JP2023046610A - 柱梁接合部の構造 - Google Patents

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【課題】溶接組立箱形断面柱の内側にエレクトロスラグ溶接によって内ダイアフラムが取り付けられ、外側にH形鋼梁が接合された柱梁接合部の構造において、柱に大きな引張力が作用するときに柱梁接合部に発生する恐れのある脆性破壊を、簡単な構造により抑制して、柱梁接合部の変形能力を向上できる、柱梁接合部の構造を提供する。【解決手段】溶接組立箱形断面柱の内側にエレクトロスラグ溶接によって内ダイアフラムが取り付けられ、前記溶接組立箱形断面柱の外側にH形鋼梁が接合された柱梁接合部の構造であって、前記H形鋼梁のフランジは前記溶接組立箱形断面柱に開先溶接され、前記溶接組立箱形断面柱の内側の表面位置における、前記エレクトロスラグ溶接の溶接金属の幅の範囲内に、前記開先溶接の溶接金属が収まっていることを特徴とする柱梁接合部の構造。【選択図】図1

Description

本発明は、溶接組立箱形断面柱の内側にエレクトロスラグ溶接によって内ダイアフラムが取り付けられ、前記溶接組立箱形断面柱の外側にH形鋼梁が接合された柱梁接合部の構造に関するものである。
超高層建築物の下層部には、溶接組立箱形断面柱が多く用いられている。これは、溶接組立箱形断面柱は、ロール成型角形鋼管柱やプレス成型角形鋼管柱と比べて、厚肉化及び高強度化が容易なためである。溶接組立箱形断面柱の製作にあたっては、厚肉の鋼板を完全溶込溶接により接合することが多い。ここで、CO溶接など1パスごとの溶接量が小さい小入熱の溶接方法を適用すると、溶接パス数が多くなり、溶接組立箱形断面柱の製作効率が悪い。そこで、溶接組立箱形断面柱の製作効率を上げるために、溶接組立箱形断面柱のスキンプレート同士の角溶接にはサブマージアーク溶接等、溶接組立箱形断面柱のスキンプレートと内ダイアフラムとの溶接にはエレクトロスラグ溶接等、大入熱の溶接方法が適用されることが多い。
図20に、溶接組立箱形断面柱の内側にエレクトロスラグ溶接によって内ダイアフラム92が取り付けられ、溶接組立箱形断面柱の外側にH形鋼梁が接合された柱梁接合部9の構造の一例を示す。
溶接組立箱形断面柱のスキンプレート91と内ダイアフラム92間のエレクトロスラグ溶接では、入熱量が1000kJ/cm程度まで及ぶ場合もあり、スキンプレート91及び内ダイアフラム92の広範囲に、エレクトロスラグ溶接の溶接金属97からの大入熱により鋼材の性能が劣化した熱影響部(HAZ)97aが生じる。
また、スキンプレート91の内面に当接する裏当て金94、95の先端面の一部は、エレクトロスラグ溶接によって溶融せずに残る。これにより、スキンプレート91の内面との間にスリット94s、95sが形成される。
そして、地震時等には、図21に示すように、溶接組立箱形断面柱のスキンプレート91及びその外側に接合されるH形鋼梁のフランジ93から生じる引張力により、スリット94s、95s付近に応力集中が発生する。このため、内ダイアフラム形式の溶接組立箱形断面柱の柱梁接合部の構造では、地震時等に内ダイアフラムの外周に取り付けられる裏当て金94、95とスキンプレート91との間のスリット94s、95sの底部を起点とする脆性破壊が発生する恐れがある。
このような問題に対応すべく、例えば特許文献1では、内ダイアフラムの外周に取り付けられる裏当て金の先端面とスキンプレートとの間にセラミック製のスペーサーを配置して、裏当て金とスキンプレートとの間に形成されるスリットの底部の曲率半径を大きくすることで、スリットの底部を起点とする脆性破壊の発生を抑制する柱梁接合部の構造が開示されている。
特開2008-279483号公報
しかし、特許文献1に開示される柱梁接合部の構造では、内ダイアフラムの外周に取り付けられる裏当て金や、裏当て金の先端面とスキンプレートとの間に配置されるセラミック製のスペーサーの点数が多いため、エレクトロスラグ溶接部の断面形状が複雑化し、施工の手間と費用が増加してしまう。
