JP2023074744A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィードバック信号を使用して噴射制御の故障を診断する構成において、フィードバック信号の動作を適切に診断する。【解決手段】インジェクターから内燃機関への燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置1は、噴射駆動信号を送信する制御部と、前記制御部から送信された噴射駆動信号を受信すると、指令信号をインジェクターへ送信してインジェクターを駆動させ、前記インジェクターを正常に駆動させると、フィードバック信号を制御部へ送信する噴射駆動部3,4と、前記内燃機関の動作中における前記噴射駆動信号の通信状態及び前記フィードバック信号の通信状態に基づいて前記フィードバック信号の動作を診断する故障診断部2eと、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料噴射制御装置に関する。
インジェクターから内燃機関への燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置は、噴射駆動信号を噴射駆動部へ送信する制御部と、制御部から送信された噴射駆動信号を受信すると、指令信号をインジェクターへ送信してインジェクターを駆動させる噴射駆動部とを備える。燃料噴射制御装置においては、機能安全の点から噴射制御の故障を診断する必要がある。噴射制御の故障を診断する手法として、例えば特許文献1には、演算した要求噴射量と、内燃機関の運転状態における検出値とに基づいて要求噴射量の演算が正常に行われたか否かを判定すると共に、その演算した要求噴射量と、インジェクター駆動電流の通電期間の測定結果とに基づいて要求噴射量に基づいた噴射制御が正常に行われたか否かを判定する手法が開示されている。
特開2013-238203号公報
噴射制御の故障を診断する別の手法として、フィードバック信号を使用する手法がある。フィードバック信号を使用する手法では、噴射駆動部は、インジェクターを正常に駆動させると、フィードバック信号を制御部へ送信する。制御部は、噴射駆動部から送信されたフィードバック信号の受信を特定することで、噴射制御が正常であることを示す正常診断を確定する。
このようなフィードバック信号を使用する手法では、フィードバック信号の動作が異常であると、噴射制御を診断することが不可となるので、フィードバック信号の動作を診断する必要がある。フィードバック信号の動作を診断する手法として、インジェクターを強制的に駆動させてフィードバック信号の受信を確認する手法がある。この場合、内燃機関の動作に影響を与えないタイミング、即ち、内燃機関の停止中にインジェクターを強制的に駆動させると、燃焼されない燃料を内燃機関へ噴射させることになるので、内燃機関が汚れる問題がある。一方、内燃機関の動作中にインジェクターを駆動させる場合には、例えば車両が下り坂の走行時等では内燃機関が動作中であるが燃料を噴射させない場合があり、フィードバック信号の動作を適切に診断することができない問題がある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィードバック信号を使用して噴射制御の故障を診断する構成において、フィードバック信号の動作を適切に診断することができる燃料噴射制御装置を提供することにある。
請求項1に記載した発明によれば、インジェクターから内燃機関への燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置(1)において、制御部(2)は、噴射駆動信号を送信する。噴射駆動部(3,4)は、前記制御部から送信された噴射駆動信号を受信すると、指令信号をインジェクターへ送信してインジェクターを駆動させ、前記インジェクターを正常に駆動させると、フィードバック信号を制御部へ送信する。故障診断部(2e)は、前記内燃機関の動作中における前記噴射駆動信号の通信状態及び前記フィードバック信号の通信状態に基づいて前記フィードバック信号の動作を診断する。
