JP2023049935A - ポジ型感光性樹脂組成物、及び有機el素子隔壁 - Google Patents

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貴大 浅田
Takahiro Asada
拓樹 倉本
Hiroki Kuramoto
尚平 西澤
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Abstract

【課題】改善されたプロセス安定性と塗膜状態が得られる、黒色の着色剤を含有する感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポジ型感光性樹脂組成物は、複数のフェノール性水酸基を有し、複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された第1樹脂(A)と、エポキシ基及びフェノール性水酸基を有し、第1樹脂(A)以外の第2樹脂(B)と、黒色染料及び黒色顔料からなる群より選択される少なくとも1種の着色剤(C)と、光酸発生剤(D)とを含み、第1樹脂(A)における酸分解性基が、特定のシリル型酸分解性基と特定のアセタール型酸分解性基とを含み、シリル型酸分解性基とアセタール型酸分解性基とは、第1樹脂(A)の同一重合体中に存在し、かつアセタール型酸分解性基に対するシリル型酸分解性基のモル比が0.5以上10以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた有機EL素子隔壁、有機EL素子絶縁膜、及び有機EL素子に関する。より詳しくは、本発明は、黒色の着色剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた有機EL素子隔壁、有機EL素子絶縁膜、及び有機EL素子に関する。
有機ELディスプレイ(OLED)等の表示装置においては、表示特性向上のために、表示領域内の着色パターンの間隔部又は表示領域周辺部分の縁等に隔壁材が用いられている。有機EL表示装置の製造では、有機物質の画素が互いに接触しないようにするため、まず隔壁が形成され、その隔壁の間に有機物質の画素が形成される。
この隔壁は一般に、感光性樹脂組成物を用いるフォトリソグラフィによって形成され、絶縁性を有する。詳しくは、塗布装置を用いて感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、揮発成分を加熱等の手段で除去したのち、マスクを介して露光し、次いでネガ型の場合は未露光部分を、ポジ型の場合は露光部分を、アルカリ水溶液等の現像液で除去することによって現像し、得られたパターンを加熱処理して、隔壁(絶縁膜)を形成する。次いでインクジェット法等によって、赤、緑、青の3色の光を発する有機物質を隔壁の間に成膜して、有機EL表示装置の画素を形成する。
該分野では近年、表示装置の小型化、及び表示するコンテンツが多様化したことにより、画素の高性能化及び高精細化が要求されている。表示装置におけるコントラストを高め、視認性を向上させる目的で、着色剤を用いて隔壁材に遮光性を持たせる試みがなされている。しかし、隔壁材に遮光性を持たせた場合、感光性樹脂組成物が低感度となる傾向があり、その結果、露光時間が長くなり生産性が低下するおそれがある。そのため、着色剤を含む隔壁材の形成に使用される感光性樹脂組成物は、より高感度であることが要求される。
特許文献1(特開2001-281440号公報)は、露光後の加熱処理により高い遮光性を示す感放射線性樹脂組成物として、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド化合物とを含むポジ型感放射線性樹脂組成物に、チタンブラックを添加した組成物を記載している。
特許文献2(特開2002-116536号公報)は、[A]アルカリ可溶性樹脂、[B]1,2-キノンジアジド化合物、及び[C]着色剤を含有する感放射線性樹脂組成物において、カーボンブラックを用いて隔壁材を黒色化する方法を記載している。
特許文献3(特開2010-237310号公報)は、露光後の加熱処理により遮光性を示す感放射線性樹脂組成物として、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド化合物とを含むポジ型感放射線性樹脂組成物に、感熱色素を添加した組成物を記載している。
特許文献4(国際公開第2020/246517号)は、複数のフェノール性水酸基を有し、複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された第1樹脂(A)と、エポキシ基及びフェノール性水酸基を有する第2樹脂(B)と、黒色染料及び黒色顔料からなる群より選択される少なくとも1種の着色剤(C)と、光酸発生剤(D)を含有するポジ型感光性樹脂組成物を記載している。
特開2001-281440号公報 特開2002-116536号公報 特開2010-237310号公報 国際公開第2020/246517号
着色された隔壁材の形成に使用される感光性樹脂組成物の感度を高める手法として、樹脂組成物を化学増幅系とすることが挙げられる。しかし、化学増幅系は高感度だが露光後ベーク(PEB、post exposure bake)の実施条件によってパターン形成性が変わるため、プロセス安定性に乏しいという課題がある。
プロセス安定性の改善を目的として、酸分解性の異なる複数の樹脂を含む化学増幅系が提案されているが、樹脂同士の相溶性が悪い場合には、樹脂組成物と基板との密着性の低下や塗膜の溶解ムラを招く可能性がある。
本発明は上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、改善されたプロセス安定性と塗膜状態が得られる、黒色の着色剤を含有する感光性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、ポジ型感光性樹脂組成物を、複数のフェノール性水酸基を有し、複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が、シリル基を有する酸分解性基及びアセタール基を有する酸分解性基で保護された第1樹脂と、アルカリ可溶性官能基を有する特定の第2樹脂とを組み合わせて含む化学増幅系とすることで、黒色の着色剤を含有するにも拘わらず高感度であり、かつ、改善されたプロセス安定性と塗膜状態の提供が可能となることを見出した。
すなわち、本発明は次の態様を含む。
[1]
複数のフェノール性水酸基を有し、前記複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された第1樹脂(A)と、
エポキシ基及びフェノール性水酸基を有し、前記第1樹脂(A)以外の第2樹脂(B)と、
黒色染料及び黒色顔料からなる群より選択される少なくとも1種の着色剤(C)と、
光酸発生剤(D)と
を含む、ポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記酸分解性基は、式(1)で表されるシリル型酸分解性基と式(2)で表されるアセタール型酸分解性基とを含み、前記シリル型酸分解性基と前記アセタール型酸分解性基とは、前記第1樹脂(A)の同一重合体中に存在し、前記アセタール型酸分解性基に対する前記シリル型酸分解性基のモル比は、0.5以上10以下である、ポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2023049935000001
(式(1)において、R、R、及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。)
Figure 2023049935000002
(式(2)において、Rは、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~12の複素環基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基であり、R又はRの一方と結合して環員数3~10の環構造を形成してもよく、前記環構造は置換基を有していてもよい。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~12の複素環基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。)
[2]
前記第1樹脂(A)は、1又は複数のフェノール性水酸基を有し、前記フェノール性水酸基の少なくとも一部又は全部が前記式(1)で表される前記シリル型酸分解性基で保護された重合性単量体と、1又は複数のフェノール性水酸基を有し、前記フェノール性水酸基の少なくとも一部又は全部が前記式(2)で表される前記アセタール型酸分解性基で保護された重合性単量体との共重合体である、[1]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[3]
前記第1樹脂(A)は、式(3)
Figure 2023049935000003
(式(3)において、Rは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、Rは、前記式(1)で表されるシリル型酸分解性基であり、aは0~5の整数であり、bは0~5の整数であり、但しa+bは1~5の整数である。)
で表される構造単位と、式(4)
Figure 2023049935000004
(式(4)において、Rは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、R10は、前記式(2)で表されるアセタール型酸分解性基であり、cは0~5の整数であり、dは0~5の整数であり、但しc+dは1~5の整数である。)
で表される構造単位を有し、
aが1以上の整数である前記式(3)の構造単位と、cが1以上の整数である前記式(4)の構造単位とを、少なくとも1つずつ有する、[1]又は[2]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[4]
前記第1樹脂(A)は、式(5)
Figure 2023049935000005
(式(5)において、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、R13は、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~12の環状アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。)
で表される構造単位を有する、[1]~[3]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[5]
前記式(1)で表されるシリル型酸分解性基は、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリエチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、及びトリフェニルシリル基からなる群から選択される少なくとも1種の基である、[1]~[4]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[6]
前記式(2)で表されるアセタール型酸分解性基は、メトキシメチル基、1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、1-n-プロポキシエチル基、1-n-ブトキシエチル基、1-イソブトキシエチル基、1-(2-クロロエトキシ)エチル基、1-(2-エチルヘキシルオキシ)エチル基、1-シクロヘキシルオキシエチル基、1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル基、2-テトラヒドロピラニル基、及び2-テトラヒドロフラニル基からなる群から選択される少なくとも1種の基である、[1]~[5]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[7]
前記第1樹脂(A)及び前記第2樹脂(B)の合計質量を基準として、20質量%~90質量%の前記第1樹脂(A)を含む、[1]~[6]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[8]
前記第1樹脂(A)及び前記第2樹脂(B)の合計100質量部を基準として、10質量部~150質量部の前記着色剤(C)を含む、[1]~[7]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[9]
前記第1樹脂(A)及び前記第2樹脂(B)の合計100質量部を基準として、0.5質量部~75質量部の前記光酸発生剤(D)を含む、[1]~[8]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[10]
前記ポジ型感光性樹脂組成物の硬化被膜の光学濃度(OD値)が、膜厚1μmあたり0.5以上である、[1]~[9]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[11]
前記第2樹脂(B)が、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物とヒドロキシ安息香酸化合物との反応物であって、式(7)
Figure 2023049935000006
(式(7)において、eは1~5の整数であり、*は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物の、反応にかかるエポキシ基を除く残基との結合部を表す。)
の構造を有する、[1]~[10]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[12]
前記1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物が、ノボラック型エポキシ樹脂である、[11]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[13]
