JP2023042841A - 厚膜抵抗体被覆用粉末組成物および厚膜抵抗体被覆用ガラスペースト - Google Patents

厚膜抵抗体被覆用粉末組成物および厚膜抵抗体被覆用ガラスペースト Download PDF

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【課題】 650℃以下、さらにはより低い温度で焼成可能で、耐薬品性を備え、実質的に鉛を含まない厚膜抵抗体被覆用粉末組成物および厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを提供する【解決手段】 鉛フリーガラス粉末と、無機酸化物粉末を含む、厚膜抵抗体被覆用粉末組成物である。また、鉛フリーガラス粉末と、無機酸化物粉末と、樹脂と、溶剤と、を含む、厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストである。【選択図】 なし

Description

本発明は、厚膜抵抗体被覆用粉末組成物および厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストに関する。特に、チップ抵抗器、ハイブリットIC、または、抵抗ネットワーク等の電子部品の製造において、厚膜抵抗体等を保護する保護ガラス層の材料として用いることのできる厚膜抵抗体被覆用粉末組成物および厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストに関する。
一般のチップ抵抗器、ハイブリットIC、または、抵抗ネットワーク等の製造工程では、アルミナ基板にAgまたはAuを主成分とする厚膜導体ペーストを印刷して焼成することにより、電極間距離を設けて一対の電極を形成し、得られた一対の電極をつなぐように電極間に抵抗体ペーストを印刷して焼成することにより、厚膜抵抗体を形成している。このように印刷されて焼成された状態の厚膜抵抗体は、抵抗値分布が大きいために、目的とする範囲の抵抗値とするには、歩留まりが悪いという問題がある。
このような歩留まりの問題を解決するため、一般にレーザトリミングにより厚膜抵抗体の抵抗値を上昇させて、目的とする範囲内の抵抗値に調整する。さらに、レーザトリミングの精度を向上させる目的や、得られる厚膜抵抗体を用いた製品である電子部品としての信頼性を向上させる目的で、レーザトリミングの前に、厚膜抵抗体の上に保護ガラスペーストを印刷して焼成する場合がある。これにより、保護ガラス層(プリコート)を形成し、その後、得られた保護ガラス層を通してレーザトリミングを行っている。
例えば、特許文献1には、抵抗器の製造方法が開示されている。特許文献1に開示される590℃で焼成されるようなプリコートガラスペースト等は、一般的に鉛を含有するガラス粉末で構成されていた。ただし、近年、鉛成分は人体への影響および公害の点から望ましくなく、鉛を含有しない厚膜抵抗体被覆用組成物の開発が強く求められている。
チップ抵抗器の一例として、図1にチップ抵抗器100の側面概略断面図を示す。チップ抵抗器100は、アルミナ基板10の表面に電極間距離を設けて形成された銀を主成分とする電極20と、電極20を跨ぐように設けた厚膜抵抗体30と、厚膜抵抗体30を覆う保護ガラス層41を備える。電極20には、ニッケル等のめっき層60が覆う。
保護ガラス層41は、レーザトリミングにより生じる飛散物が、厚膜抵抗体30の上に付着することを防ぐとともに、保護ガラス層41により、レーザトリミングに用いるレーザ光が、厚膜抵抗体30に直接当たらなくなる。このように、保護ガラス層41には、レーザトリミングの間にレーザ光によって厚膜抵抗体30が受けるダメージを軽減させる働きがある。
レーザトリミングの後は、オーバーコートとして、厚膜抵抗体30と保護ガラス層41の表面を覆うように、保護ガラス層41と同一の保護ガラスペーストか、あるいは、保護ガラス層41とは異なる保護ガラスペーストを印刷して焼成することにより、厚膜抵抗体30を外部の環境から保護するための表面保護ガラス層42を形成している。あるいは、表面保護ガラス層42に代えて、レーザトリミングの後に、熱硬化型の保護樹脂ペーストを印刷して熱硬化させることにより、厚膜抵抗体30を外部の環境から保護するための表面保護樹脂層42を形成している。
