JP2023049612A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時の塗布斑等の塗膜の欠点が少なく、塗膜の透明性または接着性に優れた積層ポリエステルフィルムを安定して提供すること。【解決手段】ポリエステルフィルム基材の少なくとも1面に塗布層を備える積層フィルムであって、前記塗布層は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種以上のカルボキシル基を有する樹脂と、沸点が60℃以上の2種のアミン化合物を含む組成物から形成され、前記の2種のアミン化合物の沸点差が40℃以上である積層ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、積層ポリエステルフィルムに関する。更に詳しくは、光学用、包装用、ラベル用などあらゆる分野に最適な易接着性の塗布層を有する積層ポリエステルフィルムに関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でもポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料、太陽電池用途、フラットディスプレイ等に用いられる反射防止フィルム、拡散シート、プリズムシート等の光学フィルム及び、ラベル印刷用フィルムなどに幅広く使用されている。しかし、ポリエステルフィルムは表面が高度に結晶配向しているため、これらの用途での加工において、各種塗料、樹脂、UV硬化性樹脂またはインク等との接着性に乏しいという欠点を有している。
このため、従来から、ポリエステルフィルム表面に種々の方法で接着性を与えるための検討がなされてきた。その方法として、主に、ポリエステルフィルムの表面にスルホン酸基等の親水性基を有する樹脂の水分散体等を塗布し、易接着性能を持つ塗布層を設ける方法がよく知られている(特許文献1参照)。また、高温高湿環境下でも接着性の維持(耐湿熱性)が求められており、そのためにスルホン酸基に代わってカルボキシル基塩を樹脂の親水性基として使用することが検討されている(特許文献2~4参照)。
特開昭58-78761号公報 特開2014-125599号公報 特開2020-016872号公報 特開WO2015/098750号公報
積層ポリエステルフィルムとしては、各種用途に使用されて使用環境が多様になっていることから、近年、先述の耐湿熱性がますます要望されており、重ねて高品位であることも求められている。しかしながら、従来の積層ポリエステルフィルムでは耐湿熱性及び品位についても市場では満足されていない。
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、製造時の塗布斑等の塗膜の欠点が少なく、塗膜の透明性または接着性に優れた積層ポリエステルフィルムを安定して提供することにある。また、本発明の積層ポリエステルフィルムの接着性は各種塗料、樹脂、UV硬化性樹脂またはインク等に対して良好であり、特にUV硬化性樹脂との接着性に優れ、かつ長期間にわたる高いレベルの接着性の維持に優れていることが特徴である。
本発明者は、上記課題について検討する過程において、樹脂の親水性基として使用されているカルボキシル基塩であるカルボキシル基と対なる塩基成分の種類または量により、塗液の加熱乾燥時に親水性の変化挙動が変化するため、製造時の加熱温度斑または風量分布等により塗布斑等の欠点発生及び塗膜の透明性または接着性等の性能低下が原因であることを見出した。この対策として、塗布層として、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種以上のカルボキシル基を有する樹脂と、特定のアミン化合物から主に作成することで本発明の課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の構成よりなる。
(1)ポリエステルフィルム基材の少なくとも1面に塗布層を備える積層フィルムであって、前記塗布層は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種以上のカルボキシル基を有する樹脂と、沸点が60℃以上の2種のアミン化合物を含む組成物から形成され、前記の2種のアミン化合物の沸点差が40℃以上である積層ポリエステルフィルム。
(2)前記2種のアミン化合物の少なくとも1種のアミン化合物の沸点が110℃以上である上記(1)記載の積層ポリエステルフィルム。
(3)前記カルボキシル基を有する樹脂の酸価が10~60mgKOH/gの範囲である上記(1)又は(2)記載の積層ポリエステルフィルム。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、塗膜欠点が少なく、塗膜の透明性、接着性に優れるため、光学用または建材用ハードコートフィルム等のUV硬化樹脂または印刷フィルム等のUV硬化インキの基材用フィルムとして好適に用いられる。
(ポリエステルフィルム基材)
本発明においてポリエステルフィルム基材を構成するポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのほか、前記のようなポリエステル樹脂のジオール成分又はジカルボン酸成分の一部を以下のような共重合成分に置き換えた共重合ポリエステル樹脂であり、例えば、共重合成分として、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを挙げることができる。
本発明においてポリエステルフィルム基材のために好適に用いられるポリエステル樹脂は、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートから選ばれるものである。これらのポリエステル樹脂の中でも、物性とコストのバランスからポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。また、これらのポリエステル樹脂から構成されたポリエステルフィルム基材は二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましく、耐薬品性、耐熱性、機械的強度などを向上させることができる。
ポリエステル樹脂の製造の際に用いられる重縮合のための触媒としては特に限定されないが、三酸化アンチモンが安価で、かつ優れた触媒活性をもつ触媒であるため好適である。また、ゲルマニウム化合物、又はチタン化合物を用いることも好ましい。さらに好ましい重縮合触媒としては、アルミニウム及び/又はその化合物とフェノール系化合物を含有する触媒、アルミニウム及び/又はその化合物とリン化合物を含有する触媒、リン化合物のアルミニウム塩を含有する触媒が挙げられる。
また、本発明におけるポリエステルフィルム基材は、その層構成について特に限定されるものではなく、単層のポリエステルフィルムであってもよいし、相互に成分が異なる2層構成でもよく、外層と内層を有する、少なくとも3層からなるポリエステルフィルム基材であってもよい。
(塗布層)
本発明の積層ポリエステルフィルムは、塗膜欠点が少なく、塗膜の透明性、接着性を向上させるために、その少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種以上のカルボキシル基を有する樹脂と、沸点が60℃以上かつ沸点差が40℃以上である2種のアミン化合物を含む組成物から形成された塗布層が積層されていることが好ましい。塗布層は、ポリエステルフィルムの両面に設けてもよく、用途により、ポリエステルフィルムの片面のみに設け、他方の面には異種の樹脂被覆層を設けてもよい。
塗布層に使用される樹脂のカルボキシル基はアミン化合物と塩を形成することにより、親水性が向上し、結果として水系溶剤中での樹脂はエマルジョンとしての安定に存在することが可能となる。また、塗液乾燥時等の加熱により、比較的低沸点のアミン化合物はカルボキシル基塩から脱離、揮発して親水性が低いカルボキシル基を再生するため、塗膜形成後の耐湿熱性が向上する。しかしながら、比較的低沸点のアミン化合物だけを用いる場合は、アミン化合物自体の揮発が水系溶剤の揮発による塗液の乾燥工程より早く、乾燥途中の塗液中で樹脂の親水性が低下することにより、エマルジョンが不安定になり凝集等の塗膜斑または欠点が発生しやすくなる。逆に高沸点のアミン化合物だけを用いる場合では、水系溶剤の乾燥後でも樹脂が親水性の高いカルボキシル基塩を保持するため、塗膜自体の耐湿または耐水性が低下する場合がある。また、本発明で使用するアミン化合物は沸点がある程度高いことが好ましい。沸点がある程度高いと、塗膜乾燥工程でのアミン化合物の揮発が低温で起こりづらく、好ましい。
この検討結果として、カルボキシル基と対になるアミン化合物として、沸点が60℃以上かつ、アミン化合物の沸点差が40℃以上である2種のアミン化合物を含む組成物から塗布層を形成させることで、先述の様な課題を解決することができる。すなわち、沸点の低い方のアミン化合物が先に揮発する時点では沸点の高い方のアミン化合物がカルボキシル基塩と存在することで樹脂のエマルジョンの安定化を保持するため、加熱温度または風量等の変動や面方向での分布による塗液の乾燥速度が変化しても、エマルジョンの凝集が抑制されて、結果として塗膜の斑または欠点の発生が低下する。また、乾燥後の塗膜においては沸点の低いアミン化合物の揮発により、樹脂中のカルボキシル基塩の存在割合が低下するため、塗膜自体の耐湿または耐水性の低下抑制が可能となった。
(アミン化合物)
本発明では、組成物に含まれる沸点が60℃以上の2種のアミン化合物の沸点差が40℃以上であることが好ましい。また、前記2種のアミン化合物の少なくとも1種のアミン化合物の沸点が110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上が特に好ましい。本発明では、アミン化合物の沸点が十分に高くかつ分解温度が低い場合には、この分解温度を本発明での沸点の代わりの指標として代用しても問題はない。本発明で使用するアミン化合物の沸点が110℃以上の場合には、塗膜乾燥工程で溶剤である水より早くまたは気化することがなく、樹脂中のカルボキシル基塩の存在量が増加して、樹脂のエマルジョンが安定化するため、塗膜の斑または欠点が抑制されて好ましい。アミン化合物の沸点の上限については前述の分解温度以外に特に制限はないが、2種のアミン化合物の沸点が共に110℃以上の場合には、少なくとも1種のアミン化合物の沸点は前述の塗膜乾燥工程の観点からは、140℃以下であることが好ましい。
