JP2005002620A - 地下貯留及び/又は浸透槽 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料を使用して土盛りを行うことにより、土盛り高さが高くなっても土圧荷重の上昇が少なく、土圧荷重の上昇を防いで土盛高さを調整可能な地下貯留及び/又は浸透槽を提供する。
【解決手段】地下に雨水等を貯留及び/又は浸透するための貯留及び/又は浸透槽であって、地下に埋設された貯留及び/又は浸透槽上に、軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料が配設され、その上に土壌が配置されていることを特徴とする地下貯留及び/又は浸透槽。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下に雨水等を貯留及び/又は浸透するための貯留及び/又は浸透槽に関し、特に、その上部を公園や駐車場として利用する場合に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
昔から、大雨が降ったとき等に河川の氾濫を防止すると共に地下への浸透を助長するため調整池が造成されていたが、近年、用地の有効利用並びに雨水の有効利用を図るため、単なる調整池ではなく、地下に貯留及び/又は浸透槽を埋設し、この貯留及び/又は浸透槽の上部に土盛りを行って、公園または駐車場等として活用される場合が多くなっている。
【0003】
このような地下に貯留槽を埋設する場合には、地下水位が貯留槽の底面より高くなると、貯留層に浮力が働く。このため浮力が作用しても貯留槽が破損しないように、強固な貯留槽を作る必要があり、更に、浮力で貯留槽が浮き上がらないように貯留槽の上部に土盛りを行う必要があった。
【0004】
そこで、浮力の影響を減少した地下貯留槽として、地下に埋設され、その上部に土盛される水の地下貯留槽にあって、土盛量による土圧と空時における貯留槽の重量の和が最大地下水位時に空の貯留槽が受ける浮力以上となる深さに貯留槽を埋設することを特徴とするものが提案されている。また、地下に埋設され、その上部に土盛される水の地下貯留槽にあって、最大地下水位時より深くなる貯留槽部分の体積を小さくしたことを特徴とするものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平2002−180526号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1記載の地下貯留槽にあっては、土盛を必要以上に厚くせず、フロートを使用しない、地下水位の上昇による浮力の影響を減少させた地下貯留槽の提案であるが、土盛を厚くせず、浮力の影響を減少するには、最大地下水位よりも高い位置に貯留槽を設置すれば良いことになる。
しかしながら、地下貯留槽にあっては、地下水位だけでなく、貯留槽の設置現場によっては、雨水の流入口の位置が地表面から深くなる場合があり、このような場合には貯留槽自体を流入口の位置より深く埋設しなければならず、深く埋設するには土圧に耐えるために耐荷重強度の大きな貯留槽とする必要があり、コストアップの要因となっていた。
また、貯留槽の上部を公園として使用するときには、小高い山や池等を配置することが求められ、土盛り高さが異なるものとなるため、貯留槽としては、最も土圧の高い荷重に耐える耐荷重強度が必要になり、必要以上の強度をもつ貯留槽が必要となっていた。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料を使用して土盛りを行うことにより、土盛り高さが高くなっても土圧荷重の上昇が少なく、土圧荷重の上昇を防いで土盛高さを調整可能な地下貯留及び/又は浸透槽を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の地下貯留及び/又は浸透槽は、地下に雨水等を貯留及び/又は浸透するための貯留及び/又は浸透槽であって、地下に埋設された貯留及び/又は浸透槽上に、軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料が配設され、その上に土壌が配置されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、地下に埋設された貯留及び/又は浸透槽上に、軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料が配設されて土盛り高さが調整され、その上に土壌が配置されているので、土盛り高さが高くなっても土圧荷重はあまり高くならない。したがって、地下に埋設される貯留及び/又は浸透槽の強度をそれほど大きくする必要がなく、安価な地下貯留及び/又は浸透槽を構築できる。
