JP2023042479A - 直描式露光装置及び直描式露光装置におけるステージクリーニング方法 - Google Patents

直描式露光装置及び直描式露光装置におけるステージクリーニング方法 Download PDF

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晃 五十嵐
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Abstract

【課題】 直描式露光装置において、基板やステージについて、表面に凹凸がある場合にも十分に塵除去ができるようにし、露光品質を向上させることができるようにする。【解決手段】 基板Wが載置されたステージ6がステージ移動機構61により移動し、空間光変調器3を備えた各露光ヘッド1により露光パターンの光が照射されている照射エリアを基板Wが通過する際に露光が行われる。所定回数の露光の後、メインシーケンスプログラム72は、基板Wを載置しない状態でステージ6を移動させ、ノズル位置調節機構83により所定距離dを隔てて保持されたノズル81のスリット810に吸引源82による負圧が作用して吸引がされ、ステージ6の溝601や孔602に付着している塵Pが吸引されて除去される。【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、空間光変調器により露光パターンを形成して露光する直描式露光装置に関するものである。
フォトリソグラフィ工程等で用いられる露光装置として、直描式露光装置が知られている。直描式露光装置は、マスクレスの露光装置の一種であり、DMD(Digital Mirror Device)のような空間光変調器により露光パターンを形成してマスクなしで直接パターンを描いて露光する装置である。
直描式露光装置は、露光パターンを必要に応じて適宜変更することが極めて容易で、多品種少量生産に適している。このため、各種製品の回路基板製作用や各種微細部品の製作用(MEMS)等に盛んに使用されている。露光の対象物は、多くの場合、板状(基板)であるが、板状でない場合もある。
特開2009-300543号公報
このような直描式露光装置において、塵や埃等の異物(以下、「塵」と総称する。)の混入によって露光品質が低下する問題が生じている。この種の露光装置は、必要な清浄度に保たれたクリーンルーム内に設置され、装置内においてもクリーンエアをダウンブローすることで塵が基板に転写されないようにしている。
しかしながら、装置内において塵をゼロにすることは難しく、露光品質向上の障害となっている。塵の発生原因として、基板自体が塵を装置内に持ち込んでしまうということが挙げられる。
基板は、装置に搬入される前にクリーンエアのダウンブローでクリニーニングされる場合が多いが、それでも、基板の裏面に塵が付着していたり、基板を搬送するハンドに塵が付着していたりして、装置内に持ち込まれ易い。また、塵は、基板の一部が欠けたり、前工程で形成された薄膜等の構造物に欠けが生じたりして発生する場合もある。
このような塵を除去して露光品質の低下を防ぐ構成として、粘着ローラーを使用する構成が採用されることがある。基板や基板を載置するステージに粘着ローラーを接触させて転動ささせ、塵を移着させて除去した上で露光が行われる。
このような粘着ローラーを使用した塵除去は、ある程度は効果があるが、凹凸や段差のように平坦でない表面に対しては十分に塵を除去できない問題がある。例えば、ステージに載置された基板の縁とステージとの段差(基板の厚み分の段差)のところに塵があると、粘着ローラーにうまく移着させることができず、塵が残ってしまい易い。また、基板上に凹凸が形成されていたり、スルーホールが形成されていたりすると、同様に粘着ローラーだけでは塵が除去できないケースが多い。
さらに、基板上や基板の周縁に存在する塵を除去できたとしても、基板が覆ってしまっているステージの表面(基板の裏側)については塵が除去できない。基板をステージから取り去った状態で粘着ローラーでステージ上で転動させれば良いが、ステージにも基板の真空吸着等のために凹凸が形成されており、そこに入り込んでしまった塵については、粘着ローラーでは除去できない。例えば、真空吸着孔に塵が入り込んでしまい、何かの拍子でそれが放出されると、露光の際に転写されて露光品質を損なう原因となる可能性がある。
この出願の発明は、直描式露光装置における上記課題を解決するために為されたものであり、基板やステージについて、表面に凹凸がある場合にも十分に塵除去ができるようにし、露光品質を向上させることができるようにすることを目的としている。
上記課題を解決するため、この明細書において、直描式露光装置の発明が開示される。開示された発明に係る直描式露光装置は、空間光変調器により露光パターンを形成して基板を露光する直描式露光装置である。
この装置は、
光源及び空間光変調器を含む露光ヘッドと、
基板が載置されるステージと、
ステージを移動させ、露光ヘッドにより露光パターンの光が照射されるエリアである照射エリアを基板が通過するようにするステージ移動機構と
を備えている。
この直描式露光装置では、
ステージ又はステージに載置された基板に付着している塵を負圧により吸引して除去する吸塵手段が設けられており、
吸塵手段は、長尺なスリットを有するノズルと、ノズルに連通されている吸引源とを備えており、
ノズルは、ステージ又はステージに載置された基板に対して所定距離上方に位置するものであり、
ノズルは、長さ方向が前記ステージの移動方向に対して垂直な水平方向になるように設けられている。
また、上記課題を解決するため、直描式露光装置において、ノズルには、ステージ又はステージに載置された基板に対する離間距離が所定距離になるようにするノズル位置調節機構が設けられ得る。
また、上記課題を解決するため、直描式露光装置は、
基準となる高さに対するステージ又は基板の距離を計測する距離計が設けられており、
ノズル位置調節機構は、距離計が計測したデータに従ってノズルを上下に移動させて位置を調節する上下駆動源を備えている
という構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、直描式露光装置は、
露光ヘッドが、形成された露光パターンを照射エリアに投影する投影レンズを備えており、