本発明者らは、内ダイアフラム形式の溶接組立箱形断面柱に大きな引張力が作用するときの、内ダイアフラムのエレクトロスラグ溶接部の挙動を、有限要素法による数値解析等により詳細に検討した。そして、下記(1)~(3)のような挙動が生じることを確認した。
(1)溶接組立箱形断面柱のスキンプレ-トに大きな引張力が作用すると、ポアソン効果により、スキンプレートの板厚が減少する。(2)溶接組立箱形断面柱に作用する引張力により、スキンプレ-トの板厚が減少すると、エレクトロスラグ溶接部の裏当て金とスキンプレートとの間の隙間が拡がる。(3)内ダイアフラムのエレクトロスラグ溶接部では、裏当て金とスキンプレートとの間に形成されるスリットの底部に接する熱影響部や溶融線上で、大きな引張応力が発生する。
そして、上記(1)~(3)の挙動が生じると、エレクトロスラグ溶接部において、裏当て金とスキンプレートとの間に形成されるスリットの底部を起点とする脆性破壊が誘起されやすいことを見出した。
本発明者らは、上述の検討結果を踏まえて、さらに鋭意研究開発を重ねた結果、本発明を着想するに至った。
本発明は、溶接組立箱形断面柱の内側にエレクトロスラグ溶接によって内ダイアフラムが取り付けられ、外側にH形鋼梁が接合された柱梁接合部の構造において、柱に大きな引張力が作用するときに柱梁接合部に発生する恐れのある脆性破壊を、簡単な構造により抑制して、柱梁接合部の変形能力を向上できる、柱梁接合部の構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 溶接組立箱形断面柱の内側にエレクトロスラグ溶接によって内ダイアフラムが取り付けられ、前記溶接組立箱形断面柱の外側にH形鋼梁が接合された柱梁接合部の構造であって、前記H形鋼梁のフランジは前記溶接組立箱形断面柱に開先溶接され、前記溶接組立箱形断面柱の内側の表面位置における、前記エレクトロスラグ溶接の溶接金属の幅の範囲内に、前記開先溶接の溶接金属が収まっていることを特徴とする柱梁接合部の構造。
ここで、溶接組立箱形断面柱の内側の表面位置における、エレクトロスラグ溶接の溶接金属の幅とは、溶接組立箱形断面柱の高さ方向に沿って測定した溶接金属の長さをいうものとする。
[2] 前記開先溶接の溶接金属は、前記内ダイアフラムの上面と下面との間の高さに収まっていることを特徴とする[1]に記載の柱梁接合部の構造。
[3] 前記開先溶接の余盛の頂部に、フランク角を小さくする仕上げ溶接が施されていることを特徴とする[1]又は[2]に記載の柱梁接合部の構造。
スキンプレートの外面にH形鋼梁のフランジを接合する開先溶接の余盛が大きい場合や、H形鋼梁のフランジと内ダイアフラムとの高さのずれが大きい場合には、エレクトロスラグ溶接部の裏当て金とスキンプレートの内面との間に形成されるスリットと同じ高さで、スキンプレートの外面が開先溶接の溶接金属により拘束されることとなる。よって、溶接組立箱形断面柱に大きな引張力が作用して、スキンプレートの板厚がポアソン効果により減少すると、スキンプレートの外面が開先溶接によって拘束される分だけ、スキンプレートの内面側のスリットのき裂先端開口変位が大きくなってしまう。
これに対し、本発明の柱梁接合部の構造では、溶接組立箱形断面柱の内側の表面位置における、エレクトロスラグ溶接の溶接金属の幅の範囲内に、開先溶接の溶接金属が収まっている。すなわち、内ダイアフラムのエレクトロスラグ溶接部の裏当て金と、溶接組立箱形断面柱のスキンプレートの内面との間に形成されるスリットが、スキンプレートの外面の開先溶接の溶接金属と同じ高さに位置しないように構成されている。つまり、溶接組立箱形断面柱に大きな引張力が作用して、スキンプレートの板厚がポアソン効果により減少するとき、スリットが形成される高さでは、スキンプレートの外面が開先溶接により拘束されない。
