JP2023075947A - スパッタリングターゲット材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】緻密な固体電解質の薄層を形成することが可能なスパッタリングターゲットを提供すること。【解決手段】本発明のスパッタリングターゲット材は、硫黄(S)元素及びリチウム(Li)元素を含有し、相対密度が77%以上である。ターゲット材は、アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含むことが好適である。このターゲット材は、硫黄(S)元素及びリチウム(Li)元素を含む原料粉を準備する工程;前記原料粉を成形して成形体を得る工程;前記成形体を、相対密度が77%以上となるまで焼結して焼結体を得る工程;によって好適に製造される。【選択図】図1
Description
本発明はスパッタリングターゲット材及びその製造方法に関する。
固体電解質を用いた固体電池は、電解液を用いた液系電池に代わる電池として注目されており、実用化に向けた様々な研究開発が行われている。例えば、固体電池の電池抵抗低減を目的として、固体電解質を薄膜化する試みがなされている。
例えば特許文献1には、酸化リチウム、リン酸リチウム及び不可避不純物からなる、全固体リチウムイオン電池の固体電解質膜の形成用のスパッタリングターゲットが提案されている。
特許文献2には、組成式:Li7-xPS6-xHax(HaはCl若しくはBr)で表される、リチウムイオン電池用硫化物系固体電解質が記載されている。
特許文献1では、酸化リチウムとリン酸リチウムとを用いることで高密度なスパッタリングターゲットを作製している。これによって、スパッタリングターゲットにクラックや割れが発生しがたく、スパッタ時の成膜が容易となると同文献には記載されている。しかし、特許文献1に開示されたスパッタリングターゲットには、リチウムイオン伝導性に課題がある。そこで、よりリチウムイオン伝導性を有するスパッタリングターゲットが望まれる。
特許文献2では、固体電解質として硫化物を用いることでリチウムイオン伝導性を高めている。しかし、同文献に記載の硫化物系固体電解質は粉末状であることから、スパッタリング法に用いることが困難である。
具体的には、粉末状の硫化物系固体電解質からペレットをプレス成形し、スパッタリングターゲット材を作製した場合、そのスパッタリングターゲットには空隙が多く発生し、スパッタリング法を用いた成膜処理を行った際に、緻密且つ均質な固体電解質膜を形成することができない。緻密な固体電解質膜を形成できないことは、固体電解質型リチウム二次電池の内部短絡や性能低下の一因となることから、これを抑制することが望まれる。
したがって本発明の課題は、緻密な固体電解質の薄層を形成することが可能なスパッタリングターゲット材を提供することにある。
具体的には、粉末状の硫化物系固体電解質からペレットをプレス成形し、スパッタリングターゲット材を作製した場合、そのスパッタリングターゲットには空隙が多く発生し、スパッタリング法を用いた成膜処理を行った際に、緻密且つ均質な固体電解質膜を形成することができない。緻密な固体電解質膜を形成できないことは、固体電解質型リチウム二次電池の内部短絡や性能低下の一因となることから、これを抑制することが望まれる。
したがって本発明の課題は、緻密な固体電解質の薄層を形成することが可能なスパッタリングターゲット材を提供することにある。
本発明は、硫黄(S)元素及びリチウム(Li)元素を含有し、相対密度が77%以上である、スパッタリングターゲット材を提供するものである。
また本発明は、硫黄(S)元素及びリチウム(Li)元素を含む原料粉を準備する工程と、
前記原料粉を成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を、相対密度が77%以上となるまで焼結して焼結体を得る工程と、を有する、スパッタリングターゲット材の製造方法を提供するものである。
前記原料粉を成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を、相対密度が77%以上となるまで焼結して焼結体を得る工程と、を有する、スパッタリングターゲット材の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、緻密な固体電解質の薄層を形成することが可能なスパッタリングターゲット材が提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明はスパッタリングターゲット材(以下「ターゲット材」ともいう。)に関するものである。本発明のターゲット材は、好適には固体電解質の薄層をスパッタリングによって形成するために用いられる。この目的のために、本発明のターゲット材は、これを構成する元素として硫黄(S)元素及びリチウム(Li)元素を含むことが有利である。本発明のターゲット材は、これらの元素に加えて、固体電解質の諸性能を向上させる観点から、他の元素、例えばリン(P)元素及びハロゲン(X)元素などを含有していてもよい。X元素としては、例えばフッ素(F)元素、塩素(Cl)元素、臭素(Br)元素及びヨウ素(I)元素のうちの少なくとも一つを含有することができる。
本発明のターゲット材は、S元素、Li元素、P元素、及びX元素以外の元素を含んでいてもよい。例えば、Li元素の一部を他のアルカリ金属元素に置き換えたり、P元素の一部を他のプニクトゲン元素に置き換えたり、あるいはS元素の一部を酸素(O)元素などの他のカルコゲン元素に置き換えたりすることができる。更に本発明のターゲット材は、ゲルマニウム(Ge)元素を含むことができる。本発明のターゲット材は、上述した元素の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、不可避的に微量元素を含むことが許容される。微量元素としては、例えばターゲット材の製造時に混入するボールミル等の粉砕メディアを構成する元素が挙げられる。
