JP2023047891A - 積層型結合コイル部品及びこれを備える回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品の高さを抑えつつ、所望の結合係数を得ることが可能な積層型結合コイル部品を提供する。
【解決手段】積層型結合コイル部品1は、スパイラルコイル11~13を含む導体層L1,L3,L5と、スパイラルコイル21~23を含む導体層L2,L4,L6と、互いに異なる平面位置に設けられたスパイラルコイル31,41を含む導体層L7とを有する。スパイラルコイル11~13,21~23は積層方向から見て互いに重なる。スパイラルコイル11~13,31は端子電極E1,E2間に直列に接続され、スパイラルコイル21~23,41は端子電極E4,E3間に直列に接続される。これにより、結合係数を調整できることから、部品の高さを抑えつつ、所望の結合係数を得ることが可能となる。
【選択図】図2
【解決手段】積層型結合コイル部品1は、スパイラルコイル11~13を含む導体層L1,L3,L5と、スパイラルコイル21~23を含む導体層L2,L4,L6と、互いに異なる平面位置に設けられたスパイラルコイル31,41を含む導体層L7とを有する。スパイラルコイル11~13,21~23は積層方向から見て互いに重なる。スパイラルコイル11~13,31は端子電極E1,E2間に直列に接続され、スパイラルコイル21~23,41は端子電極E4,E3間に直列に接続される。これにより、結合係数を調整できることから、部品の高さを抑えつつ、所望の結合係数を得ることが可能となる。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数の導体層が積層された構造を有する積層型結合コイル部品及びこれを備える回路基板に関する。
特許文献1には、複数の導体層が積層された構造を有する積層型結合コイル部品が開示されている。特許文献1に開示された積層型結合コイル部品は4層の導体層を有し、一方のラインに接続されるスパイラルコイルと他方のラインに接続されるスパイラルコイルが交互に積層された構造を有している。これにより、一対のライン間において強い磁気結合を得ることが可能となる。
しかしながら、積層型結合コイル部品を不要な帯域のノイズを除去するためのLCフィルタに使用する場合、求められる周波数特性に応じて必要な結合係数が異なり、場合によっては、結合係数をある程度低減させる必要がある。結合係数を低減させる方法としては、一方のラインに接続されるスパイラルコイルと他方のラインに接続されるスパイラルコイルの距離を拡大する方法が挙げられるが、この場合、部品の高さが増大するという問題があった。
したがって、本発明は、部品の高さを抑えつつ、所望の結合係数を得ることが可能な積層型結合コイル部品及びこれを備える回路基板を提供することを目的とする。
本発明による積層型結合コイル部品は、積層された複数の導体層が埋め込まれた素体と、素体の表面に形成された第1乃至第4の端子電極とを備え、複数の導体層は、第1のスパイラルコイルを含む第1の導体層と、第2のスパイラルコイルを含む第2の導体層と、互いに異なる平面位置に設けられた第3及び第4のスパイラルコイルを含む第3の導体層とを含み、第1及び第2のスパイラルコイルは積層方向から見て互いに重なり、第1及び第3のスパイラルコイルは、第1の端子電極と第2の端子電極の間に直列に接続され、第2及び第4のスパイラルコイルは、第4の端子電極と第3の端子電極の間に直列に接続されることを特徴とする。
本発明によれば、第1及び第2の導体層の層数と第3の導体層の層数によって結合係数を調整できることから、部品の高さを抑えつつ、所望の結合係数を得ることが可能となる。
本発明において、第1及び第2の導体層は交互に複数積層されていても構わない。これによれば、第1のスパイラルコイルと第2のスパイラルコイルの結合を高めることが可能となる。
本発明において、第3の導体層が複数積層されていても構わない。これによれば、結合係数を減少させることが可能となる。この場合、複数の第3の導体層のうち少なくとも2つに形成された第3のスパイラルコイルは互いに並列に接続され、複数の第3の導体層のうち少なくとも2つに形成された第4のスパイラルコイルは互いに並列に接続されても構わない。これによれば、第1又は第2の導体層の層数が奇数であり、第3の導体層の層数が偶数であっても、第3及び第4のスパイラルコイルの外周端を第2及び第3の端子電極に接続することが可能となる。
