JP2023067628A - 変性シリコーン組成物および光半導体装置 - Google Patents

変性シリコーン組成物および光半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性を維持したまま、フレキシブル基材への接着性に優れ、十分な引張り強さや硬度を有し、透明な硬化物を与えるシリコーン組成物を提供する。【解決手段】変性シリコーン組成物であって、(A)1分子中に1つ以上のイソシアヌル酸骨格および2個以上の炭素数2~10のアルケニル基を有し、ケイ素原子に結合した芳香族一価炭化水素基をケイ素原子に結合した置換基の合計個数に対し10%以上有するイソシアヌル酸変性直鎖状オルガノポリシロキサン、(B)SiO4/2単位及びR5SiO3/2単位のうちのいずれか、またはその両方を含み、1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を有する分岐鎖状オルガノポリシロキサン、(C)1分子中にSiH基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(D)白金族金属系触媒を含むものであることを特徴とする変性シリコーン組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、変性シリコーン組成物および光半導体装置に関する。
オルガノポリシロキサン(以下、ポリシロキサンと表す場合がある。)は耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、耐光性、耐候性、光透過性、ガス透過性、化学的安定性などに優れ、電気・電子分野から輸送機、事務器用品、化粧品、医療分野など多種多様な分野で優れた材料として活用されている。中でも透明性に優れた付加硬化型シリコーン組成物(以下、シリコーン組成物と表す場合がある。)がLEDなどの光半導体用の材料として使用されている。
基材の表面保護やLED封止用途には高屈折率、ガスバリア性が必要不可欠である。高屈折率、ガスバリア性を発現するためにはフェニルシリコーンを使用することが有効であるが、耐熱性に問題がある。またフェニルシリコーンを使用した場合にはその剛直性から基材に対する接着性が低く、多少の曲げや負荷で樹脂が容易に剥離してしまう問題がある。そこで、耐熱性および接着性改善のためにこれまでカップリング剤およびイソシアヌレート誘導体が使用されてきた(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、イソシアヌレート誘導体を単体で添加すると、耐熱性は改善されるものの、架橋密度の偏りが発生することから、十分な接着性の改善は見られず、追加で接着性付与のためにカップリング剤を添加する必要があったが、カップリング剤は熱硬化時に揮発成分を生じることにより、ボイドの原因となるため好ましくない。
接着性を上げるために、イソシアヌレート誘導体に加えて側鎖部位または末端部位にSiH結合をもつオルガノハイドロジェンポリシロキサンを併用した特許文献3やシロキサン骨格にイソシアヌル酸骨格を導入した特許文献4では、硬化物の架橋密度が依然として十分でなく、基材に対する十分な接着性は得られなかった。また、特許文献4のイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサンは、相溶性の観点から無色透明で高屈折率の組成物を得ることは難しい。
さらに、イソシアヌル酸骨格をシロキサン骨格および末端部位に導入したオルガノポリシロキサンを使用した場合には(特許文献5)、接着性が改善した一方でポリマー単位に対するイソシアヌル酸骨格の含有単位が多いため、PPA樹脂のような剛直な樹脂に対しては十分な接着性を示すものの、変形が容易で柔軟なフレキシブル有機基板(例えばPETなど)に対する接着性が十分でなく、外部から力を加えることですぐに剥離するという問題があった。また、特許文献5のイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサンに関しても相溶性の観点から無色透明で高屈折率の組成物を得ることは難しい。
特開2012―007126号公報 特開2015―183012号公報 特開2015―113348号公報 特開2011―116745号公報 特開2011―099008号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、耐熱性を維持したまま、フレキシブル基材への接着性に優れ、十分な引張り強さや硬度を有し、透明な硬化物を与えるシリコーン組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、変性シリコーン組成物であって、
(A)1分子中に1つ以上のイソシアヌル酸骨格および2個以上の炭素数2~10のアルケニル基を有し、ケイ素原子に結合した芳香族一価炭化水素基をケイ素原子に結合した置換基の合計個数に対し10%以上有するイソシアヌル酸変性直鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)SiO4/2単位及びRSiO3/2単位のうちのいずれか、またはその両方を含み、1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を有する分岐鎖状オルガノポリシロキサン(Rは独立して炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基である。)、
(C)1分子中にSiH基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(D)白金族金属系触媒
を含むものである変性シリコーン組成物を提供する。
このような変性シリコーン組成物であれば、耐熱性を維持したまま、フレキシブル基材への接着性に優れ、十分な引張り強さや硬度を有し、透明な硬化物を与えるシリコーン組成物となる。
また、本発明では、前記変性シリコーン組成物の硬化物のJIS K 6249:2003に記載の方法で測定したタイプD硬度が45~80の範囲であることが好ましい。
このような硬度であれば、強度が十分であり、樹脂が剛直にならず、基材からの剥離が起こらない。
また、本発明では、前記変性シリコーン組成物の硬化物のJIS K 0062に記載の方法で測定した589nmの波長における屈折率が1.45~1.60の範囲であることが好ましい。
このような屈折率であれば、反射防止効果に優れ、光透過率など光半導体装置としての機能に優れる。
また、本発明では、上記に記載の変性シリコーン組成物の硬化物を備えるものである光半導体装置を提供する。
