JP2023048925A - 光学用ポリエステルフィルム、光学用積層フィルム、ディスプレイ及びディスプレイ装置 - Google Patents

光学用ポリエステルフィルム、光学用積層フィルム、ディスプレイ及びディスプレイ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ディスプレイを構成する各種光学部材の光劣化を抑制でき、ディスプレイ装置の薄膜化、軽量化にも対応可能な、紫外線カット性及び可視光短波長領域の波長カット性に優れた光学用ポリエステルフィルムを提供することにある。【解決手段】紫外線吸収剤を含有するポリエステルフィルムであって、少なくとも1、2又は3個のナフタレン環と結合するトリアジン系紫外線吸収剤(A)、又は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)のいずれかを含み、下記の(1)及び(2)を同時に満足する、光学用ポリエステルフィルムである。(1)300~430nmの波長における平均光線透過率が30%以下(2)厚みが9~125μm【選択図】なし

Description

本発明は、光学用ポリエステルフィルム、光学用積層フィルム、ディスプレイ及びディスプレイ装置に関する。
ポリエステルフィルムは、優れた機械的特性、耐熱性、透明性、耐薬品性等を有していることから、包装用、電子部品用、電気絶縁用、金属ラミネート用、光学用など、各種用途に用いられている。
特に近年、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置等のディスプレイ装置は、薄膜化、軽量化及びさらなる高性能化が求められており、各種光学用フィルムの需要が高まっている。
ディスプレイ装置の高性能化の一手段として、ディスプレイを構成する各種光学部材(以下、「光学部材」とも称する)の光劣化の抑制が検討されており、その一例として、表面保護パネルと画像表示モジュールとの間に配設して用いられる、紫外線吸収剤を含む粘着シートが知られている。
例えば特許文献1では、アクリル系粘着剤層を有し、bが0.42以下であり、波長350nmの光の透過率が5%以下である光学用粘着シートが開示されている。
また、特許文献2では、ディスプレイ装置におけるカバーガラス又はカバープラスチックと偏光フィルムとの間に配置される、波長380nmにおける透過率が40%以下であり、かつ波長400nmにおける透過率が30%以上である紫外線硬化型アクリル系粘着剤層が開示されている。
一方で、従来用いられているディスプレイの構成に着目すると、液晶ディスプレイ装置の場合はバックライト光を直線偏光に変換する目的で、また、有機ELディスプレイ装置の場合は外光の反射防止の目的で、それぞれディスプレイの視認側位置に偏光板が用いられている。これら偏光板内に用いる偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)が使用されるが、PVAは外部から侵入する紫外線により劣化することが知られており、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の保護フィルムで挟んで紫外線カット機能を発現させる必要がある。
上記TACフィルムを代替する技術として、例えば特許文献3には、ポリエステルフィルムに紫外線カット性を付与する手法が開示されている。
また、特許文献4には、PVAや液晶、発光素子などの劣化を抑制することを目的として、紫外線吸収剤及び/又は可視光線吸収色素を少なくとも1種以上含有する、紫外線カット性と可視光短波長領域の急峻な波長カット性に優れた光学フィルムが開示されている。
特開2019-214722号公報 特開2016-155981号公報 特開2013-210598号公報 特開2017-187619号公報
しかしながら、特許文献1及び2の光吸収機能を有するディスプレイ装置用透明粘着剤は、従来のTACなどの保護フィルムを有する偏光板、すなわち紫外線吸収剤を含む保護フィルムの機能を補完するものである。よって、ディスプレイ装置のさらなる薄膜化、軽量化に対応するためには、保護フィルムを設けずに光学部材の光劣化を抑制することが求められる。
また、特許文献3及び4のポリエステルフィルムにおいて、紫外線吸収剤だけで紫外線カット性及び可視光短波長領域の波長カット性を発現させるには、紫外線吸収剤の含有量を増やさなければならず、ブリードアウトが発生するリスクが高くなる。特に薄膜光学用フィルムにおいては、上記課題が顕著にあらわれることから、ディスプレイ装置の薄膜化、軽量化に対応困難な場合があった。
なお、特許文献3及び4には、紫外線吸収剤を含む保護フィルムで偏光子を挟持せずに、光学部材の光劣化を抑制することについては言及されていない。
そこで、本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、ディスプレイを構成する各種光学部材の光劣化を抑制でき、ディスプレイ装置の薄膜化、軽量化にも対応可能な、紫外線カット性及び可視光短波長領域の波長カット性に優れた光学用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、次の構成を有することで、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は以下の態様を有する。
[1]紫外線吸収剤を含有するポリエステルフィルムであって、少なくとも1、2又は3個のナフタレン環と結合するトリアジン系紫外線吸収剤(A)、又は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)のいずれかを含み、下記の(1)及び(2)を同時に満足する、光学用ポリエステルフィルム。
(1)300~430nmの波長における平均光線透過率が30%以下
(2)厚みが9~125μm
[2]全光線透過率が、85%以上である、上記[1]に記載の光学用ポリエステルフィルム。
[3]ヘーズが、3.0%以下である、上記[1]又は[2]に記載の光学用ポリエステルフィルム。
[4]120℃で5分間加熱したときの熱収縮率が、長手方向(MD)及び幅方向(TD)いずれも5.0%以下である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[5]前記紫外線吸収剤の合計含有量が、ポリエステルフィルム全体に対して7質量%以下である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[6]前記ポリエステルフィルムが少なくとも3層からなり、最外層以外の層に前記紫外線吸収剤を含有する、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[7]前記紫外線吸収剤が、前記トリアジン系紫外線吸収剤(A)とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)を除く)を含む、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[8]波長380nmにおける光線透過率が、10%以下である、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
[9]波長400nmにおける光線透過率が、80%以下である、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の光学用ポリエステルフィルム。
[10]上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の光学用ポリエステルフィルムの少なくとも片面に機能層を有する、光学用積層フィルム。
[11]前記機能層が、ハードコート層である、上記[10]に記載の光学用積層フィルム。
[12]表面保護用である、上記[11]に記載の光学用積層フィルム。
[13]前記機能層を備えた面とは反対面側に粘着層を備える、上記[10]~[12]のいずれか1つに記載の光学用積層フィルム。
[14]上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の光学用ポリエステルフィルム、又は上記[10]~[13]のいずれか1つに記載の光学用積層フィルムと、塗布型偏光素子とを有するディスプレイ。
[15]上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の光学用ポリエステルフィルム、又は上記[10]~[13]のいずれか1つに記載の光学用積層フィルムと、カラーフィルタとを有するディスプレイ。
[16]上記[14]又は[15]に記載のディスプレイを備えたディスプレイ装置。
本発明に係る光学用ポリエステルフィルムは、紫外線カット性及び可視光短波長領域の波長カット性に優れる。
したがって、従来のように紫外線吸収剤を含む保護フィルムで偏光子を挟持することなく光学部材の光劣化を抑制できるため、ディスプレイ装置の薄膜化、軽量化の向上にも寄与することができる。
本発明のディスプレイの一例を示す模式的な断面図である。 本発明のディスプレイの一例を示す模式的な断面図である。 本発明のディスプレイの一例を示す模式的な断面図である。
次に、本発明の実施形態の一例について説明する。ただし、本発明は、次に説明する実施形態に限定されるものではない。
[光学用ポリエステルフィルム]
本発明の光学用ポリエステルフィルム(以下、「本ポリエステルフィルム」とも称する)は、紫外線吸収剤を含有し、少なくとも1、2又は3個のナフタレン環と結合するトリアジン系紫外線吸収剤(A)、又は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)のいずれかを含み、下記の(1)及び(2)を同時に満足するものである。
(1)300~430nmの波長における平均光線透過率が30%以下
(2)厚みが9~125μm
本ポリエステルフィルムは、単層構造であっても、多層構造(すなわち、積層フィルム)であってもよい。本フィルムが多層構造の場合、2層構造、3層構造などでもよいし、本発明の要旨を逸脱しない限り、4層又はそれ以上の多層であってもよく、層数は特に限定されない。なお、3層以上の多層構造では、最外層である表層と表層以外の中間層を有する。
ただし、薄膜化対応や製造工程数低減の観点からは、単層構造又は3層以下の多層構造であることが好ましく、3層構造であることがより好ましい。3層構造である場合には、2種3層でも3種3層でもよい。
また、本ポリエステルフィルムは、未延伸ポリエステルフィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよいが、少なくとも一方向に延伸された、具体的には一軸又は二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。中でも、力学特性のバランス、平面性及び薄膜化の観点から、二軸延伸ポリエステルフィルムであることがより好ましい。
本ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分樹脂とすることが好ましい。
また、本ポリエステルフィルムが多層構造の場合にあっては、各層の主成分樹脂がポリエステルであることが好ましい。
なお、「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂のうち最も含有割合の高い樹脂を意味し、例えば各層を構成する樹脂のうち50質量%以上、特に70質量%以上、中でも80質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。
