JP2023042717A - 回転子及び電動機 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型化を防ぎながらモータトルクを増大させる。【解決手段】ロータ10は、回転軸Xの周方向に沿って設けられた複数の永久磁石12と、複数の永久磁石12のうち隣接する永久磁石12の間にそれぞれ設けられた複数の軟磁性体部13と、を有する電動機の回転子である。ロータ10は、電動機のステータ20から所定距離だけ離れた位置に、ステータ20との対向面に対して平行な面であって、永久磁石12が存在する磁石配置面Pが形成され、磁石配置面Pは、第1磁石配置面P1と、第1磁石配置面P1と比べてステータ20との距離が大きな位置に設けられた、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合が第1磁石配置面P1よりも大きな第2磁石配置面P2と、を含む。【選択図】図3
Description
本開示は、回転子及びこの回転子を有する電動機に関する。
ロータとステータとによって構成されるモータにおいてモータトルクを増大させる方法として、例えば、ロータに設けられる複数の永久磁石の間に軟磁性体を配置してリラクタンストルクを増大させる手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、リラクタンストルクを利用することを想定した形状のロータでは、リラクタンストルクが増大する一方、マグネットトルクが低下する傾向があり、総合的なモータトルクが小さくなる可能性がある。軟磁性体の磁気飽和によるマグネットトルクの低下を防ぐための手法としてバックヨーク厚みを大きくすることが考えられるが、この場合、モータが大型化してしまう可能性がある。
本開示は、上記を鑑みてなされたものであり、大型化を防ぎながらモータトルクの増大が図られた回転子、及びこの回転子を有する電動機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係る回転子は、回転軸の周方向に沿って設けられた複数の永久磁石と、前記複数の永久磁石のうち隣接する永久磁石の間にそれぞれ設けられた複数の軟磁性体部と、を有する電動機の回転子であって、前記電動機の固定子から所定距離だけ離れた位置に、前記固定子との対向面に対して平行な面であって、前記永久磁石が存在する磁石配置面が形成され、前記磁石配置面は、第1磁石配置面と、前記第1磁石配置面と比べて前記固定子との距離が大きな位置に前記軟磁性体部の占める割合が第1磁石配置面よりも大きな第2磁石配置面と、を含む。
上記の回転子には、永久磁石の間に軟磁性体部が設けられているため、この回転子を用いた電動機では、リラクタンストルクを利用することができる。固定子に近い第1磁石配置面においては、第2磁石配置面と比較して軟磁性体部の占める割合が小さくなり、固定子との間で発生するマグネットトルクの低下を抑制することができる。このため、磁石量が少ない条件でもモータトルクを増大させることが可能となり、大型化を防ぎながらモータトルクの増大を実現することができる。
前記磁石配置面における前記軟磁性体部の幅は、前記固定子からの距離が大きくなるにつれて大きくなる態様であってもよい。上記の構成によれば、固定子からの距離が大きくなるにつれて軟磁性体部の幅が大きくなるため、上記の第1磁石配置面及び第2磁石配置面を含んだ回転子を実現することができる。
前記軟磁性体部は、その側面が、前記磁石配置面に対して傾斜している態様であってもよい。上記の構成とすることで、軟磁性体の側面の傾斜によって、固定子からの距離が大きくなるにつれて軟磁性体部の幅を大きくすることができ、上記の第1磁石配置面及び第2磁石配置面を含んだ回転子を実現することができる。
前記軟磁性体部の前記側面の傾斜角は、前記磁石配置面とのなす角が、1°~80°である態様であってもよい。軟磁性体部の側面の傾斜角を上記の範囲とすることで、固定子からの距離に応じて軟磁性体部が存在する面積の割合を適切に変化させることができる。
前記軟磁性体部または前記永久磁石は、前記固定子からの距離に応じて段差状に設けられている態様であってもよい。上記のように、固定子からの距離に応じて軟磁性体部または永久磁石が段差状に設けられている場合であっても、上記の第1磁石配置面及び第2磁石配置面を含んだ回転子を実現することができる。
上記の回転子は、バックヨークを有していない態様であってもよい。上記の構成によれば、バックヨークを有していない場合であっても、大型化を防ぎながらモータトルクの増大を実現することができる。
本開示の一形態に係る電動機は、上記の回転子を含む態様であってもよい。この場合、上記の回転子と同様に、大型化を防ぎながらモータトルクの増大が実現される。
本開示によれば、大型化を防ぎながらモータトルクの増大が図られた回転子、及びこの回転子を有する電動機が提供される。
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[モータの構造]
図1,2は、一実施形態に係るモータ(電動機)の概略構成を模式的に示す図である。図1,2に示すように、モータ1(電動機)は、ロータ10(回転子)と、ステータ20(固定子)と、を含んで構成される。モータ1は、所謂アキシャルギャップモータであり、回転軸Xに沿ってロータ10とステータ20とが並んでいる。モータ1は、種々の用途に使用され得るが、例えば、自動車等のモビリティ等での搭載が想定される。
