JP2023042085A - コーヒー豆およびコーヒー豆の製造方法 - Google Patents

コーヒー豆およびコーヒー豆の製造方法 Download PDF

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coffee
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良介 杉野
Ryosuke Sugino
真 片山
Makoto Katayama
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Abstract

【課題】本発明は、コーヒーの香りに影響する2-フェニルエタノールが従来よりも豊富に含まれるコーヒー豆およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の一態様は、2-フェニルエタノールを9ppm以上含有するコーヒー豆を提供する。また、本発明の一態様は、2-フェニルエタノールを9ppm以上含有するコーヒー豆の製造方法であって、原料豆に、酵母と、前記原料豆1kgあたり0.01g以上のフェニルアラニンとを添加する工程(i)であって、前記原料豆は、コーヒーチェリー、コーヒーチェリーの外皮および果肉を取り除いたウェットパーチメント、コーヒー生豆、またはこれら2以上の組み合わせである、工程(i)と、前記酵母およびフェニルアラニンを添加した前記原料豆を発酵させる工程(ii)とを備える前記製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、コーヒー豆およびコーヒー豆の製造方法に関する。
コーヒー豆は、コーヒーノキと呼ばれるアカネ科の植物の果実(コーヒー果実またはコーヒーチェリーと称される。)から果肉や薄皮を除去する工程(精製工程)を経て得られるコーヒー種子、およびコーヒー種子を加工した豆の総称である。このうち、コーヒー豆を加熱して煎り上げる焙煎工程を経る前のコーヒー豆をコーヒー生豆と称し、焙煎工程を経た後のコーヒー豆をコーヒー焙煎豆と一般的に称している。
従来より、発酵により香気成分を付与したコーヒー生豆が知られている。特許文献1は、改質コーヒー生豆にGC/MS分析を行って得られたフェニルエチルアルコールの相対面積が、標準物質であるエチルヘキサノエートの相対面積1.00に対して0.11~0.25を示し、標準のコーヒー豆に比べて2~3倍の量のフェニルエチルアルコール成分を有する改質コーヒー生豆を開示する。特許文献1の技術は、酵母や微生物を入手して用いなくても、付加価値のある風味をコーヒー抽出液に付与する。
特許文献2は、コーヒー豆に資化成分と酵母を添加し、それを発酵させることで香味を向上させる技術を開示する。非特許文献1は、清酒醸造においてβフェニルエタノールを生産する酵母の分離と生成機序を開示し、エールリッヒ経路を利用して酵母がフェニルアラニンからβフェニルエタノール(2-フェニルエタノール)を生成することを開示する。
特開2018-50535号公報 特許第5032979号
小金丸和義他、J. Brew. Soc. Japan. Vol.98, No.3, p.201~209 (2003)
このような状況において、香り豊かなコーヒーを提供し得るコーヒー豆を提供することが望まれている。
本発明は、以下に記載のコーヒー豆およびコーヒー豆の製造方法を提供する。
[1]
2-フェニルエタノールを9ppm以上含有するコーヒー豆。
[2]
前記2-フェニルエタノールの含有量が9ppm~2000ppmである、上記[1]に記載のコーヒー豆。
[3]
前記コーヒー豆がコーヒー生豆またはコーヒー焙煎豆である、上記[1]または[2]に記載のコーヒー豆。
[4]
前記コーヒー豆中の2-フェニルエタノールの含有量は、以下の測定方法に従って測定される、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のコーヒー豆。
〔測定方法〕
試験管にコーヒー豆1gを入れ、水20mlとジエチルエーテル10mlを加え、1時間浸漬させる。その後、塩化ナトリウム8gを加え、振とうして遠心分離にかける。ジエチルエーテル層を1ml分取りし、そこにさらにジエチルエーテルを加えて20mlとする。これを以下のガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて、ガスクロマトグラフィー質量分析法により2-フェニルエタノールの含有量を測定する。
〔ガスクロマトグラフィー質量分析計〕
機種:6890A/5973N [Agilent Technologies, Inc.]
カラム:DB-WAX UI(φ0.25 mm×60 m, 膜厚0.5μm) [Agilent Technologies, Inc.]
