JP2023058803A - 粘着剤組成物および粘着シート - Google Patents

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Hirotake Sakamoto
直樹 岸本
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Abstract

【課題】オレフィン等の低極性被着体に対する良好な粘着物性とアルカリ剥離性を示し、かつ、被着体とサイズ分離が可能であるのに十分なアルカリ微細化性を有する粘着剤組成物および粘着シートの提供。【解決手段】上記課題は、アルカリ可溶性である特定の共重合体(A)と、非アルカリ可溶性である共重合体(B)とを特定の比率で含むpH5.5~7.5の粘着剤組成物、および、該粘着剤組成物からなる粘着層を有する粘着シートによって解決することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物および粘着シートに関する。
近年、環境への意識の高まりから、容器包装リサイクルが推進されているが、容器包装に使用されていた汎用的なラベルには、剥がした際の糊残りやラベルの基材破壊等の問題があり、容器包装リサイクルの妨げとなっていた。こうした課題を解決するため、アルカリ水溶液で洗浄することで、容易に剥離が可能である(アルカリ剥離性という)粘着剤が開発されている。
例えば、特許文献1では、アルカリ分散性ラテックス(A)、非アルカリ分散性ラテックス(B)、および粘着付与剤(C)から成り、紙のリサイクル適性が良好なアルカリ剥離性である感圧接着剤ラテックス組成物が開示されている。
特許文献2では、水溶性樹脂(A)をシェル、ラジカル重合体(B)をコアとしたコアシェル粒子からなり、前記成分(A)が島、成分(B)が海となる海島構造を備えた、耐水性および粘着物性に優れたアルカリ剥離性粘着剤組成物が開示されている。
特表平08-500138号公報 特開平11-005958号公報
しかしながら、従来のアルカリ剥離性粘着剤は、リサイクル性の観点から紙やガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被着体として想定しているものがほとんどであり、容器包装の多くを占めるオレフィンのような低極性被着体に対して、ラベルに必要とされる粘着物性(粘着力、保持力、耐湿性)とアルカリ剥離性を高いレベルで満足するものはなかった。
また、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィンは水よりも比重が小さく、PETのように比重による選別が困難であるため、例えば、フィルター等を用いたサイズによる分離で被着体と粘着剤を含むラベル等を選別する必要がある。そのため、ラベルに使用される粘着剤には、アルカリ水溶液中で剥離するだけでなく、サイズ分離するのに適度な大きさに細かくなる性能(アルカリ微細化性という)が求められていた。
本発明が解決しようとする課題は、オレフィン等の低極性被着体に対する良好な粘着物性とアルカリ剥離性を示し、かつ、被着体とサイズ分離が可能であるのに十分なアルカリ微細化性を有する粘着剤組成物および粘着シートの提供を目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、アルカリ可溶性である共重合体(A)と、非アルカリ可溶性である共重合体(B)とを含み、共重合体(A)および共重合体(B)がエチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる共重合体であり、かつ下記(i)~(iii)を満たすことを特徴とする粘着剤組成物に関する。
(i)共重合体(A)は、数平均分子量が3,000~30,000であり、かつエチレン性不飽和単量体(a)100質量%中カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a-1)を5~20質量%含有する。
(ii)共重合体(A)と共重合体(B)のガラス転移温度が-70~0℃であり、かつ、共重合体(A)と共重合体(B)の質量比((A)/(B))が0.11~1.0である。
(iii)粘着剤組成物のpHが5.5~7.5である。
本発明は、共重合体(A)のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体100質量%中に50質量%以上のメタクリル酸が含まれることを特徴とする、上記記載の粘着剤組成物に関する。
エチレン性不飽和単量体(a)が、SP値8以上9未満のアルキル基含有エチレン性不飽和単量体(ただし、(a-1)を除く)(a-2)を含み、かつ下記の式を満たすことを特徴とする、上記記載の粘着剤組成物に関する。

式 5(100-X)/6<Y≦100-X

(X:エチレン性不飽和単量体(a)100質量%中の(a-1)の含有量(質量%)、Y:エチレン性不飽和単量体(a)100質量%中の(a-2)の含有量(質量%))
前記共重合体(B)のゲル分率が30~80%であることを特徴とする、上記記載の粘着剤組成物に関する。
基材と、該基材上に形成された上記記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着シートに関する。
本発明により、オレフィン等の低極性被着体に対する良好な粘着物性とアルカリ剥離性を示し、かつ、被着体とサイズ分離が可能であるのに十分なアルカリ微細化性を有する粘着剤組成物および粘着シートを提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
本明細書では、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリレートまたはメタクリレート」を表すものとする。また、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、「アクリル酸アルキルエステル」と「メタクリル酸アルキルエステル」の総称を指す。
≪粘着剤組成物≫
本発明の粘着剤組成物は、アルカリ可溶性である共重合体(A)と、アルカリ非可溶性である共重合体(B)とを含む。
共重合体(A)と共重合体(B)の質量比((A)/(B))は、0.11~1.0であり、0.25~0.67であることがより好ましい。この範囲にあることで、粘着物性とアルカリ剥離性、微細化性を高いレベルで両立することができる。
