JP2023057833A - ポリマーセメントモルタル組成物及びポリマーセメントモルタル - Google Patents
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Abstract
【課題】強度特性に優れ、凝結遅延が生じにくく、流動性も良好なポリマーセメントモルタル組成物及びポリマーセメントモルタルを提供すること。【解決手段】セメントを含む結合材と、クリンカ骨材及び細骨材からなる混合骨材と、セメント用ポリマーとを含み、前記クリンカ骨材は、化学成分としてCaOを55~70質量%、SiO2を15~30質量%含み、前記セメントの含有量が、前記結合材100質量部に対し、60質量部以上である、ポリマーセメントモルタル組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリマーセメントモルタル組成物及びポリマーセメントモルタルに関する。
コンクリート構造物(例えば、鉄筋コンクリート(RC)床版又はボックスカルバートの中床版等の床版、壁、天井部など)には、疲労、乾燥収縮等の要因によってひび割れが生じる。この種の劣化が進行したり、ひび割れがすり合わされたりすることによって、ひび割れ幅が大きくなると、劣化箇所から水、塩化物イオン等の劣化因子がコンクリート構造物内に侵入する。この結果、コンクリート構造物に埋没されている鉄筋が腐食する。コンクリート構造物のひび割れによる損傷を放置していると、最終的に内部の鉄筋が腐食して断面欠損し、構造物の安全性が保てなくなる。このため、劣化した箇所を除去した後、その凹部に補修材又は補強材を充填する補修・改修工事が行われている。
各種の補修・改修工法用材料としてポリマーセメントモルタル及びペーストの利用が増加している(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
ところで、ポリマーセメントモルタルは、配合されたポリマーの効果により付着性や耐久性の向上が期待できる。しかし、ポリマーの混入量が増加することで凝結は遅延し、圧縮強度は低下する傾向にある。例えば、断面修復作業実施後、次工程に取り掛かる為には、凝結が終結するまで適切な養生が必要となり、施工計画全体の遅延が懸念される。そこで、ポリマーセメントモルタルの施工性、耐久性を損なうことなく、凝結遅延を改善できる手法が望まれる。また、断面補修時のこて作業等の施工現場を考慮すると、ポリマーセメントモルタルは良好な流動性があることも求められる。
したがって、本発明は、強度特性に優れ、凝結遅延が生じにくく、流動性も良好なポリマーセメントモルタル組成物及びポリマーセメントモルタルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、結合材の配合割合と、特定の化学成分組成を有するクリンカ骨材を用いることで、凝結遅延を改善しつつ、強度特性及び流動性が良好なポリマーセメントモルタル組成物及びポリマーセメントモルタルが得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]~[5]である。
[1]セメントを含む結合材と、クリンカ骨材及び細骨材からなる混合骨材と、セメント用ポリマーとを含み、前記クリンカ骨材は、化学成分としてCaOを55~70質量%、SiO2を15~30質量%含み、前記セメントの含有量が、前記結合材100質量部に対し、60質量部以上である、ポリマーセメントモルタル組成物。
[2]前記クリンカ骨材の含有量が、前記混合骨材100質量部に対し、10~95質量部である、[1]に記載のポリマーセメントモルタル組成物。
[3]前記混合骨材の粗粒率が1.5~4.3である、[1]又は[2]に記載のポリマーセメントモルタル組成物。
[4]前記セメント用ポリマーの含有量が、前記結合材100質量部に対し、固形分換算で1~20質量部である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリマーセメントモルタル組成物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のポリマーセメント組成物と、水とを含み、前記水の含有量が、前記結合材100質量部に対し、20~50質量部である、ポリマーセメントモルタル。
[1]セメントを含む結合材と、クリンカ骨材及び細骨材からなる混合骨材と、セメント用ポリマーとを含み、前記クリンカ骨材は、化学成分としてCaOを55~70質量%、SiO2を15~30質量%含み、前記セメントの含有量が、前記結合材100質量部に対し、60質量部以上である、ポリマーセメントモルタル組成物。