注入方法:スプリット5:1
温度:試料注入口 220℃
カラム 60℃で1分間保持し、10℃/分で昇温し、240℃で5分保持
ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス)1mL/分
イオン源温度:230℃
イオン化法:EI
設定質量数:m/z91。
[5]
2-フェニルエタノールを9ppm以上含有するコーヒー豆の製造方法であって、
原料豆に、酵母と、前記原料豆1kgあたり0.01g以上のフェニルアラニンとを添加する工程(i)であって、前記原料豆は、コーヒーチェリー、コーヒーチェリーの外皮および果肉を取り除いたウェットパーチメント、コーヒー生豆、またはこれら2以上の組み合わせである、工程(i)と、
前記酵母およびフェニルアラニンを添加した前記原料豆を発酵させる工程(ii)と
を備える前記製造方法。
[6]
前記酵母は、カンディダ・サケ(Candida sake)、ブレタノマイセス種(Brettanomyces sp.)、ジゴサッカロミセス・ビスポラス(Zygosaccharomyces bisporus)、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、およびこれら2以上の組み合わせからなる群から選択される、上記[5]に記載の製造方法。
[7]
工程(ii)において、前記原料豆が1時間以上発酵される、上記[5]または[6]に記載の製造方法。
[8]
前記コーヒー豆中の2-フェニルエタノールの含有量は、以下の測定方法に従って測定される、上記[5]~[7]のいずれか1項に記載のコーヒー豆の製造方法。
〔測定方法〕
試験管にコーヒー豆1gを入れ、水20mlとジエチルエーテル10mlを加え、1時間浸漬させる。その後、塩化ナトリウム8gを加え、振とうして遠心分離にかける。ジエチルエーテル層を1ml分取りし、そこにさらにジエチルエーテルを加えて20mlとする。これを以下のガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて、ガスクロマトグラフィー質量分析法により2-フェニルエタノールの含有量を測定する。
〔ガスクロマトグラフィー質量分析計〕
機種:6890A/5973N [Agilent Technologies, Inc.]
カラム:DB-WAX UI(φ0.25 mm×60 m, 膜厚0.5μm) [Agilent Technologies, Inc.]
注入方法:スプリット5:1
温度:試料注入口 220℃
カラム 60℃で1分間保持し、10℃/分で昇温し、240℃で5分保持
ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス)1mL/分
イオン源温度:230℃
イオン化法:EI
設定質量数:m/z91。
本発明は、香り豊かなコーヒーを提供し得るコーヒー豆を提供できる。
本発明は、コーヒー生産国において、コーヒーチェリー、ウェットパーチメント、および/またはコーヒー生豆を原料豆としたコーヒー豆の製造方法を提供できる。
本発明は、コーヒー消費国において、コーヒー生豆を原料豆としたコーヒー豆の製造方法を提供できる。
本発明は、コーヒーチェリー、ウェットパーチメント、および/またはコーヒー生豆の運搬中において実施できるコーヒー豆の製造方法を提供できる。
本発明の一態様に係るコーヒー豆は、9ppm以上の2-フェニルエタノールを含有し、市販のコーヒー豆(後述する比較例11~19)に比べても約4.5倍以上豊富に2-フェニルエタノールを含有し、香り豊かなコーヒーを提供し得る。
〔コーヒー豆〕
本発明のコーヒー豆は、コーヒー生豆またはコーヒー焙煎豆である。コーヒー豆には、コーヒー生豆およびコーヒー焙煎豆の両方が含まれていてもよい。
コーヒー生豆は、コーヒー果実(コーヒーチェリー)に含まれる種子である。コーヒーチェリーは、内側に種子を含み、種子は順に粘着質(ミューシレージ)、果肉(糖分やその他の栄養分を含む部分)、および外皮で覆われている。コーヒー生豆は、乾燥させる前のものであってもよいし、乾燥させた後のものであってもよい。また、コーヒー生豆は、豆状態のものであってもよいし、少なくとも部分的に粉砕された状態のものであってもよい。
コーヒー焙煎豆は、コーヒー豆を焙煎処理して得られるものである。コーヒー焙煎豆は、豆状態のものであってもよいし、粉砕された粉末状態のものであってもよい。
本発明の一態様に係るコーヒー豆は、9ppm以上の2-フェニルエタノールを含有する。単位「ppm」は、コーヒー豆1kgあたりに含まれる2-フェニルエタノールの質量(mg)の比(mg/kg)である。
本発明の一態様に係るコーヒー生豆は、9ppm以上の2-フェニルエタノールを含有する。また、本発明の一態様に係るコーヒー焙煎豆は、9ppm以上の2-フェニルエタノールを含有する。
コーヒー豆は、フェニルエタノール成分として、2-フェニルエタノールに加えて、1-フェニルエタノールが含まれていてもよい。
コーヒー豆に含まれる2-フェニルエタノールの含有量は、15ppm以上、20ppm以上、30ppm以上、40ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、150ppm以上、200ppm以上、250ppm以上、300ppm以上、350ppm以上、400ppm以上、450ppm以上、500ppm以上、550ppm以上、600ppm以上、650ppm以上、700ppm以上、750ppm以上、800ppm以上、850ppm以上、900ppm以上、950ppm以上、1000ppm以上、1100ppm以上、1200ppm以上、1300ppm以上、1400ppm以上、1500ppm以上、1600ppm以上、1700ppm以上、または1800ppm以上であってもよい。