本発明のターゲット材は相対密度が高いことが、スパッタリング中にアーキングが生じることを防止する観点から好ましい。アーキングの発生は、スパッタリング中におけるパーティクル発生の一因となり、またターゲット材に割れやクラックが発生することの一因となる。この観点から、本発明のターゲット材の相対密度は、77%以上であることが好ましく、79%以上であることが更に好ましく、81%以上であることが一層好ましい。相対密度は、例えば後述する測定方法で測定される。
本発明のターゲット材の形状としては、当該技術分野においてこれまで知られている各種の形状が挙げられ、例えば平型及び円筒型が挙げられる。本発明のターゲット材が平型である場合、その平面視における形状に特に制限はなく、例えば多角形や円形であり得る。
本発明のターゲット材の厚みTは、例えば1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、5mm以上であることが一層好ましい。一方、前記厚みTは、例えば、500mm以下であることが好ましく、100mm以下であることが更に好ましく、50mm以下であることが一層好ましい。
本発明のターゲット材の直径Dは、例えば5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることが更に好ましく、15mm以上であることが一層好ましい。一方、前記直径Dは、例えば1000mm以下であることが好ましく、100mm以下であることが更に好ましく、50mm以下であることが一層好ましい。
厚みT及び直径Dが前記範囲内であることで、目的に応じたスパッタリングを高い自由度をもって行うことができる。なお、前記厚みTは、ターゲット材を平面視したときの高さ方向の長さを指し、前記直径Dは、ターゲット材を平面視したときの平面における直径を指す。
本発明のターゲット材の直径Dは、例えば5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることが更に好ましく、15mm以上であることが一層好ましい。一方、前記直径Dは、例えば1000mm以下であることが好ましく、100mm以下であることが更に好ましく、50mm以下であることが一層好ましい。
厚みT及び直径Dが前記範囲内であることで、目的に応じたスパッタリングを高い自由度をもって行うことができる。なお、前記厚みTは、ターゲット材を平面視したときの高さ方向の長さを指し、前記直径Dは、ターゲット材を平面視したときの平面における直径を指す。
本発明のターゲット材の直径Dに対する厚みTの比率T/Dは、例えば0.001以上であることが好ましく、0.01以上であることが更に好ましく、0.1以上であることが一層好ましい。一方、T/Dは、例えば1000以下であることが好ましく、100以下であることが更に好ましく、10以下であることが一層好ましい。T/Dが前記範囲内であることで、目的に応じたスパッタリングを高い自由度をもって行うことができる。
本発明のターゲット材がS元素及びP元素を含む場合、P元素に対するS元素のモル比S/Pは、例えば、1.0以上であることが好ましく、2以上であることが更に好ましく、4以上であることが一層好ましい。一方、S/Pは、50.0以下であることが好ましく、10以下であることが更に好ましく、6以下であることが一層好ましい。S/Pの値を上述の範囲に設定することで、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層は優れたリチウムイオン伝導性を示す。S/Pの値は、例えばICP発光分光分析によって測定することができる。
本発明のターゲット材がP元素及びX元素を含む場合、P元素に対するX元素のモル比X/Pは、例えば、0.2以上であることが好ましく、1.0以上であることが更に好ましく、1.4以上であることが一層好ましい。一方、X/Pは、10.0以下であることが好ましく、5以下であることが更に好ましく、2.5以下であることが一層好ましい。X元素として2種以上のハロゲン元素を用いる場合、モル比X/Pにおける分子のXの値はすべてのハロゲン元素の総和である。X/Pの値を上述の範囲に設定することでも、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層は優れたリチウムイオン伝導性を示す。X/Pの値は、例えばICP発光分光分析によって測定することができる。
本発明のターゲット材としては、例えば、Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-LiX、Li2S-P2S5-P2O5、Li2S-Li3PO4-P2S5、Li3PS4、Li4P2S6、Li10GeP2S12、Li3.25Ge0.25P0.75S4、Li7P3S11、Li3.25P0.95S4、LiaPSbXc(aは3.0以上6.0以下の数を表す。bは3.5以上4.8以下の数を表す。cは0.1以上3.0以下の数を表す。)で表される化合物などが挙げられる。
上述した各元素を含み得る本発明のターゲット材は、結晶性材料であってもよく、あるいはガラスセラミックスやガラスなどの非晶性材料であってもよい。
本発明のターゲット材が結晶性材料である場合、該ターゲット材は、アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含むことが、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層のリチウムイオン伝導性を高め得る点から好ましい。特に本発明のターゲット材は、アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含み、且つ、上述したS/Pモル比及び/又はX/Pモル比を満足することが、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層のリチウムイオン伝導性を一層高め得る点から好ましい。