このような光半導体装置であれば、信頼性が高いものとなる。
本発明の変性シリコーン組成物は耐熱性に優れ、フレキシブル基材への接着性に優れ、十分な引張り強さや硬度を有する透明な硬化物を与えることができる。
上述のように、耐熱性を維持したまま、フレキシブル基材への接着性に優れ、十分な引張り強さや硬度を有し、透明な硬化物を与えるシリコーン組成物の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、アリール基含有オルガノポリシロキサンの側鎖部位または末端部位にイソシアヌル酸骨格を導入することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、変性シリコーン組成物であって、
(A)1分子中に1つ以上のイソシアヌル酸骨格および2個以上の炭素数2~10のアルケニル基を有し、ケイ素原子に結合した芳香族一価炭化水素基をケイ素原子に結合した置換基の合計個数に対し10%以上有するイソシアヌル酸変性直鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)SiO4/2単位及びRSiO3/2単位のうちのいずれか、またはその両方を含み、1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を有する分岐鎖状オルガノポリシロキサン(Rは独立して炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基である。)、
(C)1分子中にSiH基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(D)白金族金属系触媒
を含むものである変性シリコーン組成物である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[変性シリコーン組成物]
本発明の変性シリコーン組成物は、後述する(A)~(D)成分を含むものである。また、これらの成分の他にその他の添加剤を含んでいてもよい。以下各成分について説明する。
[(A)イソシアヌル酸変性直鎖状オルガノポリシロキサン]
本発明における(A)成分は、1分子中に1つ以上のイソシアヌル酸骨格および2個以上の炭素数2~10のアルケニル基を有し、ケイ素原子に結合した芳香族一価炭化水素基をケイ素原子に結合した置換基の合計個数に対し10%以上有するイソシアヌル酸変性直鎖状オルガノポリシロキサンである。
本発明に用いられるイソシアヌル酸変性直鎖状オルガノポリシロキサン(A)は、下記式(1)で示されることができる。
Figure 2023067628000001
(式中、Rは独立して炭素数2~10の置換または非置換のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基である。Rは独立して炭素数2~10の置換又は非置換のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、または式(2)で示される基であり、少なくとも1つは式(2)で示される基である。R、Rのうち2個以上は炭素数2~10のアルケニル基である。x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつx+y≧1を満たす数である。)
Figure 2023067628000002
(式中、nは1~10の整数、Rはヒドロシリル化反応可能な不飽和結合を含んでいてもよい炭素数1~12の炭化水素基、エポキシ基、及び(メタ)アクリル基から選ばれる基である。)
式(1)中、Rは独立して炭素数2~10の置換または非置換のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基である。Rは独立して炭素数2~10の置換又は非置換のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、または式(2)で示される基であり、少なくとも1つは式(2)で示される基であり、好ましくは2個以上である。R、Rのうち2個以上は炭素数2~10のアルケニル基であり、好ましくは2個である。x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつx+y≧1を満たす数であり、好ましくはx≧1である。
式(2)中、nは1~10の整数、好ましくは1~5の整数であり、Rはヒドロシリル化反応可能な不飽和結合を含んでいてもよい炭素数1~12の炭化水素基、エポキシ基、及び(メタ)アクリル基から選ばれる基であり、好ましくはアクリル基である。
(A)成分が有する炭素数2~10のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基及びオクテニル基等が挙げられ、特にビニル基が好ましい。
上述したアルケニル基以外に、(A)成分が有するケイ素原子に結合した基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、臭素原子及び塩素原子等のハロゲン原子やシアノ基で置換した基、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基やシアノエチル基やアリルグリシジル基等のエポキシ基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
ケイ素原子に結合した芳香族一価炭化水素基の量はケイ素原子に結合した置換基の合計個数に対し10%以上であり、好ましくは10%~80%、より好ましくは15%~70%であり、さらに好ましくは20%~60%である。芳香族一価炭化水素基の量が上記下限値未満ではイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサンが相溶しない恐れがある。芳香族一価炭化水素基の量が上記上限値以下であればイソシアヌル酸変性直鎖状オルガノポリシロキサンが液体のままであり取扱い易い。
本発明の(A)成分であるイソシアヌル酸変性直鎖状オルガノポリシロキサンは重量平均分子量(Mw)が300~300,000であることが好ましく、より好ましくは500~200,000である。重量平均分子量が300以上であれば、組成物が十分に硬化するし、重量平均分子量が300,000以下であれば組成物が必要以上に高粘度になり流動しなくなることもない。
なお、本発明における重量平均分子量(Mw)とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指す。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5重量%のTHF溶液)
