JP2023057200A - 羽根車およびポンプ - Google Patents

Abstract

【課題】信頼性を向上させることができる羽根車が提供される。【解決手段】軸挿入穴５０と、軸挿入穴５０の直径よりも小さな直径を有する締結穴５１と、軸挿入穴５１の直径よりも大きな直径を有するスリーブ挿入穴５２と、を備える羽根車２が提供される。【選択図】図１

Description

本発明は、羽根車およびポンプに関する。

電動機の主軸に固定された羽根車を回転させて、液体を移送するポンプが知られている。ポンプは、液体の、主軸との接触を防止するためのシール構造を有している。

実開昭５３－８８８０３号公報 実開昭６０－８８０９８号公報

特許文献１（実開昭５３－８８８０３号公報）は、ボルト（４）によって主軸（１０）に締結された羽根車（２）を開示している。羽根車（２）は、主軸（１０）の一部を覆うボス部（２２）を有しており、ボス部（２２）および主軸（１０）の露出部分は、スリーブ（５）に覆われている。このようにして、特許文献１のポンプ（１）は、液体の、主軸（１０）との接触を防止している。

しかしながら、特許文献１の構成では、ポンプ（１）は、羽根車（２）とボルト（４）との間の隙間を閉塞するために、Ｏリング（３１）およびロックリング（４０）を備えており、さらに、ボス部（２２）とスリーブ（５）との間に配置されたＯリング（７）を備えている。

このように、特許文献１の構成では、３つのシール部材を配置する必要があるが、ポンプの信頼性の向上という観点から、液体の、主軸との接触を確実に防止することができるシール部材を配置して、シール部材の数を減らすことが望ましい。

そこで、本発明は、信頼性を向上させることができる羽根車およびポンプを提供することを目的とする。

一態様では、電動機の主軸が挿入可能な軸挿入穴と、前記軸挿入穴の直径よりも小さな直径を有し、かつ前記主軸に締結される締結具が挿入可能な締結穴と、前記軸挿入穴の直径よりも大きな直径を有し、かつ前記主軸に装着された軸スリーブが挿入可能なスリーブ挿入穴と、を備える羽根車が提供される。前記スリーブ挿入穴は、前記軸スリーブが前記スリーブ挿入穴に挿入されたとき、前記軸スリーブの対向面に形成されたシール溝を有している。

一態様では、前記羽根車は、前記締結穴に接続された、前記羽根車の前面を構成する機械加工面を有する主板を備えている。
一態様では、前記締結穴、前記軸挿入穴、および前記スリーブ挿入穴は、この順に、一直線上に並んで配置されている。

一態様では、上記羽根車、締結具、および軸スリーブと、前記締結具の頭部と前記締結穴との間の隙間を閉塞するシールワッシャーと、前記シール溝に装着され、前記スリーブ挿入穴と前記軸スリーブとの間の隙間を閉塞するシール部材と、を備える、ポンプが提供される。

一態様では、前記シールワッシャー、前記羽根車、および前記軸スリーブは、この順に、一直線上に並んで配置されており、前記締結具は、その締結力により、前記シールワッシャーの金属部位、金属製の前記羽根車、および金属製の前記軸スリーブを、前記主軸の段部に押し付ける。
一態様では、前記軸スリーブは、前記軸挿入穴の内周面に形成されたキーに嵌合可能な回り止め溝を有している。

羽根車は、軸スリーブの対向面に形成されたシール溝を有するスリーブ挿入穴を備えている。したがって、スリーブ挿入穴に挿入された軸スリーブとスリーブ挿入穴との間に配置されたシール部材は、液体の、主軸との接触を確実に防止することができる。結果として、ポンプは、その信頼性を向上させることができる。

図１は、ポンプ装置を示す図である。 図２は、羽根車の拡大図である。 図３は、シールワッシャーを示す図である。 図４は、図１の部分拡大図である。 図５（ａ）は軸挿入穴に形成されたキーを示す図であり、図５（ｂ）は主軸に形成されたキー溝を示す図である。 軸スリーブに形成された回り止め溝を示す図である。

以下、ポンプ装置の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の実施形態において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。

図１は、ポンプ装置を示す図である。図１に示すように、ポンプ装置ＰＡは、液体を移送するポンプＰと、ポンプＰを運転する電動機Ｍと、を備えている。ポンプＰは、電動機Ｍの主軸１に固定された羽根車２と、羽根車２を収容するポンプケーシング１０と、を備えている。

羽根車２は、締結具６によって主軸１に固定されている。羽根車２は、円盤形状を有する主板３と、液体入口を有する側板４と、主板３と側板４との間に配置された複数の翼５と、を備えている。締結具６は、ポンプＰの構成要素の一部である。

