JP2023059318A - カテーテル、および、カテーテルの製造方法 - Google Patents

カテーテル、および、カテーテルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】緩衝材が第2の補強体と内層との間に進入することを抑制する。【解決手段】カテーテルは、内層と、第2の補強体と、緩衝材と、充填材とを備えている。内層は、筒状の第1の補強体を有している。第2の補強体は、内層の基端側の周囲に配置された筒状の部材である。緩衝材は、内層のうち、第2の補強体よりも内層の先端側の部分の周囲に、第2の補強体と並べて配置された熱可塑性樹脂製の部材である。充填材は、第2の補強体と内層との間に配置された部材である。【選択図】図2

Description

本明細書に開示される技術は、カテーテルに関する。
血管等における狭窄部、閉塞部や異常血管等(以下、「病変部」という。)を治療または検査する方法として、カテーテルを用いた方法が広く行われている。従来、例えば、筒状の編組体を有している内層と、内層の基端側の周囲に配置されたコイル体と、内層のうち、コイル体よりも内層の先端側の部分の周囲に、コイル体と並べて配置された熱可塑性樹脂製の緩衝材とを備えるカテーテルが知られている(例えば特許文献1参照)。
国際公開第2021/90821号
緩衝材を備える上記従来のカテーテルでは、緩衝材がコイル体と内層との間に進入するおそれがあり、その結果、例えば、カテーテルの基端側の剛性が高くなり、カテーテルの先端側と基端側との間の剛性ギャップが大きくなるおそれがある。
このような課題は、ガイドワイヤを用いて血管等における病変部に案内されるカテーテルに限らず、ガイドワイヤを用いずに血管等における病変部に挿入されるカテーテルにおいて特に解決すべきものである。また、このような課題は、編組体以外の補強体(例えばコイル体など)を有する内層や、コイル体以外の補強体(例えばスリットパイプなど)を備えるカテーテルに共通の問題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示されるカテーテルは、筒状の第1の補強体を有する内層と、前記内層の基端側の周囲に配置された筒状の第2の補強体と、前記内層のうち、前記第2の補強体よりも前記内層の先端側の部分の周囲に、前記第2の補強体と並べて配置された熱可塑性樹脂製の緩衝材と、前記第2の補強体と前記内層との間に配置された充填材と、を備える。
本カテーテルによれば、第2の補強体と内層との間に配置された充填材によって、緩衝材が第2の補強体と内層との間に進入することを抑制することができる。
(2)上記カテーテルにおいて、前記充填材の剛性は、前記緩衝材の剛性よりも低い構成としてもよい。本カテーテルによれば、例えば充填材の剛性が緩衝材の剛性と同等である構成に比べて、第2の補強体の先端部と内層と充填材とが重なる部分の剛性が過度に高くなることを抑制することができる。
(3)上記カテーテルにおいて、前記充填材を形成する材料の弾性率は、前記緩衝材を形成する材料の弾性率よりも低い構成としてもよい。本カテーテルによれば、例えば充填材を形成する材料の弾性率が緩衝材を形成する材料の弾性率と同等である構成に比べて、第2の補強体の先端部と内層と充填材とが重なる部分の剛性が過度に高くなることを、より効果的に抑制することができる。
(4)上記カテーテルにおいて、前記充填材は、前記緩衝材を形成する前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂製である構成としてもよい。本カテーテルによれば、例えば充填材が、緩衝材を形成する熱可塑性樹脂の融点以上の融点を有する熱可塑性樹脂製である構成に比べて、緩衝材が第2の補強体と内層との間に進入することを、より効果的に抑制することができる。
(5)上記カテーテルにおいて、前記緩衝材の剛性は、前記第2の補強体の剛性よりも低い構成としてもよい。本カテーテルによれば、例えば緩衝材の剛性が、第2の補強体の剛性以上である構成に比べて、第2の補強体が配置されていない先端部分と第2の補強体が配置された基端部分との剛性差が抑制され、その結果、該剛性差に起因してカテーテルの先端側と基端側との境界部位が折れ曲がって元に戻らないキンクの発生を抑制することができる。
(6)上記カテーテルにおいて、前記第2の補強体の内周面には、凹部が形成されており、前記充填材は、前記第2の補強体の前記凹部内に入り込む凸部を有している構成としてもよい。本カテーテルによれば、例えば充填材が凸部を有してない構成に比べて、第2の補強体と充填材との接合強度の向上を図ることができる。
(7)上記カテーテルにおいて、前記第2の補強体の前記凹部は、前記第2の補強体の内周面から外周面に貫通する貫通孔であり、前記カテーテルの軸方向視で、前記第2の補強体の前記凸部は、前記第2の補強体の外形の輪郭線より内側に位置している構成としてもよい。本カテーテルによれば、例えば充填材の凸部が、前記第2の補強体の貫通孔を介して、第2の補強体の外周側まではみ出している構成に比べて、第2の補強体の剛性が高くなることを、より効果的に抑制しつつ、第2の補強体と充填材との接合強度の向上を図ることができる。
(8)上記カテーテルにおいて、前記充填材の先端部は、前記第2の補強体よりも前記カテーテルの先端側に延びており、前記緩衝材の基端部は、前記充填材の前記先端部の外周を覆っている構成としてもよい。本カテーテルによれば、例えば緩衝材と充填材とがカテーテルの軸方向に接触しているだけの構成に比べて、緩衝材と充填材との接合強度の向上を図ることができる。
(9)上記カテーテルにおいて、前記第2の補強体は、コイル体である構成としてもよい。本カテーテルによれば、第2の補強体としてコイル体を備えるカテーテルについて、緩衝材が第2の補強体と内層との間に進入することを抑制することができる。
(10)上記カテーテルにおいて、前記第1の補強体は、複数の素線を編組して筒状に形成された編組体である構成としてもよい。本カテーテルによれば、内層として編組体を備えるカテーテルについて、緩衝材が第2の補強体と内層との間に進入することを抑制することができる。
