JP2023075868A - 穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の製造方法、及び穀粉加熱食品の製造方法 - Google Patents

穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の製造方法、及び穀粉加熱食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】穀粉加熱食品に用いるため、良好な風味を有し、良好な食感や二次加工性を付与する加熱処理大豆皮の製造方法、及びその製造方法によって得られた加熱処理大豆皮を用いる穀粉加熱食品の製造方法を提供する。
【解決手段】大豆皮を加熱処理する工程を含む穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の製造方法であって、前記加熱処理が、加熱処理後の大豆皮の乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%にし、且つ加熱処理後の大豆皮のCIELAB表色系のL値を65以上にする条件であることを特徴とする製造方法、並びに本発明の製造方法によって製造された穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮、及び穀粉を用いる穀粉加熱食品の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の製造方法、及びその製造方法によって得られた加熱処理大豆皮を用いる穀粉加熱食品の製造方法に関する。
大豆皮は、大豆から大豆粉や大豆油、脱脂大豆の製造時、又は豆乳や豆腐等の大豆加工品の製造時、における脱皮工程で得られる大豆の種皮部分である。大豆皮は、食物繊維等を豊富に含むことが知られているが、独特な大豆臭を有し、食味も悪いため、飼料用途で利用されることが多い。食品用途での活用事例はほとんど知られていない。
大豆皮を食品素材として利用する技術としては、例えば、特許文献1では、大豆外皮における独特の大豆臭を除き、風味の優れた大豆外皮を提供することで、大豆外皮を幅広く食品へ利用する方法を提供することを目的とし、大豆外皮を膨化させて得られる膨化大豆外皮であって、当該膨化大豆外皮のL値が60以上であることを特徴とする膨化大豆外皮が開示されている。また、特許文献2では、ベーカリー生地に使用したときにベーカリー生地の二次加工適性が良好であり、且つ、得られるベーカリー製品の膨化が十分で、外観や食感、風味が良好な穀物外皮加工品を提供することを主目的とし、α-アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である、穀物外皮加工品、及び乾熱処理により穀物外皮の品温を100~150℃とした後、穀物外皮100質量部に対して10~40質量部の水を散水し、前記穀物外皮の品温を90~150℃の範囲で3分以上維持する熱処理工程を含む、穀物外皮加工品の製造方法が開示されている(特許文献2において、穀物外皮は大豆皮を含む)。
特開2013-212071号公報 特開2017-79702号公報
しかしながら、特許文献1では、大豆皮を膨化させる膨化設備が必要であるため、多大な製造コストがかかる場合がある。また、特許文献2では、乾熱処理後に散水してさらに熱処理するといった煩雑な工程が必要である上、穀物外皮全体に関する技術であるため、大豆皮については、さらに風味を向上させる技術が求められている。
したがって、本発明の目的は、ベーカリー製品、麺類、揚げ物等の穀粉加熱食品に用いるため、良好な風味を有し、良好な食感や二次加工性を付与する加熱処理大豆皮の製造方法、及びその製造方法によって得られた加熱処理大豆皮を用いる穀粉加熱食品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、大豆皮中の食物繊維成分の変化に着目し、種々の加熱処理条件を検討した結果、加熱処理後の大豆皮中の水溶性食物繊維の含有量が所定の範囲になる加熱条件であれば、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、上記目的は、大豆皮を加熱処理する工程を含む穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の製造方法であって、前記加熱処理が、加熱処理後の大豆皮の乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%にし、且つ加熱処理後の大豆皮のCIELAB表色系のL値を65以上にする条件であることを特徴とする製造方法によって達成される。また、上記目的は、本発明の製造方法によって製造された穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮、及び穀粉を用いる穀粉加熱食品の製造方法によって達成される。