<共重合体(A)>
共重合体(A)は、エチレン性不飽和単量体(a)を乳化重合して得られる共重合体であって、本発明におけるアルカリ剥離性およびアルカリ微細化性の発現に寄与する。エチレン性不飽和単量体(a)は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a-1)、溶解度パラメーター(SP値)8以上9未満のアルキル基含有エチレン性不飽和単量体(ただし、(a-1)を除く)(a-2)、(a-1)および(a-2)を除くその他エチレン性不飽和単量体(a-3)に分類される。
以下、溶解度パラメーター(SP値)8以上9未満のアルキル基含有エチレン性不飽和単量体(ただし、(a-1)を除く)(a-2)を、溶解度パラメーター(SP値)8以上9未満のアルキル基含有エチレン性不飽和単量体(a-2)、(a-1)および(a-2)を除くその他エチレン性不飽和単量体(a-3)を、その他エチレン性不飽和単量体(a-3)と略記する場合がある。
[カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a-1)]
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a-1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸カルボキシエチル、メタクリル酸カルボキシエチル、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸などが挙げられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は、エチレン性不飽和単量体(a)100質量%中に5~20質量%含まれる。5質量%以上とすることでアルカリ剥離性およびアルカリ微細化性が確保しやすくなり、20質量%以下とすることで耐湿性を確保しやすくなる。より好ましくは10~15質量%である。
また、耐湿性の観点からアクリル酸、またはメタクリル酸を使用するのが好ましく、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体100質量%中、メタクリル酸を50質量%以上含むことがより好ましい。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は単独または2種類以上併用することができる。
[SP値8以上9未満のアルキル基含有エチレン性不飽和単量体(a-2)]
SP値8以上9未満のアルキル基含有エチレン性不飽和単量体(a-2)は、(a-1)を除くSP値8以上9未満のアルキル基含有エチレン性不飽和単量体を指す。(a-2)としては、例えば、アルキル基が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。具体的に例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、またはミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレートなどが挙げられる。なお、SP値は、Ferdorsの算出法[「Polymer Engineering and Science」、第14巻、第2号(1974)、148~154ページ]を用いて算出した。
これらは単独または2種類以上併用することができる。これらの中でも、良好な粘着物性が得やすく、数平均分子量が調節しやすいことから、ブチルアクリレートを含むことが好ましい。
(a-2)は、下記の式(数式1)の範囲で用いることが好ましく、下記の式(数式2)の範囲で用いることがより好ましい。この範囲で用いることで、粘着力、保持力がより向上する。
数式1
5(100-X)/6<Y≦100-X
(X:エチレン性不飽和単量体(a)100質量%中の(a-1)の含有量(質量%)、Y:エチレン性不飽和単量体(a)100質量%中の(a-2)の含有量(質量%))
数式2
9(100-X)/10<Y≦100-X
[その他エチレン性不飽和単量体(a-3)]
その他のエチレン性不飽和単量体(a-3)は、前記(a-1)および(a-2)を除くその他エチレン性不飽和単量体を指す。
本発明の効果を損なわない範囲で、(a-3)を用いることができる。(a-3)としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ならびにポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、およびポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシ(メタ)アクリレート等のケトン基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート等の芳香族基含有エチレン性不飽和単量体;が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは単独または2種類以上併用することができる。
上記に例示したその他エチレン性不飽和単量体(a-3)の中でも、共重合体(A)の安定性向上の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドを含むことがより好ましい。
[ガラス転移温度]
共重合体(A)のガラス転移温度は-70~0℃であり、前記の範囲となるようにエチレン性不飽和単量体を適宜選択することが重要である。共重合体(A)のガラス転移温度を前記範囲とすることで、オレフィン等の低極性被着体への粘着力を確保しつつ、良好なアルカリ微細化性を得ることができる。より好ましくは-70℃~-10℃であり、さらに好ましくは-70℃~-20℃である。
[アルカリ可溶性]
共重合体(A)はアルカリ可溶性である。本発明におけるアルカリ可溶性とは、アルカリ水溶液に対する溶解性が高い性質をいう。具体的な評価方法を説明する。70℃の2質量%濃度(以下質量%濃度は%と略記)のNaOH水溶液100gに対して、共重合体(A)5gを添加し、5分間強く撹拌した後、水溶液の温度を70℃に保ったまま1日放置する。1日経過した水溶液の透過率を測定し、透過率が80%以上である場合には、その共重合体はアルカリ可溶性であると判断する。
透過率は濁度計を用いて測定する。詳細は実施例の欄に記載する。