投影レンズによる露光パターンの投影を合焦状態とするために基板の表面との距離を計測するオートフォーカス用の距離計が設けられており、
前記距離計は、オートフォーカス用の距離計が兼用されている
という構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、直描式露光装置は、
弾性を有する素線から成るブラシが設けられており、
ブラシは、ステージ移動機構によってステージが移動している際、ステージ又はステージ上の基板に接触して素線が撓む状態となるものであり、
ノズルは、ステージ移動機構によってステージが移動している際、ブラシの素線が掻き出した塵を吸引可能な位置に位置する
という構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、直描式露光装置において、ブラシは、ステージ移動機構によってステージが移動している際、素線が撓んだ状態でステージの溝もしくは孔に入り込むことが可能なものであるか又はステージと基板との段差に当接することが可能なものであり得る。
また、上記課題を解決するため、直描式露光装置において、ノズルは、素線の先端を除きブラシを覆った形状を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、直描式露光装置は、ノズルが導電性であり、アースされているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、直描式露光装置は、
ステージ移動機構及び吸塵手段を制御する制御部が設けられており、
制御部には、メインシーケンスプログラムが実装されており、
メインシーケンスプログラムは、ステージに基板を載置してステージ移動機構によりステージを移動させて行う露光処理を所定回数行った後、ステージに基板を載置しない状態でノズルをステージに対して所定距離上方に位置させてステージをステージ移動機構により移動させることで塵を吸引して除去するステージクリーニングを行うようプログラミングされている
という構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、この明細書において、直描式露光装置におけるステージクリーニング方法の発明が開示される。この方法は、光源及び空間光変調器を含む露光ヘッドと、基板が載置されるステージと、ステージを移動させ、露光ヘッドにより露光パターンの光が照射されるエリアである照射エリアを基板が通過するようにするステージ移動機構とを備え、空間光変調器により光のパターンを形成して基板を露光するた直描式露光装置においてステージをクリーニングする方法である。
このステージクリーニング方法は、ステージ移動機構によるステージの移動方向に対して垂直な水平方向に長いスリットを有するととに吸引源に連通したノズルを、基板を載置しない状態でステージに対して所定距離上方に位置させ、この状態でステージをステージ移動機構により移動させることで、ステージに付着した塵を吸引して除去する方法である。
以下に説明する通り、開示された発明に係る直描式露光装置によれば、ノズルによって塵が吸引されて除去されるので、塵による露光品質低下の問題が回避される。この際、ノズルは、ステージの溝や孔に入り込んだ塵も除去できるので、粘着ローラーでは除去できなかった塵も十分に除去できる。したがって、露光品質向上の効果が高くなる。この点は、基板の除塵をする場合も同様であり、基板とステージとの段差部分に付着した塵や基板の凹部やスルーホールに入り込んだ塵も十分に除去でき、これらの塵が何らかの拍子で放出されて露光品質を低下させるのが防止される。
また、ステージ又はステージに載置された基板に対するノズルの離間距離が所定距離になるようにするノズル位置調節機構が設けられている構成では、ステージ又は基板に対して最適な吸引力を作用させることができ、吸塵を最適化できる。
また、基準高さに対するステージ又は基板の上下方向の位置を計測するのにオートフォーカス用の距離計を兼用する構成では、構造が簡略化され、部品点数削減によりコストダウンが図られる。
また、ステージ又はステージ上の基板に接触して素線が撓む状態となるブラシが設けられていて、素線が掻き出した塵を吸引可能な位置にブラシが位置する構成では、強く付着している塵についても吸引して除去することができ、露光品質向上の効果が高められる。
この際、ブラシの素線が撓んだ状態でステージの溝もしくは孔に入り込むことが可能であったり、又はステージと基板との段差に当接することが可能であったりすると、粘着ローラーによる除塵では除去できなかった溝、孔又は段差に入り込んだ塵もより十分に除去することができる。このため、露光品質向上の効果がさらに高められる。
また、ノズルが素線の先端を除きブラシを覆った形状を有している構成では、ブラシが掻き出した塵を逃すことなく吸引して除去する効果が高くなる。このため、露光品質向上の効果がさらに高められる。
また、ブラシが除電ブラシである構成では、静電的に吸着している塵についても確実に除去することができるので、この点で露光品質向上の効果がさらに高められる。
また、露光処理を所定回数行った後、ステージに基板を載置しない状態でノズルをステージに対して所定距離上方に位置させてステージをステージ移動機構により移動させることで塵を吸引して除去する装置又は方法によれば、生産性を大きく低下させることなく露光品質を向上させることができる上、基板によって覆われていたステージの表面に対して吸塵を行うことができるので、この点で露光品質向上の効果がより高くなる。
第一の実施形態の直描式露光装置の正面概略図である。 第一の実施形態の直描式露光装置の側面概略図である。 第一の実施形態の直描式露光装置の平面概略図である。 露光ヘッドの内部構造を示した概略図である。 照射エリアについて示した斜視概略図である。 ノズル位置調節機構によるノズル位置の調節について示した正面概略図である。 第一の実施形態の装置における吸塵動作について示した正面概略図である。 二つの上下駆動源を独立制御する例について示した側面概略図である。 第二の実施形態の直描式露光装置の主要部の正面概略図である。 第二の実施形態の直描式露光装置の主要部の側面概略図である。 第二の実施形態における吸塵手段の作用について示した正面概略図である。 第三の実施形態の直描式露光装置の主要部を示した正面概略図である。 第三の実施形態の直描式露光装置の主要部を示した側面概略図である。
