JP2023049434A - 潤滑油基油 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置内に組み込まれた各種機構に応じた潤滑に適した特性(例えば、絶縁性、摩擦低減効果、及び耐ゴム膨潤性等)を有する新たな潤滑油組成物が求められている。【解決手段】炭素数24以上のジエステル(A1)及び炭素数24以上のトリエステル(A2)から選ばれる少なくとも1種のエステル化合物(A)と、鉱油及び成分(A)以外の合成油から選ばれる少なくとも1種の基油(B)とを含む潤滑油基油、及び当該潤滑油基油を含む潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油基油、及び当該潤滑油基油を含む潤滑油組成物に関する。
エンジン、変速機、減速機、圧縮機、油圧装置等の各種装置は、トルクコンバータ、湿式クラッチ、歯車軸受機構、オイルポンプ、油圧制御機構等の機構を有する。これらの機構においては、潤滑油組成物が用いられており、様々な要求に対応し得る潤滑油組成物が開発されている。
例えば、特許文献1には、電動モータ装着車に好適に用いられる自動車用変速機油組成物として、基油と、炭化水素基含有ジチオリン酸亜鉛、トリアリールホスフェート、トリアリールチオホスフェート及びこれらの混合物からなる群より選択されるリン化合物とを所定量含有し、且つ、80℃における体積抵抗率が1×10Ω・m以上に調整した自動車用変速機油組成物が開示されている。
国際公開第2002-097017号
ところで、例えば、電動モーター等の各種装置に用いられる潤滑油組成物には、絶縁性と共に、その装置の態様によっては、摩擦低減効果や耐ゴム膨潤性等の特性が要求される場合がある。つまり、装置内に組み込まれた各種機構に応じた潤滑に適した特性(例えば、絶縁性、摩擦低減効果、及び耐ゴム膨潤性等)を有する新たな潤滑油組成物が求められている。
本発明は、所定炭素数のジエステル及びトリエステルから選ばれる少なくとも1種のエステル化合物と、鉱油及び成分(A)以外の合成油から選ばれる少なくとも1種の基油(B)とを含む潤滑油基油、並びに、当該潤滑油基油を含む潤滑油組成物を提供する。
具体的には、本発明は下記[1]~[12]を提供する。
[1]炭素数24以上のジエステル(A1)及び炭素数24以上のトリエステル(A2)から選ばれる少なくとも1種のエステル化合物(A)と、
鉱油及びエステル系合成油以外の合成油から選ばれる少なくとも1種の基油(B)とを含む、潤滑油基油。
[2]前記潤滑油基油の15℃における密度が0.850g/cm未満である、上記[1]に記載の潤滑油基油。
[3]成分(A)の含有量が、前記潤滑油基油の全量基準で、1~90質量%である、上記[1]又は[2]に記載の潤滑油基油。
[4]成分(A1)の炭素数が26以上である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[5]成分(A1)が、下記一般式(a1-1)で表される化合物(A11)を含む、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
Figure 2023049434000001
(上記式中、R及びRは、それぞれ独立して、一価の鎖状炭化水素基であって、Aは、炭素数5以上の二価の炭化水素基である。)
[6]成分(A2)が、下記一般式(a2-1)で表される化合物(A21)を含む、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
Figure 2023049434000002
(上記式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、一価の鎖状炭化水素基であって、Aは、炭素数5以上の三価の炭化水素基である。)
[7]成分(A)が、成分(A1)を少なくとも含む、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[8]成分(A)が、成分(A2)を少なくとも含む、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[9]上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の潤滑油基油を含む、潤滑油組成物。
[10]さらに、流動点降下剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、極圧剤、金属系清浄剤、無灰系分散剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、防錆剤、及び消泡剤から選ばれる1種以上の潤滑油用添加剤を含有する、上記[9]に記載の潤滑油組成物。
[11]脂肪酸アミドの含有量が、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、1.0質量%未満である、上記[9]又は[10]に記載の潤滑油組成物。
[12]前記潤滑油組成物に試験用ニトリルゴムを浸漬させ、JIS K6258に準拠して100℃で144時間の条件下で測定した、前記試験用ニトリルゴムの体積変化率が10%未満である、上記[9]~[11]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
本発明の好適な一態様の潤滑油基油は、装置内に組み込まれた各種機構に適した特性を有する潤滑油組成物を調製し得、より好適な一態様の潤滑油基油は、絶縁性、摩擦低減効果、及び耐ゴム膨潤性の特性をバランス良く向上させた潤滑油組成物を調製し得る。
