JP2004306827A - ハイブリッド車両の駆動装置 - Google Patents
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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- F16H—GEARING
- F16H2200/00—Transmissions for multiple ratios
- F16H2200/0017—Transmissions for multiple ratios specially adapted for four-wheel-driven vehicles
Abstract
【課題】必要に応じて電動機のロータを回転させて駆動輪にトルクを伝達し、車両の走行フィーリングを向上する。
【解決手段】エンジン出力軸41は変速機入力軸1にクラッチC1を介して係合され、電動機M1のロータ44aはクラッチC2を介して変速機入力軸1に接続され、ロータ44aは2つのクラッチC1,C2を介してエンジン出力軸41に連結される。変速機出力軸2には電動機M2のロータ44bが連結され、このロータ44bはロータ44aにクラッチC3を介して連結される。変速機入力軸1と変速機出力軸2との間には複数の変速歯車列が設けられ、機械式クラッチ31〜33により複数の変速歯車列のうちトルク伝達を行う変速歯車列が選択される。車両の発進時にはエンジントルクに加えてモータトルクが駆動輪に伝達され、変速時にはモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達される。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジン出力軸41は変速機入力軸1にクラッチC1を介して係合され、電動機M1のロータ44aはクラッチC2を介して変速機入力軸1に接続され、ロータ44aは2つのクラッチC1,C2を介してエンジン出力軸41に連結される。変速機出力軸2には電動機M2のロータ44bが連結され、このロータ44bはロータ44aにクラッチC3を介して連結される。変速機入力軸1と変速機出力軸2との間には複数の変速歯車列が設けられ、機械式クラッチ31〜33により複数の変速歯車列のうちトルク伝達を行う変速歯車列が選択される。車両の発進時にはエンジントルクに加えてモータトルクが駆動輪に伝達され、変速時にはモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は駆動輪を駆動するための動力源としてエンジンと電動機とを有するハイブリッド車両の駆動技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
動力源としてエンジンと電動機とを有するハイブリッド車両には、エンジンと変速機との間のフライホイール装着部に発電機と電動機を兼用する発電電動機を備え、発進時に電動機の動力つまりモータトルクをエンジントルクに付加する動力アシストを行うようにしたものが開発されている。そのような車両には、排気量がたとえば1300cc程度の比較的小型のエンジンにモータを搭載し、電力エネルギーの充電効率を向上させ、同時にエンジン動力にモータ動力をアシスト(発進時に最大60〜50Nmのトルク)して駆動装置の小型軽量化を図ったものがある。つまり、エンジンを主動力として発進時や加速時などの走行状況に応じてモータの動力をエンジン動力にアシストする方式であり、エンジンとモータの合計トルクを150Nm程度としている(たとえば、特許文献1参照)。このようなアシストハイブリッド車両には、ディーゼルエンジンに42V電源を利用したアシストを行うようにして、排出ガス低減と車の燃料消費を向上させるようにしたものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−241470号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術にあっては、モータトルクをエンジントルクにアシストしてトルク特性を補うものであるが、トルクコンバータ付きの自動変速機に比べ燃費性能は大幅に向上して経済性を強調できる反面、トルクコンバータのトルク増幅作用程にはモータアシストが得られず、動力性能は我慢せざるを得ない状況にあり、低速トルク向上が不可欠となっている。このため、この技術を四輪駆動車などに適用すると、登坂性能や走破性、悪路でのトラクションなどが従来のトルクコンバータ付きの四輪駆動車に比較すると大幅に低下するという不都合がある。特に、車両を牽引する場合には、顕著な差が生じるという不都合がある。
【0005】
上記従来技術のハイブリッド車両においては、同期型発電機に永久磁石を使用するので、駆動装置を小型化することができる反面、ロータが高速回転中に発電作用を起こし、ロータとステータのギャップ間に引きずりトルクが作用する。この引きずりトルクはステータとロータ間でロータとは反対方向にトルクが生ずるので、エンジントルクに対する抵抗力となる。このため、エンジンで駆動していると、高速運転中の馬力損失が生じ、動力性能の低下や燃料消費を悪化させる要因になる。特に、比較的排気量の大きいエンジンを持つハイブリッド車両には、応分の動力アシストが必要なことから、直径の大きなロータを持つ電動機を使ってトルク容量を増加させることになるので、高速走行中の発電作用による抵抗トルクは更に大きくなり、高速走行頻度の高い車両にとっては益々不都合となる。
【0006】
この対策として、引きずり分のトルクをキャンセルさせるような制御をさせることがある。しかし、トルクキャンセル制御が作動している間は、消費電流により発電電動機が発熱して、駆動装置の耐久性や信頼性に影響を与えるので、装置周辺を冷却して所定の温度に保つようにする必要がある。これは、高速道路での連続、高速運転などを想定すると、冷却装置を大型化したり、トルクキャンセル制御で消費電力が嵩み、結果として燃料消費の悪化につながる。この傾向は、定格出力の大きな発電電動機およびロータやステータが比較的大きな直径を有する構造程不利になる。さらに、発電効率を上げるためにロータとステータとの間のギャップを小さくすると、高速運転中には引きずりトルクが多くなるという矛盾も生じる。また、ディーゼルエンジンよりもエンジン回転範囲が高速となるガソリンエンジンなどの場合には不利になり易いという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、必要に応じて電動機のロータを回転させて駆動輪にトルクを伝達し、車両の走行フィーリングを向上することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、エンジンと複数の電動機とを有するハイブリッド車両の駆動装置において、走行状態や充電状態に応じて複数の電動機から選択的に駆動輪にトルクを伝達し、車両の走行フィーリングを向上することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、エンジンと複数の電動機とを有するハイブリッド車両の駆動装置において、走行状態や充電状態などに応じて複数の電動機から選択的に回生エネルギーを回収し得るようにすることにある。
【0010】
本発明の他の目的は、エンジンと複数の電動機とを有するハイブリッド車両の駆動装置において、サイズを大型化することなく、既存の車両用駆動装置に格納することができるように駆動装置の車両搭載性を向上することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、エンジンと複数の電動機とを有し、車両の走行状況に応じて前記エンジンと複数の前記電動機から選択的にトルクを駆動輪に伝達するハイブリッド車両の駆動装置であって、前記トルクが入力される変速機入力軸と、前記変速機入力軸に設けられた複数の変速歯車に常時噛み合って変速歯車列をなす複数の変速歯車が設けられ駆動輪にトルクを伝達する変速機出力軸とを備える変速機と、エンジン出力軸と前記変速機入力軸との間を断続する第1のクラッチと、前記変速機入力軸と第1の電動機のロータとの間を断続する第2のクラッチと、前記変速機出力軸に動力伝達可能に連結された第2の電動機のロータと前記第1の電動機のロータとの間を断続する第3のクラッチとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、前記変速機入力軸と前記変速機出力軸とが平行に配置され、複数の前記変速歯車列のうち動力伝達を行う歯車列を設定する複数の機械式クラッチを有することを特徴とし、前記第1および第2の電動機のロータの回転軸芯と前記エンジン出力軸の軸芯とを同一軸上に配設することを特徴とし、前記第1および第2の電動機を前記エンジンと前記変速機との間に配設することを特徴とし、さらに前記第1ないし第3のクラッチは油圧もしくは電磁力により作動する多板クラッチであることを特徴とする。
【0013】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、発進時や加速時に、前記第1のクラッチを係合させて前記第1の電動機のトルクを前記駆動輪に伝達するモードと、前記第1のクラッチと前記第2のクラッチとの双方を係合させるか、または前記第1〜第3のクラッチを係合させて前記エンジンと前記第1の電動機の双方のトルクまたは前記エンジンと前記第1と第2の電動機の双方のトルクを合成して前記駆動輪に伝達するモードとを有することを特徴とする。
【0014】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、前記第1の電動機が駆動されるか、または車両が走行状態であって前記第1のクラッチが解放された状態のもとで、前記第1のクラッチを係合させることにより前記エンジンを前記第1と第2の電動機の一方または双方により始動させることを特徴とする。
【0015】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、エンジンブレーキや運転者のブレーキ操作により車両が減速されているときには、前記第1のクラッチを解放状態にし、かつ前記第2のクラッチを係合するか、または第2と第3のクラッチを係合して駆動輪の回転エネルギーにより前記第1の電動機または第1と第2の電動機を駆動し、バッテリに充電することを特徴とする。
【0016】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、バッテリ充電時には前記第1のクラッチを係合するか、または前記第1と第2のクラッチを係合することを特徴とする。
【0017】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、変速時には前記第1のクラッチを解放して前記エンジンから前記変速機入力軸への動力伝達を遮断し、第2の電動機のトルクを前記伝達軸を介して前記変速機出力軸に伝達するか、または第3のクラッチを係合して前記伝達軸を介して前記第1と第2の電動機のトルクを前記変速機出力軸に伝達することを特徴とする。
【0018】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、車両発進時には前記第1のクラッチによる伝達トルクを制御し、変速時には前記第1のクラッチを解放してエンジントルクを遮断して前記機械式クラッチを操作することを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、3つのクラッチを断続することによって、エンジンと2つの発動機と変速機出力軸との相互間に、多数の動力伝達経路を選択的に設定することができる。つまり、第1のクラッチを係合するとクラッチエンジンのトルクを変速機入力軸を介して駆動輪に伝達する経路が形成され、第2のクラッチを係合すると、第1の電動機のモータトルクを変速機入力軸を介して駆動輪に伝達する経路が形成される。また、第1と第2のクラッチを係合すると、エンジンと第1の電動機の両方のトルクを変速機入力軸を介して駆動輪に伝達する経路が形成される。また、第2の電動機のモータトルクを直接変速機出力軸にバイパスさせて駆動輪に伝達する経路が設定され、この状態のもとで第3のクラッチを係合すると、第1の電動機のトルクをも駆動輪に伝達することができる。さらに、機械式クラッチを遮断した状態のもとで、第1と第2のクラッチを係合すると、エンジンと第1の電動機間に動力伝達経路が形成され、第1の電動機のトルクをエンジンに伝達させてエンジンを始動させることができる。一方、エンジントルクを第1の電動機または第1と第2の電動機に伝達させて電動機を発電機としてバッテリへの充電を行うこともできる。
【0020】
このような動力伝達経路のいずれかを車両の走行状況に応じて、さらには車両の走行状況に加えて運転者の意思に応じて設定することができ、必要に応じて第1と第2の電動機の一方または双方のロータを回転させて駆動輪にトルクを伝達し、車両の走行フィーリングを向上することができる。また、エンジンによる車両駆動時に第1の電動機のロータを停止状態とすることができ、引きずりトルクの発生を防止して、冷却装置が不要な小型の駆動装置が得られる。さらに、変速機出力軸に伝達軸を介してモータトルクを伝達することにより、機械式クラッチを作動して変速段の切換を行う際に、トルク切れの発生を防止して円滑な変速操作を行うことができる。
【0021】
上述した動力伝達経路の選択により、この制御装置は、第1のクラッチのみを係合させることによりエンジン動力を第1のクラッチを介して変速機入力軸に伝達するエンジン走行モードとなる。このエンジン走行モードでは、機械式クラッチにより所定の変速段を選択することによって変速歯車列を介して駆動輪にエンジン動力が伝達される。このときには、第2のクラッチが解放されているので、走行中にロータの回転は停止しており、高速走行中における第1の電動機のロータの引きずりトルクの発生を防止することができる。
