JP2018009303A - 柱梁接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】必要な範囲に全強接合するとともに全強接合する範囲を狭くすることで製造に要するコストを抑えた柱梁接合構造を提供する。【解決手段】鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の柱11と、鉄骨造の梁21と、柱に梁が接合された接合部31と、を備えるノンダイアフラム形式の柱梁接合構造1であって、柱は、ウェブ14の端部とフランジ13とが互いに溶接されたフランジ付き十字鉄骨又はH形鋼製の柱鉄骨12を備え、柱鉄骨における梁が接合されたフランジとウェブとは、柱鉄骨のフランジに引張応力が作用している範囲で全強接合され、全強接合されていない範囲は、全強接合以外の方法で接合されている。【選択図】図5

Description

本発明は、柱梁接合構造に関する。
従来、鉄骨構造物の建物において柱梁接合構造が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の柱梁接合構造では、ノンダイアフラム形式の鋼管柱、及びこの鋼管柱に直接接続された梁を備えている。鋼管柱は、梁が直接溶接される柱梁仕口部と、梁が接続されない非柱梁仕口部とからなる。柱梁仕口部の外径と非柱梁仕口部の外径とは、同径である。柱梁仕口部の肉厚は、非柱梁仕口部の肉厚よりも厚い。
柱梁接合構造をノンダイアフラム形式とすることで、柱梁接合構造を構成する部品点数が削減される。さらに、部品の加工数が低減されることで、柱梁接合構造の製造に要するコストが抑えられる。
特開2010−229660号公報
特許文献1の柱に、鋼管柱に代えて、H形鋼やフランジ付き十字鉄骨等の柱鉄骨が用いられる場合がある。柱鉄骨のフランジの板厚等が規格外のとき等には、柱鉄骨を圧延ではなく、ウェブとフランジとを溶接して製造する。この場合、柱鉄骨のフランジに梁が溶接により接合される。
梁に荷重が作用すると、柱梁接合構造に曲げモーメントが作用する。この曲げモーメントにより、柱鉄骨のフランジに引っ張られる部分や圧縮される部分が生じる。柱鉄骨のウェブとフランジとを部分溶け込み溶接又は隅肉溶接で接合すると、接合部にウェブとフランジとが接合されていない切欠き状の不溶着部がある。梁に作用する荷重等により、この不溶着部から破断が生じる恐れがある。
ウェブとフランジとの接合部に不溶着部が形成されないようにするために、ウェブとフランジとを完全溶け込み溶接等により全強接合することが行われている。この場合、接合部からき裂が生じにくくなる。
しかしながら、完全溶け込み溶接を用いると、部分溶け込み溶接又は隅肉溶接を用いた場合に比べて以下の点で製造に要するコストが増加する。すなわち、フランジにウェブを突き合せ溶接する部分に開先加工が必要になる。開先加工により生じた空間を溶接で埋め戻しするために、溶接金属がより多く必要になる。溶接後に超音波探傷試験等を行い、不溶着部が形成されていないことを確認する必要がある。
このように、完全溶け込み溶接を用いたことによるコストの増加が、ノンダイアフラム形式とすることによるコストの低減を相殺してしまうことがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、必要な範囲に全強接合するとともに全強接合する範囲を狭くすることで製造に要するコストを抑えた柱梁接合構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の柱梁接合構造は、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の柱と、鉄骨造の梁と、前記柱に前記梁が接合された接合部と、を備えるノンダイアフラム形式の柱梁接合構造であって、前記柱は、ウェブの端部とフランジとが互いに溶接されたフランジ付き十字鉄骨又はH形鋼製の柱鉄骨を備え、前記柱鉄骨における前記梁が接合された前記フランジと前記ウェブとは、前記柱鉄骨の前記フランジに引張応力が作用している範囲で全強接合され、前記全強接合されていない範囲は、前記全強接合以外の方法で接合されていることを特徴としている。
この発明によれば、柱鉄骨のフランジに引張応力が作用している範囲内で柱鉄骨のフランジとウェブとが全強接合されているため、この範囲内の柱鉄骨にウェブとフランジとの不溶着部が形成されない。フランジに引張応力が作用している範囲内は不溶着部から破断が生じやすいが、この範囲内に不溶着部が形成されないため、梁に荷重が作用したときに柱鉄骨のウェブとフランジとの溶接部から破断が生じにくくなる。残りの範囲における柱鉄骨のウェブとフランジとは、全強接合以外の方法で接合する。
また、本発明の他の柱梁接合構造は、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の柱と、鉄骨造の梁と、前記柱に前記梁が接合された接合部と、を備えるノンダイアフラム形式の柱梁接合構造であって、前記柱は、ウェブの端部とフランジとが互いに溶接されたフランジ付き十字鉄骨又はH形鋼製の柱鉄骨を備え、前記柱鉄骨における前記梁が接合された前記フランジと前記ウェブとは、前記梁のせいの中心を範囲の中心とした(H+2y)の式により得られる値以上の範囲で全強接合され、前記全強接合されていない範囲は、前記全強接合以外の方法で接合されていることを特徴としている。