本発明で使用できるアミン化合物としては沸点が60℃以上であれば、窒素原子を含有する化合物が使用可能である。但し、アジ化物は熱等に不安定なため、本発明では使用しないことが好ましい。沸点が60℃以上のアミン化合物として、脂肪族モノアミン化合物では、ブチルアミン(沸点78℃)、イソブチルアミン(沸点68~69℃)、ペンチルアミン(沸点104.4℃)、ヘキシルアミン(沸点131~132℃)、へプチルアミン(沸点154~156℃)、オクチルアミン(沸点175~177℃)、シクロヘキシルアミン(沸点134.5℃)、アリルアミン(沸点96~98℃)等の1級アミン、ジプロピルアミン(沸点105~110℃)、ジイソプロピルアミン(沸点84℃)、ジブチルアミン(沸点159℃)、ジイソブチルアミン(沸点137~139℃)、ジペンチルアミン(沸点203℃)、ジヘキシルアミン(沸点236℃)、ジオクチルアミン(沸点297~298℃)、ジシクロヘキシルアミン(沸点134.5℃)、ジアリルアミン(沸点111~112℃)、エチルプロピルアミン(沸点79℃)、メチルブチルアミン(沸点91℃)等の2級アミン、N-メチルジエチルアミン(沸点62℃)、トリエチルアミン(沸点89℃)、トリプロピルアミン(沸点155~158℃)、N,Nージプロピルエチルアミン(沸点132℃)、トリブチルアミン(沸点217℃)、トリイソブチルアミン(沸点192~193℃)、トリペンチルアミン(沸点240℃)、トリヘキシルアミン(沸点150~159℃)、トリへプチルアミン(沸点153℃)、トリオクチルアミン(365~367℃)、トリシクロヘキシルアミン(沸点134.5℃)、トリアリルアミン(沸点156℃)、N,N-ジエチルプロピルアミン、N-ブチルジメチルアミン(沸点93℃)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(沸点127℃)、N-メチル-N-エチルプロピルアミン(沸点91.5℃)等の3級アミンが挙げられる。
脂環族モノアミン化合物では、ピロリジン(沸点87℃)、ピペリジン(沸点106℃)、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(沸点135℃)、N-メチルピロリジン(沸点76~80℃)、N-メチルピペリジン(沸点107℃)、2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(沸点198℃)、 キヌクリジン(沸点198.35℃)等が挙げられる。芳香族アミンでは、アニリン(沸点184.13℃)、N-メチルアニリン(沸点196℃)、N,N-ジメチルアニリン(沸点193℃)、N,N-ジエチル-1-ナフチルアミン(沸点285℃)等が挙げられる。複素環系アミン化合物では、ピロール(沸点129~131℃)、ピリジン(沸点115.2℃)、キノリン(沸点238℃)、イソキノリン(沸点242℃)、アクリジン(沸点346℃)等が挙げられる。また、炭素、水素原子以外の原子を含有する化合物としては、ジメチルエタノールアミン(沸点134℃)、ジメチルアミノメタノール(沸点88℃)、モノエタノールアミン(沸点170℃)、ジエタノールアミン(沸点217℃)、トリエタノールアミン(沸点335℃)、N-メチルジエチルアミン(沸点62℃)、モルホリン(沸点129℃)、オキサゾール(沸点69~70℃)、チオモルホリン(沸点166.87℃)、チアジン(沸点76~77℃)等が挙げられる。
また、窒素原子を分子中に複数有する化合物としては、エチレンジアミン(沸点117℃)、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン(沸点189~192℃)、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(沸点175~181℃)、ピペラジン(沸点144℃)、ピペラジン(沸点146℃)、トリアジン(沸点114℃)、イミダゾール(沸点256℃)、2-メチルイミダゾール(沸点267~268℃)、1-(2-アミノエチル)-2-メチルイミダゾール(沸点273.6℃±23.0℃)等が、または、シュウ酸ジヒドラジド(沸点220.6℃)、マロン酸ジヒドラジド(沸点554.0℃±33.0℃)、コハク酸ジヒドラジド(沸点540.2℃±33.0℃)、アジピン酸ジヒドラジド(沸点305.18℃)、テレフタル酸ジヒドラジド(融点が300℃を超える)等のヒドラジドが挙げられる。
本発明では、アミン化合物がカルボキシル基と対になって塩を形成する点から窒素原子が分子中に1個のみ有するモノアミン化合物が好ましく。また、アミノ基の酸化等による変色防止の点からは、1級アミン、芳香族アミンよりも2級アミンが好ましく、3級アミンがより好ましい。
本発明におけるアミン化合物では窒素系官能基以外を有していてもよく、それらの官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシ基、メトキシ基などのエーテル基等が挙げられる。本発明においては、カルボキシル基塩が樹脂に水分散性を付与する点からは、水分散性等をより向上させる親水性の高いヒドロキシ基、メトキシ基などのエーテル基等を含有するアミン化合物がより好ましい。
本発明では沸点が60℃以上のアミン化合物を使用するが、該当のアミン化合物中の不純物または他の添加剤からの混入等による少量であれば、アンモニア等の沸点が60℃未満のアミン化合物または無機塩であるナトリウム等のアルカリ金属元素、マグネシウム等のアルカリ土類金属元素を併用して問題はない。これらの使用量上限は、種類及び塗材の濃度等によって一概に断定できないが、本発明におけるアミン化合物の合計量の10質量%程度であれば、特に問題なく使用可能である。
本発明では2種のアミン化合物を使用するが、2種のアミン化合物の内、沸点の高いアミン化合物(A)と沸点の低いアミン化合物(B)の存在比(A/B:モル比)は、0.5~5.0が好ましく、0.6~4.5がより好ましく、0.7~3.5が特に好ましい。前記存在比が0.5以上であると、塗膜欠点または塗膜むらの発生が抑制される観点から好ましく、存在比が5.0以下であると、塗膜の耐湿熱性の点から好ましい。
本発明におけるアミン化合物は樹脂のカルボキシル基の中和に使用されることが好ましいが、塗液に別にアミン化合物自体を添加してもよい。その場合には、沸点の高いアミン化合物(A)であることが好ましい。沸点の低いアミン化合物(B)では、塗液中からの揮発量が多くなるため、塗液の組成の安定性の観点または作業環境の点からも好ましくないためである。
2種のアミン化合物の含有量は組成物中の樹脂のカルボキシル基量に対してモル比で0.5~5.0の範囲が好ましく、0.6~4.5の範囲がより好ましく、0.7~4.0の範囲が特に好ましい。
前記モル比が0.5以上であれば、樹脂中のカルボキシル基の塩形成量が適量となり、樹脂の水分散性が向上することによりエマルジョンの安定性が良好となる。また、モル比が5.0以下であると、塗膜形成後に残留するアミン化合物が少なくなるため、耐湿熱性の点から好ましい。
上記ではモル比であるが、明確な分子量が不明な場合、例えば、天然油脂成分由来のアミン化合物等ではモルの代わりにアミン価に換算して指標に用いることも可能である。
本発明において組成物に含有される2種のアミン化合物の沸点差が40℃以上であることが好ましいが、前述の沸点が60℃未満のアミン化合物と同様に少量であれば、沸点が60℃以上の使用している2種以外のアミン化合物が混入していても特に問題はない。
本発明においては、沸点の高いアミン化合物(A)と沸点の低いアミン化合物(B)の存在比(A/B:モル比)は特に限定されないが、塗液の乾燥工程によりアミン化合物は減少し、特に沸点の低いアミン化合物(B)は沸点の高いアミン化合物(A)より減少量が多い。そのため、乾燥製膜後のこれらのアミン化合物の存在比は変化している可能性が高い。しかしながら、塗膜中には使用したアミン化合物等は少量であっても残留しているため、使用したこれらのアミン化合物は同定が可能である。また、塗膜中のアミン化合物の残留量はアミン化合物自体の沸点と乾燥条件に依存する。これらのことより、塗膜中に残留しているこれらのアミン化合物の存在比から、塗液中のこれらのアミン化合物の存在比の算出は可能である。
(カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂)
ポリエステル系樹脂は、通常、ジカルボン酸とジオールから得ることができる。ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ベンジルマロン酸、ジフェン酸、4,4’-オキシジ安息香酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が、 三価以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、アダマンタントリカルボン酸、トリメシン酸等が挙げられる。これらは、単独または2種以上併せて用いることができる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール等の直鎖脂肪族ジオール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等の分岐脂肪族ジオール、
1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族ジオール;