表面保護ガラス層42や表面保護樹脂層42を形成した後、電極20の表面を例えば湿式めっき法でニッケルめっきや錫めっきで被覆する。表面保護ガラス層42や表面保護樹脂層42は、めっき液に侵食されない耐薬品性を備える。ただし、表面保護ガラス層42や表面保護樹脂層42により厚膜抵抗体30を外部環境から保護できる場合であっても、表面保護ガラス層42や表面保護樹脂層42と厚膜抵抗体30との間にある保護ガラス層41にも、めっき液に侵食されないよう同様の耐薬品性が求められる。
また、特許文献2には、700℃以下で焼成可能で化学的耐久性を備えた、鉛を実質的に含まないプリコート層用のガラスペーストの技術が開示されている。そして、特許文献2では、650℃で焼成してプリコート層を形成した結果が開示されている。なお、特許文献2においてプリコート層を形成する場合の焼成温度は、特許文献1に開示された焼成温度よりも高い。
保護ガラス層41を焼成により形成する場合、焼成温度が高いと厚膜抵抗体30の抵抗値の変動が大きくなり、特に焼成温度が650℃を超えると厚膜抵抗体30の抵抗値が顕著に変動する場合がある。そのため、保護ガラス層41は650℃以下の焼成温度により形成することが、製品の歩留まりを落とさないためには重要となる。
特開平11-224809号公報 特開2007-176785号公報
このような事情に鑑み、本発明の目的は、650℃以下、さらにはより低い温度で焼成可能で、耐薬品性を備え、実質的に鉛を含まない厚膜抵抗体被覆用粉末組成物および厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物は、鉛フリーガラス粉末と、無機酸化物粉末を含む。
前記無機酸化物粉末が、酸化第二クロム粉末である。
前記鉛フリーガラス粉末が、5質量%~25質量%のSiO2と、1質量%~5質量%のB23と、2質量%~5質量%のAl23と、40質量%~80質量%のBi23を含んでもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストは、鉛フリーガラス粉末と、無機酸化物粉末と、樹脂と、溶剤と、を含む。
本発明によれば、650℃以下、さらにはより低い温度で焼成可能で、耐薬品性を備え、実質的に鉛を含まない厚膜抵抗体被覆用粉末組成物および厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを提供することができる。
チップ抵抗器100の側面概略断面図である。 硫酸に浸漬する前の、実施例1に係る保護ガラス層のSEM像である。 硫酸に浸漬処理後の、実施例1に係る保護ガラス層のSEM像である。 硫酸に浸漬する前の、比較例1に係る保護ガラス層のSEM像である。 硫酸に浸漬処理後の、比較例1に係る保護ガラス層のSEM像である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[厚膜抵抗体被覆用粉末組成物]
本実施形態の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物は、鉛フリーガラス粉末と、無機酸化物粉末を含むことを特徴とする。
〈鉛フリーガラス粉末〉
厚膜抵抗体被覆用粉末組成物は、焼成時にガラス粉末が十分に溶融して、ガラス粉末の各粒子が融着することが必要である。このようにガラス粉末の各粒子が融着しないと、保護ガラス層としての強度が不十分となり、ニッケルめっきや錫めっき等に対する耐薬品性を満足しない。また、表面保護ガラス層や表面保護樹脂層に欠陥が生じた場合に、保護ガラス層にも欠陥があると、厚膜抵抗体そのものが外部の環境に直接曝されるという問題がある。
また、厚膜抵抗体に厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを印刷して焼成し、保護ガラス層を形成する場合、焼成温度TC(℃)が高いと、厚膜抵抗体の抵抗値の変動が大きくなり、通常の厚膜抵抗体では、650℃を超える焼成温度TC(℃)で厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを焼成すると、厚膜抵抗体の抵抗値の変動が大きくなりすぎる。このため、厚膜保護ガラスペーストの焼成温度TC(℃)は、650℃以下が望ましく、より望ましくは640℃以下であり、さらに望ましくは620℃以下である。なお、焼成温度(℃)の下限は、厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストに含まれる有機バインダの分解温度よりも高くする必要があるため、400℃である。
