JP2023065115A - 構造物 - Google Patents

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Hajime Sakagami
允哉 中村
Mitsuya Nakamura
嘉一 石関
Yoshikazu Ishizeki
智弥 金子
Tomoya Kaneko
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Abstract

【課題】躯体領域に付加される機能領域を効率的に形成することができる構造物を提供する。【解決手段】躯体壁10は、ノズルを移動させながらノズルから吐出したモルタルを積層させて形成した積層部10bを有する。積層部10bは、補強材を充填する空間S1を形成する閉鎖形状を有する躯体部20の外形本体20fと、断熱部30の外形本体30f及び設備部36の外形本体36fとを有する。外形本体36fは、外形本体20fと一体的に形成され、外形本体20fの外側に閉鎖形状を構成し、断熱機能を有する断熱部30を形成する部分である。外形本体36fは、外形本体20fと一体的に形成され、外形本体30fの外側に閉鎖形状を構成し、設備が配置される設備部36を形成する部分である。【選択図】図1

Description

本発明は、ノズルを移動しながらノズルからモルタルを吐出してモルタルを積層させて形成する構造物に関する。
建築物等の構造体(躯体)を形成する場合、3次元(3D)プリンタを利用することがある。この3Dプリンタにおいては、ノズルから材料を吐出させながらノズルを移動させて層を形成し、形成した層を徐々に積み重ねることにより立体形状を有する構造体を形成する。このような構造体の構造物において、コンクリート等のセメント系材料は、高い圧縮強度を有するが、引張強度は低い。そこで、セメント系材料を積層して形成し、高い引張強度を有する構造物を形成するための技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の構造物は、孔部を有し構造物の外形を構成する外形成体と、外形成体の孔部に第2モルタルを注入して形成される内構造体とを備える。外形成体は、3Dプリンタのノズルから第1モルタルを吐出させながら経路に沿って移動させて、奇数層部及び偶数層部を交互に積層させて形成する。内構造体は、外形成体を構成する第1モルタルよりも高強度の部材を構成する第2モルタルで構成する。
特開2020-26686号公報
一般的に、建築物では、躯体が完成した後、躯体の室内側に断熱層や設備層を設ける。このため、躯体工事が完了しないと、断熱工事や設備工事等の後工事を行なうことができない。従って、躯体領域及び機能領域を備えた構造物を効率的に形成することが難しかった。
上記課題を解決する構造物は、ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出したモルタルを積層させて形成した積層部を有する構造物であって、前記積層部は、補強材を充填する空間を形成する躯体領域と、前記躯体領域と一体的に形成され、仕上げ工事で行なわれる機能を付加した機能領域と、を備える。
本発明によれば、躯体領域に付加される機能領域を効率的に形成することができる。
実施形態における構造物としての躯体壁の斜視図である。 実施形態における躯体壁の上面図である。 実施形態における躯体壁を構成する奇数層のモルタル部の説明図である。 実施形態における躯体壁を構成する偶数層のモルタル部の説明図である。 実施形態における形成支援システム及び3Dプリンタの構成の説明図である。 実施形態ハードウェア構成の説明図である。 実施形態における吐出経路記憶部に記憶されたデータの説明図である。 実施形態において奇数層のモルタル部を形成する経路の説明図である。 実施形態において偶数層のモルタル部を形成する経路の説明図である。 第1変更例における躯体壁の要部の斜視図である。 第2変更例における躯体壁の要部の正面図である。 第2変更例における躯体壁の要部の側面断面図である。 第3変更例において断熱部の一方の側面を除去した躯体壁の要部の斜視図である。 第3変更例における躯体壁の第1領域における奇数層のモルタル部の形状を説明する上面図である。 第3変更例における躯体壁の第1領域における偶数層のモルタル部の形状を説明する上面図である。 第3変更例における躯体壁の第2領域におけるモルタル部の形状を説明する上面図である。 第3変更例における躯体壁の第3領域におけるモルタル部の形状を説明する上面図である。
以下、図1~図9を用いて、構造物を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、断熱部及び設備部が設けられた建物の躯体壁を、構造物として形成する。