[2]前記クリンカ骨材の含有量が、前記混合骨材100質量部に対し、10~95質量部である、[1]に記載のポリマーセメントモルタル組成物。
[3]前記混合骨材の粗粒率が1.5~4.3である、[1]又は[2]に記載のポリマーセメントモルタル組成物。
[4]前記セメント用ポリマーの含有量が、前記結合材100質量部に対し、固形分換算で1~20質量部である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリマーセメントモルタル組成物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のポリマーセメント組成物と、水とを含み、前記水の含有量が、前記結合材100質量部に対し、20~50質量部である、ポリマーセメントモルタル。
本発明によれば、強度特性に優れ、凝結遅延が生じにくく、流動性も良好なポリマーセメントモルタル組成物及びポリマーセメントモルタルを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態のポリマーセメントモルタル組成物は、セメントを含む結合材と、クリンカ骨材及び細骨材からなる混合骨材と、セメント用ポリマーとを含む。
セメントは、種々のものを使用することができ、例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、エコセメント、速硬性セメント等が挙げられる。セメントとしては、高温環境下であっても流動性や可使時間を確保しやすいという観点から、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントが好ましい。セメントは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
セメントの含有量は、結合材100質量部に対し、60質量部以上である。セメントの含有量が上記範囲外であると、早期の凝結性と良好な強度特性の両立が困難になる。セメントの含有量は、結合材100質量部に対し、70質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることがより好ましい。セメントの含有量は、結合材の全質量(100質量部)であってもよい。セメントの含有量が上記範囲内であれば、凝結の遅延を抑制しつつ、良好な強度特性が得られやすい。
結合材としては、セメントの他に、石膏類、膨張材、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、フライアッシュ等を含んでもよい。
本実施形態に係る混合骨材は、クリンカ骨材及び細骨材から構成される。クリンカ骨材及び細骨材は、通常用いられる粒径5mm以下のもの(5mmふるい通過分)を使用するのが好ましい。混合骨材の粗粒率は、良好な流動性が得られやすく、材料分離が生じにくいという観点から、1.0~4.3であることが好ましく、1.2~4.1であることがより好ましく、1.7~3.8であることが更に好ましい。
混合骨材の含有量は、結合材100質量部に対し、100~450質量部であることが好ましく、150~400質量部であることがより好ましく、200~350質量部であることが更に好ましい。混合骨材の含有量が上記範囲内であれば、良好な強度特性が得られやすい。
クリンカ骨材は、例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、エコセメント等の各種セメントクリンカーを粉砕し、所定の粒径に調整したものである。クリンカ骨材の粗粒率は、良好な流動性が得られやすく、材料分離が生じにくいという観点から、1.0~4.0であることが好ましく、1.2~3.8であることがより好ましく、1.7~3.5であることが更に好ましい。
クリンカ骨材は、化学成分としてCaOを55~70質量%、SiO2を15~30質量%含むものである。クリンカ骨材の化学成分が上記範囲外であると、凝結時間が十分に確保できない可能性や、強度特性に優れないおそれがある。クリンカ骨材の化学成分は、より良好な強度特性が得られやすいという観点から、CaOを58~68質量%、SiO2を16~28質量%含むものであることが好ましく、CaOを60~65質量%、SiO2を17~25質量%含むものであることがより好ましい。クリンカ骨材の化学成分は、ボーグ式から算出することができる。
クリンカ骨材の含有量は、混合骨材100質量部に対し、10~95質量部であることが好ましく、10~90質量部であることがより好ましく、20~80質量部であることが更に好ましい。クリンカ骨材の含有量が上記範囲内であれば、良好な流動性と良好な強度特性を両立しやすい。