このような焼成温度に対応し、ガラス粉末の各粒子が融着する状態となるには、鉛フリーガラス粉末の軟化点は、保護ガラス層を形成する場合の焼成温度より10℃~50℃低い温度であることが望ましい。ここで、軟化点は、鉛フリーガラスを示差熱分析法(TG-DTA)にて測定可能であり、大気中で、10℃/minで昇温、加熱し、得られた示差熱曲線の最も低温側の示差熱曲線の減少が発現する温度よりも高温側の次の示差熱曲線が減少するピークの温度が軟化点温度である。
上記の軟化点が上記の焼成温度より10℃~50℃低い温度から外れてしまうと、焼成してもガラス粉末の各粒子が十分に融着せず保護ガラス層に欠陥が生じ、そのために厚膜抵抗体そのものが外部の環境に直接曝されるおそれがある。また、ガラス粉末が溶融してチップ抵抗器の電極間以外の領域に流れ出してしまい、保護ガラス層の形状に不具合が生じるおそれがある。
本実施形態では、鉛フリーガラス粉末の組成として、5質量%~25質量%のSiO21質量%~5質量%のB23、2質量%~5質量%のAl23、40質量%~80質量%のBi23とすることがあげられる。Biを含有するガラスは、低軟化点の鉛フリーガラスとして広く知られおり、Bi23は、PbOに代わる成分として、低軟化点ガラスとして注目されている。
ここで、鉛フリーとは、鉛を実質的に含有しないとの意味であり、鉛を含まない場合と、例えば鉛を含む導電粉末や酸化物粉末等の原料粉末や製造過程において鉛が混入してしまうことに起因して、不可避的不純物として鉛が100質量ppm以下含まれる場合とを含むことを許容する意味である。
鉛フリーガラス粉末が、5質量%~25質量%のSiO2を含むことが好ましく、5質量%~23質量%のSiO2を含むことがより好ましい。SiO2の含有量が5.0質量%未満では、得られる保護ガラス層の耐水性および耐酸性が低下するおそれがある。また、SiO2の含有量が25.0質量%を超えると、軟化点SPa(℃)が高くなりすぎるおそれがある。
次に、鉛フリーガラス粉末が、1質量%~5質量%のB23を含むことが好ましい。B23の含有量が1.0質量%未満では、軟化点(℃)が高くなり、得られる厚膜保護ガラス層の機械的強度が低下するおそれがある。また、B23の含有量が5.0質量%を超えると、得られる厚膜保護ガラス層の耐水性および耐酸性が低下するおそれがある。
そして、鉛フリーガラス粉末が、2質量%~5質量%のAl23を含むことが好ましい。Al23の含有量が2.0質量%未満では、得られる厚膜保護ガラス層が結晶化しやすく、また、得られる厚膜保護ガラス層の耐水性および耐酸性が低下するおそれがある。Al23の含有量が5.0質量%を超えると、軟化点(℃)が高くなりすぎるおそれがある。
また、鉛フリーガラス粉末が、40質量%~80質量%のBi23を含むことが好ましい。Bi23の含有量が40.0質量%未満では、軟化点(℃)が高くなりすぎるおそれがある。Bi23の含有量が80.0質量%を超えると、得られる厚膜保護ガラス層の耐水性および耐酸性が低下するおそれがある。
(他の成分)
また、鉛フリーガラス粉末は、SiO2、B23、Al23、およびBi23以外の成分を含有していてもよい。他の成分の例としては、BaO、CaO、SrO、TiO2、ZrO2、ZnO、SnO2、または、MgO等と、Li2O、Na2O、または、K2O等のアルカリ金属酸化物等があげられる。アルカリ金属酸化物は、軟化点SPa(℃)を下げる効果が大きいが、多量に含有させると、厚膜抵抗体の電圧負荷による抵抗値変動を増大させるおそれがある。従って、他の成分としてのこれらの含有量は、全体で1.0質量%以下とすることが好ましい。
鉛フリーガラス粉末の粒度は、50%体積累計粒度(メジアン径)が10μm以下であることが望ましい。メジアン径が10μmより大きいと、緻密な保護ガラス層が形成しにくくなる場合がある。さらに、近年の電子部品の小型化により、保護ガラス層の厚さも薄くなる傾向がある。その傾向を考慮すると、保護ガラス層の原料である鉛フリーガラス粉末の50%体積累計粒度をさらに小さくし、メジアン径が5μm以下とすることが望ましい。なお、50%体積累計粒度は、レーザ回折を利用した粒度分布計により測定可能である。