ただし、B:前記柱鉄骨の前記フランジの幅、tcf:前記柱鉄骨の前記フランジの板厚、tcw:前記柱鉄骨の前記ウェブの板厚、σcfy:前記柱鉄骨の前記フランジの降伏強さ、σcwy:前記柱鉄骨の前記ウェブの降伏強さ、H:前記梁のせい、F:前記柱のコンクリートの強度、d:前記柱鉄骨の前記フランジに対する前記コンクリートのかぶり厚さ。
Figure 2018009303
この発明によれば、梁に下方及び上方から荷重が作用しても、梁のせいの中心を範囲の中心とした(H+2y)の式により得られる値の範囲内の柱鉄骨のフランジのみが、梁により引っ張られる。この柱鉄骨の材長方向において、柱鉄骨のフランジが引っ張られる範囲のフランジとウェブとを全強接合することで、この範囲内の柱鉄骨にウェブとフランジとの不溶着部が形成されない。残りの範囲における柱鉄骨のウェブとフランジとは、全強接合以外の方法で接合する。このため、梁に荷重が作用したときに柱鉄骨のウェブとフランジとの溶接部から破断が生じにくくなる。
本発明の柱梁接合構造によれば、必要な範囲に全強接合するとともに全強接合する範囲を狭くすることで製造に要するコストを抑えることができる。
本発明の第1実施形態の柱梁接合構造の一部を透過させた斜視図である。 同柱梁接合構造の柱の断面図である。 同柱の柱鉄骨における非全強接合部の断面図である。 同柱の柱鉄骨における他の非全強接合部の断面図である。 同柱梁接合構造の全塑性耐力時の崩壊機構を説明する側面の断面図である。 図5中の切断線A1−A1の断面図をかぶりコンクリートの側面とともに示す図である。 図5中の切断線A1−A1の断面図を支圧破壊部とともに示す図である。 鋼材の実際の応力−ひずみ特性を説明する図である。 鋼材のモデル化した応力−ひずみ特性を説明する図である。 同柱鉄骨における全強接合部及び非全強接合部の範囲を示した側面図である。 本発明の第2実施形態で変数yを予測した精度を検証した図である。 本発明の第3実施形態で柱梁接合構造を解析するのに用いた解析モデルの斜視図である。 同解析モデルの要部の斜視図である。 図13におけるA方向矢視図である。 同柱梁接合構造の有限要素解析において柱鉄骨及び梁の要素に用いた応力−ひずみ特性を示す図である。 同柱梁接合構造の有限要素解析において溶接金属部の要素に用いた応力−ひずみ特性を示す図である。 同柱梁接合構造の有限要素解析の結果から塑性ひずみを求めた結果の一例を示す図である。 梁の端部が0.02radian回転した状態における、梁のフランジの幅と塑性ひずみが分布している範囲との関係を示す図である。 梁の端部が0.03radian回転した状態における、梁のフランジの幅と塑性ひずみが分布している範囲との関係を示す図である。 梁の端部が0.04radian回転した状態における、梁のフランジの幅と塑性ひずみが分布している範囲との関係を示す図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る柱梁接合構造の第1実施形態を、図1から図10を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の柱梁接合構造1は、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の柱11と、鉄骨造の梁21と、柱11に梁21が接合された接合部31と、を備える。なお、柱11は鉄骨鉄筋コンクリート造ではなく、後述する鉄筋15及びコンクリート16を備えない鉄骨造の柱であってもよい。
柱11は、ウェブ14とフランジ13とを有する柱鉄骨12と、柱鉄骨12を囲う複数本の鉄筋15、及びコンクリート16を備えている。
なお、本柱梁接合構造1は、柱11への梁21の接合に際してダイアフラム(スチフナ)を用いない形式、すなわちノンダイアフラム形式である。
本実施形態では、図2及び図3に示すように、柱鉄骨12は、ウェブ14の端部とフランジ13とが互いに溶接により接合されたフランジ付き十字鉄骨製である。ウェブ14の端部とフランジ13とは、図2に示す完全溶け込み溶接により形成された全強接合部(全強接合されている部分)17、及び、図3、図4に示す部分溶け込み溶接又は隅肉溶接により形成された非全強接合部(全強接合以外の方法で接合されている部分)18A、18Bで接合されている。
ここで言う完全溶け込み溶接とは、溶接継手部に開先を設けて母材(本発明では柱鉄骨のウェブ)の全断面を完全に溶接し、溶接のど厚が母材と同一かそれ以上となる全強接合(接合部の耐力が母材の耐力を下回らない接合)を形成することを意味する。部分溶け込み溶接とは、溶接継手部に部分的に開先を設け、母材断面の一部を溶接する溶接方法で、異形隅肉溶接等が例として挙げられる。隅肉溶接とは、開先を設けずに設置した直交する柱鉄骨のウェブ・フランジの隅部に、三角形状の断面をした溶接金属を置くものである。
部分溶け込み溶接及び隅肉溶接においては、柱鉄骨のウェブ・フランジ継手の断面内に溶接不溶着部が存在することを許容する溶接方法である。また、日本建築学会編、「日本建築学会建築工事標準仕様書・同解説 JASS6 鉄骨工事には、完全溶け込み溶接により形成された全強接合部には、内部欠陥がないことを超音波探傷試験等によって確認しなければならないことが記載されている。そのため、溶接仕様として突き合わせる母材との全断面が完全に溶接される場合でも、溶接後に超音波探傷試験等によって内部欠陥が無いことを確認しない場合には、その溶接部は非全強接合部に分類される。
すなわち、柱鉄骨12のフランジ13とウェブ14とが全強接合されている部分は、柱鉄骨12のフランジ13とウェブ14とが完全溶け込み溶接により接合されている全強接合部17である。一方で、柱鉄骨12のフランジ13とウェブ14とが全強接合以外の方法で接合されている部分は、柱鉄骨12のフランジ13とウェブ14とが部分溶け込み溶接又は隅肉溶接(非全強接合)により接合されている非全強接合部18A、18Bである。