コーヒー豆に含まれる2-フェニルエタノールの含有量は、9ppm~2500ppm、15ppm~2500ppm、20ppm~2500ppm、30ppm~2500ppm、40ppm~2500ppm、50ppm~2500ppm、100ppm~2500ppm、150ppm~2500ppm、200ppm~2500ppm、250ppm~2500ppm、300ppm~2500ppm、350ppm~2500ppm、400ppm~2500ppm、450ppm~2500ppm、500ppm~2500ppm、550ppm~2500ppm、600ppm~2500ppm、650ppm~2500ppm、700ppm~2500ppm、750ppm~2500ppm、800ppm~2500ppm、850ppm~2500ppm、900ppm~2500ppm、950ppm~2500ppm、1000ppm~2500ppm、1100ppm~2500ppm、1200ppm~2500ppm、1300ppm~2500ppm、1400ppm~2500ppm、1500ppm~2500ppm、1600ppm~2500ppm、1700ppm~2500ppm、または1800ppm~2500ppmであってもよい。
コーヒー豆に含まれる2-フェニルエタノールの含有量は、9ppm~2000ppm、15ppm~2000ppm、20ppm~2000ppm、30ppm~2000ppm、40ppm~2000ppm、50ppm~2000ppm、100ppm~2000ppm、150ppm~2000ppm、200ppm~2000ppm、250ppm~2000ppm、300ppm~2000ppm、350ppm~2000ppm、400ppm~2000ppm、450ppm~2000ppm、500ppm~2000ppm、550ppm~2000ppm、600ppm~2000ppm、650ppm~2000ppm、700ppm~2000ppm、750ppm~2000ppm、800ppm~2000ppm、850ppm~2000ppm、900ppm~2000ppm、950ppm~2000ppm、1000ppm~2000ppm、1100ppm~2000ppm、1200ppm~2000ppm、1300ppm~2000ppm、1400ppm~2000ppm、1500ppm~2000ppm、1600ppm~2000ppm、1700ppm~2000ppm、または1800ppm~2000ppmであってもよい。
コーヒー豆に含まれる2-フェニルエタノールの含有量は、9ppm~1800ppm、15ppm~1800ppm、20ppm~1800ppm、30ppm~1800ppm、40ppm~1800ppm、50ppm~1800ppm、100ppm~1800ppm、150ppm~1800ppm、200ppm~1800ppm、250ppm~1800ppm、300ppm~1800ppm、350ppm~1800ppm、400ppm~1800ppm、450ppm~1800ppm、500ppm~1800ppm、550ppm~1800ppm、600ppm~1800ppm、650ppm~1800ppm、700ppm~1800ppm、750ppm~1800ppm、800ppm~1800ppm、850ppm~1800ppm、900ppm~1800ppm、950ppm~1800ppm、1000ppm~1800ppm、1100ppm~1800ppm、1200ppm~1800ppm、1300ppm~1800ppm、1400ppm~1800ppm、1500ppm~1800ppm、1600ppm~1800ppm、または1700ppm~1800ppmであってもよい。
コーヒー豆に含まれる2-フェニルエタノールの含有量は、9ppm~1800ppm、16ppm~1800ppm、24ppm~1800ppm、36ppm~1800ppm、43ppm~1800ppm、45ppm~1800ppm、53ppm~1800ppm、110ppm~1800ppm、210ppm~1800ppm、220ppm~1800ppm、260ppm~1800ppm、340ppm~1800ppm、370ppm~1800ppm、380ppm~1800ppm、430ppm~1800ppm、500ppm~1800ppm、540ppm~1800ppm、580ppm~1800ppm、620ppm~1800ppm、640ppm~1800ppm、820ppm~1800ppm、880ppm~1800ppm、930ppm~1800ppm、1000ppm~1800ppm、または1100ppm~1800ppmであってもよい。
本発明において、コーヒー豆中の2-フェニルエタノールの含有量は、次の測定方法に従って測定される。
〔測定方法〕
試験管にコーヒー豆1gを入れ、水20mlとジエチルエーテル10mlを加え、1時間浸漬させる。その後、塩化ナトリウム8gを加え、振とうして遠心分離にかける。ジエチルエーテル層を1ml分取りし、そこにさらにジエチルエーテルを加えて20mlとする。これを以下のガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて、ガスクロマトグラフィー質量分析法により2-フェニルエタノールの含有量を測定する。
〔ガスクロマトグラフィー質量分析計〕
機種:6890A/5973N [Agilent Technologies, Inc.]
カラム:DB-WAX UI(φ0.25 mm×60 m, 膜厚0.5μm) [Agilent Technologies, Inc.]