【0010】
また、請求項2記載の地下貯留及び/又は浸透槽は、請求項1における軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料が発泡ポリスチレンブロックであることを特徴とし、請求項3記載の地下貯留及び/又は浸透槽は、請求項2における発泡ポリスチレンブロックの比重が0.1以下、耐圧縮強度が4.3t/m以上であるとを特徴とする。
【0011】
本発明で、軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料が発泡ポリスチレンブロックであると、地下に埋設された貯留及び/又は浸透槽上への配設高さに応じて積み上げて、その上に表層の土壌を配置すれば所定の表面形状の地面を形成できるため施工を簡単に行える。また、ブロックの比重が0.1以下、耐圧縮強度が4.3t/m以上のものが容易に得られるので、軽量で形崩れせず、耐圧縮強度の高いものが得られ、小山を作っても、深く埋設しても土圧荷重の増加を少なくでき、圧縮に強いので、その上部を作業用自動車で走行することが可能であり、駐車場としても使用可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る地下貯留及び/又は浸透槽の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の実施形態の一実施例を模式的に示す縦断面説明図である。
この地下貯留及び/又は浸透槽は、大雨が降ったときに雨水を一時的に貯留し、河川流量が急激に増大するのを防止する流出抑制効果及び/又は一時的に貯留した雨水を地中に浸透させる地下水保持効果を有するものである。また、貯留された雨水等を植木への散水や洗車用水、非常時の生活用水や防火用水として利用することもできるものであり、その上部は公園や駐車場としても利用されるものである。
【0013】
図1において、地下貯留及び/又は浸透槽1は、地面2を掘下げて掘削部3が造成され、この掘削部3の底面には割栗石等を敷き詰めて基礎部4が形成され、この基礎部4に貯留及び/又は浸透槽5が設置され、その上部に所定高さの土盛6がなされて構成されている。
【0014】
貯留及び/又は浸透槽5は、埋設深さまたはその上部に構築される小山等の高さに対応した土盛6の荷重と通行または駐車する車両の荷重に耐え、地下水による浮力が作用する場合には浮力により槽5が損傷しない強度を有するものが必要である。槽5は鋼材と鉄板で組み立てられた強度の大なるものであってもよいがコスト高となるので、外周面に防水シートを配置し、内部にプラスチック成形品からなる縦横、上下に連結可能な充填部材を配設した簡易なものであっても良い。この簡易な槽5の例については後述する。
【0015】
この貯留及び/又は浸透槽5には、その上部に周辺に降った雨水等を集める側溝等からの導水管25が接続されている。この導水管25の途中には泥溜め枡26が設置され、雨水中の砂や泥が沈殿され、上澄み水が槽5に導水管25によって導入されるようになっている。
また、槽5には、上部に槽5が満水状態となると放流するオーバーフロー管27が設けられ、下部には槽5に溜められた雨水を徐々に流出させるオリフィス管28が設けられている。
【0016】
貯留及び/又は浸透槽5の上部に配置される土盛6は、公園や駐車場として必要な地表面の形状を形づくる多数の発泡ポリスチレンブロック6aが平面的に並べられ、積み重ねられ、その表面に必要最小限の厚さの土壌6bが配置されて形成されている。