前記ヒドロキシ安息香酸化合物が、ジヒドロキシ安息香酸化合物である、[11]又は[12]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[14]
[1]~[13]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む、有機EL素子隔壁。
[15]
[1]~[13]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む、有機EL素子絶縁膜。
[16]
[1]~[13]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む、有機EL素子。
本発明によれば、改善されたプロセス安定性と塗膜状態を有する、黒色の着色剤を含有する高感度の感光性樹脂組成物を提供することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本開示において「アルカリ可溶性」及び「アルカリ水溶液可溶性」とは、ポジ型感光性樹脂組成物若しくはその成分、又はポジ型感光性樹脂組成物の被膜若しくは硬化被膜が、アルカリ水溶液、例えば2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に溶解可能であることを意味する。「アルカリ可溶性官能基」とは、そのようなアルカリ可溶性を、ポジ型感光性樹脂組成物若しくはその成分、又はポジ型感光性樹脂組成物の被膜若しくは硬化被膜に付与する基を意味する。アルカリ可溶性官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、酸無水物基、メルカプト基が挙げられる。
本開示において「酸分解性基」とは、酸の存在下、必要に応じて加熱を行うことにより、分解(脱保護)し、アルカリ可溶性官能基を生成させる基を意味する。
本開示において「ラジカル重合性官能基」とは、1又は複数のエチレン性不飽和基を指す。
本開示において、「単量体単位」とは、重合体において重合性単量体に由来する単位を意味する。
本開示において「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
本開示において、樹脂又はポリマーの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、gel permeation chromatography)によって測定される、標準ポリスチレン換算値を意味する。
<ポジ型感光性樹脂組成物>
一実施態様のポジ型感光性樹脂組成物は、複数のフェノール性水酸基を有し、複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された第1樹脂(A)と、エポキシ基及びフェノール性水酸基を有し、前記第1樹脂(A)以外の第2樹脂(B)と、黒色染料及び黒色顔料からなる群より選択される少なくとも1種の着色剤(C)と、光酸発生剤(D)とを含み、第1樹脂(A)における酸分解性基が、式(1)で表されるシリル型酸分解性基と式(2)で表されるアセタール型酸分解性基とを含み、シリル型酸分解性基とアセタール型酸分解性基とは、第1樹脂(A)の同一重合体中に存在し、かつアセタール型酸分解性基に対するシリル型酸分解性基のモル比が0.5以上10以下である。
Figure 2023049935000007
(式(1)において、R、R、及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。)
Figure 2023049935000008
(式(2)において、Rは、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~12の複素環基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基であり、R又はRの一方と結合して環員数3~10の環構造を形成してもよく、該環構造は置換基を有していてもよい。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~12の複素環基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。)
一実施態様では、ポジ型感光性樹脂組成物は、固形分100質量部を基準として、第1樹脂(A)を10質量部~80質量部、好ましくは20質量部~65質量部、より好ましくは30質量部~50質量部含む。
第1樹脂(A)の含有量が、固形分100質量部を基準として10質量部以上であると、化学増幅機能を感光性樹脂組成物に付与して高感度を実現することができる。第1樹脂(A)の含有量が、固形分100質量部を基準として80質量部以下であると、未反応の酸分解性基の残存量を低減し、露光部の溶解性を高めて高感度を実現することができる。
本開示において「固形分」とは、第1樹脂(A)、第2樹脂(B)、着色剤(C)、光酸発生剤(D)、溶解促進剤(E)、及び任意成分(F)を含み、溶媒(G)を除く成分の合計質量を意味する。
一実施態様では、ポジ型感光性樹脂組成物は、固形分100質量部を基準として、第2樹脂(B)を5質量部~50質量部、好ましくは10質量部~40質量部、より好ましくは15質量部~30質量部含む。
第2樹脂(B)の含有量が、固形分100質量部を基準として5質量部以上であると、露光部の溶解を促進して高感度を実現することができ、熱硬化後の被膜の安定性及び耐久性を確保することができる。第2樹脂(B)の含有量が、固形分100質量部を基準として50質量部以下であると、未露光部の溶解性を低く抑えて残膜率を高く保つことができる。
一実施態様では、ポジ型感光性樹脂組成物は、第1樹脂(A)及び第2樹脂(B)の合計質量を基準として、第1樹脂(A)を20質量%~90質量%、好ましくは35質量%~80質量%、より好ましくは50質量%~75質量%含む。
第1樹脂(A)の含有量を20質量%以上とすることで、化学増幅機能を感光性樹脂組成物に付与して高感度を実現することができる。第1樹脂(A)の含有量を90質量%以下とすることで、露光部の溶解性を高めて高感度を実現することができる。
[第1樹脂(A)]
第1樹脂(A)は、複数のフェノール性水酸基を有し、複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された樹脂であり、酸分解性基は、式(1)で表されるシリル型酸分解性基と式(2)で表されるアセタール型酸分解性基とを含み、シリル型酸分解性基とアセタール型酸分解性基とは、同一重合体中に存在し、アセタール型酸分解性基に対するシリル型酸分解性基のモル比は0.5以上10以下である。
フェノール性水酸基はアルカリ可溶性官能基であり、その一部が酸分解性基で保護されていることにより、第1樹脂(A)の露光前のアルカリ溶解性は抑制されている。第1樹脂(A)は、フェノール性水酸基以外のアルカリ可溶性官能基を有していてもよく、それらのアルカリ可溶性官能基は、フェノール性水酸基と同様に酸分解性基で保護されていてもよい。
露光時に光酸発生剤(D)により発生した酸の存在下、必要に応じて露光後ベーク(PEB、post exposure bake)を行うことにより、酸分解性基の分解(脱保護)が促進され、フェノール性水酸基が再生する。これにより、現像時に露光部で第1樹脂(A)のアルカリ溶解が促進される。第1樹脂(A)は、フェノール性水酸基以外のアルカリ可溶性官能基として、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、酸無水物基、メルカプト基を有してもよい。第1樹脂(A)は、アルカリ可溶性官能基以外の官能基、例えば、エポキシ基をさらに有していてもよい。
酸分解性基は、酸の存在下、必要に応じて加熱を行うことにより、分解(脱保護)し、アルカリ可溶性官能基を生成させる基である。第1樹脂(A)において、酸分解性基は、式(1)で表されるシリル型酸分解性基と式(2)で表されるアセタール型酸分解性基からそれぞれ、少なくとも1種類以上が選択される。これらの酸分解性基は、酸による脱保護のし易さが異なるため、組み合わせの種類やモル比率を最適化することで、ポジ型感光性樹脂組成物の高感度化や、PEB条件のプロセスウィンドウを拡張することができる。
また、本発明者らは、シリル型酸分解性基とアセタール型酸分解性基とを同一重合体中に有する樹脂を使用すると、それぞれの酸分解性基を異なる重合体中に有する樹脂を使用する場合よりも、ポジ型感光性樹脂組成物の塗膜表面状態やPEB条件のプロセスウィンドウが良好になることを見出した。シリル型酸分解性基とアセタール型酸分解性基とを同一重合体中に有する樹脂を使用することで、レジスト成分の相溶性が向上し、基板との密着性の上昇や塗膜の溶解ムラ抑制等の効果が発現したと推定している。
式(1)において、R、R、及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。
式(1)において、R、R、及びRで表される炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の飽和炭化水素基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基等の不飽和炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の飽和単環炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の不飽和単環炭化水素基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル基、ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、アダマンチル基等の飽和多環炭化水素基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル基、ビシクロ[2.2.2]オクテニル基等の不飽和多環炭化水素基が挙げられる。
式(1)において、R、R、及びRで表される炭素原子数6~20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基の置換基としては、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
炭素原子数6~20のアリール基の置換基としては、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
式(1)で表されるシリル型酸分解性基として、具体的には、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリエチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。これらの中でも、プロセス安定性と感度が優れているため、式(1)で表されるシリル型酸分解性基は、トリエチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、またはtert-ブチルジメチルシリル基であることが好ましい。
式(2)において、Rは、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~12の複素環基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。
式(2)において、Rで表される炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の飽和炭化水素基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基等の不飽和炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の飽和単環炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の不飽和単環炭化水素基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル基、ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、アダマンチル基等の飽和多環炭化水素基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル基、ビシクロ[2.2.2]オクテニル基等の不飽和多環炭化水素基が挙げられる。
で表される炭素原子数6~20のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
で表される炭素原子数3~12の複素環基としては、フラニル基、チオフェニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基が挙げられる。
式(2)において、Rは、R又はRの一方と結合して環員数3~10の環構造を形成してもよく、該環構造は置換基を有していてもよい。Rが、R又はRの一方と結合して形成される環員数3~10の環構造としては、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基が挙げられる。
炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基の置換基としては、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
炭素原子数6~20のアリール基の置換基としては、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
炭素原子数3~12の複素環基、又はRがR又はRの一方と結合して形成される環構造の置換基としては、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