細骨材は、例えば、川砂、珪砂、砕砂、寒水石、石灰石砂、スラグ骨材等が挙げられる。細骨材は、これらの中から、微細な粉や粗い骨材を含まない粒度に調整した珪砂、石灰石砂等を用いることが好ましい。細骨材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。細骨材の粗粒率は、良好な流動性が得られやすく、材料分離が生じにくいという観点から、1.0~5.0であることが好ましく、1.2~4.5であることがより好ましく、1.7~3.8であることが更に好ましい。
セメント用ポリマーは、JIS A 6203:2015「セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂」に規定されるポリマーが好ましい。このようなセメント用ポリマーとしては、ポリマーディスパージョン、再乳化形粉末樹脂等が挙げられる。ポリマーディスパージョンとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴム系;天然ゴム系;ゴムアスファルト系;エチレン酢酸ビニル系;アクリル酸エステル系;スチレン-アクリル酸エステル系;酢酸ビニル-アクリル酸エステル系;樹脂アスファルト系等が挙げられる。ポリマーディスパージョンは、中でも、合成ゴム系、エチレン酢酸ビニル系及びアクリル酸エステル系、スチレン-アクリル酸エステル系、酢酸ビニル-アクリル酸エステル系が好ましく、具体的には、合成ゴムラテックス、ポリアクリル酸エステル、エチレン酢酸ビニルがより好ましい。再乳化形粉末樹脂としては、スチレンブタジエンゴム等の合成ゴム系;アクリル酸エステル系;スチレン-アクリル酸エステル系;酢酸ビニル-アクリル酸エステル系;エチレン酢酸ビニル系;酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル;酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステル等が挙げられる。セメント用ポリマーとしては、ポリマーディスパージョンを用いてもよく、再乳化形粉末樹脂を用いてもよく、ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂を併用してもよい。
セメント用ポリマーの中でも、コンクリートとの接着性がより向上するという観点から、スチレンブタジエンゴム、アクリル酸エステル系のポリマーディスパージョン及び/又は再乳化粉末樹脂が好ましい。スチレンブタジエンゴムは、スチレン及びブタジエンを共重合した合成ゴムの一種であり、スチレン含有量や加硫量により品質を適宜調整することができる。セメント混和用としては、結合スチレン量が50~70質量%のものが多く、安定性や接着性を向上させて使用されている。セメント用ポリマーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
セメント用ポリマーの中でも、コンクリートとの接着性がより向上するという観点から、スチレンブタジエンゴム、アクリル酸エステル系のポリマーディスパージョン及び/又は再乳化粉末樹脂が好ましい。スチレンブタジエンゴムは、スチレン及びブタジエンを共重合した合成ゴムの一種であり、スチレン含有量や加硫量により品質を適宜調整することができる。セメント混和用としては、結合スチレン量が50~70質量%のものが多く、安定性や接着性を向上させて使用されている。セメント用ポリマーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
セメント用ポリマーの含有量は、結合材100質量部に対し、固形分換算で1~20質量部であることが好ましく、2~15質量部であることがより好ましく、3~12質量部であることが更に好ましい。セメント用ポリマーの含有量が上記範囲内であれば、モルタルとした際により良好な流動性及びコテ性状が得られやすい。
本実施形態のポリマーセメントモルタル組成物は、減水剤を含んでもよい。減水剤は、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤及び流動化剤を含む。このような減水剤としては、JIS A 6204:2011「コンクリート用化学混和剤」に規定される減水剤が挙げられる。減水剤としては、例えば、ポリカルボン酸系減水剤、ナフタレンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤、メラミン系減水剤、アクリル系減水剤が挙げられる。これらの中では、ポリカルボン酸系減水剤が好ましい。減水剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
