JP2023075358A - ノック式ボールペン - Google Patents
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Abstract
Description
この課題を解決するため、ボールハウス内での筆記ボールの移動距離(以下クリアランスとする。)を大きくすることが行われている。
そこで、ボールハウスから筆記ボールが脱落しにくいボールペンが、特許文献1に開示されている。
そこで、本発明においては、粒子径の大きいインクでも十分な筆記距離を得られるボールペンの提供を課題とする。
該リフィル3を収容する軸本体2と、
該リフィル3を後方へ付勢するコイルスプリング40と、
該軸本体2の後部に設けられるとともに、該リフィル3の後方に配置され、該リフィル3と連動するノック部41と、を有し、
該ノック部41を前方に押圧してリフィル3を前記軸本体2の先端から突出させることによって筆記位置となるノック式のボールペン1であって、
前記ボールペンチップ32は筆記ボール33と、該筆記ボール33を先端に抱持するホルダー34と、を備え、
前記ホルダー34の先端には前記筆記ボール33を抱持するカシメ部34bが設けられ、該ホルダー34の内部空間には、該ホルダー34の先端に設けられるとともに前記筆記ボール33が挿入されるボールハウス35、該ホルダー34の後端から先端方向へ該ボールハウス35の近傍まで設けられたバック孔37、及び該バック孔37とボールハウス35とを連結するインク誘導孔36が形成されており、
前記ボールハウス35は軸心とほぼ平行な円筒面35aと、該円筒面35aに連続して後方へ向かって縮径する円錐面である底面35bと、該底面35bに前記筆記ボール33の曲面が転写されたボール受座35cと、を有しており、
前記インク誘導孔36の周囲に等配された複数箇所には、前記ボールハウス35側から後方に向かって穿設された放射状の溝であるインク溝36aが形成されており、
前記バック孔37内には、前記筆記ボール33を先端方向に付勢する弾発部材38が挿入されており、該弾発部材38の先端部分は、先端方向に直線状に伸び前記インク誘導孔36を通って前記筆記ボール33の後端に当接しこれを付勢する付勢部38aとして形成されており、
前記リフィル3に収容されるインクの最大容量が0.5ml以上であって、前記筆記ボール33の真球度が0.5μm以下であって、該筆記ボール33が前記ホルダー34内で前記ボールペンチップ32の軸線方向に移動可能な量であるクリアランスが30μm未満であって、インクに使用されている顔料の平均粒子径が0.3μm以上クリアランス未満であって、前記カシメ部34bの筆記ボール33を保持する力が前記ノック部41を押圧する際のノック荷重以下であって、
前記弾発部材38の押荷重が前記軸本体2の重量未満であって、
前記筆記ボール33の直径をA、前記ホルダー34の先端から前記筆記ボール33が飛び出ている距離である筆記ボール出寸法をB、前記クリアランスをC、前記ボールハウス35の円筒面35aの内径をD、前記インク誘導孔36の内径をE、前記ボール受座35cの最外径をF、前記付勢部38aの線径をGとしたときに、
前記筆記ボール33が(B+C)<0.4Aとなるように前記カシメ部34bに抱持されており、
前記ボールハウス35はD≧(A+0.03mm)及び、F<0.65Aとなるように形成されており、
前記インク誘導孔3はE≦0.6Aとなるように形成されており、
前記付勢部38aは0.4E≦G≦0.6Eとなるように形成されており、
前記ノック荷重が5N以上である、
ことによって筆記距離が200m以上となることを特徴とする。
また、「ノック荷重」とは、リフィル3の先端を軸本体2から繰り出し又は繰り戻しのために使用者がノック部41を押圧する際に要する荷重をいう。
また、筆記ボール33の真球度を0.5μm以下とすることで、筆記ボール33の回転を阻害しないためインクの吐出をスムーズにすることができる。
また、ボールペンチップ32先端を(B+C)<0.4Aとなるように形成することで、筆記ボール33が筆記先端から突出する距離が最大でもボール径の40%未満となるため、筆記ボール33が脱落しにくくなる。
また、ボールハウス35の円筒面35aはD≧(A+0.03mm)となるように形成されていることから、円筒面35aの径Dが筆記ボール33の直径Aよりも0.03mm以上広く、インクの流路が十分に確保される。また、ボール受座35cはF<0.65Aとなるように形成されていることから、書き出しの際の筆記ボール33の回転がスムーズかつ、溝の開口部が確保できるため、十分なインクの流路も確保される。
