JP2023051414A - レジストパターン形成方法 - Google Patents

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Makoto Fujimura
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  • Materials For Photolithography (AREA)
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Abstract

【課題】パターン欠陥およびトップロスの発生を抑制することができるレジストパターン形成方法を提供する。【解決手段】主鎖切断型のポジ型レジスト膜を形成する工程と、前記ポジ型レジスト膜の所定の箇所に、電離放射線および/または300nm以下の波長を有する非電離放射線である第一の放射線を照射する工程と、前記ポジ型レジスト膜の、少なくとも前記第一の放射線が照射された部分に、300nmを超える波長を有する非電離放射線である第二の放射線を照射する工程と、前記第二の放射線が照射された前記ポジ型レジスト膜を現像する工程と、を含む、レジストパターン形成方法。【選択図】なし

Description

本発明は、レジストパターン形成方法に関する。
従来、半導体製造等の分野において、電子線および極端紫外線(Extreme Ultraviolet:EUV)などの電離放射線や紫外線などの短波長の光(以下、電離放射線と短波長の光とを合わせて「電離放射線等」と称することがある。)の照射により主鎖が切断されて現像液に対する溶解性が増大する重合体が、主鎖切断型のポジ型レジストとして使用されている。
例えば特許文献1には、高感度な主鎖切断型のポジ型レジストとして、所定の構造を有する単量体単位からなる共重合体を用いて形成されたポジ型レジストが開示されている。
特開2020-134683号公報
ここで、上述した特許文献1では、共重合体と溶剤とを含むポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、得られたレジスト膜に電離放射線等を照射して露光し、露光後のレジスト膜を加熱し、次いで、加熱したレジスト膜を現像液で現像してレジストパターンを形成している。
しかしながら、本発明者の検討によれば、主鎖切断型のポジ型レジストを用いたレジストパターンの形成では、電離放射線等の照射に起因して、レジスト膜の照射部分にて重合体の主鎖が切断されるだけではなく架橋構造が形成されることがわかった。そして、このような架橋構造は現像工程で使用される現像液に不溶なため除去されず、その結果、レジストパターン間に架橋構造が残渣として残るパターン欠陥が発生することがわかった。
このような問題に対して、本発明者は、現像工程前に、露光したレジスト膜に、更に放射線(電離放射線および非電離放射線)を照射して架橋構造の架橋部位を切断することにより、架橋構造を現像液に可溶化させることを検討した。しかしながら、放射線を再度照射すると、架橋構造に起因するパターン欠陥は解消されるものの、放射線の種類や波長によっては、露光工程で露光されなかった部分(未露光部)からなるラインパターンの高さが、現像工程後に大きく減じてしまう(すなわち、トップロスが生じる)場合があることが判明した。
そこで、本発明は、パターン欠陥およびトップロスの発生を抑制することができるレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。その結果、レジスト膜に電離放射線等を照射して所望のパターンを描画した後、レジスト膜を現像する前に、レジスト膜に所定の波長を有する非電離放射線を更に照射することにより、得られるレジストパターンにおけるパターン欠陥およびトップロスの発生を抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のレジストパターン形成方法は、主鎖切断型のポジ型レジスト膜を形成する工程と、前記ポジ型レジスト膜の所定の箇所に、電離放射線および/または300nm以下の波長を有する非電離放射線である第一の放射線を照射する工程と、前記ポジ型レジスト膜の、少なくとも前記第一の放射線が照射された部分に、300nmを超える波長を有する非電離放射線である第二の放射線を照射する工程と、前記第二の放射線が照射された前記ポジ型レジスト膜を現像する工程と、を含むことを特徴とする。このように、所定の箇所(パターンを形成する場所)に第一の放射線を照射する工程の後、現像工程の前に、所定の第二の放射線を照射する工程を行うことにより、パターン欠陥およびトップロスの発生を抑制しつつ、レジストパターンを形成することができる。
また、本発明のレジストパターン形成方法において、前記ポジ型レジスト膜は、
下記一般式(I):
Figure 2023051414000001
(式(I)中、Rは、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、Rは、フッ素原子の数が0以上11以下の有機基であり、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、非置換のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。)で表される単量体単位(A)と、
下記一般式(II):
Figure 2023051414000002
(式(II)中、R、R、R、およびRは、水素原子、ハロゲン原子、非置換のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、Rは、水素原子、非置換のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、pおよびqは、0以上5以下の整数であり、p+q=5である。)
で表される単量体単位(B)と、を有する共重合体を含むことが好ましい。
このように、ポジ型レジスト膜が所定の単量体単位を有する共重合体を含めば、レジスト膜の電離放射線等に対する感度を一層高めることができ、レジストパターンの形成効率を向上させることができる。
また、本発明のレジストパターン形成方法において、前記第二の放射線の照射量は50mJ/cm以上5000mJ/cm以下であることが好ましい。このように、第二の放射線を所定の範囲内の照射量で照射すれば、パターン欠陥およびトップロスの発生を一層抑制しつつ、レジストパターンを形成することができる。
本発明によれば、パターン欠陥およびトップロスの発生を抑制することができるレジストパターン形成方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のレジストパターン形成方法は、電離放射線等の照射により主鎖が切断されて低分子量化する、主鎖切断型のポジ型レジストを使用するレジストパターンの形成方法であり、例えば、ビルドアップ基板などのプリント基板、半導体、フォトマスク、モールドなどの製造プロセスにおいてレジストパターンを形成する際に好適に用いることができる。
本発明のレジストパターン形成方法は、主鎖切断型のポジ型レジスト膜を形成する工程(レジスト膜形成工程)と、前記ポジ型レジスト膜の所定の箇所に、電離放射線および/または300nm以下の波長を有する非電離放射線である第一の放射線を照射する工程(第一の露光工程)と、前記ポジ型レジスト膜の、少なくとも第一の放射線が照射された部分に、300nmを超える波長を有する非電離放射線である第二の放射線を照射する工程(第二の露光工程)と、第二の放射線が照射された前記ポジ型レジスト膜を現像する工程(現像工程)と、を少なくとも含む。
なお、本発明のレジストパターン形成方法は、上述した、レジスト膜形成工程、第一の露光工程、第二の露光工程、および現像工程以外の工程を含んでいてもよい。例えば、本発明のレジストパターン形成方法は、第二の露光工程後にレジスト膜を加熱する工程(ポスト露光ベーク工程)、および/または、現像工程の後に現像液を洗浄除去する工程(リンス工程)を更に含んでいてもよい。以下、各工程について説明する。
(レジスト膜形成工程)
レジスト膜形成工程では、レジストパターンを利用して加工される基板などの被加工物の上にポジ型レジスト組成物を塗布し(塗布工程)、次いで、塗布したポジ型レジスト組成物を乾燥させてレジスト膜を形成する(乾燥工程)。
<塗布工程>
塗布工程においてポジ型レジスト組成物を塗布する被加工物としては、特に限定されることなく、半導体デバイスの製造等に用いられる半導体基板;プリント基板の製造等に用いられる、絶縁層と、絶縁層上に設けられた銅箔とを有する基板;および、基板上に遮光層が形成されてなるマスクブランクスなどを用いることができる。また、ポジ型レジスト組成物の塗布方法としては、塗布方法は特に限定されることなく、既知の塗布方法にて行うことができる。
そして、被加工物上に塗布されるポジ型レジスト組成物としては、以下のポジ型レジスト組成物を使用し得る。
<<ポジ型レジスト組成物>>
本発明で使用し得るポジ型レジスト組成物は、主鎖切断型のポジ型レジスト膜を形成可能であれば特に限定されず、例えば、以下に説明する所定の共重合体と、溶剤とを含み、任意に、レジスト組成物に配合され得る既知の添加剤を更に含有する。
