JP2023112500A - スラブの構築方法及びスラブ - Google Patents

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肇 坂上
Hajime Sakagami
允哉 中村
Mitsuya Nakamura
嘉一 石関
Yoshikazu Ishizeki
智弥 金子
Tomoya Kaneko
朗人 増村
Akito Masumura
マルコ カピタニオ
Capitanio Marco
達治 木村
Tatsuji Kimura
祐司 福見
Yuji Fukumi
貴博 鈴木
Takahiro Suzuki
光一 中塚
Koichi Nakatsuka
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Abstract

【課題】自由な形状のスラブを効率的に形成するためのスラブの構築方法及びスラブを提供する。【解決手段】ノズルを移動させながらノズルから吐出されるモルタルで形成される層を積み上げることにより積層されるピース部材を形成する。このピース部材の積層方向Dv1が水平になるようにピース部材を倒した状態で躯体壁部11の上に配置することにより、スラブ20が備える下部部材21の少なくとも一部を構成する。【選択図】図3

Description

本開示は、床や屋根等を構成するスラブの構築方法及びスラブに関する。
建築物においては、略平板形状のスラブによって床や屋根が形成されることがある(例えば、特許文献1参照。)。このスラブは、複数の柱の上で連結した梁の上にデッキプレートが架け渡された後、デッキプレートの上にコンクリートが打設されて構成される。
近年、3次元(3D)プリンタを利用した構造物が構築されている。この3Dプリンタにおいては、ノズルから材料を吐出させながらノズルを移動させて層を形成し、形成した層を徐々に積み重ねることにより立体形状を有する構造物を形成する(例えば、非特許文献1参照。)。非特許文献1においては、ベンチを3Dプリンタで形成している。
特開2007-321509号公報
大林組,"3Dプリンター用特殊モルタルと超高強度繊維補強コンクリートとの複合構造を開発しました,[online],2019年8月29日,[令和4年1月27日検索],インターネット<URL:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20190829_1.html>
従来のデッキプレートは、上に打設するコンクリートとの一体性や効率化等によって形状が予め決まっていた。このため、従来のスラブの構築方法では、自由な形状のスラブを効率的に形成することは難しかった。
上記課題を解決するスラブの構築方法は、下部プレート部材を備えたスラブの構築方法であって、ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出されるモルタルで形成される層を積み上げることにより積層形成部材を形成し、前記積層形成部材の積層方向が水平になるように前記積層形成部材を倒した状態で躯体の上に配置することにより前記下部プレート部材の少なくとも一部を構成する。
更に、上記課題を解決するスラブは、建築物において躯体の上に配置されるスラブであって、前記躯体の上に配置された状態で最下層に配置される下部プレート部材と、前記躯体の上に配置された状態で前記下部プレート部材の上側に形成される高強度コンクリート部材とを備え、前記下部プレート部材の少なくとも一部が、ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出されるモルタルで形成される層を積み上げることにより形成された積層形成部材を、前記積層形成部材の積層方向が水平になるように倒した状態で前記躯体の上に配置され、前記高強度コンクリート部材は、前記モルタルよりも引張強度の高い部材で、前記下部プレート部材と一体化されて形成される。
本発明によれば、自由な形状のスラブを効率的に形成することができる。