本発明により、大豆のえぐみがなく、良好な風味を有し、良好な食感や二次加工性を付与する穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮を容易に製造することができ、これをベーカリー製品、麺類、揚げ物等の穀粉加熱食品に用いることで、良好な製品を作業性良く製造することができる。
[穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の製造方法]
本発明の穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の製造方法は、大豆皮を加熱処理する工程を含み、前記加熱処理が、加熱処理後の大豆皮の乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%にし、且つ加熱処理後の大豆皮のCIELAB表色系のL値を65以上にする条件であることを特徴とする。従来技術に示した通り、大豆皮を加熱処理することで食品に利用する適性の向上を図ることは知られていた。しかしながら、加熱処理条件によって、加熱処理大豆皮中の水溶性食物繊維の含有量を制御することは検討されてこなかった。本発明者らは、大豆皮の加熱処理条件が、大豆皮中の水溶性食物繊維の含有量を上記範囲にし、且つL値を上記以上にする条件であれば、穀粉加熱食品に用いる際、大豆のえぐみがなく、良好な風味を有し、且つ良好な食感や二次加工性を付与する加熱処理大豆皮とすることができることを見出した。後述する実施例で示す通り、加熱処理大豆皮であっても、水溶性食物繊維の含有量が上記範囲から外れる場合は、本発明の効果は得られない。また、加熱処理によってL値が上記範囲より低くなる場合は、良好な風味を有する加熱処理大豆皮とすることができない。なお、CIELAB表色系のL値は、公知の手法を用いて色差計により測定された穀物外皮加工品の明度を示す値をいう。L値は0から100までの数値で表され、L値0は黒、L値100は白を意味する。色差計としては、例えば、分光測色計CM-5(コニカミノルタ株式会社)を用いることができる。
本発明において、原料の大豆皮は、丸大豆の種皮部分であり、大豆粉や大豆油、脱脂大豆の製造時、又は豆乳や豆腐等の大豆加工品の製造時、における脱皮工程で得られる大豆の種皮部分であれば、どのようなものを用いてもよい。大量に安定した品質で得られる点で、大豆粉や大豆油、脱脂大豆の製造時における脱皮工程で得られる大豆皮が好ましい。本発明において、大豆皮の加熱処理条件は、加熱処理後の大豆皮を、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量が8~15質量%であり、且つCIELAB表色系のL値が65以上にする条件であれば、特に制限はない。乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量の好ましい範囲は、8~13質量%であり、より好ましくは9~13質量%である。CIELAB表色系のL値の好ましい範囲は、67以上であり、より好ましくは69以上である。また、好ましくは、加熱処理後の大豆皮を、総食物繊維(水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の合計)の質量に対する水溶性食物繊維の質量の割合が9.4~18%、より好ましくは9.7~17%、さらに好ましくは10.5~16.5%にする条件である。加えて、加熱処理後の大豆皮の乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を、加熱処理前の大豆皮に比べて、0.5~7質量%、より好ましくは0.7~6質量%、さらに好ましくは1.0~6質量%、特に好ましくは2.5~6質量%増加させる条件である。なお、本発明において、水溶性食物繊維及び総食物繊維の質量は、プロスキー変法(AOAC公定法991.43)で測定した値である。
また、本発明において、加熱処理方法は、上記条件を満たせば、特に制限はない。本発明において、前記加熱処理は、乾熱加熱処理、マイクロ波加熱処理、及び過熱水蒸気処理からなる群から選択される1種以上の加熱処理であることが好ましい。これにより、容易に上記規定を満たす加熱処理大豆皮を製造することができる。乾熱加熱処理、マイクロ波加熱処理、及び過熱水蒸気処理は、バッチ式及び/又は連続式の加熱装置を用いて行うことができる。
