JP2023051314A - 駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電機に供給する油を冷却できるものでありながら、コストダウンを可能とする。【解決手段】トランスファ装置1は、エンジンの回転を変速するトランスファ機構と、トランスファ機構に駆動連結されたモータ3と、トランスファ機構及びモータ3を収納するケース5と、トランスファ機構に駆動連結されて駆動されるオイルポンプ50と、オイルポンプ50から吐出される油をモータに供給する油路L4,L5,L6,L7と、を備える。ケース5は、モータ3の軸方向の一方側でモータ3を覆う側方外壁5SWを有し、油路L6は、側方外壁5SWの内部を通過する。【選択図】図3
Description
本発明は、オイルポンプから吐出される油を回転電機に供給する駆動装置に関する。
近年、車両に搭載される駆動装置にあって、車両の燃費向上を図るため、エンジン等の駆動源の回転を変速機構によって変速して出力すると共に、モータジェネレータ(以下、単に「モータ」という)を変速機構に駆動連結し、駆動力をアシスト或いは余った駆動力を回生するものがある。このような駆動装置にあっては、搭載されたモータが力行時又は回生時に電流が流れて発熱するため、モータに冷却油を供給して冷却するように構成するものが提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
上記特許文献1のように、オイルポンプから変速機構の内部を通してモータに冷却油を供給するものは、変速機構を通過する間に油温が上昇する虞があるため、油を冷却してからモータに供給することが好ましい。上記特許文献2のものは、電動オイルポンプから吐出した油をオイルクーラに供給し、油を冷却してからモータに供給している。しかしながら、オイルクーラは駆動装置とは離れた例えば車両の前方に配置されることが一般的であり、このようにオイルクーラに油を供給するためには、電動オイルポンプである程度の高い圧を発生させて油を循環させる必要もある。このため、オイルクーラを設けたり、電動オイルポンプを大型にしたりする必要が生じ、コストダウンの妨げとなる。
そこで本発明は、回転電機に供給する油を冷却できるものでありながら、コストダウンを可能とする駆動装置を提供することを目的とするものである。
本発明の一態様としての駆動装置は、
複数の軸を有し、駆動源の回転を変速する変速部と、
前記変速部に対して軸方向の一方側に配置され、前記変速部に駆動連結された回転電機と、
前記変速部及び前記回転電機を収納するケースと、
前記変速部に駆動連結されて駆動されるオイルポンプと、
前記オイルポンプから吐出される油を前記回転電機に供給する供給油路と、を備え、
前記ケースは、前記軸方向における前記回転電機に対して前記変速部とは反対側に配置され、前記回転電機の前記軸方向の一方側で前記回転電機を覆う側方外壁を有し、
前記供給油路の一部は、前記側方外壁の内部を通過する。
複数の軸を有し、駆動源の回転を変速する変速部と、
前記変速部に対して軸方向の一方側に配置され、前記変速部に駆動連結された回転電機と、
前記変速部及び前記回転電機を収納するケースと、
前記変速部に駆動連結されて駆動されるオイルポンプと、
前記オイルポンプから吐出される油を前記回転電機に供給する供給油路と、を備え、
前記ケースは、前記軸方向における前記回転電機に対して前記変速部とは反対側に配置され、前記回転電機の前記軸方向の一方側で前記回転電機を覆う側方外壁を有し、
前記供給油路の一部は、前記側方外壁の内部を通過する。
本発明によると、回転電機に供給する油を冷却することができ、コストダウンも図ることができる。
以下、本実施の形態を図1乃至図4に沿って説明する。まず、図1を用い、本実施の形態に係るハイブリッド車両の一例を説明する。
[ハイブリット車両の構成]