式(2)において、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~12の複素環基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。
式(2)において、R及びRで表される炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の飽和炭化水素基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基等の不飽和炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の飽和単環炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の不飽和単環炭化水素基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル基、ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、アダマンチル基等の飽和多環炭化水素基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル基、ビシクロ[2.2.2]オクテニル基等の不飽和多環炭化水素基が挙げられる。
及びRで表される炭素原子数6~20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。R、Rで表される炭素原子数3~12の複素環基としては、フラニル基、チオフェニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基が挙げられる。
炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基の置換基としては、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
炭素原子数6~20のアリール基の置換基としては、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
炭素原子数3~12の複素環基の置換基としては、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
式(2)で表されるアセタール型酸分解性基として、具体的には、メトキシメチル基、1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、1-n-プロポキシエチル基、1-n-ブトキシエチル基、1-イソブトキシエチル基、1-(2-クロロエトキシ)エチル基、1-(2-エチルヘキシルオキシ)エチル基、1-シクロヘキシルオキシエチル基、1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル基、2-テトラヒドロピラニル基、及び2-テトラヒドロフラニル基などが挙げられる。これらの中でも、プロセス安定性と感度が優れているため、式(2)で表されるアセタール型酸分解性基は、2-テトラヒドロフラニル基であることが好ましい。
第1樹脂(A)が有する酸分解性基について、式(1)で表されるシリル型酸分解性基におけるR、R、及びRと、式(2)で表されるアセタール型酸分解性基におけるR、R、及びRが、反応式1で表される脱保護反応の全体の活性化エネルギーをΔ1、反応式2で表される脱保護反応の全体の活性化エネルギーをΔ2としたときに、Δ1/Δ2>1の関係を満たす基の組合せであることが好ましい。
Figure 2023049935000009
Figure 2023049935000010
Δ1/Δ2>1の関係を満たすことで、黒色の着色剤を含有するにも拘わらず高感度であり、かつ、改善されたプロセス安定性と塗膜状態を実現することが可能となる。Δ1/Δ2は、好ましくは1.10超であり、より好ましくは1.15超であり、さらに好ましくは1.25超である。
本開示において、反応式2で表される脱保護反応の活性化エネルギーは、以下の手順で算出する。量子化学計算ソフトGaussian16を使用し、密度汎関数法wB97XD/6-31+G(d)法を用いて、脱保護反応における律速段階の遷移状態と、脱保護前のエーテル分子と、水と、酸触媒であるトリフルオロメタンスルホン酸の安定構造を最適化計算する。
上記計算では溶媒和効果を取り込むため、連続誘電体モデル(PCM)を採用し、現実に使用される溶媒に誘電率が近いニトロメタンの誘電率と溶媒和半径を入力して、中性条件、一重項状態にて最適化計算を実施する。それぞれの構造に対して振動解析計算を施し、ゼロ点補正されたギブス自由エネルギーを計算する。
脱保護前のエーテル分子と、水分子と、トリフルオロメタンスルホン酸に関しては、振動解析により計算された基準振動から虚数振動が存在しないことを確認し、安定構造に収束したことを確認する。また、遷移状態の構造に関しては、振動解析により計算された基準振動から虚数振動が丁度1つ得られたことを確認し、遷移状態に収束したことを確認する。
得られた遷移状態の構造におけるギブス自由エネルギーをG(α)、脱保護前のエーテル分子の安定構造におけるギブス自由エネルギーをG(β)、水分子の安定構造におけるギブス自由エネルギーをG(γ)、トリフルオロメタンスルホン酸のギブス自由エネルギーをG(δ)として、構造(α)のギブス自由エネルギーG(α)から、構造(β)と(γ)と(δ)のギブス自由エネルギーの和G(β)+G(γ)+G(δ)を引くことで、下記の計算式(I)に示すように活性化エネルギーΔ2を定義する。
Δ2=G(α)-(G(β)+G(γ)+G(δ))・・・・・(I)
他方、本開示において、反応式1で表される脱保護反応の活性化エネルギーは、上記反応式2で述べた手法を踏襲しているが、G(α)の求め方のみが異なる。それを以下に記述する。
連続誘電体モデル(PCM)を用いた反応式1の律速段階の遷移状態への最適化計算は、しばしば収束が困難である。一方で、気相条件における計算では、遷移状態への最適化計算が正常に終了する。そこで、初めにPCMを用いない気相条件下での遷移状態を最適化計算する。遷移状態の構造に関しては、振動解析により計算された基準振動から虚数振動が丁度1つ得られたことを確認し、遷移状態に収束したことを確認する。
次に、得られた気相状態の構造をもとに、現実に使用される溶媒に誘電率が近いニトロメタンの誘電率と溶媒和半径を入力して、その構造におけるエネルギー計算と振動解析を実施し、ゼロ点補正されたギブス自由エネルギーを計算する。この操作で求まったギブス自由エネルギーを、G’(α)と置く。
次に、このG’(α)と、PCMにおける反応式1の律速段階の遷移状態へ最適化した結果得られるであろうG(α)とから、以下の計算式(II)にてスケーリング定数kを求める。
G(α)=kG’(α)・・・・・(II)
いくつかの置換基では、G(α)そのものが求められる場合があるため、それらG(α)が求められる置換基に対してG’(α)を計算し、最小二乗フィッティングを実施することで、k=0.80を得ることができる。
この計算に用いた置換基と、G(α)、G’(α)を表1に掲載する。最小二乗フィッティングの精度を担保するため、酸触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸の代わりにメタンスルホン酸を用いた反応式1のG(α)及びG’(α)を計算し、合計6組のG(α)並びにG’(α)から、k=0.80を求めた。
Figure 2023049935000011
このk=0.80を用いることで、以下の計算式(III)を用いてG’(α)からG(α)を求め、計算式(I)に基づいて反応式1における活性化エネルギーΔを求める。
G(α)=0.80G’(α)・・・・・(III)
式(1)で表されるシリル型酸分解性基と、式(2)で表されるアセタール型酸分解性基の組み合わせのうち、Δ1/Δ2>1を満たすものとして、例えば、トリエチルシリル基と2-テトラヒドロフラニル基、tert-ブチルジメチルシリル基と2-テトラヒドロフラニル基、メチルジフェニルシリル基と2-テトラヒドロフラニル基が挙げられる。
シリル型酸分解性基である、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基について、反応式1で示される脱保護反応の全体の活性化エネルギー(Δ1)と、アセタール型酸分解性基である2-テトラヒドロフラニル基について、反応式2で示される脱保護反応の全体の活性化エネルギー(Δ2)を、量子化学計算ソフトGaussian16を使用して算出した結果を、表2に示す。
Figure 2023049935000012
表2に示されるように、トリエチルシリル基と2-テトラヒドロフラニル基、tert-ブチルジメチルシリル基と2-テトラヒドロフラニル基、メチルジフェニルシリル基と2-テトラヒドロフラニル基の組み合わせは、それぞれΔ1/Δ2>1を満たす。このため、式(1)で表されるシリル型酸分解性基と、式(2)で表されるアセタール型酸分解性基の組み合わせとして、好適に用いることができる。
第1樹脂(A)において、全てのフェノール性水酸基に対する、式(1)で表されるシリル型酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基の割合と、式(2)で表されるアセタール型酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基の割合の合計は、5モル%~95モル%であることが好ましく、10モル%~70モル%であることがより好ましく、15モル%~50モル%であることがさらに好ましい。酸分解性基で保護されているフェノール性水酸基の割合は、核磁気共鳴装置(NMR)によるH NMRスペクトル積分値より算出される。
第1樹脂(A)において、アセタール型酸分解性基に対するシリル型酸分解性基のモル比は、0.5以上10以下である。前記のモル比が0.5以上10以下であると、露光部分を中心に速やかにアルカリ溶解性が向上する部分と、緩やかに溶解性が発現する部分をバランス良く共存させることができるため、改善されたプロセス安定性と塗膜状態を与えるポジ型感光性樹脂組成物を得ることができる。前記のモル比は、1.2以上6.0以下であることが好ましく、1.5以上4.0以下であることがより好ましい。
第1樹脂(A)は、フェノール性水酸基を有する重合性単量体のフェノール性水酸基を酸分解性基で保護した後、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体、及び必要に応じてその他の重合性単量体を、重合又は共重合することにより得ることができる。酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する第1樹脂(A)は、Ar-O-Rの部分構造を有し、Arはフェノール由来の芳香環を表し、Rは酸分解性基を表す。
さらに具体的には、第1樹脂(A)は、1又は複数のフェノール性水酸基を有し、当該フェノール性水酸基の少なくとも一部又は全部が式(1)で表されるシリル型酸分解性基で保護された重合性単量体と、1又は複数のフェノール性水酸基を有し、当該フェノール性水酸基の少なくとも一部又は全部が式(2)で表されるアセタール型酸分解性基で保護された重合性単量体と、必要に応じてその他の重合性単量体とを、共重合することにより得ることができる。
フェノール性水酸基の保護反応は、一般的な保護剤を用いて公知の条件で行うことができる。例えば、無溶媒又はテトラヒドロフラン、酢酸エチル等の溶媒中で、フェノール性水酸基を有する重合性単量体と保護剤とを、酸又は塩基の存在下、反応温度-20~120℃で反応させることにより実施することができる。
保護剤としては、例えば、酸分解性基が式(1)で表されるシリル型の場合は、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、tert-ブチルジメチルクロロシランなどを用いることができる。酸分解性基が式(2)で表されるアセタール型の場合は、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、2,3-ジヒドロフラン、3,4-ジヒドロ-2H-ピランなどを用いることができる。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等の無機酸、及びメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。有機酸の塩、例えば、p-トルエンスルホン酸のピリジニウム塩なども酸供給源として使用することができる。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機炭酸塩、及びピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン化合物が挙げられる。
別の実施態様では、第1樹脂(A)は、複数のフェノール性水酸基を有するベース樹脂(a)のフェノール性水酸基の一部を酸分解性基で保護することによって得ることもできる。ベース樹脂(a)のフェノール性水酸基の保護は、上記した、フェノール性水酸基を有する重合性単量体のフェノール性水酸基の保護と、同様の方法で行うことができる。
第1樹脂(A)の材料となるベース樹脂(a)としては、例えば、複数のフェノール性水酸基を有する、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体、シリコーン樹脂、環状オレフィンポリマー、カルド樹脂、及びこれらの樹脂の誘導体が挙げられる。
例えば、フェノール樹脂の誘導体として、アルケニル基がベンゼン環に結合したポリアルケニルフェノール樹脂、ポリスチレン樹脂の誘導体として、フェノール性水酸基とヒドロキシアルキル基又はアルコキシ基とがベンゼン環に結合したヒドロキシポリスチレン樹脂誘導体などが挙げられる。ベース樹脂(a)として、フェノール性水酸基を有する重合性単量体の単独重合体又は共重合体を使用することもできる。