本発明において、乾熱加熱処理とは、加熱工程中に外部から水分や水蒸気を加えずに加熱する処理である。乾熱加熱処理に用いる装置としては、例えば、熱風乾燥機、オーブン、焙煎窯、焙煎機、パドルドライヤー、流動層乾燥機等が挙げられる。乾熱加熱処理の場合、好ましい加熱処理条件は、120~200℃、3~30分(加熱温度に応じて調整する)である。
本発明において、マイクロ波加熱処理とは、マイクロ波を照射して対象物に含まれる水分子を振動させ、該水分子が発熱することで対象物を加熱する処理である。マイクロ波加熱処理の場合は、500~1500Wで、2~15分(出力に応じて調整する)が好ましい。
本発明において、過熱水蒸気処理とは、開放系の装置を用いて、過熱水蒸気により加熱する処理である。過熱水蒸気処理の場合は、120~200℃の過熱水蒸気で、3~30分(過熱水蒸気の温度に応じて調整する)処理するのが好ましい。
また、本発明に係る穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の製造方法は、更に、原料の大豆皮及び/又は加熱処理大豆皮を粉末状に粉砕して、目開き500μmの篩を通過する粒度とする粉砕工程を含むことが好ましい。粒度を上記範囲にすることで、穀粉加熱食品に使用した場合に、他の原料と加熱処理大豆皮に偏りが生じにくくなり、二次加工性がより向上する。また、穀粉加熱食品を喫食する際に口溶けがより向上する。粉砕方法は、特に限定されず、ロール式粉砕、衝撃式粉砕、気流式粉砕等公知の方法を用いることができる。また、分級工程を粉砕工程と組合せて利用し、粒度、平均粒径を調整することもできる。分級方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。粉砕工程及び加熱処理工程の順序は、特に限定されず、加熱処理工程の後に粉砕工程を行ってもよく、粉砕工程の後に加熱処理工程を行ってもよく、粉砕工程を加熱処理工程の前後で行ってもよい。また、加熱処理工程と粉砕工程は必ずしも連続して行う必要はなく、加熱処理工程と粉砕工程の間に時間を置いてもよく、他の工程を挟んでもよい。
[穀粉加熱食品の製造方法]
本発明の穀粉加熱食品の製造方法は、本発明の製造方法によって製造された穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮、及び穀粉を用いる。本発明の製造方法によって製造された穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮は、上述の通り、大豆のえぐみがなく、良好な風味を有し、良好な食感や二次加工性を付与することができるので、穀粉加熱食品に用いることで、良好な製品を作業性良く製造することができる。後述する実施例で示す通り、本発明の製造方法によって製造された穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮は、穀粉加熱処理食品の種類によっては、特に食感改良効果が得られる。本発明の穀粉加熱食品の製造方法に用いる穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の量は、良好な穀粉加熱食品を製造することができれば、特に制限はない。穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の量は、前記穀粉及び穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の合計100質量部に対して、通常0.1~22質量部、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.5~18質量部、さらに好ましくは1~16.5質量部、特に好ましくは4~12質量部である。
本発明の製造方法に用いられる穀粉は、食用の穀物を製粉したものであれば特に制限はない。例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラム小麦粉等の小麦粉、米粉、大麦粉、大豆粉、そば粉、ライ麦粉、ホワイトソルガム粉、トウモロコシ粉等があげられる。また、本発明における穀粉には、澱粉類(タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉、及びそれらの澱粉を原料として、物理的又は化学的に加工を施した加工澱粉)も含むものとする。本発明において、穀粉加熱食品は、穀粉を含む材料を加熱することで得られる二次加工食品であれば、どのような食品であってもよい。例えば、パン、ドーナツ、ピザ、中華まんじゅう等のパン類、クッキー、サブレ、ビスケット、スポンジケーキ、パイ、ホットケーキ等の焼き菓子類等のベーカリー製品;うどん、そば、中華麺、パスタ等の麺類;ブレッダー、打ち粉、バッターを、魚介類及び水産加工品類、畜肉類及び畜肉加工品類、野菜類を必要に応じて加工成形や味付けした具材に付着させて加熱調理する天ぷら、フリッター、から揚げ、竜田揚げ、パン粉付けフライ等の揚げ物、カツレツ、ピカタ、ソテー等の焼き物、電子レンジ調理や過熱水蒸気調理によるノンフライ揚げ物様食品等が挙げられる。