JP2023076297A - タイヤ - Google Patents

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Hana Tawarahana
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Abstract

【課題】 転がり抵抗性能を維持しつつウェット性能を向上する。【解決手段】 トレッド部2に溝付サイプ3が形成されたタイヤ1である。溝付サイプ3は、第1溝付サイプ3Aと、第2溝付サイプ3Bとを含んでいる。トレッド接地面2sから第1溝付サイプ3Aの第1拡幅溝部5Aのタイヤ半径方向の外端位置6aまでの距離h1は、トレッド接地面2sから第2溝付サイプ3Bの第2拡幅溝部5Bのタイヤ半径方向の外端位置6bまでの距離h2と異なる。【選択図】図2

Description

本開示は、タイヤに関する。
下記特許文献1には、トレッド部に、六角形ブロックが形成されたタイヤが記載されている。前記六角形ブロックには、前記六角形ブロックをタイヤ軸方向に横切る第2のサイプが設けられている。前記第2のサイプは、3次元サイプである。このようなタイヤは、転がり抵抗が低減される。
特開2019-104411号公報
上記特許文献1のタイヤでは、ウェット性能の向上については、さらなる改善の余地があった。
本開示は、以上のような実状に鑑み案出なされたもので、転がり抵抗性能を維持しつつウェット性能を向上することができるタイヤを提供することを主たる目的としている。
本開示は、トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部には、トレッド接地面で開口し、かつ、タイヤ軸方向に延びる複数の溝付サイプが形成されており、前記複数の溝付サイプは、第1溝付サイプと、第2溝付サイプとを含み、前記第1溝付サイプは、第1サイプ部と、前記第1サイプ部のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、前記第1サイプ部よりも大きい幅の第1拡幅溝部とを含み、前記第2溝付サイプは、第2サイプ部と、前記第2サイプ部のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、前記第2サイプ部よりも大きい幅の第2拡幅溝部とを含み、前記トレッド接地面から前記第1拡幅溝部のタイヤ半径方向の外端位置までの距離h1は、前記トレッド接地面から前記第2拡幅溝部のタイヤ半径方向の外端位置までの距離h2と異なる、タイヤである。
本開示のタイヤは、上記の構成を採用することで、転がり抵抗性能を維持しつつウェット性能を向上することができる。
本開示のトレッド部の一実施形態を概念的に説明するための平面図である。 (a)は、第1溝付サイプの横断面図、(b)は、第2溝付サイプの横断面図である。 トレッド部の平面図である。 クラウン周方向溝の横断面図である。 トレッド部の平面図である。 (a)は、ミドルブロックの平面図、(b)は、(a)のA-A線断面図である。 他の実施形態のトレッド部の平面図である。
以下、本開示の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本開示のタイヤ1のトレッド部2を概念的に説明するための平面図である。本開示のタイヤ1は、例えば、重荷重用の空気入りタイヤに用いられる。但し、本開示のタイヤ1は、例えば、乗用車用や自動二輪車用の空気入りタイヤや、内部に圧縮空気が充填されない非空気式タイヤに用いられてもよい。
図1に示されるように、本実施形態のトレッド部2には、トレッド接地面2sで開口し、かつ、タイヤ軸方向に延びる複数の溝付サイプ3が形成されている。トレッド接地面2sは、正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときに、前記平面と接地する面である。特に断りがない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。「正規状態」とは、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。
「正規リム」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