よって、スリットが形成される高さにおいてスキンプレートの外面が突合せスリットにより拘束される場合に比べて、スリットのき裂先端開口変位を小さくできる。この結果、裏当て金とスキンプレートとの間に形成されるスリットの底部に接する熱影響部や溶融線上に発生する引張応力を小さくでき、スリットの底部を起点とする脆性破壊の発生を極めて簡単な構造により抑制でき、柱梁接合部の変形能力を向上できる。
図1は、本発明の柱梁接合部の構造の一例を示す断面図である。 図2は、本発明の柱梁接合部の構造の他の一例を示す断面図である。 図3は、本発明の柱梁接合部の構造のさらに他の一例の要部を示す断面図である。 図4(a)及び図4(b)は、本発明の柱梁接合部の構造が荷重を受けるときに、エレクトロスラグ溶接の裏当て金とスキンプレートの内面との間のスリットに生じる変形を模式的に示す図である。 図5(a)及び図5(b)は、本発明の柱梁接合部の構造が荷重を受けるときの相当塑性ひずみ及び応力三軸度を数値解析により計算するための解析モデルを示す図である。 図6(a)及び図6(b)は、図5(a)及び図5(b)に示す解析モデルにおける、エレクトロスラグ溶接部の裏当て金とスキンプレートの内面との間のスリットの底部のき裂先端開口変位の測定方法を示す図である。 図7は、本発明の柱梁接合部の構造の一例が外力を受けたときの、エレクトロスラグ溶接部の裏当て金とスキンプレートの内面との間のスリットの底部のき裂先端開口変位の変化を示すグラフである。 図8は、本発明の柱梁接合部の構造の一例が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する相当塑性ひずみの数値解析結果を示すコンター図である。 図9は、本発明の柱梁接合部の構造の他の一例が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する相当塑性ひずみの数値解析結果を示すコンター図である。 図10は、本発明の柱梁接合部の構造のさらに他の一例が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する相当塑性ひずみの数値解析結果を示すコンター図である。 図11は、本発明の柱梁接合部の構造のさらに他の一例が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する相当塑性ひずみの数値解析結果を示すコンター図である。 図12は、本発明の構成を有しない柱梁接合部の構造が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する相当塑性ひずみの数値解析結果を示すコンター図である。 図13は、本発明の構成を有しない柱梁接合部の構造が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する相当塑性ひずみの数値解析結果を示すコンター図である。 図14は、本発明の柱梁接合部の構造の一例が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する応力三軸度の数値解析結果を示すコンター図である。 図15は、本発明の柱梁接合部の構造の他の一例が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する応力三軸度の数値解析結果を示すコンター図である。 図16は、本発明の柱梁接合部の構造のさらに他の一例が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する応力三軸度の数値解析結果を示すコンター図である。 図17は、本発明の柱梁接合部の構造のさらに他の一例が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する応力三軸度の数値解析結果を示すコンター図である。 