JP2023070921A - 車両用ワイヤーハーネスのコネクター - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化と、剛性(高い曲げ弾性率)とを両立させる。【解決手段】GPC法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が500,000~1,000,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が6~10であるプロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物を含み、1以上の挿入部10aを有しており、該挿入部を画成する壁面から突出するように設けられている1以上のランス部12を有する車両用ワイヤーハーネスのコネクター10であって、該ランス部の肉厚が1mm以下である、車両用ワイヤーハーネスのコネクター。【選択図】図2
Description
本発明は、車両用ワイヤーハーネスのコネクターおよびプロピレン系樹脂組成物に関する。
プロピレン系樹脂組成物の成形体は、車両用部品、機械部品といったより軽量化が求められる種々の分野において広く用いられている。
近年、例えば二酸化炭素の排出量の低減の観点から、車両の電動化が進められている。また、自動車の安全性、快適性、走行性能の向上のための機能付加、及び、エレクトロニクス化も進行している。
このような状況下、バッテリーからの電力、情報通信機器からの信号を伝達するワイヤハーネスの重要性が高まっており、電力、信号のより安定した伝達が求められている。また、自動車1台に搭載されるワイヤーハーネスのコネクターの数も増加している。
例えば、下記特許文献1には、自動車用のコネクターとしてポリブチレンテレフタレート樹脂とポリオレフィン樹脂とを含むコネクターが開示されている。
例えば、自動車による二酸化炭素の排出量の低減、さらには燃費向上の観点から、ワイヤーハーネス用コネクターにもさらなる軽量化が求められていることから、プロピレン系重合体を主成分とする車両用ワイヤーハーネスのコネクターの開発が望まれている一方で、車両用ワイヤーハーネスのコネクターには、コネクター内に挿入される端子(ターミナル)部がコネクターに嵌合して強固に保持することが求められる。すなわち、車両用ワイヤーハーネスのコネクターについては、軽量化と、剛性(高い曲げ弾性率)とを両立させることが求められている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、所定の成分を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]~[8]を提供する。
[1] GPC法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が500,000~1,000,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が6~10であるプロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物を含み、
1以上の挿入部を有しており、該挿入部を画成する壁面から突出するように設けられている1以上のランス部を有する車両用ワイヤーハーネスのコネクターであって、該ランス部の肉厚が1mm以下である、車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[2] 温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定される前記プロピレン系重合体のメルトフローレートが0.1~15g/10分であり、
前記プロピレン系重合体の極限粘度が1.5dL/g以上である、[1]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[3] 前記プロピレン系樹脂組成物が、造核剤と、下記式(1)で表されるヒドラジド化合物とをさらに含む、[1]または[2]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
(前記式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表す。)
[4] 前記式(1)中、R1およびR2が、tert-ブチル基である、[3]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[5] 前記造核剤が、下記式(C-1)で表される化合物または下記式(C-2)で表される化合物を含む、[3]または[4]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[6] 前記プロピレン系重合体が、第1のプロピレン重合体成分および第2のプロピレン重合体成分を含み、
前記第1のプロピレン重合体成分の極限粘度が5~8dL/gであり、
前記第2のプロピレン重合体成分の極限粘度が0.5~2dL/gである、[1]~[5]のいずれか1つに記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[7] 前記第1のプロピレン重合体成分の前記プロピレン系重合体全体に占める割合が、10質量%以上20質量%以下であり、
前記第2のプロピレン重合体成分の前記プロピレン系重合体全体に占める割合が、80質量%以上90質量%以下である、[6]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[8] 温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトフローレートが0.1~15g/10分であり、極限粘度が1.5dL/g以上であるプロピレン系重合体と、
造核剤と、
下記式(1)で表されるヒドラジド化合物と
を含む、プロピレン系樹脂組成物。
(前記式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表す。)
[1] GPC法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が500,000~1,000,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が6~10であるプロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物を含み、
1以上の挿入部を有しており、該挿入部を画成する壁面から突出するように設けられている1以上のランス部を有する車両用ワイヤーハーネスのコネクターであって、該ランス部の肉厚が1mm以下である、車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[2] 温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定される前記プロピレン系重合体のメルトフローレートが0.1~15g/10分であり、
前記プロピレン系重合体の極限粘度が1.5dL/g以上である、[1]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[3] 前記プロピレン系樹脂組成物が、造核剤と、下記式(1)で表されるヒドラジド化合物とをさらに含む、[1]または[2]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[4] 前記式(1)中、R1およびR2が、tert-ブチル基である、[3]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[5] 前記造核剤が、下記式(C-1)で表される化合物または下記式(C-2)で表される化合物を含む、[3]または[4]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
前記第1のプロピレン重合体成分の極限粘度が5~8dL/gであり、
前記第2のプロピレン重合体成分の極限粘度が0.5~2dL/gである、[1]~[5]のいずれか1つに記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[7] 前記第1のプロピレン重合体成分の前記プロピレン系重合体全体に占める割合が、10質量%以上20質量%以下であり、
前記第2のプロピレン重合体成分の前記プロピレン系重合体全体に占める割合が、80質量%以上90質量%以下である、[6]に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
[8] 温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトフローレートが0.1~15g/10分であり、極限粘度が1.5dL/g以上であるプロピレン系重合体と、
造核剤と、
下記式(1)で表されるヒドラジド化合物と
を含む、プロピレン系樹脂組成物。
本発明によれば、軽量化と、剛性(高い曲げ弾性率)とを両立させることができるプロピレン系重合体(プロピレン系樹脂組成物)を含む車両用ワイヤーハーネスのコネクターを提供することができる。
以下、本発明にかかる実施形態について具体的に説明する。本発明は、以下に示される具体的な実施形態に限定されない。なお、図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎず、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
1.用語の説明
本発明の実施形態について説明するにあたり、まず、共通して用いられる用語について説明する。
本発明の実施形態について説明するにあたり、まず、共通して用いられる用語について説明する。
本明細書において、「モノマー単位」とは、モノマー(単量体)を重合して得られる重合体に含まれるモノマー由来の構成単位(残基)を意味している。
本明細書において、「α-オレフィン」は、末端側(α位)に炭素-炭素二重結合を有する3個以上の炭素原子からなる炭素原子鎖を含むオレフィンを意味している。
本明細書において、「極限粘度(単位:dL/g)」は、下記の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて温度135℃で測定される値である。
極限粘度は、具体的には、ウベローデ型粘度計を用いて、複数の濃度について還元粘度を測定し、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する「外挿法」により求めることができる。より具体的には、極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の方法を用い、濃度0.1g/dL、0.2g/dLおよび0.5g/dLの3点について還元粘度を測定し、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する方法により求めることができる。
極限粘度は、具体的には、ウベローデ型粘度計を用いて、複数の濃度について還元粘度を測定し、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する「外挿法」により求めることができる。より具体的には、極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の方法を用い、濃度0.1g/dL、0.2g/dLおよび0.5g/dLの3点について還元粘度を測定し、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する方法により求めることができる。
