JP2023044984A - 樹脂部材、および樹脂部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】意匠面に発生する外観不良を抑制できる新規な樹脂部材、および樹脂部材の製造方法を提供する。【解決手段】樹脂部材は、意匠面を含むパネル部の裏面から離間して配置され、パネル部に沿って延設される延設部と、延設部の延設方向中央部から離間した位置から、パネル部に向かって延びてパネル部に接続する壁部と、を備える。延設部は、ゲート痕を含むゲート面と、ゲート面と肉を挟んで対向する対向面と、を有する。【選択図】図1
Description
本開示は、樹脂部材、および樹脂部材の製造方法に関する。
従来、車両の外装部品として使用される樹脂部材が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の樹脂部材は、樹脂部材の裏面に配置されたバルブゲート(特許文献1では射出ユニット)から溶融樹脂を直接流し込むダイレクトゲート方式の射出成形型によって製造されている。
このような、ダイレクトゲート方式の射出成形型を用いて樹脂部材を成形した場合、意匠面に発生する外観不良の一種であるヒケが発生する場合がある。特許文献1の射出成形型は、このようなヒケを防止するために、樹脂部材の裏面にゲートブロックを設け、ゲートブロックを介して溶融樹脂を流し込んでいる。
しかし、ダイレクトゲート方式はバルブゲート付近の溶融樹脂を冷却する際の温度や、バルブゲート付近の溶融樹脂を供給する速度などに起因して発生する、いわゆる曇りなどの外観不良の発生も抑制することが好ましい。
本開示の課題は、意匠面に発生する外観不良を抑制できる新規な樹脂部材、および樹脂部材の製造方法を提供することにある。
本開示に係る樹脂部材は、意匠面を含むパネル部の裏面から離間して配置され、パネル部に沿って延設される延設部と、延設部の延設方向中央部から離間した位置から、パネル部に向かって延びてパネル部に接続する壁部と、を備える。延設部は、ゲート痕を含むゲート面と、ゲート面と肉を挟んで対向する対向面と、を有する。
また、本開示に係る樹脂部材の製造方法は、意匠面を含むパネル部を有する樹脂部材の製造方法である。樹脂部材の製造方法は、パネル部の意匠面と反対側の面から離間して、パネル部に沿って延設される延設部と、延設部の延設方向中央部から離間した位置から、パネル部に向かって延びてパネル部に接続する壁部と、を成形するキャビティを成形型に形成し、溶融樹脂をキャビティの延設部から注入する。
この樹脂部材および樹脂部材の製造方法によれば、溶融樹脂が延設部の延設方向中央部から離間した位置にある壁部を経由してパネル部に流れる。これによって、バルブゲート付近の溶融樹脂の温度や速度の影響によって発生する樹脂の変色が、パネル部の意匠面に転写することを抑制できる。この結果、意匠面に発生する外観不良を抑制できる。
本開示によれば、意匠面に発生する外観不良を抑制できる新規な樹脂部材、および樹脂部材の製造方法を提供できる。
以下、本開示の一実施形態について、図を参照しながら説明する。図1に示すように、樹脂部材1は、パネル部2と、延設部4と、壁部6と、を備える。本実施形態では、樹脂部材1は、例えば自動車などに装着されるABS樹脂でできたルーフスポイラーのアッパーシェルである。
このようなABS樹脂は耐熱性に優れる一方、主として自動車バンパーなどの樹脂材料として用いられるポリプロピレンに対して、溶融樹脂が流れにくい。このため、このようなABS樹脂を材料として成形する比較的大きい樹脂部材1は、ダイレクトゲート方式によって成形することが好ましい。
図2に示すようにパネル部2は、意匠面2aと、裏面2bと、を有する。意匠面2aは、樹脂部材1が組付けられた場合、外観上見える部位に配置される。一方、裏面2bは、外観上見えない位置に配置される。例えば、樹脂部材1がルーフスポイラーの場合、アッパーシェルの裏面にロアシェルが固定されるため、裏面2bは外観上見えないようになる。パネル部2は、後述する射出成形型10によって肉厚が一定に形成される。
延設部4は、パネル部2の裏面2bから離間して配置され、パネル部2に沿って延設される。本実施形態では、延設部4は、パネル部2の短手方向中央付近に長手方向に3つ並んで配置される。しかし、延設部4の配置は、パネル部2の大きさなどによって適宜変更してもよい。いずれにせよ、延設部4は、パネル部2の端部以外の場所に設ければよい。また、本実施形態の延設部4は、概ね正方形に半円を加えた形状である。半円部分は、後述するバルブゲート12のノズル径に合わせて形成される。しかし、延設部4は、バルブゲート12のノズル径以上の大きさであればよい。