以下、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1~図3は、第一の実施形態の直描式露光装置の概略図であり、図1は正面概略図、図2は側面概略図、図3は平面概略図である。
図1及び図2に示す直描式露光装置は、空間光変調器により光のパターンを形成して基板を露光する直描式露光装置である。具体的には、この装置は、光源及び空間光変調器を含む露光ヘッド1と、基板Wが載置されるステージ6と、ステージ移動機構61とを備えている。
露光ヘッド1は、全体としては円筒形であり、垂直に立てた状態で配置されており、下方に向けて光を出射するものとなっている。図4は、露光ヘッドの内部構造を示した概略図である。図4に示すように、露光ヘッド1は、光源2と、光源2からの光を空間的に変調する空間光変調器3と、空間光変調器3により変調された光による像を投影する光学系(以下、投影光学系)4等を備えている。
光源2は、基板Wにおける感光層の感光波長に応じて最適な波長の光を出力するものが使用される。レジストフィルムの感光波長は可視短波長域から紫外域である場合が多く、光源2としては、405nmや365nmのような可視短波長域から紫外域の光を出力するものが使用される。また、空間光変調器3の性能を活かすには、コヒーレントな光を出力するものであることが好ましく、このためレーザー光源2が好適に使用される。例えば、窒化ガリウム(GaN)系の半導体レーザーが使用される。
空間光変調器3としては、この実施形態ではDMDが使用されている。図4中に拡大して示すように、DMDでは、各画素は微小なミラー31である。ミラー(以下、画素ミラーという。)31は、例えば13.68μm角程度の正方形のミラーであり、多数の画素ミラー31が直角格子状に配列された構造とされる。配列数は、例えば1024×768個である。
空間光変調器3は、各画素ミラー31を制御する変調器コントローラ32を備えている。実施形態の露光装置は、全体を制御するメインコントローラ7を備えている。変調器コントローラ32は、メインコントローラ7からの信号に従って各画素ミラー31を制御する。尚、各画素ミラー31は、各画素ミラー31が配列された平面を基準面とし、この基準面に沿った第一の姿勢と、この基準面に対して例えば11~13°程度に傾いた第二の姿勢とを取り得るようになっている。第一の姿勢がオフ状態であり、第二の姿勢がオン状態である。
空間光変調器3は、各画素ミラー31を駆動する駆動機構を含んでおり、変調器コントローラ32は、各画素ミラー31について、第一の姿勢を取るのか第二の姿勢を取るのかを独立して制御できるようになっている。このような空間光変調器3は、テキサス・インスツルメンツ社から入手できる。
図4に示すように、露光ヘッド1は、このような空間光変調器3に光源2からの光を照射する照射光学系5を備えている。この実施形態では、照射光学系5は光ファイバ51を含んでいる。より高い照度で像形成を行うため、一つの露光ヘッド1は複数の光源2を備えており、各光源2について光ファイバ51が設けられている。光ファイバ51としては、例えば石英系のマルチモードファイバが使用される。
DMDである空間光変調器3を使用して精度の良い像形成を行うためには、平行光を入射させて各画素ミラー31に反射させるのが望ましく、また各画素ミラー31に対して斜めに光を入射させることが望ましい。このため、照射光学系5は、図4に示すように、各光ファイバ51から出射して広がる光を平行光にするコリメータレンズ52を含んでいる。
投影光学系4は、二つの投影レンズ群41,42と、投影レンズ群41,42の間に配置されたマイクロレンズアレイ(以下、MLAと略す。)43等から構成されている。MLA43は、より形状精度の高い露光を行うため、補助的に配置されている。MLA43は、微小なレンズを直角格子状に多数配列した光学部品である。各レンズ素子は、空間光変調器3の各画素ミラー31に1対1で対応している。
上述した露光ヘッド1において、光源2からの光は、光ファイバ61で導かれた後、照射光学系5により空間光変調器3に入射する。この際、空間光変調器3の各画素ミラー31は、変調器コントローラ32により制御され、露光パターンに応じて選択的に傾斜した姿勢とされる。即ち、形成すべき露光パターンに従い、光を照射エリアに到達させるべき位置に位置している画素ミラー31はオン状態とされ、それ以外の画素ミラー31はオフ状態とされる。オフ状態の画素ミラー31に反射した光は照射エリアには到達せず、オン状態の画素ミラー31に反射した光のみが到達する。このため、所定の露光パターンの光が照射エリアに照射される。
このような露光ヘッド1は、複数設けられている。図3に示すように、この実施形態では8個の露光ヘッド1が設けられている。8個の露光ヘッド1により、全体として一つの露光パターンが形成される。尚、各露光ヘッド1は、同じ構成である。
ステージ6は、水平な上面に基板Wが載置される部材である。上面には、基板Wを真空吸着する不図示の真空吸着孔が設けられている。ステージ移動機構61は、基板Wが載置されたステージ6を照射エリアを通して移動させる機構である。
ステージ移動機構61は、照射エリアを通して配設されたリニアガイド60と、リニアガイド60に沿ってステージ6を直線移動させる不図示の駆動源とを備えている。駆動源としては例えばリニアモータが使用され、リニアモータステージ6の構成が採用され得る。リニアガイド60が延びる方向が、搬送方向である。以下、この方向をX方向と呼び、X方向に垂直な水平方向をY方向と呼ぶ。
尚、搬送方向において、照射エリアから離れた一方の側にはステージ6の待機位置が設定されている。待機位置には、不図示の移載機構が配置されている。
照射エリアについて、図5を参照して補足する。図5は、照射エリアについて示した斜視概略図である。図5において、1個の露光ヘッド1で光が照射され得る領域(以下、個別エリアという。)Eが四角い枠で示されている。個別エリアEの集まりが、照射エリアである。