本明細書において、「メルトフローレート(MFR)」は、「メルトマスフローレート」を意味しており、温度230℃、荷重2.16kgfの条件で、JIS K7210-1:2014およびK7210-2:2014に準拠して測定されるメルトフローレートである。
本明細書において、特に断らない限り、「%」は質量%を意味し、「部」は「質量部」を意味している。
2.プロピレン系樹脂組成物
本発明の実施形態にかかるプロピレン系樹脂組成物は、GPC法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が500,000~1,000,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が6~10であるプロピレン系重合体を含む。
本発明の実施形態にかかるプロピレン系樹脂組成物は、GPC法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が500,000~1,000,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が6~10であるプロピレン系重合体を含む。
以下、本実施形態のプロピレン系樹脂組成物に含まれうる成分について説明する。
(1)成分(A)プロピレン系重合体
プロピレン系重合体とは、プロピレン単位を、全構成単位(100質量%)に対して50質量%よりも多く含有する重合体である。プロピレン系重合体におけるプロピレン単位は、通常100質量%以下である。
プロピレン系重合体とは、プロピレン単位を、全構成単位(100質量%)に対して50質量%よりも多く含有する重合体である。プロピレン系重合体におけるプロピレン単位は、通常100質量%以下である。
プロピレン系重合体の例としては、プロピレン単独重合体、およびプロピレンと、これと共重合しうる他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
プロピレンと共重合しうる他のモノマーの例としては、プロピレン以外のオレフィン(例、エチレン、炭素原子数が4以上であるオレフィン)が挙げられる。
炭素原子数が4以上であるオレフィンは、直鎖状のオレフィンであっても、分岐状のオレフィンであってもよい。炭素原子数が4以上であるオレフィンは、環状構造を有するオレフィンであってもよく、例えば、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタンなどの環状構造を有するα-オレフィンであってもよい。
プロピレンと共重合しうるプロピレン以外のオレフィンの例としては、プロピレン以外のα-オレフィン(例、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、および1-デセン)が挙げられる。プロピレンと共重合しうるプロピレン以外のオレフィンは、好ましくはエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、および1-デセンであり、より好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンである。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、成分(A)プロピレン系重合体として、2種以上の成分(A)プロピレン系重合体を含んでいてもよい。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、成分(A)プロピレン系重合体として、プロピレンモノマー1種のみが重合した成分(A-1)プロピレン単独重合体を含んでいてもよく、2種以上のモノマーが任意の比率の組み合わせで重合したプロピレン系重合体を含んでいてもよい。
成分(A)プロピレン系重合体の例としては、成分(A-1)プロピレン単独重合体、およびプロピレンと、これと共重合しうる他のモノマーとのランダム共重合体(以下、プロピレン系ランダム共重合体ともいう。)が挙げられる。
2種以上の成分(A)プロピレン系重合体を含む場合における2種以上のプロピレン重合体の組み合わせの例としては、重量平均分子量等が異なる2種以上のプロピレン単独重合体の組み合わせ、下記重合体(I)および重合体(II)の組み合わせが挙げられる。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、成分(A)プロピレン系重合体として、成分(A-2)ヘテロファジックプロピレン重合体材料を含んでいてもよい。
ここで、成分(A-2)ヘテロファジックプロピレン重合体材料とは、2種以上のプロピレン系重合体を含み、当該2種以上のプロピレン系重合体が相溶せずに、互いに別の相を形成している材料を意味する。
成分(A-2)ヘテロファジックプロピレン重合体材料の例としては、下記重合体(I)および重合体(II)の組み合わせが挙げられる。
ここで、重合体(I)は、プロピレン単位を全構成単位の量に対して80質量%を超えて100質量%以下有する重合体である。
また、重合体(II)は、プロピレン単位と、エチレン単位および炭素原子数が4以上であるα-オレフィン単位からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー単位との共重合体である。重合体(II)は、好ましくはプロピレン単位を全構成単位の量に対して0質量%より多く90質量%以下有する重合体であり、より好ましくは0質量%より多く80質量%以下有する重合体である。
重合体(I)は、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレンと他のモノマーとの共重合体であってもよい。重合体(I)および重合体(II)は、それぞれ1種の重合体のみからなっていても、2種以上の重合体を含んでいてもよい。
プロピレン系重合体は、プロピレン系樹脂組成物を成形した成形体の剛性、耐衝撃性を向上させる観点から、プロピレン単独重合体およびヘテロファジックプロピレン重合体材料からなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
プロピレン系重合体は、プロピレン系樹脂組成物を成形した成形体の剛性を向上させる観点から、13C-NMRで測定される、アイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm]分率ともいう。)が、0.97以上であることが好ましく、0.98以上であることがより好ましい。プロピレン系重合体のアイソタクチック・ペンタッド分率が1に近いほど、プロピレン系重合体の分子構造の立体規則性が高くなり、プロピレン系重合体の結晶性が高くなる。プロピレン系重合体が共重合体である場合には、共重合体におけるプロピレン単位の連鎖についてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定することができる。
成分(A)プロピレン系重合体は、プロピレン系樹脂組成物の成形における加工性を良好にする観点から、温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは3g/10分以上であり、好ましくは500g/10分以下であり、より好ましくは100g/10分以下であり、さらに好ましくは15g/10分であり、好ましくは0.1g/10分~15g/10分である。
成分(A)プロピレン系重合体は、例えば、重合触媒を用いて下記の重合方法により製造することができる。
重合触媒の例としては、チーグラー型触媒系;チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンとを含む触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、それと反応してイオン性の錯体を形成する化合物、および有機アルミニウム化合物を含む触媒系、触媒成分(例、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を、無機粒子(例、シリカ、粘土鉱物等)に担持し変性させた触媒系が挙げられる。また、このような触媒系の存在下でエチレンやα-オレフィンなどの単量体を予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。チーグラー・ナッタ型触媒系の例としては、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分とを組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。
このような触媒系の例としては、特開昭61-218606号公報、特開平5-194685号公報、特開平7-216017号公報、特開平9-316147号公報、特開平10-212319号公報、特開2004-182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
重合方法の例としては、バルク重合、溶液重合、および気相重合が挙げられる。ここで、バルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいう。溶液重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
重合方法を実施するにあたり、その重合方式の例としては、バッチ式、連続式およびこれらの組み合わせが挙げられる。重合方式は、直列に連結した複数の重合反応槽を用いて行われる多段式であってもよい。
重合方法における各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とするプロピレン系重合体に応じて適宜決定することができる。
プロピレン系重合体の製造において、得られたプロピレン系重合体を、残留溶媒や前記オリゴマー等の不純物が揮発し得る温度であって、かつそのプロピレン系重合体が融解する温度よりも低い温度で保持することにより、得られたプロピレン系重合体中に含まれる残留溶媒や、製造時に副生した超低分子量のオリゴマー等を除去する処理を行ってもよい。残留溶媒やオリゴマー等の不純物の除去方法の例としては、特開昭55-75410号公報、特許第2565753号公報に記載の方法が挙げられる。
成分(A-1)プロピレン単独重合体は、プロピレン系樹脂組成物の溶融時の流動性と、プロピレン系樹脂組成物を成形した成形体の靱性とを良好にする観点から、極限粘度[η]が、好ましくは0.1~5dL/gであり、より好ましくは0.5~5dL/gであり、さらに好ましくは0.7~4dL/gである。
また、プロピレン単独重合体は、分子量分布Mw/Mnが、プロピレン系樹脂組成物の溶融時の流動性と、樹脂組成物を含む成形体の靱性とを良好にする観点から、好ましくは2以上10未満であり、より好ましくは3~8であり、さらに好ましくは3~7である。ここで、Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。分子量分布は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
プロピレン系ランダム共重合体の例としては、プロピレン単位とエチレン単位とを含むランダム共重合体(以下、ランダム重合体(1)ともいう。);プロピレン単位と、炭素原子数が4以上であるα-オレフィン単位とを含むランダム共重合体(以下、ランダム重合体(2)ともいう。);および、プロピレン単位と、エチレン単位と、炭素原子数が4個以上のα-オレフィン単位とを含むランダム共重合体(以下、ランダム重合体(3)ともいう。)が挙げられる。
