JP7139773B2 - 構造物の形成方法及び構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、モルタルによって形成される構造物の形成方法及びその構造物に関する。
立体の構造物を形成する場合、3次元(3D)プリンターを利用することがある。この3Dプリンターは、ノズルから材料を吐出させながらノズルを移動させて層を形成し、形成した層を徐々に積み重ねることにより立体形状を形成する。更に、各層の形状を変更することにより、複雑な立体形状を形成することもできる。
このような3Dプリンターによるコンクリート構造物も検討されている(例えば、非特許文献1参照。)。この文献においては、セメント系材料で構成されたインクをノズルから吐出して、このノズルを取り付けたロボットアームを所定の方向に動かして層を形成し、この層を積み重ねて、構造物を形成する。
しかし、コンクリート等のセメント系材料は、高い圧縮強度を有するが、引張強度は低い。そこで、内部に鉄筋を挿入して、3Dプリンターを用いてコンクリート構造物を構築する技術も検討されている(例えば、非特許文献2,3参照。)。この非特許文献2においては、モルタルで形成した部材の組立時に鉄筋を挿入する。また、非特許文献3においては、3Dプリンターで積層する際に、ノズル先端から配力筋ケーブルを供給し、このケーブルをモルタルに練り込みながら造形する。
大林組、「特殊なセメント系材料を用いた3Dプリンターを開発」、[online]、[平成30年7月9日検索]、インターネット〈URL:http://www.obayashi.co.jp/press/news20171013_1〉 建設ITワールド 建設ITブログ、「鉄筋も入っていた!3Dプリンターで作られたオフィスの建設過程が明らかに」、[online]、[平成30年7月9日検索]、インターネット〈URL:http://ieiri-lab.jp/it/2016/06/3d-printed-office-in-dubai.html〉 建設ITワールド 建設ITブログ、「配力筋を練り込む!3Dプリンターで造った橋の製作過程が明らかに」、[online]、[平成30年7月9日検索]、インターネット〈URL:http://ieiri-lab.jp/it/2017/10/dutch-3d-printed-bridge.html〉
しかしながら、非特許文献2に記載された技術では、3Dプリンターで形成した構造に、後から鉄筋を挿入する作業が必要であるため、効率が悪い。また、非特許文献3に記載された技術では、3Dプリンターに、鉄筋等の鋼材を挿入する機構を設ける必要があり、装置構成が複雑になる。
上記課題を解決する構造物の形成方法は、第1組成の第1モルタルを、孔部を区画しながら積層させることにより、外形を形成し、前記孔部に、第1組成とは異なる第2組成の第2モルタルを注入する。
上記課題を解決する構造物は、第1モルタルによって構築された第1部材と、第2モルタルによって構築された第2部材とを備え、前記第1部材の内部で耐引張力を補強する位置に、前記第2部材を埋設する。
本発明によれば、引張強度を有する構造物を、効率的に形成することができる。
第1実施形態における構造物の斜視図。 第1実施形態における構造物を説明する説明図であって、(a)は奇数層の平面図、(b)は偶数層の平面図、(c)は構造物の正面断面図。 第1実施形態における構造物の外形を形成するために用いる3Dプリンターの構成を説明する全体の概念図。 第1実施形態における構造物の説明図であって、(a)は形成予定の形状の平面図、(b)は奇数層における一筆書きの移動経路図、(c)は偶数層における一筆書きの移動経路図。 第1実施形態における構造物の形成処理の処理手順を説明する流れ図。 第1実施形態における構造物の形成処理を説明する説明図であって、(a)は構造物を途中まで形成した断面図、(b)は構造物を最上部まで形成した断面図。 第2実施形態における構造物の全体の説明図。 第2実施形態における構造物の形成処理の処理手順を説明する流れ図。 第2実施形態における構造物の形成処理を説明する説明図であって、(a)は途中まで形成した断面図、(b)は上部を形成した断面図。 変更例における構造物の構成に用いる追加する層を説明する説明図。
(第1の実施形態)
以下、図1~図6を用いて、構造物の形成方法及び構造物を具体化した第1の実施形態を説明する。本実施形態では、構造物の外形を形成する第1部材としての外形成体と、外形成体の内部に形成される第2部材としての内構造体とを備えた構造物を構築する。
