JP2023062570A - カルボニル基含有水添石油樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境負荷も少なく、臭気も少なく、色相に優れ、異種材料の接着性を向上させることのできるカルボニル基含有水添石油樹脂、及び異種材料の接着性に優れるホットメルト接着剤を提供する。【解決手段】酸価が10~400mgKOH/gであり、かつ臭素価が20gBr2/100g以下であるカルボニル基含有水添石油樹脂、及び該カルボニル基含有水添石油樹脂を含むホットメルト接着剤。【選択図】なし
Description
本発明は、カルボニル基含有水添石油樹脂に関する。
自動車等の輸送機関には、より低コストでの輸送が求められている。たとえば、自動車には燃費の向上が求められている。そのため、自動車等に用いられる部品には軽量の素材が望まれている。こうしたなかで、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンは安価で軽量であり、化学的にも安定であり、自動車等に用いられる部品として望ましい。しかし、化学的に安定であるがゆえ、他の素材との接着性に乏しいという欠点もある。特に自動車等の部材として、金属等が用いられており、これら極性材料との接着性の向上が必要となる。ポリオレフィン等の非極性材料と極性材料との接着性を向上する試みとして、各種接着剤の開発が行われている。
たとえば、特許文献1には、ポリプロピレン、アルミニウムおよび鋼板に対する接着力の向上を目的として、不飽和カルボン酸又はその酸無水物により編成された結晶性オレフィン系重合体と、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物であるポリウレタンを含有してなる接着性組成物が開示されている。
たとえば、特許文献1には、ポリプロピレン、アルミニウムおよび鋼板に対する接着力の向上を目的として、不飽和カルボン酸又はその酸無水物により編成された結晶性オレフィン系重合体と、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物であるポリウレタンを含有してなる接着性組成物が開示されている。
一方、石油樹脂は、ホットメルト型接着剤や粘着テープの粘着性付与剤として使用されている。用途に応じて、石油樹脂に更なる性質を付与するために、変性石油樹脂の開発が行われている。
たとえば、特許文献2には、色相の改善された変性石油樹脂を効率よく得る方法として、石油樹脂製造直後の溶融状態に、無水マレイン酸を添加し、反応させることを特徴とする変性石油樹脂の製造方法が開示されている。
たとえば、特許文献2には、色相の改善された変性石油樹脂を効率よく得る方法として、石油樹脂製造直後の溶融状態に、無水マレイン酸を添加し、反応させることを特徴とする変性石油樹脂の製造方法が開示されている。
前記のように非極性材料と極性材料との接着を行うことは、前記特許文献1のようにイソシアネート化合物を用いたり、溶剤を用いて樹脂表面を溶解させたり、プライマー層を介在させるなど、環境への負荷が高く、工程も煩雑なものであった。
石油樹脂は、前記のとおり、接着剤の材料として優れるものである。前記特許文献2には、色相の改善を目的とした変性石油樹脂の製造方法が示されているが、この方法によっても、色相は十分ではなく、臭気もより改善が求められ、更に異種材料の接着性も不十分であった。このように、環境にも優しく、臭気も少なく、色相も優れた異種材料接着用の接着剤が求められていた。
そこで、本発明の課題は、環境負荷も少なく、臭気も少なく、色相に優れ、異種材料の接着性を向上させることのできるカルボニル基含有水添石油樹脂、及び異種材料の接着性に優れるホットメルト接着剤を提供することにある。
石油樹脂は、前記のとおり、接着剤の材料として優れるものである。前記特許文献2には、色相の改善を目的とした変性石油樹脂の製造方法が示されているが、この方法によっても、色相は十分ではなく、臭気もより改善が求められ、更に異種材料の接着性も不十分であった。このように、環境にも優しく、臭気も少なく、色相も優れた異種材料接着用の接着剤が求められていた。
そこで、本発明の課題は、環境負荷も少なく、臭気も少なく、色相に優れ、異種材料の接着性を向上させることのできるカルボニル基含有水添石油樹脂、及び異種材料の接着性に優れるホットメルト接着剤を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の酸価及び臭素価を有するカルボニル基含有水添石油樹脂が、前記の課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<7>に関する。
<1>酸価が10~400mgKOH/gであり、かつ臭素価が20gBr2/100g以下である、カルボニル基含有水添石油樹脂。
<2>前記カルボニル基含有水添石油樹脂の軟化点が80℃以上である、前記<1>に記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<3>前記カルボニル基含有水添石油樹脂のガラス転移温度が25℃以上である、前記<1>又は<2>に記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<4>前記カルボニル基含有水添石油樹脂の重量平均分子量が10,000以下である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<5>前記カルボニル基含有水添石油樹脂が、酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つである、前記<1>~<4>のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<6>1H-NMR測定における芳香族水素の積分比率[6.5~7.5ppm領域のピークの積分値/(0~3.0ppm領域のピークの積分値と6.5~7.5ppm領域のピークの積分値の和)]が70%以下である前記<1>~<5>のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<7>前記<1>~<6>のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂を含むホットメルト接着剤。
<1>酸価が10~400mgKOH/gであり、かつ臭素価が20gBr2/100g以下である、カルボニル基含有水添石油樹脂。
<2>前記カルボニル基含有水添石油樹脂の軟化点が80℃以上である、前記<1>に記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<3>前記カルボニル基含有水添石油樹脂のガラス転移温度が25℃以上である、前記<1>又は<2>に記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<4>前記カルボニル基含有水添石油樹脂の重量平均分子量が10,000以下である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<5>前記カルボニル基含有水添石油樹脂が、酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つである、前記<1>~<4>のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<6>1H-NMR測定における芳香族水素の積分比率[6.5~7.5ppm領域のピークの積分値/(0~3.0ppm領域のピークの積分値と6.5~7.5ppm領域のピークの積分値の和)]が70%以下である前記<1>~<5>のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
<7>前記<1>~<6>のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂を含むホットメルト接着剤。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、環境負荷も少なく、臭気も少なく、色相に優れ、異種材料の接着性を向上させることができる。また、該カルボニル基含有水添石油樹脂を含むホットメルト接着剤は、異種材料の接着性に優れる。
[カルボニル基含有水添石油樹脂]
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、酸価が10~400mgKOH/gであり、かつ臭素価が20gBr2/100g以下である。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、酸価が10~400mgKOH/gであり、かつ臭素価が20gBr2/100g以下である。
前記カルボニル基は、好ましくは酸無水物基及びカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つである。本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂に含有されるカルボニル基としては、酸無水物基とカルボキシ基のいずれかであってもよく、酸無水物基及びカルボキシ基の両方であってもよいが、酸無水物基及びカルボキシ基の両方であることが好ましい。
すなわち、本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、好ましくは、酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂、酸無水物基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、より好ましくは、酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、更に好ましくは、酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂である。酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂は、1分子中に酸無水物基及びカルボキシ基の両方を含有する水添石油樹脂だけでなく、酸無水物基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂、1分子中に酸無水物基及びカルボキシ基を含有する水添石油樹脂からなる群より選ばれる2つ以上の混合物であってもよい。
すなわち、本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、好ましくは、酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂、酸無水物基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、より好ましくは、酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、更に好ましくは、酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂である。酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂は、1分子中に酸無水物基及びカルボキシ基の両方を含有する水添石油樹脂だけでなく、酸無水物基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂、1分子中に酸無水物基及びカルボキシ基を含有する水添石油樹脂からなる群より選ばれる2つ以上の混合物であってもよい。
カルボニル基含有水添石油樹脂に含有されるカルボニル基の数(平均)は、接着対象である非極性材料との親和性と極性材料との親和性を両立する観点から、カルボニル基含有水添石油樹脂1分子に対して、好ましくは0.4~5個であり、より好ましくは0.5~4個である。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、接着剤に配合して使用した場合、接着剤中で極性の高い被着体側に移動し、接着性を向上させるものと考えられる。また、極性基であるカルボニル基がカルボニル基含有水添石油樹脂1分子に対して5個以下であると、接着剤中の他の成分との親和性が向上し、均一な接着剤が得られるため、接着性が向上すると考えられる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、接着剤に配合して使用した場合、接着剤中で極性の高い被着体側に移動し、接着性を向上させるものと考えられる。また、極性基であるカルボニル基がカルボニル基含有水添石油樹脂1分子に対して5個以下であると、接着剤中の他の成分との親和性が向上し、均一な接着剤が得られるため、接着性が向上すると考えられる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、水添石油樹脂を骨格(主鎖)とし、カルボニル基を含有する。
本明細書において、「石油樹脂」とは、ナフサなど石油類の熱分解によるエチレンなどのオレフィン製造時に副生物として得られる炭素数4~10の脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類、あるいは炭素数8以上でかつオレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物から選ばれる1種または2種以上の不飽和化合物を、重合または共重合して得られる樹脂である。
石油樹脂は、例えば、脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類を重合した「脂肪族系石油樹脂」、オレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物を重合した「芳香族系石油樹脂」、脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類と、オレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物とを共重合した「脂肪族-芳香族共重合石油樹脂」に大別できる。