発泡ポリスチレンブロック6aの形状や大きさは、槽5の上部に安定して配置でき、所望の地表面形状を効率よく形成できるように決められる。例えば、厚さ数センチメートル〜数十センチメートルで、幅1メートル、長さ2メートルの板状ブロックである。これらの発泡ポリスチレンブロック6aは10〜20倍発泡の程度のものが、比重も0.1以下と軽く、耐圧縮強度も車両重量に耐える4.3t/m以上であるので好ましい。発泡ポリスチレンブロック6aは通常のビーズ発泡成形法や押出法で成形される。
縦横、上下に積み重ねられる発泡ポリスチレンブロック6aは、相互に接着剤または固定具で連結されているとより安定な地表面が形成できる。
【0017】
土盛6は、貯留及び/又は浸透槽5が地下水による浮力で浮き上がらず、かつ破損しない範囲であればよい。発泡ポリスチレンブロック6aと土壌6bと貯留及び/又は浸透槽5とを加えた重量が、最高地下水位高さのときに槽5に作用する浮力よりも大きくなるようにすればよい。
貯留及び/又は浸透槽5に作用する最大の浮力に相当する土盛6重量を算出し、土盛6の高さから、発泡ポリスチレンブロック6aの高さと土壌6bの厚さとを計算できる。
【0018】
次に、貯留及び/又は浸透槽5の実施例を説明する。
図2は、本実施の形態に係る貯留及び/又は浸透槽5の実施例を説明する断面図、図3は図2のA−A線における断面図、図4は図2のB−B線における断面図である。
図2〜4において、地面2を掘下げて形成した貯留部10と、貯留部10内に水平方向に並べて設置すると共に、上下方向に重ねる多数の第1の充填部材30Aと、充填部材30Aの上部に載置され貯留部10の上部を覆う仕切板39と、更にその上部の貯留部10内に設置される第2の充填部材30Bとを備えている。
【0019】
貯留部10は、地面1を例えば1〜10m程度の深さで平面形状が矩形状に掘下げて掘削部3を造成し、底面は割栗石等を敷き詰めて突き固めて基礎部4を形成している。貯留部10の底面は、基本的には平坦面となっており、底面の長辺方向の中央部には平坦面から一段落ち込んだ凹窪部11が形成されている。この凹窪部11は底面の短辺方向の全幅に亘って形成されている。凹窪部11の底面及び貯留部10の底面全面には、防水シート12が敷設されている。防水シート12としては厚さが1.5mm以上の合成ゴム又は樹脂系シート又はアスファルト系シートを使用している。そして、貯留部10の底面の凹窪部11には格子状のフレーム14が嵌め込まれ、貯留部10の底面は全面が略平坦となっている。
【0020】
なお、割栗石等から形成される基礎部4上に保護ボード13を敷き、その上に防水シート12を敷設するようにしてもよい。また、前記した保護ボード13の代わりに、防水シート12の下に必要に応じてポリエステル系不織布シート等の基礎用シート(図示せず)を敷設し、防水シート12を基礎部4の割栗石から保護するようにしてもよい。さらに、凹窪部は貯留部の広さに応じて複数本形成し、複数の凹窪部に充填部材30Aの後述する傾斜板部で雨水を誘導するようにしてもよい。
【0021】
前記のように略平坦とされた貯留部10の底面に、多数の充填部材30Aが水平に並べられると共に、上下に重ねられて設置される。本実施の形態では、貯留部10は図3に示すように充填部材30Aを1段に20個並設するスペースを有し、凹窪部11の両端に対応する2ヶ所を除いた18個を1段に並設している。この状態で第1の充填部材30Aを3段、直接積み重ねて小さいピッチとし、この上に第1の充填部材30Aを2段、連結部材35(図8、図9及び図10参照)を挟んで積み重ねて大きいピッチとして積み重ねられて、貯留槽底部の貯留部10内に充填されて雨水等の貯留空間を確保するものである。
【0022】
充填部材2個分が除かれた貯留部10内を上下方向に貫通するスペースには、凹窪部11に連通する角型マンホール15,16が設置されている。そして、第1の充填部材30Aの傾斜板部で誘導された雨水が砂等と共に凹窪部11に誘導され落下する構成となっている。また、この角型マンホール15,16は、凹窪部11に堆積された砂等の堆積物を除去する際に、バキューム管や洗浄水を噴射する管を通すスペースとして利用される。
【0023】
第1の充填部材30Aは、図5〜7に詳細に示すように、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックや、これらの廃プラスチック等から形成され、貯留部10の上部を覆う第2の充填部材30B及び被覆部材40の垂直荷重、及び水圧による水平荷重を支持し、貯留部10の空間を確保する4本の柱状の連結部31と、4本の連結部31に固定され水平面に対して5度程度の角度で傾斜する傾斜板部32とから構成されている。