上述したアルジロダイト型結晶構造とは化学式:Ag8GeS6で表される鉱物に由来する化合物群が有する結晶構造である。ターゲット材がアルジロダイト型結晶構造の結晶相を有しているか否かは、XRDによる測定などによって確認できる。例えばCuKα1線を用いたXRDにより測定される回折パターンにおいて、アルジロダイト型結晶構造の結晶相は、2θ=15.3°±1.0°、18.0°±1.0°、25.5°±1.0°、30.0°±1.0°、30.9°±1.0°及び44.3°±1.0°の位置に特徴的な回折ピークを示す。また、ターゲット材を構成する元素種によっては、前記回折ピークに加えて、2θ=47.2°±1.0°、51.7°±1.0°、58.3°±1.0°、60.7°±1.0°、61.5°±1.0°、70.4°±1.0°及び72.6°±1.0°に特徴的な回折ピークを示す場合もある。アルジロダイト型結晶構造に由来する回折ピークの同定には、例えばPDF番号00-034-0688のデータを用いることができる。
本発明のターゲット材がアルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を有する場合、該ターゲット材は、例えば、組成式(I):LiaPSbXc(Xは、フッ素(F)元素、塩素(Cl)元素、臭素(Br)元素、ヨウ素(I)元素のうち少なくとも一種である。)で表される化合物を含むことが、イオン伝導性の一層の向上の観点から特に好ましい。Xは、塩素(Cl)元素及び臭素(Br)元素のうちの一種又は2種であることが好ましい。
組成式(I)において、Li元素のモル比を示すaは、好ましくは3.0以上6.5以下、更に好ましくは3.5以上6.3以下、更に一層好ましくは4.0以上6.0以下である。aがこの範囲であれば、室温(25℃)近傍における立方晶系アルジロダイト型結晶構造が安定であり、リチウムイオンの伝導性を高めることができる。
組成式(I)においてbは、室温(25℃)近傍におけるアルジロダイト型結晶構造が安定となり、リチウムイオンの伝導性が高くなる観点から、好ましくは3.5以上5.5以下、更に好ましくは4.0以上5.3以下、更に一層好ましくは4.2以上5.0以下である。
組成式(I)においてcは、好ましくは0.1以上3.0以下、更に好ましくは0.5以上2.5以下、更に一層好ましくは1.0以上1.8以下である。
また、該ターゲット材は、組成式(II):Li7-dPS6-dXdで表される化合物を含んでいてもよい。組成式(II)で表される組成は、アルジロダイト型結晶相の化学量論組成である。組成式(II)において、Xは、組成式(I)と同義である。
組成式(II)においてdは、好ましくは0.4以上2.2以下、更に好ましくは0.8以上2.0以下、更に一層好ましくは1.2以上1.8以下である。
また、該ターゲット材は、組成式(III):Li7-d-2ePS6-d-eXdで表される化合物であってもよい。組成式(III)で表される組成を有するアルジロダイト型結晶相は、例えば、組成式(II)で表される組成を有するアルジロダイト型結晶相とP2S5(五硫化二リン)との反応により生成する。反応式は以下のとおりである。
Li7-dPS6-dXd+y/3P2S5→Li7-d-2ePS6-d-eXd+2y/3Li3PS4
Li7-dPS6-dXd+y/3P2S5→Li7-d-2ePS6-d-eXd+2y/3Li3PS4
前記反応式に示すように、組成式(III)で表されるアルジロダイト型結晶相とともに、Li3PS4相が生成する。また、微量のLiX相(Xは、フッ素(F)元素、塩素(Cl)元素、臭素(Br)元素、ヨウ素(I)元素のうち少なくとも一種である。)が生成する場合がある。組成式(III)において、X及びdは、組成式(II)と同義である。
組成式(III)において、eは、組成式(II)で表される化学量論組成からのLi2S成分のずれを示す値である。eは、好ましくは、-0.9以上(-d+2)以下、更に好ましくは、-0.6以上(-d+1.6)以下、更に一層好ましくは、-0.3以上(-d+1.0)以下である。
組成式(I)、(II)又は(III)において、Pの一部が、Si、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、As、Sb及びBiのうちの少なくとも1種又は2種以上の元素で置換されていてもよい。この場合、組成式(I)は、Lia(P1-yMy)SbXcとなり、組成式(II)は、Li7-d(P1-yMy)S6-dXdとなり、組成式(III)は、Li7-d-2e(P1-yMy)S6-d-eXdとなる。Mは、Si、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、As、Sb及びBiから選択される1種又は2種以上の元素である。yは、好ましくは、0.01以上0.7以下、更に好ましくは、0.02以上0.4以下、更に一層好ましくは、0.05以上0.2以下である。
本発明のターゲット材は、上述した組成式(I)~(III)の中でも、特に組成式(IV)Li7-dPS6-dCld1Brd2で表される化合物を含むことが好ましい。