図1に示すように、本実施の形態に係るハイブリッド車両である車両100は、四輪駆動の車両であり、矢印Aで示す前方側にエンジン(E/G)(駆動源)10と、該エンジン10の回転を変速する変速機(T/M)11とを搭載している。また、その変速機11の出力軸11aには、詳しくは後述する、変速機11の出力回転を変速しつつ、後輪側プロペラシャフト13に、又は前輪側プロペラシャフト12及び後輪側プロペラシャフト13の両方に、エンジン10の駆動力を伝達する駆動装置としてのトランスファ装置1が備えられている。トランスファ装置1は、詳しくは後述するように変速部であるトランスファ機構2と、回転電機であるモータジェネレータ(以下、単に「モータ」という)3とを、ケース5に収納する形で備えている。モータ3は、図示を省略したバッテリに接続され、バッテリの電力により力行可能であり、かつ回生してバッテリに充電することも可能に構成されている。
図1に示すように、本実施の形態に係るハイブリッド車両である車両100は、四輪駆動の車両であり、矢印Aで示す前方側にエンジン(E/G)(駆動源)10と、該エンジン10の回転を変速する変速機(T/M)11とを搭載している。また、その変速機11の出力軸11aには、詳しくは後述する、変速機11の出力回転を変速しつつ、後輪側プロペラシャフト13に、又は前輪側プロペラシャフト12及び後輪側プロペラシャフト13の両方に、エンジン10の駆動力を伝達する駆動装置としてのトランスファ装置1が備えられている。トランスファ装置1は、詳しくは後述するように変速部であるトランスファ機構2と、回転電機であるモータジェネレータ(以下、単に「モータ」という)3とを、ケース5に収納する形で備えている。モータ3は、図示を省略したバッテリに接続され、バッテリの電力により力行可能であり、かつ回生してバッテリに充電することも可能に構成されている。
なお、変速機11は、本実施の形態では、例えばシフト操作を電動で行うことで変速を行う自動変速機を用いているが、これに限らず、プラネタリギヤと摩擦クラッチを用いて変速する有段式の自動変速機、ベルト式無段変速機(CVT)等であってもよく、さらには、手動変速機であってもよく、要するにどのような変速機であってもよい。
上記前輪側プロペラシャフト12は、ディファレンシャル装置であるフロントデフ14に駆動連結され、さらにフロントデフ14から左右ドライブシャフト16L,16Rを介して左右の車輪である前輪17L,17Rに駆動連結されている。一方の後輪側プロペラシャフト13は、ディファレンシャル装置であるリヤデフ15に駆動連結され、さらにリヤデフ15から左右ドライブシャフト18L,18Rを介して左右の車輪である後輪19L,19Rに駆動連結されている。
従って、本車両100では、エンジン10の駆動回転を変速機11で変速し、さらに、トランスファ装置1で変速しつつモータ3によりアシスト或いは回生し、そのトランスファ装置1の出力回転を、後輪19L,19Rだけに伝達する所謂FR(フロントエンジン・リヤドライブ)状態での二輪駆動のハイブリッド走行、或いは前輪17L,17R及び後輪19L,19Rに伝達する四輪駆動のハイブリッド走行を可能としている。さらに、エンジン10を停止し、変速機11をニュートラル状態にすることで、トランスファ装置1のモータ3の出力回転を、後輪19L,19Rだけに伝達する二輪駆動のEV走行、或いは前輪17L,17R及び後輪19L,19Rに伝達する四輪駆動のEV走行も可能としている。なお、例えば手動変速機において、エンジン10と変速機構との間にあるクラッチをアクチュエータで駆動して解放し、それによりニュートラル状態を形成することでEV走行を可能にするものであっても構わない。
[トランスファ装置の構成]
続いて、本実施の形態に係るトランスファ装置1の構成について図2を用いて説明する。トランスファ装置1は、上述したようにトランスファ機構2と、モータ3と、モータ3の回転をトランスファ機構2に伝達するモータ回転伝達部4とを備えて構成されている。トランスファ機構2とモータ3とは、該トランスファ機構2が有する複数の軸の軸方向に並んで配置され、つまりモータ3は、トランスファ機構2に対して軸方向の一方側に配置され、トランスファ機構2に駆動連結されていることになる。また、上記エンジン10は、トランスファ機構2に対して軸方向の他方側に配置されていることになる。
