含有される、リゾホスファチジルコリンの総量(重量)]/([リゾ化乾燥卵黄に含有される、リゾホスファチジルコリンの総量(重量)]+[リゾ化乾燥卵黄に含有される、ホスファチジルコリンの総量(重量)])×100
「リゾ化乾燥卵黄に含有される、リゾホスファチジルコリンの総量(重量)」及び「リゾ化乾燥卵黄に含有される、ホスファチジルコリン総量(重量)」は、リゾ化乾燥卵黄に含有されるリン脂質の総量及びその組成比を薄層クロマトグラフィー法で測定して算出し得る。リゾ化乾燥卵黄に含有されるリン脂質の総量の測定フローを図1に、リゾ化乾燥卵黄に含有されるリン脂質の組成比の測定フローを図2に、それぞれ示す。
本発明に用いられるリゾ化乾燥卵黄は、30重量%水溶液としたときのBrixが特定の値以上であることが好ましい。そのようなリゾ化乾燥卵黄を用いることにより、本発明の乳化食品は、卵黄配合量が低い場合であっても十分な乳化安定性を有し得る。
具体的には、本発明に用いられるリゾ化乾燥卵黄は、30重量%水溶液としたときのBrixが、好ましくは20以上であり、より好ましくは23以上であり、特に好ましくは25以上である。当該Brixの上限値は特に制限されないが、通常40以下であり、好ましくは30以下である。
リゾ化乾燥卵黄の、30重量%水溶液としたときのBrixは、例えば、リゾ化乾燥卵黄の乾燥条件(例、乾燥温度、乾燥時間等)を調整すること等によって調整し得る。
具体的には、本発明に用いられるリゾ化乾燥卵黄は、30重量%水溶液としたときのBrixが、好ましくは20以上であり、より好ましくは23以上であり、特に好ましくは25以上である。当該Brixの上限値は特に制限されないが、通常40以下であり、好ましくは30以下である。
リゾ化乾燥卵黄の、30重量%水溶液としたときのBrixは、例えば、リゾ化乾燥卵黄の乾燥条件(例、乾燥温度、乾燥時間等)を調整すること等によって調整し得る。
本発明において「Brix」とは、被検液の20℃における屈折率を測定し、国際砂糖分析法統一委員会(ICUMSA)の換算表を使用して、純ショ糖溶液の重量百分率濃度(w/w%)に換算して得られる値をいう。本発明において、リゾ化乾燥卵黄水溶液のBrixの測定は、市販の糖度計(例えば、株式会社アタゴ製「PAL-J」等)を用いて行い得る。
本発明の乳化食品に含有されるリゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量は、本発明の乳化食品に対して、特定の値以下であることが好ましい。リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が特定の値以下である乳化食品は、乾燥卵黄の品質の影響を受けやすく、品質が安定しにくい傾向があり、本発明の有用性が高い。
具体的には、本発明の乳化食品に含有されるリゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量は、本発明の乳化食品に対して、好ましくは0.17重量%以下である。
また、本発明の乳化食品に含有されるリゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量は、乳化安定性の観点から、本発明の乳化食品に対して、好ましくは0.03重量%以上であり、より好ましくは0.05重量%以上であり、特に好ましくは0.08重量%以上である。
具体的には、本発明の乳化食品に含有されるリゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量は、本発明の乳化食品に対して、好ましくは0.17重量%以下である。
また、本発明の乳化食品に含有されるリゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量は、乳化安定性の観点から、本発明の乳化食品に対して、好ましくは0.03重量%以上であり、より好ましくは0.05重量%以上であり、特に好ましくは0.08重量%以上である。
リゾホスファチジルコリンは、ホスファチジルコリンがリゾ化されたものであり、ホスファチジルコリンは、グリセロリン脂質の非極性部(グリセロール骨格のsn-1位及びsn-2位)に脂肪酸2分子がエステル結合し、極性頭部(グリセロール骨格のsn-3位)にコリンがリン酸エステル結合している構造を有するリン脂質の総称である。リゾホスファチジルコリンは、ホスファチジルコリンの二つの脂肪酸残基のうちの一つが、加水分解されて水酸基(-OH)となっている。
リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量は、薄層クロマトグラフィー法により、図1及び図2に示される測定フローに沿って、リゾ化乾燥卵黄に含有されるリン脂質の総量及びその組成比を測定して算出し得る。
本発明の乳化食品におけるリゾ化乾燥卵黄の含有量は、リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量(上述)が本発明の乳化食品に対して特定の値以下になれば特に制限されないが、本発明の乳化食品に対して、生換算で、通常1重量%以上4.5重量%未満である。
本発明において、卵黄(乾燥卵黄、リゾ化乾燥卵黄を含む)の「生換算」の含有量は、当該含有量を算出するための卵黄の重量として、卵黄の水分含量を48.2重量%としたときの当該卵黄の総重量を用いることにより算出される。