プロピレン系ランダム共重合体を構成しうる炭素原子数が4以上であるα-オレフィンは、好ましくは炭素原子数が4~10であるα-オレフィンである。炭素原子数が4~10であるα-オレフィンの例としては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、および1-デセンが挙げられ、好ましくは1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンである。
ランダム共重合体(2)の例としては、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-1-オクテンランダム共重合体、およびプロピレン-1-デセンランダム共重合体が挙げられる。
ランダム共重合体(3)の例としては、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体、およびプロピレン-エチレン-1-デセン共重合体が挙げられる。
ランダム共重合体(1)におけるエチレン単位の含有量は、好ましくは0.1~40質量%である。
ランダム共重合体(2)における炭素原子数が4以上であるα-オレフィン単位の含有量は、好ましくは0.1~40質量%であり、より好ましくは0.1~30質量%であり、さらに好ましくは2~15質量%である。
ランダム共重合体(3)におけるエチレン単位および炭素原子数が4以上であるα-オレフィン単位の合計含有量は、好ましくは0.1~40質量%であり、より好ましくは0.1~30質量%であり、さらに好ましくは2~15質量%である。
これらランダム共重合体(1)~(3)におけるプロピレン単位の含有量は、それぞれ、好ましくは60~99.9質量%である。
成分(A-2)ヘテロファジックプロピレン重合体材料における重合体(I)は、既に説明したとおり、プロピレン単位を全構成単位の量に対して80質量%を超えて100質量%以下含有する重合体である。重合体(I)におけるプロピレン単位以外のモノマー単位の合計の含有量は、重合体(I)の質量を100質量%としたときに、通常0質量%以上20質量%未満であり、0質量%であってもよく、0.01質量%以上であってもよい。
重合体(I)が有していてもよいプロピレン単位以外のモノマー単位の例としては、エチレン単位および炭素原子数が4以上であるα-オレフィン単位が挙げられる。
重合体(I)を構成しうる炭素原子数が4以上であるα-オレフィンは、好ましくは炭素原子数が4~10であるα-オレフィンであり、より好ましくは1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンであり、さらに好ましくは1-ブテンである。
重合体(I)の例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、およびプロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体が挙げられる。
これらの中でも、重合体(I)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、およびプロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体が好ましく、プロピレン系樹脂組成物を成形した成形体の剛性を良好にする観点から、プロピレン単独重合体がより好ましい。
重合体(II)は、既に説明したとおり、プロピレン単位と、エチレン単位および炭素原子数が4以上であるα-オレフィン単位からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー単位との共重合体である。
重合体(II)におけるエチレン単位および炭素原子数が4以上であるα-オレフィン単位の合計の含有量は、重合体(II)の質量を100質量%としたときに、好ましくは20~80質量%であり、より好ましくは、20~60質量%である。
重合体(II)を構成しうる、炭素原子数が4以上であるα-オレフィンは、好ましくは炭素原子数が4~10であるα-オレフィンであり、既に説明した重合体(I)を構成しうるα-オレフィンの例と同様の例が挙げられる。
重合体(II)の例としては、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-デセン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、およびプロピレン-1-デセン共重合体が挙げられる。重合体(II)は、好ましくはプロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、およびプロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体であり、より好ましくはプロピレン-エチレン共重合体である。
成分(A-2)ヘテロファジックプロピレン重合体材料における重合体(II)の含有量は、重合体(I)および重合体(II)の合計質量を100質量%としたときに、好ましくは1~50質量%であり、より好ましくは1~45質量%であり、さらに好ましくは5~40質量%であり、特に好ましくは8~32質量%である。
成分(A-2)ヘテロファジックプロピレン重合体材料の例としては、重合体(I)がプロピレン単独重合体である、プロピレン単独重合体と(プロピレン-エチレン)共重合体との組み合わせ、プロピレン単独重合体と(プロピレン-エチレン-1-ブテン)共重合体との組み合わせ、プロピレン単独重合体と(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)共重合体との組み合わせ、プロピレン単独重合体と(プロピレン-エチレン-1-オクテン)共重合体との組み合わせ、プロピレン単独重合体と(プロピレン-1-ブテン)共重合体との組み合わせ、プロピレン単独重合体と(プロピレン-1-ヘキセン)共重合体との組み合わせ、プロピレン単独重合体と(プロピレン-1-オクテン)共重合体との組み合わせ、およびプロピレン単独重合体と(プロピレン-1-デセン)共重合体との組み合わせが挙げられる。
また、ヘテロファジックプロピレン重合体材料としては、重合体(I)がプロピレン単位およびプロピレン単位以外のモノマー単位を含む重合体である組み合わせであってもよい。重合体(I)の種類を先に、重合体(II)の種類を後に記載すると、このようなヘテロファジックプロピレン重合体材料の具体例としては、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-エチレン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-エチレン-1-ブテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-エチレン-1-オクテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-エチレン-1-デセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-1-ブテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-1-ヘキセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-1-オクテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-1-デセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-エチレン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-エチレン-1-ブテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-エチレン-1-オクテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-エチレン-1-デセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-1-ブテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-1-ヘキセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-1-オクテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-1-デセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ヘキセン)共重合体と(プロピレン-1-ヘキセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ヘキセン)共重合体と(プロピレン-1-オクテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-ヘキセン)共重合体と(プロピレン-1-デセン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-1-オクテン)共重合体と(プロピレン-1-オクテン)共重合体との組み合わせ、および(プロピレン-1-オクテン)共重合体と(プロピレン-1-デセン)共重合体との組み合わせが挙げられる。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物に含まれうる成分(A-2)ヘテロファジックプロピレン重合体材料としては、プロピレン単独重合体と(プロピレン-エチレン)共重合体との組み合わせ、プロピレン単独重合体と(プロピレン-エチレン-1-ブテン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-エチレン)共重合体との組み合わせ、(プロピレン-エチレン)共重合体と(プロピレン-エチレン-1-ブテン)共重合体との組み合わせ、および(プロピレン-1-ブテン)共重合体と(プロピレン-1-ブテン)共重合体との組み合わせが好ましく、プロピレン単独重合体と(プロピレン-エチレン)共重合体との組み合わせがより好ましい。
ヘテロファジックプロピレン重合体材料は、重合体(I)を生成させる前段の重合工程と、前段で生成した重合体(I)が存在した状態で重合体(II)をさらに生成させる重合工程を有する多段重合により製造することができる。重合は、前記プロピレン系重合体の製造に使用可能な触媒として例示した触媒系を用いて行うことができる。
なお、本実施形態の成分(A)プロピレン系重合体の極限粘度は、プロピレン系樹脂組成物の流動性、加工性を良好にする観点、成形体の着色を抑制し、剛性と銅害防止性能とを両立させる観点から、通常3dL/g未満であり、1dL/g以上であり、好ましくは1.5dL/g以上であり、より好ましくは1dL/g以上3dL/g未満であり、さらに好ましくは1.5dL/g以上3dL/g未満である。
本実施形態において、成分(A)プロピレン系重合体は、成形体の外観、伸び特性を良好にする観点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、100,000~1,000,000であり、好ましくは500,000~1,000,000である。
成分(A)プロピレン系重合体は、成形性、力学特性の観点から、分子量分布(Mw/Mn)が、通常10以下であり、好ましくは3~10である。