続いて、本実施の形態に係るトランスファ装置1の構成について図2を用いて説明する。トランスファ装置1は、上述したようにトランスファ機構2と、モータ3と、モータ3の回転をトランスファ機構2に伝達するモータ回転伝達部4とを備えて構成されている。トランスファ機構2とモータ3とは、該トランスファ機構2が有する複数の軸の軸方向に並んで配置され、つまりモータ3は、トランスファ機構2に対して軸方向の一方側に配置され、トランスファ機構2に駆動連結されていることになる。また、上記エンジン10は、トランスファ機構2に対して軸方向の他方側に配置されていることになる。
変速部としてのトランスファ機構2には、第1速段としての低速段(Lo)と、第1変速段よりも高速な第2速段としての高速段(Hi)とを形成可能な変速機構28が備えられている。また、トランスファ機構2には、係合することで前輪側プロペラシャフト12及び後輪側プロペラシャフト13を駆動連結して四輪駆動の状態に、解放することで後輪側プロペラシャフト13から前輪側プロペラシャフト12の駆動連結を切離して二輪駆動の状態に、切替可能な係合機構29を備えている。
なお、トランスファ装置1は、そのケース5が車両100の運転席と助手席との間の下方にあるフロアトンネル(不図示)に収まるように、かつケース5の最下端が車両100に設定された設計上の最低地上高よりも上方となるように配置されている。
詳細には、図2に示すように、トランスファ機構2において、第1軸AX1上には、上記変速機11の出力軸11aに駆動連結される入力軸21が回転自在に配置されている。この入力軸21には、ドライブギヤG1が回転不能に固定されており、該ドライブギヤG1は、後述のカウンタ軸22のドリブンギヤG2に噛合して、ギヤ列31を構成している。
上記第1軸AX1と平行で、かつ第1軸AX1よりも下方に配置された第2軸AX2上には、上記ギヤ列31を介して入力軸21の回転により回転されるカウンタ軸22が回転自在に配置されている。カウンタ軸22には、ドリブンギヤG2が回転不能に固定されており、さらに、大径ギヤG3及び小径ギヤG5も回転不能に固定されている。大径ギヤG3は、後述の変速機構28の高速段ギヤG4に噛合してギヤ列32を構成しており、小径ギヤG5は、後述の変速機構28の低速段ギヤG6に噛合してギヤ列33を構成している。
上記第1軸AX1及び上記第2軸AX2と平行で、かつ第2軸AX2よりも下方に配置された第3軸AX3上には、後輪側出力軸23Rと、その同軸上に前輪側出力軸23Fと、変速機構28と、係合機構29とが配置されている。後輪側出力軸23Rには、変速機構28の出力ドッグDOが回転不能に固定されている。そして、後輪側出力軸23Rには後輪側プロペラシャフト13が駆動連結され、前輪側出力軸23Fには前輪側プロペラシャフト12が駆動連結されている。即ち、後輪側出力軸23Rは車輪としての左右の後輪19L,19Rに駆動連結され、前輪側出力軸23Fは車輪としての左右の前輪17L,17Rに駆動連結されている。
変速機構28は、上記高速段ギヤG4と、その高速段ギヤG4に固定された高速段ドッグDHと、上記低速段ギヤG6と、その低速段ギヤG6に固定された低速段ドッグDLと、上記出力ドッグDOと、出力ドッグDOに噛合して軸方向に移動可能な第1スリーブSL1と、を備えており、低速段ドッグDLと出力ドッグDOと第1スリーブSL1とで低速段ドッグクラッチCLを、高速段ドッグDHと出力ドッグDOと第1スリーブSL1とで高速段ドッグクラッチCHを、それぞれ構成している。即ち、第1スリーブSL1は、不図示の切替機構によって、低速段ドッグDLと出力ドッグDOとの両方に噛合する低速段位置に移動されることで低速段ドッグクラッチCLを係合し、ギヤ列33を用いた大きいギヤ比の動力伝達経路である低速段を形成し、高速段ドッグDHと出力ドッグDOとの両方に噛合する高速段位置に移動されることで高速段ドッグクラッチCHを係合し、ギヤ列32を用いたギヤ列33より小さいギヤ比の動力伝達経路である高速段を形成する。従って、変速機構28は、カウンタ軸22の回転を低速段又は高速段で変速して後輪側出力軸23Rに伝達し、或いは後述の係合機構29の係合により後輪側出力軸23R及び前輪側出力軸23Fに伝達する。