図1,2は、一実施形態に係るモータ(電動機)の概略構成を模式的に示す図である。図1,2に示すように、モータ1(電動機)は、ロータ10(回転子)と、ステータ20(固定子)と、を含んで構成される。モータ1は、所謂アキシャルギャップモータであり、回転軸Xに沿ってロータ10とステータ20とが並んでいる。モータ1は、種々の用途に使用され得るが、例えば、自動車等のモビリティ等での搭載が想定される。
ロータ10は、円筒状の部材であり、その円筒の中心線に沿った回転軸Xの周りに回転する部材である。ロータ10の中央において、その高さ(厚さ)方向に沿ってロータ10を貫通するように、ロータの回転軸Xが設定される。なお、回転軸Xに対応したロータ軸がロータ10に対して固定され得るが、図1等ではその表示を省略する。そのため、ロータ10を円板状の物体として示している。
ステータ20は円筒状の部材であり、ロータ10の回転軸Xの方向からギャップG(空間ギャップ;図2参照)を介して、ロータ10と対向して設けられている。ステータ20の対向面20Fは、ロータ10の対向面10Fと対向する。なお、ステータ20には、ロータ10のロータ軸を貫通させるための貫通穴が設けられるが、図1等ではその表示を省略する。そのため、ステータ20を円板状の物体として示している。なお、ステータ20の内周面は、ロータ軸とは固定されていない。
上記のモータ1は、例えば、ケースに収容される。ケースは、例えば、ベアリング等を介してロータ10に対して接続されるロータ軸を回転可能に支持していてもよい。また、ステータ20は、ケースに対して固定されていてもよい。
次に、ロータ10の各部について説明する。図3(a)は、ロータ10の概略斜視図であり、図3(b)は、ロータ10の側面図である。
ロータ10は、バックヨーク11と、バックヨーク11の一方の主面上に固定された、回転軸Xの周方向に沿って互いに離間して設けられた複数の永久磁石12と、複数の永久磁石12の間に設けられた複数の軟磁性体部13と、を有している。なお、図3(a)では、複数の永久磁石12のうち1つのみを実線で示し、残りは破線で示している。
バックヨーク11は、複数の永久磁石12及び軟磁性体部13を支持する円板状の部材である。バックヨーク11の材料は、磁性材料であれば特に限定されず、例えば、電磁鋼板、圧粉磁心等の公知の磁性材料が用いられる。
なお、バックヨーク11は、ロータ10のうちステータ20と対向する対向面10Fとは逆側の裏面10R側に配置される。
複数の永久磁石12は、バックヨーク11の一方の主面に配置される。永久磁石12としては、例えばフェライト磁石やアルニコ磁石等の希土類磁石以外の永久磁石であってもよく、R-T-B系希土類磁石(希土類永久磁石)等の希土類磁石の永久磁石であってもよい。R-T-B系希土類磁石は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを含有する。希土類元素Rは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種であればよい。特に、希土類磁石は、希土類元素RとしてNd及びPrの両方を含有することが好ましい。また、希土類磁石は、遷移金属元素TとしてCo及びFeを含有することが好ましい。希土類磁石がこれらの元素を含有することにより、希土類磁石の残留磁束密度及び保磁力が顕著に向上する。なお、希土類磁石は、必要に応じて、Mn,Nb,Zr,Ti,W,Mo,V,Ga,Zn,Si,Cu,Al及びBi等の他の元素を更に含んでもよい。
複数の永久磁石12は、それぞれ同じ形状である。すなわち、永久磁石12は、回転軸Xに沿った方向を厚さ方向とし、回転軸Xと垂直な方向に延びると共に回転軸X中に中心点を有する円弧帯状の板をなしている。永久磁石12は、それぞれバックヨーク11に対向する第1面12aと、ロータ10の対向面10Fを形成する第2面12bとの2つの主面を有する。この永久磁石12が回転軸Xを中心に並べられて、ロータ10の対向面10Fを形成している。
永久磁石12の数は、本実施形態では10個であるが、特に制限されない。一例として、複数の永久磁石12の着磁方向は、それぞれ回転軸Xに沿っているが、配向の向きは回転軸Xに沿う方向に限定されない。本実施形態においては、複数の永久磁石12の着磁方向は、回転軸Xの周方向に沿って交互に反転している。この結果、ロータ10の対向面10Fでは、永久磁石12のN極とS極とが交互に表われる(図5も参照)。
なお、図3に示すロータ10では、永久磁石12の側面のうち、回転軸Xからロータ10の周縁へ延びる径方向の一対の側面12cは、永久磁石12の第1面12aの面積よりも第2面12bの面積が大きくなるように、傾斜している。
回転軸X方向から見た場合、永久磁石12の第1面12aは第2面12bと重なる位置に設けられ、且つ、一対の側面12cが傾斜していることによって、第1面12aにおいて回転軸Xからロータ10の周縁へ延びる径方向の端面は、第2面12bにおいて回転軸Xからロータ10の周縁へ延びる径方向の端面よりも内側(永久磁石12の中央側)に位置している。一対の側面12cの傾斜角(後述の磁石配置面に対する傾斜角;ここではバックヨーク11の主面に対する傾斜角と同じである)は、一対の側面12cにおいて同じとなるように調整されていてもよい。