基板Wは図5中矢印で示す方向(X方向)に移動しながら、各個別エリアEで光照射を受ける。この際、二列の露光ヘッド1は互いにずれて配置されているので、移動方向に垂直な水平方向(Y方向)においても、隙間無く露光が行われる。
図5中に拡大して示すように、実際には、各個別エリアE内は、微小な照射パターン(以下、微小パターンという。)Mの集まりとなっている。1個の微小パターンMは、1個の画素ミラー31によるパターンである。ステージ6に載置された基板Wがステージ6の移動に伴って照射エリアを移動するが、その移動のタイミングに合わせて所定のシーケンスで微小パターンMのオンオフがされる。これにより、所望の露光パターンが基板Wに形成される。
図1に示すように、メインコントローラ7は記憶部71を備えており、記憶部71には、装置全体のシーケンス制御のためのメインシーケンスプログラム72と、1枚の基板Wに対する露光の際に各露光ヘッド1内の空間光変調器3の各画素ミラー31をシーケンス制御する画素シーケンスプログラム73とが記憶されている。メインシーケンスプログラム72は、各基板Wの露光の際に、画素シーケンスプログラム73を呼び出して実行する。尚、各画素ミラー31を実際に制御するのは変調器コントローラ32であるので、画素シーケンスプログラム73は、変調器コントローラ32にシーケンスを与えてそのシーケンスで各画素ミラー31が駆動されるようにするプログラムである。
尚、待機位置と照射エリアとの間には、基板Wに対する露光パターンの形成位置の制御(アライメント)のため、基板Wのアライメントマークを撮影する不図示のカメラが設けられている。カメラの撮影データは、メインコントローラ7に送られるようになっている。メインコントローラ7は、撮影データを引数にして画素シーケンスプログラム73を実行することで、露光パターンの形成位置を制御する。
このような実施形態の直描式露光装置は、露光品質の向上のため、従来とは異なる方式の塵除去手段を備えている。即ち、実施形態の装置は、塵を吸引して除去する吸塵手段を備えている。吸塵手段は、ステージ6又はステージ6上の基板Wに付着している塵を負圧により吸引して除去する手段である。
図1に示すように、吸塵手段は、スリット810を有するノズル81と、ノズル81に連通されている吸引源82とを備えている。吸引源82としては、例えばリングブロワのようなブロワ吸引機が使用できる。吸引源82による負圧は、大気圧に対して例えば-5kPa~-20kPa程度である。
図2及び図3に示すように、ノズル81は長尺な部材であり、長手方向に延びるスリット810を有してスリット810から塵を吸い込む部材である。図2及び図3に示すように、ノズル81はステージ6の幅方向(Y方向)に沿った状態で配置されており、ステージ6の幅(Y方向の長さ)よりも少し長く、スリット810もステージ6の幅より少し長い。スリット810の幅(X方向の長さ、図1中にwで示す。)は、0.5mm~3.0mm程度である。
ノズル81は、スリット810を下方に向けて設置されている。ノズル81は、軽量であることが好ましく、この点からPVC(ポリ塩化ビニール)樹脂やPMMA(アクリル)樹脂のような樹脂製のものが使用される。アルミのような金属製であっても良い。
ノズル81は、吸引ホース821により吸引源82に接続されている。吸引経路の途中にはバルブ822が設けられており、バルブ822はメインコントローラ7からの信号により開閉されるようになっている。尚、吸引に伴って吸引源82からはエアが放出されるが、吸引源82は、クリーンルームの外に設置されるか、又はHEPAフィルタ等のフィルタを通して放出がされるようにし、吸引した塵がクリーンルーム内に再放出されない構成とされている。
また、吸塵手段は、基板W又はステージ6に対してノズル81を最適な位置に位置させるためのノズル位置調節機構83を備えている。ノズル位置調節機構83は、この実施形態では、ノズル81を上下動させて基板W又はステージ6に対して所定距離上方の位置を保持する機構となっている。尚、装置は、各部を取り付けるための上部フレーム(不図示)を有している。ノズル位置調節機構83は上部フレームに固定されており、ノズル81は上下位置調節機構83を介して吊り下げられている。
上下位置調節機構83は、上下駆動源831を備えている。図2及び図3に示すように、ノズル81の両端に上下駆動源831が連結されている。上下駆動源831としては、例えばサーボモータが使用される。上下駆動源831は、例えばボールネジを使用して回転を上下の直線運動に変換する機構を含んでおり、ノズル81の両端は、この機構を介して上下駆動源831に連結されている。このため、両側の上下駆動源831を同期して動作させることでノズル81を上昇させたり下降させたりすることができるようになっている。ノズル81は、両側の上下駆動源831で保持された状態で取り付けられており、両側の上下駆動源831は上部フレームに固定されている。
装置は、基準となる高さ位置から基板W又はステージ6までの距離を計測する距離計を備えており、ノズル位置調節機構83は、計測された距離に従って上下駆動源831を制御する機構となっている。この点について、図6を使用して説明する。図6は、ノズル位置調節機構によるノズル位置の調節について示した正面概略図である。
この実施形態では、基準となる高さ位置から基板W又はステージ6までの距離の計測には、各露光ヘッド1による露光の際のオートフォーカス用の距離計(以下、AF用距離計という。)10が兼用されている。図1及び図6に示すように、照射エリアに近い位置に、AF用距離計10が設けられている。この実施形態では、基板Wが載置されたステージ6は、照射エリアをいったん通り過ぎた後、戻ってくる際に(復路において)露光が行われるシーケンスとなっている。このため、AF用距離計10は、照射エリアに対して待機位置とは反対側の位置に取り付けられている。AF用距離計10としては、例えばレーザー変位計が使用される。
AF用距離計10はメインコントローラ7に接続されており、計測した値をメインコントローラ7に送る。メインコントローラ7は、この値を各露光ヘッド1内の投影光学系4にフィードバックし、投影レンズ41,42のフォーカス制御に利用する。加えて、メインコントローラ7は、計測値をノズル位置調節機構83に送り、計測された基板W又はステージ6の位置との関係でノズル81を上下方向の最適位置に位置させる。即ち、計測値に従い、基板Wの上面又はステージ6の上面とノズル81の下面との距離が所定距離dとなるようノズル81の高さ位置が算出され、その位置になるよう各上下駆動源831が制御される。