係合機構29は、後輪側出力軸23Rに固定された後輪側ドッグDRと、前輪側出力軸23Fに固定された前輪側ドッグDFと、軸方向に移動可能な第2スリーブSL2と、を備えて、四輪駆動クラッチCAを構成している。即ち、第2スリーブSL2は、図示を省略した切替機構によって、後輪側ドッグDRだけに噛合して四輪駆動クラッチCAを解放した二輪駆動位置と、後輪側ドッグDR及び前輪側ドッグDFの両方に噛合して四輪駆動クラッチCAを係合した四輪駆動位置と、に移動されることで、後輪側出力軸23Rと前輪側出力軸23Fとを係合可能(係合又は解放可能)に構成され、つまり二輪駆動の状態と四輪駆動の状態とを切替える。
例えば運転席に配置されたトランスファレバー(不図示)が二輪駆動かつ高速段の位置に操作されると、不図示の切替機構によって、第1スリーブSL1を図2中右側の上記高速段ドッグクラッチCHを係合する位置に、かつ第2スリーブSL2も図2中右側の上記四輪駆動クラッチCAを解放する位置に、それぞれの位置を設定する。これにより、トランスファ装置1は、高速段かつ二輪駆動の状態に設定される。つまり、この状態では、エンジン10の駆動力を変速機11で変速し、さらにトランスファ装置1で高速段に変速しつつ後輪19L,19Rに伝達する。なお、詳しくは後述するモータ3の駆動回転も、高速段かつ二輪駆動の状態で後輪19L,19Rに伝達し、非駆動時(コースト時)には、高速段かつ二輪駆動の状態で後輪19L,19Rからの回転を回生する。
また、上記トランスファレバーが四輪駆動かつ高速段の位置に操作されると、不図示の切替機構によって、第1スリーブSL1を図2中右側の上記高速段ドッグクラッチCHを係合する位置に、かつ第2スリーブSL2は図2中左側の上記四輪駆動クラッチCAを係合する位置に、それぞれの位置を設定する。これにより、トランスファ装置1は、高速段かつ四輪駆動の状態に設定される。つまり、この状態では、エンジン10の駆動力を変速機11で変速し、さらにトランスファ装置1で高速段に変速しつつ後輪19L,19R及び前輪17L,17Rに伝達する。なお、詳しくは後述するモータ3の駆動回転も、高速段かつ四輪駆動の状態で後輪19L,19R及び前輪17L,17Rに伝達し、非駆動時(コースト時)には、高速段かつ四輪駆動の状態で後輪19L,19R及び前輪17L,17Rからの回転を回生する。
そして、上記トランスファレバーが四輪駆動かつ低速段の位置に操作されると、不図示の切替機構によって、第1スリーブSL1を図2中左側の上記低速段ドッグクラッチCLを係合する位置に、かつ第2スリーブSL2を図2中左側の上記四輪駆動クラッチCAを係合する位置に、それぞれの位置を設定する。これにより、トランスファ装置1は、低速段かつ四輪駆動の状態に設定される。つまり、この状態では、エンジン10の駆動力を変速機11で変速し、さらにトランスファ装置1で低速段に変速しつつ後輪19L,19R及び前輪17L,17Rに伝達する。なお、詳しくは後述するモータ3の駆動回転も、低速段かつ四輪駆動の状態で後輪19L,19R及び前輪17L,17Rに伝達し、非駆動時(コースト時)には、低速段かつ四輪駆動の状態で後輪19L,19R及び前輪17L,17Rからの回転を回生する。
[モータ及びモータ回転伝達部の構成]
ついで、本実施の形態におけるモータ3と、その回転をトランスファ機構2に伝達するモータ回転伝達部4との構成について図2及び図3を用いて説明する。モータ3は、図3に示すように、ケース5に固定されたステータ3Sと、その内部に回転自在に配置されたロータ3Rとを有している。モータ3は、図2に示すように、トランスファ機構2にモータ回転伝達部4によって駆動連結されており、モータ回転伝達部4は、モータ出力軸24及びモータ出力ギヤG7を有して構成されている。
ついで、本実施の形態におけるモータ3と、その回転をトランスファ機構2に伝達するモータ回転伝達部4との構成について図2及び図3を用いて説明する。モータ3は、図3に示すように、ケース5に固定されたステータ3Sと、その内部に回転自在に配置されたロータ3Rとを有している。モータ3は、図2に示すように、トランスファ機構2にモータ回転伝達部4によって駆動連結されており、モータ回転伝達部4は、モータ出力軸24及びモータ出力ギヤG7を有して構成されている。