4,4’-メチレンジフェノール、ビスフェノールS,ビスフェノールA、ビスフェノールフルオレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,5-ナフタレンジオール、p-キシレンジオール等の芳香族ジオールまたはこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加体 等が、
三価以上のポリオールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等が挙げられる。これらは、単独または2種以上併せて用いることができる。
本件のカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂は前述のジカルボン酸を過剰に含ませることにより、容易に得ることが可能である。しかしながら、その場合には、カルボキシル基は分子末端に導入されるため、単にカルボキシル基の導入量を多くすると、分子量が小さくなる。これを避けるためには、3官能以上の多価カルボン酸またはポリオールを適量使用して分岐構造を設けることもできるが、本発明においては、ポリエステル分子中の水酸基と多価カルボン酸無水物を反応させて、カルボキシル基を分子中に導入することが好ましい。
上記多価カルボン酸無水物は、カルボキシル基を導入する目的から、少なくとも3価以上カルボキシル基を有し、これらのカルボキシル基が少なくとも1つのカルボン酸無水物構造を有する化合物である。例えば、無水トリメリット酸、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸1,2-無水物、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4-オキシジフタル酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは、単独または2種以上併せて用いることができる。
本発明におけるカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂は、酸価として10~60mgKOH/gの範囲であることが好ましく、酸価が15~50mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。酸価が10mgKOH/g以上であると、本発明の効果である塗膜欠点または塗膜むらの発生が抑制される点から好ましく、酸価が60mgKOH/g以下であると、耐湿熱性の点から好ましい。
また、これらのカルボキシル基量の内、50モル%以上が先述のアミン化合物により塩を形成していることが好ましい。 カルボキシル基中の塩の形成量が50モル%以上であると、ポリエステル樹脂の親水性が向上することによりエマルジョンの安定性が良好となる。
本発明におけるカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂は親水性基として、カルボキシル基のアミン塩を有するが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、他の親水性基を導入してもよい。例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基のナトリウムまたはカリウム塩、水酸基、エーテル基等が挙げられる。
(カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂)
カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂とは、少なくともポリオール成分とポリイソシアネート成分、さらに必要に応じて鎖延長剤に由来するウレタン樹脂であり、分子中または側鎖にカルボキシル基を有するものである。ここでいう分子中とは前記ポリウレタン樹脂の主鎖中または末端に存在するものをいう。また、側鎖とは、分子鎖を構成する前記のようないずれかの原料成分の末端官能基数が3個以上存在することによって、合成、重合された後に枝分かれ上の分子鎖上に導入されたものである。
本発明におけるカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、主にウレタンの成分としてカルボキシル基含有ポリオール成分を使用することで好ましく得ることができる。
かかる、カルボキシル基含有ポリオール成分としては下記のようなものが挙げられる。
比較的高分子量なもの、例えば、カルボキシル基含有ポリアルキレングリコール、カルボキシル基含有アクリルポリオール、カルボキシル基含有ポリオレフィンポリオール、カルボキシル基含有ポリエステルポリオール等が使用することができる。また、比較的低分子量なもの、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸等を使用することができる。カルボキシル基導入には、特に、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸が好適に使用される。
カルボキシル基を有するポリウレタンは、酸価として10~60mgKOH/gの範囲であることが好ましく、酸価が15~50mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。酸価が10mgKOH/g以上であると、本発明の効果である塗膜欠点または塗膜むらの発生が抑制される点から好ましく、酸価が60mgKOH/g以下であると、耐湿熱性の点から好ましい。但し、本発明における効果を阻害しない範囲内であれば、ポリウレタン樹脂の水溶性あるいは水分散性を補填するために他の親水性基、例えば、水酸基、エーテル、スルホン酸、ホスホン酸等を導入してもよい。
また、これらのポリウレタン中のカルボキシル基の内、50モル%以上が先述のアミン化合物により塩を形成していることが好ましい。カルボキシル基の塩の形成量が50モル%以上であると、ポリウレタン樹脂の親水性が向上することによりエマルジョンの安定性が良好となる。
本発明におけるポリウレタン樹脂を合成、重合するために用いる他のポリオール成分には、耐熱、耐加水分解性に優れる脂肪族系ポリカーボネートポリオールを含有することが好ましい。脂肪族系ポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族系ポリカーボネートジオール、脂肪族系ポリカーボネートトリオールなどが挙げられるが、好適には脂肪族系ポリカーボネートジオールを用いることができる。本発明におけるポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂を合成、重合するために用いる脂肪族系ポリカーボネートジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジオール類の1種または2種以上と、例えば、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲンなどのカーボネート類を反応させることにより得られる脂肪族系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
本発明における前記のポリカーボネートポリオールの数平均分子量としては、好ましくは300~5000である。より好ましくは400~4000、最も好ましくは500~3000である。300以上であると、インキ密着性を向上でき好ましい。3000以下であると、ブロッキング耐性を向上でき好ましい。
本発明におけるウレタン樹脂の合成、重合に用いるポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいは、ジイソシアネート類から製造されたイソシアヌレート結合、ビユレット結合またはアロファネート結合含有変性ポリイソシアネート類、ジイソシアネート類を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。前記の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、または、脂肪族ジイソシアネート類等を使用した場合、黄変の問題がなく好ましい。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6-ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。また、少量であれば、3官能基以上のポリオール、ポリアミン等を使用してもよい。
本発明におけるポリウレタン樹脂は、強硬性向上のため末端または側鎖にブロックイソシアネート等の反応性基を有していてもよい。
(カルボキシル基を有するアクリル樹脂)
本発明におけるカルボキシル基を有するアクリル樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルから主に形成された共重合体である。アクリル酸またはメタクリル酸エステルとしては種々の化合物を使用することができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ステアリルアクリレート等のアクリル酸エステル類が、メタクリル酸エステルとして前述のアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものが挙げられる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、水酸基、エーテル基、スルホン酸基等を導入したアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、アクリル酸またはメタクリル酸アミド、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル等のニトリル類、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル類、酢酸アリル、プロピオン酸アリル等のアリル類が挙げられる。