図18は、本発明の構成を有しない柱梁接合部の構造が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する応力三軸度の数値解析結果を示すコンター図である。 図19は、本発明の構成を有しない柱梁接合部の構造が外力を受けたときに、梁フランジのスキンプレートへの開先溶接の近傍に生じる発生する応力三軸度の数値解析結果を示すコンター図である。 図20は、従来の柱梁接合部の構造の一例を示す断面図である。 図21は、従来の柱梁接合部の構造が荷重を受けるときに、エレクトロスラグ溶接の裏当て金とスキンプレートの内面とのスリットに生じる変形を模式的に示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の柱梁接合部の構造の実施形態について、具体的に説明する。
図1に、本発明の一実施形態の柱梁接合部1の構造を示す。本実施形態の柱梁接合部1の構造は、溶接組立箱形断面柱の内側にエレクトロスラグ溶接によって内ダイアフラム12が取り付けられ、溶接組立箱形断面柱の外側にH形鋼梁が接合されたものである。
図1に示すとおり、H形鋼梁のフランジ13は、溶接組立箱形断面柱のスキンプレート11に、フランジ13側に開先を設け、余盛高さ18hを有する開先溶接18により溶接されている。内ダイアフラム12の外周の上下両面には、内ダイアフラム12を溶接組立箱形断面柱のスキンプレート11にエレクトロスラグ溶接するときに溶接金属が流し込まれる空間を取り囲むように、裏当て金14、15が取り付けられている。
スキンプレート11の内面に当接する裏当て金14、15の先端面の一部は、エレクトロスラグ溶接によって溶融せずに残る。これにより、スキンプレート11の内面との間にスリット14s、15sが形成される。
本実施形態の柱梁接合部の構造では、溶接組立箱形断面柱の内側の表面位置における、エレクトロスラグ溶接の溶接金属17の幅、すなわち、溶接組立箱形断面柱の高さ方向に沿って測定した上記位置における溶融金属17の長さの範囲内に、H形鋼梁のフランジ13をスキンプレート11に接合する開先溶接18の溶接金属が収まっている。すなわち、エレクトロスラグ溶接部の裏当て金14、15とスキンプレート11の内面との間のスリット14s、15sが、H形鋼梁のフランジ13のスキンプレート11への開先溶接18の溶接金属と同じ高さに位置しないように構成されている。
ここで、図2に示す変形例の柱梁接合部2の構造のように、H形鋼梁のフランジ13のスキンプレート11への開先溶接18の溶接金属は、内ダイアフラム12の上面と下面との間の高さに収まるようにすると、さらに好ましい。
また、溶接組立箱形断面柱のスキンプレート11にH形鋼梁のフランジ13を接合する開先溶接18の余盛高さ18hが小さい場合には、スキンプレート11とH形鋼梁のフランジ13との間に大きな引張力が作用すると、開先溶接18の余盛の頂部での応力三軸度が大きくなりやすい。そして、スキンプレート11とH形鋼梁のフランジ13との開先溶接18で延性亀裂及び脆性亀裂が発生しやすくなり、結果として柱梁接合部の早期破壊につながることがある。
そこで、図3に示すように、H形鋼梁のフランジ13のスキンプレート11への開先溶接18の余盛の頂部には、フランク角を小さくする仕上げ溶接19を施す(開先溶接18のフランク角18aよりも小さいフランク角19aを有する仕上げ溶接19を施す)と、さらに好ましい。このようにすることで、開先溶接18および仕上げ溶接19によるスキンプレートの拘束力を大きくせずに、開先溶接18の余盛の頂部のフランク角を小さくし、スキンプレート11とH形鋼梁のフランジ13との開先溶接18での延性亀裂及び脆性亀裂の発生を抑えることが出来る。
仕上げ溶接19の高さ19hは、3mm~7mmの範囲とすることが好ましい。