本発明において、卵黄(乾燥卵黄、リゾ化乾燥卵黄を含む)の「生換算」の含有量は、当該含有量を算出するための卵黄の重量として、卵黄の水分含量を48.2重量%としたときの当該卵黄の総重量を用いることにより算出される。
本発明において用いられるリゾ化乾燥卵黄の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用いてよい。本発明は、30重量%水溶液としたときのBrixが上述の特定の値以上であれば、市販のリゾ化乾燥卵黄を用いてもよい。
本発明の乳化食品は、リゾ化乾燥卵黄に加えて、糖類を含有することが好ましい。
本発明の乳化食品に用いられ得る糖類としては、例えば、砂糖(上白糖、グラニュー糖)、ぶどう糖、果糖、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖、砂糖混合果糖ぶどう糖液糖、砂糖混合高果糖液糖、水あめ等が挙げられ、好ましくは水あめである。これらの糖類は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の乳化食品に含有される糖類中の固形分は、本発明の乳化食品が一定の粘度となり安定した乳化状態になりやすいことから、本発明の乳化食品に対して、好ましくは2重量%以上であり、より好ましくは2.5重量%以上であり、更に好ましくは3重量%以上であり、特に好ましくは5重量%以上である。また、当該糖類中の固形分の上限値は特に制限されないが、通常、本発明の乳化食品に対して15重量%以下であり、好ましくは12重量%以下である。
本発明において、糖類中の固形分は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアルに記載に記載されている、常圧加熱乾燥法の直接法又はそれに準ずる方法により測定できる水分量から算出される。
本発明において、糖類中の固形分は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアルに記載に記載されている、常圧加熱乾燥法の直接法又はそれに準ずる方法により測定できる水分量から算出される。
本発明において用いられる糖類の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用いてよい。本発明は、市販の糖類を用いてもよい。
本発明の乳化食品における油脂の含有量は、本発明の乳化食品が安定した乳化状態になりやすいことから、本発明の乳化食品に対して、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは72重量%以上である。また、本発明の乳化食品における油脂の含有量の上限値は特に制限されないが、通常、本発明の乳化食品に対して85重量%以下であり、好ましくは80重量%以下である。
本発明の乳化食品に含有される油脂の種類は、食品原料として用いられ得るもの(食用油脂)であれば特に制限されないが、例えば、キャノーラ油、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、米糠油、米胚芽油、べに花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油、綿実油等の食用植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、鯨油等の食用動物油脂等が挙げられ、好ましくは食用植物油脂である。また、上述の油脂をエステル交換したエステル交換油、上述の油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。本発明の乳化食品に含有される油脂は精製されたもの(例、サラダ油等)であってよい。これらの油脂は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる油脂の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用いてよい。本発明は、市販の油脂を用いてもよい。
本発明の乳化食品は、水を通常含有する。本発明の乳化食品に含有され得る水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水、水道水等が挙げられるが、これらに制限されず、食品製造用水として適合するものを用い得る。
本発明の乳化食品は、リゾ化乾燥卵黄、糖類、油脂及び水に加えて、その他の食品素材を適宜含有してよい。当該食品素材は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、食塩、食酢、醤油、味噌、全卵、卵白、リゾ化乾燥卵黄以外の卵黄、調味料、酸味料、かんきつ類の果汁、乳化剤、増粘剤、香料、着色料、香辛料、香辛料抽出物等が挙げられる。
本発明の乳化食品は、一態様として、リゾ化乾燥卵黄以外の卵黄を実質的に含有しないものであってよい。本発明において、水中油型乳化食品がリゾ化乾燥卵黄以外の卵黄を「実質的に含有しない」とは、(1)水中油型乳化食品がリゾ化乾燥卵黄以外の卵黄を全く含有しない場合、及び(2)水中油型乳化食品がリゾ化乾燥卵黄以外の卵黄を、水中油型乳化食品の物性に影響しない極少量(例えば、生換算で、乳化食品に対して0.01重量%以下)で含有する場合のいずれかを意味する。
