JP2023075406A - 緩衝器 - Google Patents

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【課題】減衰力特性の急変を緩和でき、異音の発生を抑制できる緩衝器を提供する。【解決手段】緩衝器Dにおける減衰バルブV1,V2は、環状の本体1aと、本体1aに設けられる複数のポート1c,1dと、本体1aの各ポート1c,1dよりも内周側から突出する環状の内周シート1e,1iと、本体1aから突出して内周シート1e,1iに連なってポート1c,1dを一つずつ取り囲む複数の外周シート1f,1jとを備えたバルブシート部材1と、内周シート1e,1iと外周シート1f,1jとに当接可能であって外周側の撓みが許容されるリーフバルブ2,3とを備え、バルブシート部材1又はリーフバルブ2,3は、オリフィスO1,O2を有し、バルブシート部材1は、ポート1c,1dよりも内周側に配置されてポート1c,1dとオリフィスO1,O2とを連通する複数の流路P1,P2を有している。【選択図】図2

Description

本発明は、緩衝器に関する。
従来、緩衝器の伸縮時に生じる液体の流れに抵抗を与えて減衰力を発生するため等に利用される減衰バルブは、たとえば、緩衝器におけるシリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内に作動油が充填される2つの油室を区画する環状のピストンと、ピストンに積層されておりピストンに周方向に沿って並べて設けられて油室同士を連通させる複数のポートを開閉する環状のリーフバルブとを備えている。
より詳細には、ピストンは、たとえば、環状の本体と、本体の周方向に等間隔に並べて設けられて本体を軸方向に貫く複数のポートと、本体の各ポートの出口の内周側に設けられた環状の内周シートと、内周シートとともに各ポートを1つずつ取り囲む外周シートとを備えるものがある。このように構成されたピストンでは、各ポートは、互いに連通されずに独立して開口する独立開口型のポートに設定されている。
そして、減衰バルブでは、前述のピストンに内周側を固定した状態でリーフバルブを積層して構成されており、リーフバルブが内周シートと外周シートとに当接した状態では各ポートを閉塞する。他方、一方の油室から他方の油室へ向けてポートを通過しようとする作動油の圧力を受けてリーフバルブが外周側を撓ませて外周シートから離間すると各ポートが開放され、減衰バルブは、作動油のポートの通過を許容するとともに作動油の流れに抵抗を与える。
また、減衰バルブでは、外周シートに打刻によって形成されたオリフィス或いはリーフバルブの外周を切り欠いて形成したオリフィスを備えており、ポートを通過する作動油量が少なくリーフバルブの外周が撓まない状態では主としてオリフィスが作動油の流れに抵抗を与え、ポートを通過する作動油量が多くなるとリーフバルブが撓んでポートを開放するので主としてリーフバルブが作動油の流れに抵抗を与えるようになる。
よって、このような減衰バルブを備えた緩衝器では、伸縮速度が低速域にある場合にはオリフィス特有の伸縮速度の二乗に比例する減衰力特性を発揮し、伸縮速度が高速域に達するとリーフバルブ特有の伸縮速度に比例する減衰力特性を発揮する。
特開2007-211908号公報
従来の減衰バルブでは、リーフバルブがポートを開放するまで、作動油は、ポートを抜けてオリフィスを介して一方の油室から他方の油室へ向けて移動する。その際、図6の矢印で示すように、ポート100を通過した作動油がポート100より外周側に形成されているオリフィス102へ向けて流れるため、リーフバルブ102のポート100に面する部分における圧力分布は、均一にならずリーフバルブ101の内周側の方が外周側よりも低くなる傾向となる。
よって、リーフバルブがポートを開放する前は、リーフバルブの外周側の方が高圧になり易いために、リーフバルブがポートを開く際に外周側が急激に大きく撓んで外周シートから大きく離間して、オリフィス特性から急激にバルブ特性に切り換わって減衰バルブによる減衰力特性が急変してしまう。このように減衰力特性が急変すると、緩衝器が使用される車両に振動を与えて車両における乗心地を損なってしまう可能性がある。また、リーフバルブがポートを開く際に外周側が急激に大きく撓むと、リーフバルブの外周部が振動して異音の発生の原因になる可能性もある。
そこで、本発明は、このような問題を解決するために創案されたものであり、減衰力特性の急変を緩和できるとともに異音の発生を抑制できる緩衝器の提供を目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の緩衝器は、シリンダと、シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッドと、シリンダとピストンロッドが軸方向へ相対移動する際に生じる液体の流れに対して抵抗を与える減衰バルブとを備え、減衰バルブは、環状の本体と、本体の軸方向の一端から他端へ貫くとともに本体に対して周方向に離間して配置される複数のポートと、本体の一端の各ポートよりも内周側から軸方向へ突出する環状の内周シートと、本体の一端から軸方向へ突出して内周シートに連なってそれぞれポートを一つずつ取り囲む複数の外周シートとを備えたバルブシート部材と、環状であって内周シートと外周シートとに当接可能であって内周側がバルブシート部材に固定されて外周側の撓みが許容されるリーフバルブとを備え、バルブシート部材は、ポートと対を成すオリフィスを有し、バルブシート部材は、ポートと対を成すオリフィスとをそれぞれ連通する複数の流路を有し、流路はポートよりも内周側に配置されている。