実施形態における家屋の斜視図である。 実施形態における家屋の断面図である。 実施形態における家屋のスラブの断面図である。 実施形態におけるスラブの底面図を含む家屋の断面図である。 実施形態におけるスラブを構成するピース部材の斜視図である。 実施形態におけるスラブを構成するピース部材の上面図である。 実施形態におけるスラブを構成するピース部材の正面図である。 実施形態におけるスラブの突条部の形状を説明する模式図である。 実施形態における形成支援システムの構造の説明図である。 実施形態におけるハードウェア構成の説明図である。 実施形態における吐出経路生成処理の処理手順の流れ図である。 実施形態におけるピース部材の形成途中の説明図である。 実施形態におけるピース部材の形成途中の説明図である。 実施形態におけるピース部材の形成途中の説明図である。 実施形態におけるスラブの構築方法の処理手順の流れ図である。 変更例におけるスラブを構成するピース部材の斜視図である。 変形例における建物からスラブを除いた躯体の断面図である。 変形例において躯体の上にスラブを配置した断面図である。
以下、図1~図15を用いて、スラブの構築方法及びスラブを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、建築物として、スラブを備えた家屋を構築する。ここで、スラブは、1階の屋根スラブ及び屋上の床スラブとして機能する。
図1及び図2は、本実施形態の家屋10の斜視図及び正面断面図である。図3は、図2のスラブ20の一部を拡大した断面図、図4は、スラブ20の底面が見える高さにおける家屋10の断面図である。
図1に示すように、本実施形態の家屋10は、紡錘形状の平面を有した略筒体の全体形状を有した屋上を備える1階建ての建物である。この家屋10は、躯体としての躯体壁部11、屋上側壁部13、スラブ20、階段部16、階段側壁部17及び境界側壁部18を備えている。階段部16は、地上からスラブ20の上面に上るための階段を構成する部分であって、躯体壁部11に沿って形成されている。階段側壁部17は、階段部16の躯体壁部11と反対側の側壁を形成する。境界側壁部18は、スラブ20の上面において、階段部16とスラブ20のとの境界となる部分に設置されている。
図2に示すように、躯体壁部11は、略三角形状の開口部10dを形成するように複数の壁部材11a,11b,11c,11dを用いて構成される。開口部10dは、家屋10の1階の内部空間への出入口を形成する。
各壁部材11a~11dは、略円弧形状により形成され、後述する3次元(3D)プリンタを用いて、移動するノズルから吐出されるモルタルを積層することにより構成される。壁部材11a~11dは、1階の内部空間の周囲を囲むとともに、積み上げることにより躯体壁部11を構成する。ここで、壁部材11a~11dには、上下方向に当接する箇所であって離間した複数の位置に、差し筋12が埋設されている。また、各壁部材11a~11dの内側(内部空間側)には、断熱材(図示せず)が設けられる。
躯体壁部11の最上部を構成する壁部材11dの上端部には、突条部10aが形成されている。この突条部10aは、壁部材11dの上端部の外周において上方に突出した部分である。更に、壁部材11dの上端部において突条部10aよりも内側には、スラブ20の端部が配置される。
壁部材11dの突条部10aの上方には、屋上側壁部13が積み上げられることにより配置されている。
図3に示すように、スラブ20は、下部部材21、高強度コンクリート部材22、断熱部材24及び塗膜部25を備える。下部部材21は、デッキプレートのように機能するモルタル(コンクリート)で構成された下部プレート部材である。この下部部材21の詳細は後述する。高強度コンクリート部材22は、下部部材21よりも高強度の部材であって、例えば、スリムクリート(登録商標)等、繊維を混合したセメント系材料(繊維補強コンクリート材料)で構成される。
断熱部材24は、例えば、硬質ウレタンフォーム等の断熱性を有する材料で構成された部材である。
塗膜部25は、防水用の保護膜を形成した部分である。塗膜部25は、例えば、ウレタンゴム系材料やアクリルウレタン系材料の塗料を塗ることにより形成される。
(下部部材21)
スラブ20の下部部材21には、線形状で下面に突出した突条部R1,R2が形成されている。この突条部R1,R2は、トポロジー最適化の手法を用いて応力線の通る位置に配置される。ここで、トポロジー最適化とは、数学的・力学的根拠に基づき、構造物の最適な形状と形態を求める方法論である。このトポロジー最適化を用いることにより、応力線の通る位置以外の部分(荷重支持に影響が少ない部分)を薄くすることにより、スラブ20の耐荷重を低下させずにスラブ20を軽量化する。