ここで、Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算で算出することができる。
プロピレン系重合体が多段重合で形成された重合体(I)と重合体(II)とからなる重合体材料である場合には、前段の重合で調製した重合体(I)の一部を重合反応器から抜き出してその極限粘度を求め、多段重合により最終的に得られたプロピレン系重合体の極限粘度(以下、([η]Totalという。)を求め、これらの極限粘度の値と、各重合体の含有量とを用いて、後段の重合で形成された重合体の極限粘度を算出することができる。
また、重合体(I)と重合体(II)とからなる重合体材料が、重合体(I)が前段の重合工程で得られ、重合体(II)が後段の重合工程で得られる方法によって製造された材料である場合には、重合体(I)および重合体(II)それぞれの含有量、極限粘度数([η]Total、[η]I、[η]II)の測定および算出の手順は、下記のとおりである。
前段の重合工程で得た重合体(I)の極限粘度([η]I)、後段の重合工程後の最終重合体(すなわち、重合体(I)と重合体(II)とからなる重合体)の前記の方法で測定した極限粘度([η]Total)、最終重合体に含有される重合体(II)の含有量から、重合体(II)の極限粘度[η]IIを下記式により計算することができる。
[η]II=([η]Total-[η]I×XI)/XII
[η]Total:最終重合体の極限粘度(単位:dL/g)
[η]I:重合体(I)の極限粘度(単位:dL/g)
XI:最終重合体に対する重合体(I)の質量比
XII:最終重合体に対する重合体(II)の質量比
なお、XIおよびXIIは重合時の物質収支から求めることができる。
[η]Total:最終重合体の極限粘度(単位:dL/g)
[η]I:重合体(I)の極限粘度(単位:dL/g)
XI:最終重合体に対する重合体(I)の質量比
XII:最終重合体に対する重合体(II)の質量比
なお、XIおよびXIIは重合時の物質収支から求めることができる。
重合体(I)の極限粘度(以下、[η]Iという。)は、好ましくは1~10dL/gであり、より好ましくは2~10dL/gであり、さらに好ましくは5~8dL/gである。
重合体(II)の極限粘度(以下、[η]IIという。)は、好ましくは0.1~5dL/gであり、より好ましくは0.5~5dL/gであり、さらに好ましくは0.5~2dL/gである。
また、[η]IIの[η]Iに対する比([η]II/[η]I)は、好ましくは0.01~5であり、より好ましくは0.05~2.5であり、さらに好ましくは0.06~0.4である。
最終重合体に対する重合体(II)の質量比XIIは、重合体(I)および最終重合体の各々の結晶融解熱量を用いて次式から算出してもよい。
XII=1-(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:最終重合体(重合体(I)および重合体(II))の融解熱量(単位:cal/g)
(ΔHf)P:重合体(I)の融解熱量(単位:cal/g)
XII=1-(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:最終重合体(重合体(I)および重合体(II))の融解熱量(単位:cal/g)
(ΔHf)P:重合体(I)の融解熱量(単位:cal/g)
また、重合体(I)のGPCにより測定された分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1以上10未満であり、より好ましくは2以上7未満であり、さらに好ましくは3以上5未満である。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物中のプロピレン系重合体の含有量は、プロピレン系樹脂組成物の全量を100質量%としたときに、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
ここで、本実施形態にかかる成分(A)プロピレン系重合体の特に好ましい構成例について説明する。
本実施形態において特に好適な成分(A)プロピレン系重合体は、第1のプロピレン重合体成分(a)と、第1のプロピレン重合体成分(a)とは分子量が異なる第2のプロピレン重合体成分(b)とから構成される。
ここで、第1のプロピレン重合体成分(a)は、好ましくはアイソタクチックプロピレン系重合体である。第1のプロピレン重合体成分(a)としては、中でもプロピレン単独重合体、またはプロピレンと、結晶性を失わない程度のエチレン、炭素原子数4~12のα-オレフィンとの共重合体が特に好ましい。α-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-オクテン、1-ヘキセンが挙げられる。
プロピレン以外のモノマーの含有量は、モノマーがエチレンである場合には、10質量%以下とすることが好ましく、α-オレフィンの場合には30質量%以下とすることが好ましい。
第1のプロピレン重合体成分(a)は、プロピレンの単独重合体、プロピレンと10質量%以下のエチレンとのランダム共重合体、プロピレンと30質量%以下の炭素原子数4~12のα-オレフィンとのランダム共重合体、またはプロピレンと10質量%以下のエチレンと30質量%以下の炭素原子数4~12のα-オレフィンとの3元ランダム共重合体から選ばれる結晶性プロピレン系共重合体成分がより好適に使用され、さらに好ましいα-オレフィンとしては1-ブテンが挙げられる。柔軟性に関して特に好ましい第1のプロピレン重合体成分(a)としてはエチレンを1質量%以上10質量%以下含む共重合体が挙げられる。
第1のプロピレン重合体成分(a)の極限粘度は、プロピレン系重合体の溶融強度、の観点から、好ましくは1~10dL/gであり、より好ましくは2~10dL/gであり、さらに好ましくは5~8dL/gである。
第1のプロピレン重合体成分(a)の成分(A)プロピレン系重合体全体に占める割合は、溶融強度、流動性、伸び特性を確保する観点から、通常0.05質量%以上25質量%未満であり、好ましくは0.3質量%以上20質量%未満であり、より好ましくは第1のプロピレン重合体成分の成分(A)プロピレン系重合体全体に占める割合が、10質量%以上20質量%以下である。
溶融強度、溶融時の流動性、剛性を良好にする観点から、第1のプロピレン重合体成分(a)の量は、下記式を充足することが好ましい。第1のプロピレン重合体成分(a)の量がこの下記式を充足すれば、溶融強度、溶融時の流動性、成形体の剛性を効果的に改善することができる。
第1のプロピレン重合体成分(a)の含有量(質量%)≧400×EXP(-0.6×第1のプロピレン重合体成分(a)の極限粘度(dL/g))
第1のプロピレン重合体成分(a)の含有量(質量%)≧400×EXP(-0.6×第1のプロピレン重合体成分(a)の極限粘度(dL/g))
前記式(1)中、EXP(X)はeXを表し、eは自然対数の底を表す。
特にプロピレン系樹脂組成物の流動性の観点から、例えば前記の式で規定される要件を満たすことを条件として、第1のプロピレン重合体成分(a)の含有量は可能である限り少ないことが好ましい。
本実施形態における第2のプロピレン重合体成分(b)は、第1のプロピレン重合体成分(a)の調製に引き続き、さらに連続的に調製されることにより得られるプロピレン系重合体であることが好ましい。
すなわち、本実施形態の成分(A)プロピレン系重合体において、単に極限粘度が5dL/g以上である結晶性プロピレン系重合体と、極限粘度が3dL/g未満であるプロピレン系重合体のブレンドでは溶融強度等にかかる効果が発現しないか、または不十分であるおそれがある。よって、第2のプロピレン重合体成分(b)は、チーグラー・ナッタ系触媒に代表される立体規則性オレフィン重合触媒の存在下で、プロピレンを主体とするモノマーを重合して、まずは第1のプロピレン重合体成分(a)を調製し、引き続き、異なる重合反応容器にて、当該立体規則性オレフィン重合触媒および調製された第1のプロピレン重合体成分(a)の存在下で、さらにプロピレンを主体とするモノマーを重合することにより調製されることが好ましい。
第2のプロピレン重合体成分(b)の成分(A)プロピレン系重合体全体に占める割合は、溶融強度、流動性、伸び特性を確保する観点から、通常75質量%以上99.95質量%未満であり、好ましくは75質量%以上99.7質量%未満であり、より好ましくは第2のプロピレン重合体成分の前記プロピレン系重合体全体に占める割合が、80質量%以上90質量%以下である。
第2のプロピレン重合体成分(b)の極限粘度は、成分(A)プロピレン系重合体の全体の極限粘度、流動性、加工性、混和性を良好にする観点から、好ましくは0.1~5dL/gであり、より好ましくは0.5~5dL/gであり、さらに好ましくは0.5~2dL/gである。
なお、第2のプロピレン重合体成分(b)の極限粘度[η]bは下記式により計算することができる。
[η]b=([η]T×100-[η]a×Wa)/Wb
[η]T:プロピレン系重合体全体の極限粘度
[η]a:第1のプロピレン重合体成分(a)の極限粘度
Wa:第1のプロピレン重合体成分(a)の含有量(質量%)
Wb:第2のプロピレン重合体成分(b)の含有量(質量%)
[η]T:プロピレン系重合体全体の極限粘度
[η]a:第1のプロピレン重合体成分(a)の極限粘度
Wa:第1のプロピレン重合体成分(a)の含有量(質量%)
Wb:第2のプロピレン重合体成分(b)の含有量(質量%)
第2のプロピレン重合体成分(b)としては、上記の条件を満たすアイソタクチックプロピレン系重合体が好ましく用いられる。中でも、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、α-オレフィンとの結晶性共重合体、結晶性のプロピレン系重合体中に非晶性のエチレン・α-オレフィン共重合体が分散している重合体が好ましい。特に好ましい第2のプロピレン重合体成分(b)は、プロピレン単独重合体である。第2のプロピレン重合体成分(b)は、結晶性を確保する観点からは、プロピレンと10質量%以下のエチレンとのランダム共重合体、プロピレンと30質量%以下の炭素原子数4~12のα-オレフィンとのランダム共重合体、またはプロピレンと10質量%以下のエチレンと30質量%以下の炭素原子数4~12のα-オレフィンとの3元ランダム共重合体が挙げられる。さらに好ましいα-オレフィンとしては例えば1-ブテンが挙げられる。
本実施形態において、成分(A)プロピレン系重合体は、立体規則性オレフィン重合触媒を用いて調製することができる。立体規則性オレフィン重合触媒としては、例えば、Ti、Mg、ハロゲンを必須成分とする触媒が好ましい。第1のプロピレン重合体成分(a)は、モノマー重合時の重合速度が触媒1g、1時間あたり2000g以上の重合活性を与える触媒系および条件を採用することにより調製することができる。ここで、「触媒1g」とは、Ti、Mg、ハロゲンを必須成分とする固体触媒の1gを意味している。
具体的には、触媒としては、例えば、特開2003-105020号公報に記載の製造方法により製造される触媒(固体触媒成分)を好適に用いることができる。
第1のプロピレン重合体成分(a)の調製方法としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素に代表される不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマー中で行う気相重合法を用いることができる。中でも、後処理が容易であるため、塊状重合法、気相重合法が好ましい。