また、ノック荷重を5N以上とすると、誤って軸本体2からリフィル3の先端を繰り出すことを回避し、不要なインク汚れを防止できる。
また、継手31内にボールペンチップ32との圧入部より細径のインク流通孔を形成されてことで、ノック衝撃によるボール飛びを防ぐことができる。
なお、本発明に好適なインクは、平均粒子径が1μm以上であり、非熱可塑性である着色樹脂粒子と、ガラス転移点が0℃未満である非着色粒子と、を少なくとも含有し、着色樹脂粒子をインク組成物全量に対して5~30重量%含有し、かつ、消去部材41aの擦過動作で消去可能な剪断減粘性を有することを特徴とする。また、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、及び前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた平均粒子径1μm以上の熱変色性マイクロカプセル顔料をインク組成物全量に対して5~30重量%含有し、消去部材41aの摩擦動作で変色又は消色可能なインクも本発明に好適なインクである。ここで、「平均粒子径」は、粒度分析計〔マイクロトラックHRA9320-X100(日機装社製)〕にて測定したD50の値である。
なお、本発明に係るボールペン1のボールペンチップ32には、バック孔37の先端部分であって、各インク溝36aの後端に接する位置に、内方に突出する内方凸部37aを設けてもよい。内方凸部37aを設けることで、筆記時に弾発部材38の付勢部38aがインク溝36aの方へ傾いたとしても、インク溝36aに嵌るより先に内方凸部37aに当接する。よって、弾発部材38の付勢部38aがインク溝36aに嵌ることで、インクの通路を塞いでしまうことを防ぐことができる。さらに、内方凸部37aの間を縫うようなインクの流路が形成されることにより、インク流出抵抗が下がるため、筆記時のカスレが生じにくくなる。
第1の実施の形態におけるボールペン1は、図1に示すように、ノック式のボールペンであって、軸本体2と、軸本体2に軸方向に進退可能に収容されたリフィル3と、内蔵されたリフィル3のペン先を軸本体2の先端から突没させるノック機構4と、からなる。
(軸本体2)
軸本体2は、リフィル3を内部に収納する円筒状の軸筒20と、軸筒20の先端部分に螺合している略円錐状の口先部材21と、からなる。
口先部材21は、底面が開口され、その内周面にネジ溝が形成されたものとなっている。これにより、口先部材21は、軸筒20に取り付けられている。
(リフィル3)
リフィル3は、インクを収容したインク収容管30と、インク収容管30の先端に継手31を介して装着されたボールペンチップ32と、からなる。また、継手31内にボールペンチップ32との圧入部より細径のインク流通孔を形成されている。
ボールペンチップ32は、図2に示すように、筆記ボール33と、この筆記ボール33を先端に抱持するホルダー34と、からなる。
ホルダー34の内部空間には、図5に示すように、テーパ部34aの内側で筆記ボール33が挿入されるボールハウス35、ホルダー34の後端から先端方向へボールハウス35の近傍まで設けられているバック孔37、及びバック孔37とボールハウス35とを連結するインク誘導孔36が形成されている。
また、インク誘導孔36はE≦0.6Aとなるように形成されており、インク誘導孔36の周囲の3つに等配された箇所には、図4及び図5に示すように、ボールハウス35側からバック孔37の先端部分まで放射状に貫通する溝であるインク溝36aが形成されている。
ノック機構4は、リフィル3の先端の軸本体2からの繰り出し及び該軸本体2内部への引き込みに関する機構である。
ノック機構4は、図1に示すように、リフィル3を後端側へ付勢するコイルスプリング40と、軸筒20の後端に設けられたノック部41と、ノック部41とリフィル3との間に位置する回転子42と、から構成されている。ここで、本実施の形態におけるノック荷重は5N以上である。また、ノック部41の後端には、消去部材41aが設けられている。この消去部材41aは消しゴムであって、前述した消しゴム消去性インクを消すことのできる軟質部材からなる。消去部材41aが軟質部材からなるため、落下時にボールペン1にかかる衝撃を消去部材41aによって吸収できる。
第2の実施の形態におけるボールペン1は、図6に示すように、二分割可能な軸本体2と、軸本体2に軸方向に進退可能に収容されたリフィル3と、内蔵されたリフィル3のペン先を軸本体2の先端から突没させるノック機構4と、ノック機構4の一部である回転子42に支持されてリフィル3に接触する加圧機構5と、からなる。
