JP2008105180A - 成形金型 - Google Patents

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隆 堀内
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Abstract

【課題】 肉厚の薄いプラスチック部品の成形金型の構造で従来用いられていた冷却ピンを廃止することによって、溶融樹脂の流動抵抗を減らし成形条件幅を拡大することにより容易にサイクルタイムを短縮し、肉厚の薄いプラスチック部品を短時間で形成する成形金型を提供する。
【解決手段】 射出成形機のノズルから射出された樹脂がスプルー、一次ランナー、二次ランナーと流動し、続いてキャビティの片側端面に設けられたゲートから樹脂を注入して肉厚の薄いプラスチック部品を形成する成形金型において、スプルーと一次ランナーとの分岐点近傍にスプルーと一次ランナーとを結合補強するリブを形成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、肉厚の薄いプラスチック部品を形成する成形金型に関する。
工業製品に用いられている多くの金属部品は、軽量化やコストダウンの要求によって射出成形したプラスチック部品へと変更されている。また前記プラスチック部品の射出成形加工では、通常、スプルー,一次ランナー,二次ランナー,ゲート,プラスチック部品の順に樹脂が流動するように構成された成形金型が用いられており、射出成形時にはスプルー部分を強制的に排出することによって、スプルー,一次ランナー,二次ランナー,ゲート,プラスチック部品が一体となった成形品ブランクを離型し、つづいて前記成形品ブランクのゲート部分を切断して、プラスチック部品が完成する。
このような従来の成形金型について、図面に基づいてその概要を説明する。図9は従来の成形金型を用いた成形時の溶融樹脂の流路を示す要部斜視図であり、図10は前記成形金型のスプルー部を改良した要部縦断面図である。図9において、50は成形金型、51はスプルー、52は一次ランナー、53は二次ランナー、54はゲート、55はプラスチック部品であり、Aはスプルー51と一次ランナー52の分岐部である。
図10において、50は成形金型、51はスプルー、52は一次ランナーであり、80は冷却ピン、10はスプルー51と一次ランナー52の上部が形成された上型板、11はスプルー51と一次ランナー52の下部が形成され、また、冷却ピン80が組み込まれた下型板、Aはスプルー51と一次ランナー52との分岐部である。
次に前記成形金型50の成形動作を説明する。射出成形機に取り付けられ、射出成形機の型締め機構で型締めされた前記従来の成形金型50に溶融樹脂が射出充填され、プラスチック部品55が成形された状態を図9に示している。射出成形機のノズルから射出された溶融樹脂はスプルー51、一次ランナー52、二次ランナー53と流動しゲート54を通過しプラスチック部品55に充填される。
通常成形品より肉厚の薄いプラスチック部品55は冷却固化の進行が早く、前記成形金型50から短時間で取り出しが可能な状態となる。その一方、スプルー51および一次ランナー52の冷却固化の進行はプラスチック部品55の冷却固化に対して数倍の時間を必要としている。特にスプルー51と一次ランナー52との分岐部Aに充填された溶融樹脂の断面は大きく、冷却固化の進行は著しく遅いものとなり、短時間でスプルー51を排出しようとすると、まだ樹脂が軟らかい状態の分岐部Aが変形し取り出しが困難となり、分岐部Aが固まるまでの冷却時間を十分にとる必要があって、溶融樹脂の射出充填から冷却固化、成形品取り出しまでの時間(以下サイクルタイムと称す)が長くなる。
そこで、上記問題を解決するための対策として図10に示すように、スプルー51の下部に冷却ピン80を設けて分岐部Aを流動する溶融樹脂の断面を縮小し、分岐部Aの冷却固化の進行を早めることによるサイクルタイムの短縮を目的として成形金型50を改良していた。
しかしながら、改良した前記従来の成形金型50では、冷却ピン80の存在の為に溶融樹脂の流動が阻害され、分岐部Aにおける溶融樹脂の流動は流動抵抗の増加や乱流を生じて、冷却ピン80を使用しない改良前の成形条件では対応困難となった。そこで、樹脂流動を良好にする為、樹脂温度を高くして溶融樹脂粘度を下げ、また、射出圧を高くして樹脂の流動速度を大きくするなどの厳しい成形条件が必要となり、その上冷却ピン80の製作や組み込み調整など成形金型50の製造コストの増大なども問題となっていた。