〈無機酸化物粉末〉
鉛フリーガラス粉末と無機酸化物粉末を含む、本実施形態の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物を焼成して得られる保護ガラス層は、ニッケルめっき液や錫めっき液等と同様のpHの硫酸に浸漬した場合、その表面にクラックが発生する場合はあるものの、そのクラックに囲まれた箇所が剥離することはない。すなわち、この保護ガラス層は、クラックの剥離を抑制することで欠陥の発生を防ぎ、厚膜抵抗体そのものが外部の環境に直接曝されることを防止できるという点で、耐薬品性を満足することができる。
鉛フリーガラス粉末と併用する無機酸化物粉末は、焼成の過程で、保護ガラス層と共存することにより、耐薬品性を満足し、酸浸漬の際のクラックの剥離が抑制されるのである。
無機酸化物粉末は、厚膜抵抗体被覆用粉末組成物の焼成の際に溶融しないことが必要である。そのような無機酸化物粉末は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、ジルコン等のようなケイ酸塩、酸化チタンなどの白色顔料、弁柄などの赤色顔料、酸化第二クロムなどの緑色顔料、Co-Cr-Fe酸化物やCo-Mn-Fe酸化物などの黒色顔料を用いることができる。
厚膜抵抗体被覆用粉末組成物において、無機酸化物粉末が、鉛フリーガラス粉末100質量部に対して、0.5質量部以上5.6質量部以下含むことが望ましく、0.8質量部以上3質量部以下がさらに望ましい。無機酸化物粉末が、鉛フリーガラス粉末100質量部に対して5.6質量部を超えて含まれると、レーザトリミンクに支障が生じない程度に、保護ガラス層の透明性を確保することが困難となるおそれがある。
無機酸化物粉末粒度は、50%体積累計粒度(メジアン径)で0.5μm~2.5μmが望ましい。なお、なお、50%体積累計粒度は、レーザ回折を利用した粒度分布計により測定可能である。
(他の成分)
本発明の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物には、鉛フリーガラス粉末と酸化第二クロム粉末の他に、必要に応じて、添加物等の成分を含有させることができる。添加物の例としては、ムライト粉末をはじめとする熱膨張係数を調整するための無機粉末等が挙げられる。
[厚膜抵抗体被覆用ガラスペースト]
本発明の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物は、有機ビヒクルまたは溶剤等と供に、混合および分散してペースト化することにより、厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストとすることができる。また、厚膜抵抗体被覆用粉末組成物に代えて、または厚膜抵抗体被覆用粉末組成物と併用して、前述の鉛フリーガラス粉末と無機酸化物粉末を用いてもよい。
上記した理由により、無機酸化物粉末が、鉛フリーガラス粉末100質量部に対し0.5質量部以上5.6質量部以下含まれる。
また、上記した理由により、鉛フリーガラス粉末が、5質量%~25質量%のSiO2と、1質量%~5質量%のB23と、2質量%~5質量%のAl23と、40質量%~80質量%のBi23を含むことが好ましい。
〈樹脂〉
用いることのできる樹脂としては、厚膜抵抗体被覆用ガラスペースト等のペーストに一般的に用いられる樹脂が挙げられる。例えば、エチルセルロース、アルキッド樹脂、またはアクリル樹脂等を、用いることができる。
〈溶剤〉
用いることのできる溶剤としては、厚膜抵抗体被覆用ガラスペースト等のペーストに一般的に用いられる溶剤が挙げられる。例えば、ターピネオール、またはブチルカルビトール等が挙げられる。
樹脂と溶剤は、予め混合して有機ビヒクルの状態にしておき、これを用いて厚膜導体形成用ペーストを製造することができる。例えば、コストや取扱いの容易性の観点から、エチルセルロースをターピネオールに溶解したものを有機ビヒクルとすることができる。有機ビヒクルにおいて、樹脂と溶剤との割合は、最終的な厚膜抵抗体被覆用ガラスペースト組成での印刷性や塗布方法に応じて適宜選択される。例えば、有機ビヒクル中の樹脂含有量を2~50質量%とすることができる。