複数の軟磁性体部13は、複数の永久磁石12と同じくバックヨーク11の一方の主面に配置される。回転軸Xの周囲に配置される複数の永久磁石12の間において、永久磁石12同士を区画するように配置される。軟磁性体部13は、隣接する永久磁石12の間に、回転軸X側からロータ10の周縁へ向けて、径方向に沿って永久磁石12同士を区切るように配置されている。軟磁性体部13の径方向の長さは、永久磁石12と同等とされている(図3参照)。また、軟磁性体部13の回転軸X方向の高さ(厚さ)も、永久磁石12と同等とされている(図2,図3参照)。
軟磁性体部13は、軟磁性材料で構成されている。具体的には、電磁鋼板、磁性鉄粉、ソフトフェライト、パーマロイ等を採用することができる。一例として、軟磁性体部13は、Fe3Si粉等の純鉄系磁性粉を代表とする軟磁性粉の圧粉成形体で構成されていてもよい。圧粉成形体は、軟磁性粉を結着することで得られ、結着には樹脂等の結着剤を用いることができる。なお、圧粉成形体は軟磁性粉を用いた熱間成形によって形成してもよい。
ここで、軟磁性体部13の断面形状(径方向に対して直交する断面における形状)は、例えば、図3(b)等に示すように、バックヨーク11に対する取り付け面側を底面とし、ステータ20に近い位置に頂点が設けられる三角形状とされている。そのため、軟磁性体部13の一対の側面13cは底面に対して傾斜した形状とされている。軟磁性体部13の一対の側面13cの傾斜角(後述の磁石配置面に対する傾斜角;ここではバックヨーク11の主面に対する傾斜角と同じである)は、永久磁石12の一対の側面12cの傾斜角に対応している。その結果、図2に示すように、隣接する永久磁石12において、2つの側面12cによって形成された隙間を軟磁性体部13が埋めるように配置されている。一対の側面12cの傾斜角が、複数の永久磁石12それぞれにおいて互いに等しくされている場合、軟磁性体部13の一対の側面13cの傾斜角も互いに等しくされていてもよい。この場合、軟磁性体部13の断面形状(径方向に対して直交する断面における形状)は、二等辺三角形となっていてもよい。なお、対向面10Fから見たときに、軟磁性体部13の頂点は、隣接する2つの永久磁石12の間に露出していてもよい。つまり、2つの永久磁石12は、軟磁性体部13によって区切られている状態が形成されていてもよい。
次に、ステータ20の各部について説明する。図4は、ステータ20の概略斜視図である。
ステータ20は、図4に示すように、軟磁性材料からなるステータコア21と、コイル部22とを有する。ステータコア21は、円筒状部材21aと、円筒状部材からロータ10の方向に突出した複数のティース21bとを有する。本実施形態で示す例では、回転軸Xの周りに12個のティース21bが設けられている。回転軸Xと垂直な面に沿ったティース21bの断面は、例えば円弧帯状である。複数のティース21bの周りには、それぞれコイル部22が捲回されている。コイル部22は、通電されることにより回転軸Xに沿った方向に磁束を発生させる。この磁束によって生じるトルクによって、ロータ10は回転軸X周りに回転する。なお、ステータ20におけるティース21bの数は特に限定されず、適宜変更され得る。
上記のモータ1において、ロータ10では、ステータ20から所定距離だけ離れた位置に、ステータ20との対向面10Fに対して平行な面であって、永久磁石12が存在する磁石配置面が形成される。また、この磁石配置面は、第1磁石配置面と、第1磁石配置面と比べて固定子との距離が大きな位置に、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部が存在する面積の割合が第1磁石配置面よりも大きな第2磁石配置面と、を含む。この点について、図3(b)を参照しながら説明する。
ロータ10では、バックヨーク11よりも上方(ステータ20に近い部分)では、対向面10Fと平行な断面において、永久磁石12と軟磁性体部13とが存在する。このような面を磁石配置面Pという。つまり、ロータ10では、バックヨーク11よりも上方に磁石配置面Pが存在する。ロータ10では、永久磁石12が対向面10Fに露出しているので、対向面10Fも磁石配置面Pとなり得る。
ここで、図3(b)に示すように、対向面10Fを第1磁石配置面P1とし、対向面10Fよりもバックヨーク11に近い位置に第2磁石配置面P2を設定したとする。この場合、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合は、第1磁石配置面P1<第2磁石配置面P2となり、上述の関係が成立する。これは、永久磁石12と、軟磁性体部13との形状に由来する。つまり、軟磁性体部13の側面13cが傾斜していることによって、バックヨーク11に近付く(ステータ20から離れる)につれて、軟磁性体部13が幅広となっている。この結果、磁石配置面における軟磁性体部13の割合が、バックヨーク11へ近付くにつれて増大することになる。
上記のモータ1によれば、上述の構成を有することによって、マグネットトルクの減少を抑制し、モータトルクを増加させることができる。この点について説明する。
図5は、上述のモータ1の回転軸Xの周方向に沿った模式的な断面を示す図である。本実施形態に係るモータ1のように、ロータ10の一方の主面(対向面10F)に対向するようにステータ20が設けられるアキシャルギャップモータでは、リラクタンストルクを利用するために、永久磁石12の間に軟磁性体部13を配置することによって、d軸とq軸とのインダクタンス差を利用したリラクタンストルクを発生させることが行われ得る。