詳細には、上記第1軸AX1乃至第3軸AX3と平行で、かつ第1軸AX1よりも下方で第2軸AXの側方に配置された第4軸AX4上には、モータ3と、その同軸上に、モータ3のロータ3R(図3参照)に駆動連結され、モータ3により駆動されるモータ出力軸24と、モータ出力軸24に回転不能に固定されたモータ出力ギヤG7とが配置されている。該モータ出力ギヤG7は、上記カウンタ軸22に固定され、モータ出力ギヤG7よりも歯数が多いドリブンギヤG2に噛合してギヤ列35を構成している。即ち、本実施の形態に係るトランスファ装置1では、モータ出力ギヤG7とドリブンギヤG2とで構成されるギヤ列35は、モータ3の回転(モータ出力軸24の回転)を減速してカウンタ軸22に伝達する。
なお、図2においては、入力軸21に固定されたドライブギヤG1と、モータ出力軸24に固定されたモータ出力ギヤG7とが軸方向に異なる位置に配置された形で示されているが、これらドライブギヤG1とモータ出力ギヤG7とは、ドリブンギヤG2に対してそれぞれ異なる位相で噛合し、かつ径方向から視て軸方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている。これにより、トランスファ装置1の軸方向の短縮化が図られている。
また、トランスファ装置1が車両100に搭載された状態において、モータ3及びモータ回転伝達部4は、入力軸21に対してエンジン10とは軸方向の反対側に配置されていることになる。これにより、モータ3及びモータ回転伝達部4が、入力軸21と径方向に干渉することなく、軸方向に並べて配置することができ、コンパクト化が図られている。
[ケースの構成]
次に、トランスファ装置1のケース5の詳細について図3を用いて説明する。トランスファ装置1のケース5は、図3に示すように、フロントケース5Aと、センターケース5Bと、リヤケース5Cとを有して構成されている。なお、トランスファ装置1が車両100に搭載された状態において、フロントケース5Aがエンジン10及び変速機11に対向配置され、つまり車両進行方向における前方側である(図1参照)。また反対に、リヤケース5Cが車両進行方向における後方側である。
次に、トランスファ装置1のケース5の詳細について図3を用いて説明する。トランスファ装置1のケース5は、図3に示すように、フロントケース5Aと、センターケース5Bと、リヤケース5Cとを有して構成されている。なお、トランスファ装置1が車両100に搭載された状態において、フロントケース5Aがエンジン10及び変速機11に対向配置され、つまり車両進行方向における前方側である(図1参照)。また反対に、リヤケース5Cが車両進行方向における後方側である。
図3に示すように、センターケース5Bには、軸方向に対して交差(直交)する方向に延びるセンター壁部5BWが形成されており、フロントケース5Aとセンターケース5Bのセンター壁部5BWとの間にある第1空間SP1に上記トランスファ機構2が収納され、センターケース5Bのセンター壁部5BWとリヤケース5Cとの間にある第2空間SP2に上記モータ3が収納される。
なお、フロントケース5Aには、変速機11の出力軸11aに固定されるフランジ部材11Fが回転自在に支持されていると共に、前輪側プロペラシャフト12に固定されるフランジ部材12Fが回転自在に支持されている。また、センターケース5Bには、後輪側プロペラシャフト13に固定されるフランジ部材13Fが回転自在に支持されている。
上記モータ3が収納される第2空間SP2は、モータ3に対して軸方向の一方側(前方側)が上記センター壁部5BWに、モータ3に対して周方向の外周側が外周外壁5PWに、モータ3に対して軸方向の他方側(後方側)がリヤケース5Cの側方外壁5SWに、それぞれ囲まれて覆われる形で形成されている。このうち、外周外壁5PWは、センターケース5Bのセンター壁部5BWから軸方向の一方側に筒状に延びる第1筒部5Baと、リヤケース5Cの側方外壁5SWから軸方向の他方側に筒状に延びる第2筒部5Caとが接合される形で構成されている。なお、側方外壁5SWに形成された突出部5Rの詳細については後述する。
そして、このように形成された第2空間SP2の径方向中心付近には、上記モータ出力軸24がセンター壁部5BWと外周外壁5PWとによって両持ちされる形で回転自在に支持され、このモータ出力軸24の外周にモータ3のロータ3Rが固定されている。なお、モータ出力軸24は、本実施の形態では、2本の軸がスプライン嵌合によって連結されて構成されており、図3では、そのうちのロータ3Rが固定される側の軸だけが図示されている。