本ポリエステルフィルムは、ポリエステル以外の樹脂を含んでいてもよく、ポリエステル以外の樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂(アラミド系樹脂を含む)、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、及びフッ素系樹脂等が挙げられる。これらのポリエステル以外の樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<ポリエステル>
本ポリエステルフィルムに使用するポリエステルとしては、特に限定されるものではない。具体的には、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重縮合してなるポリエステルが挙げられる。
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、ダイマー酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、及びコハク酸等が挙げられる。
ジカルボン酸成分として、トリメリット酸及びトリメシン酸等のトリカルボン酸、並びにピロメリット酸等のテトラカルボン酸を用いることもできる。
さらに、ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、例えば、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等の酸無水物、並びにトリメリット酸モノカリウム等のカルボン酸塩等も用いることができる。
ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコール、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、スピログリコール、イソソルバイド、及びジメチロールプロピオン酸、並びにジメチロールプロピオン酸カリウム等が挙げられる。ジオール成分として、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールを用いることもできる。
上記化合物の中から、それぞれ適宜1種以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステルを合成すればよい。
なお、本発明においては、ジカルボン酸成分を100モル%としたときに、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含有するポリエステルを使用することが好ましい。
上記ポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。
ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。中でも、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸がより好ましく、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ルがより好ましい。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を例示することができ、汎用性の観点からはPETが好ましい。
一方、上記ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分の主成分となる化合物、及び、ジオール成分の主成分となる化合物以外の第3成分を共重合成分として含む。例えば、第3成分とは、PETでは、テレフタル酸及びエチレングリコール以外の成分である。主成分及び第3成分であるジカルボン酸及びジオールの具体例は上記した通りである。PETの場合のテレフタル酸以外のジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、エチレングリコール以外のジオール成分としては1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
本ポリエステルフィルムは紫外線吸収剤(UVA)を含有する。紫外線吸収剤の一態様として、高分子量タイプの紫外線吸収剤を含有してもよい。高分子量タイプの紫外線吸収剤としては、紫外線吸収剤を骨格中に有するポリマーが挙げられ、より具体的には、後述するようにポリエステルに対する相溶性を考慮し、紫外線吸収剤をポリマー骨格の主鎖又は側鎖に含んでいる共重合ポリエステル(以下、「UVA共重合ポリエステル」とも称する。)の形態として紫外線吸収剤を含んでいてもよい。この場合のUVA共重合ポリエステルは、ポリエステルフィルムに紫外線吸収能を付与する一つの形態であり、ポリエステルフィルム自体を形成する成分とは異なるため、本発明においては、上述の共重合ポリエステルとは区別される。なお、UVA共重合ポリエステルの詳細な形態は、後述のとおりである。
本ポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステル又は共重合ポリエステルを単独で使用してもよいし、ホモポリエステルと共重合ポリエステルとを併用してもよい。また、ホモポリエステルとUVA共重合ポリエステル、又は共重合ポリエステルとUVA共重合ポリエステルとを併用してもよい。あるいは、ホモポリエステル、共重合ポリエステル、UVA共重合ポリエステルを併用してもよい。
なお、各層に使用されるポリエステルは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、上記したものを用いることができる。
本ポリエステルフィルムにおける全ジカルボン酸成分100モル%のうち共重合成分の含有量は、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは27モル%以下、さらに好ましくは25モル%以下であり、また、本ポリエステルフィルムにおける全ジオール成分100モル%のうち共重合成分の含有量は、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは27モル%以下、さらに好ましくは25モル%以下である。共重合成分の含有量の下限値は、0モル%(ホモ)である。
ここでいう、共重合成分の含有量とは、共重合ポリエステル(上述のとおり、後述するUVA共重合ポリエステルは除く)のジカルボン酸成分又はジオール成分に関しての共重合成分の含有量であり、ポリエステルフィルムを構成する全ポリエステル(UVA共重合ポリエステルを含む)のジカルボン酸成分全量又はジオール成分全量に対する、共重合成分の割合である。共重合成分は、上記全ポリエステルのジカルボン酸成分又はジオール成分において、主成分と共重合する主成分以外の共重合成分の合計量である。共重合成分の含有量は、ジカルボン酸成分又はジオール成分の少なくともいずれかに関して上記範囲内であるとよい。
また、主成分とは、上述のように、上記全ポリエステルにおいて最も含有量(モル%量)が多い一種のジカルボン酸成分又はジオール成分である。より具体的には、例えば、ジカルボン酸成分に関して、主成分がテレフタル酸である場合に、テレフタル酸と共重合するテレフタル酸以外のイソフタル酸等が共重合成分であり、ジオール成分に関して、エチレングリコールが主成分である場合に、エチレングリコールと共重合するエチレングリコール以外の1,4-シクロヘキサンジメタノール等が共重合成分となる。
また、例えば、ジオール成分として、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びUVA共重合ポリエステルに含まれるジオール2種を含有する場合、上記主成分はエチレングリコール、上記共重合成分は1,4-シクロヘキサンジメタノールとなり、UVA共重合ポリエステルに含まれるジオール2種は上記共重合成分には含まれない。一方で、共重合成分の含有量を算出する場合には、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びUVA共重合ポリエステルに含まれるジオール2種の全ジオール成分量に対する1,4-シクロヘキサンジメタノールの割合を算出する。
なお、通常、エチレングリコールを原料の1つとしてポリエステルを製造(重縮合)する場合、エチレングリコールからジエチレングリコールが副生する。本明細書においては、このジエチレングリコールを副生ジエチレングリコールと称する。エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生量は、重縮合の様式等によっても異なるが、エチレングリコールのうち5モル%以下程度である。本発明においては、5モル%以下の前記副生ジエチレングリコールもエチレングリコールに包含されるものとする。一方で、ジエチレングリコールの含有量によっては、より具体的にはジエチレングリコールが5モル%を超えて含有されている場合には、ジエチレングリコールはエチレングリコールとは区別される。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えばチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物等が挙げられる。
オリゴマー成分の析出量を抑えるために、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルを原料としてもよい。オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルの製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えばポリエステル製造後に固相重合する方法等が挙げられる。
また、本ポリエステルフィルムを3層以上の構成とし、ポリエステルフィルムの最外層を、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステル原料を用いた層とすることで、オリゴマー成分の析出量を抑えてもよい。
また、ポリエステルは、エステル化もしくはエステル交換反応をした後に、さらに反応温度を高くして減圧下で溶融重縮合して得てもよい。
<紫外線吸収剤>
ディスプレイの構成部材である偏光板は、一般的な構成として、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の2枚の保護フィルムで挟んだものに、粘着剤を塗布するかもしくは粘着シートを積層してなるものであった。しかしながら、このような偏光板は、PVAを延伸した偏光子を用いているため非常に脆く、2枚の保護フィルムで挟持する必要があることから、薄膜化には限界があった。
一方で、近年、ディスプレイ装置の薄膜化、軽量化の流れに伴って、ディスプレイを構成する偏光板等の光学異方性部材にも薄膜化が求められている。
そこで、偏光板等の光学異方性部材を薄膜化する手段として、塗布型偏光素子が注目されている。後述のような塗布型偏光素子は、従来の偏光素子に比べて、塗布により膜を形成できることから、厚さを薄くすることができる。また、塗布型偏光素子を用いることで、保護フィルムによる偏光子の挟持を必ずしも必要としないことから、薄膜の偏光板を得ることができる。
しかしながら、塗布型偏光素子は、光により劣化し易いため、外光等の光(露光)によって偏光性能が経時的に低下する問題があった。