本明細書に記載された数値範囲については、上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「好ましくは30~100、より好ましくは40~80」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。また、例えば、数値範囲として「好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは80以下である」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。
加えて、本明細書に記載された数値範囲として、例えば「60~100」との記載は、「60以上、100以下」という範囲であることを意味する。
本明細書において、動粘度及び粘度指数は、JIS K2283:2000に準拠して測定又は算出された値を意味する。
〔潤滑油基油の構成〕
本発明の一態様の潤滑油基油は、炭素数24以上のジエステル(A1)及び炭素数24以上のトリエステル(A2)から選ばれる少なくとも1種のエステル化合物(A)と、鉱油及びエステル系合成油以外の合成油から選ばれる少なくとも1種の基油(B)とを含む。
近年、電気自動車やハイブリッド車では、変速機と電動モーターとをパッケージ化することによる小型軽量化が求められている。変速機と電動モーターとが一体化した装置で用いられる潤滑油組成物には、電動モーター油としての絶縁性と、変速機としての摩擦低減効果と、さらに耐ゴム膨潤性といった特性も要求される。
ところで、一般的な変速機油は、絶縁性が劣るという問題を有する。
一方で、基油としてエステル系合成油を含む潤滑油組成物は、絶縁性が良好と場合もあるが、一般的に耐ゴム膨潤性が劣る点が問題となる。また、摩擦低減効果が不十分である場合も多い。
このような問題に対して、本発明の一態様の潤滑油基油は、上記のエステル化合物(A)及び基油(B)を含むことで、絶縁性、摩擦低減効果、及び耐ゴム膨潤性の特性をバランス良く向上させた潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とすることができる。
なお、本発明の一態様の潤滑油基油は、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)及び(B)以外の他の基油を含有してもよい。
このような他の基油としては、例えば、成分(A)には該当しないエステル系合成油が挙げられ、具体的には、モノエステル、炭素数23以下のジエステル、炭素数37以下のトリエステル、エステル結合を4以上有するポリエステル等が挙げられる。
本発明の一態様の潤滑油基油において、絶縁性、摩擦低減効果、及び耐ゴム膨潤性の特性をバランス良く向上させた潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、成分(A)及び(B)の合計含有量は、当該潤滑油基油の全量(100質量%)基準で、好ましくは92~100質量%、より好ましくは95~100質量%、更に好ましくは97~100質量%、より更に好ましくは99~100質量%、特に好ましくは100質量%である。
以下、本発明の一態様の潤滑油基油に含まれる成分(A)及び(B)について詳述する。
<成分(A):エステル化合物>
本発明の一態様の潤滑油基油は、炭素数24以上のジエステル(A1)及び炭素数24以上のトリエステル(A2)から選ばれる少なくとも1種のエステル化合物(A)を含む。
成分(A)として、このような特定の炭素数のジエステル(A1)又はトリエステル(A2)を含むことで、絶縁性の低下の要因ともなり得る摩擦調整剤を含有しなくても、摩擦低減効果に優れた潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とすることができる。また、後述の成分(B)の存在下で、成分(A)も含む潤滑油基油を用いることで、絶縁性に優れた潤滑油組成物を調製することができる。
本発明の一態様の潤滑油基油において、成分(A)の含有量は、当該潤滑油基油の全量(100質量%)基準で、絶縁性及び摩擦低減効果を向上させた潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは17質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、成分(B)の含有量を確保し、絶縁性及び耐ゴム膨潤性に優れた潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましく80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。
なお、本発明の一態様で用いる成分(A)は、少なくとも1種の成分(A1)を含む構成であってもよく、少なくとも1種の成分(A2)を含む構成であってもよく、少なくとも1種の成分(A1)と少なくとも1種の成分(A2)とを併用して含む構成であってもよい。
本発明の一態様で用いる成分(A)が、成分(A1)と成分(A2)とを併用する場合、成分(A1)と成分(A2)との含有量比[(A1)/(A2)]は、質量比で、1/99以上、5/95以上、10/90以上、15/85以上、20/80以上、25/75以上、30/70以上、35/65以上、40/60以上、又は45/55以上としてもよく、また、99/1以下、95/5以下、90/10以下、85/15以下、80/20以下、75/25以下、70/30以下、65/35以下、又は60/40以下としてもよい。
成分(A1)の炭素数は、絶縁性及び摩擦低減効果を向上させ、耐ゴム膨潤性の低下を抑制した潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、24以上であるが、好ましくは26以上、より好ましくは27以上、更に好ましくは28以上であり、また、80以下、75以下、70以下、65以下、60以下、55以下、50以下、45以下、40以下、37以下、又は35以下であってもよい。