(11)上記カテーテルの製造方法は、筒状の第1の補強体を有する内層と、前記内層の基端側の周囲に配置された筒状の第2の補強体と、前記内層のうち、前記第2の補強体よりも前記内層の先端側の部分の周囲に、前記第2の補強体と並べて配置された熱可塑性樹脂製の緩衝体前駆体と、を準備する工程と、前記第2の補強体と前記内層との間に充填材を介在させた状態で、前記緩衝体前駆体に対して熱処理を施ことにより緩衝体を形成する工程と、を含む。本カテーテルの製造方法によれば、緩衝材が第2の補強体と内層との間に進入することが抑制されたカテーテルを製造することができる。
本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、カテーテル、カテーテルの製造方法等の形態で実現することができる。
第1実施形態におけるカテーテルの縦断面構成を概略的に示す説明図 カテーテルのカテーテル本体の一部の縦断面構成の拡大図 カテーテルに備えられた編組体の一部の拡大図 図2のIV-IVの位置におけるカテーテル本体の横断面図 図2のV-Vの位置におけるカテーテル本体の横断面図 図2のVI-VIの位置におけるカテーテル本体の横断面図 図2のVII-VIIの位置におけるカテーテル本体の横断面図 カテーテルの製造工程の一部を示す説明図 第2実施形態におけるカテーテル100aの製造工程の一部を示す説明図 第3実施形態におけるカテーテル100bの製造工程の一部を示す説明図
A.第1実施形態:
A-1.カテーテル100の全体構成:
図1は、第1実施形態におけるカテーテル100の縦断面構成を概略的に示す説明図である。なお、図1では、後述のカテーテル本体10の詳細構成は省略されている。図2は、カテーテル100のカテーテル本体10の一部の縦断面構成を拡大して示す説明図である。図2には、さらに、カテーテル100におけるX1の部分の構成(後述の緩衝材60および充填材70)が拡大して示されている。X1の部分の拡大図では、外側樹脂層50が省略されている。ここで、カテーテル100の縦断面とは、カテーテル100の軸方向(長手方向 図1および図2のZ軸方向)に平行な断面(図1のYZ断面)をいい、カテーテル100の横断面とは、カテーテル100の軸方向に垂直な断面(図1のXY断面)をいう。図1において、Z軸負方向側(後述のコネクタ18の側)が、医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)であり、Z軸正方向側(コネクタ18とは反対側)が、体内に挿入される先端側(遠位側)である。なお、図1および図2では、カテーテル100が全体としてZ軸方向に平行な直線状となった状態を示しているが、カテーテル100は湾曲させることができる程度の柔軟性を有している。なお、以下において、カテーテル100及びカテーテル100の各構成部材について、先端を含み先端から基端側に向かって中途まで延びる部分を「先端部」という。同様に、カテーテル100及びカテーテル100の各構成部材について、基端を含み基端から先端側に向かって中途まで延びる部分を「基端部」という。
カテーテル100は、血管等における病変部を治療または検査するために、血管等に挿入される医療用デバイスである。
カテーテル100は、筒状の編組体30を有する内側樹脂層40から構成される内層と、内層の基端側の周囲に配置された筒状のコイル体20と、内層のうち、コイル体20よりも内層の先端側の部分の周囲に、コイル体20と並べて配置された熱可塑性樹脂製の緩衝材60と、コイル体20と内層との間に配置された充填材70と、を備えている。
筒状の編組体30は、特許請求の範囲における第1の補強体の一例である。筒状の編組体30を有する内側樹脂層40は、特許請求の範囲における内層の一例である。コイル体20は、特許請求の範囲における第2の補強体の一例である。
図1に示すように、カテーテル100は、カテーテル本体10と、カテーテル本体10の基端に取り付けられたコネクタ18と、を備えている。
カテーテル本体10は、先端部分12と基端部分14とを有する。先端部分12は、カテーテル本体10の先端を含む部分であり、後述のコイル体20を備えないことによって相対的に柔軟性が高くなっている部分である。基端部分14は、カテーテル本体10の基端を含む部分であり、コイル体20を備えることによって相対的に剛性が高くなっている部分である。以下、具体的に説明する。
図1および図2に示すように、カテーテル本体10は、先端と基端とが開口した筒状(例えば円筒状)の部材である。カテーテル本体10の内部には、カテーテル本体10の先端から基端まで延びるルーメンSが形成されている。ルーメンSには、例えば、異常血管に注入する塞栓物質等の流体が供給されたり、図示しないガイドワイヤが挿通されたりする。
図2に示すように、カテーテル本体10は、先端側同径部11Aと基端側同径部11Bと連結部11Cとを有する。先端側同径部11Aは、カテーテル本体10の先端を含む部分であり、先端側同径部11Aの第1の外径D1は、カテーテル100の軸方向において略同一である。基端側同径部11Bは、カテーテル本体10の基端を含む部分であり、基端側同径部11Bの第2の外径D2は、先端側同径部11Aの第1の外径D1よりも大きく、かつ、カテーテル100の軸方向において略同一である。連結部11Cは、先端側同径部11Aと基端側同径部11Bとの間に位置し、先端側同径部11Aと基端側同径部11Bとを連結する部分であり、連結部11Cの第3の外径D3は、連結部11Cの先端から基端に近づくに連れて連続的に大きくなっている。本実施形態では、先端側同径部11Aと連結部11Cの先端側とが上述の先端部分12を構成し、連結部11Cの基端側と基端側同径部11Bとが上述の基端部分14を構成している。
A-2.カテーテル本体10の詳細構成:
図2に示すように、カテーテル本体10は、コイル体20と、編組体30と、内側樹脂層40と、外側樹脂層50と、緩衝材60と、充填材70と、を備えている。図3は、編組体30の一部の拡大図である。
コイル体20は、複数本の素線22を螺旋状に巻回することにより中空円筒状に形成したコイル状の部材である。コイル体20は、カテーテル本体10における先端部分12には配置されておらず、基端部分14に配置されている。具体的には、コイル体20は、カテーテル本体10における基端から途中の部位(上述の連結部11C付近)にわたって連続的に配置されているとともにカテーテル本体10の先端側には配置されていない。なお、本実施形態では、コイル体20は、コイル体20の先端に位置するコイル端部24を有している。コイル端部24は、コイル体20の先端部に位置し、かつ、コイル体20の軸方向において互いに隣り合う複数の素線22同士が溶接等により接合された部分である。コイル体20は、特許請求の範囲における第2の補強体の一例である。