本発明において、第1のスパイラルコイルは、第1の端子電極から第2の端子電極に向かって第1の方向に巻回され、第2のスパイラルコイルは、第4の端子電極から第3の端子電極に向かって第1の方向とは逆の第2の方向に巻回されていても構わない。これによれば、第1及び第4の端子電極に入力される差動信号成分を遮断し、第1及び第4の端子電極に入力されるコモンモードノイズ成分を通過させることが可能となる。この場合、第3のスパイラルコイルは、第1の端子電極から第2の端子電極に向かって第1の方向に巻回され、第4のスパイラルコイルは、第4の端子電極から第3の端子電極に向かって第2の方向に巻回されていても構わない。これによれば、第3の導体層によって結合係数をより弱めることが可能となる。
本発明による回路基板は、第1及び第2の信号ラインとグランドパターンを有する基板と、基板に実装された上記の積層型結合コイル部品とを備え、積層型結合コイル部品の第1及び第4の端子電極は、それぞれ第1及び第2の信号ラインに接続され、積層型結合コイル部品の第2及び第3の端子電極は、キャパシタを介してグランドパターンに共通に接続されることを特徴とする。これによれば、第1及び第2の信号ラインに伝送される差動信号成分を減衰させることなく、コモンモードノイズ成分をグランドパターンに流すことが可能となる。
このように、本発明によれば、部品の高さを抑えつつ、所望の結合係数を得ることが可能な積層型結合コイル部品及びこれを備える回路基板を提供することが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による積層型結合コイル部品1の外観を示す略斜視図である。
図1に示すように、本実施形態による積層型結合コイル部品1は、素体2と、素体2の表面に形成された端子電極E1~E4とを備えている。後述するように、素体2の内部においては複数の導体層が積層されており、各導体層にスパイラルコイルが形成されている。素体2は、鉄(Fe)やパーマロイ系材料などからなる金属磁性体フィラーと樹脂バインダーを含む複合部材からなる。
図2及び図3は、それぞれ素体2に埋め込まれた複数の導体層のパターン形状の第1の例を説明するための展開図及び断面図である。
図2及び図3に示すように、本実施形態による積層型結合コイル部品1は、この順に積層された8層の導体層L1~L8を有している。各導体層L1~L8に設けられた導体パターンの表面は、絶縁樹脂層3によって覆われている。そして、図2及び図3に示す第1の例では、導体層L1,L3,L5にそれぞれスパイラルコイル11~13が設けられ、導体層L2,L4,L6にそれぞれスパイラルコイル21~23が設けられ、導体層L7にスパイラルコイル31,41が設けられ、導体層L8にスパイラルコイル32,42が設けられている。ここで、スパイラルコイル11~13とスパイラルコイル21~23は、積層方向から見て互いに重なっている。また、スパイラルコイル31,41は互いに異なる平面位置に設けられ、スパイラルコイル32,42は互いに異なる平面位置に設けられている。
導体層L1に設けられたスパイラルコイル11の外周端は、端子電極E1に接続される。スパイラルコイル11の内周端は、導体層L2に設けられた中継パターン51を介して、導体層L3に設けられたスパイラルコイル12の内周端に接続される。スパイラルコイル12の外周端は、導体層L4に設けられた中継パターン52を介して、導体層L5に設けられたスパイラルコイル13の外周端に接続される。スパイラルコイル13の内周端は、導体層L6に設けられた中継パターン53を介して、導体層L7,L8に設けられたスパイラルコイル31,32の内周端に共通に接続される。スパイラルコイル31,32の外周端は、端子電極E2に接続される。
導体層L2に設けられたスパイラルコイル21の外周端は、端子電極E4に接続される。スパイラルコイル21の内周端は、導体層L3に設けられた中継パターン61を介して、導体層L4に設けられたスパイラルコイル22の内周端に接続される。スパイラルコイル22の外周端は、導体層L5に設けられた中継パターン62を介して、導体層L6に設けられたスパイラルコイル23の外周端に接続される。スパイラルコイル23の内周端は、導体層L7,L8に設けられたスパイラルコイル41,42の内周端に共通に接続される。スパイラルコイル41,42の外周端は、端子電極E3に接続される。