【0022】
エンジンが停止した状態のもとで第2のクラッチを係合して第1の電動機のモータトルクを変速機入力軸に伝達するか、またはさらに第3のクラッチを係合すると、駆動装置は電動機走行モードになる。さらに、第1と第2のクラッチを係合するか、または第1〜第3のクラッチを係合すると、駆動装置はエンジントルクと第1の電動機のトルクとを合成するか、またはこれに第2の電動機のトルクを合成して変速機入力軸に伝達するトルク合成走行モードとなる。一方、機械式クラッチを作動させて自動変速させるときには、駆動装置は自動変速機モードに設定され、第1と第2の電動機のモータトルクかまたは第2の電動機のモータトルクを直接変速機出力軸に伝達し、変速段の切換をトルク切れを発生させることなく円滑に行うことができる。
【0023】
一方、第1と第2のクラッチを係合した状態のもとで第1の電動機または第1と第2の双方の電動機を発電機として機能させると、駆動装置はエンジン動力が駆動輪と電動機とに伝達され、車両を走行しながらバッテリに充電する充電走行モードとなる。さらにこの充電走行モードにおいて、全ての機械式クラッチを中立位置つまりニュートラルに設定すると、エンジントルクは駆動輪に伝達されることなく、第1の電動機または第1と第2の双方の発電機に伝達されることになり、駆動装置はエンジン動力を全て発電に利用する充電モードとなる。
【0024】
車両の減速時やブレーキ操作をした時などには、第1のクラッチを切断してエンジンブレーキが利かないようにし、第2のクラッチを係合状態とすると、駆動輪により第1の電動機を発電機として機能させることができ、さらに第3のクラッチを係合状態とすると第1と第2の電動機をそれぞれ発電機として機能させることができ、駆動装置はブレーキ作動時にエネルギー回生モードに設定される。
【0025】
この駆動装置は第1のクラッチを滑らせながら車両をエンジンにより始動させることができるので、電気回路を電動機に対する高電圧系と機械式クラッチを制御するための電磁弁などに対する低電圧系とにより構成すれば、電動機の高電圧系が故障しても、エンジン始動系を機能させることができるリンプホームモードに設定することができる。さらに、車両の始動は、エンジンでも電動機でもいずれでも行うことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図であり、図2は図1における矢印A方向から見た変速機入力軸と変速機出力軸との配置関係を示す概略図である。この駆動装置は変速機入力軸1とこれに平行となって配置される変速機出力軸2とを備えており、これらはケース3内に組み込まれ変速機4を構成している。この変速機4は変速機入力軸1と変速機出力軸2とがそれぞれ車両の進行方向を向くようにして縦置きに車両に搭載される。この変速機4の前方には、エンジン5と2つのモータつまり電動機M1,M2とが配置され、車両の走行状況に応じて変速機4を介してエンジン5と2つの電動機M1,M2から選択的にトルクが駆動輪に伝達される。それぞれの電動機M1,M2は、発電機としての機能を有し、発電電動機となっており、回生エネルギーを吸収することができるが、この明細書では電動機M1,M2と表現されている。
【0027】
図1に示す変速機4は、変速機入力軸1と変速機出力軸2とが平行となってケース3内に配置されており、平行軸式の有段自動変速機となっている。変速機入力軸1には、第1速と第2速の駆動歯車11,12が一体に設けられ、第3速から第5速までの駆動歯車13〜15が回転自在に設けられている。変速機出力軸2には、第1速と第2速の被駆動歯車21,22が回転自在に取り付けられ、第3速から第5速までの被駆動歯車23〜25が一体に設けられている。それぞれの駆動歯車11〜15は対応する被駆動歯車21〜25に常時噛み合って変速歯車列となっており、複数の変速歯車列の中からトルクを伝達することになる変速歯車列を切り換えることによって変速動作が行われる。変速機入力軸1にはさらに後退用の駆動歯車16が一体に設けられている。
【0028】
変速機出力軸2には、第1速の被駆動歯車21と第2速の被駆動歯車22との間に第1の噛合いクラッチつまり機械式クラッチ31が設けられている。一方、変速機入力軸1には第3速の駆動歯車13と第4速の駆動歯車14との間に第2の機械式クラッチ32が設けられ、第5速の駆動歯車15に隣接させて第3の機械式クラッチ33が設けられている。これらの機械式クラッチはそれぞれ同期噛合機構つまりシンクロメッシュにより構成されている。ただし、第1の機械式クラッチ31を変速機入力軸1に設け、第2および第3の機械式クラッチを変速機出力軸2に設けるようにしても良い。
【0029】
機械式クラッチ31は変速機出力軸2に固定されたシンクロハブつまり切換ハブ31aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブつまり切換スリーブ31bとを有し、この切換スリーブ31bを第1速の被駆動歯車21に設けられた外歯21aに噛み合わせると変速比は第1速に設定され、逆に第2速の被駆動歯車22に設けられた外歯22aに噛み合わせると第2速に設定される。それぞれの外歯21a,22aは、歯車21,22に形成されたスプライン歯部と、シンクロナイザリングに形成された歯部とにより形成される。
【0030】
他の機械式クラッチ32,33も同様の構造であり、変速機入力軸1に固定された切換ハブ32a,33aと、それらにそれぞれ常時噛み合う切換スリーブ32b,33bとを有し、それぞれ対応する外歯13a,14a,15aのいずれかに噛み合わせることにより、変速比は第3速から第5速のいずれかに設定される。それぞれの切換スリーブ31b,32bおよび33bの軸方向の噛合移動は、図示しない油圧アクチュエータによって自動的に行われる。
【0031】
第1の機械式クラッチ31の切換スリーブ31bには後退用の被駆動歯車26が取り付けられ、変速機入力軸1と変速機出力軸2とに平行となったアイドラ軸17には、後退用の駆動歯車16と被駆動歯車26とに噛み合う位置と、噛み合いを離脱する位置とに移動自在にアイドラ歯車18が軸方向に摺動自在に装着されている。したがって、切換スリーブ31bが中立位置のもとで、アイドラ歯車18を摺動させると、アイドラ歯車18は後退用の駆動歯車16と被駆動歯車26とに噛み合い、変速機入力軸1の回転は変速機出力軸2に逆方向となって伝達される。
【0032】
変速機出力軸2は中空軸となっており、内部には前輪駆動軸34が組み込まれ、変速機出力軸2はセンタデファレンシャル35を介して前輪駆動軸34に連結されている。前輪駆動軸34はフロントデファレンシャル36を介して前輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより前輪が駆動される。また、センタデファレンシャル35の後輪出力軸37は、これに設けられた駆動歯車37aと被駆動歯車38aとを介して後輪駆動軸38に連結されており、後輪駆動軸38はリヤデファレンシャル39を介して後輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより後輪が駆動される。このように、前輪と後輪がともに駆動輪となっており、それぞれの駆動輪にトルクが伝達される。
【0033】
エンジン5のクランク軸5aはダンパ40を介してエンジン出力軸41に連結され、このエンジン出力軸41は変速機入力軸1と同軸上となっている。エンジン出力軸41と変速機入力軸1との間には、エンジン出力軸41と変速機入力軸1とを接続状態つまり係合状態と切断状態つまり解放状態とに断続の切換を行う第1のクラッチC1が設けられている。クラッチC1は変速機入力軸1に固定されるクラッチ用円筒体42を有し、エンジン出力軸41側にはクラッチディスク43aが設けられ、クラッチ用円筒体42の内側にはクラッチディスク43aと密着係合するクラッチディスク43bが設けられている。したがって、クラッチC1を係合させると、エンジン出力軸41は変速機入力軸1に接続される状態となり、係合を解くと変速機入力軸1はエンジン出力軸41に対して切断された状態となる。
【0034】
前述した2つの電動機M1,M2のうち第1の電動機M1は、クラッチ用円筒体42の径方向外方に配設され、永久磁石が組み込まれたロータ44aと、ケース3に固定されコイルが組み込まれたステータ45aとを有している。この電動機M1は、駆動輪に伝達されるトルクをアシストするとともに、ロータ44aをエンジン5により駆動すれば、発電機としても機能させてバッテリに充電することができ、車両の制動時に回生エネルギーを吸収することができ、さらにはエンジン5を始動させるためのスタータとしても機能させることができる。
【0035】
第1のロータ44aと変速機入力軸1との間には、ロータ44aと変速機入力軸1との断続の切換を行う第2のクラッチC2が設けられている。このクラッチC2は、クラッチ用円筒体42よりも大径であってこの径方向外方に配設されるクラッチ用円筒体46を有し、クラッチ用円筒体46の内側にはクラッチディスク47aが装着され、クラッチ用円筒体42の外側にはクラッチディスク47aと密着係合するクラッチディスク47bが装着されている。
【0036】
したがって、クラッチC2を係合させると、ロータ44aはクラッチC1のクラッチ用円筒体42を介して変速機入力軸1に接続される状態となり、係合を解くと変速機入力軸1はロータ44aに対して切断された状態となる。さらに、このクラッチC2のクラッチディスク47bはクラッチ用円筒体42の外側に装着されているので、クラッチC2が係合状態となると、クラッチC1のクラッチ用円筒体42とロータ44aは接続状態となる。これにより、電動機M1を発電機として機能させる際には、クラッチC1,C2を係合させることにより、エンジントルクをロータ44aに伝達することができる。一方、クラッチC2を切断すれば、エンジン5が駆動されているときに、エンジン回転をロータ44aに伝達しないようにすることができる。したがって、エンジン5のみで車両を走行する際には、ロータ44aの回転を停止させることができるので、ロータ44aを回転させた際におけるロータ44aの重量や摩擦に起因したエネルギーロスや引きずりトルクの発生を防止できる。
【0037】
変速機入力軸1の外側には第2の電動機M2の中空のロータ44bが回転自在に装着され、ロータ44bの外側に配置されたステータ45bはケース3に固定されている。ロータ44bに設けられた連結歯車51は、変速機出力軸2に設けられた連結歯車52に常時噛み合い、ロータ44bは連結歯車51,52を介して変速機出力軸2に連結されている。第1の電動機M1のロータ44aと第2の電動機M2のロータ44bとの間には、2つのロータ44a,44bの断続切換を行う第3のクラッチC3が設けられている。このクラッチC3は、ロータ44aに固定されたクラッチ用円筒体48の外側に装着されるクラッチディスク53aと、ロータ44bに固定されたクラッチ用円筒体49の内側に装着されてクラッチディスク53aと密着係合するクラッチディスク53bとを有している。
【0038】
したがって、クラッチC2を切断した状態のもとでクラッチC3を係合させると、ロータ44aはクラッチC3を介してロータ44bに接続される状態となり、クラッチC3の係合を解くとロータ44bはロータ44aに対して切断された状態になる。クラッチC2が切断された状態のもとでクラッチC3が係合状態になると、電動機M1のモータトルクは、変速機入力軸1を介することなく、電動機M2のロータ44bを介して電動機M2のモータトルクと合計されて変速機出力軸2にバイパスして直接伝達される。また、クラッチC3が切断された状態のもとで、電動機M2を駆動すると、連結歯車51,52を介して変速機出力軸2に連結されるロータ44bにより変速機出力軸2に直接伝達される。
【0039】
上述のように図示する駆動装置には3つのクラッチC1〜C3が設けられるとともに2つの電動機M1,M2が設けられているので、第1のクラッチC1を係合するとエンジン動力は変速機入力軸1に伝達され、第2のクラッチC2を係合すると電動機M1の動力は変速機入力軸1に伝達され、クラッチC3を係合すると2つの電動機M1,M2の動力は変速機出力軸2に直接伝達される。さらに、クラッチC1とクラッチC2の両方を係合すると、エンジン5の動力と電動機M1の動力がともに変速機入力軸1に伝達され、クラッチC3を切断した状態のもとで電動機M2を駆動すると、電動機M2のモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達される。
【0040】
したがって、3つのクラッチC1〜C3を断続制御つまり切断と接続とを制御することによって、動力源からの動力伝達経路を、エンジン5の動力を変速機入力軸1を介して駆動輪に伝達する経路と、電動機M1の動力を変速機入力軸1を介して駆動輪に伝達する経路と、エンジン5と電動機M1の両方の動力を変速機入力軸1を介して駆動輪に伝達する経路と、クラッチC2を切断して電動機M1,M2の動力を変速機入力軸1を介することなく直接変速機出力軸2にバイパスさせて駆動輪に伝達する経路と、さらにクラッチC3を切断して電動機M2のモータトルクのみを直接変速機出力軸2にバイパスさせて駆動輪に伝達する経路とのいずれかを選択することができる。
【0041】
図2に示すように、エンジン出力軸41の軸芯とロータ44a,44bの回転軸芯は、後輪駆動軸38の中心G1と同一軸芯上となっており、変速機出力軸2は後輪出力軸37の中心G2と同一軸芯上となっている。このようにロータ44a,44bをエンジン出力軸41の回転軸芯と同一軸芯上に配置することにより、支持軸を別途設ける必要が無く、駆動装置を複雑化したり大型化することなく、コンパクトな駆動装置が得られる。
【0042】