成分(A2)の炭素数は、絶縁性及び摩擦低減効果を向上させ、耐ゴム膨潤性の低下を抑制した潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、24以上であるが、好ましくは30以上、より好ましくは38以上、より好ましくは40以上、より好ましくは44以上、更に好ましくは48以上、更に好ましくは50以上、更に好ましくは54以上、より更に好ましくは58以上、特に好ましくは60以上であり、また、100以下、95以下、90以下、85以下、80以下、75以下、又は70以下であってもよい。
[成分(A1)の具体的な構成]
本発明の一態様で用いる成分(A1)は、下記一般式(a1-1)で表される化合物(A11)を含むことが好ましい。
Figure 2023049434000003
上記一般式(a1-1)中、R及びRは、それぞれ独立して、一価の鎖状炭化水素基であって、Aは、炭素数5以上の二価の炭化水素基である。
及びRとして選択し得る、前記一価の鎖状炭化水素基は、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基)、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、ノニル基、1-メチルオクチル基、1,1-ジメチルヘプチル基、デシル基、1-メチルヘプチル基、ウンデシル基、1-メチルデシル基、ドデシル基、1-メチルウンデシル基、トリデシル基、1-メチルドデシル基、テトラデシル基、1-メチルトリデシル基、ペンタデシル基、1-メチルテトラデシル基、ヘキサデシル基、1-メチルペンタデシル基、ヘプタデシル基、1-メチルヘキサデシル基、オクタデシル基、1-メチルヘプタデシル基、ノナデシル基、1-メチルオクタデシル基等の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。
前記アルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロぺニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、メチルヘプテニル基、ノニル基、メチルオクテニル基、デセニル基、メチルノニル基、ウンデセニル基、メチルデセニル基、ドデセニル基、メチルウンデセニル基、トリデセニル基、メチルドデセニル基、テトラデセニル基、メチルトリデセニル基、ペンタデセニル基、メチルテトラデセニル基、ヘキサデセニル基、メチルペンタデセニル基、ヘプタデセニル基、メチルヘキサデセニル基、オクタデセニル基、メチルヘプタデセニル基、ノナデセニル基、メチルオクタデセニル基等の直鎖アルケニル基又は分岐鎖アルケニル基が挙げられ、また、-(CHm1-CH=CH-(CHm2-CHで表される基(ただし、m1及びm2は、それぞれ独立して、0以上の整数であり、m1+m2は1以上の整数である)であってもよい。
及びRとして選択し得る、前記一価の鎖状炭化水素基の各炭素数は、絶縁性及び摩擦低減効果を向上させ、耐ゴム膨潤性の低下を抑制した潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上、より更に好ましくは6以上、特に好ましくは7以上であり、また、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは16以下、特に好ましくは12以下である。
として選択し得る、前記二価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、アリーレン基、及び、これらの基を組み合わせた二価の基等が挙げられる。なお、当該二価の基は、炭素数1以上の上記の基を組み合わせた上で、炭素数の総数が5以上であればよい。
前記アルキレン基としては、直鎖アルキレン基であってもよく、分岐鎖アルキレン基であってもよい。具体的には、以下の(i)~(iii)の基が挙げられる。
・(i):-(CH-で表される基(ただし、nは1以上の整数である)。
・(ii):-(CHp1-CH(CH)-(CHq1-で表される基(ただし、p1及びq1は、それぞれ独立して、0以上の整数である)。
・(iii):-(CHp2-C(CH-(CHq2-で表される基(ただし、p2及びq2は、それぞれ独立して。0以上の整数である)。
前記アルケニレン基としては、直鎖アルケニレン基であってもよく、分岐鎖アルケニレン基であってもよく、具体的には、ビニレン基、メチルビニレン基、n-プロペニレン基、イソプロペニレン基、n-ブテニレン基、イソブテニレン基、メチルブテニレン基、エチルブテニレン基、n-ペンテニレン基、イソペンチレン基、メチルペンテニレン基、エチルペンテニレン基、n-ヘキセニレン基、イソヘキセニレン基、メチルヘキセニレン基、エチルヘキセニレン基、n-ヘプテニレン基、イソヘプテニレン基、メチルヘプテニレン基、エチルヘプテニレン基、n-オクテニレン基、イソオクテニレン基、メチルオクテニレン基、エチルオクテニレン基等が挙げられる。
前記シクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロペンチレン基、シクロオクチレン基等が挙げられる。
前記シクロアルケニレン基としては、例えば、シクロペンテニレン基、シクロへキセニレン基、シクロペンテニレン基、シクロオクテニレン基等が挙げられる。
前記アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基等が挙げられる。
これらの中でも、絶縁性及び摩擦低減効果を向上させ、耐ゴム膨潤性の低下を抑制した潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、Aとして選択し得る、前記二価の炭化水素基は、アルキレン基又はアルケニレン基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましく、特に、耐ゴム膨潤性の低下をより抑制した潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、-(CH-で表される基(ただし、nは5以上(好ましくは6以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、より更に好ましくは9以上、特に好ましくは10以上)の整数である)が更に好ましい。