複数の溝付サイプ3は、第1溝付サイプ3Aと、第2溝付サイプ3Bとを含んでいる。
図2(a)は、第1溝付サイプ3Aの横断面図である。図2(b)は、第2溝付サイプ3Bの横断面図である。図2に示されるように、第1溝付サイプ3Aは、第1サイプ部4Aと、第1サイプ部4Aのタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、第1サイプ部4Aよりも大きい幅の第1拡幅溝部5Aとを含んでいる。第2溝付サイプ3Bは、第2サイプ部4Bと、第2サイプ部4Bのタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、第2サイプ部4Bよりも大きい幅の第2拡幅溝部5Bとを含んでいる。このような溝付サイプ3は、第1拡幅溝部5A及び第2拡幅溝部5Bによって、多くのトレッド接地面2s上の水を排出できるので、ウェット性能を高めることができる。
トレッド接地面2sから第1拡幅溝部5Aのタイヤ半径方向の外端位置6aまでの距離h1は、トレッド接地面2sから第2拡幅溝部5Bのタイヤ半径方向の外端位置6bまでの距離h2と異なっている。これにより、摩耗が進行した場合、第1拡幅溝部5Aと第2拡幅溝部5Bとが同時にトレッド接地面2sに現れることがなく、トレッド部2の大きな剛性低下が抑制されるので、転がり抵抗性能が維持される。
このように、本実施形態の溝付サイプ3は、図1に示されるように、サイプ部4と、サイプ部4のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、サイプ部4よりも大きい幅の拡幅溝部5とを含んでいる。このような溝付サイプ3は、拡幅溝部5によって、ウェット性能を高めることができる。また、トレッド接地面2sから拡幅溝部5までのタイヤ半径方向の距離を異ならせることで、転がり抵抗性能を高めることができる。サイプ部4及び後述するサイプは、本明細書では、幅が1.5mm未満の切込み状のものをいう。また、拡幅溝部5及び後述する溝は、溝幅が1.5mm以上の溝状のものをいう。
トレッド部2は、例えば、第1陸部7Aと、第1陸部7Aとは、タイヤ軸方向で異なる位置に配された第2陸部7Bとを含んでいる。そして、第1陸部7Aには、第1溝付サイプ3Aが形成されており、第2陸部7Bには、第2溝付サイプ3Bが形成されている。これにより、異なる接地圧が作用する第1陸部7A及び第2陸部7Bにおいて、これら陸部7A、7Bの大きな剛性低下を抑制することができる。
第1陸部7A及び第2陸部7Bは、それぞれ、タイヤ周方向に連続して延びるリブ状体として形成されても良いし、タイヤ周方向に複数のブロックが並ぶブロック列として形成されても良い(図示省略)。また、第1陸部7A及び第2陸部7Bには、それぞれ、第1溝付サイプ3A又は第2溝付サイプ3Bが1本設けられている。なお、第1陸部7A及び第2陸部7Bのそれぞれには、第1溝付サイプ3A又は第2溝付サイプ3Bが複数本設けられてもよい。
図3は、本実施形態のトレッド部2の平面図である。図3に示されるように、トレッド部2は、例えば、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝8と、周方向溝8で区分された陸部10とを含んでいる。
本実施形態の周方向溝8は、タイヤ赤道Cの両側に位置する一対のクラウン周方向溝8Aと、クラウン周方向溝8Aのタイヤ軸方向の外側に位置する一対のショルダー周方向溝8Bとを含んでいる。これにより、本実施形態の陸部10は、クラウン陸部11と、クラウン陸部11のタイヤ軸方向の両側に隣接する一対のミドル陸部12と、ミドル陸部12のタイヤ軸方向の外側に隣接する一対のショルダー陸部13とを含んでいる。クラウン陸部11は、本実施形態では、陸部10の中で最もタイヤ赤道C側に位置しており、例えば、タイヤ赤道C上に位置している。各ショルダー陸部13には、トレッド端Teが形成されている。トレッド端Teは、正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときに最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。また、両トレッド端Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド幅TWである。