図6では、一例として、基板Wがない状態でステージ6の表面の塵を除去するための吸塵を行う状態が示されている。図6に示すように、ノズル位置調節機構83は、両側の上下駆動源831を同期して動作させ、AF用距離計10の計測値に従ってステージ6の上面とノズル81の下端との離間距離が所定距離dとなるように制御(サーボ制御)する。
所定距離dについては、0.5mm~3.0mm程度とすることが好ましい。所定距離dは小さい方が弱い吸引力でも塵を吸引できるようになるため好適であるが、0.5mmより短くなると、ステージ移動機構61等の精度によってはノズル81がステージ6に衝突してしまう可能性があり、衝突によりノズル81が破損したり破片が塵の発生源となってしまったりする恐れがある。3.0mmより長くなると、塵を十分に吸引するにはより大きな吸引力が必要となり、構造が大掛かりとなったり、周囲の塵を不必要に巻き上げてしまったりし易い。このため、所定距離dは、0.5mm~3.0mmとすることが好ましい。
ステージ6に基板Wが載置された状態で吸塵を行う場合も同様であるが、ノズル位置調節機構83は、AF用距離計10が計測した基板Wの各部の高さのうち最も高い位置を基準として所定距離dが保持されるよう上下駆動源831を制御する。即ち、既に行われた処理によって基板W上に構造物が造り込まれていて凹凸が存在する場合があり、その場合には最も高い位置の部位を計測した際の距離計の値で所定距離dの制御が行われる。
尚、ステージ6に基板Wが載置された状態で吸塵を行う場合、吸引源82によって生じるノズル81のスリット810における負圧は、ステージ6における基板Wの真空吸着のための負圧よりも低い圧力にならないようにすることが好ましい。真空吸着よりも低い圧力になると、吸塵の際に基板Wのずれが生じる恐れがあるからである。
メインコントローラ7に実装されたメインシーケンスプログラム72には、上記吸塵手段の動作を制御するモジュールが含まれている。この実施形態では、メインシーケンスプログラム72は、所定枚数(所定回数)の露光処理を行った後、上記吸塵手段を動作させるシーケンスとなっている。
上記構成に係る実施形態の直描式露光装置の動作について、図7を参照しつつ以下に説明する。図7は、第一の実施形態の装置における吸塵動作について示した正面概略図である。
実施形態の直描式露光装置により露光を行う際、基板Wは、待機位置において不図示の移載機構によりステージ6に載置されて真空吸着される。基板Wが載置されたステージ6は、ステージ移動機構61により移動し、照射エリアに向かう。この際、不図示のカメラが基板Wのアライメントマークを撮影し、メインコントローラ7に送る。ステージ6は、照射エリアをいったん通過した後、反転して照射エリアに向かう。この際、AF用距離計10がステージ6上の基板Wとの距離を計測し、計測データはメインコントローラ7に送られる。
復路においてステージ6上の基板Wが照射エリアを通過する際、メインコントローラ7は、画素シーケンスプログラム73を実行し、各露光ヘッド1によって照射エリアに露光パターンの光が照射されるようにする。この際、カメラによるアライメントマークの撮影データが渡されて所定位置に露光パターンの光が照射されるのに加え、AF用距離計10による計測データにより各投影レンズ41,42が制御されて最適な合焦状態で露光が行われる。
復路において露光が行われた後、ステージ6は待機位置に戻され、不図示の移載機構により基板Wがステージ6から搬出される。そして、未露光の基板Wが再びステージ6に載置され、同様の処理が繰り返される。
このようにして所定回数(所定枚数)の基板Wについて露光処理が行われた後、メインシーケンスプログラム72は、吸塵処理のシーケンスを実行する。即ち、基板Wを載置しない状態でステージ6をステージ移動機構61により移動させ、照射エリアをいった通過させる。そして、AF用距離計10がステージ6の上面との距離を計測し、その計測データをメインコントローラ7に送る。メインコントローラ7は、この計測データをノズル位置調節機構63に送って上下駆動源831を制御し、ノズル81の下端がステージ6の上面に対して所定距離dの高さとなるようにする。尚、吸引源82は、予め動作させておくが、バルブ822は閉の状態としておく。
そして、復路を移動するステージ6の進行方向前端がノズル81の直下の位置に達する少し前のタイミングで、メインコントローラ7はバルブ822を開き、吸引源82による吸引圧力(負圧)がノズル81に作用するようにする。この状態で、ステージ6がノズル81の直下の位置を通り過ぎ、この際、ステージ6に存在する塵がノズル81から吸引されて除去される。より具体的には、図7に示すように、ステージ6の上面のうち平坦な箇所にある塵に加え、溝601の内部にある塵Pや真空吸着孔602に入り込んだ塵Pがノズル81に吸引されて除去される。
ステージ6の進行方向後端がノズル81の直下の位置を通り過ぎると、メインコントローラ7は、バルブ822を閉じ、吸引を停止する。その後、前述したように基板Wをステージ6に載置し、枚葉処理を繰り返す。
尚、基板W上に付着した塵を除去する場合、ステージ6に基板Wを載置した状態で同様に吸塵手段を動作させる。この場合は、照射エリアを過ぎてAF用距離計10により距離を測定した後に反転し、復路で露光を行わずに照射エリアを通り過ぎて待機位置の側に向けて移動する際にノズル81の直下で吸塵が行われる。その後、さらに反転して照射エリアに向かい、往路又は復路で露光が行われる。したがって、二往復することになる。
上記動作に係る実施形態の直描式露光装置によれば、吸塵手段によって塵が吸引されて除去されるので、塵による露光品質低下の問題が回避される。この際、ノズル81は、ステージ6の溝601や孔602に入り込んだ塵も除去できるので、粘着ローラーでは除去できなかった塵も十分に除去できる。したがって、露光品質向上の効果が高くなる。この点は、基板Wの除塵をする場合も同様であり、基板Wとステージ6との段差部分に付着した塵や基板Wの凹部やスルーホールに入り込んだ塵も十分に除去でき、これらの塵が何らかの拍子で放出されて露光品質を低下させるのが防止される。