本発明の乳化食品は、一態様として、乳化剤を実質的に含有しないものであってよい。本発明の乳化食品は、乳化剤を実質的に含有しないものであっても十分な乳化安定性を有し得る。本発明において、水中油型乳化食品が乳化剤を「実質的に含有しない」とは、(1)水中油型乳化食品が乳化剤を全く含有しない場合、及び(2)水中油型乳化食品が乳化剤を、水中油型乳化食品の物性に影響しない極少量(例えば、水中油型乳化食品に対して0.01重量%以下)で含有する場合のいずれかを意味する。乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。尚、卵は乳化作用を有するが、ここでいう乳化剤には含まれない。
本発明の乳化食品は、一態様として、増粘剤を実質的に含有しないものであってよい。本発明の乳化食品は、増粘剤を実質的に含有しないものであっても十分な乳化安定性を有し得る。本発明において、水中油型乳化食品が増粘剤を「実質的に含有しない」とは、(1)水中油型乳化食品が増粘剤を全く含有しない場合、及び(2)水中油型乳化食品が増粘剤を、水中油型乳化食品の物性に影響しない極少量(例えば、乳化食品に対して0.01重量%以下)で含有する場合のいずれかを意味する。増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ウェランガム、モナトウガム、アラビアガム、サイリウムシードガム、トラガントガム、スクシノグリカン、デンプン類、ペクチン、マンナン、カードラン、プルラン、アルギン酸又はその塩、ゼラチン、寒天、キチン、キトサン等が挙げられる。
本発明の乳化食品のpHは、通常3以上であり、好ましくは、3.5以上であり、より好ましくは、3.8以上である。本発明の乳化調味料のpHは、通常5以下である。
本発明の乳化食品の製造方法は特に制限されず、本発明の乳化食品は、自体公知の手法又はそれに準ずる手法を、適宜組み合わせて製造し得る。例えば、油脂以外の原料(例、リゾ化乾燥卵黄、糖類、水、食塩、食酢、調味料等)の混合物をホモミキサー等で撹拌しながら、これに油脂を少しずつ注加し、全量注加後に更に撹拌して乳化すること等によって製造し得る。撹拌条件は、水中油型に乳化できれば特に制限されず、撹拌に使用する乳化機の種類等に応じて適宜設定してよい。
本発明の乳化食品の製造には、乳化食品の製造に通常使用され得る装置を制限なく用いることができる。当該装置は、特に限定されないが、回転式の乳化機が好ましく、例えば、上述のホモミキサーの他、コロイドミル、ホバートミキサー、スティックミキサー、ディスパーミキサー、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等が挙げられる。
本発明の乳化食品は、一態様として、日本農林規格(JAS規格)で定義される半固体状ドレッシング(例、サラダクリーミードレッシング、マヨネーズ、マヨネーズタイプ調味料等)、乳化液状ドレッシング等のドレッシング等として提供され得る。また、本発明の乳化食品は、他の一態様として、ドレッシングの日本農林規格に適合しないドレッシング(例、ドレッシングタイプ調味料、サラダ用調味料等のドレッシング類)、ソース、たれ等として提供されてもよい。
本発明の乳化食品は、一態様として、JAS規格のマヨネーズの規格に適合するマヨネーズとして提供され得る。また、本発明の乳化食品は、他の一態様として、マヨネーズ様食品としても提供され得る。ここで「マヨネーズ様食品」とは、JAS規格のマヨネーズの規格には適合しないが、JAS規格に適合するマヨネーズと同等乃至類似の食味、食感、性状を有する水中油型乳化食品(半固体状ドレッシング、サラダクリーミードレッシング等)をいい、例えば、マヨネーズタイプ調味料等を包含する概念である。
本発明の乳化食品は、十分な乳化安定性を有し得る。本発明において、水中油型乳化食品の乳化安定性の評価方法は特に制限されないが、例えば、水中油型乳化食品の製造当日の油滴の平均粒子径、及び保管後(例えば、製造から1週間、44℃で保管後)の油滴の平均粒子径をそれぞれ測定し、油滴の平均粒子径の増大率(%)(=[保管後の油滴の平均粒子径(μm)]/[製造当日の油滴の平均粒子径(μm)]×100)を算出すること等によって評価し得る。例えば、本発明の乳化食品は、製造から1週間、44℃で保管した後の油滴の平均粒子径の増大率が、製造当日の油滴の平均粒子径に対して、好ましくは450%未満であり、より好ましくは400%以下である。本発明において、水中油型乳化食品の油滴の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(例、株式会社島津製作所製、SALD-3100)を用いて測定し得る。
本発明において、水中油型乳化食品の乳化安定性は、耐熱試験によっても評価し得る。具体的には、水中油型乳化食品を遠沈管(例、コニカルチューブ等)に入れて加熱(例えば、90℃で1時間加熱)した後で遠心分離(例えば、3000rpmで5分間、5℃条件下)し、下層に分離した水分量を測定すること等によって評価し得る。例えば、本発明の乳化食品は、本発明の乳化食品50gを50mLコニカルチューブに入れて90℃で1時間加熱した後、3000rpmで5分間、5℃条件下で遠心分離したとき、下層に分離した水分量が、好ましくは6.0mL未満であり、より好ましくは5.5mL以下である。
本発明は、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性向上方法(以下、「本発明の方法」とも称する)も提供する。
本発明の方法は、水中油型乳化食品における油脂の含有量が、上述の本発明の乳化食品における油脂の含有量と同様となるように調整することを含んでよい。