本発明のカルボキシル基を有するアクリル樹脂は、酸価として10~60mgKOH/gの範囲であることが好ましく、酸価が15~50mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。酸価が10mgKOH/g以上であると、本発明の効果である塗膜欠点または塗膜むらの発生が抑制される点から好ましく、酸価が60mgKOH/g以下であると、耐湿熱性の点から好ましい。
アクリル樹脂のカルボキシル基はアクリル酸またはメタクリル酸の使用することにより、付与できるが、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸も同様に用いることができる。
アクリル樹脂のカルボキシル基の内、50モル%以上が先述のアミン化合物により塩を形成していることが好ましい。カルボキシル基の塩の形成量が50モル%以上であると、アクリル樹脂としての親水性が良好であり、エマルジョンとしての安定性が高まるため好ましい。
本発明における塗布層には前述のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂以外に他の樹脂を併用してもよい。他の樹脂としては、前述以外のカルボキシル基を有しないポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、または酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ヒドロキシセルロース等が挙げられる。
(架橋剤)
本発明においては、塗布層には前述の樹脂に架橋剤を併用することが望ましい。架橋剤を併用することにより、塗布層の耐湿熱性をより向上させることが可能となる。架橋剤の種類としては特に制限はなく、イソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エポキシ系、メラミン系等の水系塗材用のものが使用可能である。これらの中では、樹脂のカルボキシル基との反応により、架橋密度の向上が望めるオキサゾリン系、カルボジイミド系が好ましい。また、分子中にポリエステル骨格、ポリウレタン骨格等を比較的容易に導入できるため、前述の樹脂等との相溶性を調整可能な点から、イソアネート系も好ましい。また、イソアネート系の中でも、ブロック剤種により架橋開始温度の調整が可能なブロックイソシアネート系を使用するが特に好ましい。
架橋剤の使用量は前述の樹脂と架橋剤の合計量に対して、50質量%未満が好ましい。架橋剤が50質量%未満であると、相対的に樹脂の含有量が多くなり、UVインキ密着性等の観点で好ましい。架橋剤は45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。
(添加剤)
本発明における塗布層中には、本発明の効果を阻害しない範囲において公知の添加剤、例えば界面活性剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機または無機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の粒子、帯電防止剤等を添加しても良い。
本発明においては、塗布層の耐ブロッキング性をより向上させるために、塗布層に粒子を添加することも好ましい態様である。本発明において塗布層中に含有させる粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレーなど或いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無機粒子、例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムその他と併用、等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。
本発明においては、沸点が60℃以上かつ沸点差が40℃以上である2種のアミン化合物を使用することから、塗液中のPHが高く、塗液乾燥工程においても沸点の比較的高いアミン化合物の存在によりPHの変動が抑えられるため、PH変動によって塗液中の分散粒子の凝集を抑制することが可能である。このことから、特にPHが塩基性領域で水分散体が安定な粒子を使用することが好ましい。但し、分散剤または表面処理剤等により塗液中の粒子の凝集を抑制可能であれば、塩基性領域で水分散体が不安定な粒子の使用を制限するものではない。
また、本発明においては使用する粒子の凝集防止の点から、使用する粒子を前もって本発明におけるカルボキシル基を有する樹脂で処理しておくことも可能である。使用する樹脂は特に制限はないが、樹脂の設計または処理条件の点でアクリル樹脂であることが好ましい。処理としては有機溶剤下で粒子と樹脂を予め混合したのち水分散する方法、水分散粒子に樹脂を混合する方法、粒子とモノマーを予め混合したのち、重合する方法等が挙げられる。
塗布層中の粒子の平均粒径(走査型電子顕微鏡(SEM)による個数基準の平均粒径。以下同じ)は、0.04~2.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1~1.0μmである。不活性粒子の平均粒径が0.04μm以上であると、フィルム表面への凹凸の形成が容易となるため、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性が向上し、貼り合せの際の加工性が良好であって好ましい。一方、不活性粒子の平均粒径が2.0μm以下であると、粒子の脱落が生じ難く好ましい。塗布層中の粒子濃度は、固形成分中1~20質量%であることが好ましい。
粒子の平均粒径の測定方法は、積層ポリエステルフィルムの断面の粒子を走査型電子顕微鏡で観察を行い、粒子30個を観察し、その平均値をもって平均粒径とする方法で行った。
本発明の目的を満たすものであれば、粒子の形状は特に限定されるものでなく、球状粒子、不定形の球状でない粒子を使用できる。不定形の粒子の粒径は円相当径として計算することができる。円相当径は、観察された粒子の面積をπで除し、平方根を算出し2倍した値である。
(積層ポリエステルフィルムの製造)
本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する場合がある)フィルム基材を用いた例を挙げて説明するが、当然これに限定されるものではない。
PET樹脂を十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、Tダイから約280℃の溶融PET樹脂を回転冷却ロールにシート状に溶融押出しし、静電印加法により冷却固化して未延伸PETシートを得る。前記未延伸PETシートは、単層構成でもよいし、共押出し法による複層構成であってもよい。
得られた未延伸PETシートを一軸延伸、もしくは二軸延伸を施すことで結晶配向化させる。例えば二軸延伸の場合は、80~120℃に加熱したロールで長手方向に2.5~5.0倍に延伸して、一軸延伸PETフィルムを得たのち、フィルムの端部をクリップで把持して、80~180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、幅方向に2.5~5.0倍に延伸する。また、一軸延伸の場合は、テンター内で2.5~5.0倍に延伸する。延伸後引き続き、熱処理ゾーンに導き、熱処理を行ない、結晶配向を完了させる。
熱処理ゾーンの温度の下限は好ましくは170℃であり、より好ましくは180℃である。熱処理ゾーンの温度が170℃以上であると硬化が十分となり、高湿度環境下でのブロッキング性が良好となり好ましく、保管環境等の調整が容易となり好ましい。一方、熱処理ゾーンの温度の上限は好ましくは260℃であり、より好ましくは250℃である。熱処理ゾーンの温度が250℃以下であると、フィルムの物性が低下するおそれがなく好ましい。
塗布層はフィルムの製造後、もしくは製造工程において設けることができる。特に、生産性の点からフィルム製造工程の任意の段階、すなわち未延伸あるいは一軸延伸後のPETフィルムの少なくとも片面に、塗布液を塗布し、塗布層を形成することが好ましい。
この塗布液をPETフィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工することができる。
本発明において塗布層の厚みは、0.001~2.00μmの範囲で適宜設定することができるが、加工性と接着性とを両立させるには0.01~1.00μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.02~0.80μm、さらに好ましくは0.05~0.50μmである。塗布層の厚みが0.001μm以上であると、接着性が良好であり好ましい。塗布層の厚みが2.00μm以下であると、ブロッキングを生じ難く好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムのヘイズの上限は好ましくは2.5%であり、より好ましくは2.0%であり、さらに好ましくは1.5%であり、特に好ましくは1.2%である。ヘイズが2.5%以下であると、透明性の点で好ましく、透明性が求められる光学フィルムへも好適に用いることができる。ヘイズは小さいほど良いが、0.1%以上であっても好ましく、0.3%以上であっても好ましい。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。まず、以下に本発明で用いた評価方法について説明する。
(1)ヘイズ
得られた積層ポリエステルフィルムのヘイズはJIS K 7136:2000に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH5000)を用いて測定した。
(2)酸価
樹脂及び架橋剤の酸価はJIS K-1557-5記載の滴定滴定法により測定した。