図1に、本実施形態の構造物C1を示す。この構造物C1は、概略、直方体形状を有する。なお、図1及び図2(c)では、説明のために、構造物C1の高さを5層で示す。
構造物C1は、外形成体10と内構造体20とを含んで構成される。外形成体10は、構造物C1の外形を構成し、3次元(3D)プリンターを用いて、積層可能な硬化性を有するセメント系材料(第1モルタル)を積層させて形成される。内構造体20は、外形成体10の内部に形成され、外形成体10よりも高強度の部材で形成される。この内構造体20の形成には、第2モルタルとして、例えば、スリムクリート(登録商標)等、繊維を混合したセメント系材料(繊維補強コンクリート材料)を用いる。
外形成体10の外側は、構造物C1の外形である略四角枠形状を積層して形成される。この外形成体10の各層は、複数の孔部10aを直線状に並べた形状であり、この形状を一筆書きにより形成する。外形成体10においては、仮に構造物C1を鉄筋コンクリートにより構築した場合に、鉄筋が配置される領域を含むように各孔部10aを設ける。
本実施形態の外形成体10は、第1レイヤとしての奇数層部11と、第2レイヤとしての偶数層部12とを交互に積層して構成する。
図2(a)及び図2(b)に、奇数層部11と偶数層部12の形状を示す。
図2(a)に示すように、奇数層部11は、第1領域としての外形状部11aと、第2領域としてのリブ部11bとを備える。外形状部11aは、2点鎖線で示すように、構造物C1の略四角枠(外形)を構成する。リブ部11bは、2点鎖線で示すように、外形状部11aに接続され、構造物C1の内部に形成される各孔部10aを区画する。本実施形態では、外形状部11a及びリブ部11bを、一筆書きの移動経路で構成する。なお、リブ部11bは、往路に接した復路からなる一筆書きで形成される。
図2(b)に示すように、偶数層部12は、第3領域としての外形状部12aと、第4領域としてのリブ部12bとを備える。外形状部12aは、奇数層部11の外形状部11aと同様に、構造物C1の略四角枠(外形)を構成する。リブ部12bは、外形状部12aに接続され、奇数層部11のリブ部11bと同様に、構造物C1の内部に形成される各孔部10aを区画する。
そして、偶数層部12のリブ部12bは、奇数層部11のリブ部11bの上方(又は下方)に形成されるとともに、それぞれの外形状部(11a,12a)の長手方向に延在する軸に対して対称の位置に接続される。リブ部12bも、リブ部11bと同様に、往路に接した復路からなる一筆書きで形成される。
図2(c)に示すように、内構造体20は、複数の鉛直部21によって構成される。各鉛直部21は、リブ部(11b,12b)、外形状部(11a,12a)に囲まれた孔部10a内に、繊維補強コンクリート材料(第2モルタル)が充填されて形成される。
<外形成体10を形成する3Dプリンターの構成>
次に、図3を用いて、外形成体10を形成する3Dプリンター30の構成について説明する。
本実施形態の3Dプリンター30は、吐出部としてのノズル31、ロボットアーム35及び制御装置40を備える。
ノズル31は、その先端部(図中の左側端部)が縮径し、その先端が開口した吐出口31aを有している。本実施形態では、吐出口31aは、下方を向いている。ノズル31の吐出口31aと反対側の端部には、ホース32の端部が接続されている。ホース32は、圧送ポンプ(図示せず)に接続されている。この圧送ポンプの圧力により、ホース32を介してノズル31に供給された第1モルタルは、吐出口31aから下方に吐出される。
ノズル31には、取付部34を介して、移動手段としてのロボットアーム35が取り付けられる。ノズル31は、このロボットアーム35に支持され、このロボットアーム35の動きに従って水平方向や上下方向に移動する。ロボットアーム35は、制御装置40の制御部41からの指示によって移動が制御される。本実施形態の制御部41は、移動時にノズル31からの第1モルタルの吐出方向が常に下方になるように、ロボットアーム35を制御する。
制御装置40は、制御部41、入力部(図示せず)及び出力部(図示せず)を備えている。入力部は、キーボードやポインティングデバイス等を備え、形成する構造物に関する情報を制御部41に供給する。出力部は、ディスプレイ等を備え、入力された情報や形成する構造物の経路等を表示する。
制御部41は、制御手段(CPU、RAM、ROM等)を備え、構造物形成処理を行なう。そのため、記憶部に格納された構造物形成プログラムを実行することにより、制御部41は、積層管理部411、移動制御部412及び吐出量制御部413として機能する。