図4に示すように、下部部材21は、複数の積層形成部材としてのピース部材211,212,213,214,215,216,…,21nを並べた状態で連結することにより構成される。この場合、各ピース部材211~21nは、後述する3Dプリンタ40においてモルタルが積層可能な高さ(例えば60cm以内)で形成される。ここで、モルタルが積層可能な高さとは、最上層が形成した場合にも最下層が自重で大きく(許容範囲以上に)潰れない高さである。更に、本実施形態では、各ピース部材211~21nは、搬送し易い重量(例えば数百キログラム以下)で形成される。
図5は、図4におけるピース部材215の斜視図である。図6、図7は、ピース部材215の上面図、正面図である。
図5に示すように、ピース部材215は、全体としての板状部P1に対して、突条部R1,R2,R3が第1方向D1側に突出した形状を有する。突条部R1は、ピース部材215を積層して形成する際に、水平方向に延在するような位置に設けられる突出部である。この突条部R1は、板状部P1に対して突出する垂直部R1vと、この垂直部R1vの上下に形成される傾斜部R1sとを有する。傾斜部R1sは、例えば、40度や60度で傾斜する。
図8は、突条部R1の構成を説明する縦断面の模式図である。突条部R1は、第1方向(突出方向)D1側に突出するために、積層されるモルタルの吐出位置が、第1方向D1に徐々に移動した位置において積層されて傾斜部R1sが形成される。そして、板状部P1から第1方向D1側にずれた位置で垂直方向に積み上げた垂直部R1vが形成された後、第1方向D1の反対側に徐々に移動した位置において積層されて傾斜部R1sが形成される。これにより、積層したモルタルが硬化前に自重で降下することを抑制することができる。
図5に示すように、突条部R2は、ピース部材215を積層して形成する際に、最下層から略垂直方向に線状で延在するように位置する突出部である。この突条部R2は、板状部P1に対して、略直角(90度)で突出する。本実施形態では、ピース部材215の突条部R2は、上に向かうに従って少し傾斜している。この場合には、突条部R1と同様に、モルタルの硬化前に自重で降下しないように、傾斜方向及びその反対方向(水平方向)に対して徐々に傾斜する形状で形成される。
突条部R3は、ピース部材215を3Dプリンタ40によってノズルからモルタルを吐出して積層して形成する際に、斜め方向に延在するように湾曲した突出部であり、垂直部R3v及びこれの上下に位置する傾斜部R3sを有する。この突条部R3の傾斜部R3sは、延在する方向が水平に近くになるに従って傾斜が緩く広がった形状となる。これにより、突条部R1と同様に、積層したモルタルが硬化前に自重で降下することを抑制することができる。
図6及び図8に示すように、ピース部材215の上述した全体形状は、同じ幅の第1側部26及び第2側部27が当接するように並べられて構成される。ここで、第1側部26は、突条部R1~R3が突出する側に位置する。第1側部26及び第2側部27は、一連(一筆書き)の閉形状の各層を積層して構成される。
<3Dプリンタ40及び作成支援サーバ60の構成>
次に、図9及び図10を用いて、上述した壁部材11a~11dやピース部材211~21nを形成する3Dプリンタ40及び作成支援サーバ60について説明する。
(ハードウェア構成例)
図10は、3Dプリンタ40の制御装置50及び作成支援サーバ60等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
入力装置H12は、設計者等のユーザからの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
記憶装置H14は、制御装置50及び作成支援サーバ60の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶部(例えば、後述する吐出経路記憶部62)である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ端末(図示せず)、制御装置50及び作成支援サーバ60における各処理(例えば、後述する制御部51,61における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、制御装置50及び作成支援サーバ60のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下で構成し得る。
・コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、・各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは
・それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
(3Dプリンタ40及び作成支援サーバ60の機能)
図9に示す本実施形態の3Dプリンタ40は、吐出部としてのノズル41、ロボットアーム45及び制御装置50を備える。
ノズル41は、その先端が開口した吐出口41aを有している。本実施形態では、吐出口41aは、下方を向いている。ノズル41の吐出口41aと反対側の端部には、ホース42の端部が接続されている。ホース42は、圧送ポンプ(図示せず)に接続されている。この圧送ポンプの圧力により、ホース42を介してノズル41に供給されたモルタルは、吐出口41aから下方に吐出される。
ノズル41には、取付部44を介してロボットアーム45が取り付けられる。ノズル41は、このロボットアーム45に支持され、このロボットアーム45の動きに従って水平方向や上下方向に移動する。ロボットアーム45は、制御装置50の制御部51からの指示によって移動が制御される。本実施形態の制御部51は、移動時においてもノズル41からのモルタルの吐出方向が常に下方になるように、ロボットアーム45を制御する。
制御装置50は、部材形成処理を実行する制御部51を備える。そのため、記憶部に格納された部材形成プログラムを実行することにより、制御部51は、積層管理部511、移動制御部512及び吐出量制御部513として機能する。
積層管理部511は、壁部材11a~11dやピース部材211~21nを形成するために、積層させるモルタルの経路及び高さを管理する処理を実行する。積層管理部511は、積層方向Dv1に積み上げた層L1の数(積層数)をカウントし、現在のモルタルの積層数を記憶し、最終的な積層数になった場合にノズル41の移動を停止する。
移動制御部512は、経路に応じてノズル41を移動させるロボットアーム45の動きを制御する処理を実行する。
吐出量制御部513は、モルタルを圧送するポンプを制御して、ノズル41から吐出されるモルタルの吐出量を制御する処理を実行する。
(作成支援サーバ60の構成)
次に、形成支援システムとしての作成支援サーバ60の構成について説明する。
作成支援サーバ60は、ノズル41の移動経路を決定するコンピュータ端末である。この作成支援サーバ60は、制御部61及び吐出経路記憶部62を備える。作成支援サーバ60は、3Dプリンタ40の制御装置50に接続される。
制御部61は、記憶部に格納された経路決定プログラムを実行することにより、形状特定部611及び経路作成部612として機能する。
形状特定部611は、3Dプリンタ40で作成する形状を特定する。本実施形態では、形状特定部611は、躯体壁部11やスラブ20の下部部材21の形状を取得する。そして、形状特定部611は、取得した形状を分割して、3Dプリンタ40で形成する各部材(壁部材11a~11dやピース部材211~21n)の形状を生成する。
経路作成部612は、取得した各部材の形状を用いて各部材を形成するために一筆書きの経路を作成する。例えば、経路作成部612は、ピース部材211~21nを形成する場合には、当接する2つの経路部(第1側部26及び第2側部27)を形成する閉じた経路を生成する。この場合、2つの経路部は、各ピース部材211~21nの厚みの半分の吐出幅(第1側部26及び第2側部27を形成する幅)で形成される。
吐出経路記憶部62には、各部材を形成するノズル41の経路管理データが記録される。この経路管理データは、経路作成部612により一筆書き経路を作成した場合に記録される。経路管理データには、部材識別子、吐出幅、積層数に応じた経路に関するデータが含まれる。
部材識別子データ領域には、各部材を特定するための識別子に関するデータが記録される。
吐出幅データ領域には、この部材を形成するためにノズル41から吐出するモルタルの幅を特定するためのデータが記録される。
積層数に応じた経路データ領域には、この部材を形成するために、階層数に関連付けて、各階層における3Dプリンタ40のノズル41の経路が記録される。
<家屋10の建築方法>
次に、家屋10の建築方法について説明する。この場合、まず、3Dプリンタ40を用いて、躯体壁部11の壁部材11a~11d、屋上側壁部13を構成する部材、及びスラブ20の下部部材21のピース部材211~21nを形成する。ここでは、下部部材21の形成について説明する。なお、躯体壁部11を分割した壁部材11a~11d及び屋上側壁部13を構成する部材は、下部部材21のピース部材211~21nと同様に形成されるため、説明は省略する。
(吐出経路生成処理)