[共重合体]
本発明のレジストパターン形成方法で用いられる共重合体は、電子線などの電離放射線や紫外線などの短波長の光の照射により主鎖が切断されて低分子量化する、主鎖切断型のポジ型レジストとして良好に使用することができる共重合体である。このような共重合体としては、特に限定されず、例えば、特公平8-3636号公報、特開2020-134683号公報、国際公開第2019/150966号、および国際公開第2020/066806号に記載されているものを用いることができる。
中でも、電離放射線等に対する感度を高めて、レジストパターンの形成効率を向上させる観点からは、共重合体としては、下記一般式(I):
Figure 2023051414000003
(式(I)中、Rは、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、Rは、フッ素原子の数が0以上11以下の有機基であり、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、非置換のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。)で表される単量体単位(A)と、
下記一般式(II):
Figure 2023051414000004
(式(II)中、R、R、R、およびRは、水素原子、ハロゲン原子、非置換のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、Rは、水素原子、非置換のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、pおよびqは、0以上5以下の整数であり、p+q=5である。)
で表される単量体単位(B)と、を有する共重合体を用いることが好ましい。
上述した共重合体は、単量体単位(A)および単量体単位(B)以外の任意の単量体単位を含んでいてもよいが、共重合体を構成する全単量体単位中で単量体単位(A)および単量体単位(B)が占める割合は、合計で90mol%以上であることが好ましく、実質的に100mol%であることがより好ましく、100mol%である(即ち、共重合体は単量体単位(A)および単量体単位(B)のみを含む)ことがさらに好ましい。
また、上述した共重合体は、単量体単位(A)および単量体単位(B)を有する限り、例えば、ランダム重合体、ブロック重合体、交互重合体(ABAB・・・)、などのいずれであってもよいが、交互重合体を90質量%以上(上限は100質量%)含む共重合体であることが好ましい。
そして、上述した共重合体は、所定の単量体単位(A)および単量体単位(B)を含んでいるので、電離放射線等(例えば、電子線、KrFレーザー、ArFレーザー、EUVレーザーなど)が照射されると、主鎖が切断されて低分子量化する。
‐単量体単位(A)‐
単量体単位(A)は、下記の一般式(III):
Figure 2023051414000005
(式(III)中、R~Rは、式(I)と同様である。)で表される単量体(a)に由来する構造単位である。
そして、共重合体を構成する全単量体単位中の単量体単位(A)の割合は、特に限定されることなく、例えば30mol%以上70mol%以下とすることができる。
ここで、式(I)および式(III)中のR、R、Rを構成し得るハロゲン原子としては、特に限定されることはなく、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。また、式(I)および式(III)中のR、R、Rを構成し得る、ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、特に限定されることなく、アルキル基中の水素原子の一部または全部を上記ハロゲン原子で置換した構造を有する基が挙げられる。
また、式(I)および式(III)中のR、Rを構成し得る非置換のアルキル基としては、特に限定されることなく、非置換の炭素数1以上10以下のアルキル基が挙げられる。中でも、R、Rを構成し得る非置換のアルキル基としては、メチル基またはエチル基が好ましい。
そして、電離放射線等を照射した際の共重合体の主鎖の切断性を向上させてレジストパターンの形成効率を高める観点からは、式(I)および式(III)中のRは、塩素原子、フッ素原子またはフッ素原子で置換された炭素数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、塩素原子、フッ素原子またはパーフルオロメチル基であることがより好ましく、塩素原子またはフッ素原子であることが更に好ましく、塩素原子であることが特に好ましい。なお、式(III)中のRが塩素原子である単量体(a)は、重合性に優れており、式(I)中のRが塩素原子である単量体単位(A)を有する共重合体は、調製が容易であるという点においても優れている。
更に、電離放射線等を照射した際の共重合体の主鎖の切断性を向上させてレジストパターンの形成効率を高める観点からは、式(I)および式(III)中のRおよびRは、それぞれ、水素原子または非置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子または非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
また、電離放射線等を照射した際の共重合体の主鎖の切断性を向上させてレジストパターンの形成効率を高める観点から、式(I)および式(III)中のRは、フッ素原子の数が0以上の有機基である必要がある。一方、得られるレジストパターンの明瞭性を更に向上させる観点からは、式(I)および式(III)中のRは、フッ素原子の数が11以下の有機基であることが必要である。Rの炭素数は、通常、1以上12以下である。
具体的には、式(I)および式(III)中のRは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシアルケニル基、または式L-Arで表される基(式中、Lは単結合または2価の連結基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香環基である)であることが好ましい。上記置換基としては、特に限定されず、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。
式(I)および式(III)中のRは、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルケニル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシアルキル基、フルオロアルコキシアルケニル基、またはL-Arで表される基であることがより好ましい。
を構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
を構成するアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基が好ましい。
を構成するアルコキシアルケニル基としては、メトキシビニル基、エトキシビニル基が好ましい。
を構成するフルオロアルキル基としては、モノフルオロメチル基(フッ素原子数が1、炭素数が1)、モノフルオロエチル基(フッ素原子数が1、炭素数が2)、2,2-ジフルオロエチル基(フッ素原子の数が2、炭素数が2)、2,2,2-トリフルオロメチル基(フッ素原子の数が3、炭素数が1)、2,2,2-トリフルオロエチル基(フッ素原子の数が3、炭素数が2)、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基(フッ素原子の数が5、炭素数が3)、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基(フッ素原子の数が5、炭素数が4)、2-(パーフルオロブチル)エチル基(フッ素原子の数が9、炭素数が6)、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル基(フッ素原子の数が4、炭素数が3)、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル基(フッ素原子の数が8、炭素数が5)、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル基(フッ素原子の数が6、炭素数が3)、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル基(フッ素原子の数が6、炭素数が4)、2,2,3,3,4,4,4-へプタフルオロブチル基(フッ素原子の数が7、炭素数が4)、または1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基(フッ素原子の数が7、炭素数が3)であることが好ましく、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル基、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-へプタフルオロブチル基、または1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基であることがより好ましく、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基であることが更に好ましい。