また、偏光素子のみならず、偏光板に用いるヨウ素や二色性を有する有機色素、さらにはディスプレイに用いられる液晶パネル、有機ELデバイスを構成する発光素子等といった各種光学部材は、耐光性が十分でない問題がある。
また、ディスプレイ装置の更なる薄膜化、軽量化に伴い、カラーフィルタを有するカラーフィルタ内蔵型ディスプレイも検討されている。カラーフィルタ内蔵型ディスプレイ、特にカラーフィルタ内蔵型有機ELディスプレイは、内蔵されたカラーフィルタ及び必要に応じて設けられるブラックマトリックスや反射防止層により、外光反射を低減できることから、従前のディスプレイ(特に有機ELディスプレイ)において使用していた偏光板及び位相差板(円偏光板)が不要となり、ディスプレイ装置の更なる薄膜化、軽量化に寄与するものである。
カラーフィルタは、液晶ディスプレイの色表示などに使用される色表示を担うフィルタであり、光の三原色である「赤色(Red)」「緑色(Green)」「青色(Blue)」のRGB色素等がパターニングされている。前記RGB色素に耐光性はあるが、上述のとおり、液晶パネル、有機ELデバイスを構成する発光素子等の耐光性が十分でないといった問題があり、カラーフィルタを用いた場合にも光学部材の保護が必要な場合がある。
かかる課題に対する解決策として、本ポリエステルフィルムに紫外線吸収性能を付与することで、塗布型偏光素子又はカラーフィルタとの組み合わせによる、各種ディスプレイ装置へのポリエステルフィルムの搭載が可能となる。
塗布型偏光素子又はカラーフィルタを有するディスプレイ用として、ポリエステルフィルムを使用する場合、前述の通り、塗布型偏光素子の光劣化を低減する目的や耐光性が十分でない各種光学部材を保護する目的で、ポリエステルフィルムに紫外線吸収剤を含有させて紫外線吸収能を付与することが好ましい。
なお、塗布型偏光素子又はカラーフィルタを有さないディスプレイ用として、ポリエステルフィルムを使用する場合にも、紫外線吸収剤を含有させて、従来の保護フィルムを有する偏光板、すなわち紫外線吸収剤を含む保護フィルムの機能を補完することも可能である。
本ポリエステルフィルムは、紫外線吸収剤を含有し、少なくとも1、2又は3個のナフタレン環と結合するトリアジン化合物であるトリアジン系紫外線吸収剤(A)、又は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)のいずれかを含む。
上記トリアジン系紫外線吸収剤(A)又は上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)の少なくともいずれかを含むことにより、紫外線カット性だけでなく可視光短波長領域の波長カット性に優れ、各種光学部材の光劣化を抑制できる。
なお、トリアジン系紫外線吸収剤(A)とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)を併用することもできる。
(トリアジン系紫外線吸収剤(A))
トリアジン系紫外線吸収剤(A)は、1、2又は3個のナフタレン環と結合するトリアジン化合物である。前記トリアジン系紫外線吸収剤(A)は、トリアジン環に結合するナフタレン環の作用により、波長400nm未満の紫外線領域に加えて波長400~420nm程度の可視光短波長領域の光を吸収できる。
また、前記トリアジン系紫外線吸収剤(A)は、従来よりも少量の添加で所望の波長吸収が可能になるため、本ポリエステルフィルムにおける紫外線吸収剤のブリードアウトの発生リスク低減や本ポリエステルフィルムの透明性の低下抑制につながる。
前記トリアジン系紫外線吸収剤(A)において、少なくとも一つのナフタレン環は、連結基を介さずトリアジン環と直接結合することが好ましい。また、トリアジン環に直接結合する1~3個のナフタレン環のうち、少なくとも一つのナフタレン環の2位に水酸基を有することがより好ましい。
前記トリアジン系紫外線吸収剤(A)は、下記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)からなる群より選択される化合物が好ましい。
Figure 2023048925000001
Figure 2023048925000002
Figure 2023048925000003
一般式(1)~(3)中、R1b~R1g、R2a~R2g、R3a~R3gは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトリル基、ニトロ基、スルホ基、R、Ar、又は下記一般式(4-1)~(4-3)で示す基である。
は炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~20のアルケニルオキシ基であり、置換基として水酸基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、又はスルホ基を有してもよく、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~20のアルケニルオキシ基の炭素原子と炭素原子の間が一つ又は複数の-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、又は-NHCO-で連結されていてもよい。
Arは炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリールオキシ基、ビフェニル基であり、置換基として、水酸基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~20のアルケニルオキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、又はスルホ基を有していてもよい。
また、一般式(2)~(3)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水酸基、R又はArである。
Figure 2023048925000004
一般式(4-1)中、Xは-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、又は-NHCO-である。Rは水素原子、水酸基、R又はArである。ただし、一般式(4-1)中の*印は、一般式(1)~(3)のナフタレン環との結合部位を表す。
Figure 2023048925000005
一般式(4-2)中、X、Xはそれぞれ独立して-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、又は-NHCO-である。Rは炭素数6~20のアリーレン基である。R10はR又はArである。ただし、一般式(4-2)中の*印は、一般式(1)~(3)のナフタレン環との結合部位を表す。
Figure 2023048925000006
一般式(4-3)中、X、Xはそれぞれ独立して-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、又は-NHCO-である。R11は直鎖又は分岐鎖状の炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数6~20のアリーレン基である。R12はR又はArである。nは1~20である。ただし、一般式(4-3)中の*印は、一般式(1)~(3)のナフタレン環との結合部位を表す。)
なお、一般式(4-1)で示す基は、一般式(4)で示す基が好ましい。
Figure 2023048925000007
一般式(4)中、Yは-NH-、又は-O-である。R13は、水素原子、水酸基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~20のアルケニルオキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、置換基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトリル基、ニトロ基、カルボキシル基、又はスルホ基を有する炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。ただし、一般式(4)の*印は、一般式(1)~(3)のナフタレン環との結合部位を表す。
一般式(1)~(3)で示される化合物の中では、一般式(1)及び(3)で表される化合物が好ましく、一般式(1)において、R2a及びR3aがいずれも水酸基である化合物が好ましい。さらには、一般式(1)では、R1b~R1g、が水素であることが好ましく、実施例に記載の式(8)で示される化合物が特に好ましい。また、一般式(3)で示される化合物としては、R1b~R1gが水素である化合物が好ましく、R及びRが、それぞれ独立にArである化合物がより好ましい。Arとしては、炭素数6~20のアリール基が好ましく、特に、R及びRのいずれもがフェニル基である化合物が好ましい。
一般式(1)~(3)で示す化合物は、例えば、実施例に記載の化合物が挙げられる。
上記トリアジン化合物の合成方法は、トリアジン構造を有する化合物の公知の合成法を使用して合成できる。例えば、塩化シアヌルにナフトール又はナフトール誘導体を、三塩化アルミニウムを用いて付加反応させる方法が挙げられる。他にも、例えば2-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸メチルとベンズアミジン塩酸塩を、ナトリウムメトキシドを用いて縮合環化反応させる方法も挙げられる。トリアジン環に単結合で連結したナフタレン環やR、R、Rが備える置換基は、トリアジン構造を形成した後に導入してもよく、トリアジン構造を形成する前に導入してもよい。
(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B))
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)(前述のUVA共重合ポリエステルに相当)は、高分子量タイプの紫外線吸収剤の形態として、ポリエステルフィルムに紫外線吸収剤を含有させるものであり、本ポリエステルフィルムに高度なレベルの耐光性を付与できる。
また、高分子量タイプの紫外線吸収剤は、低分子量タイプの紫外線吸収剤を添加して使用する場合と比較し、少量の使用量で優れた耐光性を有することができるため、ブリードアウトのリスクを大幅に低減できる。
さらに、紫外線吸収剤を単に混合して用いるのではなく、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)の形態として用いることにより、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)がフィルム構成樹脂に高い親和性を示し、均一に分散することが可能となる。したがって、本ポリエステルフィルムの面積がより広くなっても、フィルムの場所に関わらず安定した耐光性を発現できる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)を構成するポリエステルに特に制限はないが、ジカルボン酸とジオールとの重縮合ポリマーであることが好ましく、ジカルボン酸としては芳香族ジカルボン酸が好ましく、ジオールとしてはベンゾトリアゾール基を有するジオール化合物(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤に相当)を必須成分として、さらにその他の脂肪族ジオールを併用してもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-ジカルボン酸、ジフェニルケトン-ジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸及び2,7-ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及び4,4’-ビフェニルジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