(A)成分は、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、好ましくは10~90質量%、より好ましくは15~80質量%、更に好ましくは20~70質量%配合される。
[(B)分岐鎖状オルガノポリシロキサン]
本発明における(B)成分は、SiO4/2単位及びRSiO3/2単位のうちのいずれか、またはその両方を含み、1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を有する分岐鎖状オルガノポリシロキサン(Rは独立して炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基である。)である。
(B)成分は1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を有し、(B)成分に含まれるアルケニル基の量は0.01~0.5mol/100gが好ましく、より好ましくは0.05~0.3mol/100g、さらに好ましくは0.10~0.25mol/100gである。
ケイ素原子に結合したアルケニル基の量が0.01mol/100g以上であれば、架橋点が多く組成物が固まり、0.5mol/100g以下であれば架橋密度が上がりすぎず靱性を失う恐れがない。
さらに(B)成分はケイ素原子に結合した水酸基の量が0.001~1.0mol/100gであることが好ましく、より好ましくは0.005~0.8mol/100g、さらに好ましくは0.008~0.6mol/100gである。
さらに(B)成分は炭素数1~10、好ましくは1~5のケイ素原子に結合したアルコキシ基の量が1.0mol/100g以下が好ましく、より好ましくは0.8mol/100g以下、さらに好ましくは0.5mol/100g以下である。
アルコキシ基の量が1.0mol/100g以下であれば、硬化時に副生成物のアルコールガスが発生せず、硬化物にボイドが残らない。
なお、本発明におけるケイ素原子に結合した水酸基量、アルコキシ基量はH-NMR及び、29Si-NMRによって測定された値を指すこととする。
さらに、(B)成分は、0~60mol%、好ましくは0~50mol%のSiO4/2単位(Q単位)、0~90mol%、好ましくは30~80mol%のRSiO3/2単位(T単位)及び0~50mol%、好ましくは0~30mol%の(RSiO1/2単位(M単位)からなるレジン構造のオルガノポリシロキサンであることが好ましく、またSiO4/2単位とRSiO3/2単位の和が50mol%以上であることが好ましい。上記式中、Rは独立して炭素数1~10、好ましくは2~5の置換または非置換のアルキル基、炭素数6~10、好ましくは6~8のアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基であり、前記(B)成分のケイ素原子に結合した置換基Rが、少なくとも1つのフェニル基を有し、置換基Rの少なくとも1つが炭素数2~10のアルケニル基であることが好ましい。
M単位、T単位中のRは独立して、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子やシアノ基等で置換した基、例えばクロロメチル基、シアノエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられる。中でも、メチル基、フェニル基、ビニル基が好ましい。
SiO4/2単位(Q単位)を得るための材料としては、例えば、ケイ酸ソーダ、テトラアルコキシシラン、及びその縮合反応物等を例示できるが、これらに限定されない。
SiO3/2単位(T単位)を得るための材料としては、例えば、下記構造式で表されるオルガノトリクロロシラン、オルガノトリアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物、及びこれらの縮合反応物等を例示できるが、これらに限定されない。
Figure 2023067628000003
(上記式中、Meはメチル基を示す。)
(RSiO1/2単位(M単位)を得るための材料としては、例えば、下記構造式で表されるトリオルガノクロロシラン、トリオルガノアルコキシシラン、ヘキサオルガノジシロキサン等の有機ケイ素化合物等を例示できるが、これらに限定されない。
Figure 2023067628000004
(上記式中、Meはメチル基を示す。)
[(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン]
本発明の(C)成分は、1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、即ち1分子中にSiH基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、(A)、(B)成分と反応し、架橋剤として作用する。
(C)成分は下記平均組成式(3)で示されることができる。
SiO(4-h-i)/2 ・・・(3)
平均組成式(3)中、Rは同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数が1~10の1価炭化水素基であり、hおよびiは、0.7≦h≦2.1、0.001≦i≦1.0、かつ0.8≦h+i≦3.0であり、好ましくは1.0≦h≦2.0、0.01≦i≦1.0、かつ1.5≦h+i≦2.5を満足する正数である。
上記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の飽和脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の飽和環式炭化水素基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などの芳香族炭化水素基、これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えば、トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化炭化水素基、アリルグリシジル基等のエポキシ基などが挙げられる。これらの中では、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5の飽和脂肪族炭化水素基、並びにフェニル基が好ましい。