注入方法:スプリット5:1
温度:試料注入口 220℃
カラム 60℃で1分間保持し、10℃/分で昇温し、240℃で5分保持
ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス)1mL/分
イオン源温度:230℃
イオン化法:EI
設定質量数:m/z91。
本発明の一態様に係るコーヒー豆は、9ppm以上の2-フェニルエタノールを含有し、従来品に比べ香り豊かなコーヒー飲料を提供できる。
〔コーヒー豆の製造方法〕
本発明の一態様に係る、2-フェニルエタノールを9ppm以上含有するコーヒー豆の製造方法は、
原料豆に、酵母と、前記原料豆1kgあたり0.01g以上のフェニルアラニンとを添加する工程(i)であって、前記原料豆は、コーヒーチェリー、コーヒーチェリーの外皮および果肉を取り除いたウェットパーチメント、コーヒー生豆、またはこれら2以上の組み合わせである、工程(i)と、
前記酵母およびフェニルアラニンを添加した前記原料豆を発酵させる工程(ii)と
を備える。
上記コーヒー豆の製造方法により、2-フェニルエタノールを9ppm以上含有するコーヒー生豆が製造される。また、上記コーヒー豆の製造方法により製造したコーヒー生豆を焙煎処理(加熱乾燥処理)することで、2-フェニルエタノールを9ppm以上含有するコーヒー焙煎豆が製造される。
原料豆のコーヒーチェリー(コーヒー果実ともいう)は、コーヒーノキの果実であり、コーヒー生豆(種子)、果肉(糖分やその他の栄養分を含む部分)および外皮からなる。品種としては、アラビカ種、ロブスタ種、またはリベリカ種などがあり、産地についても、ブラジル産、エチオピア産、ベトナム産、またはグアテマラ産などがある。本発明において品種や産地は限定されない。
原料豆のウェットパーチメントは、コーヒーチェリーから果皮および果肉を除去し、種子の周りに付着している粘着質(ミューシレージ)を除去する前のものである。
原料豆のコーヒー生豆は、ウェットパーチメントの粘着質を除去し、乾燥処理および精選・脱穀処理したものである。
工程(i)において、原料豆に、酵母と、前記原料豆1kgあたり0.01g以上のフェニルアラニンとを添加した後、これらは十分に混合される。混合は、ミキサー等の機器を用いて行うものであってもよいし、手作業によるものであってもよい。なお、酵母およびフェニルアラニンに加えて、水および/または酵母用の培地を原料豆に添加してもよい。
酵母は、カンディダ・サケ(Candida sake)、ブレタノマイセス種(Brettanomyces sp.)、ジゴサッカロミセス・ビスポラス(Zygosaccharomyces bisporus)、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、およびこれら2以上の組み合わせからなる群から選択される。
工程(i)において、さらに酵母に適した培地を添加してもよい。とくに、原料豆としてコーヒー生豆を用いる場合、粘着質(ミューシレージ)を模した培地を添加するとよい。限定されないが、そのような培地として、培地1リットル(l)あたり、20~60gのスクロース、15~45gのグルコース、30~90gのペクチン、および15~45gのフルクトースを溶解混合したものを用いてもよい。また、この培地にさらにブドウ糖を添加したものを培地として用いてもよい。培地の添加量は、原料豆100gあたり、1ml以上、5ml以上、10ml以上、30ml以上、50ml以上、100ml以上、1~100ml、5~100ml、10~100ml、30~100ml、または50~100mlとしてもよい。
工程(i)においてフェニルアラニンの添加量は、前記原料豆1kgあたり0.2g以上、0.3g以上、0.4g以上、0.5g以上、0.75g以上、1.0g以上、1.5g以上、2.0g以上、3.0g以上、4.0g以上、5.0g以上、6.0g以上、8.0g以上、10g以上、12g以上、16g以上、20g以上、24g以上、30g以上、36g以上、40g以上、48g以上、50g以上、60g以上、80g以上、または100g以上であってもよい。
工程(i)においてフェニルアラニンの添加量は、前記原料豆1kgあたり、0.01g~200g、0.01g~150g、0.01g~100g、0.01g~80g、0.01g~60g、0.01g~50g、0.01g~48g、0.01g~40g、0.01g~40g、0.01g~36g、0.01g~30g、0.01g~24g、0.01g~20g、0.01g~16g、0.01g~12g、0.01g~10g、0.01g~8.0g、0.05g~200g、0.05g~150g、0.05g~100g、0.05g~80g、0.05g~60g、0.05g~50g、0.05g~48g、0.05g~40g、0.05g~40g、0.05g~36g、0.05g~30g、0.05g~24g、0.05g~20g、0.05g~16g、0.05g~12g、0.05g~10g、0.05g~8.0g、0.1g~200g、0.1g~150g、0.1g~100g、0.1g~80g、0.1g~60g、0.1g~50g、0.1g~48g、0.1g~40g、0.1g~40g、0.1g~36g、0.1g~30g、0.1g~24g、0.1g~20g、0.1g~16g、0.1g~12g、0.1g~10g、0.1g~8.0g、0.4g~200g、0.4g~150g、0.4g~100g、0.4g~80g、0.4g~60g、0.4g~50g、0.4g~48g、0.4g~40g、0.4g~40g、0.4g~36