として選択し得る、前記二価の炭化水素基の炭素数は、絶縁性及び摩擦低減効果を向上させ、耐ゴム膨潤性の低下を抑制した潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、5以上であるが、好ましくは6以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、より更に好ましくは9以上、特に好ましくは10以上であり、また、好ましくは30以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは16以上、特に好ましくは14以下である。
本発明の一態様の潤滑油基油において、成分(A1)中の化合物(A11)の含有割合は、当該潤滑油基油に含まれる成分(A1)の全量(100質量%)基準で、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%、特に好ましくは98~100質量%である。
[成分(A2)の具体的な構成]
本発明の一態様で用いる成分(A2)は、下記一般式(a2-1)で表される化合物(A21)を含むことが好ましい。
Figure 2023049434000004
上記一般式(a2-1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、一価の鎖状炭化水素基であって、Aは、炭素数5以上の三価の炭化水素基である。
、R及びRとして選択し得る、前記一価の鎖状炭化水素基は、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、前記一般式(a1-1)中のR及びRとして選択し得るアルキル基又はアルケニル基と同じものが挙げられる。
、R及びRとして選択し得る、前記一価の鎖状炭化水素基の各炭素数は、絶縁性及び摩擦低減効果を向上させ、耐ゴム膨潤性の低下を抑制した潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは9以上、より更に好ましくは11以上、特に好ましくは13以上であり、また、好ましくは40以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは25以下、特に好ましくは22以下である。
として選択し得る、前記三価の炭化水素基としては、例えば、上述の前記一般式(a1-1)中のAとして選択し得る二価の炭化水素基からさらに1つの水素原子を除去してなる三価の基等が挙げられる。
これらの中でも、下記一般式(a2-1-1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023049434000005
上記一般式(a2-1-1)中、*は結合位置を示す。
x1、x2、及びx3は、それぞれ独立して、0以上の整数であり、好ましくは0~15の整数、より好ましくは0~10の整数、より好ましくは0~8の整数、更に好ましくは1~6の整数、更に好ましくは1~4の整数、より更に好ましくは1~3の整数、特に好ましくは1~2の整数である。
は、アルキル基であり、前記一般式(a1-1)中のR及びRとして選択し得る前記アルキル基と同じものが挙げられる。
として選択し得る、前記アルキル基の炭素数は、好ましくは1~15、より好ましくは1~10、より好ましくは1~8、更に好ましくは1~6、より更に好ましくは1~4、特に好ましくは2~3である。
本発明の一態様の潤滑油基油において、成分(A2)中の化合物(A21)の含有割合は、当該潤滑油基油に含まれる成分(A2)の全量(100質量%)基準で、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%、特に好ましくは98~100質量%である。
<成分(B):基油>
本発明の一態様の潤滑油基油は、鉱油及びエステル系合成油以外の合成油から選ばれる少なくとも1種の基油(B)を含む。
耐ゴム膨潤性の低下の要因となる成分(A)と共に、成分(B)を含むことで、成分(A)による摩擦低減効果を保持しながら、成分(A)及び(B)を併用によって絶縁性を向上させ、さらに成分(A)に起因した耐ゴム膨潤性の低下を抑制した潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とすることができる。
本発明の一態様の潤滑油基油において、成分(B)の含有量は、当該潤滑油基油の全量(100質量%)基準で、絶縁性及び耐ゴム膨潤性に優れた潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは65質量%以上であり、また、成分(A)の含有量を確保し、摩擦低減効果を向上させた潤滑油組成物を調製し得る潤滑油基油とする観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましく97質量%以下、より好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、更に好ましくは90質量%以下、更に好ましくは88質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、より更に好ましくは83質量%以下、特に好ましくは80質量%以下である。
本発明の一態様で用いる鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、及び水素化精製(水素化分解)等の精製処理を1つ以上施して得られる精製油;等が挙げられる。