なお、前記Rとしては、1分子中に1個以上のケイ素原子に結合したアリール基を有し、1~100個であることが好ましい。(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を2個以上含有し、好ましくは2個以上200個以下含有し、より好ましくは3個以上100個以下含有する。
(C)成分の分子構造は特に制限されず、例えば、線状、環状、分岐状、三次元網目状(レジン状)等の、いずれの分子構造でも(C)成分として使用することができる。(C)成分が線状構造を有する場合、ヒドロシリル基は、分子鎖末端および分子鎖側鎖のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよい。また、1分子中のケイ素原子の数(または重合度)が、通常、2~200個、好ましくは3~100個程度であり、室温(25℃)において液状又は固体状であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが使用できる。
上記平均組成式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CSiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
また、下記構造で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンも用いることができるが、これらだけに限定されるものではない。
Figure 2023067628000005
(式中、p、r、sはそれぞれ0以上の整数であり、qは1以上の整数である。)
(C)成分の配合量は、(A)、(B)成分のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(C)成分のヒドロシリル基が0.1~4.0モルとなる量が好ましく、より好ましくは0.5~3.0モル、さらに好ましくは0.8~2.0モルとなる量である。
(C)成分のヒドロシリル基の量が0.1モル以上であれば、本発明の組成物の硬化反応が進行し、硬化物を得ることができ、得られる硬化物の架橋密度や、機械強度が十分となり、耐熱性も良くなる。一方、配合量が上記ヒドロシリル基の量が4.0モル以下であると、未反応のヒドロシリル基が硬化物中に多量に残存しないため、物性の経時変化や硬化物の耐熱性の低下などが起こらず、更に、硬化物中に脱水素反応による発泡が生じない。
[(D)白金族金属系触媒]
本発明における(D)成分は、白金族金属系触媒であり、(A)成分および(B)成分と(C)成分のヒドロシリル化反応を促進させる触媒として、従来公知であるいずれのものも使用することができる。コスト等を考慮して、白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、HPtCl・pHO,KPtCl,KHPtCl・pHO,KPtCl,KPtCl・pHO,PtO・pHO,PtCl・pHO,PtCl,HPtCl・pHO(ここで、pは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体、トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金等の光活性を有する錯体等を例示することができる。これらの触媒は1種単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。これらの触媒の配合量は、硬化のための有効量でよく、通常、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量に対して白金族金属として質量換算で0.1~500ppmが好ましく、特に好ましくは0.5~100ppmの範囲である。
[その他の添加剤]
その他の添加剤としては、例えば、シリカ、グラスファイバー、ヒュームドシリカ等の補強性無機充填材、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウム等の無機白色顔料、ケイ酸カルシウム、カーボンブラック、セリウム脂肪酸塩、バリウム脂肪酸塩、セリウムアルコキシド、バリウムアルコキシド等の非補強性無機充填材、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、二酸化ケイ素(シリカ:SiO)、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、酸化鉄(Fe)、四酸化三鉄(Fe)、酸化鉛(PbO)、酸化すず(SnO)、酸化セリウム(Ce3、CeO)、酸化カルシウム(CaO)、四酸化三マンガン(Mn)、酸化バリウム(BaO)などのフィラーが挙げられ、これらを、上記の(A)~(D)成分の合計100質量部当たり好ましくは600質量部以下、より好ましくは10~400質量部の量で適宜配合することができる。
本発明の変性シリコーン組成物は、用途に応じて所定の基材に塗布した後、硬化させることができる。硬化条件は、常温(25℃)でも十分に硬化するが、必要に応じて加熱により硬化してもよい。加熱する場合の温度は、例えば、60~200℃で硬化することができる。
本発明の組成物からなる硬化物は、JIS K 6249:2003に準拠して、デュロメータ タイプD硬度計を用いて測定した硬度、即ち前記変性シリコーン組成物の硬化物のJIS K 6249:2003に記載の方法で測定したタイプD硬度が45~80の範囲であることが好ましく、より好ましくは50~75であり、さらに好ましくは55~70である。硬度が45以上であれば強度が十分であり、また80以下であれば強度に優れ、樹脂が剛直にならず、基材からの剥離が起こらない。
本発明の変性シリコーン組成物の硬化物のJIS K 0062に記載の方法で測定した589nmの波長における屈折率が1.45~1.60の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.47~1.60であり、さらに好ましくは1.50~1.60である。屈折率が1.45以上であれば、反射防止効果があり、また1.60以下であれば、反射防止効果に優れ、光透過率など光半導体装置としての機能に優れる。
本発明の変性シリコーン組成物であれば、例えば、封止材、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、フィルム、アンダーフィル材、反射防止材、光拡散材、光反射材などの各種用途にも使用することができるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明では、上述の本発明の変性シリコーン組成物の硬化物で半導体素子が封止された光半導体装置、即ち本発明の変性シリコーン組成物の硬化物を備えるものである光半導体装置を提供する。このような光半導体装置であれば、本発明の組成物の硬化物が優れた耐熱性、フレキシブル基材への接着性、引張り強さ、硬度、透明性を有するので、信頼性が高い高品質なものとなる。