積層管理部411は、構造物を形成するために、積層させるモルタルの経路及び高さを管理する処理を実行する。積層管理部411は、1層の高さ、構造物高さ(設計上の構造物C1の高さ)、基準高さ及び孔部毎の接続面高さを記憶している。基準高さは、3Dプリンター30による積層を中断する高さである。接続面高さは、孔部10aに第2モルタルを同時期に注入する高さであり、奇数層部11又は偶数層部12の一階層の途中の高さ位置を用いる。更に、積層管理部411は、積層した層数をカウントする。
移動制御部412は、経路に応じてノズル31を移動させるロボットアーム35の動きを制御する処理を実行する。
吐出量制御部413は、ノズル31から吐出するモルタルを圧送するポンプを制御する処理を実行する。
<構造物の移動経路>
次に、図4を用いて、外形成体10の奇数層部11及び偶数層部12を形成するための移動経路について説明する。
図4(a)は、各層の外形成体10の設計上の基本形状である。この外形成体10は、四角枠形状の外形状部15と、リブ部16とを備える。この外形成体10を、一筆書きで形成するための移動経路(ルート)を生成する。
ここでは、図4(b)に示すように、奇数層部11を形成する移動経路においては、外形状部15の長辺の途中で、対向する長辺に先端が接するように一往復させてリブ部11bを形成する。
図4(c)に示すように、偶数層部12を形成する移動経路においては、奇数層部11とは異なる長辺においてリブ部12bを形成する。
このように、奇数層部11及び偶数層部12の移動経路を接続させた一筆書き経路を積層管理部411に記憶させる。
<構造物の形成方法>
次に、図5を用いて、構造物C1の形成方法について説明する。ここでは、所定の高さ(基準高さ)までの連続的な形成を繰り返しながら、構造物C1を構築する。具体的には、奇数層部11及び偶数層部12を積層させて、基準高さまで到達した場合、3Dプリンターによる形成を中断する。そして、所定の中断期間の経過後に、再び基準高さ分の形成を繰り返す。この中断期間において、所定の高さ(接続面高さ)分の第2モルタルを注入して、鉛直部21を形成する。本実施形態では、外形成体10の基準高さより低く、かつ隣接する孔部10aにおいては異なる接続面高さで、第2モルタルを注入することにより、目地の高さを不揃いにする。
まず、3Dプリンター30は、積層形成工程としての積層形成処理を実行する(ステップS1-1)。具体的には、制御装置40の制御部41は、ノズル31から第1モルタルを吐出させながら、移動経路に沿ってロボットアーム35を移動させることにより、奇数層部11を形成し(第1工程)、この奇数層部11上に偶数層部12を形成する(第2工程)。そして、第1工程及び第2工程を交互に繰り返して、第1モルタルを積層する。
次に、3Dプリンター30は、構造物高さまで到達したか否かの判定処理を実行する(ステップS1-2)。具体的には、制御装置40の制御部41は、連続して形成した積層高さ(積層した層数×1層の高さ)と、構造物C1の構造物高さとを、定期的に(例えば1層分、積層する毎に)比較する。
構造物高さに到達していないと判定した場合(ステップS1-2において「NO」の場合)、3Dプリンター30は、基準高さまで到達したか否かの判定処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御装置40の制御部41は、積層開始(又は直近の積層中断後の積層再開)からの高さと基準高さとを比較する。
基準高さまで到達していないと判定した場合(ステップS1-3において「NO」の場合)、3Dプリンター30は、積層形成処理(ステップS1-1)を繰り返す。この場合には、制御装置40の制御部41は、次の奇数層部11又は偶数層部12を形成する。
一方、基準高さまで到達したと判定した場合(ステップS1-3において「YES」の場合)、3Dプリンター30は、積層形成処理(ステップS1-1)を中断する。
そして、孔部10a毎に予め定められた接続面高さまで、第2モルタルを注入する注入工程を実行する(ステップS1-4)。
この場合、図6(a)に示すように、隣接する孔部10a毎に、異なる接続面高さまで第2モルタルを注入することにより、部分(21a1,21a2,21a3)を形成する。なお、孔部10aにおいて、既に注入された第2モルタルがある場合には、この第2モルタルの上に、接続面高さまで、新たな第2モルタルを注入する。