ただし、リラクタンストルクを利用するモータのロータでは、一般的に、ステータ20からの距離に関係なく幅が一定となる軟磁性体部13が配置される(後述の図6(g)参照)。この場合、時永久磁石同士の短絡を防ぐためにこれらを離間して配置するため、ステータ20に対向する永久磁石の量が小さくなるためマグネットトルクが小さくなるという問題が生じ得る。モータとしてのモータトルクは、マグネットトルクに起因する成分とリラクタンストルクに起因する成分との和になるため、マグネットトルクが小さくなると、モータトルクの増加が見込みづらくなる。
一方、マグネットトルクを最大限活用するために、従来のSPMモータのように軟磁性体部13を設けず、永久磁石12のみを対向面10Fに配置することが考えられる(後述の図6(f)参照)。ただし、このような構成では、リラクタンストルクを活用できないだけでなく、磁極間での磁気飽和が生じ得る。磁束密度が集中する部位は、例えば、隣接する磁極間(例えば、図5で示す領域A)に集中する。そのため、ロータのバックヨークを設計する際には、磁気飽和によるトルクの低下を抑制しながら漏れ磁束を低減するために、バックヨークの厚さを大きくすることが必要となる。しかし、バックヨークの厚さを大きくすることは、ロータが大型化するため、モータとしても大型化してしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態のロータ10は、図5に示すように、軟磁性体部13を設けることで、リラクタンストルクが可能となる。また、上述の第1磁石配置面P1と、第2磁石配置面P2とが磁石配置面に含まれるように、軟磁性体部13はステータ20から離間するにつれて幅広となるように設計されている。このため、ロータ10との対向面10Fでは、従来のSPMモータと同様にステータ20と対向する永久磁石12の面積が広く確保されるため、マグネットトルクを大きくすることに加えて、磁束が集中する領域Aの付近ではバックヨーク11を含めて磁性体の厚みが大きく確保される。したがって、磁極間の磁束密度が緩和されるため、磁気飽和によるトルクの低下を防ぐことができる。
ところで、上述の第1磁石配置面P1と、第2磁石配置面P2とが磁石配置面に含まれる状態を実現するための、永久磁石12及び軟磁性体部13の形状・配置は、図1~図4で示したロータ10で示した例に限定されるものではない。図6を参照しながら、他の例について説明する。
図6に示す7つの図のうち、図6(a)は、上記のロータ10の構成を模式的に示したものである。また、図6(b)~図6(e)は、上記のロータ10と同様に第1磁石配置面P1と、第2磁石配置面P2とが磁石配置面に含まれる例を模式的に示したものである。一方、図6(f)及び図6(g)は、それぞれ従来のSPMモータと、リラクタンストルクを利用するモータと、を示している。なお、いずれの図においても、上方にステータ20が配置されるとする。
まず、図6(a)は、軟磁性体部13の側面13cが傾斜面であって、軟磁性体部13が下方(ステータ20から離れる方向)に向かうにつれて幅広となるような形状とされていて、側面13cに対応した側面12cを有する永久磁石が配置されたとする。この場合、図6(a)に示すように第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2を設定すると、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合について、第1磁石配置面P1<第2磁石配置面P2の関係が成立する。このように、図6(a)に示す形状であると、上記の関係を満たす第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2が含まれる状態が実現される。なお、傾斜面となる軟磁性体部13の側面13cの傾斜角(磁石配置面Pに対する傾斜角)は特に限定されないが、1°~80°の範囲であると、ステータ20からの距離に応じて軟磁性体部13が存在する面積の割合を適切に変化させることができる。
次に、図6(b)は、軟磁性体部13の側面13cが傾斜面であって、軟磁性体部13が下方(ステータ20から離れる方向)に向かうにつれて幅広となるような形状となっている点は、図6(a)と同様である。ただし、軟磁性体部13の頂点が切り欠かれた台形状となっていて、永久磁石12の上面よりも低い位置(ステータ20から離れた位置)に軟磁性体部13の上面が位置している。この場合、永久磁石12うち上方の領域では、隣接する永久磁石12の間には空間が存在している。この状態は、実質的には、隣接する永久磁石12の間に非磁性体が存在していることになる。この場合、図6(b)に示すように、隣接する永久磁石12の間には空間が存在する位置に第1磁石配置面P1を設定し、図6(a)と同様に、軟磁性体部13が存在する位置に第2磁石配置面P2を設定したとしても、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合について、第1磁石配置面P1<第2磁石配置面P2の関係が成立する。このように、図6(b)に示す形状であっても、上記の関係を満たす第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2が含まれる状態が実現される。なお、第1磁石配置面P1を軟磁性体部13が存在する位置に設定したとしても上記の関係が実現され得る。