本明細書において、「石油樹脂」とは、ナフサなど石油類の熱分解によるエチレンなどのオレフィン製造時に副生物として得られる炭素数4~10の脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類、あるいは炭素数8以上でかつオレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物から選ばれる1種または2種以上の不飽和化合物を、重合または共重合して得られる樹脂である。
石油樹脂は、例えば、脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類を重合した「脂肪族系石油樹脂」、オレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物を重合した「芳香族系石油樹脂」、脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類と、オレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物とを共重合した「脂肪族-芳香族共重合石油樹脂」に大別できる。
この炭素数4~10の脂肪族オレフィン類としては、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテンなどが挙げられる。また、炭素数4~10の脂肪族ジオレフィン類としては、ブタジエン、ペンタジエン、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、メチルペンタジエンなどが挙げられる。さらに、炭素数8以上でかつオレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、インデン、メチルインデン、エチルインデンなどが挙げられる。
また、この石油樹脂の原料化合物は、その全てがナフサなど石油類の熱分解によるオレフィン製造時の副生物である必要はなく、化学合成された不飽和化合物を用いてもよい。
また、この石油樹脂の原料化合物は、その全てがナフサなど石油類の熱分解によるオレフィン製造時の副生物である必要はなく、化学合成された不飽和化合物を用いてもよい。
石油樹脂の好ましい好適例としては、シクロペンタジエンやジシクロペンタジエンの重合により得られるジシクロペンタジエン系石油樹脂や、これらシクロペンタジエンやジシクロペンタジエンとスチレンを共重合させて得られるジシクロペンタジエン-スチレン系石油樹脂、イソプレンやピペリレンの重合により得られるC5系石油樹脂、インデンやビニルトルエン等のC9モノマーの重合により得られるC9系石油樹脂が挙げられる。
本明細書において、「水添石油樹脂」とは、前記石油樹脂に水素原子を付加した石油樹脂である。水添石油樹脂としては、不飽和結合が実質的に残存しない完全水添石油樹脂及び不飽和結合が残存する部分水添石油樹脂があり、完全水添石油樹脂であることが好ましい。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、水添脂肪族-芳香族共重合石油樹脂が好ましい。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、水添脂肪族-芳香族共重合石油樹脂が好ましい。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂の酸価は、10~400mgKOH/gである。酸価がこの範囲であると、極性材料及び非極性材料の親和性も良好となり、異種材料同士を接着する接着性が向上する。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂の酸価は、好ましくは10~300mgKOH/gであり、より好ましくは30~250mgKOH/gであり、更に好ましくは100~220mgKOH/gである。酸価は、JIS K 0070-1992によって求めることができる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂の酸価は、好ましくは10~300mgKOH/gであり、より好ましくは30~250mgKOH/gであり、更に好ましくは100~220mgKOH/gである。酸価は、JIS K 0070-1992によって求めることができる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂の臭素価は、20gBr2/100g以下である。臭素価がこの範囲であると、炭素-炭素二重結合濃度が低くなるためか、色相や臭気が良好となる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂の臭素価は、好ましくは10gBr2/100g以下であり、より好ましくは5gBr2/100g以下であり、更に好ましくは3gBr2/100g以下である。下限値には制限はないが、好ましくは0.5gBr2/100g以上である。臭素価は、JIS K 2605に基づく電気滴定法によって求めることができる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂の臭素価は、好ましくは10gBr2/100g以下であり、より好ましくは5gBr2/100g以下であり、更に好ましくは3gBr2/100g以下である。下限値には制限はないが、好ましくは0.5gBr2/100g以上である。臭素価は、JIS K 2605に基づく電気滴定法によって求めることができる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000以下であり、より好ましくは5,000以下であり、更に好ましくは3,000以下である。また、好ましくは100以上であり、より好ましくは300以上であり、更に好ましくは500以上である。分子量が前記範囲であることによって、接着剤中で被着体側に移動しやすいためか、接着強度を向上させることができる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.5~4.0であり、より好ましくは2.0~3.5であり、更に好ましくは2.0~3.0である。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂のガラス転移温度は、好ましくは25℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは40℃以上であり、より更に好ましくは50℃以上である。そして、好ましくは120℃以下であり、より好ましくは100℃以下であり、更に好ましくは80℃以下であり、より更に好ましくは60℃以下である。ガラス転移温度が前記範囲であることによって、接着剤に用いた場合に異種材料接着時の材料に対するアンカー効果が強くなるためか、接着力が向上する。更に、高温で保存された場合もブロッキングを抑制することができる。ガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)で求めることができ、具体的には実施例の方法で求めることができる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、好ましくは、1H-NMR測定における芳香族水素の積分比率[6.5~7.5ppm領域のピークの積分値/(0~3.0ppm領域のピークの積分値と6.5~7.5ppm領域のピークの積分値の和)]が70%以下である。前記芳香族水素の積分比率は、より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは10%以下であり、より更に好ましくは3%以下であり、より更に好ましくは1%以下である。また、好ましくは0.1%以上である。芳香族水素の積分比率が前記範囲であることによって、加熱時に分解が抑制され、臭気の発生が抑制される。芳香族水素の積分比率は、具体的には実施例の方法で求めることができる。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂の軟化点は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは90℃以上であり、更に好ましくは95℃以上である。また、好ましくは180℃以下であり、より好ましくは150℃以下であり、更に好ましくは120℃以下であり、より更に好ましくは105℃以下である。軟化点が前記範囲であることによって、接着剤に用いた場合に異種材料接着時の材料に対するアンカー効果が強くなるためか、接着力が向上する。更に、高温で保存された場合もブロッキングを抑制することができる。軟化点は、JIS K 6863によって求めることができる。
[カルボニル基含有水添石油樹脂の製造方法]
前記カルボニル基含有水添石油樹脂を製造する方法には制限はないが、以下に示す方法によることが好ましい。以下に示す方法によれば、カルボニル基含有水添石油樹脂として好適な酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂、又は酸無水物基含有水添石油樹脂を効率よく得ることができる。
前記カルボニル基含有水添石油樹脂を製造する方法には制限はないが、以下に示す方法によることが好ましい。以下に示す方法によれば、カルボニル基含有水添石油樹脂として好適な酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂、又は酸無水物基含有水添石油樹脂を効率よく得ることができる。
前記カルボニル基含有水添石油樹脂の好適な製造方法は、水添石油樹脂に、ラジカル開始剤存在下、有機酸又はその誘導体を反応させる。
本製造方法で原料として用いられる水添石油樹脂は、前記[カルボニル基含有水添石油樹脂]の項で説明した「水添石油樹脂」と同じであるが、以下に詳細に説明する。
水添石油樹脂は、石油樹脂に水素原子を付加した石油樹脂である。
石油樹脂は、ナフサなど石油類の熱分解によるエチレンなどのオレフィン製造時に副生物として得られる炭素数4~10の脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類、あるいは炭素数8以上でかつオレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物から選ばれる1種または2種以上の不飽和化合物を、重合または共重合して得られる樹脂である。
石油樹脂は、例えば、脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類を重合した「脂肪族系石油樹脂」、オレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物を重合した「芳香族系石油樹脂」、脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類と、オレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物とを共重合した「脂肪族-芳香族共重合石油樹脂」に大別できる。
石油樹脂は、ナフサなど石油類の熱分解によるエチレンなどのオレフィン製造時に副生物として得られる炭素数4~10の脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類、あるいは炭素数8以上でかつオレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物から選ばれる1種または2種以上の不飽和化合物を、重合または共重合して得られる樹脂である。
石油樹脂は、例えば、脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類を重合した「脂肪族系石油樹脂」、オレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物を重合した「芳香族系石油樹脂」、脂肪族オレフィン類や脂肪族ジオレフィン類と、オレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物とを共重合した「脂肪族-芳香族共重合石油樹脂」に大別できる。
この炭素数4~10の脂肪族オレフィン類としては、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテンなどが挙げられる。また、炭素数4~10の脂肪族ジオレフィン類としては、ブタジエン、ペンタジエン、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、メチルペンタジエンなどが挙げられる。さらに、炭素数8以上でかつオレフィン性不飽和結合を有する芳香族化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、インデン、メチルインデン、エチルインデンなどが挙げられる。
また、この石油樹脂の原料化合物は、その全てがナフサなど石油類の熱分解によるオレフィン製造時の副生物である必要はなく、化学合成された不飽和化合物を用いてもよい。
また、この石油樹脂の原料化合物は、その全てがナフサなど石油類の熱分解によるオレフィン製造時の副生物である必要はなく、化学合成された不飽和化合物を用いてもよい。
石油樹脂の好ましい好適例としては、シクロペンタジエンやジシクロペンタジエンの重合により得られるジシクロペンタジエン系石油樹脂や、これらシクロペンタジエンやジシクロペンタジエンとスチレンを共重合させて得られるジシクロペンタジエン-スチレン系石油樹脂、イソプレンやピペリレンの重合により得られるC5系石油樹脂、インデンやビニルトルエン等のC9モノマーの重合により得られるC9系石油樹脂が挙げられる。
水添石油樹脂は、前記石油樹脂に水素原子を付加した石油樹脂であり、不飽和結合が実質的に残存しない完全水添石油樹脂及び不飽和結合が残存する部分水添石油樹脂があり、完全水添石油樹脂であることが好ましい。
本製造方法で原料として用いられる水添石油樹脂は、水添脂肪族-芳香族共重合石油樹脂が好ましい。
本製造方法で原料として用いられる水添石油樹脂は、水添脂肪族-芳香族共重合石油樹脂が好ましい。