これらのベース樹脂(a)は単独で、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。ベース樹脂(a)はラジカル重合性官能基を有してもよい。
一実施態様では、第1樹脂(A)のフェノール性水酸基の5モル%~95モル%、好ましくは10モル%~70モル%、より好ましくは15モル%~50モル%が、酸分解性基で保護されている。
第1樹脂(A)において、酸分解性基で保護されているフェノール性水酸基の割合を5モル%以上とすることで、化学増幅機能を感光性樹脂組成物に付与して高感度を実現することができる。酸分解性基で保護されているフェノール性水酸基の割合を95モル%以下とすることで、未反応の酸分解性基の残存量を低減し、露光部の溶解性を高めて高感度を実現することができる。
〔酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体の共重合体(A1)〕
一実施態様では、第1樹脂(A)は、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体の共重合体(A1)であり、共重合体(A1)は複数のフェノール性水酸基を有する。この実施態様において、第1樹脂(A)となる酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体の共重合体(A1)は、複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が、式(1)で表されるシリル型酸分解性基と式(2)で表されるアセタール型酸分解性基で保護されたものである。
共重合体(A1)は、フェノール性水酸基以外のアルカリ可溶性官能基、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、酸無水物基、又はメルカプト基をさらに有してもよい。共重合体(A1)は、アルカリ可溶性官能基以外の官能基、例えば、エポキシ基をさらに有していてもよい。
重合性単量体が有する重合性官能基としては、ラジカル重合性官能基を挙げることができ、例えば、CH=CH-、CH=C(CH)-、CH=CHCO-、CH=C(CH)CO-、-OC-CH=CH-CO-などが挙げられる。
酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体の共重合体(A1)は、例えば、フェノール性水酸基を有する重合性単量体のフェノール性水酸基を酸分解性基で保護した後、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。ラジカル重合により共重合体を合成した後に、フェノール性水酸基を前記共重合体に付加してもよい。
フェノール性水酸基を有する重合性単量体としては、例えば、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート、3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジルアクリルアミド、4-ヒドロキシフェニルアクリルアミド、4-ヒドロキシスチレン、及び4-ヒドロキシフェニルマレイミドが挙げられる。
耐熱性等の観点から、共重合体(A1)は、脂環式構造、芳香族構造、多環式構造、無機環式構造、複素環式構造等の1種又は複数種の環式構造を有することが好ましい。
フェノール性水酸基を有する重合性単量体として、式(8)で表される構造単位を形成するものが好ましい。
Figure 2023049935000013
式(8)において、R17は、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、fは1~5の整数である。
式(8)において、R17は、水素原子又はメチル基が好ましい。fは1~3の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
フェノール性水酸基を有する重合性単量体として、4-ヒドロキシフェニルメタクリレートが特に好ましい。
一実施態様では、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体の共重合体(A1)は、式(3)
Figure 2023049935000014
(式(3)において、Rは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、Rは、式(1)で表されるシリル型酸分解性基であり、aは0~5の整数であり、bは0~5の整数であり、但しa+bは1~5の整数である。)
で表される構造単位と、式(4)
Figure 2023049935000015
(式(4)において、Rは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、R10は、式(2)で表されるアセタール型酸分解性基であり、cは0~5の整数であり、dは0~5の整数であり、但しc+dは1~5の整数である。)
で表される構造単位を有し、aが1以上の整数である式(3)の構造単位と、cが1以上の整数である式(4)の構造単位とを、少なくとも1つずつ有する。
酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体の共重合体(A1)をラジカル重合によって製造する際の重合開始剤としては、特に限定されないが、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルブチレート)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタノエート)などのアゾ重合開始剤、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の10時間半減期温度が100~170℃の過酸化物重合開始剤、あるいは過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、1,1’-ジ(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert-ブチルペルオキシピバレートなどの過酸化物重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤の使用量は、重合性単量体の総量100質量部に対して、一般に0.01質量部以上、0.05質量部以上、又は0.5質量部以上であることが好ましく、40質量部以下、20質量部以下、又は15質量部以下であることが好ましい。
RAFT(Reversible Addition Fragmentation Transfer、可逆的付加開裂型連鎖移動)剤を、重合開始剤と併用してもよい。RAFT剤としては、特に限定されないが、ジチオエステル、ジチオカルバメート、トリチオカルボナート、キサンタートなどのチオカルボニルチオ化合物を使用することができる。
RAFT剤は、重合性単量体の総量100質量部に対して、0.005~20質量部の範囲で使用することができ、0.01~10質量部の範囲で使用することが好ましい。
酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体の共重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、3000~80000とすることができ、4000~70000であることが好ましく、5000~60000であることがより好ましい。
数平均分子量(Mn)は、1000~30000とすることができ、1500~25000であることが好ましく、2000~20000であることがより好ましい。
多分散度(Mw/Mn)は、1.0~3.5とすることができ、1.1~3.0であることが好ましく、1.2~2.8であることがより好ましい。
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び多分散度(Mw/Mn)を上記範囲とすることで、アルカリ溶解性及び現像性に優れたポジ型感光性樹脂組成物を得ることができる。
〔酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体との共重合体(A2)〕
一実施態様では、第1樹脂(A)は、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体との共重合体(A2)であり、共重合体(A2)は複数のフェノール性水酸基を有する。この実施態様において、第1樹脂(A)となる酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体の共重合体(A2)は、複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が、式(1)で表されるシリル型酸分解性基と式(2)で表されるアセタール型酸分解性基で保護されたものである。
この実施態様の共重合体(A2)は、上記した、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体の共重合体(A1)を形成するための、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体と、その他の重合性単量体との共重合体である。共重合体(A2)は、共重合体(A1)と同様に、フェノール性水酸基以外のアルカリ可溶性官能基をさらに有してもよく、アルカリ可溶性官能基以外の官能基、例えば、エポキシ基をさらに有していてもよい。重合性単量体が有する重合性官能基としては、共重合体(A1)について説明したものが挙げられる。
さらに具体的には、この実施態様の共重合体(A2)は、1又は複数のフェノール性水酸基を有し、当該フェノール性水酸基の少なくとも一部又は全部が式(1)で表されるシリル型酸分解性基で保護された重合性単量体と、1又は複数のフェノール性水酸基を有し、当該フェノール性水酸基の少なくとも一部又は全部が式(2)で表されるアセタール型酸分解性基で保護された重合性単量体と、その他の重合性単量体との共重合体である。
フェノール性水酸基を有する重合性単量体としては、共重合体(A1)について説明したものが挙げられる。フェノール性水酸基を有する重合性単量体は、上記と同様に、式(8)で表される構造単位を形成するものが好ましい。
その他の重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル-n-ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル化合物、アルキル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド、マレイン酸無水物、マレイン酸モノエステル、(メタ)アクリル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、α-クロル(メタ)アクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、β-スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、フマル酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸、3-マレイミドプロピオン酸、4-マレイミド酪酸、及び6-マレイミドヘキサン酸が挙げられる。
その他の重合性単量体として、式(5)で表される構造単位を形成するものが好ましい。
Figure 2023049935000016
式(5)において、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、R13は、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~12の環状アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。
式(5)において、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましい。R13は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~12の環状アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基であることが好ましい。
その他の重合性単量体として、フェニルマレイミド及びシクロヘキシルマレイミドが特に好ましい。
一実施態様では、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体との共重合体(A2)は、上記の式(3)で表される構造単位、上記の式(4)で表される構造単位、及び式(5)
Figure 2023049935000017
(式(5)において、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、R13は、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~12の環状アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。)
で表される構造単位を有し、aが1以上の整数である式(3)の構造単位と、cが1以上の整数である式(4)の構造単位とを、少なくとも1つずつ有する。
フェノール性水酸基を有する重合性単量体として4-ヒドロキシフェニルメタクリレートを用い、その他の重合性単量体としてフェニルマレイミド又はシクロヘキシルマレイミドを用いることが特に好ましい。これらの重合性単量体をラジカル重合させた樹脂を用いることにより、形状維持性、現像性を向上させるとともにアウトガスも低減することができる。
共重合体(A2)をラジカル重合によって製造する際の重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、上記の共重合体(A1)について説明したものが挙げられる。重合開始剤の使用量についても、上記の共重合体(A1)について説明した使用量が適用できる。