クラウン周方向溝8A及びショルダー周方向溝8Bのそれぞれは、ジグザグの頂部Kを形成するようにタイヤ周方向にジグザグ状に延びている。頂部Kは、タイヤ軸方向の外側に凸の外向頂部K1と、タイヤ軸方向の内側に凸の内向頂部K2とを含んでいる。なお、クラウン周方向溝8A及びショルダー周方向溝8Bは、このような態様に限定されるものではなく、直線状に延びても良いし、波状に延びても良い。
クラウン周方向溝8Aの溝幅W1は、ショルダー周方向溝8Bの溝幅W2よりも小さいのが望ましい。これにより、タイヤ1の転動時の各陸部11、12の変形により、クラウン陸部11とミドル陸部12とが互いに支え合い、大きな接地圧の作用するクラウン陸部11の見かけの剛性が大きくなるので、転がり抵抗性能が向上する。上述の作用を効果的に発揮させるために、クラウン周方向溝8Aの溝幅W1は、ショルダー周方向溝8Bの溝幅W2の1%以上が望ましく、5%以上がさらに望ましく、20%以下が望ましく、15%以下がさらに望ましい。また、ショルダー周方向溝8Bの溝幅W2は、トレッド幅TWの3%以上が望ましく、4%以上がさらに望ましく、7%以下が望ましく、6%以下がさらに望ましい。クラウン周方向溝8Aの溝幅W1及びショルダー周方向溝8Bの溝幅W2は、トレッド接地面2sで測定される。
クラウン周方向溝8Aは、第1部分14Aと、第1部分14Aよりもトレッド接地面2sでの溝幅が大きい第2部分14Bとを含んでいる。第2部分14Bは、例えば、外向頂部K1と内向頂部K2との間に形成され、外向頂部K1及び内向頂部K2に繋がることなく終端している。特に限定されるものではないが、第2部分14Bのタイヤ周方向の長さL1は、トレッド幅TWの5%以上が望ましく、7%以上がさらに望ましく、15%以下が望ましく、12%以下がさらに望ましい。第2部分14Bは、任意の位置に配することができる。
図4(a)は、図3のA-A線断面図であり、第1部分14Aの横断面図である。図4(a)に示されるように、第1部分14Aは、例えば、外側部15と内側部16とを含んでいる。本実施形態の外側部15は、トレッド接地面2sからタイヤ半径方向の内側に延びている。外側部15は、本実施形態では、タイヤ半径方向の内側に向かって溝幅が漸減している。本実施形態の内側部16は、外側部15のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、タイヤ半径方向の内側に向かって溝幅が漸増する拡幅部分16aを含んでいる。内側部16は、例えば、拡幅部分16aのタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、タイヤ半径方向の内側に向かって溝幅が漸減する縮幅部分16bを含んでいる。
内側部16の最大溝幅Wiは、外側部15の最大溝幅Wsよりも大きく形成される。このような第1部分14Aは、ウェット性能を高めつつ、溝幅が最小となる部分において、転がり抵抗性能を高める。外側部15の最大溝幅Wsは、クラウン周方向溝8Aの溝幅W1である。換言すると、外側部15の最大溝幅Wsは、トレッド接地面2sに形成される。内側部16の最大溝幅Wiは、拡幅部分16aと縮幅部分16bとの境界に形成される。
外側部15のタイヤ半径方向の長さDsは、本実施形態では、内側部16のタイヤ半径方向の長さDiよりも小さく形成されている。外側部15の長さDsは、内側部16の長さDiの20%以上が望ましく、25%以上がさらに望ましく、40%以下が望ましく、35%以下がさらに望ましい。
特に限定されるものではないが、クラウン周方向溝8Aの最小溝幅Wcは、例えば、1.0~1.5mmである。最小溝幅Wcは、拡幅部分16aと外側部15との境界位置に形成される。最小溝幅Wcは、外側部15の最大溝幅Wsの10%以上が望ましく、15%以上がさらに望ましく、30%以下が望ましく、25%以下がさらに望ましい。
図4(b)は、図3のB-B線断面図であり、第2部分14Bの横断面図である。図4(b)に示されるように、第2部分14Bは、トレッド接地面2sから同じ溝幅でタイヤ半径方向の内側に延びる等幅部17と、等幅部17と溝底sとの間に配されて溝幅がタイヤ半径方向の内側に向かって小さくなる第2縮幅部18とで形成されている。等幅部17のタイヤ半径方向の長さDpは、第2部分14Bの溝深さDの80%以上が望ましく、85%以上がさらに望ましい。等幅部17の溝幅Wpは、例えば、内側部16の最大溝幅Wiと同じである。第2部分14Bの溝深さDは、第1部分14Aの溝深さ(Di+Ds)と同じである。