素線22には金属材料を用いてもよい。金属材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、またはコバルト合金といった放射線透過性合金や、金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)といった放射線不透過性合金を用いることができる。素線22の外径は、次述の編組体30を構成する素線32の外径よりも大きいことが好ましい。また、素線22の剛性は、素線32の剛性よりも大きいことが好ましい。
編組体30は、複数本の素線32が編組された筒状の部材である。具体的には、図3に示すように、編組体30は、複数本の素線32が互いに交差するように編み込まれたメッシュ状の構造を有している。編組体30の厚さは、カテーテル100の軸方向において略同一である。なお、本明細書において、各部材の厚さは、カテーテル100の径方向の長さをいう。
編組体30は、コイル外編組部30Aとコイル内編組部30Bとを有する。コイル内編組部30Bは、コイル体20の内周側に配置されている。コイル外編組部30Aは、コイル内編組部30Bからコイル体20より先端方向に延長するように配置されている。換言すれば、コイル体20は、編組体30のうち、コイル外編組部30Aの外周には配置されておらず、コイル内編組部30Bの外周を取り囲むように配置されている。編組体30は、特許請求の範囲における第1の補強体の一例である。
素線32には金属材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、タングステン、ステンレス鋼(SUS302、SUS304、SUS316等)を用いることができる。
内側樹脂層40は、編組体30の内周面を被覆している。具体的には、内側樹脂層40は、カテーテル本体10の基端から先端にわたって連続的に配置されており、編組体30の内周面側を全長にわたって被覆している。すなわち、内側樹脂層40は、カテーテル本体10の内周面を構成している。内側樹脂層40の厚さは、カテーテル100の軸方向において略同一である。
内側樹脂層40は、編組体30の内周面に密着するとともに、該編組体30を構成する素線32同士の各隙間に入り込んでいる。内側樹脂層40は、例えば、ポリテトラフルオロチレン(PTFE)の樹脂により構成されている。筒状の編組体30を有する内側樹脂層40は、特許請求の範囲における内層の一例である。
緩衝材60は、編組体30のコイル外編組部30Aにおけるコイル体20側の部分(以下、「コイル外編組部30Aの基端部」という)に接触するとともにコイル体20の先端に接触している。本実施形態では、緩衝材60のカテーテル100の軸方向(Z軸方向)視の形状は、環状であり、コイル外編組部30Aにおけるコイル体20側の部分の外周を取り囲むように配置されている。具体的には、緩衝材60は、コイル外編組部30Aの基端部の外周を取り囲むように配置され、かつ、緩衝材60の内周面が、コイル外編組部30Aの基端部の外周面に接触するように配置されている。このため、緩衝材60と編組体30との密着性(接合性)が高いため、緩衝材60による先端部分12と基端部分14との剛性差の抑制効果の向上を図ることができる。
緩衝材60の先端部の厚さは、緩衝材60の基端部の厚さよりも薄い。具体的には、緩衝材60は、肉薄部62と、肉厚部64と、連結部66とを有している。肉薄部62は、緩衝材60の先端を含む環状部分であり、肉薄部62の第1の厚さL1は、肉薄部62の軸方向において略均一である。肉厚部64は、肉薄部62の基端に隣接し、かつ、第1の厚さL1より厚い第2の厚さL2を有する環状部分である。具体的には、肉厚部64は、肉厚部64の先端から基端に向かうにつれて第2の厚さL2が連続的に増大するテーパ形状を有している。連結部66は、肉厚部64の基端からカテーテル100の基端側に延びてコイル体20(コイル端部24)に接触(接合)している環状部分である。具体的には、連結部66は、肉厚部64の基端面の周縁部からカテーテル100の軸方向に沿ってカテーテル100の基端側に延びている。連結部66は、充填材70の後述する突出部72の外周を覆っている。また、連結部66の内周面は、突出部72の外周面に接触しており、連結部66と突出部72との密着性が高くなっている。
緩衝材60の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)は、編組体30の剛性より高く、コイル体20の剛性よりも低い。なお、緩衝材60の剛性は、編組体30の剛性より低くてもよい。なお、本明細書において、部材同士(例えば、緩衝材60と編組体30とコイル体20)の剛性の大小関係は、例えば、各部材の組成成分と加工程度(断面形状)とによって特定することができる。緩衝材60としては、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の各種合成樹脂材料等の樹脂及びそれらの組み合わせを用いることができる。本実施形態では、例えば、ポリアミドエラストマやポリウレタンを用いている。充填材70を形成する材料の弾性率は、緩衝材60を形成する材料の弾性率よりも低いことが好ましい。
充填材70は、コイル体20のコイル端部24と編組体30のコイル内編組部30Bとの間に配置されている部分を有している。本実施形態では、充填材70のカテーテル100の軸方向(Z軸方向)視の形状は、環状であり、コイル内編組部30Bの外周を取り囲むように配置されている。充填材70の内周面は、全周にわたって、コイル内編組部30Bの先端部の外周面に接触するように配置されており、充填材70と編組体30との密着性が高くなっている。
具体的には、充填材70は、突出部72と、本体部74と、延出部76とを有している。本体部74は、コイル体20のコイル端部24と編組体30のコイル内編組部30Bの先端部との間に配置されている環状部分である。本体部74の外周面は、コイル体20のコイル端部24の内周面に接触しており、本体部74とコイル端部24との密着性が高くなっている。本体部74の内周面は、コイル内編組部30Bの先端部の外周面に接触しており、本体部74とコイル内編組部30Bとの密着性が高くなっている。すなわち、充填材70は、コイル端部24とコイル内編組部30Bとの間の隙間を全周にわたって塞いでいる。
