JP2023076931A - 地下貯水槽における遮水シート敷設方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)ブロック体中詰材に穴をあけ(あるいはブロック体中詰材の隙間を利用して)、ロープを通して結ぶ際に、ブロック体中詰材の構造上、裏側まで通す作業が困難で、時間を要する。
(2)シートの自重の影響で、ロープを結ぶ際にロープがずれやすく強く固定できない。そのため、ロープの結びが弱くなりやすい。作業者の匙加減に依存するため、作業の安定性に欠ける。
(3)1箇所あたりの作業に手間がかかるので、固定する間隔が広がる(固定箇所が少なくなる)。
(4)以上のように、シートの固定力を確保しにくい点で、後の「埋め戻し」の工程でシートのずれ落ちが生じやすくなる。
前記中詰材の上面に形成された通水孔にスナップフィット嵌合する固定具に、ロープの一方の端部を取り付ける第1工程、
前記ロープの一方の端部を取り付けた前記固定具を、前記通水孔にスナップフィット嵌合により取り付ける第2工程、
前記ロープの他方の端部を、前記遮水シートに設けられた穴に結び付ける第3工程、
を含むことを特徴とする。
また、ロープの一方の端部に取り付けられた固定具が中詰材の通水孔に固定することができることから、ロープの他方の端部を遮水シートに設けられた穴に結び付ける際に、ロープがずれにくいように引張強度を調整し易くすることができる。これにより、遮水シートを中詰材に簡単かつ適度な強度で固定することができる。
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る、ブロック形状をした中詰材2を遮水シート3で覆って貯水槽1を形成する貯水工法について説明する。
本実施形態に係る貯水工法により施工される貯水槽1は、図1に示すように、貯水可能な間隙を有するブロック形状をした中詰材2と、中詰材2を覆う遮水シート3と、遮水シート3を保護する保護シート4とを備え、遮水シート3及び保護シート4と中詰材2とは、ロープ6が結び付けられた固定具5により固定されている。また、貯水槽1には、中詰材2に水を流入させる管と、中詰材2に貯水した水を利用するポンプ機構と、中詰材2に貯水した水がオーバーフローした場合に排出する管とが配設されている。そして、この貯水槽1は地中に埋設されて、雨水を内部に蓄え、必要の際に蓄えた雨水が取出されて使用される。
中詰材2は、図2に示すように、多数の凸形状をした突起部23(図2では8つ)の間に溝部24が形成された直方体のブロック体22を多数並べて、ブロック体22の方向が互い違いになるように多数積み上げることにより、多くの間隙(空隙)を確保した中空構造をしている。また、突起部23には、円状の通水孔23a・23bが形成されており、溝部24にも多数の円状の通水孔24aが形成されている。
遮水シート3を構成する素材としては、加硫ゴム系、熱可塑性エラストマー系、ポリエチレン樹脂系、エチレン酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル樹脂系が挙げられ、高強度で耐候性に優れたポリエチレン樹脂系が好ましい。遮水シート3の厚みは、1.0mm~2.5mmの範囲のものを用いることが好ましい。その理由としては、遮水シート3の厚みが、1.0mm未満であると強度が不足してシートが容易に破断することがあり、一方で、厚みが、2.5mmを超えると、遮水シート3の接合箇所において段差が大きくなってしまい外観を悪くするからである。
本実施形態の貯水槽1では、図6(底面シート工)に示すように、遮水シート3の損傷を防ぐため下地面や側面に保護シート4を敷設する。保護シート4を構成する素材としては、ポリエステル長繊維不織布、ポリエステル短繊維不織布、あるいは天然繊維、合成繊維、合成樹脂などの単体あるいは複合材が挙げられ、遮水シート3と同じ高強度、耐候性を有するポリエステル長繊維不織布、ポリエステル短繊維不織布が好ましい。保護シート4の厚みは4.0mm以上ものを用いることが好ましい。なお、貯水槽1では、遮水シート3と保護シート4の2層での使用が一般的であるが、遮水シート3や保護シート4の枚数は特に限定されるものではなく、遮水シート3と保護シート4が複数枚重なっていてもよい。
固定具5は、図3に示すように、中詰材2のブロック体22に形成された通水孔23aの直径と略同じ外径の円筒形状をした本体51と、本体51の一方端に取り付けられた、本体51の外径より大きい円形の蓋部材52と、本体51の外周から付き出した、弾性変形可能な2つの引掛部53(2つの引掛部53は、本体51の外周において対向する位置に配置されている)とを有している。また、蓋部材52の中心には、ロープ6を通す空孔54が形成されている。この固定具5は、樹脂製(例えば、ポリアミド66)であり、引掛部53が形成された本体51を通水孔23aに、引掛部53の有する弾性を利用して嵌め込んで引っ掛けることにより、機械的に固定可能とされている。即ち、固定具5は、通水孔23aにスナップフィット嵌合可能とされている。