[数平均分子量]
共重合体(A)の数平均分子量は、3,000~30,000であり、5,000~15,000がより好ましい。数平均分子量が3,000以上とすることで耐湿性が確保しやすくなり、30,000以下とすることでアルカリ可溶性、アルカリ微細化性を確保しやすくなり、剥離後の粘着剤の再付着を防ぐことができる。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値である。詳細は実施例の欄に記載する。
[共重合体(A)の製造方法]
共重合体(A)を製造する方法について説明する。
共重合体(A)は、エチレン性不飽和単量体(a)を乳化重合して得られる共重合体である。
まずエチレン性不飽和単量体(a)を混合し、均一な混合溶液とする。この混合溶液はそのままで重合に供しても良いし、水および乳化剤の一部又は全量を加えて攪拌し、乳化液とした後に重合に供しても良い。
これらの混合溶液又は乳化液を調製後、重合開始剤の存在下で重合を行うが、その方法としては混合溶液又は乳化液を全量反応容器に仕込んで重合を開始しても良く、一部を反応容器に仕込んで重合を開始した後にさらに数回に分けて分割添加しても良く、一部を反応容器に仕込んで重合を開始した後に残りを連続滴下しても良く、あるいはあらかじめ水および必要に応じて乳化剤の一部又は全量を反応容器に仕込んでおき、全量を連続滴下しても良い。混合溶液を用いて重合する場合にはあらかじめ反応容器に乳化剤の全量および水の一部又は全量を仕込んでおくことが好ましい。
重合開始剤の添加方法としては、あらかじめ全量を反応容器に仕込んでおいても良く、昇温後に全量を添加しても良く、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後にさらに数回に分けて分割添加しても良く、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後に残りを連続滴下しても良く、あるいは全量を連続滴下しても良い。重合開始剤を分割添加又は連続滴下する場合には、単独で反応容器内に分割添加又は連続滴下しても良く、混合溶液又は乳化液と混合された状態にて分割添加または連続滴下されても良い。なおこれらの手法により重合開始剤を添加した後、反応率を高める目的で1回又は2回以上重合開始剤を追加添加しても良い。このようにして、本発明の共重合体(A)を得ることができる。
[乳化剤]
乳化重合で使用する乳化剤は、アニオン性乳化剤およびノニオン性乳化剤から適宜選択することが好ましい。また、乳化剤はラジカル重合性の官能基を有する反応性乳化剤であってもよいし、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤であってもよく、両者を併用することもできる。
乳化剤の中で、反応性乳化剤は、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を1個以上有するアニオン性の乳化剤である。例えば、スルホコハク酸エステル系乳化剤、アルキルフェノールエーテル系乳化剤等が挙げられる。
非反応性アニオン性乳化剤は、例えば、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
非反応性ノニオン性乳化剤は、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類; ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシ多環フェニルエーテル類;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。乳化剤は、単独または2種類以上使用できる。
前記乳化剤のなかでも、良好な重合安定性が得られるため反応性または非反応性のアニオン性乳化剤を使用するのが好ましい。乳化剤はエチレン性不飽和単量体(a)100質量部に対して0.5~3質量部使用することが好ましい。
[重合開始剤]
乳化重合には重合開始剤が使用される。重合開始剤は水溶性、油溶性の何れでも良いが、油溶性開始剤を用いる際はあらかじめ水混和性溶剤に溶解させて用いることが必要であり、このような所作が不要な水溶性重合開始剤を使用することが好ましい。
水溶性重合開始剤は、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2’-アゾビス(2-メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレ-ト、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-〔1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル〕-プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド〕等が挙げられる。これらの中でも、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウムが好ましい。
水溶性重合開始剤は、エチレン性不飽和単量体(a)100質量部に対して、0.01~1.0質量部を使用することが好ましく、0.02~0.5質量部がより好ましい。0.01~1.0質量部であることで重合反応性をより向上できる。
さらに水溶性重合開始剤は、レドックス系重合開始剤(酸化剤と還元剤を併用する)を使用することができる。酸化剤は、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t-ブチルハイドロパ-オキサイド、ベンゾイルパ-オキサイド、キュメンハイドロパ-オキサイド、p-メタンハイドロパ-オキサイド等が挙げられる。また、還元剤は、例えば亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が挙げられる。これらの中でも重合反応性に優れるため、酸化剤:過硫酸カリウムまたは過硫酸ナトリウムと、還元剤:亜硫酸ナトリウムまたは酸性亜硫酸ナトリウムとを組み合わせて使用することが好ましい。
レドックス系重合開始剤は、酸化剤と還元剤をそれぞれエチレン性不飽和単量体(a)100質量部に対して、0.01~1.0質量部を使用することが好ましく、0.02~0.5質量部がより好ましい。0.01~1.0質量部であることで重合反応性より向上できる。