図4(a)に示されるように、クラウン周方向溝8Aの溝底sには、溝底が隆起する溝底隆起部19が設けられている。溝底隆起部19は、摩耗が進行して、内側部16が露出してきたときに、クラウン周方向溝8A内に小石等が挟まることを抑制し、ウェット性能を高める。溝底隆起部19の幅wgは、内側部16の最大溝幅Wiの0.1倍以上が望ましく、0.2倍以上がさらに望ましく、0.5倍以下が望ましく、0.4倍以下がさらに望ましい。また、溝底隆起部19の隆起高さhgは、内側部16の長さDiの0.1倍以上が望ましく、0.2倍以上がさらに望ましく、0.5倍以下が望ましく、0.4倍以下がさらに望ましい。
図5は、トレッド部2の平面図である。図5に示されるように、本実施形態のクラウン陸部11は、クラウン陸部11を横断する複数のクラウン横溝20によって、クラウンブロック11Rに区分される。本実施形態のミドル陸部12は、ミドル陸部12を横断する複数のミドル横溝21によって、ミドルブロック12Rに区分される。本実施形態のショルダー陸部13は、ショルダー陸部13を横断する複数のショルダー横溝22によって、ショルダーブロック13Rに区分される。
クラウン横溝20は、例えば、一対のクラウン周方向溝8A間を繋いでいる。クラウン横溝20は、本実施形態では、クラウン周方向溝8Aの内向頂部K2間を繋いでいる。クラウン横溝20は、例えば、直線状に延びている。これにより、クラウンブロック11Rは、トレッド部平面視、タイヤ周方向の中央部がタイヤ軸方向の両側へ膨出した樽型の六角形状に形成される。
ミドル横溝21は、例えば、クラウン周方向溝8Aとショルダー周方向溝8Bとの間を繋いでいる。ミドル横溝21は、本実施形態では、クラウン周方向溝8Aの外向頂部K1とショルダー周方向溝8Bの内向頂部K2とを繋いでいる。ミドル横溝21は、例えば、直線状に延びている。これにより、ミドルブロック12Rは、トレッド部平面視、タイヤ周方向の中央部がタイヤ軸方向の両側へ膨出した樽型の六角形状に形成される。
ショルダー横溝22は、例えば、ショルダー周方向溝8Bとトレッド端Teとを繋いでいる。ショルダー横溝22は、本実施形態では、ショルダー周方向溝8Bの外向頂部K1に繋がっている。ショルダー横溝22は、例えば、直線状に延びている。これにより、ショルダーブロック13Rは、トレッド平面視、タイヤ周方向の中央部がタイヤ軸方向の内側へ膨出した五角形状に形成される。
本実施形態のクラウン陸部11には、第1溝付サイプ3Aが形成されている。本実施形態のミドル陸部12には、第2溝付サイプ3Bが形成されている。換言すると、第1陸部7Aは、クラウン陸部11であり、第2陸部7Bは、ミドル陸部12である。直進走行において、クラウン陸部11は、ミドル陸部12よりも大きな接地圧が作用する。そして、第1溝付サイプ3Aの距離h1(図2に示す)は、第2溝付サイプ3Bの距離h2よりも大きく形成されている。これにより、大きな接地圧の作用するクラウン陸部11の剛性の低下が抑制されるので、一層、転がり抵抗性能が向上する。なお、本実施形態のショルダー陸部13には、溝付サイプが形成されていない。
距離h1が距離h2よりも過度に大きいと、ウェット性能が低下するおそれがある。
このため、距離h1は、距離h2の105%以上が望ましく、110%以上がさらに望ましく、130%以下が望ましく、125%以下がさらに望ましい。距離h1は、例えば、4.5~10.5mmが望ましい。
図2に示されるように、本実施形態では、第1拡幅溝部5Aのタイヤ半径方向の長さd1は、第2拡幅溝部5Bのタイヤ半径方向の長さd2よりも小さく形成されている。これにより、第1溝付サイプ3Aと第2溝付サイプ3Bとによる陸部10の剛性の低下が過度に大きくなることが抑制されて、転がり抵抗性能が高く維持される。また、第1拡幅溝部5Aの長さd1とクラウン周方向溝8Aの内側部16の長さDiの比(d1/Di)は、0.30以上が望ましく、0.35以上がさらに望ましく、0.50以下が望ましく、0.45以下がさらに望ましい。さらに、第2拡幅溝部5Bの長さd2と内側部16の長さDiとの比(d2/Di)は、0.4以上が望ましく、0.45以上がさらに望ましく、0.6以下が望ましく、0.55以下がさらに望ましい。第1拡幅溝部5Aの長さd1は、例えば、4.5~10.5mmが望ましい。