前記組成式(IV)において、Cl及びBrの合計モル比d(=d1+d2)は、1.0<d≦1.9を満足することが好ましい。Cl及びBrの合計モル比d(=d1+d2)が1.0より大きく且つ1.9以下であれば、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層のリチウムイオン伝導性を一層高めることができる。特にdが1.9以下であれば、異相の生成を制御することができ、イオン伝導率の低下を抑えることができる。この観点から、前記組成式(IV)におけるdは1.0より大きく且つ1.9以下であることが好ましく、中でも1.2以上あるいは1.8以下、その中でも1.4以上あるいは1.7以下であることが更に好ましい。
前記組成式(IV)において、Cl及びBrの合計モル比d(=d1+d2)は、1.0<d≦1.9を満足することが好ましい。Cl及びBrの合計モル比d(=d1+d2)が1.0より大きく且つ1.9以下であれば、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層のリチウムイオン伝導性を一層高めることができる。特にdが1.9以下であれば、異相の生成を制御することができ、イオン伝導率の低下を抑えることができる。この観点から、前記組成式(IV)におけるdは1.0より大きく且つ1.9以下であることが好ましく、中でも1.2以上あるいは1.8以下、その中でも1.4以上あるいは1.7以下であることが更に好ましい。
前記組成式において、Clのモル比に対するBrのモル比の割合(d2/d1)は、例えば0.1以上10以下であることが好ましく、0.3以上5以下であることが更に好ましく、中でも0.5以上3以下であることが一層好ましい。d2/d1が前記範囲内であることにより、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層のリチウムイオン伝導性を一層高めることができる。
前記組成式において、Clのモル比を示すd1は、例えば0.3以上1.5以下を満足することが好ましく、0.4以上1.2以下であることが更に好ましく、中でも0.6以上あるいは1.0以下であることが更に好ましい。d1が前記下限値以上であることによって、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層のリチウムイオン伝導性を一層高めることができる。他方、d1が、前記上限値以下であることによって、本発明のターゲット材の弾性率が低下するため、目的とするターゲット材が得やすくなる。
前記組成式において、Brのモル比を示すd2は、例えば0.3以上1.5以下を満足することが好ましく、0.4以上1.2以下であることが好ましく、中でも0.6以上あるいは1.0以下であることが一層好ましい。d2が前記下限値以上であることによって、本発明のターゲット材の弾性率が低下することから、目的とするターゲット材が得やすくなる。他方、d2が前記上限値以下であることによって、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層のリチウムイオン伝導性を一層高めることができる。
また、Br化合物(例えば臭化リチウム、Brを含有したアルジロダイト型固体電解質)はCl化合物(例えば塩化リチウム、Clを含有したアルジロダイト型固体電解質)に比べて融点が低いことから、本発明のターゲット材の原料の一つとしてBr化合物を用いると、原料組成物が反応性に富むようになり、目的とするターゲット材を得やすくなる。
また、Br化合物(例えば臭化リチウム、Brを含有したアルジロダイト型固体電解質)はCl化合物(例えば塩化リチウム、Clを含有したアルジロダイト型固体電解質)に比べて融点が低いことから、本発明のターゲット材の原料の一つとしてBr化合物を用いると、原料組成物が反応性に富むようになり、目的とするターゲット材を得やすくなる。
本発明のターゲット材が、アルジロダイト型結晶構造の結晶相を有している場合、該ターゲット材は、該結晶相のみから形成されていてもよく、あるいは該結晶相以外の結晶相を有していてもよい。後者の場合、本発明のターゲット材は、アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を主相として含むことが好ましい。「主相」とは、本発明のターゲット材を構成するすべての結晶相の総量に対して最も割合の大きい相を指す。アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相の含有割合は、本発明のターゲット材を構成する全結晶相に対して、例えば70質量%以上であることが好ましく、中でも80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上であることが更に好ましい。
結晶相の割合は、例えばXRDにより確認することができる。アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相が主相であることにより、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層は優れたリチウムイオン伝導性を示す。
結晶相の割合は、例えばXRDにより確認することができる。アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相が主相であることにより、本発明のターゲット材を用いて形成された薄層は優れたリチウムイオン伝導性を示す。
次に、本発明のターゲット材を製造するための好適な方法を、アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含むターゲット材の製造方法を例にとり説明する。本製造方法は、混合粉の準備工程、混合粉の焼成工程、焼成により得られた原料粉の成形工程、及び成形体の焼成工程に大別される。以下、それぞれの工程について説明する。
まず硫黄源やリチウム源となる化合物を用意する。例えば硫化リチウム(Li2S)粉末、五硫化二リン(P2S5)粉末、塩化リチウム(LiCl)粉末、臭化リチウム(LiBr)粉末等を用意する。これらの粉末を混合して混合粉を得る。