尚、ステージクリーニングが行われるインターバルである「所定回数」については、1の場合もあり得る。即ち、1枚の基板Wを処理するたびごとにステージクリーニングが行われる場合もあり得る。
また、ノズル位置調節機構63が設けられているので、ステージ6又は基板Wに対してノズル61を最適な位置に位置させることができ、ステージ6又は基板Wに対して最適な吸引力を作用させることができる。このため、吸塵を最適化できる。
この際、基準高さに対するステージ6又は基板Wの上下方向の位置を計測するのにAF用距離計10を兼用しているので、構造が簡略化され、部品点数削減によりコストダウンが図られる。
上記第一の実施形態の装置において、ノズル81を上下動させる上下駆動源831については、同期して動作させる場合の他、各々独立して動作させても良い。この場合の好適な制御例として、ノズル81を適宜斜めの姿勢とする制御が挙げられる。この点について、図8を参照して説明する。図8は、二つの上下駆動源831を独立制御する例について示した側面概略図である。
図8に示すように、二つの上下駆動源831を独立制御し、ノズル81の一方の端部の高さ位置と他方の端部の高さを僅かにずらすと、ノズル81は僅かに斜めの姿勢となる。このようにすると、ステージ6又は基板Wが僅かに斜めの姿勢となった場合、それに対応してノズル81を斜めの姿勢とすることで、ノズル81の長さ方向でステージ6又は基板Wとの離間距離が所定距離dにより近づいたバラツキの少ない状態とすることができる。このため、吸塵作用のバラツキも少なくなり、より確実に塵を除去することができる。
尚、図3に示すように、AF用距離計10は、Y方向に並んだ状態で複数設けられている。したがって、ステージ6の高さ位置又は基板Wの高さ位置のY方向におけるバラツキを測定することが可能であり、このバラツキは、ステージ6又は基板Wが斜めの姿勢になっていることを示す。したがって、各AF用距離計10からの計測データにより斜めの姿勢を特定し、それに応じて二つの上下駆動源831を独立制御することで、より確実に吸塵を行うことができる。
ステージ6については、平坦性良く加工・製作されており、直線性の良いステージ移動機構61によって移動するので、図8のような場合は少ないが、基板Wについては、僅かに反っていたり歪んだりしている場合がある。そのように僅かに反っていたり歪んだりしていても製品としては特に不良品ではないという場合があり、図8に示すような状態で吸塵が行われる場合がある。したがって、二つの上下駆動源831を制御してノズル81を適宜の斜めの姿勢にできる点は、有利である。
尚、上記斜めの姿勢とする制御は、二つの上下駆動源831のノズル81に対する連結構造における許容隙間の範囲とされる。もしくは、ノズル81に対する連結構造に弾性ヒンジ等を適宜配して斜めの姿勢を保持して上下駆動可能とされる。
上下駆動源831としては、サーボモータのような電動アクチュエータの他、エアシリンダのような流体圧アクチュエータが採用されることもある。流体圧アクチュエータを使用する場合、上下位置の調節についてはストッパを適宜配置して行うことができる。ノズル81を斜めの姿勢とする制御については、左右のストッパの位置を異なる高さ位置とすることで行うことができる。
また、ノズル81の両端に上下駆動源831が設けられていることは必須ではなく、長さ方向(Y方向)の中央に1個の上下駆動源を設けて上下動作させても良い。この場合の上下駆動源は、電動でも流体圧でも良い。中央に駆動源を設けて上下させる場合、両端にはリニアガイドが設けられるが、ノズル81の長さがそれほど長くない場合、リニアガイドは設けずに上下駆動源の直線性で上下位置の精度を確保しても良い。もしくは、中央に1個のリニアガイドを設けても良く、エアシリンダとその背後に設けたリニアガイドとがユニットになった製品が市販されているので、それを使用することもできる。
次に、第二の実施形態の直描式露光装置について説明する。図9及び図10は、第二の実施形態の直描式露光装置の主要部の概略図であり、図9は正面概略図、図10は側面概略図である。
図9及び図10に示すように、第二の実施形態の直描式露光装置においても、吸塵手段が設けられており、吸塵手段は、ノズル81と、吸引ホース821を介してノズル81に接続された吸引源82とを備えている。
第二の実施形態では、吸塵手段による吸塵作用を高めるため、ブラシ84が採用されている。図9及び図10に示すように、ノズル81は中空の部材となっており、ブラシ84はノズル81内に配設されている。
この実施形態においても、ノズル81はステージ6の幅方向(Y方向)に長いものである。ノズル81内には、ノズル81と同方向に延びる帯板状のホルダー841が固定されており、ブラシ84はホルダー841の下面に取り付けられている。
図9及び図10に示すように、ブラシ84は、ノズル81の吸引口810を通して吸引口から少し突出する長さを有している。即ち、ブラシ84は、先端部分を除きノズル81によって覆われた状態となっている。ブラシ84の各素線は、適度な弾性を有しており、自由状態におけるブラシ84の突出長さ(図9にLで示す)は、前述した所定距離dよりも少し長いものとされる。したがって、ノズル81がステージ6又は基板Wに対して所定距離dを保つよう配置された場合、ノズル81の各素線は少し撓んだ状態となる。突出長さLは、所定距離dに対して例えば1mm~3mm程度長い長さとされる。
このようなブラシ84は、いわゆる除電ブラシとされることが好ましい。即ち、ブラシ84の各素線は導電性とされ、アースされた状態で取り付けられることが好ましい。例えば、ホルダーを金属製とし、図9に示すようにホルダーを介してブラシ84をアースする。除電ブラシであるブラシ84としては、アモルファス金属繊維、ステンレス繊維、カーボン繊維、サンダーロン等を適宜選択して使用することができる。
このようにブラシ84を備えた吸塵手段の作用について、図11を参照して説明する。図11は、第二の実施形態における吸塵手段の作用について示した正面概略図である。図11では、一例として、ステージ6についての吸塵が示されている。