図3に示す部分溶け込み溶接により形成された非全強接合部18Aは、例えばSAW(サブマージアーク溶接:Submerged Arc Welding)により形成された溶接金属部18a、18bをウェブ14の端部に形成して構成されている。溶接金属部18a、18bは、ウェブ14をウェブ14の厚さ方向に挟むように形成されている。溶接金属部18aと溶接金属部18bとの間には、フランジ13とウェブ14とが溶接されていないことで、切欠き状の不溶着部18cが形成されている。
図4に示す隅肉溶接により形成された非全強接合部18Bは、非全強接合部18Aと同様に溶接金属部18d、18eを有して構成されている。溶接金属部18dと溶接金属部18eとの間には、フランジ13とウェブ14とが溶接されていないことで、切欠き状の不溶着部18fが形成されている。
なお、非全強接合部18A及び非全強接合部18Bを区別しないで呼ぶときには、非全強接合部18と総称する。
一方で、完全溶け込み溶接により形成された全強接合部17は、図示はしないが一対の溶接金属部が、間に不溶着部が形成されることなく一体化している。
柱鉄骨12における梁21が接合されたフランジ13とウェブ14とは、柱鉄骨12の材長方向(長手方向)におけるある範囲で全強接合部17で接合され、それ以外の範囲は非全強接合部18で接合されている。この範囲の詳細については、後述する。
なお、柱鉄骨12は、ウェブ14の端部とフランジ13とが互いに溶接されたH形鋼製であるとしてもよい。本明細書において、H形鋼にはI形鋼が含まれる。
複数本の鉄筋15は、図2に示す柱鉄骨12の材長方向に見たときに、矩形の縁部の形状となる基準線上に配置されている。
コンクリート16は、材長方向に直交する断面が正方形又は長方形である。
図1に示すように、梁21は、H形鋼製であり、ウェブ24と、このウェブ24の両端部に接合された一対のフランジ23とを有している。梁21は、水平方向に沿って延びている。梁21は鉄骨であり、鋼板等で形成されている。
梁21のフランジ23は、接合部31において柱鉄骨12のフランジ13に溶接接合されている。梁21のウェブ24は、柱鉄骨12のフランジ13に溶接又は高力ボルト接合されている。柱鉄骨12のフランジ13と梁21とが接合された接合部31(溶接部、及び溶接部の近傍の柱鉄骨12、梁21を含む)は、コンクリート16により囲われている。
なお、本明細書では、柱鉄骨12のウェブ14・フランジ13の接合について、溶接接合することを前提としたが、接合部が全強接合されていれば溶接接合を用いなくてもよく、例えば接着接合や圧接接合、アモルファス接合などを用いてもよい。
〔1.本発明で提案する崩壊機構〕
本柱梁接合構造1の崩壊機構として、図5から図7に示す機構を仮定する。図5から図7は、柱梁接合構造1が変形した後の状態を示している。柱鉄骨12のフランジ13に上方に塑性ヒンジ13、13、下方に塑性ヒンジ13、13が形成されるとする。すなわち、柱鉄骨12の梁21が接合されたフランジ13における梁21の一対のフランジ23が接続された部分に、一対の塑性ヒンジ13、13、13、13がそれぞれ形成されるとする。後述する塑性回転角度θ、θが0(radian)の状態から図5から図7に示す塑性回転角度θ、θが正の状態まで変形したとする。
梁21の引張側のフランジ23(この例では上方のフランジ23)が柱鉄骨12のフランジ13を面外に引き抜く力に対しては、鉄骨である柱鉄骨12は、フランジ13の面外変形とウェブ14の局部降伏を生じる。これにより、柱鉄骨12のウェブ14に局部降伏14aが形成される。また、柱鉄骨12のフランジ13には、塑性ヒンジ13が形成される。
柱鉄骨12のフランジ13が面外に変形することよって、フランジ13の外側のかぶりコンクリート16aがコーン状破壊する。かぶりコンクリート16aの側面16a1を、図6中にハッチングを付して示す。
図5に示すように、梁21の圧縮側のフランジ23(この例では下方のフランジ23)が柱鉄骨12のフランジ13を面外に押し込む力に対しては、フランジ13が内側に面外変形してウェブ14の局部降伏が生じ、フランジ13の内側のコンクリート16が支圧破壊すると仮定している。コンクリート16に、支圧破壊部16bが形成される。支圧破壊部16bを、図7中にハッチングを付して示す。また、柱鉄骨12のフランジ13には、塑性ヒンジ13が形成される。
一般にコンクリートの支圧耐力はコーン状破壊耐力よりも大きくなるので、接合部31の断面内の釣合条件を満たす中立軸C1は、梁せいH(梁のせい(成)、mm)の上下方向の中心よりも圧縮側のフランジ23側に位置する。
本崩壊機構は、梁21の端部の曲げモーメントに対して接合部31が角度θ(radian)回転した状態を仮定している。ただし、角度θは微小な角度であり、tanθ=θ等と近似することができる。
本崩壊機構で用いる変数は、図中に示すx、y、z(mm)である。変数xは、梁21の端部の曲げモーメントに対する中立軸C1の位置を決定する係数で、0以上1以下の任意の値を取り得る。変数xは、梁21の端部に曲げモーメントが作用したときの、梁21の引張側のフランジ23の外表面から中立軸C1までの距離の梁せいHに対する比である。変数yは、梁21の上方のフランジ23の上方にある塑性ヒンジ13、塑性ヒンジ13間の柱鉄骨12の材長方向の長さである。変数zは、梁21の下方のフランジ23の下方にある塑性ヒンジ13、塑性ヒンジ13間の柱鉄骨12の材長方向の長さである。変数y、zは、任意の正数(0よりも大きい値)を取り得る。