充填材70の突出部72は、本体部74の先端から、コイル体20の先端よりもカテーテル100の先端側に突出している環状部分である。本実施形態では、突出部72は、カテーテル100の先端側に突出し、かつ、コイル体20(コイル端部24)の先端面側に回り込むように、カテーテル100の径方向外側に延びている。具体的には、突出部72の外径は、本体部74の外径よりも大きくなっている。上述したように、突出部72の外周は、緩衝材60の連結部66に覆われており、突出部72の外周面は、全周にわたって、連結部66の内周面に密着するように接触している。さらに、突出部72の先端面は、緩衝材60(肉厚部64)の基端面に接触しており、突出部72と緩衝材60との密着性が高くなっている。また、突出部72の基端は、コイル体20(コイル端部24)の先端面に接触しており、充填材70とコイル体20との密着性が高くなっている。
充填材70の延出部76は、コイル体20と編組体30のコイル内編組部30Bとの間に位置し、かつ、本体部74の基端から、コイル体20のコイル端部24よりもカテーテル100の基端側に延出している環状部分である。本実施形態では、延出部76は、コイル体20のうち、カテーテル100の軸方向に互いに隣り合う複数の素線22を跨がるとともに複数の素線22同士の間に形成される貫通孔(隙間)に入り込んでいる。このため、充填材70とコイル体20との密着性がより高くなっている。また、カテーテル100の軸方向視で、延出部76のうち、コイル体20の貫通孔内に入り込んでいる凸部26は、コイル体20の外形の輪郭線より内側に位置している。コイル体20の貫通孔は、特許請求の範囲における凹部の一例である。
充填材70の延出部76の内周面は、編組体30のコイル内編組部30Bの外周面に接触しており、充填材70と編組体30との密着性が高くなっている。
充填材70の剛性は、緩衝材60の剛性よりも低い。換言すれば、充填材70の柔軟性は、緩衝材60の柔軟性よりも高い。充填材70は、例えば、樹脂から形成される。充填材70を形成する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の各種合成樹脂材料等の樹脂及びそれらの組み合わせを用いることができる。本実施形態では、例えば、ポリアミドエラストマやポリウレタンを用いている。
外側樹脂層50は、編組体30におけるコイル外編組部30Aと緩衝材60とコイル体20との外周面を被覆している。具体的には、外側樹脂層50は、コイル外編組部30Aと緩衝材60とコイル体20との外周面側を被覆している。すなわち、外側樹脂層50は、カテーテル本体10の外周面を構成している。外側樹脂層50は、例えば、樹脂により構成されている。なお、内側樹脂層40と外側樹脂層50とは、互いに同じ種類の樹脂で構成されていてもよいし、互いに異なる種類の樹脂により構成されていてもよい。なお、外側樹脂層50における先端部には、環状の放射線不透過性マーカ19が埋設されている。放射線不透過性マーカ19の材料の例としては、例えば、プラチナ、タングステン、あるいはこれら金属を含む合金が挙げられる。
図4は、図2のIV-IVの位置におけるカテーテル本体10の横断面図であり、図5は、図2のV-Vの位置におけるカテーテル本体10の横断面図である。図6は、図2のVI-VIの位置におけるカテーテル本体10の横断面図であり、図7は、図2のVII-VIIの位置におけるカテーテル本体10の横断面図である。前述した構成により、図4に示すように、カテーテル本体10における先端部分12の先端部は、編組体30(コイル外編組部30A)と内側樹脂層40と外側樹脂層50とを備え、かつ、コイル体20を備えていない。図5に示すように、カテーテル本体10における基端部分14の基端部は、編組体30(コイル内編組部30B)と内側樹脂層40と外側樹脂層50とに加えて、コイル体20を備えている。図6に示すように、カテーテル本体10における先端部分12のうち、緩衝材60の肉厚部64が配置された部分は、編組体30(コイル外編組部30A)と内側樹脂層40と外側樹脂層50とを備え、かつ、コイル体20を備えていないが、緩衝材60を備えている。図7に示すように、カテーテル本体10における先端部分12のうち、充填材70の延出部76が配置された部分(先端部分12の基端部)では、編組体30(コイル内編組部30B)と内側樹脂層40と外側樹脂層50とを備え、かつ、コイル体20を備えていないが、緩衝材60に加えて充填材70を備えている。
A-3.カテーテルの製造方法:
図8(A)には、熱処理によって充填材70となる充填前駆体70Pを用いない比較例のカテーテルの製造工程の一部が示されている。すなわち、図8(A)上段に示すように、編組体30を有する内側樹脂層40と、内側樹脂層40の基端側の周囲に配置されたコイル体20と、内側樹脂層40のうち、コイル体20よりも内側樹脂層40の先端側の部分の周囲に、内側樹脂層40の軸方向にコイル体20と並べて配置された緩衝前駆体60Pと、を準備する。緩衝前駆体60Pは、熱処理によって緩衝材になる熱可塑性樹脂製の環状体である。緩衝前駆体60Pは、互いに外径が異なる複数の部材(第1の緩衝前駆体62P、第2の緩衝前駆体64P、第3の緩衝前駆体66P)を有しており、外径が小さいものほど、内側樹脂層40の先端側に位置するように配置されている。なお、第1の緩衝前駆体62Pと第2の緩衝前駆体64Pと第3の緩衝前駆体66Pとコイル体20とは、内側樹脂層40の軸方向においては互いに接触するように配置することが好ましい。この状態で、緩衝前駆体60Pに熱処理を施すことにより、緩衝前駆体60Pが溶融し、図8(A)下段に示すように、上記緩衝材60の肉薄部62および肉厚部64と同じような形状の部分62X,64Xを有する緩衝材60Xを形成することができる。