減水剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.1~5質量部であることが好ましく、0.2~3質量部であることがより好ましく、0.3~1質量部であることが更に好ましい。減水剤の含有量が上記範囲内であれば、モルタルとした際により良好な流動性及びコテ性状が得られやすい。
本実施形態のポリマーセメントモルタル組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で各種混和剤を配合してもよい。混和剤としては,例えば、凝結遅延剤、消泡剤、防水剤、防錆剤、収縮低減剤、増粘剤、保水剤、顔料、撥水剤、白華防止剤、繊維類が挙げられる。
本実施形態のポリマーセメントモルタル組成物は、通常用いられる混練器具により上記した各成分を混合することで調製でき、その器具は特に限定されるものではない。混練器具としては、例えば、ホバートミキサ、ハンドミキサ、傾胴ミキサ、2軸ミキサ等が挙げられる。
本実施形態のポリマーセメントモルタル組成物は、水と混合してモルタルとして調製することができ、その水の含有量は用途に応じて適宜調整すればよい。水の含有量は、結合材100質量部に対し、20~50質量部であることが好ましく、25~45質量部であることがより好ましく、30~40質量部であることが更により好ましい。水の含有量が上記範囲内であれば、より流動性を確保しやすく、材料分離の発生、硬化体の収縮の増加及び初期強度発現性の低下を抑制しやすい。
本実施形態のポリマーセメントモルタルの調製は、通常のポリマーセメントモルタルと同様の混練器具を使用することができ、特に限定されるものではない。混練器具としては、例えば上述したものを用いることができる。
本実施形態のポリマーセメントモルタル組成物及びポリマーセメントモルタルは、凝結遅延が生じにくく、流動性が良好で強度特性にも優れるものである。そのため、このようなポリマーセメントモルタル組成物及びこれを用いて調製したポリマーセメントモルタルは、例えば、コンクリート構造体、鋼・コンクリート複合構造体、道路等の補修・補強材料として用いることもできる。本実施形態のポリマーセメントモルタル組成物及びポリマーセメントモルタルの使用方法は適宜選択することができ、例えば、凹部にコテで充填する方法、充填後バイブレーター等で均した後にコテで仕上げる方法、補修箇所に吹付ける方法等が選択できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[材料]
A:普通ポルトランドセメント
B:高炉スラグ微粉末(ブレーン比表面積4000cm2/g)
C1:クリンカ骨材(CaO含有量63.3質量%、SiO2含有量21.1質量%、粗粒率3.2)
C2:クリンカ骨材(Al2O3含有量39.5質量%、CaO含有量38質量%、粗粒率3.2)
C3:一般社団法人セメント協会、セメント強さ試験用標準砂(粗粒率2.8)
C4:砕砂(粗粒率5.0)
D:ポリカルボン酸系減水剤
E1:SBR系エマルション
E2:アクリル酸エステル系エマルション
E3:アクリル酸エステル系再乳化粉末樹脂
A:普通ポルトランドセメント
B:高炉スラグ微粉末(ブレーン比表面積4000cm2/g)
C1:クリンカ骨材(CaO含有量63.3質量%、SiO2含有量21.1質量%、粗粒率3.2)
C2:クリンカ骨材(Al2O3含有量39.5質量%、CaO含有量38質量%、粗粒率3.2)
C3:一般社団法人セメント協会、セメント強さ試験用標準砂(粗粒率2.8)
C4:砕砂(粗粒率5.0)
D:ポリカルボン酸系減水剤
E1:SBR系エマルション
E2:アクリル酸エステル系エマルション
E3:アクリル酸エステル系再乳化粉末樹脂
[ポリマーセメントモルタル組成物の配合設計]
結合材100質量部に対し、骨材、減水剤、セメント用ポリマー(固形分換算)を表1に示す割合として配合設計した。
結合材100質量部に対し、骨材、減水剤、セメント用ポリマー(固形分換算)を表1に示す割合として配合設計した。
[ポリマーセメントモルタルの作製]
20℃環境下において、表1で示す配合で設計したポリマーセメントモルタル組成物の各材料及び水を円筒容器に添加し、ハンドミキサで60秒混練してポリマーセメントモルタルを約3L作製した。水の含有量は、結合材100質量部に対し、35質量部とした。
20℃環境下において、表1で示す配合で設計したポリマーセメントモルタル組成物の各材料及び水を円筒容器に添加し、ハンドミキサで60秒混練してポリマーセメントモルタルを約3L作製した。水の含有量は、結合材100質量部に対し、35質量部とした。
[評価方法]
各項目について以下の方法で評価した。評価結果を表2に示す。比較例2については、凝結が早すぎたためいずれの評価も行わなかった。