後述する実施例で示す通り、本発明の製造方法によって製造された穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮は、パン、クッキー、ビスケット等のベーカリー製品には比較的多く配合することができるので、健康効果を期待することができる。また、うどん等の麺類、天ぷら等の揚げ物に配合することで食感改良効果が得られる。したがって、本発明の穀粉加熱食品の製造方法において、穀粉加熱食品は、ベーカリー製品、麺類、又は揚げ物であることが好ましい。
本発明の穀粉加熱食品の製造方法においては、本発明の効果を損なわない限り、上記の穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮、及び穀粉以外に、穀粉加熱食品の種類に応じて、その製造に用いられるその他の材料を適宜用いることができる。その他の材料としては、砂糖、ぶどう糖、麦芽糖、異性化糖、水あめ、粉あめ、オリゴ糖、デキストリン、糖アルコール類等の糖質;バター、ラード、サラダ油、マーガリン、ショートニング等の油脂;脱脂粉乳、卵製品(全卵、卵白、卵黄、それらの乾燥粉末品を含む)、カゼイン、グルテン等のたん白質;アラニン、グリシン、リジン等のアミノ酸;食塩、グルタミン酸ナトリウム、粉末醤油等の調味料;酵母エキス、畜肉又は魚介由来エキス等のエキス類;グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤;その他、増粘剤、色素、香料、香辛料、イースト、イーストフード、ベーキングパウダー、かんすい、アルコール製剤、種々の品質改良剤等が挙げられる。本発明の穀粉加熱食品の製造方法における工程は、穀粉加熱食品の種類に応じて、常法に従って実施することができる。
[穀粉加熱食品用ミックスの製造方法]
本発明は、本発明の穀粉加熱食品の製造方法に用いる穀粉加熱食品用ミックスの製造方法であって、本発明の製造方法によって製造された穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮を用いる穀粉加熱食品用ミックスの製造方法にも関する。これにより、本発明の穀粉加熱食品の製造方法を容易に実施することができる穀粉加熱食品用ミックスが得られる。本発明の製造方法によって製造される穀粉加熱食品用ミックスは、そのまま本発明の穀粉加熱食品の製造に用いることができるプレミックスの形態であってもよく、所定量の穀粉と混合することで本発明の穀粉加熱食品の製造に用いることができるベースミックスの形態であってもよい。本発明の穀粉加熱食品用ミックスの製造方法においては、本発明の効果を損なわない限り、上記の穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮以外に、穀粉加熱食品の種類に応じて、その製造に用いられる上述の穀粉、及びその他の材料を適宜用いることができる。本発明の穀粉加熱食品用ミックスの製造方法における工程は、常法に従って実施することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.加熱処理大豆皮の調製及び評価
大豆油製造時における脱皮工程で得られた大豆皮(自社調製品)である製造例1-1(乾燥重量中の総食物繊維の含有量84.2質量%)、製造例2-1(乾燥重量中の総食物繊維の含有量75.2質量%)を、種々の加熱処理条件で加熱処理を行い、加熱前の未処理大豆皮、及び加熱処理大豆皮の水溶性食物繊維の質量、CIELAB表色系のL値の測定、及び官能評価を行った。製造例1-1の大豆皮を原料とした加熱処理大豆皮の結果を表1、製造例2-1の大豆皮を原料とした加熱処理大豆皮の結果を表2に示した。なお、加熱処理条件、粉砕・篩分け方法、各分析値の測定方法、及び官能評価方法は以下の通りである。
(1)加熱処理条件
(i)焙煎
大豆皮をコーヒーミルにて細かく粉砕し、回転式焙煎機ロータリーシェフRCD-1T(クマノ厨房工業株式会社)に投入して、表1、2に示した温度及び時間で加熱処理を行った。なお、処理時間は、品温が所定の温度に達してからの時間である。なお、製造例1-5は特許文献2に従った条件であり、所定の温度に達した後、大豆皮100質量部に対して水15質量部を散水し、所定の温度及び時間で加熱処理を行った。
(ii)オーブン
天板にオーブンシートを敷き、大豆皮30gを広げ、オーブンTOU431SUUU-SSP-MS6-M-ODR-N(戸倉商事株式会社)にセットし、表1、2に示した温度及び時間に設定し、加熱処理を行った。