図3は図1に示された駆動装置の一部を拡大して示す断面図であり、ダンパ40の出力部40aはエンジン出力軸41にスプライン結合され、ロータ44aは出力部40aの外周に回転自在に装着された回転板54に固定されている。第1のクラッチC1のクラッチディスク43aは、エンジン出力軸41にスプライン結合されたクラッチ用円筒体55を介してエンジン出力軸41に設けられており、変速機入力軸1に固定されたクラッチ用円筒体42とクラッチ用円筒体55の間には、クラッチディスク43a,43bを係合状態と係合を解く状態とに切り換えるための油圧アクチュエータ56が装着されている。油圧アクチュエータ56とクラッチ用円筒体42とにより形成された油室57に作動油を供給する油路58aが変速機入力軸1に形成されており、油路58aから油室57に油圧が供給されると、戻しばね59aのばね力に抗して油圧アクチュエータ56が前進移動し、クラッチディスク43a,43bは係合状態となる。
【0043】
第2のクラッチC2のクラッチディスク47a,47bを係合状態と係合を解く状態とに切り換えるために、変速機入力軸1に固定された油圧シリンダ61には油圧アクチュエータ62が組み込まれている。油圧アクチュエータ62と油圧シリンダ61とにより形成された油室63に作動油を供給する油路58bが変速機入力軸1に形成されており、油路58bから油室63に油圧が供給されると、戻しばね59bのばね力に抗して油圧アクチュエータ62が前進移動し、クラッチディスク47a,47bは係合状態となる。
【0044】
第3のクラッチC3は、第1の電動機M1のロータ44aに固定されるクラッチ用円筒体48と、第2の電動機M2のロータ44bに伝達軸50を介して固定されるクラッチ用円筒体49とを有し、円筒体49に一体となった油圧シリンダ64は中空の伝達軸50の外周に回転自在に装着されている。第3のクラッチC3のクラッチディスク53a,53bを係合状態と係合を解く状態とに切り換えるために、油圧シリンダ64には油圧アクチュエータ65が組み込まれ、油圧アクチュエータ65と油圧シリンダ64とにより形成された油室66に作動油を供給するための油路58cが変速機入力軸1と伝達軸50との間に形成されている。したがって、油路58cから油室66に油圧が供給されると、戻しばね59cのばね力に抗して油圧アクチュエータ65が前進移動し、クラッチディスク53a,53bは係合状態となる。なお、図3において符号67はステアリング用のタイロッドを示す。
【0045】
図3に示すように、これらのクラッチC1〜C3は摩擦式多板クラッチであり、クラッチディスクの密着度を調整することにより、クラッチの入力側要素から出力側要素に対する伝達トルク容量を制御することができる。なお、それぞれのクラッチC1〜C3は図3に示すように油圧式であるが、電磁クラッチを用いるようにしても良い。
【0046】
上述のように図示する駆動装置には3つのクラッチC1〜C3が設けられているので、これらのクラッチC1〜C3を断続制御することによって、エンジン5と2つの電動機M1,M2と変速機出力軸2との相互間に多数の動力伝達経路を形成することができ、動力伝達経路を選択することによって駆動装置の作動モードを動力伝達経路に応じて以下のように設定することができる。
【0047】
(エンジン走行モード)
まず、第1のクラッチC1のみを係合し、他のクラッチC2,C3を切断した状態とすると、駆動装置はエンジン動力をクラッチC1を介して変速機入力軸1に伝達するエンジン走行モードとなる。このエンジン走行モードでは、機械式クラッチ31〜33により所定の変速段を選択することによって特定の変速歯車列を介して駆動輪にエンジン動力が伝達される。このエンジン走行モードは、両方の電動機M1,M2が作動を停止してトルクを伝達しないモードであり、このときには、第2のクラッチC2が解放されているので、走行中にロータ44aの回転は停止しており、高速走行中におけるロータ44aの引きずりトルクの発生を防止することができる。
【0048】
(電動機走行モード)
エンジン5が停止した状態のもとで、第1と第3のクラッチC1,C3を解放し、第2のクラッチC2を係合して第1の電動機M1のモータトルクを変速機入力軸1に伝達すると、駆動装置は第1の電動機走行モードになる。この電動機走行モードにおいても、機械式クラッチ31〜33により所定の変速段を選択することによって変速歯車列を介して駆動輪にエンジン動力が伝達される。また、第2のクラッチC1を係合したまま第3のクラッチC3を係合させると、第1の電動機M1のモータトルクが変速機入力軸1に伝達されるとともに、第2の電動機M2のモータトルクを直接変速機出力軸2に伝達され、これらの合成トルクを駆動輪に伝達することができる第2の電動機走行モードとなる。
【0049】
(トルク合成走行モード)
第1と第2のクラッチC1,C2を係合し、第3のクラッチC3を解放した状態とすると、駆動装置はエンジントルクと第1の電動機M1のモータトルクとを合成して変速機入力軸1に伝達するトルク合成走行モードとなる。このトルク合成走行モードでは、機械式クラッチ31〜33により所定の変速段を選択することによって特定の変速歯車列を介して駆動輪にエンジントルクと電動機M1のモータトルクとが合成されて伝達される。
【0050】
この状態のもとで、さらに第3のクラッチC3を係合させると、第2の電動機M2のモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達され、駆動輪にはエンジントルクと2つの電動機M1,M2のモータトルクとが合成されて伝達されることになり、最大の駆動力を発揮するトルク合成走行モードが得られる。
【0051】
(自動変速機モード)
機械式クラッチ31〜33を作動させて自動変速させるときには、駆動装置は自動変速機モードに設定される。この自動変速機モードでは、第1のクラッチC1を解放してエンジントルクの変速機入力軸1への伝達を遮断する。この状態のもとで第3のクラッチC3を係合すると2つの電動機M1,M2のモータトルクが変速機入力軸1を介することなく、直接、変速機出力軸2に伝達される。さらに、第3のクラッチC3を解放すると、電動機M2のモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達される。このときの変速段の切換は、機械式クラッチ31〜33を操作することによって変速歯車列の切換が駆動輪に対してトルク切れを発生させることなく自動的に行われる。
【0052】
(充電走行モード)
第1と第2のクラッチC1,C2を係合し、第3のクラッチC3を切断した状態のもとで第1の電動機M1を発電機として機能させると、駆動装置はエンジン動力を駆動輪と電動機M1とに伝達し、車両を走行しながらバッテリに充電する充電走行モードとなる。このモードにおいても変速段の切換は、機械式クラッチ31〜33を操作することによって自動的に変速歯車列を切り換えることができる。
【0053】
(充電モード)
上述した充電走行モードにおいては、機械式クラッチ31〜33によって変速機入力軸1はいずれかの変速機歯車列を介して変速機出力軸2にエンジントルクが伝達されるが、エンジン5を駆動した状態のもとで、全ての機械式クラッチ31〜33を中立位置つまりニュートラルに設定すると、エンジントルクは駆動輪に伝達されることなく、第1の電動機M1に伝達されることになり、駆動装置はエンジン動力を全て発電に利用する充電モードとなる。
【0054】
この充電モードにおいて、第3のクラッチC3を必要に応じて係合すると、動力源のエンジンから第1と第2の電動機M1,M2の双方で発電することができ、駆動装置は急速充電モードとなる。
【0055】
(エネルギー回生モード)
車両の減速時やブレーキ操作をした時などには、第1のクラッチC1を解放してエンジンブレーキが利かないようにし、第2のクラッチC2を係合状態とすると、駆動輪により電動機M1を発電機として機能させることができ、駆動装置はブレーキ作動時にエネルギー回生モードに設定される。さらに、第3のクラッチC3を係合させると、駆動輪により電動機M1,M2の双方を発電機として機能させることができる。
【0056】
このエネルギー回生モードにあっては、従来のようにブレーキ時にエンジンのポンピングロスを軽減して回生効率を向上させるために気筒休止を行う必要がなく、第1のクラッチC1を解放することによってエンジン駆動を解放することができる。これにより、エネルギー回生モードを複雑な気筒休止を行うことなく、簡単な制御で行うことができる。さらに、クラッチC1の操作によりエネルギー回生モードに設定することができるので、急ブレーキ時におけるエンストの発生を回避できる。すなわち、滑り易い道で強くブレーキを踏むと、ホイールロックやエンストの原因となるが、これを防止することができる。ABS付きの車両においては、ブレーキとABSの作動に応じてクラッチC1を制御することにより、エンストを防止することができる。
【0057】
(リンプホームモード)
駆動装置における電気回路を、2つの電動機M1,M2に対する高電圧系と機械式クラッチ31〜33を制御するための電磁弁などに対する低電圧系とにより構成し、第1もしくは第2の電動機M1,M2の高電圧系が故障しても、エンジン始動系が機能するようにすれば、駆動装置は第1のクラッチC1を滑らせながら車両をエンジンにより始動させることができるリンプホームモードとすることができる。このモードにあっては、変速時にはエンジントルクを遮断して機械式クラッチ31〜33によって所定の変速段を選択することができる。
【0058】
(車両スタートモード)
車両の始動は、エンジン5でも2つの電動機M1,M2の双方でも一方でもいずれでも行うことができる。エンジン5により車両を始動させる際には、第1と第2のクラッチC1,C2を係合し、第3のクラッチC3を切断状態として第1の電動機M1のモータトルクをクランク軸5aに伝達し、エンジン5を始動させる。このときには、全ての機械式クラッチ31〜33は中立位置に切り換えられることになる。エンジン5が始動した後には機械式クラッチ31により低速段の変速歯車列を動力伝達状態とするとともにクラッチC1を滑らせながらエンジン5により車両を始動させることができる。なお、エンジンにより車両を発進させる際には、第1速の変速段とすることなく、クラッチC1を滑らせることにより任意の変速段のもとで変速することができる。
【0059】
一方、第1の電動機M1により車両を始動させるときには、第2のクラッチC2を係合し、他のクラッチC1,C3を解放することによって第1の電動機M1のモータトルクを変速歯車列を介して駆動輪に伝達する。さらに、このモータトルクに加えて第2の電動機M2のモータトルクをも駆動輪に伝達するときには、第3のクラッチC3を係合させる。
【0060】
特に、動力性能を高めた走行が要求される場合には、エンジン5をアイドル停止させて燃費性能を確保するようにし、第2のクラッチC2を係合してアクセルペダルが全開状態にすると、まず、第1と第2の電動機M1,M2の一方または双方のモータトルクで車両を始動させ、変速機入力軸1がエンジン始動可能な回転数、たとえば400〜500rpmとなったときに第1のクラッチC1を係合すると、エンジン5が始動する。したがって、モータトルクに加えてエンジン全開トルクを駆動輪に伝達することができ、強力な加速が得られることになる。このような走行モードにおいては、変速操作時に適宜第3のクラッチC3を係合しながら機械式クラッチ31〜33を切り換えることによって、モータトルクで変速機のトルク切れを発生させることなく、トルクの谷を埋めて円滑に自動変速を達成することができる。高速走行中などの所定の速度で第2と第3のクラッチC2,C3を解放すれば、第1の電動機M1のロータ44aによる抵抗トルクの発生を回避できる。
【0061】
この駆動装置は、車両の走行状態に応じて上述のような代表的なモードに設定することができるとともに、任意のモードに設定するための操作部材を車室内に設けることによって運転者の意思に応じても何れかのモードを選択することができる。
【0062】
図4は車両の走行状況に応じた3つのクラッチC1〜C3と2つの電動機M1,M2のオンオフ制御の一例を示す作動表であり、クラッチC1〜C3については係合された状態が○で示され、電動機M1,M2については駆動された状態が○で示されている。
【0063】
図4に示す制御例では、発進時には第1のクラッチC1を係合してエンジン5の動力を変速機入力軸1に伝達し、さらに第2のクラッチC2を係合するとともに電動機M1,M2を駆動して両方の動力を変速機入力軸1に伝達する。これにより、発進時にはエンジントルクに加えて電動機M1,M2のモータトルクがアシストされて円滑に車両を発進させることができる。特に、エンジン5が過給機付きの場合には、車両の発進時にターボラグに起因してエンジン出力トルクが不足しても、電動機M1,M2のトルクをアシストすることにより発進時のトルク不足を補うことができる。なお、クラッチの断続を制御することにより、エンジントルクのみあるいは2つの電動機M1,M2の一方のモータトルクのみにより車両を発進させるようにしても良く、エンジントルクと一方の電動機のモータトルクとにより車両を発進させるようにしても良い。エンジンのみで走行する際には、クラッチC2を係合することによって電動機M1を発電機として機能させ、バッテリに充電することができる。さらには、クラッチC3を係合することによって電動機M1に加えて電動機M2をも発電機として機能させることができる。
【0064】
図5は車両の発進時にエンジントルクと2つの電動機M1,M2のモータトルクとを駆動輪に伝達するようにした場合における車速に応じたエンジントルクとモータトルクの変化を示す特性線図であり、発進時にはエンジントルクに加えて2つの電動機M1,M2のモータトルクが駆動輪に伝達されることになる。さらに、2つの電動機M1,M2の出力トルクを図4に示すように相違させることにより、電動機M1から変速機入力軸1を介して駆動輪に伝達されるモータトルクと、電動機M2から変速機入力軸1をバイパスして変速機出力軸2から直接駆動輪に伝達されるモータトルクとを相違させることができ、車両の走行状態に応じて最適なトルク伝達を行うことができる。