【0024】
傾斜板部32は厚さが4〜5mm程度の肉厚の板材で形成され、流入した雨水等を所定方向に誘導する誘導手段を構成する。傾斜板部32の傾斜方向Sは、矢印の先端が低い方向となっており、傾斜角度が緩やかな場合砂等が雨水と共に流れずに滞留するため、5度程度の傾斜角度が好ましい。充填部材30Aの大きさは、例えば1辺が50cm〜1m程度の正方形の傾斜板部32と、傾斜板部の四隅に上下に延びる連結部31とから構成され、連結部は高さが10〜15cm程度の三角柱で形成され、1辺が50cm〜1m程度で高さが10〜15cm程度の直方体に納まるような形状をしている。
【0025】
なお、第1の充填部材30Aの大きさは、1辺が30cm程度の大きさでも、また1辺が1m以上の大きさでもよい。また、第1の充填部材30Aの傾斜板部32は平板を傾斜させた例を示したが、平板でなく傾斜方向に沿って緩やかに凹んだ、或いは緩やかに凸状に膨らんだ湾曲面でもよく、小さい段差が連続して勾配が付いた階段状の傾斜面でもよい。さらに、急勾配から緩勾配に途中で変化するような傾斜面で構成してもよい。
【0026】
連結部31は厚さが4〜5mm程度の肉厚の板材で形成され、大きい断面の三角パイプ状の上部柱部31aの下方には、上部柱部31aの内部に嵌合する小さい断面の三角パイプ状の下部柱部31bが形成されている。したがって、第1の充填部材30Aの上部柱部31aに、他の第1の充填部材30Aの下部柱部31bを内嵌させることにより充填部材30A同士を小さいピッチ、すなわち連結部31の高さのピッチで積み重ねることができる。三角パイプ状の連結部31の底面と側面には上下に貫通孔31c,31dが形成され、下方の貫通孔から雨水が進入することができ、側方の貫通孔から内部の空気が逃げることができる。なお、下部柱部31bは、コーナー部が切欠かれているが連続したものでもよい。また、連結部31内の底面は土砂等を傾斜板部32に誘導するために、側面の貫通孔方向に傾斜していることが好ましい。
【0027】
傾斜板部32の下面には補強部が形成され、上面は平坦で緩やかな傾斜面となっている。補強部としては、所定の間隔で一体的に縦横に立設された格子状の補強リブ33が形成されている。この補強リブ33は傾斜板部32の中央部の上下幅が大きく、周辺に行くにしたがって上下幅が徐々に小さくなるように形成されている。この構成により、傾斜板部32の上面に荷重が加わっても傾斜板部32の変形は小さくなり、上面に施工者が載ってもひび割れ等の破損が生じることを防止できる。なお、補強リブは格子状でなくてもよいが、格子状にすると一方向のものと比較して強度が大きくなり好ましく、六角形のハニカム格子状が強度面からより好ましい。
【0028】
補強部である補強リブ33には、この補強リブで囲まれた下方開口の空間が形成され、この空間の上部と連通する開放部34が形成してある。開放部34としては、補強リブ33の一部を切欠き隣接する下方開口の空間と連通するように構成する。この構成により、貯留部10に下方から徐々に雨水が溜まって上昇してきたとき、この下方開口の空間に空気が溜まったままとならず、空気が開放部34から隣接する空間に移動して代わりに雨水が進入することができると共に、浮力による第1の充填部材の浮き上がりを防止することができることとなり、貯留部10に雨水を充満させて所定の貯留量を確保することができるものとなる。なお、補強リブ33を切り欠いた開放部34でなく、補強リブ33の上部を水平方向に貫通する孔(図示せず)を形成して連通させてもよい。
【0029】
第1の充填部材30Aは連結部31の上部に連結部材35を挟んで積み上げることにより、大きいピッチで積み重ねることができる。連結部材35は三角パイプ状の連結部31を繋ぐものであり、図8に示すように上方の大きい三角パイプ状の連結部36は充填部材30Aの下部柱部31bを外嵌し、下方の小さい略三角パイプ状の連結部37は第1の充填部材30Aの上部柱部31aに内嵌されるように構成されている。連結部材35の高さを調整することにより、第1の充填部材30Aを積み重ねるピッチを任意に設定することができる。また、図示していないが、連結部の高さが大きい充填部材と、小さい充填部材の2種類の第1の充填部材を準備し、小さいピッチ又は大きいピッチで積み重ねるようにしてもよい。なお、連結部37は一部が切欠かれているが、連続したものでもよい。