本発明の方法において、水中油型乳化食品に含有される油脂の種類は、上述の本発明の乳化食品に含有される油脂の種類と同様である。
本発明の方法は、糖類中の固形分が、上述の本発明の乳化食品に含有される糖類中の固形分と同様となるように糖類を添加することを含んでよい。
本発明の方法において用いられる糖類の種類は、上述の本発明の乳化食品に含有される糖類の種類と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の方法は、リゾ化乾燥卵黄として、30重量%水溶液としたときのBrixが特定の値以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いることが好ましい。本発明の方法において用いられるリゾ化乾燥卵黄は、上述の本発明の乳化食品に用いられるものと同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の方法は、リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、上述の本発明の乳化食品に含有されるリゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量と同様となるように調整することを含んでよい。
本発明の方法が用いられる水中油型乳化食品の製造方法は特に制限されず、上述の本発明の乳化食品が含有し得る食品素材を原料に用いて、本発明の乳化食品と同様に、自体公知の手法又はそれに準ずる手法を、適宜組み合わせて製造し得る。
本発明の方法が用いられる水中油型乳化食品は、一態様として、リゾ化乾燥卵黄以外の卵黄を実質的に含有しないものであってよい。
本発明の方法が用いられる水中油型乳化食品は、一態様として、乳化剤を実質的に含有しないものであってよい。ここで乳化剤は、本発明の乳化食品に関して説明したものと同様である。
本発明の方法が用いられる水中油型乳化食品は、一態様として、増粘剤を実質的に含有しないものであってよい。ここで増粘剤は、本発明の乳化食品に関して説明したものと同様である。
本発明の方法が用いられる水中油型乳化食品のpHは、上述の本発明の乳化食品のpHと同様に設定し得る。
本発明の方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性を向上でき、当該乳化食品は、十分な乳化安定性を有し得る。
本発明の方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品は十分な乳化安定性を有し、耐熱性が向上し得るから、本発明の方法は、一態様として、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の耐熱性向上方法であってよい。
本発明によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の製造方法(本明細書中、「本発明の製造方法」と称する場合がある)も提供される。
本発明の製造方法は、上述の本発明の方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明の製造方法は、上述の本発明の方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明の製造方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品を製造し得る。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。尚、本明細書において「%」と記載されている場合は、特に断りのない限り、「重量%」を意味する。
<水中油型乳化食品の作製>
下記の手順で水中油型乳化食品の作製を行った。尚、水中油型乳化食品の作製は室温(約20℃)で行った。
下表1、2に記載の原料のうち、食用植物油脂以外の原料(水あめ、グルタミン酸ナトリウム、食塩、リゾ化乾燥卵黄、高酸度酢及び水)を、下表1、2に示す配合割合(単位:重量%)で混合し溶解させた(高酸度酢は最後に加えた)。得られた混合物を、ホモミキサーを使用して5000rpmで撹拌しながら、これに食用植物油脂を下表1、2に示す配合割合(単位:重量%)で少しずつ注加し、全量を注加後10000rpmで30秒間撹拌した。撹拌後、実施例1~7及び比較例2~4は、水中油型に乳化した乳化食品が得られた。一方、比較例1は乳化せず、水中油型乳化食品は得られなかった。また、比較例5及び6は、水中油型乳化食品は得られたものの、いずれも低粘度(30Pa・s以下)化が発生した。
下記の手順で水中油型乳化食品の作製を行った。尚、水中油型乳化食品の作製は室温(約20℃)で行った。
下表1、2に記載の原料のうち、食用植物油脂以外の原料(水あめ、グルタミン酸ナトリウム、食塩、リゾ化乾燥卵黄、高酸度酢及び水)を、下表1、2に示す配合割合(単位:重量%)で混合し溶解させた(高酸度酢は最後に加えた)。得られた混合物を、ホモミキサーを使用して5000rpmで撹拌しながら、これに食用植物油脂を下表1、2に示す配合割合(単位:重量%)で少しずつ注加し、全量を注加後10000rpmで30秒間撹拌した。撹拌後、実施例1~7及び比較例2~4は、水中油型に乳化した乳化食品が得られた。一方、比較例1は乳化せず、水中油型乳化食品は得られなかった。また、比較例5及び6は、水中油型乳化食品は得られたものの、いずれも低粘度(30Pa・s以下)化が発生した。