水添石油樹脂の臭素価は、好ましくは20gBr2/100g以下である。臭素価がこの範囲であると、炭素-炭素二重結合濃度が低くなるためか、色相や臭気が良好となり、カルボニル基を導入する反応が良好に進行する。水添石油樹脂の臭素価は、より好ましくは10gBr2/100g以下であり、更に好ましくは5gBr2/100g以下であり、より更に好ましくは3gBr2/100g以下である。下限値には制限はないが、好ましくは0.5gBr2/100g以上である。臭素価は、JIS K 2605に基づく電気滴定法によって求めることができる。
水添石油樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000以下であり、より好ましくは5,000以下であり、更に好ましくは3,000以下である。また、好ましくは100以上であり、より好ましくは300以上であり、更に好ましくは500以上である。分子量が前記範囲であることによって、得られるカルボニル基含有水添石油樹脂が接着剤中で被着体側に移動しやすいためか、接着強度を向上させることができる。
水添石油樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.5~4.0であり、より好ましくは2.0~3.5であり、更に好ましくは2.0~3.0である。
水添石油樹脂のガラス転移温度は、好ましくは25℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは40℃以上であり、より更に好ましくは50℃以上である。そして、好ましくは120℃以下であり、より好ましくは100℃以下であり、更に好ましくは80℃以下であり、より更に好ましくは60℃以下である。ガラス転移温度が前記範囲であることによって、水添石油樹脂を原料として得られるカルボニル基含有水添石油樹脂の異種材料接着力が向上する。更に高温で保存された場合もブロッキングを抑制することができる。ガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)で求めることができ、具体的には実施例の方法で求めることができる。
水添石油樹脂は、好ましくは、1H-NMR測定における芳香族水素の積分比率[6.5~7.5ppm領域のピークの積分値/(0~3.0ppm領域のピークの積分値と6.5~7.5ppm領域のピークの積分値の和)]が70%以下である。前記芳香族水素の積分比率は、より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは10%以下であり、より更に好ましくは3%以下であり、より更に好ましくは1%以下である。また、好ましくは0.1%以上である。芳香族水素の積分比率が前記範囲であることによって、加熱時に分解が抑制され、臭気の発生が抑制される。芳香族水素の積分比率は、具体的には実施例の方法で求めることができる。
水添石油樹脂の軟化点は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは90℃以上であり、更に好ましくは95℃以上である。また、好ましくは180℃以下であり、より好ましくは150℃以下であり、更に好ましくは120℃以下であり、より更に好ましくは105℃以下である。軟化点が前記範囲であることによって、水添石油樹脂を原料として得られるカルボニル基含有水添石油樹脂の異種材料接着力が向上する。更に高温で保存された場合もブロッキングを抑制することができる。軟化点は、JIS K 6863によって求めることができる。
有機酸としては、不飽和カルボン酸やその誘導体を用いることが好ましい。
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸等が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられ、酸無水物が好ましい。
不飽和カルボン酸の誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、マレイン酸モノエチルエステル、アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイミド、N-ブチルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの中で、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルからなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく、無水マレイン酸及び(メタ)アクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つがより好ましく、無水マレイン酸が更に好ましい。
また、これらの有機酸は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸等が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられ、酸無水物が好ましい。
不飽和カルボン酸の誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、マレイン酸モノエチルエステル、アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイミド、N-ブチルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの中で、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルからなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく、無水マレイン酸及び(メタ)アクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つがより好ましく、無水マレイン酸が更に好ましい。
また、これらの有機酸は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機酸の使用量としては特に制限はなく、目的とするカルボニル基含有水添石油樹脂の物性に応じて適宜選定されるが、使用する原料の水添石油樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1~50質量部であり、より好ましくは1~30質量部であり、更に好ましくは3~20質量部であり、より更に好ましくは5~10質量部である。
一方、ラジカル開始剤としては特に制限はなく、従来公知のラジカル開始剤、例えば各種有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物等の中から、適宜選択して用いることができるが、これらの中で、有機過酸化物が好適である。
この有機過酸化物としては、例えば、ジベンゾイルパーオキシド,ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキシド,ジラウロイルパーオキシド,ジデカノイルパーオキシド,ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)パーオキシド等のジアシルパーオキシド類、t-ブチルヒドロパーオキシド,キュメンヒドロパーオキシド,ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド,2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類、ジ-t-ブチルパーオキシド,ジクミルパーオキシド,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、α,α’ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等のジアルキルパーオキシド類、1,1-ビス-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン,2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、t-ブチルパーオキシオクトエート,t-ブチルパーオキシピバレート,t-ブチルパーオキシネオデカノエート,t-ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート,ジイソプロピルパーオキシジカーボネート,ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート,t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート類等が挙げられる。
これらの中では、ジアルキルパーオキシド類が好ましい。
また、これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
この有機過酸化物としては、例えば、ジベンゾイルパーオキシド,ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキシド,ジラウロイルパーオキシド,ジデカノイルパーオキシド,ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)パーオキシド等のジアシルパーオキシド類、t-ブチルヒドロパーオキシド,キュメンヒドロパーオキシド,ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド,2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類、ジ-t-ブチルパーオキシド,ジクミルパーオキシド,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、α,α’ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等のジアルキルパーオキシド類、1,1-ビス-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン,2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、t-ブチルパーオキシオクトエート,t-ブチルパーオキシピバレート,t-ブチルパーオキシネオデカノエート,t-ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート,ジイソプロピルパーオキシジカーボネート,ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート,t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート類等が挙げられる。
これらの中では、ジアルキルパーオキシド類が好ましい。
また、これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの有機化酸化物の具体的な市販品としては、例えば、日油株式会社製のパーヘキシン25B、パーブチルD、パーブチルC、パーヘキサ25B、パークミルD、パーブチルP、パーブチルH、パーヘキシルH、パークミルH、パーオクタH、パークミルP、パーメンタH、パーブチルSM、パーメックN、ペロマーAC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサCD、パーテトラA、パーヘキサC、パーヘキサ3M、パーヘキサHC、パーヘキサTMH、パーブチルIF、パーブチルZ、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーヘキサ25Z、パーブチルE、パーブチルL、パーヘキサ25MT、パーブチルI、パーブチル355、パーブチルMA、パーヘキシルI、パーブチルIB、パーブチルO、パーヘキシルO、パーシクロO、パーヘキサ250、パーオクタO、パーブチルPV、パーヘキシルPV、パーブチルND、パーヘキシルND、パーシクロND、パーオクタND、パークミルND、ダイパーND、パーロイルSOP、パーロイルOPP、パーロイルMBP、パーロイルEEP、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルIB、パーロイルSA、パーロイルS、パーロイルO、パーロイルL、パーロイル355、ナイパーBW、ナイパーBMT、ナイパーCS等が挙げられる。
ラジカル開始剤の使用量としては特に制限はなく、目的とするカルボニル基含有水添石油樹脂の物性に応じて適宜選定されるが、使用する原料の水添石油樹脂100質量部に対し、通常0.01~10質量部、好ましくは0.01~5質量部の範囲で用いられる。
反応方法としては特に制限はないが、原料の水添石油樹脂、前記の有機酸又はその誘導体、及びラジカル開始剤とを、有機溶剤中、あるいは無溶媒で融解して、反応させることによってカルボニル基含有水添石油樹脂を得ることができる。
反応温度は、ラジカル開始剤の種類によって調整すればよいが、好ましくは-50~300℃であり、より好ましくは40~180℃である。反応時間は、ラジカル開始剤の種類と反応温度によって調整すればよいが、好ましくは0.1~20時間である。
有機溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤、又はクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤を好適に用いることができる。
また、原料の水添石油樹脂と、前記の有機酸及びラジカル開始剤とを、ロールミル、バンバリーミキサー、押出機等を用いて、溶融混練して反応させてもよい。この場合の反応温度は、好ましくは150~300℃であり、より好ましくは140~250℃である。反応時間は、好ましくは0.1~10時間である。
反応温度は、ラジカル開始剤の種類によって調整すればよいが、好ましくは-50~300℃であり、より好ましくは40~180℃である。反応時間は、ラジカル開始剤の種類と反応温度によって調整すればよいが、好ましくは0.1~20時間である。