但し、アミン等で中和処理されたカルボキシル基の場合は、高温処理によりアミン等を除去するか、予め塩酸等で処理してアミン等を遊離、除去させてから測定した。また、架橋剤の場合は予めイソシアネート等の反応性基をアミン等で反応させた後に測定を実施した。測定する樹脂が溶剤であるイソプロパノールへの溶解性が悪い場合には、代わりにN-メチルピロリドンを使用した。上記等のいずれの処理でも、対比用の測定は十分に実施した。
(3)塗布面品位(塗布斑及び塗布欠点)
暗室で黒フェルトを背景としてフィルムを吊り下げ、400~800ルーメンのLED懐中電灯により、フィルムの塗布面側より観察し、塗布面品位を評価した。塗布面品位は下記の基準で判定した。評価面積は塗布面2m相当とした。
塗布斑
◎:塗布面に微かな斑もなく、均一である。
○:塗布面に小さな斑が5.0個/m以下または全面に微かな斑がある。
△:塗布面に小さな斑が6.0~10.0個/mまたは全面に薄い斑がある。
×:塗布面に小さな斑が11.0個/m以上または全面に斑がある。
また斑は下記基準で区分した。
斑の面積が100mm未満の場合は小さい斑とした。
斑の濃さは、前述の観察により把握した該当箇所をフィルムから切取り、下記の順序で確認して区分した。
フィルム片をLED光源下で透過により観察し、斑が確認できる場合は斑とした。透過で斑が観察されなければ、次いで、フィルム片を塗布面が上面となる様に黒フェルト上に置き、LED光源下でフィルム面から斜め45°の上部位置から目視し、斑が確認できる場合は薄い斑と判断した。これらで斑が観察されなければ、さらに、フィルム面から斜め上部位置から角度を変えて目視し、斑が確認できる場合は微かな斑と判断した。

塗布欠点
◎:塗布層に欠点なし。
○:塗布層に小さな欠点が5.0個/m以下である。
△:塗布に欠点が2.0個/m以下。
または小さな欠点が6.0~20.0個/mである。
×:塗布に欠点が3.0個/m以上または小さな欠点が21.0個/m以上である。

欠点の大きさは下記基準で判定した。
前述の観察により把握した該当箇所をフィルムから切取り、光学顕微鏡で100倍に拡大して観察し、欠点の一辺の最大が1mm未満の場合を小さな欠点とした。
塗布斑および塗布欠点が〇以上を合格とした。
(4)ブロッキング耐性
2枚のフィルム試料を塗布層面同士が対向するように重ね合わせ、98kPaの荷重を掛け、これを50℃の雰囲気下で24時間密着させ、放置した。その後、フィルムを剥離し、その剥離状態を下記の基準で判定した。
◎:塗布層の転移がなく軽く剥離できる。
○:塗布層の転移がないが、剥離時に少し抵抗がある。
△:塗布層は維持されているが、部分的に塗布層の表層が相手面に転移している。
×:2枚のフィルムが固着し剥離できないもの、あるいは剥離できてもフィルム基材が劈開している。
基準として〇以上を合格とした。
(5)UVインキとの密着性
積層ポリエステルフィルムの塗布層上に、UVインキ[T&K TOKA(株)製、商品名「BEST CURE UV161藍S」または「BEST CURE UV161白S」]を用いて、印刷機[(株)明製作所製、商品名「RIテスター」]でインクピペット4目盛、2分割ロールにて印刷を施し、次いで、インキ層を塗布したフィルムに高圧水銀灯を用いて100または40mJ/cmの紫外線を照射し、紫外線硬化型インキを硬化させた。次いで、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、インキ層を貫通してフィルム基材に達する100個のマス目状の切り傷をインキ層面につける。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン製、405番;24mm幅)をマス目状の切り傷面にしっかり貼り付ける。その後、垂直にセロハン粘着テープをインキ積層フィルムのインキ層面から引き剥がして、インキ積層フィルムのインキ層面から剥がれたマス目の数を目視で数え、下記の式からインキ層とフィルム基材との密着性を求める。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数えて、下記式の様にインキ密着性を求めた。
インキ密着性(%)=100-(剥がれたマス目の数)
インキ密着性を下記の基準で判定した。
◎:100%、○:96~99%、△:80~95%、×:80%未満
基準として〇以上を合格とした。
(6)ハードコート層との密着性
積層ポリエステルフィルムの塗布層上に、UV硬化型ハードコート剤であるオプスターZ7503(荒川化学工業(株)製)を#5ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥した。次いで、塗布したフィルムに高圧水銀灯を用いて100mJ/cmの紫外線を照射し、ハードコートフィルムを得た。
次いで、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、ハードコート層を貫通してフィルム基材に達する100個のマス目状の切り傷をハードコート層面につける。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン製、405番;24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、しっかり付着させる。その後、垂直にセロハン粘着テープをハードコート積層フィルムのハードコート層面から引き剥がした。粘着テープ付着剥離操作を同一ヵ所で計5回行った後、ハードコート積層フィルムのハードコート層面から剥がれたマス目の数を目視で数え、下記の式からハードコート層とフィルム基材との密着性を求める。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数えて、下記式の様にハードコート密着性を求めた。
ハードコート密着性(%)=100-(剥がれたマス目の数)
ハードコート密着性を下記の基準で判定した。
◎:100%、○:96~99%、△:80~95%、×:80%未満。
基準として〇以上を合格とした。
(7)耐湿熱性
上記(5)及び(6)と同様に作成したUVインキ塗布フィルム(BEST CUREUV161白S塗布後、UV照射、100mJ/cm硬化品)、またはハードコート塗布フィルムを80℃、80%RHの環境下で塗布面を垂直にし、かつ塗布面に他のフィルム等の接触がない状態で500時間放置した。処理後、23℃、65%RHの環境下に、塗布面に他のフィルム等の接触がない状態で10分間放置した。時間経過直後に塗布面の密着性を先述と同様に評価した。
(ポリウレタン樹脂PU-Aの重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、水添キシリレンジイソシアネート23.6質量部、ジメチロールプロピオン酸12.0質量部、数平均分子量1800のポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールタイプ)65.0質量部、3.0質量部、及び溶剤としてエチルメチルケトン123質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。この反応液を室温以下に降温することにより、固形分45.0質量%のポリウレタン樹脂(PU-A)溶液を得た。このポリウレタン樹脂(PU-A)溶液の固形分酸価は50.0mgKOH/gであった。
(ポリウレタン樹脂PU-A-1の水分散体(PU-A-1WD)の調整)
前述のポリウレタン樹脂(PU-A)溶液に、室温で所定量のジメチルエタノールアミン(沸点134℃)とトリエチルアミン(沸点89℃)を添加し、そのまま30分間攪拌することにより、表1に記載の様にポリウレタン樹脂(PU-A)のカルボキシル基を比率50/50のジメチルエタノールアミンとトリエチルアミンのアミン塩とするポリウレタン樹脂(PU-A-1)とした。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、所定量の水を添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタン樹脂(PU-A-1)溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、溶剤であるエチルメチルケトンを除去した。水で濃度調整することにより、固形分35質量%のポリウレタン樹脂(PU-Aの水分散体(PU-A-1WD)を調製した。
(ポリウレタン樹脂PU-A-2~5の水分散体の調整)
前述のポリウレタン樹脂PU-A-1の水分散体(PU-A-1WD)の調整と同様にして水分散体を調整した。但し、添加するアミンの種類及び比率は対応するポリウレタン樹脂に応じて表1に記載した様に変えて調整した。
(ポリウレタン樹脂PU-B-1の水分散体(PU-B-1WD)の調整)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、水添ジフェニルメタンジイソシアネート28.0質量部、ジメチロールプロピオン酸7.0質量部、数平均分子量2000のポリエステルジオール(組成:セバシン酸//ネオペンチグリコール/1,6-ヘキサンジオール=100//60/40(モル比))64.0質量部、ネオペンチルグリコール3.0質量部、及び溶剤としてエチルメチルケトン125質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。この反応液を室温以下に降温することにより、固形分45.0質量%のポリウレタン樹脂(PU-B)溶液を得た。このポリウレタン樹脂(PU-B)溶液の固形分酸価は28.6mgKOH/gであった。この反応液に室温で、所定量のトリエタノールアミン(沸点335℃)とジメチルアミノメタノール(沸点88℃)を添加し、そのまま30分間攪拌することにより表1に記載の様にポリウレタン樹脂(PU-B)のカルボキシル基を比率30/70のトリエタノールアミンとジメチルアミノメタノールのアミン塩とするポリウレタン樹脂(PU-B-1)とした。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、所定量の水を添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタン樹脂(PU-B-1)溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、溶剤であるエチルメチルケトンを除去した。水で濃度調整することにより、固形分35質量%のポリウレタン樹脂(PU-B-1)の水分散体(PU-B-1WD)を調製した。