次に、図6(c)は、軟磁性体部13は断面が矩形状である場合を示している。また、図6(b)の例と同様に、永久磁石12の上面よりも低い位置(ステータ20から離れた位置)に軟磁性体部13の上面が位置している。一方、永久磁石12は、軟磁性体部13に並べて配置される下方の永久磁石121と、軟磁性体部13を覆うように配置される永久磁石122とによって構成される。この永久磁石122によって、軟磁性体部13の上方に永久磁石12が積層した状態となっている。このとき、上方では、隣接する永久磁石122が接触するかまたはそれに近い状態になる。このとき、上方の永久磁石122同士が隣接する位置に第1磁石配置面P1を設定し、永久磁石121間に軟磁性体部13が存在する位置に第2磁石配置面P2を設定したとすると、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合について、第1磁石配置面P1<第2磁石配置面P2の関係が成立する。このように、図6(c)に示す形状であっても、上記の関係を満たす第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2が含まれる状態が実現される。
次に、図6(d)は、軟磁性体部13の側面13cが傾斜面であって、軟磁性体部13が下方(ステータ20から離れる方向)に向かうにつれて幅広となるような形状となっている点は、図6(a)と同様である。永久磁石12は、下方では、側面が軟磁性体部13の側面13cに沿った形状を有しているものの、中央近傍から上方では、永久磁石12の側面が軟磁性体部13の側面13cから離れて上方に(バックヨーク11の表面に対して垂直に)延びている。この場合、永久磁石12の側面が上方に延びている領域では、永久磁石12と軟磁性体部13との間には空間(非磁性体)が存在している。この状態は、実質的には、隣接する永久磁石12の間に軟磁性体部13と非磁性体とが存在していることになる。この場合、図6(d)に示すように、隣接する永久磁石12の間には空間が存在する位置に第1磁石配置面P1を設定し、軟磁性体部13と永久磁石12とが当接している位置に第2磁石配置面P2を設定したとすると、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合について、第1磁石配置面P1<第2磁石配置面P2の関係が成立する。このように、図6(d)に示す形状であっても、上記の関係を満たす第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2が含まれる状態が実現される。なお、第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2の設定をそれぞれ上下方向に移動させたとしても、軟磁性体部13が、下方に向かうにつれて幅広となっているため、上記の関係が実現され得る。
次に、図6(e)は、図6(c)の例と同様に軟磁性体部13は断面が矩形状であって、永久磁石12の上面よりも低い位置(ステータ20から離れた位置)に軟磁性体部13の上面が位置している例を示している。一方、永久磁石12は、図6(c)の例とは異なり、断面が矩形状となっている。その結果、図6(e)では、軟磁性体部13の上方には空間が存在している状態となっている。このとき、隣接する永久磁石12の間に空間が存在する位置に第1磁石配置面P1を設定し、永久磁石12間に軟磁性体部13が存在する位置に第2磁石配置面P2を設定したとすると、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合について、第1磁石配置面P1<第2磁石配置面P2の関係が成立する。このように、図6(e)に示す形状であっても、上記の関係を満たす第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2が含まれる状態が実現される。
上記の図6(a)~(e)に示す例は、いずれも、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合について、第1磁石配置面P1<第2磁石配置面P2の関係が成立している。一方、図6(f)及び図6(g)に示す従来の形状は、上記の関係を満たさない。
図6(f)は、従来のSPMモータにて用いられるロータにおける永久磁石の配置を模式的に示すものであり、バックヨーク11に対して断面が矩形の永久磁石12が載置されている状態を示している。SPMモータの場合、軟磁性体が永久磁石12間に設けられていないので、永久磁石12同士が隣接した状態で周方向に配置されていることになる。この図6(f)に示す構成では、永久磁石12が設けられている磁石配置面は存在するが、仮に図6(f)に示すように第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2を設定したとしても、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合は、第1磁石配置面P1=第2磁石配置面P2となる。