実施例1~7及び比較例1~6のサンプル作製に用いた原料(下表1、2に記載の原料)のうち、水以外は、いずれも食品用として市販されているものを使用した。水は、水道水を浄水器に通したものを用いた。
<水あめ中の固形分の測定>
実施例1~7及び比較例1~6のサンプル作製に用いた水あめ中の固形分(75重量%)は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアルに記載に記載されている、常圧加熱乾燥法の直接法で測定した水分量から算出した。
実施例1~7及び比較例1~6のサンプル作製に用いた水あめ中の固形分(75重量%)は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアルに記載に記載されている、常圧加熱乾燥法の直接法で測定した水分量から算出した。
<リゾ化乾燥卵黄を30重量%水溶液としたときのBrixの測定>
実施例1~7及び比較例1~6のサンプル作製に用いたリゾ化乾燥卵黄を、それぞれ20℃の蒸留水に溶解して卓上ホモミキサーを用いて1400rpmで7分間撹拌後、1時間静置し、30重量%水溶液とした後、糖度計(株式会社アタゴ製「PAL-J」)を用いて20℃における屈折率を測定し、国際砂糖分析法統一委員会(ICUMSA)の換算表を使用してBrixを求めた。
実施例1~7及び比較例1~6のサンプル作製に用いたリゾ化乾燥卵黄を、それぞれ20℃の蒸留水に溶解して卓上ホモミキサーを用いて1400rpmで7分間撹拌後、1時間静置し、30重量%水溶液とした後、糖度計(株式会社アタゴ製「PAL-J」)を用いて20℃における屈折率を測定し、国際砂糖分析法統一委員会(ICUMSA)の換算表を使用してBrixを求めた。
<リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量の測定>
実施例1~7及び比較例1~6のサンプル作製に用いたリゾ化乾燥卵黄に含まれるリン脂質の総量(ステアロ・オレオ・レシチンとして)及びその組成比を、薄層クロマトグラフィー法で、図1、2に記載のフローに沿って測定し、リン脂質の総量に対するリゾホスファチジルコリンの比率から、リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量を算出した。
実施例1~7及び比較例1~6のサンプル作製に用いたリゾ化乾燥卵黄に含まれるリン脂質の総量(ステアロ・オレオ・レシチンとして)及びその組成比を、薄層クロマトグラフィー法で、図1、2に記載のフローに沿って測定し、リン脂質の総量に対するリゾホスファチジルコリンの比率から、リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量を算出した。
実施例1~7及び比較例1~6の(1)油脂の割合(原料の合計に対する割合)、(2)水あめ中の固形分(原料の合計に対する割合)、(3)リゾ化乾燥卵黄を30重量%水溶液としたときのBrix、(4)リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリン(LPC)の量(原料の合計に対する割合)を、それぞれ下表4、5に示す。
実施例1~7及び比較例1~6のサンプル作製に用いた各リゾ化乾燥卵黄のホスファチジルコリンのリゾ化率は、実施例1、2、4、5、6、比較例5、6については77.6%であり、実施例3については81.2.%、比較例1、2、3、4については82.6%であり、実施例7については78.3%であった。
[乳化安定性の評価]
実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品の乳化安定性を、(i)油滴の平均粒子径の増大率の測定及び(ii)耐熱試験によって評価した。具体的には、それぞれ下記の通り評価を実施した。
実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品の乳化安定性を、(i)油滴の平均粒子径の増大率の測定及び(ii)耐熱試験によって評価した。具体的には、それぞれ下記の通り評価を実施した。
(i)油滴の平均粒子径の増大率の測定
実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品について、それぞれ製造当日の油滴の平均粒子径(μm)を測定した。次いで、実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品を、それぞれ90mLのプラスチックボトルに充填して密封し、製造から1週間、44℃で保管した後、保管後の油滴の平均粒子径(μm)を測定した。測定した製造当日の油滴の平均粒子径(μm)及び保管後の油滴の平均粒子径(μm)から、下記式により油滴の平均粒子径の増大率(%)を算出した。
[油滴の平均粒子径の増大率(%)]=[保管後の油滴の平均粒子径(μm)]/[製造当日の油滴の平均粒子径(μm)]×100
実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品の油滴の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD-3100)を用いて、下表3に示す条件にて測定した。
油滴の平均粒子径の増大率(%)が450%未満である乳化食品を合格(○)、450%以上である乳化食品を不合格(×)と判定した。尚、油滴の平均粒子径の増大率が450%以上である乳化食品は、(ii)耐熱試験において水分の分離量が多く乳化安定性が悪い傾向がある。