図1に示すように、躯体壁10は、躯体部20、断熱部30及び設備部36を備える。躯体部20は、建物の躯体を構成する部分であって、外形本体20fと内部構造体25とを備える。ここで、機能領域とは、従来では躯体の完成後の後に行なわれる仕上げ工事によって付加される機能(断熱機能等)のための領域である。この仕上げ工事には、躯体工事以外の建築工事が含まれ、例えば、断熱工事だけでなく、設備工事も含まれる。
図2に示すように、本実施形態の躯体領域としての外形本体20fは、中空の略直方体形状であって、長辺のリンク部21,23及び短辺のリンク部22,24によって構成されている。本実施形態では、リンク部21~24は、半分の幅のモルタルを幅方向に2つに並べて当接させて構成されており、それぞれ外側部21a,22a,23a,24aと内側部21b,22b,23b,24bで構成される。外形本体20fは、後述する3次元(3D)プリンタを用いて、積層可能な硬化性を有するモルタル(セメント系材料)を積層させて形成される。
内部構造体25は、外形本体20fよりも高強度の補強材で構成され、例えば、スリムクリート(登録商標)等、繊維を混合したセメント系材料(繊維補強コンクリート材料)で構成される。内部構造体25は、外形本体20fの内部に形成された空間S1に充填された状態で外形本体20fと一体化される。
図1に示す断熱部30は、建物において躯体部20の一方の面側(建物として室内側)に設けられている。断熱部30は、機能領域としての外形本体30fと断熱本体部35とを備える。
図2に示すように、本実施形態の外形本体30fは、外形本体20fより長手方向が短い中空の直方体形状であって、長辺のリンク部23,33及び短辺のリンク部32,34によって構成されている。本実施形態のリンク部32~34も、リンク部23と同様に、半分の幅のモルタルを幅方向に2つに並べて当接させて構成されており、それぞれ外側部32a,33a,34aと内側部32b,33b,34bで構成される。外形本体30fは、外形本体20fと同様に、モルタルを積層させて形成される。
断熱本体部35は、発泡ビーズ等の発泡プラスチックの小片で構成される複数の断熱部材である。断熱本体部35は、外形本体20fの内部に形成された空間S2に充填される。
図1に示す設備部36は、断熱部30に対して躯体部20の反対側に設けられており、機能領域としての外形本体36fを備える。
図2に示すように、外形本体36fは、外形本体30fより長手方向が短い中空の直方体形状であって、外形本体36fの長辺のリンク部33,38及び短辺のリンク部37,39によって構成されている。リンク部37~39は、リンク部33と同様に、半分の幅のモルタルを幅方向に2つに並べて当接させて構成されており、それぞれ外側部37a,38a,39aと内側部37b,38b,39bで構成される。更に、外形本体36fは外形本体20f,30fと同様に、モルタルを積層して構成され、内部に空間S3を形成する。この空間S3には、配管や電気配線等の設備が配置される。
また、本実施形態では、躯体部20の外形本体20fのリンク部24、断熱部30の外形本体30fのリンク部34及び設備部36の外形本体36fのリンク部39は、一直線上に設けられている。
(積層部の構成)
次に、図2~図4を用いて、躯体壁10の積層部10bの構成について説明する。
本実施形態では、上述した外形本体20f,30f,36fを構成するリンク部21~24,32~34,37~39は、モルタルを積層させることにより、一体化された形状の積層部10bとして形成する。
積層部10bは、奇数層に形成されるモルタル部L1と、偶数層に形成されるモルタル部L2とを交互に積み重ねて構成される。積層部10bは、1つの層のモルタル部L1(L2)の形成が終了した後、その直上の1つの層のモルタル部L2(L1)を積み重ねることを連続して行なうことにより形成される。
具体的には、図3に示すように、奇数層のモルタル部L1は、リンク部21,22が1つのループで形成される。そして、モルタル部L1は、リンク部23の外側部23aの形成途中でリンク部32が形成され、リンク部33の外側部33aの形成途中でリンク部37が形成される。具体的には、モルタル部L1は、外側部21a,22a、内側部22b,21b,24b,23b、リンク部23の外側部23aの右端部、リンク部32の外側部32a及び内側部32bが、この順番で直線的に接続して形成される。また、モルタル部L1は、内側部32bに接続するリンク部23の残りの外側部23a、内側部34b,33b、リンク部33の外側部33aの右端部、リンク部37の外側部37a及び内側部37bが、この順番で接続して形成される。そして、モルタル部L1は、内側部37bに接続するリンク部33の残りの外側部33a、内側部39b,38b、外側部38a,39a,34a,24aが、この順番で接続して形成される。
また、図4に示すように、偶数層のモルタル部L2は、リンク部23,22が1つのループで形成され、リンク部33,32が1つのループで形成され、リンク部38,37が1つのループで形成される。具体的には、モルタル部L2は、外側部21a,内側部21b,24b,23b,22b、外側部22a,23a、内側部34b,33b,32b及び外側部32a,33aが、この順番で直線的に接続して形成される。更に、モルタル部L2は、外側部33aに接続する内側部39b,38b,37b及び外側部37a,38a,39a,34a,24aがこの順番で接続して形成される。