有機溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤、又はクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤を好適に用いることができる。
また、原料の水添石油樹脂と、前記の有機酸及びラジカル開始剤とを、ロールミル、バンバリーミキサー、押出機等を用いて、溶融混練して反応させてもよい。この場合の反応温度は、好ましくは150~300℃であり、より好ましくは140~250℃である。反応時間は、好ましくは0.1~10時間である。
[カルボニル基含有水添石油樹脂の用途]
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、上述のように、臭気も少なく、色相に優れ、異種材料の接着性を向上させるという優れた特徴を有するため、特に接着剤の原料として用いることが好ましい。すなわち、以下の接着剤は、本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂を含むことが好ましい。
本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、上述のように、臭気も少なく、色相に優れ、異種材料の接着性を向上させるという優れた特徴を有するため、特に接着剤の原料として用いることが好ましい。すなわち、以下の接着剤は、本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂を含むことが好ましい。
溶剤による接着剤の種類として、前記接着剤としては、溶剤系接着剤、無溶剤系接着剤、水分散系接着剤が挙げられる。
また、原料成分による種類として、前記接着剤としては、ウレタン系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、シリコーンゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、スチレンブタジエンゴム系接着剤、デンプン系接着剤が挙げられる。
接着機構による接着剤の種類として、前記接着剤としては、ホットメルト接着剤、感圧接着剤が挙げられ、ホットメルト接着剤が好ましい。以下にホットメルト接着剤について、詳細に説明する。
また、原料成分による種類として、前記接着剤としては、ウレタン系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、シリコーンゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、スチレンブタジエンゴム系接着剤、デンプン系接着剤が挙げられる。
接着機構による接着剤の種類として、前記接着剤としては、ホットメルト接着剤、感圧接着剤が挙げられ、ホットメルト接着剤が好ましい。以下にホットメルト接着剤について、詳細に説明する。
[ホットメルト接着剤]
本発明のホットメルト接着剤は、前記カルボニル基含有水添石油樹脂を含む。
すなわち、本発明のホットメルト接着剤は、酸価が10~400mgKOH/gであり、かつ臭素価が20gBr2/100g以下である、カルボニル基含有水添石油樹脂を含む。
前記カルボニル基含有水添石油樹脂を含むことで、異種材料の接着性に優れるホットメルト接着剤とすることができる。
本発明のホットメルト接着剤における前記カルボニル基含有水添石油樹脂の含有量は、
異種材料間の接着性を高める観点から、ホットメルト接着剤中、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。
本発明のホットメルト接着剤は、前記カルボニル基含有水添石油樹脂を含む。
すなわち、本発明のホットメルト接着剤は、酸価が10~400mgKOH/gであり、かつ臭素価が20gBr2/100g以下である、カルボニル基含有水添石油樹脂を含む。
前記カルボニル基含有水添石油樹脂を含むことで、異種材料の接着性に優れるホットメルト接着剤とすることができる。
本発明のホットメルト接着剤における前記カルボニル基含有水添石油樹脂の含有量は、
異種材料間の接着性を高める観点から、ホットメルト接着剤中、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。
本発明のホットメルト接着剤は、前記カルボニル基含有水添石油樹脂に加え、ベースポリマー、粘着付与樹脂、ワックス、添加剤を含むことができる。
(ベースポリマー)
前記ホットメルト接着剤は、ベースポリマーを更に含むことが好ましい。
本明細書中、「ベースポリマー」とは、前記カルボニル基含有水添石油樹脂以外の成分として用いられるポリマー成分中、最も多く含まれるポリマーをいう。
ベースポリマーの具体例としては、天然ゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系プラストマー等が挙げられ、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーが好ましい。この他、反応型ホットメルト接着剤に用いられるベースポリマーとしては、水分で縮合反応が起こるシラン含有基やイソシアネート基をもつポリマー等が挙げられる。
エラストマーは、ゴム弾性的な性質を持つものであれば密度によって制限されることはなく、化学的架橋されているものでも化学的架橋されていないものでもよい。
プラストマーは、塑性変形するものであれば密度によって制限されることはなく、化学的架橋されているものでも化学的架橋されていないものでもよい。
これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ホットメルト接着剤は、ベースポリマーを更に含むことが好ましい。
本明細書中、「ベースポリマー」とは、前記カルボニル基含有水添石油樹脂以外の成分として用いられるポリマー成分中、最も多く含まれるポリマーをいう。
ベースポリマーの具体例としては、天然ゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系プラストマー等が挙げられ、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーが好ましい。この他、反応型ホットメルト接着剤に用いられるベースポリマーとしては、水分で縮合反応が起こるシラン含有基やイソシアネート基をもつポリマー等が挙げられる。
エラストマーは、ゴム弾性的な性質を持つものであれば密度によって制限されることはなく、化学的架橋されているものでも化学的架橋されていないものでもよい。
プラストマーは、塑性変形するものであれば密度によって制限されることはなく、化学的架橋されているものでも化学的架橋されていないものでもよい。
これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン系オレフィン重合体、非晶性オレフィン重合体、プロピレン系エラストマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、プロピレン系エラストマー及びエチレン系オレフィン重合体が好ましい。
エチレン系オレフィン重合体は、エチレン単位を主な構成単位とするオレフィン重合体であり、具体的には、ポリエチレンや、エチレンと炭素数3~10のオレフィンとの共重合体が挙げられる。ここで、主な構成単位とは、重合体を構成する構成単位中、最も多く含まれる構成単位をいう。なお、本明細書中、エチレン単位を最も多く含むが他の構成単位と同量である重合体については、エチレン系オレフィン重合体であるとする。ホットメルト接着剤のベースポリマーとして使用できるものであれば特に限定されないが、ホットメルト接着剤の粘着性の観点からは、好ましくはエチレン-α-オレフィン共重合体である。α-オレフィンの具体例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられ、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。これらのα-オレフィンの中でも1-オクテンが好ましい。ホットメルト接着剤の粘着性の観点から、より好ましくはエチレン-1-オクテン共重合体であり、更に好ましくは1-オクテン由来の構成単位を5~50質量%含有するエチレン-1-オクテン共重合体である。
エチレン系オレフィン重合体の融点は、耐熱クリープ性の観点から、好ましくは60~120℃、より好ましくは60~90℃である。エチレン系オレフィン重合体の融点は、示差走査熱量測定により測定することができる。なお、エチレン系オレフィン重合体のうち非晶性のものは、後述する非晶性オレフィン重合体に属する。
エチレン系オレフィン重合体の融点は、耐熱クリープ性の観点から、好ましくは60~120℃、より好ましくは60~90℃である。エチレン系オレフィン重合体の融点は、示差走査熱量測定により測定することができる。なお、エチレン系オレフィン重合体のうち非晶性のものは、後述する非晶性オレフィン重合体に属する。
非晶性オレフィン重合体としては、炭素数2~24の直鎖若しくは分岐状のα-オレフィン若しくはジエンからなる群から選ばれる1種以上の単独重合体または共重合体であり、特に限定されないが、エチレン-プロピレン共重合体、アタクチックポリプロピレン、ポリブテン、アタクチックポリ1-ブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、非晶性ポリアルファオレフィンが挙げられる。
ポリブテンとしては、イソブテン、ノルマルブテンのそれぞれ単独あるいは共重合体及びその水素添加体が挙げられる。
ポリブタジエンとしては、1,2-ブタジエンや1,4-ブタジエンの単独あるいは共重合体及びその水素添加体が挙げられ、末端に水酸基を有していてもよい。
ポリイソプレンとしては、イソプレンの単独重合体あるいは共重合体及びその水素添加体が挙げられ、末端に水酸基を有していてもよい。
非晶性ポリアルファオレフィンとしては、炭素数2~6のオレフィンの単独重合あるいは共重合体が挙げられる。
ポリブテンとしては、イソブテン、ノルマルブテンのそれぞれ単独あるいは共重合体及びその水素添加体が挙げられる。
ポリブタジエンとしては、1,2-ブタジエンや1,4-ブタジエンの単独あるいは共重合体及びその水素添加体が挙げられ、末端に水酸基を有していてもよい。
ポリイソプレンとしては、イソプレンの単独重合体あるいは共重合体及びその水素添加体が挙げられ、末端に水酸基を有していてもよい。
非晶性ポリアルファオレフィンとしては、炭素数2~6のオレフィンの単独重合あるいは共重合体が挙げられる。
プロピレン系エラストマーとしては、プロピレン単位を主な構成単位とするエラストマーであり、低結晶性ポリプロピレン等が挙げられる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率は、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン系ブロック共重合体が好ましい。
スチレン系ブロック共重合体は、スチレン系化合物と共役ジエン化合物とがブロック共重合した共重合体であって、通常、スチレン系化合物ブロックと共役ジエン化合物ブロックとを有する。
スチレン系ブロック共重合体は、スチレン系化合物と共役ジエン化合物とがブロック共重合した共重合体であって、通常、スチレン系化合物ブロックと共役ジエン化合物ブロックとを有する。
ここで、「スチレン系化合物」としては、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン及びビニルアントラセン等を例示できる。特にスチレンが好ましい。これらのスチレン系化合物は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
「共役ジエン化合物」とは、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物を意味する。「共役ジエン化合物」として、具体的には、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(又はイソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエンを例示することができる。1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエンが特に好ましい。これらの共役ジエン化合物は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
「共役ジエン化合物」とは、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物を意味する。「共役ジエン化合物」として、具体的には、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(又はイソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエンを例示することができる。1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエンが特に好ましい。これらの共役ジエン化合物は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
スチレン系ブロック共重合体は、未水素添加物であっても、水素添加物であってもよい。「スチレン系ブロック共重合体の未水素添加物」とは、具体的には、共役ジエン化合物に基づくブロックが水素添加されていないものを例示できる。また、「スチレン系ブロック共重合体の水素添加物」とは、具体的には、共役ジエン化合物に基づくブロックの全部、若しくは一部が水素添加されたブロック共重合体を例示できる。
「スチレン系ブロック共重合体の水素添加物」の水素添加された割合を、「水素添加率」で示すことができる。「スチレン系ブロック共重合体の水素添加物」の「水素添加率」とは、共役ジエン化合物に基づくブロックに含まれる全脂肪族二重結合を基準とし、その中で、水素添加されて飽和炭化水素結合に転換された二重結合の割合をいう。この「水素添加率」は、赤外分光光度計及び核磁器共鳴装置等によって測定することができる。