まず、図11に示すように、作成支援サーバ60の制御部61は、ピース部材の形状の取得処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御部61の形状特定部611は、ユーザの指示に応じて、データサーバ(図示せず)に記憶されている家屋10の図面から、スラブ20の下部部材21の形状を取得する。そして、形状特定部611は、ユーザの指示に応じて、下部部材21を各ピース部材211~21nに分解する。ここで、形状特定部611は、下部部材21の大きさと体積から推定される重量とを用いて、3Dプリンタ40で形成可能な大きさのピース部材211~21nに分解する。そして、形状特定部611は、下部部材21の形状を用いて分解した各ピース部材211~21nの形状を特定して、作成支援サーバ60に記憶する。
次に、記憶したピース部材211~21nを1つずつ特定し、以下の処理を各ピース部材211~21nについて繰り返して実行する。
作成支援サーバ60の制御部61は、ピース部材の各層の形状の特定処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部61の経路作成部612は、取得したピース部材の形状を、鉛直方向(高さ方向)に、記憶している一層の厚み(高さ位置)毎に、分割する。そして、分割した各厚み(高さ位置)の中点における高さの平面における水平形状を、その層において作成する形状として特定する。
そして、作成支援サーバ60の制御部61は、形成した全階層のうちの1つを、順次、処理対象層として特定する。
そして、特定した処理対象層について経路管理データの生成処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御部61の経路作成部612は、ステップS12において特定した形状を二重線でなぞる経路を生成し、処理対象層の階層数と関連付けて、メモリ(記憶装置H14)に記憶する。
以上の処理を、処理対象層のすべてについて繰り返し実行する。
ここで、図7に示したピース部材215の経路を例示する。
図12には、ピース部材215の断面線L12における経路RT1を示す。
図13には、ピース部材215の断面線L12よりも上方の断面線L13における経路RT2を示す。
図14には、ピース部材215の断面線L13よりも上方の断面線L14における経路RT3を示す。
いずれの経路RT1,RT2,RT3においても、第1側部26及び第2側部27が当接して形成されるようにループ状で構成される。
全階層において経路の生成を完了した場合、作成支援サーバ60の制御部61は、経路管理データの記憶処理を実行する(ステップS14)。具体的には、制御部61の経路作成部612は、対象としたピース部材の部材識別子を付与した経路管理データを生成する。そして、経路作成部612は、記憶装置H14に記憶していた階層数とともに、これに関連付けた経路データを経路管理データに含めた後、この経路管理データを吐出経路記憶部62に記録する。
その後、作成支援サーバ60の制御部61は、各ピース部材211~21nを形成する前に、3Dプリンタ40の制御装置50に、吐出経路記憶部62に記憶した経路管理データを送信する。3Dプリンタ40の制御装置50は、取得した経路管理データを記憶する。
(ピース部材211~21nの形成方法)
その後、3Dプリンタ40は、制御装置50の制御部51に応じて、部材形成処理を実行する。ここで、制御部51の積層管理部511は、記憶した経路管理データを用いて、移動制御部512及び吐出量制御部513を制御する。
具体的には、移動制御部512は、ノズル41からモルタルを吐出させながらロボットアーム45を移動させる。この場合、制御部51の吐出量制御部513は、経路管理データの吐出幅のモルタルとなるように、ポンプからの吐出量とノズル41の移動速度とを調整する。そして、制御部51の積層管理部511は、積層数に応じた経路管理データの経路に沿ってノズル41を移動させる。このようにして1層が形成した場合には、ノズル41の高さを一層分高くした後、再び経路管理データの経路に沿ってノズル41を移動させて1層形成することを繰り返す。
その後、ノズル41から吐出されたモルタルが最終高さまで、積層方向Dv1に積み上げられる(積層される)。これにより、ノズル41の移動及びノズル41からのモルタルの吐出が停止される。そして、モルタルが硬化することにより、各ピース部材が形成される。
(スラブ20の構築方法)
次に、図15を用いて、スラブ20を構築方法について説明する。