[連鎖移動剤]
本発明では共重合体(A)の数平均分子量を調整するため、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤は、例えばチオール基や水酸基を有する化合物が一般に知られている。チオール基を有する化合物としては、例えばラウリルメルカプタン、2-メルカプトエチルアルコール、ドデシルメルカプタン、およびメルカプトコハク酸等のメルカプタン;メルカプトプロピオン酸n-ブチル、およびメルカプトプロピオン酸オクチル等のメルカプトプロピオン酸アルキル;、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル等のメルカプトプロピオン酸アルコキシアルキル等が挙げられる。また、メチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、t-ブチルアルコール、およびベンジルアルコール等のアルコールも挙げられる。連鎖移動剤は、単独または2種類以上併用できる。
連鎖移動剤は、エチレン性不飽和単量体(a)100質量部に対して0.1~7.5質量部が好ましく、1~5質量部がより好ましい。このような含有量である場合、前記のような数平均分子量に調節することが容易となる。
<共重合体(B)>
共重合体(B)は、エチレン性不飽和単量体(b)を乳化重合して得られる共重合体であって、本発明における基本的な粘着物性の発現に寄与する。エチレン性不飽和単量体(b)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b-1)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(b-2)、および前記(b-1)、(b-2)と共重合が可能であるその他エチレン性不飽和単量体(b-3)に分類される。
[(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b-1)]
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b-1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、またはミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、オレフィン等の低極性被着体への接着性の観点から、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートを用いるのが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b-1)は単独または2種類以上併用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b-1)は、エチレン性不飽和単量体(b)100質量%中、50~99.9質量%含むことが好ましく、70~99.5質量%含むことがより好ましい。含有量を前記範囲とすることで、粘着力、および保持力がより向上する。
[カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(b-2)]
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(b-2)としては、共重合体(A)の項に例示したカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a-1)と同じものを用いることができる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は、エチレン性不飽和単量体(b)100質量%中、0.1質量%以上5質量%未満含むことが好ましく、0.5~4質量%含むことがより好ましい。含有量を前記範囲とすることで、乳化重合の際の重合安定性を確保しつつ、良好な粘着物性を確保することができる。
[その他エチレン性不飽和単量体(b-3)]
共重合体(B)は、本発明の課題を解決できる範囲内であれば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b-1)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(b-2)と共重合が可能であるその他エチレン性不飽和単量体(b-3)を用いることができる。その他エチレン性不飽和単量体(b-3)としては、共重合体(A)の項に例示したその他エチレン性不飽和単量体(a-3)と同じものを用いることができる。
共重合体(B)は、エチレン性不飽和単量体(b)を乳化重合して得られる共重合体である。共重合体(B)の製造方法としては、共重合体(A)の製造方法と同様の手法を用いることができる。また、乳化重合の際に用いる乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤としては、共重合体(A)の項にて例示したものと同じものを用いることができる。
また、共重合体(B)は、乳化重合の際、必要に応じてpHを調整するため、緩衝剤を使用できる。緩衝剤としては、pH緩衝作用を有するものであれば特に制限されないが、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
緩衝剤は、エチレン性不飽和単量体(b)100質量部に対して、0.01~5質量部使用することが好ましく、0.05~3質量部がより好ましい。
[ガラス転移温度]
共重合体(B)のガラス転移温度は-70~0℃であり、前記の範囲となるようにエチレン性不飽和単量体を適宜選択することが重要である。ガラス転移温度を前記範囲とすることで、被着体、特にオレフィンへの粘着力および保持力を確保しつつ、良好なアルカリ微細化性を得ることができる。より好ましくは-70℃~-20℃であり、さらに好ましくは-70℃~-40℃である。
[非アルカリ可溶性]
共重合体(B)は非アルカリ可溶性である。本発明における非アルカリ可溶性とは、アルカリ水溶液に対する溶解性が低い性質をいう。具体的には、70℃の2%NaOH水溶液100gに対して、共重合体(B)5gを添加し、5分間強く撹拌した後、水溶液の温度を70℃に保ったまま1日放置する。1日経過した水溶液の透過率を測定し、透過率が80%未満である場合には、その共重合体は非アルカリ可溶性であると判断する。