本発明の目的は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、冷却ピン80を廃止することによって成形金型の製造コストを低減するとともに、溶融樹脂の流動抵抗を減らし成形条件幅を拡大することによって容易にサイクルタイムを短縮し、肉厚の薄いプラスチック部品を短時間で形成する成形金型を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の構成は、射出成形機のノズルから射出された樹脂がスプルー、一次ランナー、二次ランナーと流動し、続いてキャビティの片側端面に設けられたゲートから樹脂を注入して肉厚の薄いプラスチック部品を形成する成形金型において、スプルーと一次ランナーとの分岐点近傍にスプルーと一次ランナーとを結合補強するリブを形成したことを特徴とする。
また、前記分岐点近傍におけるリブは前記プラスチック部品と同等の肉厚を有していることを特徴とする。
また、前記リブをスプルーと一次ランナーとの分岐点近傍から一次ランナーと二次ランナーとの分岐点近傍まで延長し形成したことを特徴とする。
また、前記リブを、前記一次ランナー内を流動する溶融樹脂の流動方向に沿って形成したことを特徴とする。
また、前記リブを形成する部分が、アルミ合金や銅合金など熱伝導性の良好な型材料で構成されていることを特徴とする。
以上のように本発明による肉厚の薄いプラスチック部品を形成する成形金型は、冷却ピンを廃止することによって、スプルーと一次ランナーとの分岐点近傍を流動する樹脂の流動阻害要因が除去されて成形条件は安定し、成形時のサイクルタイムの短縮が可能となった。また、冷却ピンが不要となるので成形金型の製造コストが低減できる。
以下、本発明の第一の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は成形金型の構造を示す要部斜視図、図2は要部縦断面図である。図1において、100は成形金型、61はスプルー、62は一次ランナー、63は二次ランナー、64はゲート、65はプラスチック部品であり、Aはスプルー61と一次ランナー62との分岐点、R1はスプルー61と一次ランナー62を補強するリブである。図2において、Eはエジェクター、20はスプルー61の上部と一次ランナー62の上部およびリブR1が形成された上型板、21はスプルー61の下部と一次ランナー62の下部およびエジェクターEを組み込む下型板である。
次に本発明の成形金型100の成形動作を説明する。射出成形機のノズルから射出された溶融樹脂は流動阻害要因である冷却ピン80の除去された分岐点Aを、容易に通過してスプルー61から一次ランナー62へと流動する。溶融樹脂の流動方向に沿って形成されたリブR1を溶融樹脂は容易に流動通過する。
前記リブR1は、プラスチック部品65と同等の薄肉で断面は小さく、その最終充填圧力はスプルー61と一次ランナー62の充填圧力を大幅に上まわるために樹脂は高密度となるとともに、樹脂組成が流動方向に配向して形成されたリブR1は冷却固化すると強固なものとなる。また、プラスチック部品65と同等の薄肉であるリブR1の冷却固化の進行はプラスチック部品65と同様に短時間となり、エジェクターEを用いた自動成形も可能となってサイクルタイムは短縮される。
次に、本発明の第二の実施の形態について説明する。図3は第二の実施の形態である成形金型の構造を示す要部斜視図、図4は要部縦断面図を示す。図3および図4において101は成形金型、R4はスプルー61の下部と一次ランナー62の下部とを補強するリブである。他の要素は第一の実施の形態と同一であり符号のみ付して説明を省略する。
次に、成形金型101の成形動作を説明する。スプルー61を流動する溶融樹脂は分岐部Aに到達し、スプルー61の下部を充満して溶融樹脂の流動圧力が高まり一次ランナー62へと流動する。リブR4は一次ランナー62の下部に形成されており、溶融樹脂はリブR4を経由しつつ一次ランナー62へと同時に流動するので、リブR4を形成する樹脂組成の配向状態は第一の実施の形態のリブR1より強くなり、したがって分岐部A近傍の補強強度はリブR4によりさらに高まる。
次に、本発明の第三の実施の形態について説明する。図5は本発明の第三の実施の形態である成形金型の構造を示す要部斜視図である。図5において102は成形金型、R2はスプルー61と一次ランナー62とを補強するリブである。他の要素は第一の実施の形態と同一であり符号のみ付して説明を省略する。
次に、成形金型102の成形動作を説明する。スプルー61を流動する溶融樹脂は分岐部Aに到達し、スプルー61の下部を充満して一次ランナー62へと流動する。一次ランナー62の溶融樹脂の流動方向に沿って形成されているリブR2は溶融樹脂の流動を全く阻害しないので溶融樹脂は容易に流動する。他の成形動作は成形金型100の成形動作と同一であり説明を省略する。
次に、本発明の第四の実施の形態について説明する。図6は本発明の第四の実施の形態である成形金型の構造を示す要部斜視図である。図6において103は成形金型、R2はスプルー61と一次ランナー62とを補強するリブである。また、R3はリブR2とスプルー61とを補強するリブである。他の要素は第三の実施の形態と同一であり符号のみ付して説明を省略する。