[オイルポンプ及び油路の構成]
ついで、オイルポンプと油路の構成について図3及び図4を用いて説明する。図3に示すように、上記センターケース5Bにおけるセンター壁部5BWには、詳しくは後述するオイルポンプ50が配置されており、つまりオイルポンプ50は軸方向におけるトランスファ機構2とモータ3との間に配置されている。
ついで、オイルポンプと油路の構成について図3及び図4を用いて説明する。図3に示すように、上記センターケース5Bにおけるセンター壁部5BWには、詳しくは後述するオイルポンプ50が配置されており、つまりオイルポンプ50は軸方向におけるトランスファ機構2とモータ3との間に配置されている。
このオイルポンプ50は、上記カウンタ軸22(図2参照)に駆動連結されるドライブギヤ51と、そのドライブギヤ51に対して偏心した位置でセンター壁部5BWの穴に嵌合しつつ、ドライブギヤ51に噛合しているドリブンギヤ52と、を有しており、これらドライブギヤ51とドリブンギヤ52とが、ポンプカバー54がボルト55で閉塞されつつ固定されて構成されている。そして、オイルポンプ50は、上記カウンタ軸22が回転することによってドライブギヤ51が回転し、ドリブンギヤ52が連れ回ることで、それらドライブギヤ51の歯とドリブンギヤ52の歯との間の空間が伸縮し、吸入ポート50aから油を吸入して吐出ポート50bに油圧を発生させつつ油を排出する。
上記トランスファ機構2が収納される第1空間SP1と、上記モータ3が収納される第2空間SP2とは、センター壁部5BWによって隔離されているが、センター壁部5BWには、第2空間SP2の下方から第1空間SP1に連通する不図示の油孔が形成されており、第2空間SP2に供給された油は第1空間SP1の下方に戻されるように構成されている。
第1空間SP1の下方には、ストレーナ60が配置されており、ストレーナ60には内部に油路L1が形成されたパイプ61の一端が接続され、さらにパイプ61の他端がセンター壁部5BWに軸方向に形成された油路L2に接続されている。そして、油路L2にはセンター壁部5BWに径方向に形成された油路L3に接続され、オイルポンプ50の吸入ポート50aに接続されている。従って、オイルポンプ50が回転駆動されることで、第1空間SP1の下方に溜まっている油を吸入ポート50aに吸入する。
オイルポンプ50の吐出ポート50bは、センターケース5Bの第1筒部5Baに軸方向に形成された油路L4に接続され、油路L4は、リヤケース5Cの第2筒部5Caに軸方向に形成された油路L5に接続されている。また、油路L5は、リヤケース5Cの側方外壁5SWの突出部5Rに径方向に形成された油路L6に接続され、油路L6は、リヤケース5Cの側方外壁5SWに固定された直線形状で筒状のパイプ80の内部に形成された油路L7に接続されている。そして、この油路L7は、モータ出力軸24の内部に軸方向に形成された軸方向孔24aに開口しており、この軸方向孔24aは径方向に向けてモータ出力軸24の外周側まで連通する径方向孔24b,24cに連通している。なお、上記モータ出力軸24は、図示を省略した軸が軸方向孔24aにスプライン嵌合し、それによって閉塞されることで軸方向孔24aに供給された油が溜まり、径方向孔24b,24cに導入される。
従って、オイルポンプ50の吐出ポート50bから吐出された冷却油としての油は、供給油路としての油路L4,L5,L6,L7、軸方向孔24a、径方向孔24b,24cを通って、モータ3(特にステータ3Sのコイルエンド)に向けて供給される。
なお、上記油路L4及び油路L5は、センターケース5Bとリヤケース5Cとを接合する前に、それぞれ軸方向に穿設して形成し、センターケース5Bとリヤケース5Cとを接合することで一本の油路として構成される。また、油路L6は、リヤケース5Cの側方外壁5SWの外径側からモータ3の中心である第4軸AX4に向かって穿設し、その後、キャップ71で閉塞することで構成される。また、パイプ80は、側方外壁5SWにおける第4軸AX4上において軸方向に穿設した孔に雌ネジを形成し、パイプ80の外周に形成した雄ネジを軸方向の後方側から前方側に向かって挿入しつつ螺合させることで固定するように構成されている。そして、パイプ80を挿入した孔は、キャップ72によって閉塞することで油路L7を構成することができる。
