JP2023043665A - 樹脂パネル、転写シート及び赤外線センサー - Google Patents

樹脂パネル、転写シート及び赤外線センサー Download PDF

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晋 宮崎
Susumu Miyazaki
貴之 嶋田
Takayuki Shimada
誠 溝尻
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Abstract

【課題】マット感を有し、かつ、赤外線センサーの保護カバーとして適用した際に、運転手の状態を適切にモニタリングすることができる樹脂パネルを提供する。【解決手段】第1面と、前記第1面とは反対側である第2面とを有する樹脂パネルであって、前記第1面は凹凸形状を有し、前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の算術平均高さが0.019μm以上0.180μm以下であり、かつ、凹部比が0.05以上であり、可視光線透過率が10%以下である、樹脂パネル。【選択図】図1

Description

本開示は、樹脂パネル、転写シート及び赤外線センサーに関する。
近年、自動車等の車両には、赤外線センサーが備えられる場合がある。赤外線センサーは、主として、車両の周辺の状況を検出するために用いられている。具体的には、赤外線センサーは、送信部から赤外線を車外へ向けて送信し、先行車両、歩行者等を含む車外の物体に当たって反射された赤外線を受信部で受信する。赤外線センサーでは、送信及び受信された赤外線に基づき、車両と前記物体との距離、相対速度等を検出する。
赤外線センサーの送信部及び受信部がむき出しの状態で車両に配置されると、車両の見栄えが損なわれる。このため、赤外線センサーの送信部及び受信部は、赤外線の透過性を有する保護カバーによって覆われる。
このような保護カバーとして、例えば、特許文献1~3等が提案されている。
特開2019-53115号公報 特開2020-79053号公報 特開2021-56346号公報
車両用の赤外線センサーは、車両の内部に配置され、運転手の状態をモニタリングするために用いられる場合がある。例えば、赤外線センサーにより、運転手の急病による体調変化、運転手の居眠り等をモニタリングすることができる。
特許文献1~3の保護カバーを、運転手のモニタリング用の赤外線センサーの保護カバーとして用いた場合、運転手の状態を適切にモニタリングができない場合があった。
また、車両の内部は、マット感を有する部材で装飾される場合がある。この場合、車両の内部に配置される赤外線センサーの保護カバーは、赤外線センサーの周辺部材と調和させるため、マット感を有することが好ましい。
本開示は、マット感を有し、かつ、赤外線センサーの保護カバーとして適用した際に、運転手の状態を適切にモニタリングすることができる樹脂パネル、及び、当該樹脂パネルを有する赤外線センサーを提供することを目的とする。また、本開示は、前記樹脂パネルを製造するための転写シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本開示は、以下の[1]~[3]を提供する。
[1]第1面と、前記第1面とは反対側である第2面とを有する樹脂パネルであって、
前記第1面は凹凸形状を有し、
前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の算術平均高さが0.019μm以上0.180μm以下であり、かつ、凹部比が0.05以上であり、
可視光線透過率が10%以下である、樹脂パネル。
[2]離型シート上に転写層を有する転写シートであって、
前記転写層は、前記離型シート側の面に凹凸形状を有し、
前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の算術平均高さが0.019μm以上0.180μm以下であり、かつ、凹部比が0.05以上であり、
前記転写層の可視光線透過率が10%以下である、転写シート。
[3]赤外線発光素子と、赤外線受光素子と、前記赤外線発光素子及び前記赤外線受光素子の前面に配置されてなる保護カバーとを有する赤外線センサーであって、
前記保護カバーが前記[1]の樹脂パネルであり、
前記樹脂パネルの前記第2面側が、前記赤外線発光素子及び前記赤外線受光素子側を向くように、前記樹脂パネルを配置した、赤外線センサー。
本開示の樹脂パネルは、マット感を有し、かつ、赤外線センサーの保護カバーとして適用した際に、運転手の状態を適切にモニタリングすることができる。また、本開示の赤外線センサーは、マット感を有し、かつ、運転手の状態をモニタリングする機能を十分に発揮することができる。また、本開示の転写シートは、前記樹脂パネルを簡易に製造することができる。
本開示の樹脂パネルの一実施形態を示す断面図である。 本開示の樹脂パネルの他の実施形態を示す断面図である。 本開示の樹脂パネルの他の実施形態を示す断面図である。 本開示の転写シートの一実施形態を示す断面図である。 鮮鋭性を評価するための手法を説明する図である。 鮮鋭性を評価するための手法を説明する図である。
[樹脂パネル]
本開示の樹脂パネルは、
第1面と、前記第1面とは反対側である第2面とを有する樹脂パネルであって、
前記第1面は凹凸形状を有し、
前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の算術平均高さが0.019μm以上0.180μm以下であり、かつ、凹部比が0.05以上であり、
可視光線透過率が10%以下である。
図1~図3は、本開示の樹脂パネル100の実施形態を示す断面図である。
図1~図3の樹脂パネル100は、凹凸形状を有する第1面と、前記第1面とは反対側である第2面とを有している。図1~図3では、図の上側の面が第1面であり、図の下側の面が第2面である。
図1~図3の樹脂パネル100は、第1の樹脂層10と、第1の印刷層21と、第2の樹脂層40とをこの順に有している。図1の樹脂パネル100は、第1の印刷層21を全面に有している。図2及び図3の樹脂パネル100は、面内の大部分に第1の印刷層21を有しているが、面内の一部には第1の印刷層21を有していない。図3の樹脂パネル100は、第1の印刷層21と第2の樹脂層40との間に、第2の印刷層22及び接着層30を有している。
なお、図1~図3は模式的な断面図である。すなわち、樹脂パネル100を構成する各層の縮尺、及び凹凸形状の縮尺は、図示しやすくするために模式化したものであり、実際の縮尺とは相違している。後述する図4も実際の縮尺とは相違している。
<第1面>
樹脂パネルの第1面は凹凸形状を有する。
凹凸形状は、第1面の一部に有していてもよいが、面積基準で、第1面の80%以上に有することが好ましく、90%以上に有することがより好ましく、100%に有することが最も好ましい。
赤外線センサーにおいては、樹脂パネルの第1面側が、視認者側を向くように、樹脂パネルを配置する。
―算術平均高さ(Sa)―
第1面の凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の算術平均高さであるSaが、0.019μm以上0.180μm以下であることを要する。