【0030】
連結部材35は外側の直交する垂直面に水平方向の接合部38を備えている。垂直面の一方には接合凸部38aが突出形成され、垂直面の他方には接合凸部38aが嵌合する接合孔38bが形成されている。接合凸部38aは、接合孔とほぼ同じ直径の根元の小径部と、その上部の先端が傾斜している大径部とから構成され、小径部と大径部に掛けてスリットが形成され、大径部は内側に湾曲して縮径することができる。この構成により、接合凸部38aは接合孔38bに嵌合して保持され、連結部材35同士を水平方向に接合することができる。連結部材35は土砂を傾斜板部32に誘導するために傾斜した仕切り板を備えており、この仕切り板の低い位置には貫通孔39が形成され、雨水の進入と空気の排出も可能となっている。
【0031】
連結部材35は、図9(a)、図10(a)に示すように、接合部38の接合凸部38aを接合孔38bに嵌合させることにより2個の連結部材35を接合することができる。このように2個を接合させた連結部材は、充填部材30Aが貯留部10の外周側に位置しているときに使用する。また、図9(b)、図10(b)に示すように、接合部38の接合凸部38aを接合孔38bに嵌合させることにより4個の連結部材35を接合することができる。この場合は、第1の充填部材30Aが貯留部10の中心側に位置しているときに使用する。なお、使用していない接合凸部38aで突出しているものは、刃物等で切断して平坦としてもよい。また、角型マンホール15,16の角部に対向する第1の充填部材30Aを接合するときは、図示していないが3個の連結部材を接合して使用する。
【0032】
本実施の形態では、図3において左端の縦一列の第1の充填部材30Aは雨水を誘導する傾斜方向S1が右方向に向くように、すなわち貯留部の中央の凹窪部11に向けて誘導するように配置され、右端の縦一列の第1の充填部材30Aも傾斜方向S1が左方向に向いて貯留部の中央の凹窪部11に向けて誘導するように配置されている。そして、左端から2番目の縦一列の第1の充填部材30Aは、上から順に傾斜方向Sが下向きS3、右向きS1、上向きS4、上向きS3になるように配置され、右端から2番目の縦一列の第1の充填部材30Aは上から順に傾斜方向Sが下向きS3、左向きS1、左向きS1、上向きS3になるように配置される。中央上側の第1の充填部材30Aは、傾斜方向Sが同図において下向きS2になるように配置され、中央下側の第1の充填部材30Aは左向きS3になるように配置されている。
【0033】
前記の傾斜方向は以下のように決定されている。第1に、第1の充填部材の傾斜方向S1は凹窪部11に向けられる。第2に、凹窪部の上部に位置する第1の充填部材は傾斜方向S2のように流出側に向けられる。第3に、連通路であるマンホール部分では、雨水が行き止まりにならないように別の方向に傾斜方向S3のように逃がす。そして、第4に、隣同士の第1の充填部材の傾斜方向が向き合わないように傾斜方向S4とする。この結果、流出側のマンホール部分では、一部の雨水が右回りに旋回する旋回流S5が生じて徐々に傾斜板部の隙間から落下するように構成される。なお、傾斜方向S3を右向きとし、右側の第1の充填部材の傾斜方向S4を上向きにすることにより旋回流を中央より右側に、左回りとするようにしてもよい。
【0034】
このため、雨水は第1の充填部材30Aにより中央の凹窪部11に向けて誘導されると共に、凹窪部11に向けて徐々に落下して誘導される構成となっている。第1の充填部材30Aはこのような誘導方向で、小さいピッチで積み重ねたあと、大きいピッチで積み重ねられる。なお、小さいピッチで積み重ねた場合は、傾斜板部32は下段側の誘導方向の傾斜板部32と僅かな段差で連続し、雨水を連続的に誘導できる。
【0035】
このように1段に18個連設して、5段積み重ねられた第1の充填部材30Aは、基礎に相当する下半分が小さいピッチで積み重ねられて強度が大きくなっており、上半分は大きいピッチで空隙率が大きくなっている。また、第1の充填部材30Aを高く積み重ねると不安定となるが、上部の第1の充填部材30Aは連結部材35の接合部38で水平方向に接合されているため安定し、施工が容易となる。さらに、第1の充填部材30Aは積み重ね状態が安定しているため、上部に積み重ねられる第2の充填部材30B及び上部の被覆部材40を安定して支持することができ、雨水等を貯留及び/又は浸透する施設の耐久性を向上させることができる。