本発明の柱梁接合部の構造において、溶接組立箱形断面柱のスキンプレート11に引張力が作用するときの、エレクトロスラグ溶接部の裏当て金14とスキンプレート11の内面との間のスリット14sの底部のき裂先端開口変位(Crack Tip Opening Displacement、以下、CTODという)の変化、並びにH形鋼梁のフランジ13のスキンプレート11への開先溶接18の近傍に生じる発生する相当塑性ひずみ及び応力三軸度の分布を、有限要素法による数値解析で求め、本発明の効果を検証したので、これについて説明する。
図5(a)及び図5(b)に、本数値解析で対象とした解析モデルの形状を示す。
本数値解析で対象とした解析モデルは、平面歪状態の二次元要素とした。溶接組立箱形断面柱のスキンプレート11及び内ダイアフラム12の部分の板厚は40mmとし、590N/mm級鋼板を模擬した材料特性を設定した。また、H形鋼梁のフランジ13の板厚は32mmとし、490N/mm級鋼板を模擬した材料特性を設定した。内ダイアフラム12とH形鋼梁のフランジ13との間には高さのずれがなく、両者の板厚中心が同じ高さにあるものとした。スキンプレート11の表面におけるエレクトロスラグ溶接の溶け込み半径は、26.3mmに設定した。
図6(a)及び図6(b)に、本解析モデルにおける、エレクトロスラグ溶接部の裏当て金14とスキンプレート11の内面との間のスリット14sの底部のき裂先端開口変位の測定方法を示す。図6(a)に示すとおり、スリット14sの底部は、引張力が作用する前の初期状態での開口幅が0.4mmの半円形状を有するものとした。
そして、図6(b)に示すとおり、スリット14sの最奥部からスリット14sの両側壁に向かって斜め45°方向に延ばした仮想線が、スリット14sの両側壁と交差する2点間の水平方向の幅を、スリット14sの底部のCTODとした。
表1に示すとおり、溶接組立箱形断面柱のスキンプレート11にH形鋼梁のフランジ13を接合する開先溶接18の余盛高さ18hの大きさを、2.5mm、5.0mm、10.0mm、20.0mmの4種類に変化させ、それぞれについて開先溶接18の余盛の頂部に仕上げ溶接19が施されていない例(試験番号1、3、5、7)と、仕上げ溶接が施された例(試験番号2、4、6、8)を対象として、数値解析を実施した。試験番号2、4、6、8の仕上げ溶接19の高さ19hは5mmとし、スキンプレート11とのフランク角19aは45°とした。
上述のとおり、スキンプレート11の表面におけるエレクトロスラグ溶接の溶け込み半径は26.3mmであり、スリット14sの底部の内ダイアフラム12の板厚中心からの高さはこれに等しい。試験番号1~6は、開先溶接18の余盛頂部のフランジ13の板厚中心からの高さがそれぞれ18.5mm、21.0mm、26.0mmであるので、スリット14sが開先溶接18の溶接金属と同じ高さに位置しない本発明例である。試験番号7、8は、開先溶接18の余盛頂部のフランジ13の板厚中心からの高さが36.0mmであるので、スリット14sが開先溶接18の溶接金属と同じ高さに位置する比較例である。
これら試験番号1~8の解析モデルの各々について、図5(a)に示すとおり、内ダイアフラム12の端部、H形鋼梁のフランジ13の端部、スキンプレート11の下端(柱梁接合部側の端部)を固定端として変位及び回転を拘束し、スキンプレート11の上端に引張力を作用させ、この引張力を漸増させる条件で、本数値解析を実施した。
Figure 2023046610000002
図7に、溶接組立箱形断面柱のスキンプレート11の上端の引張変位量と、内ダイアフラム12のエレクトロスラグ溶接部のスリット14s、15sの底部のCTODとの関係を、上述の数値解析により求めた結果を、H形鋼梁のフランジ13の開先溶接18(19)の余盛高さ毎に比較して示す。なお、いずれの解析においても、スキンプレート11の上端の引張変位量と引張荷重との比の変化量が1%以内に収まっていることを確認している。