(3Dプリンタ40及び作成支援サーバ60の構成)
次に、図5を用いて、上述した躯体壁10の積層部10bを形成する3Dプリンタ40及び作成支援サーバ60について説明する。
(ハードウェア構成例)
図6は、3Dプリンタ40の制御装置50及び作成支援サーバ60等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
記憶装置H14は、制御装置50及び作成支援サーバ60の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶部(例えば、後述する吐出経路記憶部62)である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ端末(図示せず)、制御装置50及び作成支援サーバ60における各処理(例えば、後述する制御部51,61における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、制御装置50及び作成支援サーバ60のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下で構成し得る。
(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ
(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは
(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
(3Dプリンタ40の機能)
図5に示す本実施形態の3Dプリンタ40は、吐出部としてのノズル41、ロボットアーム45及び制御装置50を備える。
ノズル41は、その先端部が縮径し、その先端が開口した吐出口41aを有している。本実施形態では、吐出口41aは、下方を向いている。ノズル41の吐出口41aと反対側の端部には、ホース42の端部が接続されている。ホース42は、圧送ポンプ(図示せず)に接続されている。この圧送ポンプの圧力により、ホース42を介してノズル41に供給された第1モルタルは、吐出口41aから下方に吐出される。
ノズル41には、取付部44を介してロボットアーム45が取り付けられる。ノズル41は、このロボットアーム45に支持され、このロボットアーム45の動きに従って水平方向や上下方向に移動する。ロボットアーム45は、制御装置50の制御部51からの指示によって移動が制御される。本実施形態の制御部51は、移動時においてもノズル41からのモルタルの吐出方向が常に下方になるように、ロボットアーム45を制御する。
制御装置50は、構造物形成処理を実行する制御部51を備える。そのため、記憶部に格納された構造物形成プログラムを実行することにより、制御部51は、積層管理部511、移動制御部512及び吐出量制御部513として機能する。
積層管理部511は、構造物を形成するために、積層させるモルタルの経路及び高さを管理する処理を実行する。積層管理部511は、積層した層数をカウントし、現在のモルタルの積層数を記憶し、構造物の最終的な積層数になった場合にノズル41の移動を停止する。
移動制御部512は、経路に応じてノズル41を移動させるロボットアーム45の動きを制御する処理を実行する。
吐出量制御部513は、モルタルを圧送するポンプを制御して、ノズル41から吐出されるモルタルの吐出量を制御する処理を実行する。
(作成支援サーバ60の構成)
次に、形成支援システムとしての作成支援サーバ60の構成について説明する。
作成支援サーバ60は、ノズル41の移動経路を決定するコンピュータ端末である。この作成支援サーバ60は、制御部61及び吐出経路記憶部62を備える。作成支援サーバ60は、3Dプリンタ40の制御装置50に接続され、作成が完了した経路データ620を制御装置50に送信する。
制御部61は、記憶部に格納された経路決定プログラムを実行することにより、取得部611及び経路作成部612として機能する。
取得部611は、形成する躯体壁10の形状を取得する。
経路作成部612は、躯体壁10の外形本体20f,30f,36fの形状(積層部10bの形状)を特定し、この積層部10bを形成するための一筆書きによる経路を作成する。本実施形態では、経路作成部612は、積層部10bの半分の幅を用いて、各リンク部(21~24,32~34,37~39)を、幅方向に2つ接続された状態となる2重の経路で、積層部10bを構成する。
図7に示す吐出経路記憶部62には、躯体壁10の積層部10bを形成するノズル41の経路データ620が記録される。この経路データ620は、経路作成部612により一筆書き経路を作成した場合に記録される。経路データ620には、構造物識別子、吐出幅、積層数に応じた経路に関するデータが含まれる。