有機ビヒクルとしての厚膜抵抗体被覆用ガラスペースト中の含有量は、当該ペーストの粘度や粉末の給油量、塗布作業性等を考慮して適宜選定することができる。厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストの粘度が高すぎると当該ペーストの塗布が実質的に不可能となる場合がある。また、有機ビヒクルの含有量が多くなりすぎると、鉛フリーガラスの粒子や無機酸化物粉末の粒子の沈降や分離が生じるおそれや、焼成後の保護ガラス層の緻密性が大きく低下して耐薬品性を満足しないおそれがある。
例えば、鉛フリーガラス粉末と無機酸化物粉末との合計質量100質量部に対して、有機ビヒクルの含有量を15質量部~100質量部とすることができる。印刷性や塗布の容易性、ペーストとしての粒子の沈降、分離や耐薬品性、原料コスト等を考慮すると、かかる含有量は、20質量部~80質量部とすることが好ましい。
本発明の厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストは、厚膜抵抗体被覆用粉末組成物と、有機ビヒクルとを、混合および分散することにより、製造することができる。この混合方法および分散方法は特に限定されないが、例えば、3本ロールミルやボールミル等を用いるのが、一般的である。厚膜抵抗体被覆用粉末組成物に代えて鉛フリーガラス粉末と無機酸化物粉末を用いる場合や併用する場合も、上記と同様に厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを製造することができる。また、得られる厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストの粘度は、目的とする保護ガラス層の膜厚や、当該ペーストの塗布対象となる厚膜抵抗体等の種類等によって、適宜選択される。
(他の成分)
本発明の厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストには、鉛フリーガラス粉末と酸化第二クロム粉末の他に、必要に応じて、添加物等の成分を含有させることができる。
[保護ガラス層の形成方法]
保護ガラス層は、本発明の厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを、厚膜抵抗体を覆うように印刷し、乾燥後、焼成することで形成できる。耐薬品性やレーザトリミング等の加工性を考慮すると、焼成後に得られる保護ガラス層の膜厚が3μm~10μmとなるように形成することが望ましい。
保護ガラス層の形成方法は、例えば本発明の厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストをチップ抵抗器の厚膜抵抗体の表面に塗布する塗布工程と、当該ペーストが塗布されたチップ抵抗器を乾燥する乾燥工程と、その後650℃以下の温度で焼成する焼成工程を含むことができる。
(塗布工程)
塗布方法としては、特に限定されるものではなく、スクリーン印刷、凸版印刷やグラビア印刷等の印刷法、その他、ディスペンサーによる描画方式等、公知の技術を用いることができるが、適正な膜厚で大量生産を行う観点からスクリーン印刷により塗布することが好ましい。
(乾燥工程)
厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを厚膜抵抗体に塗布した後、塗布後の膜をチップ抵抗器ごと80℃以上200℃以下の温度条件下で、2分以上15分以下で乾燥させることが好ましい。このように、塗布工程と焼成工程との間に乾燥工程を設けることにより、焼成時においても溶剤等の揮発成分が残存することによる溶剤等の揮発および燃焼を防ぐことができるため、焼成工程において焼成炉を用いた場合等には、焼成炉の汚染を防止するという効果を得ることができる。この工程において、乾燥方法は、特に限定されず、オーブンやベルト式乾燥炉等の公知の手段を用いることができるが、量産性の観点から、ベルト式乾燥炉により乾燥することが好ましい。なお、乾燥温度を80℃未満とすると、乾燥に要する時間が長くなることで、生産性が悪化するため好ましくない場合がある。また、乾燥温度が200℃を超えると、樹脂が酸化して乾燥後の膜が脆くなるおそれがある。