以下、実施例、及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、部は質量部を示し、各成分の粘度は、JIS K 7117-1:1999記載の回転粘度計で測定した25℃における絶対粘度を示す。
[合成例1]
1,3,5-トリアリルイソシアヌレート(TAIC)24.6gと下記式(4)で表される末端SiH化合物52.4gを混合し、塩化白金酸のジビニルシロキサン錯体を白金量として5ppm加え、下記式(5)で表されるイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-1)を調製した。
Figure 2023067628000006
Figure 2023067628000007
[合成例2]
1,3,5-トリアリルイソシアヌレート(TAIC)24.6gと下記式(6)で表される末端および側鎖SiH化合物510gを混合し、塩化白金酸のジビニルシロキサン錯体を白金量として5ppm加え、下記式(7)で表されるイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-2)を調製した。
Figure 2023067628000008
Figure 2023067628000009
[実施例1]
(A)成分として、調製したイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-1)を50部、
(B)成分として、PhSiO3/2単位80mol%、ViMeSiO1/2単位20mol%からなる分岐鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=1,500、ケイ素原子に結合した水酸基量0.1mol/100g)を50部、
(C)成分として、(A)及び(B)成分中のビニル基の合計個数に対する(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計個数の比(以下、SiH/SiVi比と表す場合がある。)が1.0となる量の、下記式(8)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C-1)
ならびに、(D)成分として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.1部、
を加えてよく撹拌し、変性シリコーン組成物を調製した。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2023067628000010
(式中、p=1である。)
[実施例2]
(A)成分として、調製したイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-1)を50部、
(B)成分として、PhSiO3/2単位80mol%、ViMeSiO1/2単位20mol%からなる分岐鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=1,500、ケイ素原子に結合した水酸基量0.1mol/100g)を50部、
(C)成分として、(A)及び(B)成分中のビニル基の合計個数に対する(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計個数の比(以下、SiH/SiVi比と表す場合がある。)が1.0となる量の、下記式(9)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C-2)
ならびに、(D)成分として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.1部、
を加えてよく撹拌し、変性シリコーン組成物を調製した。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2023067628000011
[実施例3]
(A)成分として、実施例1で用いたイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-1)の代わりに、イソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-2)を50部用いた以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、変性シリコーン組成物が得られた。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
(A)成分として、実施例2で用いたイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-1)の代わりに、イソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-2)を50部用いた以外は、実施例2と同様にして組成物を調製し、変性シリコーン組成物が得られた。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
(A)成分として、実施例1で用いたイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-1)の代わりに、下記式(10)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(A-3)を50部用いた以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、シリコーン組成物が得られた。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2023067628000012
[比較例2]
(A)成分として、実施例2で用いたイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-1)の代わりに、上記式(10)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(A-3)を50部用いた以外は、実施例2と同様にして組成物を調製し、シリコーン組成物が得られた。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例2で用いた(B)成分を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして組成物を調製し、シリコーン組成物が得られた。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例4]