ここで、リフィル3は、インク収容管30と、インク収容管30の先端に直接装着されたボールペンチップ32と、からなる点が第1の実施の形態と異なるが、第1の実施の形態と同様、インク収容管30は継手を介してボールペンチップ32を装着してもよい。また、ボールペンチップ32の構造は、第1の実施の形態と同様である。
軸本体2は、図6に示すように、円筒状であって先端が先細りに形成された先軸23と、先軸23の後端に螺合している円筒状に形成された後軸24とからなる。
先軸23は、その開口した前部が先細りの円筒形に成形され、開口した後部が薄肉に形成されてその外周面には締結用の図示しない螺子溝が周方向に螺刻されている。
後軸24は、円筒状に形成され、前部内周面には、先軸23の後部と着脱自在に螺合する図示しない螺子溝が周方向に螺刻されており、この螺子溝の後方には略楕円形の脱落防止リブ(図示せず)が半径内方向に向けて突設され、この脱落防止リブが所定の間隔で周方向に複数並設されている。また、後軸24の後部外周面には、止め具であるクリップ部材22が軸方向に向けて一体成形されている。
ノック機構4は、図6に示すように、軸本体2とインク収容管30との間に介在されるコイルスプリング40と、後軸24の後端に設けられたノック部41と、インク収容管30の末端部に隙間を介しスライド可能に嵌入される回転子42と、この回転子42の外周面に突設される複数のカム43と、軸本体2の内周面後部に突設される複数の条体44と、から構成される。
コイルスプリング40は、インク収容管30の先端部に嵌入されて軸本体2の開口した前部周縁に接触し、インク収容管30を軸本体2の後部方向に弾圧付勢している。
回転子42は、略有底円筒形に成形され、閉じた底部には、ノック部41が嵌合されている。そして、ノック部41の消去部材41aがノック操作される度に、回転子42が所定の角度(15°~60°、好ましくは18°~30°)で回転する。
回転子42の拡径部42aと縮径部42bとの段差面には、連続した複数の鋸歯(図示せず)が周方向に周設されている。また、最拡径面42dと拡径面42eとの間、拡径面42eと縮径面42fとの間、縮径面42fと最縮径面42gとの間には、テーパ状の段差面がそれぞれ形成されている。
カム43は、回転子42の外周面に複数並べて突設されており、60°以下、好ましくは30°以下の間隔ごとに突設されている。各カム43は、軸本体2の内周面後部に設けられた複数の条体44間にスライド可能に嵌入する。
つまり、未筆記時にノック部41をノックすると回転子42が回転し、回転子42の外周面に設けられたカム43と条体44とが噛合し、軸本体2の前部からリフィル3が突出する。このとき、カム43と条体44とが噛合しており、筆記してもリフィル3は後退しないため、筆記可能となる。筆記時にノック部41を再度ノックすると回転子42が回転し、条体44とカム43との噛合が解除され、各カム43は、複数の条体44間にスライド可能に嵌入し、回転子42が反インク収容管30方向にスライドする。すると、各カム43が複数の条体44間に位置するとともに、軸本体2の前部から突出したボールペンチップ32が後退し、筆記ができない状態となる。
加圧機構5とは、リフィル3内のインクに対して圧力をかける機構である。
加圧機構5は、図6に示すように、回転子42内にスライド可能に嵌入されており、かつインク収容管30の末端面に対向する位置に備えられたシール用のゴムホルダ50と、このゴムホルダ50と回転子42との間に介在する加圧スプリング51と、ゴムホルダ50の外周面に嵌合された気密確保用のOリング52と、から構成される。
ゴムホルダ50は、ポリアセタール、ポリオキシメチレン、ポリホルムアルデヒド等からなる合成樹脂を使用して略円筒形に成形され、外周面には、周方向に切り欠かれた嵌合溝50aが形成されている。
Oリング52は、筆記時には、回転子42の拡径面42eに変形密接して軸本体2内の外気を回転子42の加圧室42c内に流入不能とし、加圧室42cからインク収容管30の末端部に対して圧縮された外気を流入させる。そのため、インク収容管30に対して圧力をかけることができ、インクの吐き出しを助長することができる。そして、Oリング52は、未筆記時には、回転子42の拡径面42eに隙間を介して対向し、外気が回転子42の加圧室42c内に流入可能となる。そのため、回転子42の拡径面42eとゴムホルダ50のOリング52とが相互に離隔し、外気の流通路を区画形成するため、軸本体2の内部と回転子42の加圧室42cとが相互に連通する。この連通作用により、回転子42の加圧室42cやインク収容管30は加圧されることがない。また、Oリング52は、ノック時にインク収容管30が後方に衝突する際の衝撃を吸収する緩衝部材としての役割も果たしている。