各粉末の混合方法としては、例えばボールミル、ビーズミル、ホモジナイザー等を用いることができる。各粉末の混合においては、各粉末の結晶性を維持できる程度のエネルギーを加えることが望ましい。
各粉末の混合方法としては、例えばボールミル、ビーズミル、ホモジナイザー等を用いることができる。各粉末の混合においては、各粉末の結晶性を維持できる程度のエネルギーを加えることが望ましい。
各粉末の混合によって得られた混合粉は、焼成工程に付される。焼成工程は、例えばアルゴンガス、ヘリウムガス及び窒素ガス等の不活性ガス雰囲気、又は硫化水素(H2S)ガス雰囲気で行うことができる。
焼成に硫化水素ガスを用いる場合、焼成時に硫化水素が分解して生成する硫黄ガスによって、焼成対象物の近傍の硫黄分圧を高めることができる。それによって、焼成温度を高く設定しても硫黄欠損が生成しにくく、電子伝導性が低い焼成体を得ることができる。焼成温度は、例えば、350℃以上650℃以下とすることが好ましく、中でも450℃以上あるいは600℃以下、その中でも500℃以下とすることが特に好ましい。
焼成に硫化水素ガスを用いる場合、焼成時に硫化水素が分解して生成する硫黄ガスによって、焼成対象物の近傍の硫黄分圧を高めることができる。それによって、焼成温度を高く設定しても硫黄欠損が生成しにくく、電子伝導性が低い焼成体を得ることができる。焼成温度は、例えば、350℃以上650℃以下とすることが好ましく、中でも450℃以上あるいは600℃以下、その中でも500℃以下とすることが特に好ましい。
混合粉は、大気中で極めて不安定であり、水分と反応して分解して硫化水素ガスを発生したり酸化したりすることから、不活性ガス雰囲気に置換したグローブボックス中等で、混合粉を炉内にセットして焼成を行うことが好ましい。
焼成工程を経て得られた焼成体は好ましくはアルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含むものである。この焼成体は粉砕工程に付され、次工程である成形工程に適切な範囲の粒径に調整された成形用の原料粉とすることができる。粉砕手段に特に制限はなく、例えばボールミルやビーズミルなどの公知の粉砕装置を用いることができる。焼成体の粉砕においては、焼成体の結晶性を維持できる程度のエネルギーを加えることが望ましい。特に、アルジロダイト型結晶構造を維持できる程度のエネルギーを加えることが望ましい。
粉砕によって得られた成形用の原料粉がアルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含むことの利点は次のとおりである。すなわち、上述したLi2S、P2S5、LiCl、LiBr等の混合粉をターゲット材の形状に成形し、焼成によってアルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含むターゲット材を製造する場合には、焼成中の反応に起因してガスが発生したり、ターゲット材に応力が発生したりする。これらが原因となって、製造されるターゲット材に空隙、亀裂及び表面の凹凸が生じてしまう。その結果、製造されるターゲット材は、相対密度が測定できないか又は相対密度が低いものとなってしまう。これ対して、本製造方法に従い、アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含む原料粉を用いて成形体を製造し、該成形体を焼成すると、焼成中の反応に起因して生ずる可能性のあるガス発生や応力発生を効果的に抑制できる。その結果、ターゲット材に空隙や亀裂等が生じにくくなり、ターゲット材は緻密なものとなる。
粉砕によって得られた成形用の原料粉は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50が、例えば、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることが更に好ましく、1μm以上であることが一層好ましい。一方、前記D50は、例えば、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが更に好ましく、5μm以下であることが一層好ましい。D50が前記範囲内であることで、目的とするターゲット材を緻密なものとすることができる。
以上の操作によって、粉砕工程を経て粒径が整えられた原料粉の準備が整う。次いで、この原料粉は、所定形状、例えば円板状に成形される。成形には例えば一軸プレス機を用いた圧縮成形を採用することができる。成形に際して原料粉にバインダを添加して、成形体の保形性を高めるようにしてもよい。成形時に加える圧力は、成形体の寸法にもよるが、一般に50MPa以上、特に100MPa以上、とりわけ150MPa以上に設定することが、目的とするターゲット材を緻密なものとし得る点から好ましい。成形は、非加熱下で行うこともでき、あるいは加熱下で行うこともできる。一般に、非加熱下、例えば室温下での成形によって、満足すべき緻密さを有する成形体を得ることができる。
このようにして成形体が得られたら、該成形体を焼成工程に付し、該成形体を構成する粒子を焼結させる。先に述べた混合粉の焼成と異なり、本工程は粒子の焼結を目的とし、反応は目的としないので、粒子の反応が生じず且つ粒子の焼結が生じ得る条件で焼成を行うことが有利である。この観点から、焼成の雰囲気は不活性ガス雰囲気であることが好ましい。上述した原料粉の焼成の場合に採用し得る硫化水素ガス雰囲気は本工程では採用しないことが好ましい。