これらの変数x、y、zを用いて、柱鉄骨12のフランジ13とフランジ23、23の交差部における面外変形量δ、δ(mm)は、(1)式及び(2)式を用いて(3)式及び(4)式によって表わすことができる。ここで、梁21のフランジ23の板厚をtbf(mm)、フランジ13及びフランジ23の交差部に仮定する剛域の幅をt’(mm)とする。
Figure 2018009303
柱鉄骨12のフランジ13の降伏ヒンジ線に生じる塑性回転角度θ、θ(radian)は、(5)式及び(6)式によって表わすことができる。
Figure 2018009303
〔2.崩壊曲げモーメント〕
柱鉄骨12及び梁21等のような鋼材の実際の応力−ひずみ特性を、図8に示す。図8の横軸は鋼材のひずみを表し、縦軸は鋼材に作用する応力を表す。鋼材には、ひずみが0の状態から、ひずみが増加するのにしたがって応力が比例して増加する弾性領域R1がある。弾性領域R1よりもひずみが大きい範囲が、非弾性領域R2である。非弾性領域R2では、弾性領域R1よりも応力の増加率が低下する。弾性領域R1と非弾性領域R2との境界となる応力が、降伏応力σである。
非弾性領域R2では、最大応力σにおいて応力が最大値となる。最大応力σに対応するひずみよりもひずみが大きくなると、応力は最大応力σよりも低下する。鋼材は、ひずみεにおいて破断する。
これに対して、本実施形態では極限解析の手法を用いて理論解を求めるにあたり、柱鉄骨12及び梁21の応力−ひずみ特性として、図9に線L1で示す剛塑性関係となるモデルを仮定している。図9の横軸は鋼材のひずみを表し、縦軸は鋼材に作用する応力を表す。
このモデルでは、ひずみが0のままで応力が増加する。応力が降伏応力σとなったときに、鋼材が降伏する。鋼材が降伏した後は、応力が変わらずにひずみが増加する。このモデルでは、ひずみ硬化を考慮していない。
次に、崩壊曲げモーメントの詳細について説明する。
柱鉄骨12のフランジ13の降伏ヒンジ線の単位長さあたりの降伏モーメントM(N)、及び柱鉄骨12のウェブ14に生ずる不連続線の単位長さあたりの降伏軸力N (N/mm)は、それぞれ(7)式及び(8)式で与えられる。
ここで、柱鉄骨12のフランジ13の板厚をtcf(mm)、柱鉄骨12のウェブ14の板厚をtcw(mm)、柱鉄骨12のフランジ13の降伏強さをσcfy(N/mm)、柱鉄骨12のウェブ14の降伏強さをσcwy(N/mm)とする。
Figure 2018009303
柱鉄骨12のフランジ13の面外変形による内部仕事Wcfは、各降伏ヒンジ線の塑性回転による仕事の和として、(9)式で与えられる。また、柱鉄骨12のウェブ14の局部降伏による内部仕事Wcwは、各々の不連続線上で生じる塑性流れによる仕事の和として、(10)式で与えられる。
梁21の引張側のフランジ23周りのかぶりコンクリート16aに生じるコーン状破壊による内部仕事WRC1は、(11)式で与えられる。梁21の圧縮側のフランジ23周りに生じる内部のコンクリート16の支圧破壊による内部仕事WRC2は、(12)式で与えられる。
ここで、柱鉄骨12のフランジ13の幅をB(mm)、柱鉄骨12のフランジ13に対するコンクリート16のかぶり厚さをd(mm、図2参照)、コンクリート16の強度(設計基準強度)をF(N/mm)、コンクリート16の支圧効果係数をλ(−)(本実施形態では1.5とする)とする。
Figure 2018009303
仮想仕事の原理より、接合部31についての崩壊曲げモーメントM(Nmm)は(13)式で与えられる。すなわち、内部仕事Wcfと、内部仕事Wcwと、内部仕事WRC1と、内部仕事WRC2との和が、接合部31の崩壊曲げモーメントMと、梁21の端部の曲げモーメントに対する接合部31の回転角度θとの積に等しいという(13)式による第一方程式が導かれる。
崩壊曲げモーメントMの最小値である全塑性曲げモーメント(Nmm)は、(14)式を連立して解くことで求められ、(15)式から(18)式によって与えられる。(14)式は、崩壊曲げモーメントMを変数x、y、zで偏微分した値がそれぞれ0に等しいことを表す方程式である。(16)式から(18)式により、変数x、y、zが求められる。
なお、全塑性曲げモーメントは、図9において鋼材が降伏したときの曲げモーメントを表し、接合部31の全塑性耐力に相当する。基本的に、変数yは変数zよりも大きい。これは、前述のようにコンクリートの支圧耐力はコーン状破壊耐力よりも大きくなるためである。コンクリート16の強度Fが0である場合(柱11が鉄筋15及びコンクリート16を備えない鉄骨造の柱の場合)には、変数yと変数zとが等しくなる。
Figure 2018009303
(17)式に、(7)式、(8)式により与えられる降伏モーメントM、単位長さあたりの降伏軸力N を代入して整理すると、(19)式が得られる。
なお、柱11が鉄筋15及びコンクリート16を備えない鉄骨造の柱の場合には、(19)式においてコンクリート16の強度Fを0として計算すればよい。
Figure 2018009303
前述のように、塑性ヒンジにより示した梁21よりも上方の変数yの範囲、梁21のせいの範囲、及び、梁21よりも下方の変数zの範囲にそれぞれ対応する柱鉄骨12のフランジ13のみが、引っ張られたり圧縮されたりする。基本的に、変数yは変数zよりも大きい。梁21のせいの中心P1から上方に(H/2+y)の式により得られる値の範囲、及び、中心P1から下方に(H/2+z)の式により得られる値の範囲よりも、中心P1を範囲の中心とした(H+2y)の式により得られる値の範囲の方が広い。このため、梁21に下方及び上方から荷重が作用しても、梁21のせいの中心P1(図10参照)を範囲の中心とした(H+2y)の式により得られる値の範囲の柱鉄骨12のフランジ13のみが、梁21により引っ張られることが分かる。