g、0.4g~30g、0.4g~24g、0.4g~20g、0.4g~16g、0.4g~12g、0.4g~10g、0.4g~8.0g、0.75g~200g、0.75g~150g、0.75g~100g、0.75g~80g、0.75g~60g、0.75g~50g、0.75g~48g、0.75g~40g、0.75g~40g、0.75g~36g、0.75g~30g、0.75g~24g、0.75g~20g、0.75g~16g、0.75g~12g、0.75g~10g、0.75g~8.0g、1.0g~200g、1.0g~150g、1.0g~100g、1.0g~80g、1.0g~60g、1.0g~50g、1.0g~48g、1.0g~40g、1.0g~40g、1.0g~36g、1.0g~30g、1.0g~24g、1.0g~20g、1.0g~16g、1.0g~12g、1.0g~10g、1.0g~8.0g、5.0g~200g、5.0g~150g、5.0g~5.00g、5.0g~80g、5.0g~60g、5.0g~50g、5.0g~48g、5.0g~40g、5.0g~40g、5.0g~36g、5.0g~30g、5.0g~24g、5.0g~20g、5.0g~16g、5.0g~12g、または5.0g~8.0gとしてもよい。
工程(ii)において、酵母およびフェニルアラニンと混合された原料豆は、容器または袋に入れた後、1時間以上かけて発酵される。発酵時間は、6時間以上、12時間以上、24時間以上、36時間以上、48時間以上、60時間以上、72時間以上、90時間以上、100時間以上、1~100時間、1~90時間、1~72時間、1~60時間、1~48時間、1~36時間、1~24時間、1~12時間、1~6時間、6~100時間、6~90時間、6~72時間、6~60時間、6~48時間、6~36時間、6~24時間、6~12時間、12~100時間、12~90時間、12~72時間、12~60時間、12~48時間、12~36時間、12~24時間、24~100時間、24~90時間、24~72時間、24~60時間、24~48時間、または24~36時間行うようにしてもよい。
工程(ii)の発酵工程は、発酵が実施され得る条件であれば特に限定されず、必要に応じて発酵に適した条件(例えば、使用する酵母の種類や量、資化成分の種類や量、温度、湿度、pH、酸素濃度、二酸化炭素濃度、および/または発酵時間等)を適宜設定してもよい。コーヒー豆の製造方法が実施される場所の大気温度および大気湿度下で行うようにしてもよいし、ラボや工場などの温度および湿度が管理された環境下で行うようにしてもよい。限定されないが、発酵は、5℃~100℃の範囲に含まれる温度(例えば、20~40℃、22~34℃、24~30℃など)、および5%~100%の範囲に含まれる湿度(例えば、30~90%、40~80%、50~70%など)の管理下で行うようにしてもよい。使用する酵母や原料豆の種類に応じて、発酵の時間、温度、および湿度を適宜調整するとよい。また、発酵は大気圧下で行われるが、減圧または加圧下で行うようにしてもよい。
工程(ii)の発酵工程で使用される資化成分としては、例えば、果肉、果汁、糖類、または培地などが挙げられる。果肉は、例えばコーヒーの果肉(粘着質(ミューシレージ))であり、未乾燥のものまたは乾燥させたものであってもよい。なお、コーヒーの果肉に限らず、ぶどう果肉、サクランボ果肉、および桃果肉などの他の果肉、またはこれらを任意に組み合わせたものを使用してもよい。果肉以外の資化成分としては、果汁(例えば、ぶどう、桃、リンゴ等)、糖類(例えば、サトウキビや甘藷等の植物からとれる単糖、二糖、多糖等)、穀物類(例えば、麦芽を糖化させた麦汁など)、または培地があり、酵母が資化可能な成分であればよい。
本発明における酵母の使用量は、2-フェニルエタノール含有量の増加の効果が得られれば特に限定されない。例えば、コーヒー豆の重量あたり、酵母を1.0×10cells/g~1.0×1014cells/g、1.0×10cells/g~1.0×1012cells/g、または1.0×10cells/g~1.0×1010cells/g添加してもよい。
発酵工程を終了させる際には、加熱滅菌処理、水洗、乾燥処理、または焙煎処理などを任意に組み合わせてよい。乾燥処理において乾燥機を用いる場合、任意の温度(例えば20~70℃、30~70℃、40~70℃、または50~70℃)で1~3日程度乾燥させることにより、発酵を終了させてもよい。なお、発酵工程として、出願人による先行特許5032979号に記載の発酵工程に従い行うようにしてもよい。
コーヒー豆の製造方法は、工程(ii)で発酵させた原料豆を乾燥させる工程(iii)をさらに備えていてもよい。また、コーヒー豆の製造方法は、工程(iii)で乾燥させた原料豆を精選および脱穀してコーヒー豆とする工程(iv)をさらに備えていてもよい。また、コーヒー豆の製造方法は、必要に応じて乾燥工程(iii)や精選・脱穀工程(iv)にかけた後、焙煎処理(加熱乾燥処理)してコーヒー焙煎豆とする工程(v)をさらに備える。
コーヒー豆の製造方法は、コーヒーチェリーの生産国またはコーヒー豆の消費国において行うことができる。また、コーヒー豆の製造方法は、コーヒー豆の運搬中に船舶等において実施してもよい。
[実施例1~6]
本発明の実施例1~6および比較例1~4は、ブラジルのある農園(農園Aとする。)にて生産したコーヒーチェリーから果皮および果肉を除去し、種子の周りに粘着質(ミューシレージ)を付着させたウェットパーチメント(WP)を原料豆として使用した。また、当該原料豆を用いたコーヒー生豆およびコーヒー焙煎豆の製造も当該農園Aにおいて行った。