第1溝付サイプ3Aの深さD1と第2溝付サイプ3Bの深さD2との差の絶対値|D1-D2|は、例えば、3mm以下が望ましく、2mm以下がさらに望ましく、1mm以下が一層望ましい。第1溝付サイプ3Aの深さD1は、本実施形態では、第2溝付サイプ3Bの深さD2と同じである。
図1及び図2に示されるように、サイプ部4は、本実施形態では、長手方向にジグザグ状に延びている。また、サイプ部4は、例えば、タイヤ半径方向にジグザグ状に延びている。このようにサイプ部4は、いわゆる3次元形状のサイプとして形成されている。このようなサイプ部4は、サイプ部4の両壁面4sが凹凸を繰り返すように形成されるので、タイヤ1の転動時、これらが強固に噛み合う。このため、溝付サイプ3の形成されるトレッド部2の見かけの剛性が高くなって、トレッド部2の倒れ込みや変形が抑制されるので、転がり抵抗性能がさらに向上する。
トレッド平面視、サイプ部4は、長手方向に対して一方側に傾斜する第1部分4aと、第1部分4aとは逆側に傾斜する第2部分4bとを含んでいる。第1部分4aと第2部分4bとの間の角度θ1は、100度以上が望ましく、105度以上がさらに望ましく、125度以下が望ましく、120度以下がさらに望ましい。このようなサイプ部4は、上述の作用を効果的に発揮し得る。
図2に示されるように、溝付サイプ3の横断面視、サイプ部4は、タイヤ半径方向に対して一方側に傾斜する第1部分4cと、第1部分4cとは逆側に傾斜する第2部分4dとを含んでいる。第1部分4cと第2部分4dとの間の角度θ2は、100度以上が望ましく、105度以上がさらに望ましく、125度以下が望ましく、120度以下がさらに望ましい。
拡幅溝部5は、本実施形態では、その横断面が楕円状に形成されている。拡幅溝部5は、例えば、タイヤ半径方向を長径とする縦長の楕円状に形成されている。このような拡幅溝部5は、トレッド部2のタイヤ半径方向の剛性低下を抑制して、転がり抵抗性能を高く維持する。このような作用を効果的に発揮させるために、拡幅溝部5のタイヤ半径方向の長さdと幅wとの比(w/d)は、0.4以上が望ましく、0.45以上がさらに望ましく、0.6以下が望ましく、0.55以下がさらに望ましい。
特に限定されるものではないが、サイプ部4の深さdaと拡幅溝部5の深さdとの比(d/da)は、0.25以上が望ましく、0.3以上がさらに望ましく、0.45以下が望ましく、0.4以下がさらに望ましい。
図5に示されるように、第1溝付サイプ3Aは、本実施形態では、クラウンブロック11Rに1つ形成されている。第1溝付サイプ3Aは、例えば、クラウン周方向溝8Aの外向頂部K1間を繋いでいる。第2溝付サイプ3Bは、本実施形態では、ミドルブロック12Rに1つ形成されている。第2溝付サイプ3Bは、例えば、クラウン周方向溝8Aの内向頂部K2とショルダー周方向溝8Bの外向頂部K1との間を繋いでいる。なお、第1溝付サイプ3Aは、クラウンブロック11Rに複数形成されていてもよい。また、第2溝付サイプ3Bは、ミドルブロック12Rに複数形成されていてもよい。
本実施形態の第2溝付サイプ3Bは、クラウン横溝20とタイヤ周方向で重複している。例えば、第2溝付サイプ3Bのクラウン周方向溝8Aでの開口部27aが、クラウン横溝20のクラウン周方向溝8Aでの開口部27bとタイヤ周方向で同じ位置である。これにより、クラウン横溝20内の水が第2溝付サイプ3Bを介してショルダー周方向溝8Bに流れるので、ウェット性能が向上する。
クラウンブロック11R、ミドルブロック12R及びショルダーブロック13Rのそれぞれは、タイヤ周方向の最大長さLsがタイヤ軸方向の最大長さLjよりも大きい縦長形状である。このような各ブロック11R~13Rは、大きなタイヤ周方向の剛性を有しており、優れた転がり抵抗性能を有する。各ブロック11R~13Rのタイヤ周方向の最大長さLsがタイヤ軸方向の最大長さLjよりも過度に大きい場合、タイヤ軸方向の剛性が小さくなるおそれがある。このため、タイヤ周方向の最大長さLsとタイヤ軸方向の最大長さLjとの比(Ls/Lj)は、1.2以上が望ましく、1.3以上がさらに望ましく、1.8以下が望ましく、1.7以下がさらに望ましい。