ジオールとしては、ベンゾトリアゾール基を有するジオール化合物(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)を含む必要がある。ベンゾトリアゾール基を有するジオール化合物としては、例えば下記式(5)で表される2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール]を挙げることができる。ベンゾトリアゾール基を有するジオール化合物の含有量は、全グリコール成分に対して5~20モル%が好ましい。当該含有量が5モル%以上であれば、フィルムに十分な紫外線吸収能を付与することができ、20モル%以下であれば、フィルムの機械的強度も十分となる。
Figure 2023048925000008
前記その他の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール及びジエチレングリコール等の直鎖又は分岐構造を有する脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、スピログリコール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、ノルボルネンジメタノール及びトリシクロデカンジメタノール等の脂環式ジオールが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、あるいは必要に応じて2種類以上併用してもよい。
本発明では、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)としては、PETとの相溶性が良好であり、かつガラス転移点が近く、フィルム成形加工適性が良好である点から、ポリブチレンテレフタレート(PBT)骨格にベンゾトリアゾール基を付加した共重合ポリエステルを用いるのがよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来から公知の方法により製造することができる。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加するタイミングは特に限定されるわけではなく、ジカルボン酸とジオールとの重縮合する際、任意の段階で添加することができる。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)(UVA共重合ポリエステル)を用いる場合は、UVA共重合ポリエステルを含有する層におけるUVA共重合ポリエステルの含有量は、当該層の全ポリエステルの合計量100質量部に対して、1~25質量部が好ましく、より好ましくは5~20質量部、さらに好ましくは10~15質量部である。かかる範囲であれば、フィルムの基本特性を損なうことなく、十分な紫外線吸収能が得られる。
(その他の紫外線吸収剤)
本発明においては、少なくとも前記トリアジン系紫外線吸収剤(A)、又は、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)のいずれかを含んでいればよく、さらに、その他の紫外線吸収剤を併用してもよい。
その他の紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する化合物で、ポリエステルフィルムの製造工程で付加される熱に耐えうるものであれば特に限定されない。
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤があるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、前記トリアジン系紫外線吸収剤(A)以外のトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、紫外線吸収剤は1種単独で使用してもよいし、2種類以上併用して用いることも可能である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5-ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2, 2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール]、2, 2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-クミル-6-ベンゾトリアゾールフェニル)、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-オクチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-ノニルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-デシルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-アクリロイルオキシエトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’-(p-フェニレン)ジ-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジノン-4-オン)、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン等が例示される。
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等が例示される。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等が例示される。
前記その他の紫外線吸収剤としては、前記トリアジン系紫外線吸収剤(A)を用いた際に、さらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ただし、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)を除く)を併用することが好ましい。
紫外線吸収剤の合計含有量は、耐光信頼性を向上させる観点から、ポリエステルフィルム全体に対して0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。
一方、紫外線吸収剤の合計含有量の上限値は、ブリードアウトを抑制し、耐黄変性を向上させる観点から、ポリエステルフィルム全体に対して7質量%以下であることが好ましく、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
なお、本発明においては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)を用いた場合の紫外線吸収剤とは、骨格の一部に付加されたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をいう。かかる場合、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)の含有量として前記範囲を満たし、紫外線吸収剤の合計含有量として上記範囲を満たすことが好ましい。
本ポリエステルフィルムが、多層構造の場合、紫外線吸収剤は、複数の層のうちの少なくとも1つに含有させるとよい。中でも最外層以外の層に含有させることが好ましく、具体的には、本ポリエステルフィルムが上記の好適な態様のとおり表層及び中間層を有する場合、紫外線吸収剤は、中間層に含有させることが好ましい。中間層に紫外線吸収剤を含有させることで、フィルムの表面に紫外線吸収剤がブリードアウトすることを抑制できる。
なお、紫外線吸収剤を含有する層は、多層構造である場合には、好ましくは中間層であるが、フィルムが単層構造である場合には、フィルム全体である。
<粒子>
本ポリエステルフィルムには、易滑性の付与及び各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を含有させることも可能である。粒子の種類は、易滑性の付与が可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。
また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。
これら一連の粒子は、1種単独で使用してもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、フィルムの透明性と取り扱い性との両立を考慮すると、通常、0.05~5μm、好ましくは0.1~4μm、さらに好ましくは0.3~4μmの範囲がよい。なお、粒子の平均粒径は、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径(d50)である。
本ポリエステルフィルムは、多層構造を有し、かつ、粒子を含有する場合、粒子は、複数の層のうちの少なくとも1つに含有させるとよいが、複数の層のうち、最外層に含有させることが好ましく、具体的には、本ポリエステルフィルムが上記の好適な態様のとおり表層及び中間層を有する場合、粒子は、表層に含有させることが好ましい。粒子は、一方の最外層に含有させてもよいが、両方の最外層に含有させることが好ましい。最外層に粒子を含有させることで、フィルム全体における粒子の含有量を少なくしつつ、効果的に易滑性などを付与できる。
粒子を含有する層における粒子の含有量は、通常0.01~10質量%、好ましくは0.02~5質量%の範囲である。粒子が無い場合、あるいは少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり、透明性の観点から良好なフィルムとなる。一方、上記範囲で粒子を含有することで滑り性の点でも良好となる。
なお、粒子を含有する層は、多層構造である場合には、好ましくは表層であるが、フィルムが単層構造である場合には、フィルム全体である。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのがよい。
<その他の添加剤>
本ポリエステルフィルム中には、上述の紫外線吸収剤及び粒子以外に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等の添加剤を添加することができる。本ポリエステルフィルムが多層構造を有する場合、各添加剤は、複数の層のうち少なくともいずれに添加されればよい。
<製造方法>
次に、本ポリエステルフィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムである場合を例にポリエステルフィルムの製造方法について説明する。ポリエステルフィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムである場合には、まず、未延伸シートを製造し、その後、二方向に延伸させて二軸延伸ポリエステルフィルムを得るとよい。