【0065】
車速が所定の車速以上となったときには、第2と第3のクラッチC2,C3を切断し、電動機M1,M2を停止させてエンジン動力のみにより車両を走行させることができる。車速が変化する過程で、変速段の切換操作が行われる際には、第1のクラッチC1を切断してエンジントルクを変速機入力軸1に伝達せず、さらに、第2のクラッチC2を切断して第1の電動機M1のトルクを変速機入力軸1に伝達しない状態のもとで、第3のクラッチC3を係合して2つの電動機M1,M2のトルクを変速機出力軸2に伝達することができる。または、第3のクラッチC3を切断することによって、電動機M1のトルクを変速機出力軸2に伝達することなく、電動機M2のトルクを変速機出力軸2に伝達するようにしても良い。
【0066】
このように、変速歯車列の切換操作が行われるときに、クラッチC1を切断するとエンジントルクが変速機入力軸1に伝達されないが、走行用の電動機M1,M2を利用して変速時に変速機出力軸2にモータトルクを伝達することができるので、変速操作時、特に低速段の変速時に加速度の変動を小さくして運転者に違和感を与えることなく円滑に変速を行うことができる。
【0067】
特に、車両が走行しているときには変速機出力軸2と第2の電動機M2のロータ44bは回転しており、変速時に第2の電動機M2のトルクを変速機出力軸2に伝達する際には、迅速に電動機M2を駆動することができる。また、変速時に第1と第2の電動機M1,M2のトルクを変速機出力軸2に伝達する際には、変速が行われる前に予めクラッチC3を係合しておくと、第1の電動機M1のロータ44aは変速機出力軸2によりロータ44bを介して駆動されることになるので、変速時には迅速に電動機M1を駆動させて電動機M1のトルクをも変速機出力軸2に伝達することができる。
【0068】
図6は変速操作が行われる際における駆動輪への伝達トルクの変化を示すグラフである。図6(A)は比較例として電動機動力のアシストを行わないで第1速から第3速まで変速した場合における伝達トルクの変化を示し、図6(B)は本発明の駆動装置における伝達トルクの変化を示す。図6(A)に示すように、電動機動力のアシストを行わない場合には、変速時にトルク切れが発生して変速操作が完了するまでに伝達トルクが大きく変化するが、図6(B)に示すように電動機トルクを加えることにより変速操作時にはトルク変動が小さくなる。
【0069】
図7は駆動装置の制御回路を示すブロック図であり、制御回路は制御手段としてのコントロールユニット71を有し、このコントロールユニット71には、運転者のセレクトレバー操作により選択された走行レンジを検出するインヒビタースイッチ72、イグニッションスイッチ73、車速センサ74、およびアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ75の信号が送られる。さらに、コントロールユニット71には、バッテリ電圧センサ76、第1の電動機M1のロータ44aの回転数を検出する第1モータ回転数センサ77a、第2の電動機M2のロータ44bの回転数を検出する第2モータ回転数センサ77b、エンジン回転数センサ78、および加速度センサ79の信号が送られる。なお、車両の加速度の検出は、車速センサ74からの信号を演算して求めるようにしても良く、その場合には加速度センサ79は不要となる。
【0070】
コントロールユニット71からはバッテリ80、エンジン出力制御リレー81、第1の電動機M1のオンオフを設定する第1モータ出力制御リレー82a、第2の電動機M2のオンオフを設定する第2モータ出力制御リレー82bおよびそれぞれのクラッチC1〜C3に対して制御信号が送られる。さらに、コントロールユニット71からはバッテリ充放電制御リレー83、およびトランスミッションコントロールユニット(変速機制御ユニット)TCU84に制御信号が送られる。
【0071】
図8は車両発進時における駆動装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1でイグニッションスイッチ73がオンされたことが判定されると、エンジン5が始動される(ステップS2)。エンジンが始動した状態のもとで、バッテリ80の残量が所定値以上となっていることがステップS3で判定され、ドライブレンジが運転者により選択されたことがステップS4で判定され、さらにアクセルセンサからの信号によりアクセルペダルが所定値以上踏み込まれたことがステップS5で判定されたときには、第1と第2のクラッチC1,C2が係合されるとともに、第1と第2のモータ出力制御リレー82a,82bがオンされる(ステップS6〜S8)。これにより、駆動輪にはエンジントルクが伝達されるとともに2つの電動機M1,M2のモータトルクが伝達される。
【0072】
ステップS9において車速が所定値以上の高速となったことが判定され、ステップS10においてモータ回転数Nmとエンジン回転数Neとが同一となったとことが判定されたときには、第2のクラッチC2が切断され、第1と第2のモータ出力制御リレー82a,82bがオフされて両方の電動機M1,M2が停止する。これにより、所定の車速以上ではエンジン動力により車両が駆動される(ステップS11〜S13)。ただし、エンジン回転数がロータの回転数よりも高くなったときにクラッチC2を切断するようにしても良い。
【0073】
一方、ステップS3においてバッテリ80の残量が所定値以下であると判定された状態のもとで、走行レンジが選択され(ステップS14)、アクセルペダルが所定値以上踏み込まれると(ステップS15)、ステップS16が実行されて第1のクラッチC1が係合される。これにより、エンジン5の動力のみにより車両が発進する。
【0074】
図9は変速操作が行われる際における駆動装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。ステップS21でエンジン回転数Neを検出し、ステップS22で車速を検出し、ステップS23で現在の変速段を検出する。これらの検出結果に基づいてステップS24では変速操作を実行するか否かが判定される。変速操作を実行することが判定されると、車両の加速度が検出され、第1と第2のモータ出力制御リレー82a,82bがオンされ、さらに第3のクラッチC3が係合される(ステップS26〜S28)。これにより、2つの電動機M1,M2のモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達されることになり、変速時のトルク切れの発生が防止される。
【0075】
モータ回転数Nmが次の変速段にとしての所定の回転数に達したことがステップS29により判定されたら、ステップS31で第1のクラッチC1を切断し、ステップS31で設定変速段に変速操作が行われる。この操作は変速段に応じて3つの機械式クラッチ31〜33のいずれが駆動される。変速操作が完了すると、ステップS32で第1のクラッチC1が係合されてエンジントルクが変速機入力軸1に伝達され、変速操作が終了した後には、ステップS33,S34において第1と第2のモータ出力制御リレー82a,82bがオフされ、ステップS35において第3のクラッチC3が切断される。このように、変速操作が行われるときには、モータトルクが変速機出力軸2に直接伝達されるので、変速時のトルク切れの発生が防止されて円滑な変速操作が行われる。
【0076】
図10は本発明の他の実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図であり、図11は図10における矢印B方向から見た2つの電動機の配置関係を示す概略図である。図10においては図1に示された部材と共通する部材には同一の符号が付されており、重複した説明は省略する。図10に示す駆動装置においては、図1に示した駆動装置の第2の電動機M2が変速機入力軸1に同軸上に配置されているのに対して、電動機M2が第1の電動機M1と変速機4との間であって、フロントデファレンシャル36の上方に形成されるスペースに変速機入力軸1に平行となって配置されている。
【0077】
第1の電動機M1のロータ44aと第3のクラッチC3とを連結するために、変速機入力軸1の外側にはこれと同軸上に連結歯車91が回転自在に装着され、この連結歯車91はロータ44aに固定されており、ロータ44aと一体に回転する。この連結歯車91に噛み合う連結歯車92が連結軸93に取り付けられており、この連結軸93と第2の電動機M2のロータ44bとの間に第3のクラッチC3が設けられている。このクラッチC3は連結軸93に装着されたクラッチディスク53aと、ロータ44bのクラッチ用円筒体46bに装着されてクラッチディスク53aに密着するクラッチディスク53bとを有している。
【0078】
ロータ44bの回転を変速機出力軸2に伝達するために、ロータ44bに固定されたチェーンスプロケット51aと、変速機出力軸2に固定されたチェーンスプロケット52aとにはローラチェーン94が掛け渡されている。
【0079】
このように第2の電動機M2を配置した場合にも、図1に示した駆動装置と同様にして車両を駆動することができる。なお、図10に示す駆動装置においては、連結歯車91の部分に図1に示す場合と同様に第3のクラッチC3を変速機入力軸1と同軸上に配置し、変速機入力軸1と平行に配置された第2の電動機M2のロータ44bに歯車列を介してロータ44aとロータ44bとを連結するようにしても良い。
【0080】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々のドライブトレーンに適用可能である。たとえば、図1に示す駆動装置は四輪駆動用の車両に適用されるものであるが、センタデファレンシャル35を用いずに変速機出力軸2から直接フロントデファレンシャル36の終減速歯車にトルク伝達を行うようにすれば、前輪駆動用の駆動装置となる。また、エンジンと駆動装置が車両の前方のエンジン房内に、車幅方向に搭載される横置き配置にも本発明の駆動装置を適用することとができる。さらに、エンジンが車両の前部に配置され、車両の後輪側に配置されたリヤデファレンシャルへ動力伝達するようにしたFR方式にも本発明の駆動装置を適応させることができる。
【0081】
さらに、図1および図9に示した駆動装置においては、2つの電動機M1,M2が設けられているが、これらの電動機の間にさらに少なくとも1つの電動機を設けるようにしても良い。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、動力源としてエンジンと複数の電動機とを有するハイブリッド車両において、これらの動力源と駆動輪との間を複数のクラッチを断続させることによって複数の動力伝達経路の中から走行状態や運転者の意思に応じて最適な動力伝達経路を選択できるので、エンジンと複数の電動機のトルクを合成して車両の動力性能を向上させることができる。また、電動機のトルクで車両を走行したり、高速走行時には電動機の引きずりトルクの発生を回避して燃費向上を達成することができる。さらに、変速時に電動機のトルクを変速機出力軸に伝達することによってトルク切れのない円滑なシフト品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図である。
【図2】図1における矢印A方向から見た変速機入力軸と変速機出力軸との配置関係を示す概略図である。
【図3】図1の駆動装置における一部を拡大して示す断面図である。
【図4】車両の走行状況に応じたクラッチと電動機のオンオフ制御の一例を示す作動表である。
【図5】車速に応じたエンジントルクとモータトルクの変化を示す特性線図である。
【図6】変速操作が行われる際における駆動輪への伝達トルクの変化を示すグラフである。(A)は比較例として電動機動力のアシストを行わないで第1速から第3速まで変速した場合における伝達トルクの変化を示し、(B)は本発明の駆動装置における伝達トルクの変化を示す。
【図7】駆動装置の制御回路を示すブロック図である。
【図8】車両発進時における駆動装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】変速操作が行われる際における駆動装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図である。
【図11】図10における矢印B方向から見た2つの電動機の配置関係を示す概略図である。
【符号の説明】
1 変速機入力軸
2 変速機出力軸
4 変速機
5 エンジン
11〜15 駆動歯車
21〜25 被駆動歯車
31〜33 機械式クラッチ
41 エンジン出力軸
44a,44b ロータ
45a,45b ステータ
51 連結歯車
52 連結歯車
C1 クラッチ(第1のクラッチ)
C2 クラッチ(第2のクラッチ)
C3 クラッチ(第3のクラッチ)
M1 電動機(第1の電動機、モータ)
M2 電動機(第2の電動機、モータ)
【発明の属する技術分野】
本発明は駆動輪を駆動するための動力源としてエンジンと電動機とを有するハイブリッド車両の駆動技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