共重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び多分散度(Mw/Mn)は、上記の共重合体(A1)について説明したものと同様であってよい。
[エポキシ基及びフェノール性水酸基を有する第2樹脂(B)]
エポキシ基及びフェノール性水酸基を有する第2樹脂(B)は、上記第1樹脂(A)以外の樹脂であり、アルカリ水溶液可溶性樹脂である。第2樹脂(B)は、フェノール性水酸基以外のアルカリ可溶性官能基を有していてもよい。フェノール性水酸基及び他のアルカリ可溶性官能基は、酸分解性基で保護されていてもよい。
第2樹脂(B)は、例えば、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」と表記することがある。)のエポキシ基と、ヒドロキシ安息香酸化合物のカルボキシ基を反応させることで得ることができる。第2樹脂(B)がエポキシ基を有することで、現像後の加熱処理(ポストベーク)時にフェノール性水酸基との反応により架橋が形成され、被膜の耐薬品性、耐熱性などを向上させることができる。フェノール性水酸基は現像時のアルカリ水溶液に対する可溶性に寄与することから、第2樹脂(B)は、低露光量で露光したときに酸分解性基が十分に分解(脱保護)されなかった第1樹脂(A)の溶解促進剤としても機能し、これにより感光性樹脂組成物を高感度にすることができる。
エポキシ化合物が有するエポキシ基の1つと、ヒドロキシ安息香酸化合物のカルボキシ基とが反応し、フェノール性水酸基を有する化合物となる反応の例を次の反応式3に示す。
Figure 2023049935000018
1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂を挙げることができる。
これらのエポキシ化合物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有していればよく、1種類のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの化合物は熱硬化型であるため、当業者の常識として、エポキシ基の有無、官能基の種類、重合度などの違いから、その構造を一義的に記載することができない。
ノボラック型エポキシ樹脂の構造の一例を、式(9)に示す。式(9)において、例えば、R18は、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~2のアルコキシ基、又は水酸基であり、gは1~50の整数である。
Figure 2023049935000019
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、EPLICLON(登録商標)N-770(DIC株式会社)、jER(登録商標)-152(三菱ケミカル株式会社
)が挙げられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、EPICLON(登録商標)N-695(DIC株式会社)、EOCN(登録商標)-102S(日本化薬株式会社)が挙げられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、jER(登録商標)828、jER(登録商標)1001(三菱ケミカル株式会社)、YD-128(商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、jER(登録商標)806(三菱ケミカル株式会社)、YDF-170(商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、jER(登録商標)YX-4000、jER(登録商標)YL-6121H(三菱ケミカル株式会社)が挙げられる。ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂としては、例えば、NC-7000(商品名、日本化薬株式会社)、EXA-4750(商品名、DIC株式会社)があげられる。脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、EHPE(登録商標)-3150(ダイセル化学工業株式会社)が挙げられる。複素環式エポキシ樹脂としては、例えば、TEPIC(登録商標)、TEPIC-L、TEPIC-H、TEPIC-S(日産化学工業株式会社)が挙げられる。
1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物は、ノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましく、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂に由来する第2樹脂(B)を含むポジ型感光性樹脂組成物は、パターン形成性に優れており、アルカリ溶解性の調節が容易であり、アウトガスが少ない。
ヒドロキシ安息香酸化合物は、安息香酸の2~6位の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であり、例えば、サリチル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-ニトロ安息香酸、3-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸、4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸が挙げられ、アルカリ現像性を高める点でジヒドロキシ安息香酸化合物が好ましい。これらヒドロキシ安息香酸化合物は、1種類のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一実施態様では、第2樹脂(B)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物とヒドロキシ安息香酸化合物との反応物であって、式(7)
Figure 2023049935000020
の構造を有する。式(7)において、eは1~5の整数であり、*は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物の、反応にかかるエポキシ基を除く残基との結合部を表す。
エポキシ化合物とヒドロキシ安息香酸化合物から第2樹脂(B)を得る方法では、エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、ヒドロキシ安息香酸化合物を0.2~1.0当量使用することができ、好ましくは0.3~0.9当量、さらに好ましくは0.4~0.8当量使用する。ヒドロキシ安息香酸化合物が0.2当量以上であれば、十分なアルカリ溶解性を得ることができ、1.0当量以下であれば、副反応による分子量増加を抑制することができる。
エポキシ化合物とヒドロキシ安息香酸化合物の反応を促進させるために、触媒を使用してもよい。触媒の使用量は、エポキシ化合物及びヒドロキシ安息香酸化合物からなる反応原料混合物100質量部を基準として、0.1~10質量部とすることができる。反応温度は60~150℃、反応時間は3~30時間とすることができる。
この反応で使用する触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウムが挙げられる。
第2樹脂(B)の数平均分子量(Mn)は、500~8000であることが好ましく、800~6000であることがより好ましく、1000~5000であることがさらに好ましい。数平均分子量が500以上であれば、アルカリ溶解性が適切なため感光性材料の樹脂として良好であり、8000以下であれば、塗工性及び現像性が良好である。
[着色剤(C)]
着色剤(C)は、黒色染料及び黒色顔料からなる群より選択される少なくとも1種である。黒色染料と黒色顔料とを、併用してもよい。例えば、着色剤(C)を含むポジ型感光性樹脂組成物を用いて有機EL素子に黒色の隔壁を形成することにより、有機ELディスプレイ等の表示装置の視認性を向上させることができる。
一実施態様では、着色剤(C)は黒色染料を含む。黒色染料として、ソルベントブラック27~47のカラーインデックス(C.I.)で規定される染料を用いることができる。黒色染料は、好ましくは、ソルベントブラック27、29、又は34のC.I.で規定されるものである。ソルベントブラック27~47のC.I.で規定される染料のうち少なくとも1種類を黒色染料として用いた場合、焼成後のポジ型感光性樹脂組成物の被膜の遮光性を維持することができる。
黒色染料を含むポジ型感光性樹脂組成物は、黒色顔料を含むポジ型感光性樹脂組成物と比較して、現像時に着色剤(C)の残渣が少なく、高精細のパターンを被膜に形成することができる。
着色剤(C)として、黒色顔料を用いてもよい。黒色顔料として、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、チタンブラック、ペリレン系顔料、ラクタム系顔料等が挙げられる。これらの黒色顔料は、表面処理を施したものを使用することもできる。
市販のペリレン系顔料の例としては、BASF社のK0084、K0086、ピグメントブラック21、30、31、32、33、及び34等が挙げられる。市販のラクタム系顔料の例としては、BASF社のIrgaphor(登録商標)ブラック S0100CFが挙げられる。
高い遮光性を有することから、黒色顔料は、好ましくは、カーボンブラック、チタンブラック、ペリレン系顔料、及びラクタム系顔料からなる群より選択される少なくとも1種である。
一実施態様では、ポジ型感光性樹脂組成物は、第1樹脂(A)及び第2樹脂(B)の合計100質量部を基準として、着色剤(C)を好ましくは10質量部~150質量部、より好ましくは30質量部~100質量部、さらに好ましくは40質量部~60質量部含む。
着色剤(C)の含有量が、上記合計100質量部を基準として10質量部以上であると、焼成後の被膜の遮光性を維持することができる。着色剤(C)の含有量が、上記合計100質量部を基準として150質量部以下であると、アルカリ現像性を損なうことなく被膜を着色することができる。
[光酸発生剤(D)]
ポジ型感光性樹脂組成物は、光酸発生剤(D)を含む。光酸発生剤(D)は、可視光、紫外光、γ線、電子線などの放射線が照射されると、酸を発生する化合物である。
光酸発生剤(D)は、第1樹脂(A)の酸分解性基の分解を促進してフェノール性水酸基を再生させ、第1樹脂(A)のアルカリ溶解性を増大させる。また、放射線が照射された部分に光酸発生剤(D)から生じた酸が存在することで、その部分の樹脂が、酸と一緒にアルカリ水溶液に溶解し易くなる。その結果、低露光量でも高感度で高解像度のパターンを形成することができる。光酸発生剤(D)は、単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
光酸発生剤(D)は、放射線照射によりpKaが4以下の酸を発生するものが好ましく、pKaが3以下の酸を発生するものがより好ましい。このような光酸発生剤(D)は、酸分解性基の分解能力を有する酸を生成することができる。
光酸発生剤(D)は、放射線照射によりpKaが-15以上の酸を発生するものが好ましく、pKaが-10以上の酸を発生するものがより好ましい。このような光酸発生剤(D)は、露光及び露光後の加熱処理(PEB)時に第2樹脂(B)のエポキシ基の開環重合を過度に進行させず、現像時に第2樹脂(B)のアルカリ溶解性を維持することができる。
光酸発生剤(D)が放射線照射により発生する酸としては、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸などが好ましい。
光酸発生剤(D)として、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩、第四級アンモニウム塩、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。これらの中でも、高感度であり絶縁性が高いことから、オキシムスルホネート化合物を用いることが好ましい。
オキシムスルホネート化合物として、例えば、式(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023049935000021
式(6)において、R16は、置換又は非置換の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はハロゲン原子であり、R14及びR15はそれぞれ独立して、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の複素環基、シアノ基、アシル基、カルボキシ基、又はアルコキシカルボニル基であり、R14とR15とが結合して環員数3~10の環構造を形成してもよく、該環構造は置換基を有していてもよい。
16の置換又は非置換のアルキル基としては、例えば、炭素原子数1~10の直鎖状又は分岐状アルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、又はn-プロピル基であることが好ましい。R16の置換又は非置換のアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1~5の直鎖状又は分岐状アルコキシ基が挙げられ、メトキシ基又はエトキシ基であることが好ましい。
16のアルキル基及びアルコキシ基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子1~10のアルコキシ基、及び炭素原子数3~10のシクロアルキル基が挙げられる。
16の置換又は非置換のアリール基としては、例えば、炭素原子数6~20のアリール基が挙げられ、フェニル基、4-メチルフェニル基、又はナフチル基であることが好ましい。R16のアリール基の置換基としては、例えば、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
16のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