しかし、上記熱処理の際、溶融した緩衝前駆体60Pがコイル体20と編組体30との間に入り込む。その結果、図8(A)下段に示すように、緩衝材60Xの基端部66Xは、コイル体20と編組体30との間において内側樹脂層40の基端側に延び、かつ、コイル体20のうち、内側樹脂層40の軸方向に互いに隣り合う複数の素線22同士の間に入り込んだ状態で硬化した部分になる。その結果、コイル体20の剛性がより高くなる(自由度が低下する)ため、カテーテルにおける先端部分と基端部分との剛性ギャップを十分に抑制できなくなるおそれがある。
これに対して、図8(B)には、充填前駆体70Pを用いる本実施形態のカーテル100の製造工程の一部が示されている。すなわち、図8(B)上段に示すように、編組体30を有する内側樹脂層40と、内側樹脂層40の基端側の周囲に配置されたコイル体20と、内側樹脂層40のうち、コイル体20よりも内側樹脂層40の先端側の部分の周囲に、内側樹脂層40の軸方向にコイル体20と並べて配置された緩衝前駆体60Pと、を準備し、さらに、内側樹脂層40の軸方向において緩衝前駆体60Pとコイル体20との間に充填前駆体70Pを配置する。なお、緩衝前駆体60Pと充填前駆体70Pとコイル体20とは、内側樹脂層40の軸方向において互いに接触するように配置することが好ましい。充填前駆体70Pは、熱処理によって充填材70になる熱可塑性樹脂製の環状体である。充填前駆体70Pの形成材料は、緩衝前駆体60Pの形成材料よりも硬度が低く、かつ、融点が低い。このため、コイル体20と緩衝前駆体60Pとの間に充填前駆体70Pを介在させた状態で熱処理を施すことにより、緩衝材60とともに充填材70が形成される。この形成過程において、充填前駆体70Pが、緩衝前駆体60Pよりも早く溶融し始めて、コイル体20と編組体30との間に優先的に入り込む。その結果、緩衝前駆体60Pがコイル体20と編組体30との間に入り込むことを抑制することができる。その結果、図8(B)下段にも示すように、上述した本実施形態のカテーテル100と同様の構造を製造することができる。
A-4.本実施形態の効果:
図2に示すように、本実施形態に係るカテーテル100では、カテーテル100の先端側(編組体30のコイル外編組部30Aが位置する先端部分12)にコイル体20が配置されておらず、カテーテルの基端側(編組体30のコイル内編組部30Bが位置する基端部分14)にコイル体20が配置されている。このため、カテーテル100の先端部分12は相対的に柔軟性が高く、カテーテル100の基端部分14は相対的に剛性が高い。これにより、カテーテル100の先端部分12の細径血管の選択性能の向上(太い本管から枝葉のように伸びる複数の細径血管のそれぞれを精度よく選択できる性能)と、カテーテル100の基端部分14から先端部分12へのトルク伝達性(回転性能、手元剛性)の向上を図ることができる。
さらに、図2および図6に示すように、本実施形態に係るカテーテル100には、緩衝材60が備えられている。緩衝材60は、編組体30のコイル外編組部30Aにおけるコイル体20側の部分に接触するとともにコイル体20の先端に接触している。また、緩衝材60は、編組体30の剛性とコイル体20の剛性との間の剛性を有する(なお、緩衝材60の剛性は、編組体30の剛性より低くてもよい。)。これにより、コイル体20が配置されていない先端部分12とコイル体20が配置された基端部分14との剛性差が抑制され、その結果、例えば、カテーテル100のトルク伝達性を確保しつつ、該剛性差に起因してカテーテル100の先端側と基端側との境界部位が折れ曲がって元に戻らないキンクの発生を抑制することができる。
本実施形態に係るカテーテル100は、先端部分12の細径血管の選択性能と、基端部分14から先端部分12へのトルク伝達性とが高く、かつ、キンクが発生し難い。このため、例えば、運動器カテーテル治療(TAME:Transcatheter arterial micro embolization)等のカテーテル塞栓術に使用することができる。例えば、五十肩等の疼痛が遷延する疾患には、異常血管が増幅し、残存しており、この異常血管が疼痛の原因となっている。カテーテル100のルーメンSを介して塞栓物質を異常血管に注入することにより、異常血管を減少させて疼痛を改善させることができる。
仮に、緩衝材60がコイル体20と編組体30との間であってコイル体20のコイル端部24より基端側に進入すると、カテーテル100の基端部分14の剛性が高くなり、その結果、カテーテル100における先端部分12と基端部分14との間の剛性ギャップを十分に抑制できないおそれがある。これに対して、本実施形態では、コイル体20のコイル端部24とコイル内編組部30Bとの間に配置された充填材70によって、緩衝材60がコイル体20と編組体30との間に進入することが抑制される。これにより、本実施形態によれば、カテーテル100の先端部分12と基端部分14との間の剛性ギャップを、より効果的に抑制することができる。
本実施形態では、充填材70の剛性は、緩衝材60の剛性よりも低い。そのため、例えば充填材70の剛性が緩衝材60の剛性と同等である構成に比べて、コイル体20のコイル端部24と編組体30と充填材70(本体部74)とが重なる部分の剛性が過度に高くなることが抑制されるため、カテーテル100の先端側と基端側との間の剛性ギャップを、より効果的に抑制することができる。
本実施形態では、充填材70の延出部76は、コイル体20のうち、カテーテル100の軸方向に互いに隣り合う複数の素線22を跨がるとともに複数の素線22同士の間に形成される貫通孔に入り込んでいる(図2のX1の部分参照)。充填材70の延出部76の剛性は、緩衝材60の剛性よりも低い。そのため、本実施形態によれば、例えば緩衝材60Xがコイル体20の貫通孔内に入り込んでいる構成(図8(A)の下段参照)に比べて、コイル体20の剛性が高くなることを抑制しつつ、コイル体20と充填材70との接合強度の向上を図ることができる。また、緩衝材60と充填材70とは密着することにより接合されている。このため、コイル体20の剛性が高くなることを抑制しつつ、コイル体20と緩衝材60とが充填材70を介して接合されることにより、カテーテル100の軸方向におけるコイル体20と緩衝材60との位置ずれの発生を抑制することができる。なお、緩衝材60の形成材料と充填材70の形成材料とが、互いに樹脂(特に同種の樹脂(例えばポリアミド系樹脂))であれば、緩衝材60と充填材70との接合強度がさらに向上する。