成形体の焼成は、該成形体から得られる焼結体、すなわち目的とするターゲット材の相対密度が好ましくは77%以上、更に好ましくは90%以上、一層好ましくは95%以上となるまで行うことが、成形体を構成する粒子の焼結を確実に行い、緻密なターゲット材を得る観点から好ましい。この観点から、焼成工程の温度は、例えば、300℃以上700℃以下に設定することが好ましく、更に好ましくは400℃以上600℃以下、一層好ましくは450℃以上550℃以下である。同様の観点から、焼成時間は、例えば、0.5時間以上20時間以下に設定することが好ましく、更に好ましくは1時間以上10時間以下、一層好ましくは2時間以上5時間以下である。また、成形体の焼成は圧力を加えながら行っても良い。その際の適正な焼成温度は印加圧力によって適宜調整が可能である。
このようにして得られた焼結体は、研削加工などにより所定の寸法に加工されて、スパッタリングターゲット材とすることができる。このターゲット材をバッキングプレートに接合することでスパッタリングターゲットが得られる。バッキングプレートとしては例えばステンレス、銅及びチタンなどを用いることができる。ターゲット材とバッキングプレートとの接合には、例えばインジウムなどの低融点はんだを使用できる。
このようにして得られたスパッタリングターゲットを用い、例えば高周波スパッタリングによって固体電解質の薄層を形成することができる。この方法を採用することで、全固体電池固体リチウムイオン電池の小型化や高性能化を図ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、係る実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
組成がLi5.4PS4.4Cl0.8Br0.8となるように、Li2S粉末と、P2S5粉末と、LiCl粉末と、LiBr粉末とをそれぞれを秤量し、ボールミルで6時間粉砕混合して混合粉を調製した。この混合粉においては、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6に設定した。
この混合粉をカーボン製の容器に充填し、これを管状電気炉にてH2Sガス(純度100%)を1.0L/minで流通させながら、昇降温速度200℃/hで加熱し、500℃で4時間焼成し、焼成体を得た。この焼成体を粉砕し、目開き53μmの篩で整粒して、成形用の原料粉を得た。得られた原料粉の粒径D50は2.7μmであった。秤量、混合、電気炉へのセット、電気炉からの取り出し、粉砕及び整粒作業はすべて、十分に乾燥されたArガス(露点-60℃以下)で置換されたグローブボックス内で実施した。得られた原料粉をXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。
組成がLi5.4PS4.4Cl0.8Br0.8となるように、Li2S粉末と、P2S5粉末と、LiCl粉末と、LiBr粉末とをそれぞれを秤量し、ボールミルで6時間粉砕混合して混合粉を調製した。この混合粉においては、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6に設定した。
この混合粉をカーボン製の容器に充填し、これを管状電気炉にてH2Sガス(純度100%)を1.0L/minで流通させながら、昇降温速度200℃/hで加熱し、500℃で4時間焼成し、焼成体を得た。この焼成体を粉砕し、目開き53μmの篩で整粒して、成形用の原料粉を得た。得られた原料粉の粒径D50は2.7μmであった。秤量、混合、電気炉へのセット、電気炉からの取り出し、粉砕及び整粒作業はすべて、十分に乾燥されたArガス(露点-60℃以下)で置換されたグローブボックス内で実施した。得られた原料粉をXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。
原料粉を、直径20mmの金型内に充填し、室温下、Arガス(露点-60℃以下)雰囲気、185MPaで一軸プレス成形した。保持時間は1分間とした。得られた成形体を乳鉢で砕き、250μmの篩で整粒し、再度金型内に充填し、室温下、185MPaで一軸プレス成形した。保持時間は1分間とした。このようにして成形体を得た。この成形体を、窒素雰囲気下、500℃で4時間焼成した。このようにして、ターゲット材を得た。
このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。また元素分析したところ、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6であることが確認された。
このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、2θ=15.5°、17.9°、25.4°、29.9°、31.3°、44.8°、47.7°、52.3°、59.0°に回折ピークが観察された。XRDの測定条件は後述するとおりである。
このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。また元素分析したところ、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6であることが確認された。
このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、2θ=15.5°、17.9°、25.4°、29.9°、31.3°、44.8°、47.7°、52.3°、59.0°に回折ピークが観察された。XRDの測定条件は後述するとおりである。
〔実施例2〕