実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品について、それぞれ製造当日の油滴の平均粒子径(μm)を測定した。次いで、実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品を、それぞれ90mLのプラスチックボトルに充填して密封し、製造から1週間、44℃で保管した後、保管後の油滴の平均粒子径(μm)を測定した。測定した製造当日の油滴の平均粒子径(μm)及び保管後の油滴の平均粒子径(μm)から、下記式により油滴の平均粒子径の増大率(%)を算出した。
[油滴の平均粒子径の増大率(%)]=[保管後の油滴の平均粒子径(μm)]/[製造当日の油滴の平均粒子径(μm)]×100
実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品の油滴の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD-3100)を用いて、下表3に示す条件にて測定した。
油滴の平均粒子径の増大率(%)が450%未満である乳化食品を合格(○)、450%以上である乳化食品を不合格(×)と判定した。尚、油滴の平均粒子径の増大率が450%以上である乳化食品は、(ii)耐熱試験において水分の分離量が多く乳化安定性が悪い傾向がある。
(ii)耐熱試験
実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品を、50mLの目盛り付きコニカルチューブ(コーニング社製、ファルコンチューブ)にそれぞれ50gずつ充填した後、各チューブを90℃に調温したウォーターバスに1時間入れた。その後、遠心分離機(株式会社コクサン製、H-103RS)を使用して3000rpmで5分間、5℃条件下で、各チューブを遠心分離した。遠心分離後、下層に分離した水分量を、チューブの目盛りにて測定した。
下層に分離した水分量が6.0mL未満である乳化食品を合格(○)、6.0mL以上である乳化食品を不合格(×)と判定した。
実施例1~7及び比較例2~4の乳化食品を、50mLの目盛り付きコニカルチューブ(コーニング社製、ファルコンチューブ)にそれぞれ50gずつ充填した後、各チューブを90℃に調温したウォーターバスに1時間入れた。その後、遠心分離機(株式会社コクサン製、H-103RS)を使用して3000rpmで5分間、5℃条件下で、各チューブを遠心分離した。遠心分離後、下層に分離した水分量を、チューブの目盛りにて測定した。
下層に分離した水分量が6.0mL未満である乳化食品を合格(○)、6.0mL以上である乳化食品を不合格(×)と判定した。
乳化安定性の評価結果を下表4、5に示す。
下表4、5の「総合評価」は、(i)油滴の平均粒子径の増大率の測定及び(ii)耐熱試験において、いずれも合格(○)と判定された場合を「○」、少なくとも一方が不合格(×)と判定された場合を「×」と判定した。また、水中油型乳化食品を作製できなかった場合及び作製できても低粘度化が発生した場合も「×」と判定した。
下表4、5の「総合評価」は、(i)油滴の平均粒子径の増大率の測定及び(ii)耐熱試験において、いずれも合格(○)と判定された場合を「○」、少なくとも一方が不合格(×)と判定された場合を「×」と判定した。また、水中油型乳化食品を作製できなかった場合及び作製できても低粘度化が発生した場合も「×」と判定した。
表4、5に示される結果から明らかなように、実施例1~7の乳化食品は、いずれも保管後の油滴の平均粒子径の増大率が、製造当日の油滴の平均粒子径に対して、121~390%であり、保管後の油滴の増大が抑えられていた。また、実施例1~7の乳化食品は、耐熱試験において、下層に分離した水分量が、いずれも3.0~5.5mLであり、水分の分離も抑えられていた。
一方、30重量%水溶液としたときのBrixが19.2であるリゾ化乾燥卵黄が用いられた比較例2及び3の乳化食品は、保管後の油滴の平均粒子径の増大率が、453%及び497%であり、保管後の油滴の増大が抑えられていなかった。また、比較例2及び3の乳化食品は、耐熱試験において、下層に分離した水分量が、いずれも7.0mLであり、水分の分離も抑えられていなかった。リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、乳化食品に対して0.18重量%である比較例4の乳化食品は、30重量%水溶液としたときのBrixが19.2であるリゾ化乾燥卵黄が用いられたが、保管後の油滴の増大や、耐熱試験における水分の分離は確認されなかった。
これらの結果から、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品は、リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が特定の範囲である場合、油脂及び糖類をそれぞれ特定量で配合し、30重量%水溶液としたときのBrixが特定の値以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いるによって、保管後の油滴の増大及び耐熱試験における水分の分離がいずれも抑えられ、十分な乳化安定性を有し得ることが示唆された。