[ゲル分率]
共重合体(B)は、そのゲル分率を30~80質量%に調整することが好ましい。ゲル分率を調整する方法としては、連鎖移動剤や架橋剤を好適に用いることができる。ゲル分率を前記範囲にすることで、粘着力および保持力を高いレベルで得つつ、剥離後の粘着剤の再付着を防ぐことができる。より好ましくは35~75質量%であり、さらに好ましくは40~70質量%である。
ゲル分率の測定方法は、実施例の欄に詳細を記載する。
[架橋剤]
共重合体(B)は、本発明の課題を解決できる範囲内であれば、架橋剤を含むことができる。例えばエチレン性不飽和単量体成分としてカルボキシル基を有する単量体を用いた場合には、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、酸化亜鉛などの金属化合物が使用できる。また、水酸基を有する単量体を用いた場合は、イソシアネート化合物、チタンやジルコニウムなどのアルコキシド化合物等を用いる事ができ、カルボニル基を有する単量体を用いた場合には、アミン類、ヒドラジド化合物等を用いる事ができる。
<粘着剤組成物の製造方法>
粘着剤組成物の製造方法としては、公知の方法を使用することができ、前記共重合体(A)と共重合体(B)を、必要により公知の中和剤で中和後、公知の方法で混合し、さらに、レベリング剤、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤等の添加剤を配合する方法が用いられる。
[粘着剤組成物のpH]
粘着剤組成物は、25℃におけるpHが5.5~7.5となるように調整する。6.0~7.5とすることがより好ましい。pHの調整には、アンモニア水を好適に用いることができる。pHが7.5以下である場合には、共重合体(A)のエマルション粒子の多くが粒子の形状を保ったまま、もしくは合一してより大きな粒子となった状態で粘着剤層に残り、その箇所が起点となって粘着剤層が微細化されるため、良好なアルカリ微細化性を得ることができる。pHが5.5以上では、耐湿性を確保することができる。
[その他添加剤]
また、粘着力調整のために、適当な粘着付与剤、例えば、ロジン樹脂、フェノール樹脂、ポリテルペン、アセチレン樹脂、石油系炭化水素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、合成ゴム、天然ゴム等を適当量添加することができる。
さらに、可塑剤、充填剤、着色剤、シランカップリング剤なども添加しても良い。
加えて、本発明の粘着剤組成物中の各共重合体の分散粒子を粒子間架橋させるため、任意の架橋剤を配合しても良く、例えばエチレン性不飽和単量体成分としてカルボキシル基を有する単量体を用いた場合には、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、酸化亜鉛などの金属化合物が使用できる。また、水酸基を有する単量体を用いた場合は、イソシアネート化合物、チタンやジルコニウムなどのアルコキシド化合物等を用いる事ができ、カルボニル基を有する単量体を用いた場合には、アミン類、ヒドラジド化合物等を用いる事ができる。
≪粘着シート≫
粘着シートは、基材と粘着剤組成物からなる粘着剤層とを有する。製造方法としては、剥離ライナーに粘着剤組成物を塗工、乾燥することで粘着剤層を形成し、次いで基材上に粘着剤層を転写する方法や、基材に粘着剤組成物を塗工、乾燥することで粘着剤層を形成し、次いで剥離ライナーを貼り合わせる方法が挙げられる。
[基材]
基材としては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セロハン等の樹脂材料からなるプラスチックフィルム;天然ゴム、ブチルゴム、等からなるゴムシート;ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム、ポリエチレン等を発泡させてなる発泡体シート;クラフト紙、クレープ紙、和紙等の紙;綿布、スフ布等の布;セルロース系不織布、ポリエステル不織布、ビニロン不織布等の不織布;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔; これらの複合体を指す。このようなシート状基材の片面または両面に、下塗剤の塗布、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。また、基材上には、商品名等の表示や装飾、美観を付与するための印刷層や、当該印刷層を保護したり、光沢などの意匠性を付与したりするためのオーバーコート層を設けてもよい。基材の厚みは目的に応じて適宜選択できるが、一般的には10μm~500μm(典型的には10μm~200μm)程度である。
[剥離ライナー]
剥離ライナー(セパレータと称されることもある。) としては、従来公知のものを特に限定なく用いることができる。例えば、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等の剥離剤によって適当な基材(例えば、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙、ポリエチレン等の樹脂フィルムをラミネートした紙、ポリビニルアルコールやアクリル系ポリマー等の樹脂をコートした紙) の少なくとも一方の面を処理してなる剥離ライナーを好ましく使用することができる。
[塗工方式]
塗工の方式は、公知の手法を用いることができ、コンマコーター、リバースコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアチャンバーコーター、カーテンコーター等の各種公知のコーティング装置により、紙またはプラスチックフィルム基材、もしくは剥離性ライナー上に塗布し、乾燥されることによって、本発明の粘着シートを得ることができる。また、その際剥離ライナーなどに粘着剤組成物を塗布した後、80℃~120℃で乾燥することが好ましい。乾燥温度を80℃以上とすることで、適当な時間で粘着シートを得ることができ、120℃以下とすることで、基材または剥離性シートの熱劣化を防止することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。例中、特に断りのない限り、「部」とは「質量部」を、「%」とは「質量%」をそれぞれ示すものとする。また、水、溶剤以外について、記載した配合量は不揮発分換算値である。