動力源としてエンジンと電動機とを有するハイブリッド車両には、エンジンと変速機との間のフライホイール装着部に発電機と電動機を兼用する発電電動機を備え、発進時に電動機の動力つまりモータトルクをエンジントルクに付加する動力アシストを行うようにしたものが開発されている。そのような車両には、排気量がたとえば1300cc程度の比較的小型のエンジンにモータを搭載し、電力エネルギーの充電効率を向上させ、同時にエンジン動力にモータ動力をアシスト(発進時に最大60〜50Nmのトルク)して駆動装置の小型軽量化を図ったものがある。つまり、エンジンを主動力として発進時や加速時などの走行状況に応じてモータの動力をエンジン動力にアシストする方式であり、エンジンとモータの合計トルクを150Nm程度としている(たとえば、特許文献1参照)。このようなアシストハイブリッド車両には、ディーゼルエンジンに42V電源を利用したアシストを行うようにして、排出ガス低減と車の燃料消費を向上させるようにしたものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−241470号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術にあっては、モータトルクをエンジントルクにアシストしてトルク特性を補うものであるが、トルクコンバータ付きの自動変速機に比べ燃費性能は大幅に向上して経済性を強調できる反面、トルクコンバータのトルク増幅作用程にはモータアシストが得られず、動力性能は我慢せざるを得ない状況にあり、低速トルク向上が不可欠となっている。このため、この技術を四輪駆動車などに適用すると、登坂性能や走破性、悪路でのトラクションなどが従来のトルクコンバータ付きの四輪駆動車に比較すると大幅に低下するという不都合がある。特に、車両を牽引する場合には、顕著な差が生じるという不都合がある。
【0005】
上記従来技術のハイブリッド車両においては、同期型発電機に永久磁石を使用するので、駆動装置を小型化することができる反面、ロータが高速回転中に発電作用を起こし、ロータとステータのギャップ間に引きずりトルクが作用する。この引きずりトルクはステータとロータ間でロータとは反対方向にトルクが生ずるので、エンジントルクに対する抵抗力となる。このため、エンジンで駆動していると、高速運転中の馬力損失が生じ、動力性能の低下や燃料消費を悪化させる要因になる。特に、比較的排気量の大きいエンジンを持つハイブリッド車両には、応分の動力アシストが必要なことから、直径の大きなロータを持つ電動機を使ってトルク容量を増加させることになるので、高速走行中の発電作用による抵抗トルクは更に大きくなり、高速走行頻度の高い車両にとっては益々不都合となる。
【0006】
この対策として、引きずり分のトルクをキャンセルさせるような制御をさせることがある。しかし、トルクキャンセル制御が作動している間は、消費電流により発電電動機が発熱して、駆動装置の耐久性や信頼性に影響を与えるので、装置周辺を冷却して所定の温度に保つようにする必要がある。これは、高速道路での連続、高速運転などを想定すると、冷却装置を大型化したり、トルクキャンセル制御で消費電力が嵩み、結果として燃料消費の悪化につながる。この傾向は、定格出力の大きな発電電動機およびロータやステータが比較的大きな直径を有する構造程不利になる。さらに、発電効率を上げるためにロータとステータとの間のギャップを小さくすると、高速運転中には引きずりトルクが多くなるという矛盾も生じる。また、ディーゼルエンジンよりもエンジン回転範囲が高速となるガソリンエンジンなどの場合には不利になり易いという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、必要に応じて電動機のロータを回転させて駆動輪にトルクを伝達し、車両の走行フィーリングを向上することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、エンジンと複数の電動機とを有するハイブリッド車両の駆動装置において、走行状態や充電状態に応じて複数の電動機から選択的に駆動輪にトルクを伝達し、車両の走行フィーリングを向上することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、エンジンと複数の電動機とを有するハイブリッド車両の駆動装置において、走行状態や充電状態などに応じて複数の電動機から選択的に回生エネルギーを回収し得るようにすることにある。
【0010】
本発明の他の目的は、エンジンと複数の電動機とを有するハイブリッド車両の駆動装置において、サイズを大型化することなく、既存の車両用駆動装置に格納することができるように駆動装置の車両搭載性を向上することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、エンジンと複数の電動機とを有し、車両の走行状況に応じて前記エンジンと複数の前記電動機から選択的にトルクを駆動輪に伝達するハイブリッド車両の駆動装置であって、前記トルクが入力される変速機入力軸と、前記変速機入力軸に設けられた複数の変速歯車に常時噛み合って変速歯車列をなす複数の変速歯車が設けられ駆動輪にトルクを伝達する変速機出力軸とを備える変速機と、エンジン出力軸と前記変速機入力軸との間を断続する第1のクラッチと、前記変速機入力軸と第1の電動機のロータとの間を断続する第2のクラッチと、前記変速機出力軸に動力伝達可能に連結された第2の電動機のロータと前記第1の電動機のロータとの間を断続する第3のクラッチとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、前記変速機入力軸と前記変速機出力軸とが平行に配置され、複数の前記変速歯車列のうち動力伝達を行う歯車列を設定する複数の機械式クラッチを有することを特徴とし、前記第1および第2の電動機のロータの回転軸芯と前記エンジン出力軸の軸芯とを同一軸上に配設することを特徴とし、前記第1および第2の電動機を前記エンジンと前記変速機との間に配設することを特徴とし、さらに前記第1ないし第3のクラッチは油圧もしくは電磁力により作動する多板クラッチであることを特徴とする。
【0013】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、発進時や加速時に、前記第1のクラッチを係合させて前記第1の電動機のトルクを前記駆動輪に伝達するモードと、前記第1のクラッチと前記第2のクラッチとの双方を係合させるか、または前記第1〜第3のクラッチを係合させて前記エンジンと前記第1の電動機の双方のトルクまたは前記エンジンと前記第1と第2の電動機の双方のトルクを合成して前記駆動輪に伝達するモードとを有することを特徴とする。
【0014】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、前記第1の電動機が駆動されるか、または車両が走行状態であって前記第1のクラッチが解放された状態のもとで、前記第1のクラッチを係合させることにより前記エンジンを前記第1と第2の電動機の一方または双方により始動させることを特徴とする。
【0015】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、エンジンブレーキや運転者のブレーキ操作により車両が減速されているときには、前記第1のクラッチを解放状態にし、かつ前記第2のクラッチを係合するか、または第2と第3のクラッチを係合して駆動輪の回転エネルギーにより前記第1の電動機または第1と第2の電動機を駆動し、バッテリに充電することを特徴とする。
【0016】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、バッテリ充電時には前記第1のクラッチを係合するか、または前記第1と第2のクラッチを係合することを特徴とする。
【0017】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、変速時には前記第1のクラッチを解放して前記エンジンから前記変速機入力軸への動力伝達を遮断し、第2の電動機のトルクを前記伝達軸を介して前記変速機出力軸に伝達するか、または第3のクラッチを係合して前記伝達軸を介して前記第1と第2の電動機のトルクを前記変速機出力軸に伝達することを特徴とする。
【0018】
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、車両発進時には前記第1のクラッチによる伝達トルクを制御し、変速時には前記第1のクラッチを解放してエンジントルクを遮断して前記機械式クラッチを操作することを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、3つのクラッチを断続することによって、エンジンと2つの発動機と変速機出力軸との相互間に、多数の動力伝達経路を選択的に設定することができる。つまり、第1のクラッチを係合するとクラッチエンジンのトルクを変速機入力軸を介して駆動輪に伝達する経路が形成され、第2のクラッチを係合すると、第1の電動機のモータトルクを変速機入力軸を介して駆動輪に伝達する経路が形成される。また、第1と第2のクラッチを係合すると、エンジンと第1の電動機の両方のトルクを変速機入力軸を介して駆動輪に伝達する経路が形成される。また、第2の電動機のモータトルクを直接変速機出力軸にバイパスさせて駆動輪に伝達する経路が設定され、この状態のもとで第3のクラッチを係合すると、第1の電動機のトルクをも駆動輪に伝達することができる。さらに、機械式クラッチを遮断した状態のもとで、第1と第2のクラッチを係合すると、エンジンと第1の電動機間に動力伝達経路が形成され、第1の電動機のトルクをエンジンに伝達させてエンジンを始動させることができる。一方、エンジントルクを第1の電動機または第1と第2の電動機に伝達させて電動機を発電機としてバッテリへの充電を行うこともできる。
【0020】
このような動力伝達経路のいずれかを車両の走行状況に応じて、さらには車両の走行状況に加えて運転者の意思に応じて設定することができ、必要に応じて第1と第2の電動機の一方または双方のロータを回転させて駆動輪にトルクを伝達し、車両の走行フィーリングを向上することができる。また、エンジンによる車両駆動時に第1の電動機のロータを停止状態とすることができ、引きずりトルクの発生を防止して、冷却装置が不要な小型の駆動装置が得られる。さらに、変速機出力軸に伝達軸を介してモータトルクを伝達することにより、機械式クラッチを作動して変速段の切換を行う際に、トルク切れの発生を防止して円滑な変速操作を行うことができる。
【0021】
上述した動力伝達経路の選択により、この制御装置は、第1のクラッチのみを係合させることによりエンジン動力を第1のクラッチを介して変速機入力軸に伝達するエンジン走行モードとなる。このエンジン走行モードでは、機械式クラッチにより所定の変速段を選択することによって変速歯車列を介して駆動輪にエンジン動力が伝達される。このときには、第2のクラッチが解放されているので、走行中にロータの回転は停止しており、高速走行中における第1の電動機のロータの引きずりトルクの発生を防止することができる。
【0022】
エンジンが停止した状態のもとで第2のクラッチを係合して第1の電動機のモータトルクを変速機入力軸に伝達するか、またはさらに第3のクラッチを係合すると、駆動装置は電動機走行モードになる。さらに、第1と第2のクラッチを係合するか、または第1〜第3のクラッチを係合すると、駆動装置はエンジントルクと第1の電動機のトルクとを合成するか、またはこれに第2の電動機のトルクを合成して変速機入力軸に伝達するトルク合成走行モードとなる。一方、機械式クラッチを作動させて自動変速させるときには、駆動装置は自動変速機モードに設定され、第1と第2の電動機のモータトルクかまたは第2の電動機のモータトルクを直接変速機出力軸に伝達し、変速段の切換をトルク切れを発生させることなく円滑に行うことができる。
【0023】
一方、第1と第2のクラッチを係合した状態のもとで第1の電動機または第1と第2の双方の電動機を発電機として機能させると、駆動装置はエンジン動力が駆動輪と電動機とに伝達され、車両を走行しながらバッテリに充電する充電走行モードとなる。さらにこの充電走行モードにおいて、全ての機械式クラッチを中立位置つまりニュートラルに設定すると、エンジントルクは駆動輪に伝達されることなく、第1の電動機または第1と第2の双方の発電機に伝達されることになり、駆動装置はエンジン動力を全て発電に利用する充電モードとなる。
【0024】
車両の減速時やブレーキ操作をした時などには、第1のクラッチを切断してエンジンブレーキが利かないようにし、第2のクラッチを係合状態とすると、駆動輪により第1の電動機を発電機として機能させることができ、さらに第3のクラッチを係合状態とすると第1と第2の電動機をそれぞれ発電機として機能させることができ、駆動装置はブレーキ作動時にエネルギー回生モードに設定される。
【0025】
この駆動装置は第1のクラッチを滑らせながら車両をエンジンにより始動させることができるので、電気回路を電動機に対する高電圧系と機械式クラッチを制御するための電磁弁などに対する低電圧系とにより構成すれば、電動機の高電圧系が故障しても、エンジン始動系を機能させることができるリンプホームモードに設定することができる。さらに、車両の始動は、エンジンでも電動機でもいずれでも行うことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図であり、図2は図1における矢印A方向から見た変速機入力軸と変速機出力軸との配置関係を示す概略図である。この駆動装置は変速機入力軸1とこれに平行となって配置される変速機出力軸2とを備えており、これらはケース3内に組み込まれ変速機4を構成している。この変速機4は変速機入力軸1と変速機出力軸2とがそれぞれ車両の進行方向を向くようにして縦置きに車両に搭載される。この変速機4の前方には、エンジン5と2つのモータつまり電動機M1,M2とが配置され、車両の走行状況に応じて変速機4を介してエンジン5と2つの電動機M1,M2から選択的にトルクが駆動輪に伝達される。それぞれの電動機M1,M2は、発電機としての機能を有し、発電電動機となっており、回生エネルギーを吸収することができるが、この明細書では電動機M1,M2と表現されている。
【0027】