ここで、スラブ20を構築する前に、上述した3Dプリンタ40を用いて形成した壁部材11a~11dを並べるとともに積み上げることにより、躯体壁部11を構成しておく。更に、屋上側壁部13を構成する部材を、壁部材11dの上に積み上げて固定しておく。
そして、ピース部材を敷設する(ステップS21)。具体的には、各ピース部材211~21nを支える支保工を躯体壁部11の内部に設置する。この場合、支保工は、ピース部材211~21nの下に突出する突条部R1~R3を介してピース部材211~21nを支持してもよい。そして、支保工の上に、ピース部材211~21nを、間に空間が生じないように連結して並べる。
この場合、図3に示すように、躯体壁部11の壁部材11dの内縁部に並べられるピース部材211~21nは、その端部が、突条部10aの内側で壁部材11dの上面に載置される。この場合、ピース部材211~21nの積層方向Dv1が、水平になるように配置される。なお、ここで、ピース部材211~21nの接続部分の下面にテープを貼ってもよい。以上により、ピース部材211~21nにより下部部材21が構成されて、躯体壁部11の上に配置される。
次に、下部部材21の上に、高強度コンクリートを打設する(ステップS22)。具体的には、下部部材21を下面の型枠、壁部材11dの突条部10aを側面の型枠として用いて、この内部に繊維補強コンクリート材料を充填する。その後、この繊維補強コンクリート材料が硬化することにより、突条部10aの内側で下部部材21の上面に高強度コンクリート部材22が形成される。この場合、高強度コンクリート部材22は下部部材21と一体化される。
次に、断熱部材及び防水部材等を敷設する(ステップS23)。具体的には、高強度コンクリート部材22の上に断熱部材24を敷き詰める。更に、この断熱部材24の上において防水用の保護膜の塗布等を行なうことにより、塗膜部25を形成する。
そして、スラブ20を支持していた支保工を取り外す。以上により、スラブ20が完成する。
その後、躯体壁部11の内側に断熱部材を設ける。更に、階段部16、階段側壁部17及び境界側壁部18を設置する。以上により、家屋10が完成する。
(作用)
本実施形態では、スラブ20の下部部材21を構成するピース部材211~21nを、ノズル41からモルタルを吐出させながらノズル41を移動させて形成した層を積み上げることにより形成した。この形成方法により、板状部P1において任意の箇所に突条部R1~R3を設けた形状のピース部材211~21nで下部部材21を形成することができる。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、スラブ20の下部部材21を構成するピース部材211~21nを、ノズル41からモルタルを吐出させながらノズル41を移動させて形成した層を積み上げることにより形成した。この形成方法により、下部部材21を自由な形状で効率的に形成することができる。
(2)本実施形態では、積層方向Dv1を水平になるようにピース部材211~21nを横に倒して躯体壁部11の上に配置した際に、突条部R1~R3は下方に突出する。このため、トポロジー最適化による応力線が通る部分における高強度コンクリート部材22を厚く(高く)することができるので、スラブ20の耐荷重を下げずに、スラブ20を軽量化することができる。
(3)本実施形態では、スラブ20の下部部材21は、3Dプリンタ40で形成可能な大きさに分割したピース部材211~21nを並べて構成する。これにより、各ピース部材211~21nが重くならず、下部部材21を、分割した所望の形状で形成することができる。この場合、最上段の層が形成しても最下段の層が自重で大きく潰れない大きさで作成するので、ピース部材211~21nの作成中の変形を抑制することもできる。
(4)本実施形態では、スラブ20は、下部部材21を壁部材11dの上面に架け渡した後、下部部材21の上に繊維補強コンクリートを打設して高強度コンクリート部材22を形成した。これにより、スラブ20の強度を確保することができる。
(5)本実施形態のピース部材211~21nは、最下層よりも上の位置で突出する突条部R1に傾斜部R1sを設ける。これにより、積層したモルタルが硬化前に、突条部R1の自重で降下して形が変形することを抑制することができる。