を構成するフルオロアルコキシアルキル基としては、例えば、ペンタフルオロメトキシメチル基(フッ素原子の数が5、炭素数が2)、ペンタフルオロエトキシメチル基(フッ素原子の数が5、炭素数が3)またはペンタフルオロエトキシエチル基(フッ素原子の数が5、炭素数が4)であることが好ましい。
を構成するフルオロアルコキシアルケニル基としては、例えば、ペンタフルオロエトキシビニル基(フッ素原子の数が5、炭素数が4)であることが好ましい。
式L-Arで表される基においてLを構成し得る2価の連結基としては、特に限定されることなく、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基などが挙げられる。
そして、置換基を有していてもよいアルキレン基のアルキレン基としては、特に限定されることなく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基などの鎖状アルキレン基、および、1,4-シクロヘキシレン基などの環状アルキレン基が挙げられる。中でも、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基などの炭素数1~6の鎖状アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ブチレン基などの炭素数1~6の直鎖状アルキレン基がより好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの炭素数1~3の直鎖状アルキレン基が更に好ましい。
また、置換基を有していてもよいアルケニレン基のアルケニレン基としては、特に限定されることなく、例えば、エテニレン基、2-プロペニレン基、2-ブテニレン基、3-ブテニレン基などの鎖状アルケニレン基、および、シクロヘキセニレン基などの環状アルケニレン基が挙げられる。中でも、アルケニレン基としては、エテニレン基、2-プロペニレン基、2-ブテニレン基、3-ブテニレン基などの炭素数2~6の直鎖状アルケニレン基が好ましい。
上述した中でも、電離放射線等に対する感度および耐熱性を十分に向上させる観点からは、2価の連結基としては、置換基を有していてもよいアルキレン基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~6の鎖状アルキレン基がより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~6の直鎖状アルキレン基が更に好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~3の直鎖状アルキレン基が特に好ましい。
また、電離放射線等に対する感度を更に向上させる観点からは、Lを構成し得る2価の連結基は、電子吸引性基を1つ以上有することが好ましい。中でも、2価の連結基が置換基として電子吸引性基を有するアルキレン基または置換基として電子吸引性基を有するアルケニレン基である場合、電子吸引性基は、式(I)および式(III)中のカルボニル炭素に隣接するOと結合する炭素に結合していることが好ましい。
なお、電離放射線等に対する感度を十分に向上させ得る電子吸引性基としては、特に限定されることなく、例えば、フッ素原子、フルオロアルキル基、シアノ基およびニトロ基からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、特に限定されることなく、例えば、炭素数1~5のフルオロアルキル基が挙げられる。中でも、フルオロアルキル基としては、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
そして、電離放射線等に対する感度および耐熱性を十分に向上させる観点からは、Lとしては、メチレン基、シアノメチレン基、トリフルオロメチルメチレン基またはビス(トリフルオロメチル)メチレン基が好ましく、ビス(トリフルオロメチル)メチレン基がより好ましい。
また、式L-Arで表される基におけるArとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基および置換基を有していてもよい芳香族複素環基が挙げられる。
そして、芳香族炭化水素環基としては、特に限定されることなく、例えば、ベンゼン環基、ビフェニル環基、ナフタレン環基、アズレン環基、アントラセン環基、フェナントレン環基、ピレン環基、クリセン環基、ナフタセン環基、トリフェニレン環基、o-テルフェニル環基、m-テルフェニル環基、p-テルフェニル環基、アセナフテン環基、コロネン環基、フルオレン環基、フルオラントレン環基、ペンタセン環基、ペリレン環基、ペンタフェン環基、ピセン環基、ピラントレン環基などが挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、特に限定されることなく、例えば、フラン環基、チオフェン環基、ピリジン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、トリアジン環基、オキサジアゾール環基、トリアゾール環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、チアゾール環基、インドール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、キノキサリン環基、キナゾリン環基、フタラジン環基、ベンゾフラン環基、ジベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ジベンゾチオフェン環基、カルバゾール環基等が挙げられる。
更に、Arが有し得る置換基としては、特に限定されることなく、例えば、アルキル基、フッ素原子およびフルオロアルキル基が挙げられる。そして、Arが有し得る置換基としてのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの炭素数1~6の鎖状アルキル基が挙げられる。また、Arが有し得る置換基としてのフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロプロピル基などの炭素数1~5のフルオロアルキル基が挙げられる。
中でも、電離放射線等に対する感度および耐熱性を十分に向上させる観点からは、Arとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基が好ましく、非置換の芳香族炭化水素環基がより好ましく、ベンゼン環基(フェニル基)が更に好ましい。
そして、上述した式(I)で表される単量体単位(A)を形成し得る、上述した式(III)で表される単量体(a)としては、特に限定されることなく、例えば、α-クロロアクリル酸メチル、α-クロロアクリル酸エチル、α-クロロアクリル酸プロピル、α-クロロアクリル酸ブチル等のα-クロロアクリル酸アルキルエステル;α-フルオロアクリル酸メチル、α-フルオロアクリル酸エチル、α-フルオロアクリル酸プロピル、α-フルオロアクリル酸ブチル等のα-フルオロアクリル酸アルキルエステル;α-クロロアクリル酸メトキシメチルエステル、α-クロロアクリル酸エトキシメチルエステル、α-クロロアクリル酸エトキシエチルエステル等のα-クロロアクリル酸アルコキシアルキルエステル;α-フルオロアクリル酸メトキシメチルエステル、α-フルオロアクリル酸エトキシメチルエステル、α-フルオロアクリル酸エトキシエチルエステル等のα-フルオロアクリル酸アルコキシアルキルエステル;α-クロロアクリル酸メトキシビニルエステル、α-クロロアクリル酸エトキシビニルエステル等のα-クロロアクリル酸アルコキシアルケニルエステル;α-フルオロアクリル酸メトキシビニルエステル、α-フルオロアクリル酸エトキシビニルエステル等のα-フルオロアクリル酸アルコキシアルケニルエステル;α-クロロアクリル酸モノフルオロメチル、α-クロロアクリル酸モノフルオロエチル、α-クロロアクリル酸2,2-ジフルオロエチル、α-クロロアクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル、α-クロロアクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、α-クロロアクリル酸3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、α-クロロアクリル酸2-(パーフルオロブチル)エチル、α-クロロアクリル酸1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル、α-クロロアクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル、α-クロロアクリル酸1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル、α-クロロアクリル酸1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル、α-クロロアクリル酸2,2,3,3,4,4,4-へプタフルオロブチル、α-クロロアクリル酸1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチルなどのα-クロロアクリル酸フルオロアルキルエステル;α-フルオロアクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル、α-フルオロアクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、α-フルオロアクリル酸3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、α-フルオロアクリル酸2-(パーフルオロブチル)エチル、α-フルオロアクリル酸1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル、α-フルオロアクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル、α-フルオロアクリル酸1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル、α-フルオロアクリル酸1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル、α-フルオロアクリル酸2,2,3,3,4,4,4-へプタフルオロブチル、α-フルオロアクリル酸1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチルなどのα-フルオロアクリル酸フルオロアルキルエステル;α-クロロアクリル酸ペンタフルオロエトキシメチルエステル、α-クロロアクリル酸ペンタフルオロエトキシエチルエステル等のα-クロロアクリル酸フルオロアルコキシアルキルエステル;α-フルオロアクリル酸ペンタフルオロエトキシメチルエステル、α-フルオロアクリル酸ペンタフルオロエトキシエチルエステル等のα-フルオロアクリル酸フルオロアルコキシアルキルエステル;α-クロロアクリル酸ペンタフルオロエトキシビニルエステル等のα-クロロアクリル酸フルオロアルコキシアルケニルエステル;α-フルオロアクリル酸ペンタフルオロエトキシビニルエステル等のα-フルオロアクリル酸フルオロアルコキシアルケニルエステル;α-クロロアクリル酸ベンジル;α-クロロアクリル酸-1-フェニル-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル;などが挙げられる。
なお、電離放射線等を照射した際の共重合体の主鎖の切断性を向上させてレジストパターンの形成効率を高める観点からは、単量体単位(A)は、α-クロロアクリル酸メチルなどのα-クロロアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位;α-クロロアクリル酸-1-フェニル-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチルに由来する構造単位;α-クロロアクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルなどのα-クロロアクリル酸フルオロアルキルエステルに由来する構造単位であることが好ましい。
‐単量体単位(B)‐
また、単量体単位(B)は、下記の一般式(IV):
Figure 2023051414000006
(式(IV)中、R~R、ならびに、pおよびqは、式(II)と同様である。)で表される単量体(b)に由来する構造単位である。
そして、共重合体を構成する全単量体単位中の単量体単位(B)の割合は、特に限定されることなく、例えば30mol%以上70mol%以下とすることができる。
ここで、式(II)および式(IV)中のR~Rを構成し得る、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、特に限定されることなく、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、および、アルキル基中の水素原子の一部または全部を上記ハロゲン原子で置換した構造を有する基が挙げられる。
また、式(II)および式(IV)中のR~Rを構成し得る非置換のアルキル基としては、特に限定されることなく、非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基が挙げられる。中でも、R~Rを構成し得る非置換のアルキル基としては、メチル基またはエチル基が好ましい。
そして、共重合体の調製の容易性および電離放射線等を照射した際の主鎖の切断性を向上させる観点からは、式(II)および式(IV)中のRは、水素原子または非置換のアルキル基であることが好ましく、非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
また、共重合体の調製の容易性を向上させる観点からは、式(II)および式(IV)中に複数存在するRおよび/またはRは、全て、水素原子または非置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子または非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
なお、共重合体の調製の容易性を向上させる観点からは、式(II)および式(IV)中のpが5であり、qが0であり、5つあるRの全てが水素原子または非置換のアルキル基であることが好ましく、5つあるRの全てが水素原子または非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましく、5つあるRの全てが水素原子であることが更に好ましい。
また、現像液に対する溶解性の観点からは、式(II)および式(IV)中に複数存在するRおよびRのいずれかにフッ素原子を1つ含有させることが好ましい。
一方、共重合体をレジストパターンの形成に使用した際にレジストパターンの倒れの発生およびパターン崩れを抑制する観点からは、式(II)および式(IV)中に複数存在するRおよび/またはRは、フッ素原子またはフッ素原子で置換されたアルキル基を含むことが好ましく、フッ素原子またはフッ素原子で置換された炭素数1以上5以下のアルキル基を含むことがより好ましい。
更に、共重合体の調製の容易性、および電離放射線等を照射した際の主鎖の切断性を向上させる観点からは、式(II)および式(IV)中のRおよびRは、それぞれ、水素原子または非置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子または非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
そして、上述した式(II)で表される単量体単位(B)を形成し得る、上述した式(IV)で表される単量体(b)としては、特に限定されることなく、例えば、以下の(b-1)~(b-11)等のα-メチルスチレン(AMS)およびその誘導体が挙げられる。
Figure 2023051414000007
なお、共重合体の調製の容易性を向上させる観点からは、単量体単位(B)は、フッ素原子を含有しないことが好ましく、α-メチルスチレンに由来する構造単位であることがより好ましい。即ち、式(II)および式(IV)中のR~R、ならびに、pおよびqは、p=5、q=0であり、Rがメチル基であり、5つあるRが全て水素原子であり、RおよびRが水素原子であることが特に好ましい。また、現像液に対する溶解性の観点からは、単量体単位(B)は、フッ素原子を1つ含有することが好ましい。例えば、式(II)および式(IV)中のR~R、ならびに、pおよびqは、p=5、q=0であり、Rがメチル基であり、5つあるRのいずれか1つがフッ素原子であり且つその他の4つが水素原子であり、RおよびRが水素原子であることが特に好ましい。
また、本発明のレジストパターンの形成方法では、式(I)および式(II)中のR~Rに含まれるフッ素原子の合計数(換言すると、式(III)および式(IV)中のR~Rに含まれるフッ素原子の合計数)が、3以上6以下であることが好ましく、5または6であることがより好ましい。R~Rに含まれるフッ素原子の合計数が上述の範囲内である共重合体を用いれば、レジストパターンの形成効率を高めると共に、得られるレジストパターンの明瞭性を向上させることができる。
‐重量平均分子量‐
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10000以上であることが好ましく、30000以上であることがより好ましく、40000以上であることが更に好ましく、また、500000以下であることが好ましく、300000以下であることがより好ましい。共重合体の重量平均分子量(Mw)が上記下限値以上上限値以下の範囲であれば、300nm超800nm以下の波長を有する第二の放射線の照射によって共重合体の架橋構造における架橋部位が切断され易くなる。その結果、架橋構造が除去され易くなるため、パターン欠陥の発生を一層抑制することができる。