(ポリウレタン樹脂PU-C-1の水分散体(PU-C-1WD)の調整)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、水添ジフェニルメタンジイソシアネート27.0質量部、ジメチロールプロピオン酸5.0質量部、数平均分子量1000のポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールタイプ)64.0質量部、数平均分子量1000のポリエチレングリコール3.5質量部、及び溶剤としてエチルメチルケトン122質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。この反応液を室温以下に降温することにより、固形分45.0質量%のポリウレタン樹脂(PU-C)溶液を得た。このポリウレタン樹脂(PU-C)溶液の固形分酸価は21.0mgKOH/gであった。この反応液に室温で、所定量のトリエチルアミン(沸点89℃)を添加し、そのまま30分間攪拌することにより表1に記載の様にポリウレタン樹脂(PU-C)のカルボキシル基の100%をトリエチルアミンのアミン塩とするポリウレタン樹脂(PU-C-1)とした。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、所定量の水を添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタン樹脂(PU-C-1)溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、溶剤であるエチルメチルケトンを除去した。水で濃度調整することにより、固形分35質量%のポリウレタン樹脂(PU-C-1)の水分散体(PU-C-1WD)を調製した。
(ポリウレタン樹脂PU-D-1の水分散体(PU-D-1WD)の調整)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、水添キシリレンジイソシアネート23.2質量部、ジメチロールプロピオン酸2.2質量部、数平均分子量1000のポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールタイプ)50.0質量部、数平均分子量1000のポリエチレングリコール20.0質量部、ネオペンチルグリコール4.0質量部、及び溶剤としてエチルメチルケトン122質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。この反応液を室温以下に降温することにより、固形分45.0質量%のポリウレタン樹脂(PU-D)溶液を得た。このポリウレタン樹脂(PU-D)溶液の固形分酸価は9.3mgKOH/gであった。この反応液に室温で、所定量のジメチルエタノールアミン(沸点134℃)とトリエチルアミン(沸点89℃)を添加し、そのまま30分間攪拌することにより表1に記載の様にポリウレタン樹脂(PU-D)のカルボキシル基を比率50/50のジメチルエタノールアミンとトリエチルアミンのアミン塩とするポリウレタン樹脂(PU-D-1)とした。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、所定量の水を添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタン樹脂(PU-D-1)溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、溶剤であるエチルメチルケトンを除去した。水で濃度調整することにより、固形分35質量%のポリウレタン樹脂(PU-D-1)の水分散体(PU-D-1WD)を調製した。
(ポリウレタン樹脂PU-E-1の水分散体(PU-E-1WD)の調整)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、水添キシリレンジイソシアネート28.5質量部、ジメチロールプロピオン酸14.0質量部、数平均分子量1000のポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールタイプ)48.0質量部、及び溶剤としてエチルメチルケトン111質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。この反応液を室温以下に降温することにより、固形分45.0質量%のポリウレタン樹脂(PU-E)溶液を得た。このポリウレタン樹脂(PU-E)溶液の固形分酸価は54.7mgKOH/gであった。この反応液に室温で、所定量のトリエタノールアミン(沸点335℃)とトリエチルアミン(沸点89℃)を添加し、そのまま30分間攪拌することにより表1に記載の様にポリウレタン樹脂(PU-E)のカルボキシル基を比率70/30のトリエタノールアミンとトリエチルアミンのアミン塩とするポリウレタン樹脂(PU-E-1)とした。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、所定量の水を添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタン樹脂(PU-E-1)溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、溶剤であるエチルメチルケトンを除去した。水で濃度調整することにより、する固形分35質量%のポリウレタン樹脂(PU-E-1)の水分散体(PU-E-1WD)を調製した。
(共重合ポリエステル樹脂PES-Aの重合)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル150.0質量部、テレフタル酸ジメチル226.0質量部、1,6-ヘキサンジオール35.0質量部、トリメチロールプロパン1.2質量部、エチレングリコール131.0質量部、およびテトラ-n-ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで、セバシン酸45.0質量部を加えて、220℃で1時間反応させた。その後、系の温度を250℃まで昇温し、系を徐々に30Paまで減圧した後、1時間30分反応させた。さらに、窒素を系中に導入して減圧を解除しつつ、系内を200℃まで冷却した。系中に攪拌しつつ無水トリメリット酸51.0質量部を添加してさらに2時間付加反応させて、共重合ポリエステル樹脂(PES-A)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(PES-A)は、淡黄色透明であった。共重合ポリエステル樹脂(PES-A)の還元粘度を測定したところ,0.65dl/gであり、酸価は46.6mgKOH/gであった。
(共重合ポリエステル樹脂PES-A-1の水分散体(PES-A-1WD)の調整)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、前述の共重合ポリエステル樹脂(PES-A)と溶剤のテトラヒドロフランを固形分60質量%となる様に所定量投入して、50℃に加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、表1の様に所定量のN,N-ジプロピルエチルアミン(沸点132℃)とN-ブチルジメチルアミン(沸点93℃)を添加し、共重合ポリエステル樹脂(PES-A-1)を調整した。次に、この系を400min-1で攪拌混合しながら、系の温度を50℃に保ったまま、所定量の水を徐々に添加した。その後、減圧下で、溶剤であるテトラヒドロフランを除去した。水で濃度調整することにより、固形分35質量%の共重合ポリエステル樹脂(PES-A-1)の)の水分散体(PES-A-1WD)を調整した。
(共重合ポリエステル樹脂PES-A-2の水分散体(PES-A-2WD)の調整)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、前述の共重合ポリエステル樹脂(PES-A)と溶剤のテトラヒドロフランを固形分60質量%となる様に所定量投入して、50℃に加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、表1の様に所定量のジメチルエタノールアミン(沸点134℃)を添加し、共重合ポリエステル樹脂(PES-A-2)を調整した。次に、この系を400min-1で攪拌混合しながら、系の温度を50℃に保ったまま、所定量の水を徐々に添加した。その後、減圧下で、溶剤であるテトラヒドロフランを除去した。水で濃度調整することにより、固形分35質量%の共重合ポリエステル樹脂(PES-A-2)の)の水分散体(PES-A-2WD)を調整した。
(共重合ポリエステル樹脂PES-Bの重合)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチル-5-ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ジエチレングリコール128.0質量部、エチレングリコール75.0質量部、およびテトラ-n-ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(PES-B)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(PES-B)は、淡黄色透明の固体であり、樹脂の還元粘度は0.70dL/gであった。また、酸価は0.1mgKOH/gであった。