内燃機関の動作中における噴射駆動信号の通信状態及びフィードバック信号の通信状態に基づいてフィードバック信号の動作を診断するようにした。内燃機関の停止中にインジェクターを強制的に駆動させる必要がなく、燃料が燃焼されずに内燃機関が汚れてしまう事態を未然に回避することができる。又、内燃機関が動作中であるが燃料を噴射させていない状況を区別して特定することができる。これにより、フィードバック信号を使用して噴射制御の故障を診断する構成において、フィードバック信号の動作を適切に診断することができる。
一実施形態を示す機能ブロック図 フローチャート フローチャート フローチャート タイムチャート
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。一実施形態は、車載用4気筒ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射システムとして具体化される。コモンレールには高圧燃料が所定の燃料圧力にて蓄えられ、その高圧燃料が電磁駆動式のインジェクターから気筒毎に噴射供給される。尚、ディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジンの直接噴射式燃料噴射システムに適用することも可能である。本実施形態では、例えば多段噴射と多重噴射とを選択的に実施する構成を想定しており、多段噴射としては、プレ噴射、パイロット噴射、メイン噴射、アフター噴射を実施する。プレ噴射は主に筒内活性化のために実施する噴射である。パイロット噴射は主にNOxや燃焼音の低減のために実施する噴射である。メイン噴射は主に内燃機関の出力の決定のために実施する噴射である。アフター噴射は主に煤の再燃焼のために実施する噴射である。又、多重噴射を実現するためのポスト噴射は主に触媒活性化のために実施する噴射である。これらの各噴射は、排気エミッションの向上等を目的として、内燃機関の運転状態等に応じて適宜実施する。
図1に示すように、燃料噴射制御装置としての電子制御装置(ECU:Electric Control Unit)1は、制御部としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンと称する)2と、噴射駆動部としての噴射駆動用IC3,4とを備える。射駆動用IC3,4は、多重噴射を実施することを前提に構成されており、全4気筒のインジェクター5~8を2気筒ずつに分けて駆動する。尚、車載用6気筒ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射システムであれば、全6気筒のインジェクターを3気筒ずつに分けて駆動する構成になる。
マイコン2は、CPU、ROM、RAM及びI/O等を有し、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することでコンピュータプログラムに対応する処理を実行し、電子制御装置1の動作を制御する。マイコン2は、機能毎に、燃料噴射量算出部2aと、駆動時間算出部2bと、出力端子コントローラ2cと、入力端子コントローラ2dと、故障診断部2eとを備える。これら燃料噴射量算出部2a、駆動時間算出部2b、出力端子コントローラ2c、入力端子コントローラ2d及び故障診断部2eは、ソフトウェア、ハードウェア又はその組み合わせにより具体化される。
燃料噴射量算出部2aは、等クランク角毎(例えば10°CA毎)に発生する回転パルス信号(以下、NEパルス信号と称する)を図示しないクランク角センサから入力すると共に、アクセル開度信号を図示しないアクセル開度センサから入力する。燃料噴射量算出部2aは、これらの入力したNEパルス信号とアクセル開度信号に基づいて内燃機関の運転情報を特定して噴射要件を決定する。燃料噴射量算出部2aは、噴射要件を決定すると、その決定した噴射要件を満たす最適な燃料噴射量を算出し、その算出した燃料噴射量を駆動時間算出部2bへ出力する。
駆動時間算出部2bは、燃料噴射量算出部2aから燃料噴射量を入力すると、その入力した燃料噴射量に基づいて各インジェクター5~8の駆動時間を算出し、その算出した駆動時間を出力端子コントローラ2cへ出力する。出力端子コントローラ2cは、駆動時間算出部2bから駆動時間を入力すると、その入力した駆動時間に基づいて噴射駆動信号のオンオフを制御し、噴射駆動信号を該当する噴射駆動用IC3,4へ送信する。