また、共重合体(A)および(B)のガラス転移温度、数平均分子量、ゲル分率、透過率の測定方法は以下の通りである。
[ガラス転移温度]
共重合体(A)および(B)のガラス転移温度は、下記のFOXの式により算出した。なお、下記の式におけるガラス転移温度の単位は絶対温度(K)である。
数式3
1/Tg
=w/Tg+w/Tg+w/Tg+…
(Tg:ガラス転移温度(K)、w:共重合体中の単量体1の質量分率、Tg:単量体1の単独重合体のガラス転移温度(K)、w:共重合体中の単量体2の質量分率、Tg:単量体2の単独重合体のガラス転移温度(K)、w:共重合体中の単量体3の質量分率、Tg:単量体3の単独重合体のガラス転移温度(K))
計算に用いた各単量体の単独重合体のガラス転移温度は下記の通りである。
ブチルアクリレート:-54℃
2-エチルヘキシルアクリレート:-70℃
メチルメタクリレート:105℃
アクリル酸:106℃
メタクリル酸:105℃
2-ヒドロキシエチルメタアクリレート:71℃
[数平均分子量]
共重合体(A)の数平均分子量は、乾燥させた共重合体をテトラヒドロフランに溶解させ、0.5%溶液を調製し、更にメンブレンフィルター(ADVANTEC社製13HP045AN 孔径0.45μm)で濾過処理をして、以下の装置ならびに測定条件により測定した。
装置:HLC-8320-GPCシステム(東ソー社製)
カラム:TSKgel-Super Multipore HZ-M0021488 4.6 mmI.D.×15cm×3本(分子量測定範囲2千~約200万)
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
流速:0.6mL/分
試料溶液使用量:10μL
カラム温度:40℃
[ゲル分率]
共重合体(B)をポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)上に塗工し、乾燥後の厚さが約20g/mになるように乾燥被膜を形成する(塗工物という)。得られた塗工物を長さ10cm×幅3cmの大きさに準備し、200メッシュのステンレス網で包み込み、次いでそれを酢酸エチルに投入し23℃で72時間浸漬した後、乾燥して酢酸エチルを除去する。そして浸漬前の乾燥被膜の質量に対する、浸漬後の乾燥被膜の質量の割合(%)を求めたものを酢酸エチルに対するゲル分率とした。ゲル分率は下記数式に従い求める。
数式4
ゲル分率(%)=
{(浸漬前の乾燥被膜質量-PETフィルムの質量)/(浸漬後の乾燥被膜質量-PETフィルムの質量)}×100
[透過率]
共重合体(A)および(B)の透過率は、70℃の2%NaOH水溶液100gに共重合体5gを添加し、5分間強く撹拌して、70℃で1日放置した後の水溶液をガラスセル中に加えて測定した。測定には、濁度計(日本電飾工業 NDH2000)を使用した。
表1および2に記載したエチレン不飽和性単量体の略称は下記の通りである。
BA:ブチルアクリレート
2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
2-HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
<共重合体(A)>
(共重合体(A-1)の製造)
ブチルアクリレート88部、メタクリル酸12部に、連鎖移動剤としてtert-ドデシルメルカプタン2.5部を溶解した。さらに、アニオン系乳化剤としてニューコール707SF(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の水溶液、有効成分30%、日本乳化剤社製)6.7部、開始剤として5%過硫酸アンモニウム水溶液5.6部をイオン交換水35部に溶解してから加えて攪拌し乳化物を得た。これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、脱イオ
ン水を72.5部仕込み、フラスコ内部の空気を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液2.4部を添加した。5分後、上記滴下ロートから上記乳化物を3時間かけて滴下した。
内温を80℃に保ったまま、さらに撹拌しながら80℃にて4時間熟成した後冷却し、固形分58%の共重合体(A-1)を得た。得られた共重合体(A-1)の透過率を前記した条件にて測定したところ、透過率は90%であった。
(共重合体(A-2~14、X1~X5)の製造)
共重合体(A-1)の製造の材料およびその配合量(質量部)を表1に記載した通りに変更した以外は、共重合体(A-1)の製造と同様に乳化重合を行うことでそれぞれ固形分58%の共重合体(A-2~14、X1~X5)を得た。得られた共重合体(A-2~14、X1~X5)の透過率を前記した条件にて測定し、表1に記載した。
Figure 2023058803000001
<共重合体(B)>
(共重合体(B-1)の製造)
2-エチルヘキシルアクリレート36.5部、ブチルアクリレート62部、アクリル酸1.5部、ニューコール707SF(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の水溶液、有効成分30%、日本乳化剤社製)3.4部をイオン交換水10.9部に溶解してから加えて攪拌し乳化物を得た。これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、脱イオ
ン水を24.4部仕込み、フラスコ内部の空気を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を76℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液1.3部を添加した。5分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して5%過硫酸アンモニウム水溶液3.8部を別の滴下口から3時間かけて滴下した。
内温を80℃に保ったまま、さらに撹拌しながら80℃にて4時間熟成した後冷却し、固形分58%の共重合体(B-1)を得た。得られた共重合体(B-1)の透過率を前記した条件にて測定したところ、透過率は8%であった。
(共重合体(B-2)の製造)