かかる構成により、等価回路図である図4に示すように、端子電極E1と端子電極E2の間には、スパイラルコイル11~13と並列接続されたスパイラルコイル31,32が直列に接続される。また、端子電極E4と端子電極E3の間には、スパイラルコイル21~23と並列接続されたスパイラルコイル41,42が直列に接続される。そして、スパイラルコイル11~13とスパイラルコイル21~23は積層方向から見て互いに重なり、且つ、交互に積層されていることから、スパイラルコイル11~13とスパイラルコイル21~23の間には、強い磁気結合M1が生じる。これに対し、スパイラルコイル31,32とスパイラルコイル41,42は、積層方向から見て重なりを有しておらず、互いに異なる平面位置に設けられていることから、スパイラルコイル31,32とスパイラルコイル41,42の間には、弱い磁気結合M2が生じる。また、スパイラルコイル11~13とスパイラルコイル41,42も部分的な重なりを有しているため、両者間においても磁気結合が生じる。同様に、スパイラルコイル21~23とスパイラルコイル31,32も部分的な重なりを有しているため、両者間においても磁気結合が生じる。
ここで、端子電極E1を始点とし、端子電極E2を終点とした場合、スパイラルコイル11~13,31,32はいずれも右回り(時計回り)に巻回される。一方、端子電極E4を始点とし、端子電極E3を終点とした場合、スパイラルコイル21~23,41,42はいずれも左回り(反時計回り)に巻回される。このため、端子電極E1,E4を一対の差動信号線路に接続すれば、差動信号成分についてはスパイラルコイル11~13とスパイラルコイル21~23が磁束を強め合うため遮断される一方、コモンモードノイズ成分についてはスパイラルコイル11~13とスパイラルコイル21~23が磁束を打ち消し合うため端子電極E2,E3へ出力される。スパイラルコイル31,32とスパイラルコイル41,42については、差動信号成分によって生じる磁束を打ち消し合い、コモンモードノイズ成分によって生じる磁束を強め合うものの、スパイラルコイル31,32とスパイラルコイル41,42の結合度は、スパイラルコイル11~13とスパイラルコイル21~23の結合度の1/10以下であることから、コモンモードノイズ成分の遮断効果はほとんどない。
具体的には、スパイラルコイル11~13,21~23によって得られるインダクタンスは1.5μH、スパイラルコイル31,32,41,42によって得られるインダクタンスは1.3μHであり、全体的な結合係数は0.96となる。結合係数は、スパイラルコイル11~13の平面位置とスパイラルコイル21~23の平面位置を互いにずらすことによっても調整可能である。
尚、スパイラルコイル32,42が設けられる導体層L8を省略しても構わないが、スパイラルコイル31,32を並列接続し、スパイラルコイル41,42を並列接続することにより、直流抵抗が低減される。一方、スパイラルコイル31,32を直列接続し、スパイラルコイル41,42を直列接続すると、また、スパイラルコイルの直列数が奇数(5)となるため、スパイラルコイル32,42が内周端側にて終端し、端子電極E2,E3への引き出しが困難となる。したがって、この場合には、導体層をもう1層追加することによってスパイラルコイルの直列数を偶数とすることが好ましい。
図5は、本実施形態による積層型結合コイル部品1を搭載した回路基板4の回路図である。
図5に示すように、基板70上には、一対の信号ライン71,72とグランドパターン73が設けられており、積層型結合コイル部品1の端子電極E1,E4がそれぞれ信号ライン71,72に接続され、積層型結合コイル部品1の端子電極E2,E3がキャパシタCを介してグランドパターン73に共通に接続されている。これによりLCフィルタが構成され、一対の信号ライン71,72を流れる差動信号成分を減衰させることなく、コモンモードノイズ成分をグランドパターン73に流すことができる。ここで、LCフィルタの周波数特性は、積層型結合コイル部品1のインダクタンス及び結合度や、キャパシタCのキャパシタンスなどによって調整可能である。そして、図2~図4に示した構成によれば、導体層L1~L6において強い磁気結合が生じる一方、導体層L7,L8においては磁気結合が弱められることから、十分なインダクタンスを確保しつつ、LCフィルタに求められる周波数特性に応じた結合度Mを得ることが可能となる。
図6及び図7は、それぞれ素体2に埋め込まれた複数の導体層のパターン形状の第2の例を説明するための展開図及び断面図である。
図6及び図7に示す第2の例では、導体層L1,L3にそれぞれスパイラルコイル11,12が設けられ、導体層L2,L4にそれぞれスパイラルコイル21,22が設けられ、導体層L5にスパイラルコイル31,41が設けられ、導体層L6にスパイラルコイル32,42が設けられ、導体層L7にスパイラルコイル33,43が設けられ、導体層L8にスパイラルコイル34,44が設けられている。ここで、スパイラルコイル11,12とスパイラルコイル21,22は、積層方向から見て互いに重なっている。また、スパイラルコイル31,41は互いに異なる平面位置に設けられ、スパイラルコイル32,42は互いに異なる平面位置に設けられ、スパイラルコイル33,43は互いに異なる平面位置に設けられ、スパイラルコイル34,44は互いに異なる平面位置に設けられている。さらに、スパイラルコイル31~34は、積層方向から見て互いに重なっている。スパイラルコイル41~44は、積層方向から見て互いに重なっている。