本発明の一態様で用いるエステル系合成油以外の合成油としては、例えば、α-オレフィン単独重合体、又はα-オレフィン共重合体(例えば、エチレン-α-オレフィン共重合体等の炭素数8~14のα-オレフィン共重合体)等のポリα-オレフィン;イソパラフィン;ポリアルキレングリコール;ポリフェニルエーテル等のエーテル系油;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス(Gas To Liquids WAX))を異性化することで得られる合成油(GTL)等が挙げられる。
本発明の一態様で用いる成分(B)は、API(米国石油協会)基油カテゴリーのグループ2及びグループ3に分類される鉱油、並びに、合成油から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
〔潤滑油基油の性状〕
本発明の一態様の潤滑油基油の100℃動粘度は、1.0mm/s以上、1.2mm/s以上、1.5mm/s以上、1.7mm/s以上、2.0mm/s以上、2.2mm/s以上、又は2.5mm/s以上としてもよく、また、10mm/s以下、9.0mm/s以下、8.0mm/s以下、7.0mm/s以下、6.0mm/s以下、5.0mm/s以下、4.5mm/s以下、4.2mm/s以下、4.0mm/s以下、3.8mm/s以下、又は3.5mm/s以下としてもよい。
本発明の一態様の潤滑油基油の粘度指数は、70以上、80以上、85以上、90以上、95以上、100以上、105以上、110以上、又は115以上としてもよい。
本発明の一態様の潤滑油基油の15℃密度は、好ましくは0.850g/cm未満、より好ましくは0.848g/cm以下、更に好ましくは0.847g/cm以下、より更に好ましくは0.846g/cm以下であり、さらに、0.845g/cm以下、0.844g/cm以下、0.843g/cm以下、0.842g/cm以下、又は0.841g/cm以下としてもよく、また、0.600g/cm以上、0.650g/cm以上、0.700g/cm以上、0.750g/cm以上、0.800g/cm以上、0.810g/cm以上、0.820g/cm以上、又は0.825g/cm以上としてもよい。
〔潤滑油組成物の構成〕
本発明の一態様の潤滑油組成物は、上述の本発明の一態様の潤滑油基油を含有する。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに潤滑油用添加剤を含有してもよく、具体的には、流動点降下剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、極圧剤、金属系清浄剤、無灰系分散剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、防錆剤、及び消泡剤から選ばれる1種以上の潤滑油用添加剤を含有してもよい。
これらの潤滑油用添加剤は、それぞれ、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの潤滑油用添加剤のそれぞれの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜調整することができるが、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、それぞれの添加剤ごとに独立して、通常0.001~15質量%、好ましくは0.005~10質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、上述の本発明の一態様の潤滑油基油の含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
<流動点降下剤>
本発明の一態様で用いる流動点降下剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられる。
これらの流動点降下剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<粘度指数向上剤>
本発明の一態様で用いる粘度指数向上剤としては、例えば、非分散型ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン-プロピレン共重合体等)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン-ジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体等)等の重合体が挙げられる。
これらの粘度指数向上剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の一態様で用いる粘度指数向上剤の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上、7,000以上、10,000以上、15,000以上、又は20,000以上としてもよく、また、1,000,000以下、700,000以下、500,000以下、300,000以下、200,000以下、100,000以下、又は50,000以下としてもよい。
<酸化防止剤>
本発明の一態様で用いる酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アルキル化フェニルナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤;2、6-ジ-t-ブチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6ージーtーブチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、酸化防止剤は、アミン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤とを併用することが好ましい。
<極圧剤(耐摩耗剤)>