このため、図10に示すように、この柱鉄骨12の材長方向において、柱鉄骨12のフランジ13が梁21により引っ張られる範囲を含む範囲R6において、柱鉄骨12における梁21が接合されたフランジ13とウェブ14とを全強接合部17により接合する。なお、図10においては柱11の鉄筋15、及びコンクリート16を透過して示している。
範囲R6は、梁21のせいの中心P1を範囲の中心とした(H+2W)の式により得られる値の範囲である。ただし、Wは(19)式によるy以上である。柱鉄骨12の材長方向において範囲R6以外の範囲R7、すなわち全強接合部17で接合されていない範囲R7は、非全強接合部18で接合される。
本実施形態の柱梁接合構造1の設計方法では、柱鉄骨12における梁21が接合されたフランジ13とウェブ14とを全強接合する範囲を、梁21のせいの中心P1を範囲の中心とした(H+2W)の式により得られる値の範囲に設定する。柱鉄骨12における梁21が接合されたフランジ13とウェブ14とを全強接合しない範囲を、全強接合以外の非全強接合するように設定する。
前述のように、変数Wは、(19)式による変数y以上の値である。変数Wは、変数yよりも例えば50mm以上長いことが好ましい。また、(H+2W)の式により得られる値は、(H+2y)の式により得られる値の1.1倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
アーク溶接の開始時には、アーク溶接に用いられるシールド内に外気が入ることがある。このため、アーク溶接の火花が安定しにくく、アーク溶接を開始した部分の耐力が安定しないので、アーク溶接の開始時には助走区間を設けることが好ましい。
全強接合部17を形成した範囲R6には、ウェブ14の端部等に予め開先加工が施されていることが好ましい。さらに、この範囲R6に対して超音波探傷試験等を行い、ウェブ14とフランジ13との不溶着部が形成されていないことを確認することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の柱梁接合構造1及び柱梁接合構造1の設計方法によれば、梁21に下方及び上方から荷重が作用しても、梁21のせいの中心を範囲の中心とした(H+2y)の式により得られる値の範囲内の柱鉄骨12のフランジ13のみが、梁21により引っ張られる。この柱鉄骨12の材長方向において、柱鉄骨12のフランジ13が引っ張られる範囲のフランジ13とウェブ14とを全強接合することで、この範囲の柱鉄骨12にウェブ14とフランジ13との不溶着部が形成されない。残りの範囲における柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13とは、非全強接合する。このため、梁21に荷重が作用したときに柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13との溶接部から破断が生じにくくなる。
したがって、柱梁接合構造1の必要な範囲に全強接合するとともに全強接合する範囲を狭くすることで、柱梁接合構造1の製造に要するコストを抑えることができる。
なお、柱鉄骨12のフランジ13に引張応力が作用している範囲でフランジ13とウェブ14とを全強接合し、フランジ13とウェブ14とが全強接合されていない範囲は、フランジ13とウェブ14とを全強接合以外の方法で接合してもよい。柱鉄骨12のフランジ13に引張応力が作用して柱鉄骨12のウェブ14に局部降伏が生じている範囲は、図5に示す範囲R9となる。すなわち、柱鉄骨12の材長方向において、塑性ヒンジ13から中立軸C1までの範囲である。
柱鉄骨12のフランジ13に引張応力が作用している範囲内で柱鉄骨12のフランジ13とウェブ14とが全強接合されているため、この範囲R9内の柱鉄骨12にウェブ14とフランジ13との不溶着部が形成されない。フランジ13に引張応力が作用している範囲R9内は不溶着部から破断が生じやすいが、この範囲R9内に不溶着部が形成されないため、梁21に荷重が作用したときに柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13との溶接部から破断が生じにくくなる。
したがって、必要な範囲に全強接合するとともに全強接合する範囲を狭くすることで、柱梁接合構造1の製造に要するコストを抑えることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態では、第1実施形態のように極限解析の手法を用いて理論解を求めるとともに、使用頻度の高い柱梁接合構造1の厚さ等の諸元に限定すること等により、全強接合する範囲を容易に求められるようにしている。
具体的には、以下の(i)から(iii)の限定、及び(iv)の仮定をしている。
(i)柱鉄骨12のフランジ13の降伏強さσcfyと柱鉄骨12のウェブ14の降伏強さσcwyとが等しい。
(ii)柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの2倍に対する柱鉄骨12のフランジ13の幅Bの比が3.0以上である。
(iii)柱鉄骨12のウェブ14の板厚tcwに対する柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの比が3.33以下である。
(iv)かぶりコンクリートの影響を無視する(Fを0とする)。