このように構成された緩衝器によれば、リーフバルブに作用する圧力が内周側と外周側とで差が生じにくくなり、リーフバルブに作用する圧力の分布を均一にできる。また、緩衝器は、伸縮してシリンダとピストンロッドが軸方向へ相対移動するときに、バルブの抵抗に起因する減衰力を発揮できる。
また、緩衝器における減衰バルブは、バルブシート部材がポートの内周側であって内周シートの外周側に配置されて本体の一端から軸方向へ突出する中間シートを備え、流路が内周シートと中間シートとの間の空隙で形成されてもよい。このように構成された緩衝器によれば、リーフバルブの外周部の全体を偏りなく撓ませ得るので、製品毎の減衰力特性のばらつきを抑制できる。
さらに、緩衝器における減衰バルブは、バルブシート部材が本体の一端であって外周シートの内側から軸方向へ突出するとともにポートの内周側のみが開口されてリーフバルブに当接可能な堰部を有し、オリフィスが外周シートのうち、ポートの外周側に配置される部分である外周部に設けられてもよい。このように構成された緩衝器によれば、バルブシート部材に大きな設計変更をもたらすことなくリーフバルブの急激な開弁動作を抑制できるとともに、リーフバルブの外周部の外周シートへの吸着を防止してできるので、異音発生抑制効果を高め得る。
本発明の緩衝器によれば、減衰力特性の急変を緩和できるとともに異音の発生を抑制できる。
本発明の実施の形態に係る緩衝器の縦断面図である。 本発明の実施の形態に係る緩衝器における減衰バルブの拡大縦断面図である。 本発明の緩衝器の第1の実施の形態に係る減衰バルブのバルブシート部材であるピストンの底面図である。 本発明の緩衝器の第2の実施の形態に係る減衰バルブのバルブシート部材であるピストンの平面図である。 本発明の各実施の形態に係る減衰バルブが適用された緩衝器の減衰力特性を示した図である。 本発明の一実施の形態に係るバルブシート部材であるピストンの圧側のポートを通過する液体の流れを示した説明図である。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。なお、以下に説明する緩衝器Dにおける各実施の形態の減衰バルブV1,V2において共通する構成については同じ符号を付し、説明の重複を避けるために、第1の実施の形態での説明において説明した構成については他の実施の形態における説明では詳細な説明を省略する。なお、本実施の形態では、減衰バルブV1,V2は、緩衝器Dのピストン部に利用されて緩衝器Dの伸縮時において減衰力を発揮する減衰力発生減として機能している。なお、緩衝器Dは、車両の車体と車軸との間に介装されて使用されるが、車両以外に使用されてもよく、図とは上下を逆向きにして取付対象へ取り付けられてもよい。
第1の実施の形態における減衰バルブV1は、図1、図2および図3に示すように、バルブシート部材としてのピストン1と、ピストン1に積層されてピストン1に設けられたポート1cを開閉するリーフバルブとしての伸側のリーフバルブ2とを備えて構成されて、緩衝器Dの伸長時に減衰力を発生する。第2の実施の形態における減衰バルブV1は、図1、図2および図4に示すように、バルブシート部材としてのピストン1と、ピストン1に積層されてピストン1に設けられたポート1dを開閉するリーフバルブとしての圧側のリーフバルブ3とを備えて構成されて、緩衝器Dの収縮時に減衰力を発生する。
つづいて、本実施の形態に係る緩衝器Dの具体的な構造について説明する。図1に示すように、緩衝器Dは、有底筒状のシリンダ10と、このシリンダ10内に摺動自在に挿入されるピストン1と、下端がピストン1に連結されて上端がシリンダ10外へと突出するピストンロッド11とを備えている。
そして、ピストンロッド11の上端には、ブラケット(図示せず)が設けられており、ピストンロッド11がそのブラケットを介して車体と車軸の一方に連結される。その一方、シリンダ10の底部10aにもブラケット(図示せず)が設けられており、シリンダ10がそのブラケットを介して車体と車軸の他方に連結される。
このようにして緩衝器Dは車体と車軸との間に介装される。そして、車両が凹凸のある路面を走行する等して車輪が車体に対して上下に振動すると、ピストンロッド11がシリンダ10に出入りして緩衝器Dが伸縮するとともに、ピストン1がシリンダ10内を上下(軸方向)に移動する。
また、緩衝器Dは、シリンダ10の上端を塞ぐとともに、ピストンロッド11を摺動自在に支える環状のシリンダヘッド12を備える。その一方、シリンダ10の下端は底部10aで塞がれている。このようにしてシリンダ10内は、密閉空間とされている。そして、そのシリンダ10内のピストン1から見てピストンロッド11とは反対側に、フリーピストン13が摺動自在に挿入されている。
シリンダ10内におけるフリーピストン13の上側には液室Lが形成され、下側にはガス室Gが形成されている。さらに、液室Lは、ピストン1でピストンロッド11側の伸側室R1とピストン1側の圧側室R2とに区画されており、伸側室R1と圧側室R2には、それぞれ作動油等の液体が充填されている。その一方、ガス室Gには、エア、或いは窒素ガス等の気体が圧縮された状態で封入されている。
そして、緩衝器Dの伸長時にピストンロッド11がシリンダ10から退出し、その退出したピストンロッド11の体積分シリンダ内容積が増加すると、フリーピストン13がシリンダ10内を上側へ移動してガス室Gを拡大させる。反対に、緩衝器Dの収縮時にピストンロッド11がシリンダ10内へ侵入し、その侵入したピストンロッド11の体積分シリンダ内容積が減少すると、フリーピストン13がシリンダ10内を下側へ移動してガス室Gを縮小させる。