共重合体の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーにより標準ポリスチレン換算値として求めることができる。共重合体の重量平均分子量は、例えば、特開2020-134683号公報に記載された方法により測定することができる。
‐数平均分子量‐
共重合体の数平均分子量(Mn)は、6000以上であることが好ましく、18000以上であることがより好ましく、24000以上であることが更に好ましく、300000以下であることが好ましく、250000以下であることがより好ましく、200000以下であることが更に好ましい。共重合体の数平均分子量(Mn)が上記下限値以上上限値以下の範囲であれば、300nm超800nm以下の波長を有する第二の放射線の照射によって共重合体の架橋構造における架橋部位が切断され易くなる。その結果、架橋構造が除去され易くなるため、パターン欠陥の発生を一層抑制することができる。
共重合体の数平均分子量(Mn)は、上述した重量平均分子量(Mw)と同様の方法により測定することができる。
‐分子量分布‐
そして、共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、2.3以下であることが好ましく、1.7以下であることがより好ましい。共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.1以上であれば、共重合体の製造容易性を高めることができる。一方、共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.3以下であれば、得られるレジストパターンの明瞭性を向上させることができる。
‐調製方法‐
共重合体は、例えば、単量体を含む単量体組成物を重合させた後、任意に、得られた重合物を精製することにより調製することができる。単量体を含む単量体組成物の重合、および、得られた重合物の精製は、例えば、特開2020-134683号公報に記載された方法により行うことができる。
なお、共重合体の組成、分子量分布、重量平均分子量および数平均分子量は、重合条件および精製条件を変更することにより調整することができる。具体的には、例えば、共重合体の組成は、重合に使用する単量体組成物中の各単量体の含有割合を変更することにより調整することができる。また、重量平均分子量および数平均分子量は、重合温度を高くすれば、小さくすることができる。更に、重量平均分子量および数平均分子量は、重合時間を短くすれば、小さくすることができる。
[溶剤]
溶剤としては、上述した共重合体を溶解可能な溶剤であれば特に限定されることはなく、例えば特許第5938536号公報に記載の溶剤などの既知の溶剤を用いることができる。中でも、適度な粘度のポジ型レジスト組成物を得てポジ型レジスト組成物の塗工性を向上させる観点からは、溶剤としては、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸ヘキシルまたは酢酸イソアミルを用いることが好ましい。なお、溶剤は、1種を単独で使用してもよく、複数種を混合して使用してもよい。
<乾燥工程>
塗布したポジ型レジスト組成物を乾燥する方法は、特に限定されることなく、レジスト膜の形成に一般的に用いられている方法を用いることができるが、ポジ型レジスト組成物を加熱(プリベーク)してレジスト膜を形成することが好ましい。
ここで、ポジ型レジスト組成物を乾燥する温度(乾燥温度)は、乾燥工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性の観点から、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい、また、被加工物およびレジスト膜に与える熱影響を低減する観点から、250℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましい。そして、ポジ型レジスト組成物を乾燥する時間(乾燥時間)は、より低温側の温度範囲で乾燥工程を実施して形成されたレジスト膜と被加工物との密着性を十分に向上させる観点から、10秒間超であることが好ましく、30秒間以上であることがより好ましく、1分間以上であることがさらに好ましく、乾燥工程前後のレジスト膜における共重合体の分子量の変化の低減の観点から、60分間以下であることが好ましく、30分間以下であることがより好ましい。
(第一の露光工程)
第一の露光工程では、レジスト膜形成工程で形成された主鎖切断型のポジ型レジスト膜の所定の箇所に、電離放射線および/または300nm以下の波長を有する非電離放射線である第一の放射線を照射して、所望のパターンを描画する。製造効率などの観点からは、電離放射線、および、300nm以下の波長を有する非電離放射線のいずれか一方を第一の放射線として照射することが好ましい。
ここで、電離放射線は、原子または分子を電離させるのに十分なエネルギーを有する放射線である。これに対し、非電離放射線は、原子または分子を電離させるのに十分なエネルギーを有しない放射線である。
第一の放射線として使用され得る電離放射線としては、例えば、電子線、極端紫外線、ガンマ線、エックス線、アルファ線、重粒子線、陽子線、ベータ線、イオンビームなどが挙げられる。中でも、電離放射線としては電子線または極端紫外線が好ましく、電子線がより好ましい。なお、極端紫外線の波長は、特に限定されることなく、例えば、1nm以上30nm以下とすることができ、好ましくは13.5nmとすることができる。
第一の放射線として使用され得る、300nm以下の波長を有する非電離放射線としては、例えば、遠紫外線のうち極端紫外線を除いたもの(波長=40nm以上200nm以下)、近紫外線(波長=200nm超300nm以下)などが挙げられる。中でも、KrFエキシマレーザー線(波長=248nm)、ArFエキシマレーザー線(波長=193nm)が好ましい。
第一の放射線の照射量は、特に限定されないが、通常、10mJ/cm以上3000mJ/cm以下であり、電子線(EB)を用いる場合は、通常、0.1μC/cm以上1000μC/cm以下である。
第一の放射線の照射には、電子線描画装置、レーザー描画装置などの既知の露光装置を用いることができる。
ここで、レジスト膜の第一の放射線に対する透過率は、膜厚2.0μmのレジスト膜に波長250nmの光線を照射した場合に、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。レジスト膜の第一の放射線に対する透過率が90%以下であれば、レジスト膜中の共重合体により電離放射線等が充分吸収されて共重合体の主鎖が切断されるため、レジストパターンの解像性を一層向上させることができる。
なお、レジスト膜の第一の放射線に対する透過率の測定は、分光光度計などを用いて従来公知の方法で行うことができる。
(第二の露光工程)
第二の露光工程では、第一の露光工程において第一の放射線が照射されたポジ型レジスト膜の、少なくとも第一の放射線が照射された部分に、300nmを超える波長を有する非電離放射線である第二の放射線を照射する。これにより、現像工程を経て得られるレジストパターンにおいて、パターン欠陥およびトップロスの発生が抑制される。その理由は必ずしも定かではないが、以下のとおりであると推察される。すなわち、共重合体の主鎖の切断が起きにくい波長でエネルギーをレジスト膜に照射することにより酸素ラジカルがわずかに生じ、この酸素ラジカルが第一の露光工程で生じた共重合体の架橋構造(残渣)の架橋部位を切断することにより残渣が現像液に可溶化され、パターン欠陥の発生が抑制されていると推察される。また、共重合体の主鎖の切断が起きにくい波長でエネルギーが照射されるため、第一の放射線が照射されていないレジスト膜の未露光部分が現像液に溶解することが抑制され、その結果、トップロスの発生が抑制されるものと推察される。
ここで、上述したとおり、第二の放射線は、レジスト膜のうち、第一の放射線が照射された部分に少なくとも照射されればよいが、第二の放射線は、レジスト膜の全面に一括照射されることが好ましい。第二の放射線をレジスト膜の全面に一括照射すれば、作業性を向上させることができるため、生産効率を向上させることができるからである。また、第二の放射線をレジスト膜の全面に一括照射すれば、レジスト膜全面に第二の放射線が均一に照射されるため、仮にこれにより共重合体の主鎖が多少切断されることがあったとしても、レジスト膜内において均一に切断が起こるため、得られるレジストパターンへの影響が少ないからである。
300nmを超える波長を有する非電離放射線としては、特に限定されないが、300nmを超える波長を有する紫外線、可視光線などが挙げられる。中でも、g線(波長=436nm)、h線(波長=405nm)、またはi線(波長=365nm)が好ましく、g線、h線、i線を含むブロード波長光がより好ましい。
第二の放射線の波長は、310nm以上、330nm以上、340nm以上、または360nm以上とすることができる。また、第二の放射線の波長は、通常、800nm以下である。
また、第二の放射線の照射量は、架橋構造の架橋部位を切断してパターン欠陥を一層抑制する観点からは、50mJ/cm以上であることが好ましく、500mJ/cm以上であることがより好ましく、また、トップロスの発生を一層抑制する観点からは、5000mJ/cm以下であることが好ましく、2000mJ/cm以下であることがより好ましい。