噴射駆動用IC3,4は、それぞれ出力端子コントローラ2cから送信された噴射駆動信号を受信すると、指令信号を該当するインジェクター5~8へ送信してインジェクター5~8を駆動させる。噴射駆動用IC3,4は、それぞれ該当するインジェクター5~8を正常に駆動させると、噴射駆動信号のオンオフに追従してフィードバック信号のオンオフを制御し、フィードバック信号を入力端子コントローラ2dへ送信する。この場合、噴射駆動用IC3は、2個のインジェクター5,6で一つのフィードバック信号を共有して入力端子コントローラ2dへ送信する。噴射駆動用IC4は、2個のインジェクター7,8で一つのフィードバック信号を共有して入力端子コントローラ2dへ送信する。フィードバック信号は、オンオフの2値化信号又はシリアル通信信号の何れでも良い。
上記したフィードバック信号を使用する手法では、フィードバック信号の動作が異常であると、噴射制御を診断することが不可となるので、フィードバック信号の動作を診断する必要がある。本実施形態では、フィードバック信号の動作を診断するために以下の構成を備える。尚、フィードバック信号の動作を診断することは、少なくともフィードバック信号を送信する送信回路の故障及びフィードバック信号を伝送する信号線の断線を診断することを意味する。
出力端子コントローラ2cは、予め設定している所定期間の診断期間内において噴射駆動信号をオフからオンへ切り替えると、噴射駆動信号のオフからオンへの切り替えが発生したことを示す噴射駆動信号履歴をオフからオンへ切り替える。噴射駆動信号履歴は、噴射駆動信号の通信状態を示す信号である。診断期間は例えば10秒である。出力端子コントローラ2cは、噴射駆動信号履歴をオフからオンへ切り替えた後は、診断期間が終了するまで噴射駆動信号履歴のオンを保持し、診断期間が終了すると、噴射駆動信号履歴をオンからオフへ切り替える。出力端子コントローラ2cは、診断期間内において噴射駆動信号のオフからオンへの切り替え及びオンからオフへの切り替えを複数回繰り返す場合がある。その場合、出力端子コントローラ2cは、診断期間内において噴射駆動信号のオフからオンへの最初の切り替えに応じて噴射駆動信号履歴をオフからオンへ切り替え、診断期間が終了するまで噴射駆動信号履歴のオンを保持する。
入力端子コントローラ2dは、噴射駆動用IC3,4から送信されたフィードバック信号を受信すると、フィードバック信号のオフからオンへの切り替えが発生したことを示すフィードバック信号履歴を故障診断部2eへ出力する。フィードバック信号履歴は、フィードバック信号の通信状態を示す信号である。入力端子コントローラ2dは、上記した診断期間内においてフィードバック信号のオフからオンへの切り替えを検知すると、フィードバック信号履歴をオフからオンへ切り替える。入力端子コントローラ2dは、フィードバック信号履歴をオフからオンへ切り替えた後は、診断期間が終了するまでフィードバック信号履歴のオンを保持し、診断期間が終了すると、フィードバック信号履歴をオンからオフへ切り替える。入力端子コントローラ2dは、診断期間内においてフィードバック信号のオフからオンへの切り替えの検知及びオンからオフへの切り替えの検知を複数回繰り返す場合がある。その場合、入力端子コントローラ2dは、診断期間内においてフィードバック信号のオフからオンへの切り替えの最初の検知に応じてフィードバック信号履歴をオフからオンへ切り替えると、診断期間が終了するまでフィードバック信号履歴のオンを保持する。
故障診断部2eは、診断期間の時間経過を計測タイマにより監視しており、計測タイマがカウントアップすると、診断期間の終了を特定し、診断タイミングに達したことを特定する。即ち、故障診断部2eは、診断期間が例えば10秒であれば、10秒周期で診断タイミングを特定する。故障診断部2eは、診断タイミングに達したことを特定すると、予め設定されている診断条件が成立しているか否かを判定する。診断条件は、内燃機関の回転数がアイドル以上であること、各噴射駆動用IC3,4が噴射強制オフ状態でないこと、バッテリー電圧が閾値以上であること、各噴射駆動用IC3,4が正常であること、各インジェクター5~8が正常であること、各インジェクター5~8が正常に接続されていることである。噴射強制オフ状態とは、本実施形態の診断以外を目的として異常を検出して安全な状態にするために強制的に燃料を噴射させない状態のことである。