なお、柱梁接合構造1の使用頻度の高い諸元に対してはかぶりコンクリートの影響は10%程度であることが分かっている。
前述の(19)式において、(i)の限定及び(iv)の仮定をして変形することで、(20)式が得られる。
すなわち、変数yは、柱鉄骨12のフランジ13の幅B、柱鉄骨12のウェブ14の板厚tcwに対する柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの比、及び、柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの2倍に対する柱鉄骨12のフランジ13の幅Bの比で表されることが分かる。
Figure 2018009303
柱鉄骨12のウェブ14の板厚tcwに対する柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの比については、(iii)の限定における上限値の3.33を(20)式に代入する。柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの2倍に対する柱鉄骨12のフランジ13の幅Bの比については、(ii)の限定における下限値の3.0を(20)式に代入する。すると、(21)式が得られる。
(20)式において、(ii)の限定である(B/(2tcf))の式により得られる値の下限値の3.0、及び、(iii)の限定である(tcf/tcw)の式により得られる値の上限値の3.33を(20)式に代入することで、(ii)及び(iii)の限定における変数yの最大値が約0.75Bと求まる。
Figure 2018009303
すなわち、本実施形態における前述の全強接合部17の範囲R6は、梁21のせいの中心P1を範囲の中心とした(H+2W)の式により得られる値の範囲とした。ただし、Wは(21)式によるy以上である。
なお、柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの2倍に対する柱鉄骨12のフランジ13の幅Bの比を2.0以上、柱鉄骨12のウェブ14の板厚tcwに対する柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの比を4.0以下とした場合には、変数yの値は1.0Bとなる。柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの2倍に対する柱鉄骨12のフランジ13の幅Bの比を5.0以上、柱鉄骨12のウェブ14の板厚tcwに対する柱鉄骨12のフランジ13の板厚tcfの比を2.5以下とした場合には、変数yの値は0.5Bとなる。
以上説明したように、本実施形態の柱梁接合構造1によれば、使用頻度の高い板厚等の諸元において、柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13とを全強接合する範囲が、柱鉄骨12のフランジ13の幅B及び梁21のせいHだけで決まる。このため、柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13とを全強接合する範囲を容易に求めることができる。
なお、本実施形態で変数yを0.75Bとした評価の精度を検証した図11については、第3実施形態において説明を行う。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図12から図20を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
前述の第1実施形態及び第2実施形態では極限解析の手法を用いて理論解を求め、柱11と梁21との接合部31における全塑性曲げモーメントの柱11のウェブ14の塑性化範囲に基づいて、全強接合部17の範囲を設定した。ただし、接合部31が降伏した後には鋼材のひずみ硬化によって塑性化範囲は拡大する場合がある。
本実施形態では、接合部31が大きく変形して接合部31の塑性化範囲が拡大した場合においても前述の全強接合部17の範囲が十分であるための条件を検討する。本実施形態では、変数yに相当する塑性ひずみが分布している範囲を有限要素解析により求めた。
有限要素解析に用いた解析モデルを、図12から図14に示す。図12の解析モデルは、柱梁接合構造1を表す1/4モデルである。この1/4モデルでは、第一の面S1及び第二の面S2を解析条件の対称面とした。
図12の解析モデルは、柱梁接合構造1の柱11が鉄骨造であってH形鋼製の柱鉄骨12である場合を示している。
有限要素解析の条件を以下に示す。
・解析モデルの要素は、8節点ソリッド要素とした。
・梁21の端部が柱鉄骨12に溶接された部分の溶接金属部の余盛り高さは、梁21のフランジ23の板厚の1/4とした。ただし、梁21のフランジ23の板厚が40mm以上の場合は、余盛り高さを10mmとした。
・柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13との溶接金属部は、脚長及び余盛り高さともに10mmとした。
・柱鉄骨12及び梁21の材料特性には、建築構造用圧延鋼材であるSN490の引張試験結果をモデル化した応力−ひずみ特性を用いた。図15に柱鉄骨12及び梁21の要素に用いた応力−ひずみ特性を示す。図15の横軸はひずみを表し、縦軸は応力を表す。一点鎖線L6は、引張試験結果の平均応力−平均ひずみを表す線である。実線L7は、引張試験結果の平均応力−平均ひずみをモデル化した線である。点線L8は、モデル化した平均応力−平均ひずみを、真応力−真ひずみに変換した線である。有限要素解析には、点線L8が表す平均応力−平均ひずみ特性を用いた。