【0036】
第1の充填部材30Aは、単位体積当たりの空隙率が高いことや、実用上十分な強度、耐久性を有することが要求されると共に、運搬施工が容易であり、維持管理が容易であることが要求され、耐荷重は例えば垂直方向は1平方メートル当たり5〜20トン、水平方向は5〜16トン、空隙率は90%程度が好ましい。また、前記のように連結部31にスリットや貫通孔を設けて内部に雨水等が入るようにして空隙率を上げることが好ましい。
【0037】
第1の充填部材30Aは、その上面が略水平でかつ凹凸が少なくなるように積み重ねられるが、それでもなお若干の凹凸等ができてしまうことがある。その時には、第1の充填部材の上部に、雨水及び砂等を通過させる仕切板39が設置され、第1の充填部材30Aの上面は略水平面とされる。仕切板39は曲がりにくく、高強度で剛性を有し、かつ腐食のない材料で作成されていることが望ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックや、これらの廃プラスチック等から形成されれば良い。更に仕切板39には適当な大きさの貫通孔が設けられ、その貫通孔を通って第2の充填部材30Bに流れ込んだ雨水や雨水に含まれる砂等が、下方の第1の充填部材方向に流れることができるようにされていることが必要である。
【0038】
このように第1の充填部材が配置され、その上に第2の充填部材30Bが積み重ねられる。第2の充填部材30Bは、所定の空隙率を有しかつ上下左右に連設して地中に埋設しても充分な強度を有し、かつ貯留槽内に流入した雨水等が第1の充填部材の上面に均等に分配されるように誘導する誘導手段を備えていることが望ましい。
【0039】
第2の充填部材30Bも、第1の充填部材30Aと同様に、単位体積当たりの空隙率が高いことや、実用上十分な強度、耐久性を有することが要求されると共に、運搬施工が容易であり、維持管理が容易であることが要求され、耐荷重は例えば垂直方向は1平方メートル当たり5〜20トン、水平方向は5〜16トン、空隙率は90%程度が好ましい。
【0040】
この目的のためには、高強度で剛性を有し、かつ腐食のない材料で作成されていることが望ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックや、これらの廃プラスチック等から形成されると好都合である。
【0041】
第2の充填部材30Bの代表的な例を、図11と12に示す。勿論これらの図に示す以外であっても、所定の空隙率を有しかつ上下左右に連設して地中に埋設しても充分な強度を有するものであれば良いことはいうまでもない。
【0042】
図11、12に示される第2の充填部材30Bは波形折板状であり、山部102と谷部103とが交互に組み合わされて山形部材100を構成し、山部102及び谷部103にはそれぞれ複数個の山部貫通孔104及び谷部貫通孔105が設けられている。山部102と谷部103とが交互に直角となるように積み重ねられ、上下の山形部材100同士がずれないよう、互いの山形部101の下端部及び山部102の一部に噛み合い溝等が設けられている。雨水等に含まれる砂等異物は、貫通口104及び105を通って下方に移動可能とされている。
【0043】
上記第2の充填部材30Bは、第1の充填部材30Aの上部に、第1の充填部材30Aが貯留槽底部に置かれたと同様に積み重ねられれば良い。その時の積み重ね高さは、貯留槽の高さから第1の充填部材の高さを差し引いた高さとなるだけの段数に積み重ねられればよい。又、平面的には、第1の充填部材の略直上に、そのまま積み重ねられれば良い。従って、その平面サイズは第1の充填部材30Aと同じとされていれば取り扱いが容易となる。
【0044】