第二の放射線の照射時間は、本願発明の所期の効果が損なわれない限り限定されないが、5秒間以上であることが好ましく、30秒間以上であることがより好ましく、また、製造効率の観点からは、60分間以下であることが好ましく、30分間以下であることがより好ましい。
第二の放射線の照射には、高圧水銀ランプ、LEDランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザー描画装置、スキャナー、ステッパーなどを用いることができる。
ここで、共重合体からなるレジスト膜の第二の放射線に対する透過率は、膜厚2.0μmのレジスト膜に波長400nmの光線を照射した場合に、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。第二の放射線に対するレジスト膜の透過率が90%以上であれば、レジスト膜の第一の放射線が照射されていない部分における第二の放射線の吸収が少なく、共重合体の主鎖の切断が抑制されるため、その結果、トップロスの発生を一層抑制することができる。
なお、レジスト膜の第二の放射線に対する透過率の測定は、分光光度計などを用いて従来公知の方法で行うことができる。
(ポスト露光ベーク工程)
本発明のレジストパターン形成方法においては、露光による定常波の影響を緩和してレジストパターンにおける凹凸の発生を抑制する観点から、第二の露光工程の後にレジスト膜を加熱するポスト露光ベーク工程を実施することができる。
加熱温度は特に限定されないが、レジストパターンにおける凹凸の発生を充分に抑制する観点からは、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、また、熱でレジスト膜が分解することに起因するガスの発生を抑制する観点からは、160℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましい。
また、ポスト露光ベーク工程においてレジスト膜を加熱する時間(加熱時間)は、特に限定されないが、レジストパターンにおける凹凸の発生を充分に抑制する観点からは、30秒間以上であることが好ましく、1分間以上であることがより好ましく、また、生産効率の観点からは、20分間以下であることが好ましく、10分間以下であることがより好ましい。
ポスト露光ベーク工程においてレジスト膜を加熱する方法は、特に限定されず、例えば、レジスト膜をホットプレートで加熱する方法、レジスト膜をオーブン中で加熱する方法、レジスト膜に熱風を吹き付ける方法が挙げられる。
(現像工程)
現像工程では、第二の露光工程またはポスト露光ベーク工程を経たレジスト膜を現像し、被加工物上に現像膜を形成する。
ここで、レジスト膜の現像は、例えば、レジスト膜を現像液に接触させることで行うことができる。レジスト膜と現像液とを接触させる方法は、特に限定されることなく、現像液中へのレジスト膜の浸漬やレジスト膜への現像液の塗布等の既知の手法を用いることができる。
現像液は、上述した共重合体の性質等に応じて適宜選択することができる。現像液としては、第一の露光工程および第二の露光工程を実施する前のレジスト膜を溶解しない一方で、第二の露光工程またはポスト露光ベーク工程を経たレジスト膜の露光部を溶解しうる現像液を選択することが好ましい。現像液としては、例えば、特開2020‐134683号公報に記載されたものを好適に用いることができる。また、現像液は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で混合して用いてもよい。
(リンス工程)
本発明のレジストパターン形成方法においては、現像工程の後に現像液を除去する工程を実施することができる。現像液の除去は、例えば、リンス液を用いて行うことができる。
リンス液としては、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、水や、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。リンス液の選定に際しては、現像液と混ざり易いリンス液を選択することが好ましい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における各種の測定および評価については、以下の方法に従って行なった。
<重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布>
合成例1~3で得られた各共重合体についてゲル浸透クロマトグラフィーを用いて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。具体的には、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー製、HLC-8220)を使用し、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いて、共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を標準ポリスチレン換算値として求めた。そして、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<光線透過率>
スピンコーター(ミカサ社製、MS-A150)を使用し、合成例1で得られた共重合体をアニソールに溶解し、また、合成例2~3で得られた共重合体を酢酸イソアミルに溶解し、調製した16質量%のポジ型レジスト組成物をそれぞれ1mm厚みの石英ガラス基板上に厚み2.0μmとなるように塗布した。塗布したポジ型レジスト組成物を温度180℃のホットプレートで3分間加熱乾燥(プリベーク)して、膜厚2.0μmのレジスト膜と石英ガラス基板とからなる積層体を得た。
得られた積層体について、分光光度計V‐560(日本分光社製)を用いて200nmから800nmの波長で測定を行った。測定結果から、250nmおよび400nmでの光線透過率(%)を確認した。なお、レジスト膜の光線透過率(%)は、レジスト膜が付いていない石英ガラス基板をブランクとして、レジスト膜の厚みを2.0μmとした場合の換算値で算出した。
結果、全ての積層体において、波長400nmの光線透過率は90%以上であることを確認し、また、全ての積層体において、波長250nmの光線透過率は90%以下であることを確認した。
<レジスト残渣の量(パターン欠陥)>
各実施例および比較例で作製したレジストパターンについて、描画した部分のレジスト膜の厚みを光学式膜厚計(SCREENセミコンダクタソリューション社製、ラムダエース)で測定し、電子線の総照射量の常用対数と、現像後のレジスト膜の残膜率(=現像後のレジスト膜の膜厚/シリコンウェハ上に形成したレジスト膜の膜厚)との関係を示す感度曲線を作成した。
そして、得られた感度曲線(横軸:電子線の総照射量の常用対数、縦軸:レジスト膜の残膜率(0≦残膜率≦m))について、残膜率0.20~0.80の範囲において感度曲線を二次関数にフィッティングし、得られた二次関数(残膜率と総照射量の常用対数との関数)上の残膜率0の点と残膜率0.50の点とを結ぶ直線(感度曲線の傾きの近似線)を作成した。また、得られた直線(残膜率と総照射量の常用対数との関数)の残膜率が0となる際の、電子線の総照射量Eth(μC/cm)を求めた。なお、Ethの値が小さいほど、ポジ型レジストとしての共重合体を少ない照射量で良好に切断して現像液に溶解させることができる(即ち、レジストパターンを効率的に形成し得る)ことを示す。
次に感度曲線から、求めたEthに対して、1.05を乗じた総照射量におけるレジスト残膜率を読み取り、以下の評価基準で、現像後のレジスト残渣評価を行った。なお、この総照射量におけるレジスト残膜率が小さいほど、レジストが現像液に溶解しやすくなり、レジスト残渣が発生し難く、パターン欠陥が少なくなることを示す。
-評価基準-
AA:レジスト残膜率が0.03未満
A:レジスト残膜率が0.03以上0.06未満
B:レジスト残膜率が0.06以上0.10未満
C:レジスト残膜率が0.10以上
<未露光部の減膜率(トップロス)>
各実施例および比較例で作製したレジスト膜について、現像処理前の第一の放射線が照射されていない部分の膜厚(第一の未露光部の膜厚)を測長した。次いで、現像処理後に第一の放射線が照射されておらず、第二の放射線等のみが照射された部分の膜厚(第二の露光部の膜厚)を測長した。そして、式:未露光部の減膜率(%)=100-(第二の露光部の膜厚/第一の未露光部の膜厚)×100を用いて未露光部の減膜率を算出し、下記基準で評価した。なお、未露光部の減膜率(%)が小さいほど、レジストパターンを作製した際の未露光部の減膜量(トップロス)が少ないことを示す。
-評価基準-
A:未露光部の減膜率(%)が3%未満
B:未露光部の減膜率(%)が3%以上6%未満
C:未露光部の減膜率(%)が6%以上20%未満
D:未露光部の減膜率(%)が20%以上
(合成例1)
<共重合体Aの調製>
[重合物の合成]