故障診断部2eは、上記した複数の条件の全てが成立していれば、診断条件が成立していると特定し、後述するフィードバック信号の動作の正常又は異常の判定を行う。一方、故障診断部2eは、上記した複数の条件のうち何れか一つでも成立していなければ、診断条件が成立していないと特定し、フィードバック信号の動作の正常又は異常の判定を行わない。即ち、故障診断部2eは、診断条件が成立していない場合にフィードバック信号の動作の正常又は異常の判定を行っても誤診断する可能性があるので、診断条件が成立している場合に限ってフィードバック信号の動作の正常又は異常の判定を行うことで、誤診断する可能性を低減する。
故障診断部2eは、診断条件が成立していると特定すると、フィードバック信号履歴のオンオフを判定し、フィードバック信号の動作の正常又は異常の判定を行う。故障診断部2eは、診断タイミングでフィードバック信号履歴がオンである判定すると、フィードバック信号の動作が正常であると特定する。故障診断部2eは、フィードバック信号の動作の正常を連続して特定した回数を正常カウンタにより計測し、正常カウンタの計測値が予め設定されている第1閾値に達すると、診断確定フラグを正常に設定し、フィードバック信号の正常診断を確定する。即ち、故障診断部2eは、フィードバック信号の動作の正常を第1所定回数連続して特定すると、フィードバック信号の正常診断を確定する。故障診断部2eは、このようにしてフィードバック信号の正常診断を確定すると、その正常診断を確定したトリップ中はフィードバック信号の動作を再度診断せずに正常診断の診断結果を保持する。
一方、故障診断部2eは、診断タイミングでフィードバック信号履歴がオフである判定すると、同タイミングで噴射駆動信号履歴のオンオフを判定し、噴射駆動信号履歴がオンであると判定すると、フィードバック信号の動作が異常であると特定する。故障診断部2eは、フィードバック信号の動作の異常を連続して特定した回数を異常カウンタにより計測し、異常カウンタの計測値が予め設定されている第2閾値に達すると、診断確定フラグを異常に設定し、フィードバック信号の異常診断を確定する。即ち、故障診断部2eは、フィードバック信号の動作の異常を第2所定回数連続して特定すると、フィードバック信号の異常診断を確定する。故障診断部2eは、このようにしてフィードバック信号の異常診断を確定すると、その異常診断を確定したトリップ中はフィードバック信号の動作を再度診断せずに異常診断の診断結果を保持する。尚、正常診断を確定するための第1閾値と異常診断を確定するための第2閾値、即ち、第1所定回数と第2所定回数とは、同じ値であっても良いし異なる値であっても良い。
次に、上記した構成の作用について図2から図5を参照して説明する。
マイコン2は、診断処理の開始条件の成立を判定しており、例えば所定周期毎の診断処理の開始条件が成立したと判定すると、診断処理を開始する。マイコン2は、診断処理を開始すると、診断確定フラグが未定であるか否かを判定する(S1)。マイコン2は、診断確定フラグが未定である、即ち、診断確定フラグを正常又は異常に設定しておらず、正常診断又は異常診断の診断結果を確定していないと判定すると(S1:YES)、診断タイミングに達したか否かを判定する(S2)。マイコン2は、診断タイミングに達していないと判定すると(S2:NO)、計測タイマのカウントアップを継続し(S3)、診断確定フラグを未定のまま保持し(S4)、診断処理を終了し、次の診断処理の開始条件の成立を待機する。
一方、マイコン2は、診断タイミングに達したと判定すると(S2:YES)、診断条件成立判定処理に移行する(S5)。マイコン2は、診断条件成立判定処理を開始すると、内燃機関の回転数がアイドル以上であるか否かを判定する(S31)。マイコン2は、内燃機関の回転数を取得し、その取得した内燃機関の回転数がアイドル以上であると判定すると(S31:YES)、各噴射駆動用IC3,4が噴射強制オフ状態であるか否かを判定する(S32)。マイコン2は、各噴射駆動用IC3,4の状態を取得し、各噴射駆動用IC3,4が噴射強制オフ状態でないと判定すると(S32:NO)、バッテリー電圧が閾値以上であるか否かを判定する(S33)。