そして、各孔部10aにおいて接続面高さまでの第2モルタルの注入を完了した場合、再び、3Dプリンター30を用いて積層形成処理を実行する(ステップS1-1)。この場合、外形成体10となる先行して積層した第1モルタルの上に、奇数層部11又は偶数層部12を積層する。
一方、構造物高さまで到達した場合(ステップS1-2において「YES」の場合)、3Dプリンター30は、積層形成処理(ステップS1-1)を終了する。
そして、孔毎に、構造物高さまで第2モルタルを注入する(ステップS1-5)。具体的には、各孔部10aに、構造物C1の外形成体10の最上面まで第2モルタルを注入する。
この場合には、図6(b)に示すように、各孔部10aに、構造物高さまで第2モルタルを注入することにより、部分(21b1,21b2,21b3)を形成する。これら部分(21b1,21b2,21b3)は、直下の部分(21a1,21a2,21a3)と接続面において接続して一体化する。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)本実施形態では、孔部10aを有し構造物C1の外形を構成する外形成体10と、孔部10aに注入して形成される内構造体20とを備えた構造物C1を形成する。内構造体20を、高強度材料で構成することにより、強度が高い構造物C1を構築することができる。また、第2モルタルは、孔部10aのみに使用するので、使用量を低減することができる。
(1-2)本実施形態では、3Dプリンター30のノズル31を一筆書きの移動経路で動かして各層(11,12)を形成し、これを繰り返して積層させることにより、外形成体10を形成する。これにより、効率的に外形成体10を形成することができる。
(1-3)本実施形態では、外形成体10は、奇数層部11と偶数層部12とを交互に積層して構成される。奇数層部11と偶数層部12とでは、外形状部11a,12aに対して、リブ部11b,12bの接続位置が異なる。これにより、目地の発生を抑制することができる。
(1-4)本実施形態では、外形成体10は、複数の孔部10aを区画するためのリブ部11b,12bを有する。これにより、リブ部11b,12bが、外形状部11a,12aの長手方向の部材(長辺)同士を連結して補強するため、外形状部11a,12aを高く形成しても安定して積層することができる。
(1-5)本実施形態では、3Dプリンター30により、外形成体10を基準高さまで到達した場合(ステップS1-3において「YES」の場合)、各孔部10aへの第2モルタルの注入する処理(ステップS1-4)を繰り返して、構造物C1を形成する。これにより、第1モルタル及び第2モルタルの硬化状態と作業効率とを考慮して、構造物C1を形成することができる。
(1-6)本実施形態では、外形成体10に形成された孔部10aに注入する第2モルタルは、外形成体10の基準高さより低い接続面高さまで注入する。これにより、外形成体10と内構造体20との目地の高さを不揃いに配置できる。
(1-7)本実施形態では、外形成体10に形成された複数の孔部10aのうち、隣接する孔部10aにおいて、異なる接続面高さで第2モルタルを注入する。これにより、鉛直部21の目地の高さを不揃いに配置できる。
(1-8)本実施形態では、外形成体10を、積層可能な硬化性を有するセメント系材料で構成し、内構造体20を、繊維を混合したセメント系材料で構成する。これにより、外形成体10を積層により形成し、その内部に高強度の内構造体20を形成することができる。
(1-9)本実施形態では、鉛直部21を、仮に構造物C1を鉄筋コンクリートにより構築した場合に、鉄筋が配置される領域を含む位置に設けた孔部10a内に第2モルタルを充填して形成する。これにより、鉛直部21を鉄筋の代わりに効率的に配置して、高い引張強度を有する構造物C1を形成することができる。
(第2の実施形態)
次に、図7~図9を用いて、構造物の形成方法及び構造物を具体化した第2の実施形態を説明する。本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、外形成体10と内構造体20とを備えた構造物を形成する。本実施形態では、構造物の形状に応じて、内部に形成する孔部10aの配置を変更する。例えば、構造物の幅の変化に応じて、高さや大きさが異なる複数の孔部10aを形成する。なお、本実施形態において、上記実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態では、図7に示すように、正面形状が台形形状で、平面断面が四角形状の構造物C2を形成する。すなわち、構造物C2の幅は、上方に従って狭くなる。そこで、積層する外形成体10の長手方向の長さを徐々に短くする。この場合、長手方向の端部の孔部10aを積層に従って狭くするとともに、基準高さH1毎に孔部10aの数を減らす。