「スチレン系ブロック共重合体の水素添加物」の水素添加された割合を、「水素添加率」で示すことができる。「スチレン系ブロック共重合体の水素添加物」の「水素添加率」とは、共役ジエン化合物に基づくブロックに含まれる全脂肪族二重結合を基準とし、その中で、水素添加されて飽和炭化水素結合に転換された二重結合の割合をいう。この「水素添加率」は、赤外分光光度計及び核磁器共鳴装置等によって測定することができる。
「スチレン系ブロック共重合体の未水素添加物」として、具体的には、例えばスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(「SIS」ともいう)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(「SBS」ともいう)を例示できる。「スチレン系ブロック共重合体の水素添加物」として、具体的には、例えば水素添加されたスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(「SEPS」ともいう)及び水素添加されたスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(「SEBS」ともいう)を例示できる。
スチレン系ブロック共重合体は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
スチレン系ブロック共重合体は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
スチレン系ブロック共重合体は、ホットメルト接着剤の接着強度の観点から、スチレン系ブロック共重合体に含まれるスチレンブロックの割合(スチレン含有率)が好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~40質量%である。
ベースポリマーの含有量は、凝集性の観点から、ホットメルト接着剤中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
ベースポリマーのガラス転移温度は、-20~100℃が好ましく、-20~60℃がより好ましい。
ベースポリマーのガラス転移温度は、-20~100℃が好ましく、-20~60℃がより好ましい。
(粘着付与樹脂)
本発明のホットメルト接着剤は、粘着性向上の観点、塗布性の観点及び粘度低下による被着体への濡れ性向上の観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。
粘着付与樹脂としては、常温で固体、半固体あるいは液状のものが挙げられ、好ましい具体例としては、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂及び油溶性フェノール樹脂並びにそれらの水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、熱安定性に優れる石油樹脂の水素化物がより好ましい。
本発明のホットメルト接着剤は、粘着性向上の観点、塗布性の観点及び粘度低下による被着体への濡れ性向上の観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。
粘着付与樹脂としては、常温で固体、半固体あるいは液状のものが挙げられ、好ましい具体例としては、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂及び油溶性フェノール樹脂並びにそれらの水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、熱安定性に優れる石油樹脂の水素化物がより好ましい。
粘着付与樹脂の市販品としては、アイマーブ P-125、P-100、P-90(以上、出光興産株式会社製、「アイマーブ」は登録商標)、ユーメックス 1001(三洋化成工業株式会社製、「ユーメックス」は登録商標)、ハイレッツ T1115(三井化学株式会社製、「ハイレッツ」は登録商標)、クリアロン K100(ヤスハラケミカル株式会社製、「クリアロン」は登録商標)、ECR 227、エスコレッツ 2101、エスコレッツ5300、エスコレッツ5320、エスコレッツ5400、エスコレッツ5600(以上、トーネックス株式会社製、「エスコレッツ」は登録商標)、アルコン P100(荒川化学株式会社製、「アルコン」は登録商標)、Regalrez 1078(ハーキュレス(Hercules)社製、「Regalrez」は登録商標)、Eastotac H-130R(イーストマン・ケミカル社製、「Eastotac」は登録商標)等を挙げることができる(いずれも商品名)。
本発明のホットメルト接着剤中の粘着付与樹脂の含有量は、接着強度の観点から、ホットメルト接着剤中、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。また、粘着性向上の観点、塗布性の観点及び粘度低下による被着体への濡れ性向上の観点から、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。
(ワックス)
本発明のホットメルト接着剤は、ホットメルト接着剤の融着可能時間を短くする観点から、ワックスを含有してもよい。
ただし、ワックスは低分子量のポリマー/オリゴマーの混合物であるため、一般的には雑多な有機揮発分を多く発生するものである。そのため、あらかじめ発生する有機揮発分が確認されたワックスを用いることが好ましい。そのようなワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレンワックス、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の合成ワックスが例示される。これらの中でも、特に精製度の高いポリプロピレンワックス及びポリエチレンワックスが好ましい。本発明のホットメルト接着剤である異種材料の接着性をより高めるために、無水マレイン酸変性ワックス又は酸化ワックスがより好ましい。
本発明のホットメルト接着剤は、ホットメルト接着剤の融着可能時間を短くする観点から、ワックスを含有してもよい。
ただし、ワックスは低分子量のポリマー/オリゴマーの混合物であるため、一般的には雑多な有機揮発分を多く発生するものである。そのため、あらかじめ発生する有機揮発分が確認されたワックスを用いることが好ましい。そのようなワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレンワックス、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の合成ワックスが例示される。これらの中でも、特に精製度の高いポリプロピレンワックス及びポリエチレンワックスが好ましい。本発明のホットメルト接着剤である異種材料の接着性をより高めるために、無水マレイン酸変性ワックス又は酸化ワックスがより好ましい。
本発明のホットメルト接着剤がワックスを含有する場合、柔軟性向上、粘度低下による濡れ性の向上の観点から、ワックス含有量は、ホットメルト接着剤100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
(添加剤)
本発明のホットメルト接着剤は、発明の効果を阻害しない範囲で、前記ベースポリマー、前記粘着付与樹脂、前記ワックス以外に、必要に応じて可塑剤、無機フィラー、酸化防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。
可塑剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、脂肪酸エステル類、グリコール類、エポキシ系高分子可塑剤などを例示できる。
無機フィラーとしては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ウォラストナイト、シリカ、雲母、カオリン、酸化チタン、ケイソウ土、尿素系樹脂、スチレンビーズ、澱粉、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、石英粉末などを例示できる。
酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、アデカスタブ 1178(株式会社ADEKA製、「アデカスタブ」は登録商標)、スミライザー TNP(住友化学株式会社製、「スミライザー」は登録商標)、イルガフォス 168(BASF社製、「イルガフォス」は登録商標)、Sandostab P-EPQ(サンド社製、「Sandostab」は登録商標)等のリン系酸化防止剤、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イルガノックス 1010(BASF社製、「イルガノックス」は登録商標)等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、スミライザー TPL(住友化学株式会社製)、DSTP「ヨシトミ」(三菱ケミカル株式会社製、「ヨシトミ」は登録商標)、アンチオックス L(日油株式会社製、「アンチオックス」は登録商標)等のイオウ系酸化防止剤等を例示できる。
本発明のホットメルト接着剤は、発明の効果を阻害しない範囲で、前記ベースポリマー、前記粘着付与樹脂、前記ワックス以外に、必要に応じて可塑剤、無機フィラー、酸化防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。
可塑剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、脂肪酸エステル類、グリコール類、エポキシ系高分子可塑剤などを例示できる。
無機フィラーとしては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ウォラストナイト、シリカ、雲母、カオリン、酸化チタン、ケイソウ土、尿素系樹脂、スチレンビーズ、澱粉、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、石英粉末などを例示できる。
酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、アデカスタブ 1178(株式会社ADEKA製、「アデカスタブ」は登録商標)、スミライザー TNP(住友化学株式会社製、「スミライザー」は登録商標)、イルガフォス 168(BASF社製、「イルガフォス」は登録商標)、Sandostab P-EPQ(サンド社製、「Sandostab」は登録商標)等のリン系酸化防止剤、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イルガノックス 1010(BASF社製、「イルガノックス」は登録商標)等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、スミライザー TPL(住友化学株式会社製)、DSTP「ヨシトミ」(三菱ケミカル株式会社製、「ヨシトミ」は登録商標)、アンチオックス L(日油株式会社製、「アンチオックス」は登録商標)等のイオウ系酸化防止剤等を例示できる。
(ホットメルト接着剤の製造方法)
本発明のホットメルト接着剤は、前記カルボニル基含有水添石油樹脂と、必要に応じてベースポリマー、粘着付与樹脂、ワックス、各種添加剤とをヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドし、ステンレス等からなる耐熱性容器中で回転翼等の撹拌翼を使用して行う加熱撹拌、単軸又は2軸押出機、プラストミルやバンバリーミキサー等により溶融混練することで製造することができる。
本発明のホットメルト接着剤は、前記カルボニル基含有水添石油樹脂と、必要に応じてベースポリマー、粘着付与樹脂、ワックス、各種添加剤とをヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドし、ステンレス等からなる耐熱性容器中で回転翼等の撹拌翼を使用して行う加熱撹拌、単軸又は2軸押出機、プラストミルやバンバリーミキサー等により溶融混練することで製造することができる。
(ホットメルト接着剤の溶融粘度)
本発明のホットメルト剤は、より適度な流動性と良好な接着性のバランスに優れた効果が得られる観点から、190℃での溶融粘度が、好ましくは3,000mPa・s以上であり、より好ましくは3,470mPa・s以上であり、更に好ましくは3,500mPa・s以上であり、より更に好ましくは4,220mPa・s以上であり、そして、好ましくは8,000mPa・s以下であり、より好ましくは7,000mPa・s以下であり、更に好ましくは5,620mPa・s以下であり、より更に好ましくは5,500mPa・s以下である。
本発明のホットメルト剤は、より適度な流動性と良好な接着性のバランスに優れた効果が得られる観点から、190℃での溶融粘度が、好ましくは3,000mPa・s以上であり、より好ましくは3,470mPa・s以上であり、更に好ましくは3,500mPa・s以上であり、より更に好ましくは4,220mPa・s以上であり、そして、好ましくは8,000mPa・s以下であり、より好ましくは7,000mPa・s以下であり、更に好ましくは5,620mPa・s以下であり、より更に好ましくは5,500mPa・s以下である。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[分析・評価]
〔1.酸価〕
JIS K 0070-1992に準じて測定した。
〔1.酸価〕
JIS K 0070-1992に準じて測定した。
〔2.臭素価〕
JIS K 2605に準じて測定した。
JIS K 2605に準じて測定した。
〔3.分子量及び分子量分布〕