さらに、カテーテル100の軸方向視で、延出部76の凸部26は、コイル体20の外形の輪郭線より内側に位置している(図2のX1の部分参照)。そのため、本実施形態によれば、例えば延出部76の凸部26がコイル体20の貫通孔を介して、コイル体20の外周側まではみ出している構成に比べて、コイル体20の剛性が高くなることを、より効果的に抑制しつつ、コイル体20と充填材70との接合強度の向上を図ることができる。
本実施形態では、緩衝材60(肉厚部64)の基端面が充填材70の先端面に密着するように接触しており、また、緩衝材60の連結部66は、充填材70の突出部72の外周を覆いつつ接触している(図2のX1の部分参照)。そのため、緩衝材60と充填材70との接触面積が広く確保されており、緩衝材60と充填材70との接合強度が向上している。また、仮に、例えば図2に示す構成に対して充填材70が連結部66を有しておらず、緩衝材60とコイル体20とが離間している構成では、緩衝材60とコイル体20との間に、相対的に剛性が低い充填材70(突出部72)が介在することとなり、その結果、この突出部72が介在する部分でカテーテル100がキンクしやすくなるおそれがある。これに対して、本実施形態では、緩衝材60の連結部66は、コイル体20に接触している。そのため、カテーテル100のキンクの発生を抑制することができる。
B.第2実施形態:
図9は、本第2実施形態におけるカテーテル100aの製造工程の一部を示す説明図である。本第2実施形態のカテーテル100aの構成の内、上述した第1実施形態のカテーテル100と同一の構成については、同一符号を付すことによって、その説明を省略する。
上記第1実施形態におけるカテーテル100の製造工程では、充填前駆体70Pが内側樹脂層40の軸方向において緩衝前駆体60Pとコイル体20との間に配置されており、内側樹脂層40の径方向視で充填前駆体70Pと緩衝前駆体60Pが重なっていない状態で熱処理が施された(図8(B)上段参照)。これに対して、本第2実施形態におけるカテーテル100aの製造工程では、充填前駆体70Pが、内側樹脂層40の径方向において緩衝前駆体60aPと内側樹脂層40との間に配置された状態で熱処理が施される。
具体的には、図9上段に示すように、内側樹脂層40の基端部の外周にコイル体20を配置し、コイル体20よりも内側樹脂層40の先端側に緩衝前駆体60aPを配置する。緩衝前駆体60aPは、熱処理によって、後述の緩衝材60aになる樹脂製の環状体である。緩衝前駆体60aPは、互いに外径が異なる複数の部材(第1の緩衝前駆体62aP、第2の緩衝前駆体64aP、第3の緩衝前駆体66aP)を有しており、外径が小さいものほど、内側樹脂層40の先端側に位置するように配置されている。
緩衝前駆体60aPでは、第1の緩衝前駆体62aPと第2の緩衝前駆体64aPとの内径は略同一であり、第3の緩衝前駆体66aPの内径は、第1の緩衝前駆体62aPや第2の緩衝前駆体64aPの内径よりも大きい。充填前駆体70Pは、第3の緩衝前駆体66aPと内側樹脂層40との間に配置されている。すなわち、充填前駆体70Pが内側樹脂層40の外周を囲むように配置され、第3の緩衝前駆体66aPが充填前駆体70Pの外周を囲むように配置されている。図9には、内側樹脂層40にコイル体20と緩衝前駆体60aPと充填前駆体70Pとが配置された複合体のX2の部分の全周にわたる横断面構成(第3の緩衝前駆体66aPおよび充填前駆体70Pのみ)が示されている。なお、第1の緩衝前駆体62aPと第2の緩衝前駆体64aPと第3の緩衝前駆体66aPと充填前駆体70Pとコイル体20とは、内側樹脂層40の軸方向(Z軸方向)においては互いに接触するように配置することが好ましい。
上記複合体における緩衝前駆体60aPおよび充填前駆体70Pに熱処理を施すと、充填前駆体70Pが、緩衝前駆体60aPよりも早く溶融し始めて、コイル体20と編組体30との間に優先的に入り込む。その結果、図9下段にも示すように、緩衝前駆体60aP(緩衝材60a)がコイル体20と編組体30との間に入り込むことが抑制され、かつ、緩衝材60aがコイル体20に接触した構成を、より確実に製造することができる。具体的には、緩衝材60aは、肉薄部62aと、肉厚部64aと、連結部66aとを有している。肉薄部62aは、緩衝材60aの先端を含む環状部分である。肉厚部64aは、肉厚部64aの先端から基端に向かうにつれて厚さが連続的に増大するテーパ形状を有している。連結部66aは、肉厚部64aの基端から内側樹脂層40の基端側に延びてコイル体20(コイル端部24)に接触するとともに、充填材70の突出部72の外周を覆っている。
なお、緩衝前駆体60aP(緩衝材60a)と充填前駆体70P(充填材70)とは、同種の樹脂材料(例えばポリアミド系樹脂など)によって形成されてもよいし、互いに異なる樹脂材料によって形成されてもよい。ただし、同種の樹脂材料で形成されていれば、緩衝前駆体60aP(緩衝材60a)と充填前駆体70P(充填材70)との接合性が高くなるため、特に好ましい。
C.第3実施形態:
図10は、本第3実施形態におけるカテーテル100bの製造工程の一部を示す説明図である。本第3実施形態のカテーテル100bの構成の内、上述した第2実施形態のカテーテル100aと同一の構成については、同一符号を付すことによって、その説明を省略する。
上記第2実施形態におけるカテーテル100aの製造工程では、充填前駆体70Pが、緩衝前駆体60aPと内側樹脂層40との間に配置された状態で熱処理が施された(図9上段参照)。これに対して、本第3実施形態におけるカテーテル100bの製造工程では、充填前駆体70bPと中間前駆体80bPとが緩衝前駆体60aPと内側樹脂層40との間に配置された状態で熱処理が施される。また、本第3実施形態では、コイル体20の代わりに、スリットパイプ90が用いられている。スリットパイプ90は、複数のスリット92が形成されたパイプ体であり、複数のスリット92が形成されることにより柔軟性が確保されている。スリットパイプ90は、特許請求の範囲における第2の補強体の一例である。