ポンプケーシング１０は、吸込口１１および吐出口１２を有している。電動機Ｍを駆動することにより、ポンプケーシング１０内の羽根車２は回転し、液体は、吸込口１１を通じて、ポンプケーシング１０内に吸い込まれる。ポンプケーシング１０内に吸い込まれた液体は、吐出口１２を通じて、外部に排出される。

ポンプＰは、主軸１に装着された軸スリーブ１５と、軸スリーブ１５に取り付けられたメカニカルシール１６と、を備えている。メカニカルシール１６は、羽根車２とポンプケーシング１０との間に配置されており、液体の、電動機Ｍ側への漏出を防止するように構成されている。

図２は、羽根車の拡大図である。図２に示すように、主板３は、その中央に形成され、かつ電動機Ｍの主軸１が挿入可能な軸挿入穴５０と、軸挿入穴５０に連通し、かつ締結具６が挿入可能な締結穴５１と、軸挿入穴５０に連通し、軸スリーブ１５が挿入可能なスリーブ挿入穴５２と、を有している。

締結穴５１、軸挿入穴５０、およびスリーブ挿入穴５２は、この順に、主軸１の軸線ＣＬ方向に沿って一直線上に並んで配置されている。したがって、作業者は、軸スリーブ１５が装着された主軸１を軸挿入穴５０に挿入した状態で、締結具６を締め付けると、羽根車２は、主軸１に固定され、かつ軸スリーブ１５は、スリーブ挿入穴５２に挿入される。

図２に示すように、スリーブ挿入穴５２は、軸スリーブ１５がスリーブ挿入穴５２に挿入されたとき、軸スリーブ１５の対向面（すなわち、スリーブ挿入穴５２の内周面）に形成された環状のシール溝３６を有している。ポンプＰは、シール溝３６に装着されたシール部材３５を備えている。シール部材３５は、例えば、Ｏリングであり、スリーブ挿入穴５２と軸スリーブ１５との間の隙間を閉塞する。

締結穴５１は、軸挿入穴５０の直径Ｄ１よりも小さな直径Ｄ２を有しており（Ｄ２＜Ｄ１）、スリーブ挿入穴５２は、軸挿入穴５０の直径Ｄ１よりも大きな直径Ｄ３を有している（Ｄ３＞Ｄ１）。このように、軸挿入穴５０の直径Ｄ１よりも大きな直径Ｄ３を有するスリーブ挿入穴５２を形成することにより、主板３と軸スリーブ１５との間にシール部材３５を配置することができる。

本実施形態によれば、シール部材３５は、液体の、主軸１との接触を確実に防止することができるため、ポンプＰは、その信頼性を向上させることができる。主軸１の材質として、炭素鋼（例えば、Ｓ４５Ｃ）が採用される場合がある。炭素鋼は、液体との接触により、腐食するおそれがある。主軸１が腐食した場合、主軸１を交換しなければならない。ポンプＰは、液体の、主軸１との接触を確実に防止することができるため、主軸１の腐食を確実に防止することができる。

図３は、シールワッシャーを示す図である。図２および図３に示すように、ポンプＰは、締結具６の頭部６ａと締結穴５１との間の隙間を閉塞するシールワッシャー３０を備えている。シールワッシャー３０は、環状の金属リング３１と、金属リング３１の半径方向内側に配置されたゴムリング３２と、を備えている。締結具６を締め付けることにより、シールワッシャー３０のゴムリング３２は、締結具６の頭部６ａによって、主板３に押し付けられ、頭部６ａと締結穴５１との間の隙間を閉塞する。シールワッシャー３０を配置することにより、液体の、締結穴５１への浸入を防止することができる。結果として、シールワッシャー３０は、液体の、主軸１との接触を確実に防止することができる。

上述したように、特許文献１の構成では、３つのシール部材を配置する必要があるが、本実施形態では、２つのシール部材（すなわち、シール部材３５およびシールワッシャー３０）を配置することにより、ポンプＰは、液体の、主軸１との接触を防止することができる。結果として、ポンプＰの全体のコストを低減することができる。さらに、シール部材の数を低減することにより、ポンプＰの寿命やメンテナンス性の向上を実現することができる。

図２に示すように、羽根車２の主板３は、締結穴５１に接続された、羽根車２の前面を構成する機械加工面４０を有することが望ましい。機械加工面４０は、シールワッシャー３０の、主板３との密着性を向上させるための平坦面である。締結具６の頭部６ａと機械加工面４０との間に配置されたシールワッシャー３０は、頭部６ａと締結穴５１との間の隙間をより確実に閉塞することができる。