なお、フリーピストン13に替えて、ブラダ、又はベローズ等を利用して液室Lとガス室Gとを仕切っていてもよく、この仕切となる可動隔壁の構成は適宜変更できる。
さらに、本実施の形態では、緩衝器Dが片ピストンロッド、単筒型であり、緩衝器Dの伸縮時にフリーピストン(可動隔壁)11でガス室Gを拡大又は縮小させて、シリンダ10に出入りするピストンロッド11の体積補償をする。しかし、この体積補償のための構成も適宜変更できる。
例えば、フリーピストン(可動隔壁)11とガス室Gとを廃し、シリンダ10の外周にアウターシェルを設けて緩衝器を複筒型にするとともに、シリンダ10とアウターシェルとの間に液体を貯留するリザーバ室を形成し、このリザーバ室で体積補償をしてもよい。さらに、そのリザーバ室は、シリンダとは別に設けられるタンク内に形成されていてもよい。
また、ピストンの両側にピストンロッドを設けて緩衝器を両ピストンロッド型にしてもよい。このような場合には、ピストンロッドの体積補償自体を不要にできる。
つづいて、ピストン1は、環状であって、バルブシート部材として、その下方である圧側室側に積層される環状の伸側のリーフバルブ2とともに減衰バルブVを構成するとともに、その下方である伸側室側に積層される環状の圧側のリーフバルブ3とともに減衰バルブV2を構成している。また、ピストン1の上方である伸側室側には、環状の圧側のリーフバルブ3が積層されており、ピストン1、伸側のリーフバルブ2および圧側のリーフバルブ3は、ピストンロッド11の外周に装着されておりナット30で保持されている。このように、ピストン1は、バルブシート部材として機能しており、伸側のリーフバルブ2および圧側のリーフバルブ3とともに減衰バルブV1,V2を構成している。以下に、その減衰バルブV1,V2を構成する各部材について詳細に説明する。
図2および図3に示すように、バルブシート部材としてのピストン1は、環状の本体1aと、本体1aの軸方向の図2中上端から図2中下端へ貫くとともに本体1aに対して周方向に離間して配置される複数のポート1cと、本体1aの下端の各ポート1cよりも内周側から軸方向へ突出する環状の内周シート1eと、本体1aの下端から軸方向へ突出して内周シート1eに連なってそれぞれポート1cを一つずつ取り囲む複数の外周シート1fとを備えている。なお、本体1aの外周には、シリンダ10の内周に摺接する環状のピストンリング1bが装着されており、ピストン1は、シリンダ10内を円滑に軸方向へ移動できる。
また、本実施の形態の減衰バルブV1におけるピストン1は、各ポート1cの内周側であって内周シート1eの外周側に配置されて本体1aの下端から軸方向へ突出する環状の中間シート1gを備えている。そして、中間シート1gと内周シート1eとの間は、環状の空隙が設けられており、当該空隙で円弧状の流路P1が形成されている。
内周シート1eは、円環状であって本体1aに内周が本体1aの内周に一致するように設けられており、本体1aから圧側室側へ向けて突出している。中間シート1gは、本体1aに対して内周シート1eと同心であって内周シート1eを取り囲んで内周シート1eとの間に環状の隙間を形成する位置に設けられており、圧側室側へ向けて突出している。
ポート1cは、本実施の形態の減衰バルブV1では、ピストン1に対して4つ設けられている。より詳細には、4つのポート1cは、本体1aの中間シート1gの外周側に周方向に等間隔に並べて設けられている。さらに、外周シート1fは、4つのポート1cの1つずつに対応してピストン1に対して本体1aの図2中下端に4つ設けられている。外周シート1fは、内周シート1eに接続されるとともに中間シート1gと交差して本体1aの外周へ向けて延びる第1側壁部1f1と、中間シート1gに接続されて本体1aの外周へ向けて延びて第1側壁部1f1とともにポート1cを周方向にて挟む位置に設けられる第2側壁部1f2と、第1側壁部1f1と第2側壁部1f2の先端同士に接続されてポート1cの外周側に配置される円弧状の外周部1f3とを備えている。外周シート1fにおける第1側壁部1f1、第2側壁部1f2および外周部1f3の内側にはポート1cが配置されており、外周シート1fと中間シート1gとでポート1cの周囲を取り囲んでいる。また、ポート1cは、本体1aの一端となる伸側室R1の端部に開口しており、外周シート1fと中間シート1gは、本体1aの図2中下端から伸側室側側へ向けて軸方向に突出していて、外周シート1fと中間シート1gとで囲まれた扇形の空隙でポート1cの出口端に連なる開口窓1hを形成している。4つの各外周シート1fは、同様の構成を備えており、ピストン1の本体1aに対して対応するポート1cをそれぞれ1つずつ取り囲む位置に設けられている。
また、中間シート1gには、各開口窓1hを前記した円弧状の空隙に連通する切欠1g1と、外周シート1f,1f間に臨む部位に形成された凹部でなるオリフィスO1とが設けられている。このように、ポート1cは、前述の中間シート1gと内周シート1eとの間の円弧状の空隙と切欠1g1とによって形成された流路P1を介してオリフィスO1に連通されている。外周シート1fは、内周シート1eから本体1aの外周側へ向けて延びて中間シート1gを横断する第1側壁部1f1を備えているので、内周シート1eと中間シート1gとの間に形成される環状の空隙は、外周シート1fにおける第1側壁部1f1によって周方向で4分割されており、流路P1は、4つのポート1cに対応してピストン1に対して4つ設けられている。そして、各流路P1は、一端が切欠1g1および開口窓1hを介して1つのポート1cに通じており、他端がオリフィスO1を介して外周シート1f,1f間に通じており、ポート1cよりも内周側に配置されている。流路P1は、それぞれ1つのポート1cとこのポート1cに対応する1つのオリフィスO1とを連通するようにピストン1に対して4つ設けられている。このように、バルブシート部材であるピストン1には、1つのポート1cには必ず対となる1つ以上のオリフィスO1が設けられており、ポート1cと対を成すオリフィスO1とを連通する流路P1が必ず1つのポート1cに対して1つずつ設けられている。本実施の形態では、ポート1cがピストン1に4つ設けられているので、流路P1もポート1cの設置数に対応して4つ設けられている。なお、オリフィスO1は、図示したところでは、1つのポート1cに対して1つのみが設けられているが、中間シート1gの外周シート1f,1f間に臨む部分に複数設けられてもよい。