導体層L1に設けられたスパイラルコイル11の外周端は、端子電極E1に接続される。スパイラルコイル11の内周端は、導体層L2に設けられた中継パターン51を介して、導体層L3に設けられたスパイラルコイル12の内周端に接続される。スパイラルコイル12の外周端は、導体層L4に設けられた中継パターン52を介して、導体層L5に設けられたスパイラルコイル31の外周端に接続される。スパイラルコイル31の内周端は、導体層L6に設けられたスパイラルコイル32の内周端に接続される。スパイラルコイル32の外周端は、導体層L7に設けられたスパイラルコイル33の外周端に接続される。スパイラルコイル33の内周端は、導体層L8に設けられたスパイラルコイル34の内周端に接続される。スパイラルコイル34の外周端は、端子電極E2に接続される。
導体層L2に設けられたスパイラルコイル21の外周端は、端子電極E4に接続される。スパイラルコイル21の内周端は、導体層L3に設けられた中継パターン61を介して、導体層L4に設けられたスパイラルコイル22の内周端に接続される。スパイラルコイル22の外周端は、導体層L5に設けられたスパイラルコイル41の外周端に接続される。スパイラルコイル41の内周端は、導体層L6に設けられたスパイラルコイル42の内周端に接続される。スパイラルコイル42の外周端は、導体層L7に設けられたスパイラルコイル43の外周端に接続される。スパイラルコイル43の内周端は、導体層L8に設けられたスパイラルコイル44の内周端に接続される。スパイラルコイル44の外周端は、端子電極E3に接続される。
かかる構成により、等価回路図である図8に示すように、端子電極E1と端子電極E2の間には、スパイラルコイル11,12,31~34が直列に接続される。また、端子電極E4と端子電極E3の間には、スパイラルコイル21,22,41~44が直列に接続される。そして、スパイラルコイル11,12とスパイラルコイル21,22は積層方向から見て互いに重なり、且つ、交互に積層されていることから、スパイラルコイル11,12とスパイラルコイル21,22の間には、強い磁気結合M1が生じる。これに対し、スパイラルコイル31~34とスパイラルコイル41~44は、積層方向から見て重なりを有しておらず、互いに異なる平面位置に設けられていることから、スパイラルコイル31~34とスパイラルコイル41~44の間には、弱い磁気結合M2が生じる。また、スパイラルコイル11,12とスパイラルコイル41~44も部分的な重なりを有しているため、両者間においても磁気結合が生じる。同様に、スパイラルコイル21,22とスパイラルコイル31~34も部分的な重なりを有しているため、両者間においても磁気結合が生じる。
ここで、端子電極E1を始点とし、端子電極E2を終点とした場合、スパイラルコイル11,12,31~34はいずれも右回り(時計回り)に巻回される。一方、端子電極E4を始点とし、端子電極E3を終点とした場合、スパイラルコイル21,22,41~44はいずれも左回り(反時計回り)に巻回される。このため、端子電極E1,E4を一対の差動信号線路に接続すれば、差動信号成分についてはスパイラルコイル11,12とスパイラルコイル21,22が磁束を強め合うため遮断される一方、コモンモードノイズ成分についてはスパイラルコイル11,12とスパイラルコイル21,22が磁束を打ち消し合うため端子電極E2,E3へ出力される。スパイラルコイル31~34とスパイラルコイル41~44については、差動信号成分によって生じる磁束を打ち消し合い、コモンモードノイズ成分によって生じる磁束を強め合うものの、スパイラルコイル31~34とスパイラルコイル41~44の結合度は、スパイラルコイル11,12とスパイラルコイル21,22の結合度よりも十分に小さいことから、コモンモードノイズ成分の遮断効果はほとんどない。
このように、図6~図8に示した構成によれば、導体層L1~L4において強い磁気結合が生じる一方、導体層L5~L8においては磁気結合が弱められることから、十分なインダクタンスを確保しつつ、図2~図4に示した構成よりも全体の結合度Mを低下させることが可能となる。