本発明の一態様で用いる極圧剤(耐摩耗剤)としては、例えば、ジチオリン酸亜鉛等の硫黄含有化合物;亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等のリン含有化合物;チオ亜リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、チオホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等の硫黄及びリン含有化合物が挙げられる
これらの極圧剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<金属系清浄剤>
本発明の一態様で用いる金属系清浄剤としては、金属スルホネート、金属サリシレート、及び金属フェネート等の金属塩が挙げられる。また、当該金属塩を構成する金属原子としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる金属原子が好ましく、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、又はバリウムがより好ましく、カルシウムが更に好ましい。
これらの金属系清浄剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、金属系清浄剤は、カルシウムスルホネート、カルシウムサリシレート、及びカルシウムフェネートから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、カルシウムスルホネートを含むことがより好ましい。
カルシウムスルホネートの含有割合としては、潤滑油組成物に含まれる金属系清浄剤の全量(100質量%)基準で、好ましくは50~100質量%、より好ましくは60~100質量%、更に好ましくは70~100質量%、より更に好ましくは80~100質量%である。
金属系清浄剤の塩基価としては、好ましくは0~600mgKOH/gである。
ただし、本発明の一態様の潤滑油組成物において、金属系清浄剤は、塩基価が100mgKOH/g以上の過塩基性金属系清浄剤であることが好ましい。
過塩基性金属系清浄剤の塩基価としては、100mgKOH/g以上であるが、好ましくは150~500mgKOH/g、より好ましくは200~450mgKOH/gである。
なお、本明細書において、「塩基価」とは、JIS K2501:2003「石油製品および潤滑油-中和価試験方法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価を意味する。
<無灰系分散剤>
本発明の一態様で用いる無灰系分散剤としては、例えば、ホウ素非含有アルケニルコハク酸イミド等のホウ素非含有コハク酸イミド類、ホウ素含有アルケニルコハク酸イミド等のホウ素含有コハク酸イミド類、ベンジルアミン類、ホウ素含有ベンジルアミン類、コハク酸エステル類、脂肪酸あるいはコハク酸で代表される一価又は二価カルボン酸アミド類等が挙げられる。
これらの無灰系分散剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<金属不活性化剤>
本発明の一態様で用いる金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリルトリアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、ピリミジン系化合物等が挙げられる。
これらの金属不活性化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<腐食防止剤>
本発明の一態様で用いる腐食防止剤としては、例えば、アミン系化合物、アルカノールアミン系化合物、アミド系化合物、カルボン酸系化合物等が挙げられる。
これらの腐食防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<防錆剤>
本発明の一態様で用いる防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。
これらの防錆剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<消泡剤>
本発明の一態様で用いる消泡剤としては、例えば、シリコーン油、フルオロシリコーン油及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
これらの消泡剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<脂肪酸アミド>
本発明の一態様の潤滑油組成物は、成分(A)及び(B)を含む潤滑油基油を用いているため、摩擦低減効果に優れているため、脂肪族アミドを含有する必要は無い。
また、脂肪族アミドは、潤滑油組成物の絶縁性を低下させる要因となるため、その含有量は極力少ない程好ましく、実質的に含有しないことがより好ましい。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、脂肪族アミドの含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満である。
本明細書において、「脂肪族アミドを実質的に含有しない」とは、特定の目的に基づき脂肪族アミドを含有させる態様を除外する規定であって、他成分の不純物として脂肪族アミドが不可避的に含まれており、意図せずに含有してしまう態様までを除外するものではない。
なお、「脂肪族アミドを実質的に含有しない」態様も考慮すると、脂肪族アミドの含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、より好ましくは0.01質量%未満、更に好ましくは0.001質量%未満、より更に好ましくは0.0001質量%未満、特に好ましくは0.00001質量%未満である。