マイコン2は、バッテリー電圧を取得し、その取得したバッテリー電圧が閾値以上であると判定すると(S33:YES)、各噴射駆動用IC3,4が正常であるか否かを判定する(S34)。マイコン2は、各噴射駆動用IC3,4が正常であると判定すると(S34:YES)、各インジェクター5~8が正常であるか否かを判定する(S35)。マイコン2は、各インジェクター5~8の状態を取得し、各インジェクター5~8が正常であると判定すると(S35:YES)、各インジェクター5~8が正常に接続されているか否かを判定する(S36)。マイコン2は、各インジェクター5~8が正常に接続されていると判定すると(S36:YES)、診断条件の成立を特定し(S37)、診断条件成立判定処理を終了し、診断処理にリターンする。
一方、マイコン2は、内燃機関の回転数がアイドル以上でないと判定すると(S31:NO)、各噴射駆動用IC3,4が噴射強制オフ状態であると判定すると(S32:YES)、バッテリー電圧が閾値以上でないと判定すると(S33:NO)、各噴射駆動用IC3,4が正常でないと判定すると(S34:NO)、各インジェクター5~8が正常でないと判定すると(S35:NO)、又は各インジェクター5~8が正常に接続されていないと判定すると(S36:NO)、診断条件の未成立を特定し(S38)、診断条件成立判定処理を終了し、診断処理にリターンする。
マイコン2は、診断条件成立判定処理の特定結果を判定し、診断条件の成立を特定したか否かを判定する(S6)。マイコン2は、診断条件の未成立を特定したと判定すると(S6:NO)、診断確定フラグを未定のまま保持し(S4)、診断処理を終了し、次の診断処理の開始条件の成立を待機する。
一方、マイコン2は、診断条件の成立を特定したと判定すると(S6:YES)、フィードバック信号履歴がオンであるか否かを判定する(S7)。マイコン2は、フィードバック信号履歴がオンであると判定すると(S7:YES)、フィードバック信号の動作が正常であると特定する(S8)。マイコン2は、正常カウンタの計測値をインクリメントし(S9)、異常カウンタの計測値をクリアし(S10)、インクリメント後の正常カウンタの計測値が第1閾値に達したか否かを判定する(S11)。
マイコン2は、インクリメント後の正常カウンタの計測値が第1閾値に達していないと判定すると(S11:NO)、診断確定フラグを未定のまま保持し(S4)、診断処理を終了し、次の診断処理の開始条件の成立を待機する。一方、マイコン2は、インクリメント後の正常カウンタの計測値が第1閾値に達した、即ち、フィードバック信号の動作の正常を第1所定回数連続して特定したと判定すると(S11:YES)、診断確定フラグを正常に設定し、フィードバック信号の正常診断を確定し(S12)、診断処理を終了し、次の診断処理の開始条件の成立を待機する。マイコン2は、このようにしてフィードバック信号の正常診断を確定すると、次回以降の診断処理では正常診断の診断結果を確定しているので、診断確定フラグが未定でないと判定し(S1:NO)、その診断確定フラグの値を保持し(S13)、診断処理を終了し、次の診断処理の開始条件の成立を待機する。
一方、マイコン2は、フィードバック信号履歴がオンでなくオフであると判定すると(S7:NO)、噴射駆動信号履歴がオンであるか否かを判定する(S14)。マイコン2は、噴射駆動信号履歴がオンでなくオフであると判定すると(S14:NO)、正常カウンタの計測値を保持し(S15)、異常カウンタの計測値を保持し(S16)、診断確定フラグを未定のまま保持し(S17)、診断処理を終了し、次の診断処理の開始条件の成立を待機する。
一方、マイコン2は、噴射駆動信号履歴がオンであると判定すると(S14:YES)、フィードバック信号の動作が異常であると特定する(S18)。マイコン2は、異常カウンタの計測値をインクリメントし(S19)、正常カウンタの計測値をクリアし(S20)、インクリメント後の異常カウンタの計測値が第2閾値に達したか否かを判定する(S21)。