Saが0.019μm未満の場合、保護カバーにマット感を付与することができない。Saが0.180μmを超える場合、赤外線センサーで検知する画像の鮮鋭性が低下するため、運転手の状態を適切にモニタリングすることができない。
Saは、0.030μm以上0.160μm以下であることが好ましく、0.050μm以上0.150μm以下であることがより好ましい。
Sa、凹部比、クルトシス、最大山高さ、最大谷深さを算出するための標高データは、例えば、Zygo社の白色干渉顕微鏡(商品名:New View6300)で測定することができる。
凹凸形状は、様々な周期の凹凸から形成されており、全ての周期の凹凸がマット感に影響する。よって、Saを測定する際は、フィルタを介さないことが好ましい。例えば、Zygo社の白色干渉顕微鏡(商品名:New View6300)によりSaを算出する際には、Low wavelength(JIS B0601のλc輪郭曲線フィルタに相当)及びHigh wavelength(JIS B0601のλs輪郭曲線フィルタに相当)をOFFにすることが好ましい。
本明細書において、Sa、凹部比、クルトシス、最大山高さ、最大谷深さは、第1面の任意の20箇所の測定値の平均値を意味する。Sa、凹部比及びクルトシスの測定箇所における測定面積は556μm四方である。最大山高さ及び最大谷深さの測定箇所における測定面積は1076μm四方である。
―凹部比―
第1面の凹凸形状は、凹部比が0.05以上であることを要する。
凹部比が0.05未満の場合、Saが0.019μm以上であっても、保護カバーにマット感を付与することができない。凹部比は、0.07以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましい。
凹部比が高すぎると、赤外線センサーで検知する画像の鮮鋭性が低下する場合がある。このため、凹部比は、0.40以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.25以下であることがさらに好ましい。
凹部比は、例えば、下記(A1)~(A5)の手順で算出することができる。
(A1)第1面の凹凸形状の標高を、任意の556μm四方の領域で測定する。
(A2)測定した標高データに基づき、標高の最大値を255、標高の最小値を0として、256階調のグレースケール画像を得る。
(A3)グレースケール画像を、明度が0~127の箇所と、明度が128~255の箇所とで2値化した、2値化画像を得る。
(A4)2値化画像の全体に対する、明度が0~127の箇所の比を算出する。前記比が、任意の測定箇所における凹部比となる。
(A5)任意の20箇所の凹部比を測定し、20箇所の平均値を本開示の「凹部比」とする。
Sa及び凹部比は、個々の凹部の深さを浅くすること、及び、凹部の間隔を狭くすること、により上述した範囲としやすくできる。
―クルトシス(Sku)―
前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012のクルトシスが、3以上60以下であることが好ましく、5以上55以下であることがより好ましく、7以上50以下であることがさらに好ましい。
クルトシスを3以上とすることにより、標高の平均に対して、標高が極端に高い箇所及び標高が極端に低い箇所の割合が少なくなり、赤外線センサーで検知する画像の鮮鋭性が低下することを抑制しやすくできる。クルトシスを60以下とすることにより、凹部比を0.05以上にしやすくできる。
―最大山高さ(Sp)、最大谷深さ(Sv)―
前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の最大山高さであるSpが、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることがさらに好ましい。Spを15μm以下とすることにより、Sa及び凹部比を上記範囲とすることによる効果を、より発揮しやすくできる。
前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の最大谷深さであるSvが、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることがさらに好ましい。Svを15μm以下とすることにより、Sa及び凹部比を上記範囲とすることによる効果を、より発揮しやすくできる。
―粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)―
前記凹凸形状は、JIS B0601:2001の粗さ曲線要素の平均長さであるRSmが、5μm以上80μm以下であることが好ましく、10μm以上70μm以下であることよりが好ましく、15μm以上60μm以下であることがさらに好ましい。
RSmを前記範囲とすることにより、マット感をより良好にしやすくできるとともに、赤外線センサーで検知する画像の鮮鋭性が低下することをより抑制しやすくできる。また、RSmを前記範囲とすることにより、Sa及び凹部比を上述した範囲にしやすくできる。
本明細書において、RSmは、任意の20箇所の測定値の平均値とする。
RSmは、Sp等を測定する際に得られた、1076μm四方の標高データに基づき算出できる。具体的には、前記標高データから二次元の標高データを抽出し、測定箇所のRSmを算出することができる。各測定箇所では、縦方向3つ、横方向3つの、合計6つの二次元データから、6つのRSmを算出する。そして、6つのRSmの平均値を、各測定箇所のRSmとする。そして、20箇所の平均値を、本開示の「RSm」とする。
第1面の凹凸形状は、例えば、下記(B1)又は(B2)の手法により形成できる。
(B1)基材上に樹脂層を形成する。前記第1面と相補的形状を有するエンボス版により、前記樹脂層の表面を賦型して、前記樹脂層の表面に前記第1面を形成する。
(B2)前記第1面と相補的形状を有する離型シート上に、転写層を有する転写シートを作製する。転写シートの転写層側を被着体に密着させた積層体を作製し、前記積層体から離型シートを剥離する。
<第2面>
樹脂パネルは、第1面とは反対側に位置する第2面を有する。
赤外線センサーにおいては、樹脂パネルの第2面側が、赤外線発光素子及び赤外線受光素子側を向くように、樹脂パネルを配置する。
第2面は、本開示の効果を阻害しない範囲で凹凸化されていてもよいが、赤外線センサーで検知する画像の鮮鋭性が低下することを抑制しやすくするため、略平滑であることが好ましい。具体的には、第2面は、Saが0.010μm以下であることが好ましい。
例えば、上記(B1)における基材の樹脂層とは反対側の面、または、上記(B2)における被着体の転写層とは反対側の面、を樹脂パネルの第2面とすることができる。
<可視光線透過率>
樹脂パネルは、可視光線透過率が10%以下であることを要する。
樹脂パネルの可視光線透過率が10%を超える場合、赤外線発光素子及び赤外線受光素子が視認しやすくなり、見栄えが低下してしまう。また、樹脂パネルの可視光線透過率が10%を超える場合、太陽光等の可視光線によって赤外線センサーの検知機能が妨げられる可能性がある。
可視光線透過率は、8%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましい。
可視光線透過率は、第1面及び第2面の何れの面を光入射面とした際にも、上述した範囲であることが好ましい。