第1のプロピレン重合体成分(a)の重合温度は、通常20~150℃であり、好ましくは35~95℃である。このような温度範囲での重合が、生産性を向上させる観点からは好ましく、第1のプロピレン重合体成分(a)と第2のプロピレン重合体成分(b)との量比を所望の量比とする観点からも好ましい。
第1のプロピレン重合体成分(a)の重合時の重合速度は、生産効率を高め、重合体中の触媒残さによる耐熱性の低下および着色を抑制することができ、触媒の除去を不要とできることから、触媒1g、1時間あたり2000g以上である触媒および調製方法を用いることが好ましい。
第2のプロピレン重合体成分(b)の調製は、既に説明したとおり、前段の重合反応容器による第1のプロピレン重合体成分(a)の調製後、後段の重合反応容器にて重合することにより行うことが好ましく、溶剤重合法、塊状重合法、気相重合法、またはこれらの組み合わせからなる重合法を用いることができる。特に塊状重合法、気相重合法、またはこれらの組み合わせからなる重合法が、重合活性を高めることができ、後処理も容易であることから好ましい。
第2のプロピレン重合体成分(b)の調製における重合速度は、生産効率を向上させ、第1のプロピレン重合体成分(a)および第2のプロピレン重合体成分(b)の量比を良好にする観点から、触媒1g、1時間あたりの第1のプロピレン重合体成分(a)の調製における重合速度の2倍以上となるように重合条件によって調節することが好ましく、第1のプロピレン重合体成分(a)の調製における重合速度の3倍以上とすることがより好ましい。このときの重合温度は、第1のプロピレン重合体成分(a)の重合温度と同一であっても、異なっていてもよい。第2のプロピレン重合体成分(b)の調製における重合温度は、通常20~150℃であり、好ましくは35~95℃である。
(2)成分(B)ヒドラジド化合物
本実施形態において、プロピレン系樹脂組成物は、成分(B)ヒドラジド化合物をさらに含みうる。
本実施形態において、プロピレン系樹脂組成物は、成分(B)ヒドラジド化合物をさらに含みうる。
本実施形態において、成分(B)ヒドラジド化合物は、金属不活性化剤(銅害防止剤)として機能し、例えば、ワイヤハーネスのコネクターの電気的な接点における成形体と金属との接触に起因する、本実施形態のプロピレン系樹脂組成物を成形した成形体の劣化を防止することを目的として添加される成分である。
本実施形態において、ヒドラジド化合物とは、-C(=O)-NH-で表される基を1つ以上含むフェニルまたはフェノール化合物をいう。
本実施形態において好適に用いられうるヒドラジド化合物は、具体的には、下記式(1)で表されるヒドラジド化合物である。
前記式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表す。
本明細書において、「アルキル基」は置換基を有していてもよい。「アルキル基」は、特に断らない限り、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。アルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~10であり、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~4である。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、アダマンチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基が挙げられる。
置換基を有するアルキルの具体例としては、メチル基およびtert-ブチル基が挙げられる。
R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル基およびtert-ブチル基であることが好ましく、成形体の着色を抑制し、剛性と銅害防止性能とを両立させる観点から、R1及びR2が、tert-ブチル基であることがさらに好ましい。
すなわち、本実施形態において、成分(B)ヒドラジド化合物としては、下記式(B-1)で表されるヒドラジド化合物(B-1)である2’,3-ビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]プロピオノヒドラジドを用いることが好ましい。
ヒドラジド化合物(B-1)としては、例えば、市販品であるBASFジャパン社製「IRGANOX MD1024」を用いることができる。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物において、前記式(1)で表されるヒドラジド化合物の配合量(含有量)は、金属による成形体の劣化を効果的に抑制し、コストを削減する観点から、成分(A)プロピレン系重合体100質量部に対して、通常0.01~10質量部であり、0.05~1.0質量部とすることが好ましく、0.05~0.5質量部とすることがより好ましい。
成分(B)ヒドラジド化合物として上記の化合物を用いれば、接触する金属による成形体の劣化を効果的に抑制することができ、プロピレン系樹脂組成物の溶融強度、溶融時の流動性、成形体の剛性を良好にすることができる。
(3)成分(C)造核剤
本実施形態において、プロピレン系樹脂組成物は、成分(C)造核剤をさらに含みうる。
本実施形態において、プロピレン系樹脂組成物は、成分(C)造核剤をさらに含みうる。
本実施形態において、成分(C)造核剤はポリプロピレンの結晶化を促進するために添加される成分である。
成分(C)造核剤としては、従来公知の任意好適な造核剤を用いることができる。造核剤の例としては、ソルビトール系造核剤、リン酸エステル金属塩系造核剤、カルボン酸金属塩系造核剤、およびロジン系造核剤が挙げられる。カルボン酸金属塩系造核剤としては、ヒドロキシ-ジ(p-tert-ブチル安息香酸)アルミニウムが挙げられる。
造核剤であるヒドロキシ-ジ(p-tert-ブチル安息香酸)アルミニウムとしては、例えば、市販品であるジャパンケムテック(株)製「AL-PTBBA」を用いることができる。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物において、成分(C)造核剤としては、下記式(2)で表される金属塩を用いることが好ましい。
式(2)中、M1およびM2は、それぞれ独立して、ナトリウム原子または水素原子であって、M1およびM2のうちの少なくとも1つはナトリウム原子であり、
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~9のアルキル基、水酸基、炭素原子数1~9のアルコキシ基、炭素原子数1~9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素原子数1~9のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、およびフェニル基からなる群から選択される基である。R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13のうちの2以上の基がアルキル基である場合には、これらの基は互いに結合して炭化水素環を構成していてもよい。
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~9のアルキル基、水酸基、炭素原子数1~9のアルコキシ基、炭素原子数1~9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素原子数1~9のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、およびフェニル基からなる群から選択される基である。R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13のうちの2以上の基がアルキル基である場合には、これらの基は互いに結合して炭化水素環を構成していてもよい。
本実施形態において、成分(C)造核剤である金属塩としては、プロピレン系樹脂組成物を成形した成形体の剛性を良好にする観点から、下記式(C-1)で表されるジナトリウム-ビシクロ(2,2,1)ヘプタン-2,3-ジカルボキシラート(造核剤(C-1))、下記式(C-2)で表される1,2-シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩(造核剤(C-2))を用いることが好ましい。換言すると、本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、造核剤として、下記式(C-1)で表される化合物または下記式(C-2)で表される化合物を含むことが好ましい。
成分(C)造核剤である金属塩としては、市販品を用いることもできる。市販品である造核剤(C-1)としては、例えば、HPN-68L(商品名、Milliken社製)が挙げられる。また、市販品である造核剤(C-2)としては、例えば、HPN-20E(商品名、Milliken社製)が挙げられる。
本実施形態において、造核剤の添加量は、既に説明した成分(A)プロピレン系重合体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上であり、より好ましくは0.05質量部以上であり、好ましくは3質量部以下であり、より好ましくは1質量部以下であり、好ましくは0.05~1質量部である。
成分(C)造核剤として上記の化合物を用いれば、プロピレン系樹脂組成物に含まれるプロピレン系重合体の結晶化の程度を良好にすることができ、成形体の剛性を良好にすることができる。
(4)任意成分
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、既に説明した上記の成分以外に、さらなる任意成分を含んでいてもよい。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、既に説明した上記の成分以外に、さらなる任意成分を含んでいてもよい。
このような任意成分の例としては中和剤、酸化防止剤、無機充填剤、難燃剤、エラストマー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(例えば、無機顔料、有機顔料)、顔料分散剤、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤、光拡散剤および分子量調整剤が挙げられる。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、これらの任意成分を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上の任意成分を任意の比率の組み合わせで含んでいてもよい。
(i)中和剤
本実施形態において、中和剤は、従来公知の任意好適な酸化防止剤を用いることができる。中和剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、中和剤は、従来公知の任意好適な酸化防止剤を用いることができる。中和剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中和剤の具体例としては、ハイドロタルサイト、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。本実施形態において、中和剤としては、ステアリン酸カルシウム(例、堺化学工業社製)を用いることが好ましい。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物が中和剤を含有する場合には、プロピレン系樹脂組成物における中和剤の含有量は、プロピレン系樹脂組成物に含まれる成分(A)プロピレン系重合体の総量を100質量部としたときに、通常0質量部以上であり、好ましくは0.01質量部以上であり、より好ましくは0.03質量部以上であり、好ましくは0.5質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以下である。中和剤の含有量を、このように設定すれば、プロピレン系樹脂組成物を成形した成形体の着色を効果的に抑制することができ、剛性と銅害防止性能とを向上させることができる。