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、平均分子量を測定した。測定には、GPC測定装置(HLC8220、検出器:RI、カラム:TSK-GEL GHXL-L、G4000HXL、G2000HXL、溶離液としてテトラヒドロフランを用いた。いずれも東ソー株式会社製)を使用し、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求め、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、平均分子量を測定した。測定には、GPC測定装置(HLC8220、検出器:RI、カラム:TSK-GEL GHXL-L、G4000HXL、G2000HXL、溶離液としてテトラヒドロフランを用いた。いずれも東ソー株式会社製)を使用し、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求め、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
〔4.ガラス転移温度〕
下記の測定条件により得られた融解カーブから求める。具体的には、熱量変化の無い低温側ベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点もしくは変位の中点をガラス転移点(Tg)とする。
<測定条件>
差走査型熱量計(DSC)(パーキン・エルマー社製、「DSC-7」)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下25℃で5分間保持し、320℃/分で220℃に昇温し5分間保持した後、320℃/分で-20℃に冷却し、-20℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温220℃まで昇温し、融解カーブを得る。
下記の測定条件により得られた融解カーブから求める。具体的には、熱量変化の無い低温側ベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点もしくは変位の中点をガラス転移点(Tg)とする。
<測定条件>
差走査型熱量計(DSC)(パーキン・エルマー社製、「DSC-7」)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下25℃で5分間保持し、320℃/分で220℃に昇温し5分間保持した後、320℃/分で-20℃に冷却し、-20℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温220℃まで昇温し、融解カーブを得る。
〔5.芳香族水素の積分比率〕
核磁気共鳴(NMR)装置(JNM-EX400、日本電子株式会社製)を用い、溶媒は重水素化クロロホルム、積算回数256回の条件で、実施例及び比較例で得られた樹脂の1H-NMR測定を行い、0~3.0ppm領域のピークの積分値と6.5~7.5ppm領域のピークの積分値の和に対する6.5~7.5ppm領域のピーク(芳香族水素のピーク)の積分値の比率[6.5~7.5ppm領域のピークの積分値/(0~3.0ppm領域のピークの積分値と6.5~7.5ppm領域のピークの積分値の和)]を求めた。その際、0~3.0ppm領域及び6.5~7.5ppm領域に原料の添加物(酸化防止剤等)や溶媒(クロロホルム等)に起因するピークがある場合は、標準物質を同様に測定し、前記積分値からそれらの積分値を減じて求めた。
核磁気共鳴(NMR)装置(JNM-EX400、日本電子株式会社製)を用い、溶媒は重水素化クロロホルム、積算回数256回の条件で、実施例及び比較例で得られた樹脂の1H-NMR測定を行い、0~3.0ppm領域のピークの積分値と6.5~7.5ppm領域のピークの積分値の和に対する6.5~7.5ppm領域のピーク(芳香族水素のピーク)の積分値の比率[6.5~7.5ppm領域のピークの積分値/(0~3.0ppm領域のピークの積分値と6.5~7.5ppm領域のピークの積分値の和)]を求めた。その際、0~3.0ppm領域及び6.5~7.5ppm領域に原料の添加物(酸化防止剤等)や溶媒(クロロホルム等)に起因するピークがある場合は、標準物質を同様に測定し、前記積分値からそれらの積分値を減じて求めた。
〔6.軟化点〕
JIS K 6863に準じて測定した。
JIS K 6863に準じて測定した。
〔7.臭気評価(室温)〕
100mLの三角フラスコに表1に示す樹脂又はワックス 0.5gを入れ、栓をし10分間、室温(25℃)で放置した。
その後、蓋を開け、フラスコ上部から10cm程度に鼻を近づけ、フラスコ上部から鼻に向けて手で仰いで、匂いを嗅ぎ、臭気を下記の基準で評価した。なお、下記評価基準のうち、1及び2であれば、臭気評価の結果は良好であり、3及び4であれば、臭気評価の結果は不良である。
1:においが感じられない(無臭)。
2:わずかににおいが感じられるが、においの種類が明確に判別できない。
3:においが感じられ、においの種類が明確に判別できる。
4:強烈なにおいがある。
100mLの三角フラスコに表1に示す樹脂又はワックス 0.5gを入れ、栓をし10分間、室温(25℃)で放置した。
その後、蓋を開け、フラスコ上部から10cm程度に鼻を近づけ、フラスコ上部から鼻に向けて手で仰いで、匂いを嗅ぎ、臭気を下記の基準で評価した。なお、下記評価基準のうち、1及び2であれば、臭気評価の結果は良好であり、3及び4であれば、臭気評価の結果は不良である。
1:においが感じられない(無臭)。
2:わずかににおいが感じられるが、においの種類が明確に判別できない。
3:においが感じられ、においの種類が明確に判別できる。
4:強烈なにおいがある。
[石油樹脂及び水添石油樹脂の製造]
製造例1(石油樹脂1の製造)
1Lのオートクレーブに、キシレン180gを投入し、260℃に昇温した。次に、ジシクロペンタジエン100gとスチレン100gの混合物を3時間かけて投入した。この温度でさらに75分間維持し、重合反応を行い、重合体混合物を得た。
その後、得られた重合体混合物からキシレンを回収し、次いで20mmHgで2時間維持して低沸点物を留去して、石油樹脂1を得た。得られた石油樹脂の軟化点は63.0℃であった。
製造例1(石油樹脂1の製造)
1Lのオートクレーブに、キシレン180gを投入し、260℃に昇温した。次に、ジシクロペンタジエン100gとスチレン100gの混合物を3時間かけて投入した。この温度でさらに75分間維持し、重合反応を行い、重合体混合物を得た。
その後、得られた重合体混合物からキシレンを回収し、次いで20mmHgで2時間維持して低沸点物を留去して、石油樹脂1を得た。得られた石油樹脂の軟化点は63.0℃であった。
製造例2(水添石油樹脂1の製造)
製造例1で得られた石油樹脂1 180g、エチルシクロヘキサン180g、ニッケル系触媒(N110シリーズ、日揮触媒化成株式会社製)4gを1Lのオートクレーブに投入した。水素を5MPaとなるように投入し、室温から230℃に昇温した。その後、水素圧を5MPaに保ちながら、8時間、水添反応を実施し、水添石油樹脂1を得た。得られた水添石油樹脂の軟化点は100℃であり、臭素価は2.5であり、芳香族水素の積分比率は0.7%であった。
製造例1で得られた石油樹脂1 180g、エチルシクロヘキサン180g、ニッケル系触媒(N110シリーズ、日揮触媒化成株式会社製)4gを1Lのオートクレーブに投入した。水素を5MPaとなるように投入し、室温から230℃に昇温した。その後、水素圧を5MPaに保ちながら、8時間、水添反応を実施し、水添石油樹脂1を得た。得られた水添石油樹脂の軟化点は100℃であり、臭素価は2.5であり、芳香族水素の積分比率は0.7%であった。
[カルボニル基含有水添石油樹脂の製造]
実施例1
窒素導入管、ジムロート管及び撹拌装置付の0.5Lセパラフラスコに、製造例2で得られた水添石油樹脂1 100gを投入し、窒素雰囲気下、160℃のオイルバスで加熱撹拌した。窒素雰囲気下、無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B、日油株式会社製)1.0gを投入した。1時間撹拌後、減圧下にて揮発物を留去することで、目的物であるカルボニル基含有水添石油樹脂Aを得た。
実施例1
窒素導入管、ジムロート管及び撹拌装置付の0.5Lセパラフラスコに、製造例2で得られた水添石油樹脂1 100gを投入し、窒素雰囲気下、160℃のオイルバスで加熱撹拌した。窒素雰囲気下、無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B、日油株式会社製)1.0gを投入した。1時間撹拌後、減圧下にて揮発物を留去することで、目的物であるカルボニル基含有水添石油樹脂Aを得た。
実施例2
窒素導入管、ジムロート管及び撹拌装置付の0.5Lセパラフラスコに、製造例2で得られた水添石油樹脂1 100gを投入し、窒素雰囲気下、160℃のオイルバスで加熱撹拌した。窒素雰囲気下、無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gを投入した。30分後、さらに無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gを投入し、30分後、さらに無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gを投入した。1時間撹拌後、減圧下にて揮発物を留去することで、目的物であるカルボニル基含有水添石油樹脂Bを得た。
窒素導入管、ジムロート管及び撹拌装置付の0.5Lセパラフラスコに、製造例2で得られた水添石油樹脂1 100gを投入し、窒素雰囲気下、160℃のオイルバスで加熱撹拌した。窒素雰囲気下、無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gを投入した。30分後、さらに無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gを投入し、30分後、さらに無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gを投入した。1時間撹拌後、減圧下にて揮発物を留去することで、目的物であるカルボニル基含有水添石油樹脂Bを得た。
実施例3
窒素導入管、ジムロート管及び撹拌装置付の0.5Lセパラフラスコに、製造例2で得られた水添石油樹脂1 100gを投入し、窒素雰囲気下、160℃のオイルバスで加熱撹拌した。窒素雰囲気下、無水マレイン酸 3g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gを投入した。30分後、さらに無水マレイン酸 5g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.5gを投入し、30分後、さらに無水マレイン酸 7g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)3.0gを投入した。1時間撹拌後、減圧下にて揮発物を留去することで、目的物であるカルボニル基含有水添石油樹脂Cを得た。
窒素導入管、ジムロート管及び撹拌装置付の0.5Lセパラフラスコに、製造例2で得られた水添石油樹脂1 100gを投入し、窒素雰囲気下、160℃のオイルバスで加熱撹拌した。窒素雰囲気下、無水マレイン酸 3g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gを投入した。30分後、さらに無水マレイン酸 5g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.5gを投入し、30分後、さらに無水マレイン酸 7g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)3.0gを投入した。1時間撹拌後、減圧下にて揮発物を留去することで、目的物であるカルボニル基含有水添石油樹脂Cを得た。
比較例1
実施例1において、無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gにかえて、無水マレイン酸 0.7g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)0.4gを用いた以外は実施例1と同様にしてカルボニル基含有水添石油樹脂Dを得た。
実施例1において、無水マレイン酸 2g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)1.0gにかえて、無水マレイン酸 0.7g及び有機過酸化物(パーヘキサ25B)0.4gを用いた以外は実施例1と同様にしてカルボニル基含有水添石油樹脂Dを得た。
比較例2
窒素導入管、ジムロート管及び撹拌装置付の0.5Lセパラフラスコに、製造例1で得られた石油樹脂1 50gを投入し、窒素雰囲気下、210℃のオイルバスで加熱撹拌した。窒素雰囲気下、無水マレイン酸 15gを投入した。30分間撹拌後、減圧下にて揮発物を留去することで、目的物であるカルボニル基含有石油樹脂Eを得た。
窒素導入管、ジムロート管及び撹拌装置付の0.5Lセパラフラスコに、製造例1で得られた石油樹脂1 50gを投入し、窒素雰囲気下、210℃のオイルバスで加熱撹拌した。窒素雰囲気下、無水マレイン酸 15gを投入した。30分間撹拌後、減圧下にて揮発物を留去することで、目的物であるカルボニル基含有石油樹脂Eを得た。
表1に前記実施例1~3で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂の物性値及び臭気評価の結果を示す。比較のため、比較例1で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂、比較例2で得られたカルボニル基含有石油樹脂、製造例2で得られた水添石油樹脂1、及び無水マレイン酸変性ポリプロピレン系ワックス(Licocene 6452、Clariant社製)の物性値及び臭気評価の結果も示す。
[評価]
〔8.接着性評価1〕
ホットプレート上に、ポリプロピレンシート(100mm×25mm×1mm)、実施例4~6及び比較例3~6で得られたホットメルト接着剤 0.2g、アルミニウムシート(25mm×35mm)の順で重ね、140℃に加熱し、アルミニウムシートの上から1分間押しつけることでホットメルト接着剤を接着部に広げた。なお、接着部は、ポリプロピレンシートとアルミニウムシートの端部(25mm×25mm)である。その後、室温下で冷却後、ポリプロピレンシートとアルミニウムシートを逆方向に90度に折り曲げた。これを5個作製し、23℃、湿度50%の環境下に2日保存して、試験片とした。