(焼成工程)
乾燥工程後の焼成工程では、乾燥後の膜をチップ抵抗器ごと加熱して膜を焼成する。焼成方法として、ベルト炉を用いることが好ましい。この場合、焼成におけるピーク温度は、厚膜抵抗体の抵抗値が顕著に変動しないよう、650℃以下で行う。また、鉛フリーガラスの粒子同士が融着することを考慮すると、400℃以上の温度条件で焼成することが好ましい。
上記のピーク温度で、2分~20分、好ましくは5分~13分保持することが必要である。ピーク温度の保持時間が20分を超えると、保護ガラス層が過焼結となる可能性があり、かかる保持時間が2分未満であると、焼結が不十分となるおそれがある。また、ピーク温度への昇温、ピーク温度の保持およびピーク温度からの冷却という焼成工程のトータルの時間は、20分~90分、好ましくは30分~60分とすることが必要である。トータル時間が20分未満では昇温速度や冷却速度が大きくなりすぎて、急激な温度変化により保護ガラス層に割れが発生するおそれがある。また、トータル時間が90分を超えると、生産性が悪化するという問題が生じるおそれがある。
上記したピーク温度および焼成時間で焼成するためには、ピーク温度までの昇温速度は20℃/分以上150℃/分以下とし、ピーク温度からの冷却速度は20℃/分以上200℃/分以下とすることが好ましい。昇温速度が20℃/分未満あるいは冷却速度が20℃/分未満の場合には、生産性が悪化するおそれがあるため好ましくない。また、昇温速度が150℃/分を超える場合あるいは冷却速度が200℃/分を超える場合には、急激な温度変化により保護ガラス層に割れが発生する可能性があるため、好ましくない。
また、焼成中の雰囲気は特に限定されるものではないが、鉛フリーガラスの軟化の観点から、空気雰囲気で焼成することが好ましい。
上記のように形成した保護ガラス層であれば、耐薬品性を満足することができる。具体的には、ニッケルめっき液に相当するpHの硫酸に保護ガラス層を浸漬した場合、当該ガラス層は、硫酸により溶解することはないが、その表面にクラックが発生する場合はあるものの、そのクラックに囲まれた箇所が剥離することはない。ただし、発生したクラックは、保護ガラス層の内部まで侵食することはなく、保護ガラス層によって厚膜抵抗体を外部環境から保護することができる。
なお、保護ガラス層の膜厚が極端に薄く、例えば膜厚2μm未満の場合は、幅2μm以上のクラックが発生すると厚膜抵抗体の保護ができないことがある。そのため、保護ガラス層の膜厚は重要であり、上記のとおり焼成後の保護ガラス層の膜厚が3μm~10μmとなるように形成することが望ましい。
以下、本発明について、実施例により、さらに説明を行うが、本発明の範囲は、この実施例により制限されることはない。
[厚膜抵抗体被覆用粉末組成物の製造]
表1に示すように、SiO2:21.6質量%、B23:1.4質量%、Al23:3.3質量%、およびBi23:72.8質量%の組成で、軟化点(℃)が595℃で50%体積累計粒度2.0μmの鉛フリーガラス粉末100質量部と、50%体積累計粒度(メジアン径)1.0μmの酸化第二クロム粉末1.4質量部を表2に示す配合割合で調合して、厚膜抵抗体被覆用粉末組成物を得た。
Figure 2023042841000001
[厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストの製造]
得られた厚膜抵抗体被覆用粉末組成物100質量部に対し、有機ビヒクルとしてエチルセルロース4%のターピネオール溶液30質量部を加え、3本ロールミルで混合および分散し、実施例の厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを得た。
また、酸化第二クロム粉末を混合せず、表1に示す組成の鉛フリーガラス粉末100質量部に対し、有機ビヒクルとしてエチルセルロース4%のターピネオール溶液30質量部を加え、実施例の場合と同様に3本ロールミルで混合および分散し、比較例の厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを得た。
得られた厚膜抵抗体被覆用ガラスペーストを、96%アルミナ基板(25.4mm×25.4mm×1mm)上に、縦20mm×横20mmの正方形パターンでスクリーン印刷し、乾燥後、ピーク温度(℃)を600℃として、ピーク時間5分の条件で焼成炉にて焼成し、表2に示す膜厚の実施例1および比較例1に係る保護ガラス層を得た。