(共重合ポリエステル樹脂PES-Bの水分散体(PES-BWD)の調整)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、共重合ポリエステル樹脂(PES-B)と、エチレングリコール-n-ブチルエーテルを同質量部入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、所定量の水をこのポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加し、添加終了後、液を攪拌しつつ室温まで冷却した。水を適量添加して、固形分30質量%の共重合ポリエステル樹脂PES-Bの水分散体(PES-BWD)を調整した。
(共重合ポリエステル樹脂PES-Cの重合)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル240.0質量部、テレフタル酸ジメチル120.0質量部、ジメチル-5-ナトリウムスルホイソフタレート36.0質量部、ジエチレングリコール49.0質量部、1,6-ヘキサンジオール95.0質量部、エチレングリコール200.0質量部、およびテトラ-n-ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで、アジピン酸45.0質量部を加えて、220℃で1時間反応させた。その後、系の温度を250℃まで昇温し、系を徐々に30Paまで減圧した後、次いで255℃まで昇温し、減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(PES-C)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(PES-C)は、淡黄色透明の固体であり、樹脂の還元粘度は0.60dL/gであった。また、酸価は0.2mgKOH/gであった。
(共重合ポリエステル樹脂PES-Cの水分散体(PES-CWD)の調整)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、共重合ポリエステル樹脂(PES-C)と、エチレングリコール-t-ブチルエーテルを同質量部入れ、100℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、所定量の水をこのポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加し、添加終了後、液を攪拌しつつ室温まで冷却した。水を適量添加して、固形分30質量%の共重合ポリエステル樹脂PES-Cの水分散体(PES-CWD)を調整した。
(アクリル樹脂(AC-Aの重合)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル47.0質量部を入れ、100℃に加熱保持して、ノルマルブチルアクリレート30.0質量部、エチルアクリレート60.0質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.0質量部、アクリル酸7.8質量部及びアゾビスイソブチロニトリル5質量部の混合物を3時間かけて滴下した。滴下後、同温度で2時間熟成させた。この反応液を室温以下に降温することにより、固形分70.0質量%のアクリル樹脂(AC-A)溶液を得た。このアクリル樹脂(AC-A)溶液の固形分酸価は55.3mgKOH/gであった。
(アクリル樹脂(AC-A-1)の水分散体(AC-A-1WD)の調整)
前述のアクリル樹脂(AC-A)溶液に、室温で所定量のトリブチルアミン(沸点217℃)とトリエチルアミン(沸点89℃)を添加し、そのまま30分間攪拌することにより、表1に記載の様にアクリル樹脂(AC-A)のカルボキシル基を比率40/60のトリブチルアミンとトリエチルアミンのアミン塩とするアクリル樹脂(AC-A-1)とした。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、所定量の水を添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、アクリル樹脂(AC-A-1)溶液を添加して水分散した。水で濃度調整することにより、固形分30質量%のアクリル樹脂(AC-A-1)の水分散体(AC-A-1WD)を調製した。
(アクリル樹脂(AC-A-2)の水分散体(AC-A-2WD)の調整)
前述のアクリル樹脂(AC-A)溶液に、室温で所定量のトリエチルアミン(沸点89℃)を添加し、そのまま30分間攪拌することにより、表1に記載の様にアクリル樹脂(AC-A)のカルボキシル基を比率100のトリエチルアミンのアミン塩とするアクリル樹脂(AC-A-2)とした。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、所定量の水を添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、アクリル樹脂(AC-A-2)溶液を添加して水分散した。水で濃度調整することにより、固形分30質量%のアクリル樹脂(AC-A-2)の水分散体(AC-A-2WD)を調製した。
(アクリル樹脂(AC-B)の重合)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル42.9質量部を入れ、100℃に加熱保持して、エチルアクリレート28.0質量部、オクチルアクリレート16.0質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート20.0質量部、メチルメタクレート31.0質量部、メタクリル酸5.0質量部及びアゾビスイソブチロニトリル5部の混合物を3時間かけて滴下した。滴下後、同温度で2時間熟成させた。この反応液を室温以下に降温することにより、固形分70.0質量%のアクリル樹脂(AC-B)溶液を得た。このアクリル樹脂(AC-B)溶液の固形分酸価は32.6mgKOH/gであった。
(アクリル樹脂(AC-B-1)の調整)
前述のアクリル樹脂(AC-B)溶液に、室温で所定量のトリエチルアミン(沸点89℃)を添加し、そのまま30分間攪拌することにより、表1に記載の様にアクリル樹脂(AC-B)のカルボキシル基の50%をトリエチルアミンのアミン塩とするアクリル樹脂(AC-B-1)溶液とした。
(アクリル樹脂(AC-B-1)の水分散体(AC-B-1WD)の調整)
高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、所定量の水を加え、25℃で、2000min-1で攪拌混合しながら、前述のアクリル樹脂(AC-B-1)溶液を添加して水分散した。水で濃度調整することにより、固形分30質量%のアクリル樹脂(AC-B-1)の水分散体(AC-B-1WD)を調製した。
先述のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂の酸価、使用したアミン化合物の種類、比率等については表1に記載する。
(ブロックイソシアネート系架橋剤(C-1)溶液の調整)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA-100)58.0質量部、N-メチルピロリドン25.0質量部、3,5-ジメチルピラゾール25.0質量部、数平均分子量500のポリエチレングリコールモノメチルエーテル15.0質量部を加えて、窒素雰囲気下、70℃で2時間保持した。その後、トリメチロールプロパン2.0質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認後、攪拌しつつ、水を適量添加し、固形分40.0質量%のブロックイソシアネート系架橋剤(C-1)溶液を調整した。
(ブロックイソシアネート系架橋剤(C-2)溶液の調整)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA-100)63.0質量部、N-メチルピロリドン25.0質量部に3,5-ジメチルピラゾール21.7質量部を滴下し、窒素雰囲気下、70℃で1時間保持した。その後、ジメチロールプロピオン酸9.0質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認後、ジメチルエタノールアミン6.3質量部を加えた。そのまま1時間攪拌後、水を適量添加して、固形分40質量%のブロックイソシアネート系架橋剤(C-2)溶液を調整した。
(オキサゾリン系架橋剤(C-3)溶液の調整)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコに、水50.0質量部とメトキシプロピルアルコール50.0質量部を仕込み、窒素雰囲気下、80℃に加熱した。その後、メチルメタクリレート21.9質量部、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン24.3質量部およびn=10のポリエチレングリコールとメタクリル酸のエステル化合物38.3質量部からなる単量体混合物と2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩5.0質量部および水50.0質量部からなる重合開始剤溶液をそれぞれ滴下ロートから窒素雰囲気下、フラスコ内を80℃に保持しつつ2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃、5時間攪拌した後、室温まで冷却した。水を適量添加して、固形分40質量%のオキサゾリン系架橋剤(C-3)溶液を調整した。
(カルボジイミド系架橋剤(C-4)の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコで、水添ジフェニルメタンジイソシアネート63.2質量部とカルボジイミド化触媒として3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド0.3質量部を180℃で18時間反応させ、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次いで、数平均分子量400のポリエチレングリコールモノメチルエーテル36.4質量部を加え、150℃で5時間反応させた。反応後、50℃まで冷却し、所定量の水を徐々に加え、固形分40質量%のカルボジイミド系架橋剤(C-4)溶液を調整した。