図1に示す変速機4は、変速機入力軸1と変速機出力軸2とが平行となってケース3内に配置されており、平行軸式の有段自動変速機となっている。変速機入力軸1には、第1速と第2速の駆動歯車11,12が一体に設けられ、第3速から第5速までの駆動歯車13〜15が回転自在に設けられている。変速機出力軸2には、第1速と第2速の被駆動歯車21,22が回転自在に取り付けられ、第3速から第5速までの被駆動歯車23〜25が一体に設けられている。それぞれの駆動歯車11〜15は対応する被駆動歯車21〜25に常時噛み合って変速歯車列となっており、複数の変速歯車列の中からトルクを伝達することになる変速歯車列を切り換えることによって変速動作が行われる。変速機入力軸1にはさらに後退用の駆動歯車16が一体に設けられている。
【0028】
変速機出力軸2には、第1速の被駆動歯車21と第2速の被駆動歯車22との間に第1の噛合いクラッチつまり機械式クラッチ31が設けられている。一方、変速機入力軸1には第3速の駆動歯車13と第4速の駆動歯車14との間に第2の機械式クラッチ32が設けられ、第5速の駆動歯車15に隣接させて第3の機械式クラッチ33が設けられている。これらの機械式クラッチはそれぞれ同期噛合機構つまりシンクロメッシュにより構成されている。ただし、第1の機械式クラッチ31を変速機入力軸1に設け、第2および第3の機械式クラッチを変速機出力軸2に設けるようにしても良い。
【0029】
機械式クラッチ31は変速機出力軸2に固定されたシンクロハブつまり切換ハブ31aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブつまり切換スリーブ31bとを有し、この切換スリーブ31bを第1速の被駆動歯車21に設けられた外歯21aに噛み合わせると変速比は第1速に設定され、逆に第2速の被駆動歯車22に設けられた外歯22aに噛み合わせると第2速に設定される。それぞれの外歯21a,22aは、歯車21,22に形成されたスプライン歯部と、シンクロナイザリングに形成された歯部とにより形成される。
【0030】
他の機械式クラッチ32,33も同様の構造であり、変速機入力軸1に固定された切換ハブ32a,33aと、それらにそれぞれ常時噛み合う切換スリーブ32b,33bとを有し、それぞれ対応する外歯13a,14a,15aのいずれかに噛み合わせることにより、変速比は第3速から第5速のいずれかに設定される。それぞれの切換スリーブ31b,32bおよび33bの軸方向の噛合移動は、図示しない油圧アクチュエータによって自動的に行われる。
【0031】
第1の機械式クラッチ31の切換スリーブ31bには後退用の被駆動歯車26が取り付けられ、変速機入力軸1と変速機出力軸2とに平行となったアイドラ軸17には、後退用の駆動歯車16と被駆動歯車26とに噛み合う位置と、噛み合いを離脱する位置とに移動自在にアイドラ歯車18が軸方向に摺動自在に装着されている。したがって、切換スリーブ31bが中立位置のもとで、アイドラ歯車18を摺動させると、アイドラ歯車18は後退用の駆動歯車16と被駆動歯車26とに噛み合い、変速機入力軸1の回転は変速機出力軸2に逆方向となって伝達される。
【0032】
変速機出力軸2は中空軸となっており、内部には前輪駆動軸34が組み込まれ、変速機出力軸2はセンタデファレンシャル35を介して前輪駆動軸34に連結されている。前輪駆動軸34はフロントデファレンシャル36を介して前輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより前輪が駆動される。また、センタデファレンシャル35の後輪出力軸37は、これに設けられた駆動歯車37aと被駆動歯車38aとを介して後輪駆動軸38に連結されており、後輪駆動軸38はリヤデファレンシャル39を介して後輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより後輪が駆動される。このように、前輪と後輪がともに駆動輪となっており、それぞれの駆動輪にトルクが伝達される。
【0033】
エンジン5のクランク軸5aはダンパ40を介してエンジン出力軸41に連結され、このエンジン出力軸41は変速機入力軸1と同軸上となっている。エンジン出力軸41と変速機入力軸1との間には、エンジン出力軸41と変速機入力軸1とを接続状態つまり係合状態と切断状態つまり解放状態とに断続の切換を行う第1のクラッチC1が設けられている。クラッチC1は変速機入力軸1に固定されるクラッチ用円筒体42を有し、エンジン出力軸41側にはクラッチディスク43aが設けられ、クラッチ用円筒体42の内側にはクラッチディスク43aと密着係合するクラッチディスク43bが設けられている。したがって、クラッチC1を係合させると、エンジン出力軸41は変速機入力軸1に接続される状態となり、係合を解くと変速機入力軸1はエンジン出力軸41に対して切断された状態となる。
【0034】
前述した2つの電動機M1,M2のうち第1の電動機M1は、クラッチ用円筒体42の径方向外方に配設され、永久磁石が組み込まれたロータ44aと、ケース3に固定されコイルが組み込まれたステータ45aとを有している。この電動機M1は、駆動輪に伝達されるトルクをアシストするとともに、ロータ44aをエンジン5により駆動すれば、発電機としても機能させてバッテリに充電することができ、車両の制動時に回生エネルギーを吸収することができ、さらにはエンジン5を始動させるためのスタータとしても機能させることができる。
【0035】
第1のロータ44aと変速機入力軸1との間には、ロータ44aと変速機入力軸1との断続の切換を行う第2のクラッチC2が設けられている。このクラッチC2は、クラッチ用円筒体42よりも大径であってこの径方向外方に配設されるクラッチ用円筒体46を有し、クラッチ用円筒体46の内側にはクラッチディスク47aが装着され、クラッチ用円筒体42の外側にはクラッチディスク47aと密着係合するクラッチディスク47bが装着されている。
【0036】
したがって、クラッチC2を係合させると、ロータ44aはクラッチC1のクラッチ用円筒体42を介して変速機入力軸1に接続される状態となり、係合を解くと変速機入力軸1はロータ44aに対して切断された状態となる。さらに、このクラッチC2のクラッチディスク47bはクラッチ用円筒体42の外側に装着されているので、クラッチC2が係合状態となると、クラッチC1のクラッチ用円筒体42とロータ44aは接続状態となる。これにより、電動機M1を発電機として機能させる際には、クラッチC1,C2を係合させることにより、エンジントルクをロータ44aに伝達することができる。一方、クラッチC2を切断すれば、エンジン5が駆動されているときに、エンジン回転をロータ44aに伝達しないようにすることができる。したがって、エンジン5のみで車両を走行する際には、ロータ44aの回転を停止させることができるので、ロータ44aを回転させた際におけるロータ44aの重量や摩擦に起因したエネルギーロスや引きずりトルクの発生を防止できる。
【0037】
変速機入力軸1の外側には第2の電動機M2の中空のロータ44bが回転自在に装着され、ロータ44bの外側に配置されたステータ45bはケース3に固定されている。ロータ44bに設けられた連結歯車51は、変速機出力軸2に設けられた連結歯車52に常時噛み合い、ロータ44bは連結歯車51,52を介して変速機出力軸2に連結されている。第1の電動機M1のロータ44aと第2の電動機M2のロータ44bとの間には、2つのロータ44a,44bの断続切換を行う第3のクラッチC3が設けられている。このクラッチC3は、ロータ44aに固定されたクラッチ用円筒体48の外側に装着されるクラッチディスク53aと、ロータ44bに固定されたクラッチ用円筒体49の内側に装着されてクラッチディスク53aと密着係合するクラッチディスク53bとを有している。
【0038】
したがって、クラッチC2を切断した状態のもとでクラッチC3を係合させると、ロータ44aはクラッチC3を介してロータ44bに接続される状態となり、クラッチC3の係合を解くとロータ44bはロータ44aに対して切断された状態になる。クラッチC2が切断された状態のもとでクラッチC3が係合状態になると、電動機M1のモータトルクは、変速機入力軸1を介することなく、電動機M2のロータ44bを介して電動機M2のモータトルクと合計されて変速機出力軸2にバイパスして直接伝達される。また、クラッチC3が切断された状態のもとで、電動機M2を駆動すると、連結歯車51,52を介して変速機出力軸2に連結されるロータ44bにより変速機出力軸2に直接伝達される。
【0039】
上述のように図示する駆動装置には3つのクラッチC1〜C3が設けられるとともに2つの電動機M1,M2が設けられているので、第1のクラッチC1を係合するとエンジン動力は変速機入力軸1に伝達され、第2のクラッチC2を係合すると電動機M1の動力は変速機入力軸1に伝達され、クラッチC3を係合すると2つの電動機M1,M2の動力は変速機出力軸2に直接伝達される。さらに、クラッチC1とクラッチC2の両方を係合すると、エンジン5の動力と電動機M1の動力がともに変速機入力軸1に伝達され、クラッチC3を切断した状態のもとで電動機M2を駆動すると、電動機M2のモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達される。
【0040】
したがって、3つのクラッチC1〜C3を断続制御つまり切断と接続とを制御することによって、動力源からの動力伝達経路を、エンジン5の動力を変速機入力軸1を介して駆動輪に伝達する経路と、電動機M1の動力を変速機入力軸1を介して駆動輪に伝達する経路と、エンジン5と電動機M1の両方の動力を変速機入力軸1を介して駆動輪に伝達する経路と、クラッチC2を切断して電動機M1,M2の動力を変速機入力軸1を介することなく直接変速機出力軸2にバイパスさせて駆動輪に伝達する経路と、さらにクラッチC3を切断して電動機M2のモータトルクのみを直接変速機出力軸2にバイパスさせて駆動輪に伝達する経路とのいずれかを選択することができる。
【0041】
図2に示すように、エンジン出力軸41の軸芯とロータ44a,44bの回転軸芯は、後輪駆動軸38の中心G1と同一軸芯上となっており、変速機出力軸2は後輪出力軸37の中心G2と同一軸芯上となっている。このようにロータ44a,44bをエンジン出力軸41の回転軸芯と同一軸芯上に配置することにより、支持軸を別途設ける必要が無く、駆動装置を複雑化したり大型化することなく、コンパクトな駆動装置が得られる。
【0042】
図3は図1に示された駆動装置の一部を拡大して示す断面図であり、ダンパ40の出力部40aはエンジン出力軸41にスプライン結合され、ロータ44aは出力部40aの外周に回転自在に装着された回転板54に固定されている。第1のクラッチC1のクラッチディスク43aは、エンジン出力軸41にスプライン結合されたクラッチ用円筒体55を介してエンジン出力軸41に設けられており、変速機入力軸1に固定されたクラッチ用円筒体42とクラッチ用円筒体55の間には、クラッチディスク43a,43bを係合状態と係合を解く状態とに切り換えるための油圧アクチュエータ56が装着されている。油圧アクチュエータ56とクラッチ用円筒体42とにより形成された油室57に作動油を供給する油路58aが変速機入力軸1に形成されており、油路58aから油室57に油圧が供給されると、戻しばね59aのばね力に抗して油圧アクチュエータ56が前進移動し、クラッチディスク43a,43bは係合状態となる。
【0043】
第2のクラッチC2のクラッチディスク47a,47bを係合状態と係合を解く状態とに切り換えるために、変速機入力軸1に固定された油圧シリンダ61には油圧アクチュエータ62が組み込まれている。油圧アクチュエータ62と油圧シリンダ61とにより形成された油室63に作動油を供給する油路58bが変速機入力軸1に形成されており、油路58bから油室63に油圧が供給されると、戻しばね59bのばね力に抗して油圧アクチュエータ62が前進移動し、クラッチディスク47a,47bは係合状態となる。
【0044】
第3のクラッチC3は、第1の電動機M1のロータ44aに固定されるクラッチ用円筒体48と、第2の電動機M2のロータ44bに伝達軸50を介して固定されるクラッチ用円筒体49とを有し、円筒体49に一体となった油圧シリンダ64は中空の伝達軸50の外周に回転自在に装着されている。第3のクラッチC3のクラッチディスク53a,53bを係合状態と係合を解く状態とに切り換えるために、油圧シリンダ64には油圧アクチュエータ65が組み込まれ、油圧アクチュエータ65と油圧シリンダ64とにより形成された油室66に作動油を供給するための油路58cが変速機入力軸1と伝達軸50との間に形成されている。したがって、油路58cから油室66に油圧が供給されると、戻しばね59cのばね力に抗して油圧アクチュエータ65が前進移動し、クラッチディスク53a,53bは係合状態となる。なお、図3において符号67はステアリング用のタイロッドを示す。
【0045】
図3に示すように、これらのクラッチC1〜C3は摩擦式多板クラッチであり、クラッチディスクの密着度を調整することにより、クラッチの入力側要素から出力側要素に対する伝達トルク容量を制御することができる。なお、それぞれのクラッチC1〜C3は図3に示すように油圧式であるが、電磁クラッチを用いるようにしても良い。
【0046】
上述のように図示する駆動装置には3つのクラッチC1〜C3が設けられているので、これらのクラッチC1〜C3を断続制御することによって、エンジン5と2つの電動機M1,M2と変速機出力軸2との相互間に多数の動力伝達経路を形成することができ、動力伝達経路を選択することによって駆動装置の作動モードを動力伝達経路に応じて以下のように設定することができる。
【0047】
(エンジン走行モード)