図6(g)は、従来のリラクタンスを利用するモータにて用いられるロータにおける永久磁石の配置を模式的に示すものである。この場合、バックヨーク11上に、断面が矩形の永久磁石12と、断面が矩形の軟磁性体部13とが周方向に沿って交互に並んでいる。この図6(g)に示す構成では、永久磁石12が設けられている磁石配置面は存在するが、仮に図6(g)に示すように第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2を設定したとしても、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合は、第1磁石配置面P1=第2磁石配置面P2となる。
このように、従来の形状のロータでは、上述の関係を満たす第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2が磁石配置面に含まれない。
次に、上記の関係を満たす第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2が含まれるロータでは、リラクタンストルク及びマグネットトルクの両方を活用することで、ロータの大型化を防ぎながらモータトルクを増加させることができる。また、このような構成をより少ない磁石量で実現することができる。
(作用)
上記のロータ10では、永久磁石12の間に軟磁性体部13が設けられているため、このロータ10を用いたモータ1では、リラクタンストルクを利用することができる。また、ステータ20に近い第1磁石配置面P1においては、第2磁石配置面P2と比較して軟磁性体部の占める割合が小さくなり、ステータ20との間で発生するマグネットトルクの低下を抑制することができる。このため、上記のモータ1及びロータ10によれば、ロータ10における磁石量が少ない条件でもモータトルクを増大させることが可能となり、大型化を防ぎながらモータトルクの増大を実現することができる。
上記のロータ10では、永久磁石12の間に軟磁性体部13が設けられているため、このロータ10を用いたモータ1では、リラクタンストルクを利用することができる。また、ステータ20に近い第1磁石配置面P1においては、第2磁石配置面P2と比較して軟磁性体部の占める割合が小さくなり、ステータ20との間で発生するマグネットトルクの低下を抑制することができる。このため、上記のモータ1及びロータ10によれば、ロータ10における磁石量が少ない条件でもモータトルクを増大させることが可能となり、大型化を防ぎながらモータトルクの増大を実現することができる。
また、磁石配置面における軟磁性体部13の幅は、ステータ20からの距離が大きくなるにつれて大きくなっていてもよい。この場合、上記のように、軟磁性体部13が存在する面積の割合が第1磁石配置面P1よりも第2磁石配置面P2を有する構成が実現され、このような関係を有するロータ10を実現することができる。
このとき、軟磁性体部13は、その側面13c磁石配置面に対して傾斜していてもよい。このような構成とすることで、軟磁性体部13の側面13cの傾斜によって、ステータ20からの距離が大きくなるにつれて軟磁性体部13の幅を大きくすることができ、上記の第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2を含んだロータ10を実現することができる。
また、軟磁性体部13の側面13cの傾斜角は、磁石配置面とのなす角が、1°~80°である態様であってもよい。軟磁性体部13の側面13cの傾斜角を上記の範囲とすることで、ステータ20からの距離に応じて軟磁性体部13が存在する面積の割合を適切に変化させることができる。
軟磁性体部13または永久磁石12は、ステータ20からの距離に応じて段差状に設けられている態様であってもよい。上記のように、ステータ20からの距離に応じて軟磁性体部13または永久磁石12を段差状に変化させることによっても、上記の第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2を含んだロータ10を実現することができる。
なお、ロータ10は、バックヨーク11を有していなくてもよい。この場合でも、上記の第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2を含んだロータ10を構成することで、大型化を防ぎながらモータトルクの増大を実現することができる。
(変形例)
上記実施形態では、アキシャルギャップモータを例にロータの構成を説明した。しかしながら、モータの形状はアキシャルギャップモータに限定されず、ラジアルギャップモータであってもよい。
上記実施形態では、アキシャルギャップモータを例にロータの構成を説明した。しかしながら、モータの形状はアキシャルギャップモータに限定されず、ラジアルギャップモータであってもよい。
図7は、ラジアルギャップモータに対する上記構成の適用例を示している。図7(a)は、ラジアルギャップモータであるモータ2の概略平面図であり、図7(b)はその一部拡大図である。
モータ2は、アウターロータ型のPMモータであり、回転軸Xの中心を中心として円筒状のステータ40が設けられ、その外周に円環状のロータ30が設けられる。
ロータ30は、断面が円環状の円筒状の部材であり、中心線に沿った回転軸Xの周りに回転する部材である。ロータ30は、バックヨーク31と、バックヨーク31の内面において、回転軸Xの周方向に沿って互いに離間して設けられた複数の永久磁石32と、複数の永久磁石32の間に設けられた複数の軟磁性体部33と、を有している。