マイコン2は、インクリメント後の異常カウンタの計測値が第2閾値に達していないと判定すると(S21:NO)、診断確定フラグを未定のまま保持し(S17)、診断処理を終了し、次の診断処理の開始条件の成立を待機する。一方、マイコン2は、インクリメント後の異常カウンタの計測値が第2閾値に達した、即ち、フィードバック信号の動作の異常を第2所定回数連続して特定したと判定すると(S21:YES)、診断確定フラグを異常に設定し、フィードバック信号の異常診断を確定し(S22)、診断処理を終了し、次の診断処理の開始条件の成立を待機する。マイコン2は、このようにしてフィードバック信号の異常診断を確定すると、次回以降の診断処理では異常診断の診断結果を確定しているので、診断確定フラグが未定でないと判定し(S1:NO)、その診断確定フラグの値を保持し(S13)、診断処理を終了し、次の診断処理の開始条件の成立を待機する。
図5に示すように、マイコン2は、例えば第2閾値を「3」と設定している場合であれば、診断タイミング「t1」、「t2」でフィードバック信号の動作の正常を特定し、フィードバック信号の正常診断を確定する前に、診断タイミング「t4」~「t6」でフィードバック信号の動作の異常を3回連続して特定すると、フィードバック信号の異常診断を確定する。
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
電子制御装置1において、噴射駆動信号のオフからオンへの切り替えが発生したことを噴射駆動信号履歴として生成し、フィードバック信号のオフからオンへの切り替えが発生したことをフィードバック信号履歴として生成し、内燃機関の動作中における噴射駆動信号履歴及びフィードバック信号履歴に基づいてフィードバック信号の動作を診断するようにした。内燃機関の停止中に各インジェクター5~8を強制的に駆動させる必要がなく、燃料が燃焼されずに内燃機関が汚れてしまう事態を未然に回避することができる。又、内燃機関が動作中であるが燃料を噴射させていない状況を区別して特定することができる。これにより、フィードバック信号を使用して噴射制御の故障を診断する構成において、フィードバック信号の動作を適切に診断することができる。
噴射駆動信号のオフからオンへの切り替えが診断期間内に少なくとも1度でも発生すると、噴射駆動信号履歴のオンを特定するようにした。噴射駆動信号のオフからオンへの切り替えが発生する毎にフィードバック信号の動作を診断する構成では処理負荷が増大すると共にフィードバック信号の応答遅延により誤診断する可能性があるが、一定期間の履歴に基づいてフィードバック信号の動作を診断することで、処理負荷の増大を回避すると共に誤診断する可能性を低減することができる。
フィードバック信号のオフからオンへの切り替えが診断期間内に少なくとも1度でも発生すると、フィードバック信号履歴のオンを特定するようにした。フィードバック信号のオフからオンへの切り替えが発生する毎にフィードバック信号の動作を診断する構成では処理負荷が増大すると共にフィードバック信号の応答遅延により誤診断する可能性があるが、一定期間の履歴に基づいてフィードバック信号の動作を診断することで、処理負荷の増大を回避すると共に誤診断する可能性を低減することができる。
内燃機関の回転数がアイドル以上であること、各噴射駆動用IC3,4が噴射強制オフ状態でないこと、バッテリー電圧が閾値以上であること、各噴射駆動用IC3,4が正常であること、各インジェクター5~8が正常であること、各インジェクター5~8が正常に接続されていること、の条件を全て満たしている場合に、診断条件が成立していると特定し、フィードバック信号の動作を診断するようにした。診断条件が成立していない状態でフィードバック信号の動作を診断する構成では誤診断する可能性があるが、診断条件を設けることで、誤診断する可能性を低減することができる。
フィードバック信号の動作の正常を第1所定回数連続して特定した場合に、フィードバック信号の正常診断を確定するようにした。外乱やフィードバック信号の応答遅延による影響を排除した上で、フィードバック信号の正常診断を確定することができ、正常診断を確定する精度を高めることができる。異常診断を確定する場合も同様であり、フィードバック信号の動作の異常を第2所定回数連続して特定した場合に、フィードバック信号の異常診断を確定するようにした。外乱やフィードバック信号の応答遅延による影響を排除した上で、フィードバック信号の異常診断を確定することができ、異常診断を確定する精度を高めることができる。