このように構成されたピストン1の図2中下端となる圧側室側には、内周シート1e、中間シート1gおよび外周シート1fに着座する環状の伸側のリーフバルブ2が積層される。そして、ピストン1および伸側のリーフバルブ2とで第1の実施の形態の減衰バルブV1が構成されており、当該減衰バルブV1がピストンロッド11の先端に設けられた取付軸11aの外周にナット30で保持される。
伸側のリーフバルブ2は、一枚以上の金属製の薄い環状板で形成されており、弾性を有していて、内周側がピストン1の内周シート1eとナット30とによって挟持されてピストンロッド11の外周に固定的に装着されており、外周側の撓み変形が許容されている。なお、内周シート1e、中間シート1gおよび外周シート1fにおける本体1aからの突出高さは、同一か或いは本体1aの外周へ向かうほど徐々に高くなるように設定されており、伸側のリーフバルブ2は、ポート1cを通過使用する液体の圧力を受けない無負荷状態では、内周シート1e、中間シート1gおよび外周シート1fに密着する。
伸側のリーフバルブ2が内周シート1e、中間シート1gおよび外周シート1fに着座した状態でも、本体1aから外周シート1f,1fとの間の空隙は伸側のリーフバルブ2によって閉塞されないので、中間シート1gに設けたオリフィスO1を通じて流路P1の他端が圧側室R2に連通される。よって、伸側のリーフバルブ2が内周シート1e、中間シート1gおよび外周シート1fに着座した状態では、各ポート1cの出口端となる図2中下端は、ポート1cに対応する開口窓1h、切欠1g1、内周シート1eと中間シート1gとの間の流路P1およびオリフィスO1を介して圧側室R2に連通され、各ポート1cの入口端となる図2中上端は、伸側室R1に連通される。また、流路P1がポート1cよりも内周側に配置されていて、伸側のリーフバルブ2におけるポート1cよりも内周側に面している。このように、4つの各流路P1は、ポート1cよりも内周側に配置されてポート1cと対を成すオリフィスO1とを連通している。
つづいて、図2および図4に示すように、バルブシート部材としてのピストン1は、本体1aの軸方向の図2中下端から図2中上端へ貫くとともに本体1aに対して周方向に離間して配置される複数の円弧状のポート1dと、本体1aの上端の各ポート1dよりも内周側から軸方向へ突出する環状の内周シート1i、本体1aの上端から軸方向へ突出して内周シート1iに連なってそれぞれポート1dを一つずつ取り囲む複数の外周シート1jとを備えている。
ポート1dは、本体1aに対して4つ設けられており、ポート1cと同一円周上にポート1cと交互に並べて配置されている。また、各ポート1dは、本体1aの図2中下端の中間シート1gよりも外周側にであって外周シート1f,1f間に開口していればよい。なお、各ポート1dが設けられる円周と各ポート1cが設けられる円周とは同一でなくともよく、また、ポート1cとポート1dの設置数は同数でなくともよい。
内周シート1iは、円環状であって本体1aに内周が本体1aの内周に一致するように設けられており、本体1aから伸側室側へ向けて突出している。さらに、外周シート1jは、4つのポート1dの1つずつに対応してピストン1に対して本体1aの図2中上端に4つ設けられている。外周シート1jは、内周シート1eに接続されるとともに本体1aの外周へ向けて延びてポート1dを周方向で挟むように設けられる一対の側壁部1j1と、側壁部1j1,1j1の先端同士に接続されてポート1dの外周側に配置される円弧状の外周部1j2とを備えている。外周シート1jにおける側壁部1j1,1j1および外周部1j2の内側にはポート1dが配置されており、内周シート1iと外周シート1jとでポート1dの周囲を取り囲んでいる。また、ポート1dは、本体1aの伸側室R1の端部に開口しており、内周シート1iと外周シート1jとは、本体1aの図2中上端から伸側室側側へ向けて軸方向に突出していて、内周シート1iと外周シート1fとで囲まれた扇形の空隙でポート1dの出口端に連なる開口窓1kを形成している。4つの各外周シート1jは、同様の構成を備えており、ピストン1の本体1aに対して対応するポート1dをそれぞれ1つずつ取り囲む位置に設けられている。
さらに、ピストン1は、図4に示すように、本体1aの図2中上端であって外周シート1jの内側から軸方向へ突出するとともにポート1dの内周側のみが開口されて圧側のリーフバルブ3に当接可能な扇形の堰部1mを備えている。堰部1mは、ポート1dと外周シート1jの外周部1j2との間に配置される円弧状部1m1と、円弧状部1m1の両端からそれぞれ本体1aの内周へ向けて延びてポート1dの周方向の側方に対向する一対の側部1m2とを備えている。
よって、開口窓1k内には、堰部1mによってポート1dが対面する内周側の空隙1k1と、堰部1mの側部1m2と外周シート1jの側壁部1j1との間に形成されて空隙1k1に連なって径方向へ延びる一対の溝状の空隙1k2と、堰部1mの円弧状部1m1と外周シート1jの外周部1j2との間に形成されて両端がそれぞれ空隙1k2に連なる円弧状の空隙1k3とが形成される。また、外周シート1jにおけるポート1dの外周側に配置される部分である外周部1j2には、2つのオリフィスO2が設けられている。なお、外周部1j2におけるオリフィスO2の設置数は、任意に設定できる。
