JP2023067339A - 熱硬化性マレイミド樹脂組成物、フィルム、プリプレグ、積層板及びプリント配線板 - Google Patents

熱硬化性マレイミド樹脂組成物、フィルム、プリプレグ、積層板及びプリント配線板 Download PDF

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Yoshihiro Tsutsumi
伸介 山口
Shinsuke Yamaguchi
雄貴 工藤
Yuki Kudo
洋之 井口
Hiroyuki Iguchi
史也 平野
Fumiya Hirano
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Abstract

【課題】高周波領域においても誘電特性に優れるだけでなく、成形性、埋め込み性も改善された熱硬化性マレイミド樹脂組成物、さらにはそれを含有する未硬化/硬化フィルム、プリプレグ、積層板及びプリント配線板の提供。【解決手段】(A)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物を2種以上、及び、(B)1時間半減期温度が140℃以上である有機過酸化物を含有する熱硬化性マレイミド樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性マレイミド樹脂組成物、フィルム、プリプレグ、積層板及びプリント配線板に関する。
近年、5Gという次世代通信システム(26GHz~80GHzのミリ波領域)が流行しており、さらには6Gという次々世代の通信システムの開発も始まり、今以上の高速、大容量、低遅延通信を実現しようとしている。これらの通信システムを実現するためには、3~80GHzの高周波帯用の材料が必要であり、ノイズ対策として伝送損失の低減が必須となる。
伝送損失は導体損失と誘電損失の和であり、導体損失の低減には使用する金属箔の表面の低粗化が必要である。一方、誘電損失は、比誘電率の平方根と誘電正接の積に比例することから、絶縁材としては誘電特性の優れた(低比誘電率かつ低誘電正接の)絶縁材料の開発が求められている。
その中でも基板用途で、このような誘電特性の優れた絶縁材料が求められている。リジッド基板では反応性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、フレキシブルプリント基板(FPC)では液晶ポリマー(LCP)や特性を改良した変性ポリイミド(MPI)と呼ばれる製品が使用されるようになってきている。
これに対して、実質的にダイマージアミン骨格を有するマレイミド化合物(特殊マレイミド化合物)を基板用の主要樹脂として使用することが報告されている(特許文献1~4)。一般的なマレイミド樹脂の特性とは逆で、特殊マレイミド化合物は、低ガラス転移温度(Tg)、高熱膨張係数(CTE)であるが、誘電特性に非常に優れ、フレキシブルな特性を有し、金属などへの接着力に優れ、熱硬化樹脂であるために(高)多層化できる可能性があるなど優位な点も多く、広い範囲にわたって研究開発されている。しかし、特殊マレイミド化合物の単独使用が主であった。
基板の寸法安定性の観点から、特殊マレイミド化合物に高Tgを有する他の芳香族マレイミド化合物を併用することが報告されている(特許文献5)が、芳香族マレイミド化合物は28GHz以上のミリ波領域での誘電特性が悪化する傾向にあるだけでなく、吸湿しやすい、相溶性に乏しく、硬化物に分離が発生しやすく、品質にばらつきが生じやすいなど問題がある。一方、特殊マレイミド化合物の高Tg化としては、ダイマージアミン以外のジアミンを併用したマレイミド化合物を使用することで実現できる(特許文献6)が、粘度が高く、成形性や埋め込み性に課題があることがわかってきた。
特開2016-131243号公報 特開2016-131244号公報 国際公開第2016/114287号 特開2018-201024号公報 国際公開第2016/114286号 特開2019-203122号公報
従って、本発明は、高周波領域においても誘電特性に優れるだけでなく、成形性、埋め込み性も改善された熱硬化性マレイミド樹脂組成物、さらにはそれを含有する未硬化/硬化フィルム、プリプレグ、積層板、プリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記熱硬化性マレイミド樹脂組成物が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
<1>
(A)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物を2種以上、
及び、
(B)1時間半減期温度が140℃以上である有機過酸化物
を含有する熱硬化性マレイミド樹脂組成物。

<2>
(A)成分の少なくとも1種が、下記式(1)で表されるマレイミド化合物(A-1)である<1>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
Figure 2023067339000001
(1)
(式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~200の2価炭化水素基であり、Qは独立して炭素数6~60の2価の脂環式炭化水素基であり、
WはB又はQであり、
B及びWの少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、
lは1~100であり、mは1~200である。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)