第二の実施形態においても、例えば基板Wがない状態のステージ6に対してブラシ84は所定距離dを隔ててステージ6の上方に位置する状態とされ、この状態でステージ6がステージ移動機構61により移動する。この際、図11に示すように、ブラシ84の各素線は、自由状態において所定距離dよりも長い突出長さLを有しているため、弾性によりステージ6の溝601や孔602内に入り込み、溝601や孔602の内部に付着している塵Pを効率良く掻き出す。掻き出された塵Pは、スリット810を通して吸引されてノズル81内に入り込み、吸引ホース821を通して排出される。
上記のように、第二の実施形態によれば、従来の粘着ローラーによる除塵では除去できなかった溝601や孔602内の塵Pがブラシ84により掻き出されて効率良く除去される。このため、露光品質がさらに向上する。この点は、基板Wの段差部分に付着した塵についても同様である。
そして、第二の実施形態では、ブラシ84は除電ブラシとなっており、ステージ6や塵が除電される。このため、静電的にステージ6に吸着している塵についても十分に除去することができる。この点は溝601や孔602内に付着している塵Pについても同様であり、除電によって塵Pが掻き出され易くなるので、より十分に吸塵を行うことができ、上記効果がより高くなっている。
尚、ブラシ84がノズル81のスリット811から突出していて先端部分を除きノズル81で覆われた構造となっている点には、ブラシ84が掻き出した塵を散乱させることなく確実に除去させることができるという意義がある。同様のことを行う構造として、ブラシ84をノズル81の前方に配置する構造を採用することが考えられる。前方とは、ステージ6又は基板Wが移動してきた際に最初にステージ6又は基板Wと向かい合う位置ということである。このような構造であっても溝601や孔602についての除塵は可能であるが、ブラシ84が塵を掻き出した際、ノズル81による吸引可能エリアの外側に塵を散乱させてしまうと吸塵ができなくなってしまう。上記のようにブラシ84がノズル81のスリット811を通して延びている構造では、このような問題はなく、塵は確実に吸引されて除去される。
他の構造として、ノズル81の下面(スリット811を設けた面)にブラシ84を固定することも考えられる。この構造でも良いが、吸引口を通してブラシ84が配設された構造の方がより効果が高い。
次に、第三の実施形態の直描式露光装置について説明する。図12及び図13は、第三の実施形態の直描式露光装置の主要部を示した概略図であり、図12は正面概略図、図13は側面概略図である。
第三の実施形態においても、吸塵手段が設けられており、吸塵手段は、ノズル81と、吸引ホース821を介してノズル81に接続された吸引源82とを備えている。第三の実施形態では、図12及び図13に示すように、ノズル81は車輪85を備えている。
図12(1)及び図13に示すように、車輪85は、ノズル81において、Y方向の両端部に設けられており、計二つ設けられている。但し、図12(2)に示すようにX方向の両端部にも設けて計四つとする場合もある。尚、図示は省略されているが、各車輪85には、発塵を抑えた材料で形成されたタイヤが装着されている。
これらの車輪85は、前述した所定距離dを保持するための簡便な構造として採用されている。即ち、各車輪85の車軸はノズル81内に固定されており、その固定位置は、ノズル81の下面から突出する車輪85の突出長さが所定距離dに一致する位置となっている。このため、図12及び図13に示すように、各車輪85がステージ6に接触した状態では、ノズル81はステージ6に対して所定距離dを保持した状態となり、ステージ6が移動した際、距離dが保持されて各車輪85は転動(従動回転)する。このため、ステージ6に付着している塵に対して十分な吸引作用が働く。この際、各車輪85によって所定距離dが維持されるので、ノズル81に対して位置のフィードバック制御をする必要がなく、この点で簡便となる。
尚、基板Wに対する除塵についても第三の実施形態の構造を適用しても良いが、車輪85を基板Wに接触させることが好ましくない場合もある。その場合には、各車輪85が基板Wの外側においてステージ6に接触する構造を採用することができる。この場合には、各車輪85の突出長さは所定距離dに加えて基板Wの厚さを加算した長さとされる。
第三の実施形態においても、第二の実施形態と同様にブラシ84を併用することができ、ブラシ84は、ノズル81内に配設されて吸引口を通して突出する構造とすると好適である。
上述した各実施形態において、ノズル81は、待機位置と照射エリアとの間の位置に配置されていたが、照射エリアに対して待機位置とは反対側に設けても良い。この場合は、ステージ6又は基板Wは、照射エリアをいったん通り過ぎた後、反対側で吸塵が行われる。この構成によると、基板Wに対して吸塵を行う場合も、復路で照射エリアを通り過ぎる際に露光を行うことができるので、二往復する必要はない。
上記変形例も含め、露光が行われている際には吸塵の動作は行わないようにすること、即ち露光と吸塵の同時進行は避けることが好ましい。吸塵の際には、吸引に伴って振動が生じる場合があり、僅かでも振動が生じると、露光に影響が生じる場合があるからである。例えば、ノズル81が照射エリアに近い位置に配置されている構成で、基板Wの吸塵を行う場合、ステージ6の移動に伴ってノズル81が基板W上をスキャンする状態になるが、基板Wのうち移動方向前方の部位が吸塵が終わって照射エリアに達する状態があり得る。この場合、後方の部位に対して吸塵が行われている状態で前方の部位に対して露光が行われることになるが、この構成は振動による影響があり得るので、好ましくはない。これを避けるには、ノズル81を照射エリアに対して離れた位置に配置し、基板Wの後端まで吸塵が完了した後に前端が照射エリアに進入して露光が行われる構成とすれば良い。
上記各実施形態において、距離計については、露光のためのAF用距離計10を兼用したが、AF用距離計10とは別に距離計を設けても良い。例えば、待機位置の直後の位置に距離計を設け、ここで距離を計測して照射エリアの手前でノズル81がステージ6又は基板Wをスキャンして吸塵が行われる構成が考えられる。