延設部4は、ゲート面4aと、ゲート面4aと肉を挟んで対向する対向面4bと、を有する。ゲート面4aは、後述する射出成形型10においてバルブゲート12が配置される面である(図3参照)。このため、図1に示すように成形後の樹脂部材1のゲート面4aは、ゲート痕4cを含む。ゲート痕4cは、バルブゲート12のノズル形状に対応した円形形状に形成される。
図2に拡大して示すように、ゲート面4aは、対向面4bと異なる方向に延びる。具体的にはゲート面4aは、後述する金型の抜き方向に対して90度方向に延びる。一方、対向面4bは、後述するスライド型18が抜けるように、パネル部2の裏面2bと略並行もしくは裏面2bに対して開く方向の角度に延びることが好ましい。したがって、パネル部2が延設部4に向かって近づく方に湾曲する場合、延設部4は壁部6から離れる方向に行くほどゲート面4aが対向面4bに近づく。言い換えると、延設部4は、先端(本実施形態では半円形状側の端部)から壁部6に向かって肉厚が厚くなる。
壁部6は、延設部4の延設方向中央部Oから離間した位置から、パネル部2に向かって延びて、パネル部2の裏面2bに接続する。本実施形態では、延設方向中央部Oはゲート痕4cの円形形状の略中心である。また、本実施形態では壁部6は、延設部4の延設方向端部から延びる。具体的には壁部6は、延設部4の半円形状と反対側の延設方向端部からパネル部2の裏面2bに向かって延びる。
パネル部2の厚さTaは、壁部6の厚さTbよりも厚く形成される。これによって、壁部6の溶融樹脂が固まる際にパネル部2にヒケが発生しにくくなる。延設部4の厚さTcは壁部6の厚さTbよりも厚く形成される。これによって、溶融樹脂が壁部6に流れやすい。
次に、図3を用いて樹脂部材1の製造方法について説明する。
図3(I)に示すように、樹脂部材1を成形するための射出成形型10は、バルブゲート12と、可動型14と、キャビティ16と、スライド型18と、固定型20と、を有する。キャビティ16は、樹脂部材1のパネル部2を成形するパネル部成形部22と、延設部4を成形する延設部成形部24と、壁部6を成形する壁部成形部26と、を有する。バルブゲート12は、延設部成形部24のうち延設部4のゲート面4aに対応する位置に取り付けられる。バルブゲート12は、ホットランナと、ホットランナの先端に設けられたノズル部と、を有する一般的な射出ユニットであればよい。
このような射出成形型10のキャビティ16の延設部成形部24に、バルブゲート12から溶融樹脂が流し込まれると、溶融樹脂は、延設部成形部24を充填したのち壁部成形部26へと向かう。このとき、延設部4の厚さTcが壁部6の厚さTbよりも厚く形成されるため、壁部成形部26に溶融樹脂が充填されやすい。壁部成形部26を通過した溶融樹脂は、キャビティ16のパネル部2に対応する部位に充填される。本実施形態では、延設部成形部24および壁部成形部26は、キャビティ16のパネル部成形部22に3か所設けられている。これによって、溶融樹脂がパネル部成形部22の末端まで流れやすくなる。この結果、本実施形態の射出成形型10によればより大きな樹脂部材1を成形できる。特に、ABS樹脂のように、溶融樹脂の粘度が高く流れにくい場合、樹脂部材1の端部以外に延設部4を設けることによって、より大きな樹脂部材1を成形しやすい。
また、バルブゲート12の近傍の溶融樹脂は、速度(せん断速度)が速く、温度も高いという特徴がある。しかし、本開示の樹脂部材1を成形するキャビティ16は、パネル部成形部22と、延設部成形部24と、が離間して設けられる。したがって、キャビティ16の延設部成形部24においてはせん断速度が高く気泡のガスが発生しやすいものの、パネル部成形部22に溶融樹脂が到達しパネル部2の意匠面2aを成形するまでにせん断速度が下がる。また、溶融樹脂の温度も、壁部成形部26を経由してパネル部成形部22までに下がる。これによって、せん断速度や温度の影響によって意匠面2aに発生する外観不良を抑制できる。せん断速度や温度の影響によって意匠面2aに発生する外観不良の一例は、一部の樹脂が周囲の樹脂に対して変色して見える、いわゆる曇りである。
さらに、本開示の樹脂部材1を成形するキャビティ16は、壁部成形部26が、延設部成形部24の延設方向端部から延びる。すなわち、壁部成形部26は、バルブゲート12のノズルの中央からオフセットした位置から延びる。これによって、バルブゲート12から射出された溶融樹脂は、必ず延設部成形部24を通過して壁部成形部26に入る。このため、溶融樹脂の温度と速度が必然的に下がる。この結果、パネル部2の意匠面2aに発生する外観不良をさらに抑制しやすい。さらに、延設部4および壁部6は、パネル部2の裏面2bに位置するため、外観上見えることもない。