・流動性試験
JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」のフロー試験に準じて流動性試験を実施した。フロー値は15打フロー値を測定した。
・圧縮強度
土木学会基準JSCE-G 505-2018「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法(案)」に準じて、材齢28日におけるモルタル硬化体の圧縮強度を測定した。供試体の寸法は、直径50mm、高さ100mmとした。養生は20℃にて24時間後まで型枠のまま湿潤養生とした。24時間後に型枠を脱枠し、以降所定材齢まで水中養生とした。
・曲げ強度
JIS A 1106:2018「コンクリートの曲げ強度試験方法」に準じて、材齢28日における曲げ強度を測定した。供試体の寸法は、幅100mm、高さ100mm、長さ400mmとした。供試体は翌日に脱型した後、材齢28日間まで水中養生した。養生は常に20℃の恒温槽内で行った。
・こて作業性
木材(縦300mm×横300mm×高さ5mm)にポリマーセメントモルタルを打設し、モルタル厚が5mmになるようコテ均しを行い、コテ塗り性を評価した。
平滑にコテ塗りすることが困難なものは不良(×)と評価し、仕上げに時間はかかる(打設から仕上げ作業完了までに2分以上)が平滑にコテ塗りできたものは良好(○)それ以外、問題なくコテ塗りができたものは優秀(◎)と評価した。
各項目について以下の方法で評価した。評価結果を表2に示す。比較例2については、凝結が早すぎたためいずれの評価も行わなかった。
・流動性試験
JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」のフロー試験に準じて流動性試験を実施した。フロー値は15打フロー値を測定した。
・圧縮強度
土木学会基準JSCE-G 505-2018「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法(案)」に準じて、材齢28日におけるモルタル硬化体の圧縮強度を測定した。供試体の寸法は、直径50mm、高さ100mmとした。養生は20℃にて24時間後まで型枠のまま湿潤養生とした。24時間後に型枠を脱枠し、以降所定材齢まで水中養生とした。
・曲げ強度
JIS A 1106:2018「コンクリートの曲げ強度試験方法」に準じて、材齢28日における曲げ強度を測定した。供試体の寸法は、幅100mm、高さ100mm、長さ400mmとした。供試体は翌日に脱型した後、材齢28日間まで水中養生した。養生は常に20℃の恒温槽内で行った。
・こて作業性
木材(縦300mm×横300mm×高さ5mm)にポリマーセメントモルタルを打設し、モルタル厚が5mmになるようコテ均しを行い、コテ塗り性を評価した。
平滑にコテ塗りすることが困難なものは不良(×)と評価し、仕上げに時間はかかる(打設から仕上げ作業完了までに2分以上)が平滑にコテ塗りできたものは良好(○)それ以外、問題なくコテ塗りができたものは優秀(◎)と評価した。
実施例のポリマーセメントモルタルは、流動性及びこて作業性を有し、且つ、凝結も早く、圧縮強度及び曲げ強度といった強度特性に優れていた。一方、比較例のポリマーセメントモルタルは、十分な強度特性が得られない、流動性が得られない、凝結に時間がかかり過ぎるといった問題があった。
Claims (5)
- セメントを含む結合材と、クリンカ骨材及び細骨材からなる混合骨材と、セメント用ポリマーとを含み、
前記クリンカ骨材は、化学成分としてCaOを55~70質量%、SiO2を15~30質量%含み、
前記セメントの含有量が、前記結合材100質量部に対し、60質量部以上である、ポリマーセメントモルタル組成物。 - 前記クリンカ骨材の含有量が、前記混合骨材100質量部に対し、10~95質量部である、請求項1に記載のポリマーセメントモルタル組成物。
- 前記混合骨材の粗粒率が1.5~4.3である、請求項1又は2に記載のポリマーセメントモルタル組成物。
- 前記セメント用ポリマーの含有量が、前記結合材100質量部に対し、固形分換算で1~20質量部である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマーセメントモルタル組成物。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマーセメント組成物と、水とを含み、
前記水の含有量が、前記結合材100質量部に対し、20~50質量部である、ポリマーセメントモルタル。
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