バックヨーク31は、複数の永久磁石32及び軟磁性体部33を支持する円筒状の部材である。複数の永久磁石32は、バックヨーク31の内面に配置されると共に、回転軸Xに沿って延びる板状の部材である。永久磁石32は断面(回転軸Xに直交する断面)の形状が略矩形状である。ただし、バックヨーク31の内面に当接する主面は、バックヨーク31の内面の円弧状に追随するように湾曲している。また、当該主面に対向する主面は、複数の永久磁石32を配置した場合に回転軸Xの周方向に沿って環状の対向面30Fが形成されるように湾曲している。複数の永久磁石32は、それぞれ同じ形状である。永久磁石32が回転軸Xを中心に配置されることにより、ロータ30の対向面30Fを形成している。
複数の軟磁性体部33は、複数の永久磁石32と同じくバックヨーク31の内面に配置される。複数の軟磁性体部33は、それぞれ回転軸Xの周囲に配置される複数の永久磁石32の間において、永久磁石32同士を区画するように配置される。軟磁性体部33は、隣接する永久磁石32の間に、回転軸X側からロータ30の周縁へ向けて、径方向に沿って永久磁石32同士を区切るように配置されている。また、複数の軟磁性体部33は、それぞれ、隣接する永久磁石32の間を埋めるように配置されている。その結果、バックヨーク31に近い位置では軟磁性体部33は幅広となり、バックヨーク31から離れた位置(回転軸Xに近い位置)では軟磁性体部33の幅は小さくなる。この結果、軟磁性体部33は、ロータ10における軟磁性体部13と同様に、その載置面(ここでは、バックヨーク31の内面)に対して傾斜した一対の側面を有している。
ステータ40は、所定間隔ごとに放射状に配置された複数本のティース41と、ティース41にコイルが巻回されて形成されたコイル部42からなる。ティース41は、回転軸Xに沿って延びると共に(図7(b)参照)、回転軸Xを中心として外方へ突出するように配置されている。この複数のティース41に対して、それぞれコイルが巻回されることによって、コイル部42が形成される。コイル部42は、通電されることにより回転軸Xに対して交差する方向に磁束を発生させる。この磁束によって生じるトルクによって、ロータ30は回転軸X周りに回転する。
上記のモータ2においても、ロータ30では、ステータ40から所定距離だけ離れた位置に、ステータ40との対向面30Fに対して平行な面であって、永久磁石32が存在する磁石配置面Pが形成される。また、この磁石配置面Pは、第1磁石配置面P1と、第1磁石配置面P1と比べて固定子との距離が大きな位置に設けられた、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部13が存在する面積の割合が第1磁石配置面P1よりも大きな第2磁石配置面P2と、を含む。
ロータ30では、バックヨーク31よりも上方(ステータ40に近い部分)では、対向面30Fと平行な断面であって永久磁石32が存在する磁石配置面Pが存在する。
ここで、図7(a)及び図7(b)に示すように、回転軸Xを中心とした円筒状の面として、第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2を設定することができる。このとき、磁石配置面の面積に対して軟磁性体部33が存在する面積の割合は、第1磁石配置面P1<第2磁石配置面P2となり、上述の関係が成立する。これは、ロータ10と同様に、軟磁性体部33の側面が傾斜していることによって、バックヨーク31に近付く(ステータ40から離れる)につれて、軟磁性体部33が幅広となっていることによる。この結果、磁石配置面における軟磁性体部33の割合が、バックヨーク31へ近付くにつれて増大することになる。
このように、所謂ラジアルギャップモータであるモータ2においても、第1磁石配置面P1<第2磁石配置面P2となるように、ロータ30における軟磁性体部33の形状及び配置を設定することができる。そして、上記の関係を成立させる構成を有するロータ30を有するモータ2では、マグネットトルクの減少を抑制し、モータトルクを増加させることができる。ラジアルギャップモータでは、磁石配置面の形状が円筒状となる点がアキシャルギャップモータとは相違するが、磁石配置面の形状によらず、上記の関係を満たす第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2が磁石配置面に含まれるように、永久磁石32及び軟磁性体部33を配置することで、上記のロータ10と同様の効果が奏される。
なお、ラジアルギャップモータに含まれるロータ30においてもアキシャルギャップモータに含まれるロータ10と同様に、永久磁石32及び軟磁性体部33の形状・配置を適宜変更することができる。すなわち、図6(a)~図6(e)を参照しながら説明した構成例は全てラジアルギャップモータのロータ30にも適用ができる。
上記のモータの形状の変更のほかにも、ロータについては種々の変更を行うことができる。例えば、上記の関係を満たす第1磁石配置面P1及び第2磁石配置面P2が磁石配置面に含まれるように、永久磁石32及び軟磁性体部33が配置されている構成であれば、その形状等は適宜変更できる。
(評価1)
評価1として、下記の表1に示したロータ及びステータがモータ特性に及ぼす影響を確認するための電磁界シミュレーションによる解析を行った。実施例に係るモータの仕様のうち、ロータの永久磁石及び軟磁性体部の形状・配置を除く、各実施例及び比較例で共通する仕様・シミュレーション条件は表1のとおりである。