具体的には、スパイラルコイル11,12,21,22によって得られるインダクタンスは1.0μH、スパイラルコイル31~34,41~44によって得られるインダクタンスは1.8μHであり、全体的な結合係数は0.63となる。結合係数は、スパイラルコイル11,12の平面位置とスパイラルコイル21,22の平面位置を互いにずらすことによっても調整可能である。
尚、図6~図8に示した例では、強い磁気結合が生じるスパイラルコイル11,12,21,22を導体層L1~L4に配置し、弱い磁気結合が生じるスパイラルコイル31~34,41~44を導体層L5~L6に配置しているが、強い磁気結合が生じるスパイラルコイルと弱い磁気結合が生じるスパイラルコイルの位置については任意である。例えば、図9に示すように、強い磁気結合が生じるスパイラルコイルを導体層L3~L6に配置し、弱い磁気結合が生じるスパイラルコイルを導体層L1,L2,L7,L8に配置しても構わないし、図10に示すように、強い磁気結合が生じるスパイラルコイルを導体層L1,L2,L7,L8に配置し、弱い磁気結合が生じるスパイラルコイルを導体層L3~L6に配置しても構わない。
図11及び図12は、それぞれ素体2に埋め込まれた複数の導体層のパターン形状の第3の例を説明するための展開図及び断面図である。
図11及び図12に示す第3の例では、導体層L1にスパイラルコイル11が設けられ、導体層L2にスパイラルコイル21が設けられ、導体層L3にスパイラルコイル31,41が設けられ、導体層L4にスパイラルコイル32,42が設けられ、導体層L5にスパイラルコイル33,43が設けられ、導体層L6にスパイラルコイル34,44が設けられ、導体層L7にスパイラルコイル35,45が設けられ、導体層L8にスパイラルコイル36,46が設けられている。ここで、スパイラルコイル11とスパイラルコイル21は、積層方向から見て互いに重なっている。また、スパイラルコイル31,41は互いに異なる平面位置に設けられ、スパイラルコイル32,42は互いに異なる平面位置に設けられ、スパイラルコイル33,43は互いに異なる平面位置に設けられ、スパイラルコイル34,44は互いに異なる平面位置に設けられ、スパイラルコイル35,45は互いに異なる平面位置に設けられ、スパイラルコイル36,46は互いに異なる平面位置に設けられている。さらに、スパイラルコイル31~36は、積層方向から見て互いに重なっている。スパイラルコイル41~46は、積層方向から見て互いに重なっている。
導体層L1に設けられたスパイラルコイル11の外周端は、端子電極E1に接続される。スパイラルコイル11の内周端は、導体層L2に設けられた中継パターン51を介して、導体層L3に設けられたスパイラルコイル31の内周端に接続される。スパイラルコイル31の外周端は、導体層L4に設けられたスパイラルコイル32の外周端に接続される。スパイラルコイル32の内周端は、導体層L5に設けられたスパイラルコイル33の内周端に接続される。スパイラルコイル33の外周端は、導体層L6に設けられたスパイラルコイル34の外周端に接続される。スパイラルコイル34の内周端は、導体層L7,L8に設けられたスパイラルコイル35,36の内周端に共通に接続される。スパイラルコイル35,36の外周端は、端子電極E2に接続される。
導体層L2に設けられたスパイラルコイル21の外周端は、端子電極E4に接続される。スパイラルコイル21の内周端は、導体層L3に設けられたスパイラルコイル41の内周端に接続される。スパイラルコイル41の外周端は、導体層L4に設けられたスパイラルコイル42の外周端に接続される。スパイラルコイル42の内周端は、導体層L5に設けられたスパイラルコイル43の内周端に接続される。スパイラルコイル43の外周端は、導体層L6に設けられたスパイラルコイル44の外周端に接続される。スパイラルコイル44の内周端は、導体層L7,L8に設けられたスパイラルコイル45,46の内周端に共通に接続される。スパイラルコイル45,46の外周端は、端子電極E3に接続される。
かかる構成により、等価回路図である図13に示すように、端子電極E1と端子電極E2の間には、スパイラルコイル11,31~34と、並列接続されたスパイラルコイル35,36が直列に接続される。また、端子電極E4と端子電極E3の間には、スパイラルコイル21,41~44と、並列接続されたスパイラルコイル45,46が直列に接続される。そして、スパイラルコイル11とスパイラルコイル21は積層方向から見て互いに重なっていることから、スパイラルコイル11とスパイラルコイル21の間には、強い磁気結合M1が生じる。これに対し、スパイラルコイル31~36とスパイラルコイル41~46は、積層方向から見て重なりを有しておらず、互いに異なる平面位置に設けられていることから、スパイラルコイル31~36とスパイラルコイル41~46の間には、弱い磁気結合M2が生じる。