次に、本実施形態に係る貯水工法について、図5のフロー等を参照して説明する。
建物の地下や公園・駐車場の地下などに上記貯水槽1を施工するにあたり、障害物の除去、及び、安全対策を施す。
地面を平面形状が矩形状となるように掘下げて造成する。
底面は地盤表面を突き固めるか、あるいはコンクリート施工により基礎平坦部を形成する。
遮水シート3の損傷を防ぐため、最初に、底面に保護シート4をしわがよらないように敷設してから、遮水シート3を敷設する(図6(底面シート工)参照)。なお、遮水シート3の敷設面積が大きい場合は、遮水シート3同士を接合させる。例えば、遮水シート3の一方にプライマーを貼り付け、他方の遮水シート3にジョイントテープを貼り付け、遮水シート3同士を接合し、接合部分をハンドローラーによって転圧する。
保護シート4の上にブロック体22を水平方向に並べ、水平方向に並べた各ブロック体22の上に、別のブロック体22を突起部23及び溝部24の方向が互い違いになるように所定数積み上げ、中詰材2を成形する。そして、最後に中詰材2の最上部にスペーサーを嵌め込む(図6(中詰材組立工)参照)。
図7(A)に示すように、底部に敷設した遮水シート3を、中詰材2の側面を包み込むように敷設する。続いて、保護シート4を、遮水シート3の外側を包み込むように敷設する。この際、図7(B)に示すように、遮水シート3及び保護シート4のズレ落ちを防ぐために、中詰材2の側面部(中詰材2の上面部の端部)から500mm程度の部分にかけて遮水シート3及び保護シート4を被せてその上に重石を置き仮固定する。
また、ロープ6の一方の端部に取り付けられた固定具5が中詰材2の通水孔23aに固定することができることから、ロープ6の他方の端部を遮水シート3及び保護シート4に設けられた穴3aに結び付ける際に、ロープ6がズレにくいように引張強度を調整し易くすることができる。これにより、遮水シート3及び保護シート4を中詰材2に簡単かつ適度な強度で固定することができる。
また、中詰材2を遮水シート3で覆う作業の効率化を図ることができる。
図11に示すように、中詰材2の上面に、遮水シート3または透水シート(不織布)を敷設し、中詰材2の側面に敷設した遮水シート3と接合させる。これにより貯水槽になる部分が完成する。
側面からの土圧による移動や保護シート4のズレを防ぐため、重石代わりに上面にバランスよく置き土をし、一方向からの偏荷重が作用しないように四辺均等に外周部を埋戻した後、上部が所定の高さまになるまで埋戻す。これにより、建物の地下や公園・駐車場の地下などに上記貯水槽1を施工することができる。
中詰材としては、特に限定されず、水を通す通水孔が設けられていればよく、例えば、図12(A)に示すように、水を通す円状の通水孔23aが形成された、多数の凸形状をした折り曲げ部123(図12では4つ)を平行に形成して多数の溝部124(図12では3つ)を形成した、直方体のブロック体122を、折り曲げ部123及び溝部124の方向が互い違いになるように多数積み上げることにより構成したものでもよい。
2 中詰材
22 ブロック体
23 突起部
23a 通水孔
24 溝部
24a 通水孔
3 遮水シート
3a 穴
4 保護シート
5 固定具
6 ロープ
Claims (3)
- 貯水可能な間隙を有するブロック形状をした中詰材を、遮水シートで覆って貯水槽を形成する貯水工法であって、
前記中詰材の上面に形成された通水孔にスナップフィット嵌合する固定具に、ロープの一方の端部を取り付ける第1工程、
前記ロープの一方の端部を取り付けた前記固定具を、前記通水孔にスナップフィット嵌合により取り付ける第2工程、
前記ロープの他方の端部を、前記遮水シートに設けられた穴に結び付ける第3工程、
を含むことを特徴とする、貯水工法。 - 前記第1工程~前記第3工程を含む一連の工程を、前記中詰材の上面の縁に沿って所定間隔で繰り返し行うことを特徴とする、請求項1に記載の貯水工法。
- 前記第1工程において、前記ロープの一方の端部を、前記固定具に設けられた空孔に通し、当該空孔に通した、前記ロープの一方の端部に結び目を作ることにより、前記固定具に、前記ロープの一方の端部を取り付けることを特徴とする、請求項1又は2に記載の貯水工法。
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