評価1として、下記の表1に示したロータ及びステータがモータ特性に及ぼす影響を確認するための電磁界シミュレーションによる解析を行った。実施例に係るモータの仕様のうち、ロータの永久磁石及び軟磁性体部の形状・配置を除く、各実施例及び比較例で共通する仕様・シミュレーション条件は表1のとおりである。
永久磁石及び軟磁性体部の形状及び配置は、図6に示す7つの条件を設定した。さらに、図6(a)示す形状のロータについては、その軟磁性体部の傾斜角を3つの角度(45°、60°、30°)に変更した条件を設定した。この結果、実施例1~7及び比較例1,2に係るロータを設定した。
また、モータトルクは、q軸を基準とした電流位相βが0,10の2条件について評価した。また、基本波線間電圧は、U相とW相との間における線間電圧のうち高調波を除く基本波成分であり、電流位相βが10の条件で評価したものである。さらに、磁石量は、比較例1(図6(f))に示す通常のSPMモータのロータにおいて使用される永久磁石の磁石量を100%とした場合に、その他の各例に応じた形状のロータにおける永久磁石の使用量を100分率で示したものである。実施例1~7及び比較例1,2に係るロータについての評価結果を表2,3に示す。
表2及び表3に示す結果から、実施例1~6では、比較例1と比べて磁石量が少ない条件でありながら、モータトルクは、比較例1と同等かそれ以上である結果が得られた。このことから、より少ない磁石量であっても、高いモータトルクを有するモータが得られることが確認された。
また、実施例7と比較例2とを比較すると、磁石量が同じ条件において、モータトルクは実施例7のほうが大きくなることが確認された。このことから、同一の磁石量である場合に、軟磁性体部の形状を変更して、上述の関係を形成することによって、モータトルクを増加させることができることが確認された。
(評価2)
評価2として、上記の実施例1、比較例1,2に対応するロータにおいて、バックヨーク厚を変更した場合に、漏れ磁束及びトルクがどのように変化するかを評価した。
評価2として、上記の実施例1、比較例1,2に対応するロータにおいて、バックヨーク厚を変更した場合に、漏れ磁束及びトルクがどのように変化するかを評価した。
モータの仕様のうち、ロータの永久磁石及び軟磁性体部の形状・配置、及びロータのバックヨーク厚を除く、実施例1及び比較例1,2で共通する仕様及び解析条件は上記の表1のとおりである。
図8(a)は、バックヨーク厚を変更した際の漏れ磁束の変化を示したものである。漏れ磁束は、バックヨーク下部から距離5mmの平面における漏れ磁束を測定したものである。また、図8(b)は、バックヨーク厚を変更した際のトルク(モータトルク)の変化を示したものである。
図8(a)に示す結果から、実施例1(三角形状)は、バックヨーク厚が小さい条件(1mm,2.1525mm)では、漏れ磁束が比較例2(リラクタンス形状)と同等であって、比較例1(全面磁石形状)よりも十分小さくなることが確認された。一方、これらの条件では、実施例1(三角形状)のトルクは、比較例1(全面磁石形状)、比較例2(リラクタンス形状)よりも大きくなることが確認された。これらの結果から、実施例1に係るロータは、バックヨーク厚を小さくした条件において、漏れ磁束の抑制とトルクの増加とを両立させることができることが確認された。すなわち、実施例1に係るロータは、比較例1,2に係るロータと比較して、バックヨーク厚が薄い状態でもロータとしての特性を高めることができるため、ロータ及びモータの小型化に寄与し得ることが確認された。
1,2…モータ(電動機)、10…ロータ(回転子)、10F…対向面、11…バックヨーク、12…永久磁石、13…軟磁性体部、13c…側面、20…ステータ(固定子)、20F…対向面、21…ステータコア、22…コイル部、30…ロータ、31…バックヨーク、32…永久磁石、33…軟磁性体部、40…ステータ、41…ティース、42…コイル部、P…磁石配置面、P1…第1磁石配置面、P2…第2磁石配置面。
Claims (7)
- 回転軸の周方向に沿って設けられた複数の永久磁石と、
前記複数の永久磁石のうち隣接する永久磁石の間にそれぞれ設けられた複数の軟磁性体部と、
を有する電動機の回転子であって、
前記電動機の固定子から所定距離だけ離れた位置に、前記固定子との対向面に対して平行な面であって、前記永久磁石が存在する磁石配置面が形成され、
前記磁石配置面は、第1磁石配置面と、前記第1磁石配置面と比べて前記固定子との距離が大きな位置に設けられた、磁石配置面の面積に対して前記軟磁性体部が存在する面積の割合が第1磁石配置面よりも大きな第2磁石配置面と、を含む、回転子。 - 前記磁石配置面における前記軟磁性体部の幅は、前記固定子からの距離が大きくなるにつれて大きくなる、請求項1に記載の回転子。
- 前記軟磁性体部は、その側面が前記磁石配置面に対して傾斜している、請求項1または2に記載の回転子。
- 前記軟磁性体部の前記側面の傾斜角は、前記磁石配置面とのなす角が、1°~80°である、請求項3に記載の回転子。
- 前記軟磁性体部または前記永久磁石は、前記固定子からの距離に応じて段差状に設けられている、請求項1に記載の回転子。
- バックヨークを有していない、請求項1~5のいずれか一項に記載の回転子。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の回転子を有する、電動機。
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