共重合体(B-1)の製造の材料およびその配合量(質量部)を表2に記載した通りに変更した以外は、共重合体(B-1)の製造と同様に乳化重合を行うことで固形分58%の共重合体(B-2)を得た。得られた共重合体(B-2)の透過率を前記した条件にて測定したところ、透過率は9%であった。
(共重合体(B-3)の製造)
共重合体(B-1)の製造の材料およびその配合量(質量部)を表2に記載した通りに変更した以外は、共重合体(B-1)の製造と同様に乳化重合を行うことで固形分58%の共重合体(B-3)を得た。得られた共重合体(B-3)の透過率を前記した条件にて測定したところ、透過率は8%であった。
(共重合体(B-4)の製造)
共重合体(B-1)の製造の材料およびその配合量(質量部)を表2に記載した通りに変更し、熟成後に架橋剤としてカルボジイミド系硬化剤のカルボジライトV-04(不揮発分40%)2.5部を配合した以外は、共重合体(B-1)の製造と同様に乳化重合を行うことで固形分58%の共重合体(B-4)を得た。得られた共重合体(B-4)の透過率を前記した条件にて測定したところ、透過率は7%であった。
(共重合体(B-5)の製造)
共重合体(B-1)の製造の材料およびその配合量(質量部)を表2に記載した通りに変更し、単量体混合物に連鎖移動剤としてtert-ドデシルメルカプタン0.03部を配合した以外は、共重合体(B-1)の製造と同様に乳化重合を行うことで固形分58%の共重合体(B-5)を得た。得られた共重合体(B-5)の透過率を前記した条件にて測定したところ、透過率は9%であった。
(共重合体(B-6)の製造)
共重合体(B-1)の製造の材料およびその配合量(質量部)を表2に記載した通りに変更し、熟成後に架橋剤としてカルボジイミド系硬化剤のカルボジライトV-04(不揮発分40%)を6.0部配合した以外は、共重合体(B-1)の製造と同様に乳化重合を行うことで固形分58%の共重合体(B-6)を得た。得られた共重合体(B-6)の透過率を前記した条件にて測定したところ、透過率は7%であった。
(共重合体(B-7)の製造)
共重合体(B-1)の製造の材料およびその配合量(質量部)を表2に記載した通りに変更し、単量体混合物に連鎖移動剤としてtert-ドデシルメルカプタン0.06部を配合した以外は、共重合体(B-1)の製造と同様に乳化重合を行うことで固形分58%の共重合体(B-7)を得た。得られた共重合体(B-7)の透過率を前記した条件にて測定したところ、透過率は10%であった。
(共重合体(Y-1)の製造)
共重合体(B-1)の製造の材料およびその配合量(質量部)を表2に記載した通りに変更した以外は、共重合体(B-1)の製造と同様に乳化重合を行うことで固形分58%の共重合体(Y-1)を得た。得られた共重合体(Y-1)の透過率を前記した条件にて測定したところ、透過率は12%であった。
Figure 2023058803000002
<粘着剤組成物の作製>
(実施例1)
共重合体(A-1)30部、及び共重合体(B-1)70部を混合した後、消泡剤としてSNデフォーマー364(サンノプコ社製)0.3部、レベリング剤としてぺレックスOT-P(花王社製)0.2部、防腐剤としてユニケムBN-202(ユニオンケミカル社製)0.05部を加え、さらに粘度調整剤としてシックナーSN618(サンノプコ社)0.4部を用いて増粘し、25%アンモニア水にてpH=6.5に調整し(堀場製作所 pHメーター D-52にて測定)、粘着剤組成物を得た。
(実施例2~15、18~26)
共重合体(A)および共重合体(B)の種類および質量比を表3に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
(実施例16)
25%アンモニア水にてpH=7.4に調整した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
(実施例17)
5%希塩酸にてpH=5.6に調整した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
(比較例1~8)
共重合体(A)および共重合体(B)の種類および質量比を表3に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
(比較例9)
25%アンモニア水にてpH=8.0に調整した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
(比較例10)
5%希塩酸にてpH=5.0に調整した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。
<粘着シートの作製>
得られた粘着剤組成物をコンマコーターで剥離紙上に乾燥塗膜量が20g/mになるように塗工し、100℃の乾燥オーブンで75秒乾燥させ、市販の上質紙(60g/m)を貼り合わせて、粘着シート(1)を得た。また、前記と同じ条件で塗工物を準備し、市販の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPフィルム、20μm)を貼り合わせて、粘着シート(2)を得た。
得られた粘着シート(1)、(2)用いて、後述する評価方法で性能を評価し、その結果を表3に示した。
1.粘着力
得られた粘着シート(1)を長さ100mm×幅25mmの大きさに準備し試料とした。次いで、23℃、相対湿度50%(以下50%RH)雰囲気下で試料から剥離紙を剥がし、ポリプロピレン板に貼り付け、2kgロールを1往復圧着して、20分後の粘着力を測定した。なお、粘着力の測定はJIS Z0237に準拠して剥離速度:300mm/分、剥離角:180°で行った。評価基準は以下の通りである。
◎:粘着力が18N以上である。極めて良好。
〇:粘着力が16N以上18N未満である。良好。
△:粘着力が14N以上16N未満である。実用可。
×:粘着力が14N未満である。実用不可。
2.保持力
得られた粘着シート(1)を長さ100mm×幅25mmの大きさに準備し試料とした。次いで、JIS Z0237に準拠して、23℃、50%RH雰囲気下で試料から剥離紙を剥がし、露出した粘着層の先端部長さ25mm×幅25mm部分を研磨したステンレス(SUS)板に貼り付け、2kgロールで1往復圧着した20分後、40℃雰囲気で1kgの荷重をかけ、7万秒保持した。評価は、SUS板から試料が落下した場合はその秒数を示す。試料が落下しなかった場合は、粘着剤層とSUS板の接着先端部が、荷重により下にずれたmm数を示す。評価基準は以下の通りである。