本明細書において、「可視光線透過率」とは、波長380nm以上780nm以下の分光透過率の平均値を意味する。測定波長間隔は1nmとする。
樹脂パネルは、面内の一部に可視光線透過率が10%を超える領域を有していてもよい。例えば、樹脂パネルは、面内に文字及びアイコンを表示するための領域を有する場合がある。このように、面内に文字及びアイコンを表示するための領域は、可視光線透過率が10%を超えていてもよい。面内に文字及びアイコンを表示するための領域は、例えば、後述する第1の印刷層が形成されていない領域である。
可視光線透過率が10%を超える領域は、面積割合で、樹脂パネルの30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
上述したように、樹脂パネルの面内に文字及びアイコンを表示するための領域を形成する場合、赤外線センサーにおいて、樹脂パネルの第2面側には、可視光を出射する光源が配置される。このように、可視光を出射する光源を配置する場合、前記光源の形状が見えないようにするため、樹脂パネルは、OD値が1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
<波長940nmの光線透過率>
本開示の樹脂パネルは、波長940nmの光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、89%以上であることがさらに好ましい。
波長940nmの光線透過率を80%以上とすることにより、赤外線センサーの検知機能を良好にしやすくできる。
波長940nmの光線透過率の上限は特に限定されないが、可視光線透過率とのバランスのため、97%以下であることが好ましい。
波長940nmの光線透過率は、第1面及び第2面の何れ面を光入射面とした際にも、上述した範囲であることが好ましい。
<総厚み>
樹脂パネルの総厚みは、樹脂パネルの強度を良好にするため、下限は、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、厚膜化を抑制するため、4mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
<層構成>
本開示の樹脂パネルは、単層構成であってもよいし、多層構成であってもよい。
単層構成の場合、例えば、単層の樹脂層の一方の面を第1面、前記樹脂層の他方の面を第2面とすればよい。また、単層構成の場合、前記樹脂層内に、後述する着色剤を含有させることが好ましい。
多層構成の樹脂パネルは、例えば、下記(1)の層構成が挙げられる。下記(1)の層構成の樹脂パネルは、第1の樹脂層が前記第1面を有し、前記第2の樹脂層が前記第2面を有する。
また、下記(1)の層構成を基準として、第1の樹脂層と第1の印刷層との間、または、第1の印刷層と第2の樹脂層との間に、プライマー層、第2の印刷層及び接着層から選ばれる1以上の層を有する層構成が挙げられる。
(1)第1の樹脂層と、第1の印刷層と、第2の樹脂層とをこの順に有する構成。
―第1の樹脂層―
第1の樹脂層は、上述した第1面を有する層である。
第1の樹脂層は、樹脂を主成分とすることが好ましい。主成分とは、第1の樹脂層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
第1の樹脂層を含む樹脂パネルは、赤外線センサーにおいて、第1の樹脂層が視認者側を向くように配置される。このため、第1の樹脂層は、耐擦傷性を良好にするため、樹脂成分として、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
第1の樹脂層の樹脂成分の全量に対して、硬化性樹脂組成物の硬化物の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられ、耐擦傷性をより良好にするため、電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて、イソシアネート系硬化剤等の硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、耐擦傷性を良好にするため、電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
電離放射線硬化性化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤及び光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
第1の樹脂層は、赤外線を透過しやすく、可視光を透過しにくい着色剤を含んでいてもよい。但し、後述するように、前記着色剤は、第1の印刷層に含有させることが好ましい。
第1の樹脂層は、赤外線センサーで検知する画像の鮮鋭性の低下を抑制するため、平均粒子径が0.3μm以上の粒子を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、第1の樹脂層の全固形分の1.0質量%以下であることを意味し、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。第1の樹脂層以外の層も、平均粒子径が0.3μm以上の粒子を実質的に含有しないことが好ましい。
本明細書において、粒子の平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものである。
第1の樹脂層及び後述する第2の樹脂層は、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、硬度調整剤及び屈折率調整剤等の添加剤を含有していてもよい。硬度調整剤及び屈折率調整剤としては、平均粒子径が0.1μm以下の無機粒子が好ましい。
第1の樹脂層の厚みは、1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましく、3μm以上5μm以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、樹脂パネルを構成する各層の厚みは、樹脂パネルの垂直断面を電子顕微鏡等で観察した際の任意の20箇所の平均値として算出したものとする。
―第1の印刷層―
樹脂パネルは、可視光線透過率を上述した範囲にしやすくするため、第1の印刷層を有することが好ましい。
第1の印刷層は、バインダー樹脂及び着色剤を含むことが好ましい。
第1の印刷層のバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。これらの中でも、層間密着性を良好にするため、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。熱可塑性樹脂としては、後述する第2の樹脂層で例示する熱可塑性樹脂と同様のものが挙げられる。熱硬化性樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物としては、第1の樹脂層で例示した熱硬化性樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物と同様のものが挙げられる。