ここで、端子電極E1を始点とし、端子電極E2を終点とした場合、スパイラルコイル11,31~36はいずれも右回り(時計回り)に巻回される。一方、端子電極E4を始点とし、端子電極E3を終点とした場合、スパイラルコイル21,41~46はいずれも左回り(反時計回り)に巻回される。このため、端子電極E1,E4を一対の差動信号線路に接続すれば、差動信号成分についてはスパイラルコイル11とスパイラルコイル21が磁束を強め合うため遮断される一方、コモンモードノイズ成分についてはスパイラルコイル11とスパイラルコイル21が磁束を打ち消し合うため端子電極E2,E3へ出力される。スパイラルコイル31~36とスパイラルコイル41~46については、差動信号成分によって生じる磁束を打ち消し合い、コモンモードノイズ成分によって生じる磁束を強め合うものの、スパイラルコイル31~36とスパイラルコイル41~46の結合度は、スパイラルコイル11とスパイラルコイル21の結合度よりも十分に小さいことから、コモンモードノイズ成分の遮断効果はほとんどない。
このように、図11~図13に示した構成によれば、導体層L1,L2において強い磁気結合が生じる一方、導体層L3~L8においては磁気結合が弱められることから、十分なインダクタンスを確保しつつ、図6~図8に示した構成よりも全体の結合度Mをさらに低下させることが可能となる。
具体的には、スパイラルコイル11,21によって得られるインダクタンスは0.5μH、スパイラルコイル31~36,41~46によって得られるインダクタンスは2.6μHであり、全体的な結合係数は0.33となる。結合係数は、スパイラルコイル11の平面位置とスパイラルコイル21の平面位置を互いにずらすことによっても調整可能である。
尚、スパイラルコイル36,46が設けられる導体層L8を省略しても構わないが、スパイラルコイル35,36を並列接続し、スパイラルコイル45,46を並列接続することにより、直流抵抗が低減される。一方、スパイラルコイル35,36を直列接続し、スパイラルコイル45,46を直列接続すると、また、スパイラルコイルの直列数が奇数(7)となるため、スパイラルコイル36,46が内周端側にて終端し、端子電極E2,E3への引き出しが困難となる。したがって、この場合には、導体層をもう1層追加することによってスパイラルコイルの直列数を偶数とすることが好ましい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
1 積層型結合コイル部品
2 素体
3 絶縁樹脂層
4 回路基板
11~13,21~23,31~36,41~46 スパイラルコイル
51~53,61,62 中継パターン
70 基板
71,72 信号ライン
73 グランドパターン
C キャパシタ
E1~E4 端子電極
L1~L8 導体層
2 素体
3 絶縁樹脂層
4 回路基板
11~13,21~23,31~36,41~46 スパイラルコイル
51~53,61,62 中継パターン
70 基板
71,72 信号ライン
73 グランドパターン
C キャパシタ
E1~E4 端子電極
L1~L8 導体層
Claims (7)
- 積層された複数の導体層が埋め込まれた素体と、
前記素体の表面に形成された第1乃至第4の端子電極と、を備え、
前記複数の導体層は、第1のスパイラルコイルを含む第1の導体層と、第2のスパイラルコイルを含む第2の導体層と、互いに異なる平面位置に設けられた第3及び第4のスパイラルコイルを含む第3の導体層とを含み、
前記第1及び第2のスパイラルコイルは、積層方向から見て互いに重なり、
前記第1及び第3のスパイラルコイルは、前記第1の端子電極と前記第2の端子電極の間に直列に接続され、
前記第2及び第4のスパイラルコイルは、前記第4の端子電極と前記第3の端子電極の間に直列に接続されることを特徴とする積層型結合コイル部品。 - 前記第1及び第2の導体層が交互に複数積層されていることを特徴とする請求項1に記載の積層型結合コイル部品。
- 前記第3の導体層が複数積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型結合コイル部品。
- 前記複数の第3の導体層のうち少なくとも2つに形成された前記第3のスパイラルコイルは互いに並列に接続され、
前記複数の第3の導体層のうち少なくとも2つに形成された前記第4のスパイラルコイルは互いに並列に接続されることを特徴とする請求項3に記載の積層型結合コイル部品。 - 前記第1のスパイラルコイルは、前記第1の端子電極から前記第2の端子電極に向かって第1の方向に巻回され、