未延伸シートは、先に述べたポリエステル、トリアジン系紫外線吸収剤(A)及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)と、必要に応じて配合される、粒子、その他の紫外線吸収剤、及びその他の添加剤とを押出機に供給して適宜混合して、押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、回転冷却ドラムで冷却固化して得ることが好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法及び/又は液体塗布密着法が好ましくは採用される。
また、本ポリエステルフィルムが、多層構造である場合には、共押出し法によって複数層を共押出して、多層構造を有する未延伸シートとするとよい。
また、原料となるポリエステルは、ペレットなどとして、適宜乾燥されたうえで押出機に供給されるとよい。また、粒子、紫外線吸収剤、その他の添加剤などは、適宜ペレットに配合されてもよい。
得られた未延伸シートは、次に一軸方向に、さらには二軸方向に延伸される。
具体的には、まず未延伸シートを一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70~120℃、好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70~170℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。ここで、一段目の延伸方向が長手方向(MD)、その方向と直交する方向が幅方向(TD)であるとよいが、逆であってもよい。
そして、引き続き180~270℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸ポリエステルフィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70~120℃、好ましくは80~110℃に温度コントロールされた状態で、長手方向及び幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4~50倍、好ましくは7~35倍、より好ましくは10~25倍である。
引き続き、170~250℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式及びリニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
なお、本発明において、フィルムの長手方向(MD)とは、フィルムの製造工程でフィルムが進行する方向、すなわちフィルムロールの巻き方向をいう。フィルムの幅方向(TD)とは、フィルム面に平行かつ長手方向と直交する方向をいい、すなわち、フィルムロール状としたときロールの中心軸と平行な方向である。
本ポリエステルフィルムの厚みは、9~125μmである。125μmを超えると、ディスプレイ装置の薄膜化、軽量化への対応が困難となる。一方で、9μm未満であると、フィルム強度が不十分となる。
かかる観点から、本ポリエステルフィルムの厚みは12~100μmが好ましく、25~75μmがより好ましい。
本ポリエステルフィルムが、2つの表層と、2つの表層の間に配置される中間層とを少なくとも備える場合、各表層の厚みは、本ポリエステルフィルム全体の厚みの1~20%であることが好ましく、より好ましくは1~19%、さらに好ましくは1~18%である。表層の厚みをこのような範囲内とすると、表層が粒子を有する場合には粒子により透明性を損なうことなく含有させた粒子によって易滑性を付与でき、また、粒子が脱落するなどの問題も生じにくくなる。
また、同様の観点から、各表層の厚みは0.2~10μmであることが好ましく、より好ましくは0.4~9.5μm、さらに好ましくは0.6~9.0μmである。
中間層の厚みは、ポリエステルフィルム全体の厚みの60~98%であることが好ましく、より好ましくは62~98%、さらに好ましくは63~98%である。
また、中間層の厚みは、好ましくは7~100μm、より好ましくは12~74μm、さらに好ましくは15~70μmである。なお、中間層は、ポリエステルフィルムにおいて2つの表層以外の層である。
<物性>
本ポリエステルフィルムの、300~430nmの波長における平均光線透過率は、30%以下である。300~430nmの波長における平均光線透過率が、30%を超えると、紫外線吸収能及び可視光短波長領域の光吸収能が不十分となり、各種光学部材の光劣化を十分に抑制できない。
かかる観点から、300~430nmの波長における平均光線透過率は、28%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは23%以下である。下限値に関しては特に制限はなく、0%であってもよいが、必要以上にカットしなくてもよい点を考慮すると1%以上であってもよい。
本ポリエステルフィルムは、波長380nmにおける光線透過率が、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。かかる範囲であれば、良好な紫外線吸収能を発揮し、各種光学部材の光劣化を抑制できる。
本ポリエステルフィルムは、波長400nmにおける光線透過率が、80%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下である。かかる範囲であれば、良好な紫外線吸収能を発揮し、各種光学部材の光劣化を抑制できる。
本ポリエステルフィルムの全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、より好ましくは86%以上、さらに好ましくは87%以上である。全光線透過率が85%以上であれば、視認性を十分に確保できる。全光線透過率は高いほどよいといえるが、安定した生産の面からは99%以下であってもよく、95%以下であってもよい。
本ポリエステルフィルムのヘーズは、3.0%以下であることが好ましく、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下、特に好ましくは1.5%以下である。ヘーズがかかる範囲であれば、ポリエステルフィルムの透明性が良好といえる。なお、下限値は特に制限されず、0.01%程度である。
本ポリエステルフィルムの120℃で5分間加熱したときの熱収縮率が、長手方向(MD)及び幅方向(TD)いずれも5.0%以下であることが好ましく、より好ましくは4.5%以下、さらに好ましくは4.0%以下、特に好ましくは3.0%以下である。熱収縮率が5.0%以下であれば、後述するハードコート層をはじめとする機能層加工時のカールやうねりといった平面不良を抑制することができる。また、ディスプレイ装置の薄膜化、軽量化に対応すべく、光学用ポリエステルフィルムも薄膜とした際に、平面性由来の光学特性のばらつきを抑制することが可能である。
なお、熱収縮率は低いほどよいといえるが、-1%以上であることが好ましく、-0.5%以上であることがより好ましい。ここでのマイナスは加熱後に膨張したことを意味し、-1%以上であれば、平面不良を抑制することができる。
[光学用積層フィルム]
本発明の光学用積層フィルム(以下、「本積層フィルム」とも称する)は、上記した光学用ポリエステルフィルムと、該ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けられる機能層とを有する。本積層フィルムは、機能層を有することで、様々な機能が付与される。
機能層は、ハードコート層、帯電防止層、アンカー層、離型層、易接着層、赤外線吸収層、ガスバリア層、粘着層、保護層、ブリーディング防止層、平坦化層などの少なくともいずれかであるとよいが、易接着層及びハードコート層のいずれかであることが好ましく、ハードコート層を少なくとも含むことがより好ましい。また、機能層は、粘着層であることも好ましい。なお、前記機能層は1層を単独で用いてもよく、2層を積層させてもよい。
本積層フィルムの好ましい形態としては、上記した光学用ポリエステルフィルムの片面側にハードコート層を備え、前記ハードコート層を備えた面とは反対面側に粘着層を備えるものが挙げられる。この場合、粘着層、ポリエステルフィルム、ハードコート層を順次積層した積層フィルムとなる。
また、別の好ましい形態としては、ポリエステルフィルムの片面側に易接着層、ハードコート層を順次備え、前記ハードコート層を備えた面とは反対面側に粘着層を備えるものが挙げられる。この場合、粘着層、ポリエステルフィルム、易接着層、ハードコート層を順次積層した積層フィルムとなる。
(ハードコート層)
ハードコート層は、本積層フィルム表面に硬度を付与する目的で設けられる機能層である。より具体的には、ハードコート層は、ディスプレイに、取扱い時などに傷がつかないよう硬度を付与する目的で設けられる機能層であり、ディスプレイ表面に位置させてディスプレイを保護する表面保護フィルム用として用いることが好ましい。したがって、ハードコート層は、本ポリエステルフィルム上のディスプレイ表面側に位置させることが好ましい。
ハードコート層は、硬化性樹脂組成物を硬化して形成され、ハードコート層を形成する樹脂としては、特に制限されず、アクリル系、シロキサン系、無機ハイブリッド系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシ系等が挙げられる。また、2種以上の材料を併用して用いてもよいし、無機フィラーや有機フィラーなどの粒子を添加することもできる。
ハードコート層の膜厚としては、1~10μmが好ましく、より好ましくは1~8μm、さらに好ましくは1~6μmである。膜厚が1μm以上であれば、十分に硬化することで鉛筆硬度が高くなり、ハードコート層によりポリエステルフィルムを適切に保護できる。一方、10μm以下であれば、ハードコートの硬化収縮によるカールや熱シワを防止でき、良好な平面性を確保できる。また、ディスプレイの薄膜化にも対応可能である。
ハードコート層は、その表面硬度が2H以上であることが好ましい。表面硬度を2H以上とすることで本積層フィルムに適切な耐傷付防止性を付与することができる。また、表面硬度は、ディスプレイがフレキシブルディスプレイ等である場合には、本積層フィルムに適切な折り曲げ特性を付与する観点から8H以下であることが好ましく、6H以下であることがより好ましく、4H以下であることがさらに好ましい。
なお、表面硬度は鉛筆硬度であり、JIS K 5600-5-4に準拠し、750g荷重条件で測定できる。測定装置としては、鉛筆硬度試験機(株式会社安田精機製作所製)などを使用できる。
ハードコート層は、硬化性樹脂組成物をポリエステルフィルム表面に塗布し、乾燥して塗布層を形成し、その塗布層を硬化することで得られる。
硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えばエアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、ナイフコート、ダイコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、カレンダコート、押出コート等、粘度、膜厚に応じて適宜選択することができる。
乾燥条件は、特に制限されず、室温付近で行ってもよいし、加熱により行ってもよく、例えば25~120℃程度、好ましくは50~100℃程度である。乾燥時間についても、溶媒が十分に揮発できる限り、特に制限されず、例えば10秒~30分程度、好ましくは15秒~10分程度である。