着色剤は、染料及び顔料のいずれでもよいが、耐候性を良好にするため顔料が好ましい。顔料は、平均粒子径が0.1μm以下であることが好ましい。着色剤は、1種の単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤は特に制限されないが、赤外線を透過しやすく、可視光を透過しにくい着色剤が好ましい。赤外線を透過しやすく、可視光を透過しにくい着色剤は、樹脂パネルの可視光線透過率及び波長940nmの光線透過率を上記範囲にしやすい点で好ましい。
赤外線を透過しやすく、可視光を透過しにくい着色剤としては、アゾメチンアゾ系化合物、ペリレン系化合物、ビスベンゾフラノン系化合物等が挙げられる。アゾメチンアゾ系化合物、ペリレン系化合物、ビスベンゾフラノン系化合物は、何れも顔料の形態で用いることができる。
また、赤外線を透過しやすく、可視光を透過しにくい着色剤に対して、汎用の着色剤を混合して用いることも好ましい。汎用の着色剤を混合することにより、第1の印刷層の色味が調整しやすくなり、樹脂パネルの意匠性を高めやすくできる。
アゾメチンアゾ系化合物は、アゾメチン基を有するアゾ系化合物である。アゾメチン基を有するアゾ系化合物は、例えば、下記の一般式(1)で表される構造単位を分子中に有するアゾ基を有する化合物が挙げられる。
アゾメチンアゾ系化合物は、例えば、特開昭63-91283号公報、特開昭62-32149号公報に記載の手法で製造できる。
また、アゾメチンアゾ系化合物としては、テトラクロロフタルイミドとアミノアニリンの反応化合物であるジアゾニウム基を有する化合物も挙げられる。
Figure 2023043665000002

[式(1)中、「Ar」は芳香族化合物又は複素環式化合物の残基であり、「X」は水素原子又はハロゲン原子であり、「m」はArの置換位置に起因する1以上の整数である。「m」は好ましくは1~4の整数である。]
ペリレン系化合物は、ペリレンテトラカルボン酸二無水物の六員環を構成している酸素原子2個を脱落させた構造を有する化合物であり、ペリレンブラック等が挙げられる。
ビスベンゾフラノン系化合物としては、例えば、国際公開WO2019/230684の一般式(I)~(III)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
第1の印刷層中の着色剤の含有量は、第1の印刷層の厚み、及び、他の層の組成等により調整することが好ましい。一例では、着色剤の含有量は、第1の印刷層を構成する全固形分の1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
第1の印刷層の厚みは、1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましく、3μm以上5μm以下であることがさらに好ましい。
第1の印刷層は、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等の汎用の印刷方法により形成することができる。なお、1回の印刷ではピンホールが生じる場合があるため、2回の印刷により第1の印刷層を形成してもよい。
第1の印刷層は、図1に示すように、樹脂パネルの全面に形成されていてもよい。また、図2及び図3に示すように、樹脂パネルの面内の一部に、第1の印刷層が形成されていない箇所があってもよい。
樹脂パネルの全面に対する第1の印刷層の面積割合は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
第1の印刷層及び後述する第2の印刷層は、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤及び難燃剤等の添加剤を含有していてもよい。
―第2の樹脂層―
第2の樹脂層は、上述した第2面を有する層である。
第2の樹脂層は、樹脂を主成分とすることが好ましい。主成分とは、第2の樹脂層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
第2の樹脂層の樹脂成分は、層間密着性を良好にするため、熱可塑性樹脂が好ましい。また、第2の樹脂層の樹脂成分として、熱可塑性樹脂を用いることにより、第2の樹脂層を、インモールド成形等の射出成形で形成しやすくできる。
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂から選ばれる1種または混合物等が挙げられる。これらの中でもポリカーボネート系樹脂及びアクリル系樹脂が好ましく、耐衝撃性に優れるポリカーボネート系樹脂がより好ましい。
第2の樹脂層は、赤外線を透過しやすく、可視光を透過しにくい着色剤を含有してもよい。
第2の樹脂層が、赤外線を透過しやすく、可視光を透過しにくい着色剤を含有する場合、前記着色剤の含有量は、第2の樹脂層を構成する全固形分の0.05質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
第2の樹脂層の厚みは、樹脂パネルの強度を良好にするため、下限は、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、厚膜化を抑制するため、4mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
―プライマー層―
樹脂パネルは、層間密着性を良好にするため、プライマー層を有していてもよい。プライマー層の位置は特に限定されず、例えば、第1の樹脂層と第1の印刷層との間に配置することができる。
プライマー層は、樹脂を主成分として含むことが好ましい。
プライマー層の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、熱硬化性樹脂組成物の硬化物がより好ましい。
プライマーの樹脂成分として用いる熱硬化性樹脂組成物としては、第1の樹脂層で例示した熱硬化性樹脂組成物と同様のものが挙げられる。
プライマー層の厚みは、1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましく、3μm以上5μm以下であることがさらに好ましい。
―第2の印刷層―
樹脂パネルは、第1の印刷層以外の印刷層である第2の印刷層を有していてもよい。
第2の印刷層は、例えば、第1の印刷層と第2の樹脂層との間に形成することができる。第2の印刷層は、バインダー樹脂及び着色剤を含むことが好ましい。
図3に示すように、樹脂パネルの面内の一部に第1の印刷層を有さない領域に、第2の印刷層を形成することが好ましい。かかる構成とすることにより、第1の印刷層を有する領域と、第1の印刷層を有さない領域との見え方を近づけ、意匠性を良好にしやすくできる。
第2の印刷層の着色剤としては、第1の印刷層で例示した着色剤と同様のものが挙げられる。
第2の印刷層の着色剤の含有量は、第1の印刷層の着色剤の含有量よりも少なくすることが好ましい。
第2の印刷層のバインダー樹脂としては、第1の印刷層のバインダー樹脂として例示したものと同様のものが挙げられる。
第2の印刷層の厚みは、1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましく、3μm以上5μm以下であることがさらに好ましい。
―接着層―
樹脂パネルは、接着層を有していてもよい。
接着層は、第2の樹脂層と接する位置に配置することが好ましい。
接着層は、感圧接着層(いわゆる「粘着層」)であってもよいし、感熱接着層(いわゆる「ヒートシール層」)であってもよい。樹脂パネルの製造工程において、ラミネートを行う場合には感圧接着層(粘着層)が好ましく、射出成形を行う場合には感熱接着層(ヒートシール層)が好ましい。
接着層は、第2の樹脂層の素材に適した感熱性又は感圧性の樹脂を使用することが好ましい。例えば、第2の樹脂層の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。第2の樹脂層の材質がポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用することが好ましい。第2の樹脂層の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着層の厚みは、1μm以上50μm以下であることが好ましく、2μm以上30μm以下であることがより好ましい。
[転写シート]
本開示の転写シートは、離型シート上に転写層を有し、
前記転写層は、前記離型シート側の面に凹凸形状を有し、
前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の算術平均高さが0.019μm以上0.180μm以下であり、かつ、凹部比が0.05以上であり、
前記転写層の可視光線透過率が10%以下である。
図4は、本開示の転写シート200の実施の形態を示す断面図である。
図4の転写シート200は、離型シート60上に転写層70を有している。図4において、転写層70は、離型シート側から、保護層71及び第1の印刷層72をこの順に有している。
<離型シート>
離型シートは、支持体の単層構成であってもよいし、支持体上に凹凸層を有する多層構成であってもよい。
離型シートの表面形状は、転写層の表面形状と相補的形状である。
―支持体―
支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド系樹脂などの樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。
これらのプラスチックフィルムの中では、耐熱性、寸法安定性に優れ、転写時の位置合わせの適性に優れる2軸延伸ポリエステルフィルムが好適である。
支持体の厚みは、成形性、形状追従性、取り扱いの観点から、12μm以上150μm以下であることが好ましく、25μm以上100μm以下であることがより好ましい。
離型シートが支持体の単層からなる場合、支持体を版で賦型することにより、離型シートの表面に、転写層の表面形状と相補的形状を形成することができる。前記版は、転写層の離型シート側の面の形状と同一形状を有する版を用いればよい。
―凹凸層―
凹凸層は、樹脂を主成分とすることが好ましい。主成分とは、凹凸層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
上記の樹脂成分の中でも、強度に優れるとともに、瞬時に硬化するため正確かつ精密な形状を付与できる電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好適である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物による効果を得やすくする観点から、凹凸層を構成する全樹脂成分のうち、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を70質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことがさらに好ましく、100質量%含むことがよりさらに好ましい。
凹凸層は、粒子及びバインダー樹脂を含む塗布液を塗布することにより形成してもよいが、正確にかつ精密な形状を形成する観点から、凹凸層の表面形状と相補的な形状を有する版を用いた賦型により形成することが好ましい。凹凸層の表面形状と相補的な形状を有する版は、言い換えると、転写層の表面形状と同一形状を有する版である。版を用いた凹凸層の形成方法の詳細は後述する。
凹凸層の熱硬化性樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物としては、上述した第1の樹脂層の熱硬化性樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物と同様のものが挙げられる。
凹凸層の厚みは特に限定されないが、1μm以上15μm以下であることが好ましく、2μm以上12μm以下であることがより好ましい。
凹凸層中には、離型シートと転写層との離型性を向上するため、粒子を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、凹凸層の全固形分に対して、粒子の含有量は1質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましく、0.01質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
離型シートと転写層との界面は、被着体に密着した際に剥離可能に形成されている。
離型性を向上させるため、離型シートは、転写層と接する側の面の少なくとも一部に離型層を有することが好ましい。また、転写シートの面内の離型性の均一化の観点からは、離型シートは、転写層と接する側の面の全面に離型層を有することが好ましい。
―離型シートの製造方法―
離型シートは、例えば、以下の(C1)~(C2)の工程により製造できる。
(C1)支持体上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む塗布液を塗布し、未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物を含む層を形成する工程。
(C2)凹凸層の表面形状と相補的な形状を有する版を用いて、未硬化の層を賦形すると同時に、電離放射線を照射して、賦形した層の電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させ、凹凸層を形成する工程。
電離放射線硬化性樹脂組成物が溶剤を含む場合、(C1)工程で溶剤を乾燥させることが好ましい。
離型シートが離型層を有する場合、(C2)工程の後に、(C3)凹凸層上に離型層を形成する工程、を行えばよい。
(C2)工程で使用する版は、例えば、エッチング、サンドブラスト、切削及びレーザー加工、あるいはこれらの組み合わせなどによって、シリンダーの表面を所望の形状に彫刻することにより得ることができる。あるいは、レーザー彫刻、光造形等によって雄型の版(凹凸層と同一の形状を有する版)を作製し、これを反転したものをシリンダーの表面に巻き付けることによって得ることができる。
(C2)工程で使用する版の表面は、クロム等で硬質メッキ処理することが好ましい。
上記の版の作成手段の中でも、転写層の凹凸形状を制御しやすいという観点から、シリンダーの表面をサンドブラストで彫刻した版が好適である。
サンドブラストでは、例えば、シリンダー表面の材質、研磨材の粒子径、研磨材の形状、研磨材の材質、シリンダーへの研磨材の衝突回数、噴射ノズルとシリンダーとの距離、噴射ノズルの直径、被加工物に対する噴射ノズルの角度、噴射圧、噴射周波数等を制御することにより、凹凸形状を調整できる。