前記第2のスパイラルコイルは、前記第4の端子電極から前記第3の端子電極に向かって第1の方向とは逆の第2の方向に巻回されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層型結合コイル部品。 - 前記第3のスパイラルコイルは、前記第1の端子電極から前記第2の端子電極に向かって前記第1の方向に巻回され、
前記第4のスパイラルコイルは、前記第4の端子電極から前記第3の端子電極に向かって前記第2の方向に巻回されていることを特徴とする請求項5に記載の積層型結合コイル部品。 - 第1及び第2の信号ラインとグランドパターンを有する基板と、
前記基板に実装された請求項5又は6に記載の積層型結合コイル部品と、を備え、
前記積層型結合コイル部品の前記第1及び第4の端子電極は、それぞれ前記第1及び第2の信号ラインに接続され、
前記積層型結合コイル部品の前記第2及び第3の端子電極は、キャパシタを介して前記グランドパターンに共通に接続されることを特徴とする回路基板。
Priority Applications (2)
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JP2021157072A JP2023047891A (ja) | 2021-09-27 | 2021-09-27 | 積層型結合コイル部品及びこれを備える回路基板 |
PCT/JP2022/025484 WO2023047740A1 (ja) | 2021-09-27 | 2022-06-27 | 積層型結合コイル部品及びこれを備える回路基板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021157072A JP2023047891A (ja) | 2021-09-27 | 2021-09-27 | 積層型結合コイル部品及びこれを備える回路基板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023047891A true JP2023047891A (ja) | 2023-04-06 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2021157072A Pending JP2023047891A (ja) | 2021-09-27 | 2021-09-27 | 積層型結合コイル部品及びこれを備える回路基板 |
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WO (1) | WO2023047740A1 (ja) |
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JP4518103B2 (ja) * | 2007-05-21 | 2010-08-04 | Tdk株式会社 | コモンモードチョークコイル |
JP5796156B2 (ja) * | 2011-01-31 | 2015-10-21 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | コモンモードノイズフィルタ |
JP2014175825A (ja) * | 2013-03-08 | 2014-09-22 | Panasonic Corp | コモンモードノイズフィルタ |
JP6507504B2 (ja) * | 2014-07-14 | 2019-05-08 | 株式会社村田製作所 | インダクタ素子、及び、配線基板 |
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2021
- 2021-09-27 JP JP2021157072A patent/JP2023047891A/ja active Pending
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2022
- 2022-06-27 WO PCT/JP2022/025484 patent/WO2023047740A1/ja unknown
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WO2023047740A1 (ja) | 2023-03-30 |
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