図6(a)は、ミドルブロック12Rの平面図である。図6(b)は、図6(a)のA-A線断面図である。図6(b)には、ミドルブロック12Rのタイヤ周方向に平行な断面が示される。図6に示されるように、本実施形態のミドルブロック12Rは、タイヤ周方向のいずれか一端12eを含む端部12Aを有している。端部12Aには、例えば、ミドルブロック12Rのタイヤ周方向の内側から一端12eまでタイヤ半径方向の内側に連続して傾斜する傾斜面25が設けられている。このような傾斜面25は、ミドルブロック12Rのトレッド接地面2s上の水をミドル横溝21にスムーズに排出し得る。
傾斜面25のタイヤ周方向の長さLaは、ミドルブロック12Rのタイヤ周方向の最大長さLsの0.1倍以上が望ましく、0.15倍以上がさらに望ましく、0.25倍以下が望ましく、0.20倍以下がさらに望ましい。傾斜面25のタイヤ半径方向の長さhaは、ミドルブロック12Rのタイヤ半径方向の最大高さHmの0.1倍以上が望ましく、0.2倍以上がさらに望ましく、0.5倍以下が望ましく、0.4倍以下がさらに望ましい。
図7は、他の実施形態のトレッド部2の平面図である。本実施形態のトレッド部2と同じ構成には、同じ符号が付されてその詳細な説明が省略される。この実施形態のトレッド部2には、第1陸部7Aが設けられている。この実施形態の第1陸部7Aには、第1溝付サイプ3Aと第2溝付サイプ3Bとが設けられている。この実施形態では、第1陸部7Aは、クラウン陸部11である。クラウン陸部11は、直進走行時、相対的に大きな接地圧の作用する陸部である。このクラウン陸部11に第1溝付サイプ3Aと第2溝付サイプ3Bとを設けることで、クラウン陸部11内の各拡幅溝部5の出現が異なるので、転がり抵抗性能が向上する。
第1陸部7Aは、タイヤ周方向に配列された第1ブロック7eと第2ブロック7iとを含んでいる。この実施形態の第1ブロック7eには、第1溝付サイプ3Aが形成されている。第2ブロック7iには、例えば、第2溝付サイプ3Bが形成されている。なお、第1陸部7Aには、サイプ部4と拡幅溝部5とを有する第3溝付サイプが形成されてもよい(図示省略)。前記第3溝付サイプは、トレッド接地面2sから拡幅溝部5のタイヤ半径方向の外端位置までの距離が、第1溝付サイプ3Aの距離h1及び第2溝付サイプ3Bの距離h2と異なっている。
また、この実施形態のトレッド部2には、第2陸部7Bが設けられている。第2陸部7Bは、例えば、ミドル陸部12である。第2陸部7Bは、タイヤ周方向に配列された第1ブロック7jと第2ブロック7kとを含んでいる。本実施形態の第1ブロック7jには、第1溝付サイプ3Aが形成されている。第2ブロック7kには、例えば、第2溝付サイプ3Bが形成されている。
以上、本開示の一実施形態のタイヤが詳細に説明されたが、本開示は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
図3の基本パターンを有する重荷重用タイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの転がり抵抗性能及びウェット性能がテストされた。テスト方法及び共通仕様は、以下の通りである。
タイヤサイズ:315/70R22.5
リムサイズ:22.5×9.00
内圧:900kPa
D1、D2:15mm
Di:同じ(なお、実施例6のDiは、実施例1のDi値を採用)
<転がり抵抗性能>
転がり抵抗試験機を用い、ISO28580に基づいて下記の条件にて試供タイヤの転がり抵抗が測定された。結果は、比較例1の値の逆数を100とする指数で示される。数値の大きい方が、転がり抵抗性能に優れている。
荷重:31.25kN
速度:80km/h
<ウェット性能>
下記試験車両を用い、R117-02(ECE Regulation No.117 Revision 2)に準拠してウェット性能(ウェット制動性能)のテストが行われた。このウェット性能では、散水した路面において、規定の初速度から制動を開始し、停止するまでの制動距離が測定された。結果は、比較例1の制動距離の逆数を100とする指数で示される。数値の大きい方が、ウェット性能に優れている。
試験車両:10屯積みのトラック(2-D車)
荷重:標準積載量の75%
ウェット路面:水深0.5~2mm
速度:65km/h
テストの結果が表1に示される。