Sa及び凹部比は、個々の凹部の深さを浅くすること、及び、凹部の間隔を狭くすること、により上述した範囲としやすくできる。このため、サンドブラストの研磨剤は平均粒子径を小さくすることが好ましい。具体的には、研磨剤の粒子径は10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
シリンダーへの研磨材の衝突回数が増えると、Sa及び凹部比が増加する傾向がある。噴射ノズルとシリンダーとの距離を近づけるなどして、シリンダーに対して研磨剤が衝突する圧力が増すと、Sa及び凹部比が増加する傾向がある。
離型シートは、例えば、以下の(D1)~(D2)工程によっても製造できる。
(D1)転写層の表面形状と相補的な形状を有する版に、凹凸層用塗布液を充填する工程。
(D2)版に充填した凹凸層用塗布液を支持体上に転写し、必要に応じて乾燥及び硬化して、凹凸層を形成する工程。
正確かつ精密な形状を形成する観点からは、上述した(C1)~(C2)工程が好適である。
<転写層>
離型シート上には、転写層が形成される。転写層は、被着体に転写される層である。
転写層は、前記離型シート側の面に凹凸形状を有し、
前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の算術平均高さが0.019μm以上0.180μm以下であり、かつ、凹部比が0.05以上である。
転写シートから樹脂パネルを製造した際には、転写層の前記離型シート側の面は、樹脂パネルの第1面となる。
このため、転写層の前記離型シート側の面の実施の形態は、上述した樹脂パネルの第1面の実施の形態と同様である。また、転写層の凹凸形状の実施の形態は、上述した樹脂パネルの凹凸形状の実施の形態と同様である。
前記転写層は、前記離型シート側から、保護層及び第1の印刷層をこの順に有することが好ましい。
保護層と第1の印刷層との間、または、第1の印刷層の保護層とは反対側には、プライマー層、第2の印刷層及び接着層から選ばれる1以上の層を有していてもよい。
保護層は、上述した樹脂パネルの第1の樹脂層に相当する層である。保護層の材料及び厚み等の実施の形態は、上述した樹脂パネルの第1の樹脂層の実施の形態と同様である。
転写層を構成する、第1の印刷層、プライマー層、第2の印刷層及び接着層の実施の形態は、述した樹脂パネルの第1の印刷層、プライマー層、第2の印刷層及び接着層の実施の形態と同様である。
[樹脂パネルの製造方法]
本開示の樹脂パネルは、例えば、転写シートを用いた転写法、版を用いた賦型法、により製造することができる。
転写法としては、例えば、下記E1~E4の工程が挙げられる。
(E1)第1面と相補的形状を有する離型シートを準備する。
(E2)前記離型シートの前記相補的形状を有する側の面上に、転写層を有する転写シートを作製する。
(E3)転写シートの転写層側を被着体に密着させた積層体を得る。
(E4)前記積層体から離型シートを剥離する。
工程E4の手段としては、ラミネート;インモールド成形;等が挙げられる。
工程E4をインモールド成形で実施する場合、例えば、下記a~cの工程で実施する手段が挙げられる。
(a)転写シートの転写層側の面をインモールド成形用金型の内側に向けて配置する工程。
(b)上記インモールド成形用金型内に樹脂を射出注入する工程。
(c)転写シートの転写層側の面と、上記樹脂とを一体化(密着)させた積層体を得る工程。
賦型法としては、例えば、下記F1~F3の工程が挙げられる。
(F1)第2の樹脂層に相当する基材を準備する。
(F2)前記基材上に樹脂層を形成する。
(F3)第1面と相補的形状を有するエンボス版により、前記樹脂層の表面を賦型して、前記樹脂層の表面に第1面を形成する。
[赤外線センサー]
本開示の赤外線センサーは、赤外線発光素子と、赤外線受光素子と、前記赤外線発光素子及び前記赤外線受光素子の前面に配置されてなる保護カバーとを有し、
前記保護カバーが上述した本開示の樹脂パネルであり、
前記樹脂パネルの前記第2面側が、前記赤外線発光素子及び前記赤外線受光素子側を向くように、前記樹脂パネルを配置した、ものである。
赤外線発光素子は、赤外線レーザーを発光するものであれば、特に制限されることなく使用できる。赤外線レーザーの波長は940nmであることが好ましい。
赤外線受光素子は、上記赤外線レーザーを受光できるものであれば、特に制限されることなく使用できる。
本開示の赤外線センサーは、保護カバーを通して、赤外線を照射し、反射した赤外線を受光する。
保護カバーとして上述した本開示の樹脂パネルを用いることにより、マット感を付与できるとともに、赤外線センサーで検知する画像の鮮鋭性が低下することを抑制できるため、運転手の状態を適切にモニタリングすることができる。
本開示の赤外線センサーは、各種の赤外線センサーとして用いることができ、特に、運転手の状態をモニタリングするための赤外線センサーとして極めて有用である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本開示を具体的に説明する。なお、本開示は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
1.測定、評価
実施例及び比較例で得られた樹脂パネルについて以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1-1.表面形状
樹脂パネルの第1面側の表面形状を、白色干渉顕微鏡(New View6300、Zygo社)を用いて、以下の条件にて、測定及び解析した。Surface Map画面上に表示された、「Peak」及び「Valley」を、1076μm×1076μmの測定領域における「最大山高さ(Sp)」及び「最大谷深さ(Sv)」とした。
また、1076μm×1076μmの測定領域の中から、縦方向3つ、横方向3つのラインを選択した。Surface Profile画面上に表示された、Smの列の「Mean」の数値を、測定領域における「粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)」とした。
さらに、Surface Map画面上に表示された、1076μm×1076μmの領域から、中央の556μm×556μmの領域を選択した。選択した領域の「Ra」及び「Rku」を表示させ、表示された数値を、556μm×556μmの測定領域の「算術平均高さ(Sa)」及び「クルトシス(Sku)」とした。
任意の20箇所の測定値の平均値を、各樹脂パネルの、Sa、Sku、Sp、Sv、RSmとした。
測定及び解析ソフトは、Metro Pro ver8.1.5のMicroscope Applicationを用いた。
<測定条件(Measurement Controls)>
・Min Mod(%):0.001%
・Min Area Size:7
・Acquisition Mode:Scan
・Camera Mode:992×992 50Hz
・Image Zoom:1×
・Remove Fringes:On
・Number of Averages:0
・FDA Noise Threshold:10
・Subtract Sys Err:Off
・Sys Err File:SEx10z0.5
・Phase Avgs:0
・Phase Avg Pause:Off
・AGC:On
・Phase Res:High
・Connection Order:Location
・Discon Action:Filter
・Scan Length:15μm bipolar(6sec)