<3>
(A)成分の少なくとも1種が、下記式(3)で表されるマレイミド化合物(A-2)である<1>又は<2>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
Figure 2023067339000002
(式(3)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~200の2価炭化水素基であり、少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基である。nは0~100である。)

<4>
式(1)及び式(3)中のAが下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである<2>又は<3>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
Figure 2023067339000003

<5>
さらに(C)成分として重合禁止剤を含有する<1>~<4>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。

<6>
<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含む基板形成用未硬化フィルム。

<7>
<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含む基板形成用硬化フィルム。

<8>
<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物と繊維基材を含むプリプレグ。

<9>
<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含む積層板。

<10>
<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含むプリント配線板。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、高周波領域においても誘電特性に優れ、成形性、埋め込み性にも優れる。従って、本発明は未硬化/硬化フィルム、プリプレグ、積層板、プリント配線板用途に有用である。
本発明のプリプレグの一例を示す切断端面図である。 本発明の積層板の一例を示す切断端面図である。 本発明のプリント配線板の一例を示す切断端面図である。 成形後、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合樹脂フィルムを取り外した後の基板を示す切断端面図である。
以下、本発明に関して更に詳しく説明する。
(A)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物
本発明で用いられる(A)成分は1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物であり、本発明の組成物では、このマレイミド化合物を2種以上含有する。
ここで言う、ダイマー酸とは、植物系油脂などの天然物を原料とする炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化によって生成された、炭素数36のジカルボン酸を主成分とする液状の二塩基酸である。ダイマー酸は単一の骨格ではなく、複数の構造を有し、何種類かの異性体が存在する。ダイマー酸の代表的なものは直鎖型(a)、単環型(b)、芳香族環型(c)、多環型(d)という名称で分類される。
本明細書において、ダイマー酸骨格とは、このようなダイマー酸のカルボキシ基を1級アミノメチル基で置換した構造を有するダイマージアミンから誘導される基をいう。すなわち、(A)成分は、ダイマー酸骨格として、下記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がメチレン基で置換された基を有するものが好ましい。
また、(A)成分のマレイミド化合物中のダイマー酸骨格由来の炭化水素基は、水添反応により、該ダイマー酸骨格由来の炭化水素基中の炭素-炭素二重結合が低減した構造を有するものが、硬化物の耐熱性や信頼性の観点からより好ましい。
Figure 2023067339000004
(A)成分の1種は、下記式(1)で表されるマレイミド化合物(A-1)であることが好ましく、さらにもう1種は、下記式(3)で表されるマレイミド化合物(A-2)であることが好ましい。
(A-1)
Figure 2023067339000005
(1)
(式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~200の2価炭化水素基であり、Qは独立して炭素数6~60の2価の脂環式炭化水素基であり、
WはB又はQであり、
B及びWの少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、
lは1~100であり、mは1~200である。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)
上記式(1)で示されるマレイミド化合物(A-1)を使用すると、硬化前の溶融粘度は高いものの、硬化前後共に、他の一般的な芳香族を多数含有するマレイミド化合物よりも誘電特性に優れ、銅箔等の金属箔との密着力が強く、ダイマー酸骨格を有するマレイミド化合物としては高Tgであり、信頼性の高い組成物となる。式(1)で示されるマレイミド化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基を示し、中でも下記構造式で示される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
Figure 2023067339000006
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
また、前記式(1)中、Bは独立して炭素数6~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50の2価炭化水素基である。中でも、前記2価炭化水素基中の水素原子の1個以上が、炭素数6~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50のアルキル基又はアルケニル基で置換されている分岐状2価炭化水素基であることが好ましい。分岐状2価炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれでもよく、分子鎖の途中に脂環式構造又は芳香族環構造を有していてもよい。
前記分岐状2価炭化水素基として、具体的には、ダイマージアミンと呼ばれる両末端ジアミン由来の2価炭化水素基が挙げられ、従って、Bは、上記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がそれぞれメチレン基で置換された基を有するものが特に好ましい。