構造物識別子データ領域には、各躯体壁10を特定するための識別子に関するデータが記録される。
吐出幅データ領域には、この躯体壁10を形成するためにノズル41から吐出するモルタルの幅を特定するためのデータが記録される。
積層数に応じた経路データ領域には、この躯体壁10を形成するために、積層数に関連付けて、各積層における3Dプリンタ40のノズル41の経路を記憶する。
(躯体壁10の形成方法)
次に、図3~図5、図8及び図9を用いて、躯体壁10の形成方法について説明する。
まず、3Dプリンタ40は、制御装置50の制御部51に応じて、積層形成処理を実行する。具体的には、制御部51の積層管理部511は、移動制御部512及び吐出量制御部513を制御する。そして、移動制御部512は、ノズル41からモルタルを吐出させながらロボットアーム45を移動させる。この場合、制御部51の吐出量制御部513は、経路データ620の吐出幅のモルタルとなるように、ポンプからの吐出量とノズル41の移動速度とを調整する。そして、制御部51の積層管理部511は、経路データ620の積層数に応じた始点及び終点が同じ一筆書きの経路に沿ってノズル41を移動させる。
ここで、制御装置50の制御部51は、モルタルを吐出するノズル41を、経路データ620に従って移動させる。これにより、奇数層の場合には、図8に示す経路R101~R117の順番でノズル41が移動することにより、図3に示すモルタル部L1が形成される。また、偶数層の場合には、図9に示す経路R201~R215の順番でノズル41が移動することにより、図4に示すモルタル部L2が形成される。
そして、制御装置50の制御部51は、経路データ620の積層数に応じた経路でノズル41を移動させてモルタルを積層させる。これにより、モルタル部L1,L2が交互に積層することにより、積層部10bが形成される。
そして、積層部10bにおける外形本体20fを、型枠として用いて、空間S1に、繊維補強コンクリート材料を充填する。その後、この繊維補強コンクリート材料を硬化させることにより、内部構造体25は、外形本体20fと一体化されて、躯体部20が形成される。更に、積層部10bにおける外形本体30fの空間S2に、発泡プラスチックの小片を充填する。また、設備部36の外形本体36fの空間S3に、電気配線や配管等の設備を配置する。
(作用)
本実施形態の躯体壁10は、積層部10bを有する。積層部10bは、躯体部20の外形本体20f、断熱部30の外形本体30f及び設備部36の外形本体36fを備える。これにより、3Dプリンタ40によって、躯体部20の外形本体20fとともに、断熱部30の外形本体30f及び設備部36の外形本体36fを同時に形成することができる。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、躯体部20の外形本体20f、断熱部30の外形本体30f及び設備部36の外形本体36fを有する積層部10bを、3Dプリンタ40によって形成する。このため、躯体部20の外形本体20fの形成と同時に、断熱部30の外形本体30f及び設備部36の外形本体36fを形成することができる。従って、通常、躯体部20を完成した後に施工される断熱部30や設備部36を、躯体部20の作成時に一緒に形成することができるので、従来、躯体形成後に行なっていた断熱工事や設備工事等の仕上げ作業を効率的に行なうことができる。
(2)本実施形態では、躯体部20の外形本体20fの空間S1に充填した繊維補強コンクリート材料を充填した後、断熱部30の外形本体30fによって形成された空間S2に、発泡プラスチックの小片で構成される複数の断熱部材を充填する。これにより、躯体部20の空間S1に充填した繊維補強コンクリート材料が硬化する間に、断熱部30を形成することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態においては、構造物としての躯体壁10は、躯体領域としての躯体部20と、機能領域としての断熱部30及び設備部36を備える。躯体領域は、補強材を充填する空間を形成するモルタルを積層して構成される部分であれば、閉空間を構成しなくてもよい。例えば、木材の板の周囲に対してモルタルを積層することにより、躯体領域を構成してもよい。
更に、構造物において躯体領域とともに設ける機能領域は、躯体領域に対して設けられる断熱部、設備工事で行なう設備部に限られず、例えば、防水機能等、他の機能を設けた部分であってもよい。
更に、躯体領域及び機能領域は、大きさ、配置及び数は、上記実施形態に限定されない。例えば、躯体部20とともに、断熱部30又は設備部36のみを備えた構造物であってもよいし、断熱部の一部を設備部とした構造物であってもよい。