硬化方法は、硬化性樹脂組成物の硬化メカニズムに応じて適宜選択すればよい。例えば硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物であれば加熱することで硬化させればよく、光硬化性樹脂組成物であればエネルギー線を照射して硬化させればよい。積層フィルムにおいて、硬化性樹脂組成物を硬化させる際に用いることのできる活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち、硬化性と樹脂劣化防止の観点から、紫外線及び電子線による硬化が好ましい。
(易接着層)
易接着層は、本ポリエステルフィルムとハードコート層などとの接着性を向上させるために設けられる機能層である。
易接着層は、バインダー樹脂及び架橋剤を含む易接着層組成物から形成される。
前記バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等のポリビニル系樹脂、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。ハードコート層との密着性向上の観点からは、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい
前記架橋剤としては、種々公知の架橋剤が使用でき、例えばエポキシ化合物、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、シランカップリング化合物等が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を併用して使用してもよい。
前記易接着層組成物には、易接着層の耐ブロッキング性や滑り性改良を目的として、粒子を配合してもよい。粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子の他、有機粒子等が挙げられる。これらの粒子は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、その他の添加剤として、架橋触媒、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡材、染料、顔料等を併用することも可能である。
前記易接着層組成物は、一般的に、水、有機溶剤、又はこれらの混合液により希釈されていることが好ましく、易接着層は、易接着層組成物の希釈液を、ポリエステルフィルムの表面に塗布液としてコーティングして、乾燥することにより形成するとよい。
コーティングは、従来公知の方法で行うことができるが、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングによって設けることが好ましい。
易接着層の厚さは、0.003~1μmが好ましく、より好ましくは0.005~0.6μm、さらに好ましくは0.01~0.4μmである。易接着層の厚さが0.003μm以上であれば、十分な接着性を確保できる。一方、1μm以下であれば、外観の悪化やブロッキング等を生じにくくできる。
(粘着層)
粘着層を形成するための粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、エポキシ粘着剤などを使用することができ、中でも、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤が好ましい。なお、光学特性に異常をきたさない限り、2種類以上の材料を混合して用いることもできるし、2層以上に複層化して用いることもできる。
また、当該粘着剤は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれでもよく、架橋タイプ又は非架橋タイプのいずれであってもよい。
さらに、フィラーなどの粒子や、添加剤などを添加することもできる。
粘着層は、片面に機能層が設けられる場合に、反対面側に設けられることが好ましい。したがって、積層フィルムは、ポリエステルフィルムの片面にハードコート層を有し、反対面に粘着層を有することが好ましい。
アクリル系粘着剤を構成する(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、好ましくは、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種類又は2種類以上をモノマーとする重合体又は共重合体などが挙げられる。
ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましく、極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミド基、アミノ基、エポキシ基などを有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみでもよいが、通常は架橋剤を含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオン、ポリアミン化合物、ポリエポキシ化合物、及びポリイソシアネート化合物などが挙げられるが、中でもポリイソシアネート化合物が好ましい。
ウレタン系粘着剤としては、好ましくは、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られる粘着性ポリマーであるウレタン系ポリマーからなるものが挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
シリコーン系粘着剤としては、好ましくは、粘着性ポリマーであるシリコーン系ポリマーをブレンド又は凝集させることにより得られる粘着剤などが挙げられる。
前記シリコーン系粘着剤としては、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤や過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤が挙げられるが、過酸化物を使用せず、分解物が発生しないことから、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤が好ましい。
前記付加反応硬化型シリコーン系粘着剤の硬化反応としては、例えば、ポリアルキルシリコーン系粘着剤を得る場合に用いられるポリアルキル水素シロキサン組成物を白金触媒により硬化させる反応などが挙げられる。
粘着層の厚みは、例えば10~175μm、好ましくは20~120μm、さらに好ましくは30~80μm、その中でも特に40~60μmがよい。粘着層の厚みが10μm以上であれば、十分な粘着力を有し、ディスプレイがフレキシブルディスプレイ等である場合には、折り曲げた場合にも浮き剥がれすることがなく、各種光学部材を保護できる。一方、175μm以下であれば、ディスプレイの薄肉化に寄与できる。
粘着層は、上記した粘着剤をポリエステルフィルムに塗布することで形成できる。また、上記した粘着剤を剥離シートに塗布して、剥離シート(離型フィルム)などの別の基材上に形成した粘着層をポリエステルフィルムに転写することでポリエステルフィルム上に形成してもよい。粘着剤の塗布方法としては、コンマコーター、ナイフコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイヤーバーコーターなど特に限定なく使用でき、粘度、膜厚に応じて適宜選択できる。
さらに、粘着剤をシート状に成形して、必要に応じて硬化させることで粘着シートとしてもよい。シート状に成形する方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えばウェットラミネーション法、ドライラミネート法、Tダイを用いる押出キャスト法、押出ラミネート法、カレンダー法やインフレーション法、射出成形法、注液硬化法等を採用することができる。
なお、粘着層を硬化する場合の硬化方法としては、紫外線、電子線などのエネルギー線や、熱による硬化方法など適宜選択できる。
[用途]
本発明のポリエステルフィルム及び積層フィルムは、光学用に使用することができる。具体的には、表面保護フィルム、表示セルの基材、背面の保護部材等のディスプレイ用構成部材として使用されることが好ましい。また、機能層としてハードコート層を有する場合、本積層フィルムは、表面保護フィルムとして使用されることが好ましい。
ディスプレイとしては、フレキシブルディスプレイが好ましく、例えばフォルダブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ストレッチャブルディスプレイ等が挙げられる。
(自発光型光源)
本発明のディスプレイは、自発光式のディスプレイが好ましく、上記ポリエステル又は積層フィルムのいずれかと、自発光型光源を有することが好ましい。なお、自発光式とは、光源(自発光型光源)自体により映像、画像が表示できるものをいう。自発光式のディスプレイとしては、プラズマディスプレイ、マイクロLED、有機ELディスプレイなどが挙げられるが、これらの中では、有機ELディスプレイが好ましい。また、ディスプレイは、タッチパネル型のディスプレイであってもよい。
(塗布型偏光素子)
本発明のディスプレイは、上記本ポリエステルフィルム又は本積層フィルムのいずれかと、塗布型偏光素子を有することがより好ましい。ポリエステルフィルム又は積層フィルムのいずれかと、塗布型偏光素子を積層する場合は、粘着層を介在させることが好ましい。
すなわち、積層フィルムがポリエステルフィルムの片面側に少なくともハードコート層を備え、前記ハードコート層を備えた面とは反対面側に粘着層を備えた表面保護用光学用積層フィルムであって、該粘着層又はその他の粘着層を介在させて、塗布型偏光素子を積層することが最も好ましい。
また、ポリエステルフィルム又は積層フィルムが紫外線吸収剤を含有していることから、各種光学部材、とりわけ塗布型偏光素子の光劣化を低減させることができる。
なお、本発明において、「偏光素子」とは、光学異方性を備えた光学部材を意味し、「塗布型偏光素子」とは、液晶化合物を含む光学異方性組成物を塗布することにより形成される膜を含む積層体を意味する。液晶化合物としては、重合性液晶化合物、高分子液晶化合物、リオトロピック液晶化合物等が挙げられる。例えば、重合性液晶化合物を含む光学異方性組成物を基材に塗布し、配向状態で硬化してなる硬化物は、偏光素子として利用することができる。この際、当該基材は含んでいなくてもよい。
塗布型偏光素子を積層する方法としては、例えば離型性を有する基材上に偏光素子を形成した後、ポリエステルフィルム又は積層フィルムの表面に該偏光素子を転写する方法や、塗布型偏光素子上に直接ポリエステルフィルム又は積層フィルムを成形する方法、基材としてのポリエステルフィルム又は積層フィルム上に塗布型偏光素子を形成する方法等が挙げられる。
本発明における塗布型偏光素子とは、上述したように、液晶化合物を含む光学異方性組成物を塗布することにより形成される膜を含む積層体である。この膜は、通常、基材に形成された配向膜上に、液晶化合物等を含む光学異方性組成物を塗布し、液晶化合物を配向させた状態で重合することで得られる。
基材としては、例えばポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂からなる群から選択される1種もしくは2種以上の樹脂を主成分とする樹脂シート(フィルム)又はガラス等が挙げられる。基材上には、各種機能層等、必要に応じて他の層を有していてもよい。
また、上述のように、一例として本ポリエステルフィルム又は積層フィルムを基材として使用してもよい。
液晶化合物を配向させるには、基材上に設けられた配向膜による配向規制力、電場や磁場などの外場による配向規制力、及び/又は塗布時のせん断力を用いた方法が挙げられる。特に配向膜による方法が、液晶化合物が高秩序な配向状態となり、良好な光学性能を示す塗布型偏光素子が得られる観点から好ましい。