また、前記式(1)中、Qは独立して炭素数6~60の2価の脂環式炭化水素基であり、好ましくは炭素数6~30の2価の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数6~20の脂環式炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数8~18の脂環式炭化水素基である。該脂環式炭化水素基としてはシクロヘキサン骨格を有するものが好ましく、該シクロヘキサン骨格を有する態様としては、シクロヘキサン環を1つ有する例えば下記式(2)で示されるものであっても、複数のシクロヘキサン環がアルキレン基を介して結合したもの又は橋かけ構造を有する多環式のものであってもよい。
Figure 2023067339000007
(2)
(式(2)中、R1は独立して、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であって、x1及びx2はそれぞれ独立に0~4の数である。)
ここで、R1の具体例は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などが挙げられる。中でも水素原子及びメチル基が好ましい。なお、各R1は同じであっても異なっていてもよい。
また、前記x1及びx2はそれぞれ独立に0~4の数であり、好ましくは0~2の数である。なお、x1及びx2は同じであっても異なっていてもよい。
前記Qの具体例としては、以下のような構造式で表される2価の脂環式炭化水素基が挙げられる。
Figure 2023067339000008
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)
前記式(1)において、WはB又はQである。前記Wについては、製造方法の違いによって、B又はQを有するいずれの構造単位かが決まる。
前記式(1)において、lは1~100であり、好ましくは1~60であり、より好ましくは2~50であり、mは1~200であり、好ましくは1~50であり、より好ましくは3~40である。mやlが大きすぎると流動性が低下し、成形性に劣るおそれがある。
m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよいが、高Tg化しやすいという観点からブロックの方が好ましい。
(A-2)
Figure 2023067339000009
(式(3)中、Aは式(1)中と同じく、独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~200の2価炭化水素基であり、少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基である。nは0~100である。)
上記式(3)で示されるマレイミド化合物(A-2)を使用すると、硬化前後共に、他の一般的な芳香族を多数含有するマレイミド化合物よりも誘電特性に優れ、特に高周波になっても誘電特性を維持するのに効果的であるだけでなく、式(1)で示されるマレイミド化合物単独で使用した場合よりもさらに銅箔との密着力が強く、優れた組成物となる。式(3)で示されるマレイミド化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記式(3)中、Aは前記式(1)中のAと同じく、独立して環状構造を有する4価の有機基を示し、中でも下記構造式で示される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
Figure 2023067339000010
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(3)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
また、前記式(3)中、Bは独立して炭素数6~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50の2価炭化水素基であり、少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、ダイマー酸骨格として、前記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がメチレン基で置換された基を有するものが好ましい。同様に、前記2価炭化水素基中の水素原子の1個以上が、炭素数6~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50のアルキル基又はアルケニル基で置換されている分岐状2価炭化水素基であることが好ましい。分岐状2価炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれでもよく、分子鎖の途中に脂環式構造又は芳香族環構造を有していてもよい。
前記式(3)において、nは0~100であり、好ましくは0~60であり、より好ましくは0~50である。nが大きすぎると溶解性や流動性が低下し、成形性に劣るおそれがある。
2種類の(A)成分のマレイミド化合物((A-1)及び(A-2))のそれぞれの数平均分子量は特に制限はないが、組成物のハンドリング性の観点から800~50,000が好ましく、より好ましくは900~30,000である。また、(A)成分は前記(A-1)及び(A-2)以外の他のマレイミド化合物を含んでいてもかまわない。
なお、本発明中で言及する数平均分子量とは、下記測定条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした数平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperHZ4000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ3000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ2000(4.6mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL(濃度0.2質量%のTHF溶液)
本発明の樹脂組成物中の2種類の(A)成分の含有量は特に限定されないが、硬化物の耐熱性や寸法安定性の観点から、後記の無機充填材を配合しない場合は、ワニスとする場合の有機溶剤を除く各成分の合計中、90質量%以上100質量%未満が好ましく、90~99質量%がより好ましい。後記の無機充填材を配合する場合は、ワニスとする場合の有機溶剤を除く各成分の合計中、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましい。
また、(A-1)と(A-2)の両方を含有する場合、比率としては質量比で(A-1):(A-2)=95:5~40:60が好ましく、より好ましくは(A-1):(A-2)=90:15~60:40である。
(B)有機過酸化物