(iii)マイクロ波(MW)
直径22cmの丸皿にオーブンシートを敷き、大豆皮30gを広げ、電子レンジNE-1902S(パナソニック株式会社)で、表1、2に示した時間加熱した。なお、加熱は30秒毎に止めて軽く混ぜた。
(iv)過熱水蒸気
大豆皮50gを秤量し、スチームオーブンQF-5100CB-R(L)(直本工業株式会社)を用いて、表1に示した温度及び時間加熱した。
(2)粉砕・篩分け
未処理大豆皮及び上記方法で加熱処理した大豆皮は、微粉砕機コロプレックス160Z(槇野産業株式会社)で粉砕し、目開き500μmの篩を用いてふるい分け、篩下の粉体を試験に用いた。
(3)水溶性食物繊維及び総食物繊維の質量
水溶性食物繊維及び総食物繊維の質量は、プロスキー変法(AOAC公定法991.43)で測定した。
(4)CIELAB表色系のL値
CIELAB表色系のL値は、分光測色計CM-5(コニカミノルタ株式会社)を用いて測定した。
(5)官能評価
加熱処理後の加熱処理大豆皮を試食し、5名の専門パネルの合議により、下記の評価基準で評価した。
5:えぐみを感じず非常に良好
4:えぐみをほとんど感じず良好
3:わずかにえぐみを感じる程度でやや良好
2:えぐみまたは焦げによる苦味を感じる
1:強いえぐみまたは焦げによる強い苦味を感じる
Figure 2023075868000001
Figure 2023075868000002
2.穀粉加熱食品の調製及び評価
上記で調製した加熱処理大豆皮の穀粉加熱食品への適性を評価するため、種々の穀粉加熱食品を調製した。
(1)パンの調製
穀粉加熱食品として、パンを選定し、以下の方法で調製した。
(i)表3、4に示した配合で、各製造例の加熱処理大豆皮を含むミックスを調製した(合計290g)。
(ii)ホームベーカリーSD-BMS106(パナソニック株式会社)に、(i)で調製したミックス、ドライイースト(日清スーパーカメリヤドライイースト;日清フーズ株式会社)3g、水180mL投入し、食パンコースにてパンを調製した。
(2)パンの評価
製造翌日に、喫食した際の食感及び風味を、5名の専門パネルの合議により、下記の評価基準で評価した。結果を表3、4に示した。
(i)食感
5:ソフトでしっとりとした食感で、非常に良い
4:ソフトでややしっとりとした食感で、良い
3:しっとりとした食感がややあり、やや良い
2:しっとりとした食感にやや欠ける
1:しっとりとした食感がない
(ii)風味
5:えぐみを感じず非常に良好
4:えぐみをほとんど感じず良好
3:わずかにえぐみを感じる程度でやや良好
2:えぐみまたは焦げによる苦味を感じる
1:強いえぐみまたは焦げによる強い苦味を感じる
Figure 2023075868000003
Figure 2023075868000004
表3に示した通り、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%で、且つCIELAB表色系のL値を65以上の加熱処理大豆皮製造例1-2~4、1-6~8、1-11~15を、穀粉100質量部に対して8.8質量部用いた、実施例1~11では、良好な食感及び風味あった。一方、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量が8質量%以下であった、未処理の大豆皮(製造例1-1)、焙煎時に散水した加熱処理大豆皮製造例1-5、マイクロ波で1分間処理した加熱処理大豆皮製造例1-10を用いた比較例1、2、4では、しっとりとした食感に欠け、また、えぐみが感じられる風味であった。乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量が8~15質量%であるが、CIELAB表色系のL値を65以下である加熱処理大豆皮製造例1-9を用いた比較例3では、しっとりとした食感であったが、焦げによる苦味を感じた。また、表4に示した通り、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%で、且つCIELAB表色系のL値を65以上の加熱処理大豆皮製造例2-2~4を、穀粉100質量部に対して4.4~16.5質量部用いた、実施例12~18では、良好な食感及び風味あった。一方、加熱処理大豆皮製造例2-2を、穀粉100質量部に対して25質量部用いた、加熱処理大豆皮比較例5では、しっとりとした食感に欠け、また、えぐみが感じられる風味であった。未処理の大豆皮(製造例2-1)を、穀粉100質量部に対して8.8質量部用いた、比較例6においても、しっとりとした食感に欠け、また、えぐみが感じられる風味であった。
(3)ビスケットの調製
穀粉加熱食品として、ビスケットを選定し、以下の方法で調製した。