よって、ポート1dの出口端は、前述の空隙1k1、空隙1k2,1k2および空隙1k3を介してオリフィスO2へ連通されており、空隙1k1、空隙1k2,1k2および空隙1k3でポート1dとオリフィスO2とを連通する流路P2を形成している。流路P2は、各ポート1dが設けられる開口窓1k毎に設けられており、4つのポート1dに対応してピストン1に対して4つ設けられている。このように、流路P2は、それぞれ1つのポート1dとこのポート1dに対応する2つのオリフィスO2とを連通するようにピストン1に対して4つ設けられている。そして、流路P2の一端はポート1dに、流路P2の他端はオリフィスO2にそれぞれ連通されており、ポート1dよりも内周側に配置される部分(空隙1k1)を備えている。流路P2は、部分的であってもピストン1に対してポート1dよりも内周側に配置されていればよく、ピストン1に対してポート1dよりも内周側に配置されることの範疇には、このように、流路P2がポート1dよりも内周側に設けられた一部(空隙1k1)を備えることも含まれる。なお、このことは、流路P1についても同様である。
このように、バルブシート部材であるピストン1には、1つのポート1dには必ず対となる1つ以上のオリフィスO2が設けられており、ポート1dと対を成すオリフィスO2とを連通する流路P2が必ず1つのポート1dに対して1つずつ設けられている。本実施の形態では、ポート1dがピストン1に4つ設けられているので、流路P2もポート1dの設置数に対応して4つ設けられている。なお、オリフィスO2は、図示したところでは、1つのポート1dに対して2つ設けられているが、外周シート1jの外周部1j2に1つ或いは3つ以上設けられてもよい。
このように構成されたピストン1の図2中上端となる伸側室側には、内周シート1i、堰部1mおよび外周シート1jに着座する環状の圧側のリーフバルブ3が積層される。そして、ピストン1および圧側のリーフバルブ3とで第2の実施の形態の減衰バルブV2が構成されており、当該減衰バルブV2がピストンロッド11の先端に設けられた取付軸11aの外周にナット30で保持される。
圧側のリーフバルブ3は、一枚以上の金属製の薄い環状板で形成されており、弾性を有していて、内周側がピストン1の内周シート1iとナット30とによって挟持されてピストンロッド11の外周に固定的に装着されており、外周側の撓み変形が許容されている。なお、内周シート1i、堰部1mおよび外周シート1jにおける本体1aからの突出高さは、同一か或いは本体1aの外周へ向かうほど徐々に高くなるように設定されており、圧側のリーフバルブ3は、ポート1dを通過使用する液体の圧力を受けない無負荷状態では、内周シート1i、堰部1mおよび外周シート1jに密着する。
圧側のリーフバルブ3が内周シート1i、堰部1mおよび外周シート1jに着座した状態でも、流路P2の一端がポート1dに通じ、外周シート1jに設けたオリフィスO2を通じて流路P2の他端が伸側室R1に連通される。よって、圧側のリーフバルブ3が内周シート1i、堰部1mおよび外周シート1jに着座した状態では、各ポート1dの出口端となる図2中上端は、ポート1dに対応する流路P2およびオリフィスO2を介して伸側室R1に連通され、各ポート1dの入口端となる図2中上端は、ピストン1の本体1aの図2中下端の外周シート1f,1f間に開口しており伸側のリーフバルブ2に閉塞されることなく圧側室R2に連通される。また、流路P2がポート1dよりも内周側に配置されていて、ポート1dよりも内周側の空隙1k1が圧側のリーフバルブ3のポート1dよりも内周側に面しているので、4つの各流路P2は、圧側のリーフバルブ3のポート1dよりも内周側に面した空隙1k1を介してポート1dと対を成すオリフィスO2とを連通している。
なお、図4に示すように、ポート1cの入口端は、ピストン1の本体1aの上端であって外周シート1j,1j間に開口しており、常に伸側室R1と連通されている。
上記構成によれば、緩衝器Dが伸長する場合、ピストンロッド11がシリンダ10から退出し、ピストン1がシリンダ10内を上方へ移動して伸側室R1を圧縮する。すると、伸側室R1の圧力が上昇し、当該圧力が伸側のポート1cを介して伸側のリーフバルブ2の外周部を下側へ撓ませる方向へ作用する。
そして、伸側のリーフバルブ2の外周部が撓むと、当該外周部と外周シート1fとの間に隙間ができるので、伸側室R1の液体が伸側のポート1cを通って圧側室R2へと移動する。当該液体の流れに対しては、伸側のリーフバルブ2により抵抗が付与される。このため、緩衝器Dの伸長時には、緩衝器Dは、減衰バルブV1によって伸側の減衰力を発生する。
緩衝器Dが伸長する際は、前述した通り、ピストン1が図1中でシリンダ10に対して上方へ移動し、伸側室R1内の液体がポート1cを介して圧側室R2へ移動する。ここで、ピストン1のシリンダ10に対する移動速度が低速域にあり、ポート1cを介して作用する伸側室R1内の圧力では伸側のリーフバルブ2が撓まずに中間シート1gおよび外周シート1fに当接したままとなる。