図４は、図１の部分拡大図である。図４に示すように、シールワッシャー３０、羽根車２、および軸スリーブ１５は、この順に、軸線ＣＬ方向に沿って一直線上に並んで配置されている。軸スリーブ１５は、羽根車２の主板３と主軸１の段部１ａとの間に配置されており、軸スリーブ１５の軸線ＣＬ方向への移動は制限されている。

羽根車２および軸スリーブ１５のそれぞれは、金属製であり、シールワッシャー３０は、金属リング３１を備えている。したがって、締結具６は、その締結力により、シールワッシャー３０の金属部位（すなわち、金属リング３１）、羽根車２、および軸スリーブ１５を、主軸１の段部１ａに押し付けることができる。締結具６は、その締結力を、ポンプＰの金属部材（すなわち、シールワッシャー３０、羽根車２、および軸スリーブ１５）の接触を通じて、主軸１の段部１ａに伝達することができる。したがって、締結具６は、その締結力を十分に発揮することができ、ポンプＰの構成部品の緩みや脱落を確実に防止することができる。

図５（ａ）は軸挿入穴に形成されたキーを示す図であり、図５（ｂ）は主軸に形成されたキー溝を示す図である。主板３は軸挿入穴５０の内周面に形成されたキー５５（図５（ａ）参照）を有している。主軸１は、その外面に形成されたキー溝２０を有している（図５（ｂ）参照）。キー溝２０は、主軸１に放電加工を行うことにより、形成される。

これらキー５５およびキー溝２０は軸線ＣＬ方向に延びており、主軸１を軸挿入穴５０に挿入することにより、キー５５はキー溝２０に嵌まり込む。キー５５をキー溝２０に嵌め込むことにより、主軸１は、羽根車２に対して確実にトルクを伝達することができる。

図６は、軸スリーブに形成された回り止め溝を示す図である。図６に示すように、軸スリーブ１５は、その端面１５ａに接続された回り止め溝２５を有している。回り止め溝２５は、軸線ＣＬ方向に延びており、軸挿入穴５０の内周面に形成されたキー５５に嵌合可能である。回り止め溝２５を図６の矢印方向に移動させることにより、回り止め溝２５はキー５５に嵌まり込む。このような構成により、軸スリーブ１５の回転方向への移動が制限される。

上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。

１ 主軸
１ａ 段部
２ 羽根車
３ 主板
４ 側板
５ 翼
６ 締結具
６ａ 頭部
１０ ポンプケーシング
１１ 吸込口
１２ 吐出口
１５ 軸スリーブ
１５ａ 端面
１６ メカニカルシール
２０ キー溝
２５ 回り止め溝
３０ シールワッシャー
３１ 金属リング
３２ ゴムリング
３５ シール部材
３６ シール溝
４０ 機械加工面
５０ 軸挿入穴
５１ 締結穴
５２ スリーブ挿入穴
５５ キー

Claims (6)

1. 電動機の主軸が挿入可能な軸挿入穴と、
   前記軸挿入穴の直径よりも小さな直径を有し、かつ前記主軸に締結される締結具が挿入可能な締結穴と、
   前記軸挿入穴の直径よりも大きな直径を有し、かつ前記主軸に装着された軸スリーブが挿入可能なスリーブ挿入穴と、を備え、
   前記スリーブ挿入穴は、前記軸スリーブが前記スリーブ挿入穴に挿入されたとき、前記軸スリーブの対向面に形成されたシール溝を有している、羽根車。
2. 前記羽根車は、前記締結穴に接続された、前記羽根車の前面を構成する機械加工面を有する主板を備えている、請求項１に記載の羽根車。
3. 前記締結穴、前記軸挿入穴、および前記スリーブ挿入穴は、この順に、一直線上に並んで配置されている、請求項１または請求項２に記載の羽根車。
4. 請求項１～請求項３のいずれか一項に記載の羽根車、締結具、および軸スリーブと、
   前記締結具の頭部と前記締結穴との間の隙間を閉塞するシールワッシャーと、
   前記シール溝に装着され、前記スリーブ挿入穴と前記軸スリーブとの間の隙間を閉塞するシール部材と、を備える、ポンプ。
5. 前記シールワッシャー、前記羽根車、および前記軸スリーブは、この順に、一直線上に並んで配置されており、
   前記締結具は、その締結力により、前記シールワッシャーの金属部位、金属製の前記羽根車、および金属製の前記軸スリーブを、前記主軸の段部に押し付ける、請求項４に記載のポンプ。
6. 前記軸スリーブは、前記軸挿入穴の内周面に形成されたキーに嵌合可能な回り止め溝を有している、請求項４または請求項５に記載のポンプ。

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