脂肪族アミドとしては、例えば、脂肪族カルボン酸と脂肪族アミンとの反応物が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セチロン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、セトレイン酸、エルカ酸等が挙げられる。
また、脂肪族アミンとしては、例えば、アンモニア、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。
〔潤滑油組成物の性状、特性〕
本発明の一態様の潤滑油組成物の100℃動粘度は、用途に応じて適宜調整され、1.0mm/s以上、1.5mm/s以上、2.0mm/s以上、2.2mm/s以上、2.5mm/s以上、2.7mm/s以上、又は3.0mm/s以上としてもよく、また、10mm/s以下、9.0mm/s以下、8.0mm/s以下、7.0mm/s以下、6.0mm/s以下、5.0mm/s以下、4.5mm/s以下、4.2mm/s以下、4.0mm/s以下、3.8mm/s以下、又は3.5mm/s以下としてもよい。
本発明の一態様の潤滑油組成物の粘度指数は、70以上、80以上、85以上、90以上、95以上、100以上、105以上、110以上、115以上、120以上、125以上、又は130以上としてもよい。
本発明の一態様の潤滑油組成物について、JIS C2101に準拠して、測定温度80℃、印加電圧250V、測定時間1分間の条件下で測定した体積抵抗率は、好ましくは1.4×10Ω・m超、より好ましくは1.5×10Ω・m以上、更に好ましくは1.6×10Ω・m以上、より更に好ましくは1.7×10Ω・m以上である。
なお、体積抵抗率の値は、後述の実施例に記載の方法で測定された値を意味する。
本発明の一態様の潤滑油組成物について、後述の実施例の方法に準拠して測定した、金属間摩擦係数は、好ましくは0.160未満、より好ましくは0.158以下、更に好ましくは0.157以下、より更に好ましくは0.155以下、特に好ましくは0.153以下である。
本発明の一態様の潤滑油組成物に試験用ニトリルゴムを浸漬させ、JIS K6258に準拠して100℃で144時間の条件下で測定した、試験用ニトリルゴムの体積変化率は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、更に好ましくは7%以下、より更に好ましくは5%以下、特に好ましくは4%以下である。
なお、試験用ニトリルゴムの体積変化率は、後述の実施例に記載の方法で測定された値を意味する。
〔潤滑油組成物の用途〕
本発明の好適な一態様の潤滑油組成物は、装置内に組み込まれた各種機構に適した特性を有し、絶縁性、摩擦低減効果、及び耐ゴム膨潤性に優れている。
このような特性を考慮し、本発明の一態様の潤滑油組成物は、例えば、電動駆動ユニット、エンジン、変速機、減速機、圧縮機、油圧装置等の各種装置に組み込まれている、トルクコンバータ、湿式クラッチ、歯車軸受機構、オイルポンプ、油圧制御機構等の機構における潤滑に好適に使用することができる。また、冷却特性及び絶縁特性に優れている為、モーター、バッテリーの冷却、絶縁に好適に使用することもできる。
また、本発明の好適な一態様の潤滑油組成物は、耐ゴム膨潤性に優れているため、0リング又はガスケットに接する部分に好適に使用することもできる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、各種性状の測定法又は算出法は、下記のとおりである。
(1)動粘度、粘度指数
JIS K2283:2000に準拠して測定及び算出した。
(2)密度
JIS K2249に準拠して測定した。
実施例1~7、比較例1~4
表1に示す種類及び配合量の基油を配合して潤滑油基油を調製した。調製した基油については、100℃動粘度、粘度指数、及び15℃密度を測定又は算出したところ、表1に示す値となった。
そして、表1に示す種類及び配合量の潤滑油用添加剤を添加して潤滑油組成物を調製した。
潤滑油基油及び潤滑油組成物の調製に使用した基油成分及び潤滑油用添加剤は、以下のとおりである。
<エステル系合成油>
・「C28ジエステル」:ドデカン二酸ビス(2-エチルヘキシル)、下記一般式(a1-i)で表される炭素数28のジエステル。
・「C26ジエステル」:セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、下記一般式(a1-ii)で表される炭素数26のジエステル。
・「C22ジエステル」:アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、下記一般式(a1-iii)で表される炭素数22のジエステル。
Figure 2023049434000006
・「C60トリエステル」:トリメチロールプロパン(オレイン酸)トリエステル、前記一般式(a2-i)で表される炭素数60のトリエステル。
・「C30・C36トリエステル」:トリメチロールプロパン(カプリル酸・カプリン酸)トリエステル、前記一般式(a2-iia)で表される炭素数30のトリエステルと前記一般式(a2-iib)で表される炭素数36のトリエステルとの混合物。
Figure 2023049434000007
<エステル系合成油以外の基油>
・「60N鉱油」:API基油カテゴリーのグループIIに属するパラフィン系鉱油、100℃動粘度=2.3mm/s、粘度指数=106。
・「100N鉱油」:API基油カテゴリーのグループIIIに属するパラフィン系鉱油、100℃動粘度=4.2mm/s、粘度指数=125。
・「PAO(1)」:ポリα-オレフィン系合成油、100℃動粘度=1.8mm/s。
・「PAO(2)」:ポリα-オレフィン系合成油、100℃動粘度=3.9mm/s、粘度指数=120。
<潤滑油用添加剤>
・「流動点降下剤」:ポリメタクリレート(PMA)系流動点降下剤。