次に、成形金型103の成形動作を説明する。スプルー61を流動する溶融樹脂は分岐部Aに到達し、スプルー61の下部を充満して一次ランナー62へと流動する。成形金型103ではリブR2とリブR3を組み合わせることによって、溶融樹脂の冷却固化時の分岐部Aの補強効果はさらに大きくなる。他の成形動作は成形金型102の成形動作と同一であり説明を省略する。
次に、本発明の第五の実施の形態について説明する。図7は本発明の第五の実施の形態である成形金型の構造を示す要部縦断面図である。図7において104は成形金型、20は上型板、21は下型板、R1はスプルー61と一次ランナー62とを補強するリブである。また、R4はリブR1とスプルー61とを補強するリブである。他の要素は第三の実施の形態と同一であり符号のみ付して説明を省略する。
次に、成形金型104の成形動作を説明する。スプルー61を流動する溶融樹脂は分岐部Aに到達し、スプルー61の下部を充満して一次ランナー62へと流動する。上型板20と下型板21に形成されたリブR1およびリブR4の補強効果により、分岐部Aはさらに強化される。他の成形動作は第一および第二の実施の形態と同一であり説明を省略する。
次に、本発明の第六の実施の形態について説明する。図8は本発明の第六の実施の形態である成形金型の構造を示す要部縦断面図である。図8において105は成形金型、R5はスプルー61と一次ランナー62とを補強するリブである。他の要素は第一の実施の形態と同一であり符号のみ付して説明を省略する。
次に、成形金型105の成形動作を説明する。スプルー61を流動する溶融樹脂は分岐部Aに到達し、スプルー61の下部を充満して一次ランナー62へと流動する。下型板21に形成されたリブR5は一次ランナー62の下部に、一次ランナー62と(図8では図示されていない)二次ランナー63との分岐部近傍まで延長して形成されており、一次ランナー62の補強効果はさらに大きくなり、溶融樹脂の冷却固化後エジェクターEを作動しての離型は容易となる。
また、本発明の実施の形態では、プラスチック部品を形成する成形金型のスプルーと一次ランナーとの分岐部近傍に設けた肉厚の薄いリブの冷却固化速度を利用してプラスチック部品成形のサイクルタイム短縮を可能にした。また、従来鉄系の型材で構成されていた上型板および下型板の分岐部近傍を、銅やアルミ等の熱伝導性の良好な型材(例えば神戸製鋼製のアルミ系型材Z7C)で構成してスプルーと一次ランナーおよびリブを設けることで溶融樹脂の冷却固化速度をさらに速め、プラスチック部品成形のサイクルタイム短縮に大きな効果がある。
本発明の第一の実施の形態である成形金型の要部斜視図である。 本発明の第一の実施の形態である成形金型の要部縦断面図である。 本発明の第二の実施の形態である成形金型の要部斜視図である。 本発明の第二の実施の形態である成形金型の要部縦断面図である。 本発明の第三の実施の形態である成形金型の要部斜視図である。 本発明の第四の実施の形態である成形金型の要部斜視図である。 本発明の第五の実施の形態である成形金型の要部縦断面図である。 本発明の第六の実施の形態である成形金型の要部縦断面図である。 従来の成形金型の要部斜視図である。 従来の成形金型の要部縦断面図である。
符号の説明
50,100,101,102,103,104,105 成形金型
10,20 上型板
11,21 下型板
80, 冷却ピン
E, エジェクター
R1,R2,R3,R4,R5 リブ
51,61 スプルー
52,62 一次ランナー
53,63 二次ランナー
54,64 ゲート
55,65 プラスチック部品

Claims (5)

  1. 射出成形機のノズルから射出された樹脂がスプルー、一次ランナー、二次ランナーと流動し、続いてキャビティの片側端面に設けられたゲートから樹脂を注入して肉厚の薄いプラスチック部品を形成する成形金型において、スプルーと一次ランナーとの分岐点近傍にスプルーと一次ランナーとを結合補強するリブを形成したことを特徴とする成形金型。
  2. 前記リブは、前記肉厚の薄いプラスチック部品と同等の肉厚を有していることを特徴とする請求項1に記載の成形金型。
  3. 前記リブを、スプルーと一次ランナーとの分岐点近傍から一次ランナーと二次ランナーとの分岐点近傍まで延長し形成したことを特徴とする請求項1に記載の成形金型。
  4. 前記リブを、前記一次ランナー内を流動する溶融樹脂の流動方向に沿って形成したことを特徴とする請求項1に記載の成形金型。
  5. 前記リブを形成する部分が、アルミ合金や銅合金など熱伝導性の良好な型材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の成形金型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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