第1の充填部材30A及び第2の充填部材30Bとが、上下に合わせて11段に積層され設置されたあと、第1及び第2の充填部材30Aの側面を覆う壁材20が立設され、その外側に防水シート21が垂直方向に配置され、さらに外側には砂利や砕石等の埋め戻し材22が掘削部3との間に充填される。壁材20は、この外側に位置する防水シート21が貯留部10の空間に入り込むのを防止している。防水シート21は貯留部10の底面に敷いたものと同等の合成ゴム又は樹脂系シートを使用し、底面の防水シート12と漏水しないように、融着又は防水性の接着剤等で接合されている。防水シート21を砂利等の埋め戻し材22から保護するため、防水シート21の外側に壁材20と同等の保護板23を配置してもよい。
【0045】
なお、貯留施設でなく、浸透施設とする場合は、防水シート12,21の代わりに、例えばポリエステルとポリプロピレンの複合張合わせをした透水シートを敷設する。浸透型の施設の場合、貯留部に溜まった雨水等を徐々に地面に浸透させる。また、貯留と浸透の両方の機能を持たせる場合は、底面を防水シート12とし、側面の途中まで防水シート21を敷設し、側面の途中から上を透水シートで覆うようにする。この貯留浸透型の施設の場合、上半分の透水シートから雨水等を徐々に地面に浸透させ、下半分は貯留して利用する。
【0046】
貯留部上部には、周辺に降った雨水等を集める側溝等からの導水管25が接続される。そして導水管25の途中には泥溜め枡26が設置され、雨水中の砂や泥が沈殿され、上澄み水が貯留部10に導水管25によって導入される構成となっている。導水管25は複数本が泥溜め枡26から延出して貯留部10の壁材20と防水シート21を貫通して等間隔に挿入されている。なお、複数の導水管25は、その長さを変えて貯留部10の奥に雨水を流入させるように構成してもよい。これにより、貯留部10の長辺方向に沿って均一に雨水等を導入することができる。
【0047】
貯留部の上部からオーバーフロー管27が突出しており、貯留部10の下部からはオリフィス管28が突出している。オーバーフロー管27は貯留部10が満水に近い状態となると上部から放流するものである。オリフィス管28は貯留部10に溜められた雨水を徐々に流出させるものであり、オリフィスの径を調整して流出量を調整できる。貯留部10に溜まった雨水を利用するときには、貯留部10内の雨水をポンプで汲み上げて、植木への散水や洗車用水として利用することもできる。
【0048】
貯留部10の上部開口は被覆部材40が覆っている。被覆部材40は多数の第2の充填部材30Bの上部に載置される被覆ボード41と、この上に敷設された防水シート42とから構成される。被覆ボード41は、図示していないが第2の充填部材30Bの上部の連結部が嵌合する凹部を有すると第2の充填部材30Bに安定して載置できて好ましい。被覆ボード41の角型マンホール15,16に対応する位置に連通口17を固定する。そして、防水シート42を連通口17に接合すると共に、防水シート42と側面の防水シート21は重ね合わせて側面で接合する。これにより凹窪部11は、角型マンホール15,16と、連通口17を通して地面に開口し、連通口17から洗浄水やバキューム等のホースを挿入して凹窪部11にホースの先端を到達させることができる。連通口17は通常は図示していない蓋により閉じられている。なお、防水シート42の上に、保護ボード43や保護シートを敷くようにしてもよい。
【0049】
このようにして貯留部10は、底面の防水シート12と、側面の防水シート21とにより、雨水等を貯留することができ、防水シート12,21と上面の被覆部材40の防水シート42とにより内部空間が構成される。この内部空間に第1および第2の充填部材が充填されて、内部空間が保持され、貯留及び/又は浸透槽5となされている。
【0050】
そして、被覆部材40の上部には、発泡ポリスチレンブロック6aが所定の厚さ、所定の表面形状となるよう平面的に並べられ、積み重ねられ、その表面に必要最小限の厚さの土壌6bが配置された土盛6がなされ、小山の設けられた公園や駐車場として活用される。
【0051】
なお、貯留部10の上部の防水シート42を透水シートで構成し、貯留部10の上部に降った雨水を土盛6、透水シート、被覆ボード41を通して直接、貯留部10に貯留するようにしてもよい。
【0052】