ところで、例えば油路L6のように径方向の外側から中心に向かって延びる油路から、モータ出力軸24の外周面に向かって油を供給し、シールリング等でシールしつつモータ出力軸24に形成した径方向の油孔を介して軸方向孔24aに油を導入することが一般的である。しかしながら、このような構成であると、シールリングによってリヤケース5Cとモータ出力軸24との間における摺動抵抗が大きくなってしまい、燃費(電費)向上の妨げを招く。また、モータ3を小型化するために、モータ3の回転を減速してトランスファ機構2に伝達するので、モータ3が高回転になり易く、つまりモータ出力軸24が高回転となって大きな遠心油圧が生じるため、軸方向孔24aに油を導入するためには、オイルポンプ50を大型化して大きな油圧を生じさせる必要があり、油圧損失による燃費(電費)向上の妨げも問題となる。
本実施の形態では、油路L6からパイプ80の油路L7を用いて軸方向孔24aに油を供給するので、上述のようなシールリングを不要とすることができると共に、遠心油圧が油路L6に生じることもない。これにより、オイルポンプ50の小型化が可能となると共に、燃費(電費)向上の向上を図ることができている。
以上説明したトランスファ装置1では、図3に示すように、オイルポンプ50からモータ3に油を供給する供給油路の一部である油路L6が、ケース5の外部の露出する部位である側方外壁5SWの内部を通過するので、例えばオイルクーラ等を通過させなくても、油を冷却する効果を得ることができる。これにより、外部のオイルクーラに油を供給する場合に比して、オイルポンプ50の小型化が可能となり、かつオイルクーラも不要とすることができ、コストダウンを図ることができる。
また、上記油路L6は、図4に示すように、リヤケース5Cの側方外壁5SWにあって側面5SWaより尾根状に突出するように形成された突出部5Rの内部を通過するように形成されており、つまり油路L6の軸方向の一方側(後方側)とそれに直交する方向の両側(上下両側)との3方向が外部に近いところを通る。また、突出部5R自体が、冷却フィンのように表面積を増やす形状となっている。これにより、油路L6を通過する油の冷却効果を向上することができる。
また特に、車両100において大きな熱源となるエンジン10は、トランスファ機構2に対して軸方向の前方側(他方側)に配置されているため(図1及び図2参照)、油路L6が通過する側方外壁5SW(突出部5R)がエンジン10とは反対側で外部に露出しており、油路L6の冷却効果を得ることができる。
また、オイルポンプ50は、上述したように軸方向においてトランスファ機構2とモータ3との間に配置されているので、オイルポンプ50をトランスファ機構2に駆動連結し易く構成できる。また、例えばオイルポンプ50をリヤケース5Cの外部に設けるとオイルポンプ50の分が出っ張り、また、例えばオイルポンプ50をリヤケース5Cの内部に設けるとリヤケース5Cが肥大化することになるが、オイルポンプ50をセンター壁部5BWに設けることができるので、トランスファ装置1の小型化を図ることができる。
そして、図3に示すように、オイルポンプ50から側方外壁5SWの内部の油路L6まで油を通過させる油路L4及び油路L5も、ケース5の外部の露出する部位である外周外壁5PWに形成されているため、油を冷却する効果を得ることができる。
<他の実施の形態の可能性>
なお、以上説明した本実施の形態においては、入力軸21がカウンタ軸22及び変速機構28を介して後輪側出力軸23Rに駆動連結された所謂FRタイプをベースとするためのトランスファ装置1を説明したが、これに限らず、入力軸21がカウンタ軸22及び変速機構28を介して前輪側出力軸23Fに駆動連結された所謂FFタイプをベースとするためのトランスファ装置であってもよい。
なお、以上説明した本実施の形態においては、入力軸21がカウンタ軸22及び変速機構28を介して後輪側出力軸23Rに駆動連結された所謂FRタイプをベースとするためのトランスファ装置1を説明したが、これに限らず、入力軸21がカウンタ軸22及び変速機構28を介して前輪側出力軸23Fに駆動連結された所謂FFタイプをベースとするためのトランスファ装置であってもよい。