得られた試験片を用いて引張試験を行った。ポリプロピレンシートとアルミニウムシートを引張速度100mm/1minで逆方向に引っ張り、最大荷重を測定した。5回測定し、最大荷重の平均値を求めた。最大荷重の平均値が大きいほど、接着性に優れる。
〔8.接着性評価1〕
ホットプレート上に、ポリプロピレンシート(100mm×25mm×1mm)、実施例4~6及び比較例3~6で得られたホットメルト接着剤 0.2g、アルミニウムシート(25mm×35mm)の順で重ね、140℃に加熱し、アルミニウムシートの上から1分間押しつけることでホットメルト接着剤を接着部に広げた。なお、接着部は、ポリプロピレンシートとアルミニウムシートの端部(25mm×25mm)である。その後、室温下で冷却後、ポリプロピレンシートとアルミニウムシートを逆方向に90度に折り曲げた。これを5個作製し、23℃、湿度50%の環境下に2日保存して、試験片とした。
得られた試験片を用いて引張試験を行った。ポリプロピレンシートとアルミニウムシートを引張速度100mm/1minで逆方向に引っ張り、最大荷重を測定した。5回測定し、最大荷重の平均値を求めた。最大荷重の平均値が大きいほど、接着性に優れる。
〔9.臭気評価(加熱時)〕
100mLの三角フラスコに表2に示すホットメルト接着剤 0.5gを入れ、150℃のホットプレートに1分間放置した。その後、フラスコ上部から10cm程度に鼻を近づけ、フラスコ上部から鼻に向けて手で仰いで、匂いを嗅ぎ、臭気を下記の基準で評価した。なお、下記評価基準のうち、1及び2であれば、臭気評価の結果は良好であり、3及び4であれば、臭気評価の結果は不良である。
1:においが感じられない(無臭)。
2:わずかににおいが感じられるが、においの種類が明確に判別できない。
3:においが感じられ、においの種類が明確に判別できる。
4:強烈なにおいがある。
100mLの三角フラスコに表2に示すホットメルト接着剤 0.5gを入れ、150℃のホットプレートに1分間放置した。その後、フラスコ上部から10cm程度に鼻を近づけ、フラスコ上部から鼻に向けて手で仰いで、匂いを嗅ぎ、臭気を下記の基準で評価した。なお、下記評価基準のうち、1及び2であれば、臭気評価の結果は良好であり、3及び4であれば、臭気評価の結果は不良である。
1:においが感じられない(無臭)。
2:わずかににおいが感じられるが、においの種類が明確に判別できない。
3:においが感じられ、においの種類が明確に判別できる。
4:強烈なにおいがある。
[ホットメルト接着剤の製造]
実施例4
実施例1で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂A 5g、低結晶性ポリプロピレン(L-モーデュ、出光興産株式会社製)45g、酸化防止剤(イルガノックス1010)2,000ppm(カルボニル基含有水添石油樹脂と低結晶性ポリプロピレンに対する質量ppm)を200mLのステンレス製容器に投入し、180℃、5分間、加熱撹拌して、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
実施例4
実施例1で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂A 5g、低結晶性ポリプロピレン(L-モーデュ、出光興産株式会社製)45g、酸化防止剤(イルガノックス1010)2,000ppm(カルボニル基含有水添石油樹脂と低結晶性ポリプロピレンに対する質量ppm)を200mLのステンレス製容器に投入し、180℃、5分間、加熱撹拌して、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
実施例5
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、実施例2で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂B 5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、実施例2で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂B 5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
実施例6
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、実施例3で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂C 5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、実施例3で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂C 5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
比較例3
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、比較例1で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂Dを5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、比較例1で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂Dを5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
比較例4
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、比較例2で得られたカルボニル基含有石油樹脂Eを5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、比較例2で得られたカルボニル基含有石油樹脂Eを5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
比較例5
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、製造例2で得られた水添石油樹脂1 5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、製造例2で得られた水添石油樹脂1 5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
比較例6
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系ワックス(Licocene 6452、Clariant社製)5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
カルボニル基含有水添石油樹脂A 5gにかえて、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系ワックス(Licocene 6452、Clariant社製)5gを用いた以外は実施例4と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価及び臭気評価の結果を表2に示す。
表2の結果から、実施例のカルボニル基含有水添石油樹脂は、イソシアネート化合物等を必要とせず、ポリプロピレンとアルミニウムの接着性を向上させることができることがわかる。また、実施例のホットメルト接着剤は、イソシアネート化合物等を必要とせず、ポリプロピレンとアルミニウムの接着性に優れることがわかる。また、表1及び表2の結果から、本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂及び本発明のホットメルト接着剤は、臭気も少なく、優れることがわかる。
[評価]
〔10.接着性評価2〕
被着体として、ポリプロピレン(シート、100mm×25mm×1mm)、アルミニウム(板、100mm×25mm×1mm)、ポリ塩化ビニル(硬質シート、100mm×25mm×2mm)、ABS樹脂(シート、100mm×25mm×2mm)を用意した。
自動塗布機(JTトーシ株式会社製)を用いて、実施例7~8及び比較例7~8で得られたホットメルト接着剤を180℃で十分に融解し、前記被着体上に線状(16mg/cm)となるように塗布した。なお、塗布は各被着体の短辺(25mm)と平行になるように計40mg塗布した。その後、被着体の接着剤を塗布した面と、綿帆布(100mm×25mm)を重ね、オープンタイム2秒、圧締圧力2kg、圧締時間2秒で貼り合わせた。これを5個作製し、23℃、湿度50%の環境下に4日保存して、試験片とした。
得られた試験片を用いて引張試験を行った。被着体と綿帆布を、引張速度100mm/1minで接着面と平行かつ各被着体の長辺(100mm)と平行に、逆方向に引っ張り、最大荷重を測定した。5回測定し、最大荷重の平均値を求めた。最大荷重の平均値が大きいほど、接着性に優れる。
なお、実施例のホットメルト接着剤と比較するために、溶剤系接着剤の接着性の評価を行った。接着剤は前記ホットメルト接着剤を塗布した場所と同じ場所に、同じ量(固形分換算)となるように刷毛で塗布した。使用した溶剤系接着剤は、ウレタン系接着剤(ルビロン302、トーヨーポリマー株式会社製)及びクロロプレン系接着剤(EC-1368NT、3M社製)であり、それぞれ、比較例9及び比較例10とした。結果を表3に示す。
〔10.接着性評価2〕
被着体として、ポリプロピレン(シート、100mm×25mm×1mm)、アルミニウム(板、100mm×25mm×1mm)、ポリ塩化ビニル(硬質シート、100mm×25mm×2mm)、ABS樹脂(シート、100mm×25mm×2mm)を用意した。
自動塗布機(JTトーシ株式会社製)を用いて、実施例7~8及び比較例7~8で得られたホットメルト接着剤を180℃で十分に融解し、前記被着体上に線状(16mg/cm)となるように塗布した。なお、塗布は各被着体の短辺(25mm)と平行になるように計40mg塗布した。その後、被着体の接着剤を塗布した面と、綿帆布(100mm×25mm)を重ね、オープンタイム2秒、圧締圧力2kg、圧締時間2秒で貼り合わせた。これを5個作製し、23℃、湿度50%の環境下に4日保存して、試験片とした。
得られた試験片を用いて引張試験を行った。被着体と綿帆布を、引張速度100mm/1minで接着面と平行かつ各被着体の長辺(100mm)と平行に、逆方向に引っ張り、最大荷重を測定した。5回測定し、最大荷重の平均値を求めた。最大荷重の平均値が大きいほど、接着性に優れる。
なお、実施例のホットメルト接着剤と比較するために、溶剤系接着剤の接着性の評価を行った。接着剤は前記ホットメルト接着剤を塗布した場所と同じ場所に、同じ量(固形分換算)となるように刷毛で塗布した。使用した溶剤系接着剤は、ウレタン系接着剤(ルビロン302、トーヨーポリマー株式会社製)及びクロロプレン系接着剤(EC-1368NT、3M社製)であり、それぞれ、比較例9及び比較例10とした。結果を表3に示す。
[低結晶性ポリプロピレンの製造]
製造例3(低結晶性ポリプロピレン1の製造)
(触媒調製)
(1)2-クロロジメチルシリルインデンの製造
窒素気流下、1Lの三つ口フラスコにTHF(テトラヒドロフラン)50mLとマグネシウム2.5g(41mmol)を加え、ここに1,2-ジブロモエタン0.1mLを加えて30分間撹拌し、マグネシウムを活性化した。撹拌後、溶媒を抜き出し、新たにTHF50mLを添加した。ここに2-ブロモインデン5.0g(25.6mmol)のTHF(200mL)溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温において2時間撹拌した後、-78℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン3.1mL(25.6mmol)のTHF(100mL)溶液を1時間かけて滴下し、15時間撹拌した後、溶媒を留去した。残渣をヘキサン200mLで抽出した後、溶媒を留去することにより、2-クロロジメチルシリルインデン6.6g(24.2mmol)を得た(収率94%)。
製造例3(低結晶性ポリプロピレン1の製造)
(触媒調製)
(1)2-クロロジメチルシリルインデンの製造
窒素気流下、1Lの三つ口フラスコにTHF(テトラヒドロフラン)50mLとマグネシウム2.5g(41mmol)を加え、ここに1,2-ジブロモエタン0.1mLを加えて30分間撹拌し、マグネシウムを活性化した。撹拌後、溶媒を抜き出し、新たにTHF50mLを添加した。ここに2-ブロモインデン5.0g(25.6mmol)のTHF(200mL)溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温において2時間撹拌した後、-78℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン3.1mL(25.6mmol)のTHF(100mL)溶液を1時間かけて滴下し、15時間撹拌した後、溶媒を留去した。残渣をヘキサン200mLで抽出した後、溶媒を留去することにより、2-クロロジメチルシリルインデン6.6g(24.2mmol)を得た(収率94%)。
(2)(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)-ビス(インデン)の製造
窒素気流下、1Lの三つ口フラスコにTHF400mLと2-クロロジメチルシリルインデン8gを加え、-78℃に冷却した。この溶液へLiN(SiMe3)2のTHF溶液(1.0mol/L)を38.5mL(38.5mmol)滴下した。室温において15時間撹拌した後、溶媒を留去し、ヘキサン300mLで抽出した。溶媒を留去することにより(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)-ビス(インデン)を2.0g(6.4mmol)得た(収率33.4%)。