単量体(a)としてのα-クロロアクリル酸メチル(ACAM)10.00gおよび単量体(b)としてのα-メチルスチレン(AMS)22.93gと、溶媒としてのシクロペンタノン(CPN)49.45gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.0364gとを含む単量体組成物(モノマー濃度40質量%)をガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉および窒素置換して、窒素雰囲気下、75℃の恒温槽内で48時間撹拌した。その後、室温に戻し、ガラス容器内を大気解放した後、得られた溶液にテトラヒドロフラン(THF)10gを加えた。そして、THF10gを加えた溶液をメタノール100g中に滴下し、重合物を析出させ、その後、析出した重合物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の凝固物(重合物)を得た。
[重合物の精製]
次いで、得られた重合物を10gのTHFに溶解し、得られた溶液をメタノール(MeOH)100gに滴下し、析出した固形分を濾別し、さらに、得られた固形分を10gのTHFに溶解し、得られた溶液をメタノール(MeOH)100gに滴下し(即ち、THF溶液をメタノールに滴下するという再沈殿精製を2回行い)、白色の凝固物(α-メチルスチレン単位およびα-クロロアクリル酸メチル単位を含有する共重合体)を析出させた。その後、析出した共重合体を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の共重合体Aを得た。得られた共重合体Aの重量平均分子量は55000で、分子量分布は1.85であった。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
共重合体Aを溶媒としてのアニソールに溶解させ、共重合体の濃度が2質量%であるレジスト溶液(ポジ型レジスト組成物)を調製した。
(合成例2)
<共重合体Bの調製>
[重合物の合成]
撹拌子を入れたガラス製のアンプルに、単量体(a)としてのα-クロロアクリル酸-1-フェニル-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル3.00gと、単量体(b)としてのα-メチルスチレン2.493gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.0039534gとを加えて密封し、窒素ガスで加圧、脱圧を10回繰り返して系内の酸素を除去した。
そして、系内を78℃に加温し、3.5時間反応を行った。次に、系内にテトラヒドロフラン10gを加え、得られた溶液をメタノール300mL中に滴下して重合物を析出させた。その後、析出した重合物をろ過で回収した。
[重合物の精製]
次いで、得られた重合物を100gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、得られた溶液をTHF150gとメタノール(MeOH)850gとの混合溶媒に滴下し、白色の凝固物(α-メチルスチレン単位およびα-クロロアクリル酸-1-フェニル-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル単位を含有する共重合体)を析出させた。その後、析出した凝固物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の共重合体Bを得た。
共重合体Bは、α-メチルスチレン単位とα-クロロアクリル酸-1-フェニル-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル単位とを50モル%ずつ含んでいた。得られた共重合体Bの重量平均分子量は62344で、分子量分布は1.565であった。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
共重合体Bを溶剤としての酢酸イソアミルに溶解させ、共重合体の濃度が2質量%であるレジスト溶液(ポジ型レジスト組成物)を調製した。
(合成例3)
<共重合体Cの調製>
[重合物の合成]
単量体(a)としてのα-クロロアクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(ACAPFP)3.0gおよび単量体(b)としてのα-メチルスチレン3.4764gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.0055gと、溶媒としてのシクロペンタノン1.6205gを含む単量体組成物をガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉および窒素置換して、窒素雰囲気下、78℃の恒温槽内で6時間撹拌した。その後、室温に戻し、ガラス容器内を大気解放した後、得られた溶液にテトラヒドロフラン(THF)10gを加えた。そして、THFを加えた溶液を、メタノール(MeOH)300g中に滴下し、重合物を析出させた。その後、析出した重合物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の凝固物(重合物)を得た。
[重合物の精製]
次いで、得られた重合物を100gのTHFに溶解させ、得られた溶液をTHF150gとMeOH850gとの混合溶媒に滴下し、白色の凝固物(α-メチルスチレン単位およびα-クロロアクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル単位を含有する共重合体)を析出させた。その後、析出した共重合体を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の共重合体Cを得た。なお、共重合体Cは、α-クロロアクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル単位を50mol%、α-メチルスチレン単位を50mol%含んでいた。得られた共重合体Cの重量平均分子量は44861で、分子量分布は1.567であった。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
共重合体Cを溶剤としての酢酸イソアミル(東京化成工業株式会社製)に溶解させ、共重合体の濃度が2質量%であるレジスト溶液(ポジ型レジスト組成物)を調製した。
(実施例1)
<レジストパターンの形成>
スピンコーター(ミカサ社製、MS-A150)を使用し、合成例1で調製したポジ型レジスト組成物を4インチのシリコンウェハ上に厚み50nmとなるように塗布した。そして、塗布したポジ型レジスト組成物を温度180℃のホットプレートで3分間加熱乾燥(プリベーク)して、シリコンウェハ上にポジ型レジスト膜を形成した(レジスト膜形成工程)。
次いで、電子線描画装置(エリオニクス社製、ELS-S50)を用いて、第一の放射線としての電子線の照射量が互いに異なるパターン(寸法500μm×500μm)をレジスト膜上に複数描画した(第一の露光工程)。なお、電子線の照射量は、4μC/cmから200μC/cmの範囲内で4μC/cmずつ異ならせた。
次いで、マスクアライナー(キヤノン社製、「PLA501F」)を用いて、第二の放射線としてのブロード波長光(g線、h線、i線を含む光)をレジスト膜の全面に照射量500mJ/cmとなるように所定時間一括照射した(第二の露光工程)。具体的には、ラインアンドスペースパターン(寸法500μm×500μm)を形成する領域(第一の放射線が照射された領域)と、ラインアンドスペースパターン(寸法500μm×500μm)を形成しない領域(第一の放射線が照射されていない領域)との両方に第二の放射線を一括で照射した。そして、現像液として酢酸ヘキシル(日本ゼオン社製、ZED-N60)を用いて、現像温度を23℃、現像時間を60秒間として、現像処理を行った(現像工程)。
最後に、リンス液としてイソプロピルアルコール(IPA)を用いて、現像したレジスト膜を10秒間リンスし(リンス工程)、その後、乾燥した。これにより、レジストパターンをシリコンウェハ上に形成した。