16は、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~10のアルキル基、特にトリフルオロメチル基であることが好ましい。
14及びR15の置換又は非置換のアリール基としては、例えば、炭素原子数6~20のアリール基が挙げられ、フェニル基又はナフチル基であることが好ましい。R14及びR15の置換又は非置換の複素環基としては、例えば、2-ベンゾイミダゾリル基、2-ベンゾオキサゾリル基、2-ベンゾチアゾリル基、及び2-インドリル基が挙げられる。
14及びR15のアリール基及び複素環基の置換基としては、例えば、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)が挙げられる。
14及びR15のアシル基としては、例えば、ベンゾイル基が挙げられる。R14及びR15のアルコキシカルボニル基としては、例えば、エトキシカルボニル基が挙げられる。
14が完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~10のアルキル基、シアノ基、カルボキシ基、又はアルコキシカルボニル基であり、R15がアリール基、複素環基であることが好ましい。R14がトリフルオロメチル基であり、R15がアリール基、複素環基であることがより好ましい。
オキシムスルホネート化合物として、例えば、(Z,E)-2-(4-メトキシフェニル)([((4-メチルフェニル)スルホニル)オキシ]イミノ)アセトニトリル、2-[2-(プロピルスルホニルオキシイミノ)チオフェン-3(2H)-イリデン]-2-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、2-[2-(4-メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)チオフェン-3(2H)-イリデン]-2-(2-メチルフェニル)アセトニトリルが挙げられる。
オキシムスルホネート化合物の市販品として、例えば、BASF社のIrgacure(登録商標)PAG-169を好ましく用いることができる。
一実施態様では、ポジ型感光性樹脂組成物は、第1樹脂(A)及び第2樹脂(B)の合計100質量部を基準として、光酸発生剤(D)を好ましくは0.5質量部~75質量部、より好ましくは5質量部~40質量部、さらに好ましくは10質量部~30質量部含む。
光酸発生剤(D)の含有量が、上記合計100質量部を基準として0.5質量部以上であると、高感度を実現することができる。光酸発生剤(D)の含有量が、上記合計100質量部を基準として75質量部以下であると、アルカリ現像性が良好である。
[溶解促進剤(E)]
ポジ型感光性樹脂組成物は、現像時にアルカリ可溶性部分の現像液への溶解性を向上させるための溶解促進剤(E)をさらに含んでもよい。
溶解促進剤(E)として、カルボキシ基を有する化合物及びフェノール性水酸基を有する化合物からなる群より選択される有機低分子化合物が挙げられる。溶解促進剤(E)は、1種類のみで用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示において「低分子化合物」とは、分子量1000以下の化合物をいう。上記有機低分子化合物は、カルボキシ基又は複数のフェノール性水酸基を有しており、アルカリ可溶性である。
そのような有機低分子化合物としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘミメリット酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、没食子酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸;カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,2,4-ベンゼントリオール、ピロガロール、フロログルシノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオールなどが挙げられる。
ポジ型感光性樹脂組成物中の溶解促進剤(E)の含有量は、第1樹脂(A)及び第2樹脂(B)の合計100質量部を基準として、0.1~50質量部とすることができ、好ましくは1~35質量部であり、より好ましくは2~20質量部である。
溶解促進剤(E)の含有量が、上記合計100質量部を基準として0.1質量部以上であれば、樹脂成分の溶解を効果的に促進することができ、50質量部以下であれば、樹脂成分の過度の溶解を抑制して、被膜のパターン形成性、表面品質等を高めることができる。
[任意成分(F)]
ポジ型感光性樹脂組成物は、任意成分(F)として、第1樹脂(A)及び第2樹脂(B)以外の樹脂、熱硬化剤、界面活性剤、(C)以外の着色剤等を含むことができる。本開示において、任意成分(F)は(A)~(E)のいずれにも当てはまらないものと定義する。
第1樹脂(A)及び第2樹脂(B)以外の、その他の樹脂として、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体、シリコーン樹脂、環状オレフィンポリマー、カルド樹脂、及びこれらの樹脂の誘導体が挙げられる。これらの樹脂は、アルカリ可溶性官能基を有してもよく、有さなくてもよい。
熱硬化剤として、熱ラジカル発生剤を使用することができる。好ましい熱ラジカル発生剤としては、有機過酸化物を挙げることができ、具体的には、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の10時間半減期温度が100~170℃の有機過酸化物を挙げることができる。
熱硬化剤の含有量は、熱硬化剤を除く固形分の合計100質量部を基準として、5質量部以下が好ましく、より好ましくは4質量部以下であり、さらに好ましくは3質量部以下である。
ポジ型感光性樹脂組成物は、例えば、塗工性を向上させるため、被膜の平滑性を向上させるため、又は被膜の現像性を向上させるために、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;メガファック(登録商標)F-251、同F-281、同F-430、同F-444、同R-40、同F-553、同F-554、同F-555、同F-556、同F-557、同F-558、同F-559(以上、商品名、DIC株式会社)、サーフロン(登録商標)S-242、同S-243、同S-386、同S-420、同S-611(以上、商品名、ACGセイミケミカル株式会社)等のフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP323、KP326、KP341(以上、商品名、信越化学工業株式会社)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上用いることもできる。
界面活性剤の含有量は、界面活性剤を除く固形分の合計100質量部を基準として、2質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以下であり、さらに好ましくは0.5質量部以下である。
ポジ型感光性樹脂組成物は、着色剤(C)以外の第2着色剤を含有することができる。第2着色剤として、染料、有機顔料、無機顔料等が挙げられ、目的に合わせて用いることができる。第2着色剤は、本発明の開示の効果を損なわない含有量で使用することができる。
染料としては、例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、及びアズレン系染料が挙げられる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154、166、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブラウン23、25、26を挙げることができる。
[溶媒(G)]
ポジ型感光性樹脂組成物は、溶媒(G)に溶解されて溶液状態(但し、黒色顔料を含むときは、顔料は分散状態である。)で用いることができる。例えば、第1樹脂(A)及び第2樹脂(B)を溶媒(G)に溶解して得られた溶液に、着色剤(C)、及び光酸発生剤(D)、並びに必要に応じて溶解促進剤(E)、熱硬化剤、界面活性剤等の任意成分(F)を所定の割合で混合することにより、溶液状態のポジ型感光性樹脂組成物を調製することができる。ポジ型感光性樹脂組成物は、溶媒(G)の量を変化させることにより使用する塗布方法に適した粘度に調整することができる。
溶媒(G)としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール化合物、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート化合物、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド化合物が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポジ型感光性樹脂組成物は、第1樹脂(A)、第2樹脂(B)、着色剤(C)、及び光酸発生剤(D)、並びに必要に応じて溶解促進剤(E)又は任意成分(F)を、溶媒(G)に溶解又は分散して混合することにより、調製することができる。使用目的により、ポジ型感光性樹脂組成物の固形分濃度を適宜決定することができる。例えば、ポジ型感光性樹脂組成物の固形分濃度を1~60質量%としてもよく、3~50質量%、又は5~40質量%としてもよい。
顔料を使用する場合の分散混合方法については、公知の方法を使用することができる。例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、ロッキングミルなどのボール型、ニーダー、パドルミキサー、プラネタリミキサー、ヘンシェルミキサーなどのブレード型、3本ロールミキサーなどのロール型、その他としてライカイ機、コロイドミル、超音波、ホモジナイザー、自転・公転ミキサーなどを使用してもよい。分散効率と微分散化から、ビーズミルを使用することが好ましい。
調製されたポジ型感光性樹脂組成物は、通常、使用前にろ過される。ろ過の手段としては、例えば、孔径0.05~1.0μmのミリポアフィルターが挙げられる。
このように調製されたポジ型感光性樹脂組成物は、長期間の貯蔵安定性にも優れている。
<ポジ型感光性樹脂組成物の使用方法>
ポジ型感光性樹脂組成物を放射線リソグラフィーに使用する場合、まず、ポジ型感光性樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散してコーティング組成物を調製する。次に、コーティング組成物を基板表面に塗布し、加熱等の手段により溶媒を除去して、被膜を形成することができる。基板表面へのコーティング組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、スプレー法、ロールコート法、スリット法、スピンコート法を使用することができる。
コーティング組成物を基板表面に塗布した後、通常、加熱により溶媒を除去して被膜を形成する(プリベーク)。加熱条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常70~130℃で、例えば、ホットプレート上なら30秒~20分間、オーブン中では1~60分間の加熱処理をすることによって、被膜を得ることができる。
次にプリベークされた被膜に、所定のパターンを有するフォトマスクを介して放射線(例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、ガンマ線、シンクロトロン放射線等)を照射する(露光工程)。オキシムスルホネート化合物を光酸発生剤(D)として使用する場合、好ましい放射線は、250~450nmの波長を有する紫外線乃至可視光線である。一実施態様では、放射線はghi線である。
露光工程の後、光酸発生剤(D)から生じた酸により酸分解性基を分解させるための加熱処理(PEB)を行うことができる。PEBにより、露光部の第1樹脂(A)のアルカリ可溶性を高めることができる。加熱条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常70~140℃で、例えば、ホットプレート上なら30秒~20分間、オーブン中では1~60分間の加熱処理をすることによって、PEBを行うことができる。
PEB工程の後、被膜を現像液に接触させることにより現像し、不要な部分を除去して被膜にパターンを形成する(現像工程)。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン等の第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリン等の第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノナン等の環状アミン等のアルカリ化合物の水溶液を用いることができる。アルカリ水溶液に、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤等を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
現像時間は、通常30~180秒間である。現像方法は、液盛り法、シャワー法、ディッピング法等のいずれでもよい。現像後、流水洗浄を30~90秒間行い、不要な部分を除去し、圧縮空気又は圧縮窒素で風乾させることによって、被膜にパターンを形成することができる。
その後、パターンが形成された被膜を、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、例えば、100~350℃で、20~200分間の加熱処理をすることによって、硬化被膜を得ることができる(ポストベーク、加熱処理工程)。加熱処理において、温度を一定に維持してもよく、温度を連続的に上昇させてもよく、段階的に上昇させてもよい。加熱処理は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