本発明で用いられる(B)成分である有機過酸化物は、(A)成分であるマレイミド化合物の架橋反応や(A)成分中のマレイミド基と反応しうる反応基との反応を促進するために添加するものである。
この有機過酸化物は、1時間半減期温度が140℃以上のものである。該有機過酸化物としては、ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、ジ-t-ブチルパーオキシド、クミルハイドロパーオキシド、t-ブチルハイドロパーオキシド及びt-ブチルクミルパーオキシド等が挙げられる。半減期温度が低いものを使用すると例えば接着剤として使用した際に被着体にしっかりと濡れる前に硬化して接着力が大きく低下したり、基板作製時に配線を埋め込むことができずに不良が生じたりする場合がある。
有機過酸化物は、(A)成分100質量部に対して0.05~10質量部配合することが好ましく、0.1~5質量部配合することがより好ましい。また、組成物中に後述するその他の熱硬化性樹脂を配合する場合は、(A)成分及びその他の熱硬化性樹脂成分の総和100質量部に対して0.05~10質量部、特に0.1~5質量部の範囲内で配合することが好ましい。上記範囲を外れると、マレイミド樹脂組成物の成形時に硬化が非常に遅くなったり速くなったりするおそれがあるため好ましくない。また、得られた硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスも悪くなるおそれがある。
(B)成分の有機過酸化物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。その他の添加剤を以下に例示する。
(C)重合禁止剤
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、(C)成分として重合禁止剤を配合してもよい。重合禁止剤は、本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の保存安定性を高めたり、反応性をより高度に制御するために配合するものであり、効果があるものであれば特に制限はない。
重合禁止剤としては、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4-ヒドロキノンなど一般的に良く使用されるものを始め、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-tert-ブチルカテコール、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物;2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、2-エチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、2-プロピルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、2-n-ブチルレゾルシノール、4-n-ブチルレゾルシノール、2-tert-ブチルレゾルシノール、4-tert-ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール系化合物;メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物;トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物;トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等のヒンダードアミン系化合物;1,4-ジヒドロキシ-2-ナフタレンスルホン酸アンモニウム、4-メトキシ-1-ナフトール等のナフタレン化合物、1,4-ナフトキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントロン等のナフトキノン化合物;ピロガロール、フロログルシン、4,4’-ブチリデン-ビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)等のフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
(C)成分の重合禁止剤の配合量は(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01~0.50質量部であり、より好ましくは0.02~0.45質量部であり、更に好ましくは0.03~0.40質量部である。
また、本発明の組成物が後述する(A)成分以外の、マレイミド基と反応しうる反応性基を有する熱硬化性マレイミド樹脂を含有する場合、(C)成分の重合禁止剤の配合量は熱硬化性マレイミド樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.01~0.70質量部であり、より好ましくは0.02~0.60質量部であり、更に好ましくは0.03~0.50質量部である。
また、(C)成分は1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
マレイミド基と反応しうる反応性基を有する熱硬化性樹脂
本発明ではさらに、マレイミド基と反応しうる反応性基を有する熱硬化性樹脂を添加してもよい。
熱硬化性樹脂としてはその種類を限定するものではなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、(A)成分以外のマレイミド化合物を始めとする環状イミド樹脂、ユリア樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、エポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂など(A)成分以外の各種樹脂が挙げられる。また、マレイミド基と反応しうる反応性基としては、エポキシ基、マレイミド基、水酸基、酸無水物基、アリル基やビニル基のようなアルケニル基、(メタ)アクリル基、チオール基などが挙げられる。
反応性の観点から、熱硬化性樹脂の反応性基は、エポキシ基、マレイミド基、水酸基、及びアルケニル基の中から選ばれるものであることが好ましく、さらに誘電特性の観点からはマレイミド基、アルケニル基又は(メタ)アクリル基がより好ましい。
ただし、マレイミド基と反応しうる反応性基を有する熱硬化性樹脂の配合量は、熱硬化性樹脂の総和中、0~60質量%であり、好ましくは0~50質量%である。
無機充填材