(ii)酸化防止剤
本実施形態において、酸化防止剤は、従来公知の任意好適な酸化防止剤を用いることができる。酸化防止剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、酸化防止剤は、従来公知の任意好適な酸化防止剤を用いることができる。酸化防止剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤の好適な具体例としては、フェノール系酸化防止剤(例、スミライザーGA80(住友化学社製))、イオウ系酸化防止剤(例、スミライザーTPM(住友化学社製))及びリン系酸化防止剤(例、SONGNOX6260(ソンウォン社製))が挙げられる。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合には、プロピレン系樹脂組成物における酸化防止剤の含有量は、プロピレン系樹脂組成物に含まれる成分(A)プロピレン系重合体の総量を100質量部としたときに、通常0質量部以上であり、好ましくは0.01質量部以上であり、より好ましくは0.05質量部以上であり、好ましくは1質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以下であり、さらに好ましくは0.3質量部以下である。酸化防止剤の含有量を、このように設定すれば、プロピレン系樹脂組成物を成形した成形体の着色を効果的に抑制することができ、剛性と銅害防止性能とを向上させることができる。
(iii)無機充填材
本実施形態にかかるプロピレン系樹脂組成物は、機械的特性、電気的特性などを良好にする観点から、無機充填材をさらに含みうる。
本実施形態にかかるプロピレン系樹脂組成物は、機械的特性、電気的特性などを良好にする観点から、無機充填材をさらに含みうる。
無機充填材の例としては、(i)繊維状無機充填材および(ii)非繊維状無機充填材が挙げられる。無機充填材は2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下、具体的に説明する。
(i)繊維状無機充填材
本実施形態において、繊維状無機充填材は、平均繊維径が0.2μm~20μmであり、平均繊維長が5μm~200μmであり、アスペクト比が10~30であることが好ましい。成形体の剛性を改善し、成形体の外観を改善する観点から、平均繊維径は0.3μm~10μmであり、平均繊維長は7μm~150μmであり、アスペクト比は12~25であることがより好ましい。
本実施形態において、繊維状無機充填材は、平均繊維径が0.2μm~20μmであり、平均繊維長が5μm~200μmであり、アスペクト比が10~30であることが好ましい。成形体の剛性を改善し、成形体の外観を改善する観点から、平均繊維径は0.3μm~10μmであり、平均繊維長は7μm~150μmであり、アスペクト比は12~25であることがより好ましい。
繊維状無機充填材の平均繊維径、および平均繊維長は、例えば、電子顕微鏡により得られた繊維状無機充填材の画像から、無作為に50本以上を選択して測定した繊維径および繊維長それぞれの平均値であり、アスペクト比はこれらの平均値を用いて算出することができる。
繊維状無機充填材の例としては、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維が挙げられる。これらのうち、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、ケイ酸カルシウム繊維を用いることが好ましい。
繊維状無機充填材はそのまま使用しても、界面接着性を向上させ、分散性を向上させる観点から、例えば、シランカップリング剤、高級脂肪酸金属塩を用いて表面処理して使用してもよい。
表面処理に用いられる高級脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。
本実施形態において、繊維状無機充填材の態様の例としては、粉状、フレーク状、顆粒状が挙げられる。本実施形態においては、前記のいずれの態様の繊維状無機充填材を用いることもできる。取扱い性が良好であることから、顆粒状の繊維状無機充填材を用いることが好ましい。
(ii)非繊維状無機充填材
非繊維状無機充填材としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、珪砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。成形体の衝撃強度を向上させ、外観を良好にする観点から、タルクを用いることが好ましい。
非繊維状無機充填材としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、珪砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。成形体の衝撃強度を向上させ、外観を良好にする観点から、タルクを用いることが好ましい。
非繊維状無機充填材の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。ここで、非繊維状無機充填材の平均粒子径は、水、アルコールといった分散媒に非繊維状無機充填材を懸濁させて得られた懸濁液を、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いる篩下法により得られた積分分布曲線から50%相当粒子径D50として求めることができる。
非繊維状無機充填材は、そのまま使用してもよく、界面接着性を向上させ、分散性を向上させる観点から、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、界面活性剤で表面を処理して使用してもよい。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類が挙げられる。
繊維状無機充填材はそのまま使用しても、界面接着性を向上させ、分散性を向上させる観点から、シランカップリング剤、高級脂肪酸金属塩を用いて表面処理して使用してもよい。
3.プロピレン系樹脂組成物の特性
(1)メルトフローレート(MRF)
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレートは、プロピレン系樹脂組成物の成形加工性を向上させる観点から、0.1g/10分以上であることが好ましい。
(1)メルトフローレート(MRF)
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレートは、プロピレン系樹脂組成物の成形加工性を向上させる観点から、0.1g/10分以上であることが好ましい。
4.プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、既に説明した成分を原料として、溶融混練することにより製造することができる。溶融混練時の温度は、180℃以上であってよく、180~300℃であってもよく、180~250℃であってもよい。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、既に説明した成分を原料として、溶融混練することにより製造することができる。溶融混練時の温度は、180℃以上であってよく、180~300℃であってもよく、180~250℃であってもよい。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物の製造のための溶融混練における製造装置の例としては、例えば、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機が挙げられる。
原料の混練の順序は特に限定されない。例えば、すべての原料を一括して製造装置に投入することにより混練してもよく、選択された成分のうち、一部の成分を混練した後、得られた混練物と他の成分とを混練してもよい。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物の性状は、特に制限されない。本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、例えば、ストランド(フィラメント)状、シート状、平板状又はペレット状の態様とすることができる。ペレット状の形状は、例えば、ストランド状のプロピレン系樹脂組成物を形成した後、適当な長さに裁断することにより製造することができる。
プロピレン系樹脂組成物の成形加工性を良好にし、成形体の生産安定性を高める観点から、成形体に成形する前のプロピレン系樹脂組成物の形状は、長さが1~50mm程度のペレット状とすることが好ましい。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物によれば、その成形体の着色を効果的に抑制することができ、また、特に当該成形体を車両用ワイヤーハーネスのコネクタに適用した場合に要求される剛性と銅害防止性能とを両立させることができ、さらには軽量化と、剛性とを両立させることができる車両用ワイヤーハーネスのコネクターを提供することができる。
5.成形体
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、成形体を形成するための材料として好適に用いることができる。本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、特に射出成形用材料として用いることが好ましい。
本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、成形体を形成するための材料として好適に用いることができる。本実施形態のプロピレン系樹脂組成物は、特に射出成形用材料として用いることが好ましい。
以下、本実施形態のプロピレン系樹脂組成物を射出成形用材料として用いて射出成形体とする例について説明する。
射出成形体は、本実施形態のプロピレン系樹脂組成物を成形した成形体である。射出成形体は、一般に寸法安定性に優れている。
射出成形体は、射出成形法により製造することができる。射出成形法としては、例えば、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、およびインサート・アウトサート成形法が挙げられる。
本実施形態の成形体(射出成形体)は、用途に対応した任意好適な形状および寸法として上記の製造方法により製造することができる。
本実施形態の射出成形体は、例えば、車両関連部材の材料用途、特に自動車内外装材料用途、家電材料用途、およびコンテナ用途に用いることが好ましく、車両関連部材の材料用途に用いることがより好ましい。ここで、車両関連部材の材料用途としては、自動車内外装部品としては、例えば、ドアートリム、ピラー、インストルメントパネルおよびバンパーが挙げられる。
本実施形態の射出成形体は、着色性が低く、剛性と銅害防止性能とが良好であり、軽量化と、剛性とを両立させることができることから、特に車両関連部材であるワイヤハーネスのコネクターに好適に適用することができる。