具体的には、図10上段に示すように、充填前駆体70bPは、上記第2実施形態における充填前駆体70Pに比べて外径が小さい環状の部材である。中間前駆体80bPは、充填前駆体70bPと第3の緩衝前駆体66aPとの間に配置されている。すなわち、充填前駆体70bPが内側樹脂層40の外周を囲むように配置され、中間前駆体80bPが充填前駆体70bPの外周を囲むように配置され、さらに、第3の緩衝前駆体66aPが中間前駆体80bPの外周を囲むように配置されている。図10には、内側樹脂層40にスリットパイプ90と緩衝前駆体60aPと充填前駆体70bPとが配置された複合体のX3の部分の全周にわたる横断面構成(第3の緩衝前駆体66aP、充填前駆体70bPおよび中間前駆体80bPのみ)が示されている。なお、第1の緩衝前駆体62aPと第2の緩衝前駆体64aPと第3の緩衝前駆体66aPと充填前駆体70bPと中間前駆体80bPとスリットパイプ90とは、内側樹脂層40の軸方向(Z軸方向)においては互いに接触するように配置することが好ましい。
中間前駆体80bPは、熱処理によって緩衝材60aと充填材70bとを接合する中間層80b(接合層)になる環状の部材である。中間層80b(中間前駆体80bP)は、熱処理後において緩衝材60aとの接合性と充填材70bとの接合性との両方が高い材料によって形成されている。例えば、緩衝材60aがポリアミドエラストマおよびポリウレタンの一方の材料によって形成されており、充填材70bが他方の材料によって形成されているなど、緩衝材60aと充填材70bとが互いに異なる樹脂材料によって形成される場合に特に有効である。中間層80b(中間前駆体80bP)の形成材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。
上記複合体における緩衝前駆体60aPおよび充填前駆体70bPに熱処理を施すと、充填前駆体70bPと中間前駆体80bPとが、緩衝前駆体60aPよりも早く溶融し始めて、スリットパイプ90と編組体30との間に優先的に入り込む。その結果、図10下段にも示すように、緩衝前駆体60aP(緩衝材60a)がスリットパイプ90と編組体30との間に入り込むことが抑制され、かつ、緩衝材60aがスリットパイプ90に接触した構成を、より確実に製造することができる。
中間層80bは、スリットパイプ90の先端部と編組体30のコイル内編組部30Bの先端部との間に配置されている環状部分である。中間層80bの外周面は、スリットパイプ90の先端部の内周面に接触しており、中間層80bとコイル端部24との密着性が高くなっている。中間層80bの内周面は、充填材70bの外周面に接触しており、中間層80bと充填材70bとの密着性が高くなっている。
具体的には、中間層80bは、突出部82bと、中間層本体部84bと、延出部86bとを有している。中間層本体部84bは、スリットパイプ90の先端部と編組体30のコイル内編組部30Bの先端部との間に配置されている環状部分である。中間層本体部84bの外周面は、スリットパイプ90の先端部の内周面に接触しており、中間層本体部84bとコイル端部24との密着性が高くなっている。突出部82bは、中間層本体部84bの先端から、スリットパイプ9の先端よりもカテーテル100の先端側に突出し、かつ、スリットパイプ90の先端面側に回り込むように、カテーテル100の径方向外側に延びている。延出部86bは、スリットパイプ90と編組体30のコイル内編組部30Bとの間に位置し、かつ、中間層本体部84bの基端から、スリットパイプ90の先端部よりもカテーテル100の基端側に延出している環状部分である。本実施形態では、延出部86bは、スリットパイプ90におけるスリット92に入り込んでいる。このため、中間層80bとスリットパイプ90との密着性がより高くなっている。
充填材70bは、中間層80bの先端から基端まで延びている環状の部材である。充填材70bの厚さは、全長にわたって略同一である。
D.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記各実施形態におけるカテーテル100,100a,100bの構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、第2の補強体(コイル体20またはスリットパイプ90)と編組体30と内側樹脂層40と外側樹脂層50と緩衝材60,60aと充填材70とは、いずれも、1ピースで形成されていたが、これに限らず、複数のピースにより構成されたものであってもよい。上記各実施形態では、内層は、内側樹脂層40と、第1の補強体として編組体30とを有する構成であったが、編組体以外の補強体(例えばコイル体など)を有する構成でもよい。上記第1,第2実施形態において、第2の補強体は、コイル体20の代わりに、例えばスリットパイプや網組体などでもよい。上記第3実施形態において、第2の補強体は、スリットパイプ90の代わりに、例えばコイル体や網組体などでもよい。上記第1~第3実施形態では、カテーテルの軸方向に対して交差する方向に延びる凹部として、コイル体20に形成された素線22間の隙間や、スリットパイプ90に形成されたスリット92を例示したが、凹部は、このような貫通孔に限らず、例えば第2の補強体の内周面に形成された溝などの有底の凹部でもよい。
上述の第1,2実施形態では、コイル体20は、複数本の素線22が巻回された筒状の部材であるが、コイル体20を、1本の素線22を螺旋状に巻回することにより中空円筒状に形成したコイル状の部材としてもよい。また、1本の素線22あるいは複数本の素線22を撚り合わせて得られる撚線を1本あるいは複数本巻回して得られる筒状の部材をコイル体20に用いてもよい。
上記第1~第3実施形態では、緩衝材60,60aの軸方向視の形状は、環状であったが、これに限らず、内層(編組体30、内側樹脂層40)の外周を部分的に被覆する構成であってもよい。また、上記第1~第3実施形態において、緩衝材60,60aの厚さは、全長にわたって略同一であってもよい。また、上記第1~第3実施形態において、緩衝材60,60aの外周に、カテーテル100,100a,100bの先端側を向く段差面が形成されていてもよい。このように段差面が形成された構成であれば、緩衝材60,60aと第2の補強体(コイル体20、スリットパイプ90)との離隔を抑制することができる。すなわち、例えば、カテーテル本体10を体内に挿入する過程において、緩衝材60,60aの段差面が外側樹脂層50から押圧力を受けることにより、緩衝材60,60aが第2の補強体の先端に押し付けられるため、緩衝材60,60aと第2の補強体との離隔を抑制することができる。また、このとき、充填材70,70bは、緩衝材60,60aと第2の補強体との間に挟み込まれることによって緩衝材60,60aや第2の補強体等に対する位置ずれが抑制される。また、上記第1~第3実施形態において、充填材70,70bは、先端部の厚さが基端部の厚さより薄い構成でもよい。