この状態では、伸側室R1からポート1cを抜けてピストン1の本体1aの上端に設けた開口窓1hへ移動した液体は、中間シート1gに形成された切欠1g1を抜けて、内周シート1eと中間シート1gとの間に形成された流路P1を通過した後、中間シート1gに設けたオリフィスO1を通過して圧側室R2へ移動する。よって、緩衝器Dは、伸長速度が低速域にある場合、減衰バルブV1に設けられたオリフィスO1が液体の流れに抵抗を与えて減衰力を発生する。他方、緩衝器Dの伸長速度が高速域になると、ポート1cから受ける圧力が大きくなるのでリーフバルブ2は、外周部を撓ませて中間シート1gおよび外周シート1fから離間して開弁して、ポート1cを開放する。よって、緩衝器Dの伸長速度が高速域にある場合、減衰バルブV1が、リーフバルブ2と外周シート1fとの間の隙間を液体が通過する際に抵抗を与えることによって緩衝器Dが減衰力を発生する。このように、減衰バルブV1を備えた緩衝器Dは、伸長速度が低速域にある場合にはオリフィスO1によって、伸長速度が高速域にある場合にはリーフバルブ2によって減衰力を発生する。よって、図5に示したように、伸長速度が低速域から高速域に移り変わると、緩衝器Dの減衰力特性はオリフィス特性からバルブ特性に切り換わる。
ここで、伸側のリーフバルブ2が中間シート1gおよび外周シート1fに当接したままの状態では、液体がピストン1のポート1cよりも内周側に設けられてリーフバルブ2のピストン側面に面した流路P1を通過するので、リーフバルブ2の流路P1に面した部分にも伸側室R1の圧力が作用する。
このように、本実施の形態の減衰バルブV1では、リーフバルブ2のポート1cに正対する部分(開口窓1hに対向する部分)のみならずポート1cよりも内周側にも伸側室R1の圧力が作用するので、リーフバルブ2に作用する圧力が内周側と外周側とで差が生じにくくなる。このように、伸側のリーフバルブ2が中間シート1gおよび外周シート1fに着座している限り、リーフバルブ2に作用する圧力が内周側と外周側とで差が生じにくく、リーフバルブ2に作用する圧力の分布が均一になるので、緩衝器Dの伸長速度が高速域に差し掛かる状況となりリーフバルブ2が撓む際に、リーフバルブ2が中間シート1gおよび外周シート1fから離間する開弁動作が緩慢となる。したがって、本実施の形態の減衰バルブV1では、リーフバルブ2が急激に中間シート1gおよび外周シート1fから大きく離間するのを抑制できるので、図5に示したように、緩衝器Dの減衰力特性においてオリフィス特性からバルブ特性への切り換わりが穏やかとなり、減衰力特性の急変を緩和できる。このように減衰バルブV1によれば、減衰力特性の急変を緩和できるので、緩衝器Dが使用される車両に振動を与えて車両における乗心地を損なってしまうこともなく、リーフバルブ2の外周部が振動して異音を発生するのも抑制できる。
反対に、緩衝器Dが収縮する場合、ピストンロッド11がシリンダ10内へ侵入し、ピストン1がシリンダ10内を下方へ移動して圧側室R2を圧縮する。すると、圧側室R2の圧力が上昇し、当該圧力が圧側のポート1dを介して圧側のリーフバルブ3の外周部を上側へ撓ませる方向へ作用する。
そして、圧側のリーフバルブ3の外周部が撓むと、当該外周部と外周シート1jとの間に隙間ができるので、圧側室R2の液体が圧側のポート1dを通って伸側室R1へと移動する。当該液体の流れに対しては、圧側のリーフバルブ3により抵抗が付与される。このため、緩衝器Dの収縮時には、緩衝器Dは、減衰バルブV2によって圧側の減衰力を発生する。
緩衝器Dが収縮する際は、前述した通り、ピストン1が図1中でシリンダ10に対して下方へ移動し、圧側室R2内の液体がポート1dを介して伸側室R1へ移動する。ここで、ピストン1のシリンダ10に対する移動速度が低速域にあり、ポート1dを介して作用する圧側室R2内の圧力では圧側のリーフバルブ3が撓まずに内周シート1iおよび外周シート1jに当接したままとなる。
この状態では、圧側室R2からポート1dを抜けてピストン1の本体1aの下端に設けた開口窓1kへ移動した液体は、開口窓1k内が堰部1mによって仕切られているため、空隙1k1へ移動した後、空隙1k2,1k2と通過して、空隙1k3へ至り、オリフィスO2を抜けて伸側室R1へ移動する。つまり、ポート1dを通過した液体は、空隙1k1、空隙1k2,1k2および空隙1k3で形成された流路P2を通過し、オリフィスO2を抜けて伸側室R1へ移動する。
よって、緩衝器Dは、収縮速度が低速域にある場合、減衰バルブV2に設けられたオリフィスO2が液体の流れに抵抗を与えて減衰力を発生する。他方、緩衝器Dの収縮速度が高速域になると、ポート1dから受ける圧力が大きくなるのでリーフバルブ3は、外周部を撓ませて外周シート1jから離間して開弁して、ポート1dを開放する。よって、緩衝器Dの収縮速度が高速域にある場合、減衰バルブV2が、リーフバルブ3と外周シート1jとの間の隙間を液体が通過する際に抵抗を与えることによって緩衝器Dが減衰力を発生する。このように、減衰バルブV2を備えた緩衝器Dは、収縮速度が低速域にある場合にはオリフィスO2によって、収縮速度が高速域にある場合にはリーフバルブ3によって減衰力を発生する。よって、図5に示したように、収縮速度が低速域から高速域に移り変わると、緩衝器Dの減衰力特性はオリフィス特性からバルブ特性に切り換わる。
ここで、圧側のリーフバルブ3が外周シート1jに当接したままの状態では、液体がピストン1のポート1dよりも内周側に設けられてリーフバルブ3のピストン側面に面した流路P2を通過するので、リーフバルブ2の流路P1に面した部分にも伸側室R1の圧力が作用する。