実施例1~6において、原料豆であるウェットパーチメントに、酵母であるサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)と表1に記載の量のフェニルアラニンを添加し、混合した後、ビニール袋に入れ静置させた。比較例1~4においても、原料豆であるウェットパーチメントに、酵母であるサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)を添加し、混合した後、ビニール袋に入れ静置させた。酵母の添加量は、実施例1~6および比較例1~4それぞれにおいてすべて同じ値(1.0×10cells/g)とした。
ビニール袋にはいった酵母およびフェニルアラニンを添加した原料豆を表1に記載の時間発酵させた。この発酵工程は、農園Aが位置する大気圧、大気温度、および大気湿度下で行われ、実施例1~6および比較例1~4すべてにおいて発酵時間を除いて同じ条件とした。
発酵工程の後、発酵させた原料豆を乾燥工程および精選・脱穀工程にかけて、コーヒー生豆を製造した。
コーヒー焙煎豆は、コーヒー生豆を焙煎工程にかけることで製造した。
乾燥工程、精選・脱穀工程、および焙煎工程は、実施例1~6および比較例1~4すべてにおいて同じ条件下で行った。
コーヒー生豆中およびコーヒー焙煎豆に含まれる2-フェニルエタノールの含有量の測定は、以下の方法により行った。
[2-フェニルエタノール濃度(含有量)の測定方法]
試験管にコーヒー豆(コーヒー生豆またはコーヒー焙煎豆)1gを入れ、水20mlとジエチルエーテル10mlを加え、1時間浸漬させる。その後、塩化ナトリウム8gを加え、振とうして遠心分離にかける。ジエチルエーテル層を1ml分取りし、そこにさらにジエチルエーテルを加えて20mlとする。これを以下のガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて、ガスクロマトグラフィー質量分析法により2-フェニルエタノールの含有量を測定する。
〔ガスクロマトグラフィー質量分析計〕
機種:6890A/5973N [Agilent Technologies, Inc.]
カラム:DB-WAX UI(φ0.25 mm×60 m, 膜厚0.5μm) [Agilent Technologies, Inc.]
注入方法:スプリット5:1
温度:試料注入口 220℃
カラム 60℃で1分保持し、10℃/分で昇温し、240℃で5分保持
ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス) 1mL/分
イオン源温度:230℃
イオン化法:EI
設定質量数:m/z91
実施例1~6および比較例1~4のコーヒー生豆およびコーヒー焙煎豆それぞれについて2-フェニルエタノールの含有量を測定し、結果を表1に示す。
Figure 2023042085000001
表1に示されるように、実施例1~6に係るコーヒー生豆は、2-フェニルエタノールの濃度(含有量)が210~620ppmであった。他方、比較例1~4に係るコーヒー生豆は、2-フェニルエタノールの含有量が3.7~7.6ppmであった。両者を比較すると、実施例1~6に係るコーヒー生豆は、比較例1~4のコーヒー生豆に比べ、2-フェニルエタノールの含有量が約28~168倍へと顕著に増加した。
実施例1~6に係るコーヒー焙煎豆は、2-フェニルエタノールの濃度(含有量)が240~630ppmであった。他方、比較例1~4に係るコーヒー生豆は、2-フェニルエタノールの含有量が2.5~25ppmであった。両者を比較すると、実施例1~6に係るコーヒー焙煎豆は、比較例1~4のコーヒー焙煎豆に比べ、2-フェニルエタノールの含有量が約10~252倍へと顕著に増加した。さらに、実施例1~6のコーヒー焙煎豆は、実施例1~6のコーヒー生豆に比べ2-フェニルエタノールの含有量が約1.02~1.23倍に増加した。
これらの例で示されるように、実施例1~6のコーヒー生豆は、比較例1~4のコーヒー生豆に比べて顕著に増加した2-フェニルエタノールを含有する。また、コーヒー焙煎豆は、コーヒー生豆に比べて増加した2-フェニルエタノールを含有する。
[実施例7~12]
本発明の実施例7~12および比較例5~8は、ブラジルの別の農園(農園Bとする。)にて生産したコーヒーチェリー(CC)と、コーヒーチェリーから果皮および果肉を除去し、種子の周りに粘着質(ミューシレージ)を付着させたウェットパーチメント(WP)とを原料豆として使用した。また、当該原料豆を用いたコーヒー生豆の製造も当該農園Bにおいて行った。
実施例7~9において、原料豆であるウェットパーチメントに、酵母であるサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)と表2に記載の量のフェニルアラニンを添加し、混合した後、ビニール袋に入れ静置させた。
実施例10~12において、原料豆であるコーヒーチェリーに、酵母であるサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)と表2に記載の量のフェニルアラニンを添加し、混合した後、ビニール袋に入れ静置させた。
比較例5~8においても、原料豆であるウェットパーチメントに、酵母であるサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)を添加し、混合した後、ビニール袋に入れ静置させた。