そして、得られたレジストパターンについて、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、第二の露光工程後、現像工程前に、レジスト膜を温度120℃のホットプレートで10分間加熱するポスト露光ベーク工程を行った以外は実施例1と同様にしてレジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、第二の放射線の照射量を1000mJ/cmに変更した以外は実施例1と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例2において、第二の放射線の照射量を1000mJ/cmに変更した以外は実施例2と同様にしてレジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例3において、合成例1で調製したポジ型レジスト組成物(共重合体A含有)に代えて、合成例2で調製したポジ型レジスト組成物(共重合体B含有)を使用すると共に、現像液として、酢酸ヘキシル(日本ゼオン社製、ZED-N60)に代えて、イソプロピルアルコール(IPA)を用い、さらに、リンス工程を行わなかった以外は実施例3と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例5において、第二の露光工程後、現像工程前に、レジスト膜を温度120℃のホットプレートで1分間加熱するポスト露光ベーク工程を行った以外は実施例5と同様にしてレジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例3において、合成例1で調製したポジ型レジスト組成物(共重合体A含有)に代えて、合成例3で調製したポジ型レジスト組成物(共重合体C含有)を使用すると共に、現像液として、酢酸ヘキシル(日本ゼオン社製、ZED-N60)に代えて、フッ素系溶剤(三井・ケマーズ フロロプロダクツ社製、バートレルXF(登録商標)、CFCFHCFHCFCF)を用い、さらに、リンス液として、イソプロピルアルコールに代えて、ハイドロフルオロエーテル溶剤であるCOCH(3M社製、「Novec(登録商標)7100」)を用いた以外は実施例3と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例7において、第二の露光工程後、現像工程前に、レジスト膜を温度120℃のホットプレートで1分間加熱するポスト露光ベーク工程を行った以外は実施例7と同様にしてレジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例3において、第一の放射線として、電子線に代えて、極端紫外線(EUV)を下記の手順で照射してパターン描写を行った以外は実施例3と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
<EUV照射によるパターン描画>
EUV露光装置(ENERGETIQ社製、EQ-10M)を用いて、極端紫外線の照射量が互いに異なるパターン(寸法10mm×10mm)をレジスト膜上に複数描画した。
なお、極端紫外線の照射量は、0mJ/cmから30mJ/cmの範囲内で2mJ/cmずつ異ならせた。
次に、描画した部分のレジスト膜の厚みを光学式膜厚計(SCREENセミコンダクターソリューション社製、ラムダエースVM-1200)で測定し、極端紫外線の総照射量の常用対数と、現像後のレジスト膜の残膜率(=現像後のレジスト膜の膜厚/シリコンウェハ上に形成したレジスト膜の膜厚)との関係を示す感度曲線を作成した。
(実施例10)
実施例3において、第二の放射線として、ブロード波長光に代えて、LEDランプを用いて波長500nmの光を照射した以外は実施例3と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、第二の露光工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
比較例1において、第一の露光工程後、現像工程前に、レジスト膜を温度120℃のホットプレートで10分間加熱するポスト露光ベーク工程を行った以外は比較例1と同様にしてレジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例1において、合成例1で調製したポジ型レジスト組成物(共重合体A含有)に代えて、合成例2で調製したポジ型レジスト組成物(共重合体B含有)を使用すると共に、現像液として、酢酸ヘキシル(日本ゼオン社製、ZED-N60)に代えて、イソプロピルアルコール(IPA)を用い、さらに、リンス工程を行わなかった以外は比較例1と同様にしてレジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表2に示す。
(比較例4)
比較例1において、合成例1で調製したポジ型レジスト組成物(共重合体A含有)に代えて、合成例3で調製したポジ型レジスト組成物(共重合体C含有)を使用すると共に、現像液として、酢酸ヘキシル(日本ゼオン社製、ZED-N60)に代えて、フッ素系溶剤(三井・ケマーズ フロロプロダクツ社製、バートレルXF(登録商標)、CFCFHCFHCFCF)を用い、さらに、リンス液として、イソプロピルアルコールに代えて、ハイドロフルオロエーテル溶剤であるCOCH(3M社製、「Novec(登録商標)7100」)を用いた以外は比較例1と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表2に示す。
(比較例5)
実施例1において、第二の放射線としてのブロード波長光に代えて、ArFエキシマランプを用いてArFエキシマレーザー線(波長:193nm)を照射量500mJ/cmとなるように所定時間照射した以外は実施例1と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表2に示す。
(比較例6)
比較例5において、ArFエキシマレーザー光に代えて、KrFエキシマランプを用いてKrFエキシマレーザー線(波長:248nm)を照射量500mJ/cmとなるように所定時間照射した以外は比較例5と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表2に示す。
(比較例7)
比較例5において、第二の露光工程後、現像工程前に、レジスト膜を温度120℃のホットプレートで10分間加熱するポスト露光ベーク工程を行った以外は比較例5と同様にしてレジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表2に示す。
(比較例8)
比較例6において、第二の露光工程後、現像工程前に、レジスト膜を温度120℃のホットプレートで10分間加熱するポスト露光ベーク工程を行った以外は比較例6と同様にしてレジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表2に示す。
(比較例9)
実施例9において、第二の露光工程を行わなかった以外は実施例9と同様にして、レジストパターンを形成し、解像性、パターン欠陥、トップロスを評価した。結果を表2に示す。
(比較例10)
実施例3において、リンス工程後に第二の放射線を照射した以外は実施例3と同様にして、レジストパターンを形成し、レジスト残渣の量(パターン欠陥)、未露光部の減膜率(トップロス)を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2023051414000008
Figure 2023051414000009
表1および表2に示す結果から、第一の露光工程後、現像工程前に、300nmを超える波長を有する非電離放射線をレジスト膜に更に照射する第二の露光工程を行った実施例1~10では、第二の露光工程を行わなかった比較例1~4,9、第二の工程において300nm以下の波長を有する非電離放射線を照射した比較例5~8、および、現像工程後に第二の露光工程を行った比較例10と比較して、パターン欠陥(レジスト残渣)およびトップロスの発生を抑制することができることがわかる。
本発明によれば、パターン欠陥およびトップロスの発生を抑制することができるレジストパターン形成方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. 主鎖切断型のポジ型レジスト膜を形成する工程と、
    前記ポジ型レジスト膜の所定の箇所に、電離放射線および/または300nm以下の波長を有する非電離放射線である第一の放射線を照射する工程と、
    前記ポジ型レジスト膜の、少なくとも前記第一の放射線が照射された部分に、300nmを超える波長を有する非電離放射線である第二の放射線を照射する工程と、
    前記第二の放射線が照射された前記ポジ型レジスト膜を現像する工程と、を含む、レジストパターン形成方法。
  2. 前記ポジ型レジスト膜は、
    下記一般式(I):
    Figure 2023051414000010
    (式(I)中、Rは、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、Rは、フッ素原子の数が0以上11以下の有機基であり、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、非置換のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。)で表される単量体単位(A)と、
    下記一般式(II):
    Figure 2023051414000011
    (式(II)中、R、R、R、およびRは、水素原子、ハロゲン原子、非置換のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、Rは、水素原子、非置換のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、pおよびqは、0以上5以下の整数であり、p+q=5である。)
    で表される単量体単位(B)と、を有する共重合体を含む、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
  3. 前記第二の放射線の照射量は50mJ/cm以上5000mJ/cm以下である、請求項1または2に記載のレジストパターン形成方法。
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