基材上に設けられた配向膜は、後述する液晶化合物を所望の方向に配向させる配向規制力を有する層である。配向膜としては、光学異方性組成物溶液を塗布する際に溶解しない溶剤耐性、光学異方性組成物溶液を弾かない適度な溶液親和性及び溶剤乾燥時や液晶配向時の加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。
配向膜は配向方向制御のために、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)の226~239ページ等に記載の公知の方法(ラビング法、配向膜表面上にグルーブ(微細な溝構造)を形成する方法、偏光紫外光・偏光レーザーを用いる方法(光配向法)、LB膜形成による配向方法、無機物の斜め蒸着による配向方法等)により、配向処理を施していてもよい。特に、ラビング法、光配向法が、高配向度を得やすい観点から好ましい。
配向膜の厚さは、通常10nm~1000nmであり、好ましくは50nm~800nmである。前記範囲であることで、液晶化合物を配向させるに十分な配向規制力と薄膜化を両立できる。
光学異方性組成物は、液晶化合物や光重合開始剤の他に、重合開始剤、必要に応じて重合禁止剤、重合助剤、重合性非液晶化合物、非重合性非液晶化合物、界面活性剤、レベリング剤、カップリング剤、pH調整剤、分散剤、酸化防止剤、有機・無機フィラー、金属酸化物等の各種添加剤や溶剤を含む組成物であってもよく、本組成物の硬化物層が、偏光素子としての光学機能を発揮する。
偏光素子が偏光膜である場合は、本組成物中に二色性色素を含むのが好ましい。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料などが挙げられ、用いる二色性色素は一種類でもよいし、異なる色素を複数組み合わせてもよい。
前記二色性有機染料としては、特に限定されることはなく、アゾ系色素、キノン系色素(ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等を含む。)、スチルベン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、インジゴ系色素、縮合多環系色素(ペリレン系色素、オキサジン系色素、アクリジン系色素等を含む。)等が挙げられる。これらの色素の中でも、分子長短軸比が大きく、良好な二色性を示し得るため、アゾ系色素が好ましい。
重合性液晶化合物は、重合性官能基を有する液晶化合物であり、重合性モノマーとしての性質と液晶としての性質とを併せ持つため、これを配向させた状態で重合させて硬化させると、配向が固定された重合体からなる硬化物、すなわち光学異方性材料を得ることができる。
よって、重合性液晶化合物を含む光学異方性組成物を基材に塗布し、配向した状態で硬化することにより、光学異方性を有する偏光膜を形成することができる。用いる重合性液晶化合物は一種類でもよいし、異なる構造の化合物を複数組み合わせてもよい。
重合性液晶化合物は、重合性官能基を有する低分子液晶化合物、重合性官能基を有する高分子液晶化合物いずれを用いてもよい。その中でも、重合性液晶化合物が高い配向性を示す硬化物を得やすい傾向をもつことから、低分子液晶化合物であることが好ましい。
重合性液晶化合物が示す液晶相はネマティック液晶,スメクチック液晶,コレステリック液晶,ディスコティック液晶等を適宜選択することができるが、製造の容易さと秩序性の高い配向状態を得る観点から、ネマティック液晶、スメクチック液晶を示すことが好ましい。
重合性官能基は、配向構造の固定の容易さから光重合性基であることが好ましい。具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基、エチニル基、エチニルオキシ基、1,3-ブタジエニル基、1,3-ブタジエニルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、スチリル基、スチリルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
重合性液晶化合物としては、特に分子構造は限定されることなく重合性基を有する液晶化合物を用いることができる。例えば、本発明に係る光学異方性組成物に含まれる重合性液晶化合物としては、下記一般式(a)で表される化合物(以下、「重合性液晶化合物(a)」と称す場合がある。)を挙げることができる。
-R-A11-Y-A12-(Y-A13-R-Q …(a)
(式(a)中、
-Qは、水素原子又は重合性基を表し;
-Qは、重合性基を表し;
-R-及び-R-は、それぞれ独立に、鎖状有機基を表し;
-A11-及び-A13-は、それぞれ独立に、下記一般式(b)で表される部分構造、2価有機基、又は単結合を表し;
-A12-は、下記一般式(b)で表される部分構造又は2価有機基を表し;
-Y-及び-Y-は、それぞれ独立に、単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、又はSCH-を表し;
-A11-及び-A13-の一方は、下記一般式(b)で表される部分構造又は2価有機基であり;
kは1又は2である。
kが2の場合、2つの-Y-A13-は互いに同一でも異なっていてもよい。)
-Cy-X-C≡C-X- …(b)
(式(b)中、
-Cy-は、炭化水素環基又は複素環基を表し;
-X-は、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、又は-SCH-を表し;
-X-は、単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、又は-SCH-を表す。)
なお、-A11-が、一般式(b)で表される部分構造である場合、一般式(a)は、下記一般式(a-1)であってもよく、下記一般式(a-2)であってもよい。
-R-Cy-X-C≡C-X-Y-A12-(Y-A13-R-Q …(a-1)
-R-X-C≡C-X-Cy-Y-A12-(Y-A13-R-Q …(a-2)
また、-A12-が、一般式(b)で表される部分構造である場合、一般式(a)は、下記一般式(a-3)であってもよく、下記一般式(a-4)であってもよい。
-R-A11-Y-Cy-X-C≡C-X-(Y-A13-R-Q …(a-3)
-R-A11-Y-X-C≡C-X-Cy-(Y-A13-R-Q …(a-4)
また、-A13-が、一般式(b)で表される部分構造である場合、一般式(a)は、下記一般式(a-5)であってもよく、下記一般式(a-6)であってもよい。
-R-A11-Y-A12-(Y-Cy-X-C≡C-X-R-Q …(a-5)
-R-A11-Y-A12-(Y-X-C≡C-X-Cy)-R-Q …(a-6)
同様に、-A11-、-A12-、及び-A13-のうち、二つ以上が一般式(b)で表される部分構造である場合、それぞれ独立に、一般式(b)で表される部分構造の向きが反転していてもよい。
また、上記のように、-A11-、-A12-、及び-A13-は、それぞれ独立に、一般式(b)で表される部分構造又は2価有機基であり、加えて、-A11-及び-A13-は、単結合であってもよいが、-A11-及び-A13-が、ともに単結合であることはない。
重合性液晶化合物(a)としては、前記一般式(a-1)、(a-2)、(a-5)又は(a-6)で表される化合物であることが、高い配向性が得られる傾向があるとの理由で好ましい。
重合性液晶化合物を光重合する際、光学異方性組成物中に光重合開始剤を含むのが好ましい。光重合開始剤は公知のものを適宜用いることができる。
光学異方性組成物の硬化膜の厚みは、光学機能を担保する観点から100nm以上が好ましく、300nm以上がさらに好ましく、1μm以上がより好ましい。
また、光学異方性組成物の硬化膜の厚みは、画像表示装置の薄膜化に寄与する観点から50μm以下が好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下がより好ましい。
前記組成物の硬化膜上には、前記機能層など、必要に応じて他の層を形成してもよい。
さらに、本発明のディスプレイは、上記本ポリエステルフィルム又は本積層フィルムのいずれかと、自発光型光源と塗布型偏光素子の両方を有することがより好ましい。
自発光型光源と塗布型偏光素子とを有するディスプレイの具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー、プラズマディスプレイ及びマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ディスプレイなどを挙げることができ、中でも有機ELディスプレイが好ましい。
(カラーフィルタ)
本発明のディスプレイは、上記本ポリエステルフィルム又は本積層フィルムのいずれかと、カラーフィルタを有することが好ましい。ポリエステルフィルム又は積層フィルムのいずれかと、カラーフィルタを積層する場合は、粘着層を介在させることが好ましい。
すなわち、積層フィルムがポリエステルフィルムの片面側に少なくともハードコート層を備え、前記ハードコート層を備えた面とは反対面側に粘着層を備えた表面保護用積層フィルムであって、該粘着層又は他の粘着層を介在させて、カラーフィルタを積層することが最も好ましい。
また、本ポリエステルフィルム又は本積層フィルムが紫外線吸収剤を含有していることから、各種光学部材を光劣化から保護することができる。
さらに、本発明のディスプレイは、上記本ポリエステルフィルム又は本積層フィルムのいずれかと、自発光型光源とカラーフィルタの両方を有することがより好ましい。
自発光型光源とカラーフィルタとを有するディスプレイの具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー、プラズマディスプレイ及びマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ディスプレイなどを挙げることができ、中でも有機ELディスプレイが好ましい。
カラーフィルタ内蔵型有機ELディスプレイは、前述のとおり、従前のディスプレイにおいて使用していた円偏光板が不要となり、更なる薄膜化に寄与するものである。
さらに、カラーフィルタ内蔵型有機ELディスプレイは、円偏光板が有機ELデバイスの発光素子からの出射光を吸収することによる発光ロスがなくなるため、有機ELデバイスを構成する発光素子の発光効率や発光寿命を劇的に改善するものである。
本発明のディスプレイ1としては、例えば図1の従来のようなディスプレイが挙げられる。図1に示すように、光学用ポリエステルフィルム12の片面にハードコート層11を、ハードコート層11を備えた面とは反対面側に粘着層13を備え、さらに、PVA偏光子14及び自発光型光源15が積層されたものである。
また、本発明のディスプレイ1の好ましい形態の一例としては、例えば図2が挙げられる。図2のディスプレイ1は、図1のPVA偏光子14に代わり、塗布型偏光素子16が積層されたものである。
さらに、別の好ましい形態の一例としては、例えば図3が挙げられる。図3のディスプレイ1は、図1のPVA偏光子14や図2の塗布型偏光素子16に代わり、カラーフィルタ17が積層されたものである。
なお、本発明においては、上述のとおり、図2及び図3のディスプレイが好ましく、本ポリエステルフィルム12が特定の紫外線吸収剤を含有していることで、各種光学部材の光劣化を抑制でき、ディスプレイ装置の薄膜化、軽量化にも対応できる。