第3の実施の形態におけるボールペン1は、図7に示すように、軸本体2と、軸本体2に軸方向に進退可能に収容されたリフィル3と、内蔵されたリフィル3のペン先を軸本体2の先端から突没させるノック機構4と、から構成される。
ここで、軸本体2及びリフィル3は第1の実施の形態と同様に構成されている。また、加圧機構についても、第1の実施の形態と同様にボールペン1に設けられている。
(ノック機構4)
ノック機構4は、図7に示すように、軸本体2とインク収容管30との間に介在されるコイルスプリング40と、軸筒20の後端に設けられたノック部41と、ノック部41とリフィル3との間に設けられた回転子42と、この回転子42の外周面に突設される複数のカム43と、クリップ部材22と一体で構成され、内周面に突設される複数の条体44を有する後筒45と、から構成される。
さらに、ノック動作後の押圧を止めたときにはリフィル3はコイルスプリング40によって常に後方へ付勢されており、回転子42のカム43とそれに対応した後筒45の条体44によって前述のノック部41と回転子42による回転と同一方向に回転子42を回転させる。つまり、回転子42は所定の角度で回転して、ある時点で(上記構成では2回のノックで)1周し、この動作を繰り返す。また、回転子42の先端部は常にリフィル3に当接しており、カム43の前後位置がリフィル3の先端のペン先位置を決めることになる。
ここで、第3の実施の形態における条体44の構成と、ノック部41を押圧して、筆記時から未筆記時に遷移する際の、条体44に接して回転移動及び垂直移動を行う回転子42のカム43の動作について図8にて説明する。図8は、回転子43のカム43と条体44との位置関係を示す模式図であり、後筒45の内面に形成された条体44を展開したものに対して回転子42のカム43の位置を示したものである。図の上方がペン先方向を示しており、回転子42のカム43は上述したノック部41と回転子42とのカム機構によって回転力を与えられるため、ノック動作毎に図の左から右へ移動する。
この状態からノック部41を押すとカム43は、図の上方へと前進して第一の縦壁44bを越える位置まで達した後、第一の縦壁44bによる規制が外れるため、コイルスプリング40の反発力と上述のノック部カムとノックカムによる回転作用によって、図8(b)に示すように右側に回転して条体44の第二の斜面44cに押し付けられる。
さらに、カム43は条体44の上記前半の斜面44dを滑って回転した後、第二の垂直移動を経て図8(d)に示す位置に至る。この第二の垂直移動における垂直移動距離を第二の垂直移動距離βとする。この際、カム43の斜面が条体44の第三の斜面の後半部分(以下「後半の斜面」と記す。)44eと再び衝突し、その衝撃がリフィル3に伝わる。
従来、上記の衝突は1回だけ発生しており、その際の垂直移動距離は上記構成における第一の垂直移動距離αと第二の垂直移動距離βとの和にほぼ等しかった。このように、条体44の第三の斜面の前後半に軸方向の段差を設けてカム43の1回あたりの垂直移動距離を短縮することで、リフィル3に加わる衝撃を緩和することができる。
インク収容管30にインクを満たした状態で、JIS規格S6039に準拠した筆記試験機を用い、筆記速度4.5m/分、筆記角度60°、筆記荷重0.98Nの筆記条件で、JIS規格P3201に準拠した筆記試験紙上に螺旋筆記することにより筆記試験を行い、筆記距離を測定した。
21 口先部材 22 クリップ部材 23 先軸
24 後軸 3 リフィル 30 インク収容管
31 継手 32 ボールペンチップ 33 筆記ボール
34 ホルダー 34a テーパ部 34b カシメ部
34c カシメ部の外径 35 ボールハウス 35a 円筒面
35b 底面 35c ボール受座 36 インク誘導孔
36a インク溝 37 バック孔 37a 内方凸部
38 弾発部材 38a 付勢部 4 ノック機構
40 コイルスプリング 41 ノック部 41a 消去部材
42 回転子 42a 拡径部 42b 縮径部
42c 加圧室 42d 最拡径面 42e 拡径面
42f 縮径面 42g 最縮径面 43 カム
44 条体 44a 第一の斜面 44b 第一の縦壁
44c 第二の斜面 44d 前半の斜面 44e 後半の斜面
44f 第二の縦壁 45 後筒 5 加圧機構
50 ゴムホルダ 51 加圧スプリング 52 Oリング
A 筆記ボールの直径 B 筆記ボール出寸法 C クリアランス
D 円筒面の内径 E インク誘導孔の内径 F ボール受座の最外径
G 付勢部の線径
α 第一の垂直移動距離 β 第二の垂直移動距離
Claims (1)
- 本願明細書に記載の発明。
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