酵母の添加量は、実施例7~12および比較例5~8それぞれにおいて同じ値(1.0×10cells/g)とした。
ビニール袋にはいった酵母およびフェニルアラニンを添加した原料豆を表2に記載の時間発酵させた。この発酵工程は、農園Bが位置する大気圧・大気温度・大気湿度下で行われ、実施例7~12および比較例5~8すべてにおいて発酵時間を除いて同じ条件とした。
発酵工程の後、発酵させた原料豆を乾燥工程および精選・脱穀工程にかけて、コーヒー生豆を製造した。乾燥工程および精選・脱穀工程は、実施例7~12および比較例5~8すべてにおいて同じ条件下で行った。
コーヒー生豆中に含まれる2-フェニルエタノールの含有量は、上記2-フェニルエタノール濃度(含有量)の測定方法により測定した。実施例7~12および比較例5~8のコーヒー生豆それぞれについて2-フェニルエタノールの含有量を測定し、結果を表2に示す。
Figure 2023042085000002
表2に示されるように、原料豆としてウェットパーチメントを用いた実施例7~9に係るコーヒー生豆は、2-フェニルエタノールの濃度(含有量)が24~110ppmであった。原料豆としてコーヒーチェリーを用いた実施例10~12に係るコーヒー生豆は、2-フェニルエタノールの含有量が9~36ppmであった。他方、比較例5~8に係るコーヒー生豆は、2-フェニルエタノールの含有量が0.2~0.5ppmであった。実施例と比較例とを比較すると、実施例7~12に係るコーヒー生豆は、比較例5~6のコーヒー生豆に比べ、2-フェニルエタノールの含有量が約28~550倍に顕著に増加した。
このように、実施例7~12のコーヒー生豆は、比較例5~8のコーヒー生豆に比べて2-フェニルエタノール含有量が顕著に増加し、さらにコーヒー焙煎豆とすることで、コーヒー生豆に比べて2-フェニルエタノールの含有量をさらに増加させることができる。
[実施例13~30]
本発明の実施例13~30および比較例9~10は、ブラジルの農園にて生産したコーヒーチェリー(CC)から現地にてコーヒー生豆(GB)を製造し、日本に輸入したコーヒー生豆(GB)を原料豆として使用した。実施例13~30および比較例9~10に係るコーヒー生豆の製造は、日本のラボにて実施した。
培地として、ミューシレージの糖組成を模した基本培地を調製し、使用した(「Coffee - Growing, Processing, Sustainable Production: A Guidebook for Growers, Processors, Traders and Researchers ペーパーバック」参照)。基本培地は、水1リットル(l)あたり、スクロース40g、グルコース30g、ペクチン66g、およびフルクトース30gを溶かして調製したものである。実施例14~21では、培地として、基本培地とともにブドウ糖(D-グルコピラノース)をさらに加えたものを使用した。
実施例13において、原料豆であるコーヒー生豆(GB)に、酵母であるサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)と、表3に記載の量のフェニルアラニン(原料豆1kgあたり6g)および基本培地(原料豆100gあたり50ml)とを添加し、混合した後、ビニール袋に入れ静置させた。
実施例14において、原料豆であるコーヒー生豆(GB)に、酵母であるサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)と、表3に記載の量のフェニルアラニン(原料豆1kgあたり6g)、基本培地(原料豆100gあたり50ml)およびブドウ糖(原料豆100gあたり1g)とを添加し、混合した後、ビニール袋に入れ静置させた。
同様に、実施例15~30においても、原料豆であるコーヒー生豆(GB)に、酵母であるサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンディダ・サケ(Candida sake)、ジゴサッカロミセス・ビスポラス(Zygosaccharomyces bisporus)、またはブレタノマイセス種(Brettanomyces sp.)と、表3に記載の量のフェニルアラニンおよび培地を添加し、混合した後、ビニール袋に入れ静置させた。
比較例9~10において、原料豆であるコーヒー生豆(GB)に、酵母であるサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)および培地を添加し、混合した後、ビニール袋に入れ静置させた。
酵母の添加量は、実施例13~30および比較例9~10それぞれにおいて、すべて同じ値(1.0×10cells/g)とした。
ビニール袋にはいった酵母、フェニルアラニン、および培地を添加した原料豆を表3に記載の時間発酵させた。この発酵工程は、日本のラボ内で28℃の管理された温度、ならびに大気圧および大気湿度下で行われ、実施例13~30および比較例9~10すべてにおいて発酵時間を除いて同じ条件とした。
発酵工程の後、発酵させた原料豆を乾燥工程にかけて、コーヒー生豆を製造した。乾燥工程は、実施例13~30および比較例9~10すべてにおいて同じ条件下で行った。
コーヒー生豆中に含まれる2-フェニルエタノールの含有量は、上記2-フェニルエタノール濃度(含有量)の測定方法により測定した。実施例13~30および比較例9~10のコーヒー生豆それぞれについて2-フェニルエタノールの含有量を測定し、結果を表3に示す。
Figure 2023042085000003