Figure 2023076297000002
テストの結果、実施例のタイヤは、転がり抵抗性能が維持されつつウェット性能が向上していることが確認できた。
[付記]
本開示は以下の態様を含む。
[本開示1]
トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部には、トレッド接地面で開口し、かつ、タイヤ軸方向に延びる複数の溝付サイプが形成されており、
前記複数の溝付サイプは、第1溝付サイプと、第2溝付サイプとを含み、
前記第1溝付サイプは、第1サイプ部と、前記第1サイプ部のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、前記第1サイプ部よりも大きい幅の第1拡幅溝部とを含み、
前記第2溝付サイプは、第2サイプ部と、前記第2サイプ部のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、前記第2サイプ部よりも大きい幅の第2拡幅溝部とを含み、
前記トレッド接地面から前記第1拡幅溝部のタイヤ半径方向の外端位置までの距離h1は、前記トレッド接地面から前記第2拡幅溝部のタイヤ半径方向の外端位置までの距離h2と異なる、
タイヤ。
[本開示2]
前記トレッド部は、第1陸部と、前記第1陸部とはタイヤ軸方向で異なる位置に配された第2陸部とを含み、
前記第1陸部には、前記第1溝付サイプが形成されており、
前記第2陸部には、前記第2溝付サイプが形成されている、本開示1に記載のタイヤ。
[本開示3]
前記第1陸部は、陸部の中で最もタイヤ赤道側に位置するクラウン陸部であり、
前記第2陸部は、前記クラウン陸部に隣接するミドル陸部である、本開示2に記載のタイヤ。
[本開示4]
前記距離h1は、前記距離h2よりも大きい、本開示1ないし3のいずれかに記載のタイヤ。
[本開示5]
前記距離h1は、前記距離h2の110%~150%である、本開示4に記載のタイヤ。
[本開示6]
前記トレッド部は、陸部の中で最もタイヤ赤道側に位置するクラウン陸部と、前記クラウン陸部に隣接するミドル陸部と、前記クラウン陸部と前記ミドル陸部とを区分するクラウン周方向溝と、前記ミドル陸部のタイヤ軸方向の外側に配されたショルダー周方向溝とを含み、
前記クラウン周方向溝の溝幅は、前記ショルダー周方向溝の溝幅よりも小さい、本開示1ないし5のいずれかに記載のタイヤ。
[本開示7]
前記クラウン周方向溝は、前記トレッド接地面からタイヤ半径方向の内側に延びる外側部と、前記外側部のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、タイヤ半径方向の内側に向かって溝幅が漸増する拡幅部分を含む内側部とを含む、本開示6に記載のタイヤ。
[本開示8]
前記外側部は、タイヤ半径方向の内側に向かって溝幅が漸減している、本開示7に記載のタイヤ。
[本開示9]
前記外側部の溝幅の最大値は、前記内側部の溝幅の最大値と同じである、本開示7又は8に記載のタイヤ。
[本開示10]
前記内側部は、前記拡幅部分のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、タイヤ半径方向の内側に向かって溝幅が漸減する縮幅部分を含む、本開示7ないし9のいずれかに記載のタイヤ。
[本開示11]
前記ミドル陸部は、前記ミドル陸部を横断する複数のミドル横溝よってミドルブロックに区分され、
前記ミドルブロックは、タイヤ周方向のいずれか一端を含む端部を有し、
前記端部には、前記ミドルブロックのタイヤ周方向の内側から前記一端までタイヤ半径方向の内側に連続して傾斜する傾斜面が設けられる、本開示6ないし10のいずれかに記載のタイヤ。
[本開示12]
前記トレッド部は、第1陸部を含み、
前記第1陸部には、前記第1溝付サイプと前記第2溝付サイプとが形成されている、本開示1に記載のタイヤ。
[本開示13]
前記第1陸部は、タイヤ周方向に配列された第1ブロックと第2ブロックとを含み、
前記第1ブロックには、前記第1溝付サイプが形成されており、
前記第2ブロックには、前記第2溝付サイプが形成されている、本開示12に記載のタイヤ。
1 タイヤ
2 トレッド部
2s トレッド接地面
3 溝付サイプ
3A 第1溝付サイプ
3B 第2溝付サイプ
5A 第1拡幅溝部
5B 第2拡幅溝部