このように、本実施の形態の減衰バルブV2では、リーフバルブ3のポート1dに正対する部分(開口窓1kに対向する部分)の内周側にも圧側室R2の圧力が作用するので、リーフバルブ3に作用する圧力が内周側と外周側とで差が生じにくくなる。このように、圧側のリーフバルブ3が外周シート1jに着座している限り、リーフバルブ3に作用する圧力が内周側と外周側とで差が生じにくく、リーフバルブ3に作用する圧力の分布が均一になるので、緩衝器Dの収縮速度が高速域に差し掛かる状況となりリーフバルブ3が撓む際に、リーフバルブ3が外周シート1jから離間する開弁動作が緩慢となる。したがって、本実施の形態の減衰バルブV2では、リーフバルブ3が急激に外周シート1jから大きく離間するのを抑制できるので、図5に示したように、緩衝器Dの減衰力特性においてオリフィス特性からバルブ特性への切り換わりが穏やかとなり、減衰力特性の急変を緩和できる。このように減衰バルブV2によれば、減衰力特性の急変を緩和できるので、緩衝器Dが使用される車両に振動を与えて車両における乗心地を損なってしまうこともなく、リーフバルブ3の外周部が振動して異音を発生するのも抑制できる。
以上、本実施の形態の緩衝器Dは、シリンダ10と、シリンダ10内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッド11と、シリンダ10とピストンロッド11が軸方向へ相対移動する際に生じる液体の流れに対して抵抗を与える減衰バルブV1,V2とを備え、減衰バルブV1,V2は、環状の本体1aと、本体1aの軸方向の一端から他端へ貫くとともに本体1aに対して周方向に離間して配置される複数のポート1c,1dと、本体1aの一端の各ポート1c,1dよりも内周側から軸方向へ突出する環状の内周シート1e,1iと、本体1aの一端から軸方向へ突出して内周シート1e,1iに連なってそれぞれポート1c,1dを一つずつ取り囲む複数の外周シート1f,1jとを備えたピストン(バルブシート部材)1と、環状であって内周シート1e,1iと外周シート1f,1jとに当接可能であって内周側がピストン(バルブシート部材)1に固定されて外周側の撓みが許容されるリーフバルブ2,3とを備え、ピストン(バルブシート部材)は、ポート1c,1dと対を成すオリフィスO1,O2を有し、ピストン(バルブシート部材)は、ポート1c,1dと対を成すオリフィスO1,O2とをそれぞれ連通する複数の流路P1,P2を有し、流路P1,P2は、ポート1c,1dよりも内周側に配置されている。
このように構成された緩衝器Dによれば、減衰バルブV1,V2におけるリーフバルブ2,3のポート1c,1dよりも内周側にも圧力を十分に作用させてリーフバルブ2,3に作用する圧力が内周側と外周側とで差が生じにくくなり、リーフバルブ2,3に作用する圧力分布を均一にできる。よって、緩衝器Dによれば、リーフバルブ2,3に作用する圧力の分布を均一にでき、減衰力特性の急変を緩和できるので、緩衝器Dが使用される車両に振動を与えて車両における乗心地を損なってしまうこともなく、リーフバルブ2,3の外周部が振動して異音を発生するのも抑制できる。
なお、前述したところでは、オリフィスO1,O2は、バルブシート部材であるピストン1に設けられているが、リーフバルブ2,3に設けることができる。たとえば、減衰バルブV1であれば、リーフバルブ2を2枚以上の環状板を積層して構成して、ピストン1に当接する環状板の流路P1の切欠1g1から遠い部分に通じる孔を設けるとともに、ピストン1に当接する環状板に積層される環状板に対して当該環状板の外周から開口して前記孔に対向する切欠を設けて、当該切欠のどこかにオリフィスO1を設けるようにすればよい。また、減衰バルブV2であれば、リーフバルブ3の外周から開口して開口窓1kの空隙1k3にのみに連通される切欠でオリフィスO2を形成すればよい。なお、リーフバルブ2,3にオリフィスO1,O2を設ける場合、外周シート1f,1jが対応する1つのポート1c,1dのみを取り囲んでいて、各ポート1c,1d同士が互いに連通されない独立開口ポートとなっているので、リーフバルブ2,3に設けたオリフィスO1,O2を流路P1,P2に連通させるためにリーフバルブ2,3をピストン(バルブシート部材)1に対して周方向に位置決めする必要がある。これに対して、ピストン(バルブシート部材)1にオリフィスO1,O2を設ける場合にはリーフバルブ2,3とピストン(バルブシート部材)1の周方向の位置決めが不要となるので、減衰バルブV1,V2の組立が容易となる。
また、流路P1,P2は、ピストン1に対してポート1c,1dよりも内周側に配置されて、リーフバルブ2,3のポート1c,1dよりも内周側に面していれば、リーフバルブ2,3に対してポート1c,1dよりも内周側に圧力を作用させうるので、流路P1,P2の形状、構造および設置位置については適宜設計変更可能である。
また、第1の実施の形態の減衰バルブV1は、ピストン(バルブシート部材)1がポート1cの内周側であって内周シート1eの外周側に配置されて本体1aの一端から軸方向へ突出する中間シート1gを備えており、流路P1が内周シート1eと中間シート1gとの間の空隙で形成されている。このように構成された減衰バルブV1を備えた緩衝器Dでは、内周シート1eと中間シート1gとの間に円弧状の流路P1を形成して、リーフバルブ2のポート1cの内周側の部分に全周に亘って流路P1を通過する液体の圧力を作用させ得る。よって、減衰バルブV1によれば、リーフバルブ2の外周部の全体を偏りなく撓ませ得るので、製品毎の減衰力特性のばらつきを抑制できる。
さらに、第2の実施の形態の減衰バルブV2は、ピストン(バルブシート部材)1が本体1aの一端であって外周シート1jの内側から軸方向へ突出するとともにポート1dの内周側のみが開口されてリーフバルブ3に当接可能な堰部1mを有し、オリフィスO2が外周シート1jのうちポート1dの外周側に配置される部分である外周部1j2に設けられている。このように構成された減衰バルブV2を備えた緩衝器Dによれば、ポート1dを通過した液体を堰部4によって開口窓1k内でポート1dの内周側を経由させる流路P2を形成できるので、ピストン(バルブシート部材)1に大きな設計変更をもたらすことなくリーフバルブ3の急激な開弁動作を抑制できる。また、オリフィスO2が外周シート1jのポート1dよりも外周側に配置される部分である外周部1j2に設けられているので、リーフバルブ3の外周部の外周シート1jへの吸着を防止でき、リーフバルブ3の外周シート1jからの離間が滑らかになって、より一層、リーフバルブ3の開弁時の圧力変動を抑制できるので異音発生抑制効果を高め得る。