また、上記の実施例において、第2の充填部材を使用せず、貯留部10内に底部から上端部まで第1の充填部材のみを積み重ねたものであってもよい。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明の地下貯留及び/又は浸透槽の構成によれば、地下に埋設された貯留及び/又は浸透槽上に、軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料が配設されて土盛り高さが調整され、その上に土壌が配置されているので、土盛り高さが高くなっても土圧荷重はあまり高くならない。したがって、地下に埋設される貯留及び/又は浸透槽の強度をそれほど大きくする必要がなく、安価な地下貯留及び/又は浸透槽を構築できる。
【0054】
また、請求項2記載の発明のように、軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料が発泡ポリスチレンブロックであると、地下に埋設された貯留及び/又は浸透槽上への配設高さに応じて積み上げて、その上に表層の土壌を配置すれば所定の表面形状の地面を形成できるため施工を簡単に行える。また、ブロックの比重が0.1以下、耐圧縮強度が4.3t/m以上のものが容易に得られるので、軽量で形崩れせず、耐圧縮強度の高いものが得られ、小山を作っても、深く埋設しても土圧荷重の増加を少なくでき、圧縮に強いので、その上部を作業用自動車で走行することが可能であり、駐車場としても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一実施例を模式的に示す縦断面説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る貯留及び/又は浸透槽の実施例を説明する断面図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】図2のB−B線における断面図である。
【図5】図2の実施例で使用する第1の充填部材の上方からみた斜視図である。
【図6】図2の実施例で使用する第1の充填部材の下方からみた斜視図である。
【図7】(a)は図5のC−C線における断面図、(b)は図5のD−D線における断面図である。
【図8】図2の実施例で使用する連結部材を示し、(a)は上方からみた斜視図、(b)は下方からみた斜視図である。
【図9】(a)は図8に示す連結部材を2つ組んだ状態の上方からみた斜視図、(b)は図8に示す連結部材を4つ組んだ状態の上方からみた斜視図である。
【図10】(a)は図8に示す連結部材を2つ組んだ状態の平面図、(b)は図8に示す連結部材を4つ組んだ状態の平面図である。
【図11】波板折り板状である第2の充填部材の一例の斜視図である。
【図12】図11に示す第2の充填部材の積み重ね状態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 地下貯留及び/又は浸透槽
2 地面
3 掘削部
4 基礎部
5 貯留及び/又は浸透槽
6 土盛
6a 発泡ポリスチレンブロック
6b 土壌
10 貯留部
12 防水シート
13 保護ボード
14 フレーム
15、16 角型マンホール(連通路)
17 連通口
20 壁材
21 防水シート
30A 第1の充填部材
30B 第2の充填部材
31 連結部
32 傾斜板部(誘導手段)
33 補強リブ(補強部)
35 連結部材
39 仕切板
40 被覆部材
41 被覆ボード
42 防水シート
100 山形部材
102 山部
103 谷部
104 山部貫通孔
105 谷部貫通孔
S、S1〜S4 傾斜方向(誘導方向)
S5 旋回流

Claims (3)

  1. 地下に雨水等を貯留及び/又は浸透するための貯留及び/又は浸透槽であって、地下に埋設された貯留及び/又は浸透槽上に、軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料が配設され、その上に土壌が配置されていることを特徴とする地下貯留及び/又は浸透槽。
  2. 軽量で耐圧縮強度と耐水性を有する土壌代替材料が発泡ポリスチレンブロックであることを特徴とする請求項1記載の地下貯留及び/又は浸透槽。
  3. 発泡ポリスチレンブロックの比重が0.1以下、耐圧縮強度が4.3t/m以上であることを特徴とする請求項2記載の地下貯留及び/又は浸透槽。
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