・各溶接金属部の材料特性には、YGW18ワイヤの引張試験結果をモデル化した応力−ひずみ特性を用いた。図16に溶接金属部の要素に用いた応力−ひずみ特性を示す。図16の横軸はひずみを表し、縦軸は応力を表す。一点鎖線L11は、引張試験結果の平均応力−平均ひずみを表す線である。実線L12は、引張試験結果の平均応力−平均ひずみをモデル化した線である。点線L13は、モデル化した平均応力−平均ひずみを、真応力−真ひずみに変換した線である。有限要素解析には、点線L13が表す平均応力−平均ひずみ特性を用いた。
・柱鉄骨12及び梁21の降伏強さを380MPa、引張強さを519MPaとした。
・溶接金属部の降伏強さを526MPa、引張強さを606MPaとした。
・荷重条件は、梁21の柱鉄骨12とは反対の端に荷重F(図12参照)を作用させて、鉛直方向の一方向強制変位を与えた。
解析モデルの解析変数の比の一覧を、表1に示す。柱鉄骨12及び梁21の寸法の諸元は、各比率が使用頻度の高い表1に示す値の組み合わせとなるように設定した。
すなわち、以下のように比の値を決めた。
・柱鉄骨12のフランジ13における板厚tcfに対する幅Bの比が、3.0以上8.0以下である。
・柱鉄骨12のウェブ14における板厚tcwに対する幅の比(幅厚比)が、柱鉄骨12がフランジ付き十字鉄骨製の場合に12.0以上である。
なお、柱鉄骨12がH形鋼製の場合には、この比は24.0以上である。
・柱鉄骨12におけるフランジ13の幅Bに対するせいHの比が、1.7以上3.5以下である。
・柱鉄骨12のせいHに対する梁21のせいHの比が、0.7以上1.5以下である。
・柱鉄骨12のフランジ13の幅Bに対する梁21のフランジ23の幅Bの比が、0.5以上1.0以下である。
・柱鉄骨12のウェブ14の板厚tcwに対する梁21のウェブ24の板厚tbwの比が、0.5以上1.0以下である。
Figure 2018009303
具体的には、以下のように寸法を決めた。
・柱鉄骨12のせいHは、600mmの固定値とした。
・柱鉄骨12におけるフランジ13の幅Bに対するせいHの比の変数により、柱鉄骨12におけるフランジ13の幅Bを決める。
・柱鉄骨12のウェブ14における板厚tcwに対する幅の比、及び、柱鉄骨12のフランジ13における板厚tcfに対する幅Bの比の変数により、ウェブ14の板厚tcw及びフランジ13の板厚tcfを決める。
・柱鉄骨12のせいHに対する梁21のせいHの比、及び、柱鉄骨12のウェブ14の板厚tcwに対する梁21のウェブ24の板厚tbwの比の変数により、梁21のせいH及び梁21のフランジ23の幅Bを決める。
・柱鉄骨12のフランジ13の幅Bに対する梁21のフランジ23の幅Bの比の変数により、梁21のウェブ24の板厚tbwを決める。
・梁21のフランジ23の板厚tbfは、接合部31の局所耐力に対して梁21の曲げ耐力が1.2倍以上となるように決めた。
このとき、梁21のフランジ23における板厚tbfに対する幅Bの比がFDランクとなる場合には、FDランクとFCランクの境界値となるように、梁21のフランジ23の板厚tbfを厚くする。また、梁21のフランジ23の板厚tbfが梁21のウェブ24の板厚tbwよりも薄くなる場合には、梁21のフランジ23の板厚tbfを梁21のウェブ24の板厚tbwと等しくする。
・柱鉄骨12におけるウェブ14の板厚tcwに対するフランジ13の板厚tcfの比が3.33を超える場合は、その解析ケースを除外した。除外した解析ケースは、使用頻度が低いケースである。
これらの手順によって決めた柱鉄骨12及び梁21の寸法の諸元の一覧を、表2及び表3に解析ケース1から解析ケース56として示す。
なお、表2及び表3において、柱鉄骨12のウェブ14における板厚tcwに対する幅の比が12.0のものは柱鉄骨12がフランジ付き十字鉄骨製であり、32.0のものは柱鉄骨12がH形鋼製である。
Figure 2018009303
Figure 2018009303
表2及び表3に示した合計56の解析ケースの有限要素解析を実施した。各解析ケースにおいて、図13及び図14に示す溶接金属部19の溶接止端部19aの相当塑性ひずみを柱鉄骨12の材長方向にわたり求めた。
図17に、塑性ひずみを求めた結果の一例を解析ケース2(梁21のせいHは900mm)の場合で示す。図17の横軸は相当塑性ひずみを表し、縦軸は梁21のせいの中心に対する位置を表す。なお、位置は上方を正とする。□印の線L16は、柱梁接合構造1の接合部31の降伏が始まったときの状態を表す。◇印の線L17は、梁21の端部が0.02radian(約1.15°)回転したときの状態を表す。
接合部31の降伏が始まったときとは、接合部31の初期の回転角−曲げモーメントの傾きに対して、傾きが1/3まで低下したときの状態と定義する。梁21の端部が0.02radian回転した状態は、地震が起きたときに建築物に生じる最大の変位を意味する。
線L16及び線L17のいずれにおいても、溶接止端部19aの相当塑性ひずみ、すなわち柱鉄骨12のウェブ14の塑性ひずみは、梁21のフランジ23の位置を中心に分布していることが分かった。
接合部31の降伏が始まったときには、梁21のせいの外側に約105mmの範囲Xまで塑性ひずみが分布していることが分かった。一方で、梁21の端部が0.02radian回転した状態では、梁21のせいの外側に約150mmの範囲Xまで塑性ひずみが分布していることが分かった。
梁21の端部が0.02radian回転した状態における各解析ケースで、塑性ひずみが分布している範囲Xを求めた結果を図18に示す。図18の横軸は柱鉄骨12のフランジ13の幅Bを表し、縦軸は塑性ひずみが分布している範囲Xを表す。