例えば、図10に示すように、躯体部20の一方側に機能部71を備えた構造物70であってもよい。この構造物70は、躯体部20の外形本体20fと機能部71の外形本体71fとを有する積層部70bを備える。機能部71の外形本体71fは、長辺のリンク部23,73及び短辺のリンク部72,74を備え、内側に空間S4を形成する。各リンク部72~74は、積層部70bの半分の幅の外側部と内側部で構成される。そして、リンク部73の内側部73bの一部76を、空間S4の内側に突出するように形成する。この場合、ノズル41を円弧形状の経路で移動させながらノズル41からモルタルを吐出させて積層する。これにより、空間S4の中に、空間S4とは別の空間S5を形成する。そして、空間S4には、発泡プラスチックの小片で構成される複数の断熱部材を充填して内部構造体75を形成する。また、空間S5には、配管等の設備を配置する。これにより、断熱部と設備部とを有する機能部71を備えた構造物を形成することができる。
・上記実施形態においては、躯体壁10の断熱部30及び設備部36は、上方を開口した空間S2,S3を形成した外形本体30f,36fを有する。構造物の積層部の機能領域の形状は、上方を開口した閉鎖形状に限定されない。例えば、側面に孔等を形成した形状であってもよいし、上部を閉鎖した形状であってもよい。
例えば、図11及び図12には、横孔85が形成された構造物80の上面図及び要部の断面図を示している。構造物80は、図10の構造物70において、設備部36の上部の形状が変更された構成を有し、空間S5の代わりに空間S6が形成されている。
図11に示すように、構造物80のリンク部73の側面部には、横孔85が形成されている。この横孔85が形成される層までは、空間S6は、空間S5の形成と同様に、リンク部73の内側部の一部76を、空間S4の内側に突出するように、モルタルを円弧形状の経路で吐出させて積層して形成する。
そして、図12に示すように、横孔85を形成する高さから上方に向かうに従って、空間S5を形成するモルタルの突出部分を徐々に小さくしたモルタル層86,87,88を積層する。そして、モルタル層88の直上より上の層においては、リンク部73の外側部73aに沿う直線形状の内側部73bを積み上げる。これにより、リンク部73の横孔85から上方の部分が、徐々に狭くなり上方が閉鎖した空間S6を形成することができる。
・上記実施形態では、躯体壁10の断熱部30は、外形本体30fで形成した空間S2に断熱本体部を充填する。断熱部の形状は、これに限定されず、例えば、熱交換用の流体(空気や水)等を流す経路を内部に形成した形状であってもよい。
具体的には、図13は、躯体部20と断熱部91とを有する構造物90の斜視図である。この斜視図では、構造物90において、断熱部91の手前側の垂直面となるリンク部93を省略して、断熱部91の空間に形成された突起部95,96,97の形状を示している。構造物90の積層部90bは、躯体部20の外形本体20fとともに断熱部91の外形本体91fを備える。外形本体91fは、外形本体20fのリンク部23と、短辺のリンク部92,94及び長辺のリンク部93とを備える。各リンク部92~94は、外側部92a,93a,94a及び内側部92b,93b,94bを有する。そして、断熱部91には、垂直面において、矢印R1で示すように流体が流れる経路が形成される。
具体的には、下端部から領域A1までの範囲では、垂直方向(縦方向)に延在する突起部95,96を有したモルタル部が形成される。本実施形態では、図14に示すモルタル部L3によって構成される。このモルタル部L3においては、リンク部23の外側部23aの形成途中で突起部95及び突起部96が形成されている。
更に、ここで、図15に示すように、突起部95,96を、リンク部23に対向するリンク部93の内側部93bの形成途中で形成するモルタル部L4と、モルタル部L3とを交互に積層してもよい。
そして、領域A2においては、突起部95,96,97が形成される。
ここでは、図16に示すように、リンク部23の形成途中で突起部95,96,97を形成したモルタル部L5で構成される。ここで、領域A2においても、領域A1と同様に、リンク部23に対向するリンク部93の形成途中で突起部95,96,97を形成したモルタル部と、モルタル部L5とを交互に積層してもよい。
この場合、図13に示すように、突起部97の最下部97aにおいては、リンク部23(93)から突起する量が、上方になるに従って徐々に大きくなるように形成される。これにより、吐出時の柔らかいモルタルによる突起部95の先端部が自重で降下することを抑制することができる。
更に、領域A3においては、突起部97のみが形成される。
この場合、図17に示すように、リンク部23の形成途中で突起部97を形成するモルタル部L7で構成する。更に、リンク部23に対向するリンク部93の形成途中で突起部97を形成したモルタル部とモルタル部L7とを交互に積層して構成してもよい。
以上のようにして、断熱部91が形成された後、断熱部91の下端部から、矢印R1に従って、冷風や温風を流すことにより、リンク部93の表面を冷却又は加熱して、室内等の温度を調整する。