表3に示されるように、実施例13~30に係るコーヒー生豆は、2-フェニルエタノールの濃度(含有量)が45~1800ppmであった。他方、比較例9~10に係るコーヒー生豆は、2-フェニルエタノールの含有量が0.3~0.9ppmであった。実施例と比較例とを比較すると、実施例13~30に係るコーヒー生豆は、比較例9~10のコーヒー生豆に比べ、2-フェニルエタノールの含有量が約50~6000倍に顕著に増加した。
このように、実施例13~30のコーヒー生豆は、比較例9~10のコーヒー生豆に比べて顕著に増加した2-フェニルエタノールを含有する。
[比較例11~19]
比較例11~19において、市販のコーヒー生豆を購入し、市販のコーヒー生豆に含まれる2-フェニルエタノールの含有量を、上記測定方法により測定した。
Figure 2023042085000004
比較例11~19に係る市販のコーヒー生豆の2-フェニルエタノールの濃度(含有量)は、0.3~2ppmであった。

Claims (8)

  1. 2-フェニルエタノールを9ppm以上含有するコーヒー豆。
  2. 前記2-フェニルエタノールの含有量が9ppm~2000ppmである、請求項1に記載のコーヒー豆。
  3. 前記コーヒー豆がコーヒー生豆またはコーヒー焙煎豆である、請求項1または2に記載のコーヒー豆。
  4. 前記コーヒー豆中の2-フェニルエタノールの含有量は、以下の測定方法に従って測定される、請求項1~3のいずれか1項に記載のコーヒー豆。
    〔測定方法〕
    試験管にコーヒー豆1gを入れ、水20mlとジエチルエーテル10mlを加え、1時間浸漬させる。その後、塩化ナトリウム8gを加え、振とうして遠心分離にかける。ジエチルエーテル層を1ml分取りし、そこにさらにジエチルエーテルを加えて20mlとする。これを以下のガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて、ガスクロマトグラフィー質量分析法により2-フェニルエタノールの含有量を測定する。
    〔ガスクロマトグラフィー質量分析計〕
    機種:6890A/5973N [Agilent Technologies, Inc.]
    カラム:DB-WAX UI(φ0.25 mm×60 m, 膜厚0.5μm) [Agilent Technologies, Inc.]
    注入方法:スプリット5:1
    温度:試料注入口 220℃
    カラム 60℃で1分間保持し、10℃/分で昇温し、240℃で5分保持
    ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス)1mL/分
    イオン源温度:230℃
    イオン化法:EI
    設定質量数:m/z91。
  5. 2-フェニルエタノールを9ppm以上含有するコーヒー豆の製造方法であって、
    原料豆に、酵母と、前記原料豆1kgあたり0.01g以上のフェニルアラニンとを添加する工程(i)であって、前記原料豆は、コーヒーチェリー、コーヒーチェリーの外皮および果肉を取り除いたウェットパーチメント、コーヒー生豆、またはこれら2以上の組み合わせである、工程(i)と、
    前記酵母およびフェニルアラニンを添加した前記原料豆を発酵させる工程(ii)と
    を備える前記製造方法。
  6. 前記酵母は、カンディダ・サケ(Candida sake)、ブレタノマイセス種(Brettanomyces sp.)、ジゴサッカロミセス・ビスポラス(Zygosaccharomyces bisporus)、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、およびこれら2以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の製造方法。
  7. 工程(ii)において、前記原料豆が1時間以上発酵される、請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 前記コーヒー豆中の2-フェニルエタノールの含有量は、以下の測定方法に従って測定される、請求項5~7のいずれか1項に記載のコーヒー豆の製造方法。
    〔測定方法〕
    試験管にコーヒー豆1gを入れ、水20mlとジエチルエーテル10mlを加え、1時間浸漬させる。その後、塩化ナトリウム8gを加え、振とうして遠心分離にかける。ジエチルエーテル層を1ml分取りし、そこにさらにジエチルエーテルを加えて20mlとする。これを以下のガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて、ガスクロマトグラフィー質量分析法により2-フェニルエタノールの含有量を測定する。
    〔ガスクロマトグラフィー質量分析計〕
    機種:6890A/5973N [Agilent Technologies, Inc.]
    カラム:DB-WAX UI(φ0.25 mm×60 m, 膜厚0.5μm) [Agilent Technologies, Inc.]
    注入方法:スプリット5:1
    温度:試料注入口 220℃
    カラム 60℃で1分間保持し、10℃/分で昇温し、240℃で5分保持
    ガス流量:ヘリウム(キャリヤーガス)1mL/分
    イオン源温度:230℃
    イオン化法:EI
    設定質量数:m/z91。

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