6a 外端位置
6b 外端位置

Claims (13)

  1. トレッド部を有するタイヤであって、
    前記トレッド部には、トレッド接地面で開口し、かつ、タイヤ軸方向に延びる複数の溝付サイプが形成されており、
    前記複数の溝付サイプは、第1溝付サイプと、第2溝付サイプとを含み、
    前記第1溝付サイプは、第1サイプ部と、前記第1サイプ部のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、前記第1サイプ部よりも大きい幅の第1拡幅溝部とを含み、
    前記第2溝付サイプは、第2サイプ部と、前記第2サイプ部のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、前記第2サイプ部よりも大きい幅の第2拡幅溝部とを含み、
    前記トレッド接地面から前記第1拡幅溝部のタイヤ半径方向の外端位置までの距離h1は、前記トレッド接地面から前記第2拡幅溝部のタイヤ半径方向の外端位置までの距離h2と異なる、
    タイヤ。
  2. 前記トレッド部は、第1陸部と、前記第1陸部とはタイヤ軸方向で異なる位置に配された第2陸部とを含み、
    前記第1陸部には、前記第1溝付サイプが形成されており、
    前記第2陸部には、前記第2溝付サイプが形成されている、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記第1陸部は、陸部の中で最もタイヤ赤道側に位置するクラウン陸部であり、
    前記第2陸部は、前記クラウン陸部に隣接するミドル陸部である、請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記距離h1は、前記距離h2よりも大きい、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記距離h1は、前記距離h2の110%~150%である、請求項4に記載のタイヤ。
  6. 前記トレッド部は、陸部の中で最もタイヤ赤道側に位置するクラウン陸部と、前記クラウン陸部に隣接するミドル陸部と、前記クラウン陸部と前記ミドル陸部とを区分するクラウン周方向溝と、前記ミドル陸部のタイヤ軸方向の外側に配されたショルダー周方向溝とを含み、
    前記クラウン周方向溝の溝幅は、前記ショルダー周方向溝の溝幅よりも小さい、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. 前記クラウン周方向溝は、前記トレッド接地面からタイヤ半径方向の内側に延びる外側部と、前記外側部のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、タイヤ半径方向の内側に向かって溝幅が漸増する拡幅部分を含む内側部とを含む、請求項6に記載のタイヤ。
  8. 前記外側部は、タイヤ半径方向の内側に向かって溝幅が漸減している、請求項7に記載のタイヤ。
  9. 前記外側部の溝幅の最大値は、前記内側部の溝幅の最大値と同じである、請求項7又は8に記載のタイヤ。
  10. 前記内側部は、前記拡幅部分のタイヤ半径方向の内側に連なり、かつ、タイヤ半径方向の内側に向かって溝幅が漸減する縮幅部分を含む、請求項7ないし9のいずれか1項に記載のタイヤ。
  11. 前記ミドル陸部は、前記ミドル陸部を横断する複数のミドル横溝よってミドルブロックに区分され、
    前記ミドルブロックは、タイヤ周方向のいずれか一端を含む端部を有し、
    前記端部には、前記ミドルブロックのタイヤ周方向の内側から前記一端までタイヤ半径方向の内側に連続して傾斜する傾斜面が設けられる、請求項6ないし10のいずれか1項に記載のタイヤ。
  12. 前記トレッド部は、第1陸部を含み、
    前記第1陸部には、前記第1溝付サイプと前記第2溝付サイプとが形成されている、請求項1に記載のタイヤ。
  13. 前記第1陸部は、タイヤ周方向に配列された第1ブロックと第2ブロックとを含み、
    前記第1ブロックには、前記第1溝付サイプが形成されており、
    前記第2ブロックには、前記第2溝付サイプが形成されている、請求項12に記載のタイヤ。
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