・「添加剤混合物」:亜リン酸エステル、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、チアジアゾール、カルシウムスルホネート、ホウ素変性ポリブテニルコハク酸イミド、腐食防止剤、及びシリコーン系消泡剤からなる添加剤混合物。
・「脂肪酸アミド」:テトラエチレンペンタミンとイソステアリン酸との反応物。
調製した潤滑油組成物について、100℃動粘度及び粘度指数を測定又は算出すると共に、以下の(1)~(3)の各種試験を行った。これらの結果を表1に示す。
(1)絶縁性試験
JIS C2101に準拠して、測定温度80℃、印加電圧250V、測定時間1分間の試験条件において、試料油の体積抵抗率を測定した。当該体積抵抗率の値が高いほど、絶縁性に優れた潤滑油組成物であるといえる。本実施例においては、体積抵抗率が1.4×10Ω・m超の潤滑油組成物は、絶縁性が良好な潤滑性組成物であると判断した。
(2)摩擦低減効果試験
往復動摩擦試験機(オプティマール社製、SRV往復動摩擦試験機)を用いて、以下の手順で摩擦係数を測定した。
テストピースとして、ディスク(直径24mm、厚さ7.9mm、材質:SUJ-2)を用い、当該ディスク上に、測定対象の潤滑油組成物を数滴滴下し、ボール(直径10mm、ボールの材質:SUJ-2)を当該ディスク上部にセットした。
この状態で、100℃、荷重75N(1.7GPa)、速さ0.16m/s、振幅1mm、周波数50Hz℃の条件にて、摩擦係数を求めた。
当該摩擦係数の値が小さいほど、摩擦低減効果に優れた潤滑油組成物であるといえる。なお、本実施例においては、摩擦係数が0.160未満の潤滑油組成物は、摩擦低減効果が良好な潤滑性組成物であると判断した。
(3)耐ゴム膨潤性試験
JIS K6258に準拠したゴム浸漬試験を行った。具体的には、測定対象となる潤滑油基油に、試験用ニトリルゴム(NOK株式会社製、製品名「A727」)を、浸漬温度100℃、浸漬時間144時間の条件下で浸漬して測定した。そして、試験前後での試験片の体積を測定し、下記式から体積変化率を算出した。
・[体積変化率(%)]=([試験後の試験片の体積]-[試験前の試験片の体積])/[試験前の試験片の体積]×100
当該体積抵抗率の値が高いほど、耐ゴム膨潤性に優れた潤滑油組成物であるといえる。なお、本実施例においては、体積変化率が10%以下の潤滑油組成物は、耐ゴム膨潤性が良好な潤滑性組成物であると判断した。
Figure 2023049434000008
表1より、実施例1~7の潤滑油組成物は、絶縁性、摩擦低減効果、及び耐ゴム膨潤性の特性がいずれもがバランス良く優れた結果となった。
一方で、比較例1~4の潤滑油組成物は、絶縁性、摩擦低減効果、及び耐ゴム膨潤性の少なくとも1種が劣る結果であった。

Claims (12)

  1. 炭素数24以上のジエステル(A1)及び炭素数24以上のトリエステル(A2)から選ばれる少なくとも1種のエステル化合物(A)と、
    鉱油及びエステル系合成油以外の合成油から選ばれる少なくとも1種の基油(B)とを含む、潤滑油基油。
  2. 前記潤滑油基油の15℃における密度が0.850g/cm未満である、請求項1に記載の潤滑油基油。
  3. 成分(A)の含有量が、前記潤滑油基油の全量基準で、1~90質量%である、請求項1又は2に記載の潤滑油基油。
  4. 成分(A1)の炭素数が26以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
  5. 成分(A1)が、下記一般式(a1-1)で表される化合物(A11)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
    Figure 2023049434000009
    (上記式中、R及びRは、それぞれ独立して、一価の鎖状炭化水素基であって、Aは、炭素数5以上の二価の炭化水素基である。)
  6. 成分(A2)が、下記一般式(a2-1)で表される化合物(A21)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
    Figure 2023049434000010
    (上記式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、一価の鎖状炭化水素基であって、Aは、炭素数5以上の三価の炭化水素基である。)
  7. 成分(A)が、成分(A1)を少なくとも含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
  8. 成分(A)が、成分(A2)を少なくとも含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の潤滑油基油を含む、潤滑油組成物。
  10. さらに、流動点降下剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、極圧剤、金属系清浄剤、無灰系分散剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、防錆剤、及び消泡剤から選ばれる1種以上の潤滑油用添加剤を含有する、請求項9に記載の潤滑油組成物。
  11. 脂肪酸アミドの含有量が、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、1.0質量%未満である、請求項9又は10に記載の潤滑油組成物。
  12. 前記潤滑油組成物に試験用ニトリルゴムを浸漬させ、JIS K6258に準拠して100℃で144時間の条件下で測定した、前記試験用ニトリルゴムの体積変化率が10%未満である、請求項9~11のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
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