◎:ずれた長さが0.5mm未満である。極めて良好。
〇:ずれた長さが0.5mm以上2mm未満である。良好。
△:ずれた長さが2mm以上5mm未満である。実用可。
×:ずれた長さが5mm以上もしくは試料が落下している。実用不可。
3.アルカリ剥離性
得られた粘着シート(1)の剥離紙を剥がし、市販のOPPフィルム(20μm)に貼り付け、長さ20mm×幅20mmの大きさに準備し、試料とした。次いで、試料1片を2%水酸化ナトリウム水溶液500gに加え、70℃まで昇温した後、500rpmで10分間撹拌した。撹拌後のOPPフィルムを水で洗浄し、OPPフィルム上に粘着剤由来の汚染があるかどうかを確認した。評価は、OPPフィルムの表面積に対する汚染の付着した割合で行った。評価基準は以下の通りである。
◎:汚染の付着が全く見られない。極めて良好。
〇:汚染の付着面積が0.5割未満。良好。
△:汚染の付着面積が0.5割以上1割未満。実用可。
×:汚染の付着面積が1割以上。実用不可。
4.耐湿性
得られた粘着シート(1)を長さ200mm×幅200mmの大きさに準備し試料とした。次いで、試料を60℃95%RH雰囲気下で3日間放置した後、前記アルカリ剥離性試験と同じ条件で評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:汚染の付着が全く見られない。極めて良好。
〇:汚染の付着面積が0.5割未満。良好。
△:汚染の付着面積が0.5割以上1割未満。実用可。
×:汚染の付着面積が1割以上。実用不可。
5.再付着性
得られた粘着シート(1)の剥離紙を剥がし、市販のOPPフィルム(20μm)に貼り付け、長さ20mm×幅20mmの大きさに準備し、試料とした。次いで、試料10gを2%水酸化ナトリウム水溶液500gに加え、70℃まで昇温し、500rpmで10分間撹拌した後、30分間静置した。静置後のOPPフィルムを水で洗浄し、OPPフィルム上に粘着剤由来の汚染があるかどうかを確認した。評価は、OPPフィルムの表面積に対する汚染の付着した割合で行った。評価基準は以下の通りである。
◎:汚染の付着が全く見られない。極めて良好。
〇:汚染の付着面積が0.5割未満。良好。
△:汚染の付着面積が0.5割以上1割未満。実用可。
×:汚染の付着面積が1割以上。実用不可。
6.アルカリ微細化性
アルカリ微細化性は以下の方法に示す微細化度によって評価した。
得られた粘着シート(2)の剥離紙を剥がし、長さ20mm×幅20mmの大きさに準備し、試料とした。次いで、試料10gを2%水酸化ナトリウム水溶液500gに加え、70℃まで昇温し、500rpmで10分間撹拌した後、試料を含む水溶液を20/Xmmの目開きを有するメッシュに5回通過させた。20/Xmmの目開きを有するメッシュを5回通過させた際に、メッシュ上に残る粘着剤が5質量%以下となるXの上限値を求め、得られた上限値Xを用いて、以下の数式に従い微細化度を算出した。メッシュは市販されているものを用い、Xは1~20000の範囲であった。なお、粘着剤の質量は、水で洗浄し、乾燥した後の残渣からOPPフィルムの質量を引いて得た。
数式5
微細化度=1/X
評価基準は以下の通りである。
◎:微細化度が2.5×10-9以上2.5×10-5未満である。極めて良好。
〇:微細化度が2.5×10-5以上2.5×10-3未満である。良好。
△:微細化度が2.5×10-3以上6.25×10-2未満である。実用可。
×:微細化度が6.25×10-2以上1.0以下。実用不可。
Figure 2023058803000003
Figure 2023058803000004
Figure 2023058803000005
表3、4の結果によれば、本発明の粘着剤組成物は、オレフィン等の低極性被着体に対する粘着物性(粘着力、保持力、耐湿性)、アルカリ剥離性、及びアルカリ微細化性に優れていた。
一方で、表5に示すように、比較例の粘着剤組成物は、粘着物性、アルカリ剥離性、およびアルカリ微細化性のいずれかが不良であり、すべての特性を満足することができなかった。

Claims (5)

  1. アルカリ可溶性である共重合体(A)と、非アルカリ可溶性である共重合体(B)とを含み、共重合体(A)および共重合体(B)がエチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる共重合体であり、かつ下記(i)~(iii)を満たすことを特徴とする粘着剤組成物。
    (i)共重合体(A)は、数平均分子量が3,000~30,000であり、かつエチレン性不飽和単量体(a)100質量%中カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a-1)を5~20質量%含有する。
    (ii)共重合体(A)と共重合体(B)のガラス転移温度が-70~0℃であり、かつ、共重合体(A)と共重合体(B)の質量比((A)/(B))が0.11~1.0である。
    (iii)粘着剤組成物のpHが5.5~7.5である。
  2. カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a-1)100質量%中に50質量%以上のメタクリル酸が含まれることを特徴とする、請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. エチレン性不飽和単量体(a)が、SP値8以上9未満のアルキル基含有エチレン性不飽和単量体(ただし、(a-1)を除く)(a-2)を含み、かつ下記の式を満たすことを特徴とする、請求項1または2記載の粘着剤組成物。

    式 5(100-X)/6<Y≦100-X

    (X:エチレン性不飽和単量体(a)100質量%中の(a-1)の含有量(質量%)、Y:エチレン性不飽和単量体(a)100質量%中の(a-2)の含有量(質量%))
  4. 共重合体(B)のゲル分率が30~80%であることを特徴とする、請求項1~3いずれか1項記載の粘着剤組成物。
  5. 基材と、該基材上に形成された請求項1~4いずれか1項記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着シート。
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