(粒子)
(粒子P-1)
粒子(P-1)として固形分濃度20質量%である平均粒径10~15nmのコロイダルシリカ(スノーテックスO;日産化学(株)製)を粒子(P-1)溶液としてそのまま用いた。
(粒子P-2)
粒子(P-2)として固形分濃度20質量%である平均粒径500nmのコロイダルシリカ(シーホスターKE-W50;(株)日本触媒)を粒子(P-2)溶液としてそのまま用いた。
(粒子P-3)
粒子(P-3)として固形分濃度20質量%である平均粒径10~20nmの酸化ジルコニア粒子(ZSL00014;第一稀元素化学工業(株))を粒子(P-3)溶液としてそのまま用いた。
(アクリル樹脂処理粒子(P-3-A)の調整)
撹拌機と温度計を備えたフラスコに、前述の粒子(P-3)溶液50質量部に、攪拌しつつ前述のアクリル樹脂(AC-B-1)溶液5質量部を徐々に添加した。添加完了後、室温で1時間攪拌した後、所定量の水を加えて、固形分濃度20質量%のアクリル樹脂処理粒子(P-3-A)を調整した。
(添加剤)
(添加剤(A-1)溶液の調整)
撹拌機と温度計を備えたフラスコに、トリエタノールアミン(沸点335℃)と所定量の水を添加して溶解することで、固形分濃度20質量%の添加剤(A-1)溶液を調整した。
(添加剤(A-2)溶液の調整)
撹拌機と温度計を備えたフラスコに、濃度28質量%アンモニア水(アミン沸点-33℃)と所定量の水を添加して希釈することで、濃度20質量%の添加剤(A-2)溶液を調整した。
(基材用ポリエステル樹脂(E-1)の製造)
(三酸化アンチモン溶液の調製)
三酸化アンチモン(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製)をエチレングリコールとともにフラスコに仕込み、150℃で4時間攪拌して溶解後、室温まで冷却して、20g/Lの三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を調製した。
(基材用ポリエステル樹脂(E-1)の重合)
攪拌機付き2リッターステンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下250℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を行いエステル化率が約95%のビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHET混合物という)を得た。このBHET混合物に重縮合触媒として、上記三酸化アンチモン溶液を用い、ポリエステル中の酸成分に対してアンチモン原子として0.04モル%になるように加え、次いで、窒素雰囲気下、常圧にて250℃で10分間攪拌した。その後、60分間かけて280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として、さらに280℃、13.3Paで68分間重縮合反応を実施して、固有粘度(IV)(溶媒:フェノール/テトラクロロエタン=60/40)が0.61dL/gであり、粒子を実質上含有していないポリエステル樹脂(E-1)を得た。
(基材用ポリエステル樹脂(E-2)の製造)
(アルミニウム化合物溶液の調製例)
塩基性酢酸アルミニウム(ヒドロキシアルミニウムジアセテート;シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製)の20g/L水溶液に対して等量(容量比)のエチレングリコールをともにフラスコに仕込み、室温で6時間攪拌した後、減圧(133Pa)下、70~90℃で数時間攪拌しながら系から水を留去し、20g/Lのアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
(リン化合物溶液の調製例)
リン化合物として3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸 ジエチル(Irganox1222(BASF社製))をエチレングリコールとともにフラスコに仕込み、窒素置換下攪拌しながら液温160℃で25時間加熱し、50g/Lのリン化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
(アルミニウム化合物の溶液とリン化合物の溶液の混合物の調製)
上記アルミニウム化合物の調製例および上記リン化合物の調整例で得られたそれぞれのエチレングリコール溶液をフラスコに仕込み、アルミニウム原子とリン原子がモル比で1:2となるように室温で混合し、1日間攪拌して触媒溶液を調製した。
(基材用ポリエステル樹脂(E-2)の重合)
重縮合触媒として三酸化アンチモン溶液の代わりに、前述のアルミニウム化合物の溶液とリン化合物の溶液の混合物を用いて、ポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリン原子としてそれぞれ0.014モル%および0.028モル%になるように
加えた以外は、ポリエステル樹脂E-1と同様に重合した。但し、重合時間は68分間とすることで、固有粘度(IV)が0.61dL/gであり、粒子を実質上含有していないポリエステル樹脂(E-2)を得た。
(実施例1)
(1)塗布液(No.1)の調整
水とイソプロパノールの混合溶媒(80/20質量部比)に、下記の塗剤を混合して計100質量部に調整した。ポリウレタン樹脂PU-A-1の水分散体(PU-A-1WD)/ブロックイソシアネート系架橋剤(C-1)溶液の固形分質量比が80/20、総固形樹脂分濃度4質量%とした。次に、粒子(PA-1)と粒子(PA-2)が前述の樹脂等の総固形分100に対してそれぞれの固形分質量比が12.0及び0.4とした。さらに、この塗布液にシリコーン系界面活性剤の10%水溶液を1質量%添加して塗布液(No.1)を調整した。各塗布液の樹脂等の配合比については表2に示す。
塗布液No.1の調整例
混合溶剤(水/イソプロパノール) 85.38質量部
ポリウレタン樹脂PU-A-1の水分散体(PU-A-1WD)
9.14質量部
ブロックイソシアネート系架橋剤(C-1)溶液 2.00質量部
粒子(PA-1)溶液 2.40質量部
粒子(PA-2)溶液 0.08質量部
界面活性剤水溶液 1.00質量部
計100.00質量部
(2)積層ポリエステルフィルムの製造
フィルム原料樹脂として、ポリエステル樹脂(E-1)の樹脂ペレットを、133Paの減圧下、135℃で6時間乾燥した。その後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った回転冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。
この未延伸PETシートを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
次いで、前記塗布液(No.1)をPETフィルムの片面に、最終(二軸延伸後)の乾燥後の塗布量が0.08g/mになるように塗布した。塗布後、90℃で3秒、40℃で3秒熱処理して乾燥させた。ついで、フィルムを110℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向を固定した状態で、230℃で5秒間加熱した。さらに3%の幅方向の弛緩処理を行ない、厚み100μmの積層ポリエステルフィルムを得た。塗布層の厚みは70nmであった。このフィルムの評価結果を表3に示す。
(実施例2~12)
実施例1の塗布液を、表3の各実施例記載の塗布液Noを使用した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。各塗布液Noに使用した樹脂等の種類と配合量比は表2記載したものを使用した。なお、実施例10~12は、塗布液に添加剤(A-1)が添加されている。
(実施例13)
フィルム原料樹脂としてE-1の代わりにE-2を使用した以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1~10)
実施例1の塗布液を、表3の各比較例記載の塗布液Noを使用した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。なお、比較例10は、塗布液に添加剤(A-2)が添加されている。
表3に各実施例、比較例の評価結果を示す。
表3に示すように、各実施例1~13においては、ヘイズ、ブロッキング耐性、UVインキとの密着性、ハードコート層との密着性及び耐湿熱性において満足できる結果が得られた。一方、比較例1~10では、結果において満足できるものではなかった。
Figure 2023049612000001
Figure 2023049612000002
Figure 2023049612000003
本発明によって、光学用途、包装用途、ラベル用途などあらゆる分野に最適な易接着性を有する積層ポリエステルフィルムの提供が可能となった。

Claims (3)

  1. ポリエステルフィルム基材の少なくとも1面に塗布層を備える積層フィルムであって、前記塗布層は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種以上のカルボキシル基を有する樹脂と、沸点が60℃以上の2種のアミン化合物を含む組成物から形成され、前記の2種のアミン化合物の沸点差が40℃以上である積層ポリエステルフィルム。
  2. 前記2種のアミン化合物の少なくとも1種のアミン化合物の沸点が110℃以上である請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記カルボキシル基を有する樹脂の酸価が10~60mgKOH/gの範囲である請求項1又は2記載の積層ポリエステルフィルム。
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