まず、第1のクラッチC1のみを係合し、他のクラッチC2,C3を切断した状態とすると、駆動装置はエンジン動力をクラッチC1を介して変速機入力軸1に伝達するエンジン走行モードとなる。このエンジン走行モードでは、機械式クラッチ31〜33により所定の変速段を選択することによって特定の変速歯車列を介して駆動輪にエンジン動力が伝達される。このエンジン走行モードは、両方の電動機M1,M2が作動を停止してトルクを伝達しないモードであり、このときには、第2のクラッチC2が解放されているので、走行中にロータ44aの回転は停止しており、高速走行中におけるロータ44aの引きずりトルクの発生を防止することができる。
【0048】
(電動機走行モード)
エンジン5が停止した状態のもとで、第1と第3のクラッチC1,C3を解放し、第2のクラッチC2を係合して第1の電動機M1のモータトルクを変速機入力軸1に伝達すると、駆動装置は第1の電動機走行モードになる。この電動機走行モードにおいても、機械式クラッチ31〜33により所定の変速段を選択することによって変速歯車列を介して駆動輪にエンジン動力が伝達される。また、第2のクラッチC1を係合したまま第3のクラッチC3を係合させると、第1の電動機M1のモータトルクが変速機入力軸1に伝達されるとともに、第2の電動機M2のモータトルクを直接変速機出力軸2に伝達され、これらの合成トルクを駆動輪に伝達することができる第2の電動機走行モードとなる。
【0049】
(トルク合成走行モード)
第1と第2のクラッチC1,C2を係合し、第3のクラッチC3を解放した状態とすると、駆動装置はエンジントルクと第1の電動機M1のモータトルクとを合成して変速機入力軸1に伝達するトルク合成走行モードとなる。このトルク合成走行モードでは、機械式クラッチ31〜33により所定の変速段を選択することによって特定の変速歯車列を介して駆動輪にエンジントルクと電動機M1のモータトルクとが合成されて伝達される。
【0050】
この状態のもとで、さらに第3のクラッチC3を係合させると、第2の電動機M2のモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達され、駆動輪にはエンジントルクと2つの電動機M1,M2のモータトルクとが合成されて伝達されることになり、最大の駆動力を発揮するトルク合成走行モードが得られる。
【0051】
(自動変速機モード)
機械式クラッチ31〜33を作動させて自動変速させるときには、駆動装置は自動変速機モードに設定される。この自動変速機モードでは、第1のクラッチC1を解放してエンジントルクの変速機入力軸1への伝達を遮断する。この状態のもとで第3のクラッチC3を係合すると2つの電動機M1,M2のモータトルクが変速機入力軸1を介することなく、直接、変速機出力軸2に伝達される。さらに、第3のクラッチC3を解放すると、電動機M2のモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達される。このときの変速段の切換は、機械式クラッチ31〜33を操作することによって変速歯車列の切換が駆動輪に対してトルク切れを発生させることなく自動的に行われる。
【0052】
(充電走行モード)
第1と第2のクラッチC1,C2を係合し、第3のクラッチC3を切断した状態のもとで第1の電動機M1を発電機として機能させると、駆動装置はエンジン動力を駆動輪と電動機M1とに伝達し、車両を走行しながらバッテリに充電する充電走行モードとなる。このモードにおいても変速段の切換は、機械式クラッチ31〜33を操作することによって自動的に変速歯車列を切り換えることができる。
【0053】
(充電モード)
上述した充電走行モードにおいては、機械式クラッチ31〜33によって変速機入力軸1はいずれかの変速機歯車列を介して変速機出力軸2にエンジントルクが伝達されるが、エンジン5を駆動した状態のもとで、全ての機械式クラッチ31〜33を中立位置つまりニュートラルに設定すると、エンジントルクは駆動輪に伝達されることなく、第1の電動機M1に伝達されることになり、駆動装置はエンジン動力を全て発電に利用する充電モードとなる。
【0054】
この充電モードにおいて、第3のクラッチC3を必要に応じて係合すると、動力源のエンジンから第1と第2の電動機M1,M2の双方で発電することができ、駆動装置は急速充電モードとなる。
【0055】
(エネルギー回生モード)
車両の減速時やブレーキ操作をした時などには、第1のクラッチC1を解放してエンジンブレーキが利かないようにし、第2のクラッチC2を係合状態とすると、駆動輪により電動機M1を発電機として機能させることができ、駆動装置はブレーキ作動時にエネルギー回生モードに設定される。さらに、第3のクラッチC3を係合させると、駆動輪により電動機M1,M2の双方を発電機として機能させることができる。
【0056】
このエネルギー回生モードにあっては、従来のようにブレーキ時にエンジンのポンピングロスを軽減して回生効率を向上させるために気筒休止を行う必要がなく、第1のクラッチC1を解放することによってエンジン駆動を解放することができる。これにより、エネルギー回生モードを複雑な気筒休止を行うことなく、簡単な制御で行うことができる。さらに、クラッチC1の操作によりエネルギー回生モードに設定することができるので、急ブレーキ時におけるエンストの発生を回避できる。すなわち、滑り易い道で強くブレーキを踏むと、ホイールロックやエンストの原因となるが、これを防止することができる。ABS付きの車両においては、ブレーキとABSの作動に応じてクラッチC1を制御することにより、エンストを防止することができる。
【0057】
(リンプホームモード)
駆動装置における電気回路を、2つの電動機M1,M2に対する高電圧系と機械式クラッチ31〜33を制御するための電磁弁などに対する低電圧系とにより構成し、第1もしくは第2の電動機M1,M2の高電圧系が故障しても、エンジン始動系が機能するようにすれば、駆動装置は第1のクラッチC1を滑らせながら車両をエンジンにより始動させることができるリンプホームモードとすることができる。このモードにあっては、変速時にはエンジントルクを遮断して機械式クラッチ31〜33によって所定の変速段を選択することができる。
【0058】
(車両スタートモード)
車両の始動は、エンジン5でも2つの電動機M1,M2の双方でも一方でもいずれでも行うことができる。エンジン5により車両を始動させる際には、第1と第2のクラッチC1,C2を係合し、第3のクラッチC3を切断状態として第1の電動機M1のモータトルクをクランク軸5aに伝達し、エンジン5を始動させる。このときには、全ての機械式クラッチ31〜33は中立位置に切り換えられることになる。エンジン5が始動した後には機械式クラッチ31により低速段の変速歯車列を動力伝達状態とするとともにクラッチC1を滑らせながらエンジン5により車両を始動させることができる。なお、エンジンにより車両を発進させる際には、第1速の変速段とすることなく、クラッチC1を滑らせることにより任意の変速段のもとで変速することができる。
【0059】
一方、第1の電動機M1により車両を始動させるときには、第2のクラッチC2を係合し、他のクラッチC1,C3を解放することによって第1の電動機M1のモータトルクを変速歯車列を介して駆動輪に伝達する。さらに、このモータトルクに加えて第2の電動機M2のモータトルクをも駆動輪に伝達するときには、第3のクラッチC3を係合させる。
【0060】
特に、動力性能を高めた走行が要求される場合には、エンジン5をアイドル停止させて燃費性能を確保するようにし、第2のクラッチC2を係合してアクセルペダルが全開状態にすると、まず、第1と第2の電動機M1,M2の一方または双方のモータトルクで車両を始動させ、変速機入力軸1がエンジン始動可能な回転数、たとえば400〜500rpmとなったときに第1のクラッチC1を係合すると、エンジン5が始動する。したがって、モータトルクに加えてエンジン全開トルクを駆動輪に伝達することができ、強力な加速が得られることになる。このような走行モードにおいては、変速操作時に適宜第3のクラッチC3を係合しながら機械式クラッチ31〜33を切り換えることによって、モータトルクで変速機のトルク切れを発生させることなく、トルクの谷を埋めて円滑に自動変速を達成することができる。高速走行中などの所定の速度で第2と第3のクラッチC2,C3を解放すれば、第1の電動機M1のロータ44aによる抵抗トルクの発生を回避できる。
【0061】
この駆動装置は、車両の走行状態に応じて上述のような代表的なモードに設定することができるとともに、任意のモードに設定するための操作部材を車室内に設けることによって運転者の意思に応じても何れかのモードを選択することができる。
【0062】
図4は車両の走行状況に応じた3つのクラッチC1〜C3と2つの電動機M1,M2のオンオフ制御の一例を示す作動表であり、クラッチC1〜C3については係合された状態が○で示され、電動機M1,M2については駆動された状態が○で示されている。
【0063】
図4に示す制御例では、発進時には第1のクラッチC1を係合してエンジン5の動力を変速機入力軸1に伝達し、さらに第2のクラッチC2を係合するとともに電動機M1,M2を駆動して両方の動力を変速機入力軸1に伝達する。これにより、発進時にはエンジントルクに加えて電動機M1,M2のモータトルクがアシストされて円滑に車両を発進させることができる。特に、エンジン5が過給機付きの場合には、車両の発進時にターボラグに起因してエンジン出力トルクが不足しても、電動機M1,M2のトルクをアシストすることにより発進時のトルク不足を補うことができる。なお、クラッチの断続を制御することにより、エンジントルクのみあるいは2つの電動機M1,M2の一方のモータトルクのみにより車両を発進させるようにしても良く、エンジントルクと一方の電動機のモータトルクとにより車両を発進させるようにしても良い。エンジンのみで走行する際には、クラッチC2を係合することによって電動機M1を発電機として機能させ、バッテリに充電することができる。さらには、クラッチC3を係合することによって電動機M1に加えて電動機M2をも発電機として機能させることができる。
【0064】
図5は車両の発進時にエンジントルクと2つの電動機M1,M2のモータトルクとを駆動輪に伝達するようにした場合における車速に応じたエンジントルクとモータトルクの変化を示す特性線図であり、発進時にはエンジントルクに加えて2つの電動機M1,M2のモータトルクが駆動輪に伝達されることになる。さらに、2つの電動機M1,M2の出力トルクを図4に示すように相違させることにより、電動機M1から変速機入力軸1を介して駆動輪に伝達されるモータトルクと、電動機M2から変速機入力軸1をバイパスして変速機出力軸2から直接駆動輪に伝達されるモータトルクとを相違させることができ、車両の走行状態に応じて最適なトルク伝達を行うことができる。
【0065】
車速が所定の車速以上となったときには、第2と第3のクラッチC2,C3を切断し、電動機M1,M2を停止させてエンジン動力のみにより車両を走行させることができる。車速が変化する過程で、変速段の切換操作が行われる際には、第1のクラッチC1を切断してエンジントルクを変速機入力軸1に伝達せず、さらに、第2のクラッチC2を切断して第1の電動機M1のトルクを変速機入力軸1に伝達しない状態のもとで、第3のクラッチC3を係合して2つの電動機M1,M2のトルクを変速機出力軸2に伝達することができる。または、第3のクラッチC3を切断することによって、電動機M1のトルクを変速機出力軸2に伝達することなく、電動機M2のトルクを変速機出力軸2に伝達するようにしても良い。
【0066】
このように、変速歯車列の切換操作が行われるときに、クラッチC1を切断するとエンジントルクが変速機入力軸1に伝達されないが、走行用の電動機M1,M2を利用して変速時に変速機出力軸2にモータトルクを伝達することができるので、変速操作時、特に低速段の変速時に加速度の変動を小さくして運転者に違和感を与えることなく円滑に変速を行うことができる。
【0067】
特に、車両が走行しているときには変速機出力軸2と第2の電動機M2のロータ44bは回転しており、変速時に第2の電動機M2のトルクを変速機出力軸2に伝達する際には、迅速に電動機M2を駆動することができる。また、変速時に第1と第2の電動機M1,M2のトルクを変速機出力軸2に伝達する際には、変速が行われる前に予めクラッチC3を係合しておくと、第1の電動機M1のロータ44aは変速機出力軸2によりロータ44bを介して駆動されることになるので、変速時には迅速に電動機M1を駆動させて電動機M1のトルクをも変速機出力軸2に伝達することができる。
【0068】
図6は変速操作が行われる際における駆動輪への伝達トルクの変化を示すグラフである。図6(A)は比較例として電動機動力のアシストを行わないで第1速から第3速まで変速した場合における伝達トルクの変化を示し、図6(B)は本発明の駆動装置における伝達トルクの変化を示す。図6(A)に示すように、電動機動力のアシストを行わない場合には、変速時にトルク切れが発生して変速操作が完了するまでに伝達トルクが大きく変化するが、図6(B)に示すように電動機トルクを加えることにより変速操作時にはトルク変動が小さくなる。
【0069】
図7は駆動装置の制御回路を示すブロック図であり、制御回路は制御手段としてのコントロールユニット71を有し、このコントロールユニット71には、運転者のセレクトレバー操作により選択された走行レンジを検出するインヒビタースイッチ72、イグニッションスイッチ73、車速センサ74、およびアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ75の信号が送られる。さらに、コントロールユニット71には、バッテリ電圧センサ76、第1の電動機M1のロータ44aの回転数を検出する第1モータ回転数センサ77a、第2の電動機M2のロータ44bの回転数を検出する第2モータ回転数センサ77b、エンジン回転数センサ78、および加速度センサ79の信号が送られる。なお、車両の加速度の検出は、車速センサ74からの信号を演算して求めるようにしても良く、その場合には加速度センサ79は不要となる。