実施例1で得た原料粉を更に粉砕することで粒径D50が0.7μmの原料粉砕体を得た。Arガス(露点-60℃以下)雰囲気で原料粉砕体を直径10mmの金型内に0.6g充填した。乾燥空気下(露点-40℃以下)にてアズワン社製小型熱プレス機AH―2003を用い、360МPaの一軸圧を印加しつつ、200℃で4時間焼成した。このようにして、ターゲット材を得た。このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。また元素分析したところ、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6であることが確認された。このようにして成形体を得た。このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、2θ=15.2°、17.6°、25.1°、29.6°、30.9°、44.4°、47.4°、51.9°、58.6°に回折ピークが観察された。XRDの測定条件は後述するとおりである。
実施例1で得た原料粉を更に粉砕することで粒径D50が0.7μmの原料粉砕体を得た。Arガス(露点-60℃以下)雰囲気で原料粉砕体を直径10mmの金型内に0.6g充填した。乾燥空気下(露点-40℃以下)にてアズワン社製小型熱プレス機AH―2003を用い、360МPaの一軸圧を印加しつつ、200℃で4時間焼成した。このようにして、ターゲット材を得た。このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。また元素分析したところ、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6であることが確認された。このようにして成形体を得た。このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、2θ=15.2°、17.6°、25.1°、29.6°、30.9°、44.4°、47.4°、51.9°、58.6°に回折ピークが観察された。XRDの測定条件は後述するとおりである。
〔比較例1〕
Li5.4PS4.4Cl0.8Br0.8の組成となるように、Li2S粉末と、P2S5粉末と、LiCl粉末と、LiBr粉末とをそれぞれを秤量し、ボールミルで6時間粉砕混合して混合粉を調製した。この混合粉においては、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6に設定した。
この混合粉を、直径20mmの金型内に充填し、室温下、185MPaで一軸プレス成形した。保持時間は1分間とした。このようにして成形体を得た。この成形体を、窒素雰囲気下、500℃で4時間焼成した。このようにして、ターゲット材を得た。このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。
Li5.4PS4.4Cl0.8Br0.8の組成となるように、Li2S粉末と、P2S5粉末と、LiCl粉末と、LiBr粉末とをそれぞれを秤量し、ボールミルで6時間粉砕混合して混合粉を調製した。この混合粉においては、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6に設定した。
この混合粉を、直径20mmの金型内に充填し、室温下、185MPaで一軸プレス成形した。保持時間は1分間とした。このようにして成形体を得た。この成形体を、窒素雰囲気下、500℃で4時間焼成した。このようにして、ターゲット材を得た。このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。
〔比較例2〕
Li5.6PS4.4Cl0.8Br0.8の組成となるように、Li2S粉末と、P2S5粉末と、LiCl粉末と、LiBr粉末とを秤量し、ボールミルで6時間粉砕混合して混合粉を調製した。この混合粉においては、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6に設定した。
この混合粉をカーボン製の容器に充填し、これを管状電気炉にてH2Sガス(純度100%)を1.0L/minで流通させながら、昇降温速度200℃/hで加熱し、500℃で4時間焼成し、焼成体を得た。この焼成体をボールミルで粉砕し、目開き53μmの篩で整粒して、成形用の原料粉を得た。秤量、混合、電気炉へのセット、電気炉からの取り出し、粉砕及び整粒作業はすべて、十分に乾燥されたArガス(露点-60℃以下)で置換されたグローブボックス内で実施した。得られた原料粉をXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。
Li5.6PS4.4Cl0.8Br0.8の組成となるように、Li2S粉末と、P2S5粉末と、LiCl粉末と、LiBr粉末とを秤量し、ボールミルで6時間粉砕混合して混合粉を調製した。この混合粉においては、S/Pモル比は4.4であり、X/Pモル比は1.6に設定した。
この混合粉をカーボン製の容器に充填し、これを管状電気炉にてH2Sガス(純度100%)を1.0L/minで流通させながら、昇降温速度200℃/hで加熱し、500℃で4時間焼成し、焼成体を得た。この焼成体をボールミルで粉砕し、目開き53μmの篩で整粒して、成形用の原料粉を得た。秤量、混合、電気炉へのセット、電気炉からの取り出し、粉砕及び整粒作業はすべて、十分に乾燥されたArガス(露点-60℃以下)で置換されたグローブボックス内で実施した。得られた原料粉をXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。
原料粉を、直径20mmの金型内に充填し、室温下、185MPaで一軸プレス成形した。保持時間は1分間とした。このようにして成形体を得た。この成形体をターゲット材として用いた。このターゲット材を対象としてXRD測定したところ、アルジロダイト型結晶構造を有していることが確認された。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られたターゲットについて相対密度を以下の方法で測定した。それらの結果を以下の表1に示す。また、実施例1及び比較例1で得られたターゲット材の外観写真を図1及び図2に示す。更に、実施例2で得られたターゲット材のXRDチャートを図3に示す。図3において、2θ=10°から30°に見られるブロードなピークは、大気非暴露セルに用いられるカプトン箔に由来するピークである。