本発明ではさらに、必要に応じて無機充填材を添加してもよい。無機充填材は、本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物の強度や剛性を高めたり、熱膨張係数や硬化物の寸法安定性を調整したりする目的で配合する。無機充填材としては、通常エポキシ樹脂組成物やシリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、球状シリカ、溶融シリカ及び結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラス繊維及びガラス粒子等が挙げられる。さらに誘電特性改善のために含フッ素樹脂、コーティングフィラー、及び/又は中空粒子を用いてもよく、導電性の付与などを目的として金属粒子、金属被覆無機粒子、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの導電性充填材を添加してもよい。無機充填材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。無機充填材の添加量は(A)成分100質量部に対して0~300質量部であればよく、30~300質量部が好ましい。
無機充填材の平均粒径及び形状は特に限定されないが、フィルムや基板を成形する場合は特に平均粒径が0.5~5μmの球状シリカが好適に用いられる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。
さらに無機充填材は特性を向上させるために、マレイミド基と反応しうる有機基を有するシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。このようなシランカップリング剤としては、エポキシ基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン、及びアルケニル基含有アルコキシシラン等が挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、(メタ)アクリル基及び/又はアミノ基含有アルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
その他
上記以外に、反応性希釈剤、無官能シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、光増感剤、光安定剤、難燃剤、顔料、染料、接着助剤、イオントラップ材等を配合してもよい。
また、上述した無機充填材を表面処理するエポキシ基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン、及びアルケニル基含有アルコキシシラン等のシランカップリング剤は、別途本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物に配合されていてもよく、具体的なものも上述したものと同様のものが挙げられる。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、有機溶剤に溶解してワニスとして扱うこともできる。該組成物をワニス化することによってフィルム化しやすくなり、また、Eガラスや低誘電ガラス、石英ガラスなどでできたガラスクロス等の繊維基材へも塗布し、含浸しやすくなる。有機溶剤に関しては(A)成分、(B)成分及びその他の添加剤としてのマレイミド基と反応しうる反応性基を有する熱硬化性樹脂が溶解するものであれば制限なく使用することができるが、例えば、アニソール、テトラリン、メシチレン、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[製造方法]
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の製造方法としては、(A)成分及び(B)成分、並びに必要に応じて加えられるその他の添加剤を、例えば、プラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)や、攪拌機THINKY CONDITIONING MIXER(シンキー(株)製)を使用して混合する方法が挙げられる。
[未硬化樹脂フィルム/硬化樹脂フィルム]
この熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、前述のワニスを基材に塗工し、有機溶剤を揮発させることで未硬化樹脂シート又は未硬化樹脂フィルム(以下「未硬化フィルム」とも記載する)にしたり、さらにそれを硬化させることで硬化樹脂シート又は硬化樹脂フィルム(以下「硬化フィルム」とも記載する)としたりすることができる。以下にシート及びフィルムの製造方法を例示するが、これに限定されるものではない。
例えば、有機溶剤に溶解した熱硬化性マレイミド樹脂組成物(ワニス)を基材に塗布した後、通常80℃以上、好ましくは100℃以上の温度で0.5~20分加熱することによって有機溶剤を除去し、さらに130℃以上、好ましくは150℃以上の温度で0.5~10時間加熱することで、表面が平坦で強固なマレイミド樹脂硬化皮膜を形成することができる。
有機溶剤を除去するための乾燥工程、及びその後の加熱硬化工程での温度は、それぞれ一定であってもよいが、段階的に温度を上げていくことが好ましい。これにより、有機溶剤を効率的に組成物外に除去するとともに、樹脂の硬化反応を効率よく進めることができる。
ワニスの塗布方法として、スピンコーター、スリットコーター、スプレー、ディップコーター、バーコーター等が挙げられるが特に制限はない。
基材としては、一般的に用いられるのを用いることができ、例えばポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂などのポリエステル樹脂、などが挙げられる。該基材の表面を離形処理していてもかまわない。また、塗工層の厚さも特に限定されないが、溶剤留去後の厚さが1~100μm、好ましくは3~80μmの範囲である。さらに塗工層の上にカバーフィルムを使用してもかまわない。
他にも、各成分をあらかじめ予備混合し、溶融混練機を用いてシート状又はフィルム状に押し出して未硬化フィルム又は硬化フィルムを作製してもよい。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化により得られる硬化皮膜は、耐熱性、機械的特性、電気的特性、基材に対する接着性及び耐溶剤性に優れている上、低誘電率を有している。そのため、例えば半導体装置、具体的には半導体素子表面のパッシベーション膜や保護膜、ダイオード、トランジスタ等の接合部のジャンクション保護膜、VLSIのα線遮蔽膜、層間絶縁膜、イオン注入マスク等のほか、プリントサーキットボードのコンフォーマルコート、液晶表面素子の配向膜、ガラスファイバーの保護膜、太陽電池の表面保護膜に応用することができる。更に、前記熱硬化性マレイミド樹脂組成物に無機フィラーを配合した印刷用ペースト組成物、導電性充填材を配合した導電性ペースト組成物といったペースト組成物など幅広い範囲に応用することもできる。
また、未硬化の状態でフィルム状又はシート状にでき、自己接着性があり、誘電特性にも優れることから、特にリジッド基板用などのビルドアップフィルムやフレキシブルプリント配線板(FPC)用などのボンディングフィルム等の基板形成用未硬化フィルム又は硬化フィルムに好適に用いることができる。また、硬化樹脂フィルムはカバーレイフィルムとして使用することもできる。