この構造物C2は、上記第1実施形態と同じく、3Dプリンター30によって第1モルタルを積層して形成される外形成体10と、内部に形成された孔部10aに注入した第2モルタルで形成される内構造体20とを備える。本実施形態では、内構造体20は、両端に位置する鉛直部21が、外形成体10の外形状部(11a,12a)に沿う形状で形成される。そして、構造物C2は、両端の孔部10aを基準高さH1毎に減る構造である。このため、制御装置40の制御部41は、各孔部の上端の高さ(孔部上端高さ)を記憶する。
次に、図8を用いて、この構造物C2の形成方法について説明する。
図8に示すように、ステップS1-1,S1-2と同様に、3Dプリンター30は、積層形成処理を実行し(ステップS2-1)、構造物高さまで到達したか否かの判定処理を実行する(ステップS2-2)。
構造物高さに到達していないと判定した場合(ステップS2-2において「NO」の場合)、ステップS1-3と同様に、3Dプリンター30は、基準高さまで到達したか否かの判定処理を実行する(ステップS2-3)。
基準高さまで到達していないと判定した場合(ステップS2-3において「NO」の場合)、3Dプリンター30は、積層形成処理(ステップS2-1)を繰り返す。
一方、基準高さまで到達したと判定した場合(ステップS2-3において「YES」の場合)、3Dプリンター30は、積層形成処理(ステップS2-1)を中断する。
次に、孔部上端高さに到達した孔があるか否かの判定を行なう(ステップS2-4)。この孔部上端高さとは、構造物の幅の変化に応じて、孔部10aを閉じる高さである。
孔部上端高さに到達した孔がある場合(ステップS2-4において「YES」の場合)には、孔部上端高さに到達した孔において、第2モルタルを孔部上端高さまで注入する注入工程を実行する(ステップS2-5)。具体的には、基準高さの上面まで、孔部10aに第2モルタルを注入する。
図9(a)は、構造物C2の形成途中の断面形状であり、図9(b)は構造物C2の上端部を形成した断面形状である。図9においては、内構造体20を区切るリブ部は、外形状部に対して縦断面を四角形状で簡略化して示している。
図9(a)に示すように、両端に位置する孔部10aが孔部上端高さに到達した場合、この孔部10aには、孔部上端高さまで、第2モルタルを注入する。
一方、図8に示すように、孔部上端高さに到達した孔がない場合(ステップS2-4において「NO」の場合)、ステップS2-5をスキップする。
次に、残りの孔毎に、各接続面高さまで第2モルタルを注入する注入工程を実行する(ステップS2-6)。具体的には、第1実施形態と同様に、隣接する孔部10a毎に、異なる接続面高さまで、第2モルタルを注入する。この場合も、接続面高さとして、奇数層部11又は偶数層部12の途中となる高さを用いる。
図9(a)に示すように、中央領域の孔部10aにおいて、既に注入していた接続面高さの第2モルタルの上に更に第2モルタルを注入する。そして、各孔部10aにおいて、異なる接続面高さまで第2モルタルを注入することにより、部分(21c2,21c3)を構成する。
次に、各孔部10aへの第2モルタルの注入を完了した場合、再び、3Dプリンター30を用いて積層形成処理を実行する(ステップS2-1)。
一方、図8に示すように、構造物高さまで到達した場合(ステップS2-2において「YES」の場合)、3Dプリンター30は、積層形成処理(ステップS2-1)を中断する。そして、ステップS1-5と同様に、孔毎に、構造物高さまで第2モルタルを注入する(ステップS2-7)。
この場合には、図9(b)に示すように、各孔部10aにおいて、既に注入していた接続面高さの第2モルタルの上に、構造物高さまで第2モルタルを注入することにより、部分(21c3)の上に形成された部分(21d3)の上に、最上部(21e3)を形成して、内構造体20を形成する。
従って、本実施形態によれば、上記(1-1)~(1-9)に記載の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2-1)本実施形態では、外形成体10の長手方向の長さを徐々に短くなるように積層させるので、上方に従って幅が狭くなる構造物C2を形成することができる。