また、本実施の形態において説明した第1軸AX1~第4軸AX4の配置は、本実施の形態に限らず、適宜に配置換えしても構わない。
また、本実施の形態は、トランスファ装置1を一例とするものであったが、これに限らず、変速部(変速機)とモータとを備えるハイブリッド駆動装置、電気自動車用の駆動装置など、どのような駆動装置であっても構わない。
また、本実施の形態においては、油路L6が突出部5Rを通過するように構成したものを説明したが、これに限らず、突出部5Rを形成せず、側方外壁5SWの側面5SWaの近傍を通過するようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、オイルポンプ50をセンター壁部5BWの内部に配置したものを説明したが、これに限らず、センターケース5Bに外付けしたり、リヤケース5Cに外付けしたり、リヤケース5Cの内部に配置したりしてもよく、つまりオイルポンプ50はどこに配置しても構わない。
1…駆動装置(トランスファ装置)/2…変速部(トランスファ機構)/3…回転電機(モータ)/5…ケース/5PW…外周外壁/5R…突出部/5SW…側方外壁/5SWa…側面/10…駆動源/21…軸(入力軸)/22…軸(カウンタ軸)/23F…軸(前輪側出力軸)/23R…軸(後輪側出力軸)/24a…供給油路(軸方向油路)/24b,24c…供給油路(径方向孔)/50…オイルポンプ/L4,L5,L6,L7…供給油路(油路)
Claims (5)
- 複数の軸を有し、駆動源の回転を変速する変速部と、
前記変速部に対して軸方向の一方側に配置され、前記変速部に駆動連結された回転電機と、
前記変速部及び前記回転電機を収納するケースと、
前記変速部に駆動連結されて駆動されるオイルポンプと、
前記オイルポンプから吐出される油を前記回転電機に供給する供給油路と、を備え、
前記ケースは、前記軸方向における前記回転電機に対して前記変速部とは反対側に配置され、前記回転電機の前記軸方向の一方側で前記回転電機を覆う側方外壁を有し、
前記供給油路の一部は、前記側方外壁の内部を通過する、
駆動装置。 - 前記側方外壁は、前記軸方向と交差する方向に延びる側面と、前記側面から突出する突出部と、を有し、
前記供給油路の一部は、前記突出部の内部を通過する、
請求項1に記載の駆動装置。 - 前記駆動源は、前記変速部に対して前記軸方向の他方側に配置された、
請求項1又は2に記載の駆動装置。 - 前記オイルポンプは、前記軸方向における前記変速部と前記回転電機との間に配置された、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の駆動装置。 - 前記ケースは、前記回転電機の外周側で前記回転電機を覆う外周外壁を有し、
前記供給油路のうち、前記オイルポンプから前記側方外壁の内部までの油路が、前記外周外壁の内部を通過する、
請求項4に記載の駆動装置。
Priority Applications (2)
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JP2021161896A JP7505469B2 (ja) | 2021-09-30 | 駆動装置 | |
PCT/JP2022/035713 WO2023054261A1 (ja) | 2021-09-30 | 2022-09-26 | 駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021161896A JP7505469B2 (ja) | 2021-09-30 | 駆動装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023051314A true JP2023051314A (ja) | 2023-04-11 |
JP7505469B2 JP7505469B2 (ja) | 2024-06-25 |
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2023054261A1 (ja) | 2023-04-06 |
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