(i)表5、6に示した配合で、生地を調製した。具体的には、ミキサーに、マーガリン、グラニュー糖、食塩を投入し、ビーターを使って中速2分、かき落とし、中速1分の条件で混捏した。次いで、液全卵を加えながら中速で3~4分混捏し、小麦粉、大豆皮、膨張剤を加えて低速で1分攪拌してビスケット生地を得た。
(ii)生地を薄く延ばした後、冷凍庫(-18℃)で約2時間休ませた。硬くなった生地を練り直し、厚さ4mmになるまで再度伸ばして直径5.5cmの型で抜き、オーブンで180℃、15分間焼成した。
(4)ビスケットの評価
得られたビスケットについて、二次加工性及び喫食した際の風味を、5名の専門パネルの合議により、下記の評価基準で評価した。結果を表5、6に示した。
(i)二次加工性
5:生地がまとまりやすく、非常に良い
4:生地がややまとまりやすく、良い
3:生地がまとまり、やや良い
2:生地がまとまりにくい
1:生地がまとまらない
(ii)風味
5:えぐみを感じず非常に良好
4:えぐみをほとんど感じず良好
3:わずかにえぐみを感じる程度でやや良好
2:えぐみまたは焦げによる苦味を感じる
1:強いえぐみまたは焦げによる強い苦味を感じる
Figure 2023075868000005
Figure 2023075868000006
表5に示した通り、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%で、且つCIELAB表色系のL値を65以上の加熱処理大豆皮製造例1-2~4、1-6~8、1-11~15を、穀粉100質量部に対して11質量部用いた、実施例19~29では、良好な二次加工性であり、また、良好な風味あった。一方、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量が8質量%以下であった、未処理の大豆皮(製造例1-1)、焙煎時に散水した加熱処理大豆皮製造例1-5、マイクロ波で1分間処理した加熱処理大豆皮製造例1-10を用いた比較例7、8、10では、二次加工性に欠け、また、えぐみが感じられる風味であった。乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量が8~15質量%であるが、CIELAB表色系のL値を65以下である加熱処理大豆皮製造例1-9を用いた比較例9では、二次加工性は良好であったが、焦げによる苦味を感じた。また、表6に示した通り、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%で、且つCIELAB表色系のL値を65以上の加熱処理大豆皮製造例2-2~4を、穀粉100質量部に対して7.5~20質量部用いた、実施例30~36では、良好な二次加工性であり、また、良好な風味あった。一方、加熱処理大豆皮製造例2-2を、穀粉100質量部に対して33質量部用いた、比較例11では、二次加工性に欠け、また、えぐみが感じられる風味であった。未処理の大豆皮(製造例2-1)を、穀粉100質量部に対して11質量部用いた、比較例12においても、二次加工性に欠け、また、えぐみが感じられる風味であった。
(5)中華麺の調製
穀粉加熱食品として、中華麺を選定し、以下の方法で調製した
(i)横型ピンミキサーを用いて、表7に示した配合の中力粉、大豆皮の合計100質量部、食塩1質量部、粉末かんすい1質量部、アルコール製剤2質量部、水36質量部の割合で混合した後、15分間ミキシングし、生地を作製した。作製した生地を、ロール式製麺機にて圧延してから切り出し(切り刃:角20番)、麺線の厚みが1.5mmの生麺を製造した。得られた生麺は、冷蔵庫にて2日間熟成させた。
(ii)熟成させた後、沸騰水中で3分間茹で、温かいスープ(醤油ラーメンスープ:株式会社創味食品)に入れて喫食した。
(6)中華麺の評価
中華麺は、喫食した際の食感及び風味を、5名の専門パネルの合議により、下記の評価基準で評価した。結果を表7に示した。
(i)食感
5:粘弾性が強く、非常に良い
4:粘弾性がやや強く、良い
3:粘弾性がわずかに強く、やや良い
2:粘弾性が弱い
1:粘弾性が非常に弱い
(ii)風味
5:えぐみを感じず非常に良好
4:えぐみをほとんど感じず良好
3:わずかにえぐみを感じる程度でやや良好
2:えぐみまたは焦げによる苦味を感じる
1:強いえぐみまたは焦げによる強い苦味を感じる
Figure 2023075868000007
表7に示した通り、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%で、且つCIELAB表色系のL値を65以上の加熱処理大豆皮製造例1-4、7、12、14を、穀粉100質量部に対して5質量部用いた、実施例37~40では、良好な食感、風味であった。一方、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量が8質量%以下であった、未処理の大豆皮(製造例1-1)を用いた比較例13では、えぐみが感じられる風味であった。