・上記実施形態では、空間S1~S3を有する略直方体形状の積層部10bをモルタルで積層させた躯体壁10を形成した。形成する構造物は、躯体壁に限られない。また、形成する構造物の形状は、空間S1~S3を有する略直方体形状が形成された形状に限定されず、曲面を有する立体形状等であってもよいし、リブが形成された形状であってもよい。更に、一体化した部材を複数当接した積層部を有する構造物の場合には、積層部の全部を一筆書きで形成する場合に限られず、一体化した部材毎を一筆書きで形成して接合して形成してもよい。
・上記実施形態においては、躯体壁10の積層部10bは、積層部10bを幅方向に分割した外側部及び内側部によって各リンク部21~24,32~34,37~39を構成した。積層部は、すべてのリンク部が外側部及び内側部を有する2本(2つの経路)で構成する構造に限られず、一筆書きが可能な形状であれば、各リンク部の幅に対応する1つの経路で構成したリンク部を有した構造でもよい。更に、一部のリンク部を2本で構成し、残りのリンク部を1本(1つの経路)で構成する構造物であってもよい。
例えば、図10に示した構造物70において、外形本体71fのリンク部72~74を内側部と外側部とで形成し、他のリンク部21~24を1本のモルタルで形成した構造としてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記機能領域は、平面形状において2本のモルタル部が隣接され前記空間とは異なる第2空間を形成した外壁部を有し、前記外壁部のうち前記第2空間側を構成する内側部は、前記内側部と隣接する外側の外側部から離間した突出形状で前記モルタルを積層して構成することによって、前記第2空間と区分けした第3空間を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物。
(b)前記第3空間に水平方向に連通する孔を、前記外壁部に形成し、前記第3空間の上方を閉鎖するように、前記第2空間側を構成する内側部の突出部分を上方に従って徐々に小さくして形成することを特徴とする前記(a)に記載の構造物。
(c)前記外壁部は、熱交換流体が壁面を流れる流路を形成する縦方向に延在する突起部を備えることを特徴とする請求項1、2、前記(a)又は(b)に記載の構造物。
(d)ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出したモルタルを積層させて形成される積層部を備える構造物の形成方法であって、前記積層部は、補強材を充填する空間を形成する閉鎖形状を有する躯体領域と、前記躯体領域と一体的に形成され、前記躯体領域の外側に閉鎖形状を構成し、仕上げ工事のための機能領域とを備え、前記躯体領域と前記機能領域とを一体化した平面形状を積層することにより、前記積層部を形成することを特徴とする構造物の形成方法。
A1,A2,A3…領域、L1,L2,L3,L4,L5,L7…モルタル部、S1,S2,S3,S4,S5,S6…空間、R101~R117,R201~R215…経路、10…構造物としての躯体壁、10b,70b,90b…積層部、20…躯体部、20f…躯体領域としての外形本体、30f,36f,71f,91f…機能領域としての外形本体、21,22,23,24,32,33,34,37,38,39,72,73,92,93,94…リンク部、21a,22a,23a,24a,32a,33a,34a,37a,38a,39a,73a,92a,93a,94a…外側部、21b,22b,23b,24b,32b,33b,34b,37b,38b,39b,73b,92b,93b,94b…内側部、25,75…内部構造体、30,91…断熱部、35…断熱本体部、36…設備部、40…プリンタ、41…ノズル、41a…吐出口、42…ホース、44…取付部、45…ロボットアーム、50…制御装置、51,61…制御部、60…作成支援サーバ、62…吐出経路記憶部、70,80,90…構造物、71…機能部、76…一部、85…横孔、86,87,88…モルタル層、95a…最下部、95,96,97…突起部、511…積層管理部、512…移動制御部、513…吐出量制御部、611…取得部、612…経路作成部、620…経路データ。

Claims (2)

  1. ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出したモルタルを積層させて形成した積層部を有する構造物であって、
    前記積層部は、
    補強材を充填する空間を形成する躯体領域と、
    前記躯体領域と一体的に形成され、仕上げ工事で行なわれる機能を付加した機能領域と、を備えたことを特徴とする構造物。
  2. 前記機能領域は、断熱機能を有する断熱部及び設備が配置される設備部の少なくとも1つを形成する部分であることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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