窒素気流下、1Lの三つ口フラスコにTHF400mLと2-クロロジメチルシリルインデン8gを加え、-78℃に冷却した。この溶液へLiN(SiMe3)2のTHF溶液(1.0mol/L)を38.5mL(38.5mmol)滴下した。室温において15時間撹拌した後、溶媒を留去し、ヘキサン300mLで抽出した。溶媒を留去することにより(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)-ビス(インデン)を2.0g(6.4mmol)得た(収率33.4%)。
(3)(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの製造
窒素気流下、200mLのシュレンク瓶に(2)で得られた(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)-ビス(インデン)2.5g(7.2mmol)とジエチルエーテル100mLを加えた。-78℃に冷却しn-ブチルリチウム(n-BuLi)のヘキサン溶液(1.6mol/L)を9.0mL(14.8mmol)加えた後、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去し得られた固体をn-ヘキサン20mLで洗浄し減圧乾燥することによりリチウム塩を白色固体として定量的に得た。
シュレンク瓶中、(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(インデン)のリチウム塩(6.97mmol)をTHF50mLに溶解し、室温でヨードメチルトリメチルシラン2.1mL(14.2mmol)をゆっくりと滴下し12時間撹拌した。溶媒を留去しジエチルエーテル50mLを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去することにより(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.9mmol)得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に前記で得られた(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9mmol)とジエチルエーテル50mLを入れた。-78℃に冷却しn-ブチルリチウム(n-BuLi)のヘキサン溶液(1.6mol/L)を7.4mL(11.8mmol)を加えた後、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去し、得られた固体をヘキサン40mLで洗浄することによりリチウム塩をジエチルエーテル付加体として3.06g得た。
窒素気流下、前記で得られたリチウム塩3.06gをトルエン50mLに懸濁させた。-78℃に冷却し、ここへ予め-78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン(20mL)懸濁液を滴下した。滴下後、室温で6時間撹拌した。その反応溶液の溶媒を留去した。得られた残渣をジクロロメタンより再結晶化することにより(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの黄色微結晶0.9g(1.33mmol)を得た(収率26%)。
窒素気流下、200mLのシュレンク瓶に(2)で得られた(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)-ビス(インデン)2.5g(7.2mmol)とジエチルエーテル100mLを加えた。-78℃に冷却しn-ブチルリチウム(n-BuLi)のヘキサン溶液(1.6mol/L)を9.0mL(14.8mmol)加えた後、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去し得られた固体をn-ヘキサン20mLで洗浄し減圧乾燥することによりリチウム塩を白色固体として定量的に得た。
シュレンク瓶中、(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(インデン)のリチウム塩(6.97mmol)をTHF50mLに溶解し、室温でヨードメチルトリメチルシラン2.1mL(14.2mmol)をゆっくりと滴下し12時間撹拌した。溶媒を留去しジエチルエーテル50mLを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去することにより(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.9mmol)得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に前記で得られた(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9mmol)とジエチルエーテル50mLを入れた。-78℃に冷却しn-ブチルリチウム(n-BuLi)のヘキサン溶液(1.6mol/L)を7.4mL(11.8mmol)を加えた後、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去し、得られた固体をヘキサン40mLで洗浄することによりリチウム塩をジエチルエーテル付加体として3.06g得た。
窒素気流下、前記で得られたリチウム塩3.06gをトルエン50mLに懸濁させた。-78℃に冷却し、ここへ予め-78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン(20mL)懸濁液を滴下した。滴下後、室温で6時間撹拌した。その反応溶液の溶媒を留去した。得られた残渣をジクロロメタンより再結晶化することにより(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの黄色微結晶0.9g(1.33mmol)を得た(収率26%)。
(重合)
加熱乾燥した10Lオートクレーブにヘプタン4,000mLを入れ、脱気した後、水素0.05MPaを導入し、さらに、プロピレンを導入し、重合温度80℃、全圧0.8MPaまで昇温、昇圧した。トリイソブチルアルミニウム5mmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート51μmol、(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)-ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1μmol加え、45分間重合した。重合反応終了後、反応物を減圧下、乾燥することにより、低結晶性ポリプロピレン1 1.5kgを得た。得られた低結晶性ポリプロピレン1のポリプロピレン換算重量平均分子量(GPCで測定)は43000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0、融点は80℃、立体規則性指数[mm](13C-NMRで測定)は61.0mol%であった。
加熱乾燥した10Lオートクレーブにヘプタン4,000mLを入れ、脱気した後、水素0.05MPaを導入し、さらに、プロピレンを導入し、重合温度80℃、全圧0.8MPaまで昇温、昇圧した。トリイソブチルアルミニウム5mmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート51μmol、(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)-ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1μmol加え、45分間重合した。重合反応終了後、反応物を減圧下、乾燥することにより、低結晶性ポリプロピレン1 1.5kgを得た。得られた低結晶性ポリプロピレン1のポリプロピレン換算重量平均分子量(GPCで測定)は43000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0、融点は80℃、立体規則性指数[mm](13C-NMRで測定)は61.0mol%であった。
[ホットメルト接着剤の製造]
実施例7
実施例2で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂B 20g、製造例3で得られた低結晶性ポリプロピレン1 180g、酸化防止剤(イルガノックス1010)2,000ppm(カルボニル基含有水添石油樹脂と低結晶性ポリプロピレンの合計量に対する質量ppm)を1Lのステンレス製容器に投入し、180℃で20分間加熱して溶融させた後、180℃で10分間撹拌して、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価の結果を表3に示す。
実施例7
実施例2で得られたカルボニル基含有水添石油樹脂B 20g、製造例3で得られた低結晶性ポリプロピレン1 180g、酸化防止剤(イルガノックス1010)2,000ppm(カルボニル基含有水添石油樹脂と低結晶性ポリプロピレンの合計量に対する質量ppm)を1Lのステンレス製容器に投入し、180℃で20分間加熱して溶融させた後、180℃で10分間撹拌して、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価の結果を表3に示す。
実施例8
製造例3で得られた低結晶性ポリプロピレン1 180gにかえて、C2~8共重合ポリオレフィン(Affinity GA1950、ダウ・ケミカル社製)180gを用いた以外は実施例7と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価の結果を表3に示す。
製造例3で得られた低結晶性ポリプロピレン1 180gにかえて、C2~8共重合ポリオレフィン(Affinity GA1950、ダウ・ケミカル社製)180gを用いた以外は実施例7と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価の結果を表3に示す。
比較例7
カルボニル基含有水添石油樹脂B 20gにかえて、製造例2で得られた水添石油樹脂1 20gを用いた以外は実施例7と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価の結果を表3に示す。
カルボニル基含有水添石油樹脂B 20gにかえて、製造例2で得られた水添石油樹脂1 20gを用いた以外は実施例7と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価の結果を表3に示す。
比較例8
カルボニル基含有水添石油樹脂B 20gにかえて、製造例2で得られた水添石油樹脂1 20gを用いた以外は実施例8と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価の結果を表3に示す。
カルボニル基含有水添石油樹脂B 20gにかえて、製造例2で得られた水添石油樹脂1 20gを用いた以外は実施例8と同様にして、ホットメルト接着剤を得た。接着性評価の結果を表3に示す。
表3の結果から、実施例のカルボニル基含有水添石油樹脂は、溶剤やイソシアネート化合物等を必要とせず、ポリプロピレン、アルミニウム、その他樹脂の接着性を向上させることができることがわかる。また、実施例のホットメルト接着剤は、溶剤系接着剤と比較しても、各種材料に対してより良好な接着剤を示すことがわかる。
以上のことから本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、環境負荷も少なく、異種材料の接着性を向上させることができることがわかる。更に本発明のホットメルト接着剤は、異種材料の接着性に優れることがわかる。また、本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、臭気も少なく、色相にも優れる。
以上のことから本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、環境負荷も少なく、異種材料の接着性を向上させることができることがわかる。更に本発明のホットメルト接着剤は、異種材料の接着性に優れることがわかる。また、本発明のカルボニル基含有水添石油樹脂は、臭気も少なく、色相にも優れる。
Claims (7)
- 酸価が10~400mgKOH/gであり、かつ臭素価が20gBr2/100g以下である、カルボニル基含有水添石油樹脂。
- 前記カルボニル基含有水添石油樹脂の軟化点が80℃以上である、請求項1に記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
- 前記カルボニル基含有水添石油樹脂のガラス転移温度が25℃以上である、請求項1又は2に記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
- 前記カルボニル基含有水添石油樹脂の重量平均分子量が10,000以下である、請求項1~3のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
- 前記カルボニル基含有水添石油樹脂が、酸無水物基及びカルボキシ基含有水添石油樹脂、カルボキシ基含有水添石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1~4のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
- 1H-NMR測定における芳香族水素の積分比率[6.5~7.5ppm領域のピークの積分値/(0~3.0ppm領域のピークの積分値と6.5~7.5ppm領域のピークの積分値の和)]が70%以下である、請求項1~5のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂。
- 請求項1~6のいずれか1つに記載のカルボニル基含有水添石油樹脂を含むホットメルト接着剤。
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