パネル部成形部22の末端まで溶融樹脂が充填されると、溶融樹脂は冷却される。このとき、図2に示すように、パネル部2の厚さTaが壁部6の厚さTbより厚く成形されるように、パネル部成形部22および壁部成形部26が形成されるため、壁部成形部26に充填された溶融樹脂の冷却によってパネル部2の意匠面2aにヒケが発生することを抑制できる。
図3(II)に示すように、溶融樹脂が冷却されると可動型14が取り外され、意匠面2aが現れる。その後、固定型20から樹脂部材1を取り外す。そして、図3(III)に示すように、延設部4の対向面4bと、パネル部2の裏面2bと、壁部6を成形していたスライド型18を取り外し、樹脂部材1が製造される。
以上説明した通り、本開示によれば、意匠面2aに発生する外観不良を抑制できる新規な樹脂部材1、および樹脂部材1の製造方法を提供できる。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(a)上記実施形態では、樹脂部材1は自動車のルーフスポイラーを例に説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。樹脂部材1は、比較的大きな樹脂成型品(例えば長辺長さが1m以上、短辺長さ0.3m以上のもの)であればよい。
(b)上記実施形態では、延設部4、および壁部6を裏面2bに残した状態の樹脂部材1を例に説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。本開示の製造方法によって樹脂部材1を成形したのち、延設部4および壁部6を切り落としてもよい。
1 :樹脂部材,
2 :パネル部,2a :意匠面,2b :裏面
4 :延設部,4a :ゲート面,4b :対向面,4c :ゲート痕
6 :壁部
10 :射出成形型,12 :バルブゲート,14 :可動型
16 :キャビティ,18 :スライド型,20 :固定型
22 :パネル部成形部,24 :延設部成形部,26 :壁部成形部
O :延設方向中央部
Ta :厚さ,Tb :厚さ,Tc :厚さ
2 :パネル部,2a :意匠面,2b :裏面
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6 :壁部
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16 :キャビティ,18 :スライド型,20 :固定型
22 :パネル部成形部,24 :延設部成形部,26 :壁部成形部
O :延設方向中央部
Ta :厚さ,Tb :厚さ,Tc :厚さ
Claims (7)
- 意匠面を含むパネル部の裏面から離間して配置され、前記パネル部に沿って延設される延設部と、
前記延設部の延設方向中央部から離間した位置から、前記パネル部に向かって延びて前記パネル部に接続する壁部と、
を備え、
前記延設部は、ゲート痕を含むゲート面と、前記ゲート面と肉を挟んで対向する対向面と、を有する樹脂部材。 - 前記壁部が、前記パネル部の端部と異なる位置に接続する、
請求項1に記載の樹脂部材。 - 前記ゲート面は前記対向面と異なる方向に延びる、
請求項1または2に記載の樹脂部材。 - 前記壁部が、前記延設部の延設方向端部から延びる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂部材。 - 前記パネル部の厚さが前記壁部の厚さより大きく形成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂部材。 - 前記延設部の厚さが前記壁部の厚さより大きく形成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の樹脂部材。 - 意匠面を含むパネル部を有する樹脂部材の製造方法であって、
前記パネル部の前記意匠面と反対側の面から離間して、前記パネル部に沿って延設される延設部と、前記延設部の延設方向中央部から離間した位置から、前記パネル部に向かって延びて前記パネル部に接続する壁部と、を成形するキャビティを成形型に形成し、
溶融樹脂を前記キャビティの前記延設部から注入する樹脂部材の製造方法。
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JP2021153141A JP2023044984A (ja) | 2021-09-21 | 2021-09-21 | 樹脂部材、および樹脂部材の製造方法 |
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