ポジ型感光性樹脂組成物の硬化被膜の光学濃度(OD値)は、膜厚1μmあたり0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。硬化被膜のOD値が膜厚1μmあたり0.5以上であれば、十分な遮光性を得ることができる。
一実施態様の有機EL素子隔壁又は絶縁膜の製造方法は、ポジ型感光性樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散してコーティング組成物を調製すること、コーティング組成物を基材に塗布して被膜を形成すること、被膜に含まれる溶媒を除去して被膜を乾燥すること、乾燥した被膜に放射線をフォトマスク越しに照射して被膜を露光すること、露光された被膜を加熱して第1樹脂(A)の酸分解性基の少なくとも一部を分解すること、露光後加熱された被膜を現像液に接触させることにより現像して、被膜にパターンを形成すること、及びパターンが形成された被膜を100℃~350℃の温度で加熱処理して、有機EL素子隔壁又は絶縁膜を形成することを含む。
一実施態様は、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む有機EL素子隔壁である。
一実施態様は、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む有機EL素子絶縁膜である。
一実施態様は、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む有機EL素子である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
(1)原料
実施例及び比較例で使用した原料は、以下のとおり製造又は入手した。
第1樹脂(A)、第2樹脂(B)、及びその他の樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量に関しては、以下の測定条件で、ポリスチレンの標準物質を使用して作成した検量線を用いて算出した。
装置名:Shodex(登録商標)GPC-101
カラム:Shodex(登録商標)LF-804
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
検出器:Shodex(登録商標)RI-71
温度:40℃
[参考製造例1]フェノール性水酸基が2-テトラヒドロフラニル基で保護されたモノマー(PQMA-THF)の製造
3Lのセパラブルフラスコ中で、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工株式会社「PQMA」)500g、及び酸触媒としてp-トルエンスルホン酸のピリジニウム塩(東京化成工業株式会社)35.2gを、テトラヒドロフラン1000gに溶解させた。その後、窒素ガス雰囲気下で氷冷し、2,3-ジヒドロフラン(東京化成工業株式会社)393gを1時間かけて滴下した。その後、室温で2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で酸触媒を中和した後、水層を除去した。テトラヒドロフランを減圧留去し、酢酸エチル500gを加えて有機層を水で2回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、酢酸エチルを減圧留去して、無色の液体を672g得た。
[参考製造例2]フェノール性水酸基がトリエチルシリル基で保護されたモノマー(PQMA-TES)の製造
2Lのセパラブルフラスコ中で、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工株式会社「PQMA」)75.6g、イミダゾール(東京化成工業株式会社)57.3gを、酢酸エチル750gに溶解させた。その後、窒素ガス雰囲気下で氷冷し、トリエチルクロロシラン(東京化成工業株式会社)95.1gを滴下した。その後、室温で3時間撹拌した。反応溶液に純水200gを加え、水層を除去する操作を三回行った。有機層に硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、酢酸エチルを減圧留去した。得られた溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒としてヘキサン:酢酸エチル=30:1(体積比)を使用した)にて精製し、無色の液体を102g得た。
<第1樹脂(A)>
[製造例1]フェノール性水酸基がトリエチルシリル基と2-テトラヒドロフラニル基で保護された樹脂(PCX-02e-TES16-THF5)の製造
4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工株式会社「PQMA」)19.4g、4-テトラヒドロフラン-2-イルオキシフェニルメタクリレート(PQMA-THF)2.23g、4-トリエチルシリルオキシフェニルメタクリレート(PQMA-TES)19.4g、及びN-シクロヘキシルマレイミド(東京化成工業株式会社)4.93gを、溶媒であるイソプロピルアセテート86.4gに完全に溶解させ、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬株式会社)2.87gを、イソプロピルアセテート11.4gに完全に溶解させた。
得られた2つの溶液を、還流管が付いた300mLの3つ口型フラスコ中、窒素ガス雰囲気下で89℃に加熱したイソプロピルアセテート52.8gに、同時に2時間かけて滴下し、その後、89℃で4時間反応させた。室温まで冷却した反応溶液50gを、125gのヘキサンと125gのトルエンの混合溶媒に滴下し、共重合体を沈殿させた。沈殿した共重合体をろ過により回収し、80℃で6時間真空乾燥し、白色の粉体(PCX-02e-TES16-THF5)を8.11g回収した。
得られたPCX-02e-TES16-THF5の数平均分子量は4124、重量平均分子量は7609、全単量体単位において、フェノール性水酸基がシリル型酸分解性基で保護されている割合は16モル%、アセタール型酸分解性基で保護されている割合は5モル%であった。アセタール型酸分解性基に対するシリル型酸分解性基のモル比は、3.2であった。また、全てのフェノール性水酸基に対する、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基の割合の合計は25モル%であった。
[製造例2]フェノール性水酸基がトリエチルシリル基と2-テトラヒドロフラニル基で保護された樹脂(PCX-02e-TES16-THF9)の製造
4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工株式会社「PQMA」)17.4g、4-テトラヒドロフラン-2-イルオキシフェニルメタクリレート(PQMA-THF)4.44g、4-トリエチルシリルオキシフェニルメタクリレート(PQMA-TES)10.4g、及びN-シクロヘキシルマレイミド(東京化成工業株式会社)4.75gを、溶媒であるイソプロピルアセテート86.3gに完全に溶解させ、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬株式会社)2.87gを、イソプロピルアセテート11.4gに完全に溶解させた。
得られた2つの溶液を、還流管が付いた300mLの3つ口型フラスコ中、窒素ガス雰囲気下で89℃に加熱したイソプロピルアセテート52.7gに、同時に2時間かけて滴下し、その後、89℃で4時間反応させた。室温まで冷却した反応溶液50gを、125gのヘキサンと125gのトルエンの混合溶媒に滴下し、共重合体を沈殿させた。沈殿した共重合体をろ過により回収し、80℃で6時間真空乾燥し、白色の粉体(PCX-02e-TES16-THF9)を6.72g回収した。
得られたPCX-02e-TES16-THF9の数平均分子量は4036、重量平均分子量は7709、全単量体単位において、フェノール性水酸基がシリル型酸分解性基で保護されている単量体単位の割合は16モル%、アセタール型酸分解性基で保護されている単量体単位の割合は9モル%であった。アセタール型酸分解性基に対するシリル型酸分解性基のモル比は、1.8であった。また、全てのフェノール性水酸基に対する、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基の割合の合計は31モル%であった。
<その他の樹脂(任意成分(F)>
[製造例3]フェノール性水酸基がトリエチルシリル基と2-テトラヒドロフラニル基で保護された樹脂(PCX-02e-TES10-THF23)の製造
4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工株式会社「PQMA」)15.2g、4-テトラヒドロフラン-2-イルオキシフェニルメタクリレート(PQMA-THF)11.0g、4-トリエチルシリルオキシフェニルメタクリレート(PQMA-TES)6.22g、及びN-シクロヘキシルマレイミド(東京化成工業株式会社)4.71gを、溶媒であるイソプロピルアセテート86.3gに完全に溶解させ、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬株式会社)2.88gを、イソプロピルアセテート11.4gに完全に溶解させた。
得られた2つの溶液を、還流管が付いた300mLの3つ口型フラスコ中、窒素ガス雰囲気下で89℃に加熱したイソプロピルアセテート52.7gに、同時に2時間かけて滴下し、その後、89℃で4時間反応させた。室温まで冷却した反応溶液50gを、125gのヘキサンと125gのトルエンの混合溶媒に滴下し、共重合体を沈殿させた。沈殿した共重合体をろ過により回収し、80℃で6時間真空乾燥し、白色の粉体(PCX-02e-TES10-THF23)を8.49g回収した。
得られたPCX-02e-TES10-THF23の数平均分子量は3907、重量平均分子量は7369、全単量体単位において、フェノール性水酸基がシリル型酸分解性基で保護されている単量体単位の割合は10モル%、アセタール型酸分解性基で保護されている単量体単位の割合は23モル%であった。アセタール型酸分解性基に対するシリル型酸分解性基のモル比は、0.4であった。また、全てのフェノール性水酸基に対する、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基の割合の合計は40モル%であった。
[製造例4]フェノール性水酸基がトリエチルシリル基で保護された樹脂(PCX-02e-TES23)の製造
4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工株式会社「PQMA」)19.2g、4-トリエチルシリルオキシフェニルメタクリレート(PQMA-TES)13.1g、及びN-シクロヘキシルマレイミド(東京化成工業株式会社)4.74gを、溶媒であるイソプロピルアセテート55.8gに完全に溶解させ、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬株式会社)2.86gを、イソプロピルアセテート11.4gに完全に溶解させた。
得られた2つの溶液を、還流管が付いた300mLの3つ口型フラスコ中、窒素ガス雰囲気下で89℃に加熱したイソプロピルアセテート83.4gに、同時に2時間かけて滴下し、その後、89℃で4時間反応させた。室温まで冷却した反応溶液50gを、125gのヘキサンと125gのトルエンの混合溶媒に滴下し、共重合体を沈殿させた。沈殿した共重合体をろ過により回収し、80℃で6時間真空乾燥し、白色の粉体(PCX-02e-TES23)を6.58g回収した。
得られたPCX-02e-TES23の数平均分子量は3766、重量平均分子量は7774、全単量体単位において、フェノール性水酸基がシリル型酸分解性基で保護されている単量体単位の割合は23モル%であった。また、全てのフェノール性水酸基に対する、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基の割合の合計は25モル%であった。
[製造例5]フェノール性水酸基が2-テトラヒドロフラニル基で保護された樹脂(PCX-02e-THF33)の製造
4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工株式会社「PQMA」)16.3g、4-テトラヒドロフラン-2-イルオキシフェニルメタクリレート(PQMA-THF)15.9g、及びN-シクロヘキシルマレイミド(東京化成工業株式会社)4.91gを、溶媒であるイソプロピルアセテート55.8gに完全に溶解させ、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬株式会社)2.86gを、イソプロピルアセテート4.29gに完全に溶解させた。
得られた2つの溶液を、還流管が付いた300mLの3つ口型フラスコ中、窒素ガス雰囲気下で89℃に加熱したイソプロピルアセテート90.6gに、同時に2時間かけて滴下し、その後、89℃で4時間反応させた。室温まで冷却した反応溶液50gを、125gのヘキサンと125gのトルエンの混合溶媒に滴下し、共重合体を沈殿させた。沈殿した共重合体をろ過により回収し、80℃で6時間真空乾燥し、白色の粉体(PCX-02e-THF33)を9.98g回収した。
得られたPCX-02e-THF33の数平均分子量は3919、重量平均分子量は7689、全単量体単位において、フェノール性水酸基がアセタール型酸分解性基で保護されている単量体単位の割合は33モル%であった。また、全てのフェノール性水酸基に対する、酸分解性基で保護されたフェノール性水酸基の割合の合計は40モル%であった。
<第2樹脂(B)>
[製造例6]エポキシ基及びフェノール性水酸基を有する第2樹脂(N695OH70)の製造