(6)本実施形態の下部部材21は、躯体壁部11の壁部材11dの端部に架け渡した。これにより、高強度コンクリート部材22を打設する際には、周囲を壁部材11dの突条部10aで囲むことができるので、周囲に打設用の部材を配置する手間を省くことができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、3Dプリンタ40を用いてモルタルを積層させて構築した下部部材21を、躯体壁部11の上に配置した後に、下部部材21の上に高強度コンクリート部材22を形成した。これに代えて、下部部材と高強度コンクリート部材とを一体化したスラブをプレキャストコンクリートで形成してもよい。
例えば、図16に示すように、スラブ70は、外形本体部71と内部構造体72とで構成されている。外形本体部71は、内部に空間70sを形成した平面断面が略長方形の枠形状で構成されている。外形本体部71は、3Dプリンタ40を用いて、ピース部材215と同様にして、ノズル41を移動させながらノズル41から吐出されたモルタルで形成した層を連続的に積層方向Dv1に積み上げることにより積層して形成する。
内部構造体72は、外形本体部71よりも高強度の部材であって、高強度コンクリート部材22と同様に、繊維を混合したセメント系材料(繊維補強コンクリート材料)で構成される。内部構造体72は、完成した外形本体部71の空間70sに充填された後、硬化させることにより外形本体部71と一体化される。
図17には、スラブ70を配置する前の建物80を表示している。建物80は、躯体壁部81と柱部材85とを備える。躯体壁部81の上面の外周部には、屋上側壁部83が設けられている。また、躯体壁部81の内側には断熱部材81aが設けられている。
そして、図18に示すように、躯体壁部81の内側の端部の上及び柱部材85の上に、スラブ20を横に倒した状態で配置する。この場合、スラブ20の外形本体部71の積層方向Dv1が水平になる。なお、柱部材85とスラブ70との間に差し筋82を設けてもよい。更に、スラブ70の上に断熱部材75を載置してもよい。
このように、スラブ70をプレキャストコンクリートで構成した場合には、現場において高強度コンクリートの硬化時間を省略することができる。
・上記実施形態では、スラブ20の下部部材21は、ノズル41からモルタルを吐出させながらノズル41を移動させて形成した層を積み上げることにより(モルタル積層により)形成したピース部材211~21nですべて形成した。スラブ20の下部部材21は、すべてをモルタル積層で構成する場合に限られず、下部部材21の一部のみを、モルタル積層により形成したピース部材で構成してもよい。この場合、複雑な形状の部分のピース部材を、モルタル積層により形成してもよい。そして、その他の部分は、従来のデッキプレートや木製のプレートを用いて、スラブを構成してもよい。
・上記実施形態では、スラブは、躯体壁部11の壁部材11dの上面に架け渡すように設けた。スラブは、例えば梁等、躯体壁部11以外の躯体の上に配置してもよい。更に、スラブを上に配置する躯体は、3Dプリンタ40で形成する場合に限られず、どのような工法により構築してもよい。
・上記実施形態では、スラブ20の高強度コンクリート部材22を側面の型枠として、躯体壁部11の壁部材11dの突条部を用いた。下部部材21の上に形成する高強度コンクリート部材22を、側面に通常のコンクリート打設の型枠を用いて構成してもよい。
・上記実施形態では、スラブ20の下部部材21を支保工で支持する。そして、下部部材21に高強度コンクリート部材22が一体形成された後、支保工を取り外した。ピース部材の大きさによっては、支保工を設けずに、躯体に直接スラブを配置すること等により建築物を構築してもよい。
・上記実施形態の下部部材21のピース部材211~21nは、スラブ20として倒した状態において下方に線状に突出した突条部R1~R3を有する。ピース部材は、線状に突出する突条部R1~R3を備える形状に限らず、ブロック状に突出する突出部を備えた形状であってもよいし、スラブ20として倒した状態において上に突出する突出部を備えた形状であってもよい。更に、ピース部材を、突出部がない略平板形状で構成してもよい。
・上記実施形態では、下部部材21に、トポロジー最適化を利用した応力線が通る位置が突出する突条部R1~R3を形成した。下部部材に形成される突出部は、応力を考慮した配置に限定せずに、例えば、デザインのために設けてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記積層形成部材は、内部空間を有する閉形状の外形本体部と、前記モルタルよりも引張強度が高い高強度モルタルを前記内部空間に充填された内構造部とを備え、前記外形本体部が、前記ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出されるモルタルで形成される層を積み上げることにより形成されることを特徴とする請求項2に記載のスラブの構築方法。