また、第2の実施の形態の減衰バルブV2では、ポート1dの周りに本体1aから突出する堰部1mが設けられているので、リーフバルブ3が伸側室R1の圧力を受けてピストン1側へ押し付けられた際に堰部1mがリーフバルブ3を支えてリーフバルブ3の変形を抑制するのでリーフバルブ3の劣化を防止できる。なお、堰部1mは、リーフバルブ3がピストン1に積層された際にリーフバルブ3に当接することが好ましいが、ポート1dからオリフィスO2へ向かう液体の流れを流路P2へ誘導可能である限りにおいて、リーフバルブ3がピストン1に積層された状態でリーフバルブ3と堰部1mとの間に隙間があってもよい。
そして、本実施の形態の緩衝器Dは、シリンダ10と、シリンダ10内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッド11と、減衰バルブV1,V2とを備えており、減衰バルブV1,V2は、シリンダ10とピストンロッド11が軸方向へ相対移動する際に生じる液体の流れに対して抵抗を与える。このため、緩衝器Dが伸縮してシリンダ10とピストンロッド11が軸方向へ相対移動するときに減衰バルブV1,V2の抵抗に起因する減衰力を発揮でき、車両における乗心地を向上できる。
なお、本実施の形態の減衰バルブV1は、緩衝器Dの伸側の減衰バルブとして機能するように、ピストン(バルブシート部材)1とリーフバルブ2とで構成されており、本実施の形態の減衰バルブV2は、緩衝器Dの圧側の減衰バルブとして機能するように、ピストン(バルブシート部材)1とリーフバルブ3とで構成されている。このように、1つのバルブシート部材の両端の一方と他方とに減衰バルブV1,V2とがそれぞれ適用されてもよいが、1つのバルブシート部材の両端のうち一方或いは両方に減衰バルブV1のみ或いは減衰バルブV2のみが適用されてもよい。
また、本実施の形態の緩衝器Dにおける減衰バルブV1,V2は、ピストンロッド11に取り付けられている。しかし、シリンダ10に出入りするピストンロッドは、必ずしもバルブシート部材が取り付けられたピストンロッドでなくてもよく、減衰バルブを設ける位置もピストン部に限られない。たとえば、緩衝器Dがリザーバ室を備え、リザーバ室でシリンダに出入りするピストンロッドの体積補償をする場合には、シリンダ内とリザーバ室とを区画する区画部材をバルブシート部材とし、当該区画部材に積層されるリーフバルブとで減衰バルブV1或いは減衰バルブV2を構成してもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
1・・・ピストン(バルブシート部座)、1a・・・本体、1c,1d・・・ポート、1e,1i・・・内周シート、1f,1j・・・外周シート、1g・・・中間シート、1m・・・堰部、2,3・・・リーフバルブ、10・・・シリンダ、11・・・ピストンロッド、D・・・緩衝器、O1,O2・・・オリフィス、P1,P2・・・流路、V1,V2・・・減衰バルブ

Claims (3)

  1. シリンダと、
    前記シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッドと、
    前記シリンダと前記ピストンロッドが軸方向へ相対移動する際に生じる液体の流れに対して抵抗を与える減衰バルブとを備え、
    前記減衰バルブは、
    環状の本体と、前記本体の軸方向の一端から他端へ貫くとともに前記本体に対して周方向に離間して配置される複数のポートと、前記本体の一端の前記各ポートよりも内周側から軸方向へ突出する環状の内周シートと、前記本体の一端から軸方向へ突出して前記内周シートに連なってそれぞれ前記ポートを一つずつ取り囲む複数の外周シートとを備えたバルブシート部材と、
    環状であって前記内周シートと前記外周シートとに当接可能であって内周側が前記バルブシート部材に固定されて外周側の撓みが許容されるリーフバルブとを備え、
    前記バルブシート部材または前記リーフバルブは、前記ポートと対を成すオリフィスを有し、
    前記バルブシート部材は、前記ポートと対を成す前記オリフィスとをそれぞれ連通する複数の流路を有し、
    前記流路は、前記ポートよりも内周側に配置されている
    ことを特徴とする緩衝器。
  2. 前記バルブシート部材は、前記ポートの内周側であって前記内周シートの外周側に配置されて前記本体の一端から軸方向へ突出する中間シートを有し、
    前記流路は、前記内周シートと前記中間シートの間の空隙で形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  3. 前記バルブシート部材は、前記本体の一端であって前記外周シートの径方向内側から軸方向へ突出するとともに前記ポートの内周側のみが開口されて前記リーフバルブに当接可能な堰部を有し、
    前記オリフィスは、前記外周シートのうち、前記ポートの外周側に配置される部分に設けられる
    ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
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