実施例1および比較例1に係る保護ガラス層を、アルミナ基板ごと25℃で濃度5%硫酸に240分浸漬して保護ガラス層の耐薬品性とクラックの剥離を評価した。なお、耐薬品性の評価は、硫酸への浸漬の前後における保護ガラス層表面の目視の変化で評価した。また、クラックの成長抑制についての評価は、硫酸浸漬後に走査型電子顕微鏡(SEM)観察で行った。評価結果を表2に示す。
実施例1に係る保護ガラス層の表面について、硫酸浸漬前に撮影したSEM像を図2に、実施例1に係る保護ガラス層の表面について、硫酸浸漬後に撮影したSEM像を図3に示す。また、比較例1に係る保護ガラス層の表面について、硫酸浸漬前に撮影したSEM像を図4に、比較例1に係る保護ガラス層の表面について、硫酸浸漬後に撮影したSEM像を図5に示す。
硫酸浸漬後の実施例1に係る保護ガラス層の表面は図3に示されるようにクラックは発生しているものの、表面の脱離は発生していない。一方、硫酸浸漬後の比較例1に係る保護ガラス層の表面は図5に示されるように、クラックの発生と、その表面が脱離していることが分かる。図3および5によれば、実施例1の保護ガラス層は、耐薬品性を備えることが分かる。
Figure 2023042841000002
鉛フリーガラス粉末と酸化第二クロム粉末を含む実施例の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物を用いて得られた保護ガラス層は、硫酸に浸漬しても表面の外観が目視観察において変化しなかった。また、SEM画像をみても、表面にクラックが発生する場合はあるものの、そのクラックに囲まれた箇所の剥離が抑制されていることから、耐薬品性に問題無いことを確認した。また、保護ガラス層を硫酸に浸漬しても目視上の光沢等の外観が変化していないことは、保護ガラス層が耐薬品性を備えることを意味し、実施例における保護ガラス層において目視状の外観が変化していないことから、目視観察においても耐薬品性に問題ないことを確認した。
一方、実施例と同じ鉛フリーガラス粉末を用い、酸化第二クロム粉末を含有しない比較例の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物を用いて得られた保護ガラス層は、硫酸の浸漬により目視観察上の光沢等の外観が変化していないが、SEM画像よりクラックの剥離が生じていることが確認され、耐薬品性を満足しないおそれのあることがわかった。
[まとめ]
以上の結果より、本実施形態によれば、焼成温度600℃で形成された鉛フリーの保護ガラス層でも、耐薬品性を備えることが確認された。そのため、耐薬品性を備える保護ガラス層の成形材料である本発明の厚膜抵抗体被覆ガラスペーストは、鉛を含まないため環境保護の観点から望ましい材料であり、特許文献1等に開示された厚膜抵抗体ガラスペースト等の置き換えが可能となる。
10 アルミナ基板
20 電極
30 厚膜抵抗体
41 保護ガラス層
42 表面保護ガラス層(表面保護樹脂層)
60 めっき層
100 チップ抵抗器

Claims (5)

  1. 鉛フリーガラス粉末と、無機酸化物粉末を含む、厚膜抵抗体被覆用粉末組成物。
  2. 前記無機酸化物粉末が、前記鉛フリーガラス粉末100質量部に対し0.5質量部以上5.6質量部以下含まれる、請求項1に記載の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物。
  3. 前記鉛フリーガラス粉末が、5質量%~25質量%のSiO2と、1質量%~5質量%のB23と、2質量%~5質量%のAl23と、40質量%~80質量%のBi23を含む、請求項1または2に記載の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物。
  4. 前記無機酸化物粉末が酸化第二クロム粉末である請求項1から3に記載の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の厚膜抵抗体被覆用粉末組成物を含有する厚膜抵抗体被覆用ガラスペースト。
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