他にも、ワニス化した熱硬化性マレイミド樹脂組成物をEガラスや低誘電ガラス、石英ガラスなどでできたガラスクロスなど等の繊維基材へ含浸し、有機溶剤を除去し半硬化状態にすることでプリプレグとして使用することもできる。また、そのプリプレグや銅箔などを積層させることで高多層のものを含む積層板やプリント配線板を作製することができる。
[プリプレグ]
本発明の一実施形態にかかるプリプレグの切断端面図を図1に示す。プリプレグ1は、熱硬化性樹脂2と繊維基材3とを備える。熱硬化性樹脂2は、前記熱硬化性マレイミド樹脂組成物又は該樹脂組成物の半硬化物である。なお、半硬化物とは、樹脂組成物をさらに硬化しうる程度に途中まで硬化された状態のものである。すなわち、半硬化物は、樹脂組成物を半硬化した状態、いわゆるBステージ化されたものである。一方、未硬化の状態をAステージということもある。すなわち、熱硬化性樹脂2はAステージ状態の前記熱硬化性マレイミド樹脂組成物であってもよいし、Bステージ状態の前記熱硬化性マレイミド樹脂組成物でであってもよい。
繊維基材3は前述の通り、Eガラス、低誘電ガラス、石英ガラス、さらにはSガラス、Tガラスなどが挙げられ、使うガラスの種類を問わないが、熱硬化性マレイミド樹脂組成物の特性を生かす観点から低誘電特性を有する石英ガラスクロスが好ましい。なお、一般的に使用される繊維基材の厚さは、例えば、0.01mm以上、0.3mm以下である。
プリプレグ1を製造する際には、プリプレグを形成するための基材である繊維基材3に含浸するために、熱硬化性樹脂2は、ワニス状に調製された樹脂ワニスとすることが好ましい。このようなワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)は、例えば、以下のようにして調製される。
まず、樹脂組成物の組成のうち有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に添加して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて用いられる、無機充填材など有機溶媒に溶解しない成分を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)が調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン及びアニソールが挙げられる。
プリプレグ1を製造する方法としては、例えば、熱硬化性樹脂2、例えば、ワニス状に調製された熱硬化性樹脂組成物2を繊維基材3に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。熱硬化性樹脂2は、繊維基材3へ、浸漬及び塗布等によって含浸される。必要に応じて複数回繰り返して含浸することも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の樹脂組成物を用いて含浸を繰り返すことにより、最終的に所望の組成及び含浸量に調整することも可能である。樹脂組成物(樹脂ワニス)2が含浸された繊維基材3は、所望の加熱条件、例えば、80℃以上180℃以下で1分間以上20分間以下加熱される。加熱によって、硬化前(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性樹脂2を備えるプリプレグ1が得られる。なお、前記加熱によって、前記樹脂ワニスから有機溶媒を揮発させ、有機溶媒を減少又は除去させることができる。
積層板
本発明の一実施形態にかかる積層板は、前記熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層又は前記熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層と、絶縁層以外の層とを積層したものである。一般的によく知られている積層板は、金属張積層板であり、その切断端面図を図2に示す。金属張積層板11は、前記熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含む又はからなる絶縁層12と、該絶縁層12の両面に金属箔13とを備える。図2には絶縁層12の両面に金属箔13を備える両面金属張積層板を図示したが、絶縁層12の片面にのみ金属箔13を備える片面金属張積層板であってもよい。
また、絶縁層12は、該熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物からなるものであってもよいし、前述のプリプレグ1の硬化物からなるものであってもよく、さらにプリプレグ1の硬化物を複数枚積層させたものであってもよい。また、前記金属箔13の厚みは、最終的に得られる配線板に求められる性能等に応じて異なり、特に限定されない。前記金属箔13の厚みは、所望の目的に応じて、適宜設定することができ、例えば、1~70μmであることが好ましい。また、前記金属箔13としては、例えば、銅箔及びアルミニウム箔等が挙げられ、前記金属箔が薄い場合は、ハンドリング性を向上のために剥離層及びキャリアを備えたキャリア付銅箔であってもよい。
このような積層板を製造する方法としては、一般的な方法であれば特に限定されない。例えば、プリプレグを使用する場合、プリプレグ1(図1)を1枚又は複数枚重ね、さらに、その上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔13を重ね、加熱加圧成形して積層一体化することによって、積層板を製造する方法等が挙げられる。
[プリント配線板]
本発明の一実施形態のプリント配線板は、前記熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含むものであり、その一例として、前記積層板、特に図2に示す金属張積層板を使用して製造されるプリント配線板の切断端面図を図3に示す。前記のように、プリント配線板の製造に使用される金属張積層板の絶縁層12は、前述のプリプレグを使用して製造されたものであってもよい。プリント配線板21は、金属張積層板11に対して、公知の方法によって、穴開け加工、金属めっき加工、金属箔のエッチング等による回路形成加工及び多層化接着加工を行うことによって製造することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。
(A-1)マレイミド化合物
(A-1-1):下記式で示されるダイマー酸骨格由来の炭化水素基含有ビスマレイミド化合物(BMI-2500、Designer Molecules Inc.製)数平均分子量:5000
Figure 2023067339000011
-C3670-はダイマー酸骨格由来の構造を示す。
m≒5、l≒1
(A-2)マレイミド化合物
(A-2-1):下記式で示されるダイマー酸骨格由来の炭化水素基含有ビスマレイミド化合物(BMI-1500、Designer Molecules Inc.製)数平均分子量:2200
Figure 2023067339000012
-C3670-はダイマー酸骨格由来の構造を示す。
n≒2