フィードバック信号の動作の正常診断又は異常診断を確定すると、その診断を確定したトリップ中はフィードバック信号の動作を再度診断せずにその診断結果を保持するようにした。診断結果を保持することで、異常診断を確定した場合であれば、フィードバック信号の動作が異常であることを継続してドライバに通知して修理を促すことができ、機能安全に繋げることができる。
2個のインジェクター5,6で一つのフィードバック信号を共有し、2個のインジェクター7,8で一つのフィードバック信号を共有するようにした。インジェクター5~8に個別にフィードバック信号を設ける構成と比較して省線化を図ることができ、構成を簡素化することができる。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
フィードバック信号の動作を診断する故障診断部2eをマイコン2の内部に設ける構成を例示したが、フィードバック信号の動作を診断する機能ブロックをマイコン2の外部に設ける構成でも良い。フィードバック信号の動作を診断する機能ブロックを例えばマイコン2と噴射駆動用IC3,4との間に設ける構成でも良い。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
図面中、1は電子制御装置(燃料噴射制御装置)、2はマイコン(制御部)、2eは故障診断部、3,4は噴射駆動用IC(噴射駆動部)、5~8はインジェクターである。

Claims (7)

  1. インジェクターから内燃機関への燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置(1)において、
    噴射駆動信号を送信する制御部(2)と、
    前記制御部から送信された噴射駆動信号を受信すると、指令信号をインジェクターへ送信してインジェクターを駆動させ、前記インジェクターを正常に駆動させると、フィードバック信号を制御部へ送信する噴射駆動部(3,4)と、
    前記内燃機関の動作中における前記噴射駆動信号の通信状態及び前記フィードバック信号の通信状態に基づいて前記フィードバック信号の動作を診断する故障診断部(2e)と、を備える燃料噴射制御装置。
  2. 前記故障診断部は、前記噴射駆動信号のオンが診断期間内に少なくとも1度でも発生すると、前記噴射駆動信号のオンが発生したことを示す噴射駆動信号履歴のオンを特定する請求項1に記載した燃料噴射制御装置。
  3. 前記故障診断部は、前記フィードバック信号のオンが診断期間内に少なくとも1度でも発生すると、前記フィードバック信号のオンが発生したことを示すフィードバック信号履歴のオンを特定する請求項1に記載した燃料噴射制御装置。
  4. 前記故障診断部は、前記内燃機関の回転数がアイドル以上であること、前記噴射駆動部が噴射強制オフ状態でないこと、バッテリー電圧が閾値以上であること、前記噴射駆動部が正常であること、前記インジェクターが正常であること、前記インジェクターが正常に接続されていること、の条件を全て満たしている場合に、前記フィードバック信号の動作を診断する請求項1から3の何れか一項に記載した燃料噴射制御装置。
  5. 前記故障診断部は、前記フィードバック信号の動作の正常又は異常の判定を複数回行い、前記フィードバック信号の動作の正常を第1所定回数連続して特定した場合に、前記フィードバック信号の正常診断を確定し、前記フィードバック信号の動作の異常を第2所定回数連続して特定した場合に、前記フィードバック信号の異常診断を確定する請求項1から4の何れか一項に記載した燃料噴射制御装置。
  6. 前記故障診断部は、前記フィードバック信号の動作の正常診断又は異常診断を確定すると、その診断を確定したトリップ中は前記フィードバック信号の動作を再度診断せずにその診断結果を保持する請求項1から5の何れか一項に記載した燃料噴射制御装置。
  7. 前記噴射駆動部は、前記指令信号を複数のインジェクターへ個別に送信して複数のインジェクターを個別に駆動させ、前記複数のインジェクターで一つのフィードバック信号を共有して制御部へ送信する請求項1から6の何れか一項に記載した燃料噴射制御装置。
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