【0070】
コントロールユニット71からはバッテリ80、エンジン出力制御リレー81、第1の電動機M1のオンオフを設定する第1モータ出力制御リレー82a、第2の電動機M2のオンオフを設定する第2モータ出力制御リレー82bおよびそれぞれのクラッチC1〜C3に対して制御信号が送られる。さらに、コントロールユニット71からはバッテリ充放電制御リレー83、およびトランスミッションコントロールユニット(変速機制御ユニット)TCU84に制御信号が送られる。
【0071】
図8は車両発進時における駆動装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1でイグニッションスイッチ73がオンされたことが判定されると、エンジン5が始動される(ステップS2)。エンジンが始動した状態のもとで、バッテリ80の残量が所定値以上となっていることがステップS3で判定され、ドライブレンジが運転者により選択されたことがステップS4で判定され、さらにアクセルセンサからの信号によりアクセルペダルが所定値以上踏み込まれたことがステップS5で判定されたときには、第1と第2のクラッチC1,C2が係合されるとともに、第1と第2のモータ出力制御リレー82a,82bがオンされる(ステップS6〜S8)。これにより、駆動輪にはエンジントルクが伝達されるとともに2つの電動機M1,M2のモータトルクが伝達される。
【0072】
ステップS9において車速が所定値以上の高速となったことが判定され、ステップS10においてモータ回転数Nmとエンジン回転数Neとが同一となったとことが判定されたときには、第2のクラッチC2が切断され、第1と第2のモータ出力制御リレー82a,82bがオフされて両方の電動機M1,M2が停止する。これにより、所定の車速以上ではエンジン動力により車両が駆動される(ステップS11〜S13)。ただし、エンジン回転数がロータの回転数よりも高くなったときにクラッチC2を切断するようにしても良い。
【0073】
一方、ステップS3においてバッテリ80の残量が所定値以下であると判定された状態のもとで、走行レンジが選択され(ステップS14)、アクセルペダルが所定値以上踏み込まれると(ステップS15)、ステップS16が実行されて第1のクラッチC1が係合される。これにより、エンジン5の動力のみにより車両が発進する。
【0074】
図9は変速操作が行われる際における駆動装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。ステップS21でエンジン回転数Neを検出し、ステップS22で車速を検出し、ステップS23で現在の変速段を検出する。これらの検出結果に基づいてステップS24では変速操作を実行するか否かが判定される。変速操作を実行することが判定されると、車両の加速度が検出され、第1と第2のモータ出力制御リレー82a,82bがオンされ、さらに第3のクラッチC3が係合される(ステップS26〜S28)。これにより、2つの電動機M1,M2のモータトルクが変速機出力軸2に直接伝達されることになり、変速時のトルク切れの発生が防止される。
【0075】
モータ回転数Nmが次の変速段にとしての所定の回転数に達したことがステップS29により判定されたら、ステップS31で第1のクラッチC1を切断し、ステップS31で設定変速段に変速操作が行われる。この操作は変速段に応じて3つの機械式クラッチ31〜33のいずれが駆動される。変速操作が完了すると、ステップS32で第1のクラッチC1が係合されてエンジントルクが変速機入力軸1に伝達され、変速操作が終了した後には、ステップS33,S34において第1と第2のモータ出力制御リレー82a,82bがオフされ、ステップS35において第3のクラッチC3が切断される。このように、変速操作が行われるときには、モータトルクが変速機出力軸2に直接伝達されるので、変速時のトルク切れの発生が防止されて円滑な変速操作が行われる。
【0076】
図10は本発明の他の実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図であり、図11は図10における矢印B方向から見た2つの電動機の配置関係を示す概略図である。図10においては図1に示された部材と共通する部材には同一の符号が付されており、重複した説明は省略する。図10に示す駆動装置においては、図1に示した駆動装置の第2の電動機M2が変速機入力軸1に同軸上に配置されているのに対して、電動機M2が第1の電動機M1と変速機4との間であって、フロントデファレンシャル36の上方に形成されるスペースに変速機入力軸1に平行となって配置されている。
【0077】
第1の電動機M1のロータ44aと第3のクラッチC3とを連結するために、変速機入力軸1の外側にはこれと同軸上に連結歯車91が回転自在に装着され、この連結歯車91はロータ44aに固定されており、ロータ44aと一体に回転する。この連結歯車91に噛み合う連結歯車92が連結軸93に取り付けられており、この連結軸93と第2の電動機M2のロータ44bとの間に第3のクラッチC3が設けられている。このクラッチC3は連結軸93に装着されたクラッチディスク53aと、ロータ44bのクラッチ用円筒体46bに装着されてクラッチディスク53aに密着するクラッチディスク53bとを有している。
【0078】
ロータ44bの回転を変速機出力軸2に伝達するために、ロータ44bに固定されたチェーンスプロケット51aと、変速機出力軸2に固定されたチェーンスプロケット52aとにはローラチェーン94が掛け渡されている。
【0079】
このように第2の電動機M2を配置した場合にも、図1に示した駆動装置と同様にして車両を駆動することができる。なお、図10に示す駆動装置においては、連結歯車91の部分に図1に示す場合と同様に第3のクラッチC3を変速機入力軸1と同軸上に配置し、変速機入力軸1と平行に配置された第2の電動機M2のロータ44bに歯車列を介してロータ44aとロータ44bとを連結するようにしても良い。
【0080】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々のドライブトレーンに適用可能である。たとえば、図1に示す駆動装置は四輪駆動用の車両に適用されるものであるが、センタデファレンシャル35を用いずに変速機出力軸2から直接フロントデファレンシャル36の終減速歯車にトルク伝達を行うようにすれば、前輪駆動用の駆動装置となる。また、エンジンと駆動装置が車両の前方のエンジン房内に、車幅方向に搭載される横置き配置にも本発明の駆動装置を適用することとができる。さらに、エンジンが車両の前部に配置され、車両の後輪側に配置されたリヤデファレンシャルへ動力伝達するようにしたFR方式にも本発明の駆動装置を適応させることができる。
【0081】
さらに、図1および図9に示した駆動装置においては、2つの電動機M1,M2が設けられているが、これらの電動機の間にさらに少なくとも1つの電動機を設けるようにしても良い。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、動力源としてエンジンと複数の電動機とを有するハイブリッド車両において、これらの動力源と駆動輪との間を複数のクラッチを断続させることによって複数の動力伝達経路の中から走行状態や運転者の意思に応じて最適な動力伝達経路を選択できるので、エンジンと複数の電動機のトルクを合成して車両の動力性能を向上させることができる。また、電動機のトルクで車両を走行したり、高速走行時には電動機の引きずりトルクの発生を回避して燃費向上を達成することができる。さらに、変速時に電動機のトルクを変速機出力軸に伝達することによってトルク切れのない円滑なシフト品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図である。
【図2】図1における矢印A方向から見た変速機入力軸と変速機出力軸との配置関係を示す概略図である。
【図3】図1の駆動装置における一部を拡大して示す断面図である。
【図4】車両の走行状況に応じたクラッチと電動機のオンオフ制御の一例を示す作動表である。
【図5】車速に応じたエンジントルクとモータトルクの変化を示す特性線図である。
【図6】変速操作が行われる際における駆動輪への伝達トルクの変化を示すグラフである。(A)は比較例として電動機動力のアシストを行わないで第1速から第3速まで変速した場合における伝達トルクの変化を示し、(B)は本発明の駆動装置における伝達トルクの変化を示す。
【図7】駆動装置の制御回路を示すブロック図である。
【図8】車両発進時における駆動装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】変速操作が行われる際における駆動装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図である。
【図11】図10における矢印B方向から見た2つの電動機の配置関係を示す概略図である。
【符号の説明】
1 変速機入力軸
2 変速機出力軸
4 変速機
5 エンジン
11〜15 駆動歯車
21〜25 被駆動歯車
31〜33 機械式クラッチ
41 エンジン出力軸
44a,44b ロータ
45a,45b ステータ
51 連結歯車
52 連結歯車
C1 クラッチ(第1のクラッチ)
C2 クラッチ(第2のクラッチ)
C3 クラッチ(第3のクラッチ)
M1 電動機(第1の電動機、モータ)
M2 電動機(第2の電動機、モータ)
Claims (11)
- エンジンと複数の電動機とを有し、車両の走行状況に応じて前記エンジンと複数の前記電動機から選択的にトルクを駆動輪に伝達するハイブリッド車両の駆動装置であって、
前記トルクが入力される変速機入力軸と、前記変速機入力軸に設けられた複数の変速歯車に常時噛み合って変速歯車列をなす複数の変速歯車が設けられ駆動輪にトルクを伝達する変速機出力軸とを備える変速機と、
エンジン出力軸と前記変速機入力軸との間を断続する第1のクラッチと、
前記変速機入力軸と第1の電動機のロータとの間を断続する第2のクラッチと、
前記変速機出力軸に動力伝達可能に連結された第2の電動機のロータと前記第1の電動機のロータとの間を断続する第3のクラッチとを有することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。 - 請求項1記載のハイブリッド車両の駆動装置において、前記変速機入力軸と前記変速機出力軸とが平行に配置され、複数の前記変速歯車列のうち動力伝達を行う歯車列を設定する複数の機械式クラッチを有することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
- 請求項1または2記載のハイブリッド車両の駆動装置において、前記第1および第2の電動機のロータの回転軸芯と前記エンジン出力軸の軸芯とを同一軸上に配設することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、前記第1および第2の電動機を前記エンジンと前記変速機との間に配設することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、前記第1ないし第3のクラッチは油圧もしくは電磁力により作動する多板クラッチであることを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、発進時や加速時に、前記第1のクラッチを係合させて前記第1の電動機のトルクを前記駆動輪に伝達するモードと、前記第1のクラッチと前記第2のクラッチとの双方を係合させるか、または前記第1〜第3のクラッチを係合させて前記エンジンと前記第1の電動機の双方のトルクまたは前記エンジンと前記第1と第2の電動機の双方のトルクを合成して前記駆動輪に伝達するモードとを有することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、前記第1の電動機が駆動されるか、または車両が走行状態であって前記第1のクラッチが解放された状態のもとで、前記第1のクラッチを係合させることにより前記エンジンを前記第1と第2の電動機の一方または双方により始動させることを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、エンジンブレーキや運転者のブレーキ操作により車両が減速されているときには、前記第1のクラッチを解放状態にし、かつ前記第2のクラッチを係合するか、または第2と第3のクラッチを係合して駆動輪の回転エネルギーにより前記第1の電動機または第1と第2の電動機を駆動し、バッテリに充電することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、バッテリ充電時には前記第1のクラッチを係合するか、または前記第1と第2のクラッチを係合することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、変速時には前記第1のクラッチを解放して前記エンジンから前記変速機入力軸への動力伝達を遮断し、第2の電動機のトルクを前記伝達軸を介して前記変速機出力軸に伝達するか、または第3のクラッチを係合して前記伝達軸を介して前記第1と第2の電動機のトルクを前記変速機出力軸に伝達することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、車両発進時には前記第1のクラッチによる伝達トルクを制御し、変速時には前記第1のクラッチを解放してエンジントルクを遮断して前記機械式クラッチを操作することを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
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