(A-2-2):下記式で示されるダイマー酸骨格由来の炭化水素基含有ビスマレイミド化合物(商品名:BMI-5000、Designer Molecules Inc.製)数平均分子量:10000
Figure 2023067339000013
-C3670-はダイマー酸骨格由来の構造を示す。
n≒8
(A-3)比較例用マレイミド化合物
(A-3-1):4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド(商品名:BMI-1000、大和化成工業(株)製)分子量:358.35
(A-3-2):ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物(商品名:MIR-3000、日本化薬(株)製)数平均分子量:670
(B)有機過酸化物
(B-1):ジ-t-ブチルパーオキシド(商品名:トリゴノックスB、化薬ヌーリオン(株)製、1時間半減期温度147℃)
(B-2):ジ-(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(商品名:パーカドックス14S-FL、化薬ヌーリオン(株)製、1時間半減期温度141℃)
(B-3):ジクミルパーオキシド(商品名:パーカドックスBC-FF、化薬ヌーリオン(株)製、1時間半減期温度137℃、比較例用)
(B-4):t-ブチルパーオキシ-2-エチルへキシルカーボネート(商品名:トリゴノックス117、化薬ヌーリオン(株)製、1時間半減期温度117℃、比較例用)
(B-5):ジラウロイルパーオキシド(商品名:ラウロックス、化薬ヌーリオン(株)製、1時間半減期温度79℃、比較例用)
(C)重合禁止剤
(C-1)2,6-t-ブチル-p-クレゾール(商品名:BHTスワノックス、精工化学(株))
(D)無機充填材
(D-1):平均粒径0.5μmのシリカ粒子(商品名:SO-25R、アドマッテクス(株)製)
[実施例1~5、比較例1~13]
<ワニスの作製及び外観>
表1及び2の配合で、ジムロート冷却管及び撹拌装置を備えた500mLの4つ口フラスコに、表1及び2に示す各成分を投入し、50℃で2時間撹拌させることでワニス状の樹脂組成物を得た。
<未硬化及び硬化フィルムの作製>
上記手順でワニスを作製した際、ワニスの分離が発生しなかった実施例1~5、比較例1~13のワニス状熱硬化性マレイミド樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上にローラーコーターで塗布し、120℃で10分間乾燥させて厚さ50μmの未硬化樹脂フィルムを得た。この未硬化樹脂フィルムを厚さ100μmのテトラフルオロエチレン-エチレン共重合樹脂フィルム(AGC株式会社製、製品名:アフレックス)上に載せ、180℃で2時間の条件で硬化させることで硬化樹脂フィルムを得た。
<比誘電率、誘電正接>
前記硬化樹脂フィルムを用いて、ネットワークアナライザ(キーサイト製、製品名:E5063-2D5)とストリップライン(キーコム株式会社製)を接続し、上記硬化樹脂フィルムの周波数10及び40GHzにおける比誘電率と誘電正接を測定した。
<剥離強度>
縦75mm、幅25mm、厚さ1.0mmのスライドガラスを用意し、その一方の表面に前記のPETフィルム付き未硬化フィルムのPET基材の貼っていない樹脂組成物面を載せ、100℃、0.3MPa圧、60秒の条件でラミネートを行った。ラミネート後、PET基材を剥がし、樹脂組成物面に18μm厚の銅箔(三井金属(株)製、Rz:0.6μm)を載せ、100℃、0.3MPa圧、60秒の条件でラミネートを行った。ラミネート後、180℃で2時間の条件で硬化させることで接着試験片を作製した。
接着性を評価するために、JIS-C-6481「プリント配線板用銅張積層板試験方法」に準拠し、温度23℃及び引張速度50mm/分の条件で、各接着試験片の銅箔をスライドガラスから剥がすときの90°はく離接着強さ(kN/m)を測定した。
<成形性(フロー性)>
100mm×100mm×50μmの未硬化フィルムを2枚重ねて積層し、さらにその両面に105mm×105mm×18μm厚の銅箔(三井金属(株)製、Rz:0.6μm)を重ねて、さらにその銅箔の未硬化フィルムが無い側にテトラフルオロエチレン-エチレン共重合樹脂フィルム(AGC株式会社製、製品名:アフレックス)を重ね、温度180℃、2時間、圧力3MPaの条件で成形した。その際、樹脂の染み出しが2mm以下のものを〇、2mm以上5mm以下のものを△、5mm以上のものを□、染み出しが2mm以下であるがそもそも銅箔の端面まで樹脂が到達していないものを×とした。
<埋め込み性>
95mm×95mm×0.44mm(0.4mm厚のガラスエポキシ基板及び18μmの銅箔2枚との積層体)の評価用の基板を用意し、基板の中心50mm角のエリアに対して銅箔のみをエッチングして、L/S=75/75μmの回路を持つ評価基板を準備した。