(2-2)本実施形態では、基準高さH1毎に孔部10aの数を減らす。これにより、上方に従って幅が狭くなる構造物C2の端部においても、内構造体20を形成することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記各実施形態では、構造物C1,C2の外形成体10は、長手方向の向きを変更した奇数層部11と偶数層部12とを交互に積層することにより構成した。構造物の積層は、2つの層を交互に積層する場合に限られず、1つの層を積層してもよいし、3つ以上の層を交互に積層してもよい。更に、異なる形状の層部をランダムに積層してもよい。例えば、図10に示すように、各長辺部13aを形成する際に一部のリブ部13bを往復して形成する経路に沿って形成される層部13を含めて積層してもよい。
・上記実施形態では、外形成体10を、構造物C1,C2の外形となる略四角枠形状で形成した。外形成体の形状は、構造体の外形を備えた形状であれば、略四角枠形状に限定されない。例えば、リブ部を有しない外形(例えば、円筒や多角錐、多角柱等)の構造体の外形を形成する外形成体であってもよい。
・上記実施形態では、内構造体20を充填する複数の孔部10aを、一直線に並べた。各孔部10aの配置は、一直線に限定されない。仮に構造物C1を鉄筋コンクリートにより構築した場合に、鉄筋が配置される領域を含むように配置すればよく、2次元的に配置にしてもよい。また、内構造体20を構造物C1,C2の鉛直方向に延在するように形成したが、内構造体20を水平方向に延在するように配置してもよいし、格子状に配置してもよい。
・上記各実施形態では、第1モルタルによって外形を形成する外形成体10の内部に配置する内構造体20は、外形成体10よりも高強度の部材を構成するモルタルで構成した。内構造体20は、外形成体10と同等の強度の部材又は低強度の部材で構成してもよい。これらの場合においても、外形成体10が積層して形成した後に、外形成体10を型枠として用いて内構造体20を打設して、構造物を形成することができる。
・上記各実施形態では、基準高さまで到達した場合、3Dプリンターによる形成を中断し、第2モルタルを注入する。これに代えて、第2モルタルを、3Dプリンターを用いて注入してもよい。この場合には、ノズルを各孔部に移動させて、接続高さまでのモルタル量の第2モルタルを注入する。
C1,C2…構造物、H1…基準高さ、10…外形成体、10a…孔部、11…奇数層部、11a,12a,15…外形状部、11b,12b,13b,16…リブ部、12…偶数層部、13…層部、13a…長辺部、20…内構造体、21…鉛直部、30…3Dプリンター、31…ノズル、31a…吐出口、32…ホース、34…取付部、35…ロボットアーム、40…制御装置、41…制御部、411…積層管理部、412…移動制御部、413…吐出量制御部。

Claims (5)

  1. 構造物の外形を形成する第1組成の第1モルタルを、複数の孔部を区画して前記外形の基準高さまで積層して形成する積層形成工程と、
    前記孔部に、前記第1組成とは異なる第2組成の第2モルタルを注入する注入工程とを繰り返して、前記構造物の高さまで形成し、
    前記複数の孔部には、異なる接続面高さまで前記第2モルタルを注入することを特徴とする構造物の形成方法。
  2. 前記第2モルタルには、前記第1モルタルによって構成される部分よりも高強度の部材を構成するモルタルを用いることを特徴とする請求項1に記載の構造物の形成方法。
  3. 前記第1モルタルを吐出させる吐出部を、一筆書きの経路で移動させることにより各層を形成して積層することを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の形成方法。
  4. 第1組成の第1モルタルによって構築され、複数の孔部を区画して構造物の外形基準高さまでの積層を繰り返しながら形成される第1部材と、
    前記第1組成とは異なる第2組成の第2モルタルによって構築され、前記孔部に注入されることを繰り返して形成される第2部材とを備え、
    前記複数の孔部における前記第2モルタルの注入により形成される接続面高さが異なるように、前記第2部材が形成されていることを特徴とする構造物。
  5. 前記第1モルタルは、積層可能な硬化性を有するセメント系材料で構成されており、
    前記第2モルタルは、繊維を混合したセメント系材料で構成されていることを特徴とする請求項に記載の構造物。
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