ただし、本発明に係るディスプレイの構成は、図1、図2及び図3に限定されず、上述のとおり、ポリエステルフィルム12とハードコート層11との間には、易接着層をはじめとする機能層が積層されていてもよく、ポリエステルフィルム12と粘着層13との間にも、機能層を有していてもよい。
また、ポリエステルフィルム12と、PVA偏光子14/塗布型偏光素子16/カラーフィルタ17との間、及びPVA偏光子14/塗布型偏光素子16/カラーフィルタ17と、自発光型光源15との間には他の部材が介在していてもよい。当該他の部材としては、反射シート、反射防止フィルム、導光板、位相差板、ガラス基板、樹脂シート(フィルム)等が挙げられる。これらの部材以外にも、帯電防止層、アンカー層、易接着層、保護層など、必要に応じて他の層を介在していてもよく、上記他の部材を積層させるための、別の粘着層を有していてもよい。
ディスプレイは、ディスプレイを備える装置(ディスプレイ装置)において使用できる。ディスプレイ装置としては、携帯電話、スマートフォン、各種のタブレット型ディスプレイ、デジタルカメラ、パソコン、テレビなどの電気機器が挙げられ、本発明のディスプレイは各種の電気機器において使用するとよい。
<<語句の説明>>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」あるいは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
(1)ポリエステルの固有粘度(dl/g)の測定
粒子が配合される場合、粒子を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径の測定
株式会社島津製作所製の遠心沈降式粒度分布測定装置(SA-CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径(d50)を平均粒径とした。
(3)光線透過率測定
分光光度計(日本分光株式会社製、V-670)を用い、空気層を標準として波長300~800nm領域の光線透過率を測定して、波長300~430nmにおける平均光線透過率を求めた。また、表中に波長380nm、400nm、及び430nmの光線透過率も併せ記載する。
(4)全光線透過率及びヘーズ
JIS K 7136:2000に準拠し、日本電色工業株式会社製ヘーズメーター NDH-2000を用いて全光線透過率ならびにヘーズを測定した。
(5)フィルム厚み
本フィルムの厚みについては、1/1000mmのダイヤルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
(6)熱収縮率
実施例・比較例で得たポリエステルフィルム(サンプル)を無張力状態で120℃に保ったオーブン中、5分間処理し、その前後の試料の長さを測定して次式にて、フィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)それぞれの加熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)={(L0-L1)/L0}×100
(前記式中、L0は加熱処理前のサンプル長、L1は加熱処理後のサンプル長)
フィルムの長手方向(MD)と幅方向(TD)に5点ずつ測定し、それぞれについて平均値を求めた。
<使用した材料>
[ポリエステル原料]
本発明で用いた各ポリエステル原料の組成及び固有粘度を表1に示す。
表1において、TPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、EGはエチレングリコール、BGは1,4-ブタンジオール、CHDMは1,4-シクロヘキサンジメタノール、T-33は2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール](大和化成株式会社製、DAINSORB T-33)である。
なお、原料A~Iにおいては、1~5モル%の副生ジエチレングリコールもエチレングリコールとして扱う。
また、原料Cには平均粒径3μmのシリカ粒子を0.55質量%配合した。
さらに、原料Fはホモポリエチレンテレフタレートに、紫外線吸収剤(下記式(6)で示されるトリアジン化合物(トリアジン系紫外線吸収剤(A))に相当)を16質量%、紫外線吸収剤(下記式(7)で示されるベンゾトリアゾール化合物)を5質量%配合した。原料Gはホモポリエチレンテレフタレートに、紫外線吸収剤(下記式(8)で示されるトリアジン化合物(トリアジン系紫外線吸収剤(A)に相当)を3質量%、紫外線吸収剤(下記式(7)で示されるベンゾトリアゾール化合物)を6質量%配合した。原料Hには、紫外線吸収剤である2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール](大和化成株式会社製、DAINSORB T-33)に由来の単位を30質量%含む、ベンゾトリアゾール基を含む共重合ポリブチレンテレフタレート(UVAPBT、大和化成株式会社製)を使用した(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)に相当)。原料Iは、ホモポリエチレンテレフタレートに紫外線吸収剤(サンケミカル株式会社製、サイアソーブ3638F)を10質量%配合した。
Figure 2023048925000009
Figure 2023048925000010
Figure 2023048925000011
(実施例1)
表2に示す通り表層の原料として原料A及び原料Cを質量比94:6で混合し、中間層の原料として原料A及び原料Fを質量比93:7で混合した。
表層及び中間層の各混合原料をそれぞれ別の二軸スクリュー押出機に投入し、それぞれ280℃で共押出をして、25℃に設定した冷却ロール上で冷却固化させることで、2種3層(表層/中間層/表層)の未延伸フィルムを得た。
次いで、得られた未延伸フィルムをロール延伸機で長手方向(MD)に86℃で3.3倍に延伸した。さらに、テンター内にて90℃で予熱した後、幅方向(TD)に110℃で3.6倍に延伸した。最後に200℃で熱処理を施し、厚み50μm(各表層:2.5μm、中間層:45μm)のポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムの特性は、上記の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
(実施例2~5)
下記表2に記載の組成及び製膜条件で行った以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表3に示す。
(比較例1~3)
下記表2に記載の組成及び製膜条件で行った以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2023048925000012

Figure 2023048925000013

Figure 2023048925000014
表1~3の結果より、トリアジン系紫外線吸収剤(A)を含有する実施例1及び2のポリエステルフィルム、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)を含有する実施例3~5のポリエステルフィルムは、いずれも紫外線領域及び可視光短波長領域での優れた波長カット性を有することがわかる。一方、本発明に係る紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤を用いた比較例1~3のポリエステルフィルムは、紫外線領域及び可視光短波長領域での波長カット性が劣ることがわかる。
本発明の光学用ポリエステルフィルム及び光学用積層フィルムは、優れた紫外線カット性及び可視光短波長領域の波長カット性を有する。
したがって、本開示の実施形態は、TACなどの保護フィルムを設けない、さらなる薄膜化、軽量化に対応したディスプレイ装置にも有用である。
これらディスプレイ及びディスプレイ装置は、上記光学用ポリエステルフィルム及び光学用積層フィルムによって、各種光学部材の光劣化を抑制できるものである。
1 ディスプレイ
11 ハードコート層
12 ポリエステルフィルム
13 粘着層
14 PVA偏光子
15 自発光型光源
16 塗布型偏光素子
17 カラーフィルタ

Claims (16)

  1. 紫外線吸収剤を含有するポリエステルフィルムであって、
    少なくとも1、2又は3個のナフタレン環と結合するトリアジン系紫外線吸収剤(A)、又は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)のいずれかを含み、
    下記の(1)及び(2)を同時に満足する、光学用ポリエステルフィルム。
    (1)300~430nmの波長における平均光線透過率が30%以下
    (2)厚みが9~125μm
  2. 全光線透過率が、85%以上である、請求項1に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  3. ヘーズが、3.0%以下である、請求項1又は2に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  4. 120℃で5分間加熱したときの熱収縮率が、長手方向(MD)及び幅方向(TD)いずれも5.0%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  5. 前記紫外線吸収剤の合計含有量が、ポリエステルフィルム全体に対して7質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  6. 前記ポリエステルフィルムが少なくとも3層からなり、最外層以外の層に前記紫外線吸収剤を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  7. 前記紫外線吸収剤が、前記トリアジン系紫外線吸収剤(A)とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有する共重合ポリエステル(B)を除く)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  8. 波長380nmにおける光線透過率が、10%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  9. 波長400nmにおける光線透過率が、80%以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルムの少なくとも片面に機能層を有する、光学用積層フィルム。
  11. 前記機能層が、ハードコート層である、請求項10に記載の光学用積層フィルム。
  12. 表面保護用である、請求項11に記載の光学用積層フィルム。
  13. 前記機能層を備えた面とは反対面側に粘着層を備える、請求項10~12のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
  14. 請求項1~9のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム、又は請求項10~13のいずれか1項に記載の光学用積層フィルムと、塗布型偏光素子とを有するディスプレイ。
  15. 請求項1~9のいずれか1項に記載の光学用ポリエステルフィルム、又は請求項10~13のいずれか1項に記載の光学用積層フィルムと、カラーフィルタとを有するディスプレイ。
  16. 請求項14又は15に記載のディスプレイを備えたディスプレイ装置。
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