・Extended Scan Length:1000μm
・FDA Res:High
・対物レンズ:10倍
・測定領域:1076μm×1076μm
・データ個数:991×991
<解析条件>
・Removed:Cylinder
・Sphere Radius:0nm
・Trim:0
・Trim Mode:All
・Data Fill:On
・Data Fill Max:500
・Filter:Off
1-2.凹部比
下記(A1)~(A5)の手順により、樹脂パネルの第1面側の凹部比を算出した。
(A1)第1面の凹凸形状の標高を、任意の556μm×556μmの領域で測定した。A1の測定は、上記1-1の測定で代用できる。
(A2)測定した標高データに基づき、標高の最大値を255、標高の最小値を0として、256階調のグレースケール画像を得た。
(A3)下記の手法により、グレースケール画像を、明度が0~127の箇所と、明度が128~255の箇所とで2値化した、2値化画像を得た。
(A4)2値化画像の全体に対する、明度が0~127の箇所の比を算出した。前記比が、任意の測定箇所における凹部比となる。
(A5)任意の20箇所の凹部比を測定し、20箇所の平均値を各樹脂パネルの凹部比とした。
<上記(A3)の詳細>
プログラミング言語であるPythonを用いて、インテル社が開発及び公開した、オープンソースのコンピュータビジョン向けライブラリーである「OpenCV」を用いて、下記の条件により、画像からノイズを除去した後、大津の手法により二値化した。
―条件―
・適用的ヒストグラム平坦化:clipLimit=2.0, tileGridSize=(16,16)
・メジアンフィルタ:KernelSize=9
・ガウスフィルタ:KernelSize=5px×5px, sigma=3
・Rolling Ball法によるバックグラウンド除去:Radius=10px, light_background=True, use_paraboloid=True, Presmooth=True
1-3.透過率
下記の仕様の紫外可視分光光度計を用いて、樹脂パネルの波長940nmの光線透過率、及び、可視光線透過率を測定した。第1面を光入射面とした場合、及び、第2面を光入射面とした場合、の両方で測定を実施した。
<仕様>
・機種;日本分光株式会社製の紫外可視分光光度計(型番:V-670)
・付属ユニット;積分球ユニット(日本分光株式会社製、品番:ISN-723)
・光源;重水素ランプ(190nm以上350nm以下)、ハロゲンランプ(330nm以上2700nm以下
・測定波長間隔;1nm
・測定スポット径:2mm以上20mm以下
1-4.反射ヘイズ、マット感
樹脂パネルの第2面側に、黒色テープ(ヤマト社、商品名:ヤマトビニールテープ黒、品番:NO200-38-21 黒)を貼り合わせた、測定用サンプルを作製した。コニカミノルタ社の測定器(商品名:アピアランスアナライザー、品番:Rhopoint IQ-S)を用いて、測定用サンプルの第1面側から、入射角20度の反射ヘイズ(HU)を測定した。反射ヘイズが高いほど、マット感が強いことを示している。反射ヘイズが4.0%以上であれば、マット感が良好であるといえる。
表1に、樹脂パネルの反射ヘイズの値を示す。
また、反射ヘイズが4.0%以上のものをマット感「A」、反射ヘイズが4.0%未満のものをマット感「C」として、表1に示す。
1-5.鮮鋭性
下記の手法により、波長940nmの光線が樹脂パネルを透過する際の鮮鋭性を評価した。下記の手法により算出した鮮鋭度の値が1に近いほど、鮮鋭性が良好であるといえる。鮮鋭度0.70以上が合格レベルである。表1に、鮮鋭度の値を示す。
また、鮮鋭度が0.70以上のものを「A」、鮮鋭度が0.70未満のものを「C」として、表1に示す。
<鮮鋭度の測定>
下記のスペックを有する、波長940nmの光線の光源を備えた撮像装置300を準備した。図5に示すように、前記装置300の光出射面側に、樹脂パネル100を固定した。さらに、樹脂パネルを固定した撮像装置300を、図示しないスタンドに固定した。
次いで、スタンドの土台上に、表面が平滑な白色板400を配置し、前記白色板の真ん中近傍に金尺500を配置した。
金尺500と、白色板400との境界部分が撮像できるように、かつ、前記境界部分が撮像する画像の略中央となるように、金尺500及び撮像装置300の位置等を調整した。そして、暗室下で前記境界部分を撮像した。
撮像した画像から50×50ピクセルの画像を抽出した。縦方向の平均値を算出し、前記境界部分の平均輝度プロファイルを作成した。図6(a)は、境界部分の画像の一例であり、図6(b)は、図6(a)の画像から算出した平均輝度プロファイルのイメージである。
前記平均輝度プロファイルは、横方向に50点のデータを有している。前記平均輝度プロファイルの隣り合うデータの差分に基づき、傾きプロファイルを作成した。図6(c)は、図6(b)から作製した傾きプロファイルのイメージである。そして、得られた傾きプロファイルの最大値を、「各樹脂パネルの見かけの鮮鋭度」とした。
次いで、撮像装置300の光出射面側に樹脂パネル100を固定しない以外は上記と同様にして、撮像、平均輝度プロファイルの作成、及び、傾きプロファイルの作成、を実施した。そして、得られた傾きプロファイルの最大値を、「リファレンスの鮮鋭度」とした。
そして、「各樹脂パネルの見かけの鮮鋭度」を、「リファレンスの鮮鋭度」で除した値を、「各樹脂パネルの鮮鋭度」とした。上述したように、鮮鋭度の値が1に近いほど、樹脂パネルの鮮鋭性が良好であるといえる。
<撮像装置のスペック>
・CCDセンサ:BFLY-U3-13S2M-CS
・レンズ:M1614-MP2
・接写リング:5mm
・光源電源ユニット:TPAP1B-2410NCW
・LED光源(赤外線940nm): TMN50X60-22IR940D-4
2.版の作製
厚み200μmの硬質銅からなる金属層を表面に有するシリンダーを準備した。次いで、シリンダーを回転しながら、研磨剤(不二製作所製の「フジガラスビーズ、粒度#1500」)を噴射してサンドブラスト処理して、表面を凹凸化した。
シリンダーへの研磨材の衝突回数、及び、シリンダーに対して研磨剤が衝突する圧力を調整し、実施例1用の版を得た。
さらに、研磨剤を、不二製作所製の「フジガラスビーズ、粒度#200」に変更し、シリンダーへの研磨材の衝突回数、及び、シリンダーに対して研磨剤が衝突する圧力を調整し、実施例2、実施例3、比較例1用の版を得た。
さらに、研磨剤を、不二製作所製の「フジガラスビーズ、粒度#400」に変更し、シリンダーへの研磨材の衝突回数、及び、シリンダーに対して研磨剤が衝突する圧力を調整し、実施例4、比較例2用の版を得た。
さらに、研磨剤を不二製作所製の「フジガラスビーズ、粒度#800」に変更し、シリンダーへの研磨材の衝突回数、及び、シリンダーに対して研磨剤が衝突する圧力を調整し、実施例5用の版を得た。
上記不二製作所製のガラスビーズにおいて、「粒度#1500」は、粒子径20μm以下のガラスビーズを意味し、「粒度#800」は、粒子径38μm以下のガラスビーズを意味し、「粒度#400」は、粒子径53μm以下のガラスビーズを意味し、「粒度#200」は、粒子径90~75μmのガラスビーズを意味する。
3.転写シート及び樹脂パネルの作製
[実施例1]