評価基板の両面に100mm×100mm×50μmの未硬化フィルムを重ね、さらにその両面にテトラフルオロエチレン-エチレン共重合樹脂フィルム(AGC株式会社製、製品名:アフレックス)を重ね、温度180℃、2時間、圧力3MPaの条件で成形した。この積層体の断面を顕微鏡で観察した。ボイドが全くなかった場合を〇、ボイドが1~3個の場合を△、ボイドが4個以上の場合を□、未充填のものを×とした。図4は、成形後、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合樹脂フィルムを取り外した後の基板を示す切断端面図である。
Figure 2023067339000014
Figure 2023067339000015
*圧力を0.5MPaまで低下させたが、染み出しは改善できなかった。
**表面のタックがひどく、未硬化のフィルムは得られなかったため、比誘電率と誘電正接の測定のみを実施した。
表1と2から本発明の樹脂組成物の有用性を確認できた。特に、半減期温度が低いものは未硬化フィルムを作製しようと乾燥させる工程で反応が進行してしまい、接着力や成形性の低下だけでなく、残存する溶剤の影響で誘電特性も悪化する傾向にあることが分かった。
1 プリプレグ
2 熱硬化性マレイミド樹脂組成物
3 繊維基材
11 金属張積層板
12 絶縁層
13 金属箔
21 プリント配線板
22 配線層
31 熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物
32 ガラスエポキシ基板
33 エッジング後に残った銅箔部分(回路)

Claims (10)

  1. (A)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有するマレイミド化合物を2種以上、
    及び、
    (B)1時間半減期温度が140℃以上である有機過酸化物
    を含有する熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
  2. (A)成分の少なくとも1種が、下記式(1)で表されるマレイミド化合物(A-1)である請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
    Figure 2023067339000016
    (1)
    (式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~200の2価炭化水素基であり、Qは独立して炭素数6~60の2価の脂環式炭化水素基であり、
    WはB又はQであり、
    B及びWの少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、
    lは1~100であり、mは1~200である。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)
  3. (A)成分の少なくとも1種が、下記式(3)で表されるマレイミド化合物(A-2)である請求項1又は2に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
    Figure 2023067339000017
    (式(3)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~200の2価炭化水素基であり、少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基である。nは0~100である。)
  4. 式(1)及び式(3)中のAが下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである請求項2又は3に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
    Figure 2023067339000018
  5. さらに(C)成分として重合禁止剤を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含む基板形成用未硬化フィルム。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含む基板形成用硬化フィルム。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物と繊維基材を含むプリプレグ。
  9. 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含む積層板。
  10. 請求項1~5のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含むプリント配線板。
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