上記第1~第3実施形態において、緩衝材60,60aと充填材70,70bとは、同一材料によって形成されたものでもよいし、異なる材料によって形成されたものでもよい。また、充填材70,70bの剛性が、緩衝材60,60aの剛性よりも低い構成については、緩衝材60,60aと充填材70,70bとが同一材料によって形成されているか否かに関わらず、緩衝材60,60aと充填材70,70bを形成する材料のヤング率と、部材の断面形状と大きさとで定まる断面二次モーメント(断面形状と断面の大きさとの少なくとも一方)との少なくとも一方が異なることによって実現可能である。
上記第1~第3実施形態において、充填材は、熱可塑性樹脂製の充填材70,70bであったが、例えば、熱硬化性接着材や、樹脂以外の材料(例えば金属など)によって形成されてもよい。また、上記第1~第3実施形態において、充填材は、内層の全周を覆い、かつ、内層と第2の補強体との間に隙間無く配置された環状の形状を有する充填材70,70bであったが、例えば内層の周囲の一部だけを覆うなど、内層と第2の補強体との間に部分的に隙間が形成された構成でもよい。要するに、充填材は、緩衝材60,60aが、カテーテル100,100a,100bの製造時や使用時において第2の補強体と内層との間に入り込むことを抑制できればよい。
上記第1実施形態において、緩衝材60は、コイル体20の先端から離間していてもよい。
上記実施形態のカテーテル100,100a,100bにおける各部材の材料は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
10:カテーテル本体 11A:先端側同径部 11B:基端側同径部 11C:連結部 12:先端部分 14:基端部分 18:コネクタ 19:放射線不透過性マーカ 20:コイル体 22,32:素線 24:コイル端部 26:凸部 30:編組体 30A:コイル外編組部 30B:コイル内編組部 40:内側樹脂層 50:外側樹脂層 60,60a,60X:緩衝材 60P,60aP:緩衝前駆体 62,62a:肉薄部 62P,62aP:第1の緩衝前駆体 64,64a:肉厚部 64P,64aP:第2の緩衝前駆体 66,66a:連結部 66P,66aP:第3の緩衝前駆体 70,70b:充填材 70P,70bP:充填前駆体 72,82b:突出部 74:本体部 76,86b:延出部 80b:中間層 80bP:中間前駆体 84b:中間層本体部 90:スリットパイプ 92:スリット 100,100a,100b:カテーテル S:ルーメン

Claims (11)

  1. カテーテルであって、
    筒状の第1の補強体を有する内層と、
    前記内層の基端側の周囲に配置された筒状の第2の補強体と、
    前記内層のうち、前記第2の補強体よりも前記内層の先端側の部分の周囲に、前記第2の補強体と並べて配置された熱可塑性樹脂製の緩衝材と、
    前記第2の補強体と前記内層との間に配置された充填材と、
    を備える、カテーテル。
  2. 請求項1に記載のカテーテルであって、
    前記充填材の剛性は、前記緩衝材の剛性よりも低い、
    カテーテル。
  3. 請求項2に記載のカテーテルであって、
    前記充填材を形成する材料の弾性率は、前記緩衝材を形成する材料の弾性率よりも低い、
    カテーテル。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のカテーテルであって、
    前記充填材は、前記緩衝材を形成する前記熱可塑性樹脂の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂製である、
    カテーテル。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のカテーテルであって、
    前記緩衝材の剛性は、前記第2の補強体の剛性よりも低い、
    カテーテル。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のカテーテルであって、
    前記第2の補強体の内周面には、凹部が形成されており、
    前記充填材は、前記第2の補強体の前記凹部内に入り込む凸部を有している、
    カテーテル。
  7. 請求項6に記載のカテーテルであって、
    前記第2の補強体の前記凹部は、前記第2の補強体の内周面から外周面に貫通する貫通孔であり、
    前記カテーテルの軸方向視で、前記充填材の前記凸部は、前記第2の補強体の外形の輪郭線より内側に位置している、
    カテーテル。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のカテーテルであって、
    前記充填材の先端部は、前記第2の補強体よりも前記カテーテルの先端側に延びており、
    前記緩衝材の基端部は、前記充填材の前記先端部の外周を覆っている、
    カテーテル。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のカテーテルであって、
    前記第2の補強体は、コイル体である、
    カテーテル。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のカテーテルであって、
    前記第1の補強体は、複数の素線を編組して筒状に形成された編組体である、
    カテーテル。
  11. 筒状の第1の補強体を有する内層と、前記内層の基端側の周囲に配置された筒状の第2の補強体と、前記内層のうち、前記第2の補強体よりも前記内層の先端側の部分の周囲に、前記第2の補強体と並べて配置された熱可塑性樹脂製の緩衝体前駆体と、を準備する工程と、
    前記第2の補強体と前記内層との間に充填材を介在させた状態で、前記緩衝体前駆体に対して熱処理を施ことにより緩衝体を形成する工程と、
    を含む、カテーテルの製造方法。
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