一方、30重量%水溶液としたときのBrixが19.2であるリゾ化乾燥卵黄が用いられた比較例2及び3の乳化食品は、保管後の油滴の平均粒子径の増大率が、453%及び497%であり、保管後の油滴の増大が抑えられていなかった。また、比較例2及び3の乳化食品は、耐熱試験において、下層に分離した水分量が、いずれも7.0mLであり、水分の分離も抑えられていなかった。リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、乳化食品に対して0.18重量%である比較例4の乳化食品は、30重量%水溶液としたときのBrixが19.2であるリゾ化乾燥卵黄が用いられたが、保管後の油滴の増大や、耐熱試験における水分の分離は確認されなかった。
これらの結果から、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品は、リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が特定の範囲である場合、油脂及び糖類をそれぞれ特定量で配合し、30重量%水溶液としたときのBrixが特定の値以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いるによって、保管後の油滴の増大及び耐熱試験における水分の分離がいずれも抑えられ、十分な乳化安定性を有し得ることが示唆された。
本発明によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品を提供できる。
本発明は、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性向上方法も提供する。本発明の方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性を向上し、当該乳化食品は卵黄配合量が低い場合であっても十分な乳化安定性を有し得る。
本発明は、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の製造方法も提供する。本発明の製造方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品を製造し得る。
本発明は、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性向上方法も提供する。本発明の方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性を向上し、当該乳化食品は卵黄配合量が低い場合であっても十分な乳化安定性を有し得る。
本発明は、リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の製造方法も提供する。本発明の製造方法によれば、リゾ化乾燥卵黄を含有し、十分な乳化安定性を有する水中油型乳化食品を製造し得る。
Claims (6)
- リゾ化乾燥卵黄及び糖類を含有する水中油型乳化食品であって、
前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上であり、
前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上であり、
前記リゾ化乾燥卵黄は、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であり、かつ
前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%である、乳化食品。 - 前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して15重量%以下である、請求項1記載の乳化食品。
- リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の乳化安定性向上方法であって、
前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上になるように調整すること、
糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上になるように糖類を添加すること、
前記リゾ化乾燥卵黄として、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いること、及び
前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%になるように調整することを含む、方法。 - 前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して15重量%以下である、請求項3記載の方法。
- リゾ化乾燥卵黄を含有する水中油型乳化食品の製造方法であって、
前記乳化食品における油脂の含有量が、前記乳化食品に対して70重量%以上になるように調整すること、
糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して2重量%以上になるように糖類を添加すること、
前記リゾ化乾燥卵黄として、30重量%水溶液としたときのBrixが20以上であるリゾ化乾燥卵黄を用いること、及び
前記リゾ化乾燥卵黄に含まれるリゾホスファチジルコリンの量が、前記乳化食品に対して0.03~0.17重量%になるように調整することを含む、製造方法。 - 前記糖類中の固形分が、前記乳化食品に対して15重量%以下である、請求項5記載の製造方法。
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