3Lの3つ口型フラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2000g、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物としてEPICLON(登録商標)N-695(DIC株式会社、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量214)500gを仕込み、窒素ガス雰囲気下、60℃で溶解させた。
そこへヒドロキシ安息香酸化合物として3,5-ジヒドロキシ安息香酸(富士フイルム和光純薬株式会社)235g(エポキシ1当量に対して0.65当量)、及び反応触媒としてトリフェニルホスフィン(東京化成工業株式会社)2.21gを追加し、110℃で25時間反応させた。反応溶液をろ過し、淡黄色溶液を2681g回収した。得られたN695OH70の数平均分子量は2419、重量平均分子量は5051であった。
<着色剤(C)>
着色剤(C)として、黒色染料であるVALIFAST(登録商標)BLACK 3820(ソルベントブラック27のC.I.で規定される黒色染料、オリエント化学工業株式会社)を使用した。
<光酸発生剤(D)>
光酸発生剤(D)として、オキシム系光酸発生剤であるIrgacure(登録商標)PAG-169(BASF社)を使用した。PAG-169は、光照射によりトリフルオロメタンスルホン酸(pKa=-13)を発生させる。
<その他の原料>
溶解促進剤(E)として、フロログルシノールを使用した。
界面活性剤(レベリング剤)(任意成分(F))として、メガファック(登録商標)F-559(フッ素系界面活性剤、DIC株式会社)を使用した。
溶媒(G)として、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(DGEME)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合溶媒(DGEME:PGMEA=25:75(質量比))を使用した。
(2)評価方法
実施例及び比較例で使用した評価方法は、以下のとおりである。
[加熱後OD値]
ガラス基板(大きさ100mm×100mm×1mm)に、ポジ型感光性樹脂組成物を乾燥膜厚が約1.5μmになるようにバーコートし、ホットプレート上120℃で100秒加熱して溶媒を乾燥した。その後、窒素ガス雰囲気下250℃で60分硬化させることにより、被膜を得た。硬化後の被膜のOD値を透過濃度計(BMT-1、サカタインクスエンジニアリング株式会社)で測定し、ガラスのみのOD値で補正を行って、被膜の厚さ1μm当たりのOD値に換算した。被膜の厚みは、光学式膜厚測定装置(F20-NIR、フィルメトリクス株式会社)を用いて測定した。
[ホール直径]
ガラス基板(大きさ100mm×100mm×1mm)に、ポジ型感光性樹脂組成物をPEB後膜厚が2.5μmになるようにバーコートし、ホットプレート上100℃で100秒加熱してプリベークを行った。その後、直径10μmのホールパターンを有するフォトマスクを介して、露光量3000mJ/cmの紫外線を照射した後、ホットプレート上で表3に記載のPEB条件(PEB条件1又はPEB条件2)でPEBを行った。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で60秒間アルカリ現像処理を行い、エアブラシで付着した水分を飛ばした後、マイクロスコープ(VHX-6000、キーエンス株式会社)でホール直径を観察した。PEB条件2は、PEB条件1の温度+10℃とした。
[プロセス安定性]
プロセス安定性は、上記で観察したホール直径により評価し、PEB条件1とPEB条件2によるホール直径の差の絶対値が1.5以下の場合は良好、1.5超の場合は不良と判定した。
[塗膜状態]
塗膜状態は、上記のマイクロスコープによる観察により評価し、ホールが存在する区画500μm×600μm当たりにおいて、塗膜剥がれが10か所以下の場合は良好、11か所以上の場合は不良と判定した。
(3)ポジ型感光性樹脂組成物の調製及び評価
[実施例1~2、比較例1~4]
表3に記載の組成で、第1樹脂(A)、第2樹脂(B)、着色剤(C)、光酸発生剤(D)、溶解促進剤(E)、任意成分(F)(界面活性剤及びその他の樹脂)、及びDGEME/PGMEA混合溶媒(G)を量り取り、ミックスローターにて混合して溶解した。成分が溶解したことを目視で確認した後、孔径0.22μmのミリポアフィルターで濾過し、固形分濃度12質量%のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
表3における組成の質量部は、固形分換算値である。表3には、アセタール型酸分解性基に対するシリル型酸分解性基のモル比も記載されている。実施例1~2、及び比較例1~4のポジ型感光性樹脂組成物の評価結果を、表3に示す。
Figure 2023049935000022
複数のフェノール性水酸基を有し、当該複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が式(1)で表されるシリル型酸分解性基と式(2)で表されるアセタール型酸分解性基で保護され、アセタール型酸分解性基に対するシリル型酸分解性基のモル比が0.5以上10以下である第1樹脂(A)を含む実施例1~2は、比較例1~4と比較して、プロセス安定性と塗膜状態が共に良好であった。
本実施形態によるポジ型感光性樹脂組成物は、有機EL素子の隔壁又は絶縁膜を形成する放射線リソグラフィーに、好適に利用することができる。本開示によるポジ型感光性樹脂組成物から形成された隔壁又は絶縁膜を備えた有機EL素子は、良好なコントラストを示す表示装置の電子部品として、好適に使用される。

Claims (16)

  1. 複数のフェノール性水酸基を有し、前記複数のフェノール性水酸基の少なくとも一部が酸分解性基で保護された第1樹脂(A)と、
    エポキシ基及びフェノール性水酸基を有し、前記第1樹脂(A)以外の第2樹脂(B)と、
    黒色染料及び黒色顔料からなる群より選択される少なくとも1種の着色剤(C)と、
    光酸発生剤(D)と
    を含む、ポジ型感光性樹脂組成物であって、
    前記酸分解性基は、式(1)で表されるシリル型酸分解性基と式(2)で表されるアセタール型酸分解性基とを含み、前記シリル型酸分解性基と前記アセタール型酸分解性基とは、前記第1樹脂(A)の同一重合体中に存在し、前記アセタール型酸分解性基に対する前記シリル型酸分解性基のモル比は、0.5以上10以下である、ポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2023049935000023
    (式(1)において、R、R、及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。)
    Figure 2023049935000024
    (式(2)において、Rは、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~12の複素環基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基であり、R又はRの一方と結合して環員数3~10の環構造を形成してもよく、前記環構造は置換基を有していてもよい。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数3~12の複素環基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。)
  2. 前記第1樹脂(A)は、1又は複数のフェノール性水酸基を有し、前記フェノール性水酸基の少なくとも一部又は全部が前記式(1)で表される前記シリル型酸分解性基で保護された重合性単量体と、1又は複数のフェノール性水酸基を有し、前記フェノール性水酸基の少なくとも一部又は全部が前記式(2)で表される前記アセタール型酸分解性基で保護された重合性単量体との共重合体である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  3. 前記第1樹脂(A)は、式(3)
    Figure 2023049935000025
    (式(3)において、Rは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、Rは、前記式(1)で表されるシリル型酸分解性基であり、aは0~5の整数であり、bは0~5の整数であり、但しa+bは1~5の整数である。)
    で表される構造単位と、式(4)
    Figure 2023049935000026
    (式(4)において、Rは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、R10は、前記式(2)で表されるアセタール型酸分解性基であり、cは0~5の整数であり、dは0~5の整数であり、但しc+dは1~5の整数である。)
    で表される構造単位を有し、
    aが1以上の整数である前記式(3)の構造単位と、cが1以上の整数である前記式(4)の構造単位とを、少なくとも1つずつ有する、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  4. 前記第1樹脂(A)は、式(5)
    Figure 2023049935000027
    (式(5)において、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、完全若しくは部分的にフッ素化された炭素原子数1~3のアルキル基、又はハロゲン原子であり、R13は、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~12の環状アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、又はこれらの基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基である。)
    で表される構造単位を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  5. 前記式(1)で表されるシリル型酸分解性基は、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリエチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、及びトリフェニルシリル基からなる群から選択される少なくとも1種の基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  6. 前記式(2)で表されるアセタール型酸分解性基は、メトキシメチル基、1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、1-n-プロポキシエチル基、1-n-ブトキシエチル基、1-イソブトキシエチル基、1-(2-クロロエトキシ)エチル基、1-(2-エチルヘキシルオキシ)エチル基、1-シクロヘキシルオキシエチル基、1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル基、2-テトラヒドロピラニル基、及び2-テトラヒドロフラニル基からなる群から選択される少なくとも1種の基である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  7. 前記第1樹脂(A)及び前記第2樹脂(B)の合計質量を基準として、20質量%~90質量%の前記第1樹脂(A)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  8. 前記第1樹脂(A)及び前記第2樹脂(B)の合計100質量部を基準として、10質量部~150質量部の前記着色剤(C)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  9. 前記第1樹脂(A)及び前記第2樹脂(B)の合計100質量部を基準として、0.5質量部~75質量部の前記光酸発生剤(D)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  10. 前記ポジ型感光性樹脂組成物の硬化被膜の光学濃度(OD値)が、膜厚1μmあたり0.5以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  11. 前記第2樹脂(B)が、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物とヒドロキシ安息香酸化合物との反応物であって、式(7)
    Figure 2023049935000028
    (式(7)において、eは1~5の整数であり、*は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物の、反応にかかるエポキシ基を除く残基との結合部を表す。)
    の構造を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  12. 前記1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物が、ノボラック型エポキシ樹脂である、請求項11に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  13. 前記ヒドロキシ安息香酸化合物が、ジヒドロキシ安息香酸化合物である、請求項11又は請求項12のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む、有機EL素子隔壁。
  15. 請求項1~13のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む、有機EL素子絶縁膜。
  16. 請求項1~13のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む、有機EL素子。
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