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)の易接着処理面上に、下記処方の塗布液を塗布、乾燥し、未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物を含む層を形成した。
<電離放射線硬化性樹脂組成物を含む塗布液>
・ウレタンアクリレート 60質量部
・メチルエチルケトン 40質量部
次いで、実施例1用の版を用いて、未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物を含む層を賦形すると同時に、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から電離放射線を照射して、賦形した電離放射線硬化性樹脂組成物を含む層を硬化させ、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚み5.0μmの凹凸層を形成した。
次いで、凹凸層上に、下記処方の離型層用塗布液を全面に塗布、乾燥、硬化して、厚み1.6μmの離型層を形成し、離型シートを得た。
<離型層用塗布液>
・アクリルポリオール 70質量部
・イソシアネート 25質量部
・酢酸エチル 161質量部
・メチルイソブチルケトン 56質量部
次いで、離型シートの離型層上に、下記処方の保護層用塗布液を乾燥後の付着量が6.5g/m(6.0μm)となるように塗布し、塗膜を形成した後、フュージョンUVランプシステムを用いて光源をHバルブ、搬送速度20m/min、出力40%の条件で照射し、保護層を半硬化させた。このときの積算光量を、アイグラフィックス社製の照度計(商品名:UVPF-A1)により測定したところ、15mJ/mであった。
<保護層用塗布液>
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 100質量部
(固形分35質量%、トルエン/酢酸エチル混合溶剤)
次いで、保護層上に下記処方のプライマー層用塗布液を乾燥後の付着量が3.0g/mとなるように塗布、乾燥し、塗膜を形成した後、40℃で72時間エージングし、硬化させ、厚さ2μmのプライマー層を形成した。
<プライマー層用塗布液>
・アクリルポリオール 100質量部
(固形分25質量%)
(トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・へキサンメチレンジイソシアネート 10質量部
(固形分75質量%、溶剤:酢酸エチル)
次いで、プライマー層上に下記処方の第1の印刷層用塗布液を、メッシュ数350のベタ版を用いて、スクリーン印刷により塗膜を形成した後、該塗膜を乾燥した。さらに、同様の塗膜を積層し、合計厚み8μmの第1の印刷層を形成した。
<第1の印刷層用塗布液>
・セイコーアドバンス社製の赤外線透過インキ(品名:IR BLACK HF TCI)
・希釈溶剤 適量
次いで、第1の印刷層上に、下記処方の接着層用塗布液をメッシュ数250のベタ版を用いて、スクリーン印刷により塗膜を形成した。該塗膜を乾燥し、厚み5μmの接着層を形成し、実施例1の転写シートを得た。
<接着剤層用塗布液>
・主剤 100質量部
(セイコーアドバンス社製の商品名「JT50 Y1972 バインダー」)
・硬化剤 10質量部
(セイコーアドバンス社製の商品名「D硬化剤」
・希釈溶剤 適量
被着体である透明ポリカーボネートシート(AGC社製、商品名:カーボグラスポリッシュクリア、厚み2mm)上に、接着層側の面が被着体側を向くようにして転写シートを重ね合わせ、転写シートの支持体側から加熱圧着し、被着体と転写シートとを密着し、積層した。次いで、積層体から転写シートの離型シートを剥離した後、紫外線照射(大気中、Hバルブ、800mJ/cm)して保護層を完全に硬化させ、実施例1の樹脂パネルを得た。
[実施例2~5]
実施例1用の版を、実施例2~5用の版に変更した。また、実施例2は、離型層の厚みを1.4μmに変更した。実施例3、実施例4、実施例5は離型層の厚みを0.5μmに変更した。前述した変更点以外は、実施例1と同様にして、実施例2~5の転写シートを得た。また、実施例1の転写シートを実施例2~5の転写シートに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~5の樹脂パネルを得た。
[比較例1~2]
実施例1用の版を、比較例1~2用の版に変更した。また、比較例1、比較例2は、離型層の厚みを0.5μmに変更した。前述した変更点以外は、実施例1と同様にして、比較例1~2の転写シートを得た。また、実施例1の転写シートを比較例1~2の転写シートに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1~2の樹脂パネルを得た。
Figure 2023043665000003
表1に示すように、実施例の樹脂パネルは、マット感を有し、鮮鋭性を良好にし得ることが確認できる。
10:第1の樹脂層
21:第1の印刷層
30:接着層
40:第2の樹脂層
100:樹脂パネル
60:離型シート
70:転写層
71:保護層
72:第1の印刷層
200:転写シート
300:波長940nmの光線の光源を備えた撮像装置
400:表面が平滑な白色板
500:金尺

Claims (8)

  1. 第1面と、前記第1面とは反対側である第2面とを有する樹脂パネルであって、
    前記第1面は凹凸形状を有し、
    前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の算術平均高さが0.019μm以上0.180μm以下であり、かつ、凹部比が0.05以上であり、
    可視光線透過率が10%以下である、樹脂パネル。
  2. 前記凹部比が0.05以上0.40以下である、請求項1に記載の樹脂パネル。
  3. 前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012のクルトシスが3以上60以下である、請求項1又は2に記載の樹脂パネル。
  4. 波長940nmの光線透過率が80%以上である、請求項1~3の何れかに記載の樹脂パネル。
  5. 第1の樹脂層と、第1の印刷層と、第2の樹脂層とをこの順に有し、前記第1の樹脂層が前記第1面を有し、前記第2の樹脂層が前記第2面を有する、請求項1~4の何れかに記載の樹脂パネル。
  6. 離型シート上に転写層を有する転写シートであって、
    前記転写層は、前記離型シート側の面に凹凸形状を有し、
    前記凹凸形状は、ISO 25178-2:2012の算術平均高さが0.019μm以上0.180μm以下であり、かつ、凹部比が0.05以上であり、
    前記転写層の可視光線透過率が10%以下である、転写シート。
  7. 前記転写層は、前記離型シート側から、保護層及び第1の印刷層をこの順に有する、請求項6に記載の転写シート。
  8. 赤外線発光素子と、赤外線受光素子と、前記赤外線発光素子及び前記赤外線受光素子の前面に配置されてなる保護カバーとを有する赤外線センサーであって、
    前記保護カバーが請求項1~5の何れかに記載の樹脂パネルであり、
    前記樹脂パネルの前記第2面側が、前記赤外線発光素子及び前記赤外線受光素子側を向くように、前記樹脂パネルを配置した、赤外線センサー。
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