ここで、本実施形態のプロピレン系樹脂組成物を好適に適用できる本実施形態の車両用ワイヤーハーネスのコネクターの構成例について図面を参照して説明する。
図1は、車両用ワイヤーハーネスのコネクターの構成例を模式的に示す図である。図2は、図1に示されるA-A一点鎖線の位置で切断した車両用ワイヤーハーネスのコネクターの切断端面を模式的に示す図である。
図1および2に示されるように、車両用ワイヤーハーネスのコネクター10には、1個以上の挿入部10aが設けられている。
挿入部10aは、厚さ方向に直交する方向に延在しており、互いに平行に配列されている貫通孔として構成されている。この構成例では、複数の挿入部10aの延在方向に直交する方向で切断したときの切断端面の形状は互いに同一となるように構成されている。
図2に示されるように、車両用ワイヤーハーネスのコネクター10には、1個以上のランス部12が設けられている。図示例ではランス部12は、貫通孔である挿入部10aごとに1個が設けられているが、挿入部10aごとに2個以上設けられていてもよく、さらには複数の挿入部10aのうちの一部のみに設けられていてもよい。
図示例においては、ランス部12は、貫通孔である挿入部10aを画成する壁面から、挿入部10aの延在方向に直交する方向である鉛直方向に、楔状に突出するように設けられている。
本実施形態の車両用ワイヤーハーネスのコネクター10において、ランス部12の挿入部10aを画成する壁面から直交する方向における最大高さ12aを含む高さ12b、すなわちランス部12の肉厚は、コネクターの小型化、高速成型性の観点から、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、機械強度の観点から、0.2mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましく、0.2mm~1.5mmの範囲であることが好ましく、0.4mm~1.0mmの範囲であることが好ましい。
図2に示されるように、端子部20のうちの少なくとも一部分は、ランス部12の形状に対応してランス部12に嵌合して、端子部20を挿入部10a、すなわち車両用ワイヤーハーネスのコネクター10に着脱自在に固定できる形状、すなわちこの構成例ではランス部に12に嵌合して係止されうる凹部を有する形状とされている。
車両用ワイヤーハーネスのコネクター10および端子部20が上記のような構成を有することにより、端子部20は車両用ワイヤーハーネスのコネクター10に着脱自在に固定され、かつ車両用ワイヤーハーネスのコネクター10と端子部20とは電気的に接続される。
実施例および比較例で用いられた成分を以下に示した。
(1)成分(A)プロピレン系重合体
(A-1)プロピレン系重合体(成分(A-1))
特開平11-228629号公報の実施例1に記載されている重合触媒を用いて、実施例1に記載されている重合方法および重合条件に準拠してプロピレン単独重合体(ポリプロピレン)である成分(A―1)を調製した。
(1)成分(A)プロピレン系重合体
(A-1)プロピレン系重合体(成分(A-1))
特開平11-228629号公報の実施例1に記載されている重合触媒を用いて、実施例1に記載されている重合方法および重合条件に準拠してプロピレン単独重合体(ポリプロピレン)である成分(A―1)を調製した。
具体的には、まず、ステンレス製の第1反応容器に、液状のプロピレンと、トリエチルアルミニウムと、tert-ブチル-n-プロピルジメトキシシランと、重合触媒とを連続的に供給して第1のプロピレン重合体成分(a)を重合する第1工程を実施した。
次いで、重合触媒を失活させることなく、重合触媒と第1のプロピレン重合体成分(a)とを第1反応容器に直列的に接続されている第2反応容器に移して、さらにプロピレンおよび水素を供給しつつ第1のプロピレン重合体成分(a)とは分子量が異なる第2のプロピレン重合体成分(b)を重合する第2工程を実施した。
第2のプロピレン重合体成分(b)の極限粘度[η]bは、上記のとおりとして求められた極限粘度[η]aおよび[η]Tに基づいて、下記式により計算した。
式:[η]b=([η]T×100-[η]a×Wa)/Wb
式:[η]b=([η]T×100-[η]a×Wa)/Wb
式中、
[η]Tは、成分(A-1)プロピレン単独重合体の極限粘度を表し、
[η]aは、第1の成分(a)の極限粘度を表し、
Waは、第1のプロピレン重合体成分(a)の含有量(質量%)を表し、
Wbは、第2のプロピレン重合体成分(b)の含有量(質量%)を表す。
[η]Tは、成分(A-1)プロピレン単独重合体の極限粘度を表し、
[η]aは、第1の成分(a)の極限粘度を表し、
Waは、第1のプロピレン重合体成分(a)の含有量(質量%)を表し、
Wbは、第2のプロピレン重合体成分(b)の含有量(質量%)を表す。
このようにして、極限粘度[η]aが7.1dL/gである第1のプロピレン重合体成分(a)19質量%と、極限粘度[η]bが0.76dL/gである第2のプロピレン重合体成分(b)81質量%とからなるプロピレン単独重合体である成分(A―1)プロピレン系重合体を得た。得られた成分(A―1)プロピレン系重合体の物性は、下記のとおりであった。
メルトフローレート(230℃、荷重2.16kgf):11.5g/10分
重量平均分子量(Mw)530000、数平均分子量(Mn)58000、分子量分布(Mw/Mn)9.1、極限粘度[η]T:1.94dL/g
重量平均分子量(Mw)530000、数平均分子量(Mn)58000、分子量分布(Mw/Mn)9.1、極限粘度[η]T:1.94dL/g
(A-2)プロピレン系重合体(成分(A-2))
特開2003-105020号公報に記載の製造方法により製造される固体触媒成分を用いて、気相重合法により製造し、樹脂粉であるプロピレン単独重合体(A-2)を得た。得られたプロピレン単独重合体は、メルトフローレート(230℃、荷重2.16kgf):0.5g/10分
重量平均分子量(Mw)730000、数平均分子量(Mn)190000、分子量分布(Mw/Mn)3.8、極限粘度[η]T:2.96dL/g
特開2003-105020号公報に記載の製造方法により製造される固体触媒成分を用いて、気相重合法により製造し、樹脂粉であるプロピレン単独重合体(A-2)を得た。得られたプロピレン単独重合体は、メルトフローレート(230℃、荷重2.16kgf):0.5g/10分
重量平均分子量(Mw)730000、数平均分子量(Mn)190000、分子量分布(Mw/Mn)3.8、極限粘度[η]T:2.96dL/g
(A-3)プロピレン系重合体(成分(A-3))
特開2003-105020号公報に記載の製造方法により製造される固体触媒成分を用いて、気相重合法により製造し、樹脂粉であるプロピレン単独重合体(A-3)を得た。得られたプロピレン単独重合体は、メルトフローレート(230℃、荷重2.16kgf):120g/10分
重量平均分子量(Mw)180000、数平均分子量(Mn)49000、分子量分布(Mw/Mn)3.8、極限粘度[η]T:0.93dL/g
特開2003-105020号公報に記載の製造方法により製造される固体触媒成分を用いて、気相重合法により製造し、樹脂粉であるプロピレン単独重合体(A-3)を得た。得られたプロピレン単独重合体は、メルトフローレート(230℃、荷重2.16kgf):120g/10分
重量平均分子量(Mw)180000、数平均分子量(Mn)49000、分子量分布(Mw/Mn)3.8、極限粘度[η]T:0.93dL/g
(A-4)プロピレン系重合体(成分(A-4))
特開2003-105020号公報に記載の製造方法により製造される固体触媒成分を用いて、気相重合法により製造し、樹脂粉であるプロピレン単独重合体(A-4)を得た。得られたプロピレン単独重合体は、メルトフローレート(230℃、荷重2.16kgf):8.0g/10分
重量平均分子量(Mw)365000、数平均分子量(Mn)105000、分子量分布(Mw/Mn)3.5、極限粘度[η]T:1.61dL/g
特開2003-105020号公報に記載の製造方法により製造される固体触媒成分を用いて、気相重合法により製造し、樹脂粉であるプロピレン単独重合体(A-4)を得た。得られたプロピレン単独重合体は、メルトフローレート(230℃、荷重2.16kgf):8.0g/10分
重量平均分子量(Mw)365000、数平均分子量(Mn)105000、分子量分布(Mw/Mn)3.5、極限粘度[η]T:1.61dL/g
(2)成分(B)ヒドラジド化合物
成分(B)ヒドラジド化合物としては、下記式(B-1)で表されるヒドラジド化合物(B-1)である2’,3-ビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]プロピオノヒドラジド(BASFジャパン社製、IRGANOX MD1024)および下記式で表されるヒドラジド化合物(B-2)である2-ヒドロキシ-N-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-ベンズアミド(ADEKA社製、アデカスタブ CDA-1M)を用いた。
成分(B)ヒドラジド化合物としては、下記式(B-1)で表されるヒドラジド化合物(B-1)である2’,3-ビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]プロピオノヒドラジド(BASFジャパン社製、IRGANOX MD1024)および下記式で表されるヒドラジド化合物(B-2)である2-ヒドロキシ-N-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-ベンズアミド(ADEKA社製、アデカスタブ CDA-1M)を用いた。
(3)成分(C)造核剤
成分(C)造核剤としては、下記式(C-1)で表される化合物である造核剤(C-1)(Milliken社製、Hyperform HPN-68L)および下記式(C-2)で表される化合物である造核剤(C-2)(Milliken社製、Hyperform HPN-20E)を用いた。
成分(C)造核剤としては、下記式(C-1)で表される化合物である造核剤(C-1)(Milliken社製、Hyperform HPN-68L)および下記式(C-2)で表される化合物である造核剤(C-2)(Milliken社製、Hyperform HPN-20E)を用いた。
造核剤(C-1)および(C-2)の詳細は、下記のとおりである。
(i)造核剤(C-1)
主成分の化学名:ジナトリウム=(1R,2R,3S,4S)-ビシクロ[2.2.1
]ヘプタン-2,3-ジカルボキシラート
主成分の含有量:80質量%
(i)造核剤(C-1)
主成分の化学名:ジナトリウム=(1R,2R,3S,4S)-ビシクロ[2.2.1
]ヘプタン-2,3-ジカルボキシラート
主成分の含有量:80質量%
(ii)造核剤(C-2)
主成分の化学名:1,2-シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩
CAS Reg.NO.:491589-22-1
主成分の含有量:66質量%
副成分の化学名:ステアリン酸亜鉛
CAS Reg.NO.:557-05-1
副成分の含有量:34質量%
平均粒子径:2.6μm(レーザー回折式の粒度分布測定器(Sympatec社製HELOS(商品名))による測定値)
主成分の化学名:1,2-シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩
CAS Reg.NO.:491589-22-1
主成分の含有量:66質量%
副成分の化学名:ステアリン酸亜鉛
CAS Reg.NO.:557-05-1
副成分の含有量:34質量%