図7に示すとおり、H形鋼梁のフランジ13の開先溶接18の余盛高さ18hが大きくなるほど、これにほぼ比例するようにスリット14s、15sの底部のCTODも大きくなっている。そして、H形鋼梁のフランジ13の開先溶接18の余盛高さ18hを小さくし、スリット14sが開先溶接18の溶接金属と同じ高さに位置しないようにすることで、内ダイアフラム12のエレクトロスラグ溶接部のスリット14s、15sの底部からの脆性破壊を抑制できることがわかる。
図8~図13に、試験番号1~6における、H形鋼梁のフランジ13のスキンプレート11への開先溶接18の近傍に生じる相当塑性ひずみの分布を、コンター図で示す。また、図14~図19に、試験番号1~6における、開先溶接18の近傍に生じる応力三軸度の分布を、コンター図で示す。
図8~図19に示すとおり、開先溶接18の余盛高さ18hが大きいほど、スキンプレート11とH形鋼梁のフランジ13との間の相当塑性ひずみ及び応力三軸度が小さくなっている。また、また仕上げ溶接19が施されていない例(試験番号1、3、5)より仕上げ溶接19が施されている例(試験番号2、4、6)の方が、相当塑性ひずみ及び応力三軸度が小さくなっている。
すなわち、H形鋼梁のフランジ13のスキンプレート11への開先溶接18の余盛高さ18hが大きく、かつ開先溶接18の余盛の頂部にフランク角を小さくする仕上げ溶接19が施されている場合に、この開先溶接18における延性亀裂や脆性亀裂の早期発生を抑える効果が最も高いことがわかる。
つまり、溶接組立箱形断面柱の内側にエレクトロスラグ溶接によって内ダイアフラムが取り付けられた柱梁接合部の構造において、内ダイアフラム12のエレクトロスラグ溶接部のスリット14s、15sの底部からの脆性破壊を抑制すべく、スリット14sが開先溶接18の溶接金属と同じ高さに位置しないように、H形鋼梁のフランジ13の開先溶接18の余盛高さ18hを小さくすると、開先溶接18のスキンプレート11とのフランク角18aが大きくなり、この開先溶接18の余盛の頂部での応力三軸度が大きくなりやすい。
そこで、さらに開先溶接18の余盛の頂部に、フランク角を小さくする仕上げ溶接19を施すことにより、内ダイアフラム12のエレクトロスラグ溶接部のスリット14s、15sの底部からの脆性破壊を抑制しながら、開先溶接18からの延性亀裂及び脆性亀裂を抑えることができることがわかる。
上述のとおり、本発明の柱梁接合部の構造により、裏当て金とスキンプレートとの間に形成されるスリットの底部に接する熱影響部や溶融線上に発生する引張応力を小さくでき、スリットの底部を起点とする脆性破壊の発生を極めて簡単な構造により抑制でき、柱梁接合部の変形能力を向上できる効果が得られることが確認された。
1、2 柱梁接合部
11 溶接組立箱形断面柱のスキンプレート
12 内ダイアフラム
13 H形鋼梁のフランジ
14~16 裏当て金
14s、15s スリット
17 エレクトロスラグ溶接の溶接金属
17a 熱影響部
18 開先溶接
18a フランク角
18h 余盛高さ
19 仕上げ溶接
19a フランク角
19h 仕上げ溶接の高さ

Claims (3)

  1. 溶接組立箱形断面柱の内側にエレクトロスラグ溶接によって内ダイアフラムが取り付けられ、前記溶接組立箱形断面柱の外側にH形鋼梁が接合された柱梁接合部の構造であって、
    前記H形鋼梁のフランジは前記溶接組立箱形断面柱に開先溶接され、
    前記溶接組立箱形断面柱の内側の表面位置における、前記エレクトロスラグ溶接の溶接金属の幅の範囲内に、前記開先溶接の溶接金属が収まっていること
    を特徴とする柱梁接合部の構造。
  2. 前記開先溶接の溶接金属は、前記内ダイアフラムの上面と下面との間の高さに収まっていることを特徴とする請求項1に記載の柱梁接合部の構造。
  3. 前記開先溶接の余盛の頂部に、フランク角を小さくする仕上げ溶接が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の柱梁接合部の構造。
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