(b)前記下部プレート部材は、複数の前記積層形成部材を倒した状態で並べて構築されることを特徴とする請求項1~3の何れか1項又は前記(a)に記載のスラブの構築方法。
(c)躯体と、前記躯体の上に配置され下部プレート部材を備えるスラブとを備えた建築物の構築方法であって、前記下部プレート部材は、ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出されるモルタルで形成される層を積み上げることにより形成される積層形成部材を有し、前記積層形成部材の積層方向が水平になるように前記積層形成部材を倒した状態で前記躯体の上に配置することにより前記下部プレート部材の少なくとも一部を構成することを特徴とする建築物の構築方法。
(d)躯体の上に配置されるスラブの下部に用いられる下部プレート部材であって、前記ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出されるモルタルで形成される層を積み上げることにより積層させて形成したことを特徴とする下部プレート部材。
Dv1…積層方向、D1…第1方向、L1…層、L12,L13,L14…断面線、P1…板状部、RT1,RT2,RT3…経路、R1,R2,R3…突条部、R1s,R3s…傾斜部、R1v…垂直部、10…建築物としての家屋、10a…突条部、10d…開口部、11,81…躯体壁部、11a,11b,11c,11d…壁部材、12,82…差し筋、13,83…屋上側壁部、16…階段部、17…階段側壁部、18…境界側壁部、20,70…スラブ、21…下部プレート部材としての下部部材、22…高強度コンクリート部材、24,75,81a…断熱部材、25…塗膜部、26…第1側部、27…第2側部、40…3Dプリンタ、41…ノズル、41a…吐出口、42…ホース、44…取付部、45…ロボットアーム、50…制御装置、51,61…制御部、60…作成支援サーバ、62…吐出経路記憶部、70s…空間、71…外形本体部、72…内部構造体、80…建築物としての建物、85…柱部材、211,212,213,214,215,216,21n…積層形成部材としてのピース部材、511…積層管理部、512…移動制御部、513…吐出量制御部、611…形状特定部、612…経路作成部。

Claims (4)

  1. 下部プレート部材を備えたスラブの構築方法であって、
    ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出されるモルタルで形成される層を積み上げることにより積層形成部材を形成し、
    前記積層形成部材の積層方向が水平になるように前記積層形成部材を倒した状態で躯体の上に配置することにより前記下部プレート部材の少なくとも一部を構成することを特徴とするスラブの構築方法。
  2. 前記躯体の上に配置された状態で前記下部プレート部材の上側に、前記モルタルよりも引張強度の高い高強度コンクリート部材が、前記下部プレート部材と一体化されて形成されることを特徴とする請求項1に記載のスラブの構築方法。
  3. 前記モルタルを積層させて形成する際に、前記積層形成部材の最下層より高い位置に形成される突出部を、突出方向に傾斜するように前記モルタルを徐々にずらしながら積層して形成し、
    前記突出部が前記躯体の上に配置された状態で下側に突出するように、前記積層形成部材を配置することを特徴とする請求項1又は2に記載のスラブの構築方法。
  4. 建築物において躯体の上に配置されるスラブであって、
    前記躯体の上に配置された状態で最下層に配置される下部プレート部材と、
    前記躯体の上に配置された状態で前記下部プレート部材の上側に形成される高強度コンクリート部材とを備え、
    前記下部プレート部材の少なくとも一部が、ノズルを移動させながら前記ノズルから吐出されるモルタルで形成される層を積み上げることにより形成された積層形成部材を、前記積層形成部材の積層方向が水平になるように倒した状態で前記躯体の上に配置され、
    前記高強度コンクリート部材は、前記モルタルよりも引張強度の高い部材で、前記下部プレート部材と一体化されて形成されることを特徴とするスラブ。
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