平均粒子径:2.6μm(レーザー回折式の粒度分布測定器(Sympatec社製HELOS(商品名))による測定値)
(4)中和剤
中和剤としては、ステアリン酸カルシウム(堺化学工業社製)を用いた。CAS番号は下記のとおりである。
CAS.1592-23-0
中和剤としては、ステアリン酸カルシウム(堺化学工業社製)を用いた。CAS番号は下記のとおりである。
CAS.1592-23-0
(5)酸化防止剤
酸化防止剤としては、下記(i)~(iii)を用いた(CAS番号を付記している。)。
(i)スミライザーGA80(住友化学社製)
CAS.90498-90-1
(ii)SONGNOX6260(ソンウォン社製)
CAS.26741-53-7
(iii)スミライザーTPM(住友化学社製)
CAS.16545-54-3
酸化防止剤としては、下記(i)~(iii)を用いた(CAS番号を付記している。)。
(i)スミライザーGA80(住友化学社製)
CAS.90498-90-1
(ii)SONGNOX6260(ソンウォン社製)
CAS.26741-53-7
(iii)スミライザーTPM(住友化学社製)
CAS.16545-54-3
[実施例1]
成分(A―1)プロピレン系重合体を100質量部と、ヒドラジド化合物(B―1)を0.1質量部と、造核剤(C-1)を0.2質量部と、ステアリン酸カルシウムを0.05質量部と、酸化防止剤であるスミライザーGA80を0.1質量部と、SONGNOX6260を0.05質量部と、スミライザーTPMを0.2質量部とをそれぞれ計量して、均一に混合し、日本製鋼所社製の二軸混練機「TEX44αII」の最上流側の原料投入口から投入して、シリンダー温度230℃、吐出量50kg/時間、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練し、ペレット状のプロピレン系樹脂組成物(a1)を得た。用いられた材料等を下記表1にも示した。なお、表1中の数値はいずれも質量部を表している。
成分(A―1)プロピレン系重合体を100質量部と、ヒドラジド化合物(B―1)を0.1質量部と、造核剤(C-1)を0.2質量部と、ステアリン酸カルシウムを0.05質量部と、酸化防止剤であるスミライザーGA80を0.1質量部と、SONGNOX6260を0.05質量部と、スミライザーTPMを0.2質量部とをそれぞれ計量して、均一に混合し、日本製鋼所社製の二軸混練機「TEX44αII」の最上流側の原料投入口から投入して、シリンダー温度230℃、吐出量50kg/時間、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練し、ペレット状のプロピレン系樹脂組成物(a1)を得た。用いられた材料等を下記表1にも示した。なお、表1中の数値はいずれも質量部を表している。
次に、プロピレン系樹脂組成物(a1)を下記の測定方法にて評価した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
ASTM D1238に準拠し、230℃ 、21N荷重でのメルトフローレート(MFR)を測定した。
ASTM D1238に準拠し、230℃ 、21N荷重でのメルトフローレート(MFR)を測定した。
(2)色相(外観:目視評価)
上記のとおり調製されたペレット状のプロピレン系樹脂組成物を、射出成形機のゲートから金型キャビティ内に供給して射出成形することにより、90mm(幅)×150mm(長さ)×1mm(厚さ)の平板状の成形体を得た。用いられた射出成形機および射出成形の条件は、下記のとおりである。
射出成形機:株式会社東芝製作所製、IS100EN(型締力100トン、シリンダー径36mm)
金型キャビティ形状:90mm(幅)×150mm(長さ)×1mm(厚さ)の直方体状
ゲート:金型キャビティのうちの90mm(幅)を画成する面側の中央部に開口したゲート1点
シリンダー温度:240℃
金型温度:50℃
射出速度:27mm/秒
上記のとおり調製されたペレット状のプロピレン系樹脂組成物を、射出成形機のゲートから金型キャビティ内に供給して射出成形することにより、90mm(幅)×150mm(長さ)×1mm(厚さ)の平板状の成形体を得た。用いられた射出成形機および射出成形の条件は、下記のとおりである。
射出成形機:株式会社東芝製作所製、IS100EN(型締力100トン、シリンダー径36mm)
金型キャビティ形状:90mm(幅)×150mm(長さ)×1mm(厚さ)の直方体状
ゲート:金型キャビティのうちの90mm(幅)を画成する面側の中央部に開口したゲート1点
シリンダー温度:240℃
金型温度:50℃
射出速度:27mm/秒
得られた平板状の成形体の外観(表面の色)について目視で評価を行った。表面が白色であった場合を良(○)と評価し、淡黄色であった場合を不良(×)と評価した。結果を下記表1に示した。
(3)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)
以下の方法によりポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を測定した。溶媒にテトラヒドロフランを用い、試料溶液濃度は0.5mg/mLに調整した。GPCカラムはPlus Poreシリーズ Poly Pore 7.5mm I.D.×300mm(アジレント・テクノロジーズ社製)2本を直列に接続して用いた。移動相はテトラヒドロフランとして、流速は1mL/分とした。カラムオーブンの温度設定は35℃、検出器は示差屈折率検出器を用いた。(RIDセル温度:35℃)、試料溶液注入量は100μLとした。GPCカラムの較正用標準物質はPStQuick Kit-H(東ソー社製)を用いた。
以下の方法によりポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を測定した。溶媒にテトラヒドロフランを用い、試料溶液濃度は0.5mg/mLに調整した。GPCカラムはPlus Poreシリーズ Poly Pore 7.5mm I.D.×300mm(アジレント・テクノロジーズ社製)2本を直列に接続して用いた。移動相はテトラヒドロフランとして、流速は1mL/分とした。カラムオーブンの温度設定は35℃、検出器は示差屈折率検出器を用いた。(RIDセル温度:35℃)、試料溶液注入量は100μLとした。GPCカラムの較正用標準物質はPStQuick Kit-H(東ソー社製)を用いた。
(4)1mmt曲げ弾性率(単位:MPa)および曲げ強度(単位:MPa)
上記のとおり得られた90×150×1mmの平板状の成形体よりASTMD790-タイプ4ダンベルを打ち抜き、ASTMD790に準拠して、23℃における曲げ弾性率、曲げ強度を測定した。結果を下記表1に示した。
上記のとおり得られた90×150×1mmの平板状の成形体よりASTMD790-タイプ4ダンベルを打ち抜き、ASTMD790に準拠して、23℃における曲げ弾性率、曲げ強度を測定した。結果を下記表1に示した。
[実施例2]
造核剤(C-1)の代わりに造核剤(C-2)を用いた以外は実施例1と同様にして、ペレット状のプロピレン系樹脂組成物を調製し、成形体について評価した。結果を下記表1に示した。
造核剤(C-1)の代わりに造核剤(C-2)を用いた以外は実施例1と同様にして、ペレット状のプロピレン系樹脂組成物を調製し、成形体について評価した。結果を下記表1に示した。
[実施例3]
ヒドラジド化合物(B-1)、造核剤(C-1)を用いていない点以外は実施例1と同様にして、ペレット状のプロピレン系樹脂組成物を調製し、成形体について評価した。結果を下記表1に示した。
ヒドラジド化合物(B-1)、造核剤(C-1)を用いていない点以外は実施例1と同様にして、ペレット状のプロピレン系樹脂組成物を調製し、成形体について評価した。結果を下記表1に示した。
[比較例1~3]
表1に示す比率でプロピレン系重合体を用いた以外は実施例3と同様にして、ペレット状のプロピレン系樹脂組成物を調製し、成形体について評価した。結果を下記表1に示した。
表1に示す比率でプロピレン系重合体を用いた以外は実施例3と同様にして、ペレット状のプロピレン系樹脂組成物を調製し、成形体について評価した。結果を下記表1に示した。
10 車両用ワイヤーハーネスのコネクター
10a 挿入部
12 ランス部
12a 最大高さ
12b 高さ
20 端子部
10a 挿入部
12 ランス部
12a 最大高さ
12b 高さ
20 端子部
Claims (8)
- GPC法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が500,000~1,000,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が6~10であるプロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物を含み、
1以上の挿入部を有しており、該挿入部を画成する壁面から突出するように設けられている1以上のランス部を有する車両用ワイヤーハーネスのコネクターであって、該ランス部の肉厚が1mm以下である、車両用ワイヤーハーネスのコネクター。 - 温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定される前記プロピレン系重合体のメルトフローレートが0.1~15g/10分であり、
前記プロピレン系重合体の極限粘度が1.5dL/g以上である、請求項1に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。 - 前記式(1)中、R1およびR2が、tert-ブチル基である、請求項3に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
- 前記プロピレン系重合体が、第1のプロピレン重合体成分および第2のプロピレン重合体成分を含み、
前記第1のプロピレン重合体成分の極限粘度が5~8dL/gであり、
前記第2のプロピレン重合体成分の極限粘度が0.5~2dL/gである、請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。 - 前記第1のプロピレン重合体成分の前記プロピレン系重合体全体に占める割合が、10質量%以上20質量%以下であり、
前記第2のプロピレン重合体成分の前記プロピレン系重合体全体に占める割合が、80質量%以上90質量%以下である、請求項6に記載の車両用ワイヤーハーネスのコネクター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021183384A JP2023070921A (ja) | 2021-11-10 | 2021-11-10 | 車両用ワイヤーハーネスのコネクター |
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Family Applications (1)
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JP2021183384A Pending JP2023070921A (ja) | 2021-11-10 | 2021-11-10 | 車両用ワイヤーハーネスのコネクター |
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-
2021
- 2021-11-10 JP JP2021183384A patent/JP2023070921A/ja active Pending
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