(7)天ぷらの調製
穀粉加熱食品として、天ぷらを選定し、以下の方法で調製した。
(i)表8に示す材料を混合し、天ぷら用衣組成物を調製し、加水160%でバッターを調製した。
(ii)約17g/尾のえび(26/30サイズ)に、各天ぷら用衣組成物を打ち粉としてまぶした後、各バッターを付着させ、175℃で2分30秒間油ちょうした。
(8)天ぷらの評価
得られた天ぷらについて、喫食した際の食感及び風味を、5名の専門パネルの合議により、下記の評価基準で評価した。結果を表8に示した。
(i)食感
5:衣が硬く、歯切れが非常に良い
4:衣がやや硬く、歯切れが良い
3:衣がわずかに硬く、歯切れがやや良い
2:衣が柔らかく、歯切れが悪い
1:衣が柔らかく、歯切れが非常に悪い
(ii)風味
5:えぐみを感じず非常に良好
4:えぐみをほとんど感じず良好
3:わずかにえぐみを感じる程度でやや良好
2:えぐみまたは焦げによる苦味を感じる
1:強いえぐみまたは焦げによる強い苦味を感じる
Figure 2023075868000008
表8に示した通り、乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%で、且つCIELAB表色系のL値を65以上の加熱処理大豆皮製造例1-4、7、12、14を、穀粉100質量部に対して1質量部用いた、実施例41~44では、良好な食感、風味であった。
以上により、上記規定を満たすように加熱処理することで、大豆のえぐみがなく、良好な風味を有し、且つ良好な食感や二次加工性を付与する穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮を製造することができ、これを用いることで、良好な穀粉加熱食品を作業性良く製造できることが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、大豆のえぐみがなく、良好な風味を有し、良好な食感や二次加工性を付与する穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮を容易に製造することができ、これをベーカリー製品、麺類、揚げ物等の穀粉加熱食品に用いることで、良好な製品を作業性良く製造することができる。


Claims (8)

  1. 大豆皮を加熱処理する工程を含む穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮の製造方法であって、
    前記加熱処理が、加熱処理後の大豆皮の乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を8~15質量%にし、且つ加熱処理後の大豆皮のCIELAB表色系のL値を65以上にする条件であることを特徴とする製造方法。
  2. 前記加熱処理が、加熱処理後の大豆皮の総食物繊維の質量に対する水溶性食物繊維の質量の割合を、9.4~18%にする条件である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記加熱処理が、加熱処理後の大豆皮の乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量を、加熱処理前の大豆皮の乾燥重量中の水溶性食物繊維の含有量から、0.5~7質量%増加させる条件である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記加熱処理が、乾熱加熱処理、マイクロ波加熱処理、及び過熱水蒸気処理からなる群から選択される1種以上の加熱処理である請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮、及び穀粉を用いる穀粉加熱食品の製造方法。
  6. 前記穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮を、前記穀粉100質量部に対して0.1~22質量部用いる請求項5に記載の穀粉加熱食品の製造方法。
  7. 前記穀粉加熱食品が、ベーカリー製品、麺類、又は揚げ物である請求項5又は6に記載の穀粉加熱食品の製造方法。
  8. 請求項5~7のいずれか1項に記載の穀粉加熱食品の製造方法に用いる穀粉加熱食品用ミックスの製造方法であって、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された穀粉加熱食品用加熱処理大豆皮を用いる製造方法。

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