(A)成分として上記式(10)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(A-3)を30部、
(B)成分として、PhSiO3/2単位80mol%、ViMeSiO1/2単位20mol%からなる分岐鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=1,500、ケイ素原子に結合した水酸基量0.1mol/100g)を50部、
(C)成分として、(A)、(B)成分およびトリアリルイソシアヌレート中のビニル基の合計個数に対する(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計個数の比(以下、SiH/SiVi比と表す場合がある。)が1.0となる量の、上記式(8)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C-1)、
(D)成分として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.1部
ならびに、トリアリルイソシアヌレート20部
を加えてよく撹拌し、シリコーン組成物を調製した。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例5]
(A)成分として上記式(10)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(A-3)を30部、
(B)成分として、PhSiO3/2単位80mol%、ViMeSiO1/2単位20mol%からなる分岐鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=1,500、ケイ素原子に結合した水酸基量0.1mol/100g)を50部、
(C)成分として、(A)、(B)成分およびトリアリルイソシアヌレート中のビニル基の合計個数に対する(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計個数の比(以下、SiH/SiVi比と表す場合がある。)が1.0となる量の、上記式(8)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C-1)、
(D)成分として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.1部、
トリアリルイソシアヌレート20部
ならびに、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2部および2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン8部を混合して得られたカップリング剤5部
を加えてよく撹拌し、シリコーン組成物を調製した。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例6]
(A)成分として上記式(10)で示される直鎖状オルガノポリシロキサン(A-3)を30部、
(B)成分として、PhSiO3/2単位80mol%、ViMeSiO1/2単位20mol%からなる分岐鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=1,500、ケイ素原子に結合した水酸基量0.1mol/100g)を50部、
(C)成分として、(A)、(B)成分およびトリアリルイソシアヌレート中のビニル基の合計個数に対する(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計個数の比(以下、SiH/SiVi比と表す場合がある。)が1.0となる量の、上記式(8)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C-1)SiH/SiVi=0.5、および下記式(11)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C-3)SiH/SiVi=0.5、
(D)成分として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:1質量%)0.1部
ならびに、トリアリルイソシアヌレート20部
を加えてよく撹拌し、シリコーン組成物を調製した。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2023067628000013
[比較例7]
(A)成分として、実施例1で用いたイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-1)の代わりに、下記式(12)で示されるイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-4)を50部用いた以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、シリコーン組成物が得られた。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2023067628000014
[比較例8]
(A)成分として、実施例1で用いたイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-1)の代わりに、下記式(13)で示されるイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサン(A-5)を50部用いた以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、シリコーン組成物が得られた。この組成物を150℃にて4時間加熱成形して硬化物(120mm×110mm×1mm)を形成し、下記物性の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2023067628000015
実施例1~4及び比較例1~8で調製した組成物、及びその硬化物の物性を下記の方法で測定した。結果を表1および表2に記載した。
(1)外観