実施例及び比較例で得られたターゲットについて相対密度を以下の方法で測定した。それらの結果を以下の表1に示す。また、実施例1及び比較例1で得られたターゲット材の外観写真を図1及び図2に示す。更に、実施例2で得られたターゲット材のXRDチャートを図3に示す。図3において、2θ=10°から30°に見られるブロードなピークは、大気非暴露セルに用いられるカプトン箔に由来するピークである。
〔相対密度〕
相対密度は、真密度/実測密度で定義される。この定義に従い相対密度を以下の方法で測定した。
<真密度の測定方法>
固体電解質ターゲットを乳鉢で粉砕し、250μm以下の篩で整粒した後、MicrotracBEL株式会社製の真密度評価装置「BELPycno」を用いて、ガス置換法によって真密度を算出した。前処理はパージにて5回実施した。測定にはアルミナ10cm3セルを使用し、セルの7割程度まで試料を充填した。
<実測密度の測定方法>
ターゲット中央部をマイクロメーターで挟み込み、厚さを測定した。ターゲット側面部をマイクロメーターで挟み込み、直径を測定した。測定値は複数回測定した平均値を用いた。得られた厚み、直径及び質量から実測密度を算出した。
相対密度は、真密度/実測密度で定義される。この定義に従い相対密度を以下の方法で測定した。
<真密度の測定方法>
固体電解質ターゲットを乳鉢で粉砕し、250μm以下の篩で整粒した後、MicrotracBEL株式会社製の真密度評価装置「BELPycno」を用いて、ガス置換法によって真密度を算出した。前処理はパージにて5回実施した。測定にはアルミナ10cm3セルを使用し、セルの7割程度まで試料を充填した。
<実測密度の測定方法>
ターゲット中央部をマイクロメーターで挟み込み、厚さを測定した。ターゲット側面部をマイクロメーターで挟み込み、直径を測定した。測定値は複数回測定した平均値を用いた。得られた厚み、直径及び質量から実測密度を算出した。
〔XRDの測定条件〕
実施例及び比較例で得られたターゲットを乳鉢で粉砕し、250μmの篩で整粒した後、以下の方法でXRDを測定した。
測定は、Malvern Panalytical社製の卓上X線回折装置「Aeris」を用いて行った。測定条件は、大気非曝露、走査軸:2θ/θ、走査範囲:10°以上105°以下、ステップ幅0.01°、走査速度0.028°/secとした。X線源はCuKα1線とした。管電圧は40kV、管電流は15mAとした。
実施例及び比較例で得られたターゲットを乳鉢で粉砕し、250μmの篩で整粒した後、以下の方法でXRDを測定した。
測定は、Malvern Panalytical社製の卓上X線回折装置「Aeris」を用いて行った。測定条件は、大気非曝露、走査軸:2θ/θ、走査範囲:10°以上105°以下、ステップ幅0.01°、走査速度0.028°/secとした。X線源はCuKα1線とした。管電圧は40kV、管電流は15mAとした。
表1に示す結果から明らかなとおり、実施例1及び2のターゲット材は、比較例2のターゲット材に比べ、相対密度が高いことが分かる。
比較例1のターゲット材には亀裂や凹凸が多数観察され、相対密度を測定できなかった。
比較例1のターゲット材には亀裂や凹凸が多数観察され、相対密度を測定できなかった。
Claims (9)
- 硫黄(S)元素及びリチウム(Li)元素を含有し、
相対密度が77%以上である、スパッタリングターゲット材。 - アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含む、請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
- リン(P)元素を更に含有し、
前記リン(P)元素に対する前記硫黄(S)元素のモル比が1.0以上50.0以下である、請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。 - ハロゲン(X)元素を更に含有し、
前記リン(P)元素に対する前記ハロゲン(X)元素のモル比が0.2以上10.0以下である、請求項2に記載のスパッタリングターゲット材。 - CuKα1線を用いたX線回折装置により測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=18.0°±1.0°、25.5°±1.0°及び30.0°±1.0°の位置にピークを有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材。
- 直径Dに対する厚みTの比率T/Dが0.001以上1000以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材。
- 硫黄(S)元素及びリチウム(Li)元素を含む原料粉を準備する工程と、
前記原料粉を成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を、相対密度が77%以上となるまで焼結して焼結体を得る工程と、を有する、スパッタリングターゲット材の製造方法。 - 前記原料粉は、アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含む、請求項7に記載の製造方法。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材を用いてスパッタリングする薄層の製造方法。
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