また、本願発明の実施に際して距離計は必須ではなく、距離計が不要な場合もある。例えば、ステージ6に対する吸塵のみを行う場合で、ステージ移動機構61によって移動するステージ6の上面の高さ位置が常に一定で安定している場合、その位置に対して所定距離dとなる位置にノズル81を配置すれば足り、特に距離計は不要である。基板Wに対する吸塵を行う場合も、基板Wの厚さについて大きな変更がない場合や、変更があってもその程度の違いが吸塵作用に影響がない場合は、ある一定の高さ位置にノズル81を配置すれば良く、距離計は不要である。さらに、これらの場合、ノズル81の位置調節が不要な場合もあり、ノズル位置調節機構83が設けられない場合(ノズル81が固定的に設けられる場合)もあり得る。
尚、吸引源82については、リングブロアのようなブロアの他、真空ポンプを使用することができる。この場合、ステージ6の真空吸着孔を排気する真空ポンプを併用することも可能である。
上述した各実施形態において、直描式露光装置はいわゆるツインステージの構成を持ち得る。ツインステージの構成とは、二台のステージを設けた構成であり、照射エリアを挟んで両側にステージの待機位置が設定されている構成である。両側のステージは、交互に照射エリアを通して往復し、それぞれに載置されている基板Wに対して交互に露光が行われる。この場合、吸塵手段としては、双方のステージ及び双方のステージ上の基板Wに対する吸塵を行うものとして兼用される場合もあり、それぞれのステージ及びそれぞれのステージ上の基板に対する吸塵を行うものとして別個に設けられる場合もある。
1 露光ヘッド
10 AF用距離計
6 ステージ
601 溝
602 真空吸着孔
61 ステージ移動機構
7 メインコントローラ
72 メインシーケンスプログラム
81 ノズル
82 吸引源
821 吸引ホース
822 バルブ
83 ノズル位置調節機構
831 上下駆動源
84 ブラシ
85 車輪
W 基板
P 塵

Claims (10)

  1. 空間光変調器により露光パターンを形成して基板を露光する直描式露光装置であって、
    光源及び空間光変調器を含む露光ヘッドと、
    基板が載置されるステージと、
    ステージを移動させ、露光ヘッドにより露光パターンの光が照射されるエリアである照射エリアを基板が通過するようにするステージ移動機構と
    を備えており、
    ステージ又はステージに載置された基板に付着している塵を負圧により吸引して除去する吸塵手段が設けられており、
    吸塵手段は、長尺なスリットを有するノズルと、ノズルに連通されている吸引源とを備えており、
    ノズルは、ステージ又はステージに載置された基板に対して所定距離上方に位置するものであり、
    ノズルは、長さ方向が前記ステージの移動方向に対して垂直な水平方向になるように設けられていることを特徴とする直描式露光装置。
  2. 前記ノズルには、前記ステージ又は前記ステージに載置された基板に対する離間距離が前記所定距離になるようにするノズル位置調節機構が設けられていることを特徴とする請求項1記載の直描式露光装置。
  3. 基準となる高さに対する前記ステージ又は前記基板の距離を計測する距離計が設けられており、
    前記ノズル位置調節機構は、距離計が計測したデータに従って前記ノズルを上下に移動させて位置を調節する上下駆動源を備えていることを特徴とする請求項2記載の直描式露光装置。
  4. 前記露光ヘッドは、形成された露光パターンを照射エリアに投影する投影レンズを備えており、
    投影レンズによる露光パターンの投影を合焦状態とするために基板の表面との距離を計測するオートフォーカス用の距離計が設けられており、
    前記距離計は、オートフォーカス用の距離計が兼用されていることを特徴とする請求項3記載の直描式露光装置。
  5. 弾性を有する素線から成るブラシが設けられており、
    ブラシは、前記ステージ移動機構によってステージが移動している際、前記ステージ又は前記ステージ上の基板に接触して素線が撓む状態となるものであり、
    前記ノズルは、前記ステージ移動機構によってステージが移動している際、ブラシの素線が掻き出した塵を吸引可能な位置に位置することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の直描式露光装置。
  6. 前記ブラシは、前記ステージ移動機構によってステージが移動している際、前記素線が撓んだ状態で前記ステージの溝もしくは孔に入り込むことが可能なものであるか又は前記ステージと前記基板との段差に当接することが可能なものであることを特徴とする請求項5記載の直描式露光装置。
  7. 前記ノズルは、前記素線の先端を除き前記ブラシを覆った形状を有していることを特徴とする請求項5又は6記載の直描式露光装置。
  8. 前記ノズルは導電性であり、アースされていることを特徴とする請求項5、6又は7記載の直描式露光装置。
  9. 前記ステージ移動機構及び前記吸塵手段を制御する制御部が設けられており、
    制御部には、メインシーケンスプログラムが実装されており、
    メインシーケンスプログラムは、前記ステージに基板を載置して前記ステージ移動機構により前記ステージを移動させて行う露光処理を所定回数行った後、前記ステージに基板を載置しない状態で前記ノズルを前記ステージに対して所定距離上方に位置させて前記ステージをステージ移動機構により移動させることで塵を吸引して除去するステージクリーニングを行うようプログラミングされていることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の直描式露光装置。
  10. 光源及び空間光変調器を含む露光ヘッドと、基板が載置されるステージと、ステージを移動させ、露光ヘッドにより露光パターンの光が照射されるエリアである照射エリアを基板が通過するようにするステージ移動機構とを備え、空間光変調器により露光パターンを形成して基板を露光する直描式露光装置においてステージをクリーニングする方法であって、
    ステージ移動機構によるステージの移動方向に対して垂直な水平方向に長いスリットを有するととに吸引源に連通したノズルを、基板を載置しない状態でステージに対して所定距離上方に位置させ、この状態でステージをステージ移動機構により移動させることで、ステージに付着した塵を吸引して除去することを特徴とする直描式露光装置におけるステージクリーニング方法。
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