各組成物を150℃で4時間硬化させることで得られた硬化物(1mm)の色と透明性およびボイドの有無を目視で確認した。
(2)性状
硬化前の各組成物の流動性を確認した。100mlのガラス瓶に50gの組成物を加え、ガラスビンを横に倒して25℃で10分間静置した。その間に組成物が流れ出せば液状であると判断した。
(3)粘度
25℃における硬化前の各組成物の粘度をJIS K 7117-1:1999記載の方法で測定した。
(4)屈折率
各組成物を150℃×4時間で硬化して得られた硬化物の屈折率はATAGO製デジタル屈折計RX-9000αを用いて、波長589nmの光の屈折率を25℃でJIS K 0062に記載の方法で測定した。
(5)硬さ(タイプD)
各組成物を150℃×4時間で硬化して得られた硬化物の硬さを、JIS K 6249:2003に準拠して、デュロメータ タイプD硬度計を用いて測定した。
(6)切断時伸びおよび引張り強さ
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物の切断時伸びおよび引張り強さを、JIS K 6249:2003に準拠して測定した。
(7)接着性
各組成物0.25gを、面積180mmの銅板に底面積が45mmとなるように成形し、150℃で4時間硬化させ接着用試験片を作成した。その試験片をボンドテスターDAGE-SERIES-4000PXY(DAGE社製)を用いて、25℃でせん断接着力を測定した。接着試験後に、凝集破壊の部分と剥離部分との割合を求めて、その接着性を判定した。
(判定基準)
○:接着性が良好である(凝集破壊の割合80%以上)
×:接着性が不良である(凝集破壊の割合80%未満)
(8)耐冷熱衝撃性
上記接着試験で使用した試験片を、液槽冷熱衝撃試験機(エスペック社製)を用いて、-40℃~120℃、1,000サイクルの冷熱衝撃試験に投入した。試験後、上記と同様の条件で接着試験を行い、接着試験後に、凝集破壊の部分と剥離部分との割合を求めて、その接着性を判定した。
(判定基準)
○:接着性が良好である(凝集破壊の割合80%以上)
×:接着性が不良である(凝集破壊の割合80%未満)
(9)耐熱性試験
変性シリコーン組成物を150℃で4時間硬化させ、その後150℃下で100時間放置し、目視で色調変化を確認した。
(判定基準)
○:黄変がみられない
×:黄変がみられる
(10)フレキシブル基材接着性
各変性シリコーン組成物をPETフレキシブル基材(幅25mm、50μm厚、長さ70mm)表面に厚さ0.5mmになるように塗布、硬化させることで皮膜を形成した。基材に力を加えて一時的に変形させ、接着性を評価した。
(判定基準)
○:剥離がみられない
×:剥離がみられる
Figure 2023067628000016
Figure 2023067628000017
表1に示されるように、(A)成分としてアリール基を含むイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサンを使用した実施例1~4の変性シリコーン組成物では、十分な粘度、外観、屈折率、硬さ、切断時伸び、引張り強さ、接着性、破壊モード耐熱性、フレキシブル基材への接着性、透明性に優れた硬化物が得られた。これに対し、イソシアヌル酸変性されていない直鎖状オルガノポリシロキサンを使用した比較例1および2では、接着力が低く接着の破壊モードも剥離となり、冷熱衝撃試験後に基材が試験時のわずかな衝撃により、剥離していた。また耐熱性や基材接着性も乏しかった。(B)成分である分岐鎖状オルガノポリシロキサンを加えていない比較例3では、十分な引張り強さや硬度が得られず、強度に問題があった。またトリアリルイソシアヌレートを加えた比較例4では、耐熱性が改善されたものの、接着力が十分でなく、破壊モードも界面剥離となった。カップリング剤を加えた比較例5では、接着性が改善したものの、発生した揮発成分により、硬化物中にボイドがみられ、またフレキシブル基材から容易に剥離した。末端オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび側鎖オルガノハイドロジェンポリシロキサンを併用した比較例6では十分な接着性の向上は見られなかった。アリール基を含まないイソシアヌル酸変性オルガノポリシロキサンを使用した比較例7および8では、硬化物が不透明になり、また十分な屈折率やフレキシブル基材への接着性を得ることもできなかった。
以上のように、本発明の変性シリコーン組成物であれば、十分な引張り強さを有し、高硬度で外観(透明性)、耐熱性および接着性、フレキシブル基材への接着性に優れた硬化物を与えることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (4)

  1. 変性シリコーン組成物であって、
    (A)1分子中に1つ以上のイソシアヌル酸骨格および2個以上の炭素数2~10のアルケニル基を有し、ケイ素原子に結合した芳香族一価炭化水素基をケイ素原子に結合した置換基の合計個数に対し10%以上有するイソシアヌル酸変性直鎖状オルガノポリシロキサン、
    (B)SiO4/2単位及びRSiO3/2単位のうちのいずれか、またはその両方を含み、1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を有する分岐鎖状オルガノポリシロキサン(Rは独立して炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基である。)、
    (C)1分子中にSiH基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
    (D)白金族金属系触媒
    を含むものであることを特徴とする変性シリコーン組成物。
  2. 前記変性シリコーン組成物の硬化物のJIS K 6249:2003に記載の方法で測定したタイプD硬度が45~80の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の変性シリコーン組成物。
  3. 前記変性シリコーン組成物の硬化物のJIS K 0062に記載の方法で測定した589nmの波長における屈折率が1.45~1.60の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変性シリコーン組成物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の変性シリコーン組成物の硬化物を備えるものであることを特徴とする光半導体装置。
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