塑性ひずみが分布している範囲Xは、柱鉄骨12のフランジ13における幅Bの1.1倍以下の範囲であることが分かった。
このため、本実施形態における前述の全強接合部17の範囲R6は、梁21のせいの中心P1を範囲の中心とした(H+2W)の式により得られる値の範囲とした。ただし、Wは1.1B以上である。すなわち、柱梁接合構造1の解析モデルにおいて、梁21のせいの中心P1を範囲の中心とした(H+2W)の式により得られる値の範囲の溶接金属部19を全強接合部17とし、全強接合部17以外の溶接金属部19を非全強接合部18とする。
以上説明したように、本実施形態の柱梁接合構造1によれば、柱鉄骨12がフランジ付き十字鉄骨又はH形鋼製であって使用頻度の高い厚さ等の諸元において、柱鉄骨12の材長方向に対して梁21のせいの中心を範囲の中心とした(H+2.2B)の式により得られる値の範囲以下の範囲の柱鉄骨12に塑性ひずみが分布する。柱鉄骨12における塑性ひずみが分布する範囲のフランジ13とウェブ14とを全強接合することで、この範囲内の柱鉄骨12にウェブ14とフランジ13との不溶着部が形成されない。残りの範囲における柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13とは、非全強接合で接合する。このため、梁21に荷重が作用したときに柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13との溶接部から破断が生じにくくなる。
また、柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13とを全強接合する範囲が、柱鉄骨12のフランジ13の幅B及び梁21のせいHだけで決まる。したがって、柱鉄骨12のウェブ14とフランジ13とを全強接合する範囲を容易に求めることができる。
なお、梁21の端部が0.03radian、0.04radian回転した状態における、各解析ケースで塑性ひずみが分布している範囲Xを求めた結果を図19、図20にそれぞれ示す。
0.03radian、0.04radian回転した状態は、塑性ひずみが分布している範囲Xは、ともに柱鉄骨12のフランジ13における幅Bの1.2倍以下の範囲であることが分かった。
すなわち、梁21の端部が回転した角度が大きくなっても、塑性ひずみが分布している範囲Xは幅Bの1.2倍以下の範囲で飽和すると考えらえる。この場合、梁21のせいHの中心を範囲の中心とした少なくとも(H+2.4B)の式により得られる値の範囲で全強接合することで、充分大きな地震に対しても耐えられることが分かった。
ここで第2実施形態の図11について説明する。表2及び表3に示した解析ケースのうち、第2実施形態に該当する56の解析ケースについて、塑性ひずみが分布している範囲Xを求めた。
塑性ひずみが分布している範囲Xは、柱鉄骨12のフランジ13における幅Bの0.75倍以下の範囲であることが分かった。有限要素解析結果の降伏耐力時点の塑性化範囲を、もれなく安全側に評価できていることが分かった。
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
1 柱梁接合構造
11 柱
12 柱鉄骨
13、23 フランジ
13、13、13、13 塑性ヒンジ
14、24 ウェブ
21 梁
31 接合部

Claims (2)

  1. 鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の柱と、鉄骨造の梁と、前記柱に前記梁が接合された接合部と、を備えるノンダイアフラム形式の柱梁接合構造であって、
    前記柱は、ウェブの端部とフランジとが互いに溶接されたフランジ付き十字鉄骨又はH形鋼製の柱鉄骨を備え、
    前記柱鉄骨における前記梁が接合された前記フランジと前記ウェブとは、
    前記柱鉄骨の前記フランジに引張応力が作用している範囲で全強接合され、
    前記全強接合されていない範囲は、前記全強接合以外の方法で接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
  2. 鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の柱と、鉄骨造の梁と、前記柱に前記梁が接合された接合部と、を備えるノンダイアフラム形式の柱梁接合構造であって、
    前記柱は、ウェブの端部とフランジとが互いに溶接されたフランジ付き十字鉄骨又はH形鋼製の柱鉄骨を備え、
    前記柱鉄骨における前記梁が接合された前記フランジと前記ウェブとは、
    前記梁のせいの中心を範囲の中心とした(H+2y)の式により得られる値以上の範囲で全強接合され、
    前記全強接合されていない範囲は、前記全強接合以外の方法で接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
    ただし、B:前記柱鉄骨の前記フランジの幅、tcf:前記柱鉄骨の前記フランジの板厚、tcw:前記柱鉄骨の前記ウェブの板厚、σcfy:前記柱鉄骨の前記フランジの降伏強さ、σcwy:前記柱鉄骨の前記ウェブの降伏強さ、H:前記梁のせい、F:前記柱のコンクリートの強度、d:前記柱鉄骨の前記フランジに対する前記コンクリートのかぶり厚さ。
    Figure 2018009303
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